説明

タービン動翼

【課題】高温強度と振動減衰力とを両立可能であり、振動減衰効果に優れたタービン動翼を提供する。
【解決手段】動翼10は、翼根部12と、該翼根部12から延びる翼部14と、シュラウド16とを有するインテグラルシュラウド翼であり、隣接する動翼との接触面に高ダンピング被膜18が設けられている。高ダンピング被膜18は、翼根部12、翼部14及びシュラウド16を構成する母材よりも高いダンピング性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、火力発電所や原子力発電所の蒸気タービンに用いられるタービン動翼に係り、特に、インテグラルシュラウド型のタービン動翼に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や原子力発電所等の蒸気タービンでは、一般的に、回転部材であるロータの外周に環状翼列を形成する動翼を植込み、このロータを静止部材である静翼が固定された車室内に収納した構成を有する。
蒸気タービンの動翼は、翼の植込み法、翼の連結法等に応じて種々のタイプがあるが、その代表例として、シュラウドを有するインテグラルシュラウド翼が挙げられる。
【0003】
インテグラルシュラウド翼では、通常、翼部の先端に設けられたシュラウドを、隣接する動翼のシュラウドと接触させることで、タービン運転時に生じる動翼の振動を減衰させ、振動を低減している。
例えば、特許文献1には、翼根部及びシュラウドの形状を工夫することで、動翼の振動減衰効果を持続させるようにしたインテグラルシュラウド翼が記載されている。このインテグラルシュラウド翼では、翼根部の端面の一部およびシュラウドの端面の一部を、軸方向に対し互いに逆方向に傾斜した傾斜面とすることで、隣接する動翼が傾斜面で面圧を持って組み立てられる際に発生する回転モーメントを、翼根部とシュラウドとで互いに相殺するようになっている。
【0004】
また、隣接する動翼のシュラウド同士は、その接触面において、タービン運転時に生じる動翼の振動によってすべりが繰り返し発生し、シュラウドが摩耗してしまう場合がある。
そこで、特許文献2には、タービン翼と一体的に形成されたシュラウドカバーのうち、隣接する動翼のシュラウドカバーとの接触面に耐摩耗性を有するコバルト基合金を肉盛溶接したインテグラルシュラウド翼が記載されている。耐摩耗性を有するコバルト基合金をシュラウドカバー接触面に設けたことにより、シュラウドの摩耗が防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−339102号公報
【特許文献2】特開平11−336502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、動翼の翼部が比較的長い場合(長翼の場合)、タービン運転時に発生する遠心力によって翼部が捩じり戻ろうとする力(捩じり戻り力)を利用して、隣接する動翼のシュラウド同士を密着させて、動翼の振動を防止する思想の下で設計されている。さらに、固有振動数が低い長翼では、振動の発生を防止するため、設計・チューニングによって共振回避することが一般的に行われている。
【0007】
これに対し、動翼の翼部が比較的短い場合(短翼の場合)、遠心力よって発生する捩じり戻り力が十分に得られないので、長翼とは異なる設計思想で、振動強度の向上を図っている。すなわち、短翼では、タービン運転時の熱伸び等を考慮して、隣接する動翼のシュラウド間に適度な隙間を生じさせておき、振動発生時に隣接する動翼同士のシュラウドを衝突させることで、振動エネルギーを吸収し、動翼の振動を減衰させるようになっている。
【0008】
しかしながら、短翼の場合における振動減衰は、シュラウドの衝突を利用したものであり、インテグラルシュラウド翼(特にシュラウド部分)の母材の特性に支配されるから、振動応力をより一層低減するためには、動翼の翼体格(特に軸方向幅)を大きくして、シュラウド接触面積を増大させる必要がある。ここで、動翼の軸方向幅を大きくすることは、単体翼列としての性能が低下するだけでなく、軸方向スペースの問題と翼母材の材料費の問題を生じることになる。
