説明

タッチパネル入力装置、及びタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法

【課題】ユーザが押圧したであろうボタンをより正確に特定することのできるタッチパネル入力装置、及びそのボタン特定方法を提供すること。
【解決手段】タッチパネル入力装置は、押圧されるボタンの順序候補を記憶する記憶手段と、ユーザにより押圧されたボタンの履歴と前記ボタンの順序候補とを参照することによって次に押圧が予測される次候補ボタンを一つ以上特定する次候補ボタン検索手段と、検出された押圧位置が、表示手段に表示されたボタンに対応する位置か否かを判別し、押圧位置がボタンに対応する位置でない場合には、押圧位置から各次候補ボタンの位置までの距離をそれぞれ算出する位置関係算出手段と、押圧位置が所定のボタンに対応する位置である場合にはそのボタンを押圧されたものとして特定し、そうでない場合には、位置関係算出手段によって算出された結果を比較して次候補ボタンの中からいずれか一つを押圧されたボタンとして特定するボタン特定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル入力装置、及びタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法に関し、特に、ユーザがタッチパネル上でボタン以外の場所を押圧した場合にユーザが押圧したであろうボタンを特定することが可能なタッチパネル入力装置とそのボタン特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム、携帯情報端末、オーディオプレーヤー装置、複合機、鉄道の切符売場等に設置される自動販売機、金融機関が設置する現金自動預払機は、タッチパネル入力装置を搭載している。
【0003】
タッチパネルは、種々の操作用のボタンを表示するディスプレイと、このディスプレイの表面を覆う透明な薄膜状の電極から構成される。ユーザがディスプレイに表示されたボタンを指で押圧すると、画面上に設けられた薄膜状の電極が押圧された位置座標を検出し、どのボタンが押圧されたのか判別される。
【0004】
これらのタッチパネル入力装置において、ディスプレイが小型になればなるほどディスプレイに表示されるボタンが小さくなり、ユーザにとってボタンが押圧しにくいため、大抵2回3回とボタンを押圧するのに失敗し、操作に時間がかかったりするという問題が生じる。特に、カーナビゲーションシステムの場合は、操作に時間がかかると自動車の運転に支障を来たし非常に危険が伴う場合がある。また、ボタンを爪の先や細い棒を使用したりして押圧することによって所定のボタンを押圧する場合もあるが、これによってタッチパネルが傷ついてしまい、操作不能になるという危険性もある。
【0005】
これらの問題を解決するため、ユーザがタッチパネルに表示されたボタンを押圧しようとしたにもかかわらず実際にはボタンが押圧されなかったようなときに、このボタンの押圧を救済して、ユーザが押圧したであろうボタンを特定する技術が開発されている。
【0006】
例えば、下記特許文献1(特開2003−067135号公報)には、ディスプレイ画面上に表示された複数の対象物の何れからも外れた位置のタッチパネルが接触された場合に、そこから最も近い座標にある対象物を選択された目標物であると認識し、もしくは過去の接触位置とその際に選択されたデータを基に、過去の傾向から選択される確率が最も高い対象物を選択された目標物であると認識するタッチパネル入力方法、タッチパネル入力装置を開示されている。
【0007】
これにより、タッチパネル上で曖昧な位置が接触された場合でも、最も近い位置、又は過去の傾向から判断して最も確立の高い位置のボタンを接触したものとして特定することができ、入力操作の効率を高めることができる。
【0008】
また、タッチパネル入力装置における入力操作の効率を高めるために、下記特許文献2(特許第3726907号公報)には、文字入力画面において目標名を入力する入力手段と、登録地点データを記憶する記憶手段と、入力手段において一字入力する度に、入力データを含む登録地点データの目標名を検索する検索手段を備えたナビゲーション装置が開示されており、入力手段で一字入力する毎に検索した目標名のリストを表示し、次に入力すべき文字を認識可能に表示し、その中から選択可能にすることで、使い勝手を格段に向上させることができる。
【特許文献1】特開2003−067135号公報(請求項1、3、段落[0011]、[0013])
