説明

タービンブレードプラットフォーム冷却システム

【課題】より高い燃焼温度の使用を可能にし、部品寿命を増大させながら全体システム効率を向上させるタービンブレード冷却システムを提供する。
【解決手段】本タービンブレード冷却システム100は、正圧側面通路と連通した冷却空洞を有する第1のタービンブレードプラットフォーム150を備えた第1のタービンブレード120と、負圧側面通路を持つプラットフォーム冷却空洞を有する第2のタービンブレードプラットフォーム150を備えた第2のタービンブレード130とを含むことができる。第1のタービンブレードプラットフォーム150の正圧側面通路は、第2のタービンブレードプラットフォーム150の負圧側面通路と連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、隣り合うブレードプラットフォームの負圧側面を冷却するタービンブレードプラットフォーム冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のタービン組立体は一般的に、円周方向に間隔を置いて配置されたタービンブレードの列を含む。一般的に説明すると、各タービンブレードは、プラットフォームから外向きに延びる翼形部と、それから内向きに延びるダブテールを備えたシャンク部とを含む。ダブテールは、タービンブレードをロータディスクと共に回転するように該ロータディスクに取付けるために使用される。公知のタービンブレードは一般的に、翼形部、プラットフォーム、シャンク部及びダブテールの少なくとも一部分を通して内部冷却空洞を形成することができるように中空である。
【0003】
ブレードの翼形部部分はシャンク部及びダブテール部分よりも高温に曝されるので、翼形部及びプラットフォーム間並びに/或いはシャンク部及びプラットフォーム間の接合部に、温度不整合が生じる可能性がある。時の経過と共に、そのような温度差及び関連する熱歪みにより、ブレードプラットフォームに対して大きな圧縮熱応力が生じるおそれがある。さらに、タービン全体の作動温度の上昇は、酸化、疲労、割れ及び/又はクリープ変形を引き起こし、従ってタービンブレードの有効寿命を短縮させるおそれがある。具体的には、より高いタービン燃焼温度により一般的に、タービンブレード及びバケットプラットフォーム全体に対する応力発生の可能性が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7416391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、特にプラットフォームの負圧側面の周りでの冷却を改善したタービンブレードに対する要望が存在する。そのような改良型のタービンブレード設計は、より高い燃焼温度の使用を可能にし、従って部品寿命を増大させながら全体システム効率を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本出願は、タービンブレード冷却システムを提供する。本タービンブレード冷却システムは、正圧側面通路と連通した冷却空洞を有する第1のタービンブレードプラットフォームを備えた第1のタービンブレードと、負圧側面通路を持つプラットフォーム冷却空洞を有する第2のタービンブレードプラットフォームを備えた第2のタービンブレードとを含むことができる。第1のタービンブレードプラットフォームの正圧側面通路は、第2のタービンブレードプラットフォームの負圧側面通路と連通している。
【0007】
本出願はさらに、タービンブレードプラットフォームの冷却方法を提供する。本方法は、第1のタービンブレードプラットフォームの正圧側面通路を通して冷却媒体を流すステップと、第2のタービンブレードプラットフォームの負圧側面通路を通して冷却媒体を流すステップと、第2のタービンブレードプラットフォーム内のプラットフォーム冷却空洞を通して冷却媒体を流すステップと、第2のタービンブレードプラットフォームを冷却するステップとを含むことができる。
【0008】
本出願はさらに、タービンブレードプラットフォームを提供する。本タービンブレードプラットフォームは、正圧側面通路と、正圧側面通路と連通した冷却回路と、負圧側面通路と、負圧側面通路と連通したプラットフォーム冷却空洞とを含むことができる。
【0009】
本出願のこれらの及びその他の特徴及び改良は、幾つかの図面及び特許請求の範囲と関連させてなした以下の詳細な説明を精査することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】公知のガスタービンエンジンの部品の概略図。
【図2】公知のタービンブレードの概略図。
【図3】本明細書で説明することができるようなタービンブレードプラットフォーム冷却システムの一対のタービンブレードの上面図。
【図4】図3のタービンブレードプラットフォーム冷却システムの一対のタービンブレードの側面断面図。
