説明

タンポンの製造方法、及び、タンポンの製造装置

【課題】製剤により装置等が汚れにくいタンポンの製造方法等を実現することにある。
【解決手段】液体を吸収する吸収体と、前記吸収体を相対移動自在に収容する外筒部材と、前記外筒部材に対して前記吸収体を相対移動させるための移動部材とを備えたタンポンの製造方法であって、前記移動部材を、前記外筒部材の開口から挿入する挿入工程S3と、前記吸収体の一部分が前記開口を介して前記外筒部材内に収容され、当該吸収体の他の部分が前記外筒部材から露出するように、当該吸収体を配置する配置工程S4と、前記吸収体の、前記外筒部材から露出した前記他の部分に製剤Mを付着させる付着工程S5と、前記製剤Mが付着された前記他の部分を、前記開口を介して前記外筒部材内に収容する収容工程S6と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポンの製造方法、及び、タンポンの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経血等の液体を吸収する吸収体を有するタンポンの中には、吸収体の外表面に製剤が塗工されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなタンポンを製造する際には、例えば、製剤として潤滑剤が充填された凹部内にて吸収体を回転させて吸収体の外表面に潤滑剤を付着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭56−32933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、潤滑剤等の製剤が付着されたタンポンは、包装されたり、挿入補助具に組み込まれたりするため、次工程に搬送されたり受け渡されたりするが、潤滑剤が付着した状態のタンポンが搬送されたり受け渡される際に、潤滑剤が拡散したり蓄積されたりすることにより装置が汚れる虞があるという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製剤により装置等が汚れにくいタンポンの製造方法、及び、タンポンの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吸収する吸収体と、前記吸収体を相対移動自在に収容する外筒部材と、前記外筒部材に対して前記吸収体を相対移動させるための移動部材とを備えたタンポンの製造方法であって、
前記移動部材を、前記外筒部材の開口から挿入する挿入工程と、
前記吸収体の一部分が前記開口を介して前記外筒部材内に収容され、当該吸収体の他の部分が前記外筒部材から露出するように、当該吸収体を配置する配置工程と、
前記吸収体の、前記外筒部材から露出した前記他の部分に製剤を付着させる付着工程と、
前記製剤が付着された前記他の部分を、前記開口を介して前記外筒部材内に収容する収容工程と、
を有することを特徴とするタンポンの製造方法である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製剤により装置等が汚れにくいタンポンの製造方法、及び、タンポンの製造装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】タンポン10の構成要素を示す断面図である。
【図2】タンポン本体20の外観図である。
【図3】外筒部材40の外観図である。
【図4】図3に示す外筒部材40を先端側から見た図である。
【図5】タンポン本体20の製造フローを示した図である。
【図6】タンポンの製造装置を正面から見た模式図である。
【図7】タンポンの製造装置を上方から見た模式図である。
【図8】タンポン本体20とアプリケーター30とを相対移動させるタンポン保持移動ユニットの断面図である。
【図9】製剤の付着工程を説明するための図であり、図9Aは、タンポンが保持台に保持された状態を示す図、図9Bは、タンポン本体の非後端部分20bがアプリケーターから露出された状態を示す図、図9Cは、タンポン本体に製剤を付着させている状態を示す図、図9Dは、タンポン本体に製剤が付着された状態を示す図、図9Eは、製剤が付着されたタンポン本体がアプリケーターに収容された状態を示す図である。
【図10】取り出し紐22の保持機構を説明するための図である。
【図11】タンポン製造装置の変形例を示す図である。
【図12】当接部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
液体を吸収する吸収体と、前記吸収体を相対移動自在に収容する外筒部材と、前記外筒部材に対して前記吸収体を相対移動させるための移動部材とを備えたタンポンの製造方法であって、前記移動部材を、前記外筒部材の開口から挿入する挿入工程と、前記吸収体の一部分が前記開口を介して前記外筒部材内に収容され、当該吸収体の他の部分が前記外筒部材から露出するように、当該吸収体を配置する配置工程と、前記吸収体の、前記外筒部材から露出した前記他の部分に製剤を付着させる付着工程と、前記製剤が付着された前記他の部分を、前記開口を介して前記外筒部材内に収容する収容工程と、を有することを特徴とするタンポンの製造方法である。
このようなタンポンの製造方法によれば、吸収体に製剤が付着されるときには、吸収体の一部分が外筒部材内に収容されているので、吸収体が安定している状態で製剤を付着させることが可能である。また、収容工程にて製剤が付着された他の部分を外筒部材内に収容するときには、既に一部分が収容されている開口を介して収容されるので、吸収体を外筒部材内に容易に収容することが可能であり、吸収体を収容することによる製剤の飛散を抑えることが可能である。さらに、製剤が付着された吸収体は外筒部材内に収容されて搬送及び受け渡されるので、製剤により装置等が汚れにくいタンポンの製造方法を提供することが可能である。
【0011】
かかるタンポンの製造方法であって、前記他の部分は、前記製剤が付着されて所定時間以上経過した後に前記外筒部材内に収容されることが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、製剤が付着された他の部分は、所定時間経過後に外筒部材内に収容されるので、即座に収容される場合と比較して、製剤を吸収体における他の部分に確実に付着させることが可能であるとともに外筒部材への付着も抑えることが可能である。
