説明

タマネギ発酵物を含有する酵素阻害剤

【課題】タマネギの生理活性が高められたタマネギの乳酸発酵物を含有する酵素阻害剤を提供すること。
【解決手段】タマネギを糖を添加することなく、乳酸発酵させる。好ましくは、乳酸発酵が、ラクトバチルス・プランタラムを用いて行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タマネギの乳酸発酵物に関する。より詳細には、糖尿病およびその合併症などの生活習慣病に対して効果を有するタマネギの乳酸発酵物に関する。
【背景技術】
【0002】
外食の普及あるいはインスタント食品の普及により、手軽に食事ができるようになったが、このような食事は、カロリーが高く、栄養が偏っている。さらに、人間の健康維持に必要なビタミン類、ミネラルなどの栄養成分が不足する傾向もあるため、糖尿病、高血圧などの生活習慣病になりやすいことが指摘されている。したがって、近年、生活習慣病の改善または予防のために、野菜の積極的な摂取が提案されている。
【0003】
タマネギには、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの改善効果または予防効果を有する成分が含有されていることが知られている。特に、タマネギの鱗茎に含まれるグルタチオンや硫化化合物(サイクロアリイン、イソアリイン、およびこれらから生じるセパエン;ジプロピルジサルファイドなど)およびタマネギの外皮に多く含まれるケルセチンは、血糖値の増加抑制効果、中性脂肪抑制効果、抗酸化作用、血管の弾力性の回復効果、および血液流動性改善効果を有することが知られている。例えば、タマネギエキスを糖尿病による合併症の予防および治療薬として用いることが報告されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、タマネギは、他の野菜と比べて糖質含量が高いため、上記の生活習慣病に対して効果的な成分を有効量摂取するには、多量の糖質を摂取することになる。そのため、タマネギを加工せずに摂取することは好ましくない。タマネギを加工する方法としては、例えば、タマネギを発酵してアルコール濃度5〜15%の酒類を得る方法が知られている(例えば、特許文献2および3)。これらの方法で得られる発酵物は、糖質やアルコール含有量が高く、生活習慣病に対する有効成分の含有量は高められていない。また、特許文献4には、タマネギなどの種々の植物の粉末またはペーストを発酵させた食品の製造方法が記載されている。しかし、この方法では、糖類、無機物、およびアミノ酸を添加して乳酸発酵させているため、糖質の多い食品が得られている。さらに、これらの食品は、単に栄養価が高められるにすぎず、生理活性については明らかではない。
【0005】
一方、タマネギの有効成分は、加熱などの調理により損失しやすく、調理後のタマネギは生理活性が弱い。さらに、タマネギに含まれる硫化化合物は、タマネギ特有の臭みやえぐ味を有し、摂取し難いという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−77232号公報
【特許文献2】特開昭60−30673号公報
【特許文献3】特開昭59−2670号公報
【特許文献4】特開2001−69947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タマネギが有する生理活性を効果的に利用できるタマネギ加工物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、タマネギの有効成分を効果的に利用できるように鋭意検討したところ、タマネギを単に乳酸発酵させることによって、タマネギ中の糖質含量が少なく、かつタマネギの種々の生理活性が高められた発酵物が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、タマネギを乳酸発酵することによって得られる、生理活性が高められたタマネギの乳酸発酵物を含有する酵素阻害剤を提供する。
【0010】
好ましい実施態様においては、上記乳酸発酵は、ラクトバチルス・プランタラムを用いて行われる。
【0011】
好ましい実施態様においては、上記酵素阻害剤を含有する血糖値上昇抑制剤を提供する。
【0012】
