説明

タービンエンジン用の燃焼器アセンブリ及びその組み立て方法

【課題】改良されたタービンエンジン用の燃焼器アセンブリを提供する。
【解決手段】燃焼器アセンブリ30は、中心軸62を有し、内部に燃焼室60が画定される燃焼器ライナ54と、燃焼器ライナから延びる複数の燃料ノズル38と、環状の流動スリーブ40とを含み、流動スリーブは、当該流動スリーブと燃焼器ライナの間に環状の流路76が画定されるように、燃焼器ライナの径方向外側に連結され、流動スリーブは、上部終端壁と下部終端壁の間に延びる前面を含み、上部終端壁は、複数の燃料ノズルから第1の距離で配置され、下部終端壁は、複数の燃料ノズルから、第1の距離とは異なる第2の距離で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してタービンエンジンに関し、特に、タービンエンジンに用いる燃焼器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の既に知られているガスタービンエンジンでは、冷却用空気を使用して、エンジン内に組み込まれている燃焼器アセンブリを冷却する。この冷却用空気は、多くの場合、燃焼器アセンブリの上流に流体連通接続されたコンプレッサから供給される。具体的には、少なくとも一部の既知のタービンエンジンにおいて、冷却用空気は、コンプレッサから、燃焼器アセンブリの遷移片の周りを少なくとも部分的に取り巻いて延びるプレナム内に送出される。プレナムに入る冷却用空気の一部は、遷移片に外接する衝突スリーブに供給され、その後、衝突スリーブと遷移片の間に画定される冷却チャンネル内に送られる。冷却チャンネルに入る冷却用空気は、下流側で、燃焼器ライナと流動スリーブの間に画定される第2のチャンネル内に送出される。プレナムに入る冷却用空気の残りの部分は、流動スリーブ内に画定された吸気口から流れ出て下流に向かい、第2のチャンネル内に送られる。
【0003】
第2のチャンネルを通る冷却用空気は、燃焼器ライナの外側を冷却する。既知の流動スリーブの少なくともいくつかは、第2のチャンネル内に冷却用空気を送出する吸気口及びシンブルを含む。この吸気口は、燃焼器ライナの外側表面の周りに不均一な空気流パターンで冷却用空気を送り込む。この不均一な分布は、燃焼器ライナ外側表面における温度のばらつきの原因となり得ると共に、燃焼器ライナと冷却用空気の間の不均一な熱伝達を生じ得る。やがて、この不均一な熱伝達は、熱亀裂及び燃焼器ライナの損傷の少なくともいずれかを引き起こす可能性があり、これらはいずれも燃焼器ライナの全有効寿命の短縮、もしくはタービンエンジンの製造及び運用コストの上昇、又はその両方をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7757492B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改良されたタービンエンジン用の燃焼器アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、燃焼器アセンブリが提供される。燃焼器アセンブリは、中心軸を有する燃焼器ライナを含み、この燃焼器ライナの内部に燃焼室が画定される。燃焼器ライナから複数の燃料ノズルが延びる。環状の流動スリーブは、流動スリーブと燃焼器ライナの間に環状の流路が画定されるように、燃焼器ライナの径方向外側に連結される。流動スリーブは、上部終端壁と下部終端壁の間に延びる前面を含む。上部終端壁は、複数の燃料ノズルから第1の距離で配置される。下部終端壁は、複数の燃料ノズルから、第1の距離とは異なる第2の距離で配置される。
【0007】
他の態様において、タービンエンジンが提供される。このタービンエンジンは、コンプレッサと、そのコンプレッサに流体連通して、コンプレッサから放出された空気の少なくとも一部を受け取る燃焼器とを含む。燃焼器は、複数の燃焼器アセンブリを含む。複数の燃焼器アセンブリのうちの少なくとも一つの燃焼器アセンブリは、中心軸を有する燃焼器ライナを含み、この燃焼器ライナの内部に燃焼室が画定される。燃焼器ライナから複数の燃料ノズルが延びる。環状の流動スリーブは、流動スリーブと燃焼器ライナの間に環状の流路が画定されるように、燃焼器ライナの径方向外側に連結される。流動スリーブは、上部終端壁と下部終端壁の間に延びる前面を含む。上部終端壁は、複数の燃料ノズルから第1の距離で配置される。下部終端壁は、複数の燃料ノズルから、第1の距離とは異なる第2の距離で配置される。
【0008】
