タッチ表面の端部領域におけるタッチ接触の選択的拒否
【課題】端部接触の拒否に対する幾つかの例外を設けることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にする。
【解決手段】タッチセンサパネルの端部領域でのタッチ接触の選択的拒否が開示される。
更に、端部接触の拒否に対する幾つかの例外を設けることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にすることができる。タッチセンサパネルの周囲の周りの端部帯域での接触は無視することができる。しかしながら、端部帯域での接触が閾距離又は速度を超えて移動する場合、これはジェスチャーの一部として認識することができる。種々の指のサイズに対応するために、端部帯域のサイズは、指又は親指の識別に基づいて修正することができる。更に、タッチセンサパネルの中心領域での接触が端部帯域での接触の移動を追跡する場合、端部帯域での接触はジェスチャーの一部として認識される。
【解決手段】タッチセンサパネルの端部領域でのタッチ接触の選択的拒否が開示される。
更に、端部接触の拒否に対する幾つかの例外を設けることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にすることができる。タッチセンサパネルの周囲の周りの端部帯域での接触は無視することができる。しかしながら、端部帯域での接触が閾距離又は速度を超えて移動する場合、これはジェスチャーの一部として認識することができる。種々の指のサイズに対応するために、端部帯域のサイズは、指又は親指の識別に基づいて修正することができる。更に、タッチセンサパネルの中心領域での接触が端部帯域での接触の移動を追跡する場合、端部帯域での接触はジェスチャーの一部として認識される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、コンピューティングシステムの入力デバイスに関し、更に具体的には、タッチセンサパネルの端部領域におけるタッチ接触の選択的拒否に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる2008年1月4日出願の米国暫定特許出願第61/019,220号及び2008年9月30日出願の米国特許出願第12/242,772号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
ボタン又はキー、マウス、トラックボール、タッチセンサパネル、ジョイスティック、タッチ画面、及び同様のものなどの、入力デバイスの多くのタイプは、現在のところ、コンピューティングシステムにおいてオペレーションを実行するのに利用することができる。特にタッチ画面は、オペレーションの容易さと汎用性並びに価格が下がりつつあることに起因して、益々人気が高まっている。タッチ画面は、タッチセンサパネルを含むことができ、タッチセンシティブ表面を有するクリアパネルとすることができる。タッチセンサパネルは、タッチセンシティブ表面がディスプレイ画面の可視範囲を覆うようにディスプレイ画面の前面に位置付けることができる。タッチ画面によって、ユーザは、指又はスタイラスを介してディスプレイ画面に単にタッチすることによって選択及びカーソル移動を行うことを可能にすることができる。一般に、タッチ画面は、ディスプレイ画面上のタッチ及びタッチの位置を認識することができ、コンピューティングシステムは、タッチを解釈した後、タッチ事象に基づいた動作を実行することができる。
【0004】
タッチセンサパネルは、複数の感知ライン(例えば縦列)上で交差する複数のドライブライン(例えば横列)によって形成されたピクセルのアレイとして実施することができ、ここでドライブ及び感知ラインは誘電材料によって分離されている。このようなタッチセンサパネルの実施例は、その内容が引用により本明細書に組み込まれる、2007年1月3日に出願された名称「Double−Sided Touch Sensitive Panel and Flex Circuit Bonding(両面タッチセンシティブパネル及びフレックス回路ボンディング)」の本出願人の同時係属の米国出願第11/650,049号で説明されている。
【0005】
しかしながら、指及び手のひらが偶発的にタッチセンサパネルと密接に近接することで、意図しないジェスチャーが認識され処理される可能性がある。これらの偶発的なタッチは、多くの場合、タッチセンサパネルが従来のキーボード又は機械ボタン又はバーのような、使用される他の入力デバイスから分離されているが隣接している場合に起こる可能性がある。更に、タッチセンサパネル自体が使用されている場合、手の固定(ジェスチャーの一部ではない)又はデバイスを保持するために使用されるなど、誤って指がパネルの端部に触れて検出される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,323,846号公報
【特許文献2】米国特許第7,046,230号公報
【特許文献3】米国特許出願第10/643,256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、意図しないオペレーションを最小限にするためのタッチセンサパネルの端部領域におけるタッチ接触(タッチ事象)の選択的拒否に関する。更に、端部接触の拒否に対する幾つかの例外を設けることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態では、タッチセンサパネルの周囲付近の端部帯域における接触を簡単に無視することができる。しかしながら、端部拒否に対する幾つかの例外が存在することができる。例えば、中心エリアと端部帯域の両方の接触は、幾つかの状況において端部帯域での接触をジェスチャーの一部として認識させることができる。他の実施形態では、端部帯域での接触が静止している場合には、これを無視することができる。しかしながら、端部帯域での接触が閾距離又は速度を超えて移動する場合には、これをジェスチャーの一部として認識することができる。
【0009】
同様に、トラックパッドの実施形態では、トラックパッドの下部領域内の接触が静止している場合には無視されるが、移動している場合にはジェスチャーの一部として認識することができる。種々の指のサイズに対応するために、1つ又はそれ以上の領域のサイズ(例えば、下部又は上部領域)を指又は親指の識別に基づいて修正することができる。
【0010】
タッチセンサパネルの中心又は主領域における接触が端部帯域又は下部領域での接触の移動を追跡する場合には、端部帯域又は下部領域での接触は無視することができず、代わりにジェスチャーの一部として認識することができる。更に、タッチセンサパネルの中心又は主領域でのジェスチャーの認識中に端部帯域又は下部領域に現われる接触は、ジェスチャーの一部として、或いはドラッグロック又はジェスチャーの変換などのオペレーションを実施するための制御入力として認識することができる。他の実施形態では、端部帯域で検出された2つ又はそれ以上の接触は、接触が一定の所定スペーシングを有する場合(例えば、その重心が1cmと3cmの間のX方向の距離を有する場合)、ジェスチャーとして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1a】本発明の1つの実施形態による端部拒否を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図1b】本発明の1つの実施形態による端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による端部拒否を実施する例示的なトラックパッドを示す図である。
【図3a】本発明の1つの実施形態による端部拒否及び端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図3b】本発明の1つの実施形態による同期移動を有する2つの接触の認識に基づいて端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図4】本発明の1つの実施形態によるドラッグロック機能を提供するために端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図5a】本発明の1つの実施形態による端部領域と主領域での接触に基づいて端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図5b】本発明の1つの実施形態によるピンチングジェスチャーを可能にするために端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図5c】本発明の実施形態による例示的な端部拒否の例外を示す図である。
【図5d】本発明の実施形態による端部拒否の実施例を示す図である。
【図6】本発明の1つの実施形態による可変幅端部帯域に対して端部拒否を用いる例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図7a】本発明の実施形態による統合されたピックボタン及びクリック領域を有する例示的なトラックパッド700を示す図である。
【図7b】本発明の実施形態による、2つよりも多いクリック領域を定義することができる図7aの実施形態の例示的な拡張を示す図である。
【図8】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためにタッチセンサパネルと共に動作可能な例示的なコンピューティングシステムを示す図である。
【図9a】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためのタッチセンサパネル及びコンピューティングシステムを含むことができる例示的な移動電話を示す図である。
【図9b】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためのタッチセンサパネル及びコンピューティングシステムを含むことができる例示的なデジタルメディアプレーヤーを示す図である。
【図9c】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためのタッチセンサパネル及びコンピューティングシステムを含むことができる例示的なパーソナルコンピュータを示す図である。
【図10】本発明の1つの実施形態による例示的なタッチパッド及びディスプレイを示す概略図である。
【図11】本発明の1つの実施形態による例示的な入力デバイスを示す斜視図である。
【図12A】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図12B】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図12C】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図12D】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図13】本発明の1つの実施形態によるコンピューティングデバイスに接続された例示的な入力デバイスを示す簡易ブロック図である。
【図14】本発明の1つの実施形態による例示的な入力デバイスを示す側面断面図である。
【図15】本発明の1つの実施形態による図12の例示的な入力デバイスを示す別の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の以下の説明では、本発明を実施することができる特定の実施形態を例証として示す添付図面について説明する。本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、構造上の変更を行い得る点を理解されたい。
【0013】
本発明は、意図しないオペレーションを最小限に抑えるためのタッチセンサパネルの端部領域でのタッチ接触の選択的拒否に関する。更に、端部接触の拒否に対する幾つかの例外を可能にすることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にすることができる。
【0014】
図1aは、本発明の実施形態による端部拒否を実装する例示的なタッチセンサパネル100を示す。端部帯域102(接触拒否領域)は、中心エリア104を囲むタッチセンサパネル100の外側境界に作成することができる。全ての接触(例えば指又は手のひら)が端部帯域102内で検出される場合には、接触を無視することができる。図1aの実施例では、タッチ画像106及び108が端部帯域102内に位置付けられた重心110及び112をそれぞれ有するので、接触を無視することができる。
【0015】
図1bは、本発明の実施形態による例示的なタッチセンサパネル100上で発生する可能性のある第2のシナリオを示す。図1bの実施例では、端部帯域102における接触116と共に接触114が中心エリア104で検出された場合、中心エリアと端部帯域の両方で接触を認識することができる。上述の基準(拒否又は認識基準)に従うこのシナリオにおける端部接触の認識は、端部帯域で始まる接触を有するピンチングジェスチャーなどの意図的なジェスチャーが無視されるのを防ぐことができる。
【0016】
しかしながら、中心エリア104でのポインティングなどのオペレーションを実行するのに指が使用されるときには、端部帯域102に偶発的に置かれたいわゆる「小指」又は他の指が認識される可能性があり、ポインティングジェスチャーの代わりに意図しないジェスチャーが実行される恐れがある。従って、本発明の他の実施形態では、接触114及び116が中心エリア104と端部帯域102の両方で検出された場合、及び端部接触116の重心118が閾量(例えば1mm)を超えて移動しなかった場合には、これを無視することができる。しかしながら、端部接触116がいずれかの方向で閾量を超えて移動した場合(中心エリアにおいて他の指が検出されなかった場合でも)には、これを認識することができ、ジェスチャーの一部とすることができる追跡可能な接触となる。この認識によってまた、端部帯域102内で行われるオペレーションの追跡が可能になる。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による端部拒否を実装するトラックパッド200の形式の例示的なタッチセンサパネルを示す。図2の実施例では、トラックパッド200に隣接して従来のキーボードスペースバー202及び機械的ピックボタン204が存在する。図2に示された例示的な偶発的なタッチは、スペースバー202上にあるがトラックパッド200上にも偶発的に置かれた親指206を含むことができる。208で検出された接触は、クリック又は他の動作が誤って生成されないように無視することができる。更に、トラックパッド200に偶発的にタッチしている小指210は無視することができ、ピックボタン204上に置かれているが214でトラックパッドの下部に覆い被さっている親指212は、意図しないピンチジェスチャーの一部として認識されないように無視することができる。
【0018】
図3aは、本発明の実施形態による端部拒否を実装する別の例示的なタッチセンサパネル300を示す。図3aの実施例では、タッチセンサパネル300は、幾つかの非ジェスチャー動作を行うために通常は確保しておくことができる下部領域302を含むことができる。例えば、下部領域302での指タップは、「クリック」又は選択機能として解釈することができる。従って、下部領域302での接触は、これらの機能を除く全ての目的に対して通常は無視することができる。これにも関わらず、幾つかの状況においては、ジェスチャーの一部として下部領域302での接触を認識させることが望ましい場合がある。
従って、本発明の幾つかの実施形態によれば、拒否又は認識基準に従って、下部領域内で発生した指として識別される接触304(すなわち、一定の閾サイズのタッチの非同心画像)は、重心306が静止している場合は無視することができるが、重心が静止でない場合にはジェスチャーの一部として認識することができる。タッチ事象の識別は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる「Method and Apparatus for Integrating Manual Input(マニュアル入力を統合するための方法及び装置)」という名称の米国特許第6,323,846号に開示されている。本明細書で定義される静止とは、重心の移動が計算された重心の中心から閾量よりも少ないか、或いはある速度閾値未満に留まることを意味する。瞬間ポジションとローパスフィルタ(LPF)平均ポジション値との間の差が一定の閾値を超える場合、重心は移動しており、もはや静止ではないと考えることができる。この基準を使用して、緩慢なドリフティング又はローリング運動を伴う接触は無視することができるが、速いドリフトは、ジェスチャーの一部として接触を認識させることができる。
【0019】
本発明の別の実施形態では、下部領域302又は上部領域316(又は他のいずれかの端部領域)のサイズは、特定の指によって接触が起こったという判断に基づいて動的に変えることができる。例えば、親指が下部領域302で検出された場合、タッチエリアの半径に基づいて下部領域を定める境界線308を上方に移動させ、下部領域のサイズを大きくすることができる。しかしながら、指が下部領域302で検出された場合に、境界線308を下方に移動させて下部領域のサイズを小さくすることもできる。同様の調節は、上部領域316、或いは他のいずれかの端部領域(例えば、左又は右側部領域)についても行うことができる。
【0020】
上述のように、下部領域302での接触は、主領域310とは無関係の非接触として扱うことができるが、幾つかの実施形態では、下部領域での接触は、主エリアでの接触と共に検出及び使用することができる。例えば、下部領域302での接触が主領域310での動きと同期或いは関連付けられた方式で移動する場合には、下部領域での接触は、ジェスチャーの一部として主領域での接触と共に認識することができる。
【0021】
図3bは、本発明の実施形態による同期された移動を有する2つの接触の認識を示している。図3bの実施例では、接触304及び312が互いに対して実質的に同期した方式で移動する場合、接触304は、ジェスチャーの一部として接触312と共に認識することができる。他の場合には、接触304は無視することができる。本明細書で定義されるように、「同期して」移動する2つの接触は、ほぼ同じ速度及び/又は方向(X及びY成分共に、或いはX成分のみ又はY成分のみ)で移動する重心を含むことができる。他の実施形態では、2つの接触の同期した移動は、同期したタッチダウンを含むことができる。
従って、2つの接触の1つが端部帯域内でタッチダウンすることができるとしても、この接触が、ある接触の主領域310でのタッチダウンとほぼ同時にタッチダウンする場合には、2つの接触をジェスチャーの一部として認識することができる。
【0022】
図4は、本発明の実施形態による別の例示的な端部拒否例外を示す。図4の実施例において、ロケーション(1)では、主領域410内の2つの指によって引き起こされた接触416及び418が意図されたドラッグ動作の一部として左側に移動する。ロケーション(2)では、接触416及び418が主領域410の最も左側の端部に達している。ドラッグオペレーションが継続する場合、ロケーション(3)では、親指を下部領域402に降ろして、接触420を生じさせることができる。この実施形態では、無視されるのではなく、2つの既存の接触416及び418により、接触420がジェスチャーのいわゆる「ドラッグロック」特徴として認識されるようにする。ドラッグロックが適所で行われると、2つの指を一時的にタッチセンサパネルから持ち上げて、ロケーション(4)で主領域410の中心に向けて再度タッチダウンさせることができ、ここで左方向へのドラッグオペレーションを続けることができる。この端部拒否例外はまた、主領域410における他のジェスチャーにも適用することができ、任意選択的に移動を伴う主領域での他の接触により、下部領域402での次の接触をジェスチャーの一部として認識させることができる点を理解されたい。或いは、下部領域402での次の接触は、主領域410で認識されたジェスチャーに変化を生じさせることができる。例えば、主領域410でのポインティング機能は、接触が下部領域402で検出されるか、或いは下部領域402から取り除かれるとすぐにドラッグ機能に変換することができる。