好ましい実施態様においては、上記酵素阻害剤を含有する血中脂質改善剤を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタマネギの乳酸発酵物は、従来のタマネギ発酵物よりも糖質含量が少ないため、糖質を過剰摂取することなくタマネギの有効成分を摂取することができる。さらに、乳酸発酵させていないタマネギに比べて、リパーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性などの酵素阻害活性が高いため、血糖値の上昇抑制効果、血中脂質改善効果(中性脂肪抑制効果およびコレステロール上昇抑制効果)などに優れる。さらに、このタマネギ発酵物は、優れた抗酸化活性およびエラスターゼ阻害活性を有するため、摂取および皮膚への塗布によって、皮膚のシミやシワ等の防止ならびに肌荒れ防止などの抗老化作用も有する。本発明のタマネギの乳酸発酵物は、嗜好性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に用いられるタマネギの種類は、特に限定されず、一般的に食用に供されるタマネギ(Allium cepa L.)が用いられる。使用される部分は、その鱗茎部分であり、その外皮(茶色の薄皮部分)を含んでいてもよい。タマネギの外皮には、ケルセチンが多く含有されているため、外皮が剥離せずに収穫され、内皮が外部に露出していないタマネギを用いることが、有効成分を多く含有する観点から好ましい。このようなタマネギは、ビタミンCの活性を向上させる作用、血管の保護作用などのビタミンP様作用を期待できる。タマネギは、まず、付着した土などを洗い落とす目的で洗浄され得る。外皮を含む場合は、外皮が剥離しないよう洗浄することが好ましい。
【0015】
上記タマネギは、乳酸発酵前に予め外皮ごとカットまたは微粉砕することが好ましい。タマネギのカットは、スライサー、ダイサー、カッターミキサーなどを用いて行われ得る。タマネギのカット片の大きさは、1辺の長さが0.1cm〜1cmであることが好ましい。
【0016】
微粉砕は、コミトロールなどを用いて行われ得る。効率よく微粉砕する点で上記カットされたタマネギを用いることが好ましい。微粉砕されたタマネギの平均粒径(メジアン径)は、30μm〜500μmであることが好ましく、30μm〜100μmであることがより好ましい。タマネギを微粉砕することで、タマネギの組織から有効成分、酵素、糖質などが溶出され、乳酸菌による発酵を効率よく行うことができる。得られたタマネギの微粉砕物の粘度が高い場合は、水を加えてもよい。水の量は、タマネギ100重量部に対して、50〜1000重量部にすることが好ましい。
【0017】
カットまたは微粉砕されたタマネギは、加熱処理を行ってから乳酸発酵を行う。加熱処理は、タマネギ中の酵素を失活させて殺菌作用を有する揮発性物質が生産されないようにするために行われ得る。加熱処理は、プレート式、チューブラー式などの加熱機、ジャケット付きタンクなどを用いて行われる。あるいは、フライパンなどの調理器具で炒めることによって行われ得る。カットまたは微粉砕されたタマネギを加熱用の容器へ入れて密閉し、加熱する際に蒸気や有効成分を容器の外部へ逃がさないようにすること(閉鎖系)が好ましい。これらの加熱処理は、単独で行ってもよいし、組み合わせてもよい。例えば、カットまたは微粉砕されたタマネギを炒めた後に、加熱器を用いて処理してもよい。加熱処理条件は80℃から130℃で、1分間〜3時間行うことが好ましい。有効成分を損なうことなく、効率良く酵素を失活できる点で、加熱処理を、閉鎖系で、100℃〜130℃の温度で、かつできるだけ短時間で行うことが、好ましい。
【0018】
タマネギを乳酸発酵する前に、必要に応じて、タマネギの細胞壁を分解する酵素を作用させてもよい。タマネギを加熱処理した場合には、酵素添加前に10℃〜40℃まで冷却することが好ましい。タマネギの細胞壁を分解する酵素としては、ペクチン分解酵素(例えば、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、プロトペクチナーゼなど)、セルロース分解酵素(例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼなど)などが用いられる。これらの酵素は混合して用いてもよく、例えば、プロトペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、およびセルラーゼを含む製剤が好適に用いられる。これらは、カットまたは微粉砕されたタマネギ、あるいはさらに加熱処理されたタマネギに対して約0.001重量%〜約0.2重量%程度添加されるが、使用する酵素の精製度や比活性により異なる。このような酵素の添加により、タマネギの細胞内に含まれる栄養分が液体部分に多く溶出される。特に、ケルセチン、硫化化合物、核酸成分、グルタミン酸などが効率よく溶出され、液体部分の栄養分が豊富になる。そのため、後述の乳酸発酵後に得られるタマネギの乳酸発酵物の上清液(以下、「タマネギの乳酸発酵エキス」ということがある)の栄養分が高くなる。さらに、これらの酵素がタマネギの細胞壁(膜)へ作用する結果、酵素処理物中にセロビオース、セロオリゴ糖などが多く含まれ、最終的に得られるタマネギの乳酸発酵物またはタマネギの乳酸発酵エキスに機能性が付与されるという効果が得られる。
【0019】
