説明

タフト付きラミネートウェブ

トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収性コアとを含む吸収性物品が開示される。トップシートは、第一の側及び第二の側を有して、第一の側が身体に面する側であり、第二の側が吸収性コアと流体連通する。トップシートはまた、第一の比較的疎水性の構成要素と第二の比較的親水性の構成要素とを有し、比較的親水性の構成要素は、比較的疎水性の構成要素を貫いて延び、及びトップシートの両側上に配置されている。吸収性物品は、噴出獲得及び再湿潤試験方法により試験される時、約94mg未満の再湿潤値及び少なくとも約0.10ml/sの流体獲得率を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品の身体に面する層に関する。特にこの発明は、改善された流体ハンドリング特性を有するトップシートに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て吸収性物品、例えば使い捨ておむつ、失禁用製品、生理用品などは、広く使用されており、並びにこれらの製品の有効性及び機能性を改善するために、多大な努力がなされてきた。一般に、そのような物品は、トップシートと呼ばれることが多い流体透過性の身体に面する層と、バックシートと呼ばれることが多い流体不透過性の衣類に面する層と、トップシート及びバックシートの間に挟まれた吸収性コアとを有する。その他の構成要素、例えば獲得層、二次トップシート、及び接着性締結具も、当技術分野において周知である。
【0003】
使い捨て吸収体中で使用されている従来型の身体に面する層すなわちトップシートは、典型的には、流体噴出獲得の改善と乾燥の改善との間の折り合いを示す。例えば、トップシートは、比較的親水性に作製し、速やかに濡れきって流体の噴出を獲得することが可能であるが、この同じ比較的親水性が、着用者の皮膚の隣で濡れた感触を引き起す、すなわち乾燥性が妥協されている。噴出獲得の改善か又は再湿潤の改善いずれかをもたらすために、様々な材料及び構成要素の構造が過去に提案されたが、特性は繋がったままであって、1つが他方に反比例する。
【0004】
ある大きさの圧縮抵抗性厚さすなわちキャリパーをトップシート中に設けると、再湿潤減少の助けになることが知られている。例えば、プロクターアンドギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)により市販されているオールウェイズ(ALWAYS:登録商標)生理用ナプキン上のドライウィーブ(DRI-WEAVE:登録商標)トップシートとして知られているものなどの、三次元に形成されたフィルムトップシートは、通常の不織布トップシートと比較すると、低い再湿潤すなわちより良い乾燥を提供することが知られている。しかしながら、消費者によっては、ポリマーフィルムトップシートに反感を示し、不織布材で作製されたトップシートの方を好む。
【0005】
その上に、既知のトップシートは通常、流動性排便、傷滲出物、血、及び経血のような、高粘性流体の吸収用には特に設計されてはいない。結果として、典型的なトップシートは、洩れ、汚れ、及び着用者の皮膚との長時間の接触が原因となって皮膚の健康を損なうおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、高い噴出獲得率が提供可能であり、なおかつ改善された乾燥性の提供も可能な、使い捨て吸収性物品用トップシートの改良が必要とされる。
追加として、高い噴出獲得率が提供可能であって、なおかつ着用者にとって快適な、改善された乾燥性の提供も可能である使い捨て吸収性物品用トップシートの改良が必要とされる。
最後に、高い噴出獲得率が提供可能であって、それでも改善されて乾燥性の提供も可能な、使い捨て吸収性物品用トップシートを比較的安価に作製する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収性コアとを含む吸収性物品が開示される。トップシートは、第一の側及び第二の側を有して、第一の側が身体に面する側であり、第二の側が吸収性コアと流体連通している。トップシートはまた、第一の比較的疎水性の構成要素と第二の比較的親水性の構成要素とを有し、比較的親水性の構成要素が、比較的疎水性の構成要素を貫いて延び、トップシートの両側上に配置される。吸収性物品は、噴出獲得及び再湿潤試験方法により試験される時、約94mg未満の再湿潤値及び少なくとも約0.10ml/sの流体獲得率を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の物品中で使用するのに好適なラミネートウェブ1を示し、以降では単にウェブ1と呼ぶ。ウェブ1は、少なくとも2つの層を含む。その層は、本明細書において、概ね平面状の二次元前駆体ウェブ、例えば第一の前駆体ウェブ20及び第二の前駆体ウェブ21などと呼ばれる。いずれの前駆体ウェブも、フィルム、不織布、又は織物ウェブとすることができる。前駆体ウェブ20及び21(及びいずれかの追加ウェブ)は、接着剤、熱接着、超音波結合などにより接合可能であるが、好ましくは、接着剤又は他の結合形態を使用せずに接合される。以降で開示するように、ウェブ1の構成前駆体ウェブは、タフト6の形成の結果として生じる機械的かみ合い係合により接合することができる。
【0009】
ウェブ1は、第一の側3及び第二の側5を有する。用語「側」は、概ね平らな状態にある時に2つの側を有する紙及びフィルムなどの、概ね平面状二次元ウェブについての普通の使用法で使用される。それぞれの前駆体ウェブ20及び21は、第一の表面12及び13をそれぞれ、並びに第二の表面14及び15をそれぞれ有する(図3に示す)。ウェブ1は、ウェブ製造技術において通常知られているように、機械方向(MD)及び機械横方向(CD)を有する。本発明はポリマーフィルム及び織物ウェブと共に実施可能であるが、好ましい実施形態においては、第一の前駆体ウェブ20は、実質的に無作為に配向された繊維からなる不織布ウェブである。「実質的に無作為に配向された」により、前駆体ウェブのプロセス条件に起因してCDよりMDに配向された繊維が多くあっても、又はその逆でもよいことを意味する。例えば、スパンボンド及びメルトブローイングプロセスの連続繊維ストランドは、MDに移動する支持体上に堆積される。スパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブの繊維配向を真に「無作為」にしようとする努力にもかかわらず、通常は僅かに高い率の繊維が、CDに対向するMDに配向される。好ましい実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、第一の前駆体ウェブ20に類似の不織布ウェブか、又はポリエチレンフィルムなどのポリマーフィルムである。望む場合は、そのフィルムは、穿孔も可能である。
【0010】
一実施形態では、ウェブ1の第一の側3は、第二の前駆体ウェブ21の第一の表面13の露出部分と、第一の前駆体ウェブ20の不織布繊維の一体延長部である少なくとも1つ好ましくは複数の離散タフト6とにより画定される。各タフト6は、第二の前駆体ウェブ21を貫いてその第一の表面13から外向きに延びる、複数のループ状整列繊維8を含むことができる。別の実施形態では、各タフト6は、第一の表面13から外向きに延びる、複数の(図3に示すような)非ループ状繊維18を含むことができる。別の実施形態では、各タフト6は、不織布の第一の前駆体ウェブ20及び不織布の第二の前駆体ウェブ21両方の繊維の一体延長部である複数の繊維を含むことができる。
【0011】
本明細書で使用する時、用語「不織布ウェブ」は、個々の繊維又は糸の構造体を有するウェブであって、相互にさし込みはするが、通常は無作為配向の繊維は有さない織物又は編み布地のような繰返しパターンではないものを指す。不織ウェブ又は布は、例えば、メルトブローイングプロセス、スパンボンドプロセス、スパンレースプロセス、水流交絡、エアレイ、及びカード加工熱接着を含むカードウェブ結合プロセスなど、多数のプロセスで形成されてきた。不織布の坪量は通常、平方メートル当りグラム(gsm)で表わされる。ラミネートウェブの坪量は、構成層及びいずれか他の追加構成要素の合計坪量である。繊維直径は通常ミクロンで表わされるが、繊維サイズはデニールで表わすこともでき、これは繊維長さ当りの重量の単位である。本発明の物品で使用するのに好適なラミネートウェブの坪量は、ウェブ1の最終用途にもよるが、10gsm〜100gsmの範囲とすることができる。
【0012】
不織布前駆体ウェブ20及び/又は21の構成繊維は、当技術分野において既知のようなポリマー繊維とすることができる。その繊維は、単構成要素、複合、及び/又は二成分、非円形(例えば、毛管チャネル繊維)とすることができ、並びに0.1〜500ミクロンの範囲の断面主寸法(例えば、円形繊維の場合は直径)を有することができる。不織布前駆体ウェブの構成繊維はまた、化学種(例えば、PE及びPP)、構成要素(すなわち、単及び2)、形状(すなわち、毛管チャネル及び円形)などのような特徴が異なる、異なる繊維タイプの混合物であってもよい。構成繊維は、約0.1デニール〜約100デニールの範囲とすることができる。
【0013】
本明細書で使用する時、「スパンボンド繊維」とは、溶融した熱可塑性樹脂材料を、押し出したフィラメント直径の微細で通常は円形をした複数の紡糸口金の毛管から、フィラメントとして押し出して、その後急激に縮小することにより形成される小径繊維を指す。スパンボンド繊維は、一般に、集積表面に堆積される時には粘着性がない。スパンボンド繊維は、一般に連続であり、及び7ミクロンより大きい、更に具体的には約10〜40ミクロンの間の(少なくとも10本のサンプルの)平均径を有する。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「メルトブローイング」とは、溶融した熱可塑性樹脂材料を、微細で通常は円形をした複数の金型毛管を通して、高速で通常は加熱された集束するガス(例えば空気)流の中へ、溶融した糸又はフィラメントとして押し出し、このガス流によって溶融した熱可塑性樹脂材料のフィラメントを細くして、マイクロファイバー直径にもなり得る直径に縮小することにより、繊維が形成されるプロセスを指す。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流によって運ばれて、集積表面上に堆積され、多くはまだ粘着性のままで、無作為に分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続でも非連続でもよいマイクロファイバーであり、一般に平均径が10ミクロン未満である。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「ポリマー」には、一般的に、ホモポリマーと、例えばブロック、グラフト、ランダム、及び交互性コポリマーなどのコポリマーと、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び修飾物が含まれるが、これらに限定されない。しかも、特に異なって限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料のあらゆる可能な幾何学的形態を包含する。その形態には、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及び任意対称性が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「単構成要素」繊維とは、ただ1つのポリマーを使用して1つ以上の押出機により形成される繊維を指す。これは、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために少量の添加物を追加された1つのポリマーから形成される繊維を除外することを意味しない。これらの添加物、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に約5重量%未満、より典型的には約2重量%未満の量で存在する。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「複合繊維」は、別個の押出機から押し出されるが共に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2つの異なるポリマーで形成された繊維を指す。複合繊維はまた、コンジュゲート繊維又は多構成要素繊維と呼ばれることもある。ポリマーは、複合繊維の断面を横切って実質的に一定に位置する異なる領域に配置され、及び複合繊維の長さに沿って連続的に延びる。そのような複合繊維の構成は、例えば1つのポリマーがもう1つに包囲されるシース/コア配置であってもよく、あるいは並列配置、パイ形配置、又は「海島型」配置であってもよい。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「二成分繊維」は、同一押出機からブレンドとして押し出される少なくとも2つのポリマーで形成された繊維を指す。二成分繊維は、繊維の断面域を横切って比較的一定に位置する異なる領域に配置された様々なポリマー構成要素は有さず、様々なポリマーは、通常は繊維の全長に沿って連続ではなく、通常その代わり無作為に開始して終了するフィブリルを形成する。二成分繊維はまた、多成分繊維と呼ばれることもある。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「非円形繊維」は、非円形断面を有する繊維を記述し、並びに「形状付き繊維」及び当技術分野において既知の「毛管チャネル繊維」を含む。そのような繊維は、中実にも中空にもすることができ、及び3葉(tri-lobal)、デルタ形状とすることができ、及び好ましくはその外側表面上に毛管チャネルを有する繊維である。毛管チャネルは、「U形状」、「H形状」、「C形状」、及び「V形状」など、様々な断面形状とすることができる。1つの好ましい毛管チャネル繊維には、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のファイバー・イノベイション・テクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手可能な4DG繊維として表記されるT−401がある。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0020】
