説明

タッチパネル装置、およびタッチ範囲補正方法

【課題】タッチパネルに水圧等による圧力が加わっていてもタッチ操作のためのタッチ位置を適切に検出する。
【解決手段】タッチパネル操作部120は押圧された押圧範囲を検出する。
圧力検出部130はタッチパネル操作部120に加わる水圧を検出する。範囲補正制御部101は、圧力検出部130によって水圧が検出されているときは、タッチパネル操作部120において検出された押圧範囲を補正する。操作制御部102は、範囲補正制御部101において補正された押圧範囲に基づいた処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに水圧等による圧力が加わっていてもタッチ操作のためのタッチ位置を適切に検出するタッチパネル装置、タッチ範囲補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポータブルメディアプレーヤやスマートフォン等の小型端末装置において、表示部にタッチパネルを適用した装置が普及している。また、このような装置において防水性能を有する製品もあり、水中での使用を想定した製品もある。
【0003】
水中でのタッチ操作を行う製品においては抵抗膜式のタッチパネルを用いることが一般的であるが、近年は抵抗膜式のタッチパネルでもタッチ範囲を複数区画に分割することによるマルチタッチが可能なタッチパネルがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−210199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチタッチが可能なタッチパネルを用いた製品を水中で使用すると、ユーザが操作のために押圧した箇所に加えて水圧によって広い範囲が押圧されてしまう。
【0006】
特許文献1の技術は、抵抗膜方式のタッチパネル本体上面に化粧フィルムを貼り付けることによって防水性を確保している。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、タッチパネルに水圧等による圧力が加わっていてもタッチ操作のためのタッチ位置を適切に検出するタッチパネル装置、タッチ範囲補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明に係るタッチパネル装置(10)は、押圧された押圧範囲を検出するタッチパネル操作部(120)、前記タッチパネル操作部(120)に加わる水圧を検出する圧力検出部(130)、前記圧力検出部(130)によって水圧が検出されているときは、前記タッチパネル操作部(120)において検出された前記押圧範囲を補正する範囲補正制御部(101)、前記範囲補正制御部(101)において補正された前記押圧範囲に基づいた処理を実行させる操作制御部(102)、を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係るタッチパネル装置(10)は、第1の発明において、前記範囲補正制御部(101)は、前記圧力検出部(130)によって検出された水圧の値に応じて前記押圧範囲を補正することを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係るタッチパネル装置(10)は、第1または第2の発明において、前記範囲補正制御部(101)は、前記タッチパネル操作部(120)において検出された前記押圧範囲に対して、前記押圧範囲の外周部から前記押圧範囲を狭くするような補正を行うことを特徴とする。
【0011】
第4の発明に係るタッチパネル装置(10)は、第1から第3のいずれか1の発明において、前記範囲補正制御部(101)は、前記圧力検出部(130)によって検出された水圧に応じて、前記タッチパネル操作部(120)において検出された前記押圧範囲における所定の範囲を無効とする補正を行うことを特徴とする。
【0012】
第5の発明に係るタッチパネル装置(10)は、第1から第4のいずれか1の発明において、前記範囲補正制御部(101)は、前記タッチパネル操作部(120)において検出された前記押圧範囲に対して、前記タッチパネル操作部(120)における前記押圧範囲の位置によって補正量を変更することを特徴とする。
【0013】
第6の発明に係るタッチ範囲補正方法は、押圧された押圧範囲を検出するタッチパネル操作部(120)に加わる水圧を検出する圧力検出ステップ、前記圧力検出ステップによって水圧が検出されていると判断された場合は、前記タッチパネル操作部(120)において検出された前記押圧範囲を補正する範囲補正ステップ、前記範囲補正ステップにおいて補正された前記押圧範囲に基づいた処理を実行させる操作制御ステップ、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タッチパネルに水圧等による圧力が加わっていてもタッチ操作のためのタッチ位置を適切に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の表示部およびタッチパネル操作部を中心とした断面概念図である。
【図4】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の表示部およびタッチパネル操作部を中心とした断面概念図であり、水圧Pによって加圧された状態を示す。
