説明

タレットパンチプレス

【課題】3次元的な形状から成るプレスパネルに、穴や曲げ等のプレス加工を行なえるようにする。
【解決手段】複数のパンチユニット7が装着された上タレット2と、複数のダイユニット8が昇降自在に装着された下タレット3と、パンチユニットのパンチをハンマ部材41で打圧するハンマ駆動装置4とを備え、上タレット2の回転軸及び下タレット3の回転軸が傾斜され、パンチユニット7及びダイユニット8は、パンチング加工位置にて対向してパンチング加工を行なうように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のボディを構成する板状のプレスパネルにプレス加工を施すタレットパンチプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等のボディを構成する板状のプレスパネルにパンチング加工を施すプレスユニットがベッド上に複数配置されたプレス加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このプレス加工装置は、パンチが上下方向に昇降するように設置されるフレーム上部と、パンチと共にプレスパネルにパンチング加工を施すダイが設置されるフレーム下部とが対向配置されたフレームを有するプレスユニットが使用される(図示せず。)。したがって、複数車種の異なるプレスパネルをパンチング加工することが可能である。
【0003】
このように構成されたプレス加工装置のプレスユニットは、例えば3車種毎にベッド上の所定位置に配置され、車種Aのプレスパネルの場合には第1のプレスユニットを使用し、車種Bのプレスパネルの場合には第2のプレスユニットを使用し、車種Cのプレスパネルの場合には第3のプレスユニットを使用することで、各プレスユニットでそれぞれ異なる車種のプレスパネルをパンチング加工することができる。
【0004】
また、自動車等のボディを構成する板状のプレスパネルにパンチング加工を施すタレットパンチプレスが知られている(例えば、特許文献2参照。)。このタレットパンチプレスは図7に示すように、上タレット100、下タレット200、ハンマ駆動装置300、ダイ受け400及びフレーム500から構成されている。
【0005】
上タレット100は、円盤状に形成され外周部において円周方向に所定間隔で複数のパンチユニット110が装着されている。下タレット200は、円盤状に形成され外周部において円周方向に所定間隔で複数のダイユニット210が装着されている。ハンマ駆動装置は300、上タレット100及び下タレット200を回転させることでパンチング加工位置に割り出し位置決めされた1つのパンチユニット110のパンチ110aをハンマ部材310で打圧するものである。ダイ受け400は、パンチング加工位置に割り出し位置決めされた1つのダイユニット200に当接させるために当該1つのダイユニット200の下方に位置するものである。さらに、フレーム500は、上タレット100が回転自在に設けられ且つハンマ駆動装置300が上タレット100の上方に設けられたフレーム上部510、下タレット200が回転自在に設けられ且つダイ受け400が下タレット200の下方に設けられたフレーム下部520、及びフレーム上部510及びフレーム下部520を後方で連結するフレーム脚柱部530を有するものである。したがって、複数車種の異なるプレスパネルP10をパンチング加工することが可能である。
【0006】
このように構成されたタレットパンチプレスで板状のプレスパネルP10にパンチング加工を施すには、パンチング加工位置PPに所定のパンチング加工を施すプレスパネルP10に対応する一対のパンチユニット110及びダイユニット210を上タレット100及び下タレット200から選択し、その一対のパンチユニット110及びダイユニット210がフレーム上部510及びフレーム下部520の前方に設定されたパンチング加工位置PPへと移動するように、上タレット100及び下タレット200の各駆動モータを同期させて割出し回転させる。
【0007】
