説明

タッチパネル駆動装置、表示装置、タッチパネルの駆動方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】タッチ位置の誤検出を防止できるとともに、感度の高いタッチ検出が可能なタッチパネル駆動装置を実現する。
【解決手段】本発明に係るタッチパネルコントローラ40は、タッチパネル30を駆動するタッチパネル駆動部41と、液晶パネル11の駆動を禁止する走査禁止部43とを備え、タッチパネル駆動部41は、走査禁止部43が前記走査信号線の駆動を禁止している期間にタッチパネル30を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを駆動するタッチパネル駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力デバイスとしてタッチパネルを備える表示装置では、表示装置の表示動作によるノイズによって、タッチパネルが誤動作するという問題がある。例えば、タッチパネルを備える液晶表示装置では、水平同期信号に同期して、液晶パネルの走査信号線が駆動され、データ信号線に表示電圧信号が供給される期間に、液晶パネルから水平同期信号に同期したノイズが発生する。このノイズが、タッチパネルの駆動電圧に重畳されることにより、タッチ位置の誤検出が発生する。
【0003】
これに対し、特許文献1には、液晶パネルからのノイズによるタッチパネルの誤動作を防止するために、液晶パネルの走査信号線が駆動されていない垂直帰線期間に、タッチパネルを駆動してタッチ位置を検出する技術が開示されている。
【0004】
図6は、特許文献1に記載の表示装置の表示動作を示すタイミングチャートである。同図に示すように、1フレームは、表示期間Tdおよび帰線期間Trに時分割される。表示期間Tdは、走査信号線が順に選択(駆動)される期間であり、帰線期間Trは、走査信号線の駆動が終了してから次のフレームにおける走査信号線の駆動が開始されるまでの期間である。帰線期間Trでは、走査信号線が駆動されていないため、液晶パネルからのノイズが少なくなる。そこで、「タッチ点の導出タイミング」に示すように、帰線期間Trにタッチパネルを駆動させることにより、タッチ位置の誤検出を防止することができる。
【0005】
なお、特許文献2および3にも、特許文献1に記載の技術と同様の技術が開示されている。特許文献2には、液晶駆動のライン走査を設定ライン毎に一回休止し、その間にタッチパネルを駆動する技術が開示されており、特許文献3には、液晶駆動の水平帰線期間(ライン単位の走査休止期間)にタッチパネルを駆動する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−294903号公報(2009年12月17日公開)
【特許文献2】特開2009−180989号公報(2009年8月13日公開)
【特許文献3】特開2011−13996号公報(2011年1月20日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような従来技術では、液晶表示のタイミングに合わせてタッチパネルの駆動を行うため、座標更新レートが液晶駆動に律束されてしまう。通常の液晶表示装置の駆動周波数は60Hzであるため、座標更新レートは60Hzを上回ることができない。そのため、上述のような従来技術は、ペン入力等の速い座標更新レートを必要とする用途には適用できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、タッチ位置の誤検出を防止できるとともに、感度の高いタッチ検出が可能なタッチパネル駆動装置およびタッチパネルの駆動方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るタッチパネル駆動装置は、表示装置に用いられるタッチパネルを駆動する駆動手段を備えるタッチパネル駆動装置であって、前記表示装置の走査信号線の駆動を禁止する走査禁止手段を備え、前記駆動手段は、前記走査禁止手段が前記走査信号線の駆動を禁止している期間に前記タッチパネルを駆動することを特徴としている。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るタッチパネル駆動装置は、表示装置に用いられるタッチパネルの駆動方法であって、前記表示装置の走査信号線の駆動を禁止する走査禁止ステップと、前記走査信号線の駆動が禁止されている期間に前記タッチパネルを駆動する駆動ステップとを有することを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、走査信号線の駆動を禁止し、走査信号線の駆動が禁止されている期間にタッチパネルを駆動してタッチ検出を行う。換言すると、ノイズの影響を極力受けることなくタッチ検出動作を行うために、能動的に表示駆動動作を停止させる。よって、表示駆動動作に合わせてタッチ検出を行う従来構成に比べ、タッチ検出のための時間を長く確保することができる。そのため、タッチ位置の誤検出を防止できるとともに、感度の高いタッチ検出が可能なタッチパネル駆動装置およびタッチパネルの駆動方法を実現することができる。
