説明

タッチ入力可能な画像表示装置、表示装置の制御装置、及びコンピュータプログラム

【課題】ページ単位での切替を行なう方法が直感的に理解でき、かつ誤操作があっても表示の不都合を防止できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】電子黒板は、タッチスクリーンと、マルチタッチ位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像をスクロールさせるスクロール部318,326と、マルチタッチ入力が検出された後、指が離れたことを検出し(310)、タッチ入力の移動量がしきい値以下か否かに応じて(330)、表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させる処理334と、画像を、マルチタッチ位置の移動方向にしたがって1ページ分切替える処理332とを選択的に行なうページ切替部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置と入力装置が一体化された、タッチ入力可能な画像表示装置に関し、特に、画像上を複数の指等でタッチしてスライドさせることにより画像をページ単位で切替える画像表示装置、表示装置の制御装置、及びそのためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ入力可能な画像表示装置として、大画面の表示装置と、その表示装置上にユーザがタッチしたことを検出して画像を描画したり、何らかの処理をしたりするいわゆる電子黒板がある。電子黒板は、会議等において、議論に応じて出席者の意見をまとめたり、問題に対する好ましい解決策を見出したりする上で有用である。このような電子黒板として、様々な構成のものが実用化されている。特に、大型の表示画面を有する表示装置と、タッチパネル等の2次元における位置座標を検知する入力装置とを組合せ、コンピュータシステムとして構成された電子黒板装置が利用されている。
【0003】
一般的に、電子黒板装置は、ペン又は指等によって指定される位置座標及び移動量の情報を逐次読取り、読取った情報を元に入力の軌跡を表示装置に表示する。これによって、電子黒板装置は手書き入力等の、電子黒板としての動作を実現している。
【0004】
電子黒板の利点は、複数画面に分けて画像を表示したり、書込んだりすることができるという点である。そのような画像において表示される各単位は、本等からのアナロジーで、「ページ」と呼ばれる。
【0005】
複数ページの画像を表示可能な電子黒板では、ページの切替をいかに簡単に行なうかが問題である。最も簡単な方法は、画面にページ切替用のボタンを設けておくというものである。しかしこの方法では、特に画面が大きくなると、ユーザの位置によってはボタンが押しにくくなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、ボタンだけではなく、画面上に例えば指を触れてスライドさせることで、画面の切替を行なう方法が考えられた。この場合、単純な方法では、この操作は描画の操作と同じになってしまう。そのため、両者を区別するため、後掲の特許文献1は、複数の指等で画面がタッチされ(いわゆる「マルチタッチ」)、かつその複数のタッチ位置が同じ方向に所定値以上スライドされたときに、画面を切替える装置を提案している。
【0007】
この考え方をさらに発展させたものとして、後掲の特許文献2及び特許文献3に開示された方法がある。特許文献2に開示された方法では、タッチしてスライドする操作があったときにページめくりを行ない、タッチする指の本数(タッチ箇所の数)で、1度にめくるページ数を変えている。特許文献3に開示された方法では、表示面にタッチしている指の本数とその動きとに応じて、画像のスクロール、ページめくり、カーソル移動等が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−102274号公報
【特許文献2】特開平8−76926号公報
【特許文献3】特開平9−231004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1〜特許文献3に開示されたものによれば、タッチしてスライドするという簡単な操作によりページめくりを行なうことができる。しかし、依然として解決すべき問題がある。それは、通常の入力をしているときに誤ってページめくりされてしまう場合があるということである。特に、指先を使用して入力をしているときには、使用している指と異なる指が画面に接触してマルチタッチのスライド入力として検知され、その結果、意図しないページめくりが発生してしまうという危険性がある。そこで、そのような誤入力があったとしても、意図しないページめくりの発生を防止できるような仕組みが望まれている。一方で、どのような入力をすればページめくりを行なうことができるかがユーザに容易に理解できるような仕組みも必要である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、マルチタッチを用いた画面でページ単位での切替を行なう方法がユーザに直感的に理解でき、かつそのような場合に誤操作があっても表示の不都合を防止できる、タッチ入力可能な画像表示装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、マルチタッチを用いた画面でページ単位での切替を行なう方法がユーザに直感的に理解でき、かつその切替の操作が容易な、タッチ入力可能な画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の局面に係る、タッチ入力可能な画像表示装置は、表示面を有し、当該表示面上にページ単位の画像をページ単位で表示し、表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出するタッチ検出手段と、タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出された後、タッチ入力の個数が減少したことをタッチ検出手段の出力から検出し、タッチ入力の移動量が第1のしきい値以下か否かに応じて、表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させる処理と、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替える処理とを選択的に行なう第1のページ切替手段とを含む。
【0013】