更なる態様において、燃焼器アセンブリの組立方法が提供される。この方法は、複数の燃料ノズルに燃焼器ライナを連結することを含み、燃焼器ライナは、内部に画定された燃焼室を含み、燃焼器ライナは、中心軸に沿って延びる。環状の流動スリーブは、その流動スリーブと燃焼器ライナの間に環状の流路が画定されるように、燃焼器ライナの径方向外側に連結される。環状の流動スリーブは、上部終端壁と下部終端壁の間に延びる前面を含む。上部終端壁は、複数の燃料ノズルから第1の距離で配置される。下部終端壁は、複数の燃料ノズルから、第1の距離とは異なる第2の距離で配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的タービンエンジンの模式的断面図である。
【図2】図1に記載したタービンエンジンに利用できる例示的燃焼器アセンブリの一部を示す拡大断面図である。
【図3】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる例示的流動スリーブの部分断面図である。
【図4】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる代替流動スリーブの断面図である。
【図5】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる代替流動スリーブの断面図である。
【図6】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる代替流動スリーブの断面図である。
【図7】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる代替流動スリーブの断面図である。
【図8】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる代替流動スリーブの断面図である。
【図9】図2に記載した燃焼器アセンブリに利用できる代替流動スリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載する例示的方法及び装置は、燃焼器ライナの周りに実質的に均一な流量分布の冷却液を送出する流動スリーブを設けて、冷却液と燃焼器ライナの外側表面との間の向上した熱伝達を促進することによって、既知の燃焼器アセンブリの欠点を克服する。具体的には、本明細書に記載する実施形態は、燃焼器ライナの中心軸に対して斜めに位置する吸気開口を含む流動スリーブを提供して、均一な周方向圧力分布を有する冷却液の流れを、燃焼器ライナの外側表面の周りに規定できるようにする。均一な分布の冷却液は、燃焼器ライナの外側表面の温度のほぼ均一な低下を促進しながら、燃焼器ライナの動作寿命の向上を促進する。
【0011】
本明細書において、「上流」の用語は、タービンエンジンの前方端部を意味し、「下流」の用語は、タービンエンジンの後方端部を意味する。
【0012】
図1は、例示的タービンエンジン10の模式図である。タービンエンジン10は、吸気区画12、吸気区画12の下流のコンプレッサ区画14、コンプレッサ区画14の下流の燃焼器区画16、燃焼器区画16の下流のタービン区画18、及びタービン区画18の下流の排気区画20を含む。タービン区画18は、シャフト28を含むロータアセンブリ22を介してコンプレッサ区画14に連結される。燃焼器区画16は、複数の燃焼器アセンブリ30を含み、その各燃焼器アセンブリ30はコンプレッサ区画14と流体連通接続される。燃料ノズルアセンブリ26は、各燃焼器アセンブリ30に連結される。タービン区画18は、コンプレッサ区画14と、負荷(図示せず)とに回転可能に連結され、この負荷は、特に限定するものではないが、発電機、もしくは機械駆動用途、又はその両方などである。一実施形態において、タービンエンジン10は、ニューヨーク州、スケネクタディ所在のゼネラルエレクトリックカンパニー(General Electric Company)から市販されているMS9001Eエンジンである。タービンエンジン10は、単に例示しただけであり、本発明は、タービンエンジン10に利用されることのみに限定されるのではなく、むしろ、本明細書に記載されるように機能するあらゆるタービンエンジンにおいて実施できる。
【0013】
動作において、空気はコンプレッサ区画14を通って流れ、圧縮された空気が燃焼器区画16内に送られる。燃焼器アセンブリ30は、この空気流の中に、燃料、例えば、天然ガス、もしくは燃料油、又はその両方を噴射して、燃料−空気混合物を点火し、燃焼によって燃料−空気混合物を膨張させて、高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼器アセンブリ30からタービン区画18に向かって送出され、タービン区画18において、そのガス内の熱エネルギが機械的回転エネルギに変換される。燃焼ガスは、タービン区画18及びロータアセンブリ22に回転エネルギを伝達し、この後、ロータアセンブリ22がコンプレッサ区画14に回転動力を提供する。
