説明

ダイナミックアパーチャ駆動装置及びダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法

【課題】制御入力がパルスの時、振動の発生を防止する。また、振動発生を減らしてプロジェクションTV内での騷音を小さくする。
【解決手段】本発明は、投射レンズの光量を調節するダイナミックアパーチャに関するものであって、より詳しくは、急激な位置変化命令にも自体振動の最小化されたダイナミックアパーチャ駆動装置及びその振動低減方法に関するものである。ダイナミックアパーチャ駆動装置は、回転手段、駆動手段、感知手段及び駆動制御手段を含むが、位置制御信号は、目標位置信号が駆動制御手段内のRC積分回路を通じて上昇時間及び下降時間が増加して回転手段が命令を受けた位置に到逹する時の振動を最小化させる信号であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射レンズの光量を調節するダイナミックアパーチャに関するものであって、より詳しくは、急激な位置変化命令にも自体振動の最小化されたダイナミックアパーチャ駆動装置及びその振動低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、大画面、高画質ディスプレー装置としてプロジェクションTVとプロジェクターが脚光を浴びている。プロジェクションTVとプロジェクターは光学原理によって駆動されるものであって、図1は、このようなプロジェクションTVとプロジェクターの光学構造を示す図面である。
【0003】
図1を参照すれば、プロジェクション装置は、照明光学系1a、反射型ディスプレー素子1b及び投射光学系1cを含む。照明光学系1aは、光を発生させる部分であって、照明光学系1aは光を生成するランプ(図示されていない)、生成された光を反射させて進行経路をガイドする反射鏡を含む光源10及び、光源10に出射された光を反射型ディスプレー素子1bに照明するための光学レンズ20を含む。反射型ディスプレー素子1bは、照明光学系1aから入射された光を提供映像によって画素単位に反射させて映像を載せる部分であって、光を制御する半導体を使う投射型表示機であるDMD(Digital Micromirror Device)30で具現される。DMD30は、プロセッサ31とメモリー32が具備された基板33上に搭載されて、チルト角度に当たるように照明光学系1aと投射光学系1cの光経路を分離する。
【0004】
投射光学系1cは、反射型ディスプレー素子1bを通じて反射された映像をスクリーンに投射する部分であり、投射レンズモジュール40よりなって、DMD30から伝達された映像を拡大させてスクリーン50に結像させる。ここで、投射レンズモジュール40は、図2に示したように鏡筒41内に光軸を基準に順次に配列されそれぞれ所定の直径及び光学特性を有する多数の投射レンズ42から成り立って、DMD30から入射される映像が所定距離離れているスクリーン50上に鮮かに映るように拡大させる。この時、多数の投射レンズ42の間に光量を調節するためのアパーチャ43を具備して、投射映像が適切な明暗比を有するように光量を調節する。この時、精密に明暗比を調節することを目的として、上記アパーチャ43は所定の任意角度(例えば、30度)内で多数ステップの高い分解能で位置制御されなければならない。一般的に精密位置制御のためボイスコイルモーター(Voice coil motor、以下 VCMという)44を利用してアパーチャ43を回転させる。
【0005】
図3は、従来のダイナミックアパーチャ駆動装置を手短に示す図面である。図3を参照すれば、従来のダイナミックアパーチャ駆動装置は、回転手段、駆動手段、感知手段及び駆動制御手段を含む。回転手段は、ダイナミックアパーチャ駆動装置110のアパーチャと一体に具現されて所定の角度内で左右に回転動作するピボット111から成り立つ。駆動手段は、ピボット111の他側端部の回転経路上に位する駆動マグネット115と、駆動マグネット115と対向するようにピボット111の下端部に具備されて駆動マグネット115との電磁気的作用による駆動電流の大きさによってピボット111を回転させる駆動コイル116とを含む。ここで、一般的に駆動手段はVCMに該当する。感知手段は、ピボット111の回転角度別に違う強さを提供するセンサーマグネット112と、ピボット111と一体に回転してセンサーマグネット112から提供される磁気場の強さを電気信号に変換するホールセンサー113とを含む。駆動制御手段は、駆動コイル116にて電流を印加して、ピボット111を回転させながらセンサーマグネット112とホールセンサー113を通じてピボット111の現在位置を検出して、ピボット111が命令を受けた位置に動くようにフィードバック制御する。