【0023】
図5aは、本発明の実施形態による別の例示的な端部拒否例外を示す。図5aでは、下部領域502で検出された静止した親指524に加えて主領域510で検出された指522が、指ドラッグジェスチャーの始まりとして認識することができ、親指が静止したまま指が移動する限りはそのまま維持することができる。
【0024】
図5bは、本発明の実施形態による更に別の例示的な端部拒否例外を示す。図5bでは、互いに向かって同時に移動する下部領域で検出された親指524に加えて主領域510で検出された指522が、ピンチジェスチャーの始まりとして認識することができる。
【0025】
図5cは、本発明の実施形態による別の例示的な端部拒否例外を示す。図5cでは、端部帯域(例えば、下部領域502)で検出された2つ又はそれ以上の接触528が、接触がある所定のスペーシングを有する(例えば、接触が、1cmと3cmの間のx方向の離隔距離を備えた重心を有する)場合、ジェスチャーとして解釈することができる。このように、例えば下部領域502でスクロールを開始する(次いで、530で示されるように上方向に移動する)2つの指は、端部またがりとして無視されるのではなく、ジェスチャーを直ちに開始することになる。
【0026】
一方、図5dは、ある領域において、端部帯域に起こった2つの接触が無視される場合があることを示している。図5dの実施例では、手のひらが端部にまたがる結果として起こった側部領域526での2つの接触532は、偶発的なスクロールが起動するのを防ぐために無視することができる。
【0027】
図6は、本発明の実施形態による、可変幅端部帯域602に対して端部拒否を用いる例示的なタッチセンサパネル600を示している。図6の実施例では、端部帯域602の幅は、接触606の外側半径に依存することができる。重心610が端部帯域602内に位置付けられる接触の大きな外側半径(ある閾値を超える)により、指先ではなく親指を良好に無視するために端部帯域がより大きくされるようにすることができる。閾値を超える外側半径の量又はパーセンテージを用いて、端部帯域602を拡大することができる。或いは、端部帯域602の幅は外側半径に依存しなくてもよく、その代わりに特定の指タイプの識別に基づくことができる。幾つかの実施形態では、可変幅端部帯域602は、不均一な幅を有することができ、タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って広くなり、タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の別の端部に沿って狭くなるようにすることができる。例えば、端部帯域602の下部領域602aは、側部領域602b及び602c並びに上部領域602dよりも大きな幅を有することができる。
【0028】
図7aは、本発明の実施形態による統合されたピックボタンを有する例示的なトラックパッド700を示す。図7aの実施例では、トラックパッド700は、トラックパッドをプッシュすることによって機械的に作動し、機械的なピックボタンを実装する「クリック」入力をもたらすことができる。統合されたピックボタンを有するトラックパッドは、以下の図10−15で説明する。
【0029】
図7aのトラックパッド700では、トラックパッドの表面上のあらゆる場所での十分な圧力によって、クリックを発生させることができ、従って、クリック自体は、クリックのロケーションを限定するものではない。よって、本発明の実施形態によれば、トラックパッド700上のタッチセンシングを利用して、クリックをどのように解釈すべきかを決定することができる。機械クリックが検出されると、クリックの解釈及び結果として得られる起動される機能は、タッチがトラックパッド上のどこで検出されたかに依存することができる。図7aの例示的な実施形態では、トラックパッド700は、一次クリック領域702と二次クリック領域704に区切られている。タッチがトラックパッドからの機械的クリックと共に一次クリック領域702上で検出されると、例えば左クリック動作を起動することができる。同様に、タッチがトラックパッドからの機械的クリックと共に二次クリック領域704上で検出されると、例えば右クリック動作を起動することができる。
トラックパッド700の区切りは、ファームウェアで実装することができる。
【0030】
図7aの実施例は、同じサイズの一次及び二次クリック領域702及び704を示す。
しかしながら、他の実施形態では、クリック領域のサイズ又はエリアは、意図される利用パターンを考慮し且つクリックが誤って解釈されるのを回避するために、同じでないサイズとすることができる。例えば、二次クリック領域704は一次クリック領域702よりも使用頻度が少ない可能性があるので、二次クリック領域の方をより小さくすることができ、及び/又はトラックパッド700の右下コーナーのようなクリックされる可能性が低い領域に二次クリック領域を位置付けることができる。
【0031】
図7bは、2つよりも多いクリック領域を定義することができる、図7aの実施形態の例示的な拡張を示す。図7bの実施例では、一次及び二次クリック領域702及び704に加えて、幾つかの機能キークリック領域706、708、及び710を定義することができる。これらの領域のいずれかにおけるタッチに加えたトラックパッド700のクリックにより、対応する動作を起動することができる。当業者であれば、区切りはファームウェアに実装されるので、あらゆる数の領域をあらゆる数の構成で用いることができる点を理解されるであろう。更なる実施形態では、これらの領域は、コンピューティングデバイスの特定の利用に応じて(例えば、実行されているアプリケーション又は表示されているユーザインターフェースに応じて)動的に変えることができる。
【0032】
上述の本発明の実施形態は、2007年1月3日に出願された「Double−Sided Touch Sensitive Panel and Flex Circuit Bonding(両面タッチセンシティブパネル及びフレックス回路ボンディング)」という名称の米国出願第11/650,049号に記載されているタイプのタッチセンサパネルを使用して実施することができる。2007年1月3日に出願された「Proximity and Multi−Touch Sensor Detection and Demodulation(近接及びマルチタッチセンサ検出及び復調)」という名称の米国出願第11/649,998号に記載されているタイプのセンスチャンネルを用いて、タッチアンドホバー事象を検出することができる。2006年7月3日に出願された「Identifying Contacts on a Touch Surface(タッチ表面上での接触の識別)」という名称の米国出願第11/428,522号、2007年5月31日に出願された「Multi−touch Input Discrimination(マルチタッチ入力区別)」という名称の米国出願第11/756,211号、及び2004年7月30日に出願された「Gestures for Touch Sensitive Input Devices(タッチセンシティブ入力デバイスのためのジェスチャー)」という名称の米国出願第10/903,964号に記載されるように、結果として得られるタッチの画像を更に処理して、タッチ事象のロケーション、指接触の識別、及びジェスチャーの識別を判断することができる。このパラグラフで参照される前述の出願の全ては、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる。
【0033】
図8は、上述の本発明の実施形態の1つ又はそれ以上を含むことができる例示的なコンピューティングシステム800を示す。コンピューティングシステム800は、1つ又はそれ以上のパネルプロセッサ802及び周辺装置804、並びにパネルサブシステム806を含むことができる。周辺装置804は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はメモリもしくは記憶装置の他のタイプ、ウオッチドッグタイマー、及び同様のものを含むことができる。パネルサブシステム806は、限定ではないが、1つ又はそれ以上のセンスチャンネル808、チャンネルスキャン論理810及びドライバ論理814を含むことができる。チャンネルスキャン論理810は、RAM812にアクセスし、センスチャンネルから自律的にデータを読み出し、センスチャンネルを制御することができる。更に、チャンネルスキャン論理810は、チャージポンプ815によって設定された電圧でタッチセンサパネル824のドライブラインに選択的に印加することができる種々の周波数及び位相の刺激信号816を生成するようドライバ論理814を制御することができる。幾つかの実施形態では、パネルサブシステム806、パネルプロセッサ802、及び周辺装置804は、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)に統合することができる。
【0034】
タッチセンサパネル824は、複数のドライブラインと複数の感知ラインとを有する静電容量感知媒体を含むことができるが、他の感知媒体も使用することができる。ドライブ及び感知ラインの各交点、近接性、又は準近接性は、静電容量感知ノードを表すことができ、更に画像素子(ピクセル)826としてみなすことができ、タッチセンサパネル824がタッチの「画像」の取り込みとみなされるときに特に有用とすることができる。(言い換えると、タッチ事象がタッチセンサパネルにおいて各タッチセンサで検出されたかどうかをパネルサブシステム806が判断した後、タッチ事象が起こったマルチタッチパネルにおけるタッチセンサのパターンは、タッチの「画像」(例えば、パネルに触れている指のパターン)としてみなすことができる。タッチセンサパネル824の各感知ラインは、パネルサブシステム806でのセンスチャンネル808(本明細書では事象検出及び復調回路とも呼ばれる)を駆動することができる。
【0035】
コンピューティングシステム800はまた、パネルプロセッサ802から出力を受け取り、出力に基づいて動作を実行するためのホストプロセッサ828を含むことができ、該動作には、限定ではないが、カーソル又はポインタなどのオブジェクトの移動、スクロール又パン、制御設定の調節、ファイル又は文書のオープン、メニューのビュー、選択の実施、命令の実行、ホストデバイスに結合された周辺デバイスの作動、電話への応答、電話発信、通話の終了、ボリューム又は音声設定の変更、アドレス、発呼頻度の高い電話番号、着信数、不在着信数などの電話通信に関する情報の記憶、コンピュータ又はコンピュータネットワークへのログオン、コンピュータ又はコンピュータネットワークの制限エリアへの認可された個人のアクセスの許可、コンピュータデスクトップのユーザの基本設定構成に関連するユーザプロファイルのロード、ウェブコンテンツへのアクセス許可、特定のプログラムの起動、メッセージの暗号化又は復号化、及び/又は同様のことを含むことができる。ホストプロセッサ828はまた、パネル処理に関連しない可能性のある付加的な機能を実行することができ、プログラム記憶装置832と、デバイスのユーザにUIを提供するためのLCDディスプレイなどのディスプレイデバイス830とに結合することができる。ディスプレイデバイス830及びタッチセンサパネル824は、タッチセンサパネルの下に部分的に又は全体的に位置付けられたときに、或いはタッチセンサパネルと部分的に又は全体的に統合されたときに、タッチ画面818を形成することができる。
【0036】
上述の機能の1つ又はそれ以上は、メモリ内に記憶されたファームウェア(例えば、図8の周辺装置804の1つ)によって実施し且つパネルプロセッサ802によって実行するか、或いは、プログラム記憶装置832内に記憶して、ホストプロセッサ828によって実行することができる点に留意されたい。ファームウェアはまた、何らかのコンピュータ可読媒体内に格納及び/又は移送し、コンピュータベースのシステム、プロセッサ包含システム、又は命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチして該命令を実行できる他のシステムのような命令実行システム、装置、又はデバイスによって、或いはこれらと共に使用することができる。この本明細書の関連において、「コンピュータ可読記憶媒体」は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって或いはこれらと共に使用するプログラムを包含又は格納することができる何らかの記憶媒体とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、限定ではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置又はデバイス、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気)、読出し専用メモリ(ROM)(磁気)、消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM)(磁気)、CD、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R、又はDVD−RWなどのポータブル光ディスク、或いはコンパクトフラッシュ(登録商標)カード、セキュアデジタルカード、USBメモリデバイス、メモリスティックなどのフラッシュメモリ、及び同様のものを含むことができる。
【0037】
ファームウェアはまた、何らかの移送媒体内で伝播し、コンピュータベースのシステム、プロセッサ包含システム、又は命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチして該命令を実行できる他のシステムのような命令実行システム、装置、又はデバイスによって、或いはこれらと共に使用することができる。本明細書の関連において、「移送媒体」は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって或いはこれらと共に使用するプログラムを伝達、伝播、又は移送することができるいずれかの媒体とすることができる。トランスポート可読媒体は、限定ではないが、電子、磁気、光学、電磁又は赤外線による有線又は無線伝播媒体を含むことができる。
【0038】
図9aは、本発明の実施形態による上述の端部拒否及び端部拒否例外を実施するためのタッチセンサパネル924及びコンピューティングシステム942を含むことができる例示的な移動電話936を示す。図9bは、本発明の実施形態による上述の端部拒否及び端部拒否例外を実施するためのタッチセンサパネル924及びコンピューティングシステム942を含むことができる例示的なデジタルメディアプレーヤー940を示す。図9cは、本発明の実施形態による上述の端部拒否及び端部拒否例外を実施するためのタッチセンサパネル(トラックパッド)924及びコンピューティングシステム942を含むことができる例示的なパーソナルコンピュータ944を示す。図9a、9b、及び9cの移動電話、メディアプレーヤー、及びパーソナルコンピュータは、有利には、上述の端部拒否及び端部拒否例外から恩恵を得ることができ、これは、これらの特徴の実施が、意図されないオペレーションを最小にしながら最大の機能性を提供できることに起因する。
【0039】
上述のように、本発明の幾つかの実施形態は、統合されたピックボタンを備えたトラックパッドを対象としている。統合されたピックボタンを備えたトラックパッドの1つの実施例を図10−15を参照して以下で説明する。しかしながら、統合されたピックボタンを有する他のトラックパッド又は入力デバイスもまた、本発明の実施形態の範囲内にある点を理解されたい。
【0040】
図10は、本発明の実施形態による例示的なタッチパッド及びディスプレイの概略図である。図10の実施例では、タッチセンシティブトラックパッド10は、保護/化粧シールド12と、保護シールド12の下に配置された複数の電極14とを含む小エリア(多くの場合しばしば矩形)エリアとすることができる。電極14は、例えばプリント回路基板(PCB)などの回路基板上に位置付けることができる。議論を簡単にするために、保護シールド12の一部は、電極14を見えるようにするために取り除かれている。異なる電極14又はその組合せは、異なるx、y位置を表すことができる。1つの構成では、指16(又は代替として、図示していないスタイラス)が電極グリッド14に近づくと、指は、指に近接した1つ又はそれ以上の電極と静電容量を形成することができ、或いは1つ又はそれ以上のこれらの電極間の既存の静電容量を変化させることができる。回路基板/感知電子装置(図示せず)は、このような静電容量の変化を測定して、ディスプレイ画面22を有するホストデバイス20(例えばコンピューティングデバイス)に送られる入力信号18を生成する。入力信号18は、ディスプレイ画面22上のカーソル24の移動を制御するのに使用される。図示のように、入力ポインタは、検出されたx、yの指の動きと同じx、y方向に移動する。
【0041】
図11は、本発明の実施形態による例示的な入力デバイスの概略斜視図である。入力デバイス30は、一般に、例えば、入力ポインタの移動、選択の実施、命令の提供などのためディスプレイ画面上で(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介した)動作を実行するために、情報又はデータを電子デバイス(図示せず)に送信するように構成されている。入力デバイスは、有線(例えば、ケーブル/コネクタ)又は無線接続(例えば、IR、ブルートゥースなど)を介して電子デバイスと対話することができる。
【0042】
入力デバイス30は、独立型ユニットとすることができ、或いは電子デバイスと統合することができる。独立型ユニットの場合、入力デバイスは通常、その固有の筐体を有する。電子デバイスと統合された場合、入力デバイスは通常、電子デバイスの筐体を使用する。いずれの場合においても、入力デバイスは、例えば、ネジ、スナップ、固定器具、接着材、及び同様のものなどにより筐体に構造的に結合することができる。場合によっては、入力デバイスは、例えばドッキングステーションなどを介して電子デバイスに取り外し可能に結合することができる。入力デバイスが結合される電子デバイスは、いずれかの消費者関連電子製品に相当することができる。例証として、電子デバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータもしくはPDA、音楽プレーヤーなどのメディアプレーヤー、移動電話などの通信デバイス、キーボードなどの別の入力デバイス、及び同様のもののようなコンピュータに相当することができる。
【0043】
図11に示されるように、入力デバイス30は、フレーム32(又は支持構造)とトラックパッド34とを含む。フレーム32は、入力デバイスの構成要素を支持するための構造を提供する。ハウジングの形態のフレーム32はまた、入力デバイスの構成要素を囲むか又は収容することができる。トラックパッド34を含む構成要素は、入力デバイス30を動作させるための電子、光学、及び/又は機械構成要素に相当することができる。
【0044】
トラックパッド34は、取り付けられた電子デバイスに関連付けられた種々のアプリケーションを制御するための1つ又はそれ以上の制御機能を提供するよう構成された直感的インターフェースを提供する。例証として、タッチ起動の制御機能を利用して、オブジェクトを移動させるか、又はディスプレイ画面上で動作を実行する、或いは電子デバイスの作動に関連付けられた選択の実施又はコマンドの送出を行うことができる。タッチ起動の制御機能を実施するため、トラックパッド34は、トラックパッド34の表面全体に渡って(例えば、直線的に、放射状に、角度的に、その他)移動する指(又はオブジェクト)から、トラックパッド34上の特定の位置を保持する指から、及び/又はトラックパッド34の特定の位置をタップする指による入力を受け取るように構成することができる。理解されるように、タッチパッド34は、容易な片手オペレーションを可能にし、すなわち1つ又はそれ以上の指によってユーザに電子デバイスと対話させるようにする。
【0045】