そして、プレスパネルP10を上タレット100及び下タレット200間のパンチング加工位置PPにセットしてからハンマ駆動装置300を駆動すると、ハンマ部材310が下降してパンチユニット110のパンチ110aを打圧するので、一対のパンチユニット110及びダイユニット210間でプレスパネルPPにパンチング加工が施すことができる。なお、この一対のパンチユニット110及びダイユニット210とは異なる一対のパンチユニット110及びダイユニット210を使用する場合には、上タレット110及び下タレット210の各駆動モータを同期させて割出し回転させて、この異なる一対のパンチユニット110及びダイユニット210をパンチング加工位置PPに移動させる。
【0008】
【特許文献1】特開平5−115999号公報
【特許文献2】実開平4−129520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、背景技術に記載したプレス加工装置では、車種A、車種B、車種Cだけではなく車種D用のプレスユニットを追加する場合に、ベッド上に設置スペースを確保できないと、新たにプレス加工装置を設けなければならなくなるので、工場内において新たな設置スペースが必要になる難点があった。
【0010】
また、背景技術に記載したタレットパンチプレスでは、上タレット100及び下タレット200の対向面が互いに平行になるように設けられているので、図7に示すような3次元的な形状から成るプレスパネルP10の場合、その3次元形状プレスパネルP10をパンチング加工位置PPに移動させたり、その3次元形状プレスパネルP10をパンチング加工位置PPにセット後に、その3次元形状プレスパネルP10の複数箇所に対して異なる形状や大きさの穴のパンチング加工を施すために上タレット100及び下タレット200を割出し回転させたりすると、3次元形状プレスパネルP10の部位Aの箇所(Aで示す二点鎖線の円の箇所)や部位Bの箇所(Bで示す二点鎖線の円の箇所)が出っ張ることになるので、パンチング加工位置PP以外でパンチユニット110やダイユニット210に当該3次元形状プレスパネルP10が干渉してしまう難点があった。
【0011】
パンチユニット110やダイユニット210に3次元形状プレスパネルP10が干渉すると、3次元形状プレスパネルP10が損傷したり、位置ずれを起こしてパンチング加工の精度が低下したりする難点があった。
したがって、プレスパネルP10の3次元形状に応じた新たなタレットパンチプレスを設けなければならなくなるので、工場内において新たな設置スペースが必要になる難点があった。
【0012】
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、平面的な形状から成るプレスパネルと共に3次元的な形状から成るプレスパネルに、異なる形状や大きさの穴や曲げ等のプレス加工を1台で行なうことができるタレットパンチプレスを提供することを目的とする。
また、本発明は、プレスパネルのプレス加工の精度保障をも達成できるタレットパンチプレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成する本発明の第1の態様であるタレットパンチプレスは、円盤状に形成され外周部側において円周方向に所定間隔で複数のプレス加工用上型ユニットが装着された上タレットと、円盤状に形成され各プレス加工用上型ユニットと対応する複数のプレス加工用下型ユニットが昇降自在に装着された下タレットと、上タレット及び下タレットを回転させることでプレス加工位置に割り出し位置決めされた1つのプレス加工用上型ユニットの打圧部位をハンマ部材で打圧するハンマ駆動装置と、プレス加工位置に割り出し位置決めされた1つのプレス加工用下型ユニットに当接させるために当該1つのプレス加工用下型ユニットの下方に位置する下型受けと、上タレットが回転自在に設けられ且つハンマ駆動装置が上タレットの上方に設けられたフレーム上部、下タレットが回転自在に設けられ且つ下型受けが下タレットの下方に設けられたフレーム下部、及びフレーム上部及びフレーム下部を後方で連結するフレーム脚柱部を有するフレームとを備えたタレットパンチプレスにおいて、上タレット及び下タレットの間隔は、フレーム上部及びフレーム下部の前方の設定されたプレス加工位置が一番狭く、フレーム脚柱部に向かうに従って広くなるように、上タレットの回転軸及び下タレットの回転軸が傾斜され、上タレットに装着された各プレス加工用上型ユニット及び