説明

タッチパネル付き表示装置

【課題】 表示装置の表示面が暗くなる問題を効果的に抑制可能なタッチパネル付き表示装置を得る。
【解決手段】 光透過性を有する基材8を備えるとともに、少なくとも基材8の片面側に透明電極層9と該透明電極部9に通電可能に配設された取出電極部10とを有するタッチパネル部材2と、表示面を有し該表示面に画像を表示させる表示モジュール50を少なくとも含む表示パネル3とが、空気層4を介在して積層されてなるタッチパネル付き表示装置1において、前記タッチパネル部材2が、前記透明電極層9上に粘着層11を設け、一方の面に凹凸構造を有する反射防止層12を、該粘着層11上に直接積層しており、且つ、前記反射防止層12の凹凸構造を有する面側を、前記表示パネル3の表示面に対向させて配置されて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル付き表示装置は、それ単独で使用されるほか、様々な物品に組み込まれて様々な用途で使用される。例えば、タッチパネル付き表示装置は、携帯電話などの携帯端末の表示部や、パーソナルコンピュータの表示部として組み込まれる装置の用途で使用される。
【0003】
タッチパネル付き表示装置は、液晶表示装置や有機EL(Electro−Luminescence)表示装置等の表示パネルにおける表示モジュールの表示面上にタッチパネル部材を取り付けて形成される。タッチパネル部材の取り付けは、樹脂などを用いて所定形状に成型されたハウジングを準備しておき、ハウジングにタッチパネル部材と表示パネルとを嵌めつけ、タッチパネル部材の一方面側を表示パネルの表示モジュールの表示面を形成する領域上に対面するように配置固定することで実施される。なお、タッチパネル部材の他方面側には、ガラス材などの保護材が貼り付けられる。
【0004】
タッチパネル部材を表示パネル上に固定する際、タッチパネル部材と表示パネルは離間していることが多く、すなわちタッチパネル部材と表示パネルとが空気層を介して配置されていることが多い。このため、表示パネルの表示面からタッチパネル側に向かう光が、空気層とタッチパネル部材の界面で反射して、外部に取り出されず、表示パネルの表示面が暗くなってしまう虞もある。
【0005】
そこで、モスアイ構造を有する反射防止層を表示パネルとタッチパネル部材の間に配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。モスアイ構造は、屈折率が1.5前後の樹脂を用いて可視光の波長以下のサイズで多数の突起を基材上に密集形成した構造である。このとき、反射防止層は、空気界面からその層内部に向かって、屈折率が空気の屈折率である1から、その層を構成する樹脂の屈折率である1.5程度へと、徐々に変化するような層構造をなす。そのため、モスアイ構造を有する反射防止層が表示パネルとタッチパネル部材の間に形成されることで、表示面上での外光の界面反射が低減されることとなり、空気層とタッチパネル部材の界面での光の反射が抑制され、表示パネルの表示面が暗くなる問題が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−205990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タッチパネル部材において表示パネルに近いほうの面上には、通常、透明電極層と、取出電極を構成する金属配線のパターンが形成されており、金属配線が透明電極層に接続されていることが多い。このようなタッチパネル部材では、透明電極層と金属配線のパターンを保護するべく、タッチパネル部材の空気層側の面に、通常、透明電極層と金属配線を覆うように保護層が積層されている。すると、特許文献1のように、表示パネルの空気層側の面に反射防止層を積層すれば、保護層と反射防止層との間で新たな界面が生じて、そこで新たな界面反射を生じる虞がある。このため、表示パネルの表示面からタッチパネル部材側に向かう光が、保護層と反射防止層の界面で反射して、外部に取り出されず、表示パネルの表示面が暗くなってしまう虞があった。
【0008】
本発明は、表示装置の表示面が暗くなる問題を効果的に抑制可能なタッチパネル付き表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(1)光透過性を有する基材を備えるとともに、少なくとも基材の片面側に透明電極層と該透明電極層に通電可能に配設された取出電極部とを有するタッチパネル部材と、表示面を有し該表示面に画像を表示させる表示モジュールを少なくとも含む表示パネルとが、空気層を介在して積層されてなるタッチパネル付き表示装置において、
前記タッチパネル部材は、前記透明電極層上に粘着層を設け、一方の面に凹凸構造を有する反射防止層を、該粘着層上に直接積層しており、且つ、前記反射防止層の凹凸構造を有する面側を、前記表示パネルの表示面に対向させて配置されている、ことを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
(2)粘着層は、取出電極部を被覆して形成されており、
前記粘着層は、該粘着層中の塩化物イオンの濃度が5μg/g以下である、上記(1)に記載のタッチパネル付き表示装置、
(3)透明電極層は、互いに間隔を置いて配置される複数の第1電極片と、互いに間隔を置いて配置される複数の第2電極片と、を備えて形成され、
第1電極片と第2電極片は、互いに離間しており、且つ、タッチパネル部材の平面視上互いに交差しつつ、1つの基材上に配置されている、上記(1)または(2)に記載のタッチパネル付き表示装置、
(4)反射防止層は、表示パネルの表示面から離間している、上記(1)から(3)のいずれかに記載のタッチパネル付き表示装置、を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示装置の表示面が暗くなる問題を効果的に抑制可能なタッチパネル付き表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のタッチパネル付き表示装置の実施例の1つを模式的に示す概略断面模式図である。
【図2】(2A)本発明のタッチパネル付き表示装置に組み込まれるタッチパネル部材の1実施例を模式的に示す概略平面模式図である。(2B)図2AのA−A線縦断面の状態を模式的に示す概略断面模式図である。(2C)本発明のタッチパネル付き表示装置に組み込まれるタッチパネル部材の1実施例を模式的に示す概略底面模式図である。
【図3】(3A)タッチパネル部材の他の1実施例を模式的に示す概略断面模式図である。(3B)タッチパネル部材の他の1実施例を模式的に示す概略断面模式図である。(3C)タッチパネル部材の他の1実施例を模式的に示す概略断面模式図である。(3D)タッチパネル部材の他の1実施例を模式的に示す概略断面模式図である。
【図4】(4A)透明電極層のパターンの他の一実施例を模式的に示す平面模式図である。(4B)透明電極層のパターンの他の一実施例を模式的に示す底面模式図である。
【図5】透明電極層のパターンの他の一実施例を模式的に示す平面模式図である。
【図6】(6A)図1の領域S(二点鎖線の領域)の部分を模式的に示す概略部分拡大図である。(6B)反射防止層の一実施例を模式的に示す概略斜視模式図である。
【図7】(7A)モスアイフィルムを製造する製造方法の1つを説明するための説明図である。(7B)モスアイフィルムを製造する製造方法の1つを説明するための説明図である。
【図8】(8A)タッチパネル部材の製造工程を模式的に示す工程断面図である。(8B)タッチパネル部材の製造工程を模式的に示す工程断面図である。(8C)タッチパネル部材の製造工程を模式的に示す工程断面図である。(8D)タッチパネル部材の製造工程を模式的に示す工程断面図である。(8E)タッチパネル部材の製造工程を模式的に示す工程断面図である。
【図9】本発明のタッチパネル付き表示装置の1実施例を示すための概略分解斜視図である。
【図10】(10A)タッチパネル部材の他の1実施例を模式的に示す概略断面模式図である。(10B)タッチパネル部材の他の1実施例を模式的に示す概略断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[タッチパネル付き表示装置1]
タッチパネル付き表示装置1は、図1に示すように、タッチパネル部材2と表示パネル3とが空気層4を介在させつつ積層されて構成される。このとき、タッチパネル部材2と表示パネル3の位置関係は、ハウジング5で保持される。
【0013】
[タッチパネル部材2]
タッチパネル部材2は、光透過性を有する基材8を備えるとともに、少なくとも基材8の片面側に透明電極層9を有し、その透明電極層9に通電可能に配設された取出電極部10を有して構成される。図1,2のタッチパネル部材2の例では、透明電極層9としては、第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bとが形成されており、それぞれ基材8の片面側に形成される。すなわち1つの基材8の一方面側に、第1の透明電極層9aが形成され、同じ基材8の他方面側に、第2の透明電極層9bが形成される。第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bのいずれについてもその上に粘着層11(11a,11b)を積層している。第2の透明電極層9bの面上に積層された粘着層11bの表面側には、反射防止層12が直接積層される。
【0014】
(基材8)
基材8は、光透過性を有する部材であれば適宜選択可能であるが、取り扱いの容易性の点で、フィルム材が好ましく用いられる。
【0015】
(フィルム材)