【特許文献2】特許第3726907号公報(請求項1、段落[0006])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1のタッチパネル入力方法、タッチパネル入力装置においては、単にユーザが押圧した位置から最も近いボタンが特定されるため、必ずしもユーザが意図したボタンが特定されるとは限らず、適切な入力操作が行われない場合もある。
【0010】
また、上記特許文献2のナビゲーション装置では、入力した文字をもとに入力データを含む登録地点や目標名を検索してリストを表示し、ユーザがその中から選択することによって入力操作が簡単になるが、これはユーザが正確にボタンを押圧できなかった場合にユーザが押圧したであろうボタンを特定するものではない。
【0011】
したがって、本発明の目的は、タッチパネル入力装置のディスプレイに表示されたボタンをユーザが正確に押圧できなかった場合に、ユーザが押圧したであろうボタンをより正確に特定することができるタッチパネル入力装置、及びそのボタン特定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のタッチパネル入力装置は、
画面に複数のボタンを表示する表示手段と、該表示手段の前面に付設されたタッチパネルと、制御手段と、前記タッチパネルの押圧及び押圧位置の検出を行う押圧位置検出手段と、検出された前記押圧位置に基づいて特定のボタンが押圧されたことを決定するボタン特定手段と、を備えたタッチパネル入力装置において、
前記タッチパネル入力装置は、さらに、
押圧されるボタンの順序候補を記憶する記憶手段と、
押圧されたボタンの履歴と、前記記憶手段に記憶されているボタンの順序候補とを参照することによって次に押圧が予測される次候補ボタンを一以上検索する次候補ボタン検索手段と、
前記押圧位置検出手段によって検出された押圧位置が、前記表示手段に表示されたボタンに対応する位置か否かを判別し、前記押圧位置が前記ボタンに対応する位置でない場合には、前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離をそれぞれ算出する位置関係算出手段と、を備え、
前記ボタン特定手段は、前記押圧位置が所定のボタンに対応する位置である場合にはそのボタンを押圧されたものとして特定し、そうでない場合には、前記位置関係算出手段によって算出された結果を比較して前記次候補ボタンの中からいずれか一つを押圧されたボタンとして特定することを特徴とする。
【0013】
また、上記タッチパネル入力装置の発明において、前記ボタン特定手段は、前記位置関係算出手段によって算出された前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離を比較して、最も距離の短いものを押圧されたボタンとして特定することを特徴とする。
【0014】
また、上記タッチパネル入力装置の発明において、前記表示手段には、複数の文字入力ボタンが表示され、前記記憶手段に記憶されているボタンの順序候補は、名称又は地名であることを特徴とする。
【0015】
また、上記タッチパネル入力装置の発明において、前記表示手段には、オーディオプレーヤー用操作ボタンが表示されることを特徴とする。
【0016】
また、上記タッチパネル入力装置の発明において、前記タッチパネル入力装置は、ナビゲーション装置に設置されることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明のタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法は、
画面に複数のボタンを表示する表示手段と、前記表示手段の前面に付設されたタッチパネルと、制御手段と、押圧されるボタンの順序候補を記憶する記憶手段と、を備えたタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法であって、
(1)押圧されたボタンの履歴と、前記記憶手段に記憶されているボタン順序候補とを参照することによって次に押圧が予測される次候補ボタンを一つ以上特定し、
(2)タッチパネルが押圧されたことと押圧位置の検出を行い、
(3)前記押圧位置が前記表示手段に表示されたボタンに対応するか否かを判別し、
(4)前記(3)において前記押圧位置が前記ボタンに対応する位置の場合には、そのボタンが押圧されたものとして特定し、
(5)前記(3)において前記押圧位置が前記ボタンに対応する位置でない場合には、前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離をそれぞれ算出し、
(6)前記(5)において算出された結果を比較して前記各次候補ボタンの中からいずれか一つを押圧されたボタンとして特定することを特徴とする。
【0018】