【0014】
図2は、燃焼器アセンブリ30の一部の拡大断面図である。例示的実施形態において、燃焼器アセンブリ30は、タービン区画18と、コンプレッサ区画14とに流体連通接続される。また、例示的実施形態において、コンプレッサ区画14は、吐出プレナム34と流体連通接続されるディフューザ32を含み、この吐出プレナム34によって、コンプレッサ区画14から下流側に燃焼器アセンブリ30に向かって空気を送ることができる。
【0015】
例示的実施形態において、燃焼器アセンブリ30は、複数の燃料ノズル38を少なくとも部分的に支持する略円形のドームプレート36を含む。ドームプレート36は、前方区画44と後方区画46の間に延びる外側表面42を含む略円筒の燃焼器流動スリーブ40に連結される。外側表面42には燃焼器ケース48が連結され、流動スリーブ40は、燃焼器ケース48の内側表面52によって画定されるチャンバ50内に、少なくとも部分的に配置される。より詳細には、燃焼器ケース48は、前方区画44と後方区画46の間で流動スリーブ40に連結される。前方区画44はドームプレート36に連結されており、チャンバ50は、コンプレッサ区画14からの空気の流れが流動スリーブ40に流入できるように、プレナム34と連通している。流動スリーブ40内に配置される略円筒の燃焼器ライナ54は、流動スリーブ40に連結され、かつ、その流動スリーブ40によって支持される。具体的には、例示的実施形態において、流動スリーブ40は、流動スリーブ40と燃焼器ライナ54の間に環状の冷却通路56が画定されるように、燃焼器ライナ54の径方向外側に連結される。流動スリーブ40及び燃焼器ケース48は、燃焼器ライナ54、及び関連する燃焼過程を周囲のタービン構成要素から実質的に分離する。
【0016】
例示的実施形態において、燃焼器ライナ54は、環状の燃焼室60を画定する略円筒形の内側表面58を含み、この燃焼室60は、燃焼室60を通って延びる中心軸62を有する。燃焼器ライナ54は、燃焼室60内に燃料を送る燃料ノズル38にも連結される。環状の冷却通路56は、燃焼器ライナ54の外側表面64を通って燃料ノズル38に向かう冷却液を送る。例示的実施形態において、流動スリーブ40は、冷却通路56内に流路を画定する吸気開口66を含む。
【0017】
遷移片68は、燃焼器ライナ54に連結され、燃焼器ライナ54からタービン区画18への燃焼ガスの送出に利用される。例示的実施形態において、遷移片68は、燃焼室60から下流にタービンノズル74まで燃焼ガスを送る案内空洞72を画定する内側表面70を含む。燃料器ライナの内側表面58は、中心軸62と略平行な燃焼ガスの流路76を画定する。燃焼室60内で生成された燃焼ガスは、流路76に沿って遷移片68に送られる。遷移片68の上流側端部78は、燃焼器ライナ54の下流側端部80に連結される。一実施形態において、燃焼器ライナ54は、燃焼室60が案内空洞72と流動連通して配置され、かつ、燃焼室60及び案内空洞72がプレナム34から実質的に分離されるように、少なくとも部分的に上流側端部78の中に挿入される。
【0018】
衝突スリーブ82は、遷移片68から径方向外側に間隔を空けて配置される。具体的には、衝突スリーブ82の下流側端部84は、衝突スリーブ82が、遷移片68の径方向外側に配置されて、衝突スリーブ82と遷移片68の間に遷移片冷却通路86が画定されるように、遷移片68に連結される。衝突スリーブ82を貫通する複数の開口部88により、コンプレッサの吐出プレナム34からの空気流の一部は、冷却通路86内に流入する。例示的実施形態において、衝突スリーブ82の上流側端部90は、流動スリーブ40と実質的に同軸に整列されるため、冷却液は、冷却通路86から冷却通路56内に向かうことができる。
【0019】