トラックパッド34は、広い範囲にわたって変えることができる。例えば、タッチパッド34は、直角座標系に基づく従来のトラックパッドとすることができ、或いはトラックパッド34は、極座標系に基づくタッチパッドとすることができる。極座標に基づくタッチパッドの実施例は、本明細書においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、2002年7月1日に出願された「TOUCH PAD FOR HANDHELD DEVICE(ハンドヘルドデバイスのためのタッチパッド)」という名称のZadesky他による米国特許第7,046,230号で見ることができる。
【0046】
トラックパッド34は、相対モード又は絶対モードで使用することができる。絶対モードでは、トラックパッド34は、タッチされている場所の絶対座標(例えば、直角座標系の場合のx、y、或いは極座標系の場合の(r,θ))をレポートする。相対モードでは、トラックパッド34は、変化の方向及び/又は距離(例えば、左/右、上/下、及び同様のこと)をレポートする。ほとんどの場合、トラックパッド34によって生成された信号は、トラックパッド34の表面全体を移動するときの指の方向と同じ方向にディスプレイ画面上の動きを向ける。
【0047】
トラックパッド34の形状は、広い範囲にわたって変えることができる。例えば、トラックパッド34は、円形、楕円、方形、矩形、三角形、及び同様のものとすることができる。一般に、トラックパッド34の外周は、トラックパッド34の作業境界を定める。図示の実施形態では、トラックパッドは矩形である。矩形のトラックパッドは、ラップトップコンピュータでは一般的である。円形トラックパッドでは、ユーザは、自由な形態で指を連続して回転させることができ、すなわち、中断することなく360度の回転により指を回すことができる。更に、ユーザは、全ての側部から接線方向にユーザの指を回転させ、従って、指位置のより大きな範囲を与えることができる。これらの特徴の両方は、スクロール機能を実行する際に、ポータブルメディアプレーヤー(カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPodメディアプレーヤー)で使用するのに有利な円形トラックパッドを提供する一助とすることができる。更に、トラックパッド34のサイズは一般に、ユーザによって容易に操作できるようにするサイズ(例えば、指先又はそれより大きいサイズ)に対応する。
【0048】
一般に堅固な平面プラットフォームの形式を取るトラックパッド34は、トラックパッドの操作のための指(又はオブジェクト)を受けるためのタッチ可能外側トラック表面36を含む。図11には示されていないが、タッチ可能外側トラック表面36の下には、指の圧力及び/又は動きのようなものを感知できるセンサ装置がある。センサ装置は通常、指がその上に乗る、そこをタップする、或いはそこを横切ると作動するように構成された複数のセンサを含む。最も単純な場合、指がセンサの上に位置付けられる度に電子信号が生成される。所与の時間フレームにおける信号の数は、トラックパッド34上の指のロケーション、方向、速度、及び加速度を示すことができ、すなわち信号が多い程、ユーザがより多く指を動かしていることになる。ほとんどの場合、信号は、信号の数、組合せ、及び頻度が、ロケーション、方向、速度、及び加速度情報に変換される電子的インターフェースによってモニターされる。次にこの情報を電子デバイスが使用して、ディスプレイ画面上で所望の制御機能を実行することができる。センサ装置は広い範囲にわたって変えることができる。例証として、センサは、抵抗感知、表面弾性波感知、圧力感知(例えば、歪みゲージ)、赤外線感知、光感知、分散信号技術、音響パルス認識、静電容量感知、及び同様のものに基づくことができる。
【0049】
図示の実施形態では、トラックパッド34は静電容量感知に基づく。一般的に知られているように、静電容量ベースのトラックパッドは、ユーザがトラックパッドの周りで指などのオブジェクトを移動させるときの静電容量の変化を検出するように配置されている。
ほとんどの場合、静電容量トラックパッドは、保護シールド、1つ又はそれ以上の電極層、回路基板、及び特定用途向け集積回路(ASIC)を含む関連の電子機器を含む。保護シールドは、電極の上に配置され、電極は、回路基板の上部表面上に実装され、ASICは、回路基板の下部表面上に実装される。保護シールドは、下層を保護し、指がスライドできるようにするための表面を提供する役割を果たす。表面は、一般に、指が移動時にくっつかないように滑らかである。保護シールドはまた、指と電極層との間の絶縁層を提供する。電極層は、複数の空間的に別個の電極を含む。いずれか好適な数の電極を用いることができる。ほとんどの場合、より高い解像度が得られるように電極の数を増やすことが望ましく、すなわち、加速度などの事柄に対してより多くの情報を使用することができる。
【0050】
静電容量感知は、静電容量の原理に従って作用する。理解されるように、2つの導電性部材が実際にタッチすることなく互いに接近するようになるときは必ず、これらの電界が相互作用して静電容量を形成する。上述の構成では、第1の導電性部材が電極の1つ又はそれ以上であり、第2の導電性部材が、例えばユーザの指である。従って、指がタッチパッドに近づくと、指と指に密接に近接した電極との間で極めて僅かな静電容量が形成される。電極の各々における静電容量は、回路基板の裏面に位置付けられたASICによって測定される。電極の各々における静電容量の変化を検出することによって、ASICは、タッチパッド全体に渡って移動するときの指のロケーション、方向、速度、及び加速度を決定することができる。ASICはまた、電子デバイスによって使用することができる形式でこの情報をレポートすることができる。
【0051】
1つの実施形態によれば、トラックパッド34は、信号の別のセット(トラッキング信号以外)を起動するようにフレーム32に対して移動可能である。例証として、堅固な平面プラットフォームの形態のトラックパッド34は、フレーム32に対して回転、枢動、スライド、並進、屈曲及び/又は同様のことを行うことができる。トラックパッド34は、フレーム32に結合することができ、及び/又はフレーム32によって移動可能に拘束することができる。例証として、トラックパッド34は、ネジ、アクセル、ピンジョイント、スライダジョイント、ボールソケット形ジョイント、屈曲ジョイント、マグネット、クッション、及び/又は同様のものを介してフレーム32に結合することができる。トラックパッド34はまた、フレームのスペース内で浮動させることもできる(例えば、ジンバル)。入力デバイス30は、動きの範囲を広げるため(例えば、自由度を大きくするため)に、枢動/並進ジョイント、枢動/屈曲ジョイント、枢動/ボールソケット形ジョイント、並進/屈曲ジョイント、及び同様のものなどのジョイントの組合せを更に含むことができる点に留意されたい。移動時には、タッチパッド34は、1つ又はそれ以上の信号を生成する回路を起動するように構成されている。回路は、一般に、スイッチ、センサ、エンコーダ、及び同様のものなどの1つ又はそれ以上の移動インジケータを含む。ジンバルトラックパッドの実施例は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる、「MOVABLE TOUCH PAD WITH ADDED FUNCTIONALITY(機能が追加された可動タッチパッド)」という名称で2003年8月18日に出願された特許出願第10/643,256号に見出すことができる。
【0052】
図示の実施形態では、トラックパッド34は、「ピッキング」動作を行う押下可能なボタンの形式を取る。すなわち、トラックパッド34全体の一部分は、1つ又はそれ以上の付加的なボタン機能がトラックパッド上をタップする又は別のボタン/別のゾーンを使用するのではなく、トラックパッド34を押すことによって実施できるように単一又は複数のボタンのように機能する。図12A及び12Bに示されるように、本発明の1つの実施形態によれば、トラックパッド34は、指38、手のひら、手、又は他のオブジェクトからの力がトラックパッド34に加えられたときに、直立(又はニュートラル)位置(図12A)と押下(又は作動)位置(図12B)との間で移動することができる。力は、ボタン信号の偶発的な作動を可能にするほど小さくすべきではないが、過度の圧力を必要とすることでユーザに不快感を与えるほど大きくすべきではない。トラックパッド34は通常、例えば、屈曲ヒンジ、バネ部材、又はマグネットなどを介して直立状態の位置に付勢される。トラックパッド34は、オブジェクトがトラックパッド34を押すことによって付勢に打ち勝ったときに作動位置に移動する。図12Cに示されるように、トラックパッド34は、作動位置がニュートラル位置に対して僅かに傾斜されるように一方端で枢動することができる。指(又は他のオブジェクト)がトラックパッド34から取り除かれると、付勢部材が、ニュートラル位置に向けて戻そうとする。シム又は他の構造(図示せず)は、トラックパッド34が戻るときにニュートラル位置を行き過ぎるのを防ぐことができる。例えば、フレーム32の一部は、ニュートラル位置でトラックパッド34を止めるように、トラックパッド34の一部の上に外方に延びることができる。このように、トラックパッド表面は、必要に応じてフレーム32と同一平面上に維持することができる。例えば、ラップトップコンピュータ又はハンドヘルドメディアデバイスでは、トラックパッドをコンピュータ又はデバイスのハウジングと同一平面に維持することが望ましいとすることができる。
【0053】
図12Aに示されるように、直立/ニュートラル位置において、トラックパッド34は、ユーザの指などのオブジェクトが、x、y平面においてタッチパッドの上部表面上を移動したときに、トラッキング信号を生成する。図12Aでは、直立状態としてニュートラル位置を示しているが、ニュートラル位置は、あらゆる向きにも定めることができる。図12Bに示されるように、押下位置(z方向)では、トラックパッド34は、1つ又はそれ以上のボタン信号を発生する。ボタン信号は、限定ではないが、選択の実施、或いは電子デバイスを動作させることに関連するコマンドの送出を含む、種々の機能に対して使用することができる。例証として、音楽プレーヤーの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、曲の再生、曲の早送り、メニューのシーク、及び同様のことに関連付けることができる。ラップトップコンピュータの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、テキストの選択、アイコンの選択、及び同様のことに関連付けることができる。図12Dに示されるように、入力デバイス30は、トラッキング信号とボタン信号の両方を同時に提供するよう構成することができ、すなわち、トラック表面に沿って接線方向に(すなわち、x、y方向に)移動しながら、タッチパッド34をz方向に押下することができる。他の場合では、入力デバイス30は、タッチパッド34が押下されたときにボタン信号のみを提供し、タッチパッド34が直立状態であるときにトラッキング信号のみを提供するよう構成することができる。
【0054】
詳細に説明すると、トラックパッド34は、1つ又はそれ以上の移動インジケータを作動させるよう構成され、該インジケータは、トラックパッド34が作動位置に移動したときにボタン信号を発生することができる。移動インジケータは通常、フレーム32内に位置付けられ、トラックパッド34及び/又はフレーム32に結合することができる。移動インジケータは、スイッチとセンサのいずれかの組合せとすることができる。スイッチは一般に、作動(オン)又は作動停止(オフ)などのパルス又はバイナリデータを提供するよう構成されている。例証として、トラックパッド34の下面部分は、ユーザがトラックパッド34を押したときにスイッチに接触又は係合する(従って作動する)ように構成することができる。他方、センサは一般に、連続的又はアナログ的なデータを提供するよう構成されている。例証として、センサは、ユーザがトラックパッド34を押したときにフレームに対してタッチパッド34の傾斜の位置又は量を測定するよう構成することができる。好適なあらゆる機械、電気及び/又は光学スイッチ又はセンサを使用することができる。例えば、タクトスイッチ、力感知抵抗、圧力センサ、近接センサ、及び同様のものを用いることができる。
【0055】
図10−12に示されるトラックパッド10及び30は、幾つかの実施形態においてマルチタッチトラックパッドとすることができる。マルチタッチは、タッチ表面(画面、テーブル、壁部、その他)又はタッチパッド、並びに1つのタッチポイントのみを認識する標準的なタッチ画面(例えば、コンピュータタッチパッド、ATM)とは対照的に、複数の同時タッチポイントを認識するソフトウェアからなる。この作用は、限定ではないが、静電容量感知、抵抗感知、表面弾性波感知、熱、指圧力、高キャプチャレートカメラ、赤外光、光キャプチャ、同調電磁誘導、及びシャドーキャプチャを含む様々な手段を介して達成される。マルチタッチ移動電話の実施例は、カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPhoneである。マルチタッチメディアデバイスの実施例は、Apple Inc.によって製造されたiPod Touchである。マルチタッチトラックパッドを有するラップトップコンピュータの実施例は、Apple Inc.によって製造されたMacBook Air及びMacBook Proである。本明細書で記載される入力デバイスの全ては、幾つかの実施形態ではマルチタッチ技術を利用することができ、或いは、本明細書で記載される入力デバイスは、シングルタッチトラックパッドを利用してもよい。
【0056】
図13は、本発明の1つの実施形態によるコンピューティングシステム39の簡略ブロック図である。コンピューティングシステムは、一般に、コンピューティングデバイス42に動作可能に接続された入力デバイス40を含む。例証として、入力デバイス40は一般に、図11及び12に示される入力デバイス30に対応することができ、コンピューティングデバイス42は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、メディアプレーヤー、移動電話、スマートフォン、ビデオゲーム、又は同様のものに対応することができる。図示のように、入力デバイス40は、押下可能なトラックパッド44及び1つ又はそれ以上の移動インジケータ46を含む。トラックパッド44は、トラッキング信号を生成するように構成され、移動インジケータ46は、トラックパッド44が押下されたときにボタン信号を生成するよう構成されている。トラックパッド44は広い範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド44は、静電容量センサ48と、センサ48からの位置信号を収集して、該信号をコンピューティングデバイス42に供給するための制御システム50を含む。制御システム50は、センサ48からの信号をモニターし、モニターされた信号のロケーション(直角又は角度)、方向、速度、及び加速度を計算し、更にこの情報をコンピューティングデバイス42のプロセッサにレポートするよう構成される特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。移動インジケータ46はまた、広い範囲にわたって変えることができる。しかしながら、この実施形態では、移動インジケータ46は、トラックパッド44が押下されたときにボタン信号を生成するスイッチの形式を取る。スイッチ46は、機械、電気、又は光スタイルスイッチに相当することができる。1つの特定の実施では、スイッチ46は、突出アクチュエータ52を含む機械式スイッチであり、該アクチュエータは、トラックパッド44が押すことでボタン信号を生成することができる。例証として、スイッチは、タクトスイッチ又は触覚ドームとすることができる。
【0057】
トラックパッド44とスイッチ46の両方は、通信インターフェース54を介してコンピューティングデバイス42に動作可能に結合される。通信インターフェースは、入力デバイスと電子デバイスとの間の直接又は間接接続のための接続ポイントを提供する。通信インターフェース54は、有線(電線、ケーブル、コネクタ)又は無線(例えば、送信器/受信器)とすることができる。
【0058】
コンピューティングデバイス42は一般に、命令を実行し且つコンピューティングデバイス42に関連付けられたオペレーションを実行するよう構成されたプロセッサ55(例えば、CPU又はマイクロプロセッサ)を含む。例えば、メモリから取り出された命令を使用して、プロセッサは、コンピューティングデバイス42の構成要素間の入力及び出力データの受け取り及び操作を制御することができる。ほとんどの場合、プロセッサ55は、オペレーティングシステム又は他のソフトウェアの制御下で命令を実行する。プロセッサ55は、シングルチッププロセッサとすることができ、或いは複数の構成要素を実装することができる。
【0059】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合された入力/出力(I/O)コントローラ56を含む。I/Oコントローラ56は、プロセッサ54に統合することができ、或いは図示のように、別個の構成要素であってもよい。I/Oコントローラ56は一般に、コンピューティングデバイス42に結合できる1つ又はそれ以上のI/Oデバイス、例えば入力デバイス40との対話を制御するよう構成されている。
I/Oコントローラ56は一般に、コンピューティングデバイス42と、該コンピューティングデバイス42との通信を望むI/Oデバイスとの間でデータを交換することによって動作する。
【0060】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合されるディスプレイコントローラ58を含む。ディスプレイコントローラ58は、プロセッサ54に統合することができ、或いは図示のように別個の構成要素であってもよい。ディスプレイコントローラ58は、ディスプレイ画面60上にテキスト及びグラフィクスを生成するためのディスプレイコマンドを処理するよう構成されている。例証として、ディスプレイ画面60は、白黒ディスプレイ、カラーグラフィクスアダプタ(CGA)ディスプレイ、拡張グラフィクスアダプタ(EGA)ディスプレイ、可変グラフィクスアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)(例えば、アクティブマトリクス、パッシブマトリクス、及び同様のもの)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ、バックライト発光ダイオード(LED)LCDディスプレイ、又は同様のものとすることができる。
【0061】
1つの実施形態(図示せず)では、トラックパッド44は、タッチセンシティブ表面としてだけではなく、ディスプレイ画面としても機能するガラス表面を含むことができ、この場合、図13に示されるディスプレイ画面60は、トラックパッド40のガラス表面と一体化させることができる。これは、タッチセンシティブディスプレイを有するコンピューティングデバイス(例えば、メディアプレーヤー又は移動電話)において有用とすることができる。タッチセンシティブディスプレイを有するメディアプレーヤーの実施例は、カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPod Touchである。タッチセンシティブディスプレイを有する移動電話の実施例は、カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPhoneである。
【0062】