また、上記タッチパネル入力装置におけるボタン特定方法の発明では、前記(6)において、前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離を比較して、最も距離の短いものを押圧されたボタンとして特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のタッチパネル入力装置によれば、下記に述べる優れた効果を奏する。すなわち、ユーザがタッチパネルに表示されたボタンを押圧した際に、押圧されたボタンの履歴と押圧されるボタンの順序候補とを参照して次に押圧が予測される次候補ボタンを一以上検索しおてき、ユーザがタッチパネルに表示されたボタンから外れた位置を押圧した場合でも、押圧位置から次候補ボタンまでの距離をそれぞれ算出して比較することによってユーザが押圧しようとしたであろうボタンを特定することができる。これにより、ユーザは何度もボタンを押圧しようとして時間を浪費することなく、適切なボタン操作を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、複数の次候補ボタンがある場合に、ユーザが押圧したタッチパネル上の位置から最も近い次候補ボタンを、ユーザが押圧しようとしたボタンであるとして特定することができる。これにより、ユーザの意図を反映させたボタンの特定を行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、タッチパネルには複数の文字入力ボタンが表示される。これは例えば五十音順に配列したボタンが表示されており、ユーザが文字ボタンを押圧して行く際に、ボタンから外れた位置が押圧された場合でも、ユーザが押圧しようとしたであろうボタンを、記憶手段に記憶された名称又は地名から特定することが可能となる。これにより、ユーザは名称又は地名の入力をより容易また正確に行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明の一態様によれば、タッチパネルにはオーディオプレーヤー用操作ボタンが表示される。これによりユーザはオーディオプレーヤー用操作ボタンの操作を容易また正確に行うことが可能となる。
【0023】
また、本発明の一態様によれば、ユーザがタッチパネルを操作する際に、表示されたボタンから外れた位置を押圧したときでも、ユーザが押圧しようとしたであろうボタンを特定することができ、これにより、ユーザは何度もボタンを押圧しようとして時間を浪費することなく、適切なボタン操作を行うことが可能なナビゲーション装置を提供できる。
【0024】
さらに、本発明のボタン特定方法によれば、押圧されたボタンの履歴と押圧されるボタンの順序候補とを参照して次に押圧が予測される次候補ボタンを一以上検索し、タッチパネルが押圧されたことと押圧位置の検出を行い、その押圧位置がボタンから外れている場合には、押圧位置から次候補ボタンの位置までの距離を算出して比較し、ユーザが押圧しようとしたであろうボタンを特定することができる。これにより、ユーザが何度もボタンを押圧しようとして時間を浪費することなく、適切なボタン操作を行うことが可能となるボタン特定方法を提供できる。
【0025】
また、ボタン特定方法の発明の一態様によれば、ユーザが押圧した位置から最も近い次候補ボタンをユーザが押圧したボタンとして特定する。これにより、ユーザの意図をより反映させたボタン特定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び添付の図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのタッチパネル入力装置、及びそのボタン特定方法を例示するものであって、本発明をそれらに限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のタッチパネル入力装置、及びそのボタン特定方法にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明のタッチパネル入力装置をカーナビゲーションシステムに適用した場合のタッチパネル入力装置1の概略内部構成図を示している。
【0028】
タッチパネル入力装置1は、制御手段10、入力手段11、表示手段12、記憶手段13、押圧位置検出手段14、次候補ボタン検索手段15、位置関係算出手段16、ボタン特定手段17から構成されている。
【0029】
制御手段10は、カーナビゲーションシステムを動作させるための各種プログラムを記憶しているROMと、このROMに記憶されたプログラムを実行することにより各部の動作を制御するCPUと、各種のデータを一時的に記憶するRAMとからなるマイクロプロセッサで構成される。
