説明

タンポンの検査装置、及び、タンポンの検査方法

【課題】紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンに対して前記紐の長さの検査を正確に行うことである。
【解決手段】紐22を備えたタンポン本体20と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体20を収納する筒状のアプリケータ30と、を有するタンポンの検査装置であって、吸気することにより前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばす吸気機構と、前記吸気機構が吸気している間に前記紐の長さを検査する紐長さ検査機構120と、を有するタンポンの検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポンの検査装置、及び、タンポンの検査方法に関する。特に、紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンに対して、前記紐の長さの検査を行う検査装置、及び、検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンポンは生理用品として広く知られている。タンポンの中には、紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納するアプリケータとを有するものがある。前記紐は、膣腔内に挿入されたタンポン本体を膣腔外に取り出すために備えられている。
ところで、紐は、正常な長さになった状態で備えられていなければならない。このため、上記構成のタンポンに対して、前記紐の長さの検査を行うことがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−42031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
紐の長さは、当然ながら正確に検査される必要がある。しかし、例えば、紐がばたつき等のために揺れ動いたり弛んでいたりすると、当該紐の長さを正確に検査することが困難になってしまう。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンに対して、前記紐の長さの検査を正確に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、主たる本発明は、
紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンの検査装置であって、
吸気することにより前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばす吸気機構と、
前記吸気機構が吸気している間に前記紐の長さを検査する紐長さ検査機構と、
を有することを特徴とするタンポンの検査装置である。
【0005】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンに対して、前記紐の長さの検査を正確に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書及び図面により、少なくとも次の事項が開示されている。
【0008】
先ず、紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンの検査装置であって、
吸気することにより前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばす吸気機構と、
前記吸気機構が吸気している間に前記紐の長さを検査する紐長さ検査機構と、
を有するタンポンの検査装置。かかるタンポンの検査装置であれば、紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばした状態で該紐の長さを検査する結果、該紐の長さが正確に検査されることになる。
【0009】
また、上記のタンポンの検査装置において、
前記タンポンの長手方向と交差する搬送方向に該タンポンを搬送する搬送機構を有し、
前記紐長さ検査機構は、
互いに対向し、前記搬送方向に沿って伸びた一対の壁を備えるケーシングと、
前記壁間に形成された隙間内において前記紐の長さを検査するためのセンサとを有し、
前記搬送機構は、前記紐のうちの前記アプリケータの前記後端から露出した露出部分が前記搬送方向に沿って前記隙間を通過するように、前記タンポンを搬送し、
前記吸気機構は、前記露出部分が前記隙間を通過している間に前記ケーシング内の空気を吸気することにより、前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばし、
前記紐長さ検査機構は、前記吸気機構が吸気している間に、前記センサにより前記紐の長さを検査することとしてもよい。かかるタンポンの検査装置であれば、簡易な構成により紐を真っ直ぐに伸ばした状態で該紐の長さを検査することが可能になる。
【0010】
また、上記のタンポンの検査装置において、
前記ケーシングは、
一対の前記壁と、
前記搬送方向と交差する交差方向の一端側において前記隙間が開放されることにより形成された開口と、
前記交差方向において前記開口の反対側で前記隙間を閉じる他の壁と、
前記壁及び前記他の壁のうちのいずれかに形成された孔とを備え、
前記搬送機構は、前記タンポンの長手方向が前記交差方向に沿った状態で、該タンポンを前記交差方向において前記開口側に位置させながら前記搬送方向に搬送し、
前記センサにより前記紐の長さが検査される位置は、前記搬送方向における前記隙間の中央部に位置し、
前記孔は、前記交差方向において前記センサよりも前記他の壁側に位置し、
前記吸気機構は、前記孔を通じて前記ケーシング内の空気を吸気することとしてもよい。かかるタンポンの検査装置では、紐の露出部分が前記隙間の搬送方向中央部を通過する際に、紐を真っ直ぐに伸ばすことが可能になる。そして、センサにより紐の長さが検査される位置が前記隙間の搬送方向中央部に位置することにより、紐を真っ直ぐに伸ばした状態で該紐の長さを検査することが可能になる。
【0011】
また、上記のタンポンの検査装置において、
前記紐長さ検査機構は、前記センサとしての第一光センサ及び第二光センサを有し、
前記第一光センサ及び前記第二光センサは、前記交差方向において互いに異なる位置に位置し、
前記搬送機構は、前記タンポンの長手方向に沿って伸ばされたときの前記紐の長さが正常な長さである場合に、該紐の後端が前記交差方向において前記第一光センサと前記第二光センサの間を通過するように、前記タンポンを搬送することとしてもよい。かかるタンポンの検査装置であれば、紐の長さが正常な長さよりも短い(長い)場合に、該紐の長さの異常を確実に検知することが可能になる。
【0012】
また、上記のタンポンの検査装置において、
前記露出部分を前記アプリケータの前記後端から引き出す引き出し機構を有し、
前記引き出し機構は、前記搬送方向において前記長さ検査機構よりも上流側に設けられ、吸気することにより前記露出部分を引き出すこととしてもよい。かかるタンポンの検査装置であれば、紐の本来露出部分となるべき部分がアプリケータ内に埋もれる等して該アプリケータの後端から適切に露出していない場合に、当該部分を引き出すことが可能になる。これにより、露出部分を適切に露出させた状態で紐の長さの検査を行うことが可能になる。
【0013】
また、上記のタンポンの検査装置において、
前記引き出し機構は、鉛直方向に沿って伸びた吸引パイプを有し、
前記引き出し機構は、前記交差方向に沿って伸びた吸引パイプを有し、
前記吸引パイプの先端部には、前記搬送方向において互いに対向する一対の切り欠きが形成され、
前記搬送機構は、前記アプリケータの前記後端が一対の前記切り欠きの双方を通過するように、前記タンポンを搬送し、
前記引き出し機構は、前記アプリケータの前記後端が前記搬送方向において前記切り欠きの間に位置する際に、前記吸引パイプ内の空気を吸気することにより前記露出部分を引き出すこととしてもよい。かかるタンポンの検査装置であれば、紐のうち、露出部分となる部分がアプリケータの後端から適切に露出していない場合に、当該部分を前記アプリケータの後端から適切に引き出すことが可能になる。
【0014】
また、上記のタンポンの検査装置において、
前記露出部分と当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記搬送方向において前記紐引き出し機構よりも上流側に設けられ、
前記搬送機構は、前記露出部分が前記当接部材に当接して該当接部材に引っ掛かるように、前記タンポンを搬送することとしてもよい。かかるタンポンの検査装置であれば、引き出し機構が引き出し動作を行う間に、当該引き出し動作の対象となるタンポンよりも上流側に位置するタンポンの紐が、前記引き出し機構の方へ吸い寄せられるのを防止することが可能になる。この結果、引き出し機構において紐同士が絡み合うのを防止することが可能になる。
【0015】