ほとんどの場合、オペレーティングシステムを備えたプロセッサ54は、コンピュータコードを実行し、データを作成及び使用するよう動作する。コンピュータコード及びデータは、プロセッサ54に動作可能に結合されたプログラム記憶エリア62内に常駐することができる。プログラム記憶エリア62は一般に、コンピューティングデバイス42によって使用されるデータを保持する場所を提供する。例証として、プログラム記憶エリアは、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ及び/又は同様のものを含むことができる。コンピュータコード及びデータはまた、取り外し可能プログラム媒体上に常駐することができ、必要な場合にはコンピューティングデバイスにロード又はインストールすることができる。1つの実施形態では、プログラム記憶エリア62は、入力デバイス40によって生成されたトラッキング及びボタン信号がコンピューティングデバイス42によってどのように使用されるかを制御するための情報を記憶するよう構成されている。
【0063】
図14は、全体が符号70で示された、フレーム76に接続されたトラックパッド72を含む入力デバイスの1つの実施形態を示す。フレーム76は、独立型入力デバイスのためのハウジングとすることができ、或いはトラックパッド72を組み込む別のデバイス、例えばラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドメディアデバイス、PDA、移動電話、スマートフォン等のためのケースとすることができる。トラックパッド72は、指の移動を追跡するための外側タッチセンシティブトラック表面74を含む種々の層を含む。トラック表面74はまた、低摩擦化粧表面を提供することができる。1つの実施形態では、トラックパッド72は、静電容量感知に基づいており、従って、例えばPCB上に実装できる電極層80を含む。静電容量感知の場合、トラック表面74は誘電材料である。補強材84が電極層80の下に位置付けられる。補強材84は、図14及び図15に示されているが、幾つかの実施形態では省略することができる。補強材84を用いて、電極層80の特有の可撓性を補償することができる。電極層80は、信号をセンサ82に送ることによって、トラック表面74に沿った指の移動に応答する。静電容量感知の場合、電極層80は、指の移動に基づく静電容量の変化を記録し、センサ82は静電容量センサである。このようにして、トラックパッド72は、タッチセンサ構成を組み込む。センサ82は、電極層80の下部に配置されて示されているが、他の実施形態では他の場所に位置付けることができる。図示の実施形態のようにセンサ82がトラックパッド72の可動部に位置付けられた場合、入力デバイスは、システムと共に移動できる可撓性の電気接続部(図示せず)を組み込むことができる。
【0064】
移動インジケータ78は、トラックパッド72の下部に配置される。移動インジケータ78は、広い範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド72とフレーム76の間に通常配置される機械スイッチの形式を取る。他の実施形態では、移動インジケータ78は、センサ、例えば電気センサとすることができる。移動インジケータ78は、フレーム76又はトラックパッド72に取り付けることができる。図示の実施形態では、移動インジケータ78は、電極層80の下部側に取り付けられる。例証として、電極層80がPCB上に位置付けられた場合、移動インジケータ78は、PCBの下部に位置付けることができる。別の実施例では、移動インジケータ78は、タクトスイッチの形式を取ることができ、更に具体的には、SMTドームスイッチ(SMT用にパッケージされたドームスイッチ)とすることができる。
【0065】
トラックパッド72は、図14ではニュートラルの位置で示されており、移動センサ78はフレーム76に接触していない。ユーザがトラック表面74に下向きの圧力を加えると、トラックパッド72は、下向きに移動し、この位置の変化を移動センサ78に記録させることができる。図示の実施形態では、移動センサ78(タクトスイッチ)は、フレーム76、或いはこの場合はセットスクリュー88のいずれかに接触することになる。セットスクリュー88は、ニュートラル位置と作動位置の間の距離を変えるよう手動調整することができる。1つの実施形態(図示せず)では、セットスクリュー88はニュートラル位置で移動センサ78に直接当接することができ、システムにゆるみ又は事前の移動がないようにする。屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72をフレーム76に接続する。屈曲ヒンジ86は、力が加えられると曲がるが、トラックパッド72をニュートラル位置に戻す方向に付勢するよう回復力を作用させる弾性材料である。1つの実施形態では、屈曲ヒンジ86は薄いバネ鋼とすることができる。
【0066】
図15に示されるように、屈曲ヒンジ86は、ユーザがトラック表面74上を押下したときに曲がることになる。屈曲86はまた、図14に示された図示の実施形態では水平であるニュートラル位置に向けてトラックパッド72を付勢する。このように、ユーザは、トラック表面74上のあらゆる場所を実質的に押下し、移動インジケータ78がこの押下を記録することを意味する「ピック」を起こすことができる。これは、別個のトラックゾーン及びピックゾーンを組み込む従来のトラックパッドとは対照的である。トラック表面74上のあらゆる場所をピックできることで、より直感的で快適なインターフェースをユーザに提供することになる。例えば、ユーザは、トラック表面74から指を離す必要がなく、1本の指でトラッキング及びボタン信号を生成することができる。対照的に、別個のトラック及びピックゾーンを有するトラックパッドを操作するユーザは、例えば、トラッキングには右手をピッキングには左手を使用し、或いはトラッキングには人差し指をピッキングには親指を使用する可能性がある。
【0067】
フレーム76の拡張部分或いは個別部材とすることができるショルダー部90は、トラックパッド72の一部、例えば補強材84に接触することによって、トラックパッド72がそのニュートラル位置を越えて移動しないようにする。このように、トラック表面74は、フレーム76の上部表面と実質的に同一平面に維持することができる。トラックパッド72とショルダー部90との間の接触を和らげるためにショルダー部90と共に衝撃吸収材又はアップストップ(図示せず)を組み込むことができる。
【0068】
理解されるように、トラック表面74を押すことによって生成されるピックは、画面上の項目を選択する、ファイル又は文書を開く、命令を実行する、プログラムを開始する、メニューをビューする、及び/又は同様のことを含むことができる。ボタン機能はまた、例えば、ズーム、スクロール、種々のメニューのオープン、入力ポインタを定位置に移動する、エンター、削除、挿入、ページアップ/ダウン、及び同様のことなどのキーボードに関する動作を行うなど、電子システムのナビゲートを容易にする機能を含むことができる。
【0069】
屈曲ヒンジ86は、実施可能な最小の垂直スペースでの可動トラックパッドを可能にする。最小垂直スペースは、屈曲ヒンジ86が薄く且つ一般にはトラックパッド72の下部層に並行に位置付けられることで達成され、その結果、屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72の厚みをそれほど増大させることはない。従って、この構成は、極薄ラップトップコンピュータでの使用に適している。このような極薄ラップトップコンピュータアプリケーションでは、垂直スペースが極めて制限されている。過去には、電気構成要素のサイズは、電気デバイスをどれ程小さく作れるかに関しての制限的特徴であることが多かった。
今日では、電気構成要素は益々小型化されつつあり、これは、機械構成要素(例えば可動トラックパッド)が臨界的サイズの制限構成要素になる可能性があることを意味する。このことが理解されると、用途によってはリニア作動(例えば、コイルバネ又は同様のものによる可動トラックパッドの支持)は理想的ではないことの理由を理解するのが容易となる。更に、バネを使用すると、製造プロセスに対して複雑さ(部品点数の増加、高コスト、高故障率など)を不必要に付加する可能性がある。バネの別の欠点は、幾つかの実施形態においてバネが触覚スイッチの力プロフィールを遮断又は損なう可能性があることである。対照的に、屈曲部86は、トラック表面74全体に渡って実質的に一定の感覚を提供することができ、ユーザに触覚スイッチフォースプロフィールのより正確な表現を与えることができる。
【0070】
ここで本発明の1つの実施形態による図15を参照すると、ユーザがトラックパッド72のトラック表面74を押したときに、トラックパッド72の枢動により、その下に配置されたスイッチ78が下向きに作動される。作動されると、スイッチ78は、入力デバイス70に接続された電子デバイスによって使用することができるボタン信号を生成する。
屈曲部86は、実質的に1つの軸だけの周りでトラックパッド72を移動するよう拘束することができる。これは、例えば、背面側などのトラックパッド72の1つの側面上の軸に沿って配列された複数の屈曲部を使用することによって達成することができる。更に、トラックパッド72が剛直に作られている場合(例えば、必要に応じて補強材84を含めることで)、均一化アーキテクチャが達成される。言い換えると、屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72をニュートラル位置に向けて付勢し、また、実質的に1つだけの軸、すなわち屈曲ヒンジ86がフレーム76に接続されている軸の周りの移動を可能にする。
【0071】
本発明の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明してきたが、当業者であれば種々の変更及び修正が明らかになる点に留意されたい。このような変更及び修正は、添付の請求項によって定義される本発明の実施形態の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0072】
100 タッチセンサパネル
102 端部帯域
104 中心領域
106 接触
108 接触
110 重心
112 重心
114 接触
116 接触
118 移動重心
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、コンピューティングシステムの入力デバイスに関し、更に具体的には、タッチセンサパネルの端部領域におけるタッチ接触の選択的拒否に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる2008年1月4日出願の米国暫定特許出願第61/019,220号及び2008年9月30日出願の米国特許出願第12/242,772号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
ボタン又はキー、マウス、トラックボール、タッチセンサパネル、ジョイスティック、タッチ画面、及び同様のものなどの、入力デバイスの多くのタイプは、現在のところ、コンピューティングシステムにおいてオペレーションを実行するのに利用することができる。特にタッチ画面は、オペレーションの容易さと汎用性並びに価格が下がりつつあることに起因して、益々人気が高まっている。タッチ画面は、タッチセンサパネルを含むことができ、タッチセンシティブ表面を有するクリアパネルとすることができる。タッチセンサパネルは、タッチセンシティブ表面がディスプレイ画面の可視範囲を覆うようにディスプレイ画面の前面に位置付けることができる。タッチ画面によって、ユーザは、指又はスタイラスを介してディスプレイ画面に単にタッチすることによって選択及びカーソル移動を行うことを可能にすることができる。一般に、タッチ画面は、ディスプレイ画面上のタッチ及びタッチの位置を認識することができ、コンピューティングシステムは、タッチを解釈した後、タッチ事象に基づいた動作を実行することができる。
【0004】
タッチセンサパネルは、複数の感知ライン(例えば縦列)上で交差する複数のドライブライン(例えば横列)によって形成されたピクセルのアレイとして実施することができ、ここでドライブ及び感知ラインは誘電材料によって分離されている。このようなタッチセンサパネルの実施例は、その内容が引用により本明細書に組み込まれる、2007年1月3日に出願された名称「Double−Sided Touch Sensitive Panel and Flex Circuit Bonding(両面タッチセンシティブパネル及びフレックス回路ボンディング)」の本出願人の同時係属の米国出願第11/650,049号で説明されている。
【0005】
しかしながら、指及び手のひらが偶発的にタッチセンサパネルと密接に近接することで、意図しないジェスチャーが認識され処理される可能性がある。これらの偶発的なタッチは、多くの場合、タッチセンサパネルが従来のキーボード又は機械ボタン又はバーのような、使用される他の入力デバイスから分離されているが隣接している場合に起こる可能性がある。更に、タッチセンサパネル自体が使用されている場合、手の固定(ジェスチャーの一部ではない)又はデバイスを保持するために使用されるなど、誤って指がパネルの端部に触れて検出される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,323,846号公報
【特許文献2】米国特許第7,046,230号公報
【特許文献3】米国特許出願第10/643,256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、意図しないオペレーションを最小限にするためのタッチセンサパネルの端部領域におけるタッチ接触(タッチ事象)の選択的拒否に関する。更に、端部接触の拒否に対する幾つかの例外を設けることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態では、タッチセンサパネルの周囲付近の端部帯域における接触を簡単に無視することができる。しかしながら、端部拒否に対する幾つかの例外が存在することができる。例えば、中心エリアと端部帯域の両方の接触は、幾つかの状況において端部帯域での接触をジェスチャーの一部として認識させることができる。他の実施形態では、端部帯域での接触が静止している場合には、これを無視することができる。しかしながら、端部帯域での接触が閾距離又は速度を超えて移動する場合には、これをジェスチャーの一部として認識することができる。
【0009】
同様に、トラックパッドの実施形態では、トラックパッドの下部領域内の接触が静止している場合には無視されるが、移動している場合にはジェスチャーの一部として認識することができる。種々の指のサイズに対応するために、1つ又はそれ以上の領域のサイズ(例えば、下部又は上部領域)を指又は親指の識別に基づいて修正することができる。
【0010】
タッチセンサパネルの中心又は主領域における接触が端部帯域又は下部領域での接触の移動を追跡する場合には、端部帯域又は下部領域での接触は無視することができず、代わりにジェスチャーの一部として認識することができる。更に、タッチセンサパネルの中心又は主領域でのジェスチャーの認識中に端部帯域又は下部領域に現われる接触は、ジェスチャーの一部として、或いはドラッグロック又はジェスチャーの変換などのオペレーションを実施するための制御入力として認識することができる。他の実施形態では、端部帯域で検出された2つ又はそれ以上の接触は、接触が一定の所定スペーシングを有する場合(例えば、その重心が1cmと3cmの間のX方向の距離を有する場合)、ジェスチャーとして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1a】本発明の1つの実施形態による端部拒否を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図1b】本発明の1つの実施形態による端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による端部拒否を実施する例示的なトラックパッドを示す図である。
【図3a】本発明の1つの実施形態による端部拒否及び端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図3b】本発明の1つの実施形態による同期移動を有する2つの接触の認識に基づいて端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図4】本発明の1つの実施形態によるドラッグロック機能を提供するために端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図5a】本発明の1つの実施形態による端部領域と主領域での接触に基づいて端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図5b】本発明の1つの実施形態によるピンチングジェスチャーを可能にするために端部拒否の例外を実施する例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図5c】本発明の実施形態による例示的な端部拒否の例外を示す図である。
【図5d】本発明の実施形態による端部拒否の実施例を示す図である。
【図6】本発明の1つの実施形態による可変幅端部帯域に対して端部拒否を用いる例示的なタッチセンサパネルを示す図である。
【図7a】本発明の実施形態による統合されたピックボタン及びクリック領域を有する例示的なトラックパッド700を示す図である。
【図7b】本発明の実施形態による、2つよりも多いクリック領域を定義することができる図7aの実施形態の例示的な拡張を示す図である。
【図8】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためにタッチセンサパネルと共に動作可能な例示的なコンピューティングシステムを示す図である。
【図9a】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためのタッチセンサパネル及びコンピューティングシステムを含むことができる例示的な移動電話を示す図である。
【図9b】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためのタッチセンサパネル及びコンピューティングシステムを含むことができる例示的なデジタルメディアプレーヤーを示す図である。
【図9c】本発明の1つの実施形態による、端部拒否及び端部拒否の例外を実施するためのタッチセンサパネル及びコンピューティングシステムを含むことができる例示的なパーソナルコンピュータを示す図である。
【図10】本発明の1つの実施形態による例示的なタッチパッド及びディスプレイを示す概略図である。
【図11】本発明の1つの実施形態による例示的な入力デバイスを示す斜視図である。
【図12A】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図12B】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図12C】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図12D】本発明の1つの実施形態によるボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図13】本発明の1つの実施形態によるコンピューティングデバイスに接続された例示的な入力デバイスを示す簡易ブロック図である。
【図14】本発明の1つの実施形態による例示的な入力デバイスを示す側面断面図である。
【図15】本発明の1つの実施形態による図12の例示的な入力デバイスを示す別の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の以下の説明では、本発明を実施することができる特定の実施形態を例証として示す添付図面について説明する。本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、構造上の変更を行い得る点を理解されたい。
【0013】
本発明は、意図しないオペレーションを最小限に抑えるためのタッチセンサパネルの端部領域でのタッチ接触の選択的拒否に関する。更に、端部接触の拒否に対する幾つかの例外を可能にすることによって、タッチセンサパネルの機能を最大にすることができる。
【0014】