下タレットに装着された各プレス加工用下型ユニットは、プレス加工位置にて対向してプレス加工を行なうように配置され、下型受けの上面は、下タレットが回転している場合、1つのプレス加工用下型ユニットがプレス加工位置に近づくにつれて当該1つのプレス加工用下型ユニットを序々に上昇させる第1の傾斜面部と、第1の傾斜面部で序々に上昇する当該1つのプレス加工用下型ユニットを、プレス加工位置においてその高さ位置で保持する水平面部と、プレス加工位置から遠ざかるにつれて当該1つのプレス加工用下型ユニットを水平面部の高さ位置から序々に下降させる第2の傾斜面部とから形成されているものである。
【0014】
このような第1の態様であるタレットパンチプレスによれば、上タレット及び下タレットの間隔は、フレーム上部及びフレーム下部の前方の設定されたプレス加工位置が一番狭く、フレーム脚柱部に向かうに従って広くなるように、上タレットの回転軸及び下タレットの回転軸が傾斜されているので、フレームのフレーム脚柱部側における上タレット及び下タレット間のスペースを大きくとることができ、さらには、プレス加工位置に割り出し位置決めされた1つのプレス加工用下型ユニットの下方に位置する下型受けの上面に、下タレットが回転している場合、1つのプレス加工用下型ユニットがプレス加工位置に近づくにつれて当該1つのプレス加工用下型ユニットを序々に上昇させる第1の傾斜面部と、第1の傾斜面部で序々に上昇する当該1つのプレス加工用下型ユニットを、プレス加工位置においてその高さ位置で保持する水平面部と、プレス加工位置から遠ざかるにつれて当該1つのプレス加工用下型ユニットを水平面部の高さ位置から序々に下降させる第2の傾斜面部とを形成していることから、プレス加工位置に位置する1つのプレス加工用下型ユニットは対応するプレス加工用上型ユニットとプレス加工を施すことができるように突出させることができ、プレス加工位置以外に位置する他の複数のプレス加工用下型ユニットはプレス加工位置に位置する1つのプレス加工用下型ユニットより降下させることができる。
【0015】
したがって、3次元形状プレスパネルをプレス加工位置に移動させたり、その3次元形状プレスパネルをプレス加工位置にセット後に、その3次元形状プレスパネルの複数箇所に対して異なる形状や大きさの穴や曲げ等のプレス加工を施すために上タレット及び下タレットを割出し回転させたりしても、プレス加工位置以外でプレス加工用上型ユニットやプレス加工用下型ユニットに当該3次元形状プレスパネルが干渉してしまうことを防ぐことができる。
なお、プレス加工用上型ユニット及びプレス加工用下型ユニットは、プレス加工がパンチング加工の場合、パンチユニット及びダイユニットが適用される。
【0016】
本発明の第2の態様の態様は第1の態様であるタレットパンチプレスにおいて、プレス加工位置にてプレス加工するプレスパネルを吸着可能な吸着パッドを有し、吸着パッドで吸着したプレスパネルを移動させるマテハンロボットと、プレスパネルがセットされ、プレス加工位置に位置決めするための孔が穿孔された位置決めプレートが設けられたマテハンフレームとを備え、プレス加工用下型ユニットには、位置決めプレートの孔を嵌合させ、マテハンフレームを介してプレスパネルをプレス加工位置にセットするフランジが形成されているものである。
【0017】
このような第2の態様であるタレットパンチプレスによれば、プレス加工位置においては1つのプレス加工用下型ユニットを、対応するプレス加工用上型ユニットとプレス加工を施すことができるように突出させることができることから、このプレス加工用下型ユニットにフランジを形成し、このフランジをマテハンフレームの位置決めとして利用するために、マテハンフレームにプレス加工用下型ユニットのフランジに嵌合する孔が穿孔された位置決めプレートを設けることで、プレス加工の精度保障をも達成できるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のタレットパンチプレスによれば、平面的な形状から成るプレスパネルと共に3次元的な形状から成るプレスパネルに、異なる形状や大きさの穴や曲げ等のプレス加工を1台で行なうことができる。