【0012】
かかるタンポンの製造方法であって、前記所定時間は、前記吸収体に付着させた前記製剤の表面が乾燥するまでの時間であることが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、他の部分が外筒部材に収容される際には製剤の少なくとも表面が乾燥しているので、製剤を吸収体における他の部分に確実に付着させることが可能であるとともに外筒部材への付着も防止することが可能である。また、表面が乾燥しているだけなので、所定時間、すなわち外筒部材に収容されるまでの時間を短く設定することが可能であり、生産性の高いタンポンの製造方法を提供することが可能である。ここで、製剤の少なくとも表面が乾燥している状態には、たとえば、体温、真夏の気温よりやや高めの融点を持つ試薬に混合させて塗工後、塗工時の製剤温度よりも低い温度の外気にさらされて固化した状態も含まれる。
【0013】
かかるタンポンの製造方法であって、前記吸収体は、前記付着工程と前記収容工程との間に、前記他の部分が前記外筒部材から露出した状態で搬送されることが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、製剤が付着された他の部分が露出された状態で搬送されるので乾燥しやすく、また、次工程に移行するまで時間を短縮することが可能である。
【0014】
かかるタンポンの製造方法であって、前記吸収体は、前記一部分から紐が延出され、前記移動部材は筒状をなして前記外筒部材に対して相対移動自在に係合されており、前記付着工程では、前記外筒部材内にて前記吸収体が前記移動部材に当接されるとともに、当該移動部材内を挿通された前記紐が、前記移動部材の外側から引っ張られることにより前記吸収体が保持されることが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、付着工程では、吸収体から延出され移動部材内を挿通された紐が、移動部材の外側から引っ張られることにより吸収体が保持されるので、安定した状態で吸収体の他の部分に製剤を付着させることが可能である。また、タンポンが備える部材が吸収体を保持するための機構を兼ねるので、複雑な機構を備えることなく吸収体を安定させることが可能である。
【0015】
かかるタンポンの製造方法であって、前記付着工程では、前記吸収体の前記他の部分に当接される当接部と前記移動部材とで前記吸収体が狭持されていることが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、吸収体の他の部分に製剤が付着される際には吸収体が狭持されているので、吸収体がより安定している状態で製剤を付着させることが可能である。
【0016】
かかるタンポンの製造方法であって、前記外筒部材は、前記開口側が、周方向に適宜間隔を隔てて形成された複数の切り込みにより複数の周壁部に分割されており、前記収容工程にて前記他の部分が収容された前記外筒部材の前記複数の周壁部を当該外筒部材の内方側に湾曲させる湾曲工程を有することが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、収容工程にて他の部分が収容された外筒部材の複数の周壁部は、湾曲工程にて外筒部材の内方側に湾曲されるので、製剤が付着された吸収体を外筒部材に保持することが可能である。
【0017】
かかるタンポンの製造方法であって、前記配置工程では、前記外筒部材内に収容された前記吸収体の前記他の部分を、前記外筒部材から露出するように配置することが望ましい。
このようなタンポンの製造方法によれば、配置工程において、吸収体は外筒部材内に収容された後に、前記他の部分が外筒部材から露出するように配置されるので、単に外筒部材の外側から吸収体の一部分だけが挿入されて他の部分が外筒部材から露出される場合より、確実に、且つ、外筒部材と平行に吸収体を保持することが可能である。
【0018】
また、液体を吸収する吸収体と、前記吸収体を相対移動自在に収容する外筒部材と、前記外筒部材に対して前記吸収体を相対移動させるための移動部材とを備えたタンポンの製造装置であって、前記吸収体の一部分が前記開口を介して、前記移動部材が挿入された前記外筒部材内に収容され、当該吸収体の他の部分が前記外筒部材から露出するように、当該吸収体を配置する配置ユニットと、前記吸収体の、前記外筒部材から露出した前記他の部分に製剤を付着させる付着ユニットと、前記製剤が付着された前記他の部分を、前記開口を介して前記外筒部材内に収容する収容ユニットと、を有することを特徴とするタンポンの製造装置である。
このようなタンポンの製造装置によれば、吸収体に製剤が付着されるときには、吸収体の一部分が外筒部材内に収容されているので、吸収体が安定している状態で製剤を付着させることが可能である。また、収容ユニットにて製剤が付着された他の部分を外筒部材内に収容するときには、既に一部分が収容されている開口を介して収容されるので、吸収体を外筒部材内に容易に収容することが可能であり、吸収体を収容することによる製剤の飛散を抑えることが可能である。さらに、製剤が付着された吸収体は外筒部材内に収容されて搬送及び受け渡されるので、製剤により汚れにくいタンポンの製造装置を提供することが可能である。
【0019】
かかる製造装置であって、前記外筒部材は、前記開口側が、周方向に適宜間隔を隔てて形成された複数の切り込みにより複数の周壁部に分割されており、前記複数の周壁部を当該外筒部材の内方側に湾曲させて加熱する加熱ユニットと、前記複数の周壁部を湾曲させた状態を維持させて冷却する冷却ユニットと、を有することが望ましい。
このようなタンポンの製造装置によれば、他の部分が収容された外筒部材の複数の周壁部が、加熱ユニットにより加熱されて外筒部材の内方側に湾曲され、冷却ユニットにより冷却されて湾曲した形状が形成されるので、製剤が付着された吸収体が外筒部材から抜け出ることを防止することが可能である。
【0020】
===タンポンの構成について===
先ず、タンポン10の構成について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