基材8をなすフィルム材は、光透過可能な絶縁フィルムであれば特に限定されることなく適宜選択可能である。フィルム材としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるフィルムを挙げることができる。
【0016】
基材8の厚みは、適宜選択可能である。基材8は、タッチパネル部材の全厚みを薄くしつつもタッチパネル部材の製造工程時における基材8の取り扱いの容易性を維持する観点で、厚みが20μm以上200μm以下程度のものを好ましく用いられることが多い。
【0017】
(透明電極層9)
透明電極層9は、光透過性を有する層であり且つ導電性材料からなる層である。導電性材料としては、例えば、インジウム錫オキサイド(ITO)、酸化インジウム、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性金属酸化物、ポリアニリン、ポリアセチレン等の導電性高分子等を挙げることができる。
【0018】
(第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9b)
透明電極層9として、第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bが形成されている。第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bの厚みは、それぞれ適宜選択可能である。第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bは、透明性の確保と製膜性の点で、それぞれ、その厚みを15nm以上500nm以下程度とされることが多い。
【0019】
第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bは、互いに同種の導電性材料からなる層であってもよいし、互いに異種の導電性材料からなる層であってもよい。第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bは、タッチパネル部材2の平面視上、基材8の面内に設定された位置検出用エリア、すなわち図2中、タッチパネル部材2において破線で囲まれた所定の部分で特定される領域Rで区画される部分である位置検出用エリア形成部40に形成される。なお、位置検出用エリアRは、タッチパネル部材2においてタッチ位置の検出可能なエリアを構成する部分として設定され、図2の例では、タッチパネル部材2において長方形状の領域として形成されているが、設計仕様に応じて適宜設定可能である。なお、説明の便宜上、図2A,C、図4,5では、粘着層11、表面材28、反射防止層12の記載を省略する。また、説明の便宜上、基材8の面のうち、粘着層11aの積層面側を表面側とし、粘着層11bの積層面側を底面側とすることがある。
【0020】
第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bの形成パターンについて、図2Aから2Cの例では、第1の透明電極層9aは、短冊状の第1電極片31の層を位置検出用エリア形成部40の短手方向に所定間隔をあけて配設して形成されており、第2の透明電極層9bは、短冊状の第2電極片32の層を位置検出用エリア形成部40の長手方向に所定間隔をあけて配設して形成されている。第1電極片31、第2電極片32はいずれも、それぞれ長手方向の向きを揃えつつ間隔をあけて並ぶように配置される。このとき、第1電極片31の長手方向と第2電極片32の長手方向とが基材8の平面視上、互いに直交するように交差している。すなわち、図2に示すように、互いに直交するx軸とy軸で張られるxy平面を想定した場合に、複数の第1電極片31の並び方向は、x軸方向に沿い、複数の第2電極片32の並び方向は、y軸方向に沿う。そして、第1電極片31の長手方向は、y軸方向に沿い、第2電極片32の長手方向は、x軸方向に沿う。図2Bに示すように、第1電極片31と第2電極片32は互いに離間しており、両者の間にある基材8が絶縁層としての機能を発揮しているので、基材8の平面視上、第1電極片31と第2電極片32が交差しても、第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bの相互の絶縁性は保たれる。
【0021】
なお、第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bの形成パターンは、上記図1,2の例に限定されず、電極素片と連結材を有して図4A、図4Bに示すようなパターンで形成されてもよい。図4A、図4Bの例の場合、第1の透明電極層9aを形成する第1電極片31は、複数の電極素片33を互いに間隔をあけて一列に並べられて形成される。電極素片33は、ひし形の電極素片33aと、三角形状の電極素片33bとで構成され、電極素片33bは、ひし形の電極素片33aを1つの対角線に沿って切断してなる三角形状の形状を呈しており、第1電極片31の長手方向両端に頂角を内側に向けて配置される。ひし形の電極素片33aは、第1電極片31の長手方向両端にある電極素片33bの間に配置される。ひし形の電極素片33aは、その対角線の1つが第1電極片31の長手方向の向きに揃えられるように配置される。第2の透明電極層を形成する第2電極片32は、複数の電極素片34を互いに間隔をあけて一列に並べられて形成される(図4B)。電極素片34は、ひし形の電極素片34aと、三角形状の電極素片34bとで構成され、電極素片34bは、ひし形の電極素片34aの1つの対角線に沿って切断してなる三角形状の形状を呈しており、第2電極片32の長手方向両端に頂角を内側に向けて配置される。ひし形の電極素片34aは、第2電極片32の長手方向両端にある電極素片34bの間に配置される。ひし形の電極素片34aは、その対角線の1つが第1電極片31の長手方向の向きに揃えられるように配置される。個々の第1電極片31、個々の第2電極片32において、隣り合う電極素片33同士、隣り合う電極素片34同士は、それぞれ導電性材料からなる連結材35,36で電気的に接続される。
【0022】
なお、図1や図4A,Bでは、透明電極層9として第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bが形成され、基材8の表裏それぞれに分かれて形成されているが、透明電極層9の構成はこれに限定されない。図5に示すように、透明電極層9は、基材8の一方の面に第1の透明電極層9aに対応する層構造である第1電極形成部90と第2の透明電極層9bに対応する層構造である第2電極形成部91の両方をまとめて形成してなる層であってもよい。図5に示す例の場合、第1電極形成部90,第2電極形成部91は、それぞれ第1電極片92,第2電極片93から構成され、第1電極片92,第2電極片93は、それぞれ一列に並ぶ複数の電極素片94,95を連結材96,97で連結して形成される。タッチパネル部材2の平面視上、電極素片94,95は互いに隙間を空けて配置されるのに対して、連結材96,97は互いに交差することになるが、一方の連結材96(97)に対して他方の連結材97(96)をまたぐようにこれらの連結材96,97が設けられることで、連結材96,97が互いに交差しても連結材96,97同士が離れて両者の接触が防止されるようになる。このような構成は、連結材96,97の間に絶縁層(図示しない)を介在させることで実現できる。
【0023】
(取出電極部10)
取出電極部10は、透明電極層9に対して電気的に接続されて配設される。図1、2の例では、第1の透明電極層9aに接続される取出電極部10a、第2の透明電極層9bに接続される取出電極部10bが形成される。ただし、図1、図3、および図10では、図2AのA−A線の位置での断面に対応する断面が図示される都合上、取出電極部10a、10bのうち取出電極部10bのみが記載される。
【0024】
図2A、図2Bに示すように、取出電極部10は、金属配線13が基材8の上に所定パターンで配設されることで設けられる。このとき、金属配線13は、透明電極層9に対して電気的に接続されて配設される。金属配線13は、タッチパネル部材2の平面視上、透明電極層9の端縁位置、図2の例では、それぞれの電極片31、32の長手方向端縁位置から、位置検出用エリアRの外側に向かって延びるように基材8面上に形成され、透明電極層9の形成パターンに応じて適宜のパターンで配設される。
【0025】
金属配線13を構成する材料としては、細線化が容易である点と低抵抗化が容易である点から、イオン化可能な金属元素が含有される物質が好ましく用いられ、すなわち金属物質が好ましく用いられる。金属配線13を構成する金属物質としては、金属単体や、金属の複合体や、金属と金属化合物の複合体のほか、金属合金を挙げることができる。金属単体としては、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウムの単体などを例示することができる。金属の複合体としては、MAM(Mo−Al−Mo、すなわちモリブデン・アルミニウム・モリブデンの3層構造体)などを挙げることができ、金属と金属化合物の複合体としては、酸化クロム/クロム積層体などを例示することができる。金属合金としては、銀合金や銅合金が汎用される。また、金属合金としては、APC(Au・Pd・Cu、すなわち銀・パラジウム・銅)などを例示することができる。
【0026】
タッチパネル部材2に金属配線13が設けられていると、透明電極層9から金属配線13を通じてタッチパネル部材2の外部へと電圧や電流などの電気的情報を効率的に伝えることが容易となる。
【0027】
