説明

タバコ販売機

【課題】従業員が正当に承認されている場合のみ、製品を排出するタバコ販売機を提供する。
【解決手段】紙巻きタバコおよびその他の類似の製品の販売機は、その中に収容されているストックを排出する機構を含む。さらにこのタバコ販売機10は、高周波識別子(RFID)読み取り機などの入力装置、不揮発性メモリおよび制御ロジックが設けられている。この販売機10は、通常、バーなどの客がそこの従業員101にタバコの購入を頼むバックオブバーの環境に設置される。このようなタバコの販売を行うために従業員101は、タバコ販売機10のRFID読み取り機にRFIDカード102を通す。これによってRFID読み取り機は、RFIDカード102に含まれる独自のシリアル番号107にアクセスし、そのRFIDカード102が販売機102に保持された一連の承認に対して確認される。確認されると、販売機10は要求されたタバコを排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙巻タバコパックなどを販売するために使用するタバコ販売機およびこのような販売機の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
販売機は、例えば缶入り飲料、菓子などの多岐に亘る製品の販売に使用されている。販売機の問題点の1つに客がその所望の商品の値段の小銭を必ずしも所持していないので不便であるということがある。いくつかの(より複雑な)販売機は、つり銭を出す機能を有するものもあるが、その数は、僅かである。さらには販売機内に現金が存在するということは、泥棒に狙われやすい(特に比較的閑散としている場所に設置されている場合)という問題もある。このような窃盗によって、販売機のオーナーは、売り上げの減少のほかに機械が破壊されてしまう被害を被ることになる。
【0003】
このような問題に対処している販売機が下記非特許文献1に記載されている。この文献では販売機を使用する際の代替え支払い機構として高周波識別(radio frequency identifier (RFID))カードの使用を提案している。より具体的には、消費者に消費者を独自に識別するデータを含むRFIDカードを発行する。そのRFIDカードを販売機で使用すると、販売機が認証サーバー(authorization server)と連絡を取り、購入金額がRFIDカードを保有している購入者のクレジットカードの口座に請求される。
【非特許文献1】http://www.ti.com/tris/docs/solutions/pos/vending.shtml
【0004】
このような試みは、購入時に現金を必要としないが、大規模且つ複雑な設備が必要になる。この販売機は、クレジットカードシステムとネットワーク接続されなければならず、全ての消費者に適当なRFIDカードを発行しなければならない。さらにはRFIDカードを紛失または盗まれた場合のセキュリティーの問題もある。
【0005】
また販売機は、タバコ製品の販売によく使用されている。ホテル、レストラン、カフェおよびバーなどの場所では、紙巻きタバコおよび他のタバコ製品の販売には2つの異なる方法がある。その内の1つの方法(フロントオブバー、front-of-bar)では、販売機は、客が利用するために提供される。その販売機が設置された店のオーナーは、通常、販売機オペレーター(vending machine operator、VMO)と契約し、VMOは、販売機を供給し、その機能および在庫処理の維持に責任を負う。販売機の設置場所の見返りとしてVMOは、通常、売れたタバコのパケット毎に一定の金額をオーナーに支払う。フロントオブバー用の販売機は、下記特許文献1に記載されている。
【特許文献1】欧州特許出願公開公報第1,426,905号
【0006】
他の方法(バックオブバー、back-of-bar)では、タバコは、棚またはバーの裏にある商品販売機に陳列されている。この方法ではタバコは、客が直接、製品を入手するのではなく、その代金を支払い、その店のスタッフによって客に渡される。バックオブバー用の販売機は、下記特許文献2に記載されている。
【特許文献2】英国特許出願明細書第2,180,527号
【0007】
タバコ販売機は、通常、法的な制限を受けることは知られている。したがって販売機が設置される店のオーナーは、その販売機がこのような制限を遵守していることを容易に示すことを望んでいる。さらにタバコは、比較的高価な製品であるので、オーナーおよび/または販売機の管理者は、在庫品の利用および出入を記録することを望んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の第1の態様では、排出機構と、メモリーと、入力装置と、制御ロジックとを含むタバコ販売機が提供される。このメモリーは、販売機に対して実行される少なくとも2つ以上の異なる作業に関する承認データおよび製品が販売機から排出(dispensed)される際の情報を記憶するために用いられる。記憶された情報は、少なくとも製品販売の日時および識別子(identifier)を含む。入力装置は、販売機にアクセスするためのリクエストを受け取るために作動する。制御ロジックは、記憶された承認データに対してこのリクエストが有効であるかを確認する。販売機の操作は、そのリクエストがその特定の操作のための承認データを満たした場合のみ認められる。このようなシステムによって、広範囲な複数の作業に亘って販売機への安全且つ確実なアクセスを可能にする。このようなタバコ販売機は、その店のスタッフの誰かが客の代わりに販売機にアクセスすることが可能な立会い式の小売り形態(attended retail setting)に主に使用される(このような状況は、バー、レストランなどがある)。
【0009】
入力装置に使用することができるシステムとしては、キーパッド(タッチスクリーンなどが利用可能である)、高周波識別子(RFID)読み取り機、磁気カードまたはフォブ(fobs)の読み取り機、バーコードリーダー、ワイヤレスリモートコントロールリーダーのレシーバーなど種々のものがある。ユーザーには販売機にアクセスできるように関連する情報(キーコード)またはアクセス装置(例えば、バーコードが印刷されたカード、RFIDタグなど)が発行される。
【0010】
ある1つの態様では、販売機のセキュリティーは、2つ以上のロール(role)が販売機に対して定義されるロールベースモデル(role-based model)に基づいている。承認データが各ロールにどのオペレーションが許可されるかを特定する。あるリクエストを受けると、制御ロジックがそのリクエストが特定のオペレーションの承認データを満たしているか否かをそのオペレーションがそのリクエストをした者に対応するロールに承認されているかどうかを調べることによって決定する。
【0011】
リクエストをする者にロールを割り当てる方法は、種々ある。したがってロールを直接リクエストに組み込むことも可能である。例えば、各ロールを異なるRFIDタグまたは異なるキーパッドコード(対応するアクセス機構にしたがって)を割り当ててもよい。そしてユーザーは、リクエストをする際に利用されるRFIDタグまたはキーパッドコードに割り当てられたロールを有すると仮定され、よって承認される。