図1は、タンポン10の構成要素を示す断面図である。図2は、タンポン本体20の外観図である。図3は、外筒部材40の外観図である。図4は、図3に示す外筒部材40を先端側から見た図である。なお、以降の説明において、タンポン10の長手方向において、膣腔内に挿入される側を先端と呼び、反対側を後端と呼ぶ。
【0021】
本実施形態のタンポン10は、図1に示すように、吸収体の一例としてのタンポン本体20と、タンポン本体20を収容する外筒部材40、及び、外筒部材40に対してタンポン本体20を相対移動させるための移動部材50を備えるアプリケーター30と、を有する。ここで、アプリケーター30は、タンポン本体20を膣腔内に導き入れ易くするための補助具である。
【0022】
タンポン本体20は、膣腔を閉塞して経血等の液体を吸収するものである。このタンポン本体20は、レーヨン繊維からなる吸収体本体(綿体)をポリエステルスパンボンド不織布からなるカバー体で覆ったものであり、略弾丸状の形状をなしている。
【0023】
また、タンポン本体20の外表面21には、図2に示すように製剤Mが、タンポン本体20の長手方向に互いに間隔を隔てた複数箇所に、外周を囲むようにリング状に付着している。タンポン本体20の外表面21に付着した製剤Mの厚さは、例えば約50μmである。
【0024】
この製剤Mは、薄茶色の着色性物質(色が付いた物質)であり、膣腔内に投与されて、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、脱臭作用、血管拡張作用、脂質過酸化抑制作用などを発揮する薬効成分の一例としての松樹皮抽出物(東洋新薬社製フラバンジェノール)と当該松樹皮抽出物を担持する水溶性担持体の一例としてのポリエチレングリコールとの混合物である。
【0025】
より具体的には、本実施の形態に係る製剤Mは、水溶性担持体(ポリエチレングリコール)の一例としての分子量が1500のポリエチレングリコールを有している。ポリエチレングリコールの融点(凝固点)は、約38度〜41度であり、体温(37度とする)を超えた温度となっている。なお、本実施の形態における製剤Mは、松樹皮抽出物が20重量パーセントに対し、ポリエチレングリコールが80重量パーセントにて混合されている。すなわち、ポリエチレングリコールが製剤Mにおける主成分となっている。このように、本製剤Mは、体温や気温よりやや高めの融点を持つ試薬に混合させて塗工後、塗工時よりも低い温度の外気にさらされることにより固化させる。
【0026】
本実施の形態に係るタンポン本体20には、紐の一例としての取り出し紐22が縫い付けられている。この取り出し紐22は、綿製の撚糸である。取り出し紐22は、タンポン本体20の後端側から伸びており、膣腔内にあるタンポン本体20を膣腔外に引き出す際にタンポン10の使用者等によって摘まれる。また、取り出し紐22は、図1に示すように、アプリケーター30内、すなわち筒状をなす外筒部材40及び移動部材50の内側を通り当該アプリケーター30を構成する移動部材50の後端から引き出されている。すなわち、取り出し紐22においては、その一部がアプリケーター30を構成する移動部材50の後端から外部に露出している。
【0027】
外筒部材40は、タンポン本体20を相対移動自在に収納するためのものである。この外筒部材40は、熱可塑性樹脂(本実施の形態においては、ポリエチレン樹脂)を用いて射出成形された円筒体であり、適宜な可撓性を有する。また、外筒部材40は、図3に示すように、先端側に位置する大径部41と、当該大径部41の内径よりも小さな内径を有し、前記先端側とは反対側の後端側に位置する小径部42とを備えている(なお、外径についても、大径部41の方が小径部42より大きい)。つまり、外筒部材40の先端部の外径(内径)は後端部の外径(内径)よりも大きいこととなる。そして、このことにより、大径部41及び小径部42との間には環状の段部47が形成されている。
【0028】
大径部41は、外筒部材40の中で、主として、内部にタンポン本体20を収納する役割を果たす部分である。すなわち、本実施の形態に係るタンポン10においては、大径部41及び小径部42のうちの大径部41のみにタンポン本体20が収納されている。このため、外筒部材40の長手方向における大径部41の長さは、当該長手方向におけるタンポン本体20の長さよりも長くなっている。また、大径部41は、タンポン10の使用時にタンポン本体20を収納した状態で膣腔内に挿入される部分である。
【0029】
また、外筒部材40の大径部41は、先端の開口(以下、先端開口43と呼ぶ)側が、周方向に適宜間隔を隔てて複数の切り込み43aが形成されて、複数の周壁部に分割されている。本実施形態の外筒部材40は、周方向に6等分されて6つの周壁部としての花弁状部分44を有している。6つの花弁状部分44の各々は、図3に示すように外筒部材40の径方向において内側に弧状に屈曲している。このため、外筒部材40を膣腔内に挿入する時点では、該外筒部材40の先端部が図1、図3に示すように略半球状をなしており、先端開口43が図4に示すように略閉じている。そして、タンポン本体20が後述する移動部材50により先端開口43から押し出される際に、タンポン本体20により6つの花弁状部分44が押し広げられて先端開口43が開くこととなる。
【0030】
小径部42は、その内側を相対移動自在に設けられた移動部材50が移動する際に、移動部材50を案内するガイドとして機能する。また、小径部42は、タンポン10の装着時に使用者によって把持される部分でもある。小径部42の後端側には、小径部42の外径より僅かに拡径された拡径部46が設けられている。
【0031】
移動部材50は、外筒部材40内において相対移動して、タンポン本体20を先端開口43から外筒部材40の外に押し出すためのものである。この移動部材50は、外筒部材40内に挿入されており、外筒部材40内においてタンポン本体20よりも後端側に位置している。
【0032】