【0012】
本発明に係るタッチパネル駆動装置では、前記タッチパネルへのタッチ入力が検出された時点から、タッチ入力が検出されなくなって所定時間経過した時点までの第1の期間では、前記駆動手段は、前記走査禁止手段が前記走査信号線の駆動を禁止している期間に前記タッチパネルを駆動し、第1の期間以外の第2の期間では、前記駆動手段は、各フレームの垂直帰線期間に前記タッチパネルを駆動することが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、ユーザがタッチ操作を行う第1の期間では、タッチ検出の感度が高い状態となり、タッチ操作が行われない第2の期間では、表示駆動動作に合わせてタッチ検出を行う。このように、タッチ操作が行われている期間のみ、タッチ検出の感度を高めることにより、常にタッチ検出の感度を高い状態とする場合に比べ、消費電力を抑えることができる。
【0014】
本発明に係る表示装置は、タッチパネルと、当該タッチパネルを駆動するタッチパネル駆動装置とを備える表示装置であって、前記タッチパネル駆動装置として、上述のタッチパネル駆動装置を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る表示装置は、複数の表示画素と、各表示画素に接続されるTFTとを備え、前記TFTのチャネル層が、インジウム、ガリウムおよび亜鉛を含む酸化物半導体で形成されていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、チャネル層が、インジウム、ガリウムおよび亜鉛を含む酸化物半導体(IGZO)で形成されたTFTを用いることにより、表示画素の電荷保持期間が長くなる。このため、走査信号線の駆動が禁止されることによって駆動周波数が低下しても、表示品位を保つことができる。
【0017】
なお、上記タッチパネル駆動装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記タッチパネル駆動装置の各手段として動作させるプログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るタッチパネル駆動装置は、表示装置に用いられるタッチパネルを駆動する駆動手段を備えるタッチパネル駆動装置であって、前記表示装置の走査信号線の駆動を禁止する走査禁止手段を備え、前記駆動手段は、前記走査禁止手段が前記走査信号線の駆動を禁止している期間に前記タッチパネルを駆動する構成である。
【0019】
また、本発明に係るタッチパネル駆動装置は、表示装置に用いられるタッチパネルの駆動方法であって、前記表示装置の走査信号線の駆動を禁止する走査禁止ステップと、前記走査信号線の駆動が禁止されている期間に前記タッチパネルを駆動する駆動ステップとを有している。
【0020】
したがって、タッチ位置の誤検出を防止できるとともに、感度の高いタッチ検出が可能なタッチパネル駆動装置およびタッチパネルの駆動方法を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】スタンバイ期間における、液晶コントローラ、タッチパネルコントローラおよびホストコントローラの出力信号を示す波形図である。
【図3】タッチ検出期間における、液晶コントローラ、タッチパネルコントローラおよびホストコントローラの出力信号を示す波形図である。
【図4】(a)は、スタンバイ期間における液晶コントローラの出力信号の詳細な波形を示す図であり、(b)は、タッチ検出期間における液晶コントローラ、タッチパネルコントローラおよびホストコントローラの出力信号のさらに詳細な波形を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の表示装置の表示動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0023】
(液晶表示装置の構成)