動作中、コンプレッサ区画14は、シャフト28(図1を参照)を介してタービン区画18によって駆動される。コンプレッサ区画14の回転に伴い、圧縮空気92がディフューザ32に送出される。例示的実施形態において、コンプレッサ区画14からディフューザ32内に送出される圧縮空気92のほとんどは、コンプレッサの吐出プレナム34を通って、燃焼器アセンブリ30に送られる。コンプレッサ区画14から送出される圧縮空気92の僅かな部分は、下流に送られて、タービンエンジン10の構成要素の冷却に使用される。より詳細には、プレナム34内の加圧された圧縮空気92の第1の流れ94は、衝突スリーブ開口部88を通って冷却通路86に流れ込む。この空気94は、次に、冷却通路86を通り、その後、冷却通路56内に入る。また、プレナム34内の加圧された圧縮空気92の第2の流れ96は、衝突スリーブ82の周りを流れ、吸気開口66から冷却通路56内に流入する。そして、吸気開口66に入る空気96、及び遷移片冷却通路86からの空気94は、冷却通路56内で混合された後、冷却通路56から燃料ノズル38に送り出される。空気92は、燃料ノズル38から放出される燃料と混合して、燃焼室60内で着火し、燃焼ガス流98を生成する。燃焼ガス98は、燃焼室60から遷移片案内空洞72を通ってタービンノズル74に向かう。
【0020】
図3は、燃焼器アセンブリ30に利用できる例示的流動スリーブ100の断面図である。図3に示される同様の構成要素は、図2で用いたものと同じ参照番号で示されている。流動スリーブ100は、略円筒形で、上流側端部104と下流側端部106の間に延びる内側表面102を含む。上流側端部104は、ドームプレート36(図2に記載)に連結され、下流側端部106は、上流側端部104から衝突スリーブ82に向かって延びる。燃焼器ライナ54は、流動スリーブの内側表面102と燃焼器ライナの外側表面64の間に冷却通路56が画定されるように、流動スリーブ100の径方向内側に連結される。下流側端部106は、吸気開口112を画定する前面110を含み、この吸気開口112は、冷却通路56と流体連通しており、空気96は燃焼器プレナム34(図2に記載)から冷却通路56に向かうことができる。
【0021】
例示的実施形態において、前面110は、上部終端壁114と、下部終端壁116と、吸気平面119とを含み、この吸気平面119は、上部と下部の各終端壁114、116の間に延びる。上部終端壁114は、燃料ノズル38から第1の距離117で配置される。下部終端壁116は、燃料ノズル38から、第1の距離117とは異なる第2の距離118で配置されるため、吸気平面119は、中心軸62に対して斜めに傾いている。具体的には、中心軸62と吸気平面119の交点に角度α1が画定される。例示的実施形態において、下部終端壁116は、中心軸62から時計回りに測定したときに、角度α1が約90°と約115°の間になるように、上部終端壁114よりも燃料ノズル38により近づいて配置される。一実施形態において、角度α1は135°にほぼ等しい。衝突スリーブの上流側端部90は、上流開口122を画定する上流エッジ120を含む。上流開口122により、冷却液は、遷移片冷却通路86から冷却通路56内に向かうことができる。例示的実施形態において、上流エッジ120は、中心軸62に対して略垂直に位置する衝突平面124を画定する。流動スリーブの前面110は、上流エッジ120に対して、前面110と上流エッジ120の間に環状間隙126が設けられるように配置される。間隙126は、遷移片冷却通路86及びプレナム34から冷却通路56への空気の流れを調整できるようにする。例示的実施形態において、流動スリーブの上部終端壁114は、上流エッジ120から第1の距離130で配置される。流動スリーブの下部終端壁116は、上流エッジ120から、第1の距離130より大きい第2の距離132で配置される。
【0022】
タービンエンジン10の動作中、冷却用空気は、衝突スリーブ82及び流動スリーブ100を実質的に取り囲む方式でプレナム34から送出される。具体的には、冷却用空気は、流動スリーブ100及び衝突スリーブ82の周りに、不均一な圧力分布で、プレナム34から燃焼器ケースのチャンバ50内に送られる。また、第1の流れ94は、開口部88から遷移片冷却通路86に入り、遷移片冷却通路86内を移動することによって、遷移片68の冷却を促進する。従って、第1の流れ94は、遷移片68の温度低下を促進する。第1の流れ94は、環状間隙126から燃焼器ライナ冷却通路56内に流入し、燃焼器ライナ54の温度低下を促進する。第2の流れ96の第1部分134は、衝突スリーブ82の周りを流れ、吸気開口112の下側終端壁116の近くで燃焼器ライナ冷却通路56内に進入する。第2の流れ96の第2部分136は、吸気開口112の上部終端壁114の近くで冷却通路56に進入する。吸気開口112の向きによって、第1部分134及び第2部分136が冷却通路56内に送られ、第2の流れ96が、燃焼器ライナ54の周りで実質的に均一な流量分布を有することが保証される。ライナ冷却通路56内で、第1及び第2の流れ94、96が混合して、燃焼器ライナ54の温度低下を促進する。
【0023】