【0012】
他の態様では、各ユーザーにユーザー固有のシリアル番号を割り当てるというより間接的な方法も利用可能である。全てのユーザーのシリアル番号は、それぞれロールが割り当てられて、承認データの一部として記憶される。この場合、各アクセス機構(キーパッドコード、RFIDタグなど)は、それを使用する者を識別するシリアル番号が割り当てられ、このシリアル番号は、販売機へのリクエストの一部として提供される。例えば、読み取りされるRFIDタグまたはバーコード内にシリアル番号をコード化してもよく、または入力するキーコード内に組み込んでもよい。シリアル番号を受け取ることによって制御ロジックがリクエストをした者のロールを判定し(受け取ったシリアル番号を介して)、その判定されたロールに基づいて対応するオペレーションを認めるか否かを判断する。
【0013】
また他の態様ではロールに基づいた認証モデルを使用する必要がない。例えば、承認データは、各シリアル番号に承認されたオペレーションを特定するだけにしてもよい(実質的にシリアル番号とオペレーションの間の媒介としてのロールを省略する)。
【0014】
販売機に関する多種多様のオペレーションは、上述の方法で定められ、制御される。このようなオペレーションの例としては、販売機の補充、販売機から入手可能な製品の価格情報の更新、販売機からのタバコ製品の排出(販売)およびシステムへの新規な承認データの追加(新しいユーザーを利用可能にする、または退職したスタッフの承認を取り消すなど)などの管理タスクの実行などが挙げられる。
【0015】
いくつかの態様ではユーザーは、リクエストをする際(おそらく暗黙のうちにいかにそのリクエストがなされたかに応じて)、所望のオペレーションを特定する。この場合、その所望のオペレーションは、そのリクエストに対応する承認データに従って実行可能になる、または不可能になる。これとは別に最初のリクエストは、実行されるオペレーションを特定しなくてもよく、この場合承認は、全ての可能なオペレーションに対して実行される。その後ユーザーが特定のオペレーションの実行を試みた場合のみ、そのオペレーションは、承認に応じて実行可能になる、または不可能になる。
【0016】
ある1つの態様ではメモリーに記憶された情報は、使用される特定の承認モデルに応じて、オペレーションを実行する者のロールおよび/またはシリアル番号を含む(シリアル番号を記憶することによって全て同じロールが割り当てられた複数のスタッフを区別することが可能になる)。さらに販売機の補充、新しいユーザーの追加などの他の事柄についての情報も記憶させてもよい。このように記憶された情報は、販売機へのアクセスの完全な監査トレイル(audit trail)を提供することになる。これは内部在庫管理およびあらゆる関連する法的な要求事項を遵守していることを示すのに有用である。
【0017】
またある1つの態様では、販売機には記憶された情報へ外部からアクセスできるようにする1つ以上のデータポートが設けられている。このようなデータポートは、記憶された情報をローカルプリンターにアウトプットする、またはネットワーク接続によってリモートシステムへ記憶された情報をアウトプットするために利用することができる。またこのデータポートをラップトップコンピューターまたはPDAと記憶された情報とをシンクロさせるために利用することも可能である。あらゆる所定の販売機は、これらのアウトプットルートの1つ以上を支持してもよい。通常、記憶された情報は、レポートの形でアウトプットされる。これらのレポートは、複数のタイムスケール(例えば毎日、週毎、月毎、四半期毎など)で利用できるようにしてもよい。
【0018】
またデータポートは、システムの設定のために販売機内にデータを送るための機構として使用することができる。例えば、販売機内の異なる製品ラインの価格の設定および/または種々のユーザーまたはロールに対応する承認をこのデータポートを介していくつかの外部ソースから販売機にダウンロードしてもよい。またこのダウンロードにもラップトップコンピューターとのシンクロおよび/またはネットワークを介したリモートシステムとの通信などの多数のオプションがある。
【0019】
本発明の別の態様では、上述したようなタバコ販売機の操作方法が提供される。この方法は、販売機に対して実行される少なくとも2つ以上の異なるオペレーションに関する承認データを販売機に記憶させることを含む。さらにこの方法は、販売機へアクセスするためのリクエストを受け、記憶されている承認データに対して受け取ったリクエストの正当性を確認することを含む。オペレーションは、そのリクエストがその特定のオペレーションの承認データを満たす場合のみ許可される。
【0020】
このような方法は、装置の態様に関して上述した同じ特定の特徴を利用することができる。
【0021】
本発明の別の態様では、紙巻きタバコパックおよび他の類似の製品(例えばシガーパケット)の販売に使用するタバコ販売機を提供する。ある1つの態様では、このタバコ販売機は、排出機構と、高周波識別子(RFID)読み取り機と、メモリーと、制御ロジックとを含む。RFID読み取り機は、RFIDカードからのシリアル番号にアクセスするために使用され、メモリーは、排出機構の作動のために承認された一組のシリアル番号を記憶するために使用される。制御ロジックによってRFIDカードからアクセスされたシリアル番号が一連の承認された番号に含まれるか否かに従って排出機構を使用可能にする、または使用不可にする。
【0022】
ある1つの特定の態様では、タバコ販売機は、ロールベースセキュリティーモデルに基づいてストックの除去および補充を管理する。したがって販売機は、その中のストックを出し入れする場合、RFIDタグまたはカードによる安全な起動(secure activation)を必要とする。全てのストック除去作業について、販売機のローカルメモリーに記憶されたこの除去作業についての情報によって日付および時間を記録(time and date stamped)することができる。記憶されたデータに価格および販売した特定のスロットまたはカラムに関する情報を含ませることができる。システムで定義され、特定のRFIDタグで特定されるその他のロールは、販売機の補充および販売機に記憶された価格情報の更新を含んでもよい。
【0023】
ある1つの態様では、タバコ販売機には記憶されたデータにローカルおよびリモートアクセスすることができる少なくとも1つのデータポートが備えられている。ローカルレポート機構を供するためにデータポートを介してサーマルプリンターを取り付けることもできる。通常タバコ販売機は、ある特定の期間(日、週、月など)のユーザー(RFIDタグから判断される)の売り上げおよびブランド(操作されたスロットから判断される)ごとの売り上げなどの情報および現状のストックの量および価格に関する情報を供する記憶されたデータの種々のレポートフォーマットをアウトプットする。
【0024】
