説明

タンパク質発現システム

本発明の方法は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において、標的タンパク質を発現することを含み、そのキメラタンパク質が、非哺乳動物の大量分泌タンパク質由来のシグナルペプチドおよびその標的タンパク質を含むことを特徴とする、標的タンパク質を生産する方法である。さらに本発明はその方法を実施するための核酸分子、ベクター、宿主細胞、キットを提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞に基づく発現システムであり、ある特定クラスのタンパク質から遺伝子配列を利用することによりその発現と、本来非分泌と本来分泌のタンパク質両方の分泌に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムの配列決定の結果、科学は、疾患において演じるタンパク質の役割をますます意識するようになっている。タンパク質に基づく医薬ががますます普及し、それらの利用は大量の高純度タンパク質を必要としている。
【0003】
科学者は、現在、プロテオームのマップ化を始め、さらに関連実験が大量の高純度タンパク質の獲得を保証しようとしている。疾患において果たすタンパク質の役割に対する我々の理解が増すとともに、診断キットがさらに必要とされる。そのようなキットは精製タンパク質を利用するであろう。
【0004】
分子生物学の出現より前は、タンパク質の純粋サンプルは天然材料から精製することしか得られなかった。このやり方で得られるタンパク質は決して充分に純粋ではなく大量のタンパク質も得られなかった。加えて、天然材料からは、病原体や毒素が入り込む危険性が常にあった。組換え技術の発展は、インビトロでタンパク質がクローン化され、過剰発現され得ることを意味する。一般には、バクテリア細胞が発現系の宿主として用いられるが、ごく最近では、哺乳動物細胞もまた用いられるようになった。
【0005】
哺乳動物タンパク質の正確な生理学的機能は、往々にその3次元構造と翻訳後の修飾(各タンパク質に独特であり、しばしば種に独特である、脂質または糖の修飾標識)に依存する。原核生物細胞はこのようにタンパク質を修飾しないため、原核生物細胞において発現された組換えタンパク質が正確な修飾と折りたたみを有するのか、そして完全で本当の生理的活性を保持するのか、常に疑いがある。さらに、宿主細胞から原核生物タンパク質によって組換えタンパク質に汚染があることに関して懸念がある。これは、当然のこと、臨床現場での組換えタンパク質の使用において特別に重要である。
【0006】
哺乳動物細胞をベースとするシステムは、それ自体が必要とされている。しかし、哺乳動物細胞には低収率という欠点がある。その理由として、過剰発現に対するそれらの容量が原核生物細胞よりも著しく低い。このことに取り組むには、従来型のアプローチは、そのシステムをスケールアップし、極めて大量の細胞から生成物を回収することであった。これは、実用性および経済性の明白な諸問題を提起した。加えて、以前のアプローチにおいては、細胞からの最大限の生産を確実にするための培養条件を最適化することが追求されていた。
【0007】
一般的な法則として、細胞から自然に分泌されるタンパク質は、より直接的に細胞工場で生産されるであろう。その理由として、組換えタンパク質もまたは宿主によって分泌されるからである。かくして培養液は取り除かれ、組換えタンパク質が均一になるまで精製される。これは、当然に細胞工場が組換えタンパク質を多く生産し続けるままにした。組換えタンパク質が非分泌タンパク質である場合には、問題は明らかである。この場合、組換えタンパク質が細胞から放出され得るように回収がなされるたびに細胞工場は犠牲にされなければならない。加えて細胞工場は、細胞の保全性を守るためにタンパク質合成が減弱される前に、多くの細胞内組換えタンパク質を収容することができる。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、これらの問題を課題とする。特定クラスのタンパク質の発生期形態についての翻訳後の運命を決定づける遺伝子シグナルならびに宿主細胞のタンパク質分泌装置を用いることによって、本発明は通常分泌されるタンパク質の分泌を増強するとともに、通常は非分泌であるタンパク質の分泌を誘導する。よってこのことは、分泌されるタンパク質の収率を向上させ、非分泌タンパク質の生産効率と収率をも改善する。
【0009】
真核生物細胞によって分泌を運命づけられているすべてのタンパク質は、分泌を許す膜結合小胞へ取り込まれる前に、小胞体(ER)とゴルジ装置を順々に通過しなければならない。分泌は構成性であり、遺伝子発現のレベルで調節されるかまたは放出部位で調節される。
【0010】
mRNAの翻訳はリボソーム上で起こり、リボソームは細胞質にのみにしか存在しない。あらたに合成された分泌タンパク質のポリペプチド鎖は、それ自体が分泌されるためにERに入らなければならない。1975年にブローベル(Blobel)とドベルスタイン(Dobberstain)は、"シグナル仮説“を提唱し、それにおいて、分泌タンパク質のN末端におけるペプチド鎖伸長が、ERへ向かって新生ポリペプチド鎖が通過するのを促している。新しく合成されたシグナル配列は、シグナル認識粒子(SRP)として知られているER膜での複合体によって認識される。SRPに結合するや、ポリペプチドの翻訳は、mRNAを翻訳しているリボソームがERへ付着するまで中断される(Gorlich and Rapoport,1993)。 結合によって、全長ポリペプチドがERの内腔に遊離されるまで、翻訳は続く。
【0011】
このポリペプチドは、それから、ERおよびゴルジ装置を通過し、その時点までに正確におりたたまれ、翻訳後に修飾される。ER内腔の独特な化学的構成と独特な酵素の存在が、このプロセスの忠実性を保証する。ゴルジ装置においてタンパク質は、分泌タンパク質の生理的役割に従い、構成性分泌または調節性放出かを与える膜結合小胞へパッケージされる。
【0012】
異なるタンパク質および異なる種からのシグナル配列は、共通の特徴が共有されるけれども、実際の配列において大きな変動を示す。正電荷を帯びたN末端領域(n-領域)、疎水性の中央領域(h-領域)、わずかに極性を帯びたC末端領域(C-領域)がある。シグナルペプチドの全長は通常15〜30アミノ酸であるが、50残基のシグナルペプチドが記録されている。変動は、n−とh−領域において主に起こり、C−領域は比較的一定している(Martoglio and Dobberstein, 1998)。
【0013】
n−領域は約2〜5アミノ酸から成り、典型的には正味電化+2を保持する。n−領域の正電荷は、塩基性残基の存在の結果である。中央領域はh−領域である。疎水性の部分は通常αらせん構造の7〜15残基において伸展している(von Heijne, 2002)。 n−
領域と異なり、欠失または非疎水性残基の挿入によるこの疎水性領域の破壊は、往々にして機能の全喪失へと導かれる。αらせん構造の破壊もまた機能において大きな影響をあたえる(von Heijine 1990)。C−領域は、h−領域の後に続いており、およそ5残基の長さであり、プロリンおよび極性の残基の出現頻度が高い。この領域は、ポリペプチドからのシグナルペプチドの切断に対して重要である(Martoglio and Dobberstein, 1998)。
【0014】
粗面小胞体(RER)は多様なサブドメインから成ることはよく知られている。3つのサブドメインが記述されている;軽 rough (LR)、重 rough (HR)と核結合 ER (NER) 。これらのサブドメインは異なる特性を示す。例えば、それらに付いているポリソームの物理的性質において相違が観察され、それらの中に含まれる特定のmRNA種、それらのなかで起こ
る翻訳後修飾、ならびにサブドメインを作り上げる膜の物理的特性においてもまた差異がみられる(Pryme and Hesketch, 1987 and Maltseva.ら, 1991)。 これらのサブドメイ
ンを標的するということは、シグナルペプチドを含むだろう。
【0015】
上記のようにタンパク質の分泌は、構成性であるか、または遺伝子発現レベルもしくは放出時点で調節されることができる。構成性分泌は、細胞が一定の速度でタンパク質を発現する場合に起こり、そのタンパク質は、細胞の分泌機構の中を通過していって細胞外のスペースへ放出される。その際、細胞が及ぼす特別なコントロールはない。例として、細胞外マトリックスタンパク質とアルブミンのような血清タンパク質を含む。
【0016】
分泌は遺伝子発現レベルで調節され得る。この場合、刺激がタンパク質発現の上方または下方制御をひき起こす; しかしながら発現される質はすべて、いったん分泌経路には
いってしまうと、ほとんど調節されないまま、細胞を出ていく。例として、血流へのホルモン放出を含む。(すなわち、胃内の食物へ応答するガストリンや、十二指腸や空腸において酸に応答する分泌)
あるいは分泌は、放出レベルにおいては、細胞外の刺激に応答して誘導されるかもしれない。例として、ニューロンからシナプスへの神経伝達物質の放出や、他のメディエーターに応答する炎症性メディエーターの放出、コレシトキニン(cholecytokinin)に応答する胃液の放出や、触覚の刺激に応答する海洋性無脊椎動物による色素放出を含む。
【0017】
放出の調節は、ある特定のシグナルを受けたときに、形質膜と唯一に融合する小胞中に、分泌されるタンパク質をパッケージすることによって達成される。そのときまでこれらの小胞は、シグナルを受けるまで、形質膜の下にひとかたまりになる。これらの小胞は、分泌タンパク質を高濃度で有しているが、構成性分泌の小胞はしばしばより低い濃度である。ニューロンの場合のシグナルは、活動電位に応答したCa2+の流入である。そのようなシグナルを受けるや、小胞内容物はいっせいに放出され、タンパク質は "バルク分泌" される。