また、近年、蒸気タービンの効率化の観点から蒸気温度及び圧力は上昇する傾向にあり、これに伴って、動翼の母材は高温強度に優れた高級材(高Cr鋼やNi基合金等)を選定する必要が生じている。このような高級材は一般的に振動エネルギーの吸収特性が低い硬質材料であるから、高級材を用いたインテグラルシュラウド翼の場合、シュラウドの衝突によって動翼の振動を即座に減衰させることができない。このため、動翼の高温強度と振動減衰力とを両立させることが困難だった。
さらに、長翼の場合であっても、何らかの原因で動翼の振動が発生してしまうことを想定して、動翼の振動を即座に減衰させることが望まれる。
【0009】
この点、特許文献1及び2には、振動発生時に隣接する動翼同士のシュラウドを衝突させて動翼の振動を減衰させる振動減衰効果を向上させるための構成が何ら開示されていない。
すなわち、特許文献1に記載のインテグラルシュラウド翼は、そもそも、隣接する動翼同士の翼根部及びシュラウドに面圧が生じるように組み立てを行い、動翼を全周連続させることで振動抑制を図るものであって、振動発生時にシュラウドを衝突させて動翼の振動を減衰させることを意図したものではない。
また特許文献2に記載のインテグラルシュラウド翼は、シュラウドカバーの端面に耐摩耗性に優れるコバルト基合金を肉盛溶接することで、シュラウドカバーの摩耗を防止し、シュラウドカバーの寸法形状が所定値から外れることがないようにして、所期の振動減衰を維持するものであって、振動減衰力の向上を意図したものではない。しかも、コバルト基合金は硬質材料であるから、隣接する動翼同士のシュラウドの肉盛溶接部(コバルト基合金)が衝突しても、振動エネルギーを十分に吸収できず、動翼の振動を即座に減衰させることができない。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、高温強度と振動減衰力とを両立可能であり、振動減衰効果に優れたタービン動翼を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るタービン動翼は、翼根部と、該翼根部から延びる翼部と、該翼部の先端に有するシュラウドとを備えるタービン動翼であって、前記翼根部、前記翼部及び前記シュラウドの母材よりも高いダンピング性を有する高ダンピング被膜を、隣接するタービン動翼との接触面に設けたことを特徴とする。
【0012】
上記タービン動翼では、隣接するタービン動翼との接触面に、翼根部、翼部及びシュラウドの母材よりもダンピング性の高い高ダンピング被膜を設けたので、振動発生時に、隣接するタービン動翼の高ダンピング被膜が互いに衝突し、振動エネルギーが十分に吸収され、タービン動翼の振動が即座に減衰される。
また、上記タービン動翼では、専らタービン動翼の振動減衰のために、翼根部、翼部及びシュラウドの母材とは異なる材質の高ダンピング被膜を設けたので、この母材及び高ダンピング被膜の選択自由度が向上し、タービン動翼の高温強度と振動減衰力との両立を図ることができる。すなわち、隣接するタービン動翼との接触面に母材とは異なる材質の高ダンピング被膜を設けることで、タービン運転時に応力集中がみられるタービン動翼の翼部(特に翼根部に近い側)を含む母材全体を高Cr鋼やNi基合金等の硬質材料で形成してタービン動翼の高温強度を確保するとともに、高ダンピング被膜によるタービン動翼の振動減衰効果を十分に得ることができる。
【0013】
なお、高ダンピング被膜が「高いダンピング性」を有するとは、振動発生によって隣接するタービン動翼の高ダンピング被膜が互いに衝突した場合に、より多くの振動エネルギーを吸収することをいい、ダンピング性は、例えば、アイゾット衝撃試験やシャルピー衝撃試験の結果から見積もることができる。
【0014】
上記タービン動翼において、前記高ダンピング被膜は、衝撃試験で測定される衝撃値が前記母材よりも大きいことが好ましい。
【0015】
このように、動翼の母材よりも衝撃値が大きい高ダンピング被膜を用いることで、タービン動翼の振動発生時に、高ダンピング被膜によって振動エネルギーを確実に吸収して、タービン動翼の振動を即座に減衰させることができる。
なお、衝撃試験として、例えばシャルピー衝撃試験では、所定の高さに持ち上げたハンマを振り下ろして試験片を破壊し、持ち上げられたハンマの位置エネルギーと、試験片の破壊後にはね上がったハンマの位置エネルギーとの差から試験片を破壊するのに費やした衝撃エネルギーを求める。「衝撃値」とは、この衝撃エネルギーを試験片の断面積で割った値である。