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1は、液晶モジュール10、液晶コントローラ20、タッチパネル30、タッチパネルコントローラ40およびホストコントローラ50を備えている。
【0024】
液晶モジュール10は、液晶パネル11および液晶ドライバ12を含んで構成される。
【0025】
液晶パネル11には、走査信号線、データ信号線および表示画素が設けられている。走査信号線は、所定の間隔を空けて互いに平行に複数本設けられている。一方、データ信号線は、走査信号線と直交する方向に、所定の間隔を空けて互いに平行に複数本設けられている。表示画素は、走査信号線とデータ信号線との各交差点に設けられている。また、各表示画素には、スイッチング素子としてのTFTが接続されている。
【0026】
液晶ドライバ12は、走査信号線を駆動する走査信号線ドライバと、データ信号線を駆動するデータ信号線ドライバとを備えている。走査信号線ドライバは、TFTをオンするための走査信号を各走査信号線に順次出力する。データ信号線ドライバは、各データ信号線に階調表示電圧を出力する。
【0027】
TFTがオン状態のときに、表示画素にデータ信号線からの階調表示電圧が印加され、電荷が蓄積される。これにより、液晶の光透過率が階調表示電圧に応じて変化して、液晶パネル11での画像表示が行われる。
【0028】
液晶コントローラ20は、垂直同期信号VS2、水平同期信号HSなどの液晶パネル11の表示制御を行うための信号を液晶ドライバ12に供給する。これにより、液晶表示の駆動タイミングが制御される。
【0029】
タッチパネル30は、液晶パネル11の表示画面上でタッチ操作を行うために設けられる入力デバイスである。タッチパネル30に対してタッチ操作が行われると、タッチパネル30は、タッチ位置に応じた信号を出力する。
【0030】
タッチパネル30としては、あらゆる方式のタッチパネルを用いることができるが、本実施形態では、静電容量方式のタッチパネルを用いている。この場合、タッチパネル30は、センスライン、ドライブラインおよび静電容量を備えて構成される。ドライブラインとセンスラインとは格子状に配置されており、静電容量は、センスラインとドライブラインとの各交点に形成される。
【0031】
また、ドライブラインおよびセンスラインは、タッチパネルコントローラ40に接続されている。タッチパネルコントローラ40は、特許請求の範囲に記載のタッチパネル駆動装置に相当するものであり、タッチパネル駆動部41、タッチ位置検出部42および走査禁止部43を備えている。
【0032】
タッチパネル駆動部41は、タッチパネル30のドライブラインに電圧信号(後述のタッチパネル駆動信号TD)を順次印加する。これにより、静電容量に電荷が蓄えられる。ここで、タッチパネル30に物体が接触すると、接触位置に対応する静電容量の容量値が変化し、その静電容量が接続されているセンスラインの電流値が変化する。タッチパネルコントローラ40のタッチ位置検出部42は、センスラインの出力信号に基づいて、タッチ位置を検出することができる。
【0033】
走査禁止部43は、特許請求の範囲に記載の走査禁止手段に相当するものであり、液晶コントローラ20に走査ウェイト信号Wを出力することにより、液晶パネル11の走査信号線の駆動を禁止する機能を有している。すなわち、走査信号線が駆動されているときに、走査禁止部43が走査ウェイト信号Wを出力すると、走査信号線の駆動が中断される。また、垂直帰線期間中に走査禁止部43が走査ウェイト信号Wを出力すると、垂直帰線期間が終了しても、走査禁止部43が走査ウェイト信号Wの出力を停止しない限り、走査信号線の駆動は開始されない。
【0034】
さらに、タッチパネル駆動部41は、走査禁止部43が走査信号線の駆動を禁止している期間に、タッチパネル30を駆動するように構成されている。すなわち、タッチパネルコントローラ40は、能動的に液晶パネル11の駆動を停止させ、液晶パネル11の駆動が停止している期間に、タッチ検出動作を行うように構成されている。さらに、言い換えると、従来構成では、液晶駆動動作がマスターで、タッチ検出動作がスレーブの関係であるのに対し、本実施形態では、タッチ検出動作がマスターで、液晶駆動動作がスレーブの関係にある。
【0035】
このように、本実施形態では、ノイズの影響を極力受けることなくタッチ検出動作を行うために、能動的に液晶駆動動作を停止させることができるので、液晶駆動動作に合わせてタッチ検出を行う従来構成に比べ、タッチ検出のための時間を長く確保することができる。そのため、タッチ位置の誤検出を防止できるとともに、感度の高いタッチ検出が可能となる。
【0036】