さらに、紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納するアプリケータと、を有するタンポンの検査方法であって、
吸気機構によって吸気することにより、前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばす工程と、
前記吸気機構が吸気している間に前記紐の長さを検査する工程と、を有するタンポンの検査方法も実現可能である。かかるタンポンの検査方法であれば、紐の長さを正確に検査することが可能になる。
【0016】
===タンポン10の構成について===
本実施形態のタンポン10の構成について図1〜図6を参照しながら説明する。
図1及び図2は、タンポン10の構成要素を示す断面図である。図1は、内筒50を収縮させた状態のタンポン10を、図2は、内筒50を伸張させた状態のタンポン10を、それぞれ示している。図3は、第一内筒51と第二内筒52が連結している様子を示す図であり、図2において記号Xが記された部分の拡大図である。図4A及び図4Bは、外筒40の外観図である。図4Cは、図4Aに示す外筒40を先端側から見た図である。図5は、第一内筒51の外観図である。図6は、第二内筒52の外観図である。なお、以降の説明において、タンポン10の長手方向において、膣腔内に挿入される側を先端側と呼び、反対側を後端側と呼ぶ。
【0017】
本実施形態のタンポン10は、図1に示すように、タンポン本体20とアプリケータ30を有する生理用品である。タンポン本体20は、同図に示すように、綿体21と該綿体21に縫い付けられた紐22を備える。綿体21は、膣腔を閉塞して経血等を吸収する吸収体である。この綿体21は、不織布により両面を覆われた綿帯23(図8A参照)を裁断し、当該綿帯23をプレス加工した後に略弾丸状に加熱成形することによって形成される。紐22は、綿体21の後端側から伸びており、膣腔内にある綿体21を膣腔外に取り出す際に使用者によって持たれる。また、紐22は、図1に示すように、アプリケータ30内を通り該アプリケータ30の後端から幾分引き出されて露出している。なお、以降の説明では、紐22のうち、アプリケータ30の後端から露出している部分を露出部分22aと呼ぶ。また、紐22の自由端側の端を紐22の後端と呼び、固定端側(綿体21側)の端を紐22の先端と呼ぶ。
【0018】
アプリケータ30は、筒状の部材であり、その後端から前記紐22を露出させた状態でタンポン本体20を収納する。また、アプリケータ30は、タンポン本体20(具体的には、綿体21)を膣腔内に導き入れ易くするための補助具でもある。アプリケータ30は、図1に示すように、タンポン本体20を収納する部分となる外筒40と、該外筒40に収容されたタンポン本体20を押し出す内筒50とを備えている。
【0019】
外筒40は、熱可塑性樹脂からなる円筒体であり、適宜な可撓性を有する。また、外筒40は、先端部に設けられた大径部41と、後端部に設けられ大径部41よりも外径が小さい小径部42とを備えている。大径部41は、タンポン本体20の径より僅かに長い内径を有する。タンポン本体20は、外筒40のうち、大径部41の内部に収納される。そして、大径部41は、タンポン10の使用時にタンポン本体20を収納した状態で膣腔内に挿入される。なお、タンポン本体20は、その外周面が大径部41の内周面と接するように該大径部41に収納される。小径部42は、タンポン10の使用時に使用者によって持たれる部分である。但し、外筒40には小径部42が設けられていなくてもよい。
【0020】
また、外筒40は、図4A及び図4Bに示すように、先端開口43と該先端開口43を囲んだ複数(本実施形態では、6つ)の花弁状部分44とを備えている。複数の花弁状部分44の各々は、外筒40の先端部に設けられており、タンポン10を出荷する時点では図4Aに示すように外筒40の径方向において内側に弧状に屈曲している。このため、外筒40を膣腔内に挿入する時点では、該外筒40の先端部が図1や図2に示すように略半球状をなしており、先端開口43が図4Cに示すように略閉じた状態にある。一方、射出成形された直後の外筒40については、図4Bに示すように前記複数の花弁状部分44の各々が開いており、前記先端開口43が開いた状態にある。
【0021】
また、外筒40は、図4Aに示すように、後端開口45と該後端開口45よりもやや先端側に形成された環状リブ46を備えている。さらに、大径部41及び小径部42との間には環状の段差47が形成されている。
【0022】
内筒50は、外筒40の小径部42に挿入された円筒体である。内筒50は、外筒40内においてタンポン本体20よりも後端側に位置しており、外筒40の中心軸方向に沿って移動して該タンポン本体20を先端開口43に向けて後方から押し進める。これにより、タンポン本体20が複数の花弁状部分44の各々を外筒40の径方向において外側に押し退けながら(換言すると、前記先端開口43を開きながら)外筒40の外に押し出される。つまり、内筒50は、外筒40内において移動可能であり、タンポン本体20を先端開口43から外筒40の外に押し出す機能を備えている。
【0023】
なお、本実施形態の内筒50は、タンポン10の全長をよりコンパクトにするために伸縮可能な構造になっている。具体的に説明すると、図1に示すように内筒50が収縮したとき、該内筒50の長さは外筒40の長さよりも短くなりタンポン10を携帯するのに適した長さとなる。一方、図2に示すように内筒50が伸張すると、該内筒50の長さはタンポン本体20を外筒40の外に押し出すのに十分な長さとなる。以上のように内筒50を伸縮可能とするために、本実施形態では、内筒50が二段構造になっている。具体的に説明すると、本実施形態の内筒50は、図1に示すように、第一内筒51と、該第一内筒51に摺動可能に挿入された第二内筒52とを有する。
【0024】
第一内筒51は、プラスチックからなる円筒体である。この第一内筒51は、外筒40の小径部42の内径よりも僅かに小さい外径を有する。また、第一内筒51は、図1に示すように前記小径部42に摺動自在に挿入されている。第一内筒51の先端部の外周面上には、図5に示すように、環状の鍔部51aが形成されている。この鍔部51aは、外筒40の大径部41よりも僅かに小さい外径を有し、前記段差47の内壁面に係止されることにより内筒50が外筒40の後端開口45から抜け落ちるのを阻止している。そして、内筒50がタンポン本体20を外筒40の外に押し出す際、該内筒50は、前記鍔部51aの外周面が大径部41の内周面と接するように移動する。さらに、第一内筒51の内周面の後端部には、図1や図2に示すように、該第一内筒51の径方向において内側に突出した環状突起51bが形成されている。
【0025】
第二内筒52は、熱可塑性樹脂からなる円筒体である。この第二内筒52は、第一内筒51の内径よりもやや小さい外径を有する。また、第二内筒52は、内筒50が収縮した状態では図1に示すように第一内筒51内に挿入されており、内筒50が伸張した状態では図2に示すように該第二内筒52の先端部にて第一内筒51の後端部と連結している。第二内筒52の先端部の外周面上には、図6に示すように、円弧状の鍔部52aと、該鍔部52aよりも後端側に位置する凸部52bが形成されている。この凸部52bの高さは、図3に示すように、後端に向かうにつれて低くなっている。なお、第二内筒52の鍔部52aと凸部52bとの間隔は、第一内筒51の環状突起51bの厚みよりもやや長くなっている。
【0026】
そして、第二内筒52が後端側に引っ張られると、第一内筒51の環状突起51bが第二内筒52の鍔部52aと凸部52bとの間に位置するようになる。かかる状態になると、図3に示すように、前記環状突起51bが前記鍔部52a及び凸部52bに係止され、第一内筒51と第二内筒52が連結する。
【0027】
さらに、図1や図2に示すように、第二内筒52の後端部にはフレア状部分52cが形成されている。当該フレア状部分52cの外径は、少なくとも第一内筒51の内径よりも大きく、外筒40の小径部42の内径以上であることが望ましい。
【0028】
===タンポン10の製造プロセス===
上記構成を有するタンポン10の製造プロセスは、図7に示すように、タンポン10を構成する各物品を製造するステップ(以下、物品製造ステップS001)と、製造された各物品からタンポン10を組み立ててタンポン10を製造するステップ(以下、メイン製造ステップS002)と、製造されたタンポン10を検査するステップ(以下、検査ステップS003)と、タンポン10を包装するステップ(以下、包装ステップS004)とを有する。図7は、タンポン10の製造フローを示す図である。以下、上記の各ステップについて説明する。
【0029】
<<物品製造ステップS001>>
物品製造ステップS001では、タンポン10を構成するタンポン本体20、外筒40及び内筒50(より具体的には、第一内筒51と第二内筒52)がそれぞれ製造される。
【0030】
上記の物品のうち、外筒40、第一内筒51及び第二内筒52は、それぞれ射出成形により製造される。なお、外筒40については、複数の花弁状部分44の各々が開いた状態のもの(図4Bに示す外筒40)が製造される。また、第二内筒52については、フレア状部分52cが形成されていない状態のもの(図6に示す第二内筒52)が製造される。