複数の指で表示面にタッチする、いわゆるマルチタッチがタッチ検出手段により検出され、その位置が同一の方向に移動すると、スクロール手段が、画面をその方向にスクロールさせる。したがって、マルチタッチによるスライド操作で画面をスクロール可能であることがユーザに直感的に分かる。一方、第1のしきい値以下までマルチタッチでスライドしてからマルチタッチの個数が減少すると、その時点までのスクロールがスクロール前の状態に復帰する。誤って複数の指で表示面を触ってスライドさせてしまったときでも、すぐに気が付いて指を離せば元の画面に復帰させることができる。第1のしきい値を越えてマルチタッチをスライドさせてから指を離すと、画面が1ページ分、スライド方向に応じて切替えられる。したがって、マルチタッチのスライド操作という簡単な操作で画面のページ切替を行なうことができる。
【0014】
この結果、マルチタッチを用いた画面でページ単位での切替を容易に行なえることがユーザに分かり易く、かつそのような場合に誤操作があっても表示の不都合を防止できる、タッチ入力可能な画像表示装置を提供できる。
【0015】
好ましくは、タッチ入力可能な画像表示装置はさらに、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、複数のタッチ入力の移動量が第1のしきい値より大きな第2のしきい値より大きくなったことに応答して、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替える第2のページ切替手段を含む。
【0016】
第1のしきい値を越えて、さらに第2のしきい値を越えるまでマルチタッチによるスライド操作を行なうと、自動的にスライド方向に応じて画像の表示が切替えられる。マルチタッチによるスライド操作を中断しなくても画像の表示の切替を行なうことができる。
【0017】
より好ましくは、第1のページ切替手段は、複数のタッチ入力が全てなくなったことが検出されたことに応答して動作する。
【0018】
マルチタッチの全ての指を表示面から離すという単純な操作をしたときに、画像を1ページ分切替えるか、元の状態に復帰させるかが判定される。ユーザは、複雑な操作をすることなく、画像を切替えるべきか否かを制御できる。
【0019】
さらに好ましくは、スクロール手段によるスクロール量は、複数のタッチ入力の位置の、スクロール手段によるスクロール方向に沿った移動量にしたがって定められる。
【0020】
本発明の第2の局面に係る、表示装置の制御装置は、表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置とともに使用される、表示装置の制御装置である。この表示装置の制御装置は、表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し表示装置に与えるスクロール手段と、表示装置により複数のタッチ入力が検出された後、タッチ入力の個数が減少したことを表示装置の出力から検出し、タッチ入力の移動量が第1のしきい値以下か否かに応じて、表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させるようにページ画像データを生成する処理と、表示面上の画像が、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えられるようにページ画像データを生成する処理とを選択的に行ない、生成されたページ画像データを表示装置に送信するページ切替手段とを含む。
【0021】
本発明の第3の局面に係るコンピュータプログラムは、表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置に接続されるコンピュータにおいて、当該コンピュータを、表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し表示装置に与えるスクロール手段と、表示装置により複数のタッチ入力が検出された後、タッチ入力の個数が減少したことを表示装置の出力から検出し、タッチ入力の移動量が第1のしきい値以下か否かに応じて、表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させるようにページ画像データを生成する処理と、表示面上の画像が、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えられるようにページ画像データを生成する処理とを選択的に行ない、生成されたページ画像データを表示装置に送信するページ切替手段として機能させる。
【0022】
本発明の第4の局面に係る、タッチ入力可能な画像表示装置は、表示面を有し、当該表示面上にページ単位の画像をページ単位で表示し、表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出するタッチ検出手段と、タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、ページ切替手段によるページの切替前に複数のタッチ入力の個数が減少したことをタッチ検出手段の出力から検出して、スクロール手段による画像のスクロールをスクロール前の状態に復帰させる復帰手段とを含む。
【0023】
タッチ検出手段により、複数のタッチ位置が検出され、それらの位置が同一の方向に移動すると、スクロール手段が画面をタッチ位置の移動方向に沿って移動させる。したがって、いわゆるマルチタッチによりページの切替が可能なことが直感的に理解できる。さらに、そのまま複数のタッチ位置が同じ方向に移動してしきい値を超えると、スクロールの途中で画面の表示がタッチ位置の移動方向にしたがって切替えられる。いわゆるマルチタッチという簡単な操作で、画面を切替えることができる。しかもそのために、マルチタッチしている指等を表示面から離すことなく、タッチ位置を引続き移動させるだけでよい。また、ページの切替が行なわれる前にタッチ入力の個数が減少すると、スクロールが前の状態に復帰するので、ご操作があっても簡単に元の状態に復帰させることができる。
【0024】
その結果、マルチタッチを用いた入力でページ単位での切替を行なえることがユーザに分かり易く、かつページ単位での画面の切替が容易に行なえる、タッチ入力可能な画像表示装置を提供できる。
【0025】
本発明の第5の局面に係る、表示装置の制御装置は、表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置とともに使用される、表示装置の制御装置である。この制御装置は、表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し表示装置に与えるスクロール手段と、タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、ページ切替手段によるページの切替前に複数のタッチ入力の個数が減少したことをタッチ検出手段の出力から検出して、スクロール手段による画像のスクロールをスクロール前の状態に復帰させる復帰手段とを含む。