本発明の別の態様では、タバコ販売機の操作方法を提供する。この方法は、販売機から販売することが許可された一連のシリアル番号を販売機に入力する工程と、販売機に組み込まれたRFID読み取り機を使用してRFIDカードからのシリアル番号にアクセスする工程とを含む。次にアクセスされたシリアル番号が販売機からの販売を許可する一連のシリアル番号に含まれるか否かが判断される。アクセスされたシリアル番号が販売機からの販売を許可する一連のシリアル番号に含まれると判断された場合のみ製品が販売機から販売される。
【0025】
ある1つの特定の態様では、複数のロールがタバコ販売機に供される。各ロールは、それが実行するのを許可された1つ以上のオペレーションを有する。各シリアル番号は、これら複数のロールの1つに割り当てられる。このようなロールの一例としては、ストックの補充が挙げられ、これによりストック補充ロールが割り当てられたシリアル番号を含むRFIDカードを有するユーザーが製品を補充するために販売機を開けることを許可される。別のロールとして、販売機が設置されている店のオーナーが挙げられる。店のオーナーというロールが割り当てられたシリアル番号を含むRFIDカードを有するユーザーは、既にあるシリアル番号に新しいシリアル番号を加えること、およびこれら新しいシリアル番号にロールを割り当てることが許可される。またさらにストックの排出(販売)のロールも可能である。ストックの排出のロールが割り当てられたシリアル番号を含むRFIDカードを有するユーザーは、販売機から製品を排出することを許可される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1および2は、本発明の第1の態様によるタバコ販売機10を例示している。図3および4は、本発明の第2の態様によるタバコ販売機を例示している。これら2つの態様は、多くの共通の部品を有するので、一緒に説明する。
【0027】
図1乃至4に示すようにタバコ販売機10は、頂部カバー52と、底部カバー35と、後部カバー50とによって形成されたハウジング内に中央空洞部8を含む。この例示した態様では、これらカバーは、アルミニウムまたはアルコボンド(プラスチックのコアによって分けられた2枚のアルミニウムシートから構成されている)などの複合材から形成されている。またこれらのカバーは、ステンレススチール留め具28によって互いに張りつけられている。アルミニウムは、丈夫であるという利点を有するが、ハウジング用に異なる材料を使用してもよい(例えば何らかの形状のアクリル)。
【0028】
キーロック44が販売機の後部カバー50に設けられている。このロックは、対応するキーを有する者によって使用することができ、これにより後部カバー50および必要であれば頂部カバー52を取り外して空洞部8を利用することができる。この作業は、通常、サービスオペレーション時に必要となる。またキーロック44は、例えば機械が故障した場合など、販売機内のストックを取り出すことができるようにする手動の制御停止装置としての役割りを果たす。
【0029】
空洞部8は、紙巻タバコパケットを保持するカセットとして機能する1つ以上の引き出し18を収容する。これらのカセットは、通常、販売機の周囲で何かがこぼれたりすることによる製品の損傷を防ぐために耐水加工されている。各引き出しは、複数のスロット12を含み、各スロットは、紙巻きタバコパックが一列に満たされる。図1および図2の態様の販売機は、6つのスロット12を有する1つの引き出しを有するが、図3および4の態様の販売機は、2つの引き出し18を有し、各引き出しは、3つのスロット12を含む。タバコ販売機の所望の物理的寸法および配向並びに販売機内に保持されるタバコの銘柄の数および量に応じてその他種々の形状にスロットおよび引き出しを形成することも可能である。
【0030】
通常、1つのスロットに入れられるタバコパケットは、同じスロット内の全てのパケットが同じ値段になるように同じ銘柄に属する。複数のスロットは、それぞれ異なる銘柄のパケットを収容するのに使用され、これによりスロットごとに価格を変えることができる(種々の銘柄で種々の値段に応じて)。紙巻タバコパケットは、販売機10前方のスロット12から排出される(1回に1つ)。スロットの前部でユーザーに陳列されたあらゆるパケットが購入可能である(これによりユーザーは、陳列されていなければ、販売機がユーザーの希望の製品をストックしているとは思わない)。
【0031】
タバコ販売機の底部カバー35に取り付けられているのは、販売機を支持するためのゴム製の脚部24である。さらに電力コード26が底部カバーの凹部(図面では見えない)に設けられたソケットから延びている。この供給電力は、110ボルト乃至220ボルト切り替え式変換器42に送られ、この変換器が電力を販売機の他の部分に供給する。ある1つの態様ではタバコ販売機10は、主要電力が遮断された場合に販売機に予備の電力を供給するために使用することができるニッケルカドミウム電池を含む。
【0032】
タバコ販売機の前部は、3つの設定、即ちオフ、オンそしてアラームを有するキーロック20を含む。アラームの設定では、販売機は、非作動状態、即ちタバコの販売を行わない状態になっているが、何者かが機械にいたずらしようとするとアラームが鳴るようになっている。単に電力コード26を電源から抜いても販売機は、非作動状態になる。ある1つの態様では、販売機に対するいたずら(例えばタバコ配送口に手を入れるなど)を検知するために通常の作動設定時に動作する追加のアラーム機能が販売機に設けられる。
【0033】
さらにタバコ販売機の前部にはシリアルデータポート22が設けられている。このデータポートは、以下に具体的に説明するようにデータおよび制御コマンドを販売機10に入力し、かつ、販売機からデータを抽出するために使用することができる。データポートは、有線直列接続(wired serial connection)されている必要はなく、例えば並列接続などのあらゆる好適な形態またはブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの無線接続を利用することも可能である。実際にはタバコ販売機10は、複数のデータポートを支持してもよい。電力コードを取り付けるために使用したのと同じ凹部にこのような追加のポートを設置させることも可能である。
【0034】
さらにタバコ販売機の前部には複数の感圧性ボタン(PSBs)15が設けられている。これらのボタンは、タバコ販売機10から紙巻きタバコパックを排出するのに使用される。各ボタンは、スロットを示す識別子(番号)を含み、そのスロットから特定のボタンに対応する商品が排出される。さらに各ボタンには発光ダイオード(LED)16が設けられている。この発光ダイオードは、対応するスロットが空で、商品を排出できない場合は点灯しない。
【0035】
さらに販売機の前部は、LED、液晶ディスプレー(LCD)またはその他好適な装置から構成された小型のディスプレー11を含む。このディスプレー11は、現在の時刻を表示するのに使用されるが、その他の必要な情報を提供するのに使用することができる。例えば、感圧ボタンの内の1つが押された場合、ディスプレー11は、そのボタンに対応するスロット内の銘柄の価格を表示させてもよい。またディスプレー11は、機械がアラーム状態に設定されているかなどの機械の状態を表示することもできる。