【0016】
なお、高ダンピング被膜は、隣接するタービン動翼との接触面であれば何処に設けてもよいが、例えば、シュラウド、スナバー又はプラットホームに設けることができる。すなわち、高ダンピング被膜は、前記シュラウドのうち隣接する動翼のシュラウドとの接触面や、前記翼部のスナバーのうち隣接するタービン動翼のスナバーとの接触面や、前記翼根部のプラットホームのうち隣接するタービン動翼のプラットホームとの接触面に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、隣接するタービン動翼との接触面に、翼根部、翼部及びシュラウドの母材よりもダンピング性の高い高ダンピング被膜を設けたので、振動発生時に、隣接するタービン動翼の高ダンピング被膜が互いに衝突し、振動エネルギーが十分に吸収され、タービン動翼の振動が即座に減衰させることができる。
また、本発明によれば、専らタービン動翼の振動減衰のために、母材とは異なる材質の高ダンピング被膜を設けたので、母材及び高ダンピング被膜の選択自由度が向上し、タービン動翼の高温強度と振動減衰力との両立を図ることができる。すなわち、隣接する動翼との接触面に母材とは異なる材質の高ダンピング被膜を設けることで、タービン運転時に応力集中がみられるタービン動翼の翼部(特に翼根部に近い側)を含む母材全体を高Cr鋼やNi基合金等の硬質材料で形成して動翼の高温強度を確保するとともに、高ダンピング被膜による動翼の振動減衰効果を十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る動翼の構成例を示す断面図である。
【図2】図1に示す動翼を矢印A方向から見た平面図である。
【図3】第2実施形態に係る動翼の構成例を示す図であり、図3(a)は動翼の全体構成を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)のBで示す部分の拡大図である。
【図4】第3実施形態に係る動翼の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る動翼の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示す動翼を矢印A方向から見た平面図である。
【0021】
タービン動翼である動翼10は、図1に示すように、翼根部12と、翼根部12から延びる翼部14と、翼部14の先端に設けられたシュラウド16を備えたインテグラルシュラウド翼である。
【0022】
シュラウド16には、少なくとも隣接する動翼のシュラウドとの接触面(以下、シュラウドコンタクト面という)に高ダンピング被膜18が設けられている。なお、高ダンピング被膜18は、シュラウド16のうち、タービン運転時に隣接する動翼のシュラウドと衝突(接触)するシュラウドコンタクト面に設けられていれば足りるが、シュラウド16のその他の部分をも覆っていてもよい。
図1に示す例では、シュラウド16のうち、蒸気タービン内の蒸気流れ(図中の矢印方向)の上流側の端面がシュラウドコンタクト面に相当するので、ここに高ダンピング被膜18を設けている。
【0023】
上記構成の動翼10は、蒸気タービンのロータ(不図示)に形成された溝に複数植込まれ、環状翼列を形成している。この環状翼列は、図2に示すように、タービン運転時に、隣接する動翼10(10A,10B)のシュラウド16(16A,16B)間に隙間Gが生じるように構成されている。シュラウド16(16A,16B)間の隙間Gは、タービン運転時のロータや動翼10の熱伸び等を考慮して、適切な大きさに設定されている。
これにより、動翼10に振動が発生した際、隣接する動翼10(10A,10B)の高ダンピング被膜18(18A,18B)を互いに衝突させて振動エネルギーを吸収するため、動翼10の振動を減衰させるようになっている。
【0024】
動翼10の振動を減衰させるための高ダンピング被膜18は、翼根部12、翼部14及びシュラウド16を構成する母材(以下、「動翼の母材」という)よりも高いダンピング性を有する。