流動スリーブの吸気開口112の向きによって、実質的に均一な流量分布の第2の流れ96が冷却通路56に送られることが保証される。この均一な流量分布は、冷却通路56を通って流れる第1及び第2の流れ94及び96と、燃焼器ライナ54との間の熱伝達を向上させることに役立つ。環状間隙126によって、第1の流れ94は、制御された流量で、燃焼器冷却通路56内に入ることができる。従って、吸気開口112及び環状間隙126によって、燃焼器ライナの外側表面64の周方向に均一な圧力分布が容易に生じる。
【0024】
図4〜図9に、流動スリーブ100の各種の代替実施形態の断面図を示す。図4〜図9に記載された同様の構成要素は、図3に用いたものと同じ参照番号で識別される。図4を参照して説明すると、一実施形態において、上部終端壁114は、角度α1が約25°と約90°の間に規定されるように、下部終端壁116よりも燃料ノズル38により近づいて配置される。一実施形態において、角度α1は約45°にほぼ等しい。このような実施形態において、衝突スリーブの上流エッジ120は、衝突平面124が中心軸62に対して斜めに傾いて、第1の距離130が第2の距離132と実質的に等しくなるように方向決めされる。また、一実施形態において、衝突平面124は、中心軸62と衝突平面124の間に、吸気平面の角度α1と実質的に等しい角度α2を形成する。これに代えて、角度α2は、吸気平面の角度α1より大きくても、又は小さくてもよい。例示的実施形態において、流動スリーブ100に画定される複数の開口部138は、流動スリーブの下流側端部106に隣接して配置される。開口部138は、略円形で、開口部138から冷却通路56に入る空気の圧力低下を促進する方式で方向決めされる。
【0025】
図5を参照して説明すると、一実施形態において、燃焼器アセンブリ30は、衝突スリーブ82を含まず、むしろ燃焼器ライナ54が、遷移区画140において遷移片68に連結される。流動スリーブ100は、ドームプレート36から遷移片68に向かって延び、流動スリーブの内側表面102が、遷移片68の外側表面142の一部に重畳している。具体的には、前面110は、冷却通路56が流動スリーブ内側表面102と遷移片の外側表面142の間に少なくとも部分的に形成されるように、遷移片の上流側端部78の上に延びる。一実施形態において、前面110は、上部終端壁114と下部終端壁116の間に延びる弓形の表面144を含み、これにより、前面110は、上部終端壁114と下部終端壁116の間に延びる略凹形の表面144を形成する。これに代えて、前面110は略凸形の表面144(仮想線で図示)を含むことができる。一実施形態において、流動スリーブ100が遷移片68の全長に亘って延び、流動スリーブ100は、ドームプレート36からタービンノズル74まで延びる。
【0026】
図6を参照して説明すると、一実施形態において、流動スリーブの前面110は、上側部位146と下側部位148とを含む。一実施形態において、上側部位146は、中心軸62に沿って下側部位148に結合される。このような実施形態において、上側部位146は、下側部位148から距離150だけ下流側に延び、下側部位148は、上側部位146が配置された位置と比べ、燃料ノズル38により近付いて配置される。また、このような実施形態において、上側部位146は、中心軸62に対して略垂直である外側エッジ152を含む。一実施形態において、外側エッジ152は、中心軸62に対して斜めに傾いている(仮想線で図示)。
【0027】
図7を参照して説明すると、一実施形態において、上側部位146は、上部終端壁114と下側部位148の間に延びる弓形の表面154を含み、上側部位146が、上部終端壁114と下側部位148の間に延びる略凹形の表面154を形成する。この実施形態において、下側部位148は、上側部位146と下部終端壁166の間に延びる弓形の表面156を含み、下側部位148が、上側部位146と下部終端壁116の間に延びる略凸形の表面156を形成する。これに代えて、上側部位146は略凸形の表面154(仮想線で図示)を含むことができ、下側部位148は略凹形の表面156(仮想線で図示)を含むことができる。
【0028】
図8を参照して説明すると、一実施形態において、流動スリーブ100は、燃焼器ライナ54の径方向外側に間隔を空けて配置され、上部終端壁114が、ライナの外側表面64から第1の距離158で配置され、下部終端壁116が、外側表面64から第2の距離160で配置される。このような実施形態において、第2の距離160は、第1の距離158より長い。また、一実施形態において、流動スリーブ100は、第1の距離158が第2の距離156より長くなるように配置される。
【0029】