移動部材50は、外筒部材40に対して相対移動自在に係合された状態にて、タンポン本体20と当接される先端に、外筒部材40の小径部42内に位置する部位より外径が大きく形成された係止部51を有している。係止部51は、移動部材50が後端側に引っ張られた際に、外筒部材40の段部47に当接することにより係止されて、移動部材50が外筒部材40から抜けないように構成されている。また、移動部材50の後端には、外周方向に僅かに突出された環状突起52が設けられている。この環状突起52は、移動部材50が先端側に押された際に外筒部材40の小径部42の端に当接して、移動部材50が外筒部材40から抜けないように構成されている。
【0033】
そして、外筒部材40の長手方向に沿って相対移動して、タンポン本体20を先端開口43に向けて後方から押し進める。これにより、タンポン本体20が、複数の花弁状部分44の各々を外筒部材40の径方向において外側に押し退けながら、すなわち、前記先端開口43を開きながら、外筒部材40の外に押し出される。このように、移動部材50は、外筒部材40内を移動してタンポン本体20を外筒部材40の外に押し出す機能を備えている。
【0034】
===タンポン10の製造方法について===
次に、上述したタンポン10を製造する製造方法について、図5乃至図10を用いて説明する。
【0035】
図5は、タンポン本体20の製造フローを示した図である。図6は、タンポンの製造装置を正面から見た模式図である。図7は、タンポンの製造装置を上方から見た模式図である。図8は、タンポン本体20とアプリケーター30とを相対移動させる移動装置の断面図である。図9は、製剤の付着工程を説明するための図であり、図9Aは、タンポンが保持台に保持された状態を示す図、図9Bは、タンポン本体20の非後端部分20bがアプリケーターから露出された状態を示す図、図9Cは、タンポン本体に製剤を付着させている状態を示す図、図9Dは、タンポン本体に製剤が付着された状態を示す図、図9Eは、製剤が付着されたタンポン本体がアプリケーターに収容された状態を示す図である。尚、図9CのB矢視図、及び、図9EのC矢視図では、クランプ121dを省略して示している。図10は、取り出し紐22の保持機構を説明するための図である。
なお、タンポン10は、タンポン10を構成するタンポン本体20とアプリケーター30とが別の工程にて製造されて組み立てられる。
【0036】
ここでは、まず、タンポン本体20(より正確には、取り出し紐22付きタンポン本体20)を製造するプロセスについて説明する。
図6に示すように、タンポンの製造装置100は、タンポン本体20の基材となる吸収体材料60を形成する圧縮成型ドラム102と、吸収体材料60を加熱する加熱ドラム104と、タンポン本体20を移動部材50が挿入された外筒部材40に挿入する位置に搬送する搬送機構105と、搬送されたタンポン本体20を外筒部材40に挿入して収容するための挿入機構(不図示)と、外筒部材40にタンポン本体20が収容されたタンポン10を支持して搬送する搬送ドラムユニット106と、搬送されるタンポン10のタンポン本体20に製剤Mを付着させる付着ユニット107と、タンポン本体20が収容された外筒部材40の先端開口43の花弁状部分44を湾曲させて加熱する加熱ドラム108と、花弁状部分44が湾曲した状態を維持させて冷却する冷却用ドラム109と、を有している。外筒部材40と移動部材50とを成形する、例えば射出成形装置、外筒部材40に移動部材50を挿入する挿入装置(不図示)、外筒部材40、移動部材50、及び、アプリケーター30を搬送、供給する装置(不図示)は、タンポンの製造装置100の一部として組み込まれていても良いが、アプリケーター30は別工程にて組み立てられてタンポンの製造装置100に供給されても良い。
【0037】
タンポン本体20の製造工程S1では、先ず、レーヨン主体の吸収性繊維を積層した吸収体本体をカバー体で覆う(カバー体で巻く)。その後、カバー体で覆われた吸収体本体を、所定の形状及び大きさに裁断し、タンポン本体20の基材となる吸収体材料60を形成する。なお、この工程においては、吸収体材料60に取り出し紐22が縫い付けられる。
【0038】
次に、図6及び図7に示すように、圧縮成型ドラム102にて吸収体材料60を圧縮成型する。すなわち、圧縮成型ドラム102は、回転可能なドラム型のユニットであり、複数(本実施の形態においては、8つ)の保持部102aを放射状に備えている。そして、吸収体材料60が、次々と、第一位置P1(図6)において、保持部102aに挿入され、保持部102aに挿入された吸収体材料60は、圧縮成型ドラム102の回転に伴って、第二位置P2(図6)まで回転移動する。そして、回転移動中に、保持部102a内において、吸収体材料60はその直径方向に圧縮されてほぼ円柱状に形作られる。
【0039】
次に、圧縮成型ドラム102により円柱状に形作られた吸収体材料60を加熱ドラム104にて加熱する。すなわち、加熱ドラム104は、例えば110度(100度〜180度の温度が好ましい)に温度がコントロールされた回転可能なドラム型のユニットであり、多数の保持部104aを周方向に互いに間隔を隔てて備えている。そして、吸収体材料60が、次々と、第二位置P2(図6)において、プッシャー(不図示)の押し込みにより圧縮成型ドラム102の保持部102aから加熱ドラム104の保持部104aへ引き渡される。保持部104aへ引き渡された吸収体材料60は、保持部104a内において加熱されつつ、加熱ドラム104の回転に伴って第三位置P3(図6)まで移動する。なお、保持部104aはタンポン本体20の直径とほぼ同じ形状の貫通孔であり、吸収体材料60に加熱ドラム104の熱が効果的に伝わるようになっている。吸収体材料60の圧縮成型ドラム102から加熱ドラム104への引渡しの際に、吸収体材料60の先端が曲面をなすような弾丸型に成型されてタンポン本体20が形成される。タンポン本体20は冷却されつつアプリケーター30に挿入される挿入位置に搬送機構105にて搬送される。
【0040】
搬送機構105は、図7に示すように、同一方向に移動する無端ベルトを備えた2本のコンベアー105a、105bを備えている。第1コンベアー105aは、加熱ドラム104の回転軸と交差する方向に、すなわち加熱ドラム104と平行に配置され、保持部104aから押し出されたタンポン本体20が、ほぼ押し出されたままの向きを維持しつつ搬送されるように配置されている。第2コンベアー105bは、第1コンベアー105aと平行に配置され、また、第1コンベアー105aの搬送方向における終端側と、第2コンベアー105bの搬送方向における始端側とが並ぶように配置されている。第2コンベアー105bの始端側には、移動部材50が外筒部材40に挿入されたアプリケーター30が供給される。そして、第1コンベアー105aの終端と第2コンベアー105bの始端とが並べられた位置にて、タンポン本体20が外筒部材40内に挿入されて収容される。