【0031】
一方、タンポン本体20は、図8A〜図8Cに図示される手順により製造される。図8A〜図8Cは、タンポン本体20を製造する手順についての説明図である。具体的に説明すると、先ず、不織布に両面を覆われた綿帯23を略矢羽状に裁断する。次に、図8Aに示すように、裁断された綿帯23に紐22を縫い付ける。紐22は、連続的に供給され、前記綿帯23に縫い付けられた後に不図示のカッターによって所定の長さ(規格範囲内の長さ)となるように切断される。紐22が縫い付けられた綿帯23は、図8Bに示すように、円柱状になるようにプレス加工機200によってプレス加工される。その後、綿帯23は、不図示の加熱成形機により略弾丸状に加熱成形される。以上のような手順により、図8Cに示すようなタンポン本体20が製造される。
【0032】
<<メイン製造ステップS002>>
メイン製造ステップS002について図9A〜図9Dを参照しながら説明する。図9A〜図9Dは、タンポン10を製造する様子を示す変遷図である。
【0033】
メイン製造ステップS002は、物品製造ステップS001により製造された各物品を組立ラインに供給するところから始まる。当該組立ラインにおいて前記各物品からタンポン10が組み立てられていく。組立ラインには、先ず、射出成形された外筒40が供給される。なお、組立ラインに供給された段階の外筒40は、図9Aに示すように、複数の花弁状部分44の各々が開いた状態(つまり、先端開口43が開いた状態)にある。
【0034】
次に、図9Aに示すように、射出成形された第一内筒51を先端開口43から該外筒40に挿入する。外筒40に挿入された第一内筒51は、その後端部が外筒40の後端開口45から突出し鍔部51aが外筒40の段差47の内壁面に係止された状態となる(図9B参照)。
【0035】
次に、図9Bに示すように、射出成形された第二内筒52を先端開口43から外筒40に挿入する。外筒40に挿入された第二内筒52は、その後端部が第一内筒51の後端側の開口から突出し鍔部52aが第一内筒51の内周面に係止された状態となる(図9C参照)。第二内筒52が外筒40に挿入された後に、第二内筒52の後端部を加熱成形することによりフレア状部分52cが形成される。以上までの工程によりアプリケータ30の組み立てが完了する。
【0036】
その後、図9Cに示すように、上記手順により製造されたタンポン本体20を組立ラインに供給し、該タンポン本体20を先端開口43から外筒40に挿入する。この際、図9Cに示すように、タンポン本体20は紐22が備えられている側から挿入される。これにより、タンポン本体20は外筒40内に正しい向きで収納されるようになる。そして、タンポン本体20が外筒40に挿入されると、綿体21が該外筒40の大径部41に収納され、紐22がアプリケータ30の後端(具体的には、第二内筒52の後端側の開口)から幾分引き出されるようになる。換言すると、タンポン本体20がアプリケータ30内に収納され、紐22の露出部分22aが前記アプリケータ30の後端から露出するようになる。以上までの工程によりタンポン10の組み立てが完了する。
【0037】
そして、タンポン10を組み立てた後、図9Dに示すように、複数の花弁状部分44の各々を外筒40の径方向において内側に倒れるように湾曲させて該外筒40の先端部を略半球状に加熱成形する処理(以下、先端加工処理とも言う)を行う。先端加工処理が終了した時点で、タンポン10が完成し、メイン製造ステップS002が完了する。
【0038】
<<検査ステップS003>>
検査ステップS003の中では、メイン製造ステップ002にて製造されたタンポン10に対してタンポン本体20の紐22の長さを検査する工程が行われる。当該工程は後述の検査装置100によって行われ、本実施形態では全タンポン10に対して行われる(すなわち、全数検査が行われる)。タンポン10は、検査装置100の検査結果に応じて選別されることになり、紐22の長さが正常な長さ(より具体的には、規格範囲内の長さ)であった場合には後段の包装ステップS004に向けて搬送される。他方、紐22の長さが正常な長さではなかったタンポン10については、取り除かれて回収される。
【0039】
なお、検査ステップS003における検査方法が、本実施形態のタンポン10の検査方法に相当する。すなわち、本実施形態のタンポン10の検査方法は、該タンポン10に備えられた紐22(詳しくは、タンポン10中のタンポン本体20が有する紐22)の長さを検査する工程を有することになる。当該工程については後に詳述する。
【0040】
<<包装ステップS004>>
包装ステップS004では、袋状の包装フィルムにタンポン10を封入し、該タンポン10を個別包装する。包装されたタンポン10は、箱詰めされた後に出荷される。
【0041】
===検査装置100の構成===
紐22の長さを検査する工程を説明するにあたり、当該工程を実施する検査装置100について図10を参照しながら説明する。図10は、検査装置100を示す模式図であり、検査装置100を上方から見たときの図である。なお、図10中には、タンポン10の搬送方向、及び、搬送方向と交差する交差方向が矢印にて示されている。
【0042】
本実施形態の検査装置100は、図10に図示された搬送機構110及び紐長さ検査機構120と、吸気機構130(例えば、図12B参照)とを有する。
【0043】
搬送機構110は、メイン製造ステップS002にて製造されたタンポン10を、該タンポン10の長手方向と交差する搬送方向に搬送するものである。本実施形態における搬送方向は、タンポン10の長手方向と略直交する方向であり、具体的には水平方向である。本実施形態の搬送機構110は、図11に示すように、搬送方向に沿って伸びた搬送ベルトを有し、保持具110aにタンポン10を保持させながら該タンポン10を前記保持具110aとともに搬送する。図11は、搬送機構110を側方から見たときの図である。保持具110aは、搬送機構110に固定された略直方体の部材であり、図11に示すように、該保持具110aの搬送方向中央部に形成された略半円柱状の窪みにアプリケータ30を嵌め込むことにより、タンポン10を保持する。
【0044】
保持具110aに保持されたタンポン10は、その長手方向が交差方向に沿った姿勢(横置き姿勢)を取る。ここで、交差方向とは、搬送方向と交差する方向であり、本実施形態では水平方向において搬送方向と交差する方向である。そして、搬送機構110は、タンポン10の姿勢を上記の姿勢に維持しながら、搬送方向に該タンポン10を搬送することになる。なお、以下では、交差方向において、搬送中のタンポン10の後端から見て該タンポン10の先端が位置する側を一端側と呼び、タンポン10の先端から見て該タンポン10の後端が位置する側を他端側と呼ぶ(図10参照)。
【0045】
また、搬送機構110は、図10に示すように、搬送方向において一定の間隔(本実施形態では、約50.8mmの間隔)を空けながらタンポン10を順次搬送する。このとき、各タンポン10は、交差方向において同一位置を移動する。つまり、各タンポン10は、交差方向において当該各タンポン10の先端位置がタンポン10間で揃えられた状態で搬送方向下流側へ移動する。
【0046】
具体的に説明すると、保持具110aは、搬送方向に沿って連なるように複数並べられ、その交差方向における位置が保持具110a間で揃えられた状態で搬送方向へ搬送される。各タンポン10は、外筒40に備えられた環状リブ46の先端側端面が保持具110aの交差方向他端面に当接した状態で、前記保持具110aに保持される(図10参照)。これにより、各タンポン10は、保持具110aとともに搬送方向へ搬送される際、当該各タンポン10の先端位置がタンポン10間で揃えられた状態となる。
【0047】
紐長さ検査機構120は、各タンポン10が搬送されている間に、当該各タンポン10に対して紐22の長さの検査を行うものである。紐長さ検査機構120は、図10に示すように、センサ121とケーシング122とを有する。
【0048】
センサ121は、紐長さ検査機構120が紐22の長さを検査するためのものであり、搬送中のタンポン10から見て交差方向他端側に備えられている。本実施形態のセンサ121は、光センサであり、光を照射し、その照射光が遮られることにより、当該照射光の光路上における紐22の有無を検知する。
【0049】
なお、本実施形態では、交差方向に沿って並ぶ3つのセンサ121が備えられている。当該3つのセンサ121は、搬送方向において略同一位置に位置し、かつ、交差方向において互いに異なる位置に位置している。以下、3つのセンサ121のうち、交差方向において最も一端側に位置するセンサ121(搬送中のタンポン10に最も近い位置に位置するセンサ121)を一端側センサ121aと呼び、最も他端側に位置するセンサ121(搬送中のタンポン10から最も離れた位置に位置するセンサ121)を他端側センサ121cと呼び、一端側センサ121a及び他端側センサ121cの間に位置するセンサ121を中間センサ121bと呼ぶ。
【0050】