【0018】
海洋生物、例えばGaussia princepsやVargula hilgendorfiiなどは触覚刺激に応答して、共に放出される基質から光の放出を引き起こす酵素を大量に放出する。Gaussia princepsは深海の冷水中に見出だされる。対照的にVargula hilgendorfiiは、浅く暖かい水中に見出される。Gaussiaルシフェラーゼは、およそ19Kの185残基でグリコシル化部位を持た
ないが、Vargulaルシフェラーゼはおよそ68Kの555残基であり7つのO-グリコシル化残基
と2つのN-グリコシル化残基を持つ.。
【0019】
以前の研究は、構成性的に分泌されるタンパク質(アルブミン)に由来するシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が、外来性タンパク質のmRNAのコード領域へ融合されるとき、ERに会合した膜結合ポリソームへのmRNAの再標的化をもたらすことを示した(Partridgeら 1999, WO 99/13090)。このことは、コードされたタンパク質の分泌を促す
ための前提である。また、組換えタンパク質の分泌を成し遂げるために、分泌が発現レベルで調節されるタンパク質に由来するシグナルペプチドが用いられた(WO91/13151; Invitrogen vector pSecTag/Hygro A B, C cat no V910-20; Kim 1996; EP 0279582; EP 0266057 )。 WO91/13151とEP 0279582は、トランスジェニック動物のゲノムに安定的に組み
込まれた遺伝子構築物と、その動物のミルク中への外来性タンパク質の分泌に関わる。
【0020】
大量分泌タンパク質である、ヒト(WO 02/46430)およびウシ(EP 0266057)成長ホル
モンに由来するシグナルペプチドが、哺乳動物細胞において組換えタンパク質を分泌するために用いられた。しかし、これらのシグナルペプチドは、成長ホルモンが有する大量分泌の性質のために選択されなかった。WO 00/50616は、哺乳動物の大量分泌タンパク質(
ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、GMCSF)に由来するシグナルペプチドの利
用を開示している。もっともこのシグナルペプチドは、完全なGMCSF配列もまた、シグナ
ルペプチドに加えて用いられる場合に、機能することが示されただけである。また、この
シグナルペプチドも、GMCSFがもつ大量分泌の性質のために選択されなかった。
【0021】
大量分泌タンパク質由来のシグナルペプチドが、本来、分泌型または本来、非分泌のタンパク質のいずれかと融合されるとき、本来分泌されるタンパク質の分泌を増強するか、あるいは本来非分泌のタンパク質が著しく高いレベルに誘導されることがわかった。
【0022】
このようにある側面において本発明は、標的タンパク質を生産する方法を提供し、この方法は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該タンパク質を発現することを含む。そのキメラタンパク質は、非哺乳動物の大量分泌タンパク質由来のシグナルペプチドおよびその標的タンパク質を含む。つまり、キメラタンパク質はシグナルペプチドを含み、その配列は非哺乳動物の大量分泌タンパク質のシグナルペプチドと同一であるか、または由来するものである。
【0023】
前記宿主細胞は、あらゆる生物源から得ることができる。宿主細胞は、原核生物または真核生物のものでよいが、好ましくは真核生物である。真核生物の宿主細胞については、真菌、植物、線虫動物、昆虫、甲殻類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類および哺乳類の細胞が好ましい。最も好ましい宿主細胞は哺乳類の宿主細胞である。
【0024】
コードされたたんぱく質はキメラタンパク質であり、すなわち、シグナルペプチドは標的タンパク質にとり固有のシグナルペプチドではない。キメラのポリペプチドは、2つまたはそれ以上の異なる分子に由来する2つまたはそれ以上の成分配列を含んでおり、好ましくは2つの配列がそれぞれ異なる分子から由来する。
【0025】
大量分泌タンパク質はシグナルペプチドを保持するが、該ペプチドはRERにむかって新生ポリペプチドを差し向け、RERの中への転位を誘導する。シグナルペプチドはまた、調節された分泌に関与する分泌小胞中へ該タンパク質を方向付ける情報を保持すると思われ、おそらく特定のERサブドメインへ向けて新生ポリペプチドを差し向けることによる。これらの小胞は、構成性分泌に関与する小胞よりも高い濃度で内容物をパッケージすることが可能であることが知られている。しかし、シグナルペプチドへ融合されるポリペプチドは、通常は分泌されないか、あるいは同一の経路で分泌されないため、そうすると代わりに内生的なペプチドが構成性的に高いレベルで分泌される。
【0026】
"大量分泌タンパク質“という用用語は、通常の生理環境にて、過渡的な刺激に応じて
その内容物を放出するために形質膜と融合するだけの小胞の中へパッケージされるタンパク質をいう。言い換えれば、分泌レベルが翻訳後のレベルで調節されるタンパク質である。
【0027】
このように、大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドは、長さにして通常およそ15〜30残基にあるアミノ酸配列で、通常該タンパク質のN末端に見出される。その
シグナルペプチドは、ERへ向けて新生ポリペプチド鎖を差し向け、ER内腔の中への転位を促進する。このようにしてタンパク質は、分泌経路に入らせること、ならびに典型的にはある過渡的刺激に応じて内容物を放出する分泌小胞にパッケージされることを可能にする。
【0028】
本明細書に記載された実施例で明らかにされたように、本発明の方法において外因性の過渡的な刺激は、標的タンパク質の分泌を促進するために必ずしも必要とされない。
"大量分泌タンパク質からのシグナルペプチド"という用語に、天然に存在する配列(分離して、または他の配列内に含まれて)のフラグメントおよび/または誘導体が包含され
る。それらの配列は標的タンパク質の分泌を増強するか、あるいは誘導する能力を保持している。このように作用するペプチドの能力を試験する方法が実施例に記載されている。
特に、n−領域およびc−領域の一方または両方を部分的にまたは完全に欠失させたシグナル配列が、本発明によって包含されると考えられる。天然に存在する配列のフラグメント、またはその誘導体は、典型的には少なくとも6個のアミノ酸、好ましくは少なくとも8個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも10個のアミノ酸を有するであろう。
【0029】
大量分泌タンパク質に由来し、天然に存在するシグナルペプチドの誘導体は、本来の配列と少なくとも40%、好ましくは50%あるいは60%またはそれよりも多く、特に70%あるいは80%、またはそれより多い配列相同性を有するであろうと想定される。本発明の目的のために、″配列相同性″は、「配列同一性」を言及するためにだけ用いられるだけでなく、電荷や極性といった類似する物理的な特徴に基づいて、相互に置換可能なアミノ酸の利用をも言及する。物理的に同じ基から由来するアミノ酸によって、シグナル配列内のアミノ酸を置換することは保存的置換と見なされ、シグナルペプチドの活性を変えるとは予想されないであろう。したがって、ロイシンをイソロイシンにすっかり置き換えられた誘導体は、当初の配列と100%の ″配列相同性 ″を有すると考えられるであろう。好都合なグループには、グリシンとアラニン;セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミンおよびシステイン;リジン、アルギニンおよびヒスチジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンである。この最後のグループのなかで好ましいサブグループは、ロイシン、バリンおよびイソロイシン;フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン;メチオニンおよびロイシンが挙げられる。配列相同性は、以下に論じられているよう配列同一性」に関して計算され、上記のとおり保存的置換を許容している。
【0030】
好ましくは、大量分泌タンパク質(例えば、Gaussiaルシフェラーゼ, 以下でより詳細に論じられる)に由来の天然に存在するシグナルペプチドの誘導体は、天然に存在するシグナル配列またはその部分に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%あるいは80%、例えば少なくとも90%の配列同一性を示す(例えば 可変性のpamfactorを有するFASTA pep-cmpを用いた SWISS-PROTタンパク質配列データバンクを利用して決定される、12.0に設定されたギャップクリエイションペナルティ、4.0に設定されたギャッ
プエクステンションペナルティ、2アミノ酸のウィンドウ)。公知の開始配列の誘導体を調製する技術はよく知られている;機能的に等価な(または改良された)シグナルペプチドをコードする核酸分子は、化学的合成または組換え技術を用いることによって生産されるであろう。
【0031】