次いで、カットまたは微粉砕されたタマネギ、タマネギの加熱処理物、あるいは上記タマネギの酵素処理物(以下、これらをまとめて「タマネギ処理物」ということがある)に、乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行う。タマネギは、糖質が豊富であるため、糖を添加することなく乳酸発酵することができる。タマネギを乳酸発酵することによりタマネギに元来含まれている糖質が資化され、糖質の含有量が低く、代わりに産生される有機酸などの有用物質が多く含まれる、機能性並びに栄養価に優れたタマネギの乳酸発酵物を得ることができる。
【0020】
乳酸発酵を効率的に行うためには、アミノ酸またはタンパク質を添加することが好ましい。タマネギには菌体が資化することのできる窒素源が乏しいため、アミノ酸を添加することによって、効率よく発酵させることができる。アミノ酸またはタンパク質としては、大豆タンパク質、酵母エキス、トウモロコシ分解物、小麦分解物、綿花抽出物、ホエータンパク質などが挙げられるが、これらは、用いる菌の種類や菌株によって適宜選択され得る。アミノ酸またはタンパク質は、タマネギ処理物に対して、0.05〜10重量%の割合で添加することが好ましい。なお、上述のように、タマネギは糖質含量が高いため、乳酸発酵のために糖を添加する必要はない。しかし、さらに風味をよくする目的で、必要に応じて、乳酸菌代謝性の糖(庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖等)などを3重量%以上となるように添加してもよい。このように、窒素源または炭素源を添加して発酵する場合、これらが有用アミノ酸、有機酸、または脂質に変換されるため、食品の製造時に配合するよりも少ないコストで高い栄養価を有するタマネギの乳酸発酵物を得ることが可能であり、あわせて風味も改善することができる。
【0021】
乳酸菌の優先的な生育のために、グルタミン酸またはその塩を加えてもよい。添加するグルタミン酸の量は、タマネギ処理物に対して0.05〜1重量%程度、好ましくは0.2重量%程度の割合である。この範囲の量のグルタミン酸の添加により乳酸菌の生育がよくなる。
【0022】
タマネギ処理物を、例えば、発酵槽に入れ、乳酸発酵を行う。発酵に用いる乳酸菌としては、ロイコノストック・メセントロイデス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプロコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガムなどが、単独でまたは組み合わされて用いられる。例えば、単独で用いる場合、ラクトバチルス・プランタラムが、その耐酸性、生育温度、および増殖速度の面から好適である。
【0023】
乳酸菌は、タマネギ処理物100重量部に対して、湿菌体重量で好ましくは0.005〜5.0重量部、より好ましくは0.01〜2.0重量部添加される。0.005重量部未満では発酵が充分に行われず、5.0重量部を超えて添加してもそれ以上の効果が得られない。発酵をより効率よく行い得る点で、発酵前に予め乳酸菌を前培養することが好ましい。前培養は、当業者が通常用いる方法、例えば、酵母エキス、グルコースなどを含む培地を用いた培養方法で行われ得る。
【0024】
乳酸発酵は、菌が優先的に増殖できる環境をつくるため、pHを低くすることが好ましい。乳酸菌として、例えば、ラクトバチルス・プランタラムを用いる場合は、pH4.0程度に調整してから発酵を開始すれば、短時間でその発酵を終了させることができる。乳酸発酵ではこのような低いpH(pH3〜pH5)が維持され得るため、他の菌の繁殖を防ぐこともできる。
【0025】
乳酸発酵は、好気性条件下でも可能であるが、嫌気性条件下で行うことが好ましい。嫌気性条件は、混合物を脱気することにより、または発酵槽を密封するか、窒素ガス、二酸化炭素ガス等のガスで満たすか、減圧することにより、あるいはそれらを組み合わせることにより得られる。また、嫌気条件下で発酵させることにより、発酵物の風味も良くなる。
【0026】
乳酸発酵の条件に特に制限はないが、例えば、20℃〜50℃の場合は、3時間〜96時間、好ましくは6時間〜72時間行うことが好ましい。タマネギ特有の苦味や臭いをさらに抑えた発酵物を得るためには4℃〜10℃で5日間〜14日間発酵させることが好ましい。
【0027】
発酵の停止は、一般的には、pHを下げる、高温(80℃以上)で短時間(2秒〜5分間)処理する等の手段により行われ得る。また、このような手段以外には糖を加えてもよい。発酵停止に使用し得る糖としては、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)などが挙げられる。上記の糖は、タマネギの乳酸発酵物を糖尿病患者に用いる場合などを考慮して、必要に応じて、吸収され難い糖を使用することが好ましい。オリゴ糖は、整腸作用、う蝕の予防などに効果があり、タマネギの乳酸発酵物に食品としての機能性を付与し得る。