一端側センサ121aは、交差方向において基準位置から約19mmだけ他端側にずれた位置に配置されている。ここで、基準位置とは、紐長さ検査機構120が各タンポン10の紐22を検査する際に基準とする位置のことである。本実施形態における基準位置は、保持具110aの交差方向他端面の位置に相当する。また、前述したように、保持具110aにタンポン10が保持された状態では、該タンポン10が備える外筒40の環状リブ46の先端側端面が保持具110aの交差方向他端面に当接している。このため、基準位置は、各タンポン10が備える外筒40の環状リブ46の先端側端面の位置に相当することになる。なお、基準位置については、上記の位置に限定されず他の位置(例えば、アプリケータ30の後端の位置)であってもよい。
【0051】
そして、一端側センサ121aは、タンポン10のアプリケータ30の後端が搬送方向において該一端側センサ121aと同じ位置に位置した際に、当該アプリケータ30の後端よりもやや交差方向他端側で紐22の有無を検知する。すなわち、一端側センサ121aは、タンポン10の紐22がアプリケータ30の後端から露出しているか否か(すなわち、露出部分22aの有無)を検知するためのセンサ121であり、紐22が縫い付けられた綿体21(すなわち、タンポン本体20)がアプリケータ30内に収納されているか否か、及び、アプリケータ30内の綿体21に紐22が縫い付けられているか否かを検査するために備えられている。但し、一端側センサ121aが備えられていない構成であってもよい。
【0052】
中間センサ121bは、一端側センサ121aよりも約45mmだけ交差方向他端側に位置したセンサ121であり、第一光センサに相当する。他端側センサ121cは、一端側センサ121aよりも約70mmだけ交差方向他端側に位置したセンサ121であり、第二光センサに相当する。
【0053】
そして、タンポン10のアプリケータ30の後端が搬送方向において一端側センサ121aと同じ位置に位置する際、前記タンポン10に備えられた紐22が正常な長さ(規定範囲内の長さ)であり、かつ、真っ直ぐ伸びていれば、前記紐22の後端が交差方向において中間センサ121bと他端側センサ121cの間を通過するようになる。つまり、前述の搬送機構110は、タンポン10の長手方向に沿って真っ直ぐに伸ばされた紐22の長さが正常な長さである場合に、該紐22の後端が交差方向において中間センサ121bと他端側センサ121cの間を通過するようにタンポン10を搬送する。
【0054】
以上のように、センサ121のうち、中間センサ121b及び他端側センサ121cは、各タンポン10の紐22が正常な長さであるか否かを検査するために紐長さ検査機構120に備えられたセンサ121である。具体的に説明すると、中間センサ121bが紐22を検知し、かつ、他端側センサ121cが前記紐22を検知しなかった場合、紐長さ検査機構120は、前記紐22の長さが正常な長さであると判定する。
【0055】
さらに、本実施形態では、図10に示すように、一端側センサ121a、中間センサ121b、及び、他端側センサ121cの各々が搬送方向において2箇所に配置されている。2つの一端側センサ121aの各々は、交差方向において同じ位置に位置している。同様に、2つの中間センサ121bの各々、及び、2つの他端側センサ121cの各々についても交差方向において同じ位置に位置している。以上のように、本実施形態では、一端側センサ121a、中間センサ121b、及び、他端側センサ121cの組み合わせが2組配置されている。これにより、紐長さ検査機構120の検査精度の向上を図っている。但し、一端側センサ121a、中間センサ121b、及び、他端側センサ121cの組み合わせの数については、2組に限定されるものではない。例えば、当該組み合わせの数が1組であってもよく、あるいは3組以上であってもよい。
【0056】
ケーシング122は、搬送中のタンポン10から見て交差方向他端側に備えられた枠体であり、図12A〜図12Cに示すように、下壁123、上壁124、及び、側壁125とを有する。図12A〜図12Cは、ケーシング122を模式的に示す図である。図12Aは、ケーシング122の斜視図である。図12Bは、ケーシング122の正面図であり、図12Aにおける矢視方向Aからケーシング122を見たときの図である。図12Cは、ケーシング122の側面図であり、図12Aにおける矢視方向Bからケーシング122を見たときの図である。
【0057】
下壁123及び上壁124は、一対の壁の一例であり、鉛直方向において互いに対向した状態で並んでいる。下壁123及び上壁124の各々は、略水平に置かれた平壁であり搬送方向に沿って伸びている。また、図12Aに示すように、下壁123及び上壁124の各々は、鉛直方向に沿って見たときに略ホームベース状となっている。但し、下壁123及び上壁124の各々の形状については、本実施形態に係る形状に限定されるものではなく、例えば、上から見たときに略矩形状、略三角形状、あるいは、略半円状であってもよい。
【0058】
また、下壁123及び上壁124の間には隙間126が形成されている。本実施形態において、前記隙間126の幅(鉛直方向における長さ)は約5mmであり、該隙間126の奥行き(搬送方向における長さ)は約120mmである(図12C参照)。
【0059】
また、本実施形態では、上壁124の搬送方向両端部が、下壁123から離れるように上方に向かって屈曲している。すなわち、図12Cに示すように、上壁124は交差方向に沿って見たときに略弓型をなしており、隙間126の間隔が、搬送方向両端部において搬送方向中央部における該間隔よりも幾分大きくなっている。
【0060】
側壁125は、他の壁の一例であり、図12A及び図12Bに示すように、下壁123及び上壁124に挟まれており、上方から見たときに略U字状となっている。具体的に説明すると、側壁125は、図12Aに示すように、搬送方向中央部に配置された中央部125aと、該中央部125aの両端部に隣接し該中央部125aから離れるほど交差方向一端側に向かうように傾いた傾き部125bと、側壁125の搬送方向両端部に配置され、交差方向に沿った端部125cからなる。端部125cの交差方向一端は、下壁123及び上壁124の交差方向一端よりも幾分交差方向他端側に位置している。なお、端部125cの交差方向一端の位置は、基準位置から約89mmだけ交差方向他端側に位置している(図10参照)。
【0061】
そして、側壁125は、図12Bに示すように、隙間126の交差方向他端部を塞いでいる。一方、隙間126の交差方向一端は、開放端となっている。つまり、ケーシング122は、交差方向の一端側において隙間126が開放されることにより形成された開口127を有していることになる。また、側壁125は、交差方向において前記開口127の反対側で隙間126を閉じている。
【0062】
また、ケーシング122は、下壁123を鉛直方向に貫通した孔123aを備えている。この孔123aは、円孔であり、下壁123の搬送方向中央部に形成され、下壁123の交差方向他端よりも幾分一端側に(具体的には、側壁125の中央部125aの交差方向一端面よりも僅かに一端側)に位置している。そして、下壁123における孔123aの形成位置には、後述するダクト131が接続されている。なお、孔123aの形成位置については、上記の位置に限定されるものではなく、当該孔123aは、下壁123、上壁124、及び側壁125のうちのいずれかに形成されていればよい。
【0063】
以上のような構成のケーシング122は、その脇をタンポン10のアプリケータ30が移動するように配置されている。具体的に説明すると、搬送機構110は、アプリケータ30の後端が開口127と対向するように、各タンポン10を交差方向において前記開口127側に位置させながら搬送方向に搬送する(図10参照)。
【0064】
また、本実施形態では、タンポン10が搬送方向に搬送される際、該タンポン10に備えられた紐22の露出部分22aが下壁123及び上壁124の間に形成された隙間126を通過するように、ケーシング122が配置されている。つまり、本実施形態の搬送機構110は、前記露出部分22aが搬送方向に沿って隙間126を通過するように、タンポン10を搬送する。
【0065】
また、ケーシング122内には、前述した中間センサ121b、他端側センサ121cが収容されている。具体的に説明すると、中間センサ121b及び他端側センサ121cは、下壁123及び上壁124のうちの一方の内壁面に取り付けられている。すなわち、中間センサ121b及び他端側センサ121cは、前記隙間126内において当該隙間126を通過する紐22の長さを検査するためのセンサ121である。さらに、中間センサ121b及び他端側センサ121cの各々により紐22の長さが検査される位置は、前記隙間126の内側に位置し、本実施形態では当該隙間126の搬送方向中央部に位置している。また、一端側センサ121aにより紐22の露出部分22aの有無が検査される位置は、隙間126の外側(交差方向において開口127よりも一端側)に位置している。
【0066】
なお、本実施形態において、各センサ121は、前述した孔123aの形成位置よりも交差方向一端側に位置している(図10参照)。換言すると、孔123aは、交差方向において各センサ121(具体的には、他端側センサ121c)よりも側壁125側(他端側)に位置している。
