説明

ターナー

【課題】 本発明は、ブレードが屈曲しているターナーを使用する際に、ブレードのすくい部に載せきれない大きめの肉などをブレードの首部までずらして載せようとするときなどに、肉を首部まで円滑にずらすことができるターナーを提供することを課題とする。
【解決手段】 ブレード3はターナー1の長さ方向を横切る方向に延びる第一屈曲部4で屈曲し、ブレード3の、前記第一屈曲部4よりも端部側部分をすくい部5とし、前記第一屈曲部4よりもハンドル2側部分を首部6とし、ブレード3が食物をすくいあげる方の面をブレード3の表面として、ブレード3が屈曲している部分で、第一屈曲部4よりも内側すなわちブレード3の表面側を通ってすくい部5の表面の一部とそれに隣接する首部6の表面の一部とを短縮して連続させる連結面7が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭で調理時に使用するターナーに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドルとブレードとから成り、ブレードが屈曲しているターナーは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】意匠登録第1039909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ブレードが屈曲しているターナーを使用する際に、ブレードのすくい部に載せきれない大きめの肉などをブレードの首部までずらして載せようとするときなどに、肉を首部まで円滑にずらすことができるターナーを提供することを課題とする。
【0004】
ブレードが曲がったターナーを使用してビフテキを調理するときには、ブレードのすくい部に肉を載せて裏返したり、焼きあがった肉をすくい部に載せて皿に移す。肉の大きさが小さめで肉のほとんどの部分をすくい部に載せることができるときは、肉を裏返したり運んだりすることに支障はない。
【0005】
しかし、肉が大きくてすくい部からはみ出すときは、すくい部に肉を載せることができなかったり、すくい部に載せた肉がずり落ちたりする。そのために、肉を持ち上げる前に、肉の下に差し込んだブレードのすくい部をさらに押し進めて、肉がブレードの首部にまで載るように肉をずらすのである。
【0006】
ブレードが折れ曲がったターナーの場合は、ブレードの首部がすくい部に対して上昇するように傾斜しているから、肉を首部までずらすには肉を首部の表面に沿って上昇させなければならない。肉が厚かったり硬めであったりするときは、肉の下にブレードを差し込んでさらに押し進めようとして肉がブレードの屈曲部に到達したときに、肉の重さや硬さのために肉がブレードの首部に当たって円滑に首部まで上昇するようにずれてこないのである。このように、従来のターナーのブレードの屈曲部は、肉を首部に円滑にずらすことの障害となっていた。そこで、本発明は、肉などの食材を首部に円滑にずらすことのできるターナーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、ハンドルとブレードとを有するターナーであって、ブレードはターナーの長さ方向を横切る方向に延びる屈曲部で屈曲し、ブレードの、前記屈曲部よりも端部側部分をすくい部とし、前記屈曲部よりもハンドル側部分を首部とし、ブレードが食物をすくいあげる方の面をブレードの表面として、ブレードが屈曲している部分で、屈曲部よりも内側すなわちブレードの表面側を通ってすくい部表面の一部とそれに隣接する首部表面の一部とを短縮して連続させる連結面が設けられている構成である。
【0008】
請求項2は、連結面が複数設けられ且つそれらの連結面は間隔を置いて設けられている要素が請求項1に付加された構成である。
【0009】
請求項3は、隣り合う連結面の間隔が、その間隔方向の連結面の幅よりも大きい要素が請求項2に付加された構成である。
【0010】
請求項4は、連結面が4〜8のいずれかの数字の数だけ設けられている要素が請求項2又は請求項3のいずれか一項に付加された構成である。
【0011】
請求項5は、連結面が平面であり、連結面とすくい部表面のなす角度及び連結面と首部表面のなす角度は、共に、屈曲部においてすくい部表面と首部表面のなす角度よりも大きい要素が請求項1乃至請求項4のいずれか一項に付加された構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1は、ブレードはターナーの長さ方向を横切る方向に延びる屈曲部で屈曲し、ブレードの、前記屈曲部よりも端部側部分をすくい部とし、前記屈曲部よりもハンドル側部分を首部とし、ブレードが食物をすくいあげる方の面をブレードの表面として、ブレードが屈曲している部分で、屈曲部よりも内側すなわちブレードの表面側を通ってすくい部表面の一部とそれに隣接する首部表面の一部とを短縮して連続させる連結面が設けられている。連結面はこのような構成であるから、例えばすくい部よりも大きな肉でビフテキを調理するときに、肉の下にブレードを差し込んでさらに押し進めようとして肉がブレードの屈曲部に到達するよりも前に、肉は連結面に当たるのである。前述したように、連結面は、屈曲部よりも内側すなわちブレードの表面側を通ってすくい部表面の一部とそれに隣接する首部表面の一部とを短縮して連続させている。したがって、連結面に達した肉は連結面の奥にある屈曲部に当たることなく連結面によって持ち上げられ、持ち上げられた肉は連結面と連続した面である首部表面に沿って円滑に上昇してずれていくのである。大きな肉を首部までずらすことによって、すくい部だけでは持ち上げにくい肉を容易に持ち上げて裏返したり皿に移したりすることができる。本発明は、大きな肉を首部にずらして円滑且つ容易に持ち上げることができるばかりでなく、すくい部よりも小ぶりな複数の肉を、首部も使って一度にブレードの上に載せるときにも、一部の肉を首部に円滑にずらすことができる。さらに、肉を調理するときばかりでなく、魚や卵など他の食材を調理するときも肉と同様の効果を得ることができる。
