説明

タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料

【課題】食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を提供する。
【解決手段】タラコ、食用油脂及び卵黄が配合されたタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料であって、生換算したタラコ100部に対して食用油脂200〜2000部が配合され、食用油脂100部に対して生換算した卵黄0.1〜5部が配合され、タラコ原料として、少なくとも水子が使用されているタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
辛子明太子等のタラコをマヨネーズ等の酸性水中油型乳化液状調味料で和えた調味料が家庭やレストラン等で使用されている。この調味料は、タラコ特有の強い魚卵味が乳化油脂によりまろやかな食べ易い味とされ、更に、食酢等の酸味によりさっぱりとした後味とされていることが特徴である。また、タラコが白濁した乳化液状調味料と和えてあることで明るい薄赤色の色調を呈しており料理を華やかに彩ることができる等の特徴もあって、人気の高い調味料である。
【0003】
このようなタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料としては、従来、特開平8−317774号公報(特許文献1)には、マヨネーズ、辛子明太子及びヤクルト(登録商標)を用いた辛子明太子ドレッシングが、特開平11−290022号公報(特許文献2)には、辛子明太子をマヨネーズと混合した食品が記載されている。
【0004】
ところで、上述のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料としては、近年、野菜等と和えて使用される他、食材等にトッピングし焼成して使用される場合が増えている。例えば、レストラン等では、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を白身魚や茹でたジャガイモ等にトッピングした後、オーブン等で焼成して使用される。また、ベーカリーでは、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料をパン生地の上にトッピングした後、焼成して調理パンが製造される。
【0005】
しかしながら、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料をこのように食材等にトッピングして焼成すると、変色して明るい薄赤色の色調が損なわれ外観上好ましくないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−317774号公報
【特許文献2】特開平11−290022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の原料を使用したタラコを用い、更に、タラコ、食用油脂及び卵黄の配合量を特定の割合としたタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料は、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈することを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)、タラコ、食用油脂及び卵黄が配合されたタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料であって、生換算したタラコ100部に対して食用油脂200〜2000部が配合され、食用油脂100部に対して生換算した卵黄0.1〜5部が配合され、タラコ原料として、少なくとも水子が使用されているタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料、
(2)、タラコ原料として使用される水子と真子の含有割合が質量比で10:90〜90:10である(1)記載のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料は、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈することから、例えば、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を白身魚や茹でたジャガイモ等にトッピングした後、オーブン等で焼成する料理や、パン生地の上にトッピングした後、焼成して調理パンを製造した場合であっても、大変外観に優れたものとすることができる。したがって、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料の更なる需要の拡大が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0012】
本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料とは、卵黄を配合したpHが4.6以下の水相中に食用油脂を油滴として略均一に分散させて水中油型の乳化状態とした調味料であって、タラコを含有する調味料をいう。
【0013】
本発明で用いる前記タラコとは、塩漬けされたスケトウダラ魚卵粒をいう。このような本発明のタラコとしては、明太子、つまり、塩と唐辛子で漬けられたスケトウダラ魚卵粒であってもよい。なお、前記本発明で用いるタラコとしては、殺菌や食感改良等を目的として加熱処理されたものや、乾燥処理されたものであってもよく、また、食塩や唐辛子以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、発色材、酸化防止剤、食用色素、有機酸、アミノ酸等が添加されたものであってもよい。
【0014】
本発明で用いる前記食用油脂とは、トリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールを主成分とする脂質のことである。本発明においては、従来の酸性乳化液状調味料で使用される種々の食用油脂を使用することができ、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、こめ油、パーム油、オリーブ油、落花生油、牛脂、ラード、魚油等の動植物油又はこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素処理等を施して得られる油脂等の1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