【図5】図3のタービンブレードプラットフォーム冷却システムの一対のタービンブレードの分離させた部分側面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、幾つかの図を通して同じ参照符号が同様な要素を表している図面を参照すると、図1は、公知のガスタービンエンジン10の部品の概略図を示している。ガスタービンエンジン10は、圧縮機15を含むことができる。圧縮機15は、流入する空気の流れ20を加圧する。圧縮機15は、加圧した空気の流れ20を燃焼器25に送給する。燃焼器25は、加圧した空気の流れ20を加圧した燃料の流れ30と混合しかつその混合気を点火燃焼させて、燃焼ガスの流れ35を形成する。単一の燃焼器25のみを示しているが、ガスタービンエンジン10は、あらゆる数の燃焼器25を含むことができる。燃焼ガスの流れ35は次に、タービン40に送給される。燃焼ガスの流れ35は、タービン40を駆動して、機械的仕事を生成する。タービン40内で生成された機械的仕事は、圧縮機15並びに発電機及び同様のもののような外部負荷45を駆動する。
【0012】
ガスタービンエンジン10は、天然ガス、様々なタイプの合成ガス、及びその他のタイプの燃料を使用することができる。ガスタービンエンジン10は、ニューヨーク州スケネクタディ所在のGeneral Electric Company又はその他によって提供される多数の異なるガスタービンの1つとすることができる。ガスタービンエンジン10は、その他の構成を有することができまたその他のタイプの部品を使用することができる。本明細書では、その他のタイプのガスタービンエンジンもまた使用することができる。複数のガスタービンエンジン10、その他のタイプのタービン及びその他のタイプの発電装置もまた、共に使用することができる。
【0013】
図2は、公知のタービンブレード50の斜視図を示している。タービンブレード50は、上記したようなタービン40及び同様のもので使用することができる。円周方向に間隔を置いた配列で互いに隣り合わせて、あらゆる数のブレード50を配置することができる。各タービンブレード50は一般的に、プラットフォーム60から延びる翼形部55を含む。翼形部55は、その形状が凸面形であり、負圧側面65及び正圧側面70を有する。各翼形部55はまた、前縁75及び後縁80を有することができる。本明細書では、その他の翼形部構成もまた使用することができる。
【0014】
タービンブレード50はまた、プラットフォーム60から内向きに延びるシャンク部85及びダブテール90を含むことができる。シャンク部85に対して、幾つかのエンジェルウィング86を取付けることができる。ダブテール90は、タービンブレード50をロータディスク(図示せず)と共に回転するように該ロータディスクに取付けることができる。シャンク部85は、ほぼ中空であり、その中にシャンク空洞95を有する。シャンク空洞95は、圧縮機吐出空気のような冷却媒体と連通状態にすることができる。本明細書では、その他のタイプの冷却回路及び冷却媒体もまた使用することができる。冷却媒体は、ダブテール90、シャンク部85及びプラットフォーム60の少なくとも一部分を通りかつ翼形部55内に循環することができる。本明細書では、その他の構成も使用することができる。
【0015】
図3〜図5は、本明細書で説明することができるようなタービンブレードプラットフォーム冷却システム100を示している。タービンブレードプラットフォーム冷却システム100は、第1のタービンブレード120及び第2のタービンブレード130のみを図示しているが、あらゆる数のタービンブレード110を含むことができる。上記のように、あらゆる数のタービンブレード110は、ロータディスク(図示せず)の周りに円周方向に互いに隣り合わせて配置することができる。各対のタービンブレード110は、それらの間にギャップ140を形成することができる。第1のタービンブレード120及び第2のタービンブレード130は、ほぼ同一とすることができる。
【0016】
各タービンブレード110は、そこから外向きに延びる翼形部160及びそこから内向きに延びるシャンク部170を備えたプラットフォーム150を含むことができる。プラットフォーム150は、前方側面152、後方側面154、負圧側面156及び正圧側面158を有することができる。
【0017】
タービンブレード110は、それを貫通して延びる冷却空洞180を含むことができる。冷却空洞180は、圧縮機吐出空気及び同様のもののような冷却媒体190と連通状態にすることができる。冷却空洞180は、シャンク部170を少なくとも部分的に貫通しかつ翼形部160内に延びることができる。冷却空洞180の一部分はまた、プラットフォーム150内に延びて、冷却媒体190の少なくとも一部分が翼形部160を通って流れる代わりに又は該翼形部160を通って流れた後にかのいずれかで該プラットフォーム150を通って流れることができるようにすることができる。具体的には、冷却空洞180は、プラットフォーム150の正圧側面158の周りで該プラットフォーム150の後方側面154内に延びることができる。冷却空洞180の一部分は、プラットフォーム150の正圧側面通路200付近で終端させることができる。本明細書では、その他の構成も使用することができる。
【0018】
プラットフォーム150はまた、プラットフォーム冷却空洞210を含むことができる。