本発明の好ましい実施態様において、標的タンパク質へ融合されるシグナルペプチドは、シグナルペプチドによって分泌されるすべてもしくは大多数の本来タンパク質を欠いていることが想定される。好ましくは、本来のタンパク質アミノ酸残基のうち、15個未満が存在することである。最も好ましくは、本来のタンパク質がひとつも存在しないことである。したがって、キメラタンパク質は、シグナルペプチドそれ自体に加えて、好ましくはシグナルペプチドの本来タンパク質の15個未満のアミノ酸残基を含んでおり、最も好ましくはキメラタンパク質が本来のシグナルペプチドのタンパク質をひとつも含んでいないことである。
【0032】
もうひとつの好ましい本発明の実施形態において、シグナルペプチドの生物源は宿主細胞の生物源と同一でない、すなわち、シグナルペプチドは宿主細胞に対して異種である。最も好ましいのは、シグナルペプチドは非哺乳類のタンパク質に由来し、宿主細胞が哺乳類の宿主細胞である。
【0033】
シグナル配列はまた直線状でないかもしれない。すなわち、フラグメントおよび誘導体またはどちらか一方が、シグナルペプチドの活性がなお保持される方法でターゲットタンパク質のコード配列のなかに分配される。そのようなフラグメントおよび誘導体またはど
ちらか一方が、それゆえに本発明の中に含まれると考えられる。
【0034】
本発明は大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドを用いている。好ましくはカイアシ類または貝虫類からのシグナルペプチドが選択された、例えば、Gaussia prnceps
やVargula hilgendorfiiからである 。特に、Gaussia(MGVKVLFALICIAVAEA;配列番号 No.1)またはVargula(MKIILSVILAYCVT;配列番号 No.2)ルシフェラーゼからのシグナル
ペプチドや、いちばん特にGaussiaルシフェラーゼからのシグナルペプチドが選択された
したがって、好ましい実施態様において、本発明は標的タンパク質を生産する方法を提供し、その方法はキメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該タンパク質を発現することを含む。そのキメラタンパク質は、Gaussiaルシフェラーゼからの
シグナルペプチドまたはそのフラグメントまたはその誘導体そして該標的タンパク質をも含む。好ましい誘導体と適したフラグメントは上記と下記において述べられる。
【0035】
好ましいフラグメントは、少なくとも8個のアミノ酸、典型的に少なくとも10個のアミノ酸、例えば、少なくとも12個のアミノ酸を有する。
Gaussiaルシフェラーゼ由来のシグナルペプチドの配列は、キモトリプシ (ノーゲ)ン、トリプシ (ノーゲ) ン2、トリプシ (ノーゲ) ンA、アミラーゼおよびVargulaルシフェラーゼについてのシグナル配列と並列して、図1に示される。図に見られるように、Gaussiaルシフェラーゼからのシグナル配列は、独特のモチーフ:ALICIAを有する。この配列に
組み込むシグナルペプチドおよび変異体およびそのフラグメントが特に好ましく、例えば、4〜5個のアミノ酸フラグメント、および上記のとおり保存置換を含むペプチドである。
【0036】
したがって、好ましい実施態様において、本発明は、標的タンパク質を生産する方法を提供し、その方法はキメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該標的タンパク質を発現することを含む。該キメラタンパク質は、ALICIA配列あるいはその変異体あるいはフラグメント、さらには該タンパク質を含むシグナルペプチドを含有する。最も好ましくは、ALICIA配列がシグナルペプチドのh―領域内に見られることである。そ
のようなキメラ分子のシグナルペプチドは、典型的に5〜25個のアミノ酸から成り、好ましくは5〜20個のアミノ酸、例えば8から18個のアミノ酸から成る。
【0037】
"標的タンパク質" の用語は本発明に従い、発現し分泌されるタンパク質のことを言う
。そのようなタンパク質には、宿主細胞では見られないタンパク質を含んでおり、異種からのタンパク質、あるいは宿主細胞に見られるタンパク質のクローン化版である。好ましい本発明の標的タンパク質は、哺乳類のタンパク質であり、特にそれらは、複雑な折りたたみ造、補酵素群、4次元構造を有し、および/またはコード配列からタンパク質を発現
する間に常に発生する修飾を要求する。そのような修飾として、タンパク質をコードするDNAの修飾(メチルかまたはアセチル化のような)、コードするDNAから転写されたRNAの修飾(スプライシング、5'キャッピング)、あるいは新生タンパク質の修飾(
グリコシル化または脂質修飾のような)が挙げられる。ある型の宿主細胞だけがいくつかの修飾タイプに適していると認識されるであろう。
【0038】
限定の例を意味しない、特に好ましい標的タンパク質は、ヒトのトリプトファン水酸化酵素や、Gタンパク結合レセプターや核レセプターを含む。
さらに、標的タンパク質の限定されないクラスとして、生物薬剤タンパク質(例えば、単一遺伝子欠損性疾患、例えばポンペ病におけるタンパク質補充療法)、現在の製造方法工程では充分に高い品質と安全性を保証することができないタンパク質、ドラッグデザイン開発で必要とされるタンパク質、生体触媒やバイオセンサーが挙げられる。
【0039】
標的タンパク質として、本来非分泌のタンパク質および天然で分泌タンパク質の両方を
含めてもよい。"非分泌タンパク"の用語は、タンパク質の通常環境が細胞形質膜の内側か、あるいは形質膜に結合しているタンパク質を言及する。そのようなタンパク質は、おそらく可溶性であるか、あるいは膜性構造に固着している。
【0040】
本発明の方法は、天然に分泌されるタンパク質の分泌を増強するため、あるいは本来、非分泌のタンパク質の分泌を誘導するために用いられる。
したがって、好ましい実施態様において、本発明は、天然に分泌される標的タンパク質の分泌を増強する方法を提供する。その方法は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において、該タンパク質を発現することを含む。該キメラタタンパク質は、非哺乳類の大量分泌タンパク質からのシグナルペプチドおよび該標的タンパク質を含む。
【0041】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本来、分泌されない標的タンパク質の分泌を誘導する方法を提供する。その方法は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において、該タンパク質を発現することを含み、該キメラタンパク質は、非哺乳類の大量分泌タンパク質からのシグナルペプチドおよび該標的タンパク質を含む。
【0042】
"核酸分子" という用語は、一本、二本あるいは他の鎖形状にあるいかなるタイプの核
酸または修飾体またはその誘導体から成る核酸分子を言及する。そのような核酸分子として、DNA、RNA、メチル化DNA、アセチル化DNA、合成塩基を含む核酸などが挙げられる。宿主細胞において、上記のキメラタンパク質をコードする核酸は、おそらくそうした宿主細胞の遺伝物質に取り込まれる。
【0043】
本発明のさらなる面は、非哺乳類の大量分泌タンパク質からのシグナルペプチドのコード配列を含み、標的タンパク質のコード配列へ作動可能に連結させて成る核酸分子を提供し、該シグナルペプチドは、標的タンパク質に対する本来のシグナルペプチドではなく、高ストリンジェンシーの条件下で、それに相補的であり、かつ/あるいはハイブリッド形成可能な配列である。
【0044】
あるいは別の面において本発明は、非哺乳類の大量分泌タンパク質からのシグナルペプチドおよび標的タンパク質を含むキメラタンパク質をコードする核酸分子を提供する。
好ましい核酸分子は、配列番号No.1をコードする領域、Gaussiaルシフェラーゼのシグ
ナルペプチド、またはその変異体もしくはフラグメントを含む核酸分子である。そのような活性ペプチドの変異体およびフラグメントは、上述される。遺伝子コードの縮退は、配列番号 No.1(または配列番号 No.2、Vargulaルシフェラーゼ)をコードすることができ
るあるクラスの分子が存在することを意味する。好ましい核酸分子のあるクラスは、(シグナルペプチドをコードする)領域;
(a)配列番号 No.1またはNo.2をコードする配列の一以上のものと、6 × SSC/50%
フォルムアミド、室温という非ストリンジェントの結合条件下でハイブリッド形成可能であり、そして高ストリンジェント条件下、例えば2 × SSC, 65°C(ここでSSC = 0.15 M NaCl, 0.015 Mクエン酸ナトリウム, pH 7.2)で洗浄され、および/または、
(b)配列番号No. 1または2をコードする1以上の配列あるいはその一部分に対して
少なくとも 70%、 好ましくは少なくとも80, 90または95%の配列同一性を示す(例えば、GCGパッケージを用いるFESTAサーチにより決定される。これは、デフォルトの値および可変性のpamfactorでもって、12.0に設定されたギャップクリエイションペナルティ、4.0に設定されたギャップエクステンションペナルティ、6ヌクレオチチドのウィンドウを有する。)
あるいは、そうしたいかなる配列に対して相補的である配列、
を取り込んでいる核酸分子である。
【0045】
Gaussiaシグナルペプチドのヌクレオチド配列は:
ATGGGAGTGAAAGTTCTTTTTGCCCTTATTTGTATTGCTGTGGCCGAGGCC ;
(配列番号 No. 3)
Vargulaシグナルペプチドに対しては:
ATGAAGATAATAATTCTGTCTGTTATATTGGCCTACTGTGTCACC ; (配列番号 No. 4).