更に、本発明で用いる前記卵黄としては、乳化液状調味料において、乳化材として一般的に用いているものを使用することができ、例えば、鶏卵を割卵し卵白と分離して得られた生卵黄、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、濾過処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母またはグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理又は亜臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種または2種以上の処理を施したものを使用することができる。また、卵黄としては、鶏卵を割卵して得られる全卵、もしくは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、又はこれらに上述の処理を施したものなどを用いてもよい。このように全卵、あるいは卵黄と卵白を混合したものを使用する場合、卵黄部分が本発明の卵黄に相当する。
【0016】
本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料は、タラコ原料として、少なくとも水子が使用されていることを特徴とする。後述するようにタラコに対する食用油脂の配合量、及び食用油脂に対する卵黄の配合量を特定範囲する必要はあるが、このように特定の原料を使用したタラコを用いることにより、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料が得られる。これに対して、タラコ原料として水子を使用せず、タラコ原料として一般的に使用される真子のみを使用した場合は、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を食材等にトッピングして焼成した際に暗い色調に変色して明るい薄赤色の色調が得られ難い。
【0017】
ここで、タラコ原料であるスケトウダラ卵巣に関し、タラコ原料として使用が可能な成熟した卵巣のうち、前記水子とは、放卵が始まっている卵巣をいい、前記真子とは、放卵開始前の卵巣をいう。また、原料として前記水子を少なくとも使用したタラコとは、水子から取り出された魚卵粒を少なくとも含むタラコであれば特に制限は無く、例えば、水子を卵巣のまま塩漬けした後取り出した魚卵粒や、塩漬けする際に水子の卵巣表皮が破れて皮の外に出た魚卵粒、あるいは、水子から魚卵粒を取り出した後、塩漬けした魚卵粒等を少なくとも含むタラコ等が挙げられる。
【0018】
タラコ原料として使用される前記水子の量は、タラコ原料に対して、好ましくは10〜100%、より好ましくは30〜100%である。原料として水子を前記特定量使用したタラコを用いることにより、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、焼成時の変色がより生じ難く、焼成後により明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を得ることができる。
【0019】
なお、上述したように本発明においては、タラコ原料として少なくとも水子が使用されていることにより、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料が得られるが、水子を使用することにより、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料のタラコの粒々とした食感が感じ難くなる傾向があることから、本発明においては、焼成後に明るい薄赤色の色調を得る本発明の効果を損なわない範囲で、タラコ原料の一部として真子を使用することが好ましい。したがって、焼成後の明るい薄赤色の色調と、粒々とした好ましい食感を得る点から、本発明のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料においては、タラコ原料として使用される水子と真子の含有割合が質量比で好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0020】
また、タラコの製品に対する含有量は、良好なタラコ風味を乳化液状調味料に付与しやすいことから、製品に対して、生換算で、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。一方、タラコ含有量が多すぎるとタラコ特有の強い魚卵味が強くなりすぎてまろやかな食べやすい乳化液状調味料が得られ難い傾向があるので、タラコ含有量は、製品に対して、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
【0021】
また、本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料は、生換算したタラコ100部に対して食用油脂が200〜2000部配合されていることを特徴とする。上述の特定の原料を使用したタラコを用い、更に、後述するように食用油脂に対する卵黄配合量を特定範囲とする必要があるが、タラコに対する食用油脂配合量が前記特定範囲であることにより、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料が得られる。これに対して、タラコに対する食用油脂配合量が前記範囲よりも少ない場合は、乳化液状調味料を白濁させる食用油脂の油滴が少ないため濃い赤色の色調となり薄赤色の色調が得られ難く、一方、タラコに対する食用油脂配合量が前記範囲よりも多い場合は、白濁が強すぎて薄赤色の色調が得られ難い。
【0022】