【0030】
入力手段11と表示手段12は、タッチパネル装置を構成するもので、表示手段12は例えば画面上に種々の画像や選択入力用のボタンを表示する液晶ディスプレイであり、この表示手段12の表面に透明なマトリクススイッチ或いは電極で構成される入力手段11が貼付け固定される。ユーザは、表示手段12に表示されたボタン画像上の入力手段11を押圧することによって、入力手段11から所定のボタンを選択して入力することができる。入力手段11から入力されたボタンの情報は、一時的に制御手段10内のRAMに履歴として記憶される。
【0031】
記憶手段13は押圧される可能性が高いボタンの順序を記憶しているもので、具体的には、カーナビゲーションシステムの場合、目的地や施設の名称を構成する文字列を読みの順序で記憶している。
【0032】
また、記憶手段13はタッチパネル上の各文字を示すボタンと位置座標を対応付けて記憶している。
【0033】
押圧位置検出手段14は、ユーザが入力手段11を押圧したことを検出するとともに、その押圧位置の座標を検出する。
【0034】
位置関係算出手段15は、押圧位置検出手段14によって入力手段11が押圧されたことが検出された際に、その押圧された位置座標が表示手段12に表示されている特定のボタンに対応した位置座標或いは、特定のボタンに対応した位置座標から所定範囲内に対応するか否かを判別する。
【0035】
ボタン特定手段16は、位置関係算出手段15において押圧位置座標が特定のボタンに対応していると判別された場合には、そのボタンをユーザが押圧したものとして特定する。ここで、特定のボタンに対応している位置とは、表示手段12に表示されているボタンの領域内のことであるが、本発明はこれに限られず、ボタンから所定距離範囲内の位置を含むものであってもよいし、ユーザの押圧傾向を考慮してボタンから所定方向の一定領域を範囲内に含むようにしてもよい。
【0036】
次候補ボタン検索手段17は、入力手段11から入力されボタン特定手段16により特定されたボタンの履歴を検索キーとして記憶手段13を参照し、ユーザが次に選択するであろうボタンの候補(以下、次候補ボタンという)を一以上検索するものである。検索された次候補ボタンは、制御手段10内のRAMに一時記憶される。
【0037】
位置関係算出手段15は、押圧位置座標が特定のボタンに対応した位置座標或いは特定のボタンに対応した位置座標から所定範囲内に対応していない場合は、ユーザによって押圧された位置座標から制御手段10内のRAMに記憶されている次候補ボタンの位置座標までの距離をそれぞれ算出する。
【0038】
ボタン特定手段16は、位置関係算出手段15において押圧位置座標が特定のボタンに対応していないと判別された場合には、押圧位置から各次候補ボタンまでの距離を比較して最も近いものをユーザが押圧しようとしたものとして特定する。ボタン特定手段16によって特定されたボタンは制御手段10内のRAMに入力ボタンの履歴として一時記憶される。
【0039】
図2は、タッチパネル入力装置1を備えたカーナビゲーションシステムにおける目的地設定画面の一例を示す図である。
【0040】
目的地設定画面200は、カーナビゲーションシステムのメニュー画面或いは経路案内画面においてユーザが目的地設定メニューを選択した際に表示される。目的地設定画面200は、上部に表示される目的地設定ボタン201と目的地入力欄202、画面の大部分を占有して表示される文字入力ボタン203、画面の右端に表示される各種機能ボタン204〜207から構成される。目的地設定ボタン201は、目的地入力欄202に入力された名称を目的地として設定する際に選択されるものである。文字入力ボタン203は、図2では、日本語の五十音が文字ごとにボタンとして表示される。また、各種機能ボタンは、この目的地設定画面200が表示される前のメニュー画面或いは経路案内画面に戻るための「戻る」ボタン204、目的地入力欄202に入力された文字を訂正するための「訂正」ボタン205、小文字を入力する際に使用する「小文字」ボタン206、目的地入力欄202に入力された単語を基に目的地名や名称を検索する「検索」ボタン207等から構成される。
【0041】
目的地設定画面200においてユーザが目的地の設定を行う場合、ユーザは文字入力ボタン203の所定の文字を押圧操作することによって文字入力欄202に目的地の名称を入力する。目的地の設定をやめる場合は「戻る」ボタン204を押圧して直前の画面に戻ればよい。誤った文字を入力してしまった場合は、「訂正」ボタン205を押圧して入力した文字を取消す。文字入力欄202に目的地を表す全ての文字が入力された場合には目的地設定ボタン201を押圧して目的地として設定する。文字入力欄202に目的地を表す全ての文字が入力されていない場合でも、「検索」ボタン207を押圧すれば、文字入力欄202に入力された文字を含む地名や施設名を検索してリストとして表示し、ユーザは表示されたリストの中から所望の目的地を選択することによって目的地を設定する。なお、この技術については、上記特許文献1等において開示されているため、ここでの説明は省略する。