【図5】本発明の実施例に係るタッチパネル操作部における操作範囲を示した概念図である。
【図6】本発明の実施例に係るタッチパネル操作部におけるタッチを検出した区画を示す概念図である。
【図7】本発明の実施例に係るタッチパネル操作部におけるタッチを検出した区画を示す概念図である。
【図8】本発明の実施例に係るタッチパネル操作部におけるタッチを検出した区画を補正した状態を示す概念図である。
【図9】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の動作を表したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の動作を表したフローチャートである。
【図11】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の動作を表したフローチャートである。
【図12】本発明の実施例に係るタッチパネル装置の動作を表したフローチャートである。
【図13】本発明の実施例に係るタッチパネル装置におけるタッチを検出した区画を補正する補正テーブルの例である。
【図14】本発明の実施例に係るタッチパネル操作部におけるタッチを検出した区画を補正した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例におけるタッチパネル装置10について、図1および図2により説明する。
【0017】
タッチパネル装置10は、装置に備えられたタッチパネルを用いて操作を可能とする携帯型の装置であり、例えばスマートフォン等の携帯電話、携帯型メディア装置、携帯型ナビゲーション装置(PND)、デジタルカメラ等の各種装置が該当する。
【0018】
タッチパネル装置10は、制御部100、表示部110、タッチパネル操作部120、圧力検出部130を備える。
【0019】
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えて構成され、タッチパネル装置10を構成する各部の制御や、タッチパネル装置10で扱う各種データやファイルに対する処理を行う。
【0020】
制御部100におけるCPUは、タッチパネル装置10の各部からの操作信号やデータに基づき、ROMに記憶された各種プログラムをRAM上で実行することにより各部を制御し、各種データの処理を行う。
【0021】
表示部110は、例えば液晶表示素子や有機EL(Electro Luminescence)表示素子等からなり、制御部100の処理によって各種情報を表示する。また、制御部100の処理によってタッチパネル操作部120における操作範囲82に対応する位置に操作アイコン80を表示する。
【0022】
タッチパネル操作部120は、ユーザに押圧されたタッチ区画42の座標を検出することにより検出した座標情報を制御部100へ送信する。またタッチパネル操作部120は、複数のタッチ区画42に対する押圧を検出可能であり、さらにタッチパネル操作部120への押圧を検出する抵抗膜方式のタッチパネルである。
【0023】
圧力検出部130は、タッチパネル装置10に加わる水圧等の圧力を検出し、水圧の検出有無または水圧の検出値を制御部100に送出する。圧力検出部130は、例えば水圧センサ等によって構成される。圧力検出部130は、水圧センサ以外に例えばタッチパネル操作部120の押圧状態によって水圧等の圧力を検出してもよい。タッチパネル操作部120の押圧状態による水圧の検出とは、例えばユーザが押圧したタッチ区画42に対して押圧が検出されたタッチ検出区画44の数や範囲に基づき、水圧の概略値を求める。
【0024】
制御部100は、制御部100における処理内容に応じた機能部として範囲補正制御部101および操作制御部102を備える。
【0025】
範囲補正制御部101は、タッチパネル操作部120が押圧されることによって検出したタッチ範囲を、圧力検出部130が検出した水圧等の圧力に応じて補正する制御を行う。
【0026】
操作制御部102は、タッチパネル操作部120が押圧されることによって検出したタッチ範囲に基づく各種操作を実行する処理を行う。
【0027】
タッチパネル装置10は、上述した構成要素に加えて、図示しない記憶部や他の装置との情報授受を行うインターフェース部、機械的な操作によって操作指示が入力される操作部、静止画や動画を撮影する撮像部等を必要に応じて備える。
【0028】
図2に示すタッチパネル装置10の外観斜視図について説明する。図2はタッチパネル装置10の一例としての形態であり、本発明におけるタッチパネル装置10はこのような形態に限定されない。タッチパネル装置10を構成する面の一面には表示部110および表示部110に重ねて配置されたタッチパネル操作部120を有する。
【0029】
表示部110には、タッチパネル装置10の操作を指示する操作アイコン80が表示される。操作アイコン80の例として、図2に示すように楽曲データの再生を実行する「Music」アイコン、動画データの再生または動画の撮影を行う「Video」アイコン、静止画データの再生または静止画の撮影を行う「Photo」アイコン、Webブラウザを起動させWebデータを表示させる「Web」アイコン、Eメールの送受信を行う「Mail」アイコン、ラジオ放送を受信する「Radio」アイコンが表示される。操作アイコン80は上記に限らずタッチパネル装置10が備える機能やアプリケーションに応じたものが表示される。また、表示部110に表示される操作アイコン80の数や位置、大きさは限定されない。