【0067】
吸気機構130は、前述の孔123aを通じてケーシング122内の空気(より具体的には、隙間126内の空気)を吸気するものである。この吸気機構130は、ダクト131と、吸気源としての吸気ポンプ132を備える(図12C参照)。ダクト131は、吸気ポンプ132と前記孔123aとの間に配設された蛇腹状のダクトであり、吸気ポンプ132がケーシング122内の空気を吸気する際の風路を形成している。吸気ポンプ132は、所定の吸引圧力(本実施形態では約0.7kPa)にて吸気する。なお、本実施形態では、ダクト131の内径(本実施形態では、約34mm)が、孔123aの直径(本実施形態では、約25mm)よりも幾分大きくなっている。
【0068】
以上のような構成の吸気機構130では、各タンポン10の紐22(具体的には、紐22の露出部分22a)が隙間126を通過している間に、吸気ポンプ132による吸気動作が行われる。当該吸気動作によって、紐22は、隙間126の搬送方向中央部を通過する際に、タンポン10の長手方向に沿って真っ直ぐに伸ばされるようになる。なお、本実施形態では、検査装置100が稼動している間、常時、吸気ポンプ132が作動している。但し、これに限定されるものではなく、例えば、紐22の露出部分22aが隙間126を通過している期間に限り、吸気ポンプ132が作動する(吸気動作が行われる)こととしてもよい。また、吸気機構130の配置位置については、上記の如く吸気動作が行われる限り、如何なる位置であってもよい。
【0069】
そして、上述のセンサ121及びケーシング122を有する紐長さ検査機構120は、前記吸気機構130が吸気している間に、上述の3つのセンサ121により各タンポン10の紐22の長さを検査する。より具体的に説明すると、上記の紐長さ検査機構120は、紐22の露出部分22aが隙間126の搬送方向中央部を通過する際に(つまり、紐22がタンポン10の長手方向に沿って伸ばされている間に)、前記3つのセンサ121により紐22の長さを検査する。なお、紐長さ検査機構120による検査動作については、次項において詳しく説明する。
【0070】
本実施形態の検査装置100は、上述した機器に加え、図10に示すように、引き出し機構140と当接部材150とを更に有する。引き出し機構140は、タンポン10の紐22のうち、本来露出部分22aとなる部分が縒りや弛み等によりアプリケータ30内に埋もれて該アプリケータ30の後端から適切に露出していない場合に、紐22(より具体的には、本来露出部分22aとなる部分)をアプリケータ30の後端から強制的に引き出すものである。
【0071】
本実施形態において、引き出し機構140は、搬送方向において紐長さ検査機構120よりも上流側に設けられている。そして、引き出し機構140は、各タンポン10が有するアプリケータ30の後端の側から吸気する吸気動作(以下、予備吸気動作)を行うことにより、紐22を引き出す。かかる予備吸気動作を行うために、引き出し機構140は、図10に図示された吸引パイプ141と、吸気源を備えている。
【0072】
吸引パイプ141は、搬送方向において、紐長さ検査機構120よりも上流側に位置している。吸引パイプ141内の空気は、引き出し機構140が有する吸気源により吸気される。吸引パイプ141は、交差方向に沿って伸びている。なお、吸引パイプ141の後端部(交差方向他端側の端部)には、該吸引パイプ141とは異径の接続パイプ142が接続されている。この接続パイプ142を介して、吸引パイプ141は上記吸気源の吸込口(不図示)に繋がれている。
【0073】
また、吸引パイプ141の先端部(交差方向一端側の端部)の外周壁には、図13に示すように、搬送方向において互いに対向する一対の切り欠き141aが形成されている。図13は、吸引パイプ141の先端側開口を示す図である。各切り欠き141aは、鉛直方向において約20mmの高さと、交差方向において約15mmの幅を有する(図10及び図13参照)。なお、各切り欠き141aの高さは、アプリケータ30の後端部の外径(具体的には、第一内筒51及び第二内筒52の外径)よりも大きくなっている。
【0074】
そして、タンポン10は、図10に示すように、アプリケータ30の後端が一対の切り欠き141aの双方を通過するように搬送方向に移動する。換言すると、搬送機構110は、アプリケータ30の後端が一対の切り欠き141aの双方を通過するように(つまり、アプリケータ30の後端部が吸引パイプ141の先端部の内側を通過するように)、タンポン10を搬送する。
【0075】
分かり易く説明すると、交差方向におけるタンポン10の搬送経路と吸引パイプ141との位置関係は、図10に示すように、搬送方向において吸引パイプ141が配置された位置にタンポン10が差し掛かった際に該タンポン10のアプリケータ30の後端部と吸引パイプ141の先端部が重なるような関係、にある。ここで、吸引パイプ141の先端部に前記切り欠き141aが形成されていることにより、アプリケータ30の後端部は、搬送方向上流側の切り欠き141aを通じて吸引パイプ141の先端部の内側へ進入し、搬送方向下流側の切り欠き141aを通じて当該先端部の外側へ出ることができる。
【0076】
以上のような構成の引き出し機構140は、タンポン10の搬送期間中、アプリケータ30の後端が搬送方向において一対の切り欠き141aの間に位置する際に(すなわち、アプリケータ30の後端部が吸引パイプ141の先端部の内側に位置する際に)、前述の予備吸気動作にて吸引パイプ141内の空気を吸気する。これにより、紐22のうち、本来露出部分22aとなる部分がアプリケータ30の後端から適切に露出していない場合に、前記紐22(より具体的には、本来露出部分22aとなる部分)が引き出されるようになる。また、予備吸気動作の際には、アプリケータ30の後端部が吸引パイプ141の先端部の内側に位置するため、効率良く紐22を引き出すことが可能である。
【0077】
なお、本実施形態の引き出し機構140は、吸気機構130が有する吸気ポンプ132を吸気源として用いている。すなわち、本実施形態では、吸気機構130及び引き出し機構140が吸気源を共有している。一方、予備吸気動作によって紐22をアプリケータ30の後端から引き出す際には、吸気動作によって紐22をタンポン10の長手方向に沿って伸ばす際の吸引力よりも大きな吸引力を必要とする。このため、本実施形態では、吸引パイプ141の先端側開口(すなわち、予備吸気動作時の吸気口)が、ケーシング122の開口127(すなわち、吸気動作時の吸気口)よりも狭くなっている(図12C及び図13参照)。この結果、吸気機構130及び引き出し機構140が単一の吸気源(すなわち、吸気ポンプ132)を共有しているとしても、予備吸気動作において紐22を引き出すために必要な吸引力が的確に確保されることになる。
【0078】
但し、吸気源については、吸気機構130と引き出し機構140により共有されている場合に限定されず、前記吸気機構130及び引き出し機構140の各々に個別の吸気源が備えられていることとしてもよい。
【0079】
当接部材150は、搬送方向において引き出し機構140よりも上流側に設けられた棒体である。この当接部材150を搬送方向の上流側から見ると、図14に示すように、当該当接部材150はL字状に屈曲しており、交差方向に伸びた交差部150aと、鉛直方向に伸びた鉛直部150bと、を有している。図14は、当接部材150を示す図であり、該当接部材150を搬送方向の上流側から見たときの図である。
【0080】
当接部材150は、図14に示すように、その交差部150aが略矩形状のブラケット151に固定されることにより、該ブラケット151に支持されている。また、当接部材150は、交差部150a及び鉛直部150bが搬送中のタンポン10の紐22(より具体的には、紐22の露出部分22a)と当接するように配置されている。なお、交差方向における搬送中のタンポン10と当接部材150との位置関係については、図10及び図14に示す通りである。
【0081】
そして、当接部材150は、タンポン10が搬送される際に該タンポン10の紐22の露出部分22aと当接する。この結果、露出部分22aが当接部材150に引っ掛かるようになる。つまり、搬送機構110は、露出部分22aが当接部材150に当接し該当接部材150に引っ掛かるように、タンポン10を搬送方向に搬送する。このように、当接部材150は、紐22の露出部分22aを該当接部材150に引っ掛けることにより、前記露出部分22aが吸引パイプ141側に吸い寄せられるのを防いでいる。
【0082】
分かり易く説明すると、搬送方向において吸引パイプ141が位置する位置に一のタンポン10が到達し、当該一のタンポン10に対して予備吸引動作が行われている際に、当接部材150は、当該一のタンポン10と搬送方向上流側で隣り合う他のタンポン10の紐22の露出部分22aと当接する。これにより、他のタンポン10の紐22の露出部分22aが吸引パイプ141の方へ吸い寄せられるのを防止している。この結果、予備吸引動作を受けているタンポン10の紐22と、該タンポン10と搬送方向下流側で隣り合うタンポン10の紐22とが絡み合うのを防止することが可能になる。