【0028】
このようにして得られたタマネギの乳酸発酵物は、風味の改善を目的として、さらに所定温度および所定時間保持し、熟成させてもよい。熟成期間は、10℃〜50℃、好ましくは15℃〜40℃で1ヶ月〜5年、好ましくは3ヶ月〜2年である。
【0029】
上記タマネギの乳酸発酵物から、上清液(タマネギの乳酸発酵エキス:タマネギの乳酸発酵物の一態様)を回収してもよい。回収は、通常用いられる方法、例えば、遠心分離、濾過などが適用され得る。
【0030】
得られたタマネギの乳酸発酵物またはタマネギの乳酸発酵エキスは、必要に応じて、殺菌処理して保存され得る。殺菌は、気流殺菌、高圧殺菌、加熱殺菌などの当業者が用いる方法により行われる。殺菌処理は、各種の栄養分を保持するために、できるだけ低温、短時間で殺菌処理することが好ましい。
【0031】
上記タマネギの乳酸発酵物およびタマネギの乳酸発酵エキスは、濃縮してペースト状の食品素材(タマネギの乳酸発酵ペースト:タマネギの乳酸発酵物の一態様)とすることもできる。濃縮には、膜濃縮、加熱濃縮、真空(減圧)濃縮、凍結濃縮などの種々の方法が用いられ、有効成分の安定性を考慮すると、熱のかからない膜濃縮および凍結濃縮が好ましい。
【0032】
タマネギの乳酸発酵物またはタマネギの乳酸発酵エキスは、乾燥、粉末化して、乾燥形態の食品素材、例えば、タマネギの乳酸発酵粉末(タマネギの乳酸発酵物の一態様)またはタマネギの乳酸発酵エキス末(タマネギの乳酸発酵エキスの一態様)とすることができる。タマネギの乳酸発酵物またはタマネギの乳酸発酵エキスの乾燥は、当業者が通常用いる種々の方法により行われ、凍結乾燥、噴霧乾燥が好適である。噴霧乾燥を行う場合、必要に応じて賦形剤としてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどを添加する。好ましくはデキストリン、より好ましくは難消化性デキストリンである。デキストリンを用いることにより、血清における血糖値の上昇を防ぎ、さらには水溶性食物繊維によるコレステロールの低下という効果を得ることができる。タマネギの乳酸発酵物またはタマネギの乳酸発酵エキスを乾燥する場合は、タマネギの乳酸発酵物と賦形剤との混合比が、好ましくは重量比で1:5〜10:1、タマネギの乳酸発酵エキスを乾燥する場合は、タマネギの乳酸発酵エキスと賦形剤との混合比が、好ましくは重量比で1:10〜5:1とすることにより、得られるタマネギの乳酸発酵粉末またはタマネギの乳酸発酵エキス末の褐変を防ぐことができる。
【0033】
このようにして得られた本発明のタマネギの乳酸発酵物およびタマネギの乳酸発酵エキスは、タマネギが元来有する生理活性が高められている。生理活性としては、例えば、抗酸化活性および酵素阻害活性が挙げられる。酵素阻害活性としては、例えば、リパーゼ阻害活性、α−グルコシターゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性などが挙げられる。これらの酵素阻害活性が相俟って、優れた血糖値の上昇抑制効果、血中脂質改善効果(中性脂肪抑制効果およびコレステロール上昇抑制効果)などが発揮され得る。上記の生理活性の中でも、特に、抗酸化活性およびエラスターゼ阻害活性については、摂取のみでなく、塗布によっても効果が発揮され得る。このタマネギの乳酸発酵物は、タマネギそのものまたは従来のタマネギ乳酸発酵物よりも、糖質含量が低いため、糖質を過剰摂取することなく、タマネギの有効成分を摂取することが可能であり、生活習慣病の改善または予防に有用である。
【0034】
本発明のタマネギの乳酸発酵物またはタマネギの乳酸発酵エキスは、必要に応じて、ローヤルゼリー、ビタミン類、ミネラル、キチン・キトサン、レシチン等の他の食品素材と組み合わせられる。そしてさらに、ハードカプセル、ソフトカプセル等のカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤として成形されるか、または粉末状、顆粒状に成形される。あるいは、これらをティーバッグの中につめることができる。これらは、その形状または好みに応じて、そのまま摂取するか、あるいは水、湯、もしくは牛乳などに溶いて、または成分を浸出させて飲むことができる。
【0035】