【0006】
ここに追加で、ピボット111の回転範囲の限界位置に設置されて臨界値以上に回転するピボット111を停止させるストッパ114が含まれることができる。ダイナミックアパーチャ位置検出過程は次のとおりである。図3に示したように、駆動コイル116に電流を印加させない状態で、ピボット111はストッパ114によって停止状態であって、この時のホールセンサー113の出力を基準値とする。以後、図4に示されたように、ピボット111が命令を受けた位置に該当する角度に回転すればホールセンサー113の出力が変化されて、停止状態での基準値と現在のホールセンサー113の出力の差からピボット111の回転角度を測定する。
【0007】
このようなダイナミックアパーチャは、主に光エンジン内に装着され入射光量を調節する。動作原理は、光入射角度範囲内で256等分して映像信号に従うPWM DUTY信号によって、0ステップから255ステップまで位置制御をする。0ステップの場合が図3に示されているように、光が入射される領域100を一番大きく遮るようになって入射光量が一番少なく、255ステップの場合が、図4に示されているように光が入射される領域100を一番少なく遮るようになって入射光量が一番多い。0ステップと255ステップの役目は反対であることもできる。この時、PWM DUTY信号の変化周期が早くなるほど応答時間は、早くなった変化周期に対応しなければならない状況が演出される。例えばプロジェクションTV画面にいなずまが閃く場面などをディスプレーしようとする時、非常に短い時間内に0ステップから255ステップを往復しなければならない最悪の状況が演出される。この時、非常に短い時間の間、位置が変換されながらオーバーシュート(overshoot)がなくて応答時間が早くなるように駆動コイル116に逆電流が流入されてブレーキング(breaking)をすることになる。この時、瞬間振動が最大になって、発生した振動は光エンジン内部で騷音に変換されてプロジェクションTVにおいて大きい短所になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上述した問題点を解決するため、本発明の目的は、制御入力がパルス(pulse)の時、振動発生のないダイナミックアパーチャ駆動装置及びその振動低減方法を提供することにある。本発明の別の目的は、振動発生を減らしてプロジェクションTV内で騷音が小さくなることができるダイナミックアパーチャ駆動装置及びその振動低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を果たすため、本発明の一側面によれば、ダイナミックアパーチャを回転させて入射光量を調節するダイナミックアパーチャ駆動装置において、上端部が上記ダイナミックアパーチャに繋がれて所定の回転角内で左右に回転されるように構成された回転手段、所定の電気信号によって上記回転手段を左右に回転させる駆動手段、上記回転手段の現在位置を検出する感知手段、及び入力された目標位置信号に応ずる目標位置と上記感知手段から検出した現在位置とを比べて上記回転手段が上記目標位置に到逹するように上記駆動手段を制御する位置制御信号を生成する駆動制御手段を含むが、上記回転手段の回転による振動が所定基準以下になるように設定された上記回転手段の速度に応じて、上記駆動制御手段は上記目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させたことを特徴とするダイナミックアパーチャ駆動装置を提供する。
【0010】
望ましくは、上記駆動手段は上記回転手段と一体に形成されて上記駆動制御手段によって生成された上記位置制御信号が印加される駆動コイル、及び上記駆動コイルから離隔設置される駆動マグネットを含むことができる。また、上記駆動制御手段は、上記感知手段から検出された現在位置の値を電圧信号に変換する信号変換部、入力された上記目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させるRC積分回路、上記RC積分回路を通じて上昇時間及び下降時間の増加した目標位置信号による目標位置と、上記信号変換部から印加された現在位置とを比べて偏差を算出する第1演算部、上記第1演算部の出力信号をトーク制御値に変換するトーク変換部、上記トーク変換部の出力値に上記位置制御信号のフィードバック値を引き算する第2演算部、上記第2演算部の出力を増幅する信号増幅部、上記信号増幅部の出力信号を整流して上記駆動コイルに印加するH−ブリッジ、及び上記駆動コイルに印加される信号をフィードバックして上記第2演算部に提供する信号検出部を含むことができる。
