説明

ダイカストマシン及びダイカストマシンの増圧制御方法

【課題】増圧工程における圧力を高精度で制御することで高品質な鋳造成形体を製造することができるダイカストマシン及びダイカストマシンの増圧制御方法を提供する。
【解決手段】射出プランジャ15の前進より金属溶湯を型閉された金型のキャビティ内に射出充填するときに、低速射出工程ではその駆動源に電動サーボモータ9を用い、該低速射出工程の次工程で行われる高速射出工程ではその駆動源に油圧駆動源を用いるダイカストマシンであって、高速射出工程後の増圧工程を行うときに、該高速射出工程中の電動サーボモータ9の駆動を制御することにより、増圧圧力を早期に立ち上げる。それにより、金型内で固化・収縮し始めた鋳造成形体を速やかに増圧することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出プランジャの前進により金型内に金属溶湯を射出・充填するダイカストマシンに関し、特に射出ブランジャを前進させるときの駆動源として、電動サーボモータと油圧駆動源とを備えたダイカストマシン及びダイカストマシンの増圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から用いられている一般的なダイカストマシンにおいては、溶解炉で溶融された金属材料を1ショット毎にラドルで計量して汲み上げ、汲み上げられた金属溶湯を射出スリーブの給湯口に給湯し、射出スリーブ内に進退可能に設けられた射出プランジャの前進動作により金型のキャビティ内へ金属溶湯を高速且つ高圧で射出充填して、鋳造成形体の成形が行われる。
【0003】
金型のキャビティ内へ金属溶湯を射出するダイカストマシンの射出工程は、低速射出工程と、それに続く高速射出工程とからなっており、高速射出工程においては、プラスチック製品を成形する射出成形機の射出速度よりも1桁程速い高速の射出速度で、金型内に金属溶湯を射出充填する必要がある。そのため、射出工程における駆動源としては、低速射出工程では、電動サーボモータを駆動源として採用する一方で、高速射出工程では、より大きな駆動力を必要とするゆえに、油圧駆動源やこれに電動サーボモータの駆動力を足し合わせ、金型内へ高速射出充填を行い、高速射出工程の直後には、金型内で固化・収縮し始めた鋳造成形体に対し大きな圧力を付与するため増圧工程が行われることになる。
【0004】
上記技術に関連するものとして、特許文献1には、高速射出工程において、電動サーボモータに対しては低速射出工程と同様の動作をとらせつつ、アキュームレータ(ACC)に貯えられた圧油を用い、射出プランジャを高速で前進駆動させ、金型のキャビティ内に金属溶湯を高速で射出充填を行い、その直後の増圧工程に、電動サーボモータを圧力フィードバック制御し、電動サーボモータに増圧工程で設定されている増圧圧力に一致する圧力を出力させるダイカストマシンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−315050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1に開示されているような従来技術では、増圧工程において、電動サーボモータに増圧工程で設定されている増圧圧力に一致する圧力を単に出力させるだけであることから、高速射出工程直後に行われる増圧工程の開始時には速やかに増圧圧力を立ち上げることが困難であり、しかも、品質の高い良品を得ようとしたり、増圧立ち上がり時間を金属材料の凝固時間よりも早く行えるようにするとなると、金型の形状や金属材料等の相違に応じて、増圧する立ち上がり圧力を高精度で制御することが必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、増圧工程における立ち上がり圧力を高精度で制御することで高品質な鋳造成形体を製造することができるダイカストマシン及びダイカストマシンの増圧制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係るダイカストマシンの発明は、
射出プランジャの前進により金属溶湯を型閉された金型のキャビティ内に射出充填するときに、低速射出工程ではその駆動源に電動サーボモータを用い、該低速射出工程の次工程で行われる高速射出工程ではその駆動源に油圧駆動源を用いるダイカストマシンであって、
前記高速射出工程の終了後に制御弁を閉じて前記射出プランジャを前進させるための油圧シリンダへの油圧供給を遮断し、そのタイミングで開始される増圧工程を行うときに、