図1aは、本発明の実施形態による端部拒否を実装する例示的なタッチセンサパネル100を示す。端部帯域102(接触拒否領域)は、中心エリア104を囲むタッチセンサパネル100の外側境界に作成することができる。全ての接触(例えば指又は手のひら)が端部帯域102内で検出される場合には、接触を無視することができる。図1aの実施例では、タッチ画像106及び108が端部帯域102内に位置付けられた重心110及び112をそれぞれ有するので、接触を無視することができる。
【0015】
図1bは、本発明の実施形態による例示的なタッチセンサパネル100上で発生する可能性のある第2のシナリオを示す。図1bの実施例では、端部帯域102における接触116と共に接触114が中心エリア104で検出された場合、中心エリアと端部帯域の両方で接触を認識することができる。上述の基準(拒否又は認識基準)に従うこのシナリオにおける端部接触の認識は、端部帯域で始まる接触を有するピンチングジェスチャーなどの意図的なジェスチャーが無視されるのを防ぐことができる。
【0016】
しかしながら、中心エリア104でのポインティングなどのオペレーションを実行するのに指が使用されるときには、端部帯域102に偶発的に置かれたいわゆる「小指」又は他の指が認識される可能性があり、ポインティングジェスチャーの代わりに意図しないジェスチャーが実行される恐れがある。従って、本発明の他の実施形態では、接触114及び116が中心エリア104と端部帯域102の両方で検出された場合、及び端部接触116の重心118が閾量(例えば1mm)を超えて移動しなかった場合には、これを無視することができる。しかしながら、端部接触116がいずれかの方向で閾量を超えて移動した場合(中心エリアにおいて他の指が検出されなかった場合でも)には、これを認識することができ、ジェスチャーの一部とすることができる追跡可能な接触となる。この認識によってまた、端部帯域102内で行われるオペレーションの追跡が可能になる。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による端部拒否を実装するトラックパッド200の形式の例示的なタッチセンサパネルを示す。図2の実施例では、トラックパッド200に隣接して従来のキーボードスペースバー202及び機械的ピックボタン204が存在する。図2に示された例示的な偶発的なタッチは、スペースバー202上にあるがトラックパッド200上にも偶発的に置かれた親指206を含むことができる。208で検出された接触は、クリック又は他の動作が誤って生成されないように無視することができる。更に、トラックパッド200に偶発的にタッチしている小指210は無視することができ、ピックボタン204上に置かれているが214でトラックパッドの下部に覆い被さっている親指212は、意図しないピンチジェスチャーの一部として認識されないように無視することができる。
【0018】
図3aは、本発明の実施形態による端部拒否を実装する別の例示的なタッチセンサパネル300を示す。図3aの実施例では、タッチセンサパネル300は、幾つかの非ジェスチャー動作を行うために通常は確保しておくことができる下部領域302を含むことができる。例えば、下部領域302での指タップは、「クリック」又は選択機能として解釈することができる。従って、下部領域302での接触は、これらの機能を除く全ての目的に対して通常は無視することができる。これにも関わらず、幾つかの状況においては、ジェスチャーの一部として下部領域302での接触を認識させることが望ましい場合がある。
従って、本発明の幾つかの実施形態によれば、拒否又は認識基準に従って、下部領域内で発生した指として識別される接触304(すなわち、一定の閾サイズのタッチの非同心画像)は、重心306が静止している場合は無視することができるが、重心が静止でない場合にはジェスチャーの一部として認識することができる。タッチ事象の識別は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる「Method and Apparatus for Integrating Manual Input(マニュアル入力を統合するための方法及び装置)」という名称の米国特許第6,323,846号に開示されている。本明細書で定義される静止とは、重心の移動が計算された重心の中心から閾量よりも少ないか、或いはある速度閾値未満に留まることを意味する。瞬間ポジションとローパスフィルタ(LPF)平均ポジション値との間の差が一定の閾値を超える場合、重心は移動しており、もはや静止ではないと考えることができる。この基準を使用して、緩慢なドリフティング又はローリング運動を伴う接触は無視することができるが、速いドリフトは、ジェスチャーの一部として接触を認識させることができる。
【0019】
本発明の別の実施形態では、下部領域302又は上部領域316(又は他のいずれかの端部領域)のサイズは、特定の指によって接触が起こったという判断に基づいて動的に変えることができる。例えば、親指が下部領域302で検出された場合、タッチエリアの半径に基づいて下部領域を定める境界線308を上方に移動させ、下部領域のサイズを大きくすることができる。しかしながら、指が下部領域302で検出された場合に、境界線308を下方に移動させて下部領域のサイズを小さくすることもできる。同様の調節は、上部領域316、或いは他のいずれかの端部領域(例えば、左又は右側部領域)についても行うことができる。
【0020】
上述のように、下部領域302での接触は、主領域310とは無関係の非接触として扱うことができるが、幾つかの実施形態では、下部領域での接触は、主エリアでの接触と共に検出及び使用することができる。例えば、下部領域302での接触が主領域310での動きと同期或いは関連付けられた方式で移動する場合には、下部領域での接触は、ジェスチャーの一部として主領域での接触と共に認識することができる。
【0021】
図3bは、本発明の実施形態による同期された移動を有する2つの接触の認識を示している。図3bの実施例では、接触304及び312が互いに対して実質的に同期した方式で移動する場合、接触304は、ジェスチャーの一部として接触312と共に認識することができる。他の場合には、接触304は無視することができる。本明細書で定義されるように、「同期して」移動する2つの接触は、ほぼ同じ速度及び/又は方向(X及びY成分共に、或いはX成分のみ又はY成分のみ)で移動する重心を含むことができる。他の実施形態では、2つの接触の同期した移動は、同期したタッチダウンを含むことができる。
従って、2つの接触の1つが端部帯域内でタッチダウンすることができるとしても、この接触が、ある接触の主領域310でのタッチダウンとほぼ同時にタッチダウンする場合には、2つの接触をジェスチャーの一部として認識することができる。
【0022】
図4は、本発明の実施形態による別の例示的な端部拒否例外を示す。図4の実施例において、ロケーション(1)では、主領域410内の2つの指によって引き起こされた接触416及び418が意図されたドラッグ動作の一部として左側に移動する。ロケーション(2)では、接触416及び418が主領域410の最も左側の端部に達している。ドラッグオペレーションが継続する場合、ロケーション(3)では、親指を下部領域402に降ろして、接触420を生じさせることができる。この実施形態では、無視されるのではなく、2つの既存の接触416及び418により、接触420がジェスチャーのいわゆる「ドラッグロック」特徴として認識されるようにする。ドラッグロックが適所で行われると、2つの指を一時的にタッチセンサパネルから持ち上げて、ロケーション(4)で主領域410の中心に向けて再度タッチダウンさせることができ、ここで左方向へのドラッグオペレーションを続けることができる。この端部拒否例外はまた、主領域410における他のジェスチャーにも適用することができ、任意選択的に移動を伴う主領域での他の接触により、下部領域402での次の接触をジェスチャーの一部として認識させることができる点を理解されたい。或いは、下部領域402での次の接触は、主領域410で認識されたジェスチャーに変化を生じさせることができる。例えば、主領域410でのポインティング機能は、接触が下部領域402で検出されるか、或いは下部領域402から取り除かれるとすぐにドラッグ機能に変換することができる。
【0023】
図5aは、本発明の実施形態による別の例示的な端部拒否例外を示す。図5aでは、下部領域502で検出された静止した親指524に加えて主領域510で検出された指522が、指ドラッグジェスチャーの始まりとして認識することができ、親指が静止したまま指が移動する限りはそのまま維持することができる。
【0024】
図5bは、本発明の実施形態による更に別の例示的な端部拒否例外を示す。図5bでは、互いに向かって同時に移動する下部領域で検出された親指524に加えて主領域510で検出された指522が、ピンチジェスチャーの始まりとして認識することができる。
【0025】
図5cは、本発明の実施形態による別の例示的な端部拒否例外を示す。図5cでは、端部帯域(例えば、下部領域502)で検出された2つ又はそれ以上の接触528が、接触がある所定のスペーシングを有する(例えば、接触が、1cmと3cmの間のx方向の離隔距離を備えた重心を有する)場合、ジェスチャーとして解釈することができる。このように、例えば下部領域502でスクロールを開始する(次いで、530で示されるように上方向に移動する)2つの指は、端部またがりとして無視されるのではなく、ジェスチャーを直ちに開始することになる。
【0026】
一方、図5dは、ある領域において、端部帯域に起こった2つの接触が無視される場合があることを示している。図5dの実施例では、手のひらが端部にまたがる結果として起こった側部領域526での2つの接触532は、偶発的なスクロールが起動するのを防ぐために無視することができる。
【0027】
図6は、本発明の実施形態による、可変幅端部帯域602に対して端部拒否を用いる例示的なタッチセンサパネル600を示している。図6の実施例では、端部帯域602の幅は、接触606の外側半径に依存することができる。重心610が端部帯域602内に位置付けられる接触の大きな外側半径(ある閾値を超える)により、指先ではなく親指を良好に無視するために端部帯域がより大きくされるようにすることができる。閾値を超える外側半径の量又はパーセンテージを用いて、端部帯域602を拡大することができる。或いは、端部帯域602の幅は外側半径に依存しなくてもよく、その代わりに特定の指タイプの識別に基づくことができる。幾つかの実施形態では、可変幅端部帯域602は、不均一な幅を有することができ、タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って広くなり、タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の別の端部に沿って狭くなるようにすることができる。例えば、端部帯域602の下部領域602aは、側部領域602b及び602c並びに上部領域602dよりも大きな幅を有することができる。
【0028】
図7aは、本発明の実施形態による統合されたピックボタンを有する例示的なトラックパッド700を示す。図7aの実施例では、トラックパッド700は、トラックパッドをプッシュすることによって機械的に作動し、機械的なピックボタンを実装する「クリック」入力をもたらすことができる。統合されたピックボタンを有するトラックパッドは、以下の図10−15で説明する。
【0029】
図7aのトラックパッド700では、トラックパッドの表面上のあらゆる場所での十分な圧力によって、クリックを発生させることができ、従って、クリック自体は、クリックのロケーションを限定するものではない。よって、本発明の実施形態によれば、トラックパッド700上のタッチセンシングを利用して、クリックをどのように解釈すべきかを決定することができる。機械クリックが検出されると、クリックの解釈及び結果として得られる起動される機能は、タッチがトラックパッド上のどこで検出されたかに依存することができる。図7aの例示的な実施形態では、トラックパッド700は、一次クリック領域702と二次クリック領域704に区切られている。タッチがトラックパッドからの機械的クリックと共に一次クリック領域702上で検出されると、例えば左クリック動作を起動することができる。同様に、タッチがトラックパッドからの機械的クリックと共に二次クリック領域704上で検出されると、例えば右クリック動作を起動することができる。
トラックパッド700の区切りは、ファームウェアで実装することができる。
【0030】
図7aの実施例は、同じサイズの一次及び二次クリック領域702及び704を示す。
しかしながら、他の実施形態では、クリック領域のサイズ又はエリアは、意図される利用パターンを考慮し且つクリックが誤って解釈されるのを回避するために、同じでないサイズとすることができる。例えば、二次クリック領域704は一次クリック領域702よりも使用頻度が少ない可能性があるので、二次クリック領域の方をより小さくすることができ、及び/又はトラックパッド700の右下コーナーのようなクリックされる可能性が低い領域に二次クリック領域を位置付けることができる。
【0031】
図7bは、2つよりも多いクリック領域を定義することができる、図7aの実施形態の例示的な拡張を示す。図7bの実施例では、一次及び二次クリック領域702及び704に加えて、幾つかの機能キークリック領域706、708、及び710を定義することができる。これらの領域のいずれかにおけるタッチに加えたトラックパッド700のクリックにより、対応する動作を起動することができる。当業者であれば、区切りはファームウェアに実装されるので、あらゆる数の領域をあらゆる数の構成で用いることができる点を理解されるであろう。更なる実施形態では、これらの領域は、コンピューティングデバイスの特定の利用に応じて(例えば、実行されているアプリケーション又は表示されているユーザインターフェースに応じて)動的に変えることができる。
【0032】
上述の本発明の実施形態は、2007年1月3日に出願された「Double−Sided Touch Sensitive Panel and Flex Circuit Bonding(両面タッチセンシティブパネル及びフレックス回路ボンディング)」という名称の米国出願第11/650,049号に記載されているタイプのタッチセンサパネルを使用して実施することができる。2007年1月3日に出願された「Proximity and Multi−Touch Sensor Detection and Demodulation(近接及びマルチタッチセンサ検出及び復調)」という名称の米国出願第11/649,998号に記載されているタイプのセンスチャンネルを用いて、タッチアンドホバー事象を検出することができる。2006年7月3日に出願された「Identifying Contacts on a Touch Surface(タッチ表面上での接触の識別)」という名称の米国出願第11/428,522号、2007年5月31日に出願された「Multi−touch Input Discrimination(マルチタッチ入力区別)」という名称の米国出願第11/756,211号、及び2004年7月30日に出願された「Gestures for Touch Sensitive Input Devices(タッチセンシティブ入力デバイスのためのジェスチャー)」という名称の米国出願第10/903,964号に記載されるように、結果として得られるタッチの画像を更に処理して、タッチ事象のロケーション、指接触の識別、及びジェスチャーの識別を判断することができる。このパラグラフで参照される前述の出願の全ては、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる。
【0033】
図8は、上述の本発明の実施形態の1つ又はそれ以上を含むことができる例示的なコンピューティングシステム800を示す。コンピューティングシステム800は、1つ又はそれ以上のパネルプロセッサ802及び周辺装置804、並びにパネルサブシステム806を含むことができる。周辺装置804は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はメモリもしくは記憶装置の他のタイプ、ウオッチドッグタイマー、及び同様のものを含むことができる。パネルサブシステム806は、限定ではないが、1つ又はそれ以上のセンスチャンネル808、チャンネルスキャン論理810及びドライバ論理814を含むことができる。チャンネルスキャン論理810は、RAM812にアクセスし、センスチャンネルから自律的にデータを読み出し、センスチャンネルを制御することができる。更に、チャンネルスキャン論理810は、チャージポンプ815によって設定された電圧でタッチセンサパネル824のドライブラインに選択的に印加することができる種々の周波数及び位相の刺激信号816を生成するようドライバ論理814を制御することができる。幾つかの実施形態では、パネルサブシステム806、パネルプロセッサ802、及び周辺装置804は、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)に統合することができる。
【0034】
タッチセンサパネル824は、複数のドライブラインと複数の感知ラインとを有する静電容量感知媒体を含むことができるが、他の感知媒体も使用することができる。ドライブ及び感知ラインの各交点、近接性、又は準近接性は、静電容量感知ノードを表すことができ、更に画像素子(ピクセル)826としてみなすことができ、タッチセンサパネル824がタッチの「画像」の取り込みとみなされるときに特に有用とすることができる。(言い換えると、タッチ事象がタッチセンサパネルにおいて各タッチセンサで検出されたかどうかをパネルサブシステム806が判断した後、タッチ事象が起こったマルチタッチパネルにおけるタッチセンサのパターンは、タッチの「画像」(例えば、パネルに触れている指のパターン)としてみなすことができる。タッチセンサパネル824の各感知ラインは、パネルサブシステム806でのセンスチャンネル808(本明細書では事象検出及び復調回路とも呼ばれる)を駆動することができる。
【0035】
コンピューティングシステム800はまた、パネルプロセッサ802から出力を受け取り、出力に基づいて動作を実行するためのホストプロセッサ828を含むことができ、該動作には、限定ではないが、カーソル又はポインタなどのオブジェクトの移動、スクロール又パン、制御設定の調節、ファイル又は文書のオープン、メニューのビュー、選択の実施、命令の実行、ホストデバイスに結合された周辺デバイスの作動、電話への応答、電話発信、通話の終了、ボリューム又は音声設定の変更、アドレス、発呼頻度の高い電話番号、着信数、不在着信数などの電話通信に関する情報の記憶、コンピュータ又はコンピュータネットワークへのログオン、コンピュータ又はコンピュータネットワークの制限エリアへの認可された個人のアクセスの許可、コンピュータデスクトップのユーザの基本設定構成に関連するユーザプロファイルのロード、ウェブコンテンツへのアクセス許可、特定のプログラムの起動、メッセージの暗号化又は復号化、及び/又は同様のことを含むことができる。ホストプロセッサ828はまた、パネル処理に関連しない可能性のある付加的な機能を実行することができ、プログラム記憶装置832と、デバイスのユーザにUIを提供するためのLCDディスプレイなどのディスプレイデバイス830とに結合することができる。ディスプレイデバイス830及びタッチセンサパネル824は、タッチセンサパネルの下に部分的に又は全体的に位置付けられたときに、或いはタッチセンサパネルと部分的に又は全体的に統合されたときに、タッチ画面818を形成することができる。
【0036】