【0036】
高周波識別(RFID)タグ読み取り機30は、タバコ販売機内に含まれている。以下に詳述するようにタグ読み取り機30は、販売機の排出機構と協働して、確実に正式に承認された人員だけが販売機内のストックに触れることができるようにしている。言い換えれば、正式に承認されたRFIDタグまたはカードを有する者だけが販売機を操作することが許される。
【0037】
RFID以外の技術も販売機10へのアクセスの制御に使用してもよい。例えば、磁気性キーフォブ(key fobs)、バーコード、タッチパッドを利用したキーコード入力および/または何らかのバイオメトリック式の認証などが同じ目的で利用可能である。それでもRFIDタグは、費用的効果が高い、ユーザーを独自に特定するのに使用できる、再プログラム可能であるなどの利点を有するので好ましい。
【0038】
紙巻きタバコストックの取り出しが認められたら紙巻きタバコパックを放出する種々の排出機構(図面では見えない)をタバコ販売機10に使用することができる。例えば販売機に商品の価格に相当する金銭が入れられたとき、商品を放出するための機構自体は、当業界では既に知られている。通常、この排出機構は、ユーザーがパケットを手にすることができるようにパケットをトレイ38(図2参照)内に落下させる。しかしながら、その他の排出機構、例えば排出されるパケットを直接ユーザーが手にすることができるように販売機の前部に設けられた扉を解除するなどの機構を採用してもよい。(直接客がタバコ販売機10に触れることのないバックオブバー形式では、排出機構の安全性の要件は、フロントオブバー形式より緩和してもよい。)
【0039】
さらにタバコ販売機10には、ミクロ電子ボード30、31が組み込まれている。ボード30は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)または特定用途向け集積回路(ASIC)などのプロセッサ並びに揮発性および非揮発性メモリーの両方を含む。揮発性メモリーは、通常、ランダムアクセスメモリー(RAM)の形で設けられ、一方非揮発性メモリーは、フラッシュメモリー、ディスクドライブおよび/またはその他の好適な記憶装置によって提供される。ボード30は、下記に詳述するタバコ販売機の機能性を実行する好適なソフトウェア(ファームウェア)および/またはハードウェアを含む。このソフトウェアは、通常、非揮発性メモリーに記憶され、必要に応じてシステムプロセッサによる実行のためにRAMにロードされる。
【0040】
図1乃至4に例示したタバコ販売機10の態様は、あくまで例として挙げたに過ぎない。当業者であれば構成材料、備品、レイアウト、部材の数などの点で多くの変更が可能であることを認識するはずである。例えば、タバコ販売機10は種々のデータの入力のためのキーパッドおよび/またはデータの出力用のディスプレースクリーン(通常、LCDパネル)などを備えてもよい。このディスプレースクリーンは、販売データのレポートに、および宣伝メッセージを表示するために使用することも可能である。
【0041】
図5はバーまたはそれに類似の環境でのタバコ販売機10の使用を例示した説明図である。通常の取引は、紙巻きタバコパケットを要求する客103がバーの従業員101またはスタッフに伝えることから始まる。客は、そのバーの慣例に従ってそのタバコを要求する際、またはタバコを実際に受け取った際に代金191を支払う。
【0042】
その店の各従業員またはオペレーター101は、通常、RFIDタグまたはカード102を所持している。このようなタグは、種々の形状およびサイズであってもよいが、通常はクレジットカードに似た形状をしている。RFIDカード102には携帯を容易にし、使いやすくするためにするためにキーリング、ベルトなどに取り付けできる機能を設けてもよい。各カードは、読み出し専用メモリー(ROM)として記憶されている独自のシリアル番号107を含む。カードの一面には識別のためにカードが割り当てられた者の写真が貼付されており、裏側にはカードを使用する際のインストラクションが記載されている。カード102は、その他のビジネス用途、例えばビルへの出入り、出勤退社の記録のために従業員101が使用することも可能である。このようにしてタバコ販売機10へのアクセスは、必要に応じてその事業体の一般的なセキュリティーおよび経営機能に組み込むことが可能である。
【0043】
カードを使用するためにオペレーター101は、カード102を販売機10に通す。これによって販売機内のRFID読み取り機30(図1参照)が矢印190で示すようにカード102の独自のシリアル番号107にアクセスする。(RFIDは当業者にはよく知られた技術であるので、カード102からのデータクセスの動作の説明は、ここでは省略する。)
【0044】
タバコ販売機10は、受信したシリアル番号107を一連の記憶されているロール(役割り)108と比較し、ストックの販売を承認するか否かを判断する。これらロール108については以下に詳述する。いくつかの状況では、オペレーターは、二次的承認形態として所定の時間(例えば4秒)、RFIDカード102を読み取り機30に当てることを求められる。シリアル番号107とロール情報108とを比較することによってオペレーター101が適切に認証され、その他の関連する基準が満たされたことを示すと、販売機は要求されたタバコを排出する。そしてタバコは、オペレーター101によって客102に提供され、販売が完了する。
【0045】
別の態様ではオペレーター101のロールレベルをRFIDタグ102自体にコード化することも可能である。この場合、タバコ販売機10は、単にコード化されたロールが要求されたタスクに合うかを確認するだけでよい。もし合っていれば、それに対応するオペレーション(例えばストックの販売)が承認される。この態様では、RFIDタグは、販売機の使用のための承認を与えるためにオペレーター101の個々の識別子(シリアル番号)を記憶する必要はない。それでも一般的にはシリアル番号はカードに記憶され、各取引のためにタバコ販売機10に提供されることが望ましい。これにより販売機の利用をユーザー毎に記録することができる。
【0046】
タバコを販売するときは常に販売機は、その取引の詳細を記憶装置109に記録する。あらゆる特定の取引に関する記憶されたデータは、取引の日時、商品の購入を認証するために使用されたRFIDカードのシリアル番号107、タバコを販売したスロット(これは販売した特定の銘柄をマップ(map)する)を含む。シリアル番号107は、より多くの情報が販売機10内で利用可能な場合(このような情報は、セットアップ時に供してもよい)、カード102の所持者についてのより多くの情報(名前またはスタッフ番号など)で補ってもよい。
【0047】
いくつかの態様において、タバコが実際に販売されたことを確認するために特別な機能をタバコ販売機10に組み込んでもよい。例えば、タバコがトレイ38内に落下して、光線を遮ることによってタバコが販売されたという信号を送ることもできる。このような確認は、イベントデータの記憶装置109への書き込みおよび記録されたストックレベルを更新するためのトリガーとして使用することも可能である。