取出電極部10は、透明電極層9に金属配線13を直接に接続して構成されてもよいし、図2,4に示すように、透明電極層9に一体的に形成される接続部16を備えて、接続部16を介して金属配線13を透明電極層9に接続して構成されてもよい。接続部16は、透明電極層9を構成する導電材料を用い、透明電極層9の端部から位置検出用エリアRの外側に導電性材料の層を延設して形成される。その接続部16上に金属配線13の少なくとも一部が重ねられる。このように取出電極部10が金属配線13と接続部16とを備えて構成されることで、金属配線13と透明電極層9との接続を確実にしつつ、金属配線13が位置検出用エリアR内に入り込むことを効果的に規制することが可能となる。なお、接続部16を構成する導電性材料の層の形成パターンは、金属配線13の配置パターンに符合するパターンなど、金属配線13の配置パターンに対応したパターンであることが、接続部16上に金属配線13の全体を重ねることができて好ましい(図4A)。
【0028】
(粘着層11)
粘着層11は、図1、図2に示すように、透明電極層9よりも基材8から離れた位置側すなわち、基材8の厚さ方向にて内外方向を想定した場合に外側に配置されて、透明電極層9を覆っている。すなわち、タッチパネル部材2には、粘着層11として、粘着層11aと粘着層11bが形成され、図1に示すように、それぞれ第1の透明電極層9a、第2の透明電極層9bを覆っている。
【0029】
粘着層11は、透明電極層9を覆うように形成されておれば、例えば、基材8の端縁よりも内側の領域に形成されてもよく(図3D)、その大きさを限定されるものではなく、図1,2のように、取出電極部10を被覆するように形成されていてもよい。
【0030】
粘着層11は、光を透過可能なものを適宜選択されてよい。粘着層11を形成するための組成物としては、樹脂組成物を適宜選択可能であるが、樹脂組成物としては、具体的に、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル、エポキシ樹脂、天然ゴムなどを挙げることができる。樹脂組成物は、可視光(波長400nm以上700nm以下の光)の透過率に優れた粘着層11を形成可能な光透過性粘着剤である点で、アクリル酸アルキルを主成分とするものであることが好ましい。
【0031】
粘着層11については、少なくとも粘着層11b中に含まれる塩化物イオンの濃度が5μg/g以下である。ここに、粘着層11bは、後述するようにタッチパネル部材2において表示パネル3に対面する方の面側に形成される粘着層であり、この粘着層11bの上に反射防止層12が積層される。図2の例においては、粘着層11bは、タッチパネル部材2において、基材8の両面側に形成される粘着層11のうち、表示パネル3に近いほうの粘着層となっている。
【0032】
粘着層11に含まれる塩化物イオンの濃度(μg/g)とは、粘着層単位重量(g)あたりに含まれる塩化物イオンの重量(μg)を示す。塩化物イオンの濃度は、次のように特定される。
【0033】
(粘着層11中の塩化物イオン濃度の特定)
塩化物イオン濃度は、次のようなイオン抽出により特定される。すなわち、粘着層11を15cm(厚さ50um)切り出して試験片(Es1(g)(通常、約0.05mg程度))とする。この試験片を、温調装置(ポリフッ化エチレン繊維製のルツボ)に純水30mlと共に入れて試験液を調製し、温調装置を小型恒温試験器(楠本化成(株)製)に投入しイオン抽出を行う。イオン抽出は、温度121℃、24時間、圧力2atmの条件で実施される。その後、試験液をろ過し、DIONEX(株)製のイオンクロマトグラフ(IC20)を用いて、ろ液に含まれるイオン性不純物の測定を行う。これにより、ろ液に抽出された塩化物イオンの量(Es2(μg))が特定される。そして、この値Es2と、試験片の重量Es1と基づき、Es2/Es1により、塩化物イオンの濃度が特定される。
【0034】
後述するような反射防止層12をタッチパネル部材2に積層するには、反射防止層12を固定するために粘着層11の層が透明電極層9を被覆するように積層される。このとき、粘着層11の層は、通常、透明電極層9に繋がる取出電極部10をも覆うように積層される。そのため、取出電極部10と粘着層11とが接触する。ここで、取出電極部10は、既述のようにイオン化可能な金属元素が含まれる物質を用いて形成される。このため、反射防止層12をタッチパネル部材2に積層するときには、時間経過とともに取出電極部10を構成する金属物質がイオン化して粘着層11を構成する粘着剤中に溶出していく、いわゆるイオンマイグレーションの発生の虞がある。この点、粘着層11に含まれる塩化物イオン濃度が5μg/g以下であることで、上記のようなイオンマイグレーションの発生を効果的に抑制することができる。
【0035】
(反射防止層12)
反射防止層12は、透明電極層9上に形成される粘着層11bの表面に直接積層される。反射防止層12は、空気層4側に露出している。
【0036】
反射防止層12は、空気層4との界面(以下、「空気界面」とも言う。)側に、図6A,Bに示すように、多数の凸部14を設けて凹凸構造部15を形成している。この凹凸構造部15は、モスアイ構造をなしている部分であることが好ましい。反射防止層12は、樹脂材料を用いて形成される基材フィルム17の上に多数の凸部14を形成して凹凸構造部15を設けることで形成することができる。基材フィルム17を構成する樹脂材料としては、各種の透明樹脂を用いることができる。この樹脂材料としては、例えば、脂環式構造を有する樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられ、屈折率が1.5程度のものが好ましい。凹凸構造部15は、突起形成用樹脂材料を用いて形成可能である。突起形成用樹脂材料は、紫外線硬化型樹脂など、微細な凹凸構造の賦形工程を実施可能な樹脂材料を好ましく用いられる。また、突起形成用樹脂材料は、上記基材フィルム17と同じ屈折率を有するものが好ましく選択される。具体的に、突起形成用樹脂材料として基材フィルム17を構成する樹脂材料と同種のものが選択されれば、容易に起形成用樹脂材料と基材フィルム17を構成する樹脂材料とを同じ屈折率とすることができる。
【0037】
凹凸構造部15がモスアイ構造をなしている部分である場合、反射防止層12のモスアイ構造を構成する各凸部14は、高さ(H)および幅(W)の両方を可視光線の波長以下の所定寸法に形成されている。具体的には、HとWの値は、100nm以上400nm以下の範囲に形成されている。凸部14は、反射防止層12の空気界面側に、その反射防止層12で反射防止しようとする光の波長域の短波長よりも短い間隔で並べられて、モスアイ(Moth Eye)構造をなす凹凸構造部15を形成している。
【0038】
反射防止層12のモスアイ構造は、Ra、Rsmが次の数1に示す各式のいずれをも満たす範囲にあるような凹凸構造部15となっていることが好ましく、Ra、Rsmが下記数2に示す各式のいずれをも満たす範囲にあるような凹凸構造部15となっていることがさらに好ましい。ここに、Ra(μm)、Rsm(μm)は、それぞれJIS B 0601(2001)で定義される算術平均粗さ、輪郭曲線要素の平均長さである。これらの値は、モスアイ構造をなす凹凸構造部15の凹凸度合いを示す値である。
【0039】
【数1】

【0040】
【数2】

【0041】
また、反射防止層12のモスアイ構造は、隣り合う凸部14の間の間隔、すなわち凸部14の形成周期をΛ、凸部14の高さをHとした時、0.05μm<Λ<2.0μm、かつ0.05μm<H<5.0μmであり、かつ、アスペクト比(H/Λ)が、0.2<H/Λ<5.0を満たすことが好ましい。
【0042】
反射防止層12は、その片面に形成された凹凸構造部15において、図6A中で矢印P方向に、すなわち空気層4から反射防止層12を構成する基材フィルム17の内部に向かって、屈折率が、空気層4を構成する空気の屈折率である1程度から、徐々に基材フィルム17を構成する樹脂材料の屈折率である1.5程度へと変化するように形成されている。そのため見かけ上、反射防止層12では、空気層4から基材フィルム17までの間の部分で、屈折率を互いに異にする二層が接触する状態の形成が規制され、屈折率の不連続な界面の形成が規制されることとなり、界面反射の発生が効果的に抑えられることとなる。
【0043】
モスアイ構造は、その凹凸構造の状態が損なわれることにより反射防止層としての機能が著しく損なわれるとされる。たとえば反射防止層12の表面に指が触れた場合、指の皮脂がモスアイ構造の隣り合う凸部14,14の隙間に充填されることがあり、その部分で凸部間の空気が追い出され、屈折率が変化して、屈折率が大きくなり、反射防止層12としての機能が損なわれる。この点、本発明のタッチパネル付き表示装置1では、反射防止層12は空気層4側を向いており、その表示装置1の外面側に露出しない。したがって、反射防止層12の機能が損なわれる虞は著しく抑制されている。
【0044】
(反射防止層12の形成)
反射防止層12を形成するための積層体は、凹凸構造部15を形成した材料を製造する方法を適宜採用することで調製することができるが、凹凸構造部15がモスアイ構造をなしている部分である場合、具体的に次の第1の製造方法、第2の製造方法に示すような、従前より公知なモスアイフィルムの製造方法を適宜選択して調製することが可能である。
【0045】
(第1の製造方法)