【0046】
したがって本発明によれば、特に好ましい核酸分子グループで、そして本発明の方法における利用のためのものは、以下の領域:
(a)配列番号 No.3またはNo.4(好ましくは配列番号 No. 3)と、6 × SSC/50%
フォルムアミド、室温という非ストリンジェントの結合条件下でハイブリッド形成可能であり、そして高ストリンジェント条件下、例えば2 × SSC, 65°C(ここでSSC = 0.15 M NaCl、 0.015 Mクエン酸ナトリウム, pH 7.2)で洗浄され、および/または、
(b)配列番号 No.3またはNo.4(好ましくは配列番号 No. 3)あるいはその一部分に対して、少なくとも 70%、 好ましくは少なくとも80, 90または95%の配列同一性を示す(例えば、GCGパッケージを用いるFESTAサーチにより決定される。これはデフォルトの値および可変性のpamfactorでもって、12.0に設定されたギャップクリエイションペナルテ
ィ、4.0に設定されたギャップエクステンションペナルティ、6ヌクレオチチドのウィン
ドウを有する。)
あるいは、そうしたいかなる配列に対して相補的である配列、
を取り込んでいる核酸分子である。
【0047】
さらに好ましい核酸分子のグループは、以下の領域を取り込んでいる核酸分子である;その領域は、配列番号 No.1またはNo.2(好ましくは配列番号 No.1)あるいはその一部分に対して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80、90あるいは95%の配列同一性(例えば、SWISS-PROTタンパク質配列データバンクを利用し、FASTA pep-cmp を用いて決定される。これは可変性のpamfactorでもって、12.0に設定されたギャップクリエイ
ションペナルティ、4.0に設定されたギャップエクステンションペナルティ、2アミノ酸
のウィンドウを有する。)を示すアミノ酸配列をコードする領域である。
【0048】
"コード配列"という用語は、翻訳可能な核酸分子の配列を言及する。そのような配列は、イントロンまたは他の非翻訳配列を含まず、いかなる本来のシグナル配列も存在しない。コード配列は、標準の遺伝子コードのもつ退縮の限度以内で変動し、また非標準的な塩基による保存的置換について変化する。
【0049】
核酸分子はまた、以下の他の配列を含んでもよい;複製開始点、選択可能なマーカー、転写開始点、転写エンハンサー、転写インデューサー、転写調節因子、3'非翻訳調節配
列、5'非翻訳調節配列、標的タンパク質産物の検出および精製またはどちらか一方を可
能とする配列、ならびにクローニング、特にシームレスクローニングを可能とする配列を含む。特別に付加する配列の選択は、宿主細胞の型に依存する。
【0050】
上記に定義されたいかなる核酸分子によってコードされる配列を含むポリペプチドは、本発明のさらなる面を構成する。
"シームレスクローニング"の用語は、このクローニングの結果として生じる核酸構築物が、翻訳領域にリンカー配列が存在しないように形成されるクローニング技術について言及する。シームレスクローニング技術は、Stratagene社(CA米国) からのSeamless(R)
Cloningキット(cat no. 214400)を含んでおり、そのクローニング技術は実施例1にて開示される。
【0051】
"リンカー配列"という用語は、核酸を認識部位で切断する制限酵素により制限酵素消化した後に残っている配列に適用する。
本発明のもう一つの側面は、非哺乳類の大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドの配列を少なくともクローニング部位から上流において含むベクターである。該クローニング部位において標的タンパク質の翻訳領域が挿入され得る結果、該ベクターによる発現産物(キメラタンパク質である)が生成する。該キメラタンパク質は、非哺乳類の大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドと該標的タンパク質とを含む。標的タンパク質をコードする配列を組み込んだベクターは、本発明のさらなる面を構成する。
【0052】
最も好ましいクローニング技術はシームレスクローニング技術であり、したがって好ましい実施態様において、該クローニング部位はシームレスクローニング技術における利用に適している。
【0053】
もうひとつ別の好ましい実施態様において、本発明は、配列が真に機能することを可能ならしめる位置に関する次のリストから少なくとも一つを含むベクターを提供する;複製開始点、選択可能なマーカー、転写開始点、転写エンハンサー、転写インデューサー、転写調節因子、3'非翻訳調節配列、5'非翻訳調節配列、標的タンパク質産物の検出および精製またはどちらか一方を可能とする配列。特別に付加する配列の選択は、宿主細胞の型に依存する。
【0054】
さらなる面において、本発明は、上記に定義されるベクターを含むキットと、任意に設計される宿主細胞株を提供する。
標的タンパク質の発現は、宿主細胞で起き、したがってさらなる面において本発明は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む細胞を提供する。該核酸分子と該キメラタンパク質は上記に定義され記述されるとおりである。好ましい宿主細胞の型は、以前に記載されてきた。既に述べたとおり、最も好ましい宿主細胞は哺乳類の宿主細胞である。本発明の核酸構築物の調製は、宿主として中間細胞(おそらく非哺乳類の)の使用を含み、これは本発明のその面のさらなる実施形態を構成する。
【0055】
好ましくは、宿主細胞は培養されてもよく、より一層好ましくは、宿主細胞は安定した細胞培養物である。したがって好ましい実施形態において、本発明はキメラタンパク質をコードする核酸分子含んでいるインビトロの細胞を提供する。該核酸分子と該キメラタンパク質は上記に定義され記述されたとおりであり、該核酸分子が好ましくは安定的にトランスフェクトされ、より一層好ましくは、安定的に該細胞ゲノムに組み込まれる。したがって、好ましくは本発明の方法はインビトロの方法である。
【0056】
さらなる面において、本発明は宿主細胞の培養の培地から標的タンパク質を得るための方法を提供する、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む該宿主細胞、該核酸分子および該キメラタンパク質は上記に定義され記述されたとおりである。その方法は該キメラタンパク質を発現させること、該細胞の培養物を回収し、そこから該標的タンパク質を抽出し精製することを含む。タンパク質の抽出と精製の方法は、当業界でよく知られている技術である。通常、シグナルペプチドは宿主細胞の中で切断され、分泌タンパク質は、標的タンパク質フリーであり、あるいはシグナルペプチドから実質的にフリーになる。
【0057】
別の面において、本発明は、関心のある異種のタンパク質に融合された非哺乳類の大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドを含むキメラ的なポリペプチドを提供する。そのポリペプチドはまた、検出および精製またはどちらか一方を可能とする配列を含んでもよい。
【0058】
さらなる面において、本発明は、標的タンパク質の生産方法を提供し、その方法は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該タンパク質を発現させることを含む。該キメラタンパク質は、大量分泌タンパク質から由来のシグナルペプチドと
該標的タンパク質とを含む。その場合、該シグナルペプチドは分類学的に宿主細胞とは異なる生物源から得られ、該キメラタンパク質は、シグナルペプチドの本来のタンパク質の15残基を超える残基を含まない。前に記載された本発明の追加の面、およびそれらの好ましい態様が、この方法に対しても必要な変更を加えて適用される。
【0059】
"分類学的に異なる" という用語によって、宿主細胞の生物源とそのシグナルペプチド
の生物源が、分類学的に同じクラスから得られないことを意味する。好ましくは、同一の分類学上の門(phylum)でない。
【0060】
"分類学的なクラス" は、「目(order)」よりも高いランク(すなわち、より大きく包括的)で、門より低いランク(すなわち、より小さく包括的)の分類学的なカテゴリーとして定義づけられる。分類学的クラスの限定を意味しない例には、Mammalia, Aves, Reptilia, Amphibia, Insecta, Arachnida, Scotobacteria, Anoxyphotobacteria, Magnoliids, Eudicotyledones, Monocotyledones, Zygomycetes, およびBasidiomycetes を含む。
本願の目的のためには、Crustacea の 分類学的なグルーピングは、「綱(class)」として考えられる。
【0061】
"分類学的な「門」(Phylum)"は、用語"分類学的な門(division)"と交換可能であ
ると見なされ、「綱(class)」よりも高いランク(すなわち、より大きく包括的)で、
「界(kingdom)」
より低いランク(すなわち、より小さく包括的)の分類学的なカテゴリーとして定義づけられる。分類学的クラスの限定を意味しない例には、include Cordata, Echinodermata, Arthropoda, Annelida, Mollusa, Nematoda, Gracilicutes, Firmicutes, Bryophyta, Pterophyta, Anthophyta, Coniferophyta, Chlorophyta, Phaeophyta, Zygomycota, Ascomycota, Basidomycota, およびDeuteromycotaを含む。
【0062】
'シグナルペプチドの本来のタンパク質'とは、その分泌がそのシグナルペプチドによ
って本来的に調節されるタンパク質をいう。好ましくは10個の残基より多く含まず、より好ましくは5個の残基よりも多く含まず、最も好ましくはシグナルペプチドの本来のタンパク質の残基は全くキメラタンパク質には取り込まれない。
【0063】
特に好ましい態様において、本発明は、標的タンパク質を生産する方法を提供し、その方法は、キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む哺乳類の宿主細胞において該タンパク質を発現させることを含む。該キメラタンパク質は、非哺乳類の大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドおよび該標的タンパク質を含む。好ましくは、カイアシン類(copepod)あるいは貝虫類(ostracod)から得られるシグナルペプチドで、例えばGaussia princepsまたはVargula hilgendorfiiである。特に好ましくは、GaussiaまたはVargulaルシフェラーゼから得られるシグナルペプチド、最も好ましくは、Gaussiaルシフェラーゼ由来のシグナルペプチドである。
【0064】
最近の研究(Partridge 1999 et al)は、mRNAにおけるコード領域の下流にある非翻訳領域(3' 非翻訳領域、3'UTR)もまた、正しい細胞内コンパートメントへmRNAを向かわせることに関与していることを示した。このことは、翻訳が正確なコンパートメントで生起し、したがって生じるタンパク質が正しいコンパートメント内に存在するということを保証するものである。分泌タンパク質の転写物の3'UTRが、ある細胞内タンパク質の3'UTRによって置換される場合、この転写物が膜結合ポリソームへ向かわされるレベルと、最終的な該タンパク質の分泌が減少する。シグナル配列と分泌タンパク質からの3'UTRとを通常
の細胞質内タンパク質のコード領域に加入することは、この組換え転写物を膜結合ポリソームへ向かわしめ、したがって通常の細胞質内タンパク質の分泌となる。
【0065】
したがって、本発明のキメラタンパク質を発現する核酸分子は、また分泌タンパク質由来の3'UTR、好ましくは、大量分泌タンパク質、最も好ましくはGaussia ルシフェラーゼ
由来の3'UTR(それの機能的に活性なフラグメントまたは誘導体)を含んでもよいことが
考えられる。さらに標的タンパク質が、通常、細胞内タンパク質である場合、標的タンパク質をコードする核酸分子は本来の3'UTRを欠いており、分泌タンパク質、好ましくは大
量分泌タンパク質由来の3'UTRを含んでもよい。
引用文献
Blobel and Dobberstein, (1975) J. Cell. Biol. 67: 835- 851.