【0026】
本発明の第6の局面に係るコンピュータプログラムは、表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置に接続されるコンピュータにおいて、当該コンピュータを、表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し表示装置に与えるスクロール手段と、タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、表示面上に表示される画像を、複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、表示面上の画像を、複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、ページ切替手段によるページの切替前に複数のタッチ入力の個数が減少したことをタッチ検出手段の出力から検出して、スクロール手段による画像のスクロールをスクロール前の状態に復帰させる復帰手段として機能させる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、マルチタッチを用いた画面でページ単位での切替を容易に行なえることがユーザに直感的に理解でき、かつそのような場合に誤操作があっても表示の不都合を防止できる。さらに、マルチタッチのスライド操作という簡単な操作で画像を1ページ分切替えることができる。マルチタッチのスライド操作を中断したりする必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子黒板装置の構成の概要を示すブロック図である。
【図2】タッチ入力の検出方法の一例を示す図である。
【図3】表示画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の1実施の形態に係る電子黒板装置において、マルチタッチによるページ切替を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】本発明の1実施の形態において、マルチタッチでスライドする操作を示す図である。
【図6】本発明の1実施の形態において、マルチタッチで距離Dだけスライドさせた後、指を離す操作を示す図である。
【図7】本発明の1実施の形態において、マルチタッチで距離Dより大きな距離Dだけスライドさせた後、指を離す操作を示す図である。
【図8】本発明の1実施の形態において、マルチタッチで距離Dだけスライドさせてから指を離したときに表示される、ページ切替語の画面を示す図である。
【図9】本発明の1実施の形態において、マルチタッチで距離D3だけスライドさせたときの画面を示す図である。
【図10】図9に示す画面から画面が1ページ分切替えられた後も、さらにスライド操作が継続されたときの画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0030】
また、以下において、「タッチ」とは入力位置の検出装置が位置を検出可能な状態になることを意味し、検出装置に接触して押圧する場合、押圧せずに接触する場合、及び、接触せずに近接する場合を含む。後述するように、入力位置の検出装置には、接触型に限らず非接触型の装置を用いることもできる。非接触型の検出装置の場合には「タッチ」とは、入力位置を検出可能な距離まで検出装置に近接した状態を意味する。
【0031】
[構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る電子黒板装置100は、演算処理部(以下、CPUと記す)102、読出専用メモリ(以下、ROMと記す)104、書換可能メモリ(以下、RAMと記す)106、記録部108、インターフェイス部(以下、IF部と記す)110、タッチ検出部112、表示部114、表示制御部116、ビデオメモリ(以下、VRAMと記す)118、及びバス120を備えている。CPU102は、電子黒板装置100全体を制御する。
【0032】
ROM104は不揮発性の記憶装置であり、電子黒板装置100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。RAM106は、揮発性の記憶装置である。記録部108は、通電が遮断された場合にもデータを保持する不揮発性記憶装置であり、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等である。記録部108は着脱可能に構成されていてもよい。CPU102は、バス120を介してROM104からプログラムをRAM106上に読出して、RAM106の一部を作業領域としてプログラムを実行する。CPU102は、ROM104に格納されているプログラムにしたがって電子黒板装置100を構成する各部の制御を行なう。
【0033】
バス120には、CPU102、ROM104、RAM106、記録部108、IF部110、タッチ検出部112、表示制御部116、及びVRAM118が接続されている。各部間のデータ(制御情報を含む)交換は、バス120を介して行なわれる。
【0034】
IF部110は、ネットワーク等の外部との接続を行ない、ネットワークに接続されたコンピュータ等との間で画像データを送受信する。IF部110を介して外部から受信した画像データは、記録部108に記録される。
【0035】
表示部114は、画像を表示するための表示パネル(液晶パネル等)である。表示制御部116は、表示部114を駆動するための駆動部を備え、VRAM118に記憶された画像データを所定のタイミングで読出し、表示部114に画像として表示するための信号を生成して、表示部114に出力する。表示される画像データは、CPU102が記録部108から読出して、VRAM118に伝送する。
【0036】
タッチ検出部112は、例えばタッチパネルであり、ユーザによるタッチ操作を検出する。このとき、タッチ検出部112は、ユーザのタッチ位置が複数個あったときには、その各々についてその座標を逐次出力する。その結果、タッチ検出部112の出力を監視することにより、タッチ箇所の数と、その座標とを逐次知ることができる。タッチ検出部112にタッチパネルを用いる場合のタッチ操作の検出について、図2を参照して説明する。
【0037】
図2は、赤外線遮断検出方式のタッチパネル(タッチ検出部112)を示す。タッチパネルは、長方形の書込面の隣接する2辺にそれぞれ一列に配置された発光ダイオード列(以下、LED列と記す)200、202と、それぞれのLED列200、202に対向させて一列に配置された2つのフォトダイオード列(以下、PD列と記す)210、212とを備えている。LED列200、202の各LEDから赤外線を発光し、この赤外線を対向するPD列210、212の各PDが検出する。図2において、LED列200、202の各LEDから赤外線を上向き及び左向きの矢印で示す。