モスアイフィルムの第1の製造方法について説明する。図7Aに示すように、まず、基材フィルム17を構成する樹脂材料からなる長尺な原反フィルム18を送出ロール19から送出方向を矢印Kの方向に送りだし、原反フィルム18の一方面上に、突起形成用樹脂材料を塗工して塗工膜20を形成する。図7Aおよび図7B中、符号25は突起形成用樹脂材料を塗工するためのコーターである。突起形成用樹脂材料には、紫外線硬化型樹脂であって光透過性を有する透明樹脂が用いられる。次に、塗工膜20を形成した原反フィルム18が、周面に多数の凹凸を有する賦形ロール21に通ぜられる。このとき、原反フィルム18は、その塗工膜20の形成面側を賦形ロール21の凹凸面に対面させることとなり、塗工膜20には、賦形ロール21の凹凸に対応する凹凸が形成され、さらに、図7A中、符号Qで示すように、原反フィルム18は、その塗工膜20の非形成面側からエネルギー線、この場合は紫外線を照射されて、突起形成用樹脂材料の露光が行なわれる。これにより、塗工膜20は、所定パターンの凹凸を賦形された状態で硬化される。ここで賦形ロール21に形成された凹凸のパターンは、モスアイ構造をなす凹凸構造部15のパターンに対応するパターンとなっており、塗工膜20に形成される凹凸構造の部分は、凹凸構造部15をなす構造部となる。これにより、原反フィルム18に凹凸構造部15をなす構造部を形成したモスアイ構造形成体41が形成される。このモスアイ構造形成体41を所定の形状に裁断してモスアイフィルムが形成される。このモスアイフィルムが粘着層11b上に積層されると、これが反射防止層12をなすことになる。なお、モスアイ構造を構成する凹凸構造は極めて破損しやすいことから、図7Aに示すように、原反フィルム18に凹凸構造部15を形成したモスアイ構造形成体41には、凹凸構造部15の表面側に凹凸構造保護用フィルム22がさらに積層されてもよい。
【0046】
(第2の製造方法)
モスアイフィルムの第2の製造方法について説明する。図7Bに示すように、まず、基材フィルム17を準備し、この基材フィルム17の一方面上に、突起形成用樹脂材料を塗工して塗工膜24を形成する。塗工膜24の形成は、コーター25などを適宜用いて実施される。突起形成用樹脂材料には、紫外線硬化型樹脂であって光透過性を有する透明樹脂が用いられる。その一方で、多数の凹凸を面上に有する平面形状の金型23を準備する。金型23に形成された凹凸のパターンは、モスアイ構造をなす凹凸構造部15のパターンに対応するパターンとなっている。金型23を用い、基材フィルム17の塗工膜24の形成面側に金型23の凹凸面を対面させつつ金型23を塗工膜24に押し当てる。このとき塗工膜24には、金型の凹凸に対応する凹凸が形成される。さらに、図7B中、符号Qに示すように、基材フィルム17は、その塗工膜24の非形成面側からエネルギー線、この場合は紫外線を照射されて、突起形成用樹脂材料の露光が行なわれる。これにより、塗工膜24は、凹凸構造部15のパターンを賦形された状態で硬化される。こうして、基材フィルム17上にモスアイ構造を有する凹凸構造部15を形成したモスアイフィルムが形成される。このモスアイフィルムが粘着層11b上に積層されると、これが反射防止層12をなすことになる。
【0047】
[透明電極層9と基材8の積層形態の他例]
タッチパネル部材2は、上記したような透明電極層9として第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bの両方を1つの基材8に積層したものに限定されず、図10A,Bに示すように、第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bがそれぞれ別々の基材8a、8bに積層されたものであってもよい。基板8aと基板8bが粘着層11cを介して互いに固定される。取出電極部10もそれぞれの基板8a、8bに形成される。なお、図10では、基板8bに形成される取出電極部10(10b)のみを表示している。このようなタッチパネル部材2においても、図2等の例と同様に、タッチパネル部材2の平面視上、第1の透明電極層9aを構成する第1電極片31と第2の透明電極層9bを構成する第2電極片32とは、交差する。基板8a、8bのうち空気層4側に近いほうに配置されるものは、透明電極層9の積層面側を、空気層4側を向けて配置されるとともに、透明電極層9の上に粘着層11bを直接積層され、さらに粘着層11bの上に反射防止層12を直接積層される。基板8a、8bのうち空気層4側から遠いほうに配置されるものは、透明電極層9の積層面側を、図10Aに示すようにタッチパネル部材2の外面側に向けて配置されてもよいし、図10Bに示すように空気層4側に向けて配置されてもよい。また、図10A,Bにおいて、基板8aと第1の透明電極層9aの積層体と、基板8bと第2の透明電極層9aの積層体の配置が入れ替えられてもよい。
【0048】
ただし、タッチパネル部材2の厚みをできるだけ薄く形成する点、界面数の増加を抑制する点では、上記したような透明電極層9として第1の透明電極層9aと第2の透明電極層9bの両方を1つの基材8に積層したものが好ましい。
【0049】
タッチパネル部材2には、上記したような基材8と透明電極層9の間に、次に示すような層構造が適宜設けられてもよい。
【0050】
(密着性向上層26)
タッチパネル部材2には、図3Aに示すように、密着性向上層26が基材8と透明電極層9の間に配設されてもよい。密着性向上層26は、タッチパネル部材2において透明電極層9の密着性を向上させる効果をもたらしうる。密着性向上層26としては、二酸化ケイ素(SiO)の膜などを挙げることができる。密着性向上層26として二酸化ケイ素の膜が用いられると、密着性向上層26を、透明電極層9のパターンを見えにくくするための不可視化層として機能させることができる。密着性向上層26の厚みは、適宜選択可能であるが、密着性向上層26に不可視化層としての機能を効果的に発揮させる観点では、15nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0051】
(アンダーコート層27)
タッチパネル部材2には、図3Bに示すように、アンダーコート層27が、基材8と透明電極層9の間に配設されてもよい。アンダーコート層27は、タッチパネル部材2に密着性向上層26を設ける場合には、基材8と密着性向上層26の間に配設される。ここで、PETフィルムなどの基材8には熱可塑性材料などが含まれていることがあるが、このような熱可塑性材料は、経時的に基材8から外部に染み出してくることがある(以下、「ブリードアウト」とも言う。)。この点、基材8上にアンダーコート層27が形成されていることで、ブリードアウトの発生を抑止することができる。アンダーコート層27としては、アクリル樹脂を挙げることができる。アンダーコート層27の厚みは適宜選択可能であるが1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0052】
密着性向上層26やアンダーコート層27は、基材8と第1の透明電極層9aの間と、基材8と第2の透明電極層9bの間の一方に設けられていればよく、また、図3A,図3Bに示すように、両方に設けられてもよい。
【0053】
(表面材28)
タッチパネル部材2には、図1、2に示すように、粘着層11(11a)の外側露出面上に、表面材28が取り付けられる。この表面材28としては、光透過可能な板材を適宜使用可能であり、具体的には、表面保護用フィルムやガラス材などを挙げることができる。表面材28は、偏光板などの所定の機能を備えるものであってもよい。
【0054】
表面保護用フィルムは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ノルボルネン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などの透明樹脂をシート状に成形することで得られる。このとき、透明樹脂の成形方法としては、公知の成形方法を選択可能であり、具体的に、溶融押し出し法、溶融延伸法、溶剤キャスト法、フュージョン法、ロール熱延伸法、一軸延伸法、二軸延伸法などの方法を用いることができる。また、表面材28がガラス材である場合には、特に強化ガラスであることが好ましい。
【0055】
表面材28は、厚みを限定されないが、0.3mm以上5.0mm以下であることが好ましい。
【0056】
[タッチパネル部材2に適用される位置検出方式]
上記のように構成されるタッチパネル部材2は、特に表面型静電容量方式、投影型静電容量方式などの静電容量方式の位置検出方式のタッチパネル用の部材として使用可能なものである。こうした位置検出方式を用いた位置検出は、位置検出を行なう公知の回路部材を取出電極部に電気的に接続して適宜実現可能である。
【0057】
タッチパネル部材2は、次に示すように製造することができる。
【0058】
[タッチパネル部材2の製造]
タッチパネル部材2の製造方法は、基材8上に透明電極層9と取出電極部10を形成する工程(以下、「電極形成工程」とも言う。)と、透明電極層9の上に粘着層11を形成する工程(以下、「粘着層形成工程」とも言う。)と、反射防止層12を積層する工程(以下、「反射防止層形成工程」とも言う。)とを備えてなる。
【0059】
(前処理)
基材8を準備する。電極形成工程の実施前に、必要に応じて、前処理として、基材8上には、アンダーコート層27や密着性向上層26を形成していてもよい。アンダーコート層27や密着性向上層26の形成には、公知の方法が適宜用いられてよい。
【0060】
(電極形成工程)
電極形成工程は、透明電極層9を形成する工程(以下、「透明電極層形成工程」とも言う。)と取出電極部10を形成する工程(以下、「取出電極形成工程」とも言う。)を備えて構成される。透明電極層形成工程と取出電極形成工程は、いずれが先に実施されてもよく、また同時に実施されてもよい。ここでは、透明電極層形成工程、取出電極形成工程の順に実施される場合を例として説明する。
【0061】
(透明電極層形成工程)