また、液晶コントローラ20は、液晶表示駆動を行っているか否かを示す液晶同期信号LSをタッチパネルコントローラ40に出力する。これにより、タッチパネルコントローラ40は、液晶表示駆動を行っているか否かを確認することができる。
【0037】
ホストコントローラ50は、液晶コントローラ20およびタッチパネルコントローラ40を含む液晶表示装置1全体の制御を行う。例えば、ホストコントローラ50は、液晶表示を行うための表示更新データDを液晶コントローラ20に供給するとともに、タッチパネルコントローラ40によって検出されたタッチ位置に基づいて、表示更新データDを更新する。なお、タッチパネルコントローラ40とホストコントローラとは、SPIバスおよびI2Cバスによって接続されている。
【0038】
(液晶パネルおよびタッチパネルの駆動タイミング)
続いて、液晶パネル11およびタッチパネル30の駆動タイミングについて説明する。図2および図3は、液晶コントローラ20、タッチパネルコントローラ40およびホストコントローラ50の出力信号を示す波形図である。垂直同期信号VS1および表示更新データDは、ホストコントローラ50から液晶コントローラ20に出力される。垂直同期信号VS2、水平同期信号HSおよび走査信号SDは、液晶コントローラ20から液晶ドライバ12に出力され、液晶同期信号LSは、液晶コントローラ20からタッチパネルコントローラ40に出力される。走査ウェイト信号Wは、タッチパネルコントローラ40から液晶コントローラ20に出力され、タッチパネル駆動信号TDは、タッチパネルコントローラ40からタッチパネル30のドライブラインに出力される。
【0039】
本実施形態では、タッチパネル30へのタッチ入力が検出された時点から、タッチ入力が検出されなくなって所定時間経過した時点までの第1の期間(タッチ検出期間とする)では、タッチパネル駆動部41は、走査禁止部43が走査信号線の駆動を禁止している期間にタッチパネル30を駆動する。一方、第1の期間以外の第2の期間(スタンバイ期間とする)では、タッチパネル駆動部41は、各フレームの垂直帰線期間にタッチパネル30を駆動する。
【0040】
(スタンバイ期間の動作)
図2は、スタンバイ期間における各信号の波形を示している。同図に示すように、表示更新データDが、表示更新周波数である30Hzの垂直同期信号VS1に同期して、ホストコントローラ50から液晶コントローラ20に出力される。液晶コントローラ20は、フレーム周波数である60Hzの垂直同期信号VS2および水平同期信号HSを生成して、垂直同期信号VS2と水平同期信号HSに同期した液晶表示データLDを液晶ドライバ12に出力する。
【0041】
また、液晶コントローラ20は、走査信号線の駆動が行われない垂直帰線期間に、タッチパネルコントローラ40に出力する液晶同期信号LSをハイレベルにする。液晶同期信号LSがハイレベルになることにより、タッチパネル駆動部41は、走査信号線の駆動が停止していることを認識し、タッチパネル30にタッチパネル駆動信号TDを出力する。これにより、ノイズの少ないタイミングでタッチパネル30を駆動することができる。
【0042】
なお、スタンバイ期間では、タッチ入力が行われたか否かを検出できればよいので、検出感度が低くても問題はない。また、タッチパネル30を駆動する周期がタッチ検出期間に比べて長いので、消費電力を抑えることができる。
【0043】
このように、スタンバイ期間では、〔背景技術〕において説明した特許文献1に記載の技術のように、液晶表示のタイミングに合わせてタッチパネルの駆動を行う。
【0044】
(タッチ検出期間の動作)
図3は、タッチ検出期間における各信号の波形を示している。タイミングaにおいてタッチパネル30にタッチ入力が行われた場合、タッチパネルコントローラ40の走査禁止部43は、液晶コントローラ20に出力する走査ウェイト信号Wをハイレベルにする。これに応じて液晶コントローラ20は、水平同期信号HS及び液晶表示データLDの出力を停止して、走査信号線の駆動を中断するとともに(走査禁止ステップ)、タッチパネルコントローラ40に出力する液晶同期信号LSをハイレベルにする。液晶同期信号LSがハイレベルになることにより、タッチパネル駆動部41は、走査信号線の駆動が停止していることを認識し、タッチパネル30にタッチパネル駆動信号TDを出力する(駆動ステップ)。
【0045】
タッチパネル30の全てのドライブラインの駆動(すなわち、タッチパネル30の全面のスキャン)が終了すると(タイミングb)、走査禁止部43は、走査ウェイト信号Wをローレベルにする。これに応じて液晶コントローラ20は、水平同期信号HSを出力して、走査信号線の駆動を再開する。
【0046】