【0041】
アプリケーター30は、タンポン本体20とは別のラインにて製造されている。例えば、外筒部材40及び移動部材50は、ポリエチレン等の樹脂にて射出成形等により成型されて供給される。成形された移動部材50は、外筒部材40に挿入されてアプリケーター30が完成される。このとき、移動部材50を外筒部材40の先端開口43から外筒部材40に挿入する(S3:挿入工程)。外筒部材40に挿入された移動部材50は、その後端部が外筒部材40の後端開口45から突出し係止部51が外筒部材40の段部47の内壁面に係止された状態となる。
【0042】
次に、組み立てられたアプリケーター30は、105搬送機構の第2コンベアー105bに供給され、タンポン本体20が挿入される。組み立てられたアプリケーター30は、外筒部材40の先端開口43を形成する6つの花弁状部分44が外周側に押し広げられ、すなわち、先端開口43の先端が開くように屈曲された状態で供給される。
【0043】
先端開口43が広げられたアプリケーター30には、タンポン本体20が後端側から挿入される。このとき、タンポン本体20の取り出し紐22が先行するように、タンポン本体20が押圧されつつアプリケーター30の先端開口43に挿入される。タンポン本体20が押圧される際、すなわち、タンポン本体20が外筒部材40に挿入される際には、移動部材50の後端側から吸気されている。これにより、タンポン本体20が外筒部材40内に向かって移動する際、タンポン本体20の取り出し紐22が移動部材50の後端側に吸引される。この結果、取り出し紐22を弛ませずにタンポン本体20を外筒部材40に挿入することが可能になる。そして、タンポン本体20が外筒部材40に収容されると、取り出し紐22は、外筒部材40に挿入された移動部材50の後端の開口、すなわち、アプリケーター30の後端から引き出されている。
【0044】
アプリケーター30に挿入されたタンポン本体20は、後端が外筒部材40の段部47に当接された移動部材50の係止部51に当接されて外筒部材40内に収容される。このとき、外筒部材40の花弁状部分44は、内側に湾曲させることなく、すなわち外筒部材40の先端開口43を閉じることなく、アプリケーター30に挿入されたタンポン本体20は、2つの中継ローラー101を介して搬送ドラムユニット106に供給される。
【0045】
搬送ドラムユニット106は、回転するドラム本体106aの周方向に沿って複数のタンポン保持移動ユニット120が配置されている。複数のタンポン保持移動ユニット120は、搬送機構105から供給されたタンポン10を保持するとともに、アプリケーター30とタンポン本体20とを相対移動させる機能を有しており、ドラム本体106aの回転軸に沿う方向に突出させて設けられている。このとき、アプリケーター30とタンポン本体20とが相対移動する方向と、ドラム本体106aの回転軸に沿う方向とは一致している。
【0046】
タンポン保持移動ユニット120は、図8に示すように、タンポン10の外筒部材40が保持される保持台121と、保持台121に保持された外筒部材40とタンポン本体20とが相対移動する方向(以下、相対移動方向という)に保持台121を移動させるための移動エアーシリンダー122と、保持されているタンポン10の取り出し紐22を保持する紐保持機構123とを有している。
【0047】
保持台121は、移動エアーシリンダー122が有するピストンロッド122bの先端に設けられており、タンポン10が保持される保持面121aには、外筒部材40の先端側と後端側に、タンポン10の転がりを規制する2対の規制突部121b、121cが設けられている。2対の規制突部121b、121cのうち、後端側の規制突部121cには、規制突部121c間に配置されたタンポン10を保持すべく対をなす規制突部121c間に掛け渡され解除可能なクランプ121dが設けられている。また、後端側の規制突部121cには、外筒部材40の小径部42が配置され、外筒部材40の段部47と拡径部46とにより外筒部材40の保持台121に対する相対移動方向の移動が規制されている。すなわち、外筒部材40は、保持台121とともに移動するように構成されている。また、保持台121に保持された外筒部材40の先端と保持台121の先端とがほぼ同じ位置となり、外筒部材40からタンポン本体20が露出される際には、タンポン本体20が保持台121より先端側に突出するように構成されている。
【0048】
保持台121の先端には、2つの支持ローラー124が設けられている。この支持ローラー124は、外筒部材40から露出して保持台121より先端側に突出したタンポン本体20を支持するように構成されている。
【0049】
移動エアーシリンダー122は、シリンダーチューブが設けられた本体部122aと、シリンダーチューブ内を移動可能なピストンとピストンロッド122bとが一体に形成されたピストンユニット122cを有しており、ピストンロッド122bは、保持台121とピストンとを連結している。本体部122aは搬送ドラムユニット106のドラム本体106aに固定されており、ドラム本体106aとともに回転する。
【0050】
本体部122aには、紐保持機構123が取り付けられている。紐保持機構123は、紐保持エアーシリンダー123aと紐保持部123gとを有している。紐保持エアーシリンダー123aは、シリンダー部123bとロッド部123cとを有し、シリンダー部123bの、ロッド部123cの移動方向における一方の端部に設けられた紐保持部123gには開孔123dが設けられている。この開孔123dは、外から中に向かって広がるテーパー部123eを有している。そして、通常の状態では、ロッド部123cはコイルバネ123hによって一方側に付勢されて、ロッド部123cの先端が付勢力によりテーパー部123eに押圧されて開孔123dを閉塞している。
【0051】