また、本発明のタレットパンチプレスによれば、プレスパネルのプレス加工の精度保障をも達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のタレットパンチプレスによる好ましい実施の形態例を示す図で、(A)は全体斜視図、(B)はプレスユニットの斜視図、(C)はダイユニットの斜視図である。
【図2】本発明のタレットパンチプレスを示す平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】(A)は図1(A)のタレットパンチプレスに3次元形状プレスパネルがマテハンフレームを介してセットされた状態を示す斜視図、(B)は図2のタレットパンチプレスに3次元形状プレスパネルがマテハンフレームを介してセットされた状態を示す平面図である。
【図6】本発明のタレットパンチプレスの作用、効果を示す概要図で、(A)は側面図、(B)は(A)におけるダイ受けのA矢視図である。
【図7】従来のタレットパンチプレスの作用、効果を示す概要図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明のタレットパンチプレスを実施するための形態例について、図面を参照して説明する。
本発明のタレットパンチプレスは従来のタレットパンチプレスと基本構成は同様で、図1(A)、図2に示すように、上タレット2、下タレット3、ハンマ駆動装置4、下型受け5及びフレーム6から構成されている。また、フレーム6は、上タレット2が回転自在に設けられ且つハンマ駆動装置4が上タレット2の上方に設けられたフレーム上部61、下タレット3が回転自在に設けられ且つ下型受け5が下タレット3の下方に設けられたフレーム下部62、及びフレーム上部61及びフレーム下部62を後方で連結するフレーム脚柱部63を有するものである。なお、図2は、フレーム上部61が省略されている。
【0021】
上タレット2は、円盤状に形成され外周部において円周方向に所定間隔で複数のプレス加工用上型ユニットである、例えばパンチユニット7が装着されている。具体的には、上タレット2の外周部において円周方向に所定間隔で複数設けられた上タレット穴21(図3、図4参照。)に、パンチユニット7が脱着可能に装着されている。パンチユニット7は例えば図1(B)に示すように、上タレット穴21に挿入するためのパンチガイド71と、このパンチガイド71内に摺動可能に設けられる打圧部位であるパンチ72と、パンチ72を常時上方へ弾性力を付与するリターンスプリング73とを備えている。なお、図3、図4は、図2の断面図であるが見易くするためにハッチングを省略し、また、図2には示されていないフレーム上部61及びハンマ駆動装置4も示されている。
【0022】
パンチガイド71は、上部にフランジ71aが形成され、上タレット2の上タレット穴21に挿入した際の挿入の下限となるストッパとして機能する。パンチ72は、刃となるパンチボディ72a、72bと、パンチヘッドとなるフランジ72cと、下部にパンチボディ72a、72bが設けられ上部にフランジ72cが設けられたパンチドライバ72dとから構成されている。そして、リターンスプリング73は、パンチ72のパンチドライバ72dを覆うように嵌め込まれ、パンチ72のフランジ72cとパンチガイド71のフランジ71aとの間に介在される。また、パンチガイド71には、パンチ72のパンチボディ72a、72bを突出させる穴が穿孔されている。なお、図1(B)においては、パンチボディ72a、72bは3つのピンから成り、中心のピン72aが大きく、他の2つのピン72b、72bは小さく形成されているが、形状は他の形状のものでもよいことは言うまでもない。
【0023】
このような構成において、後述するハンマ駆動装置4がハンマ部材41を降下させてパンチ72のフランジ72cを打圧すると、パンチ72がリターンスプリング73の弾性力に抗して降下するが、ハンマ駆動装置4がハンマ部材41を上昇させると、パンチ72がリターンスプリング73の弾性力により上昇することになる。
【0024】