本明細書で使用する時、「一体延長部」にあるような用語「一体」は、タフト6について使用される時、前駆体ウェブ20及び/又は21の繊維から始まったタフト6の繊維について言う。したがって、タフト6のループ状繊維8及び非ループ状繊維18は、塑性的に変形されて伸びる第一の前駆体ウェブ20の繊維とすることができ、したがって、第一の前駆体ウェブ20と一体である。同様に、第二の前駆体ウェブ21が同じように伸張可能な繊維を含む不織布である実施形態の場合、第二の前駆体ウェブ21の繊維が、タフト6に寄与することができる。本明細書で使用する時、「一体」は、例えば従来型カーペット作製で通常なされるような、タフト作製の目的で別個の前駆体ウェブに導入された又は加えられた繊維とは区別されるべきである。
【0021】
タフト6の数、間隔、及び寸法は、ウェブ1の第一の側3に変化する肌ざわりを付与するように変更可能である。例えば、タフト6が充分に密な間隔である場合、ウェブ1の第一の側3は、タオル地様の感触を有することができる。別の方法としては、タフト6は、線群又は充満した形状などのパターンの配置とし、ラミネートウェブの一部をより大きな肌ざわり、柔軟性、嵩、吸収性、又は視覚デザイン魅力を有するように作り出すことができる。例えば、タフト6が線(単数又は複数)のパターンで配置される場合、タフトは、縫い目の外観を有することができる。タフト6は、デザイン、単語、又はロゴなどの特定の形状を形成するように配置も可能である。同様に、個々のタフト6の高さ、長さ、及び幅などのサイズ寸法は、変化可能である。単一タフトは、長さを約3cmにも長くすることができ、及び一本だけ作製又は様々なサイズのタフトに混じって分散が可能である。
【0022】
第一の前駆体ウェブ20は、充分な伸び特性を有する繊維を含む繊維性織物又は不織布ウェブとして、一部をタフト6に形成することができる。以下で更に充分に説明するように、タフトは、第一の前駆体ウェブ20の離散した局所的な一部において繊維をZ方向に面外へ強制することにより形成される。面外への強制は、繊維の変位に起因することができ、すなわち、繊維は他の繊維に相対的に移動可能であり、及び面外にいわば「引張り」可能である。しかしながら、大部分の不織布の第一前駆体ウェブ20の場合、より多くにおいて、面外への強制は、タフト6の繊維が少なくとも部分的に塑性的に伸張されて永久的に変形しタフト6が形成されたことに起因する。したがって、一実施形態では、不織布の第一前駆体ウェブ20の構成繊維は、タフト6の所望の高さにもよるが、少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、及びより好ましくは少なくとも約100%の破断伸びを示すことができる。破断伸びは、単純引張り試験により、例えばインストロン引張り試験設備の使用により決定可能であり、一般にそのような繊維又はウェブの供給元からの材料データシート上で見出すことができる。
【0023】
好適な不織布の第一前駆体ウェブ20は、ループ状繊維8を形成するために、充分な塑性変形及び引張り伸びを受けることが可能な繊維を含むか、又は充分な繊維移動が可能とすべきであると理解することができる。しかしながら、第一の前駆体ウェブ20の第一の表面12の平面外に強制された繊維のあるパーセントは、ループを形成するのではなく、破断して緩み端部を形成することが理解される。そのような繊維は、本明細書において、図3に示すように、「緩み」繊維又は「緩み繊維端部」18と呼ぶ。緩み繊維端部18は、本発明にとって必ずしも望ましくないものではなく、及び幾つかの実施形態においては、タフト6の繊維の大部分又は全てを緩み繊維端部18とすることができる。緩み繊維端部18はまた、切断短繊維からなる又はこれを含む不織布ウェブからタフト6を形成することの結果でもあり得る。そのような場合、ウェブ中の短繊維数、短繊維切断長、及びタフトの高さなどのようなものに依存して、短繊維端部のある数が、タフト6の中へ突き出すことがある。
【0024】
第一の前駆体ウェブ20は、弾性又はエラストマー繊維を含む繊維性の織物又は不織布ウェブとすることができる。弾性又はエラストマー繊維は、少なくとも約50%伸張されて、元の寸法の10%以内に戻ることができる。タフト6は、繊維が不織布内の繊維移動性のために単に変位する場合、又は繊維が弾性限界を超えて伸張されて塑性変形する場合は、弾性繊維から形成可能である。
【0025】
本発明のトップシートとして使用するためには、第一の前駆体ウェブ20は、第二の前駆体ウェブ21に比べて、比較的親水性とすることができる。好ましい実施形態では、第一の前駆体ウェブ20は、本発明の物品の着用者の皮膚と比較しても親水性である。この方法で、本発明のトップシートに接触した流体は、第一の前駆体ウェブの繊維上に濡れ浸され、毛管作用により第二の前駆体ウェブ21の開口部4を通って、本発明の物品の下側構成要素へ誘引可能である。親水性又は疎水性の実際の度合いが重要とは考えられないが(第一の前駆体ウェブ20と第二の前駆体ウェブ21間の相対的な親水性/疎水性だけが重要)、一般に、第一の前駆体ウェブ20は、水との接触角が約70度未満を示す場合に親水性と考えることができる。第一の前駆体ウェブが本来親水性ではない(すなわち、ポリマー特性が親水性でない)場合、当技術分野において既知の方法により、例えば繊維及び/又はウェブに界面活性剤を適用することにより、親水性にすることができる。
【0026】
第二の前駆体ウェブ21は、実質上いかなるウェブ材料にもすることができ、要求することは、第一の前駆体ウェブ20と比較して親水性が少ないこと及び疎水性でさえあること、並びに以下で説明する方法により積層体に形成するのに充分な一体性を有することだけである。一実施形態では、第二の前駆体ウェブは、第一の前駆体ウェブ20と比較して充分に少ない伸び特性を有するフィルム又は不織布ウェブとして、第一の前駆体ウェブ20からの繊維が第二の前駆体ウェブ21の方向に面外へ強制されることによるひずみを受けると、第二の前駆体ウェブ21が例えば伸び破壊のための引裂きにより破裂して、第一の前駆体ウェブ20の一部が第二の前駆体ウェブ21を貫いて伸びて(すなわち、いわば「突き抜けて」)、図1に示す如く、ウェブ1の第一の側3上にタフト6が形成されるようにすることができる。一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21はポリマーフィルムである。一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は不織布ウェブである。
【0027】
図1に示すウェブ1の実施形態の代表的なタフト6を、図2に更なる拡大図で示す。図示されるように、タフト6は、実質的に整列した複数のループ状繊維8を含んで、明瞭な線状配向及び長手方向軸線Lを有するようなふうになっている。タフト6はまた、MD−CD平面内で長手方向軸線Lに概ね直交する、横断方向軸線Tを有する。図1及び2に示される実施形態では、長手方向軸線Lは、MDに平行である。一実施形態では、間隔が離れる全てのタフト6は、概ね平行な長手方向軸線Lを有する。ウェブ1の単位面積当りのタフト6の数、すなわちタフト6の面積密度は、単位面積例えば平方センチメートル当り1つのタフトから、平方センチメートル当り100タフトにも多くまで変化可能である。最終用途によって、平方センチメートル当り少なくとも10、又は少なくとも20のタフト6とすることができる。一般に、面積密度は、ウェブ1の全面積にわたって均一である必要はなく、タフト6は、ウェブ1のある領域だけ、例えば線、ストライプ、バンド、円等のような予め定めた形状を有する領域などとすることができる。
【0028】
本明細書の説明により理解できるように、ウェブ1の多数の実施形態において、開口部4は、明確な線状の向きと、対応するタフト6の長手方向軸線Lに平行に向く長手方向軸線とを有する。同様に、開口部4は、MD−CD平面内で長手方向軸線に概ね直交する横断方向軸線も有する。
【0029】
図1〜4に示すように、タフト6は、第二の前駆体ウェブ21内の開口部4を通って延びる。開口部4は、以下に詳細に説明するプロセスにより第二の前駆体ウェブ21を局所的に破裂させることによって、又は繊維8のような方法で第二の前駆体ウェブ21の繊維を面外に強制することによって、形成される。破裂は、開口部4が単純な二次元開口として残るような、第二の前駆体ウェブ21を単に切り開いた開口部を含んでもよい。しかしながら、ポリマーフィルムのような幾つかの材料の場合、第二の前駆体ウェブ21の一部が、面(すなわち第二の前駆体ウェブ21の平面)外に撓ませられ又は強制されて、本明細書でフラップ(単数又は複数)7と呼ばれるフラップ様構造体を形成することが可能である。フラップ7の形体及び構造は、第二の前駆体ウェブ21の材料特性に強く依存する。フラップ7は、図1及び2に示されるような1つ以上のフラップの一般構造を有することができる。別の実施形態では、フラップ7は、タフト6がフラップ7からあたかも噴火しているような、より火山様構造を有することができる。
【0030】
一実施形態では、フラップ7は、タフト6の材料に著しい影響を与えることがなく、特にタフト6の触覚品質に著しい影響を与えない。したがって、一実施形態では、ラミネートウェブ1は、少なくとも2つの層(すなわち、前駆体ウェブ20及び21)を含むが、層の少なくとも1つ(すなわち、図1〜4の前駆体ウェブ21)は、タフト6の触覚品質に著しく影響を与えない。
【0031】
一実施形態では、フラップ7は、面外に著しく、いわばタフト6そのものに匹敵する高さにさえ延びてもよい。この実施形態では、フラップ7は、タフト6をより弾力性にする、及び圧縮又は曲げ力のために平坦化する傾向を減少させることができる。したがって、一実施形態では、ラミネートウェブ1は、少なくとも2つの層(すなわち、前駆体ウェブ20及び21)を含んで、両方の層が、タフト6の触覚品質に影響を及ぼす。
【0032】
タフト6は、ある意味では、第二の前駆体ウェブ21を「突き抜ける(punched through)」ことができ、開口部4との摩擦係合により適所に「固定」可能である。例えば、幾つかの実施形態では、開口部4の横幅(すなわち、横断方向軸線に平行に測定する寸法)は、(以下に説明するプロセスにより)開口部を形成した歯の最大幅未満のことがある。このことは、開口部におけるある量の回復を示し、これによりタフト6の開口部4を通る引き戻しが抑制される傾向となる。タフトと開口部の摩擦係合が、接着剤又は熱接着無しに形成可能な永久的なタフト形成を1つの側上に有する、ラミネートウェブ構造を提供する。
【0033】
タフト6は、ウェブ1の第一の側3を有効に覆うために、充分に密接した間隔とすることができる。そのような実施形態では、ウェブ1の両側が、第一の前駆体ウェブ20と一体の不織布繊維を含んで、2つの側3と5の間の差は表面の肌ざわりの差であると考えられる。したがって、一実施形態では、本発明のトップシートは、2つ以上の前駆体ウェブのラミネート材料であって、ラミネートウェブの両側が前駆体ウェブの片方だけからの繊維により実質的に覆われているものと記述することができる。具体的には、本発明のトップシートは、第一の比較的疎水性の構成要素(すなわち、第二の前駆体ウェブ21)と第二の比較的親水性の構成要素(すなわち、第一の前駆体ウェブ20)とを含み、比較的親水性の構成要素が、比較的疎水性の構成要素を貫いて延びて、前記トップシートの両側(すなわち、側3及び5)の上に配置されていると記述することができる。
【0034】