前記電動サーボモータを前記高速射出工程から前記増圧工程が開始されるまでの間は、位置軸に沿った速度フィードバック制御により駆動しておき、該増圧工程が開始されるタイミングで前記電動サーボモータを時間軸に沿った圧力フィードバックで制御し、増圧工程における圧力制御の初期段階で、増圧圧力の立ち上がりを制御できるように、前記高速射出工程における前記電動サーボモータの駆動を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係るダイカストマシンの増圧制御方法の発明は、
射出プランジャの前進により金属溶湯を型閉された金型のキャビティ内に射出充填するときに、低速射出工程ではその駆動源に電動サーボモータを用い、該低速射出工程の次工程で行われる高速射出工程ではその駆動源に油圧駆動源を用い、該高速射出工程後に増圧工程が実行されるダイカストマシンの増圧制御方法であって、
前記高速射出工程の終了後に制御弁を閉じて前記射出プランジャを前進させるための油圧シリンダへの油圧供給を遮断し、そのタイミングで開始される前記増圧工程を行うときに、
前記電動サーボモータを前記高速射出工程から前記増圧工程が開始されるまでの間は、時間軸に沿った速度フィードバック制御により駆動しておき、該増圧工程が開始されるタイミングで前記電動サーボモータを時間軸に沿った圧力フィードバックで制御し、増圧工程における圧力制御の初期段階で、増圧圧力の立ち上がりを制御できるようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、高速射出工程の間は位置軸による速度フィードバック制御により回転駆動されている電動サーボモータの速度を制御し、増圧工程が開始されるタイミングで駆動制御を時間軸に沿った圧力フィードバックに切り替えることにより、電動サーボモータの惰性力と減速トルクを用いて、増圧工程の早期の段階での増圧圧力の立ち上がり圧力を制御することができ、金型内で固化・収縮し始めた鋳造成形体に対し早期に圧力を付与することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、増圧立ち上がり時間を短縮できるので生産性を向上でき、増圧立ち上がり時間を金属材料の凝固時間よりも早くすることが可能であり、さらに、金型の形状や金属材料等の相違に応じて、電動サーボモータの回転速度を制御手段により適宜変更させることで、立ち上がり増圧圧力を高精度で制御することができることから、高品質な鋳造成形体の製造を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のダイカストマシンの要部としての射出系ユニットを示す斜視図である。
【図2】ダイカストマシンの射出系ユニットの構成を示す説明図である。
【図3】射出系ユニットにおける動作工程の一部を示すグラフであり、上下のグラフのうち横軸には時間を示し、上のグラフにおいては、実線は射出速度を示し、一点鎖線は圧力を示しており、下のグラフにおいては、上のグラフに対応する時系列で、縦軸に電動サーボモータのみの回転速度を示している。
【図4】増圧時の電動サーボモータによる移動体の速度と、増圧立ち上がり時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0014】
図1及び図2に示すダイカストマシンに構成される要部としての射出系ユニット1には、機台2、機台2上に取り付けられたベース部材3及び固定ダイプレート4、ベース部材3に取り付けられた保持ブロック5、固定ダイプレート4などに保持された支持部材6、ベース部材3上で前後進可能に設けられた移動体7、保持ブロック5と支持部材6との間に掛け渡らされ、移動体7の進退移動をガイドする複数本のガイドバー8、保持ブロック5に取り付けられ、後述する低速射出工程及び増圧工程のときに駆動源として用いられる電動サーボモータ9、保持ブロック5に保持され、対応する電動サーボモータ9の回転を、プーリ10、ベルト11等からなる駆動伝達機構を介して伝達する1対のボールネジ12、ボールネジ12と螺合されると共に、移動体7にその端部を固定したナット体13、移動体7に装着され、移動体7と共に移動される高速射出工程用の駆動源としての1対のアキュームレータ(以下、ACCと称す。)