【0038】
タッチパネルは、例えばマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)(CPU、メモリ、入出力回路等を含む素子)を備え、各LEDの発光を制御する。各PDは、受光した光の強度に応じた電圧を出力する。PDの出力電圧は、アンプによって増幅される。また、各PD列210、212の複数のPDからは同時に信号が出力されるので、出力信号は一旦バッファに保存された後、PDの配列順序に応じたシリアル信号として出力され、マイコンに伝送される。PD列210から出力されるシリアル信号の順序は、X座標を表す。PD列212から出力されるシリアル信号の順序は、Y座標を表す。
【0039】
ユーザがタッチペン220でタッチパネル上の1点にタッチすると、タッチペン220のペン先によって赤外線が遮断される。したがって、遮断される前まで、その赤外線を受光していたPDの出力電圧は減少する。タッチされた位置(XY座標)に対応するPDからの信号部分が減少するので、マイコンは、受信した2つのシリアル信号の信号レベルが低下している部分を検出し、タッチされた位置座標を求める。マイコンは、決定した位置座標をCPU102に伝送する。このタッチ位置を検出する処理は、所定の検出周期で繰返されるので、同じ点が検出周期よりも長い時間タッチされていると、同じ座標データが繰返し出力される。タッチペン220を使用せずに、指でタッチ検出部112にタッチしても、同様にタッチされた位置を検出することができる。
【0040】
上記したタッチされた位置の検出技術は公知であるので、これ以上の説明は繰返さない。また、タッチ検出部112には、赤外線遮断方式以外のタッチパネル(静電容量方式、表面弾性波方式、抵抗膜方式等)を用いてもよい。なお、静電容量方式では、センサに近接していれば非接触でも位置を検出することができる。
【0041】
表示部114には、図3に示すような画面が表示される。表示部114の表示画面は、描画領域230と機能ボタン領域240とに区分されている。描画領域230は、ユーザがタッチ操作によって描画できる領域である。即ち、タッチされた点及びその移動軌跡のXY座標が、上記したようにタッチ検出部112からCPU102に伝送される。CPU102は、受信した座標データに応じて、VRAM118上の対応するメモリアドレスに所定値を書込む。VRAM118上の画像データの画素値を変更してもよいが、ここでは、VRAM118は、画像データを記憶する領域とは別に、描画データを記憶する領域(以下、オーバレイ領域とも記す)を備えているとする。この場合、例えば、オーバレイ領域の描画されていないメモリアドレスのデータを“0”として、CPU102は、描画位置に対応するメモリアドレスに“1”を書込む。表示制御部116は、画像データと描画データ(オーバレイ領域のデータ)とをスーパーインポーズして表示部114に表示する。即ち、描画データがある点(例えばオーバレイ領域に“1”が記録されている画素)では描画データを表示(予め設定された色を表示)し、描画データがない点(例えばオーバレイ領域に“0”が記録されている画素)では画像データを表示する。
【0042】
機能ボタン領域240には、各々特定の機能が割当てられた機能ボタン242が表示される。描画領域230の下部には、ページ操作領域250が表示される。この領域には、ページ送りボタン252、ページ戻しボタン254、及びページ番号表示欄256が表示される。ページ送りボタン252は、タッチされると、表示されているページ(画像データ)を右側に送り、次のページを表示するためのボタンである。ページ戻しボタン254は、タッチされると、表示されているページを左側に送り、前のページを表示するためのボタンである。ページ番号表示欄256には、表示対象の複数のページのうち、現在表示されているページの番号が表示される。
【0043】
ユーザが、ページ送りボタン252をタッチすると、タッチされた位置の座標データがタッチ検出部112からCPU102に伝送され、CPU102は、受信し座標データが、ページ送りボタン252が表示された領域内の位置であると判定する。そして、CPU102は、VRAM118に次のページの画像データを伝送し、表示制御部116に、ページ送りのコマンドを伝送する。これを受けて、表示制御部116は、VRAM118上の現在表示されているページに対応する画像データと、次ページに対応する画像データとから、ページ送りの途中の画像を表示するための信号を生成し、表示部114に出力する。これによって、表示部114に、ページ送りされている途中の画像が表示される。なお、ページ送りの途中では、現在表示されている画像の枠だけが表示部114の表示画面上で移動するような表示であってもよい。
【0044】
機能ボタン242に割当てられる機能は、例えば、タッチ操作による描画機能(ペンの種類を選択可能)、記録部108に保存されているファイル(画像データ)を開く機能、所定領域の描画を削除する消しゴム機能、表示されている画像データを記録部108に保存する機能、表示されている画像データを印刷する機能等である。各機能ボタン242は、アイコンとして表示される。
【0045】
図1に示すCPU102に実行されることにより、図1に示すハードウェアを用いて本実施の形態に係る電子黒板装置100のページ切替機能を実現するためのプログラムは、以下のような制御構造を有する。
【0046】
図4を参照して、このプログラムは、タッチ検出部112の出力を監視し、タッチ検出部112からユーザのタッチの検出出力があったことに応答して、制御の流れを次に進めるステップ300と、再度、タッチ検出部112の出力に基づき、新たな指のタッチ位置を検出して制御を次に進めるステップ302と、ステップ300及び302の結果に基づいて、ユーザによるタッチが2本以上の指で行なわれたマルチタッチか否かを判定するステップ304とを含む。本実施の形態で使用されるタッチ検出部112は、ユーザによるタッチに応答して、タッチの個数に応じた数の座標データを出力する機能を持つものである。したがって、タッチ検出部112の出力に基づいてこのような判定を行なうことができる。
【0047】
このプログラムはさらに、ステップ304の判定が肯定のときに、ステップ300及び302で検出されたタッチ位置をRAM106(図1参照)に記憶するステップ306を含む。マルチタッチが検出されているので、ここでは検出されたタッチの数に応じた数の座標値が記憶される。以後の処理では、検出されたタッチ位置ごとに、指の座標データが検出され、それらが一連のデータとしてRAM106内に配列として記憶される。
【0048】