図1〜4に示すように、タフト6の1つの特徴は、繊維8又は18の優勢な方向整列とすることができる。例えば、ループ状整列繊維8は、Z−CD平面に平行に有意又は主要ベクトル成分を有すると記述することができ、ループ状繊維8は、図4でのような平面図で見る時、横断方向軸線Tに関して実質的に均一に整列している。「ループ状」繊維8により、第一の前駆体ウェブ20及び/又は第二の前駆体ウェブ21と一体であり、これらから始まってこれらで終わるが、ウェブ1の第一の側3からZ方向に外向きに延びる繊維8を意味する。タフト6のループ状繊維8に関して「整列」により、ループ状繊維8全てが一般に、図4でのような平面図で見る場合、ループ状繊維8のそれぞれが横断方向軸線Tに平行に有意なベクトル成分を有し、好ましくは横断方向軸線Tに平行に主要ベクトル成分を有するように、向いていることを意味する。図1〜4においては第一の前駆体ウェブ20からの繊維だけが示されるが、これらの図には、ウェブの伸び特性が引張り破壊という結果になって開口部が形成され、これを通って繊維8及び/又は18が突出可能となる、フィルム/不織布ウェブ1が描かれているからであることを理解すべきである。前駆体ウェブ20及び21のそれぞれからの繊維がタフト6を形成可能であり、及びそのような構造において、タフト6が実質的に層状構造を示すことができるフィルム/不織布ウェブ1が描かれている場合には、第一の前駆体ウェブ20の繊維は概してタフト6中で内側配置になることが理解される。
【0035】
対照的に、非ループ状繊維18は、第一又は第二の前駆体ウェブ20及び/又は21と一体ではあるが、これらから始まるだけであり、並びにウェブ1の第一の側3からZ方向へ外向きに延びる自由端部を有する。緩み繊維18もまた、Z−CD平面に平行に有意又は主要ベクトル成分を有すると記述されるような、概ね均一の整列を有することができる。
【0036】
ループ状繊維8及び緩み繊維18両方について、整列は、ロール上への巻き付け又は製造物品における使用中の圧縮に起因するいずれかの製造後変形の前の、タフト6の特徴である。本明細書で使用する時、図4のような平面図で見る時に長手方向軸線Lから45度より大きい角度で向くループ状繊維8は、横断方向軸線Tに平行に有意ベクトル成分を有する。本明細書で使用する時、図4のような平面図で見る時に長手方向軸線Lから60度より大きい角度で向くループ状繊維8は、横断方向軸線Tに平行に主要ベクトル成分を有する。好ましい実施形態では、タフト6の繊維8の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、及びより好ましくは少なくとも90%が、横断方向軸線Tに平行な有意の、及びより好ましくは主要ベクトル成分を有する。繊維配向は、必要な場合は、好適な測定スケールを備えた顕微鏡などの拡大手段の使用により決定可能である。一般に、平面図で見て繊維の非直線セグメントについては、長手方向軸線L及びループ状繊維8両方の直線近似が、ループ状繊維8の長手方向軸線Lからの角度を決定するために使用可能である。例えば、図4に示すように、1つの繊維8aが太線により強調して示され、その直線近似8bが破線として示される。この繊維は、長手方向軸線と約80度の角度を作る(Lから反時計方向に測定して)。
【0037】
タフト6中のループ状繊維8の配向は、第一又は第二の前駆体ウェブ20及び21(第二の前駆体ウェブ21に不織布ウェブが使用される場合)の繊維組成及び配向とは対比されるべきであり、これらは、不織布ウェブについて、実質的に無作為に向く繊維配列を有すると記述されるのが最も良い。織物ウェブ実施形態においては、タフト6中のループ状繊維8の配向は、上述のものと同一であり得るが、織物前駆体ウェブの繊維は、ウェブを作製するのに使用された特定の織り方法例えば平織りパターンに関連付けられた配向を有する。
【0038】
図1に示す実施形態では、タフト6の長手方向軸線Lは、概ねMDに整列する。したがって、タフト6及び長手方向軸線Lは、原理的には、MD又はCDに関していずれの向きにも整列することができる。そのため、一般的には、各タフト6について、ループ状の整列した繊維8は、横断方向軸線Tに平行に有意ベクトル成分を有し、及びより好ましくは横断方向軸線Tに平行に主要ベクトル成分を有するようなふうに、長手方向軸線Lに概ね直交して整列すると言うことができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、支配的にはループ状であり整列する繊維8を含むタフト6の別の特徴は、以降で説明するようなタフト6を形成する好ましい方法に起因して、タフト6の内部に画定された開放空隙領域10により特徴付けられる、その概ね開いた構造とすることができる。「空隙領域」により、繊維が全く無い領域とは意味しておらず、その用語は、タフト6の一般的な外観の一般的な記述としての意味である。したがって、幾つかのタフト6においては、単数又は複数の緩み繊維18が空隙領域10の中にあってもよいことがある。「開放」空隙領域により、タフト6の2つの長手方向端部が概ね開放であって繊維が無く、タフト6が、図3に示すような、非圧縮状態の「トンネル」構造様のものを形成できるようになっていることを意味する。
【0040】
空隙領域10は、以降で更に充分に説明するように、使い捨て吸収性物品上のトップシートとして使用される時に、ウェブ1の驚くべき流体ハンドリング特性に寄与すると考えられる。概ね開いた端部を有することにより、タフト6は、流体、特に経血などの固体構成要素を有する粘性流体の「横流入」を可能にする。
【0041】
ウェブ1の構造を記述する1つの方法は、例えば図3に示すような、Z方向の三次元繊維配向に関してである。図3に示すように、少なくとも3つの「領域」が識別可能であり、それぞれの領域は、Z方向のウェブ1の一部で識別される。領域1(Z1)として表わされるウェブ1の最下部分は、概して第一の前駆体ウェブ1の下面14から第二の前駆体ウェブ21の上面13まで延びて、第一及び第二の前駆体ウェブの実質的に再配向されていない繊維を含む。Z1の繊維は、非常に小さなZ方向性しか有さず、CD−MD平面に関して実質的に水平に配向されている。領域2(Z2)は、概して第二の前駆体ウェブ21の上面13から空隙領域10の内部限界まで延びて、CD−MD平面に関して実質的に垂直配向の実質的に再配向された繊維を含んでおり、すなわち、領域Z2の繊維は、Z方向に優勢に配向されていて非常に小さなCD又はMD方向性しか有さない。タフト6の遠位部分31の繊維を含む領域3(Z3)において、繊維はCD−MD平面に関して再び概ね水平に配向されている。したがって、一実施形態では、ウェブ1は、概ね平らな状態でウェブの平面を画定している不織布ウェブであって、ウェブはタフト化された領域を含み、タフト化領域は3つの領域を有し、それぞれの領域は領域繊維配向により特徴付けられ、そこで第一及び第三の領域はウェブの平面に実質的に平行な第一の配向を有する繊維を含み、第二の領域は第一及び第三の領域の中間にあってこれらを結合し、第二の領域は第二の配向を有する繊維を含み、第二の配向はウェブの第一の平面に実質的に直交しており、すなわち、ウェブの第一の平面に実質的に平行に配向された部分を実質的に有さない不織布ウェブとして構造的に記述することができる。
【0042】
使い捨て物品上のトップシートとして使用するためのウェブ1の1つの好ましい実施形態では、両方の前駆体ウェブ20及び21は不織布ウェブであって、第二の前駆体ウェブ21が第一の前駆体ウェブ20(及び好ましくは着用者の皮膚又は毛)に関して比較的疎水性であり、両方がタフト6の繊維に比較的層状に寄与する。そのようなトップシートにおいては、図10に関して以降で更に充分に説明する如く、比較的乾燥した繊維が着用者の皮膚に最も近接して存在可能であるように、着用者の皮膚に最も近接する繊維の全てではないとしても大部分は、比較的疎水性とすることができる。しかし、タフト6の空隙10への横入口を有することにより、流体は、第一の前駆体ウェブ20の比較的親水性の繊維に接触し、ウェブ1を通って吸収性物品中の二次トップシート又は吸収性コアなどの構成要素へ吸上げを受けることが可能である。
【0043】
ウェブ1を作製する好ましい方法の結果として、ウェブ1の第二の側5は、概ね線状の窪みにより特徴付けられる不連続部16を示しており、これは、第一の前駆体ウェブ20の第二の表面14の以前は無秩序の繊維が、以降で詳細に説明する形成構造の歯によりタフト6の中へ方向的に(すなわち、図1及び3に示すように、MD−CD平面に概ね直交する「Z方向」へ)強制されたことにより画定されたものである。第一の前駆体ウェブ20の以前は無作為に配向されていた繊維により示される配向の急激な変化が、不連続部16を画定し、タフト6の長手方向軸線Lに概ね平行な長手方向軸線を有すると記述可能であるような直線性を示す。第一の前駆体ウェブ20として有用な多数の不織布ウェブの性質に起因して、不連続部16は、タフト6ほどには明瞭に知覚可能ではないことがある。この理由から、ウェブ1の第二の側5上の不連続部16は、見過ごし可能であり、ウェブ1を近くで検査しない限り一般に検知されないことがある。そのようなものであるから、ウェブ1の第二の側5は、タフトが無い第一の前駆体ウェブ20の外観及び感触を有することができる。このようにして幾つかの実施形態では、ウェブ1は、第一の側3上ではタオル地の肌ざわりの外観と感触を有して、第二の側5上では比較的滑らかな柔らかい外観と感触を有することができ、両側とも、同一の不織布ウェブすなわち第一の前駆体ウェブ20からの繊維からなる。別の実施形態では、不連続部16は、開口として見える可能性があり、トンネル様のタフト6の端部によりウェブ1を貫通する穴のこともある。
【0044】
少なくとも不織布の第一の前駆体ウェブ20を含むウェブ1の記述から、タフト6の繊維8又は18が、第一の前駆体ウェブ20の第一の表面12また第二の表面14のいずれかから始まって延びるのが可能であることが分る。もちろん、タフト6の繊維8又は18は、第一の前駆体ウェブ20の内部28からも延びることができる。タフト6の繊維8又は18は、第一の前駆体ウェブ20の概ね二次元平面の外部に強制された(すなわち、図3に示されるように「Z方向」に強制された)ことが原因で延びる。一般に、タフト6の繊維8又は18は、前駆体ウェブ20又は21いずれかの繊維と一体であってこれから延びる繊維を含む。
【0045】
したがって、上の記述から、一実施形態では、ウェブ1は、少なくとも第一及び第二の前駆体ウェブを選択的に機械的変形をすることにより形成されたラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側及び第二の側を有して、第一の側は第二の前駆体ウェブ及び複数の離散タフトを含み、離散タフトのそれぞれは少なくとも第一の前駆体ウェブの一体延長部であって第二の前駆体ウェブを貫いて延びる複数のタフト化された繊維を含み、第二の側は第一の前駆体ウェブを含むものであると、記述できることが理解される。
【0046】
繊維8又は18の伸張は、繊維の塑性変形とポアッソン比効果に起因する繊維断面寸法(例えば円形繊維の場合は直径)の全体的減少に附随して起き得る。したがって、タフト6の整列ループ状繊維8は、第一又は第二の前駆体ウェブ20又は21の繊維の平均繊維直径より小さい平均繊維直径を有することができる。繊維直径のこの減少が、第一の前駆体ウェブ20の材料特性によっては綿タオル地に匹敵可能な柔軟性のこともある、ウェブ1の第一の側3の知覚される柔軟性に寄与していると考えられる。繊維断面寸法の減少は、タフト6の基部17と遠位部分3の中間で最も大きいことが判明した。このことは、以降で更に充分に説明するような好ましい作製方法が原因であると考えられる。端的には、タフト6の基部5及び遠位部分3における繊維部分は、以降で更に充分に説明するロール104の歯110の先端部に隣接していて、加工中に摩擦固定されて移動不能であると考えられる。したがって、タフト6の中間部分は、より自由に伸張又は伸び、及びそれ故に、対応する繊維断面寸法の減少が起こり得る。
【0047】
図5を参照すると、ウェブ1を作製するための装置及び方法が示されている。装置100が、対の噛み合うロール102及び104を備えており、そのそれぞれは軸線Aの周りを回転し、軸線Aは同一平面内で平行である。ロール102は、複数のロール102の全円周を破断なく延びる、隆起部106と対応する溝部108を有する。ロール104は、ロール102と類似であるが、全円周を破断なく延びる隆起部を有するよりも、ロール104の少なくとも一部の周りを間隔をおいた関係で延びる円周上に間隔のある歯110の列であるように変更された、複数列の円周に広がる隆起部を有する。ロール104の歯110の個々の列は、対応する溝部112により分離される。運転中には、ロール102と104は、ロール102の隆起部106がロール104の溝部112の中へ延びて、ロール104の歯110がロール102の溝部108の中へ延びるように噛み合う。噛み合いは、以下で説明する図6の断面図で更に詳細に示される。ロール102及び104の両方又はいずれかは、熱油を満たされたローラー又は電気加熱ローラーの使用など、当技術分野において既知の手法により加熱可能である。