図9を参照して説明すると、一実施形態において、流動スリーブ100は、弓形の形状を有する外側表面162を含み、この外側表面162は、前面110において、又は前面110の近くで燃焼器ライナ54の径方向外側に延びる。このような実施形態において、流動スリーブ100は、ベル形の吸気開口部112を画定する末広がりの内側表面102を含む。複数の開口部164は、吸気開口部112において、又はその近くで、流動スリーブの外側表面162を貫通して延びる。
【0030】
前述した装置及び方法は、実質的に均一な流量分布の冷却液を燃焼器ライナの周りに送る流動スリーブを設けて、冷却液と燃焼器ライナの外側表面との間の向上した熱伝達を促進することによって、既知の燃焼器アセンブリの欠点を克服する。具体的には、燃焼器ライナの中心軸に対して斜めに傾いた吸気開口部を含む流動スリーブを提供することで、燃焼器ライナの周りの圧力分布が容易に均一化される。また、本明細書に記載した実施形態は、燃焼器ライナの外側表面の外面全体で温度を均一に低減することに役立ち、燃焼器ライナの動作寿命の向上を促進する。このため、ガスタービンエンジンシステムの製造コストが容易に低減される。
【0031】
タービンエンジンに用いる燃焼器アセンブリ、及び同アセンブリの組立方法の実施形態について上記で詳細に説明した。本方法及び装置は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、本システムの構成要素、もしくは本方法のステップ、又はその両方は、本明細書に記載した他の方法及びステップの少なくともいずれかから独立して個別に利用できる。例えば、本方法及び装置は、他の燃焼システム及び方法と組み合わせて利用されてもよく、本明細書に記載したタービンエンジンアセンブリのみで実施することに限定されるものではない。むしろ、例示的実施形態は、他の多くの燃焼システムの用途と組み合わせて実施及び利用できる。
【0032】
本発明の各種実施形態の特定の特徴は、一部の図面に記載されて、他の図面には記載されていないが、これは便宜上のものである。また、上記の説明における「一実施形態」への言及は、列挙した特徴が同様に組み込まれる追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図したものではない。本発明の原理に従って、図面の各種の特徴は、他の図面の各種の特徴と組み合わせて参照される、もしくは請求の範囲に組み込まれる、又はその両方である。
【0033】
本明細書では、例を用いて、最良の形態を含めて本発明を開示すると共に、装置又はシステムを作製及び利用すること、ならびに採用された各種の方法を実行することを含め、当業者が本発明を実施できるようにした。本発明の特許を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、その例が、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文言から僅かに異なるだけの等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【符号の説明】
【0034】
10 タービンエンジン
12 吸気区画
14 コンプレッサ区画
16 燃焼器区画
18 タービン区画
20 排気区画
22 ロータアセンブリ
26 燃料ノズルアセンブリ
28 シャフト
30 燃焼器アセンブリ
32 ディフューザ
34 プレナム
36 ドームプレート
38 燃料ノズル
40 流動スリーブ
42 外側表面
44 前方区画
46 後方区画
48 燃焼器ケース
50 チャンバ
50 燃焼器ケースのチャンバ
52 内側表面
54 燃焼器ライナ
56 環状の冷却通路
58 燃料器ライナの内側表面
60 燃焼室
62 中心軸
64 燃焼器ライナの外側表面
66 吸気開口
68 遷移片
70 内側表面
72 案内空洞
74 タービンノズル
76 流路
78 上流側端部
80 下流側端部
82 衝突スリーブ
84 下流側端部
86 冷却通路
88 複数の開口部
90 衝突スリーブの上流側端部
92 圧縮空気
94 第1の流れ
96 第2の流れ
98 燃焼ガス流
100 流動スリーブ
102 内側表面
104 上流側端部
106 下流側端部
110 前面
112 吸気開口
114 上部終端壁
116 下部終端壁
117 第1の距離
118 第2の距離
119 吸気平面
120 上流エッジ
122 上流開口
124 衝突平面
126 環状間隙
130 第1の距離
132 第2の距離
134 第1部分
136 第2部分
138 複数の開口部
140 遷移区画
142 遷移片の外側表面
144 弓形の表面
146 上側部位
148 下側部位
150 距離
152 外側エッジ
154 弓形の表面