図8Aに示すように、第1導電膜60を、基材8の一方面29a上に一面形成し、第2導電膜61を、基材8の他方の面29b上に一面形成する。これは、例えば次のようにスパッタリングを用いて実現することができる。
【0062】
第1の透明電極層9aを構成する導電性材料Aと、第2の透明電極層9bを構成する導電性材料Bとを準備し、導電性材料Aを基材8の面29のうち一方面29a上に、導電性材料Bを基材8の他方面29b上に、それぞれスパッタリングする。これにより、一方面29a上に第1導電膜60、他方面29b上に第2導電膜61が一面形成される。そして、基材8の一方面と他方面にそれぞれ第1導電膜60、第2導電膜61を形成してなる積層体62が得られる。なお、導電性材料Aと導電性材料Bは、同種の材料あっても異種の材料であってもよい。
【0063】
積層体62を用い、第1導電膜60上および第2導電膜61上に、それぞれ感光性材料を塗工して感光性膜として第1感光性膜63、第2感光性膜64を形成する。これにより、図8Aに示すように、感光性膜付積層体65が得られる。感光性材料としては、フォトリソグラフィー法を実施する際に使用可能なポジ型レジスト材料、ネガ型レジスト材料などが、適宜選択されてよい。
【0064】
ここでは感光性材料がネガ型レジスト材料である場合を例として説明を続ける。フォトマスク66として、第1の透明電極層9aの形成パターンに対応した所定のパターンを有する第1フォトマスク66aと、第2の透明電極層9bの形成パターンに対応した所定のパターンを有する第2フォトマスク66bとを準備する。第1フォトマスク66a、第2フォトマスク66bは、それぞれ第1の透明電極層9a、第2の透明電極層9bの形成部分に対応する部分を光透過可能としてパターンを形成されている。図8Bに示すように、第1フォトマスク66aを感光性膜付積層体65の第1感光性膜63上の所定位置に配置し、第2フォトマスク66bを感光性膜付積層体65の第2感光性膜64上の所定位置に配置する。この状態で、図8B中、符号Lに示すように、フォトマスク66の外側位置から第1感光性膜63および第2感光性膜64に向かって、感光性膜付積層体65の両側に所定波長の光を照射し、第1感光性膜63および第2感光性膜64を同時に露光する露光処理を施す。照射光は、紫外線光など、感光性材料の特性に応じて適宜定められる。露光処理では、第1感光性膜63および第2感光性膜64のうち光が照射された部分は硬化部となる。露光処理の後、フォトマスク66を取り除き、第1感光性膜63および第2感光性膜64を現像する現像処理を施す。現像処理の際には、第1感光性膜63および第2感光性膜64うちの未硬化部分が取り除かれる。このように、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いることで、図8Cに示すように、第1感光性膜63および第2感光性膜64は、それぞれ第1の透明電極層9a、第2の透明電極層9bの形成パターンに応じてパターニングされる。この場合、感光性膜付積層体65は、第1導電膜60および第2導電膜61のうち、第1の透明電極層9aおよび第2の透明電極層9bの非形成部分に対応する部分が露出した状態となる。
【0065】
さらに、図8Dに示すように、第1感光性膜63および第2感光性膜64をパターニングされた感光性膜付積層体65にエッチングを施す。エッチングは、感光性膜付積層体65の両面について実施される。これにより、第1導電膜60のうち、第1感光性膜63で覆われていない露出した部分がエッチング除去され、第1導電膜60が、第1感光性膜63の形成パターンに応じてパターニングされることとなる。一方、第2導電膜61については、第2導電膜61のうち、第2感光性膜64で覆われていない露出した部分がエッチング除去され、第2導電膜61が、第2感光性膜64の形成パターンに応じてパターニングされることとなる。そして、エッチングの実施後、更に感光性膜付積層体65の感光性膜を剥離する剥離処理を施し、感光性膜付積層体65から第1感光性膜63および第2感光性膜64を除去する。剥離処理は、強アルカリ溶液や有機溶媒など公知の感光性樹脂の剥離液で感光性膜付積層体65を洗浄することなどといった公知方法を適宜用いることができる。こうして、図8Eに示すように、基材8の一方面上に、所定のパターンにてパターニングされた第1導電膜60が形成されて、第1の透明電極層9aをなし、基材8の他方面上には、所定のパターンにパターニングされた第2導電膜61が形成されて、第2の透明電極層9bをなし、積層体67が形成される。
【0066】
(取出電極形成工程)
この工程は、基材8の上に金属配線13をパターン形成して取出電極部10となす工程であり、透明電極層形成工程と同様の方法にて実施されうる。すなわち、積層体67を用いて、その上にスパッタリングにより金属配線13を構成する金属物質を一面ベタに塗工して、金属物質膜を形成する。その後、金属物質膜上に感光性材料を塗工して、塗工膜を形成し、フォトリソグラフィー法により塗工膜をパターニングする。すなわち、塗工膜の上に所定パターンのフォトマスクを配置し、フォトマスクを介して塗工膜に向けた露光を行ない、さらに塗工膜の現像を実施する。感光性材料が上記したネガ型レジスト材料である場合、金属配線13の非形成部分に対応する金属物質膜については露出され、金属配線13の形成部分に対応した金属物質膜の部分は塗工膜で被覆された状態となる。この状態で、金属物質膜の露出部分をエッチング除去する。エッチングの後、残った塗工膜が剥離処理にて取り除かれる。こうして、金属物質膜がパターニングされ、金属配線13がパターン形成される。フォトリソグラフィー法によれば、寸法が30μ以下程度という比較的に細かなパターンをパターニングすることも可能である。
【0067】
金属配線13の形成方法は、上記のようなフォトリソグラフィー法を用いた方法に限定されず、印刷法、特にスクリーン印刷法も有効に採用可能である。スクリーン印刷法は、一般的に、露光処理や現像処理が不要であるうえフォトマスクの準備が不要であり、低コストで金属配線を形成することが可能な方法である。また、印刷法は、現像処理を不要とすることができる方法であることから、現像処理に使用した現像液の処理を不要とすることができる方法であり、環境面からの利点が大きい方法である。
【0068】
(粘着層形成工程)
粘着層形成工程では、第1の透明電極層9a、第2の透明電極層9b上にそれぞれ粘着層11a、粘着層11bを形成する。これは、例えば次のように実現できる。粘着層11aをなすことになる粘着剤層を剥離性のフィルム材上に形成して粘着剤層を露出させている第1粘着フィルムを準備する。ついで、その第1粘着フィルムを、粘着層11aをなすことになる粘着剤層の露出面側を第1の透明電極層に対面させて貼り合わせ、フィルム材を粘着剤層から剥離して取り除く。また、粘着層11bをなすことになる粘着剤層を剥離性のフィルム材上に形成して粘着剤層を露出させている第2粘着フィルムを準備する。ついで、その第2粘着フィルムを、粘着層11bをなすことになる粘着剤層の露出面側を第2の透明電極層に対面させて貼り合わせ、フィルム材を粘着剤層から剥離して取り除く。このとき、第1の透明電極層、第2の透明電極層上に積層された粘着剤層は、それぞれ粘着層11a、粘着層11bをなす。
【0069】
(反射防止層形成工程)
上記の第1の製造方法や第2の製造方法などを適宜用いて片面に凹凸構造部15をなす凹凸構造を形成したモスアイフィルムを調製する。粘着層11bの表面上に、モスアイフィルムを貼り付けることで、モスアイフィルムが反射防止層12をなす。こうして粘着層11bに反射防止層12が積層される。なお、モスアイフィルムは、その凹凸構造の非形成面側を粘着層11bに向かい合わせて貼り付けられる。
【0070】
(後処理)
粘着層11a上に表面材28を貼り付ける工程が実施される。
【0071】
[表示パネル3]
表示パネル3は、表示モジュール50を少なくとも含むものである。表示パネル3としては、従前より公知な液晶ディスプレイ用の液晶パネルや、有機ELディスプレイ用のELパネルなど、視覚情報を表示可能な表示パネルを適宜用いることができる。
【0072】
表示モジュール50は、表示面50aを有し、その表示面50aに画像などの視覚情報を表示させる表示機構を備えて構成される。表示モジュール50としては、具体的に、従前より公知な液晶パネルを構成する液晶表示用モジュールや、有機ELパネルを構成する有機EL表示用モジュールなどを挙げることができる。表示面50aとしては、例えば、従前より公知な液晶パネルや有機ELパネルなどの表示画面をなす領域を挙げることができる。
【0073】
[タッチパネル付き表示装置1]
タッチパネル付き表示装置1は、タッチパネル部材2と表示パネル3とをハウジング5に収容して構成される。ハウジング5には、タッチパネル部材2と表示パネル3を収容可能な形状に形成されたタッチパネル収容部6と表示パネル収容部7とが形成されている。このとき、図1、9に示すように、タッチパネル部材2は、反射防止層12の積層面側を、表示パネル3の表示面50aに対向させて間隔をあけて配置され、タッチパネル部材と表示パネルとの隙間の空間部分として空気層4が形成される。なお、ハウジング5には、樹脂製や金属製など特に限定されず、タッチパネル部材2と表示パネル3を収容可能な形状に形成されたものを適宜用いることができる。
【0074】