【0048】
図5では、装置100が、1つのパターン付きロール例えばロール104と1つのパターン無し溝付きロール102とを有する好ましい構成で示される。しかしながら、ある実施形態では、同一か又は異なるいずれかのパターンをそれぞれのロールの同一又は異なる対応領域内に有する、2つのパターン付きロール104を使用するのが好ましいことがある。そのような装置は、ウェブ1の両側から突き出すタフト6を有するウェブを生産することができる。
【0049】
商業的に実現可能な連続加工でウェブ1を作製する方法が、図5に示されている。ウェブ1は、第一及び第二の前駆体ウェブ20及び21などの前駆体ウェブを機械的に変形することにより作製され、そのそれぞれは、図5に示される装置による加工の前は、概ね平面状で二次元的と記述することができる。「平面状」及び「二次元的」により、ウェブが、タフト6の形成に起因して明瞭な面外のZ方向三次元性を有する仕上りウェブ1と比較して、概ね平らな状態で加工を開始することを単に意味する。「平面状」及び「二次元的」は、いずれか特定の平面度、平滑度、又は次元数を含意することは指さない。
【0050】
本発明の方法及び装置は、米国特許第5,518,801号、名称「弾性様挙動を示すウェブ材料(Web Materials Exhibiting Elastic-Like Behavior)」に記載及び「SELF」ウェブとして引き続く特許文献中で言及される方法に多くの点で類似している。SELFとは「構造的に弾性様のフィルム」の略である。しかしながら、本発明の装置及び方法と第5,518,801号特許に開示された装置及び方法との間には著しい差があり、その差はこれらにより生産されるそれぞれのウェブで明白である。本質的にウェブの変形であるのとは対照的に、以降で説明するように、ロール104の歯110は、歯が前駆体ウェブ20、21を本質的に「突き」通すことを可能にする、前縁及び後縁に附随された独特の形状を有する。2つの層のラミネートウェブ1においては、歯110は、歯110が繊維8を押し通してタフト6を形成することにより、繊維を前駆体ウェブ20、21から面外に強制する。したがって、ウェブ1は、側3の表面13から遠くへ延びる緩み繊維端部18を含むタフト6、及び/又はループ状整列繊維8の「トンネル様」タフト6を有することができ、関連付けられた連続側壁すなわち連続「推移領域」をそのそれぞれが有する、及び1つの層の他の層を貫く相互貫通を示さない、SELFウェブの「テント様」あばら骨様の要素とは違う。
【0051】
前駆体ウェブ20及び21は、それぞれのウェブ製造プロセスから直接にか、又は供給ロール(図示せず)から間接的いずれかで提供されて、逆回転する噛み合いロール102及び104のニップ116に向いて機械方向へ移動する。前駆体ウェブは、好ましくは、ニップ16へ概ね平坦化状態で進入するために、ウェブハンドリング技術分野で周知の手段により、充分なウェブ張力に保持される。各前駆体ウェブ20、21がニップ116を通過する時、ロール102の溝部108と噛み合うロール104の歯110が、前駆体ウェブ20及び21の一部を同時に面外に強制して、タフト6を形成する。一実施形態では、歯110は、実際には、第一の前駆体ウェブ20の繊維を「押し」又は「突いて」、第二の前駆体ウェブ21を貫く。別の実施形態では、歯110は、実際には、第一及び第二の前駆体ウェブ20及び21両方の繊維を面外に「押し」又は「突いて」、タフト6を形成する。
【0052】
歯110の先端が第一及び第二の前駆体ウェブ20、21を押し抜けると、第一の前駆体ウェブ20(及び、幾つかの実施形態では、第二の前駆体ウェブ21)の繊維の歯110を横切ってCDに優勢に配向された部分が、歯110により第一の前駆体ウェブ20の面外に強制される。繊維は、繊維移動性があるので面外に強制可能であり、あるいはZ方向への伸張及び/又は塑性変形することにより面外に強制可能である。歯110により面外に強制された前駆体ウェブの部分が、ウェブ1の第一の側3上にタフト6を形成するという結果になる。長手方向軸線Lすなわち図1に示されるMDに概ね平行に優勢に配向された前駆体ウェブ20及び21の繊維は、歯110により広げて離されるだけであって、実質的にその元の無作為配向状態のままである。これが、何故ループ状繊維8が、図1〜4に示されるものなどの実施形態において、タフト6の横断方向軸線Tに平行な有意又は主要ベクトル成分を有する各タフト6の繊維が高いパーセンテージである、独特の繊維配向を示すことができるかの理由である。
【0053】
ウェブ1が本発明の装置及び方法により作製される時、破壊例えば引張応力による破壊前の前駆体ウェブの伸び能力に関して、前駆体ウェブ20、21が、異なる材料特性を持つことができるのを、これまでの説明により理解できる。一実施形態では、不織布の第一の前駆体ウェブ20は、第二の前駆体ウェブ21と比較してより大きい繊維移動性及び/又はより大きい繊維伸び特性を有して、その繊維がタフト6を形成するのに充分に移動又は伸張することができ、一方、第二の前駆体ウェブ21が破壊すなわちタフトを形成するのに必要な程度までは伸張しないようにすることができる。別の実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、第一及び第二の前駆体ウェブ20及び21両方がタフト6を形成するように、第一の前駆体ウェブ20と比較してより大きい繊維移動性及び/又はより大きい繊維伸び特性を有することができる。別の実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、第一の前駆体ウェブ20と比較してより大きい繊維移動性及び/又はより大きい繊維伸び特性を有して、第二の前駆体ウェブ21の繊維がタフト6を形成するのに充分に移動又は伸張することができ、一方、第一の前駆体ウェブ20が破壊すなわちタフトを形成するのに必要な程度までは伸張しないようにすることができる。
【0054】
不織布前駆体ウェブの繊維が塑性変形なしで面外に伸びることができる程度は、前駆体ウェブの繊維間結合の程度によって決まり得る。例えば、不織布前駆体ウェブの繊維が互いに非常に緩く交絡しているだけの場合、互いに滑る(すなわち、レプテイション(reptation)によって隣接繊維に相対的に移動する)ことがより可能であり、したがって、より容易に面外に伸びてタフトを形成する。これに対して、例えば高いレベルの熱点結合や水流交絡などでより強く結合した不織布前駆体ウェブの繊維は、面外タフトに伸びるのにより大きい程度の塑性変形を必要としがちである。したがって、一実施形態では、前駆体ウェブ20又は21の1つは、比較的低い繊維間結合を有する不織布ウェブとして、前駆体ウェブ20又は21の他方は比較的高い繊維間結合を有する不織布ウェブとし、1つの前駆体ウェブの繊維が面外に伸びることができて、他方の前駆体ウェブの繊維が面外に伸び得ないようにすることができる。所望により、前駆体ウェブ20又は21は、繊維がより容易に面外に伸びてタフトを形成することを可能にする繊維移動性と、タフトのつぶれを最小限にするウェブ安定性との組合せを最大限にする、中庸レベルの繊維間結合を有してもよい。
【0055】
一実施形態では、所与の最大ひずみ(例えば、装置100の歯110により課されるひずみ)に対して、第二の前駆体ウェブ21が、課されたひずみにより作り出される引張り荷重下で実際に破壊することが有利である。すなわち、タフト6がウェブ1の第一の側3上に配置される第一の前駆体ウェブ20からの繊維だけを含む、又はこれを主として含む場合、第二の前駆体ウェブ21は、局所的に(すなわち、ひずみ領域内で)張力により破壊し、これによりタフト6が通って伸びることができる開口部4を作り出すように、(有る場合でも)充分に低い繊維移動性及び/又は比較的低い破断伸びを有さなければならない。
【0056】
別の実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、タフト6が第二の前駆体ウェブ21の一部を含むように、誘起されたひずみの領域内で変形又は伸張して、破壊しないことが有利である。結果。
【0057】
一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、1%〜5%の範囲の破断伸びを有する。実際に必要な破断伸びはウェブ1を形成するために誘起されるべきひずみによって決まるが、大部分の実施形態の場合、第二の前駆体ウェブ21は、6%、7%、8%、9%、10%、又はより多くのウェブ破断伸びを示すことができると理解される。実際の破断伸びはひずみ速度に依存し得るものであり、これは、図5に示される装置の場合、ライン速度の関数であることも理解される。本発明で使用されるウェブの破断伸びは、インストロンMTSスィングアルバート(Instron,MTS,Thwing-Albert)などにより製造されるもののような標準引張り試験装置を使用する標準引張り試験方法によるなどの、当技術分野において既知の手段により測定可能である。
【0058】
第二の前駆体ウェブ21は、第一の前駆体ウェブ20と比較して、(有る場合でも)より低い繊維移動性及び/又はより低い破断伸び(すなわち、個々の繊維の破断伸び、又はフィルムの場合はフィルムの破断伸び)を有して、タフト6程度まで面外に伸びるよりも、第二の前駆体ウェブ21が、タフト6の形成によって例えば装置100の歯110によって作り出されるひずみ下の張力で破壊するようにすることができる。一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、開口部4のフラップ7がタフト6に相対的に(有る場合でも)僅かに面外に伸びるだけであるように、第一の前駆体ウェブ20と比較して充分に低い破断伸びを示す。一般に、タフト6が第一の前駆体ウェブ20からの繊維を主として含む実施形態の場合、第二の前駆体ウェブ21は、第一の前駆体ウェブ20より少なくとも10%少ない、好ましくは少なくとも30%少ない、より好ましくは少なくとも50%少ない、更により好ましくは第一の前駆体ウェブ20より少なくとも約100%少ない破断伸びを有すべきであると考えられる。本発明で使用されるウェブの相対破断伸び値は、インストロンMTSスィングアルバート(Instron,MTS,Thwing-Albert)などにより製造されるもののような標準引張り試験装置を使用する標準引張り試験方法によるなどの、当技術分野において既知の手段により測定可能である。
【0059】
一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、CDに配向された繊維が実質的にないような、例えばトウ繊維など実質的に全てMD配向の繊維を含むことができる。ウェブ1のそのような実施形態の場合、第二の前駆体ウェブ21の繊維は、タフト6が通って伸びる開口部4において、分離することだけができる。したがって、この実施形態では、材料の破壊又は破裂が開口部4を形成する態様ではないので、第二の前駆体ウェブ21は、いかなる最小破断伸びも有する必要がない。
【0060】
タフト6の数、間隔、及び大きさは、歯110の数、間隔、及び大きさを変更、並びにロール104及び/又はロール102に必要な対応する寸法変更を行うことにより、変更可能である。この変更が、前駆体ウェブ20、21に可能な変更とあいまって、使い捨て吸収性物品で使用するための様々な流体ハンドリング特性を有する、多数の変化に富んだウェブ1を可能にする。以降で更に充分に説明するように、不織布/フィルムの第一前駆体ウェブ/第二前駆体ウェブの組合せを含むウェブ1も、使い捨て吸収性物品内の構成要素として使用可能である。しかしながら、両ウェブからの繊維がタフト6に寄与する不織布/不織布の前駆体ウェブ/第二前駆体ウェブの組合せも、好適である。
【0061】
図6は、噛み合うロール102及び104、並びに隆起部106及び歯110の一部を断面で示す。示されるように、歯110は、歯高さTH(THは隆起部高さにも適用可能であり、好ましい実施形態では歯高さと隆起部高さが等しいことに留意)と、ピッチPと呼ばれる歯対歯の間隔(又は隆起部対隆起部の間隔)とを有する。示されるように、係合の深さEは、ロール102及び104の噛み合いのレベルの度合いであり、隆起部106の先端から歯110の先端までで測定される。係合の深さE、歯高さTH、及びピッチPは、前駆体ウェブ20、21の特性及びウェブ1の所望の特性に従って、望むように変更可能である。例えば、一般に、係合のレベルEが大きければ大きい程、より大きな必要伸び又は繊維対繊維の移動性特性を、前駆体ウェブのタフト形成を意図された部分の繊維が持たなければならない。また、所望のタフト6の密度(ウェブ1の単位面積当りのタフト6)が大きければ大きい程、以降で説明するように、より小さなピッチとすべきであり、並びにより短い歯長さTL及び歯距離TDとすべきである。
【0062】