下タレット3は図1(A)に示すように、円盤状に形成され外周部において円周方向に所定間隔で複数のプレス加工用下型ユニットである、例えばダイ8が昇降自在に装着されている。具体的には、下タレット3の外周部において円周方向に所定間隔で複数設けられた下タレット穴31(図3、図4参照。)に、ダイユニット8が昇降自在に装着されている。ダイユニット8はパンチユニット7が図1(B)に示すような構成である場合、図1(C)に示すように、上部にフランジ81が形成され、下タレット3の下タレット穴31に挿入した際の挿入の下限となるストッパとして機能する。また、ダイユニット8には当該ダイユニット8におけるパンチボディ72a、72bに対応した位置にはダイ穴82a、82bが設けられ、ダイ穴82aにパンチボディ72aが、ダイ穴82bにパンチボディ72bがそれぞれ嵌入することで、3次元形状プレスパネルP(図5(A)、(B)参照。)にパンチング加工(プレス加工)を施すことができる。
【0025】
なお、パンチユニット7のパンチガイド71の上タレット穴21に嵌合する側面と、ダイユニット8の下タレット穴31に嵌合する側面とを、それぞれ切り欠いてパンチユニット7及びダイユニット8の回り止めとすることで、パンチング加工形状が丸穴以外の角穴、あるいはバーリング加工や曲げ加工等の多種のプレス加工に対応させることができる。
【0026】
このような上タレット2及び下タレット3は図4に示すように、サーボモータで回転軸を回転させる駆動機構22、32により、互いに同期して割り出し回転駆動され、その割り出し数に応じた上タレット穴21及び下タレット穴31が設けられている。
【0027】
さらに、上タレット2及び下タレット3は図1、図4、図5、図6(A)に示すように、それぞれ対向面が傾斜するように駆動機構22、32を介してフレーム上部61及びフレーム下部62に設けられている。具体的には、上タレット2及び下タレット3の間隔は、フレーム上部61及びフレーム下部62の前方の設定されたパンチング加工位置が一番狭く、フレーム脚柱部63に向かうに従って広くなるように、上タレット2の回転軸22a及び下タレット3の回転軸32a(図4参照。)が傾斜されている。
【0028】
このように上タレット2及び下タレット3が、それぞれ対向面が傾斜するようにフレーム上部61及びフレーム下部62に設けられている場合には、上タレット2に装着された各パンチユニット7及び下タレット3に装着された各ダイユニット8は、フレーム上部61及びフレーム下部62の前方に設定されたパンチング加工位置PPにて対向してパンチング加工を行なうように配置されるようになっている。これにより、上タレット2のパンチユニット7のパンチ72は、パンチング加工位置PPにてハンマ駆動装置4のハンマ部材41により打圧され、対向位置にあるダイユニット8と協動してパンチング加工を行なうことができるようになる。
【0029】
ハンマ駆動装置4は図1(A)、図3、図4に示すように、上タレット2及び下タレット3を回転させることでパンチング加工位置PPに割り出し位置決めされた1つのパンチユニット7のパンチ72をハンマ部材41で打圧するものである。具体的には、フレーム上部61の上面に設けられたフランジ形シリンダ42のピストンロッド42aの先端にハンマ部材41が固定され、フランジ形シリンダ42のピストンロッド42aのストローク作動によりハンマ部材41でパンチユニット7のパンチ72を打圧することができる。
【0030】
下型受け5はプレス加工用上型ユニット及びプレス加工用下型ユニットがパンチユニット7及びダイユニット8の場合、ダイ受け5となり、図1、図2、図3、図5(A)、図6(A)、(B)に示すように、パンチング加工位置PPに割り出し位置決めされた1つのダイユニット8に当接させるために当該1つのダイユニット8の下方に位置するものである。具体的には、下タレット3の下方に位置し、フレーム下部62の上面に設けられている。このダイ受け5の上面は、下タレット3が回転している場合、1つのダイユニット8がパンチング加工位置PPに近づくにつれて当該1つのダイユニット8を序々に上昇させる第1の傾斜面部5aと、第1の傾斜面部5aで序々に上昇する当該1つのダイユニット8を、パンチング加工位置PPにおいてその高さ位置で保持する水平面部5bと、パンチング加工位置PPから遠ざかるにつれて当該1つのダイユニット8を水平面部5bの高さ位置から序々に下降させる第2の傾斜面部5cとから形成されている。なお、下タレット3の回転方向が逆になる場合には、第2の傾斜面部5cが1つのダイユニット8を序々に上昇させ、第1の傾斜面部5aが1つのダイユニット8を序々に下降させることになる。