【0083】
<<検査装置100の動作例>>
次に、上記構成の検査装置100の動作例として、検査装置100による検査工程について説明する。
【0084】
検査装置100による検査工程は、メイン製造ステップS002にて製造された各タンポン10が、検査装置100へ供給されるところから始まる。前記各タンポン10は、検査装置100に供給されると、先ず不図示のセット機構により保持具110aにセットされる。この際、各タンポン10は、その長手方向が交差方向に沿った姿勢(横置き姿勢)でセットされる。そして、保持具110aにセットされたタンポン10は、前記姿勢を維持しながら、搬送機構110によって搬送方向に搬送される(図10参照)。なお、タンポン10は、紐22の一部がアプリケータ30の後端から幾分露出した状態で搬送される。
【0085】
また、搬送機構110は、各タンポン10を搬送方向において一定の間隔毎に並べた状態で、当該各タンポン10を順次搬送する。なお、搬送方向に並べられた各タンポン10は、当該各タンポン10の先端位置が交差方向においてタンポン10間で揃えられた状態で搬送される。
【0086】
ここで、搬送中のタンポン10から見て、ケーシング122、吸引パイプ141、及び、当接部材150はいずれも交差方向他端側に位置している。つまり、搬送機構110は、各タンポン10の長手方向が交差方向に沿った状態で、当該各タンポン10を交差方向においてケーシング122の開口127側に位置させながら搬送方向に搬送する。
【0087】
搬送機構110がタンポン10を搬送方向下流側へ搬送していくと、当該タンポン10は、紐22の露出部分22aが当接部材150に当接する位置を経由して、アプリケータ30の後端が吸引パイプ141の先端部に差し掛かる位置に到達する。その後、搬送機構110は、アプリケータ30の後端が吸引パイプ141の先端部に形成された一対の切り欠き141aの双方を通過するように、タンポン10を搬送する。そして、アプリケータ30の後端が搬送方向において切り欠き141aの間に位置する際に、引き出し機構140が吸引パイプ141内の空気を吸気する動作、すなわち、予備吸気動作を行う。これにより、紐22のうち、本来露出部分22aとなる部分がアプリケータ30内に埋もれている場合には、紐22(より具体的には、紐22のうち、本来露出部分22aとなる部分)が前記アプリケータ30の後端から引き出されるようになる。
【0088】
なお、タンポン10に対して予備吸気動作が行われている際、該タンポン10と搬送方向上流側で隣り合うタンポン10については、その紐22の露出部分22aが当接部材150に当接し該当接部材150に引っ掛かった状態にある。この結果、前述したように、予備吸引動作を受けているタンポン10と、当該タンポン10と搬送方向上流側で隣り合うタンポン10との間で、紐22同士(より具体的には、露出部分22a同士)が絡み合うのを防止している。
【0089】
そして、タンポン10は搬送方向において更に下流側へ搬送され、該タンポン10のアプリケータ30の後端が搬送方向下流側の切り欠き141aを通過して吸引パイプ141の先端部内から出ていく。このとき、紐22の露出部分22aが、該露出部分22aの一端(アプリケータ30の後端に位置する端)から他端(紐22の後端)に亘って、搬送方向下流側の切り欠き141aの縁に擦り付けられる。これにより、仮に紐22に捩れが発生している場合には当該捩れが解消されるようになる。
【0090】
その後、搬送機構110はタンポン10を更に搬送方向下流側へ搬送する。そして、タンポン10が搬送方向において紐長さ検査機構120が備えられた位置に到達すると、当該紐長さ検査機構120がタンポン10の紐22の長さを検査する動作(以下、検査動作)を行うようになる。以下、紐長さ検査機構120による検査動作の流れについて説明する。
【0091】
タンポン10は、搬送方向においてケーシング122が備えられた位置の手前まで搬送された後、紐22の露出部分22aが下壁123及び上壁124の間に形成された隙間126内に進入するように、搬送方向下流側へ移動する。なお、隙間126の搬送方向両端は開放端となっているため、前記露出部分22aは隙間126の搬送方向上流側端から該隙間126内に進入することになる。さらに、前述したように、隙間126の間隔が、搬送方向両端部において搬送方向中央部の該間隔よりも幾分長くなっている。このため、露出部分22aが隙間126内に進入し易くなっている。また、露出部分22aが隙間126内に進入する際、紐22の後端が側壁125の端部125cの交差方向一端面に擦り付けられる(図10参照)。
【0092】
その後、タンポン10は、露出部分22aが隙間126を通過するように、搬送方向下流側へ移動する。すなわち、前記露出部分22aが前記隙間126を通過するように、搬送機構110がタンポン10を搬送する。このとき、アプリケータ30の後端は、ケーシング122の開口127よりも外側(交差方向一端側)に位置している。なお、交差方向における搬送中のタンポン10とケーシング122との位置関係は、タンポン10が備える外筒40の環状リブ46の先端側端面(すなわち、前述の基準位置)が下壁123及び上壁124の交差方向一端から所定距離(本実施形態では約44mm)だけ交差方向一端側に位置する関係になっている。
【0093】
そして、露出部分22aが隙間126を通過する間に、タンポン10は、センサ121により該タンポン10の紐22の長さが検査される位置に至る。当該位置にタンポン10が位置する際に、紐長さ検査機構120は、各センサ121が検知結果に応じて出力する信号、に基づいて前記紐22の長さを検査する。
【0094】
一方、前述したように、タンポン10の搬送期間中、吸気機構130に備えられた吸気ポンプ132が常時作動している。このため、前記吸気機構130は、紐22の露出部分22aが隙間126内を移動している間においてもケーシング122内の空気を吸引し続けることになる。ここで、吸気機構130は、ケーシング122の下壁123に形成された孔123aを通じて、該ケーシング122内の空気を吸引する。また、孔123aは、下壁123の搬送方向中央部に形成されている。さらに、孔123aは、下壁123の交差方向他端側(より具体的には、交差方向において他端側センサ121cよりも交差方向他端側)に位置している。
【0095】
以上の結果、吸気機構130が吸気動作を行うと、図15に示すように、隙間126内において、前述の孔123aに向かって交差方向一端側から他端側へ流れる気流(図15において太線矢印にて表記する)が発生する。図15は、紐長さ検査機構120の検査動作時におけるケーシング122内の様子を示した図である。さらに、前記隙間126の搬送方向中央部付近では、前記気流が交差方向と略平行に流れるように整流される。これは、前記気流の排出口である孔123aが隙間126の搬送方向中央部に相当する位置に位置し、吸気機構130が適宜な吸気力にてケーシング122内の空気を吸気するように吸気ポンプ132の吸引圧力が調整されているためである。
【0096】
そして、本実施形態において、センサ121は、搬送方向において気流が上記の如く整流される範囲内に設けられている。このため、タンポン10の紐22の露出部分22aが隙間126の搬送方向中央部(つまり、搬送方向においてセンサ121により紐22の長さが検査される位置)を通過する際、前記紐22は、整流された気流に煽られて略真っ直ぐに伸ばされるようになる。つまり、紐長さ検査機構120が該紐22の長さを検査するにあたり、紐22が吸気機構130の吸気動作によりタンポン10の長手方向に沿って伸ばされるようになる。
【0097】
なお、本実施形態において、吸気機構130は、搬送中のタンポン10よりも交差方向他端側(タンポン10の紐22の後端よりも交差方向他端側)で吸気することにより、該タンポン10の紐22を該タンポン10の長手方向に沿って伸ばす。より具体的に説明すると、前記吸気機構130は、紐22の露出部分22aが隙間126を通過している間にケーシング122内の空気を吸引することにより、前記紐22をタンポン10の長手方向に沿って伸ばす。そして、紐長さ検査機構120は、吸気機構130が上記の如く吸気している間に、前記紐22の長さを検査する検査動作を行う。以上の結果、タンポン10の紐22の長さは、該紐22がタンポン10の長手方向に沿って真っ直ぐに伸ばされた状態で検査されることになる。
【0098】
また、本実施形態において、紐長さ検査機構120は、前述した3つのセンサ121(すなわち、一端側センサ121a、中間センサ121b、及び、他端側センサ121c)により紐22の長さを検査する。つまり、紐長さ検査機構120は、タンポン10が搬送方向において上記3つのセンサ121が設けられた位置(すなわち、センサ121により紐22の長さが検査される位置)を通過する際に、前記3つのセンサ121の各々からの出力信号に基づいて前記紐22の長さを検査する。以下、紐長さ検査機構120が検査動作において紐22の長さをどのように検査するのかについて、具体的に説明する。なお、以下では、各センサ121が出力する信号のうち、交差方向において当該各センサ121が設けられた位置を紐22の露出部分22aが通過した場合に出力する信号を紐有り信号と呼び、上記位置を露出部分22aが通過しなかった場合に出力する信号を紐無し信号と呼ぶこととする。