図7は、約60gsmと約100gsmの間の、好ましくは約80gsmの坪量を有する不織布の第一の前駆体ウェブ20と、約0.91〜0.94の密度及び約20gsmの坪量を有するポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)の第二の前駆体ウェブ21とからウェブ1を作製するのに有用な、複数の歯110を有するロール104の1つの実施形態を示す。
【0063】
歯110の拡大図を図8に示す。ロール104のこの実施形態では、歯110は、概ね歯先端部111において前縁LEから後縁TEまでで測定される均一な円周長さ寸法TL約1.25mmを有し、及び周囲方向の距離TD約1.5mmにより相互に均一な間隔をおく。約60〜100gsmの範囲の総坪量を有するウェブ1からタオル地ウェブ1を作製する場合、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの範囲の長さTL及び約0.5mm〜約3mmの間隔TDと、約0.5mm〜約5mmの範囲の歯高さTHと、約1mm(0.040インチ)と約5mm(0.200インチ)の間のピッチPとを有することができる。係合の深さEは、約0.5mm〜約5mm(歯高さTHに等しい最大値まで)とすることができる。もちろん、E、P、TH、TD、及びTLは、タフト6の所望の大きさ、間隔、及び面積密度(ウェブ1の単位面積当りのタフト6の数)を達成するために、相互に独立に変更可能である。
【0064】
図8に示すように、各歯110は、先端部111、前縁LE、及び後縁TEを有する。歯先端部111は、細長く、並びにタフト6及び不連続部16の長手方向軸線Lに対応する概ね長手方向の向きを有する。タオル地様であると記述可能なウェブ1のタフト化されたループ状タフト6を得るためには、LE及びTEは、ロール104の局所円周表面120に対して殆ど直交すべきであると考えられる。なおその上、先端部111からLE又はTEとの推移部は、歯110がLE及びTEにおいて第二の前駆体ウェブ21を押し抜けるように、充分に小さな曲率半径を有する、直角などの鋭い角度とすべきである。理論に束縛されるものではないが、歯110の先端部とLE及びTEとの間に比較的鋭い角度の先端推移部を有すると、歯110が前駆体ウェブ20、21を「きれいに」すなわち局所的及び明瞭に突き抜けることが可能になり、その結果、得られたウェブ1の第一の側3は、「変形された」よりも「タフト化された」と記述可能になると考えられている。そのように加工する時、ウェブ1は、前駆体ウェブ20及び21が当初持っていることがあるものを超える、いかなる特定の弾力性も付与されていない。
【0065】
より早いライン速度、すなわち回転するロール102及び104のニップを通るウェブの比較的より早い速度の加工では、同じ材料が、タフト6の非常に異なる構造を示すことがある。図9に示されるタフト6は、図2に示されるタフトと構造が似ているが、非常に異なる構造、スパンボンド不織布の第一の前駆体ウェブ20を比較的速い速度すなわち早いひずみ速度で加工してタフト6を形成する際に典型的に見られる構造を示す。この構造に典型的なのは、タフト6の近位部分すなわち基部7とタフト6の遠位部分すなわち頂部31との間の破断繊維と、タフト6の頂部における繊維の「マット」19と見えるものである。マット19は、未破断ループ状繊維8を含み、及びこれによりタフト6の頂部に支持され、及び又もはや第一の前駆体ウェブ20と一体ではない破断繊維11の部分を含む。すなわち、マット19は、以前は前駆体ウェブ20と一体であったが、図5に関して説明した加工で充分早いライン速度例えば毎分30メートルのライン速度で加工の後では、前駆体ウェブ20から完全に分離している繊維部分を含む。
【0066】
したがって、上の説明から、一実施形態では、ウェブ1は、少なくとも第一及び第二の前駆体ウェブを選択的に機械的変形をすることにより形成されるラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブと複数の離散タフトとを含み、離散タフトのそれぞれは、第一の前駆体ウェブと一体であってこれから伸びた繊維と、第一の前駆体ウェブと一体でもなければこれから伸びてもいない繊維とを含むと、記述できることが理解される。
【0067】
タフト6の遠位部分において観察される明瞭な繊維配向例えばマット19は主として加工速度に起因すると考えられるが、その他のパラメータ、例えば、前駆体ウェブ20及び21の繊維タイプと坪量、並びに繊維対繊維の結合の程度に影響を及ぼし得る加工温度などにも影響されていることが考えられる。繊維のマット化は、加工中にロール104の歯110の先端部と関連するタフト6の部分上に生じると考えられる。歯の先端部における繊維の摩擦係合が、繊維を定位置に「固定」し、これにより、タフト6の形成を可能にしていると考えられる2つのメカニズム、繊維の伸び及び/又は繊維の移動が制限されると考えられる。したがって、一旦定位置にいわば固定されると、歯110の先端部に隣接する繊維が破断することがあり、並びに前駆体ウェブの無作為交絡と圧力及び摩擦に起因する繊維の常温結合の可能性とが原因になって、破断繊維11が、タフト6の遠位端部3におけるマット19中に留まって残る。
【0068】
比較的大きい坪量を有する前駆体ウェブは、一般に、マット19中に比較的より多く繊維11部分を有する。ある意味では、製造中に歯先端部110に直近する前駆体ウェブの繊維含量の大部分が、あたかもタフト6の遠位部分3へZ方向に単に変位可能であって、マット19という結果になるように見える。伸びが比較的低い繊維又は繊維対繊維の移動性が比較的低い(例えば、繊維のレプレーションの可能性が比較的制限された)繊維を含む第一の前駆体ウェブ20は、タフト6の遠位端部3におけるマット19中に留まって残る繊維が比較的少ないという結果になるようである。繊維対繊維の移動性は、繊維対繊維の結合を減少又は排除することにより増加可能である。ある種の不織布ウェブでは、熱接着を完全に排除(すなわち熱接着をやめることにより回避)又は減少して、繊維対繊維の移動性を増加することが可能である。同様に、水流絡合ウェブは、交絡を少なくして、繊維対繊維の移動性を増加することが可能である。いずれの前駆体ウェブ20の場合でも、本明細書で開示するように加工の前に潤滑することによっても、繊維対繊維の移動性を増加することが可能である。例えば、鉱物油潤滑剤を、ロール102及び104のニップ116へ入る前の第一の前駆体ウェブ20に適用可能である。更に、ワセリンのような柔軟化剤を、ポリエチレン又はポリエチレンとポリプロピレンのウェブなどの幾つかの合成繊維ウェブに適用して、伸張性増加が可能である。
【0069】
理論に束縛されるものではないが、第一の前駆体ウェブの繊維が非常に曲線形状を有する例えばカールした繊維である場合、結果として得られるタフト6は、より直線状繊維の組織と比較する時、ループ状繊維8をより多く及び破断繊維18をより少なく有すると考えられている。そのような繊維組織では、2つの隣接する歯の間で橋絡する機会がより少なく、結果として、その破断点を超えて伸張される傾向が少なく、ひいては、完全なループ構造を形成する機会をより多く有すると考えられる。その上、そのような曲線形状繊維は、ポリエチレン及びナイロンからなる複合繊維のような偏心複合繊維又は並列複合繊維の使用により製造可能である。
【0070】
ある種の不織布ウェブ、例えばステープル長さの繊維を含むカードウェブは、前駆体ウェブとして使用する時、タフト6中に非常に少ないループ状繊維8しか作り出さず、その結果、これらのウェブ中に作り出されたタフト6は、図1〜4に関して上で説明したような複数のループ状整列繊維8を含むとは記述できないことが判明した。その代わり、カード不織布ウェブは、(有るとしても)少ないループ状整列繊維8しか有さない、及び(全部ではないとしても)多数の非整列繊維及び/又は破断繊維18を有する、タフト6を作り出すことができる。カードウェブから作製されたタフト6中の繊維の非整列性は、部分的には、カードウェブの繊維内容物の性質が原因であると考えられる。短繊維は、「無限」ではなく、むしろ、約15mm〜約100mm、より典型的には約40mm〜約80mm程度の予め定められた長さを有する。したがって、カードウェブが図5に関して説明した装置により加工される時、緩み繊維端部がタフト6の近傍にあることから、タフト6中に非ループ状繊維端部を作り出す可能性が、はるかにより大きいと考えられる。その上、短繊維は、例えばスパンボンド又はメルトブローン繊維と同一の伸び特性を有さないことが多い。しかしながら、タフト6がループ状繊維を有さない場合でも、その繊維性タフトは、それにもかかわらず、柔軟性効果を提供して、使い捨て吸収性物品中で使用するのに有用なウェブを作り出すことができる。
【0071】
したがって、上の説明から、一実施形態では、ウェブ1は、少なくとも第一及び第二の前駆体ウェブを選択的に機械的変形をすることにより形成されたラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブと複数の離散タフトとを含み、タフトは前記第一の領域と一体であってこれから伸びる複数の繊維を含むと、記述できることが理解される。
【0072】
好ましい実施形態では、前駆体ウェブは、最小限の繊維対繊維結合しか存在しない不織布ウェブである。例えば、前駆体ウェブは、不織布ウェブ技術分野で普通に知られる離散熱点結合のパターンを有する不織布ウェブとすることができる。しかしながら、一般に、タフト6の形成中に幾分の繊維移動及び変位を可能にするために、結合点の数を最小限に、及び間隔を最大限にすることが望ましいと考えられる。一般に、比較的大きい直径、及び/又は比較的大きい破断伸び、及び/又は比較的中庸若しくは大きい繊維移動性を有する繊維を使用すると、より良く及び明瞭に形成されたタフト6という結果が得られる。
【0073】
ウェブ1は、2つの前駆体ウェブから作製される2つの層のウェブとしての好ましい実施形態で開示されるが、2つの層に限定される必要はない。例えば、3つ以上の前駆体ウェブから、前駆体ウェブの1つが面外に伸びてタフトを形成することができる限り、3層以上の積層体が作製可能である。一般に、接着剤又は他の結合手段を使用して、ラミネートウェブ1を作製することは必要でない。ウェブ1の構成層(例えば、前駆体ウェブ20及び21及びいずれかの他の層)は、第二の前駆体ウェブ21中の開口部4を通って伸びるタフト6の「固定」効果のために、向かい合わせに積層された関係に保持可能である。幾つかの実施形態では、ウェブ1の最終使用の用途次第で、接着剤又は熱接着又は他の結合手段を使用するのが望ましいこともある。例えば、複合繊維不織布ウェブを含むウェブ1は、タフト6の形成の後で通気結合して、より大きい剥離強度及びタフト安定性増加のための層対層の接合を提供することができる。更に、前駆体ウェブの1つの一部に接着剤を適用するのが望ましいこともある。例えば、幾つかの実施形態では、層間の接着剤又は熱接着が、ウェブ1のある領域に選択的に適用可能である。接着剤適用の場合、接着剤は、例えば、スロットコーティングなどによる連続法で、又はスプレー、押出しなどによる不連続法で塗布可能である。接着剤の不連続塗布は、ストライプ、バンド、液滴などの形態とすることができる。
【0074】
多層ウェブ1においては、各前駆体ウェブが異なる材料特性を有して、これにより、以降で更に充分に説明するように、使い捨て吸収性物品におけるトップシートとしての使用に関して有益な特性を有するウェブ1を提供することができる。より優れた流体ハンドリングを得るためには、例えば、第一の前駆体ウェブ20は、比較的親水性の繊維からなることができる。第二の前駆体ウェブ21は、例えばポリエチレンフィルム又は孔あきポリエチレンフィルムなどのポリマーフィルムとすることができ、疎水性である又は疎水性にすることができる。そのようなウェブのタフト6は、上側層、すなわち使い捨て吸収性物品上のトップシートとして使用する時に身体に接触する層を形成することができる。上側の比較的親水性のタフトに付着した流体は、第二のフィルム前駆体ウェブ層の下側にある第一の前駆体ウェブの部分へ、比較的疎水性のフィルムから離れて速やかに移送される。観察される速やかな流体移送の1つの理由は、タフト6の概ね整列した繊維8、18により形成される毛管構造である。繊維8、18は、隣接繊維間で方向的に整列した毛管を形成しており、毛管作用は、タフト6の近位部分7近くの繊維が概して集束することにより強められる。
【0075】
別の実施形態では、第一の前駆体ウェブ20は、比較的親水性の繊維からなることができる。第二の前駆体ウェブ21は、比較的疎水性であるか又は疎水性にした(すなわち、約70度より大きい水との接触角を示す)繊維からなることができる。そのようなウェブのタフト6は、両方の前駆体ウェブからの繊維を含んで、比較的疎水性の上側層、すなわち使い捨て吸収性物品上のトップシートとして使用する時に身体に接触する層を形成することができる。しかしながら、ウェブ1の上に付着した流体は、横入口に接触して空隙10へ入って比較的親水性の繊維に到達し、これにより下側にある吸収性物品の構成要素へ速やかに移送可能となる。観察される速やかないずれかの構造中の流体移送の1つの理由は、タフト6の概ね整列した繊維8、18により形成される毛管構造であると考えられる。繊維8、18は、隣接繊維間で方向的に整列した毛管を形成しており、毛管作用は、タフト6の近位部分7近くの繊維が概して集束することにより強められる。