更に、本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料は、食用油脂100部に対して生換算した卵黄が0.1〜5部、好ましくは0.1〜4部配合されていることを特徴とする。上述したようにタラコに対する食用油脂配合量を特定範囲とし、また、特定原料を使用したタラコを用いる必要があるが、このように食用油脂を乳化分散する卵黄の配合量を比較的少量に抑制することにより、食材等にトッピングして焼成した場合であっても、明るい薄赤色の色調を呈するタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料が得られる。これに対して、食用油脂に対する卵黄配合量が前記範囲よりも少ない場合は、乳化液状調味料が分離したりする場合があり、食用油脂に対する卵黄配合量が前記範囲よりも多い場合は、卵黄成分の影響によりタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を食材等にトッピングして焼成した場合に明るい薄赤色の色調が得られ難い。
【0023】
また、本発明のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料に用いる酸材としては、従来の酸性乳化液状調味料で用いられる種々の酸材であれば特に制限は無く、例えば、食酢、クエン酸等の有機酸あるいはレモン果汁等の柑橘果汁等が挙げられる。これら酸材を用いることによりさっぱりとした風味とすることができる。
【0024】
なお、本発明のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料には、タラコ、食用油脂卵黄及び酸材の他、本発明の効果を損なわない範囲で酸性乳化液状調味料に通常用いられている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、澱粉分解物、デキストリンアルコール、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール等の糖類、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、醤油、動植物のエキス類等の各種調味料、からし粉、胡椒等の香辛料、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸化澱粉等の乳化材、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、静菌剤、並びにタマネギ、ナッツ等の具材の截断物等が挙げられる。
【0025】
本発明のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料は、上述した卵黄、酸材及び調味料等の水相原料、食用油脂等の油相原料、更に、原料として少なくとも水子を使用したタラコを配合し、タラコ、食用油脂及び卵黄の配合量を上述した特定範囲とする他は、従来の乳化液状調味料の製造方法に準じて製することができる。例えば、まず水相原料を混合して水相を調製した後、得られた水相に油相である食用油脂を加えて乳化処理した後、タラコを加えて更に混合することにより調製できる。また、別の方法としては、乳化処理前の水相又は油相にタラコを加え、その後、乳化処理してもよい。以上のようにして得られたタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン等の蓋付容器やパウチ等の容器に充填すると長期保存が可能な容器入り製品とすることができる。
【0026】
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、更に説明する。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
下記の配合割合に準じ、本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製した。すなわち、まず、撹拌タンクに食酢、砂糖、食塩、卵黄、唐辛子、キサンタンガム及び清水を投入して均一に混合することにより水相を調製した。次に、ミキサーに、得られた水相を投入し、撹拌しながら油相であるサラダ油を注加して乳化処理した後、タラコ(原料として水子60%、真子40%を使用したもの)を加えて更に混合することにより、薄赤色のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製した。
【0028】
得られたタラコ含有酸性乳化液状調味料は、生換算したタラコ100部に対して食用油脂500部が配合され、食用油脂100部に対して生換算した卵黄4部が配合されている。
【0029】
続いて、スライスしたフランスパン1切れの上に得られたタラコ含有酸性乳化液状調味料15gを塗布し、180℃のオーブンで3分間焼成したところ、焼成後のタラコ含有酸性乳化液状調味料は、明るい薄赤色であり大変好ましかった。また、焼成後のタラコ含有酸性乳化液状調味料を喫食したところ、まろやかなタラコ風味を有しており後味もさっぱりとして好ましかった。
【0030】
<タラコ含有酸性乳化液状調味料の配合割合>
サラダ油 50%
食酢(酸度4%) 16%
タラコ 10%
砂糖 5%
食塩 2%
卵黄 2%
唐辛子 1%
キサンタンガム 0.2%
清水 残余
――――――――――――――――
合計 100%
【0031】
[実施例2]
下記の配合割合に準じ、本発明のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製した。すなわち、まず、撹拌タンクに食酢、砂糖、α化澱粉、食塩、卵黄、清水及び明太子(原料として水子70%、真子30%を使用したもの)を投入して均一に混合することにより水相を調製した。次に、ミキサーに得られた水相を投入し、次いで、撹拌しながら油相であるサラダ油を注加して乳化処理することにより、薄赤色のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製した。
【0032】
得られたタラコ含有酸性乳化液状調味料は、生換算したタラコ100部に対して食用油脂1667部が配合され、食用油脂100部に対して生換算した卵黄3部が配合されている。
【0033】
続いて、8等分に切って下茹でしたジャガイモ150gの上に得られたタラコ含有酸性乳化液状調味料30gをかけて、180℃のオーブンで5分間焼成したところ、焼成後のタラコ含有酸性乳化液状調味料は、明るい薄赤色であり大変好ましかった。また、焼成後のタラコ含有酸性乳化液状調味料を喫食したところ、まろやかなタラコ風味を有しており後味もさっぱりとして好ましかった。
【0034】