Gorlich, D. and Rapoport, T. A. (1993) Cell 75: 615-630.
Hesketh, J. E. (1996) Biochem Soc Trans vol. 24, no. 2, 1996, pages 521-527.
Kim, Y-J et al (1996) BIOCHEM. AND BIOPHYS. RES. COMMUNICATIONS, vol. 228,1996, pages 324-327.
Martoglio, B and Dobberstein, B. (1998). Trends Cell Biol. 8: 410-415.
Maltseva, E. L. , Palmina, N. P. and Pryme, I. F. (1991b). Mol. Cell. Biochem. 106: 49-54.
Partridge, K et al. (1999) Cytotechnology 30: 37-47.
Pryme, I. F. (1988). Biochem. Biophys. Acta 967: 218-223.
Pryme, I. F. (1989a). Mol. Cell Biochm. 87: 93-103.
Pryme, I. F. (1989b). Int. J. Biochem. 21: 119-125.
Pryme, I. F. and Hesketh, J. E. (1987). Cell Biol. Int. Repts. 11: 615-623.
von Heijne, G (1990). J. Membr. Biol. 115: 195-201.
von Heijne, G. (2002). (R. E. Dalbey and G. von Heijne, eds. ) pp. 35-46, Academic Press.
[実施例]
以下、本発明は、限定を意図しない次の実施例でもってさらに説明される。
【実施例1】
【0066】
材料および方法(一般)
CHO細胞の培養
CHO細胞(CHO AA8 Tet-Off and CHO KI Tet-On)の保存培養液を、25cm2または
75cm2の培養フラスコを用いて適切な培地において単層で増殖させた。細胞は、5%CO2の加湿された空気中にて37℃で培養された。播種密度は約2.0 × 104細胞/ cm2
あり、2、日のうちに細胞集密度が90〜100 %に達することとなり、2日目または3日目
ごとに培養液は分割しなければならなかった。分割作業は、フラスコからその培地を除き、1× PBS で細胞を2回洗浄することにより行なわれ、その後に約1. 5 ml のトリプシ
ン-EDTA溶液が加えられた。37°C での短時間(2〜3分間)培養後、顕微鏡下にてフラス
コを確認し、全ての細胞が増殖表面から離脱していることをチェックし、次いで約10mlの増殖培地がフラスコに添加された。細胞はよりさらなる培養のためにフラスコへ播かれた。細胞がトランスフェクションに用いられるのであれば、それらは6穴プレート上へ播かれた。
【0067】
細胞のトランスフェクションと安定細胞群の調整
6.0 × 105細胞が、6穴ウェルプレート上の各ウェルへ、培地とともに(1ウェルあたり2mlの全容量)播かれた。これにより、24時間後にトランスフェクションに好適な条
件(細胞濃度90〜100 % )が与えられた。この培地はそれ後除かれて、細胞はl× PBSを
用いて1回洗浄された。トランスフェクション混合物は、96穴ウェルプレート上、ひとつのウェルにおいて、150mlの培地に対し4 mg DNAを加え、またもうひとつのウェ
ルでは150mlの培地に対し10mlのLipofectamine 2000を添加することにより作成された。
【0068】
使用された培地は、純粋なaMEM または DMEM (トランスフェクションされることになっている細胞に依存して) であり、少しの添加物をも含まなかった。RTで5分間の培養後、
DNAを含む溶液はLipofectamine含有溶液へ加えられ、おだやかに攪拌され、その後、
DNAとLipofectamineとが複合体を形成させるように、RTで20分〜30分間培養さ
れた。トランスフェクション混合物(約320 ml)は、それから洗浄された細胞上におだやかに点滴注入され、次に500mlの純粋培養液(添加物を含まないaMEM または DMEM)が各ウェルに添加され、細胞は6時間培養された。余分なDNAとLipofectamineを含む培地
は除かれ、細胞はl × PBSで2回洗浄され、それから2mlの完全増殖培地が加えられて、さらに細胞は培養された。一過性的にトランスフェクションされることになる細胞は、サンプルの回収前に24時間培養された。細胞は、プラスミド構築物(これで該細胞はトランスフェクションされた)を含む安定化した細胞集団になり、24時間通常に培養された。次の20日間、これらの細胞は400 mg/ml hygromycin.を含む培地で培養された。トラ
ンスフェクションされた細胞は、使用ベクターがHygr-遺伝子を含んでいるために、この
抗生物質に対し耐性であった。この最初の20日間の選択後、細胞を安定的にトランスフェクションされた状態を維持するために、培地のhygromycin量は、200 mg/mlに保たれた
。3週間ごとに、培養液は新たなフラスコへ移され、トリプシン化を繰り返すことが原因
で増殖面を覆うタンパク質が完全に分解することを防いだ。
【0069】
組換えタンパク質の発現
CHO AA8 Tet-Off 細胞は、一過性のトランスフェクションに用いられた。これらの細胞はpTRE2hyg-ベクターをもとに作成されたプラスミドを使用してトランスフェクションさ
れたとき、プラスミドのMCSへ構成的に挿入されている遺伝子を発現した。CHO Kl Tet-On
細胞を、安定的にトランスフェクションする細胞集団の調製に用いられた。これらの細
胞は、通常の培地で培養するとpTRE2hygベクターに挿入されている遺伝子を発現することができなかったために選抜され、それゆえ選抜過程の間、組換えタンパク質の合成によって疲弊することはなかった。組換えタンパク質発現の誘導は、増殖培地にdoxycycline添
加によっておこなわれた。増殖培地2ml中の適当な数の細胞(2.5 x 105)は、6穴ウェル
プレートの各ウェルへ移して24時間増殖させた。増殖培地は、1 mg/ml doxycyclineを含
む培地に交換され、細胞はサンプル回収前に24時間培養された。(Tet-Off and Tet-On発現系の詳細については、www. clontech. com にある「ユーザーマニュアル PT3001−1」を参照されたい)
【0070】
DNA電気泳動
アガロースゲル電気泳動は、制限酵素エンドヌクレアーゼ消化の生成物を分離するために用いられ、さらにPCR法の産物やDNA精製の生成物についての濃度測定にも用いられた。調製されたゲル溶液はゲル室へ注入され、あらかじめl× TAE緩衝液で満たした電
気泳動トレイへ移される前に、RTで15分から30分間冷却して重合させた。サンプルを充填した後、泳動緩衝液前方にある着色部分がゲルの2/3に移動するまで、60-100V
で40分から90分間電気泳動をおこなった。サンプルのフラグメントは紫外線ランプで可視化され、Gel- Doc Multi-Analyst (version 1. 1)のコンピュータプログラムを用い
て画像が保存された。
【0071】
アガロースゲルからのDNA抽出
シームレスクローニングのための合成megaprimerと制限酵素の生産物を抽出する目的で、QIAGEN MinElute Gel Extraction Kitが用いられ、その手順はQIAGEN MinEluteハンド
ブック10/2000に従い、追加のステップで、溶出工程は最終容量が約20 μlになるように
反復された。このプロトコルは、通常のアガロース(タイプI)およびNuSieveアガロースのいずれからのDNA抽出に用いられた。ノーザンブロット分析に用いる合成プローブを抽出する目的で、Sigma のGenElute Agaroseスピンカラムが使用され、その手順はキットの製品情報に従って実施された。
【0072】
ライゲーション
この目的のためにRoche社のRapid DNA Ligationキットが用いられ、その手順はKit folder (バージョン1, 1999年11月)に従って実施された。ベクターへ挿入されるDNAフラグメントの濃度が極めて低かった(< 20 ng/μl)サンプルについては、すべての容量を2倍に
したため、最終的なligation混合物の容量は10 μlではなく20 μlであった。3 μlのligation混合物が、化学的にコンピテント("ヒートショック・コンピテント")な大腸菌DH5a細胞の形質転換に用いられた。
【0073】
アガロースゲル電気泳動によるDNA濃度の評価
測定されるDNAサンプルは、アガロースゲル上、標準(既知濃度のプラスミドDNAまたはDNAフラグメントサンプル)に隣接するレーンで泳動され、そのバンドは紫外線光にゲルを曝すことで可視化された。かくして未知のサンプルのバンドは標準のバンドと比較され、未知サンプルのDNA濃度が測定された。
【0074】
A260測定によるDNA濃度の測定
260nmでのDNAサンプルの吸収が測定され、50 mg/ml DNAを含む溶液が1,000の光学密度であるという仮定に基づき、その濃度が計算された。
【0075】
DNAシークエンシング
シークエンシングPCRのための一般的な反応混合物:
3μl (300〜600 ng DNA)小スケール精製プラスミド(ミニプレップ)
1 μl pTRE2シークエンシングプライマー(2. 5 mM)
4 μl Big Dye
2 μl dH20
シークエンシングPCRのためのサーモサイクリング :
1サイクル 95℃ 5分間
95℃ 10秒間
25サイクル 50℃ 5秒間
60℃ 4分間
1サイクル 4℃ 8分間
【0076】
ジェネラル シームレス クローニング ストラテジー