本発明のタマネギの乳酸発酵物の一態様であるタマネギの乳酸発酵エキスは、タマネギの有効成分と乳酸菌生成物等とを含む健康飲料として、そのまま摂取するか、あるいは種々の調味料、例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビット等の甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、香料、色素等を加えて、好みの味に調整して摂取することができる。さらに、タマネギの発酵エキスは、不溶性食物繊維を含んでいないため、食物繊維などを添加してもよい。不溶性食物繊維を添加することにより、血清のコレステロール値を低下させることができる。さらに、得られたタマネギの乳酸発酵エキスは、他の発酵ジュースや野菜ジュースなど(例えば、人参ジュースあるいは混合野菜ジュース)と任意の割合で混合して、更に栄養価の高いジュースとすることができる。また、この混合ジュースは120℃、4分の完全殺菌をしなくても、低pHであれば、100℃以下の殺菌条件で殺菌できる。例えば、pHが4.0以下の場合では、65℃、10分相当の殺菌条件で十分に殺菌できる。あるいは、タマネギの乳酸発酵エキスは、他の製法により得られた液と、または発酵していない野菜ジュース等と混合して食品に含ませることもできる。例えば、寒天等に混合してゼリーとすることもでき、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。
【0036】
本発明のタマネギの乳酸発酵物は、さらに、外用剤として、化粧水、化粧クリーム、乳液、パック、ヘアートニック、シャンプー、口紅などの化粧品に用いることができる。抗酸化活性およびエラスターゼ阻害活性を有することから、シミやシワの形成の抑制などの美肌効果が期待される。
【0037】
本発明のタマネギの乳酸発酵物を、食品および化粧品原料として用いる場合の使用量に特に制限はない。食品としては、乾燥重量で0.05重量%〜50重量%程度含有される。また、成人一日あたりの摂取量は、乾燥重量で10mg〜5000mg、好ましくは50mg〜2000mg程度が好ましい。また、化粧品原料としては、局所的な投与となるため、化粧品中に0.0001重量%〜10重量%程度の割合で含有されることが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1:タマネギの乳酸発酵エキス末の調製)
外皮のついたタマネギ1kgに精製水1kgを加え、80℃にて2時間加熱処理を行った。この加熱処理物に10gの酵母エキスおよび湿菌体重量で2gの乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラム、協和ハイフーズ社)を添加して、好気下で35℃にて24時間発酵させた。得られた発酵物をろ過し、タマネギの乳酸発酵エキスを回収した。その後、タマネギの乳酸発酵エキスを凍結乾燥して27.5gの乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)を得た。
【0040】
(比較例1)
上記実施例1において、乳酸菌を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、32.1gの乾燥粉末を得た。
【0041】
(実施例2:タマネギの乳酸発酵エキス末の抗酸化活性)
実施例1で得られた乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)1mgを精製水1mLに溶解し、サンプル溶液を調製した。この溶液について、SOD様活性およびラジカル消去活性を測定して、抗酸化活性を測定した。比較例1で得られた乾燥粉末についても上記と同様に処理して抗酸化活性を測定した。
【0042】
SOD様活性は、SOD活性測定キット(和光純薬株式会社)を用いて測定した。ラジカル消去活性は、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドロラジカル(DPPH)を用いたラジカル消去活性測定方法(Broisら、Nature、181、1199-1200、1958)により測定した。このラジカル消去活性測定方法は、具体的には、まず、サンプル溶液を精製水で2倍、4倍、および8倍に希釈した希釈液各10μLを、0.1mMのDPPHを含有するエタノール溶液2mLに添加して、37℃にて60分間インキュベートした後、吸光度(516nm)を測定した。次いで、ブランクとしてサンプル溶液の代わりに精製水を用いて吸光度を測定し、DPPHラジカルを50%消去する活性を有する乾燥粉末の濃度(SC50:mg/mL)を算出した。結果を表1に示す。なお、SOD様活性の値が高いほど、およびSC50の値が低いほど、抗酸化活性が高いことを示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から、実施例1で得たタマネギの乳酸発酵エキス末は、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末に比べて約1.8倍のSOD様活性を示した。これは、実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末が、SODの基質となるスーパーオキシドアニオンの生成を抑制する高い抗酸化活性を有していることがわかる。実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末は、ラジカル消去活性のSC50値も低く、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末に比べて約1/1.6であった。このことは、実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末が少量でラジカルを消去し得ることを意味する。したがって、タマネギの乳酸発酵物が血中の脂質酸化および動脈硬化に対し、未処理のタマネギよりも高い効果を発揮し得ることを示す。