図1に示すように、タッチパネル部材2は、空気層4側に反射防止層12を露出させているが、反射防止層12は、表示パネル3の表示面50aから間隔Dの距離だけ離間している。この間隔Dは、次に示す圧力負荷試験で反射防止層12と表示パネル3の表示面50aとが離間した状態が維持されるような大きさであることが好ましく、具体的には、1.9mm以上2.2mm以下が好ましい。間隔Dが1.9mm未満であれば、モスアイ構造が破壊されるという問題が生じる虞があり、間隔Dが2.2mmを超えると表示面50aの位置がタッチパネル部材から離れすぎて反射防止層12と表示パネル3の表示面50aとの間隔が空きすぎることとなり、斜めからの観察時にタッチパネルの入力面と表示面50aの情報に視差が発生し、タッチパネルにより所望する入力動作が正確に出来なくなる虞がある。また、タッチパネル付き表示装置全体を薄型に構成する観点からも、モスアイ構造が表示パネルに接触しない範囲で、タッチパネル部材2と表示パネル3を近づけることが好ましい。
【0075】
(圧力負荷試験)
圧力負荷試験は、タッチパネル付き表示装置1のタッチパネル部材2の中心に、5mmφの圧子を用いて2kgの荷重を印加し、反射防止層12が表示パネル3の表示面50aから離間している状態が維持されているかを測定する試験である。
【0076】
[タッチパネル付き表示装置1の組み立て]
上記のように調製されたタッチパネル部材2と、表示パネル3と、これらを収容するためのハウジング5を準備する。
【0077】
表示パネル3はハウジング5の表示パネル収容部7に収められ、タッチパネル部材2はタッチパネル収容部6に収められる。このとき、タッチパネル部材2は、反射防止層12の積層面側を、表示パネル3の表示面50aに対向配置される。すなわち、図1、9の例では、タッチパネル部材2は、その一方の粘着層11bに直接積層された反射防止層12を表示パネル3の表示面50aに向かい合わせにして表示面50a上に配置され、表示面50a上の所定位置に貼り付けられる。図1,9では、タッチパネル部材2の位置検出用エリアRが表示面50aの真上に位置するように位置あわせされる。また、タッチパネル部材2の他方側の粘着層11aに貼り付けられた表面材28が外側を向く。こうして、タッチパネル付き表示装置1が形成される。
【0078】
なお、ここでは、タッチパネル付き表示装置1におけるタッチパネル部材2の配置は、粘着層11bの積層面側を表示面50aに向けられ、粘着層11aの積層面側をタッチパネル付き表示装置1の外側に向けられるような配置であったが、これに限定されない。タッチパネル部材2は、図3Cに示すように、粘着層11aに対して反射防止層12が直接積層され、粘着層11bに表面材28を貼り付けられているものであってもよく、この場合には、タッチパネル付き表示装置1におけるタッチパネル部材2の配置は、粘着層11aに直接積層された反射防止層12を表示面50a側に向け、粘着層11bの積層面側をタッチパネル付き表示装置1の外側に向けるような配置となる。
【0079】
タッチパネル付き表示装置1においては、タッチパネル部材2に、空気層4との界面側に、反射防止層12を積層しており、表示パネル3の表示面からタッチパネル部材の外側に向かう光のうちタッチパネル部材2と空気層4との界面で反射する光量を抑制し、効率的に外部に光を取り出すことができる。また、反射防止層12は、透明電極層に直接積層された粘着層11に対して保護層などの他の層を介することなく直接積層されるので、保護層などの他の層と反射防止層12との間で新たな界面が生じて、そこで新たな界面反射を生じる虞も抑制することができる。また、タッチパネル付き表示装置1においては、反射防止層12が透明電極層9を覆うので、反射防止層12自体に透明電極層9の保護機能を担わせることができる。
【0080】
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。実施例では、反射防止層12の凹凸構造部15がモスアイ構造をなしている場合を例として説明する。
【実施例】
【0081】
(モスアイフィルムの調製)
モスアイフィルムの製造方法としては、上記の第2の製造方法を用いた。
【0082】
モスアイフィルム用の基材フィルムとして厚さ100μmのPETフィルム(東レ製、ルミラーT60)を準備した。次に、紫外線硬化樹脂(ペンタエリスリトールトリアクリレート)と光重合開始剤としてのイルガキュア907を1重量%添加して突起形成用樹脂材料を調製した。突起形成用樹脂材料を、スリットコート法により1.5μm厚で基材フィルム上に製膜して塗工膜を得た。次に、一方面にモスアイ構造に対応した凹凸パターンを形成した金型で構成されるスタンパーを準備し、塗工膜にスタンパーの凹凸パターンの形成面を押し当てつつ、基材フィルムの裏面側から波長365nm、エネルギー量3600mJ/mで紫外線を照射し、露光処理を施した。露光処理により、塗工膜が凹凸パターンを形成した状態で硬化し、基材フィルムの一方面上にモスアイ構造をなす凹凸構造部を形成した積層体が得られた。なお、凹凸構造部の凹凸は、JIS B 0601(2001)で定義される輪郭曲線の算術平均高さ(Ra)が0.15μm、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が約0.25μmであり、照明反射率が0.1%であった。なお、照明反射率は、凹凸構造部を形成した積層体のモスアイ構造側の面に入射した光の反射率であり、分光光度計(紫外可視赤外光光度計V−550、日本分光社製)を用いて入射角5°で測定された値である。
【0083】
(基材)
タッチパネル部材用の基材として、縦50mm×横75mm、厚さ150μmの矩形のPETフィルム(東レ製、ルミラーT60)を準備した。
【0084】
(アンダーコート層)
アクリレート化合物(4官能アクリレート)(東亞合成株式会社製、アロニックスM405)100重量部、イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5重量部、をイソブチルアルコールに溶解させた液(以下、「アンダーコート層形成液」とも言う。)を準備した。アンダーコート層形成液をバーコート法(K303マルチコーター(松尾産業株式会社製))によりタッチパネル部材用の基材の一方面上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜に波長365nm、照射エネルギー300mJ/mで紫外線を照射して、塗布膜を硬化させることにより、厚さ1μmのアンダーコート層が形成された。アンダーコート層は、タッチパネル部材用の基材フィルムの片面側に塗工形成された後、反対面側についても同様にして形成された。
【0085】
(密着性向上層)
タッチパネル部材用の基材の両面にアンダーコート層を形成した積層体を用い、その積層体の両面に二酸化ケイ素(SiO)をスパッタリング(小型スパッタ装置(株式会社アルバック製))して二酸化ケイ素膜を形成し、これを密着性向上層となした。二酸化ケイ素膜からなる密着性向上層は、積層体の両面いずれの面に形成されているものについても、膜厚みが30nmの層であった。
【0086】
(透明電極層と取出電極部)
上記で得られた密着性向上層を積層した積層体(以下、「密着性向上層付積層体」とも言う。)を用い、密着性向上層付積層体に更に透明電極層と取出電極部を形成した。透明電極層を形成するための導電性材料としては、ITOが準備され、取出電極部は、金属配線と接続部とを備えるものとした。金属配線を形成するための金属物質としては、APCが準備された。なお、透明電極層と金属配線のパターニングの際に、接続部のパターン形成があわせて実施された。
【0087】
<導電膜と金属物質膜の形成>
密着性向上層付積層体の両面に形成されたそれぞれの密着性向上層の上に、導電性材料の膜を形成することで導電膜として第1導電膜と第2導電膜を形成し、さらに、第1導電膜、第2導電膜のそれぞれの上に金属物質の膜を形成することで金属物質膜を形成した。第1導電膜の厚さ、第2導電膜の厚さは、いずれも30nmであった。また、第1導電膜、第2導電膜のそれぞれの上に形成された金属物質膜については、いずれも膜厚が100nmであった。導電膜と金属物質膜の膜厚は、タッチパネル部材の金属配線に接続されてタッチ位置を検出するための演算を行なう駆動回路の内容などの設計仕様といった諸条件に基づき、予め定められる。
【0088】
<導電膜と金属物質膜のパターニング>
感光性材料としてポジ型レジスト材料(AZマテリアルズ社製)を準備した。密着性向上層付積層体の両面側に形成されたそれぞれの金属物質膜の上にポジ型レジスト材料を塗布して厚さ1.0μmで感光性膜を形成し、感光性膜付積層体を得た。ポジ型レジスト材料の塗布は、カーテンコート法(カーテンコーター(株式会社セリテック製))により実施された。
【0089】
(第1パターニング)
第1の透明電極層の形成パターンと第1の透明電極層に接続される金属配線の形成パターンの両方をあわせたパターンに対応した所定のパターンを有する第1フォトマスクを準備した。さらに、第2の透明電極層の形成パターンと第2の透明電極層に接続される金属配線の形成パターンの両方をあわせたパターンに対応した所定のパターンを有する第2フォトマスクを準備した。第1フォトマスクは、第1の透明電極層の非形成部分と第1の透明電極層に接続される金属配線の非形成部分に対応した部分を光透過可能に構成している。第2フォトマスクは、第2の透明電極層の非形成部分と第2の透明電極層に接続される金属配線の非形成部分に対応した部分を光透過可能に構成している。
【0090】
透明電極層の形成パターンと金属配線の形成パターンについては、図4(A)(B)に示すパターンを選択した。なお、接続部のパターンは、図4(A)に示すような金属配線の形成パターンに対応するパターンとし、接続部と金属配線とが全体に重なり合うような構成とした。
【0091】
なお、第1フォトマスク、第2フォトマスクには、それぞれ感光性膜付積層体との位置関係を指定するアライメントマークが設けられているものを用いた。
【0092】