【0048】
タバコ販売機10は、ネットワーク120を介して離れたところに位置する機械(図5ではバックオフィス130として示されている)に接続してもよい。ネットワーク120は、ローカルエリアネットワーク(イーサネット(登録商標)など)、バス(USBなど)、固定もしくは移動電話線またはその他の好適な接続形態によって提供することが可能である。ある1つの態様では、複数の販売機10をデイジー・チェーン接続して異なる全ての販売機に容易にアクセスできるようにすることも可能である。
【0049】
ネットワーク120によりセールスアナリスト131またはその他の適当な者がリモートシステム130から販売機10の記録109にアクセスすることができる。このようなリモートアクセスは、種々の目的に使用することができる。例えば、販売機のオペレーターまたはタバコ会社がいつ販売機10の補充が必要になるかを判断するために売り上げを追跡記録(track)してもよい。販売データは、監査目的またはマーケティングのために(例えば、販売機の販売能力に影響を与える種々の要因を把握するために異なる場所に設置してある販売機の売り上げを比較する)追跡記録することもできる。
【0050】
図6は本発明の1つの態様による販売機10からのタバコ販売におけるオペレーションを例示したフローチャートである。取引は、客がタバコを要求することから(ステップ210)始まる。この要求に答えて従業員は、自身が所持しているRFIDカード102をタバコ販売機10に通し(swipe)、これによって販売機がカード102に記載されているシリアル番号107にアクセスする(ステップ215)。それから販売機は、それに記憶されているロールデータ108にアクセスして(ステップ220)、シリアル番号107によって示されたユーザーがタバコを販売する権限を有するか否かを判断する(ステップ225)。
【0051】
もしそのユーザーが必要な権限を有していなければ、販売機は要求されたタバコの販売を拒否する(ステップ228)。この販売機は、実行した(または失敗した)オペレーションの詳細、例えば客の要求の日時およびその要求に応じたオペレーターのIDなどを記憶装置109に記録することも可能である。より一般的には販売機は、全ての要求された処理の詳細を記憶し、特定の処理が承認されたか否かを示す記録にフィールドを含んでもよい。
【0052】
ユーザーID107が記憶されているロール情報108に応じて承認されたと仮定するとステップ225の結果は、ポジティブとなる。この場合、所望のタバコが販売され(ステップ235)、客に供給される(ステップ240)。さらに販売機10は、以後の修正および分析のために処理の詳細を記憶装置109に記録する(ステップ230)。
【0053】
下記表1は、本発明の1つの態様によるタバコ販売機10の操作に係る種々の関係者のロール情報108について示している。特に表1は、異なるクラスのロール、当該ロールを実行することを期待されている機能および当該ロールに課される制限事項を具体的に示している。
【0054】
【表1】

【0055】
タバコ販売機10の操作の実際の方法は、外部システムとの販売機の相互接続性により異なる(図5に例示したように)。1つの態様では操作方法は、3つのレベルの内の1つに設定される。
【0056】
レベル1(スタンドアロン)−この場合、販売機はスタンドアロンユニットであり、データ記憶モジュールを含む。この販売機は、第三者の装置には接続されない。各ユーザーは、RFIDキーを介して独自のIDが割り当てられる。この販売機が設置された店のオーナーは、レポート情報109を入手するために会議用の静態報告(static report)を得ることができる。
【0057】
レベル2(プリプログラムされたレポート)−レベル2販売機は、レベル1と同じ機能を提供するが、さらに2つの主要な機能を有する。
(a)複数のプリプログラムされ、定められたレポート(下記に詳述するような)が提供される。
(b)この販売機は、シリアルデータポート22またはその他の好適なデータリンクを介してラップトップコンピューター、PDAなどの外部装置に接続可能である。取引に関する情報109は、さらなる分析および問い合わせ(interrogation)のためにこの外部装置にダウンロードすることができる。
【0058】
レベル3(リアルタイム接続)−レベル3販売機は、レベル1と同じ機能を提供するが、さらに次のような主要な機能を有する。
(a)ネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)120との永久的なリアルタイム接続、
(b)ネットワークを介した販売機からまたは販売機へのデータの引き出し、
(c)販売機でのおよびネットワークを介した例えばバックオフィス130でのリアルタイムのデーターの問い合わせおよび注文レポート(bespoke report)の作成。
【0059】
タバコ販売機10によってサポートされ、種々の関係者によって実行されるオペレーションについて詳しく説明する。
【0060】
1.システム設定
これは店に設置する際に管理者によって販売機を初期構成することを含む。システム設定の後、システムは、有効になり、店のスタッフの詳細が入力される準備が整う。
【0061】
システム設定は、販売機を作動させる管理者によって開始される(即ち、販売機を電源に接続し、キーロック20をオンの位置に切り替えることによって)。管理者は、ラップトップコンピューターを販売機10につなげ、ラップトップコンピューター上でセットアッププログラムを実行する。さらに管理者は、自身が保持するRFIDカードをRFID読み取り機に4秒以上押し当てる。これにより販売機は、そのシリアル番号をラップトップコンピューターに送信し、これを介して中央記録設備に送ることができる。
【0062】
次に管理者は、販売機に種々の設定データを入力する。この入力は、最初にデータをラップトップコンピューター上の適当な設定プログラムに入力し、販売機に設定条件をアップロードすることによって行われる。特に管理者は、1人以上の設置場所の所有者のために日時、設置場所の詳細をインプットし、タグの設定をする。また通常管理者は、タバコ会社の販売員のために販売機の補充のロールを設定し、レポートシステムを設定する。レポートのフォームは、通常、販売機がどのように外部と接続されているかまたは外部と接続されているか否か、即ち販売機のレベル(上述したような)によって決まる。また管理者は、種々の銘柄のタバコが入れられる各スロットの詳細および値段を入力するが、これは店のオーナーの意見に従って行ってもよい。
【0063】
上述の情報がアップロードされたら、販売機のLED11が正確な時間を表示するはずである。この時点で管理者は、販売機のいくつかのテスト、例えば販売およびレポート機能が正しく作動する、およびディスプレー11が正確な時間を表示することを確認するなどの作業を行う。
【0064】