ここで、高ダンピング被膜18が「高いダンピング性」を有するとは、振動発生によって隣接する動翼10の高ダンピング被膜18が互いに衝突した場合に、より多くの振動エネルギーを吸収することをいい、ダンピング性は、例えば、アイゾット衝撃試験やシャルピー衝撃試験の結果から見積もることができる。
【0025】
高ダンピング被膜18は、シャルピー衝撃試験で測定される衝撃値が翼根部12、翼部14及びシュラウド16を構成する母材よりも大きいことが好ましい。
このように、本実施形態の動翼10では、動翼10の母材よりも衝撃値が大きい高ダンピング被膜18を用いることで、動翼10の振動発生時に、高ダンピング被膜18によって振動エネルギーを確実に吸収して、発生した振動を即座に減衰させることができる。
【0026】
高ダンピング被膜18の具体的な材料は、動翼10の母材によって異なるが、例えば次のような材料を用いることができる。
動翼10の母材が高Cr鋼の場合、高ダンピング被膜18として、低Cr鋼(例えば2.25Cr系鋼)、Ni鋼、炭素鋼等の鉄系金属材料、Al、Ni、Mgやこれらの合金等の非鉄系金属材料、炭素繊維をはじめとする樹脂材料、並びにこれらの複合材料を用いることができる。
また、動翼10の母材がNi基合金の場合、高ダンピング被膜18として、高Cr鋼(例えば12Cr系鋼)、低Cr鋼(例えば2.25Cr系鋼)、Ni鋼、炭素鋼等の鉄系金属材料、Al、Ni、Mgやこれらの合金等の非鉄系金属材料、炭素繊維をはじめとする樹脂材料、並びにこれらの複合材料を用いることができる。
【0027】
高ダンピング被膜18は、溶射、肉盛溶接、蒸着、スパッタリング、CVD等を含む任意の手法によりシュラウド16の表面に直接形成してもよい。あるいは、高ダンピング性の板状部材を任意の手法によりシュラウド16に固定して高ダンピング被膜18としてもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、シュラウド16のうち、隣接する動翼のシュラウドとの接触面に高ダンピング被膜18を設けたので、振動発生時に、隣接する動翼10(10A,10B)の高ダンピング被膜18(18A,18B)が互いに衝突し、振動エネルギーが十分に吸収され、動翼10の振動が即座に減衰される。
また、本実施形態では、専ら動翼10の振動減衰のために、動翼10の母材とは異なる材質の高ダンピング被膜18を設けたので、動翼10の母材及び高ダンピング被膜18の選択自由度が向上し、動翼10の高温強度と振動減衰力との両立を図ることができる。すなわち、隣接する動翼との接触面に母材とは異なる材質の高ダンピング被膜18を設けることで、タービン運転時に応力集中がみられる動翼10の翼部14(特に翼根部12に近い側)を含む母材全体を高Cr鋼やNi基合金等の硬質材料で形成して動翼10の高温強度を確保するとともに、高ダンピング被膜18による動翼10の振動減衰効果を十分に得ることができる。
【0029】
なお、図1及び2には、一般に短翼と称される翼長が比較的短い動翼10を例示したが、動翼10は翼長が比較的長い長翼であってもよい。すなわち、隣接する動翼10(10A,10B)の高ダンピング被膜18(18A,18B)の衝突により動翼10の振動を減衰させる場合(動翼10が短翼の場合)を例にとって本実施形態を説明したが、本実施形態の動翼10は、タービン運転時に発生する遠心力による捩じり戻り力を利用して動翼の振動を防止する場合(動翼10が長翼の場合)にも適用できる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の動翼について説明する。
本実施形態の動翼は、動翼の母材よりも高いダンピング性を有する高ダンピング被膜18の配置を除けば、第1実施形態の動翼10と共通する。したがって、ここでは、第1実施形態の動翼10と共通する部材には同一の符号を付してその説明を省略し、高ダンピング被膜18の配置を中心に説明する。
【0031】
図3(a)は第2実施形態に係る動翼の全体構成を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)のBで示す部分の拡大図である。
【0032】
図3(a)に示すように、動翼20は、翼部14の翼長方向の略中央部にスナバー22が設けられており、このスナバー22が、隣接する動翼(不図示)のスナバーと接触するようになっている。