【0011】
また望ましくは、上記感知手段は上記回転手段の回転経路と平行に配置されて、長さ方向に沿って着磁強さが線形的に変化されて回転手段の回転角度別に違う着磁強さを提供するセンサーマグネット、及び、上記回転手段と一体で回転しながら、回転角度によって変化される上記センサーマグネットの磁気の強さを電気信号に変換するホールセンサーを含むか、または上記感知手段は上記回転手段の回転によって上記回転手段との間隔が変化されるように所定位置に固定設置されて一定の着磁強さを有するセンサーマグネット、及び、上記回転手段と一体で回転しながら、回転角度によって変化される上記センサーマグネットの磁気の強さを電気信号に変換するホールセンサーを含むことができる。
【0012】
上記の目的を果たすために、本発明の別の側面によれば、上端部がダイナミックアパーチャに繋がれて所定の回転角内で左右に回転されるように構成された回転手段と、所定の電気信号によって上記回転手段を左右に回転させる駆動手段と、上記回転手段の現在位置を検出する感知手段と、入力された目標位置信号に応ずる目標位置と上記感知手段から検出した現在位置とを比べて上記回転手段が上記目標位置に到逹するように上記駆動手段を制御する位置制御信号を生成する駆動制御手段を含むダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法において、(a)上記駆動制御手段が目標位置信号を入力受ける段階、(b)上記目標位置信号がRC積分回路を通じて上昇時間及び下降時間の増加した信号に変換される段階、(c)上記感知手段から検出した現在位置と上記(b)段階から変換された信号による目標位置とを比べて上記回転手段を目標位置に到逹するように上記駆動手段を制御する上記位置制御信号を生成する段階、及び(d)上記位置制御信号によって上記駆動手段が上記回転手段を回転させる段階を含むダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法を提供する。
【0013】
望ましくは、上記駆動手段は、上記回転手段と一体に形成され上記駆動制御手段によって生成された上記位置制御信号が印加される駆動コイル、及び、上記駆動コイルから離隔設置される駆動マグネットを含むことができるし、上記(c)段階は(c−1)上記(b)段階で変換された信号に応ずる目標位置と上記信号変換部から印加された現在位置とを比べて偏差を算出する段階、(c−2)上記偏差をトーク制御値に変換する段階、(c−3)上記トーク制御値に上記位置制御信号のフィードバック値を引き算し増幅して出力する段階、(c−4)上記出力信号を整流して上記駆動コイルに印加する段階、及び(c−5)上記駆動コイルに印加される信号をフィードバックして提供する段階を含むことができる。
【0014】
本発明のその他の目的、特定の長所及び新規した特徴は、添付された図面とまた連関される以下の詳細な説明と望ましい実施例からもっと明らかになる。以下、本発明によるダイナミックアパーチャ駆動装置及びその振動低減方法の望ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明する事にし、添付図面を参照して説明するにおいて、図面符号に構わず同一であるとか対応する構成要素は同じ参照番号を付与してこれに対する重複される説明は略する事にする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるダイナミックアパーチャ駆動装置及びその振動低減方法は、制御入力がパルス(pulse)の時、振動が発生しないようにすることができる。また、振動発生を減らしてプロジェクションTV内で騷音を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図5は、従来のダイナミックアパーチャ駆動装置の目標位置信号、コイル印加電流及び実際回転手段の位置の時間応答波形を示す図面である。図5を参照すれば、目標位置信号は、周期的に0ステップと255ステップを往復するように信号を送る。上記目標位置信号はPWM DUTY信号なので、0ステップから255ステップに変化する場合階段入力形態(四角波形)になる。
【0017】