このプログラムはさらに、ステップ308に続き、タッチ検出部112の出力から現在の指位置を検出するステップ308と、ステップ308での検出結果に基づき、マルチタッチのうちのいずれか1つでも検出出力がなくなった(すなわち指が1本でもタッチ検出部112から離された)か否かを判定するステップ310と、ステップ310の判定が肯定のときに、最後に検出された指位置のX座標とステップ306で記録された最初の指位置のX座標とを比較し、両者の差の絶対値がしきい値DTH1より大きいか否かを判定するステップ330とを含む。本実施の形態では、ページの移動方向は描画領域230(図3)の横方向に沿って行なわれるので、このように指位置のX座標が比較される。
【0049】
ステップ330の判定が肯定のときには、ステップ332において、指の移動方向に応じて、描画領域230に表示されるページを変更する。すなわち、指の移動方向が図3における左方向であれば、現ページの次のページを描画領域230に表示し、右方向であれば現ページの前のページを描画領域230に表示する。一方、ステップ330の判定が否定のときには、ステップ334において、描画領域230に表示されている画像のスクロールが解除される。本実施の形態では、後述するように、マルチタッチの状態で指を左右にスライドすると、画像がそれにつれて左右にスクロールする。したがって、スライドされた長さがしきい値DTH1以下であれば、画面表示を元の状態に戻す必要がある。ステップ334ではこのスクロールされた画像から、元のページが表示された状態に描画領域230の表示が戻される。ステップ332及びステップ334の処理の後、制御の流れはステップ300に戻り、次のタッチ位置の検出があるまで待機する。
【0050】
ステップ310の判定が否定のとき、すなわちマルチタッチの全ての位置が維持されていると判定されたときには、ステップ312において、ステップ308で検出された指の位置が、全て、ステップ306で記録された指の位置から見て左方向か否かを判定する。判定が肯定であれば、ステップ314でその移動量(X座標の差の絶対値)が算出され、その値がしきい値DTH2より大きいかか否かが判定される。本実施の形態では、このときのしきい値DTH2はステップ330におけるしきい値DTH1よりも大きい。また、本実施の形態では、移動量は、マルチタッチの指位置の移動量の全ての平均値である。
【0051】
ステップ314の判定が肯定なら、ステップ316において描画領域230に表示される画面を前の1ページの画像とする。すなわち、現在の画像が2ページ目なら、ステップ316の処理により1ページ目の画像が描画領域230に表示される。制御の流れはステップ300に戻る。一方、ステップ314の判定が否定なら、ステップ318において、ステップ314で指位置の移動量と同じ長さだけ、描画領域230に表示される画面を左方向にスクロールする。このとき、前のページが存在するなら、描画領域230の右側にはそのページの左端が表示される。制御の流れはステップ308に進む。
【0052】
ステップ312の判定が否定のときには、ステップ320において、ステップ308で検出された指の位置が、ステップ306で記録された指の位置から見て右方向か否かを判定する。判定が肯定であれば、ステップ322でその移動量(X座標の差の絶対値)が算出され、その値がしきい値DTH3より大きいか否かが判定される。このときのしきい値はステップ314におけるしきい値DTH2と等しい。
【0053】
ステップ322の判定が肯定なら、ステップ324において描画領域230に表示される画面を次の1ページの画像とする。すなわち、現在のページが2ページ目なら、3ページ目の画像が描画領域230に表示される。制御の流れはステップ300に戻る。一方、ステップ322の判定が否定なら、ステップ326において、ステップ322で算出された指位置の移動量と同じ長さだけ、描画領域230に表示される画面を右方向にスクロールする。このとき、次のページが存在するなら、描画領域230の左側にはそのページの右端が表示される。制御の流れはステップ308に進む。
【0054】
ステップ320の判定が否定のとき、すなわち指位置のX座標に変化がないときには、制御はステップ328に進む。ステップ328では、指位置のX座標及びY座標の値、又はその履歴に応じて予め定められた処理が実行される。ステップ328で行なわれる処理としては、例えば特定のボタンをマルチタッチで押したとき、特定の複数のボタンをマルチタッチしたとき、指の間隔を広げるいわゆるピンチアウト、指の間隔を狭めるいわゆるピンチイン、等に伴う表示のアップデートの操作がある。ステップ328ではそのような処理を行なう。ステップ328での処理内容は本発明とは関係がないので、説明を明確にするため、ここではその詳細な説明は行なわない。ステップ328の後、制御の流れはステップ308に戻る。
【0055】
以上が、マルチタッチ時の処理を実現するルーチンの制御構造である。
【0056】
一方、ステップ304で、検出された指位置が1箇所でありマルチタッチではないと判定されたときには、ステップ336以下の処理が実行される。ステップ336では、指がタッチ検出部112の描画領域230から離れたか否かが判定される。
【0057】
ステップ336の判定が肯定ならステップ338で、ステップ300で検出されたタッチの開始時の指位置と、ステップ304で指が離れたことが検出される直前の指位置とに基づき、それら位置に応じた処理が実行される。例えば図4に示す機能ボタン242、ページ送りボタン252、ページ戻しボタン254を押したときの処理がこれに相当する。この後、制御の流れはステップ300に戻り、次のタッチが検出されるまでタッチ検出部112の出力が監視される。
【0058】
ステップ336の判定が否定のときには、指位置が1箇所だけ、引続き検出されているということである。この場合、ステップ340で、検出された指位置が描画領域230の内部か否かが検出される。ステップ340の判定が固定であれば、ステップ342で、指位置に、そのときの描画設定にしたがった描画が行なわれる。制御の流れはステップ302に戻る。ステップ340の判定が否定であれば、描画をする必要がないため、制御は直接にステップ302に戻る。
【0059】
[動作]
電子黒板装置100は以下のように動作する。以下の説明では、主としてページ送りに関する電子黒板装置100の動作について説明する。本発明と特に関連しない部分についての動作については、詳細な説明はここでは行なわない。
【0060】
図5を参照して、表示部114の画面には書類の第3ページ目が表示されているものとする。ここで、ユーザ380が表示部114の表示面に2本の指でタッチし、矢印382により示すように右方向にスライドしたものとする。このスライド量が、しきい値DTH1より小さな距離Dであるものとする。
【0061】