【0045】
(実施例3:タマネギの乳酸発酵エキス末のリパーゼ阻害活性)
実施例1で得られた乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)1mgを精製水1mLに溶解し、サンプル溶液を調製した。この溶液1mLを、10w/v%炭酸ナトリウム水溶液でpHを8.5に調整した後、牛乳を精製水で3倍希釈した牛乳溶液4mLに添加した。さらに、リパーゼ(和光純薬工業株式会社製)を4w/v%含有する水溶液2mLを添加し、35℃にてインキュベートした。反応開始前および反応開始10分後に、pHを測定した。リパーゼ活性がある場合は、その活性に応じてpHが低下することから、リパーゼ反応開始前と反応開始後とのpHの差(a)を算出した。なお、サンプル溶液の代わりに精製水を用いてpHの差(b)を測定した対照を設けた。得られたpHの差の値(aおよびb)から、以下の式により、対照のリパーゼ活性を100とした場合の乾燥粉末のリパーゼ阻害率を求めた。比較例1で得られた乾燥粉末についても同様に処理してリパーゼ阻害率を求めた。結果を表2に示す。表中の値は3重測定の平均値である:
リパーゼ阻害率(%)={(b−a)/b}×100
【0046】
【表2】

【0047】
表2から、実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末は、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末に比べて、約1.7倍のリパーゼ阻害活性を有することが分かる。このことから、タマネギの乳酸発酵物が未処理のタマネギに比べて、脂質の吸収抑制作用によって、血中の中性脂肪の優れた低減作用を示すことが期待され、血中脂質改善剤、血中脂質低下剤などとして利用し得る。
【0048】
(実施例4:タマネギの乳酸発酵エキス末のα−グルコシダーゼ阻害活性)
実施例1で得られた乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)を用いて、糖吸収に関与するα−グルコシダーゼの阻害活性を測定した。まず、乾燥粉末4mgを精製水1mLに溶解し、サンプル溶液を調製した。このサンプル溶液20μLを100μLの2w/v%マルトース水溶液に添加し、37℃で5分間インキュベートした。次いで、NaClを0.09重量%、卵白アルブミンを0.02w/v%、およびα−グルコシダーゼを0.01mg/mL含有する1mMリン酸緩衝液(α−グルコシダーゼ溶液)を20μL添加して、さらに37℃にて30分間インキュベートした。インキュベーション後、3分間氷冷し、100℃にて3分間熱処理を行い、α−グルコシダーゼの失活処理を行った。得られた処理後のサンプル溶液について、マルトースが分解されて生成するグルコース量を、グルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ法を用いて測定した。α−グルコシダーゼの代わりに精製水を用いた場合をブランクとし、このブランクのグルコース量の実測値を差引いた値をグルコース量の測定値(cとする)とした。なお、サンプル溶液の代わりに、精製水を用いてグルコース量を測定した対照を設けた(dとする)。得られた測定値cおよびdを用いて、以下の式からα−グルコシダーゼ阻害率を求めた。比較例1で得られた乾燥粉末についても同様に処理してα−グルコシダーゼ阻害率を求めた。結果を表3に示す。表中の値は3重測定の平均値である:
α−グルコシダーゼ阻害率(%)={(d−c)/d}×100
【0049】
【表3】

【0050】
表3から、実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末は、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末よりも、高いα−グルコシダーゼ阻害活性を有することがわかる。このことは、タマネギの乳酸発酵物が未処理のタマネギに比べて、糖吸収の抑制に優れ、高い血糖値の上昇抑制効果を発揮し得ることを示す。したがって、タマネギの乳酸発酵物は血糖値上昇抑制剤として利用し得る。
【0051】
(実施例5:タマネギの乳酸発酵エキス末のエラスターゼ阻害活性)