上記のような目標位置信号が入って来た場合、従来のダイナミックアパーチャ駆動装置では、図3に示されているように、目標位置信号が駆動制御手段として入力される。感知手段は、回転手段の回転角度による現在位置を検出する。感知手段が検出した現在位置である0ステップと目標位置信号による目標位置255ステップを比べるとその差が255ステップである。これは、回転手段が回転できるようにあらかじめ決まった任意角度(例えば、30度)内で、限界位置の一側から限界位置の他側への移動を意味する。したがって、回転手段が255ステップに該当する最大回転角度位の回転ができるようにトークを発生させるコイル印加電流を発生させる。ここで、コイル印加電流は0ステップから255ステップへの変化に応ずる大きさを有するので最大電流になるだろう。上記コイル印加電流によって駆動手段を構成する駆動マグネット115及び駆動コイル116は、電磁気的作用で回転手段を瞬間的に限界位置の一側から他側に回転させる。以後、255ステップを指していた目標位置信号が0ステップに変わる場合にも上記と類似の過程を経ってダイナミックアパーチャ駆動装置の回転手段は限界位置の一側から他側に回転する。
【0018】
0ステップから255ステップに、また255ステップから0ステップへの目標位置信号の変化周期が一定の周期(例えば、30ms)より早い場合、駆動コイル116に印加されるコイル印加電流が交互に陽(+)の最大電流と陰(−)の最大電流に該当になる周期もまた早くなる。これにより駆動コイル116に印加された最大電流がブレイキングの役目をして最大振動を誘発する。
【0019】
これを防止するためのダイナミックアパーチャ駆動装置が図6に示されている。図6は、本発明の望ましい一実施例によるRC積分回路を含むダイナミックアパーチャ駆動装置を示す図面であって、図6を参照すれば、ダイナミックアパーチャ駆動装置は回転手段、駆動手段、感知手段及び駆動制御手段600を含む。回転手段は、上端部がダイナミックアパーチャに一体で構成され繋がれており、所定の回転角内で左右に回転されるように構成される。図6に示されているピボット111が回転手段を構成する。
【0020】
駆動手段は、所定の電気信号によって回転手段を左右に回転させる。精密な位置制御が必要であって、高い分解能を要求するので一般的にVCMが使われる。本発明では駆動マグネット115と駆動コイル116を含む。感知手段は、回転手段の現在位置を検出する。回転手段の現在位置を基礎にして次に移動する位置との差を把握して、その差に相応しい大きさで駆動手段を駆動させる信号を生成することができるからである。
【0021】
駆動制御手段600は、目標位置信号の入力を受ける。プロジェクションTVにディスプレーしようとする画面の必要な光量にしたがってダイナミックアパーチャを駆動させなければならない。これのため、毎瞬間ダイナミックアパーチャの位置に対する目標位置信号が生成されて提供される。そして感知手段から検出した回転手段の現在位置と目標位置信号による目標位置とを比べる。比較結果によって陽(+)または陰(−)のコイル印加電流を生成して駆動手段を制御する。
【0022】
ここで、目標位置信号はPWM信号を含む。PWM信号はPulse Width Modulation(パルス幅変調)信号であって、その信号形態が四角波形の形態である。すなわち、信号のレベルが変化するエッジでの遅延時間が零(zero)である。これにより急激な位置変化を制御しなければならず、振動が発生するので振動発生を減らすため信号のレベルが変化するエッジでの遅延時間を増加させる。このためにPWM信号である目標位置信号をRC積分回路を通過させ四角波形信号から緩い上昇エッジ及び下降エッジを有する台形波形信号に変換する。
【0023】
四角波形信号がRC積分回路をパスした後、台形波形信号になる原理は次のとおりである。図7は基本的なRC積分回路の回路図であり、図8はRC積分回路の階段入力に対する階段応答を示す図面である。ここで、階段入力は四角波形の一種である。図7を参照すれば、抵抗RとキャパシタCよりなったRC回路で、抵抗RとキャパシタCが直列に繋がって、抵抗RとキャパシタCの両端にVinの入力電圧を加える。そしてキャパシタCの両端の電圧を出力電圧Voutに設定する。VinとVoutの関係を周波数側面及び時間側面からよく見ると、数学式(1)及び数学式(2)のようである。ここで、VinはVの値を有する階段入力である。
【0024】
【数1】

【0025】
【数2】

【0026】
図8を参照すれば、数学式(2)によるVoutの階段応答波形を見ることができる。VinでV値が維持された時間をTpと仮定する時、τ=Tp/5の場合とτ=Tp/100の場合の階段応答波形である。ここで、τは時定数(time constant)であって、図7の回路でτ=RCである。時定数は、出力波形が入力波形の倍(約63.2%)になる時間を意味する。
【0027】