【0031】
さらに、本発明のタレットパンチプレス1は図1(A)、図2、図3、図4、図5(A)、(B)に示すように、パンチング加工位置PPにてパンチング加工する3次元形状プレスパネルPを吸着可能な吸着パッド(図示せず。)を有し、吸着パッドで吸着した3次元形状プレスパネルPを移動させるマテリアルハンドリングロボット(図示せず。以後、マテハンロボットと称する。)と、3次元形状プレスパネルPがセットされ、パンチング加工位置PPに位置決めするための孔91aが穿孔された位置決めプレート91が設けられたマテハンフレーム9とを備えている。このマテハンロボットとしては、例えば、複数のアームがそれぞれ関節部にて連結され先端のアームに吸着パッドが設けられた多関節型のマテハンロボットが適用される。また、ダイユニット8には図1(C)、図4に示すように、位置決めプレート91の孔91aを嵌合させ、マテハンフレーム9を介して3次元形状プレスパネルPをパンチング加工位置PPにセットするフランジ81が形成されている。このフランジ81は上述したように、下タレット3の下タレット穴31に挿入した際の挿入の下限となるストッパとしても機能する。なお、マテハンフレーム9には、3次元形状プレスパネルPをフレーム上にセットするための位置決めピン92、93が設けられている。
【0032】
このように構成されたタレットパンチプレス1の動作について、以下説明する。
まず、上タレット2の複数の上タレット穴21に、パンチング加工を施す3次元形状プレスパネルPに必要な数のパンチユニット7を装着すると共に、下タレット3の複数の下タレット穴31に各パンチユニット7に対応するダイユニット8を装着する。また、パンチング加工前の3次元形状プレスパネルPがセットされたマテハンフレーム9をワーク置台(図示せず。)に載置しておく。
【0033】
所定数のパンチユニット7及びダイユニット8が装着された上タレット2及び下タレット3で3次元形状プレスパネルPにパンチング加工を施すには、パンチング加工位置PPに所定のパンチング加工を施す3次元形状プレスパネルPに対応する一対のパンチユニット7及びダイユニット8を上タレット2及び下タレット3から選択し、その一対のパンチユニット7及びダイユニット8がフレーム上部61及びフレーム下部62の前方に設定されたパンチング加工位置PPへと移動するように、上タレット2及び下タレット3の各駆動機構22、32を同期させて割出し回転させる。この際、下タレット3が回転して該当するダイユニット8がパンチング加工位置PPに近づいていくと、ダイユニット8は下タレット穴31に対して昇降自在に挿入されているので、当該ダイユニット8の下面はダイ受け5の第1の傾斜面部5aを序々に上昇し、パンチング加工位置PPにおいて水平面部5bに載るので、その高さ位置でダイユニット8は保持される。したがって、上タレット2に装着された該当するパンチユニット7及び下タレット3に装着された該当するダイユニット8は、パンチング加工位置PPにて対向配置されることから、一対のパンチユニット7及びダイユニット8の中心線が一致するので、パンチング加工を行なうことができる。
【0034】
この状態で、ワーク置台に載置されたマテハンフレーム9にセットされた3次元形状プレスパネルPをマテハンロボットにより吸着パッドで吸着し、上タレット2及び下タレット3間に移動させる。この際、下タレット3のパンチング加工位置PPではダイ受け5によりダイユニット8が上昇しているので、ダイユニット8のフランジ81にマテハンフレーム9に設けられた位置決めプレート91の孔91aを嵌合させることで、3次元形状プレスパネルPをパンチング加工位置PPに精度よくセットすることができる。
【0035】
そして、ハンマ駆動装置4を駆動すると、ハンマ部材41が下降してパンチユニット7のパンチ72a、72bを打圧するので、一対のパンチユニット7及びダイユニット8間で3次元形状プレスパネルPにパンチング加工が施すことができる。
【0036】