プラットフォーム冷却空洞210は、プラットフォーム150の負圧側面156から後方側面154に向けて延びることができる。プラットフォーム冷却空洞210は、負圧側面通路220付近で開始することができる。負圧側面通路220は、隣接するタービンブレード110の正圧側面通路200と整列して該正圧側面通路200を通して冷却媒体190を流すようにすることができる。プラットフォーム冷却空洞210はまた、後方側面通路230を含み、冷却媒体190がそれを通して流れると該冷却媒体190を吐出するようにすることができる。プラットフォーム冷却空洞210はまた、その中にピンバンク又はその他のタイプのタービュレータ240を含み、渦流を与えて熱伝達を強化するようにすることができる。本明細書では、その他のタイプの内部構成も使用することができる。
【0019】
使用中に、冷却媒体190は、第1のタービンブレード120の冷却チャネル180を通って流れる。冷却媒体190の少なくとも一部分は、プラットフォーム150を通って流れかつ正圧側面通路200を介して流出する。冷却媒体190は次に、ギャップ140を通ってかつ第2のタービンブレード130のプラットフォーム冷却空洞210内に流れる。具体的には、冷却媒体190は、プラットフォーム150の後方端部154に沿って該プラットフォーム150の負圧側面156上に配置されたプラットフォーム冷却空洞210の負圧側面通路220内に流れる。冷却媒体190は次に、後方側面通路230に沿ってプラットフォーム150から流出する。
【0020】
従って、タービンブレードプラットフォーム冷却システム100は、第1のタービンブレード120からの冷却媒体190により、第2のタービンブレード130のプラットフォーム150の負圧側面156上に冷却を与える。プラットフォーム冷却空洞210内のピンバンク又はぞの他のタイプのタービュレータ240はまた、該プラットフォーム冷却空洞210内の熱伝達を強化する。この冷却はまた、より低温のシャンク側面及びプラットフォームの高温ガス側面間に幾らかの側方自由度を与えて該プラットフォーム150内の熱応力を減少させるようにする。本明細書ではまた、プラットフォーム冷却空洞210と連通状態で表面フィルム孔及び同様のものを使用することができる。ギャップ140の周りではまた、様々なタイプのシールを使用して、該ギャップ140を通しての漏洩及び吸込みを減少させることができる。
【0021】
従って、タービンブレードプラットフォーム冷却システム100は、プラットフォーム冷却を与えてより高いタービン作動温度を可能にして、効率をより高めかつ顧客作動コストをより低下させると同時に部品耐久性に対する影響をより少なくすることができる。さらに、第1のブレード120からの冷却媒体190を使用して、第2のブレード130を冷却するようにすることにより、そのような全体効率が上昇する。冷却媒体190の輸送はまた、同様な方法で負圧側面150から正圧側面158に行なうことができる。本明細書では、あらゆる方向へのあらゆるタイプのプラットフォーム毎の冷却方式を使用することができる。
【0022】
上記の説明は本出願の一部の実施形態のみに関するものであること並びに本明細書において当業者は特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本発明の一般的技術思想及び技術的範囲から逸脱せずに多くの変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0023】
10 ガスタービンエンジン
15 圧縮機
20 空気の流れ
25 燃焼器
30 燃料の流れ
35 燃焼ガスの流れ
40 タービン
45 負荷
50 タービンブレード
55 翼形部
60 プラットフォーム
65 負圧側面
70 正圧側面
75 前縁
80 後縁
85 シャンク部
86 エンジェルウィング
90 ダブテール
95 シャンク空洞
100 タービンブレード冷却システム
110 タービンブレード
120 第1のタービンブレード
130 第2のタービンブレード
140 ギャップ
150 プラットフォーム
152 前方側面
154 後方側面
156 負圧側面
158 正圧側面
160 翼形部
170 シャンク部
180 冷却空洞
190 冷却媒体
200 正圧側面通路
210 プラットフォーム冷却空洞
220 負圧側面通路
230 後方側面通路
240 タービュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタービンブレード(120)と、
第2のタービンブレード(130)と
を含むタービンブレード冷却システム(100)であって、
前記第1のタービンブレード(120)が、第1のタービンブレードプラットフォーム(150)及び冷却空洞(180)を含み、
前記冷却空洞(180)が前記第1のタービンブレードプラットフォーム(150)内の正圧側面通路(200)と連通しており、
前記第2のタービンブレード(130)が第2のタービンブレードプラットフォーム(150)及びプラットフォーム冷却空洞(210)を含み、
前記プラットフォーム冷却空洞(210)が、前記正圧側面通路(200)と連通した負圧側面通路(220)を含む、タービンブレード冷却システム(100)。
【請求項2】