<タラコ含有酸性乳化液状調味料の配合割合>
サラダ油 50%
食酢(酸度4%) 15%
明太子 3%
砂糖 2%
α化澱粉 5%
食塩 1%
卵黄 1.5%
清水 残余
―――――――――――――――
合計 100%
【0035】
[試験例1]
タラコ原料の違いが、タラコ含有酸性乳化液状調味料を焼成した後の色調に与える影響を調べるために、以下の試験を行った。すなわち、実施例1において、タラコ原料を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして7種類のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製造した。得られた7種類のタラコ含有酸性乳化液状調味料について、それぞれ実施例1と同様の方法でパンに塗布して焼成し、焼成後の各タラコ含有酸性乳化液状調味料の色について下記の評価基準により評価した。また、焼成後の各タラコ含有酸性乳化液状調味料を喫食して食感を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
<色の評価基準>
A:明るい薄赤色である。
B:やや暗い薄赤色であるが問題の無い程度である。
C:やや暗い薄赤色である。
D:暗い薄赤色である。
【0037】
<タラコの粒々感の評価基準>
A:タラコの粒々感を充分に感じる。
B:タラコの粒々感を感じる。
C:タラコの粒々感があまり感じられない。
D:タラコの粒々感が感じられない。
【0038】
【表1】

【0039】
表1より、タラコ原料として、少なくとも水子が使用されているタラコ含有酸性乳化液状調味料(試験品1−2〜1−7)は、食材にトッピングして焼成した場合であっても、問題とならない程度に薄赤色の色調を呈することが理解される。特に、タラコ原料として使用される水子の量が、タラコ原料に対して、30〜100%である場合(試験品1−3〜1−7)は、明るい薄赤色の色調でありより好ましかった。これに対して、タラコ原料として水子を使用せず、真子のみを使用した場合(試験品1−1)は、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を食材にトッピングして焼成した場合に暗い薄赤色となり好ましくなかった。
【0040】
また、このようなタラコ含有酸性乳化液状調味料の中でも、タラコ原料として使用される水子と真子の含有割合が質量比で10:90〜90:10である場合(試験品1−2〜1−6)は、焼成後問題とならない程度に薄赤色の色調を呈し、しかも、タラコの粒々感が感じられて好ましかった。特に、タラコ原料として使用される水子と真子の含有割合が質量比で30:70〜70:30である場合(試験品1−2〜1−5)は、焼成後明るい薄赤色の色調を呈し、しかも、タラコの粒々感を充分に感じることができ大変好ましかった。
【0041】
[試験例2]
食用油脂に対する卵黄配合量の違いが、タラコ含有酸性乳化液状調味料を焼成した後の色調に与える影響を調べるために、以下の試験を行った。すなわち、実施例1において、食用油脂に対する卵黄配合量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして5種類のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製造した。得られた5種類のタラコ含有酸性乳化液状調味料について、それぞれ実施例1と同様の方法でパンに塗布して焼成し、焼成後の各タラコ含有酸性乳化液状調味料の色について試験例1と同様の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2より、食用油脂100部に対して生換算した卵黄0.1〜5部が配合されたタラコ含有酸性乳化液状調味料(試験品2−1〜2−4)は、食材にトッピングして焼成した場合であっても、問題とならない程度に薄赤色の色調を呈することが理解される。特に、食用油脂100部に対して生換算した卵黄0.1〜4部が配合された場合(試験品2−1〜2−3)は、明るい薄赤色の色調でありより好ましかった。これに対して、食用油脂に対する卵黄配合量が前記範囲よりも多い場合(試験品2−5)は、タラコ含有酸性水中油型乳化状調味料を食材にトッピングして焼成した場合に暗い薄赤色となり好ましくなかった。
【0044】
[試験例3]
タラコに対する食用油脂配合量の違いが、タラコ含有酸性乳化液状調味料を焼成した後の色調に与える影響を調べるために、以下の試験を行った。すなわち、実施例2において、タラコに対する食用油脂配合量を表3に示すように変えた以外は実施例2と同様にして5種類のタラコ含有酸性乳化液状調味料を製造した。得られた5種類のタラコ含有酸性乳化液状調味料について、それぞれ実施例2と同様の方法で下茹でしたジャガイモにかけて焼成し、焼成後の各タラコ含有酸性乳化液状調味料の色について下記評価基準により評価した。結果を表3に示す。
【0045】
<色の評価基準>
3:濃い赤色である。
2:薄い赤色である。
1:ほぼ白色である。
【0046】
【表3】

【0047】
表3より、生換算したタラコ100部に対して食用油脂200〜2000部が配合されたタラコ含有酸性乳化液状調味料(試験品3−2〜3−4)は、食材にトッピングして焼成した場合であっても、薄赤色の色調を呈し好ましいことが理解される。これに対して、タラコに対する食用油脂配合量が前記範囲よりも少ない場合(試験品3−1)は、濃い赤色となり、一方、タラコに対する食用油脂配合量が前記範囲よりも多い場合(試験品3−5)は、ほぼ白色となり、いずれも明るい薄赤色を呈しておらず好ましくなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タラコ、食用油脂及び卵黄が配合されたタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料であって、生換算したタラコ100部に対して食用油脂200〜2000部が配合され、食用油脂100部に対して生換算した卵黄0.1〜5部が配合され、タラコ原料として、少なくとも水子が使用されていることを特徴とするタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料。
【請求項2】
タラコ原料として使用される水子と真子の含有割合が質量比で10:90〜90:10である請求項1記載のタラコ含有酸性水中油型乳化状調味料。