図4を参照して、このときのプログラムの制御の流れを説明する。ステップ300で最初の指位置が検出され、ステップ302で引続いて次の指位置が検出される。ここではマルチタッチなので、ステップ304の判定はYESとなる。ステップ306で最初にタッチされたときの2箇所の指位置がRAM106に記憶される。ステップ308で現在の指位置が再度検出される。ユーザが図5に示すようにスライドを続けているものとすると、ステップ310の判定は否定である。したがってステップ312で、2箇所の指位置が左方向に移動しているか否かが判定される。ここでは2箇所の指位置がいずれも右方向に移動している。したがって判定は否定となる。この結果、制御はステップ320に進む。ステップ320では、指位置が右方向に移動しているか否かが判定される。図5に示す状態ではこの判定は肯定となる。したがって、次にステップ322で指の移動量がしきい値DTH1より大きいか否かが判定される。繰返しの最初では移動量はしきい値DTH1より小さい。したがって判定は否定となる。その結果、ステップ326で指の移動量(2箇所の指位置の移動量の平均)に等しい量だけ、画面を右にスクロール表示する。この後、制御はステップ308に戻り、次の繰返し処理が開始される。
【0062】
ユーザがスライドを続けると、上記した処理が何回も繰返される。その結果、指の移動した距離Dがしきい値DTH1以下であれば、表示部114の表示は、図6に示すようになる。図6を参照して、ユーザ380が表示面にタッチしたのち、距離D(≦DTH1)だけスライドしたものとする。画面はこの距離Dと同じだけ右方向にスクロールされる。その結果、画面の左端には、次のページの画像の右端部396が表示される。
【0063】
ユーザが距離D(≦DTH1)だけスライドした位置392において、矢印390により示すようにスライドを中断し、指を表示面から離したものとする。この場合、図5のステップ310の判定が肯定となり、制御はステップ330に進む。距離D≦DTH1なのでステップ330の判定は否定となり、ステップ394でスクロールが解除される。その結果、画面は図5に示す状態に復帰する。
【0064】
一方、図7を参照して、ユーザ380が距離D(ただしDTH1<D≦DTH2とする。)だけスライドした位置416で矢印412により示すようにスライドを中断し、指を表示面から離したものとする。指を放す直前には、図6の場合と同様、画面の左端には、次のページの画面の右端部418が表示される。右端部418の幅は、距離Dとほぼ等しい。指を離すと、この場合、図5のステップ310の判定が肯定となり、以下制御はステップ330、332と進む。ステップ332において、右方向に画面を1ページだけ進ませる処理が行なわれる。すなわち、図7において矢印420により示されるように、次のページの画像が右方向に1ページ分だけスクロールされ、図8に示すように次のページが表示部114に表示される。図7及び図8に示す例では、画面の移動前が3ページ目、移動後が4ページ目の画面になっている。
【0065】
この後、図4を参照して、制御はステップ300に進み、CPU102は、次にユーザが画面をタッチするまでタッチ検出部112の出力を監視する処理を行なう。
【0066】
ここで、ユーザが図6とは異なり、距離Dだけスライドしてもスライドを中止せず、さらに右方向にスライドを続けた場合を考える。この場合、ステップ310の判定は肯定となり、制御はステップ312、320及び322に進む。図9を参照して、スライドされた距離DがD≦DTH2を満たす間は、ステップ322の判定は否定である。したがってステップ326で距離Dだけ画面が右方向にスクロールされた状態となる。図9に示す例では、画面の左端に、次の画面の右端部444が表示されている。右端部444の幅は距離Dとほぼ等しい。制御はステップ308に戻り、次の繰返しが開始される。
【0067】
この状態でさらにユーザ380が右方向にスライドを続け、距離Dがしきい値DTH2より大きくなったものとする。ステップ322の判定が肯定となり、ステップ324で画面が1ページ分右側に進められる。すなわち、図10に示すように、第4ページ目の画面が表示部114に表示される。制御はステップ324からステップ300に戻り、次のユーザのタッチ位置の検出が行なわれる。ユーザ380が矢印460により示されるようにそのまま右方向にスライドを続けるものとすると、ステップ300でこのユーザのスライドが新たなタッチとして検出される。したがって、ステップ300、302、304の処理を経て、ページの切替が行なわれた時点でのユーザ380のタッチ位置を先頭位置として、既に述べた動作が繰返される。
【0068】
以上の説明は、ユーザが右方向にスライドしたときについてのものであるが、左方向のときも同様の動作が行なわれることは以上の説明から明らかなので、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0069】
なお、マルチタッチで上下方向へのスライド、ピンチアウト、ピンチイン等が行なわれたときには、スライドが行なわれている間、図4においてステップ310,312、320,328と制御が流れ、ユーザの操作に応じた処理が実行される。シングルタッチで何らかの操作が行なわれたときには、ステップ304からステップ336に制御が進む。指が離されるまでは、描画領域230内での操作であればステップ340からステップ342の処理で指位置に描画が行なわれる。描画領域230の外での操作であれば、本実施の形態では何も行なわれない。
【0070】
シングルタッチで指が離されると、制御はステップ304、336からステップ338に進む。ステップ338では、最初に検出された指位置と、指が離される直前の指位置とに基づいて、それらに応じた処理が行なわれる。例えば機能ボタン242のいずれかにユーザが指を接触させ、離したときには、ステップ338ではその機能ボタン242に対応して予め決められた処理が実行される。
【0071】
以上のとおり、本実施の形態に係る電子黒板装置100によれば、ユーザがマルチタッチをして画面上で横方向にスライドをした場合、次のように動作する。スライド中には、スライド量にあわせて画面をスクロールする。距離Dだけ移動した後、指を離したとき、その距離Dがしきい値DTH1以下であれば、スクロールを解除し、スライド前の状態に画面を戻す。距離Dがしきい値DTH1より大きければ、画面を1ページ分移動させる。上記実施の形態では、右方向にスライドしたときには次のページが表示され、左方向にスライドしたときには前のページが表示される。
【0072】
上記したしきい値DTH1より長い距離にわたりユーザがスライドをした場合、スライド距離DがDTH2以下であればページの切替はされず、スライド量に応じた画面のスクロールが行なわれる。距離Dがしきい値DTH2より大きくなると、自動的にページの切替が行なわれる。以下、スライドが引続き行なわれる、新たにスライドが開始されたのと同じ動作が実行される。