14、移動体7と一体化され、内部をピストン体として兼ねる射出プランジャ15が油圧動力源たるACC14の油圧により進退可能に設けられた油圧シリンダ16、固定ダイプレート4に取り付けられ、射出プランジャ15の先端に有する射出プランジャチップ15a側が内部で進退可能に設けられた射出スリーブ18、射出スリーブ18の上部に設けられた金属溶湯が供給される注入口18a、ACC14と油圧シリンダ16の第1油室16aとを接続する油路上に配設され、方向切り替え機能と流量制御機能とを備えて射出プランジャ15を高速前進させるための油圧供給を遮断する制御弁20、制御弁20とタンク21とを接続する油路上に配設されたクーラー22、タンク21と油圧シリンダ16の第2油室16bとを接続する油路上に配設された油圧ポンプ23、油圧ポンプ23と油圧シリンダ16の第2油室16bとを接続する油路上に配設された第1の逆止弁25、制御弁20と油圧シリンダ16の第1油室16aとを接続する油路上に配設された圧力センサ26、圧力センサ26と第1の逆止弁25とを接続する油路上に配設された第2の逆止弁27、各種センサで検出された検出結果等に基づき、制御弁20の開閉や電動サーボモータ9の駆動等を制御する、ダイカストマシン全体の制御を行う制御手段28等が構成されている。
【0015】
本実施形態では、電動サーボモータ9の回転力を、駆動伝達機構を介してボールネジ機構のボールネジ12に伝達して該ボールネジ12を回転させ、これにより、ボールネジ12に螺合したボールネジ機構のナット体13を軸方向に進退させることで、移動体7と共に油圧シリンダ16を移動させて、射出プランジャ15を進退させるようになっている。また、ACC14に蓄圧された圧油を、制御弁20を介して油圧シリンダ16に供給することで、射出プランジャ15に前進方向の力(増圧圧力)を付与して、射出プランジャ(油圧シリンダを除く)15を前進させるようになっていて、また、電動サーボモータ9とボールネジ機構とを2つずつ設けて、2つの電動サーボモータ9の出力を足し合わせて、移動体7と共に油圧シリンダ16に設けられた射出プランジャ15を軸方向に移動させるようにしているので、比較的大きな推力を得ることができるようになっている。
【0016】
次に、ダイカストマシンの動作について図3を用いて説明する。本実施形態のダイカストマシンは、成形体を製造する一連の成形工程として、低速射出工程、高速射出工程、増圧工程、冷却工程、ビスケット押出工程、後退工程が順に行われる。本実施形態では、先ず、電動サーボモータ9を駆動源として、駆動伝達機構、ボールネジ12等を介して、ナット体13を移動体7と共に前進させ、射出スリーブ18に注入口18aから供給された溶融金属材料を、射出プランジャ15の先端から型閉された金型のキャビティへ低速で射出充填するのだが、射出前の状態においては、射出プランジャ15は最後退位置にあり、制御弁20は中立位置にあり、ACC14の油室内には所定量・所定圧の圧油が貯えられており、このときACC14のガス室内のガスは、油の圧力により圧縮・昇圧されている。また、射出前の状態を含め、油を油圧シリンダ16の第2油室16bへ送り込む工程以外には、油圧ポンプ23は停止状態におかれている。また、射出前の状態では、ナット体13は最も後退した位置に配置される。
【0017】
そして、このような状態において、低速射出工程の開始タイミングに至ると、マシン全体の制御を司る制御手段28からの指令に基づいて、電動サーボモータ9が、所定方向に、かつ、低速射出工程に設定された速度で回転駆動され、それによって、ボールネジ機構のナット体13と共に、移動体7、油圧シリンダ16、射出プランジャ15が低速(0.5m/sec未満の速度であり、本実施形態では、0.25m/secに設定。)で前進駆動される。つまり、低速射出工程では、位置軸に沿った速度フィードバック制御によって電動サーボモータ9が駆動制御され、それによって、低速射出工程が実行されて、射出スリーブ18内の金属溶湯が金型のランナ部まで充填され、それに伴い金型のキャビティ内の空気抜きが行われる。そして、制御手段28は、図示しない位置センサからの出力に基づき、射出プランジャ15の前進位置を検出して、低速射出工程に設定された所定距離だけ射出プランジャ15を前進させたタイミングで、低速射出工程を高速射出工程に切り替える(図3の(a)の位置)。
【0018】
次に、高速射出工程の開始タイミングになると、制御手段28は、高速射出工程後の増圧工程における油圧の増圧立ち上がりが早期になる速度(本実施例では、0.3m/s)で電動サーボモータ9を駆動するようにし、制御弁20を開いて、それによりACC14に貯えられた圧油を、圧縮・昇圧されていたガス圧によって、制御弁20を通じて油圧シリンダ16の第1油室(前進用油室)16aに急速に送り込み、移動体7に対して射出プランジャ15を高速(0.5m/sec以上の速度であり、本実施形態では、3m/secに設定。)で前進駆動する。そのとき、油圧シリンダ16の第2油室16bの油は、第2の逆止弁27、油路を通じて、油圧シリンダ16の第1油室16aに送り込まれ、射出プランジャ15は、3m/secという高速度で前進駆動され、それにより、金属溶湯は金型のキャビティ内に急速に射出充填される。そして、制御手段28は、図示しない位置センサからの出力により、射出プランジャ15の前進位置を検出して、高速射出工程に設定された所定距離だけ射出プランジャ15を前進したタイミングで、制御弁20を閉じて油圧シリンダ16の第1油室16aへの油圧供給を遮断し高速射出工程を完了させる(図3の(b)の位置)。