なお、この状態でこの一対のパンチユニット7及びダイユニット8とは異なる一対のパンチユニット7及びダイユニット8をパンチング加工位置PPに移動させるには、上タレット2及び下タレット3の各駆動機構を同期させて割出し回転させる。この際、パンチング加工位置PPに位置するダイユニット8の下面はダイ受け5の第2の傾斜面部5cを序々に下降して当該第2の傾斜面部5cから外れるので、パンチング加工位置PPに位置するダイユニット8より降下させることができる。また、パンチング加工を施すためのダイユニット8は、下タレット3が回転してパンチング加工位置PPに近づいていくと、下面がダイ受け5の第1の傾斜面部5aを序々に上昇し、パンチング加工位置PPにおいて水平面部5bに載るので、その高さ位置でダイユニット8を保持することができる。したがって、パンチング加工を施すことができる状態になる。
【0037】
パンチング加工が施された3次元形状プレスパネルPがセットされたマテハンフレーム9は、マテハンロボットによりタレットパンチプレス1から搬送するためのシューター(図示せず。)の所定位置に載置される。
このようなタレットパンチプレス1及びマテハンロボットの動作は、制御系による制御により行なわれる。
【0038】
このように、上タレット2及び下タレット3の間隔は、フレーム上部61及びフレーム下部62の前方の設定されたパンチング加工位置PPが一番狭く、フレーム脚柱部63に向かうに従って広くなるように、上タレット2の回転軸22a及び下タレット3の回転軸32aが傾斜されているので、フレーム6のフレーム脚柱部63側における上タレット2及び下タレット3間のスペースを大きくとることができ、さらには、パンチング加工位置PPに割り出し位置決めされた1つのダイユニット8の下方に位置するダイ受け5の上面に、下タレット3が回転している場合、1つのダイユニット8がパンチング加工位置PPに近づくにつれて当該1つのダイユニット8を序々に上昇させる第1の傾斜面部5aと、第1の傾斜面部5aで序々に上昇する当該1つのダイユニット8を、パンチング加工位置PPにおいてその高さ位置で保持する水平面部5bと、パンチング加工位置PPから遠ざかるにつれて当該1つのダイユニット8を水平面部5bの高さ位置から序々に下降させる第2の傾斜面部5cとを形成していることから、パンチング加工位置PPに位置する1つのダイユニット8は対応するパンチユニット7とパンチング加工を施すことができるように突出させることができ、パンチング加工位置PP以外に位置する他の複数のダイユニット8はパンチング加工位置PPに位置する1つのダイユニット8より降下させることができる。
【0039】
したがって、3次元形状プレスパネルPをパンチング加工位置PPに移動させたり、その3次元形状プレスパネルPをパンチング加工位置PPにセット後に、その3次元形状プレスパネルPの複数箇所に対して異なる形状や大きさの穴のパンチング加工を施すために上タレット2及び下タレット3を割出し回転させたりしても、パンチング加工位置PP以外でパンチユニット7やダイユニット8に当該3次元形状プレスパネルPが干渉してしまうことを防ぐことができる。
【0040】
このことから図6(A)に示すように、3次元的な形状から成る複数種類の大型プレスパネルP,P1でも、1台のタレットパンチプレス1でパンチング加工を施すことができるので、工場内において設備を削減して省スペース化を実現できるようになる。したがって、従来より安価で製品バリエーションを増やせるようになる。
【0041】
また、パンチング加工位置PPにおいては1つのダイユニット8を、対応するパンチユニット7とパンチング加工を施すことができるように突出させることができることから、このダイユニット8にフランジ81を形成し、このフランジ81をマテハンフレーム9の位置決めとして利用するために、マテハンフレーム9にダイユニット8のフランジ81に嵌合する孔91aが穿孔された位置決めプレート91を設けることで、パンチング加工の精度保障をも達成できるようになる。
【0042】
なお、パンチユニット7及びダイユニット8は図1(B)、(C)の構成のものには限られず、パンチング加工位置にて対向配置され、パンチユニット及びダイユニットの中心線が一致することで、パンチング加工を行なうことができる構成ならば、どのような構成のものでもよい。また、プレス加工用上型ユニット及びプレス加工用下型ユニットは、穴あけ用のパンチユニット及びダイユニットに限らず、プレス加工となる打ち抜き、縁きり等のせん断加工や曲げ加工を行なうことができる構成のものでもよい。