上述の機能の1つ又はそれ以上は、メモリ内に記憶されたファームウェア(例えば、図8の周辺装置804の1つ)によって実施し且つパネルプロセッサ802によって実行するか、或いは、プログラム記憶装置832内に記憶して、ホストプロセッサ828によって実行することができる点に留意されたい。ファームウェアはまた、何らかのコンピュータ可読媒体内に格納及び/又は移送し、コンピュータベースのシステム、プロセッサ包含システム、又は命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチして該命令を実行できる他のシステムのような命令実行システム、装置、又はデバイスによって、或いはこれらと共に使用することができる。この本明細書の関連において、「コンピュータ可読記憶媒体」は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって或いはこれらと共に使用するプログラムを包含又は格納することができる何らかの記憶媒体とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、限定ではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置又はデバイス、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気)、読出し専用メモリ(ROM)(磁気)、消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM)(磁気)、CD、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R、又はDVD−RWなどのポータブル光ディスク、或いはコンパクトフラッシュ(登録商標)カード、セキュアデジタルカード、USBメモリデバイス、メモリスティックなどのフラッシュメモリ、及び同様のものを含むことができる。
【0037】
ファームウェアはまた、何らかの移送媒体内で伝播し、コンピュータベースのシステム、プロセッサ包含システム、又は命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチして該命令を実行できる他のシステムのような命令実行システム、装置、又はデバイスによって、或いはこれらと共に使用することができる。本明細書の関連において、「移送媒体」は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって或いはこれらと共に使用するプログラムを伝達、伝播、又は移送することができるいずれかの媒体とすることができる。トランスポート可読媒体は、限定ではないが、電子、磁気、光学、電磁又は赤外線による有線又は無線伝播媒体を含むことができる。
【0038】
図9aは、本発明の実施形態による上述の端部拒否及び端部拒否例外を実施するためのタッチセンサパネル924及びコンピューティングシステム942を含むことができる例示的な移動電話936を示す。図9bは、本発明の実施形態による上述の端部拒否及び端部拒否例外を実施するためのタッチセンサパネル924及びコンピューティングシステム942を含むことができる例示的なデジタルメディアプレーヤー940を示す。図9cは、本発明の実施形態による上述の端部拒否及び端部拒否例外を実施するためのタッチセンサパネル(トラックパッド)924及びコンピューティングシステム942を含むことができる例示的なパーソナルコンピュータ944を示す。図9a、9b、及び9cの移動電話、メディアプレーヤー、及びパーソナルコンピュータは、有利には、上述の端部拒否及び端部拒否例外から恩恵を得ることができ、これは、これらの特徴の実施が、意図されないオペレーションを最小にしながら最大の機能性を提供できることに起因する。
【0039】
上述のように、本発明の幾つかの実施形態は、統合されたピックボタンを備えたトラックパッドを対象としている。統合されたピックボタンを備えたトラックパッドの1つの実施例を図10−15を参照して以下で説明する。しかしながら、統合されたピックボタンを有する他のトラックパッド又は入力デバイスもまた、本発明の実施形態の範囲内にある点を理解されたい。
【0040】
図10は、本発明の実施形態による例示的なタッチパッド及びディスプレイの概略図である。図10の実施例では、タッチセンシティブトラックパッド10は、保護/化粧シールド12と、保護シールド12の下に配置された複数の電極14とを含む小エリア(多くの場合しばしば矩形)エリアとすることができる。電極14は、例えばプリント回路基板(PCB)などの回路基板上に位置付けることができる。議論を簡単にするために、保護シールド12の一部は、電極14を見えるようにするために取り除かれている。異なる電極14又はその組合せは、異なるx、y位置を表すことができる。1つの構成では、指16(又は代替として、図示していないスタイラス)が電極グリッド14に近づくと、指は、指に近接した1つ又はそれ以上の電極と静電容量を形成することができ、或いは1つ又はそれ以上のこれらの電極間の既存の静電容量を変化させることができる。回路基板/感知電子装置(図示せず)は、このような静電容量の変化を測定して、ディスプレイ画面22を有するホストデバイス20(例えばコンピューティングデバイス)に送られる入力信号18を生成する。入力信号18は、ディスプレイ画面22上のカーソル24の移動を制御するのに使用される。図示のように、入力ポインタは、検出されたx、yの指の動きと同じx、y方向に移動する。
【0041】
図11は、本発明の実施形態による例示的な入力デバイスの概略斜視図である。入力デバイス30は、一般に、例えば、入力ポインタの移動、選択の実施、命令の提供などのためディスプレイ画面上で(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介した)動作を実行するために、情報又はデータを電子デバイス(図示せず)に送信するように構成されている。入力デバイスは、有線(例えば、ケーブル/コネクタ)又は無線接続(例えば、IR、ブルートゥースなど)を介して電子デバイスと対話することができる。
【0042】
入力デバイス30は、独立型ユニットとすることができ、或いは電子デバイスと統合することができる。独立型ユニットの場合、入力デバイスは通常、その固有の筐体を有する。電子デバイスと統合された場合、入力デバイスは通常、電子デバイスの筐体を使用する。いずれの場合においても、入力デバイスは、例えば、ネジ、スナップ、固定器具、接着材、及び同様のものなどにより筐体に構造的に結合することができる。場合によっては、入力デバイスは、例えばドッキングステーションなどを介して電子デバイスに取り外し可能に結合することができる。入力デバイスが結合される電子デバイスは、いずれかの消費者関連電子製品に相当することができる。例証として、電子デバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータもしくはPDA、音楽プレーヤーなどのメディアプレーヤー、移動電話などの通信デバイス、キーボードなどの別の入力デバイス、及び同様のもののようなコンピュータに相当することができる。
【0043】
図11に示されるように、入力デバイス30は、フレーム32(又は支持構造)とトラックパッド34とを含む。フレーム32は、入力デバイスの構成要素を支持するための構造を提供する。ハウジングの形態のフレーム32はまた、入力デバイスの構成要素を囲むか又は収容することができる。トラックパッド34を含む構成要素は、入力デバイス30を動作させるための電子、光学、及び/又は機械構成要素に相当することができる。
【0044】
トラックパッド34は、取り付けられた電子デバイスに関連付けられた種々のアプリケーションを制御するための1つ又はそれ以上の制御機能を提供するよう構成された直感的インターフェースを提供する。例証として、タッチ起動の制御機能を利用して、オブジェクトを移動させるか、又はディスプレイ画面上で動作を実行する、或いは電子デバイスの作動に関連付けられた選択の実施又はコマンドの送出を行うことができる。タッチ起動の制御機能を実施するため、トラックパッド34は、トラックパッド34の表面全体に渡って(例えば、直線的に、放射状に、角度的に、その他)移動する指(又はオブジェクト)から、トラックパッド34上の特定の位置を保持する指から、及び/又はトラックパッド34の特定の位置をタップする指による入力を受け取るように構成することができる。理解されるように、タッチパッド34は、容易な片手オペレーションを可能にし、すなわち1つ又はそれ以上の指によってユーザに電子デバイスと対話させるようにする。
【0045】
トラックパッド34は、広い範囲にわたって変えることができる。例えば、タッチパッド34は、直角座標系に基づく従来のトラックパッドとすることができ、或いはトラックパッド34は、極座標系に基づくタッチパッドとすることができる。極座標に基づくタッチパッドの実施例は、本明細書においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、2002年7月1日に出願された「TOUCH PAD FOR HANDHELD DEVICE(ハンドヘルドデバイスのためのタッチパッド)」という名称のZadesky他による米国特許第7,046,230号で見ることができる。
【0046】
トラックパッド34は、相対モード又は絶対モードで使用することができる。絶対モードでは、トラックパッド34は、タッチされている場所の絶対座標(例えば、直角座標系の場合のx、y、或いは極座標系の場合の(r,θ))をレポートする。相対モードでは、トラックパッド34は、変化の方向及び/又は距離(例えば、左/右、上/下、及び同様のこと)をレポートする。ほとんどの場合、トラックパッド34によって生成された信号は、トラックパッド34の表面全体を移動するときの指の方向と同じ方向にディスプレイ画面上の動きを向ける。
【0047】
トラックパッド34の形状は、広い範囲にわたって変えることができる。例えば、トラックパッド34は、円形、楕円、方形、矩形、三角形、及び同様のものとすることができる。一般に、トラックパッド34の外周は、トラックパッド34の作業境界を定める。図示の実施形態では、トラックパッドは矩形である。矩形のトラックパッドは、ラップトップコンピュータでは一般的である。円形トラックパッドでは、ユーザは、自由な形態で指を連続して回転させることができ、すなわち、中断することなく360度の回転により指を回すことができる。更に、ユーザは、全ての側部から接線方向にユーザの指を回転させ、従って、指位置のより大きな範囲を与えることができる。これらの特徴の両方は、スクロール機能を実行する際に、ポータブルメディアプレーヤー(カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPodメディアプレーヤー)で使用するのに有利な円形トラックパッドを提供する一助とすることができる。更に、トラックパッド34のサイズは一般に、ユーザによって容易に操作できるようにするサイズ(例えば、指先又はそれより大きいサイズ)に対応する。
【0048】
一般に堅固な平面プラットフォームの形式を取るトラックパッド34は、トラックパッドの操作のための指(又はオブジェクト)を受けるためのタッチ可能外側トラック表面36を含む。図11には示されていないが、タッチ可能外側トラック表面36の下には、指の圧力及び/又は動きのようなものを感知できるセンサ装置がある。センサ装置は通常、指がその上に乗る、そこをタップする、或いはそこを横切ると作動するように構成された複数のセンサを含む。最も単純な場合、指がセンサの上に位置付けられる度に電子信号が生成される。所与の時間フレームにおける信号の数は、トラックパッド34上の指のロケーション、方向、速度、及び加速度を示すことができ、すなわち信号が多い程、ユーザがより多く指を動かしていることになる。ほとんどの場合、信号は、信号の数、組合せ、及び頻度が、ロケーション、方向、速度、及び加速度情報に変換される電子的インターフェースによってモニターされる。次にこの情報を電子デバイスが使用して、ディスプレイ画面上で所望の制御機能を実行することができる。センサ装置は広い範囲にわたって変えることができる。例証として、センサは、抵抗感知、表面弾性波感知、圧力感知(例えば、歪みゲージ)、赤外線感知、光感知、分散信号技術、音響パルス認識、静電容量感知、及び同様のものに基づくことができる。
【0049】
図示の実施形態では、トラックパッド34は静電容量感知に基づく。一般的に知られているように、静電容量ベースのトラックパッドは、ユーザがトラックパッドの周りで指などのオブジェクトを移動させるときの静電容量の変化を検出するように配置されている。
ほとんどの場合、静電容量トラックパッドは、保護シールド、1つ又はそれ以上の電極層、回路基板、及び特定用途向け集積回路(ASIC)を含む関連の電子機器を含む。保護シールドは、電極の上に配置され、電極は、回路基板の上部表面上に実装され、ASICは、回路基板の下部表面上に実装される。保護シールドは、下層を保護し、指がスライドできるようにするための表面を提供する役割を果たす。表面は、一般に、指が移動時にくっつかないように滑らかである。保護シールドはまた、指と電極層との間の絶縁層を提供する。電極層は、複数の空間的に別個の電極を含む。いずれか好適な数の電極を用いることができる。ほとんどの場合、より高い解像度が得られるように電極の数を増やすことが望ましく、すなわち、加速度などの事柄に対してより多くの情報を使用することができる。
【0050】
静電容量感知は、静電容量の原理に従って作用する。理解されるように、2つの導電性部材が実際にタッチすることなく互いに接近するようになるときは必ず、これらの電界が相互作用して静電容量を形成する。上述の構成では、第1の導電性部材が電極の1つ又はそれ以上であり、第2の導電性部材が、例えばユーザの指である。従って、指がタッチパッドに近づくと、指と指に密接に近接した電極との間で極めて僅かな静電容量が形成される。電極の各々における静電容量は、回路基板の裏面に位置付けられたASICによって測定される。電極の各々における静電容量の変化を検出することによって、ASICは、タッチパッド全体に渡って移動するときの指のロケーション、方向、速度、及び加速度を決定することができる。ASICはまた、電子デバイスによって使用することができる形式でこの情報をレポートすることができる。
【0051】
1つの実施形態によれば、トラックパッド34は、信号の別のセット(トラッキング信号以外)を起動するようにフレーム32に対して移動可能である。例証として、堅固な平面プラットフォームの形態のトラックパッド34は、フレーム32に対して回転、枢動、スライド、並進、屈曲及び/又は同様のことを行うことができる。トラックパッド34は、フレーム32に結合することができ、及び/又はフレーム32によって移動可能に拘束することができる。例証として、トラックパッド34は、ネジ、アクセル、ピンジョイント、スライダジョイント、ボールソケット形ジョイント、屈曲ジョイント、マグネット、クッション、及び/又は同様のものを介してフレーム32に結合することができる。トラックパッド34はまた、フレームのスペース内で浮動させることもできる(例えば、ジンバル)。入力デバイス30は、動きの範囲を広げるため(例えば、自由度を大きくするため)に、枢動/並進ジョイント、枢動/屈曲ジョイント、枢動/ボールソケット形ジョイント、並進/屈曲ジョイント、及び同様のものなどのジョイントの組合せを更に含むことができる点に留意されたい。移動時には、タッチパッド34は、1つ又はそれ以上の信号を生成する回路を起動するように構成されている。回路は、一般に、スイッチ、センサ、エンコーダ、及び同様のものなどの1つ又はそれ以上の移動インジケータを含む。ジンバルトラックパッドの実施例は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれる、「MOVABLE TOUCH PAD WITH ADDED FUNCTIONALITY(機能が追加された可動タッチパッド)」という名称で2003年8月18日に出願された特許出願第10/643,256号に見出すことができる。
【0052】
図示の実施形態では、トラックパッド34は、「ピッキング」動作を行う押下可能なボタンの形式を取る。すなわち、トラックパッド34全体の一部分は、1つ又はそれ以上の付加的なボタン機能がトラックパッド上をタップする又は別のボタン/別のゾーンを使用するのではなく、トラックパッド34を押すことによって実施できるように単一又は複数のボタンのように機能する。図12A及び12Bに示されるように、本発明の1つの実施形態によれば、トラックパッド34は、指38、手のひら、手、又は他のオブジェクトからの力がトラックパッド34に加えられたときに、直立(又はニュートラル)位置(図12A)と押下(又は作動)位置(図12B)との間で移動することができる。力は、ボタン信号の偶発的な作動を可能にするほど小さくすべきではないが、過度の圧力を必要とすることでユーザに不快感を与えるほど大きくすべきではない。トラックパッド34は通常、例えば、屈曲ヒンジ、バネ部材、又はマグネットなどを介して直立状態の位置に付勢される。トラックパッド34は、オブジェクトがトラックパッド34を押すことによって付勢に打ち勝ったときに作動位置に移動する。図12Cに示されるように、トラックパッド34は、作動位置がニュートラル位置に対して僅かに傾斜されるように一方端で枢動することができる。指(又は他のオブジェクト)がトラックパッド34から取り除かれると、付勢部材が、ニュートラル位置に向けて戻そうとする。シム又は他の構造(図示せず)は、トラックパッド34が戻るときにニュートラル位置を行き過ぎるのを防ぐことができる。例えば、フレーム32の一部は、ニュートラル位置でトラックパッド34を止めるように、トラックパッド34の一部の上に外方に延びることができる。このように、トラックパッド表面は、必要に応じてフレーム32と同一平面上に維持することができる。例えば、ラップトップコンピュータ又はハンドヘルドメディアデバイスでは、トラックパッドをコンピュータ又はデバイスのハウジングと同一平面に維持することが望ましいとすることができる。
【0053】
図12Aに示されるように、直立/ニュートラル位置において、トラックパッド34は、ユーザの指などのオブジェクトが、x、y平面においてタッチパッドの上部表面上を移動したときに、トラッキング信号を生成する。図12Aでは、直立状態としてニュートラル位置を示しているが、ニュートラル位置は、あらゆる向きにも定めることができる。図12Bに示されるように、押下位置(z方向)では、トラックパッド34は、1つ又はそれ以上のボタン信号を発生する。ボタン信号は、限定ではないが、選択の実施、或いは電子デバイスを動作させることに関連するコマンドの送出を含む、種々の機能に対して使用することができる。例証として、音楽プレーヤーの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、曲の再生、曲の早送り、メニューのシーク、及び同様のことに関連付けることができる。ラップトップコンピュータの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、テキストの選択、アイコンの選択、及び同様のことに関連付けることができる。図12Dに示されるように、入力デバイス30は、トラッキング信号とボタン信号の両方を同時に提供するよう構成することができ、すなわち、トラック表面に沿って接線方向に(すなわち、x、y方向に)移動しながら、タッチパッド34をz方向に押下することができる。他の場合では、入力デバイス30は、タッチパッド34が押下されたときにボタン信号のみを提供し、タッチパッド34が直立状態であるときにトラッキング信号のみを提供するよう構成することができる。
【0054】
詳細に説明すると、トラックパッド34は、1つ又はそれ以上の移動インジケータを作動させるよう構成され、該インジケータは、トラックパッド34が作動位置に移動したときにボタン信号を発生することができる。移動インジケータは通常、フレーム32内に位置付けられ、トラックパッド34及び/又はフレーム32に結合することができる。移動インジケータは、スイッチとセンサのいずれかの組合せとすることができる。スイッチは一般に、作動(オン)又は作動停止(オフ)などのパルス又はバイナリデータを提供するよう構成されている。例証として、トラックパッド34の下面部分は、ユーザがトラックパッド34を押したときにスイッチに接触又は係合する(従って作動する)ように構成することができる。他方、センサは一般に、連続的又はアナログ的なデータを提供するよう構成されている。例証として、センサは、ユーザがトラックパッド34を押したときにフレームに対してタッチパッド34の傾斜の位置又は量を測定するよう構成することができる。好適なあらゆる機械、電気及び/又は光学スイッチ又はセンサを使用することができる。例えば、タクトスイッチ、力感知抵抗、圧力センサ、近接センサ、及び同様のものを用いることができる。
【0055】