レベル2および3の販売機の場合、システム設定のいくつかまたは全ては、リモートシステムによって実行される。したがって販売機10の作動後、管理者は、ネットワーク120によって販売機10と1つ以上のリモートシステム間のデータ接続を設定してバックオフィス130との接続を行うこともできる(図5参照)。管理者は、この接続を使用して1つ以上の設定をネットワーク120を介して販売機10に送ることができる。例えば、特定の組織によって作動される全ての販売機で実施される標準的なレポートフォーマットなどを送ることができる。
【0065】
2.ユーザー設定
販売機が特定の場所に設置、設定されると、その場所のオーナー(正確にはオーナーのロールが割り当てられた者)は、さらにそこでのユーザーを選出する。オーナーは、販売機10でのタバコの販売に責任を負うスタッフを販売機に設定する。
【0066】
ある1つの態様では、ユーザー設定の方法は、最初にオーナーが自身のカードを識別のために販売機に通すことを含む。このカードは、所定の時間、RFID読み取り機に押し付けて承認されるようにしなければならない場合もある(これによって例えばオーナーが販売機の前を通過しただけで機械が承認してしまうのを防ぐ)。その後オーナーは、RFIDタグが確実に作動することを確認するためにタグをテストすることができる。さらにオーナーは、そのタグがそのタグを所持するスタッフに適正なレベルのアクセス権だけを与えるということを確認することができる(例えば、タバコの販売は行えるが、ユーザーを設定または削除するなどのより高度な権限を必要とするタスクは行えない)。
【0067】
販売機に関わるスタッフは、スタッフの移動および再割り当てに応じて、選出、変更および削除される場合があるので、スタッフ用のカードは、常に継続して操作される。この場合、既に承認されたカードをスタッフ間でやり取りして、スタッフの入れ替えに対処することも可能である。それでもどのRFIDカードがどのスタッフに所定の時間、割り当てられたかを記録するのが望ましい。このような記録は、販売機10の外部に保存してもよく、また記憶データ109に組み込むことも可能である。
【0068】
通常、オーナーは、ロールを定め、販売機に携わるその他の関係者にRFIDカードを分配する責任を有する。例えば、オーナーは、ストックの補充をするタバコ会社の販売員のためにRFIDカードを起動して、割り当てる。
【0069】
3.ストックの補充
販売機は、そのストックが減ったら補充される。この補充作業は、これに対応するアクセス権を有するオーナーまたはタバコ会社の販売員によって行われる。これとは別にストック補充に対応するロールを定義し、この特定の機能をサポートするRFIDカードを適当な1人以上のスタッフに発行することも可能である(これはオーナーおよびタバコ会社の販売員に代えて、またはこれらに加えてもよい)。
【0070】
ストックの補充は、これが承認されたRFIDカード102をRFID読み取り機30に通す(swipe)ことによって実行される。これによりストックを補充するために引き出し18を開けることが認められる。ストックを補充した後、そのオペレーターは、システムをリセットし、各スロットのタバコの数が正しいかどうかを確認する。それからオペレーターが引き出しを閉めて、販売機は利用可能になる。補充作業に関する情報(例えば補充の日時、それを行った者のカードのシリアル番号)は、記憶されたデータ109に記録される。
【0071】
他の態様では、ストックの補充は、RFID制御機構の範囲外となる。例えば販売機を開けて、商品が入っている引き出しを出し入れするための特別なキーロック44(図2参照)を、設けてもよい。この態様では、ストックを補充し終わったら、リセットされるボタンが設けられている。このボタンを押すことによって各スロットにタバコが補充されたと想定され、このことは記憶データ109に示される。さらに所定のスロットに現在タバコが何個入っているかを自動的に確認することができるセンサーを販売機10に設けてもよく、この情報は、必要に応じてデータ109に記録される。
【0072】
4.ストックの販売
このオペレーションは、図6のフローチャートに対応し、客がタバコを要求し、バーの従業員またはその他のスタッフが客にタバコを販売するために販売機からタバコを取り出す。このオペレーションは、通常、スタッフによって実行されるが、オーナーが行ってもよい。
【0073】
このオペレーションをより具体的に説明する。最初販売機は、アイドリングモードにある。スタッフが所望の選択に対応するPSB15を押し、これによりLED11をチャネルプライス(channel price)とストックレベルの間での切り替え(toggle)を行う。そのスタッフは、次にRFIDタグを読み取り機に通す。これにより販売機がタグのシリアル番号にアクセスする。ある1つの態様では、販売機がシリアル番号の読み取りに成功したことを確認するピープ音がなり、次にシリアル番号が販売機の承認レベルに対してチェックされる。
【0074】
そのスタッフが販売を承認されたと仮定し、販売機は、販売モードに入り、全ての販売可能なLED16は、緑色になる。次にスタッフは、所望のタバコの銘柄に対応するPSB15を押す。その他の全てのチャネルのライトは、消え、その選択を音的に確認できるビープ音が鳴る。次に販売機10の排出機構が作動し、選択されたタバコがシュートに落ちる。スタッフは、そのタバコを取り出し、客に提供する。販売機は、記憶データ109にどのタバコが販売されたかに関する詳細およびそれに関わったスタッフのシリアル番号を記録する。最終的に販売機は、アイドリングモードに戻る。
【0075】
5.レポート
このシステムは、毎日、週毎、月毎などの種々のレポートの作成をサポートする。各レポートは、そのレポートが対象とする日数およびレポートの作成日時を示すデータを含む。ローカルレポート(local report)は、販売機の設置場所の支払いシステムに一致するようにストックを移動するために毎日、営業の終了時に作製される。この場合、その店は、所定の時間、販売機の取引を停止するか、または少なくとも販売機は、レポートを作成している間、一時的にサービスを停止する。その後、データは消去され、オペレーターが別のPSBを押すことによってアーカイブされる。データをアーカイブすることによってより長いタイムスケール、例えば週、月または四半期を経過した後でもレポートを作成することが可能になる。ある1つの態様では、アーカイブされたデータは、月毎に評価され、クリアされる。しかしながら、あらゆる所望のタイムスケジュールが販売機のメモリーの大きさに応じて実施可能である。例えばある態様では、メモリーの大きさが約1メガバイトであり、大まかに10の完全なストック(10 full stocks)に対応するイベントを記憶させることができる。
【0076】
ローカルレポートは、対応するRFIDタグを用いて販売機を作動させるオーナーなどの権限を有する者によって作製される。ある1つの態様ではこれは、販売機がアイドリングモードにあるとき、正式に承認されているRFIDタグを4秒間、読み取り機に当てることによって行われる。次にユーザーは、所望のローカルレポートにアクセスするために販売機に適当なインストラクションを入力する。この時、ユーザーは、レポートのハードコピーを作製するために最初に適当なプリンターを販売機に接続してもよい。所望のレポートを得たら、ユーザーは、システムから出て(exit)もよい。