【0099】
タンポン10の紐22が該タンポン10の長手方向に沿って伸ばされた状態において、前記紐22の後端が交差方向において中間センサ121b及び他端側センサ121cの間を通過した場合には、一端側センサ121a及び中間センサ121bが紐有り信号を出力し、他端側センサ121cが紐無し信号を出力する。かかる場合、紐長さ検査機構120は、前記紐22の長さが正常な長さであると判定する。
【0100】
一方、紐22の後端が交差方向において一端側センサ121a及び中間センサ121bの間を通過した場合には、一端側センサ121aのみが紐有り信号を出力し、紐長さ検査機構120は、前記紐22の長さが正常な長さよりも短い(異常である)と判定する。また、紐22の後端が交差方向において他端側センサ121cよりも他端側の位置を通過した場合には、前記3つのセンサ121全てが紐有り信号を出力し、紐長さ検査機構120は、前記紐22の長さが正常な長さよりも長い(異常である)と判定する。さらに、紐22の後端が交差方向において一端側センサ121aよりも一端側の位置を通過した場合、及び、紐22がタンポン本体20から脱落している場合(若しくは、当初から紐22が綿体21に縫い付けられていない場合)には、前記3つのセンサ121全てが紐無し信号を出力し、紐長さ検査機構120は、前記紐22の長さが異常であると判定する。
【0101】
なお、前述したように、本実施形態では、検査精度を向上させるために、前記3つのセンサ121が2組備えられている。すなわち、本実施形態において、紐長さ検査機構120は、タンポン10の紐22の露出部分22aが隙間126を通過する間に、該紐22の長さを2回検査する。ここで、2組の3つのセンサ121は、いずれも搬送方向において上述の気流が整流される範囲内に設けられている。したがって、紐長さ検査機構120により行われる2回の検査は、ともに、紐22がタンポン10の長手方向に沿って伸ばされた状態で行われることになる。
【0102】
その後、搬送機構110がタンポン10を搬送方向下流側に搬送すると、該タンポン10の紐22の露出部分22aが、隙間126の搬送方向下流側端から該隙間126内を脱するようになる。以上の一連の動作が終わると、紐長さ検査機構120による検査動作が終了する(換言すると、検査装置100による検査工程が完了する)。そして、上記検査動作において紐22の長さが正常であると判定されたタンポン10(具体的には、2回の検査の各々において紐22の長さが正常であると判定されたタンポン10)は、搬送機構110により次の包装ステップに向けて引き続き搬送される。一方、上記検査動作において紐22の長さが異常であると判定されたタンポン10(具体的には、2回の検査中、少なくとも1回の検査において紐22の長さが異常であると判定されたタンポン10)については、不良品として不図示の回収機構により回収される。
【0103】
===本実施形態の検査装置100の有効性について===
以上のように、本実施形態のタンポン10の検査装置100では、吸気機構130が吸気動作を行ってタンポン10の紐22を該タンポン10の長手方向に沿って伸ばし、前記吸気動作の間に、紐長さ検査機構120が前記紐22の長さを検査する。換言すると、本実施形態のタンポン10の検査方法は、吸気機構130によって吸気することにより前記紐22をタンポン10の長手方向に沿って伸ばす工程(具体的には、前述の吸気動作)と、吸気機構130が吸気している間に紐22の長さを検査する工程(具体的には、紐長さ検査機構120による検査動作)と、を有する。これにより、本実施形態では、紐22の長さを正確に検査することが可能になる。
【0104】
すなわち、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、例えば、紐22がばたついたり(すなわち、紐22が揺れ動いたり)、弛んだりしている状態のままで前記紐22の長さを検査したとしても、正確な検査結果が得られ難い。これに対して、本実施形態の検査装置100であれば、紐22をタンポン10の長手方向に沿って伸ばした状態(端的に言えば、真っ直ぐに伸ばした状態)で保持して、該紐22の長さを検査することが可能になる。この結果、紐22の長さが正確に検査されるようになる。
【0105】
なお、本実施形態に係る紐長さ検査機構120は、搬送方向に沿って伸びた下壁123及び上壁124(一対の壁に相当する)を備えるケーシング122を有している。そして、紐22の露出部分22aが下壁123及び上壁124の間の隙間126を通過している間に、吸気機構130が紐22の後端よりも交差方向他端側でケーシング122内の空気を吸気する。これにより、紐22がタンポン10の長手方向に沿って伸ばされる。その間に、紐長さ検査機構120が、センサ121により前記紐22の長さを検査する。以上の構成は、紐22を真っ直ぐ伸ばしながら該紐22の長さを検査するための構成として簡易なものである。すなわち、本実施形態では、簡易な構成により、紐22の長さを正確に検査することが可能である。
【0106】
より分かり易く説明すると、紐22を真っ直ぐ伸ばしながら該紐22の長さを検査するための他の構成としては、例えば、搬送中のタンポン10の後端側に吸気装置を設け、当該吸引装置をタンポン10とともに搬送方向に移動させる構成が考えられる。かかる構成では、タンポン10の搬送期間中、紐22を該タンポン10の長手方向に沿って伸ばすことが可能になる。したがって、タンポン10を搬送している間に紐22の長さを検査すれば、紐22を真っ直ぐ伸ばしながら該紐22の長さを検査することが可能になる。但し、かかる構成では、吸気装置を移動させる駆動機構を別途設ける必要がある。これに対し、本実施形態では、固定式の吸気機構130を用いつつも紐22を真っ直ぐ伸ばしながら該紐22の長さを検査することが可能である。
【0107】
また、本実施形態では、下壁123が、その搬送方向中央部に形成された孔123aを有し、吸気機構130は当該孔123aを通じてケーシング122内の空気を吸気する。さらに、前記孔123aは、センサ121(具体的には、他端側センサ121c)よりも交差方向他端側に位置する。以上の構成により、紐長さ検査機構120へ連続的に送られる各タンポン10に対して、紐22の長さの検査を適切に行うことが可能となる。
【0108】
具体的に説明すると、上記の構成では、吸気機構130による吸気動作が行われると、下壁123及び上壁124間の隙間126の搬送方向中央部において、交差方向に沿うように整流された気流が発生する。この気流により、紐22の露出部分22aが隙間126の搬送方向中央部を通過する際に、前記紐22が真っ直ぐ伸ばされるようになる。さらに、中間センサ121b(第一光センサに相当する)及び他端側センサ121c(第二光センサに相当する)により紐22の長さが検査される位置が、隙間126のうち、気流が整流される範囲内(すなわち、隙間126の搬送方向中央部)に位置している。そして、各タンポン10の紐22の露出部分22aが隙間126の搬送方向中央部を通過する際に、紐長さ検査機構120は、中間センサ121b及び他端側センサ121cにより紐22の長さを検査する。この結果、前記紐22を真っ直ぐに伸ばしながら該紐22の長さを検査することが確実に実現される。
【0109】
また、本実施形態では、紐長さ検査機構120が備える3つのセンサ121(すなわち、一端側センサ121a、中間センサ121b、及び、他端側センサ121c)は、交差方向において互いに異なる位置に位置している。そして、タンポン10の長手方向に沿って伸ばされたときの紐22の長さが正常である場合には、該紐22の後端が交差方向において中間センサ121bと他端側センサ121cの間を通過する。これにより、紐22の長さが正常な長さ(具体的には、規格範囲内の長さ)であるか否かを適切に検査することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態では、搬送方向において紐長さ検査機構120よりも上流側に引き出し機構140が設けられている。各タンポン10は、吸気機構130による吸気動作を受ける前(紐22がタンポン10の長手方向に沿って伸ばされる前)に、前記引き出し機構140による予備吸気動作を受ける。そして、当該予備吸気動作が行われることにより、アプリケータ30の後端から適切に露出していない紐22(より具体的には、本来露出部分22aとなる部分)が前記後端から引き出されるようになる。この結果、紐22の長さが正常な長さであるにもかかわらず、その露出部分22aがアプリケータ30の後端から適切に露出していないために紐長さ検査機構120が誤って紐22の長さが異常であると判定してしまうのを防止することが可能となる。
【0111】