【0019】
高速射出工程が完了すると、続いて、制御弁20を切り換えて(閉じて)油圧シリンダ16への油の供給を遮断し増圧工程が開始される。そして、制御手段28により制御弁20が切り換え(閉じ)られ、且つそのタイミングで電動サーボモータ9を射出工程(低速射出工程及び高速射出工程)での位置軸に沿った速度フィードバック制御から、時間軸に沿った圧力フィードバック制御に切り替える。その直後の増圧工程の初期段階では、電動サーボモータ9の回転惰性力と減速トルクにより、速やかに増圧圧力が立ち上がる。そして、当該増圧工程により、射出プランジャ15からビスケット29を介して金型内の固化し始めた金属に対して大きな圧力(例えば最大50ton程度)が付与され、金属の固化・収縮に伴って、射出プランジャ15は微量だけ微速前進される。そして、制御手段28は、時間監視に基づいて、増圧工程の完了タイミングを検出すると、増圧工程を冷却工程に切り替える。
【0020】
次に、冷却工程では、制御手段28は、電動サーボモータ9を位置軸に沿った速度フィードバック制御によって前進方向に駆動制御し、移動体7を前進させる。この移動体7の前進によって射出プランジャ15は前進方向の力を受けるが、射出プランジャ15の先端にはビスケット29が当接するため射出プランジャ15は前進することができず、反対に油圧に抗して後退する。それにより、油圧シリンダ16の第1油室16a内の圧油が制御弁20を通じて、ACC14の油室内へと戻され、それに伴いACC14のガス室内のガスが圧縮・昇圧される。そして、ACC14の油室内に所定量・所定圧の圧油が貯えられた(高速射出工程に必要な圧油が貯えられた)タイミングで、制御手段28により制御弁20が切り替えられると、該制御手段28は、油圧ポンプ23を駆動制御して、高速射出工程で油圧シリンダ16の第2油室16bから流出した油に相当する量の油を、油圧ポンプ23から油圧シリンダ16の第2油室16bへと送り込む。すると、高速射出工程で油圧シリンダ16の第2油室16bから流出した油に相当する量の油が、油圧シリンダ16の第2油室16bに送り込まれる。そして、油圧シリンダ16内で射出プランジャ15が最後退位置に至ったタイミングで、制御手段28は、油圧ポンプ23を停止させると共に制御弁20を中立位置に切り替え、さらに、電動サーボモータ9を停止させて、冷却工程の終了タイミングを待つ。なお、このとき、射出プランジャ15の先端は、ビスケット29に当接した状態となる。
【0021】
そして、冷却工程が終了すると、制御手段28は、型開き工程を実行させ、この型開き動作と同期して、電動サーボモータ9を位置軸に沿った速度フィードバック制御によって前進方向に駆動制御して、移動体7を前進させる。そして、それに伴い、射出プランジャ15によりビスケット29を押し出すビスケット押出工程を、型開きと同期させて実行させる。
【0022】
次に、ビスケット押出工程が完了した後、制御手段28は適宜のタイミングで、射出プランジャ15を後退させる後退工程を実行し、電動サーボモータ9、位置軸に沿った速度フィードバック制御によって後退方向に駆動制御して、移動体7を後退させる。そして、移動体7が最後退位置まで後退したタイミングで、制御手段28は電動サーボモータ9を停止させる。そして、そのような成形サイクルが繰り返されることで製品が多数製造されることになる。
【0023】
以上のように本実施形態のダイカストマシンによれば、高速射出工程の終了後に制御弁20を閉じて射出プランジャ15を前進させるための油圧シリンダへの油圧供給を遮断し、そのタイミングで開始される増圧工程を行うときに、高速射出工程中の電動サーボモータ9の速度を制御し、増圧工程が開始されるタイミングで電動サーボモータ9の制御を時間軸に沿った圧力フィードバックに切り替えることにより、電動サーボモータ9の惰性力と減速トルクを用いて、増圧工程における圧力制御の初期段階(図3の(d),(d’),(d”))で、増圧圧力を早期に立ち上げることができるように、高速射出工程時の電動サーボモータ9の駆動を制御する制御手段28を備えたものである。