図10−12に示されるトラックパッド10及び30は、幾つかの実施形態においてマルチタッチトラックパッドとすることができる。マルチタッチは、タッチ表面(画面、テーブル、壁部、その他)又はタッチパッド、並びに1つのタッチポイントのみを認識する標準的なタッチ画面(例えば、コンピュータタッチパッド、ATM)とは対照的に、複数の同時タッチポイントを認識するソフトウェアからなる。この作用は、限定ではないが、静電容量感知、抵抗感知、表面弾性波感知、熱、指圧力、高キャプチャレートカメラ、赤外光、光キャプチャ、同調電磁誘導、及びシャドーキャプチャを含む様々な手段を介して達成される。マルチタッチ移動電話の実施例は、カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPhoneである。マルチタッチメディアデバイスの実施例は、Apple Inc.によって製造されたiPod Touchである。マルチタッチトラックパッドを有するラップトップコンピュータの実施例は、Apple Inc.によって製造されたMacBook Air及びMacBook Proである。本明細書で記載される入力デバイスの全ては、幾つかの実施形態ではマルチタッチ技術を利用することができ、或いは、本明細書で記載される入力デバイスは、シングルタッチトラックパッドを利用してもよい。
【0056】
図13は、本発明の1つの実施形態によるコンピューティングシステム39の簡略ブロック図である。コンピューティングシステムは、一般に、コンピューティングデバイス42に動作可能に接続された入力デバイス40を含む。例証として、入力デバイス40は一般に、図11及び12に示される入力デバイス30に対応することができ、コンピューティングデバイス42は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、メディアプレーヤー、移動電話、スマートフォン、ビデオゲーム、又は同様のものに対応することができる。図示のように、入力デバイス40は、押下可能なトラックパッド44及び1つ又はそれ以上の移動インジケータ46を含む。トラックパッド44は、トラッキング信号を生成するように構成され、移動インジケータ46は、トラックパッド44が押下されたときにボタン信号を生成するよう構成されている。トラックパッド44は広い範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド44は、静電容量センサ48と、センサ48からの位置信号を収集して、該信号をコンピューティングデバイス42に供給するための制御システム50を含む。制御システム50は、センサ48からの信号をモニターし、モニターされた信号のロケーション(直角又は角度)、方向、速度、及び加速度を計算し、更にこの情報をコンピューティングデバイス42のプロセッサにレポートするよう構成される特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。移動インジケータ46はまた、広い範囲にわたって変えることができる。しかしながら、この実施形態では、移動インジケータ46は、トラックパッド44が押下されたときにボタン信号を生成するスイッチの形式を取る。スイッチ46は、機械、電気、又は光スタイルスイッチに相当することができる。1つの特定の実施では、スイッチ46は、突出アクチュエータ52を含む機械式スイッチであり、該アクチュエータは、トラックパッド44が押すことでボタン信号を生成することができる。例証として、スイッチは、タクトスイッチ又は触覚ドームとすることができる。
【0057】
トラックパッド44とスイッチ46の両方は、通信インターフェース54を介してコンピューティングデバイス42に動作可能に結合される。通信インターフェースは、入力デバイスと電子デバイスとの間の直接又は間接接続のための接続ポイントを提供する。通信インターフェース54は、有線(電線、ケーブル、コネクタ)又は無線(例えば、送信器/受信器)とすることができる。
【0058】
コンピューティングデバイス42は一般に、命令を実行し且つコンピューティングデバイス42に関連付けられたオペレーションを実行するよう構成されたプロセッサ55(例えば、CPU又はマイクロプロセッサ)を含む。例えば、メモリから取り出された命令を使用して、プロセッサは、コンピューティングデバイス42の構成要素間の入力及び出力データの受け取り及び操作を制御することができる。ほとんどの場合、プロセッサ55は、オペレーティングシステム又は他のソフトウェアの制御下で命令を実行する。プロセッサ55は、シングルチッププロセッサとすることができ、或いは複数の構成要素を実装することができる。
【0059】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合された入力/出力(I/O)コントローラ56を含む。I/Oコントローラ56は、プロセッサ54に統合することができ、或いは図示のように、別個の構成要素であってもよい。I/Oコントローラ56は一般に、コンピューティングデバイス42に結合できる1つ又はそれ以上のI/Oデバイス、例えば入力デバイス40との対話を制御するよう構成されている。
I/Oコントローラ56は一般に、コンピューティングデバイス42と、該コンピューティングデバイス42との通信を望むI/Oデバイスとの間でデータを交換することによって動作する。
【0060】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合されるディスプレイコントローラ58を含む。ディスプレイコントローラ58は、プロセッサ54に統合することができ、或いは図示のように別個の構成要素であってもよい。ディスプレイコントローラ58は、ディスプレイ画面60上にテキスト及びグラフィクスを生成するためのディスプレイコマンドを処理するよう構成されている。例証として、ディスプレイ画面60は、白黒ディスプレイ、カラーグラフィクスアダプタ(CGA)ディスプレイ、拡張グラフィクスアダプタ(EGA)ディスプレイ、可変グラフィクスアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)(例えば、アクティブマトリクス、パッシブマトリクス、及び同様のもの)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ、バックライト発光ダイオード(LED)LCDディスプレイ、又は同様のものとすることができる。
【0061】
1つの実施形態(図示せず)では、トラックパッド44は、タッチセンシティブ表面としてだけではなく、ディスプレイ画面としても機能するガラス表面を含むことができ、この場合、図13に示されるディスプレイ画面60は、トラックパッド40のガラス表面と一体化させることができる。これは、タッチセンシティブディスプレイを有するコンピューティングデバイス(例えば、メディアプレーヤー又は移動電話)において有用とすることができる。タッチセンシティブディスプレイを有するメディアプレーヤーの実施例は、カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPod Touchである。タッチセンシティブディスプレイを有する移動電話の実施例は、カリフォルニア州Cupertino所在のApple Inc.によって製造されたiPhoneである。
【0062】
ほとんどの場合、オペレーティングシステムを備えたプロセッサ54は、コンピュータコードを実行し、データを作成及び使用するよう動作する。コンピュータコード及びデータは、プロセッサ54に動作可能に結合されたプログラム記憶エリア62内に常駐することができる。プログラム記憶エリア62は一般に、コンピューティングデバイス42によって使用されるデータを保持する場所を提供する。例証として、プログラム記憶エリアは、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ及び/又は同様のものを含むことができる。コンピュータコード及びデータはまた、取り外し可能プログラム媒体上に常駐することができ、必要な場合にはコンピューティングデバイスにロード又はインストールすることができる。1つの実施形態では、プログラム記憶エリア62は、入力デバイス40によって生成されたトラッキング及びボタン信号がコンピューティングデバイス42によってどのように使用されるかを制御するための情報を記憶するよう構成されている。
【0063】
図14は、全体が符号70で示された、フレーム76に接続されたトラックパッド72を含む入力デバイスの1つの実施形態を示す。フレーム76は、独立型入力デバイスのためのハウジングとすることができ、或いはトラックパッド72を組み込む別のデバイス、例えばラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドメディアデバイス、PDA、移動電話、スマートフォン等のためのケースとすることができる。トラックパッド72は、指の移動を追跡するための外側タッチセンシティブトラック表面74を含む種々の層を含む。トラック表面74はまた、低摩擦化粧表面を提供することができる。1つの実施形態では、トラックパッド72は、静電容量感知に基づいており、従って、例えばPCB上に実装できる電極層80を含む。静電容量感知の場合、トラック表面74は誘電材料である。補強材84が電極層80の下に位置付けられる。補強材84は、図14及び図15に示されているが、幾つかの実施形態では省略することができる。補強材84を用いて、電極層80の特有の可撓性を補償することができる。電極層80は、信号をセンサ82に送ることによって、トラック表面74に沿った指の移動に応答する。静電容量感知の場合、電極層80は、指の移動に基づく静電容量の変化を記録し、センサ82は静電容量センサである。このようにして、トラックパッド72は、タッチセンサ構成を組み込む。センサ82は、電極層80の下部に配置されて示されているが、他の実施形態では他の場所に位置付けることができる。図示の実施形態のようにセンサ82がトラックパッド72の可動部に位置付けられた場合、入力デバイスは、システムと共に移動できる可撓性の電気接続部(図示せず)を組み込むことができる。
【0064】
移動インジケータ78は、トラックパッド72の下部に配置される。移動インジケータ78は、広い範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド72とフレーム76の間に通常配置される機械スイッチの形式を取る。他の実施形態では、移動インジケータ78は、センサ、例えば電気センサとすることができる。移動インジケータ78は、フレーム76又はトラックパッド72に取り付けることができる。図示の実施形態では、移動インジケータ78は、電極層80の下部側に取り付けられる。例証として、電極層80がPCB上に位置付けられた場合、移動インジケータ78は、PCBの下部に位置付けることができる。別の実施例では、移動インジケータ78は、タクトスイッチの形式を取ることができ、更に具体的には、SMTドームスイッチ(SMT用にパッケージされたドームスイッチ)とすることができる。
【0065】
トラックパッド72は、図14ではニュートラルの位置で示されており、移動センサ78はフレーム76に接触していない。ユーザがトラック表面74に下向きの圧力を加えると、トラックパッド72は、下向きに移動し、この位置の変化を移動センサ78に記録させることができる。図示の実施形態では、移動センサ78(タクトスイッチ)は、フレーム76、或いはこの場合はセットスクリュー88のいずれかに接触することになる。セットスクリュー88は、ニュートラル位置と作動位置の間の距離を変えるよう手動調整することができる。1つの実施形態(図示せず)では、セットスクリュー88はニュートラル位置で移動センサ78に直接当接することができ、システムにゆるみ又は事前の移動がないようにする。屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72をフレーム76に接続する。屈曲ヒンジ86は、力が加えられると曲がるが、トラックパッド72をニュートラル位置に戻す方向に付勢するよう回復力を作用させる弾性材料である。1つの実施形態では、屈曲ヒンジ86は薄いバネ鋼とすることができる。
【0066】
図15に示されるように、屈曲ヒンジ86は、ユーザがトラック表面74上を押下したときに曲がることになる。屈曲86はまた、図14に示された図示の実施形態では水平であるニュートラル位置に向けてトラックパッド72を付勢する。このように、ユーザは、トラック表面74上のあらゆる場所を実質的に押下し、移動インジケータ78がこの押下を記録することを意味する「ピック」を起こすことができる。これは、別個のトラックゾーン及びピックゾーンを組み込む従来のトラックパッドとは対照的である。トラック表面74上のあらゆる場所をピックできることで、より直感的で快適なインターフェースをユーザに提供することになる。例えば、ユーザは、トラック表面74から指を離す必要がなく、1本の指でトラッキング及びボタン信号を生成することができる。対照的に、別個のトラック及びピックゾーンを有するトラックパッドを操作するユーザは、例えば、トラッキングには右手をピッキングには左手を使用し、或いはトラッキングには人差し指をピッキングには親指を使用する可能性がある。
【0067】
フレーム76の拡張部分或いは個別部材とすることができるショルダー部90は、トラックパッド72の一部、例えば補強材84に接触することによって、トラックパッド72がそのニュートラル位置を越えて移動しないようにする。このように、トラック表面74は、フレーム76の上部表面と実質的に同一平面に維持することができる。トラックパッド72とショルダー部90との間の接触を和らげるためにショルダー部90と共に衝撃吸収材又はアップストップ(図示せず)を組み込むことができる。
【0068】
理解されるように、トラック表面74を押すことによって生成されるピックは、画面上の項目を選択する、ファイル又は文書を開く、命令を実行する、プログラムを開始する、メニューをビューする、及び/又は同様のことを含むことができる。ボタン機能はまた、例えば、ズーム、スクロール、種々のメニューのオープン、入力ポインタを定位置に移動する、エンター、削除、挿入、ページアップ/ダウン、及び同様のことなどのキーボードに関する動作を行うなど、電子システムのナビゲートを容易にする機能を含むことができる。
【0069】
屈曲ヒンジ86は、実施可能な最小の垂直スペースでの可動トラックパッドを可能にする。最小垂直スペースは、屈曲ヒンジ86が薄く且つ一般にはトラックパッド72の下部層に並行に位置付けられることで達成され、その結果、屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72の厚みをそれほど増大させることはない。従って、この構成は、極薄ラップトップコンピュータでの使用に適している。このような極薄ラップトップコンピュータアプリケーションでは、垂直スペースが極めて制限されている。過去には、電気構成要素のサイズは、電気デバイスをどれ程小さく作れるかに関しての制限的特徴であることが多かった。
今日では、電気構成要素は益々小型化されつつあり、これは、機械構成要素(例えば可動トラックパッド)が臨界的サイズの制限構成要素になる可能性があることを意味する。このことが理解されると、用途によってはリニア作動(例えば、コイルバネ又は同様のものによる可動トラックパッドの支持)は理想的ではないことの理由を理解するのが容易となる。更に、バネを使用すると、製造プロセスに対して複雑さ(部品点数の増加、高コスト、高故障率など)を不必要に付加する可能性がある。バネの別の欠点は、幾つかの実施形態においてバネが触覚スイッチの力プロフィールを遮断又は損なう可能性があることである。対照的に、屈曲部86は、トラック表面74全体に渡って実質的に一定の感覚を提供することができ、ユーザに触覚スイッチフォースプロフィールのより正確な表現を与えることができる。
【0070】
ここで本発明の1つの実施形態による図15を参照すると、ユーザがトラックパッド72のトラック表面74を押したときに、トラックパッド72の枢動により、その下に配置されたスイッチ78が下向きに作動される。作動されると、スイッチ78は、入力デバイス70に接続された電子デバイスによって使用することができるボタン信号を生成する。
屈曲部86は、実質的に1つの軸だけの周りでトラックパッド72を移動するよう拘束することができる。これは、例えば、背面側などのトラックパッド72の1つの側面上の軸に沿って配列された複数の屈曲部を使用することによって達成することができる。更に、トラックパッド72が剛直に作られている場合(例えば、必要に応じて補強材84を含めることで)、均一化アーキテクチャが達成される。言い換えると、屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72をニュートラル位置に向けて付勢し、また、実質的に1つだけの軸、すなわち屈曲ヒンジ86がフレーム76に接続されている軸の周りの移動を可能にする。
【0071】
本発明の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明してきたが、当業者であれば種々の変更及び修正が明らかになる点に留意されたい。このような変更及び修正は、添付の請求項によって定義される本発明の実施形態の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0072】
100 タッチセンサパネル
102 端部帯域
104 中心領域
106 接触
108 接触
110 重心
112 重心
114 接触
116 接触
118 移動重心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するための方法であって、
前記タッチセンサパネル内の1つ又はそれ以上の領域を接触拒否領域として指定する段階と、
拒否又は認識基準に従って、前記1つ又はそれ以上の接触拒否領域内で検出された第1の接触を選択的に拒否又は認識する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
第2の接触が前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合には、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1の接触が特定の閾値を超える移動を有するものとして検出された場合には、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の接触が特定のジェスチャーの一部又は全部として認識された場合にのみ前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の接触の原因としての指又は親指の識別に従って、前記接触拒否領域のサイズを変える段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同期した移動を有する場合に、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つ又はそれ以上の第2の接触がジェスチャーの一部として前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合には、前記第1の接触を前記ジェスチャーの一部として認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又はそれ以上の第2の接触をドラッグジェスチャーの一部として認識し、前記第1の接触を前記ドラッグジェスチャーのドラッグロック構成要素であると認識する段階を更に含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のジェスチャーを行う1つ又はそれ以上の第2の接触が前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合に、第1のジェスチャーを変更するものとして前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の接触の計算パラメータに従って前記接触拒否領域のサイズを変える段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記タッチセンサパネルの周囲に沿って接触拒否領域を指定する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記タッチセンサパネルの種々の端部に沿って前記接触拒否領域に種々の幅を割り当てる段階を更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の接触が前記第1の接触から特定の所定距離範囲内で検出された場合に、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同時にタッチダウンした場合には、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記プログラムコードが更に、第2の接触がまた前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合に、前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