【0073】
本実施の形態によれば、マルチタッチでスライドしたときには、画面がスクロールされる。したがってユーザは、マルチタッチにより画面がスクロール可能であることが直感的に理解できる。マルチタッチのスライド途中でマルチタッチの指を離すと、スライド量が少なければスクロールがキャンセルされ、元の画面に戻る。画面に書込をしているときに誤ってマルチタッチのスライド操作をしてしまっても、指を離せばすぐに画面が正常に戻るので、誤った操作をしたときでも書込操作に与える影響が少ない。一方、ある程度の距離をスライドした後に指を離すと、今度は次のページへの切替(ページ送り)が行なわれるので、ページ送りをマルチタッチによるスライド操作という直感的な操作で実現できる。さらに、指を離すことなくスライドを続けると、スライドを続けた状態で自動的にページ送りが実行され、さらにスライドを続行できる。したがって、連続したページ送りの操作が簡単になるという効果が得られる。
【0074】
上記実施の形態では、図4のステップ310において、マルチタッチの指の1本でも入力画面から離れたときにはスライドが終了したと判定している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。全ての指が離れて初めてスライドが終了したと判定するようにしてもよい。すなわち、スライドの開始時にマルチタッチであれば、以後はマルチタッチでなくなってもスライドを続行して上記実施の形態と同様の効果を得られるようにできる。
【0075】
また上記実施の形態では、マルチタッチか否かの判定を図5のステップ304で行ない、マルチタッチと判定されなかったときには描画等、ページ切替又はスクロールとは別の処理を実行している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば3本以上の指によるマルチタッチのときのみ、ページ切替又はスクロールの処理を行ない、2本以下の指によるタッチのときには、たとえ2本の指によるマルチタッチであってもページ切替又はスクロール以外の、描画等の処理を実行するようにしてもよい。一般的に、Nを1より大きな整数として、N本の指によるマルチタッチのときのみ、上記したページ切替又はスクロールの処理を行ない、N−1本以下の指によるタッチのときには、描画等、ページ切替又はスクロールの処理以外の処理を実行するようにしてもよい。
【0076】
さらに、距離Dの算出の仕方は上記実施の形態のように複数の指位置の移動量の平均値を用いることには限定されない。例えば、最初に検出された1つの指位置だけで移動量を算出するようにしてもよい。また、スライド時の指位置の移動速度の大小によって、上記したしきい値DTH1及びDTH2の値を変更するようにしてもよい。
【0077】
上記実施の形態では、スライド及びページめくりが画面の横方向(X軸方向)に沿ったものであることを前提としている。しかし本発明がそのような実施の形態に限定されるわけではないことは明らかである。例えば、スライド及びページめくりの方向が上下方向(Y軸方向)であってもよい。X軸方向とY軸方向との双方を考慮したスライドでもよい。すなわち、ななめ方向へのスライドが可能な実施の形態にも本発明を適用することができる。この場合、第1及び第2のしきい値は、X軸方向とY軸方向との双方について別々に定めても良いし、方向に関わらず同一にしてもよい。また、スライドの長さをX軸方向又はY軸方向の成分に分解することなく、スライド軌跡の長さ(始点と終点との距離)に基づいてページめくりするか否かを定めても良い。
【0078】
なお、上記実施の形態では、指で画面に描画したりスライドしたりする場合について説明したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば専用のペンを用いてもよい。タッチパネルにおけるタッチ位置の検出方式についても、複数の位置にタッチがあったことを検出できるものであればどのようなものでもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0080】
100 電子黒板装置
102 演算処理部(CPU)
104 読出専用メモリ(ROM)
106 書換可能メモリ(RAM)
108 記録部
110 インターフェイス部(IF部)
112 タッチ検出部
114 表示部
116 表示制御部
118 ビデオメモリ(VRAM)
120 バス
200、202 LED列
210、212 PD列
220 タッチペン
230 描画領域
240 機能ボタン領域
242 機能ボタン
250 ページ操作領域
252 ページ送りボタン
254 ページ戻しボタン
256 ページ番号表示欄
380 ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有し、当該表示面上にページ単位の画像をページ単位で表示し、前記表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出するタッチ検出手段と、
前記タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、
前記タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出された後、タッチ入力の個数が減少したことを前記タッチ検出手段の出力から検出し、タッチ入力の移動量が第1のしきい値以下か否かに応じて、前記表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させる処理と、前記表示面上の画像を、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替える処理とを選択的に行なう第1のページ切替手段とを含む、タッチ入力可能な画像表示装置。
【請求項2】
さらに、前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記複数のタッチ入力の移動量が前記第1のしきい値より大きな第2のしきい値より大きくなったことに応答して、前記表示面上の画像を、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替える第2のページ切替手段を含む、請求項1に記載の、タッチ入力可能な画像表示装置。
【請求項3】
前記第1のページ切替手段は、前記複数のタッチ入力が全てなくなったことが検出されたことに応答して動作する、請求項1又は請求項2に記載の、タッチ入力可能な画像表示装置。
【請求項4】