【0076】
流体の速やかな移送は、流体がループ状タフト6により画定される空隙10を介してウェブ1へ進入することができるので、更に増加されると考えられる。ウェブ1の構造によりもたらされるこの「横進入」能力、及び/又は毛管作用、及び/又は親水性勾配が、ウェブ1を使い捨て吸収性物品用の最適流体ハンドリングのための理想的な材料にしている。特に、多層ウェブ1は、流体ハンドリング特性の更により大きな改良を提供可能である。
【0077】
一実施形態では、ウェブ1は、平均径が33ミクロンのポリエチレン/ポリプロピレン(シース/コア)複合繊維を含んで約80gsmの坪量を有するスパンボンド不織布を含む不織布の第一前駆体ウェブ20と、20gsmの坪量を有するポリエチレンフィルムを含む第二の前駆体ウェブとを有する。この実施形態では、ウェブ1は平方センチメートル当り約24のタフト6を有し、タフト6は複数のループ状整列繊維8を有し、そのそれぞれは約18ミクロンの平均繊維直径を有する。このタイプのウェブは、図11に関して以下で示すように、使い捨て吸収性物品用のトップシートとして有益に使用可能である。例えば、そのようなウェブ1は、タフト6の領域を除いて流体不透過性であり、タフト6はウェブ1の第一の側3から第二の側5へ流体を吸い上げることができる。
【0078】
一実施形態では、図10に概略的に示すように、2つの不織布の前駆体ウェブが使用され、それぞれの前駆体ウェブが充分な繊維移動性又は伸びを有して、タフト6がそれぞれの前駆体ウェブからの繊維を含むようにすることができる。生理用ナプキン内のトップシートとして使用するのに最も好ましい実施形態では、ウェブ1は、比較的親水性の第一の前駆体ウェブ20と比較的疎水性の第二の前駆体ウェブ21とを有して、比較的疎水性の第二の前駆体ウェブ21からの繊維がタフト6の最も外面に広がる部分へ伸びるようにすることができる。すなわち、タフト6の遠位部分31には、疎水性のループ状繊維8があって、これがタフト6の遠位部分上にかなり疎水性の「キャップ」を形成することができる。この疎水性のキャップは、ウェブ1が生理用ナプキン内のトップシートとして使用される時に著しい効果を有することができる。実質的に充分に疎水性の上面すなわち着用者の皮膚に向く側3を提供することにより、トップシートが、皮膚上の乾燥を促進する。しかしながら、下にある親水性繊維8への横入口をタフト6中に設けることにより、流体が、生理用ナプキンの下側構成要素、例えば吸収性コアなどへ、ウェブ1を通って速やかに吸上げ可能となる。
【0079】
図11は、本発明のウェブ1をその構成要素の1つとして有する生理用ナプキンの、一部を切り欠いた平面図を示す。一般的に、生理用ナプキン200は、バックシート202と、トップシート206と、トップシート206とバックシート202の間に配置された、周辺部210周りで接合可能な吸収性コア204とを含む。生理用ナプキン1は、生理用ナプキン1のユーザーのパンティの股領域の側を包むように設計された、通常「ウィング」208と呼ばれる側延長部を有することができる。身体面表面として使用するためのトップシートを含む生理用ナプキンは、当技術分野において周知であり、様々な代替及び任意の設計の詳細説明は不用である。しかしながら、ウェブ1が、バックシート、コア材料、トップシート、二次トップシート、又はウィング材料の1つ以上として、又はその構成要素として使用可能であることを特記する。
【0080】
ウェブ1は、生理用ナプキン200のトップシート206として使用するのに特に有用である。図10に関して説明したようなウェブ1は、優れた流体噴出獲得及び下にある吸収性コア204への分配と、使用時のトップシート206の身体面表面の優れた再湿潤防止との組合せのために、生理用ナプキン用のトップシート206として特に有益である。上で説明したように、比較的親水性の不織布の第一前駆体ウェブ20と比較的疎水性の第二前駆体ウェブ21とを使用して作製された本発明のウェブを含むトップシート206は、図11のような平面図で見る時、実質的に疎水性の身体面表面を呈するトップシート206を提供する。したがって、一実施形態では、トップシート206用に有用なウェブ1は、1つの側が実質的に親水性表面を提案し、他方の側が実質的に疎水性表面を提案する、2つの側を有するタフト化されたラミネートウェブとして記述することができる。
【0081】
トップシート206は、2つの層を含むことができる、すなわち1つの層が各前駆体ウェブに相当し、及び第一の前駆体ウェブは二次トップシートとすることができる。しかしながら、2つの層は積層複合体に結合されているので、本明細書ではトップシート206と呼ぶ。前駆体ウェブの坪量は、コストと効果の考察が原因となって変更が可能である。一般に、約20gsmと100gsmの間の総坪量を有するウェブ1が、生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品内のトップシート206として使用するのに望ましい。第二の前駆体ウェブ21は、不織布ウェブ又はポリマーフィルムウェブとすることができる。親水性/疎水性(1つのウェブが他方に関して)不織布/フィルム積層体として作製される時、ウェブ1は、繊維タフトの柔軟性及び流体毛管現象と流体不透過性ポリマーフィルムの再湿潤防止とを兼ね備えることが判明した。同様に、親水性/疎水性(1つのウェブが他方に関して)不織布/不織布積層体として作製される時、ウェブ1は、消費者が受容可能な柔軟性と優れた噴出流体獲得及び再湿潤特性とを兼ね備えることも判明した。
【0082】
下表1に例示するように、及び図16のグラフで例示するように、乾燥の改善(すなわち、再湿潤の最小限化)と経血及び他の身体流体の噴出獲得率の改善との間には二律背反があることは、生理用ナプキン分野において周知である。すなわち、一般に、不織布材を含む既知トップシートの場合、乾燥の改善は、噴出獲得率を犠牲にして達成可能である。このことは、不織布ウェブの競合する流体ハンドリング特性に起因すると考えられている。例えば、より高い密度の不織布ウェブは、噴出獲得率を犠牲にして、再湿潤特性を改善可能である。同様に、高い表面エネルギーのウェブは、再湿潤特性を犠牲にして、噴出獲得率を改善可能である。意外にも、本発明のウェブで、そうでなければ競合するこれらの特性が分離される。例えば、類似の毛管現象特性を有するウェブの場合、トップシート上の乾燥を増す(すなわち再湿潤減少)には、トップシートを比較的疎水性にして、経血を含む(経血は水とは異なる流体特性を有すると認識されてはいるが)流体が繊維の表面を濡らさないようにすることが必要とされる。しかしながら、この湿潤性減少は、流体がトップシートへ入る又は抜けるという噴出獲得率を低下させる。もちろん、噴出獲得率増加のために不織布繊維の湿潤性を増加することは、トップシートの再湿潤値を増加するという対応する影響を有する。
【0083】
したがって、再湿潤及び噴出獲得率を直交軸上にグラフ化する時、そのデータは、乾燥が向上すると噴出獲得率が低下することを示す、非常によく知られた及び預言可能な傾向を示す。例として、表1のデータは、図16にグラフ化しているものであるが、人工月経流体(AMF)と以下の試験方法の節で説明する噴出獲得率及び再湿潤試験方法に同等の試験方法とを使用して作り出された。示される如く、現在の市販製品は、図17に示すように、グラフの概ね左上から右下へ対角に延びる領域に概して対応する領域内へ入る。しかしながら、驚くべきことに、本発明のウェブ1をトップシート206として使用することにより、本発明の幾つかの生理用ナプキンは、そのような対角領域より充分上にある獲得率及び再湿潤値両方を提示しており、これらの生理用ナプキンが乾燥及び噴出獲得率両方の著しい増加を示すことが判明した。
【0084】
【表1】

サンプル1〜4は全て、現在の市場製品を購入した。全ての値は、n=10での平均である。
【0085】
PP/レーヨン不織布は、PGIノンウーブンズ(PGI Nonwovens)から164−253−6の表記で入手可能な、2.2デニールポリプロピレン(PP)70%/5デニールレーヨン30%のカード加工ブレンドであった。
【0086】
PE/PP複合繊維25gsm不織布は、ワシントン州ワショウガル(Washougal,WA)のBBAノンウーブンズ(BBA Nonwovens)から074YLCO09Uの表記で入手した、比較的疎水性のPE/PP(シース/コア)複合繊維のスパンボンド不織布ウェブであった。
【0087】
親水性PE/PP複合繊維は、ワシントン州ワショウガル(Washougal,WA)のBBA不織布ウェブ(BBA Nonwovens)から088YLCO09Uの表記で入手した、比較的疎水性のPE/PP(シース/コア)複合繊維の30gsmスパンボンド不織布ウェブであった。
【0088】
「4DG」繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のファイバー・イノベイション・テクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手した、界面活性剤で処理したPETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の繊維であって、流体毛管として作用可能なチャネルを示す断面を有した。そのような繊維は、毛管チャネル繊維と呼ばれることもある。
【0089】
「円形」繊維は、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC)のウェルマン社(Wellman,Inc.)からType204の表記で入手した、界面活性剤で処理したPETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の円形断面を有する繊維であった。
【0090】
「PET繊維%」は、第一の前駆体ウェブ中のPET繊維のパーセントを指す。サンプル3〜14の全てにおいて、これらの繊維は、ノースカロライナ州ガストニア(Gastonia,NC)のカネマツUSA(Kanematsu USA)からLM651の表記で入手される、比較的親水性の6デニールco−PETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の複合バインダー繊維(高融点PETコア/低融点PETシース)とブレンドされる。全てのパーセントは、重量パーセントを指す。
【0091】
PET繊維などの比較的硬い繊維を使用したサンプルにおいて特に、そのデータは、これまででは入手し得ない噴出獲得率の改善及び乾燥性の改善(再湿潤低下)の両方の結果を示した。そのような驚くべき発見は、本発明の使用に伴う顕著な方向的改善を示す乾燥性及び噴出獲得率の両方であって、更なる試験を急がせた。今回は、より容易に複製される流体、ずなわち、通常PIFと呼ばれる製紙産業流体(Paper Industry Fluid)を使用した。PIFは、経血のような比較的高粘性の流体を模擬するのに使用される周知の流体である。PIFを使用する追加試験が、以下で説明する噴出獲得率及び再湿潤方法に従って実施された。PIF試験の結果を表2及び3に示す。表2は、2つの実在市販製品上のトップシートの代わりに本発明のウェブを試験した結果を示す。表3は、オハイオ州シンシナティ(Cincinnati,OH)のプロクターアンドギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)から入手可能なオールウェイズ(Always:登録商標)マキシレギュラー(Maxi Regular)生理用ナプキン中で使用されているタイプの最新のエアフェルトコアを覆って、本発明のウェブを試験した結果を示す。
【0092】
一般的には、AMFで試験したある種のサンプルがPIFを使用して繰り返されて、その結果には比例的な相関が見られ、PIFが再湿潤及び獲得率の両方についてより穏やかな改善を与えることを特に記す。すなわち、所与のサンプルに対して、PIFで試験すると、AMFでの試験よりも、乾燥性及び噴出獲得率の両方に対して比例的に劣る値を示す。しかしながら、PIFを使用する試験でさえも、表2及び3に示すように、試験した値は、実在製品よりも、噴出獲得率及び再湿潤の両方において良い結果が続く。したがって、AMF、経血を使用する試験値、及び/又は消費者の経験それぞれは、下表で示されるものより良い結果を示すと考えられる。
【0093】
【表2】

表2に載せたサンプルは、店で購入したものであり、以下で説明する試験方法に従って試験した。噴出獲得率及び再湿潤に対して示す値は、それぞれの値について10試験の平均値である。「購入のまま」条件では、製品に手を加えずに各サンプルを試験した。表2に示すように、各製品に対する追加サンプルが、以下で説明するような本発明のウェブで既存のトップシートを置き換えた後で、試験された。このことは、下にある吸収性コアを損なわないように注意深く既存トップシートを(必要な場合、いずれかの二次トップシートも)取外し、その後、本発明のトップシートを機械で作製される製品を模擬する方法でコアの上に置くことにより達成された。表2に示す試験で使用された本発明のウェブは、次の組成を有した。