【0013】
請求項2は、連結面が複数設けられ且つそれらの連結面は間隔を置いて設けられている。したがって、連結面が単数の場合よりも複数の方が肉をしっかり支持するから円滑に肉を首部の表面までずらすことができる。
【0014】
請求項3は、隣り合う連結面の間隔が、その間隔方向の連結面の幅よりも大きい。したがって、連結面の幅が小さいので肉と接触する面積も小さい。これにより、肉と連結面の摩擦力を小さくすることができてさらに肉を円滑にずらすことができる。
【0015】
請求項4は、連結面が4〜8のいずれかの数字の数だけ設けられている。これらの数の連結面が存在することによって、肉の一部が屈曲部に当たることを防止できる。
【0016】
請求項5は、連結面が平面であり、連結面とすくい部表面のなす角度及び連結面と首部表面のなす角度は、共に、屈曲部においてすくい部表面と首部表面のなす角度よりも大きい。連結面が平面であると、連結面とすくい部表面の境界に屈曲部が形成され、連結面と首部表面との境界にも屈曲部が形成される。しかし、これらの屈曲部はすくい部表面と首部表面との境界の角度よりも大きい。したがって、連結面が平面であることによって屈曲部が形成されてもその角度は大きいので、肉はその屈曲部を円滑に越えていくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明する。ターナー1は、ハンドル2とブレード3とから成る。ハンドル2は合成樹脂で形成されているが、他の材料、例えば木であってもよい。ブレード3はステンレス鋼で形成されているが、他の材料、例えば合成樹脂であってもよい。
【0018】
ブレード3は第一屈曲部4で屈曲し、第一屈曲部4を境として第一屈曲部4よりも端部側部分であるすくい部5と、ハンドル2側部分である首部6とから成る。ブレード3が屈曲している部分で、第一屈曲部4よりも内側すなわちブレード3の表面側を通ってすくい部5の表面の一部とそれに隣接する首部6の表面の一部とを短縮して連続させる6つの連結面7が設けられている。
【0019】
連結面7の数が6に限定されないことは勿論である。連結面7の幅、すなわちターナー1の長さ方向に垂直な方向に測った長さは約2mmであり、1〜6mmの長さが好ましい。また、連結面7の中心と隣の連結面7の中心間の長さ、すなわち連結面7のピッチは約10mmであり、5〜15mmであることが好ましい。連結面7のピッチは連結面7の幅の2倍以上で10倍以下が好ましい。また、第一屈曲部4から連結面7までの最大高さは約0.5mmであり、0.4〜2.0mmであることが好ましく、さらにはすくい部5の厚さの0.3倍以上で2倍以下であることが好ましい。すくい部5の幅は約60mmであり、すくい部5の長さ、すなわち第一屈曲部4からすくい部5の端部までの距離は約93mmである。首部6の長さは約65mmであり、ハンドル2の長さは約120mmである。また、ブレード3の厚みは約0.5mmであり、したがって、すくい部5及び首部6の厚みは0.5mmである。なお、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。前述したように、すくい部5の長さを93mmに設定すると、例えば、焼こうとする肉の長さが140mmを越えるような場合には、すくい部5に肉を載せたときに肉がすくい部5からずり落ちる虞がある。そこで、肉を首部6の上までずらして載せてから肉を裏返しにしたり、肉を皿に移す必要があるのである。
【0020】
図2に示すように、すくい部5は平面状である。また、図6及び図7に示すように、首部6の断面はコ字形に形成されている。これは、首部6の幅が狭いので強度を付けるためである。コ字形を構成する首部6の側面部10,10はハンドル2に近づくに従って幅が増加している。これは、首部6がハンドル2に近づくに従って幅が狭くなるので、これに対応して強度を保つためである。また、側面部10,10に指を当てることによってターナー1を持つことが可能であり、このようにターナー1を持つことにより細かい作業をするときに適する。
【0021】
図5に示すように連結面7は、すくい部5の表面と首部6の表面を直線で結んでおり、図3に示すように連結面7の表面は水平である。すくい部5と連結面7との境に第二屈曲部8が形成され、連結面7と首部6の境に第三屈曲部9が形成されている。前述したように、連結面7は、すくい部5の表面の一部とそれに隣接する首部6の表面の一部とを短縮して連続させる面であるから、第二屈曲部8及び第三屈曲部9の角度は第一屈曲部4の角度よりも大きくなる。したがって、調理している肉が首部6の方へずれるときに、連結面7の表面上を通った方が第一屈曲部4を通るよりも屈曲角度による抵抗が少ないので円滑に移動できる。