そして、駆動切替時の電動サーボモータ9の惰性力と減速トルクを用いて、増圧工程の立ち上がり圧力を制御でき、金型内で固化・収縮し始めた鋳造成形体に対し圧力を付与することができるから、増圧立ち上がり時間を短縮できるので生産性を向上でき、増圧立ち上がり時間を金属材料の凝固時間よりも早くすることが可能となる。さらに、例えば、金型の形状や金属材料等の相違に応じて、高速射出工程時の電動サーボモータ9の回転速度を制御手段28により適宜変更させると、図4に示したように、例えば、増圧時の電動サーボモータ9による移動体7の速度が0.05(m/秒)のときには、増圧立ち上がり時間を0.08秒に、増圧時の電動サーボモータ9による移動体7の速度が0.10(m/秒)のときには、増圧立ち上がり時間を0.04秒に、増圧時の電動サーボモータ9による移動体7の速度が0.15(m/秒)のときには、増圧立ち上がり時間を0.027秒に、増圧時の電動サーボモータ9による移動体7の速度が0.20(m/秒)のときには、増圧立ち上がり時間を0.02秒に、増圧時の電動サーボモータ9による移動体7の速度が0.25(m/秒)のときには、増圧立ち上がり時間を0.016秒に、増圧時の電動サーボモータ9による移動体7の速度が0.30(m/秒)のときには、増圧立ち上がり時間を0.013秒に短縮することができ、図3の上のグラフで点線の斜線でも示したように、増圧工程における立ち上がり増圧圧力(立ち上り角度)を高精度で制御することが可能となるから、高品質な鋳造成形体を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 射出系ユニット
2 機台
3 ベース部材
4 固定ダイプレート
5 保持ブロック
6 支持部材
7 移動体
8 ガイドバー
9 電動サーボモータ
10 プーリ
11 ベルト
12 ボールネジ
13 ナット体
14 ACC(油圧駆動源)
15 射出プランジャ
15a 射出プランジャチップ
16 油圧シリンダ
16a 第1油室
16b 第2油室
18 射出スリーブ
18a 注入口
20 制御弁
21 タンク
22 クーラー
23 油圧ポンプ
25 第1の逆止弁
26 圧力センサ
27 第2の逆止弁
28 制御手段
29 ビスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出プランジャの前進により金属溶湯を型閉された金型のキャビティ内に射出充填するときに、低速射出工程ではその駆動源に電動サーボモータを用い、該低速射出工程の次工程で行われる高速射出工程ではその駆動源に油圧駆動源を用いるダイカストマシンであって、
前記高速射出工程の終了後に制御弁を閉じて前記射出プランジャを前進させるための油圧シリンダへの油圧供給を遮断し、そのタイミングで開始される増圧工程を行うときに、
前記電動サーボモータを前記高速射出工程から前記増圧工程が開始されるまでの間は、位置軸に沿った速度フィードバック制御により駆動しておき、該増圧工程が開始されるタイミングで前記電動サーボモータを時間軸に沿った圧力フィードバックで制御し、増圧工程における圧力制御の初期段階で、増圧圧力の立ち上がりを制御できるように、前記高速射出工程における前記電動サーボモータの駆動を制御する制御手段を備えたことを特徴とするダイカストマシン。
【請求項2】
射出プランジャの前進により金属溶湯を型閉された金型のキャビティ内に射出充填するときに、低速射出工程ではその駆動源に電動サーボモータを用い、該低速射出工程の次工程で行われる高速射出工程ではその駆動源に油圧駆動源を用い、該高速射出工程後に増圧工程が実行されるダイカストマシンの増圧制御方法であって、
前記高速射出工程の終了後に制御弁を閉じて前記射出プランジャを前進させるための油圧シリンダへの油圧供給を遮断し、そのタイミングで開始される前記増圧工程を行うときに、
前記電動サーボモータを前記高速射出工程から前記増圧工程が開始されるまでの間は、位置軸に沿った速度フィードバック制御により駆動しておき、該増圧工程が開始されるタイミングで前記電動サーボモータを時間軸に沿った圧力フィードバックで制御し、増圧工程における圧力制御の初期段階で、増圧圧力の立ち上がりを制御できるようにしたことを特徴とするダイカストマシンの増圧制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−110929(P2012−110929A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261594(P2010−261594)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000222587)東洋機械金属株式会社 (299)