本研究における全ての構築物は、シームレス・クローニングストラテジーを用いて作成された。シームレスクローニングは、置換してPCR生成物をベクターに挿入するために、
制限部位フリーの クローニング方法である。この方法はさらに最適化され、また欠失を
含むように拡張された。図2において、置換と挿入の両方を行なうための方法が示されている。対象の配列を含むドナープラスミド(鋳型)とともに、"テイル(tail)"を持つ1組のプライマーがPCR反応に用いられた。このことは、対象の配列を含み、かつその両末
端に付加的なテイルを有する大きな二本鎖のmegaprimerを作成するためにおこなわれた;それらは受容体プラスミド(plasmid)において、挿入/置換の点に隣接する配列に対し
て相補的であった。
megaprimer合成のための一般的な反応混合物, PCR:
100ng鋳型(donor plasmid)
2.5μl プライマーフォワード (10 μM)
2.5 μl プライマーリバース (10 μM)
1 μl dNTPs (各10 mM )
5 μl エキスパンド高フィデリィティPCR緩衝液
0.75 μl エキスパンド高フィデリィティポリメラーゼ (3.5 U/μl)
dH20 to 50 ml
megaprimer合成のための一般的なサーモサイクリング
1サイクル 95℃ 5分間
95℃ 30秒間
25サイクル グラジエント 1分間(プライマーTm依存の温度)
72℃ 1分間(このステップは"困難"な反応において用いられた)
1サイクル 72℃ 10分間
1サイクル 4℃
【0077】
PCR生成物(megaprimer)は、1%アガロースゲル(3%NuSieveゲル、megaprimerが300 bpより小さかった場合)上で泳動させ、可視化して、切り出し、Qiuagen Gel Extractionキットを用いて精製した。もうひとつのゲルは、ゲル抽出により得られたegaprimerの
濃度を測定するために泳動させた。後続のTCE反応において、変性megaprimer上のテイル
は、挿入/置換の点に隣接する配列にてベクターへアニールされた。ポリメラーゼ活性によって、megaprimerはあらたに作製されたベクター中へ組み込まれた。
TCE反応のための一般的な反応混合物:
6〜30 ng テンプレート (受容体プラスミド)
40〜100 ng Megaprimer (鋳型について100モル倍)
0.5 μl dNTPs (各10 mM )
3 μl 10 × Pfu 反応緩衝液
0.5 μl Pfu turbo DNAポリメラーゼ (2, 5 U/μl)
dH2O to 30 ml
TCE反応のための通常のサーモサイクリング
20 cycles 95°C 2 分間
グラジエント10分間 (プライマーTm依存の温度)
1 cycle 4°C
【0078】
TCE反応の完了後、0.5μlのDpnI (20 U/μl)がそれぞれのチューブへ添加され、37℃、2時間のインキュベーションが実施された(DpnIはメチル化DNAおよびヘミメチル化
されたDNAを認識し消化した。したがってTCE混合物におけるドナープラスミドとハイブリッドプラスミドはともにDpnIに対する基質であるが、新たに合成された変異DNAはそうで
なく、無傷のままであった。)。消化されたTCA混合物は次いでE. coli DH5a細胞を形質
転換するために用いられた。プラスミドは単一コロニーから精製され、アガロースゲル電気泳動と引き続く配列決定によって分析された。
【0079】
シームレスクローニングのための別のメガプライマー合成
ターゲットプラスミド中へ挿入または置換されることになっている配列は、多くの場合、ほかの入手できるプラスミドにおいて存在していた。そこでこの別のプラスミドはmegaprimer合成における鋳型(テンプレート)として用いられた。しかし、これはいつもそうであったと限らず、いくつかの構築物については代替の鋳型がmegaprimersの合成におい
て用いられた。
【0080】
重複しているプライマーの利用
この方法は小さいmegaprimers (<50 bp)の合成に用いられた。反応混合物が前述のとおりに作成されたが、鋳型は添加されなかった。二個のプライマーが重複し、かつ相補的な3'部分を有するように設計された。PCRの最中、これら3'部分は互いに対しアニールした
。他のプライマーの5'部分を鋳型として用いて、ポリメラーゼ活性によって各プライマーが伸長された(図2Aを参照)。PCR産物は精製されTCEに用いられた。
【0081】
プライマーを加えた重複オリゴヌクレオチドの利用
反応混合物が前述のとおりに作成され、プラスミドの代わりに、二個の重複しているオ
リゴヌクレオチドが鋳型として加えられた。これらふたつのオリゴ体は重複し、かつ相補する3'部分を有するように設計された。PCRの最中、これらの3'部分が互いにアニールし

他のオリゴ体の5'部分を鋳型として用いて、ポリメラーゼ活性によって各プライマーが伸長された。そのプライマーは、オリゴ体の一つの5'部分と同じ3'部分をもつように設計された。このようにして、該プライマーの3' 部分は伸長されたオリゴ体に対してのみアニ
ールし、そしてそのオリゴ体は、該プライマーの5' 部分を鋳型として用いたポリメラー
ゼ反応によってさらに伸長された。PCR産物は精製されてTCEに用いられた。
【0082】
変異プラスミドの再クローニング
再クローニングは、同じ制限酵素(BamHI およびEcoRV)を用いて、"新しい"ベクター(pTRE2hyg)および単離された変異プラスミドの両方をはじめにカットすることによりおこ
なわれた。
【0083】
関心ある配列をカットするためのカット混合物:
25μl 変異プラスミド (100〜200 ng/μl)
1μl BamHI (20000 U/ml)
1μl EcoRV. (20000 U/ml)
10μl 10 × Multiscore buffer
0.5μl 100 × BSA
dH2O 50 mlに
"新たな"ベクター (pTRE2hyg)のためのカット混合物:
0.5μl pTRE2hyg (2 μg/pl)
1μl BamHI (20000 U/ml)
1μl EcoRV (20000 U/ml)
10μl 10×Multicore 緩衝液
0.5μl 100 × BSA
dH2O 50 mlに
カットのために, これらの混合物は37℃で2〜3時間インキュべートされた。
消化されたプラスミドはその後、アガロースゲルで泳動され、関心を向けるDNAフラグメ
ントはQiagen Gel Extraction キットを用いて精製された。ふたつめのゲルは、ゲル抽出によって得られたオープンベクターと変異フラグメトの濃度を測定するために泳動された。変異フラグメントは、ロシュ社のRapid DNA Ligation キットを用いてオープンベクタ
ーへ連結(ligation)された。
【0084】
ライゲーション混合物はその後、大腸菌DH5a細胞を形質転換するために用いられ、小スケールのプラスミドの単離とそれに続くBamHI とEcoRV による再消化によって正しいライゲーションのコロニーが選別された。
ライゲーション産物を選別するためのカット混合物:
5μl 単離されたプラスミド (100〜200 ng/μl)
0.5μl BamHI (20000 U/ml)
0.5μl EcoRV (20000 U/ml)
2μl 10×Multicore 緩衝液
0. 2μl 100×BSA
dH20 20 mlに
消化されたプラスミドはその後アガロースゲルで泳動され、正しくライゲーションされたと思われるプラスミドの関心領域について配列決定された。このプラスミドを含むミニプレップ培地の残りを大容量の増殖培地へ移行して、メガプレップをおこなうことで、正しいプラスミドが大量に調製された。
バクテリアを用いた研究
【0085】
“ヒートショック”コンピテント細胞の調製
大腸菌DH5a 細胞の単一コロニーが5 mlの LB培地に蒔かれ、37℃で攪拌しながら培養をおこなった。この培地を20 mM濃度のMgSO4を含むLB-培地、500 mlに移し、さらに2〜4時
間増殖させた(OD590が0.4と0.6の間になるまで)。この大培養物は、二つの250 ml容GSAチューブに分割され、バクテリアは4℃、5分間で4070 rcf (GSAローターで5000 rpm)での遠心分離により回収された。培地を除去した後、その二個のチューブにあるペレットは、それぞれ予冷TFBI、100 ml中に再懸濁され、それぞれ5分間、氷上でインキュべートされ
た。その後それらのチューブは、再び4℃、4070 rcfで5分間、遠心分離し、それから、ペレットを10 mlのTFBIIに再懸濁し、15〜60分間氷上でインキュベートした。次いでこれらの懸濁液は、予冷した1.5 ml容チューブ(それぞれのチューブに100ml)へ分注そて、直ち
に−80℃で凍結した。
【0086】
ヒートショック処理によるバクテリアの形質転換
10mlのTCE産物または3mlのライゲーション反応の産物が、100mlの化学的にコンピテン
ト(ヒートショック コンピテント)な大腸菌DH5a細胞(氷上で解凍された)に加えられ
、氷上で30分間インキュべートされた。プラスミドとバクテリア細胞を含むチューブは、さらにウォーターバスで42℃で90秒間インキュべートされ、直ちに氷上で1〜2分間冷却された。そのチューブに1 mlのSOC-培地が添加され、懸濁液は37℃で45分間沈降を防ぐために攪拌しながらインキュべートされた。50mlのその懸濁液が、100 μg/μl アンピシリンを含むLB-プレートに播かれた(この研究において、形質転換に使用されたすべて
のプラスミドは、アンピシリン耐性遺伝子を含んでいた)。残りの懸濁液は12000 rcf (
エッペンドルフのミニスピン遠心分離で13400 rpm)で1分間、遠心分離され、ペレットは
別のアンピシリン含有LB-plate上に播かれた(プラスミド/ライゲーション産物の濃度が著しく低いと想定される懸濁液においては、例えばTCE反応の産物、ペレットのみがプレ
ートに播かれた。)。プレートはそれから37℃毎夜(o/n) でインキュべートされた。