また、このタレットパンチプレス1は3次元形状プレスパネルに限らず、平面形状プレスパネルでもプレス加工できることは言うまでもない。
【0043】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0044】
1……タレットパンチプレス
2……上タレット
7……パンチユニット(プレス加工用上型ユニット)
22a……回転軸
3……下タレット
8……ダイユニット(プレス加工用下型ユニット)
81……フランジ
32a……回転軸
4……ハンマ駆動装置
41……ハンマ部材
5……ダイ受け(下型受け)
5a……第1の傾斜面部
5b……水平面部
5c……第2の傾斜面部
6……フレーム
61……フレーム上部
62……フレーム下部
63……フレーム脚柱部
9……マテハンフレーム
91……位置決めプレート
91a……孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状に形成され外周部側において円周方向に所定間隔で複数のプレス加工用上型ユニットが装着された上タレットと、
円盤状に形成され前記各プレス加工用上型ユニットと対応する複数のプレス加工用下型ユニットが昇降自在に装着された下タレットと、
前記上タレット及び前記下タレットを回転させることでプレス加工位置に割り出し位置決めされた前記1つのプレス加工用上型ユニットの打圧部位をハンマ部材で打圧するハンマ駆動装置と、
前記プレス加工位置に割り出し位置決めされた前記1つのプレス加工用下型ユニットに当接させるために当該1つのプレス加工用下型ユニットの下方に位置する下型受けと、
前記上タレットが回転自在に設けられ且つ前記ハンマ駆動装置が前記上タレットの上方に設けられたフレーム上部、前記下タレットが回転自在に設けられ且つ前記下型受けが前記下タレットの下方に設けられたフレーム下部、及び前記フレーム上部及び前記フレーム下部を後方で連結するフレーム脚柱部を有するフレームとを備えたタレットパンチプレスにおいて、
前記上タレット及び前記下タレットの間隔は、前記フレーム上部及び前記フレーム下部の前方の設定された前記プレス加工位置が一番狭く、前記フレーム脚柱部に向かうに従って広くなるように、前記上タレットの回転軸及び前記下タレットの回転軸が傾斜され、
前記上タレットに装着された前記各プレス加工用上型ユニット及び前記下タレットに装着された前記各プレス加工用下型ユニットは、前記プレス加工位置にて対向してプレス加工を行なうように配置され、
前記下型受けの上面は、前記下タレットが回転している場合、前記1つのプレス加工用下型ユニットが前記プレス加工位置に近づくにつれて当該1つのプレス加工用下型ユニットを序々に上昇させる第1の傾斜面部と、前記第1の傾斜面部で序々に上昇する当該1つのプレス加工用下型ユニットを、前記プレス加工位置においてその高さ位置で保持する水平面部と、前記プレス加工位置から遠ざかるにつれて当該1つのプレス加工用下型ユニットを前記水平面部の前記高さ位置から序々に下降させる第2の傾斜面部とから形成されていることを特徴とするタレットパンチプレス。
【請求項2】
前記プレス加工位置にて前記プレス加工するプレスパネルを吸着可能な吸着パッドを有し、前記吸着パッドで吸着した前記プレスパネルを移動させるマテハンロボットと、
前記プレスパネルがセットされ、前記プレス加工位置に位置決めするための孔が穿孔された位置決めプレートが設けられたマテハンフレームとを備え、
前記プレス加工用下型ユニットには、前記位置決めプレートの前記孔を嵌合させ、前記マテハンフレームを介して前記プレスパネルを前記プレス加工位置にセットするフランジが形成されていることを特徴とする請求項1記載のタレットパンチプレス。
【請求項3】
前記プレス加工用上型ユニット及び前記プレス加工用下型ユニットは、前記プレス加工がパンチング加工の場合、パンチユニット及びダイユニットであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタレットパンチプレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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