【0022】
第一屈曲部4の角度aは約158度であり、第二屈曲部8の角度b及び第三屈曲部9の角度cは共に約169度である。また、第二屈曲部8と第三屈曲部9との距離は約6mmであり、4〜15mmであることが好ましい。なお、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。また、第二屈曲部8と第三屈曲部9の角度が異なっていてもよい。むしろ、第二屈曲部8の角度を第三屈曲部9の角度よりも大きくすると、肉が首部6の方にずれるときに、最初に当たる第二屈曲部8の角度が大きいので肉が円滑に首部6の表面を上昇する。実施形態では第一屈曲部4と第二屈曲部8と第三屈曲部9とで囲まれた三角形は第一屈曲部4を頂点とする二等辺三角形であるが、二等辺三角形でなくてもよい。第二屈曲部8と第三屈曲部9は第一屈曲部4と同時に金属の平板をブレード3の裏面側から表面側にプレスすることにより形成できる。そのときに、連結面7も自ずと形成されるから、ブレード3の製造を簡単に行うことができる。ブレード3の材料が合成樹脂であるときは、射出成型により一工程で本発明のブレードを形成することができる。また、連結面7をブレード3と別体に形成して、ブレード3に固着する構成であってもよい。
【0023】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、連結面7の幅をすべて同じにせずに、異なる幅の連結面を含んでいてもよい。また、連結面7の幅や長さや屈曲部4からの高さの異なるものを組合わせてもよい。連結面7を第二屈曲部8と第三屈曲部9との間で直線状にせず、第一屈曲部4の内側で弧状をなすように形成してもよい。このように構成しても、肉は第一屈曲部4を通るよりも円滑に首部6の方へずれることができる。また、連結面7を水平とせず、連結部7を第一屈曲部4の方向の線で切った断面がU字形をなすように形成してもよい。このように形成すると、連結面7を水平とするよりも接触面が減って摩擦抵抗も減少する。また、本発明のすくい部5は調理した肉などを皿に移すために適した構造であるから、肉などの調理以外に食品を皿などに移すための器具、例えばケーキサーバーとして使用することもできる。
【0024】
本発明は以上のような構成であって、例えば、ターナーで肉を焼こうとするときに、焼こうとする肉の長さがすくい部5よりも長く、肉をすくい部に載せようとしてもずり落ちたり、はじめから載せることが困難なときに、その肉を首部6の上までずらして載せる必要がある。そのようなときに、本発明のすくい部5を肉の下に押し進めるだけで肉を円滑に首部6の上までずらすことができ、肉をブレードの上に確実に載せることができる。また、小ぶりな肉を複数載せるときも、一部の肉を首部6に円滑にずらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を表面側から見た図
【図2】本発明を側面側から見た図
【図3】A−A拡大端面図
【図4】B−B拡大断面図
【図5】C−C拡大断面図
【図6】D−D拡大端面図
【図7】E−E拡大端面図
【符号の説明】
【0026】
1 ターナー
2 ハンドル
3 ブレード
4 第一屈曲部
5 すくい部
6 首部
7 連結面
8 第二屈曲部
9 第三屈曲部
10 首部の側面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルとブレードとを有するターナーであって、ブレードはターナーの長さ方向を横切る方向に延びる屈曲部で屈曲し、ブレードの、前記屈曲部よりも端部側部分をすくい部とし、前記屈曲部よりもハンドル側部分を首部とし、ブレードが食物をすくいあげる方の面をブレードの表面として、ブレードが屈曲している部分で、屈曲部よりも内側すなわちブレードの表面側を通ってすくい部表面の一部とそれに隣接する首部表面の一部とを短縮して連続させる連結面が設けられていることを特徴とするターナー。
【請求項2】
連結面は複数設けられ且つそれらの連結面は間隔を置いて設けられている請求項1記載のターナー。
【請求項3】
隣り合う連結面の間隔は、その間隔方向の連結面の幅よりも大きい請求項2記載のターナー。
【請求項4】
連結面は4〜8のいずれかの数字の数だけ設けられている請求項2又は請求項3のいずれか一項記載のターナー。
【請求項5】
連結面は平面であり、連結面とすくい部表面のなす角度及び連結面と首部表面のなす角度は、共に、屈曲部においてすくい部表面と首部表面のなす角度よりも大きい請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載のターナー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−219753(P2009−219753A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69364(P2008−69364)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】