【0042】
ここで、図2及び図3を参照しながら、本実施例におけるタッチパネル入力装置のボタン特定方法を説明する。なお、図3は、タッチパネル入力装置においてボタンを特定する際の各部の動作を示すフローチャートである。
【0043】
カーナビゲーションシステムのメニュー画面或いは経路案内画面においてユーザが目的地設定メニューを選択すると、図2に示す目的地設定画面200が表示される。ここで説明を簡単にするため、ユーザが文字入力ボタン203を操作し、一例として既に「ま」「つ」の文字を入力し、次の文字をこれから入力しようとしている場合の各部の動作を説明する。このとき制御手段10内のRAMには入力されたボタンの履歴として「ま」「つ」が一時記憶されている。これに対応して目的地設定画面200の目的地入力欄202には「ま」「つ」の文字が表示されている。このときステップS301では、次候補ボタン検索手段17が既に入力された文字、つまりRAMに一時記憶されている入力文字の履歴(図2では「ま」「つ」)を検索キーとして、記憶手段13に記憶されている目的地名や施設名等の中から検索キーと前方一致するものを一以上抽出する。図2の場合には、例えば「ま」「つ」を先頭に含む名称である、「まつえ」、「まつかわ」、「まつど」、「まつもと」、「まつやま」等が検索・抽出される。
【0044】
次いでステップS302において、既に入力された文字である「ま」「つ」の次に入力されると推測される次候補ボタンの文字が制御手段10のRAMに一時的に記憶される。つまり、次にユーザが押圧するであろう次候補ボタンとして「まつえ」の「え」、「まつかわ」の「か」、「まつど」の「と」、「まつもと」の「も」、「まつやま」の「や」が記憶される。
【0045】
次いでステップS303に進み、押圧位置検出手段14は、ユーザが入力手段11を押圧することを待機しており、ユーザが入力手段11を押圧するとそれを検出するとともにその位置座標を検出し、ステップS304に進む。
【0046】
ステップS304において位置関係算出手段15は、押圧位置検出手段14によって検出された位置座標を、それぞれのボタンの位置座標と比較することによって、ユーザによって押圧された場所が特定のボタンの位置か否かを判別する。ユーザが押圧したのが特定のボタンの位置である場合、ステップS305において、そのボタンが例えば「戻る」ボタンのような処理の中断を指示するボタンであるか否かを判別し、処理の終了を指示するものである場合には、目的地の設定を終了する、つまり、目的地設定画面を閉じて、その前に表示されていたメニュー画面や経路案内画面に戻る。
【0047】
ステップS305においてユーザが押圧した特定のボタンが処理の終了を指示するものでない場合には、ステップS306においてボタン特定手段16はそのボタンをユーザが押圧したボタンとして特定し、ステップS309に進み、この新たに特定されたボタンを制御手段10内のRAMに記憶されている入力文字の履歴に追加するとともに、目的地入力欄202に新たに入力された文字として表示する。
【0048】
ステップS304において、ユーザによって押圧された場所が特定のボタンの位置ではない場合、ステップS307に進み、位置関係算出手段15がその押圧された位置座標から、制御手段10内のRAMに一時記憶されている各次候補ボタンの位置座標までの距離をそれぞれ算出する。図2の目的地の入力の例においては、ユーザは「ま」(押圧位置(A))「つ」(押圧位置(B))とボタンを正しく押圧した後に、文字入力ボタン203の「え」、「お」、「け」、「こ」の中間付近を押圧(押圧位置(C))した場合が示されている。この場合、位置関係算出手段16は、押圧位置(C)の位置座標から各次候補ボタン「え」、「か」、「と」、「も」、「や」のボタンの位置座標までのそれぞれの距離を算出する。
【0049】
続いてステップS308において、ボタン特定手段16は、上記ステップにおいて算出された押圧位置座標から各次候補ボタンまでの距離をそれぞれ比較し、最も距離の短いものをユーザが押圧しようとしたものとして特定する。図2の場合、押圧位置(C)の位置座標から次候補ボタンのうち「え」のボタンの位置座標までの距離が最も短いので、「え」のボタンをユーザが押圧しようとしたものであるとして特定する。
【0050】