紐保持エアーシリンダー123aのシリンダーチューブ123f内のエアーは吸引されると、ロッド部123cが他方側に引っ張られて、開孔123dとロッド部123cとの間に空隙が生じ、外気が開孔123dとロッド部123cとの間からシリンダーチューブ123f内に吸引される。紐保持機構123は、保持台121に支持されたタンポン10の後端側に設けられ、タンポン本体20のセンターと開孔123dとがほぼ直線上に位置するように配置されている。
【0052】
搬送機構105から供給される、アプリケーター30にタンポン本体20が挿入されたタンポン10は、回転する搬送ドラムユニット106のいずれかのタンポン保持移動ユニット120における保持台121に受け渡される。このとき、移動エアーシリンダー122にはエアーが供給されており、図9Aに示すように、保持台121は本体部122aから離れて突出されている。保持台121にタンポン10が受け渡されると、クランプ121dが閉じられてタンポン10が保持される。このとき、タンポン本体20は、外筒部材40内に収容されているので、移動部材50の係止部51が段部47に当接され、移動部材50は外筒部材40から後端側に突出されている。このため、タンポン10が保持台121に保持されると、移動部材50の後端は、紐保持エアーシリンダー123aの開孔123dに近接している。
【0053】
タンポン10が保持台121に保持されると、紐保持エアーシリンダー123aのエアーが吸引され、図10に示すように、ロッド部123cがテーパー部123eから離されるとともに、テーパー部123eとロッド部123cとの隙間から吸引されるエアーにより、保持されているタンポン10の取り出し紐22が開孔123dからシリンダーチューブ123f内に引き入れられる。取り出し紐22が開孔123dから引き入れられると、シリンダーチューブ123fからのエアーの吸引が停止され、コイルバネ123hの付勢力によりロッド部123cがテーパー部123eに押圧される。このとき、ロッド部123cとテーパー部123eとの間に取り出し紐22が挟まれて保持される。
【0054】
ドラム本体106aは、回転し続けており、タンポン10は、製剤Mが付着される付着位置P4に向かって搬送されている。タンポン10が搬送されている間に、移動エアーシリンダー122のシリンダーチューブ内のエアーが吸引される。これにより、図9Bに示すように、保持台121が本体部122a側に引き寄せられる。このとき、保持台121に保持された外筒部材40も本体部122a側に引き寄せられる。一方、タンポン本体20は、紐保持エアーシリンダー123aの端部との間に移動部材50が介在されているため、移動しない。このため、タンポン本体20と外筒部材40とが相対移動することによりタンポン本体20が外筒部材40から露出される。このとき、タンポン本体20は、その一部分としての後端部分20aが先端開口43を介して外筒部材40内に収容されて、後端部分を除く他の部分としての非後端部分20bが露出される(S4:配置工程)。また、保持台121から先端側に突出したタンポン本体20は、保持台121の先端に設けられた支持ローラー124により支持される。
【0055】
ドラム本体106aの回転により搬送されているタンポン10は、タンポン本体20の後端部分20aが外筒部材40に収容され、非後端部分20bが露出した状態で、製剤Mの付着位置P4に至る。
製剤Mの付着位置P4には、付着ユニット107がドラム本体106aの外周側に設けられている。
【0056】
付着ユニット107は、製剤Mが収容されている収容部107aと、製剤Mをタンポン本体20に付着させるための付着ローラー107bと、収容部107a内に設けられ製剤Mを付着ローラー107bに供給するための2つの供給ローラー107cとを備えている。2つの供給ローラー107cと付着ローラー107bとは一列に配置されて、互いに接触しつつ回転する。付着ローラー107bのみが収容部107aの外側に配置されて駆動され、供給ローラー107cは付着ローラー107bに従動している。このため、付着ローラー107bが回転することにより、収容部107a内の供給ローラー107cが回転して、表面に付着している製剤Mを順次付着ローラー107bに供給する。
【0057】
付着ローラー107bは、搬送ドラムユニット106により搬送されるタンポン10の露出されたタンポン本体20の非後端部分20bと対向する位置に配置されており、ドラム本体106aが回転することにより、付着位置P4に移動したタンポン10のタンポン本体20と接触するように構成されている。このため、タンポン10はドラム本体106aに搬送されて付着位置P4に至ると、図9Cに示すように、付着ローラー107bと支持ローラー124とに狭持されつつ、付着ローラー107bによって回転されて周方向に製剤Mが付着される(S5:付着工程)。
【0058】
製剤Mが付着されたタンポン10は、ドラム本体106aの回転により、図9Dに示すように、タンポン本体20の非後端部分20bが外筒部材40から露出した状態のまま所定時間搬送される。所定時間は、例えば、付着された製剤Mの表面が乾燥する時間以上に設定されている。この搬送の間に、製剤Mは、塗工時の製剤Mの温度よりも低い温度の外気にさらされて固化するので、少なくとも表面が乾燥した状態となる。
【0059】
製剤Mが付着されて所定時間搬送されると、移動エアーシリンダー122にエアーが供給され、保持台121は本体部122aから離れる方向に突出される。このとき、図9Eに示すように、保持台121に保持されている外筒部材40も保持台121とともに移動することにより、タンポン本体20の非後端部分20bを覆うように外筒部材40が移動してタンポン本体20が外筒部材40内に収容される(S6:収容工程)。このとき、少なくとも製剤Mの表面は乾燥しているので、タンポン本体20に付着した製剤Mが、外筒部材40の内外に付着することはない。
【0060】
外筒部材40内にタンポン本体20が収容されたタンポン10は、2つの中継ローラー101を介して先端成型ユニット110に受け渡される。先端成型ユニット110は、加熱ドラム108と、冷却用ドラム109と、半球状の凹部を有する先端型部(不図示)、とを有している。
【0061】