【0033】
本実施形態では、図3(b)に示すように、翼部14のスナバー22のうち、隣接する動翼のスナバーとの接触面に高ダンピング被膜18を設けている。
これにより、振動発生時に、隣接する動翼20の高ダンピング被膜18が互いに衝突し、振動エネルギーが十分に吸収され、動翼20の振動が即座に減衰される。また、専ら動翼20の振動減衰のために、動翼20の母材とは異なる材質の高ダンピング被膜18を設けることで、動翼20の母材及び高ダンピング被膜18の選択自由度が向上し、動翼20の高温強度と振動減衰力との両立を図ることができる。
【0034】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の動翼について説明する。
本実施形態の動翼は、動翼の母材よりも高いダンピング性を有する高ダンピング被膜18の配置を除けば、第1実施形態の動翼10と共通する。したがって、ここでは、第1実施形態の動翼10と共通する部材には同一の符号を付してその説明を省略し、高ダンピング被膜18の配置を中心に説明する。
【0035】
図4は、第3実施形態に係る動翼の構成例を示す斜視図である。同図に示す動翼30では、翼根部12のプラットホームのうち、隣接する動翼のプラットホームとの接触面に高ダンピング被膜18を設けている。
これにより、振動発生時に、隣接する動翼30の高ダンピング被膜18が互いに衝突し、振動エネルギーが十分に吸収され、動翼30の振動が即座に減衰される。また、専ら動翼30の振動減衰のために、動翼30の母材とは異なる材質の高ダンピング被膜18を設けることで、動翼30の母材及び高ダンピング被膜18の選択自由度が向上し、動翼30の高温強度と振動減衰力との両立を図ることができる。
【0036】
以上、本発明の例について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
【0037】
例えば、上述の第1実施形態〜第3実施形態では、それぞれ、シュラウド16、スナバー22、プラットホームに高ダンピング被膜18を設ける例を説明したが、高ダンピング被膜18は、隣接する動翼同士の接触面であれば何れの箇所に設けてもよい。
また、必要に応じて、隣接する動翼同士の複数の接触面に高ダンピング被膜18を設けてもよく、例えばシュラウド16、スナバー22、プラットホームのうち2箇所以上に高ダンピング被膜18を設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 動翼
12 翼根部
14 翼部
16 シュラウド
18 高ダンピング被膜
20 動翼
22 スナバー
30 動翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼根部と、該翼根部から延びる翼部と、該翼部の先端に有するシュラウドとを備えるタービン動翼であって、
前記翼根部、前記翼部及び前記シュラウドの母材よりも高いダンピング性を有する高ダンピング被膜を、隣接するタービン動翼との接触面に設けたことを特徴とするタービン動翼。
【請求項2】
前記高ダンピング被膜は、衝撃試験で測定される衝撃値が前記母材よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のタービン動翼。
【請求項3】
前記高ダンピング被膜は、前記シュラウドのうち、隣接するタービン動翼のシュラウドとの接触面に設けられることを特徴とする請求項1又2に記載のタービン動翼。
【請求項4】
前記高ダンピング被膜は、前記翼部のスナバーのうち、隣接するタービン動翼のスナバーとの接触面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン動翼。
【請求項5】
前記高ダンピング被膜は、前記翼根部のプラットホームのうち、隣接するタービン動翼のプラットホームとの接触面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン動翼。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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