続くステップS309では、新たに特定されたボタンを制御手段10内のRAMに記憶されている入力文字の履歴に追加するとともに、目的地入力欄202に新たに特定された文字を表示する。図2の場合は目的地入力欄202に「え」の文字が新たに表示される。
【0051】
ステップS310では入力を完了したか否かを判別し、入力完了であるなら、目的地の入力を終了し、そうでない場合にはステップS301に戻って上記のステップを繰り返して行う。ユーザが目的地設定ボタン201を押圧した場合や「検索」ボタン207を押圧した場合に目的地の入力が終了したとみなされる。
【0052】
[変形例]
以下、上記実施例におけるタッチパネル入力装置、及びそのボタン特定方法の変形例を図4を参照して説明する。
【0053】
上記実施例のカーナビゲーションシステムはオーディオプレーヤー機能が設けられており、図4は、オーディオプレーヤー機能を動作させた際のタッチパネルに表示されるオーディオプレーヤー用操作画面の一例を示している。オーディオプレーヤー用操作画面400には、「巻戻し」ボタン410、「再生」ボタン420、「早送り」ボタン430、「バックスキップ」ボタン440、「一時停止」ボタン450、「スキップ」ボタン460、「取出し」ボタン470、「ミュート」ボタン480、「停止」ボタン490からなる9個のボタンが表示されている。
【0054】
上記実施例において記憶手段13には、目的地或いは施設等の名称が記憶されていたが、本変形例においては、記憶手段13にはオーディオプレーヤー機能のボタン操作の押圧される順序候補が記憶されている。
【0055】
例えば、オーディオを巻戻ししている際に次に選択されるボタンは、通常は再生ボタンか一時停止ボタンであるので、記憶手段13には「巻戻し」「再生」、及び「巻戻し」「一時停止」といったボタン操作の順序の候補が記憶される。同様に、停止ボタンが押圧されてオーディオが停止している場合は次に選択されるボタンは通常再生ボタンか取出しボタンであるので、「停止」「再生」、及び「停止」「取出し」といったボタン操作の順序候補が記憶される。
【0056】
ここで、図4に示すように、ユーザが「停止」ボタン490を押圧(A’)した後に、タッチパネル上の押圧位置(B’)を押圧した場合の動作を説明する。なお、押圧位置(B’)は、「巻戻し」ボタン410、「再生」ボタン420、「バックスキップ」ボタン440、「一時停止」ボタン450の中間位置であるものとする。
【0057】
ユーザが「停止」ボタン490を押圧した段階で、次候補ボタン検索手段17は記憶手段13を参照し、「停止」ボタンに引続いてユーザが押圧する可能性が高いボタンを検索・抽出し、次候補ボタンとしてRAMに一時記憶させる。本変形例の場合、次候補ボタンは、「再生」ボタン420と、「取出し」ボタン470である。
【0058】
ユーザがタッチパネルを押圧すると、押圧位置検出手段14はタッチパネルが押圧されたことと、押圧位置(b’)の位置座標を検出し、RAMに一時記憶させる。次いで、位置関係算出手段15は、押圧位置(b’)の位置座標から次候補ボタンの位置座標までの距離、つまり「再生」ボタン420と「取出し」ボタン470までの距離をそれぞれ算出し、その後ボタン特定手段16が押圧位置(b’)から最も近い次候補ボタンをユーザが押圧したものとして特定する。本実施例では、押圧位置(b’)から「再生」ボタン420までの距離が最も近いから、ユーザが「再生」ボタン420を押圧したものとしてボタンを特定し、続く処理に移行する。
【0059】
上記説明したように、本変形例では、ユーザがタッチパネル上に表示されたボタンを正確に押圧できなかったときに、ユーザが押圧しようとしたであろうボタンを、検索された次候補ボタンの中から自動的に特定し、処理を継続させることができる。これにより、ユーザは何度もボタンを押圧しようとして時間を浪費することなく、適切なボタン操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明のタッチパネル入力装置をカーナビゲーションシステムに適用した場合のタッチパネル入力装置1の概略内部構成図を示す。
【図2】図2は、タッチパネル入力装置1を備えたカーナビゲーションシステムにおける目的地設定画面の一例を示す。
【図3】図3は、タッチパネル入力装置においてボタンを特定する際の各部の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、オーディオプレーヤー機能を動作ささせた際のタッチパネルに表示されるオーディオプレーヤー用操作画面の一例を示す。
【符号の説明】
【0061】
1: タッチパネル入力装置1
10: 制御手段
11: 入力手段
12: 表示手段