加熱ドラム108は、搬送ドラムユニット106から受け渡されたタンポン10を加熱ドラム108の保持部108aに保持し、加熱された先端型部が外筒部材40の先端開口43側に押圧されることにより、花弁状部分44が内側に湾曲されてドーム状に形成される。加熱ドラム108の回転により更に搬送され、隣接する冷却用ドラム109に中継ローラー101を介して受け渡される。
【0062】
冷却用ドラム109は、加熱ドラム108から受け渡されたタンポン10が、冷却用ドラム109の保持部109aに保持され、外筒部材40の、加熱されて軟化された花弁状部分44に先端型部が押圧されて冷却され、ドーム状に形成された状態で硬化され、タンポン10が完成する。ここで、外筒部材40の花弁状部分44を加熱ドラム108にて加熱し、冷却用ドラム109にて冷却して湾曲させる工程が湾曲工程S7に相当する。
【0063】
本実施形態のタンポン10の製造方法、及び、タンポン10の製造装置100によれば、タンポン本体20に製剤Mが付着されるときには、タンポン本体20の後端部分20aが外筒部材40内に収容されているので、タンポン本体20が安定している状態で製剤Mを付着させることが可能である。また、収容工程S6にて製剤Mが付着された非後端部分20bを外筒部材40内に収容するときには、既に後端部分20aが収容されている先端開口43を介して収容されるので、タンポン本体20を外筒部材40内に容易に収容することが可能であり、タンポン本体20を収容することによる製剤Mの飛散を抑えることが可能である。さらに、製剤Mが付着されたタンポン本体20は外筒部材40内に収容されて搬送及び受け渡されるので、製剤Mによりタンポン10の製造装置100等が汚れにくいタンポン10の製造方法を提供することが可能である。
【0064】
また、製剤Mが付着された非後端部分20bは、所定時間経過後に外筒部材40内に収容されるので、即座に収容される場合と比較して、確実に製剤Mを非後端部分20bに付着させることが可能であるとともに外筒部材40への付着も抑えることが可能である。
【0065】
また、非後端部分20bが外筒部材40に収容される際には製剤Mの表面が乾燥しているので、製剤Mを確実に非後端部分20bに付着させることが可能であるとともに外筒部材40への付着も防止することが可能である。また、表面が乾燥しているだけなので、所定時間、すなわち搬送時間を短く設定することが可能であり、生産性の高いタンポン10の製造方法を提供することが可能である。
【0066】
また、製剤Mが付着されたタンポン本体20は、非後端部分20bが露出された状態で搬送されるので乾燥しやすく、また、次の収容工程S6及び湾曲工程S7に移行するまでの時間を短縮することが可能である。
【0067】
また、付着工程S5では、タンポン本体20から延出され移動部材50内を挿通された取り出し紐22が、移動部材50の後端側から外側に引っ張られることによりタンポン本体20が保持されるので、安定した状態でタンポン本体20の非後端部分20bに製剤Mを付着させることが可能である。また、タンポン10が備える取り出し紐22や移動部材50などの部材がタンポン本体20を保持するための機構を兼ねるので、複雑な機構を備えることなくタンポン本体20を安定させることが可能である。
【0068】
また、収容工程S6にて非後端部分20bが収容された外筒部材40の複数の花弁状部分44は、湾曲工程S7にて外筒部材40の内方側に湾曲されるので、製剤Mが付着されたタンポン本体20を外筒部材40に保持することが可能である。
【0069】
また、配置工程において、タンポン本体20は外筒部材40内に収容された後に、非後端部分20bが外筒部材40から露出するように配置されるので、外筒部材40の外側からタンポン本体20の後端部分20aだけが挿入される場合より、確実に、且つ、外筒部材40と平行にタンポン本体20を保持することが可能である。
【0070】
また、非後端部分20bが収容された外筒部材40の複数の花弁状部分44が、加熱ドラム108により加熱されて外筒部材40の内方側に湾曲され、冷却用ドラム109により冷却されて湾曲した形状が形成されるので、製剤Mが付着されたタンポン本体20が外筒部材40から抜け出ることを防止することが可能である。
【0071】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るタンポンの製造方法及びタンポンの製造装置を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0072】
図11は、タンポン製造装置の変形例を示す図であり、図12は、当接部の変形例を示す図である。
【0073】
また、上記実施の形態においては、タンポン本体20の先端を支持することなくタンポン本体20に製剤Mを付着させる例について説明したが、図11に示すように、タンポン本体20の先端に当接して支持する当接部125を備え、当接部125と係止部51とでタンポン本体20を狭持した状態にて製剤Mを付着させると、タンポン本体20がより安定した状態に維持され、より確実に製剤Mを付着させることが可能である。このとき、タンポン本体20の先端を支持する当接部125は、例えば、図12Aに示すように、タンポン本体20の先端が収容される半球状の凹部125aを備えた部材や、図12Bに示すように、タンポン本体20の先端に差し込まれるニードル125bを備えた部材、または、これらの両方を備える、例えば図12Cに示すような部材であっても構わない。
【0074】
また、上記実施の形態においては、製剤Mの薬効成分として松樹皮抽出物を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、レッドクローバー、タデ藍エキス、インジルビン等の植物抽出物であってもよい。また、松樹皮抽出物としてフラバンジェノールを例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、日本シイベルヘグナー社が取り扱うピクノジェノールやバレンタイン社が取り扱うエンゾジノールであってもよい。
【0075】
上記実施形態においては、タンポン本体20に製剤Mを付着させる方法として、付着ローラーを用いる方法を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば、転写ベルトを用いる方法や、スタンプ方式のユニットを用いる方法、または、非接触のインクジェット方式のユニットを用いる方法であっても構わない。