時定数τがTpに比べて非常に小さい値の場合には、図8のτ=Tp/100の場合に示されているように、出力波形の上昇時間及び下降時間が非常に短くてほとんど入力波形と類似の形態の出力波形が生成される。ただし、この場合にはオーバーシュートが生ずる可能性が多い。これに反して、図8のτ=Tp/5の場合に示されているものを参照すれば、出力波形の上昇時間及び下降時間が長くなって、上昇エッジ及び下降エッジが四角波形のエッジと言うより台形波形のエッジに類似の出力波形が生成される。すなわち、PWM信号なので四角波形の形態を有する目標位置信号を図7に示されているRC回路に通過させたら、上昇エッジ及び下降エッジが台形波形のエッジに類似している目標位置信号に変換される。これにより目標位置の急激な変化を要求する目標位置信号が目標位置の漸進的な変化を要求する目標位置信号に変換されることができる。
【0028】
図9は、本発明の望ましい一実施例による目標位置信号、RC回路を通じる変換信号、コイル印加電流及び回転手段位置を示す図面である。図9を参照すれば、0ステップから255ステップに、そして255ステップから0ステップへの急激な変化を要求する目標位置信号が入力される。目標位置信号は、図7に示されているRC回路をパスすることになれば、図8に示されているVoutの出力波形と類似している波形を有する信号に変換される。これにより、受けた命令は、0ステップから255ステップへの変化であるが、台形波形を有する変換信号によって、本発明の望ましい一実施例によるダイナミックアパーチャ駆動装置は0ステップから中間に多数のステップを経って255ステップに変化するように命令を受けたと認識することになる。すなわち、コイルに印加される電流も最大電流が印加されるのではなく、図8のように三角形模様のコイル印加電流が印加されて駆動手段が漸進的に駆動するようにする。そして、回転手段が、回転角度内の限界位置の一側から他側に急激に回転しないでやんわりと回転することになる。すなわち、言い換えれば、回転手段の回転による振動を所定基準以下になるように設定された回転手段の速度に応じて、駆動制御手段は目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させる。回転手段の回転が急激に進行されることによって駆動手段及び回転手段での振動が発生するし、これにより騷音が発生する。したがって、騷音が一定基準以下になるよう振動の基準を決めて、回転による振動が基準値以下になるようにする回転手段の速度を設定する。そして、設定した回転手段の速度に応じて、すなわち、設定速度以下の回転速度になるよう、四角波形に近い目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させて台形波形に近い信号に変換する。これにより、回転手段の速度が設定速度の以下になれば振動も基準値以下になって、騷音も一定基準以下になる。
【0029】
ダイナミックアパーチャ駆動装置は、プロジェクションTVまたはプロジェクター内部の光エンジンに装着されて入射光量を調節する。画面にいなずまが閃く場面をディスプレーしなければならない場合、ダイナミックアパーチャ駆動装置は、目標位置信号のレベルが0ステップから255ステップに、そして255ステップから0ステップへの急激な位置変化を命令することになって、その変化周期が30Hz以上になる。この場合、従来のダイナミックアパーチャの駆動装置では大きい振動が発生して、光エンジン内部で振動による騷音が40dB以上測定される。これに反して、本発明の望ましい一実施例によるダイナミックアパーチャ駆動装置において、RC積分回路を次のように構成すればその騷音が20dB以下に減る。図7に示されているRC回路において、時定数τのRC値が0.002位になるようにRとCを構成した後、RC回路を直列で三つ連結すると、上記RC回路は3次低域通過フィルターになって周波数遮断の特性がよくなり駆動装置の振動が減る。また、この場合、上昇時間または下降時間も15ms程度に希望する基準に相応しい。
【0030】
本発明の望ましい実施例によるダイナミックアパーチャ駆動装置の駆動手段は、一般的にVCMであることができる。また、駆動手段は回転手段と一体に形成されて、駆動制御手段によって生成された位置制御信号が印加される駆動コイル、及び駆動コイルから離隔設置されて駆動コイルと電磁気的作用を起こす駆動マグネットを含むこともできる。
【0031】
別の望ましい実施例によるダイナミックアパーチャ駆動装置の駆動制御手段は、図6に示されている。駆動制御手段600は、信号変換部690、RC積分回路610、第1演算部620、トーク変換部630、第2演算部640、信号増幅部650、H−ブリッジ660、及び信号検出部680を含む。