【0077】
上述したようにレベル2および3の販売機は、別途、通信機能を有する。これらの通信機能は、販売機10に記憶されているレポートデータ109を中央保存部にダウンロードするために使用することができ、そこでそのデータが分析され、かつ、問い合わせされ(interrogated)、具体的な特定のレポートが作成される。
【0078】
レポートの選択は、販売機上の別のPSBを押すことによって行われる。例えば1つの態様では、ローカルレポートのプリンターへの出力は、それに関わるオペレーターがRFIDカードを通し、特定のPSBを押すことによって行われる。またデータのリモートシステムへ移行するための特定のボタンを設けてもよい。
【0079】
ある1つの態様では次のフィールドがレベル1(即ち、ローカル)の日報(daily report)に含まれる。
レポートの作成日時
場所
売り上げ高
ユーザーID
販売量
スロットナンバー(即ち、銘柄)
総計
ユーザーIDごとの売り上げ
スロットのユーザーごとの売り上げ
スロットごとの売り上げ
総売り上げ
【0080】
別のレポートはユーザーによる月次売り上げを含む
レポートの作成日時
対象期間(x−y週間)
ユーザーID
スロットごとの販売量
スロットのユーザーごとの総売り上げ
【0081】
さらにシステムは、適当な期間内のスロット(即ち、銘柄)ごとの総売り上げに基づいたストックレポートをサポートする。
レポートの作成日時
スロットごとの開始時のストック量(以前の数値から)
スロットごとの販売量
スロットごとのストックの在庫の合計
【0082】
異なるレベルのタバコ販売機は、それぞれ別の(または追加の)レポートフォーマットをサポートしてもよい。例えば、ある態様ではレベル2または3の販売機は、通常、ローカルデータ記憶装置109からの生の情報を例えばシリアルデータポート22を介した好適なケーブル接続によって第三者の装置にダウンロードすることができる。データは、第三者の装置のソフトウェアを用いて問い合わせされる(interrogated)。レベル3の販売機の場合、陸線(land-line)を介したリアルタイムリンクをローカル保存部109からデータを引き出し、中央データソースに送るために使用することができ、そこでそのデータは、詳細な分析および特定のレポートの作成のために使用される。
【0083】
最後に、種々の具体的な態様をここで説明したが、これらはあくまで例示を目的としたものであることは明らかである。多くの修正および適応が請求の範囲に記載された発明およびそれと同等のもの範囲内であることは当業者によって了承されよう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の1つの態様によるタバコ販売機の前方斜視図である。
【図2】図1のタバコ販売機の分解図である。
【図3】本発明の別の態様によるタバコ販売機の前方斜視図である。
【図4】図3のタバコ販売機の分解図である。
【図5】本発明の1つの態様による図1−4のタバコ販売機の使用を例示した略図である。
【図6】本発明の1つの態様による図1−4のタバコ販売機の使用を例示したフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ販売機であって、このタバコ販売機は、
排出機構と、
この販売機に対して実行される少なくとも2つ以上の異なる操作に関する承認データ並びに少なくとも製品が販売機から排出されるごとにその日時および製品の識別子を含む製品排出時の情報を記憶するメモリーと、
前記販売機へのアクセスの要求を受けるための入力装置と、
前記記憶された承認データに対して前記要求の正当性を確認するための制御ロジックとを含むタバコ販売機において、前記要求がその要求に対応した操作のための承認データを満足した場合のみ、販売機の操作が許可されることを特徴とするタバコ販売機。
【請求項2】
前記入力装置がキーパッドを含むことを特徴とする請求項1記載のタバコ販売機。
【請求項3】
前記入力装置が高周波識別識別子(RFID)読み取り機を含むことを特徴とする請求項1記載のタバコ販売機。
【請求項4】
前記入力装置が磁気カードまたはフォブの読み取り機を含むことを特徴とする請求項1記載のタバコ販売機。
【請求項5】
前記入力装置がバーコードリーダーを含むことを特徴とする請求項1記載のタバコ販売機。
【請求項6】
前記入力装置がワイヤレスリモート制御装置を含むことを特徴とする請求項1記載のタバコ販売機。
【請求項7】
2つ以上のロールが販売機に対して定義され、
どの操作が前記2つ以上のロールのために許可されるかを前記承認データが特定し、
前記要求がその要求に対応した操作の承認データーを満たしているか否かをその要求をした者に対応するロールにその操作が許可されているかどうかを調べることによって前記制御ロジックが判断する請求項1乃至6いずれか1項に記載のタバコ販売機。
【請求項8】
前記要求がその要求をした者のシリアル番号を含み、
前記承認データが一連のシリアル番号を含み、これらシリアル番号がそれぞれ前記2つ以上のロールの内の1つに割り当てられ、
前記制御ロジックが前記一連のシリアル番号の中で前記要求をした者のシリアル番号の確認のために前記承認データにアクセスし、前記要求をした者に対応するロールが前記確認されたシリアル番号に割り当てられたロールであることを特徴とする請求項7記載のタバコ販売機。
【請求項9】
前記要求がその要求をした者に割り当てられたロールを含むことを特徴とする請求項7記載のタバコ販売機。
【請求項10】
前記2つ以上の操作の1つが販売機の補充を含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項11】
前記2つ以上の操作の1つが販売機に記憶された価格情報の更新を含むことを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項12】
前記2つ以上の操作の1つが販売機からのタバコの排出を含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項13】
前記制御ロジックが前記要求がタバコの排出操作の承認データを満足するか否かに応じて前記排出機構を機能させる、または機能させないことを特徴とする請求項12記載のタバコ販売機。
【請求項14】
メモリーに記憶された前記情報が少なくとも前記要求をした者に対応するロールを含むことを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項15】
メモリーに記憶された前記情報が少なくとも前記要求をした者に対応するシリアル番号を含むことを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項16】
さらに記憶された情報に外部からアクセスすることができるように少なくとも1つのデータポートを含むことを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項17】
前記少なくとも1つのデータポートが外部のシステムからの販売機の1つ以上の設定を行うために使用されることを特徴とする請求項16記載のタバコ販売機。