次に、第1フォトマスクと第2フォトマスクを、間隔をあけて配置するとともに、第1フォトマスクと第2フォトマスクの間に、感光性膜付積層体を、第1フォトマスクと第2フォトマスクの両方のアライメントマークに対して位置あわせしつつ挟み込んだ。第1フォトマスクと第2フォトマスクの外側から感光性膜付積層体の両面に向かって波長365nm、照射エネルギー70mJ/mで紫外線を照射し、露光処理を施した。露光処理の後、感光性膜付積層体を現像液(水酸化カリウム(KOH)水溶液)に浸して、感光性膜付積層体の両面について同時にポジ型レジスト材料の現像処理を施した。このとき、感光性膜のうち、第1の透明電極層の形成部分と第1の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分とが、感光性膜付積層体の一方面側に残り、第2の透明電極層の形成部分と第2の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が、感光性膜付積層体の他方面側に残る。
【0093】
(第1エッチング)
現像処理を施して得られた感光性膜付積層体を用い、感光性膜付積層体の金属物質膜および導電膜の両層についてエッチングした。エッチングは、感光性膜付積層体の両面に形成された金属物質膜および導電膜について施された。エッチング液には、塩化鉄溶液を用いた。これにより、金属物質膜および導電膜のうち、第1の透明電極層の形成部分と第1の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分とが、感光性膜付積層体の一方面側に残り、第2の透明電極層の形成部分と第2の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が、感光性膜付積層体の他方面側に残る。
【0094】
(第2パターニング)
次に、第1の透明電極層の形成パターンに対応した所定のパターンを有する第3フォトマスクを準備した。さらに、第2の透明電極層の形成パターンに対応した所定のパターンを有する第4フォトマスクを準備した。第3フォトマスクは、第1の透明電極層の形成部分を光透過可能に構成している。第4フォトマスクは、第2の透明電極層の形成部分を光透過可能に構成している。なお、第3フォトマスク、第4フォトマスクには、それぞれ感光性膜付積層体との位置関係を指定するアライメントマークが設けられている。
【0095】
第1フォトマスクと第2フォトマスクにかえて、それぞれ第3フォトマスクと第4フォトマスクを用いたほかは第1パターニングと同様に露光処理と現像処理を実施した。このとき、感光性膜のうち、第1の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が、感光性膜付積層体の一方面側に残り、第2の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が、感光性膜付積層体の他方面側に残る。
【0096】
(第2エッチング)
第2パターニングを施して得られた感光性膜付積層体を用い、感光性膜付積層体の両面の金属物質膜についてエッチングした。エッチング液には、燐酸、硝酸、酢酸、水を4:1:4:4の割合で混合してなる燐硝酢酸液を用いた。これにより、金属物質膜のうち、第1の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が、感光性膜付積層体の一方面側に残り、第2の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が、感光性膜付積層体の他方面側に残る。第1導電膜は、このエッチングにより第1の透明電極層の形成部分が露出して第1の透明電極層をなし、第2導電膜は、第2の透明電極層の形成部分が露出して第2の透明電極層をなす。導電膜のうち、第1の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分、および、第2の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分は、いずれも透明電極層から延設された部分であり、且つ、金属物質膜で覆われた部分となっており、金属配線と透明電極層との接続部を形成する。
【0097】
第2エッチングの後、感光性膜を、NaOHを用いて剥離し、金属物質膜のうち、第1の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分、第2の透明電極層に接続される金属配線の形成部分に対応した部分が露出し、これらの部分が金属配線をなす。
【0098】
こうして、基板フィルムの両面に、アンダーコート層、密着性向上層を形成し、その上に、透明電極層と金属配線を形成してなる積層体(以下、「透明電極層付積層体」とも言う。)が得られた。
【0099】
実施例1.
[タッチパネル部材]
透明電極層付積層体を用い、これに粘着層と反射防止層および表面材を積層し、タッチパネル部材を調製した。
【0100】
(粘着層)
剥離紙に粘着剤の層を積層してなる両面粘着テープ(日栄化工製MHM(粘着剤の層の厚さは、50μm)を準備した。両面粘着テープに形成されている粘着剤の層が透明電極層付積層体に積層される粘着層をなすことになる。透明電極層付積層体の両面に形成されている透明電極層の両方について、透明電極層を被覆するように両面粘着テープの粘着剤の層が貼り付けられて、粘着剤の層が積層され、粘着層となした。なお、粘着剤の層は、透明電極層のみならず取出電極部をも覆うように積層された。
【0101】
(粘着層に含まれる塩化物イオンの濃度)
粘着層に含まれる塩化物イオンの濃度は、両面粘着テープに形成されている粘着剤の層に含まれる塩化物イオンの濃度として次のように特定された。表1に示すとおり、塩化物イオンの濃度は、4.6μg/gであった。
【0102】
なお、塩化物イオンの濃度は、既述の塩化物イオン濃度の特定方法と同様のイオン抽出によって測定された。すなわち、粘着層を15cm切り出し(厚さ50μm、約0.05mg)、これを温調装置(ポリフッ化エチレン繊維製のルツボ)に純水30mlと共に入れて試験液となし、小型恒温試験器(楠本化成(株)製)に投入し、試験液についてイオン抽出(条件;温度121℃、抽出時間24時間、圧力2atm)を行った。その後、試験液をろ過し、ろ液について、DIONEX(株)製のイオンクロマトグラフ(IC20)を用いてイオン性不純物の測定を行った。
【0103】
(反射防止層)
反射防止層は、上記で調製されたモスアイフィルムの粘着層への貼り付けによって積層される。モスアイフィルムを、透明電極層付積層体の両面に形成されている透明電極層に積層された粘着層のうち、第2の透明電極層上に積層された粘着層に対して貼り付ける。このとき、モスアイフィルムは、凹凸構造部を表側に向けて、凹凸構造部の非形成面側を粘着層に向かい合わせて、粘着層上に直接貼り合わせられた。
【0104】
(表面材)
表面材としては、厚さ0.5mmのガラス材(コーニング社製、ゴリラガラス)が準備された。このガラス材は、粘着層のうち、モスアイフィルムを積層しなかったほうの粘着層に対して貼り付けられた。こうして、タッチパネル部材を得た。
【0105】
タッチパネル部材を用いてイオンマイグレーション抑制確認試験を行なった。また、この試験に引き続いてデンドライトの有無確認試験を行った。
【0106】
(イオンマイグレーション抑制確認試験)
タッチパネル部材を、楠本化成株式会社製の絶縁劣化評価システムSIR−12に接続し、電圧を印加した状態で恒温恒湿槽(恒温恒湿試験機楠本化成(株)品ETAC事業部HIFLEX FH14PH)に投入した。この際、恒温恒湿槽は、温度60℃、相対湿度90%RHとした。タッチパネル部材には、基材の両面のうち反射防止層の積層面側上に形成された透明電極層において、互いに隣接する電極片間に電位差(3.3V)が発生するように直流電流が印加された。すなわち、互いに隣接する電極片に対して、一方端位置の電極片から、それぞれ0V、3.3V、0V、3.3V・・・の順に、交互に直流電圧が印加された。この状態で、タッチパネル部材を240時間放置し、上記絶縁劣化評価システムで電極片間の絶縁抵抗値をモニタリングした。イオンマイグレーションが生じれば、電極片間の絶縁抵抗値が下がるため、このモニタリングにより、イオンマイグレーションの発生を確認することができる。なお、モニタリングのパターンは、原則、毎秒1回ずつ絶縁抵抗値を測定し、絶縁抵抗値が1.0×10(Ω)(閾値)を下回ると、200mm秒ごとに1回ずつ絶縁抵抗値を測定するようなパターンとなっている。このとき、絶縁抵抗値が1.0×10(Ω)を下回った値として測定された場合に、イオンマイグレーションが1回発生したと判定される。この発生回数は、積算記録される。したがって、絶縁抵抗値の値が大きく下がってしまう場合と、モニタリングによってイオンマイグレーションの発生があったと判定されたとして積算記録がなされた回数(カウント数)が多い場合には、イオンマイグレーションが大きく生じていることになる。上記モニタリングが実施されている間、絶縁抵抗値の値がどのような値であったかについて、結果を表1に示す。
【0107】
(デンドライトの有無確認試験)
デンドライトの有無の確認は、タッチパネル部材の金属配線の部分について光学顕微鏡で観察(倍率20倍)することにより、実施された。デンドライトの有無確認の結果を表1に示す。なお、デンドライトとは、金属配線に生じる樹枝状の突起物を示す。
【0108】
タッチパネル部材の良否について、イオンマイグレーション抑制確認試験とデンドライトの有無確認試験の結果に基づき、次のような評価基準で評価した。
【0109】
(タッチパネル部材の良否の評価基準)
イオンマイグレーション抑制確認試験において、下記(基準1)または(基準2)のいずれか一方でも満たされてしまった場合は、タッチパネル部材は「不良」と評価される。下記(基準1)と(基準2)のいずれも満たさない場合は、タッチパネル部材は「良好」と評価される。