156 弓形の表面
158 第1の距離
160 第2の距離
162 外側表面
164 複数の開口部
166 下部終端壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(62)を有し、内部に燃焼室(60)が画定される燃焼器ライナ(54)と、
前記燃焼器ライナから延びる複数の燃料ノズル(38)と、
環状の流動スリーブ(40、100)とを含む燃焼器アセンブリ(30)であって、
前記流動スリーブ(40、100)は、当該流動スリーブと前記燃焼器ライナの間に環状の流路(76)が画定されるように、前記燃焼器ライナの径方向外側に連結され、
前記流動スリーブは、上部終端壁(114)と下部終端壁(116)の間に延びる前面(110)を含み、
前記上部終端壁は、前記複数の燃料ノズルから第1の距離(117)で配置され、
前記下部終端壁は、前記複数の燃料ノズルから、前記第1の距離とは異なる第2の距離(118)で配置される、燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項2】
前記上部終端壁(114)は、前記下部終端壁(116)が前記複数の燃料ノズル(38)に対して配置された位置よりも、前記複数の燃料ノズルにより近接して配置される、請求項1に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項3】
前記前面(110)は、前記燃焼器ライナの中心軸(62)に対して約25度と約90度の間の角度で位置する吸気平面(119)を画定する、請求項2に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項4】
前記下部終端壁(116)は、前記上部終端壁(114)が配置された位置よりも、前記複数の燃料ノズルにより近接して配置される、請求項1に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項5】
前記前面(110)は、前記燃焼器ライナの中心軸(62)に対して、約90度と約155度の間の角度で位置する吸気平面(119)を画定する、請求項4に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項6】
前記燃焼器ライナ(54)に連結された環状の遷移片(140)を更に含み、
前記流動スリーブの前面(110)が前記遷移片の少なくとも一部の上に延びて、前記流動スリーブと前記遷移片の間に、前記環状の流路(76)が少なくとも部分的に画定される、請求項1に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項7】
前記前面(110)は弓形の形状を含む、請求項1に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項8】
前記前面(110)は、第1部位(134)と第2部位(136)とを含み、前記第1部位は凹形の形状を含み、前記第2部位は凸形の形状を含む、請求項1に記載の燃焼器アセンブリ(30)。
【請求項9】
コンプレッサ(14)と、
前記コンプレッサと流体連通して、前記コンプレッサから送出される空気の少なくとも一部を受け取る燃焼器(16)と、を含むタービンエンジン(10)であって、
前記燃焼器は複数の燃焼器アセンブリ(30)を含み、前記複数の燃焼器アセンブリのうちの少なくとも一つの燃焼器アセンブリは、
中心軸(62)を有し、内部に燃焼室(60)が画定される燃焼器ライナ(54)と、
前記燃焼器ライナから延びる複数の燃料ノズル(38)と、
環状の流動スリーブ(40、100)とを含み、
前記流動スリーブは、当該流動スリーブと前記燃焼器ライナの間に環状の流路(76)が画定されるように、前記燃焼器ライナの径方向外側に連結され、
前記流動スリーブは、上部終端壁(114)と下部終端壁(116)の間に延びる前面(110)を含み、前記上部終端壁は、前記複数の燃料ノズルから第1の距離(117)で配置され、前記下部終端壁は、前記複数の燃料ノズルから、前記第1の距離とは異なる第2の距離(118)で配置される、タービンエンジン(10)。
【請求項10】
前記上部終端壁(114)は、前記下部終端壁(116)が前記複数の燃料ノズルに対して配置された位置よりも、前記複数の燃料ノズル(38)により近接して配置される、請求項9に記載のタービンエンジン(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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