前記第1のタービンブレードプラットフォーム(150)が、正圧側面(158)を含み、前記正圧側面通路(200)が、前記正圧側面(158)内に配置される、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項3】
前記第1のタービンブレードプラットフォーム(150)が、後方側面(154)を含み、前記正圧側面通路(200)が、前記後方側面(154)内に配置される、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項4】
前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)が負圧側面(156)を含み、前記負圧側面通路(220)が前記負圧側面(156)内に配置される、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項5】
前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)が負圧側面(156)を含み、前記プラットフォーム冷却空洞(210)が前記負圧側面(156)内に配置される、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項6】
前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)が後方側面(154)を含み、前記プラットフォーム冷却空洞(210)が前記後方側面(154)内に配置される、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項7】
前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)が後方側面(154)を含み、前記プラットフォーム冷却空洞(210)が前記後方側面(154)上に後方側面通路(230)を含む、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項8】
前記第1のタービンブレードプラットフォーム(150)及び第2のタービンブレードプラットフォーム(150)間にギャップ(140)をさらに含む、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項9】
冷却媒体(190)をさらに含み、前記冷却媒体(190)が、前記第1のタービンブレードプラットフォーム(150)の正圧側面通路(200)を通りかつ前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)の負圧側面通路(220)及びプラットフォーム冷却空洞(210)内に流れる、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項10】
前記プラットフォーム冷却空洞(210)がその中に複数のタービュレータ(240)を含む、請求項1記載のタービンブレード冷却システム(100)。
【請求項11】
タービンブレードプラットフォーム(150)の冷却方法であって、
第1のタービンブレードプラットフォーム(150)の正圧側面通路(200)を通して冷却媒体(190)を流すステップと、
第2のタービンブレードプラットフォーム(150)の負圧側面通路(220)を通して前記冷却媒体(190)を流すステップと、
前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)内のプラットフォーム冷却空洞(210)を通して前記冷却媒体(190)を流すステップと、
前記第2のタービンブレードプラットフォーム(150)を冷却するステップと
含む、タービンブレードプラットフォーム(150)の冷却方法。
【請求項12】
前記プラットフォーム冷却空洞(210)を通して前記冷却媒体(190)を流すステップが、該冷却媒体(190)内に渦流を発生させるステップを含む、請求項11記載のタービンブレードプラットフォーム(150)の冷却方法。
【請求項13】
前記プラットフォーム冷却空洞(210)から後方側面通路(230)を介して前記冷却媒体(190)を流すステップをさらに含む、請求項11記載のタービンブレードプラットフォーム(150)の冷却方法。
【請求項14】
前記正圧側面通路(200)及び負圧側面通路(220)間のギャップ(140)をシールするステップをさらに含む、請求項11記載のタービンブレードプラットフォーム(150)の冷却方法。
【請求項15】
前記第1のタービンブレードプラットフォーム(150)に連結された翼形部(160)を通して前記冷却媒体(190)を流すステップをさらに含む、請求項11記載のタービンブレードプラットフォーム(150)の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−57616(P2012−57616A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192215(P2011−192215)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】