【0032】
信号変換部690は、感知手段から検出された現在位置の値を電圧信号に変換する。RC積分回路610は、駆動制御手段で入力された目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させる。すなわち、四角波形の信号を台形波形の信号に変換させる。第1演算部620は、RC積分回路610を通じて上昇時間及び下降時間の増加するよう変換された目標位置信号による目標位置に対する電圧値と、信号変換部690から印加された現在位置に対する電圧値を比べて偏差を算出する。トーク変換部630は、第1演算部620から算出された偏差に応ずる出力値を、回転手段を左右に回転させるよう駆動手段を制御するためのトーク制御値に変換する。第2演算部640は、トーク変換部630の出力値から以前位置に対する位置制御信号のフィードバック値を引き算する。信号増幅部650は、第2演算部640の出力を増幅する。H−ブリッジ660は、信号増幅部650の出力信号すなわち、位置制御信号を整流して駆動手段を制御することができるように駆動コイルに印加する。信号検出部670は、駆動コイルに印加される位置制御信号をフィードバックして第2演算部640に提供する。
【0033】
ダイナミックアパーチャ駆動装置の感知手段は、ホール効果の原理を利用したホールセンサーを利用して簡単な構造に具現可能である。一実施例によれば、感知手段は、回転手段の回転経路と平行に配置されて、自体の長さ方向に沿って着磁強さが線形的に変化され回転手段の回転角度別に違う着磁強さを提供するセンサーマグネット112と、回転手段と一体で回転しながら回転手段の回転角度によって変化されるセンサーマグネット112の磁気強さを電気信号に変換するホールセンサーから成り立つことができる。
【0034】
別の実施例によれば、感知手段は、回転手段の回転によって回転手段との間隔が変化されるように所定の位置に固定設置され一定の着磁強さを有するセンサーマグネット(示されていない)と、回転手段と一体で回転しながら回転手段の回転角度によって変化される間隔によるセンサーマグネットの変化された磁気の強さを電気信号に変換するホールセンサーから成り立つことができる。
【0035】
本発明は、上記実施例に限定されないし、本発明の思想内で当分野の通常の知識を持った者によって多くの変形が可能であることは勿論である。また、本発明の権利範囲は特許請求の範囲によるだけに解釈されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一般的なプロジェクション装置の光学構造を示す図である。
【図2】プロジェクション装置の投射光学系の光エンジン構造図である。
【図3】ダイナミックアパーチャ駆動装置を手短に示した図面である。
【図4】ダイナミックアパーチャ駆動装置を手短に示した図面である。
【図5】ダイナミックアパーチャ駆動装置の目標位置信号、コイル印加電流及び実際回転手段の位置の時間応答波形を示す図面である。
【図6】RC積分回路を含むダイナミックアパーチャ駆動装置の図面である。
【図7】基本的なRC積分回路の回路図である。
【図8】RC積分回路の階段入力に対する階段応答を示す図面である。
【図9】目標位置信号、RC回路を通じる変換信号、コイル印加電流及び回転手段位置を示す図面である。
【符号の説明】
【0037】
110 ダイナミックアパーチャ駆動装置
111 ピボット
112 センサーマグネット
113 ホールセンサー
114 ストッパ
115 駆動マグネット
116 駆動コイル
600 駆動制御手段
610 RC積分回路
620 第1演算部
630 トーク変換部
640 第2演算部
650 信号増幅部
660 H−ブリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミックアパーチャを回転させて入射光量を調節するダイナミックアパーチャ駆動装置において、
上端部が上記ダイナミックアパーチャに繋がれて所定の回転角内で左右に回転されるよう構成された回転手段、
所定の電気信号によって上記回転手段を左右に回転させる駆動手段、
上記回転手段の現在位置を検出する感知手段、及び
入力された目標位置信号に応ずる目標位置と上記感知手段から検出した現在位置とを比べて、上記回転手段が上記目標位置に到逹するように、上記駆動手段を制御する位置制御信号を生成する駆動制御手段を含むが、
上記回転手段の回転による振動が所定基準以下になるよう設定された上記回転手段の速度に応じて、上記駆動制御手段は、上記目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させる