【符号の説明】
【0076】
10 タンポン、20 タンポン本体、20a 後端部分、20b 非後端部分、
21 外表面、22 取り出し紐、30 アプリケーター、40 外筒部材、
41 大径部、42 小径部、43 先端開口、44 花弁状部分、45 後端開口、
46 拡径部、47 段部、50 移動部材、51 係止部、52 環状突起、
60 吸収体材料、100 タンポンの製造装置、101 中継ローラー、
102 圧縮成型ドラム、102a 保持部、104 加熱ドラム、104a 保持部、
105 搬送機構、105a 第1コンベアー、105b 第2コンベアー、
106 搬送ドラムユニット、106a ドラム本体、107 付着ユニット、
107a 収容部、107b 付着ローラー、107c 供給ローラー、
108 加熱ドラム、108a 保持部、109 冷却用ドラム、109a 保持部、
110 先端成型ユニット、120 タンポン保持移動ユニット、121 保持台、
121a 保持面、121b 規制突部、121c 規制突部、121d クランプ、
122 移動エアーシリンダー、122a 本体部、122b ピストンロッド、
123 紐保持機構、123a 紐保持エアーシリンダー、123b シリンダー部、
123c ロッド部、123d 開孔、123e テーパー部、
123f シリンダーチューブ、123g 紐保持部、123h コイルバネ、
124 支持ローラー、125 当接部、125a 凹部、125b ニードル、
M 製剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸収体と、前記吸収体を相対移動自在に収容する外筒部材と、前記外筒部材に対して前記吸収体を相対移動させるための移動部材とを備えたタンポンの製造方法であって、
前記移動部材を、前記外筒部材の開口から挿入する挿入工程と、
前記吸収体の一部分が前記開口を介して前記外筒部材内に収容され、当該吸収体の他の部分が前記外筒部材から露出するように、当該吸収体を配置する配置工程と、
前記吸収体の、前記外筒部材から露出した前記他の部分に製剤を付着させる付着工程と、
前記製剤が付着された前記他の部分を、前記開口を介して前記外筒部材内に収容する収容工程と、
を有することを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のタンポンの製造方法であって、
前記他の部分は、前記製剤が付着されて所定時間以上経過した後に前記外筒部材内に収容されることを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のタンポンの製造方法であって、
前記所定時間は、前記吸収体に付着させた前記製剤の表面が乾燥するまでの時間であることを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタンポンの製造方法であって、
前記吸収体は、前記付着工程と前記収容工程との間に、前記他の部分が前記外筒部材から露出した状態で搬送されることを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタンポンの製造方法であって、
前記吸収体は、前記一部分から紐が延出され、
前記移動部材は筒状をなして前記外筒部材に対して相対移動自在に係合されており、
前記付着工程では、前記外筒部材内にて前記吸収体が前記移動部材に当接されるとともに、当該移動部材内を挿通された前記紐が、前記移動部材の外側から引っ張られることにより前記吸収体が保持されることを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のタンポンの製造方法であって、
前記付着工程では、前記吸収体の前記他の部分に当接される当接部と前記移動部材とで前記吸収体が狭持されていることを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のタンポンの製造方法であって、
前記外筒部材は、前記開口側が、周方向に適宜間隔を隔てて形成された複数の切り込みにより複数の周壁部に分割されており、
前記収容工程にて前記他の部分が収容された前記外筒部材の前記複数の周壁部を当該外筒部材の内方側に湾曲させる湾曲工程を有することを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のタンポンの製造方法であって、
前記配置工程では、前記外筒部材内に収容された前記吸収体の前記他の部分を、前記外筒部材から露出するように配置することを特徴とするタンポンの製造方法。
【請求項9】
液体を吸収する吸収体と、前記吸収体を相対移動自在に収容する外筒部材と、前記外筒部材に対して前記吸収体を相対移動させるための移動部材とを備えたタンポンの製造装置であって、
前記吸収体の一部分が前記開口を介して、前記移動部材が挿入された前記外筒部材内に収容され、当該吸収体の他の部分が前記外筒部材から露出するように、当該吸収体を配置する配置ユニットと、
前記吸収体の、前記外筒部材から露出した前記他の部分に製剤を付着させる付着ユニットと、
前記製剤が付着された前記他の部分を、前記開口を介して前記外筒部材内に収容する収容ユニットと、
を有することを特徴とするタンポンの製造装置。
【請求項10】
請求項9に記載のタンポンの製造装置であって、
前記外筒部材は、前記開口側が、周方向に適宜間隔を隔てて形成された複数の切り込みにより複数の周壁部に分割されており、
前記複数の周壁部を当該外筒部材の内方側に湾曲させて加熱する加熱ユニットと、
前記複数の周壁部を湾曲させた状態を維持させて冷却する冷却ユニットと、を有することを特徴とするタンポンの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−50467(P2011−50467A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200309(P2009−200309)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】