【0087】
大腸菌からのスモールスケールのプラスミド調製(ミニプレップ)
単一のバクテリア・コロニーは、15ml容チューブ内の100 μg/μlアンピシリン含有LB-培地、5 mlへ接種され、37℃、毎夜攪拌しながらインキュべートされた。次いで1mlの培養液が1.5mlチューブに移され、18500 rcf (エッペンドルフ5417遠心分離機で13200 rpm
)で、1分間遠心分離された。上清液は慎重に廃棄され、もう1mlの培養液が同じチュー
ブに加えられてから、1分間ふたたび遠心分離された。上清液は廃棄され、25 mg/ml RNaseA を含む100mlの溶液Iが該チューブに加えられた。ペレットはボルテックスし
て、再懸濁された。200mlの溶液IIがその後加えられ、RTで3分間インキュべートする前に、そのチューブを4〜6回逆さにすることで混ぜた。150mlの溶液IIIが加えられ、該チューブはふたたび逆さにすることで(4〜6回)混合された。該チューブはそれから、RTで10分間インキュべートし、18500 rcf で5分間遠心分離した。400mlの上清液を新しい1.5ml容チューブに移し、900mlの96%EtOHを加えて、そのチューブを18500 rcfで30分間遠
心分離した。それからEtOHが除かれ、ペレットに150mlの70%EtOHを加えて洗浄し、18500
rcfで2分間遠心分離した。EtOHは真空ポンプを用いて取り除き、その後ペレットをRTで
外気で乾燥させた。最後にペレットは、25 mg/ml RnaseAを含む50ml TE thin緩衝液で
再懸濁させた。この手順によるプラスミドの収率は、通常5〜10 μg (100〜200 ng/μl)
であった。
【0088】
大腸菌からのプラスミド大量調製("メガプレップ")
この目的のためにQIAGEN Plasmid Megaキットが使用され、その手順はQIAGENプラスミ
ド精製ハンドブック09/2000に従っておこなわれた。この手法によるプラスミドの収率は
通常1〜4 mg (1〜4 μg/μl)であった。
ルシフェラーゼ測定のためのサンプル回収
【0089】
培地サンプルの回収
ウェル中の培地が除去され、2個の1.5ml容チューブへ分割された。(本来、2000μl
の培地のうち、蒸発のために24時間後には1800μlがウェルに残っており、そこで900μl
を2個のチューブ各々に移した。)これらのチューブを、4℃、425 rcfで10分間遠心分離し、上清の700μlが新しいチューブへ移された(これは培地サンプル中に存在する死滅細胞を除去するためにおこなわれた)。チューブのうち1個は、ルシフェラーゼ活性測定の
ために用いられ、もう1個はバックアップサンプルとして用いられた(図3を参照)。
【0090】
細胞サンプルの回収
ウェルは培地が除去されたあと、上記のとおりに処理され、1× PBSで一度洗浄し、800μl 1× PBSが加えられた。細胞は「細胞リフター」を使用して増殖表面からそっとこ
そぎ落とされ、均一な細胞懸濁液を取得するために、ピペットでそっと混ぜられた。200 μlの懸濁液は2個の1.5mlチューブの各々に移された;そのうちの1個はただちにケモメテック社のヌクレオカウンターで細胞数を計測するのに用いられた。もう1個のチューブは1300 μlの 溶解緩衝液(lysis buffer)が加えられ、チューブをRTで5分間インキュべ
ートされ、その間、内容物は1〜2回逆さにすることで混ぜられた。細胞残渣は4°C 、10000 rcfで 10分間遠心分離することにより取り除かれた。500 μlの上澄み液は新しい2個の1.5容mlチューブそれぞれへ移された。培地について、チューブの一方はルシフェラーゼ活性測定に用いられ、他方はバックアップサンプルとして使用された(図3を参照)。活性測定の時点まで培地と細胞のサンプルの両方は−80°Cで凍結された。
【0091】
ルシフェラーゼ活性測定
ルシフェラーゼ活性は、Anthos社ルミノメーターLucy 1を用いて測定された。全てのサンプルは−80℃から取り出され、氷上で解凍された。各サンプルには、適切な希釈(予め実施された希釈アッセイにより決定された)になるよう、Renilla緩衝液が加えられ、
この希釈液10 μlが、白い96穴プレート上の2個の各ウェルへ移された(同じサンプルに対して2個の並列物が必ず測定された)
サンプル容量 10 μl
分注された基質容量 150μl
ラグタイム 1.67秒
積算時間 1秒
検出器フィルター エンプティ
ルミノメーターから得られた生データは、なされた様々な希釈ともとのサンプルの体積に対して補正がなされた。測定データはさらに、サンプルが採られたウェルにある細胞数に対して補正された。それによって、それぞれのサンプルについての結果は、培地中における、ならびにサンプルが採られたウェルの細胞抽出物中における1細胞あたりのトータルのルシフェラーゼ活性として示された。
【実施例2】
【0092】
異なるシグナルペプチドがVargulaルシフェラーゼの分泌を増強することができるとい
う効果を評価するために実験がおこなわれた。Vargulaルシフェラーゼ、Gaussiaルシフェラーゼ、ヒトフォリスタチン、そしてヒトアルブミンからのシグナルペプチドが、上記のようにVargulaルシフェラーゼのコード領域に作動可能的に連結されていた。ルシフェラ
ーゼレベルは、ミリグラムタンパク質あたりの相対的な光の単位で測定されるが、細胞と培養液の両方について測定された。図4からみてとれるとおり、VargulaとGaussiaのルシフェラーゼのシグナルペプチドは、Vargulaルシフェラーゼの効率的な分泌を促進するこ
とができた。Gaussiaシグナルペプチドは、特に、分泌されるレポータータンパク質の全
体レベルにおいて有効であるが、しかし分泌型/非分泌型の割合は、Vargulaルシフェラ
ーゼシグナルペプチドで認められたものと同様である。
【0093】
フォリスタチンまたはアルブミンのシグナルペプチドによって誘導されるVargulaルシ
フェラーゼの分泌は、レポータータンパク質のネイティブ・シグナルペプチドによって誘導されるものより低い。フォリスタチンとアルブミンは分泌タンパク質であるが、どちらもバルクに分泌されるタンパク質ではない。このことは、本発明のシグナルペプチドがバルク分泌タンパク質に由来するものでなければならないことを示している。
【実施例3】
【0094】
異なるシグナルペプチドがGaussiaルシフェラーゼの分泌を増強することができるとい
うその効果を評価するために実験がおこなわれた。Vargulaルシフェラーゼからのシグナ
ルペプチドとGaussiaルシフェラーゼは、上記のようにVargulaルシフェラーゼのコード領域に作動可能的に連結されていた。さらに使用されたものは市販の分泌ベクター(Invitrogen, pSecTag/Hygro A, B, C, cat no. V910- 20)もまた使用された。このベクターは
、異種タンパク質の分泌を誘導するためにネズミのIg k鎖シグナルペプチドを使用する。
【0095】
ルシフェラーゼのレベルは、mgタンパク質あたりの相対的な光の単位で測定されるが、細胞と培養液の両方について測定された。図5から認められるとおり、VargulaとGaussiaのルシフェラーゼ シグナルペプチドは、Gaussiaルシフェラーゼの効率的な分泌を促進することができた。Gaussiaシグナルペプチドは、特に分泌されるレポータータンパク質の
総レベルにおいては有効であるが、しかしながら分泌/非分泌型の割合は、Vargulaルシ
フェラーゼシグナルペプチドで観察されたものに類似している。
【0096】
ネズミのIg k鎖シグナルペプチドで誘導されるVargulaルシフェラーゼの分泌は、レポ
ータータンパク質のネイティブ(native)・シグナルペプチドによって誘導されるものよりも5倍以上も低い。また、バルク分泌タンパク質由来のシグナルペプチドの使用は、発現レベルで分泌がコントロールされるタンパク質からのシグナルペプチドよりも優れている。
【実施例4】
【0097】
本来は非分泌のタンパク質の分泌を誘導するGaussiaルシフェラーゼシグナルペプチド
の能力を、ネズミのIg k鎖シグナルペプチドの能力と比較された。CHO細胞は、ベクター
を用いてトランスフェクションされた。該ベクターではEGFPのコード配列が作動的に上記のシグナルペプチドとリンクされている。タンパク質は、細胞と培養液の両方から抽出され、タンパク質濃度における変動について標準化され、ウェスタン検出に供された。図6に見られるとおり、Gaussiaルシフェラーゼシグナルペプチドは、ネズミのIg k鎖シグナ
ルペプチドのものと比較して、EGFP分泌の誘導においてより効率的である。これらの結果は、シームレスクローニング手法の使用が細胞内タンパク質のサイズとより類似したサイズのタンパク質産物となることを示している。
【実施例5】
【0098】
Gaussiaルシフェラーゼからのシグナルペプチド、トリプシ(ノーゲ) ン-2およびキモトリプシ(ノーゲ)ンが、作動可能的にGaussiaルシフェラーゼのコード領域に連結され、CHO細胞中で発現した。ルシフェラーゼ活性は、細胞あたりの相対的な光の単位で測定され、24時間インキュベーション後に培養液中と細胞抽出物中の両方がモニターされた。
図7で見られるとおり、レポータータンパク質の分泌を促進することに関して、Gaussia
シグナルペプチドは、トリプシ (ノーゲ) ン−2およびキモトリプシ(ノーゲ) ン シグナ
ルペプチドの双方よりもすぐれている。キモトリプシ(ノーゲ) ンおよび トリプシ(ノー
ゲ) ン −2(哺乳類のバルク分泌タンパク質の例)シグナルペプチドが用いられたとき、組換えタンパク質の分泌レベルは、Gaussiaシグナルペプチドと比較した場合、約37%
まで減少した。
【0099】
これらのデータは、非哺乳類のバルク分泌タンパク質から得られたシグナルペプチドは、非哺乳類細胞における組換えタンパク質の生産/分泌を誘導するとき、哺乳類のバルク分泌タンパク質からのシグナルペプチドよりも優れていることを示している。