ダイナミックアパーチャ駆動装置。
【請求項2】
上記駆動手段は、
上記回転手段と一体に形成されて上記駆動制御手段によって生成された上記位置制御信号が印加される駆動コイル、及び
上記駆動コイルから離隔設置される駆動マグネットを含むことを特徴とする
請求項1に記載のダイナミックアパーチャ駆動装置。
【請求項3】
上記駆動制御手段は、
上記感知手段から検出された現在位置の値を電圧信号に変換する信号変換部、
入力された上記目標位置信号の上昇時間及び下降時間を増加させるRC積分回路、
上記RC積分回路を通じて上昇時間及び下降時間の増加した目標位置信号による目標位置と上記信号変換部から印加された現在位置とを比べて偏差を算出する第1演算部、
上記第1演算部の出力信号をトーク制御値に変換するトーク変換部、
上記トーク変換部の出力値から上記位置制御信号のフィードバック値を引き算する第2演算部、
上記第2演算部の出力を増幅する信号増幅部、
上記信号増幅部の出力信号を整流して上記駆動コイルに印加するH−ブリッジ、及び
上記駆動コイルに印加される信号をフィードバックして上記第2演算部に提供する信号検出部を含むことを特徴とする
請求項2に記載のダイナミックアパーチャ駆動装置。
【請求項4】
上記感知手段は、上記回転手段の回転経路と平行に配置されて、長さ方向に沿って着磁強さが線形的に変化されて回転手段の回転角度別に違う着磁強さを提供するセンサーマグネット、及び
上記回転手段と一体で回転しながら、回転角度によって変化される上記センサーマグネットの磁気強さを電気信号に変換するホールセンサー
を含むことを特徴とする
請求項1に記載のダイナミックアパーチャ駆動装置。
【請求項5】
上記感知手段は、上記回転手段の回転によって上記回転手段との間隔が変化されるように所定位置に固定設置されて一定の着磁強さを有するセンサーマグネット、及び
上記回転手段と一体で回転しながら、回転角度によって変化される上記センサーマグネットの磁気の強さを電気信号に変換するホールセンサー
を含むことを特徴とする
請求項1に記載のダイナミックアパーチャ駆動装置。
【請求項6】
上端部がダイナミックアパーチャに繋がれて所定の回転角内で左右に回転されるよう構成された回転手段と、所定の電気信号によって上記回転手段を左右に回転させる駆動手段と、上記回転手段の現在位置を検出する感知手段と、入力された目標位置信号に応ずる目標位置と上記感知手段から検出した現在位置とを比べて上記回転手段が上記目標位置に到逹するように上記駆動手段を制御する位置制御信号を生成する駆動制御手段を含むダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法において、
(a)上記駆動制御手段が目標位置信号を入力受ける段階、
(b)上記目標位置信号がRC積分回路を通じて上昇時間及び下降時間の増加した信号に変換される段階、
(c)上記感知手段から検出した現在位置と上記(b)段階で変換された信号による目標位置とを比べて上記回転手段を上記目標位置に到逹するように上記駆動手段を制御する上記位置制御信号を生成する段階、及び
(d)上記位置制御信号によって上記駆動手段が上記回転手段を回転させる段階を含む
ダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法。
【請求項7】
上記駆動手段は、上記回転手段と一体に形成されて上記駆動制御手段によって生成された上記位置制御信号が印加される駆動コイル、及び
上記駆動コイルから離隔設置される駆動マグネットを含むことを特徴とする
請求項6に記載のダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法。
【請求項8】
上記(c)段階は、
(c−1)上記(b)段階で変換された信号に応ずる目標位置と上記信号変換部から印加された現在位置とを比べて偏差を算出する段階、
(c−2)上記偏差をトーク制御値に変換する段階、
(c−3)上記トーク制御値から上記位置制御信号のフィードバック値を引き算し増幅して出力する段階、
(c−4)上記出力信号を整流して上記駆動コイルに印加する段階、及び
(c−5)上記駆動コイルに印加される信号をフィードバックして提供する段階を含むことを特徴とする
請求項7に記載のダイナミックアパーチャ駆動装置の振動低減方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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