前記スクロール手段によるスクロール量は、前記複数のタッチ入力の位置の、前記スクロール手段によるスクロール方向に沿った移動量にしたがって定められる、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の、タッチ入力可能な画像表示装置。
【請求項5】
表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、前記表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置とともに使用される、表示装置の制御装置であって、
前記表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し前記表示装置に与えるスクロール手段と、
前記表示装置により複数のタッチ入力が検出された後、タッチ入力の個数が減少したことを前記表示装置の出力から検出し、タッチ入力の移動量が第1のしきい値以下か否かに応じて、前記表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させるようにページ画像データを生成する処理と、前記表示面上の画像が、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えられるようにページ画像データを生成する処理とを選択的に行ない、生成されたページ画像データを前記表示装置に送信するページ切替手段とを含む、表示装置の制御装置。
【請求項6】
表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、前記表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置に接続されるコンピュータにおいて、当該コンピュータを、
前記表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し前記表示装置に与えるスクロール手段と、
前記表示装置により複数のタッチ入力が検出された後、タッチ入力の個数が減少したことを前記表示装置の出力から検出し、タッチ入力の移動量が第1のしきい値以下か否かに応じて、前記表示面上の画像をスクロール前の状態に復帰させるようにページ画像データを生成する処理と、前記表示面上の画像が、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えられるようにページ画像データを生成する処理とを選択的に行ない、生成されたページ画像データを前記表示装置に送信するページ切替手段として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項7】
表示面を有し、当該表示面上にページ単位の画像をページ単位で表示し、前記表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出するタッチ検出手段と、
前記タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、
前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、前記表示面上の画像を、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、
前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記ページ切替手段によるページの切替前に前記複数のタッチ入力の個数が減少したことを前記タッチ検出手段の出力から検出して、前記スクロール手段による画像のスクロールをスクロール前の状態に復帰させる復帰手段とを含む、タッチ入力可能な画像表示装置。
【請求項8】
表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、前記表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置とともに使用される、表示装置の制御装置であって、
前記表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し前記表示装置に与えるスクロール手段と、
前記タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、
前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、前記表示面上の画像を、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、
前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記ページ切替手段によるページの切替前に前記複数のタッチ入力の個数が減少したことを前記タッチ検出手段の出力から検出して、前記スクロール手段による画像のスクロールをスクロール前の状態に復帰させる復帰手段とを含む、表示装置の制御装置。
【請求項9】
表示面を有し、当該表示面上に、外部から受けた画像を表示し、前記表示面上の位置を指定するタッチ入力の位置及びその数を検出して外部に出力する表示装置に接続されるコンピュータにおいて、当該コンピュータを、
前記表示装置により複数のタッチ入力が検出されたことが検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせた画像を生成し前記表示装置に与えるスクロール手段と、
前記タッチ検出手段により複数のタッチ入力が検出され、かつ表示面上でそれらの位置が同一の方向に移動したときに、前記表示面上に表示される画像を、前記複数のタッチ入力の位置の移動とともにスクロールさせるスクロール手段と、
前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記複数のタッチ入力の移動量がしきい値より大きくなったことに応答して、前記表示面上の画像を、前記複数のタッチ入力の移動方向にしたがって1ページ分切替えるページ切替手段と、
前記スクロール手段による画像のスクロールが行なわれているときに、前記ページ切替手段によるページの切替前に前記複数のタッチ入力の個数が減少したことを前記タッチ検出手段の出力から検出して、前記スクロール手段による画像のスクロールをスクロール前の状態に復帰させる復帰手段として機能させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−168620(P2012−168620A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27237(P2011−27237)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】