13: 記憶手段
14: 押圧位置検出手段
15: 位置関係算出手段
16: ボタン特定手段
17: 次候補ボタン検索手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に複数のボタンを表示する表示手段と、該表示手段の前面に付設されたタッチパネルと、制御手段と、前記タッチパネルの押圧及び押圧位置の検出を行う押圧位置検出手段と、検出された前記押圧位置に基づいて特定のボタンが押圧されたことを決定するボタン特定手段と、を備えたタッチパネル入力装置において、
前記タッチパネル入力装置は、さらに、
押圧されるボタンの順序候補を記憶する記憶手段と、
押圧されたボタンの履歴と、前記記憶手段に記憶されているボタンの順序候補とを参照することによって次に押圧が予測される次候補ボタンを一以上検索する次候補ボタン検索手段と、
前記押圧位置検出手段によって検出された押圧位置が、前記表示手段に表示されたボタンに対応する位置か否かを判別し、前記押圧位置が前記ボタンに対応する位置でない場合には、前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離をそれぞれ算出する位置関係算出手段と、を備え、
前記ボタン特定手段は、前記押圧位置が所定のボタンに対応する位置である場合にはそのボタンを押圧されたものとして特定し、そうでない場合には、前記位置関係算出手段によって算出された結果を比較して前記次候補ボタンの中から何れか一つを押圧されたボタンとして特定することを特徴とするタッチパネル入力装置。
【請求項2】
前記ボタン特定手段は、前記位置関係算出手段によって算出された前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離を比較して、最も距離の短いものを押圧されたボタンとして特定することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項3】
前記表示手段には、複数の文字入力ボタンが表示され、前記記憶手段に記憶されているボタンの順序候補は、名称又は地名であることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項4】
前記表示手段には、オーディオプレーヤー用操作ボタンが表示されることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項5】
前記タッチパネル入力装置は、ナビゲーション装置に設置されることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載のタッチパネル入力装置。
【請求項6】
画面に複数のボタンを表示する表示手段と、該表示手段の前面に付設されたタッチパネルと、制御手段と、押圧されるボタンの順序候補を記憶する記憶手段と、を備えたタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法であって、
(1)押圧されたボタンの履歴と、前記記憶手段に記憶されているボタン順序候補とを参照することによって次に押圧が予測される次候補ボタンを一つ以上特定し、
(2)タッチパネルが押圧されたことと押圧位置の検出を行い、
(3)前記押圧位置が前記表示手段に表示されたボタンに対応するか否かを判別し、
(4)前記(3)において前記押圧位置が前記ボタンに対応する位置の場合には、そのボタンが押圧されたものとして特定し、
(5)前記(3)において前記押圧位置が前記ボタンに対応する位置でない場合には、前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離をそれぞれ算出し、
(6)前記(5)において算出された結果を比較して前記各次候補ボタンの中から何れか一つを押圧されたボタンとして特定することを特徴とするタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法。
【請求項7】
前記(6)において、前記押圧位置から前記各次候補ボタンの位置までの距離を比較して、最も距離の短いものを押圧されたボタンとして特定することを特徴とする請求項6に記載のタッチパネル入力装置におけるボタン特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−217416(P2009−217416A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58877(P2008−58877)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】