【0030】
次に、タッチパネル装置10の断面概念図により、タッチパネル装置10に外部から水圧等の圧力が加わった場合の状態を説明する。図3は、タッチパネル装置10に水圧等の圧力が加わっていない状態の断面概念図であり、図4は、タッチパネル装置10に水圧Pが加わった状態の断面概念図である。
【0031】
図4および図5において、筐体20はタッチパネル装置10の本体を構成する部材であり、強化プラスチックやアルミニウム等により形成される。
【0032】
また、タッチパネル装置10においては、筐体20によって表示部110、タッチパネル操作部120、保護パネル60が保持されており、タッチパネル操作部120と保護パネル60との間には隙間50が形成される。
【0033】
保護パネル60は、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)等の透明樹脂素材などが用いられ、表示部110の外部からの視認性を確保するとともに、圧力を受けて撓むことによりタッチパネル操作部120を押圧可能な素材からなる。さらに保護パネル60は、筐体20とともに防水性能が確保されるように保持されており、保護パネル60と筐体20は図示しない防水テープ等により接着されている。
【0034】
図4に示すように、タッチパネル装置10が例えば水中にある場合は、水圧Pが加わることにより筐体20は殆ど撓まず、保護パネル60は水圧Pにより中心部からタッチパネル操作部120を押圧する。
【0035】
次に、タッチパネル操作部120が抵抗膜式マルチタッチ形式のタッチパネルである場合の構造について図5および図6により説明する。抵抗膜式マルチタッチ形式のタッチパネル操作部120は、縦方向および横方向に複数の導電膜を配し、各々の導電膜が向かい合う部分を仮想的に1つの抵抗膜式タッチパネルとすることにより、複数個所のタッチを検出する。図5においては、各々の導電膜が向かい合って形成する各々の抵抗膜式タッチパネルをタッチ区画42として示している。
【0036】
各タッチ区画42においては、各々1箇所の押圧点の位置を認識できる。図5におけるタッチパネル操作部120においては、一例として13×17のタッチ区画42を有するタッチパネル操作部120として示している。また、タッチパネル操作部120には、図2に示したような操作アイコン80の表示位置に対応した操作範囲82が設定されている。操作範囲82は、所定の操作範囲82に属するタッチ区画42が押圧されたことを検出された場合、所定の操作範囲82に対応する操作アイコン80として表示されている処理が実行される。
【0037】
図6は操作範囲82に対応しているタッチ区画42がタッチ操作等によって押圧された場合を示している。図6において○印を付したタッチ区画42を、押圧されているタッチ区画42としてタッチ検出区画44とする。この場合、タッチ検出区画44は操作範囲82に属しているため、図6における上部中央に位置する操作範囲82に対応付けられている処理が実行される。
【0038】
上述したようなタッチパネル操作部120を、例えば水中において使用した場合、図4に示すようにタッチパネル装置10全体に水圧Pが加わる。水圧Pが加わることにより保護パネル60が撓むため、図7に示すようにユーザが押圧したタッチ区画42に加え、その周辺のタッチ区画42も押圧されてしまう。
【0039】
図7(a)は、ユーザが押圧したタッチ区画42に加えてその周辺のタッチ区画42がタッチ検出区画44として制御部100に認識されていることを示している。また、図7(b)は図7(a)より深い水深で使用した例であり、図7(a)より強い水圧Pによって広い範囲のタッチ区画42がタッチ検出区画44として制御部100に認識されていることを示している。
【0040】
次に、図7に示したように水圧が加わることによってユーザが押圧したタッチ区画42以上範囲におけるタッチ区画42がタッチ検出区画44として検出された場合に、検出したタッチ検出区画44が範囲補正制御部101によって補正された例を図8に示す。
【0041】
図8(a)および図8(b)は、図7(a)および図7(b)において検出されたタッチ検出区画44を、範囲補正制御部101の制御により補正された例である。
【0042】
図8において、●印を付したタッチ区画44はタッチ検出区画44として押圧が検出されるとともに範囲補正制御部101の制御によって無効とされる補正が行われたタッチ検出無効区画45である。このため、図8においてはタッチ検出無効区画45を除いたタッチ検出区画44に基づいた処理が実行される。図8に示すように補正されたタッチ検出区画44に基づく処理は、図2に示した操作アイコン80が表示されている例の場合、「Video」アイコンの操作に基づいた処理が実行される。
【0043】
このように、水圧Pによってユーザが押圧したタッチ区画42より広い範囲のタッチ区画42がタッチ検出区画44として認識された場合、範囲補正制御部101の制御によって押圧が検出された範囲の周辺を無効とする補正を行うことで、ユーザが押圧したタッチ区画42と同一または同一に近い範囲のタッチ区画42をタッチ検出区画44として認識させ、補正されたタッチ検出区画44に基づく処理が実行される。
【0044】
このため、タッチパネル装置10の水中における操作時、ユーザによる押圧操作を正確に認識し、誤動作等を防止することができる。
【0045】
次に、上述したタッチ検出区画44の補正処理について図9から図13を用いて説明する。