【実施例6】
【0100】
Gaussiaルシフェラーゼ、ヒトインターロイキン−2およびヒトアルブミンに由来する
シグナルペプチドと完全なヒトアルブミンのpre-pro配列は、Gaussiaルシフェラーゼのコード領域に作動的にリンクされ、CHO細胞で発現した。ルシフェラーゼ活性は、細胞当り
の相対的な光の単位で測定され、24時間のインキュベーション後に培養液と細胞抽出物の両方でモニターされた。pre-pro配列は、シグナルペプチド(pre)とゴルジ装置を通過している間にプロアルブミンから切り離された(これにより成熟した活性アルブミン(pro)を産生する)アミノ酸配列を含む。
【0101】
図8で見られるように、Gaussiaルシフェラーゼから得られるシグナルペプチドは、組
換えタンパク質の産生/分泌に関して、ヒトインターロイキン−2(哺乳類タンパク質の例、遺伝子発現レベルでコントロールされる分泌)タンパク質およびアルブミン(哺乳類タンパク質の例であり、構成的に分泌される)のシグナルペプチドよりもより効果的であった。
【0102】
このデータは、非哺乳類からのバルク分泌シグナルペプチドは、特に構成的に分泌されるか、または遺伝子発現レベルでその分泌がコントロールされる、どちらかのシグナルペプチドと比較したときに、哺乳類の組換えタンパク質の生産と哺乳類細胞からの分泌を誘導することにおいて特別に効果的であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、Gaussia ルシフェラーゼ、キモトリプシ (ノーゲ)ン、トリプシ (ノーゲ) ン2、トリプシ (ノーゲ) ンA、アミラーゼおよびVargulaルシフェラーゼのシグナルペプチドの配列を示す。
【図2】図2は、シームレスクローニング技術を示す簡略的な図を表す。
【図3】図3は、ルシフェラーゼアッセイに用いる抽出物調製で用いられる方法の模式図を示す。
【図4】図4は、Vargulaルシフェラーゼの分泌に対する異なるシグナルペプチドの効果を示す。
【図5】図5は、Gaussia ルシフェラーゼ分泌に対する異なるシグナルペプチドの効果を示す。
【図6】図6は、EGFPのウェスタン検出を表す。これは異なるシグナルペプチドのその分泌に対する効果ならびに発現産物サイズへのシームレスクローニングの効果を示す。
【図7】図7は、Gaussia ルシフェラーゼ分泌に対する異なるシグナルペプチドの効果を示す。
【図8】図8は、Gaussia ルシフェラーゼ分泌に対する、異なるシグナルペプチドおよびアルブミンのプロ配列の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において、標的タンパク質を発現することを含み、そのキメラタンパク質が、非哺乳動物の大量分泌タンパク質由来のシグナルペプチドおよびその標的タンパク質を含むことを特徴とする、標的タンパク質を生産する方法。
【請求項2】
前記宿主細胞が真核生物細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記宿主細胞が哺乳類細胞であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シグナルペプチドが少なくとも8アミノ酸を有することを特徴とする請求項1〜3
のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記シグナルペプチドが少なくとも10アミノ酸を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シグナルペプチドが少なくとも12アミノ酸を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キメラタンパク質が、該シグナルペプチドの本来のタンパク質の大部分を取り込んでいないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記キメラタンパク質が、該シグナルペプチドの本来のタンパク質から、15個未満のアミノ酸残基を取り込んでいることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記キメラタンパク質が、該シグナルペプチドの本来のタンパク質を取り込んでいないことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シグナルペプチドが、カイアシ類または貝虫類からの大量分泌タンパク質に由来することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記シグナルペプチドが、Gaussia princepsまたはVargula hilgendorfiiの大量分泌タンパク質に由来することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シグナルペプチドが、Gaussia princepsまたはVargula hilgendorfiiのルシフェラーゼに由来することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シグナルペプチドが、配列番号No.1もしくは配列番号No.2から選ばれる配列あるいはそのフラグメントまたは誘導体であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シグナルペプチドが、アミノ酸配列ALICIAあるいはその変異体またはフラグメントを含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記標的タンパク質が、本来的に分泌されないことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の核酸分子。
【請求項17】
配列番号No.1または配列番号 No.2をコードするヌクレオチド配列、それらの変異体ま
たはフラグメント、あるいは高ストリンジェント条件下でそれらと相補的であり、および/またはハイブリダイズすることができる配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項16の核酸分子。
【請求項18】
配列番号No.3または配列番号 No.4、それらの変異体またはフラグメント、あるいは高
ストリンジェント条件下でそれらと相補的であり、および/またはハイブリダイズすることができる配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項17の核酸分子。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれかの核酸分子によりコードされるキメラタンパク質分子。
【請求項20】
非哺乳類の大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドのヌクレオチド配列をクローニング部位から上流において含むベクターであって、該クローニング部位において標的タンパク質のコード配列が挿入され得る結果、該ベクターによる発現産物としてキメラタンパク質が生成し、そのキメラタンパク質は、非哺乳類の大量分泌タンパク質に由来するシグナルペプチドと該標的タンパク質とを含むことを特徴とするベクター。
【請求項21】
前記クローニング部位がシームレスクローニングに好適であることを特徴とする請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
請求項16〜21のいずれかに記載の核酸またはベクターを含む宿主細胞。
【請求項23】
前記宿主細胞が哺乳類であることを特徴とする請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
前記宿主細胞が、安定な細胞培養の一部である、請求項22または23に記載の宿主細胞。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれかに記載のキメラタンパク質をコードする核酸分子を含む該宿主細胞を含み、該宿主細胞でタンパク質を発現させること、該細胞の培養物を回収し、そこから該標的タンパク質を抽出し精製することを含むことを特徴とする、宿主細胞の培養の培地から標的タンパク質を得るための方法。
【請求項26】
請求項20または21に記載のベクターおよび宿主細胞を含むキット。
【請求項27】
キメラタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞において標的タンパク質を発現させることを含み、該キメラタンパク質は、大量分泌タンパク質から由来のシグナルペプチドと該標的タンパク質とを含み、その場合、該シグナルペプチドは分類学的に宿主細胞とは異なる生物源から得られ、しかも該キメラタンパク質は、シグナルペプチドの本来のタンパク質の15残基を超える残基を含まないことを特徴とする標的タンパク質の生産方法。
【請求項28】
前記シグナルペプチドが、Gaussia princepsまたはVargula hilgendorfiiルシフェラーゼから選択されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記宿主細胞が哺乳類細胞であることを特徴とする請求項27または28に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2007−520200(P2007−520200A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516484(P2006−516484)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002779
【国際公開番号】WO2005/001099
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505475965)
【Fターム(参考)】