【請求項18】
前記要求が実行される特定の操作を特定することを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項記載のタバコ販売機。
【請求項19】
タバコ販売機を操作する方法であって、
販売機に対して実行される少なくとも2つ以上の異なる操作に関する承認データを販売機に記憶させる工程と、
販売機にアクセスする要求を受ける工程と、
前記要求がその要求に対応した操作のための承認データを満足した場合のみ、販売機の操作を許可するように記憶されたデータに対してその要求の有効性を確認する工程と、
少なくとも前記操作の日時および排出された製品の識別子を含む販売機からの排出に関する各承認された操作についての情報を記憶する工程とを含む方法。
【請求項20】
さらに販売機に対して2つ以上のロールを定義する工程を含み、前記承認データがどの操作が前記2つ以上のロールに許可されるかを特定し、前記有効性の確認が前記操作が前記要求をした者に対応するロールに許可されているかどうかを判断することを含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記要求がその要求をした者のシリアル番号を含み、
前記承認データが一連のシリアル番号を含み、これらシリアル番号がそれぞれ前記2つ以上のロールの内の1つに割り当てられ、
前記判断が前記一連のシリアル番号の中で前記要求をした者のシリアル番号を確認するために前記承認データにアクセスすることを含み、前記要求をした者に対応するロールが前記確認されたシリアル番号に割り当てられたロールであることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記要求がその要求をした者に割り当てられたロールを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記2つ以上の操作の1つが販売機の補充を含むことを特徴とする請求項19乃至22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記2つ以上の操作の1つが販売機に記憶された価格情報の更新を含むことを特徴とする請求項19乃至23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記2つ以上の操作の1つが販売機からのタバコの排出を含むことを特徴とする請求項19乃至24いずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記要求がタバコの排出の操作の承認データを満足するか否かに応じて前記排出機構を機能させるまたは機能させないことを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記2つ以上の操作の内の1つが前記承認データに新しいシリアル番号を追加することを含むことを特徴とする請求項19乃至26いずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記2つ以上の操作の内の1つがロールにシリアル番号を割り当てることを含むことを特徴とする請求項19乃至27いずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記記憶された情報が少なくとも前記要求をした者に対応するロールを含むことを特徴とする請求項19乃至28いずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記記憶された情報が少なくとも前記要求をした者に対応するシリアル番号を含むことを特徴とする請求項19乃至29いずれか1項記載の方法。
【請求項31】
承認された操作に関する情報に外部からアクセスするためのデータポートを使用する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19乃至30いずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記データポートを介して外部システムから販売機の1つ以上の設定を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記記憶された情報をローカルプリンターに出力する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19乃至32いずれか1項記載の方法。
【請求項34】
ネットワーク接続を介して前記記憶された情報を出力する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19乃至32いずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記記憶された情報に基づいてレポートを作成する工程をさらに含み、前記レポートが複数のタイムスケールを網羅することができることを特徴とする請求項19乃至34いずれか1項記載の方法。
【請求項36】
ラップトップコンピューターまたはPDAと販売機内のデータまたは情報を同期させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項19乃至35いずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記要求が実行される特定の操作を特定することを特徴とする請求項19乃至36いずれか1項記載の方法。
【請求項38】
バックオブバー形式のサービスの提供に使用されることを特徴とする請求項19乃至37いずれか1項記載の方法。
【請求項39】
タバコ販売機であって、
1つが販売機から製品を排出する操作であり、もう1つが販売機を補充する操作である販売機に対して実行される少なくとも2つ以上の異なる操作に関する承認データを販売機に記憶させる手段と、
販売機にアクセスする要求を受ける手段と、
前記要求がその要求に対応した操作のための承認データを満足した場合のみ、販売機の操作を許可するように記憶されたデータに対してその要求の有効性を確認する手段とを含むことを特徴とするタバコ販売機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−104152(P2012−104152A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15299(P2012−15299)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2006−530591(P2006−530591)の分割
【原出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(500252844)ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド (111)
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
【Fターム(参考)】