【0046】
先ず、図9において操作制御部102はタッチパネル操作部120へのタッチ操作が行われているか否かを判断する(ステップS100)。この処理はタッチ区画42のいずれかに対して押圧が検出された場合にタッチ操作が行われていると判断される。
【0047】
ステップS100においてタッチ操作が検出されていないと判断された場合は(ステップS100:No)、ステップS100の処理を再度繰り返すことにより、タッチパネル装置10は継続的にタッチ操作の有無を確認する。
【0048】
ステップS100においてタッチ操作が検出されたと判断された場合は(ステップS100:Yes)、制御部100は圧力検出部130によって水圧Pが検出されているか否かを判断する(ステップS101)。
【0049】
ステップS101において水圧Pが検出されていないと判断された場合は(ステップS101:No)、ステップS100において検出されたタッチ操作におけるタッチ検出区画に基づき、操作制御部102は所定の処理を実行させる。
【0050】
ステップS101において水圧Pが検出されたと判断された場合は(ステップS101:Yes)、範囲補正制御部101はステップS101において検出された水圧の圧力に応じてタッチ検出区画44の範囲の補正を行う(ステップS102)。
【0051】
ステップS102においてタッチ検出区画44の補正が行われた後、操作制御部102は補正されたタッチ検出区画44に基づく処理を実行させる(ステップS103)。
【0052】
図10は上述したステップS102の処理におけるフローチャートである。ステップS102におけるタッチ検出区画44の補正では、先ず範囲補正制御部101がタッチ検出区画44の範囲における中心となるタッチ検出区画を抽出する(ステップS110)。
【0053】
次に、ステップS110において抽出された中心となるタッチ検出区画44のみをタッチ操作されたタッチ検出区画44として補正を行う(ステップS111)。
【0054】
このような処理によって、タッチ検出区画44の中心となるタッチ検出区画44をタッチ操作されたタッチ検出区画44とする補正を行うため、ユーザが押圧したタッチ区画42と同一またはほぼ同一のタッチ区画をタッチ検出区画として、誤操作のないタッチ操作を行うことができる。
【0055】
図11は上述したステップS102におけるタッチ検出区画44の他の補正処理におけるフローチャートである。ステップS102におけるタッチ検出区画44の補正は、先ず範囲補正制御部101はタッチ検出区画44の範囲における最外周のタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45とする補正を行う(ステップS120)。
【0056】
ステップS120におけるタッチ検出区画44のタッチ検出無効区画45としての補正とは、認識されている複数のタッチ検出区画44に対して例えば最外周に該当するタッチ検出区画44をタッチ検出区画44として認識しない処理を行うことによる補正などを行う。
【0057】
ステップS120において最外周のタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45として補正した後、範囲補正制御部101はステップS120の補正によって補正されていないタッチ検出区画44が所定数以上連続して存在しているか否かを判断する(ステップS121)。
【0058】
ステップS121の処理は、例えば互いに隣接したタッチ検出区画44が5個以上または3個以上など、所定数以上存在するか否かを判断する。
【0059】
ステップS121において所定数以上存在すると判断された場合は(ステップS121:No)、ステップS120の処理を再度実行する。ステップS121において所定数以上存在しないと判断された場合は(ステップS121:Yes)、その時点で認識されているタッチ検出区画44をタッチ操作されたタッチ区画42として認識することによって、ユーザが押圧したタッチ区画と同一またはほぼ同一のタッチ検出区画44を得ることができる。
【0060】
図12は、上述したステップS102におけるタッチ検出区画44のさらに他の補正処理におけるフローチャートである。先ず範囲補正制御部101は圧力検出部130から出力された値によって制御部100が取得した水圧値を取得する。(ステップS130)。次に範囲補正制御部101はステップS130によって取得した水圧値に基づいて、図13に示す補正テーブルを用いた補正を行う。
【0061】
図13における補正テーブルによる補正の例としては、圧力検出部130によって検出された水圧が、例えば水深5m未満における水圧である場合は補正を行わない。同様に水深5m以上10m未満における水圧である場合にはタッチ検出区画44における最外周から1区画分をタッチ検出無効区画45として補正を行う。この例としては図8(a)のような補正である。
【0062】
同様に水深10m以上15m未満における水圧である場合にはタッチ検出区画44における最外周から2区画分をタッチ検出無効区画45として補正を行う。この例としては図8(a)のような補正である。同様に水深15m以上20m未満における水圧である場合にはタッチ検出区画44における最外周から3区画分をタッチ検出無効区画45として補正を行う。さらに、水深20m以上の水圧である場合には全てのタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45とする補正を行う。これは、高い水圧によって保護パネル60が大きく撓むことによって、ユーザが押圧したタッチ区画42を特定できないためである。