タッチ検出期間では、走査禁止部43は、垂直同期信号VS2の周期よりも短い所定の周期で走査ウェイト信号Wをハイレベルにする。これにより、タッチ検出期間では、ノイズの影響を受けることなくタッチパネル30をスタンバイ期間よりも頻繁に駆動させることができる。したがって、液晶パネル11の駆動周波数に関わらず、タッチパネル30の感度を向上させることができる。
【0047】
なお、タイミングcに示すように、走査信号線が駆動していない垂直帰線期間に走査ウェイト信号Wがハイレベルになった場合、垂直帰線期間が終了しても、走査ウェイト信号Wがローレベルになるまで、走査信号線の駆動は開始されない。そのため、垂直帰線期間が終了したタイミングdでは、走査ウェイト信号Wがハイレベルであるので、水平同期信号HSは出力されず、走査ウェイト信号Wがローレベルとなるタイミングeまで走査信号線は駆動されない。
【0048】
図4(a)は、スタンバイ期間における垂直同期信号VS2および水平同期信号HSの詳細な波形を示す図であり、図4(b)は、タッチ検出期間における各信号のさらに詳細な波形を示す図である。同図に示すように、(1)走査ウェイト信号Wがハイレベルになると、(2)液晶コントローラ20は水平同期信号HSの出力を停止する。これにより、走査信号SDの出力が停止され、走査信号線の駆動が中断される(液晶駆動停止)。なお、走査ウェイト信号Wがハイレベルになった時点で駆動されている走査信号線の駆動は中断されず、当該走査信号線の次の走査信号線は駆動されない。
【0049】
液晶駆動が停止されると、(3)液晶コントローラ20は、タッチパネルコントローラ40に入力する液晶同期信号LSをハイレベルにする。液晶同期信号LSがハイレベルになったことにより、(4)タッチパネル駆動部41は、液晶駆動が停止されたことを認識して、タッチパネル駆動信号TDをハイレベルにする。これにより、(5)タッチパネル30のドライブラインTX1〜TXnが駆動され、タッチパネル30のスキャンが実行される。タッチパネル30のスキャンが終了すると、(6)走査禁止部43は、走査ウェイト信号Wをローレベルにして、液晶コントローラ20は、液晶駆動を再開する。
【0050】
なお、タッチパネル30のスキャンが1回実行される毎に、割り込み信号INTによって、タッチパネル30の座標が更新される。
【0051】
このように、タッチ検出期間では、走査禁止部43が走査信号線の駆動を禁止し、走査禁止部43が走査信号線の駆動を禁止している期間に、タッチパネル駆動部41がタッチパネル30を駆動する。
【0052】
(本発明に好適な液晶パネルについて)
図4(a)および(b)に示すように、タッチ検出期間では、走査ウェイト信号Wがハイレベルの場合、水平同期信号HSの出力が停止するので、液晶周波数(垂直同期信号VS2の周波数)が下がることとなる。そのため、60Hzでの表示画素のリフレッシュが必要な通常の液晶パネルに本実施形態に係るタッチパネルコントローラ40を適用した場合、タッチ検出期間中は、表示画素に電荷を保持できず、ちらつきが視認されるようになる。
【0053】
よって、本実施形態では、液晶パネル11として、タッチパネル30のスキャンに必要な時間、液晶駆動を停止させることができる液晶パネルを使用することが望ましい。例えば、インジウム、ガリウムおよび亜鉛を含む酸化物半導体(IGZO)でチャネル層が形成されたTFTを表示画素のスイッチング素子として用いた液晶パネルは、表示画素の電荷保持期間が長いため、液晶パネル11として好適である。
【0054】
また、通常、タッチ操作は静止画像が表示されている状態で行われるため、液晶周波数が低下しても表示品位に影響はない。
【0055】
(変形例)
図1に示す液晶表示装置1では、タッチパネルコントローラ40と液晶コントローラ20との間で、走査ウェイト信号Wおよび液晶同期信号LSの送受信を行うことで、液晶駆動の禁止/再開の制御を行っていたが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
図5は、本実施形態の変形例に係る液晶表示装置1’の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1’は、図1に示す液晶表示装置1において、液晶コントローラ20を設ける代わりに、ホストコントローラ50が液晶ドライバ12に表示更新データDを出力するとともに、タッチパネルコントローラ40と液晶ドライバ12との間で、走査ウェイト信号Wおよび液晶同期信号LSの送受信を行う構成である。このように、タッチパネルコントローラ40が走査ウェイト信号Wを液晶ドライバ12に直接出力することにより、液晶駆動を制御してもよい。
【0057】
(ソフトウェアによる実施例)