実施例1で得られた乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)および比較例1で得られた乳酸菌無添加乾燥粉末を用いて、皮膚および炎症に関与するエラスターゼの阻害活性を測定した。まず、0.2Mトリス緩衝溶液(pH8.0)に、各乾燥粉末の最終濃度が10mg/mLとなるように溶解してサンプル溶液を調製した。これとは別に、0.2Mトリス緩衝溶液(pH8.0)に、エラスターゼ(Sigma社)を1U/mLとなるように溶解して酵素溶液を調製した。上記のサンプル溶液50μLと酵素溶液50μLとを混合し、37℃にて15分間インキュベートした。次いで、0.2Mトリス緩衝溶液(pH8.0)に溶解した1U/mLのN−サクチニル−Ala−Ala−Ala−ニトロアニリド(Sigma社)50μLを添加して、さらに37℃にて5分間インキュベートした。インキュベーション後、反応液の吸光度(400nm)を測定した。ブランクとして酵素溶液の代わりに0.2Mトリス緩衝溶液(pH8.0)のみを用いて吸光度を測定し、このブランクの吸光度の値を差し引いた値を吸光度の測定値(eとする)とした。なお、サンプル溶液の代わりに0.2Mトリス緩衝溶液(pH8.0)のみを用いて吸光度を測定した対照を設けた(fとする)。得られた測定値eおよびfを用いて、以下の式からエラスターゼ阻害率を求め、3重測定の平均値を得た:
エラスターゼ阻害率(%)={(f−e)/f}×100
【0052】
実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末は、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末に比べて、約2.3倍のエラスターゼ阻害活性を示した(データは示さず)。このことは、タマネギの乳酸発酵物の炎症予防および美容関連の食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などへの利用が期待できることを示す。
【0053】
(実施例6:血糖値上昇抑制効果の検討)
実施例4で効果が示唆された血糖値上昇抑制効果をさらに詳細に検討した。まず、10週齢のSD系雌性ラット(チャールズリバー社)6匹を16時間以上絶食させた。その後、各ラットの尾静脈より採血し、グルテストセンサー(株式会社アークレイファクトリー)を用いて血糖値を測定した。得られた血糖値の平均値が同等となるように、ラットを2群に分けた。
【0054】
次いで、各群のラットに、実施例1で得られた乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)または比較例1で得られた乳酸菌無添加乾燥粉末200mgおよびショ糖1.5gを精製水20mLに溶解させた試験液をそれぞれ20mL/kg体重となるように、ゾンデを用いて経口投与した。投与0分、30分、60分、および120分後に血糖値を測定した。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
表4から、実施例1のタマネギの乳酸発酵エキス末を摂取した群は、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末を摂取した群に比べて、投与30分後の急激な血糖値の上昇が抑制され、糖がゆっくり吸収されていることがわかる。このことは、タマネギの乳酸発酵物が、血糖値上昇抑制剤として利用され得、特にインスリン抵抗性の2型糖尿病予防に効果があることが期待される。
【0057】
(実施例7:中性脂肪上昇抑制効果の検討)
実施例1で得られた乾燥粉末(タマネギの乳酸発酵エキス末)について、血中の中性脂肪上昇抑制効果を評価した。まず、5週齢のSD系雄性ラット(チャールズリバー社)15匹を16時間以上絶食させた。このラットを総無作為化法により一群5匹ずつ3群にわけた。
【0058】
次いで、一群のラットに、綿実油0.5mLをゾンデで強制経口投与し、その直後に、実施例1の乾燥粉末(タマネギの乳酸醗酵エキス末)200mgを精製水20mLに溶解した試験液を20mL/kg体重となるようにゾンデで経口投与した。他の一群のラットには、実施例1の乾燥粉末の代わりに、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末を用いたこと以外は上記と同様に調製した試験液を、上記同様に投与した。残りの一群のラットは、試験液の代わりに水を投与して対照群とした。
【0059】
上記試験液(対照群の場合は水)投与直後、1時間、2時間、および4時間後に、各群のラットの尾静脈から採血し、血中の中性脂肪を測定キット(商品名:トリグリセライドG−テストワコー、和光純薬工業株式会社)を用いて測定した。投与直後の血中中性脂肪の測定値をg、各経過時間後(1時間、2時間、または4時間後)の血中中性脂肪の測定値をhとして以下の式から血中中性脂肪の変化率をそれぞれ求めた。各群の上記変化率の平均値を表5に示す。なお、血中中性脂肪の変化率は、投与直後と各経過時間後との血中中性脂肪の変化率を示し、正の値であれば、0に近いほど中性脂肪の上昇を抑制していることを示し、負の値であれば、中性脂肪が低下していることを示す:
血中中性脂肪の変化率(%)=(h/g−1)×100
【0060】
【表5】

【0061】
表5の結果から、実施例1のタマネギ乳酸発酵エキス末は、優れた血中の中性脂肪上昇抑制効果を有することが分かる。このことは、本発明のタマネギ乳酸発酵物が、血中脂質改善効果、特に血中の中性脂肪を改善する効果を有し、高脂血症の予防などに有効であることを示唆する。
【0062】
(実施例8:コレステロール低下効果の検討)
上記実施例7の各試験液(対照群の場合は水)を投与した各ラット群の尾静脈から、投与直後および8時間後に採血し、血中の全コレステロール値および高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)値を測定した。なお、測定キットとしては、全コレステロール値の測定には、コレステロールE−ワコー(和光純薬工業株式会社)を、HDL値には、HDLコレステロールテストワコー(和光純薬工業株式会社)を用いた。さらに、全コレステロールとHDLとの差(以下、ΔChoという)を算出した。ΔChoは、全コレステロール中のHDL以外のコレステロールであり、主としてLDL(低密度コレステロール)およびVLDL(超低密度コレステロール)からなる。
【0063】
得られた投与直後の全コレステロール値、HDL値、およびΔCho値、ならびに投与8時間後の上記各値を用いて、以下の式からコレステロール、HDL、およびΔChoの変化率をそれぞれ求めた。各群の変化率の平均値を表5に示す。なお、全コレステロールの変化率は、投与直後と投与8時間後との全コレステロール値の変化率を示し、0であれば変化がなく、負の値で数値が小さいほどコレステロールが低下していることを示す。HDLおよびΔChoの変化率の値も同様に、投与直後と投与8時間後との各成分の変化率を示し、正の値で数値が大きいほど増加し、負の値で数値が小さいほど減少していることを示す:
変化率(%)={(投与8時間後の値)/(投与直後の値)−1}×100
【0064】
【表6】

【0065】
表6の結果から、実施例1のタマネギ乳酸エキス末を摂取した群は、比較例1の乳酸菌無添加乾燥粉末を摂取した群および対照例の水のみを摂取した群と比較して、全コレステロール値が低いことがわかる。このことは、本発明のタマネギ乳酸発酵物が、コレステロール低下効果を有することを示す。特に、実施例1のエキス末を摂取した群は、全コレステロール値が低いにもかかわらず、HDL値が約2倍に増加していることがわかる。さらに、ΔChoが減少していることから、LDLおよびVLDLを減少させる効果を有していることがわかる。本発明のタマネギ乳酸発酵物は、中性脂肪の上昇を抑制し(実施例7)、HDLを増加させ、LDLおよびVLDLを低下させる効果を有するため、優れた血中脂質改善効果を有すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のタマネギの乳酸発酵物は、糖質含量が少ないため、糖質を過剰摂取することなく、タマネギの有効成分を摂取することができる。さらに、抗酸化活性および酵素阻害活性のうちの少なくとも1つを有するため、抗酸化剤;活性酸素除去剤;リパーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤などの酵素阻害剤;または高脂血症、糖尿病、動脈硬化などの成人病予防剤として食品組成物や医薬組成物の形態で利用することが可能である。このタマネギの乳酸発酵物は、皮膚に外用することによっても、皮膚のシミやシワを防止する抗老化作用を有する外用剤の原料として用いることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タマネギを乳酸発酵することによって得られる、生理活性が高められたタマネギの乳酸発酵物を含有する酵素阻害剤。
【請求項2】
前記乳酸発酵が、ラクトバチルス・プランタラムを用いて行われる、請求項1に記載の酵素阻害剤。
【請求項3】
請求項1または2の酵素阻害剤を含有する血糖値上昇抑制剤。
【請求項4】
請求項1または2の酵素阻害剤を含有する血中脂質改善剤。

【公開番号】特開2010−100663(P2010−100663A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29185(P2010−29185)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【分割の表示】特願2003−355370(P2003−355370)の分割
【原出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】