第2の接触がまた前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1の接触が特定の閾値を超える移動を有するとして検出された場合には、前記プログラムコードは更に前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記第1の接触が特定のジェスチャーの一部又は全部として認識された場合のみ、前記プログラムコードは更に前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記プログラムコードが更に、前記第1の接触の原因としての指又は親指の識別に従って前記接触拒否領域のサイズを変えるものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
第2の接触がまた前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同期した移動を有する場合に、前記プログラムコードが更に前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
1つ又はそれ以上の第2の接触がジェスチャーの一部として前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合には、前記プログラムコードは更に前記第1の接触を前記ジェスチャーの一部として認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記プログラムコードが更に、前記1つ又はそれ以上の第2の接触をドラッグジェスチャーの一部として認識し、前記第1の接触を前記ドラッグジェスチャーのドラッグロック成分として認識するものである、
ことを特徴とする請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
前記第1のジェスチャーを行う1つ又はそれ以上の第2の接触が、前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合に、前記プログラムコードは更に第1のジェスチャーを変えるものとして前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記プログラムコードが更に、前記第1の接触の計算パラメータに従って前記接触拒否領域のサイズを変えるものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項25】
前記プログラムコードが更に、前記タッチセンサパネルの周囲に沿って接触拒否領域を指定するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記プログラムコードが更に、前記タッチセンサパネルの種々の端部に沿って前記接触拒否領域に種々の幅を割り当てるものである、
ことを特徴とする請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記プログラムコードが更に、第2の接触が前記第1の接触から特定の所定距離範囲内で検出された場合に、前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記プログラムコードが更に、第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同時にタッチダウンした場合には前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体を含む移動電話であって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、ことを特徴とする移動電話。
【請求項30】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体を含むメディアプレーヤーであって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするメディアプレーヤー。
【請求項31】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体を含むパーソナルコンピュータであって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするパーソナルコンピュータ。
【請求項32】
タッチセンサパネル上の接触を解釈するための方法であって、
前記タッチセンサパネル内の1つ又はそれ以上の領域をクリック領域として指定する段階と、
前記タッチセンサパネルの機械クリックを検出する段階と、
特定のクリック領域におけるタッチを前記機械クリックの検出とほぼ同時に検出する段階と、
前記特定のクリック領域に応じて前記タッチを解釈する段階と、
を含む方法。
【請求項33】
ボタン利用パターンに応じて前記クリック領域の1つ又はそれ以上のエリアを割り当てる段階を更に含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ボタン利用パターンに応じて前記クリック領域の1つ又はそれ以上のロケーションを割り当てる段階を更に含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項35】
現在のデバイス利用に応じて前記1つ又はそれ以上のクリック領域を動的に指定する段階を更に含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項36】
タッチセンサパネル上の接触を解釈するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムコードが、
前記タッチセンサパネル上のいずれかの場所に圧力を加えることによって前記機械クリックを生成できるタッチセンサパネルからの機械クリックを検出する段階と、
前記タッチセンサパネルの機械クリックが前記特定のクリック領域に応じて検出されたのとほぼ同時に前記タッチセンサパネル上の特定のクリック領域で検出されたタッチを解釈する段階と、
を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
前記プログラムコードが更に、ボタン利用パターンに応じて1つ又はそれ以上のクリック領域のエリアを割り当てるものである、
ことを特徴とする請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項38】
前記プログラムコードが更に、ボタン利用パターンに応じて1つ又はそれ以上のクリック領域のロケーションを割り当てるものである、
ことを特徴とする請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項39】
前記プログラムコードが更に、現在のデバイス利用に応じて前記1つ又はそれ以上のクリック領域を動的に指定するものである、
ことを特徴とする請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項1】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するための方法であって、
前記タッチセンサパネル内の1つ又はそれ以上の領域を接触拒否領域として指定する段階と、
拒否又は認識基準に従って、前記1つ又はそれ以上の接触拒否領域内で検出された第1の接触を選択的に拒否又は認識する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
第2の接触が前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合には、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1の接触が特定の閾値を超える移動を有するものとして検出された場合には、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の接触が特定のジェスチャーの一部又は全部として認識された場合にのみ前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の接触の原因としての指又は親指の識別に従って、前記接触拒否領域のサイズを変える段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同期した移動を有する場合に、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つ又はそれ以上の第2の接触がジェスチャーの一部として前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合には、前記第1の接触を前記ジェスチャーの一部として認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又はそれ以上の第2の接触をドラッグジェスチャーの一部として認識し、前記第1の接触を前記ドラッグジェスチャーのドラッグロック構成要素であると認識する段階を更に含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のジェスチャーを行う1つ又はそれ以上の第2の接触が前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合に、第1のジェスチャーを変更するものとして前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の接触の計算パラメータに従って前記接触拒否領域のサイズを変える段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記タッチセンサパネルの周囲に沿って接触拒否領域を指定する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記タッチセンサパネルの種々の端部に沿って前記接触拒否領域に種々の幅を割り当てる段階を更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の接触が前記第1の接触から特定の所定距離範囲内で検出された場合に、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同時にタッチダウンした場合には、前記第1の接触を認識する段階を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記プログラムコードが更に、第2の接触がまた前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合に、前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
第2の接触がまた前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1の接触が特定の閾値を超える移動を有するとして検出された場合には、前記プログラムコードは更に前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記第1の接触が特定のジェスチャーの一部又は全部として認識された場合のみ、前記プログラムコードは更に前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記プログラムコードが更に、前記第1の接触の原因としての指又は親指の識別に従って前記接触拒否領域のサイズを変えるものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
第2の接触がまた前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同期した移動を有する場合に、前記プログラムコードが更に前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
1つ又はそれ以上の第2の接触がジェスチャーの一部として前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合には、前記プログラムコードは更に前記第1の接触を前記ジェスチャーの一部として認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記プログラムコードが更に、前記1つ又はそれ以上の第2の接触をドラッグジェスチャーの一部として認識し、前記第1の接触を前記ドラッグジェスチャーのドラッグロック成分として認識するものである、
ことを特徴とする請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
前記第1のジェスチャーを行う1つ又はそれ以上の第2の接触が、前記タッチセンサパネルの主領域内で検出された場合に、前記プログラムコードは更に第1のジェスチャーを変えるものとして前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記プログラムコードが更に、前記第1の接触の計算パラメータに従って前記接触拒否領域のサイズを変えるものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項25】
前記プログラムコードが更に、前記タッチセンサパネルの周囲に沿って接触拒否領域を指定するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記プログラムコードが更に、前記タッチセンサパネルの種々の端部に沿って前記接触拒否領域に種々の幅を割り当てるものである、
ことを特徴とする請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記プログラムコードが更に、第2の接触が前記第1の接触から特定の所定距離範囲内で検出された場合に、前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記プログラムコードが更に、第2の接触が更に前記タッチセンサパネルの主領域内で検出され、且つ前記第1及び第2の接触がほぼ同時にタッチダウンした場合には前記第1の接触を認識するものである、
ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体を含む移動電話であって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、ことを特徴とする移動電話。
【請求項30】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体を含むメディアプレーヤーであって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするメディアプレーヤー。
【請求項31】
タッチセンサパネル上の接触を選択的に拒否するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体を含むパーソナルコンピュータであって、前記プログラムコードが、前記タッチセンサパネルにおいて前記タッチセンサパネルの1つ又はそれ以上の端部に沿って位置付けられる1つ又はそれ以上の指定された接触拒否領域で検出された第1の接触を、拒否又は認識基準に従って選択的に拒否又は認識する段階を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするパーソナルコンピュータ。
【請求項32】
タッチセンサパネル上の接触を解釈するための方法であって、
前記タッチセンサパネル内の1つ又はそれ以上の領域をクリック領域として指定する段階と、
前記タッチセンサパネルの機械クリックを検出する段階と、
特定のクリック領域におけるタッチを前記機械クリックの検出とほぼ同時に検出する段階と、
前記特定のクリック領域に応じて前記タッチを解釈する段階と、
を含む方法。
【請求項33】
ボタン利用パターンに応じて前記クリック領域の1つ又はそれ以上のエリアを割り当てる段階を更に含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ボタン利用パターンに応じて前記クリック領域の1つ又はそれ以上のロケーションを割り当てる段階を更に含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項35】
現在のデバイス利用に応じて前記1つ又はそれ以上のクリック領域を動的に指定する段階を更に含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項36】
タッチセンサパネル上の接触を解釈するためのプログラムコードを格納するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムコードが、
前記タッチセンサパネル上のいずれかの場所に圧力を加えることによって前記機械クリックを生成できるタッチセンサパネルからの機械クリックを検出する段階と、
前記タッチセンサパネルの機械クリックが前記特定のクリック領域に応じて検出されたのとほぼ同時に前記タッチセンサパネル上の特定のクリック領域で検出されたタッチを解釈する段階と、
を含む方法を実施させるものである、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
前記プログラムコードが更に、ボタン利用パターンに応じて1つ又はそれ以上のクリック領域のエリアを割り当てるものである、
ことを特徴とする請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項38】
前記プログラムコードが更に、ボタン利用パターンに応じて1つ又はそれ以上のクリック領域のロケーションを割り当てるものである、
ことを特徴とする請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項39】
前記プログラムコードが更に、現在のデバイス利用に応じて前記1つ又はそれ以上のクリック領域を動的に指定するものである、
ことを特徴とする請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−41629(P2013−41629A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262208(P2012−262208)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2008−336240(P2008−336240)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2008−336240(P2008−336240)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
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