【0094】
第一の前駆体ウェブ:テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のファイバー・イノベイション・テクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から4DGの表記で入手した、比較的親水性の30デニールのけん縮して形作られた5cm(2インチ)切断長のPET繊維を80%と、ノースカロライナ州ガストニア(Gastonia,NC)のカネマツUSA(Kanematsu USA)からLM651の表記で入手した、比較的親水性の6デニールco−PETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の複合バインダー繊維(高融点PETコア/低融点PETシース)を20%とのブレンドを含む、45gsmカード不織布ウェブ。
【0095】
第二の前駆体ウェブ:ワシントン州ワショウガル(Washougal,WA)のBBA不織布ウェブ(BBA Nonwovens)から088YLCO09Uの表記で入手した、30gsmの比較的疎水性のPE/PP(シース/コア)複合繊維のスパンボンド不織布ウェブ。
【0096】
第一及び第二の前駆体ウェブは、上で説明した噛み合いロールを使用して、上の指定で説明した方法により加工した。具体的には、各サンプルに対して、歯付きロールは、ピッチP1.5mm、係合E3.4mm、及び均一歯高さTH3.7mmを有した。噛み合いロールは、概略速度約3m/minでウェブを加工するように回転された。
【0097】
表2のデータにより示されるように、現在の市販製品は、本発明のウェブを含むトップシートの使用により、再湿潤及び獲得率の両方で著しい改善を示す。測定された流体ハンドリングパラメータは、消費者が望む特性に直接的な影響を有する。したがって、現在の市販製品は、本発明のウェブを含むトップシートの使用により、著しく改善されて、重要な消費者利益を提供することができる。
【0098】
本発明の追加ウェブは、表2のサンプル1及び2で使用されたものと同一の第二前駆体ウェブとであるが、第一の前駆体ウェブ及び繊維特性を表4に示すように変化させて作り出された。これらのウェブは、以下に示される獲得率及び再湿潤試験方法により試験されて、表3のデータを示した。表3に示されるデータについては、各トップシートは、店購入のオールウェイズ(Always:登録商標)マキシレギュラー(Maxi Regular)生理用ナプキンから取り出されたエアフェルト吸収性コアを覆って試験された。
【0099】
【表3】

表3に示されるサンプルのそれぞれは、上述の方法により示される第一の前駆体ウェブ20と共に、上で説明した噛み合いロールを使用して加工された。各サンプルに対して、歯付きロールは、ピッチP1.5mm、係合E3.4mm、及び均一歯高さTH3.7mmを有した。噛み合いロールは、概略速度約3m/minでウェブを加工するように回転された。
【0100】
「3葉(tri-lobal)」繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のファイバー・イノベイション・テクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手された、界面活性剤で処理されたPETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の3葉断面形状を有する繊維であった。
【0101】
「4DG」繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のファイバー・イノベイション・テクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手された、界面活性剤で処理されたPETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の繊維であって、流体毛管として作用可能なチャネルを示す断面を有した。そのような繊維は、毛管チャネル繊維と呼ばれることもある。
【0102】
「円形」繊維は、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC)のウェルマン社(Wellman,Inc.)からType204の表記で入手した、界面活性剤で処理したPETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の円形断面を有する繊維であった。
【0103】
「PET繊維%」は、第一の前駆体ウェブ中のPET繊維のパーセントを指す。サンプル3〜14の全てにおいて、これらの繊維は、ノースカロライナ州ガストニア(Gastonia,NC)のカネマツUSA(Kanematsu USA)からLM651の表記で入手される、比較的親水性の6デニールco−PETをけん縮した5cm(2インチ)切断長の複合バインダー繊維(高融点PETコア/低融点PETシース)とブレンドされる。全てのパーセントは、重量パーセントを指す。
ウェブ坪量は、第一の前駆体ウェブだけの坪量を指す。
【0104】
表3の噴出獲得率及び再湿潤結果から見ることができるように、本発明のウェブは、他の既知のトップシート(例えば、表2の「購入のまま」値参照)と比較して、より優れた噴出獲得率及び乾燥値を提供する。図16に示されるものに類似のグラフ上では、このデータは、右上四半分内にプロットされて、使い捨て吸収性物品上のトップシートとして有用な現在既知のウェブからの明瞭な出発である。
【0105】
特に、表2及び3の結果から、本発明のウェブは、使い捨て吸収性物品内のトップシートとして使用される時、少なくとも0.11ml/sの噴出獲得率と約94mgよりはるかに少ない再湿潤値との両方を提供するのを見ることができる。一実施形態では、本発明のウェブを含むトップシートを使用することにより、生理用ナプキンなどの優れた使い捨て吸収性物品が提供可能であり、その物品は、約75mg未満の再湿潤値と少なくとも約0.5ml/sの流体獲得率とを示す。別の実施形態では、物品は、約25mg未満の再湿潤値と少なくとも約1.0ml/sの流体獲得率とを示すことができる。
【0106】
理論に束縛されるものではないが、優れた流体ハンドリング結果は、少なくとも2つの要因:(1)第一及び第二の前駆体ウェブそれぞれの間の親水性/疎水性の差、及び(2)荷重下でキャリパーの維持を助けることができる、タフト6中の比較的堅い繊維の存在に帰することができると考えられている。すなわち、概ねZ方向に向く(例えば図3に示すような)比較的堅い繊維は、可撓性の支持柱のように作用して、ウェブの効果的な立ち上がりと圧縮力に対する抵抗を提供する。一実施形態では、比較的堅い繊維を第一の前駆体ウェブ内に、及び比較的柔らかい繊維を第二の前駆体ウェブ内に有し、タフトを形成する時に両方のウェブの両方の繊維を含んで(例えば図10に示すように)、比較的柔らかい繊維がタフトの最遠位部分にあり、したがって着用者の皮膚に接触する実質的に全ての繊維が比較的柔らかい繊維であり得るようにするのが、最も有益であると考えられる。
【0107】
図12は、本発明のウェブ1をその構成要素の1つとして有する、月経用タンポン300の一部を切り欠いた斜視図を示す。一般に、タンポン300は、圧縮された吸収性コア302と、吸収性コア302を覆う流体透過性のカバーラップ304とを含む。カバーラップ304は、吸収性コア302の1つの端部を越えて延びて、スカート部分306を形成してもよい。例えば紐308などの取外し手段を設けて、使用後のタンポンの取外しを容易にすることができる。身体接触面として使用するためのカバーラップを含むタンポンは、当技術分野において周知であり、様々な代替及び任意の設計の詳細説明は不要である。しかしながら、ウェブ1が、カバーラップ、吸収性コア材料、又は取外し手段材料の1つ以上として、又はその構成要素として、使用可能であることを特記する。
【0108】
下表4は、本発明の物品内の構成要素として有用なウェブ1の他の構造の代表例を、本明細書で開示されたような、それらを作製する加工に使用される装置100に関する寸法と共に示す。記載された各サンプルの簡単な説明が表4に続く。
【0109】
【表4】

図13は、サンプル1の顕微鏡写真である。サンプル1の第一の前駆体ウェブは、平方メートル当り145グラム(gsm)の坪量を有するPETカード不織布ウェブであって、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のFIT(ファイバー・イノベーション・テクノロジーズ社(Fiber Innovation Technology Inc.))からの、38mm(1.5インチ)ステープル長さのポリエステル/コポリエステルの3葉(tri-lobal)形状繊維タイプF30Aから手でカード加工した。サンプル1の第二の前駆体ウェブは、オハイオ州キャロルトン(Carrolton OH)のハンツマンフィルムプロダクツ社(Huntsman Film Products Co.)によりX420の表記で製造された、0.1mm(0.004インチ)のキャリパーを有する低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムであった。サンプル1は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約3メートル(毎分10フィート)のライン速度で生産された。図13に示されるように、フラップ7は、第二の前駆体ウェブ(すなわちフィルム層)の面外にかなり延びて、タフト6のほぼ半分を覆っている。上記のように、これは、より堅い弾力性のあるタフト6を所望する場合に望ましいことがある。
【0110】
図15は、サンプル2の顕微鏡写真である。サンプル2の第一の前駆体ウェブは、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville SC)のBBAにより製造された、坪量30gsmを有するPE/PP・50/50・コア/シースのスパンボンド不織布である。サンプル3の第二の前駆体ウェブは、クラフト紙のいずれかの供給元例えばイリノイ州ワウケガン(Waukegan,IL)のUラインシッピングサプライズ(Uline Shipping Supplies)から入手可能な、100%リサイクル13.6kg(30ポンド)褐色クラフト包装紙であった。サンプル2は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約3メートル(毎分10フィート)のライン速度で生産された。図15に示されるように、クラフト紙の第二の前駆体ウェブは、火山形状開口に類似する開口部4及びフラップ7という結果になることができる。
【0111】
図16は、サンプル3の顕微鏡写真であり、これは3層の前駆体ウェブを含む。サンプル3の第一及び第三の前駆体ウェブは、ペンシルバニア州ハクスルトン(Haxleton,PA)のファーストクオリティ・ノンウーブンス(First Quality Nonwovens)からのNW30と表記された、坪量13.5gsmのポリプロピレン・スパンボンド不織布であった。第一及び第三の前駆体ウェブは、第二の前駆体ウェブを挟む外側層であり、第二の前駆体ウェブは、ポリエステル繊維とPE/PP・50/50・コア/シース・不織布用複合バインダー繊維とを80/20繊維重量比でそれぞれ含む、44mm(1.75インチ)長さ短繊維から作製された緩い結合のエアレイド不織布ウェブであった。ポリエステル繊維はタイプ1311繊維であって、PE/PP繊維はタイプ」851607繊維であり、両繊維とも、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)のFIT(ファイバー・イノベーション・テクノロジーズ社(Fiber Innovation Technology Inc.))から入手可能なものであった。サンプル4は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約30メートル(毎分100フィート)のライン速度で生産された。図16に示されるように、ウェブ1の幾つかの実施形態では言う程のフラップ7は無いこともあるが、開口部の回りに第二の前駆体ウェブの僅かな崩壊物だけがあり、これを通ってタフト6が伸びる。図16に示されるタフト6は、2つの繊維タイプを含むのを見ることができる。中央の挟まれたエアレイドウェブと外側層の1つとの両方からの繊維が、タフト6に寄与する。
【0112】