さらに、本実施形態では、引き出し機構140が有する吸引パイプ141の先端部に一対の切り欠き141aが形成されている。搬送機構110は、アプリケータ30の後端部が前記切り欠き141aを通じて吸引パイプ141の先端部の内側に進入するように、タンポン10を搬送する。そして、アプリケータ30の後端部が吸引パイプ141の先端部の内側に位置する際に予備吸気動作が行われる。これにより、アプリケータ30の後端から適切に露出していない紐22をより効率良く引き出すことが可能になる。
【0112】
===その他の実施形態===
上記の実施形態には、主として本発明のタンポン10の検査装置100及び検査方法について説明したが、上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した設定値、寸法値、及び、形状等は本発明の効果を発揮させるための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0113】
また、上記の実施形態では、二段構造で伸縮可能な内筒50を有するタンポン10について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、長さが固定された(伸縮しない)内筒50を有するタンポン10でもよい。
【0114】
また、上記実施形態において、各タンポン10は、横置き姿勢を維持しながら搬送機構110により搬送されることとした。但し、これに限定されるものではなく、各タンポン10は、その長手方向が鉛直方向に沿った姿勢(縦置き姿勢)を維持しながら搬送方向に搬送されることとしてもよい。すなわち、図10において交差方向が鉛直方向であってもよい。かかる場合においても、各タンポン10を搬送する間に当該各タンポン10に対して吸気機構130による吸気動作を行い当該吸気動作の間に前記各タンポン10の紐22の長さを検査することにより、当該紐22の長さを正確に検査することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】タンポン10の構成要素を示す断面図である(その1)。
【図2】タンポン10の構成要素を示す断面図である(その2)。
【図3】第一内筒51と第二内筒52が連結している様子を示す図である。
【図4】図4A及び図4Bは、外筒40の外観図である。図4Cは、図4Aに示す外筒40を先端側から見た図である。
【図5】第一内筒51の外観図である。
【図6】第二内筒52の外観図である。
【図7】タンポン10の製造フローを示す図である。
【図8】図8A〜図8Cは、タンポン本体20の製造手順についての説明図である。
【図9】図9A〜図9Dは、タンポン10を製造する様子を示す変遷図である。
【図10】検査装置100を示す模式図である。
【図11】搬送機構110を側方から見たときの図である。
【図12】図12A〜図12Cは、ケーシング122を模式的に示す図である。
【図13】吸引パイプ141の先端側開口を示す図である。
【図14】当接部材150を示す図である。
【図15】紐長さ検査機構120の検査動作時におけるケーシング122内の様子を示した図である。
【符号の説明】
【0116】
10 タンポン、20 タンポン本体、21 綿体、22 紐、22a 露出部分、
23 綿帯、30 アプリケータ、40 外筒、41 大径部、42 小径部、
43 先端開口、44 花弁状部分、45 後端開口、46 環状リブ、47 段差、
50 内筒、51 第一内筒、51a 鍔部、51b 環状突起、
52 第二内筒、52a 鍔部、52b 凸部、52c フレア状部分、
110 搬送機構、110a 保持具、120 紐長さ検査機構、
121 センサ、121a 一端側センサ、121b 中間センサ(第一光センサ)、
121c 他端側センサ(第二光センサ)、122 ケーシング、
123 下壁(壁)、123a 孔、124 上壁(壁)、
125 側壁(他の壁)、125a 中央部、125b 傾き部、125c 端部、
126 隙間、127 開口、130 吸気機構、131 ダクト、
132 吸気ポンプ、140 引き出し機構、141 吸引パイプ、
141a 切り欠き、142 接続パイプ、150 当接部材、
150a 交差部、150b 鉛直部、151 ブラケット、200 プレス加工機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納する筒状のアプリケータと、を有するタンポンの検査装置であって、
吸気することにより前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばす吸気機構と、
前記吸気機構が吸気している間に前記紐の長さを検査する紐長さ検査機構と、
を有することを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタンポンの検査装置において、
前記タンポンの長手方向と交差する搬送方向に該タンポンを搬送する搬送機構を有し、
前記紐長さ検査機構は、
互いに対向し、前記搬送方向に沿って伸びた一対の壁を備えるケーシングと、
前記壁間に形成された隙間内において前記紐の長さを検査するためのセンサとを有し、
前記搬送機構は、前記紐のうちの前記アプリケータの前記後端から露出した露出部分が前記搬送方向に沿って前記隙間を通過するように、前記タンポンを搬送し、
前記吸気機構は、前記露出部分が前記隙間を通過している間に前記ケーシング内の空気を吸気することにより、前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばし、
前記紐長さ検査機構は、前記吸気機構が吸気している間に、前記センサにより前記紐の長さを検査することを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタンポンの検査装置において、
前記ケーシングは、
一対の前記壁と、
前記搬送方向と交差する交差方向の一端側において前記隙間が開放されることにより形成された開口と、
前記交差方向において前記開口の反対側で前記隙間を閉じる他の壁と、
前記壁及び前記他の壁のうちのいずれかに形成された孔とを備え、
前記搬送機構は、前記タンポンの長手方向が前記交差方向に沿った状態で、該タンポンを前記交差方向において前記開口側に位置させながら前記搬送方向に搬送し、
前記センサにより前記紐の長さが検査される位置は、前記搬送方向における前記隙間の中央部に位置し、
前記孔は、前記交差方向において前記センサよりも前記他の壁側に位置し、
前記吸気機構は、前記孔を通じて前記ケーシング内の空気を吸気することを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載のタンポンの検査装置において、
前記紐長さ検査機構は、前記センサとしての第一光センサ及び第二光センサを有し、
前記第一光センサ及び前記第二光センサは、前記交差方向において互いに異なる位置に位置し、
前記搬送機構は、前記タンポンの長手方向に沿って伸ばされたときの前記紐の長さが正常な長さである場合に、該紐の後端が前記交差方向において前記第一光センサと前記第二光センサの間を通過するように、前記タンポンを搬送することを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載のタンポンの検査装置において、
前記露出部分を前記アプリケータの前記後端から引き出す引き出し機構を有し、
前記引き出し機構は、前記搬送方向において前記紐長さ検査機構よりも上流側に設けられ、吸気することにより前記露出部分を引き出すことを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のタンポンの検査装置において、
前記引き出し機構は、前記交差方向に沿って伸びた吸引パイプを有し、
前記吸引パイプの先端部には、前記搬送方向において互いに対向する一対の切り欠きが形成され、
前記搬送機構は、前記アプリケータの前記後端が一対の前記切り欠きの双方を通過するように、前記タンポンを搬送し、
前記引き出し機構は、前記アプリケータの前記後端が前記搬送方向において前記切り欠きの間に位置する際に、前記吸引パイプ内の空気を吸気することにより前記露出部分を引き出すことを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6のいずれか1項に記載のタンポンの検査装置において、
前記露出部分と当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記搬送方向において前記引き出し機構よりも上流側に設けられ、
前記搬送機構は、前記露出部分が前記当接部材に当接して該当接部材に引っ掛かるように、前記タンポンを搬送することを特徴とするタンポンの検査装置。
【請求項8】
紐を備えたタンポン本体と、後端から前記紐を露出させた状態で前記タンポン本体を収納するアプリケータと、を有するタンポンの検査方法であって、
吸気機構によって吸気することにより、前記紐を前記タンポンの長手方向に沿って伸ばす工程と、
前記吸気機構により吸気している間に前記紐の長さを検査する工程と、
を有することを特徴とするタンポンの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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