タッチパネルコントローラ40の各ブロック、特にタッチパネル駆動部41、タッチ位置検出部42および走査禁止部43は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0058】
後者の場合、タッチパネルコントローラ40は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるタッチパネルコントローラ40の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、タッチパネルコントローラ40に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0059】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0060】
また、タッチパネルコントローラ40を備える液晶表示装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(NearField Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話機網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0061】
(実施形態の総括)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るタッチパネル駆動装置は、タッチパネルのスキャンに必要な時間、表示駆動を停止させることができるあらゆる表示装置に好適であり、液晶表示装置だけでなく、例えば、有機EL表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 液晶表示装置(表示装置)
1’ 液晶表示装置(表示装置)
10 液晶モジュール
11 液晶パネル
12 液晶ドライバ
20 液晶コントローラ
30 タッチパネル
40 タッチパネルコントローラ(タッチパネル駆動装置)
41 タッチパネル駆動部(駆動手段)
42 タッチ位置検出部
43 走査禁止部(走査禁止手段)
50 ホストコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に用いられるタッチパネルを駆動する駆動手段を備えるタッチパネル駆動装置であって、
前記表示装置の走査信号線の駆動を禁止する走査禁止手段を備え、
前記駆動手段は、前記走査禁止手段が前記走査信号線の駆動を禁止している期間に前記タッチパネルを駆動することを特徴とするタッチパネル駆動装置。
【請求項2】
前記タッチパネルへのタッチ入力が検出された時点から、タッチ入力が検出されなくなって所定時間経過した時点までの第1の期間では、前記駆動手段は、前記走査禁止手段が前記走査信号線の駆動を禁止している期間に前記タッチパネルを駆動し、
第1の期間以外の第2の期間では、前記駆動手段は、各フレームの垂直帰線期間に前記タッチパネルを駆動することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル駆動装置。
【請求項3】
タッチパネルと、当該タッチパネルを駆動するタッチパネル駆動装置とを備える表示装置であって、
前記タッチパネル駆動装置として、請求項1または2に記載のタッチパネル駆動装置を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
複数の表示画素と、各表示画素に接続されるTFTとを備え、
前記TFTのチャネル層が、インジウム、ガリウムおよび亜鉛を含む酸化物半導体で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
表示装置に用いられるタッチパネルの駆動方法であって、
前記表示装置の走査信号線の駆動を禁止する走査禁止ステップと、
前記走査信号線の駆動が禁止されている期間に前記タッチパネルを駆動する駆動ステップとを有することを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載のタッチパネル駆動装置の各手段としてコンピュータを動作させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97469(P2013−97469A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237998(P2011−237998)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】