【0110】
(基準1) 絶縁抵抗値が閾値1.0×10Ωを下回ることでイオンマイグレーションが発生したと判定されたとして積算記録された回数(カウント数)が、200回以上となる。
(基準2) 絶縁抵抗値として1.0×10Ω以下の値が計測される。
【0111】
実施例1のタッチパネル部材は、良好と評価された。
【0112】
得られたタッチパネル部材を用い、タッチパネル付き表示装置を組み立てた。
【0113】
[タッチパネル付き表示装置]
上記のタッチパネル部材と、ハウジングと、表示パネルを準備し、ハウジングに表示パネルを収容するとともに、間隔をあけてタッチパネル部材を収容した。ハウジングには、樹脂製の成型品が用いられ、表示パネルとタッチパネル部材の隙間間隔が2mmとなるように、表示パネル収容部とタッチパネル収容部の位置を調整されたものを用いた。表示パネルとしては、液晶パネルが選択された。表示パネルとタッチパネル部材の間に形成された空間が、空気層をなす。こうして、タッチパネル付き表示装置が得られた。
【0114】
なお、液晶パネルとしては、液晶分子が平面内でスイッチングする、いわゆる横電界方式(In Plane Switching方式;IPS方式)の液晶ディスプレイを採用した。IPS方式の液晶ディスプレイは視野角度が広く、階調による色変化が少ないといった特徴を有し、タッチパネルと好適に組み合わせることができる。
【0115】
タッチパネル付き表示装置を用いて、次のように正面輝度の測定試験、圧力負荷試験を行なった。
【0116】
(正面輝度の測定試験)
タッチパネル付き表示装置を暗室環境下で全面白表示させ、そのときの正面輝度を分光放射輝度計(トプコン社製;SR−UL1)により測定した。結果、正面輝度は382cd/mであった(表1)。
【0117】
(圧力負荷試験)
圧力負荷試験は、タッチパネル付き表示装置のタッチパネル部材の中心部に、5mmφの圧子を用いて2kgの荷重を印加し、反射防止層と表示パネルとの接触の有無を確認した。反射防止層と表示パネルとが接触することなく、空隙が保持されていた。空隙が保持されている場合には、タッチパネル付き表示装置の品質は「○」(良好)であると評価し、空隙が保持されていない場合には、タッチパネル付き表示装置の品質は「×」(不良)であると評価した。結果を表1に示す。なお、タッチパネル部材の中心部としては、タッチパネル部材を平面視した場合における、矩形のタッチパネル部材の対角線の交点の部分とした。
【0118】
なお、ハウジングとして、表示パネルとタッチパネル部材の隙間間隔が1.8mmとなるように、表示パネル収容部とタッチパネル収容部の位置を調整されたものを用いて、タッチパネル付き表示装置を組み立てた場合、そのタッチパネル付き表示装置では、圧力負荷試験の際に、反射防止層と表示パネルとが接触し、反射防止層のモスアイ構造の一部が破壊されたことが確認された。
【0119】
実施例2.
粘着層を形成するための両面粘着テープとして、DIC製ZC7032W(粘着剤の層の厚さは、50μm)を用いたほかは、実施例1と同様にしてタッチパネル部材を調製し、粘着層に含まれる塩化物イオンの濃度を測定した。結果を表1に示す。また、このタッチパネル部材を用いて、イオンマイグレーション抑制確認試験、デンドライトの有無確認試験を行ない、さらに、実施例1と同様にしてタッチパネル付き表示装置を組み立て(表示パネルとタッチパネル部材の隙間間隔は2mm)、正面輝度の測定試験、圧力負荷試験を行なった。結果を表1に示す。また、タッチパネル部材の良否の評価について、実施例1と同様に行なったところ、良好と評価された。
【0120】
比較例1.
反射防止層に代えて厚さ100μmのPETフィルム(東レ製、ルミラーT60)を積層したほかは、実施例1と同様にしてタッチパネル部材を調製した。結果を表1に示す。また、このタッチパネル部材を用いて、イオンマイグレーション抑制確認試験、デンドライトの有無確認試験を行ない、さらに、実施例1と同様にしてタッチパネル付き表示装置を組み立て(表示パネルとタッチパネル部材の隙間間隔は2mm)、正面輝度の測定試験、圧力負荷試験を行なった。結果を表1に示す。
【0121】
比較例2.
透明電極層の上に粘着層付き保護フィルムを積層し、さらにその上に粘着層と反射防止層を設けたほかは、実施例1と同様にしてタッチパネル部材を調製した。なお、粘着層付き保護フィルムは、厚さ100μmのPETフィルム(東レ製、ルミラーT60)の一方面上に、両面粘着テープ(日栄化工製MHM(粘着剤の層の厚さは、50μm)の粘着剤の層をPETフィルム面に向けて貼り付け、剥離紙を取り除くことで形成される。そして、粘着層付き保護フィルムの粘着剤の層を透明電極層に対向させて貼りつけ、PETフィルムの露出面側に、粘着層を積層し、さらに反射防止層を設けることで、タッチパネル部材が形成される。
【0122】
このタッチパネル部材を用いて、イオンマイグレーション抑制確認試験、デンドライトの有無確認試験を行ない、さらに、このタッチパネル部材を用いて、実施例1と同様にしてタッチパネル付き表示装置を組み立て(表示パネルとタッチパネル部材の隙間間隔は2mm)、正面輝度の測定試験、圧力負荷試験を行なった。結果を表1に示す。
【0123】
参考例1.
粘着層を形成するための両面粘着テープとして、積水化学#5405(粘着剤の層の厚さは、50μm)を用いたほかは、実施例1と同様にしてタッチパネル部材を調製し、粘着層に含まれる塩化物イオンの濃度を測定した。また、このタッチパネル部材を用いて、イオンマイグレーション抑制確認試験、デンドライトの有無確認試験を行ない、さらに、実施例1と同様にしてタッチパネル付き表示装置を組み立て(表示パネルとタッチパネル部材の隙間間隔は2mm)、正面輝度の測定試験、圧力負荷試験を行なった。結果を表1に示す。表1にも示すとおり、参考例1のタッチパネル部材では、イオンマイグレーション抑制確認試験において、モニタリング開始から88時間経過後で絶縁抵抗値が1.4×10(Ω)に低下した。
【0124】
実施例1,2と比較例1,2との比較により、実施例1,2のタッチパネル付き表示装置では、比較例1,2のタッチパネル付き表示装置に比べて、正面輝度が高められており、光が効果的に取り出されていることが確認される。
【0125】
【表1】

【符号の説明】
【0126】
1 タッチパネル付き表示装置
2 タッチパネル部材
3 表示パネル
4 空気層
5 ハウジング
6 タッチパネル収容部
7 表示パネル収容部
8 基材
9,9a,9b 透明電極層
10 取出電極部
11,11a,11b 粘着層
12 反射防止層
13 金属配線
14 凸部
15 凹凸構造部
16 接続部
17 基材フィルム
18 原反フィルム
19 送出ロール
20 塗工膜
21 賦形ロール
22 凹凸構造保護用フィルム
23 金型
24 塗工膜
25 コーター
26 密着性向上層
27 アンダーコート層
28 表面材
29 基材の面
29a、29b 基材の一方の面、他方の面
31 第1電極片
32 第2電極片
33,34 電極素片
35,36 連結材
40 位置検出用エリア形成部
41 モスアイ構造形成体
50 表示モジュール
50a 表示面
60 第1導電膜
61 第2導電膜
62 積層体
63 第1感光性膜
64 第2感光性膜
65 感光性膜付積層体
66 フォトマスク
67 積層体
90 第1電極形成部
91 第2電極形成部
92 第1電極片
93 第2電極片
94,95 電極素片
96,97 連結材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基材を備えるとともに、少なくとも基材の片面側に透明電極層と該透明電極層に通電可能に配設された取出電極部とを有するタッチパネル部材と、表示面を有し該表示面に画像を表示させる表示モジュールを少なくとも含む表示パネルとが、空気層を介在して積層されてなるタッチパネル付き表示装置において、
前記タッチパネル部材は、前記透明電極層上に粘着層を設け、一方の面に凹凸構造を有する反射防止層を、該粘着層上に直接積層しており、且つ、前記反射防止層の凹凸構造を有する面側を、前記表示パネルの表示面に対向させて配置されている、ことを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【請求項2】
粘着層は、取出電極部を被覆して形成されており、
前記粘着層は、該粘着層中の塩化物イオンの濃度が5μg/g以下である、請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項3】
透明電極層は、互いに間隔を置いて配置される複数の第1電極片と、互いに間隔を置いて配置される複数の第2電極片と、を備えて形成され、
第1電極片と第2電極片は、互いに離間しており、且つ、タッチパネル部材の平面視上互いに交差しつつ、1つの基材上に配置されている、請求項1または2に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項4】
反射防止層は、表示パネルの表示面から離間している、請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネル付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138019(P2012−138019A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291165(P2010−291165)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】