本発明のウェブ1及び装置100についての上の説明から理解できるように、ウェブ1の多数の様々な構造が、付随する請求項で請求するような本発明の範囲から逸脱することなく、作製可能である。例えば、ウェブ1は、ローション、薬剤、洗浄流体、抗菌溶液、エマルション、芳香剤、界面活性剤でコーティング又は処理可能である。特に、親水性/親油性バランス(HLB)が7以下の比較的疎水性のローションで。そのローションは、ワセリン系とすることができ、並びに皮膚治療剤及び共に譲渡された米国特許出願シリアル番号10/444,241(事件番号8725R2)に開示されるような他の成分を含むことができ、この出願を参考として本明細書に組み込む。ウェブ1は、タフト6の遠位端部だけがローションを適用されるように処理可能であって、ウェブ1が、第一の側及び第二の側を有して、タフトが少なくとも部分的に第二の側から始まって遠位の身体に面する部分へ伸び、遠位の身体に面する部分が第二の側に関して比較的疎水性のウェブであるとして記述できるようにすることができる。
装置100は、ウェブ1の一部上に単にタフト6を形成するように、又は変化する大きさ若しくは面積密度のタフト6を形成するように、構成可能である。
【0113】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものと解釈すべきではない。
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0114】
(試験方法)
(PIF(Paper Industry Fluid)の調製)
(試薬)
*カルボキシメチルセルロース(CMC)、#C−567815g
*グリセリン#G−7893 80g
塩化ナトリウム、A.C.S.試薬等級 10g
重炭酸ナトリウム、A.C.S.試薬等級 4g
蒸留水1000ml
*(任意に)インジゴカルミン染料、アルトリッヒ(Aldrich)#13、116−4など0.01%
*注:シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、USA(314)771−5750、又はジグマアルトリッヒ(Sigma-Aldrich)、ジャーマニー49−7329−970から入手可能。
【0115】
(手順):
ステップ1:グリセリンを80.0(+/−0.05g)ビーカーへ加える。片側におく。
ステップ2:CMCを15.0(+/−0.05g)計量する。
ステップ3:ガラス製のかき混ぜ棒を使用して連続的にかき混ぜながら、グリセリンを入れたビーカーに予計量したCMCをゆっくり添加する。スラリー(CMC粒子がグリセリン中に懸濁)になるまでかき混ぜる。
ステップ4:蒸留水を300ml(+/−5ml)ビーカーに加えて、しばらくかき混ぜ棒でのかき混ぜを続ける。注:蒸留水を少量(20〜50ml)だけ使用して、いかなるCMC/グリセリンの残りも、かき混ぜ棒からビーカーの中へ追加蒸留水で洗い落とす。
ステップ5:塩化ナトリウムを10.0(+/−0.01g)計量する。片側に置く。
ステップ6:重炭酸ナトリウムを4.0(+/−0.01g)計量する。片側に置く。
ステップ7:電磁攪拌棒をグリセリンのビーカーの中へ置いて、電磁撹拌プレートの上に設置する。撹拌プレートを始動して、溶液を連続的に撹拌する。
ステップ8:全ての他の試薬を添加し、次に更なる蒸留水を懸濁液へ追加して、量を約850mlにする。
ステップ9:撹拌を20分間続ける。溶液は透明になるはずである。
ステップ10:20分間撹拌の直後、電磁攪拌棒を取り出して、溶液をメスフラスコへ移す。少量の水(20〜50ml)をその都度使用して、いかなる残留物もビーカーからメスフラスコ内の溶液へ洗い落とす。更に蒸留水の追加を続けて、最終量をフラスコ上の1000ml線にする。メニスカスの底が、食刻線と目のレベルで同じ高さにならなければならない。
ステップ11:*(任意に)インジゴカルミン染料を0.01%添加する。
ステップ12:電磁攪拌棒をメスフラスコ内の溶液へ戻す。追加の10〜15分間、撹拌を続ける。
ステップ13:粘度読取りの間は水浴及び温度計を使用してPIF試験流体の温度を監視して制御し、22+/−0.5℃において、PIF試験流体の粘度を粘度計の使用により検定する。使用する特定の粘度計用の粘度計製造者の運転説明書に従うこと。適切なスピンドルを選定して、30RPMで回転させる。
注:PIFの密度は1.03である。
【0116】
(粘度目標値):
センチポアズ(cP):粘度範囲0.01〜0.012Pa・s(10〜12cP)、22℃において。
センチストークス(cSt):粘度範囲9.7E−6〜11.64E−6m2/s(9.70〜11.64cSt)、22℃において。
注: 粘度が目標値未満の場合、CMCを追加する。粘度が目標値を超える場合、蒸留水を追加する。
PIFの粘度は、時間と共に変化し得る。したがって、毎日又は24時間超過でPIFを貯蔵した時には使用前に、粘度測定をしなければならない。
いかなる未使用又は仕様外れPIFも、地元/地域の安全処分手順に従って廃棄のこと。
PIFは、室温で7日間、冷蔵で14日間の貯蔵寿命を有する。
【0117】
(噴出獲得及び再湿潤試験)
ステップ1:試験前に、試験するサンプルを、20.6〜25℃(69〜77°F)の温度及び46〜54%の湿度において、2時間の平衡化により調湿する。
ステップ2:サンプルは、温度が20.6〜25℃(69〜77°F)及び湿度が46〜54%の環境内で試験のこと。
ステップ3:試験するサンプルの中央部の上に、1インチ×15.24mm(0.6インチ)の開口部がある101.6mm(4インチ)角のブロックを置く。1.72kPa(0.25psi)の圧力に達するまで、充分な重みをブロックに追加する。
ステップ4:PIFの1mlアリコートを4回開口部を通してサンプルに加えるが、各アリコートについて、次を加える前にサンプルに吸収されるのを待つ。
ステップ5:PIFの4回のアリコートの最後がサンプルに吸収された後に5分間待って、3mlのPIFを経血の噴出を模擬する約1ml/sの率で加える。PIFの最初の滴下からサンプルの上表面上にPIFが見えなくなるまでの間の間隔を計る。この時間間隔は、噴出獲得率をml/sで計算して報告するのに使用される。
ステップ6:直ちに1.72kPa(0.25psi)ブロックを取り除いて30秒間待ち、その時に、13cm(5インチ)角の予計量したアールシュトロームフィルトレイション社(Ahlstrom Filtration Co.)の#632濾紙の7枚積み重ねを、サンプルの流体噴出を受け入れた中央部分の上へ置く(濾紙も、試験前に、20.6〜25℃(69〜77°F)の温度及び46〜54%の湿度で2時間、予め調湿しておく)。
ステップ7:5.31kPa(0.77psi)であるような大きさにした重みを濾紙の上に15秒間置く。
ステップ8:5.31kPa(0.77psi)重みを取り除いて、直ちに濾紙の重量を計る。
ステップ9:5.31kPa(0.77psi)重みの下に15秒間置かれる前の濾紙の重量をその後の重量から引き算することにより、再湿潤をグラムで計算する。
各サンプルに対して少なくとも10の試料についてステップ1〜9を繰り返して、10試料の平均を報告する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの斜視図。
【図2】図1に示すウェブの一部の拡大図。
【図3】図2の断面3−3の断面図。
【図4】図3で4−4により示される、ウェブの一部の平面図。
【図5】本発明で使用するためのウェブを形成する装置の斜視図。
【図6】図5に示す装置の一部の断面図。
【図7】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの1つの実施形態を形成するための装置の一部の斜視図。
【図8】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブを形成するための装置の一部の拡大斜視図。
【図9】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの別の実施形態の一部の拡大図。
【図10】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの別の実施形態の一部の拡大図。
【図11】本発明の生理用ナプキンの一部を切り欠いた平面図。
【図12】本発明のタンポンの一部を切り欠いた斜視図。
【図13】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの顕微鏡写真。
【図14】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの顕微鏡写真。
【図15】本発明の物品中で使用するのに好適なウェブの顕微鏡写真。
【図16】本発明のウェブを伴って作製された物品の流体獲得及び再湿潤データのグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと、バックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収性コアとを含む吸収性物品であって、前記トップシートは第一の側及び第二の側を有し、前記第一の側は身体に面する側であり、及び前記第二の側は前記吸収性コアと流体連通しており、前記トップシートは更に:
a.第一の比較的疎水性の構成要素及び第二の比較的親水性の構成要素;
b.前記比較的親水性の構成要素が、前記比較的疎水性の構成要素を貫いて延び、及び前記トップシートの前記側の両方上に配置されており;並びに
c.前記吸収性物品が、噴出獲得及び再湿潤試験方法により試験される時、約94mg未満の再湿潤値及び少なくとも約0.10ml/sの流体獲得率を示す;により特徴付けられる吸収性物品。
【請求項2】
前記トップシートが、比較的疎水性のウェブと比較的親水性の不織布ウェブとの積層体であることを更なる特徴とする、請求項1の吸収性物品。
【請求項3】
前記トップシートの前記第一の側が、前記比較的親水性の不織布ウェブからの繊維を含む複数の離散タフトを含むことを更なる特徴とする、請求項1又は2の吸収性物品。
【請求項4】
前記比較的親水性のウェブ又は前記比較的疎水性のウェブのいずれかの前記繊維が非円形繊維を含む、請求項1〜3いずれかの吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品が、噴出獲得及び再湿潤試験方法により試験される時、約50mg未満の再湿潤値、より好ましくは約25mg未満の再湿潤値、及び少なくとも約0.50ml/sの流体獲得率を示すことを更なる特徴とする、請求項1の吸収性物品。
【請求項6】
トップシートと、バックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収性コアとを含む吸収性物品であって、前記トップシートは第一の側及び第二の側を有し、前記第一の側は身体に面する側であり、及び前記第二の側は前記吸収性コアと流体連通しており、前記トップシートは不織布ウェブ及びタフト化領域により特徴付けられ、前記タフト化領域は第一、第二、及び第三の領域を含み、それぞれの前記領域は領域繊維配向により特徴付けられ、前記第一及び第三の領域は、前記トップシートの平面に実質的に平行に配向された部分を有する繊維を含み、並びに前記第二の領域は、前記第一及び第三の領域の中間にあり、及びこれらに隣接しており、前記第二の領域は、前記トップシートの前記平面に実質的に平行に配向された部分を実質的に有さない繊維を含むものである、吸収性物品。
【請求項7】
トップシートと、バックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収性コアとを含む吸収性物品であって、前記トップシートは第一の側及び第二の側を有し、前記第一の側は身体に面する側であり、及び前記第二の側は前記吸収性コアと流体連通しており、前記トップシートはタフトを含む不織布ウェブにより特徴付けられ、前記タフトは、少なくとも部分的に前記第二の側で始まり、及び遠位の身体に面する部分へ延びており、前記遠位の身体に面する部分は前記第二の側に関して比較的疎水性である、吸収性物品。
【請求項8】
前記タフトの前記遠位の身体に面する部分は、その上に配置されたローション組成物により疎水性にされたものである、請求項7の吸収性物品。
【請求項9】
前記ローション組成物が、7以下の親水性/親油性バランス(HLB)を有する、請求項7又は8の吸収性物品。
【請求項10】
前記ローション組成物がワセリンを含む請求項9の吸収性物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2006−510466(P2006−510466A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509992(P2005−509992)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/040230
【国際公開番号】WO2004/058118
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】