【0063】
図13に示した補正テーブルは一例であり、タッチパネル操作部120の面積やタッチ区画42の区画数、保護パネル60の材質や厚さ等によって適切な値をとりうる。
【0064】
また、本発明の実施例における範囲補正制御部101による補正処理は、水圧Pによるタッチ検出区画44の中央にユーザが押圧したタッチ検出区画44が存在することを前提として説明した。しかし実際には操作アイコン80は表示部110の端部にも表示される。そのような操作アイコン80に対しては、隙間50を形成する筐体20の存在により、端部に近いタッチ区画42ほど水圧によって押圧されることはない。
【0065】
図14は、表示部110の端部に近い位置に表示されている操作アイコン80を操作した場合における補正処理を表した例である。
【0066】
図14(a)は、表示部110の上方中央部に位置する操作アイコン80を押圧した場合であり、このときの範囲補正制御部101による補正処理は、左右方向においては左右端に位置するタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45とする補正を行い、上下方向においては表示部110の上端部の反対方向に位置するタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45とする補正を行う。
【0067】
図14(b)は、表示部110の上方左部に位置する操作アイコン80を押圧した場合であり、このときの範囲補正制御部101による補正処理は、左右方向においては表示部110の左端部の反対方向に位置するタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45とする補正を行い、上下方向においては表示部110の上端部の反対方向に位置するタッチ検出区画44をタッチ検出無効区画45とする補正を行う。
【0068】
また、タッチ検出区画44の位置が表示部110の端部に近い場合は、範囲補正制御部101によってタッチ検出無効区画45とするタッチ検出区画44の範囲を狭く、または数を少なくしてもよい。具体的には、タッチ検出区画44の位置が表示部110の中心部に近い場合は、水圧Pによって広い範囲が押圧されるために、範囲補正制御部101によってタッチ無効検出区画45とするタッチ検出区画を多く設定する。また、タッチ検出区画44の位置は表示部の端部に近い場合は、水圧Pによって押圧される範囲が制限されるために、範囲補正制御部101によってタッチ無効検出区画45とするタッチ検出区画を少なく設定する。
【符号の説明】
【0069】
10:タッチパネル装置、20:筐体、42:タッチ区画、44:タッチ検出区画、45:タッチ検出無効区画、50:隙間、60:保護パネル、80:操作アイコン、82:操作範囲、100:制御部、101:範囲補正制御部、102:操作制御部、110:表示部、120:タッチパネル操作部、130:圧力検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧された押圧範囲を検出するタッチパネル操作部、
前記タッチパネル操作部に加わる水圧を検出する圧力検出部、
前記圧力検出部によって水圧が検出されているときは、前記タッチパネル操作部において検出された前記押圧範囲を補正する範囲補正制御部、
前記範囲補正制御部において補正された前記押圧範囲に基づいた処理を実行させる操作制御部、
を備えることを特徴とする、タッチパネル装置。
【請求項2】
前記範囲補正制御部は、前記圧力検出部によって検出された水圧の値に応じて前記押圧範囲を補正することを特徴とする、
請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記範囲補正制御部は、前記タッチパネル操作部において検出された前記押圧範囲に対して、前記押圧範囲の外周部から前記押圧範囲を狭くするような補正を行うことを特徴とする、
請求項1または2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記範囲補正制御部は、前記圧力検出部によって検出された水圧に応じて、前記タッチパネル操作部において検出された前記押圧範囲における所定の範囲を無効とする補正を行うことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記範囲補正制御部は、前記タッチパネル操作部において検出された前記押圧範囲に対して、前記タッチパネル操作部における前記押圧範囲の位置によって補正量を変更することを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
押圧された押圧範囲を検出するタッチパネル操作部に加わる水圧を検出する圧力検出ステップ、
前記圧力検出ステップによって水圧が検出されていると判断された場合は、前記タッチパネル操作部において検出された前記押圧範囲を補正する範囲補正ステップ、
前記範囲補正ステップにおいて補正された前記押圧範囲に基づいた処理を実行させる操作制御ステップ、
を備えることを特徴とする、タッチ範囲補正方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate