説明

ダイナミックセンサを使用した異質材料を選別するシステムおよび方法

廃材からの銅などの金属材を処理すること。システムおよび方法は、ダイナミックセンサを使用し、ダイナミックセンサは、廃材ストリーム内の金属物体を識別するために、センサによって通過される金属物体によって生成される電流の変化率を測定する。ダイナミックセンサは、材料分流器ユニットを制御するコンピュータシステムに結合され、材料分流器ユニットは、収集および考えられるさらなる処理のために、検出された金属物体を分流させる。システムおよび方法は、材料の順次回収のための複数のセンサステージを使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異質材料を選別するシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、廃材から、銅配線などの金属を選別するために、ダイナミックセンサを使用するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃材の再利用は、多くの観点から非常に望ましく、その少なからずが、経済的でかつ環境にやさしい。適切に選別された再利用可能材料は、しばしば、かなりの収益のために販売されうる。より価値の高い再利用可能材料の多くは、短期間で生分解しないため、それらの再利用は、局地的な埋め立て処分場、最終的には、環境に対する負担を大幅に低減する。
【0003】
通常、廃材ストリームは、種々のタイプの廃材からなる。1つのこうした廃材ストリリームは、自動車または他の大型機械および機器の回収および再利用から生成される。たとえば、その耐用年数の終わりに、自動車は破砕される。この破砕された材料は、ある程度の鉄および非鉄金属を回収するために処理される。銅配線および他の再利用可能材料を含む、鉄および非鉄金属を含む可能性がある、自動車シュレッダーダスト(automobile shredder residue)(ASR)と呼ばれる残りの材料は、通常、埋め立て処分場で廃棄される。最近、銅配線からの銅を含む、非鉄金属などの材料をさらに回収する努力が行われている。粉砕された機械または粉砕された大型機器から鉄金属を回収した後に残された廃材である、白物家電シュレッダーダスト(whitegood shredder residue)(WSR)から材料を回収する同様な努力が行われている。他の廃材ストリームは、電子部品、建築部品、回収された埋め立て処分場資材、または他の産業廃材ストリームを含む可能性がある。これらの材料は、一般に、同様なタイプの材料に分離されたとき、すなわち、銅、プラスチック、または他の価値のある材料が濃縮されるときにだけ、価値がある。しかし、多くの事例では、様々な材料を含む廃材ストリームを効果的に選別する費用効果的な方法は全く利用できない。この欠点は、銅配線および高密度プラスチックなどの非鉄材料を含む非鉄金属について特に当てはまる。たとえば、プラスチックを再利用することに対する1つの手法は、選別ラインに沿って多数の労働者を配置しなければならず、労働者がそれぞれ、粉砕した廃材を手作業で選別し、選別ラインから所望の再利用物を手作業で選択する。この手法は、労働コスト成分が高過ぎるため、ほとんどの経済状況において持続可能でない。労働のコストのために、これらの手作業によるプロセスの多くは、他の国々で行われ、これらの国々へ/から材料を輸送することは、コストを付加する。
【0004】
鉄および非鉄の再利用は、主に磁石、渦電流分離器、誘導センサ、および密度分離器の使用によって、あるときに自動化されたが、これらの技法は、銅ワイヤを選別するのに効果がない。銅配線は、非磁性である非鉄金属であり、磁石によって分離できない。
【0005】
渦電流分離器は、非鉄金属を反発するエネルギー場を非鉄金属の周りで生成する。渦電流分離器の性能は、材料の導電率および密度ならびにその形状およびサイズに依存する。渦電流分離器は、大きな平坦アルミニウム片でうまく働くが、銅ワイヤなどの小さくかつ不規則な形状の重い金属でうまく働かないであろう。
【0006】
密度分離プロセスは、通常、高価な化学物質または他の分離媒体を含み、ほとんど常に「湿潤した(wet)」プロセスである。これらの湿潤プロセスは、いくつかの理由で非効率的である。分離後、しばしば、分離媒体は、再使用されるように収集されなければならない。同様に、これらの湿潤プロセスは、通常、バッチプロセスであるため、材料の連続した流れを処理することができない。
【0007】
非鉄金属を識別するために使用されうる1つのシステムは、標準的な誘導センサを使用する。誘導センサは誘導ループからなる。ループのインダクタンスは、ループ内を通過する材料のタイプに応じて変化する。金属材は、木、プラスチック、または再利用廃材ストリーム内で通常見出される他の材料に比べて良好なインダクタである。したがって、金属材の存在は、ループを通って流れる電流を増加させる。この電流変化は、検知回路によって検出され、検知回路は、金属が検出されるときはいつでも、何らかの他のデバイスに信号送信しうる。しかし、材料が検出器を通過して移動し、依然として検出される可能性がある速度と、金属材の変動するサイズに対する感度の両方において誘導センサは制限を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記を考慮して、再利用廃材ストリームから銅配線および他の非鉄金属を選別する費用効果的で効率的な方法およびシステムについての必要性が存在する。こうした方法およびシステムは、磁石、渦電流システム、湿潤プロセスまたは誘導センサの制限および欠点を克服する検知技術を使用する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、廃材ストリームからの銅配線などの金属を処理するために、ダイナミックセンサを使用するシステムおよび方法を提供する。システムおよび方法は、廃材ストリーム内の金属物体を識別するためにダイナミックセンサを使用する。ダイナミックセンサは、材料分流器ユニットを制御するコンピュータシステムに結合され、材料分流器ユニットは、収集のために、検出された金属物体を分流させる。これらの収集された金属材は、販売されるために、この時点で十分に濃縮されてもよく、または、金属を濃縮するためにさらに処理されてもよい。
【0010】
本発明の一態様は、廃材ストリーム内の物体を選別するシステムである。システムは、ダイナミックセンサ、および、ダイナミックセンサに結合し、ダイナミックセンサが金属物体を検知するという指示を受信するように動作可能であるコンピュータを含む。
【0011】
本発明の別の態様では、廃材ストリーム内の物体を選別するシステムが提供される。システムは、複数のダイナミックセンサと、複数のダイナミックセンサのそれぞれを通過して廃材を運ぶように動作可能な搬送システムと、ダイナミックセンサに結合し、ダイナミックセンサのうちの1つが金属物体を検知するという指示を受信するように動作可能なコンピュータと、複数のダイナミックセンサのそれぞれに連結し、コンピュータからのコントロール信号を受信するように動作可能な材料分流器ユニットであって、コントロール信号が、材料分流器ユニットに連結するダイナミックセンサによって検知される金属物体を分流するように材料分流器ユニットを作動させる、材料分流器ユニットとを含む。
【0012】
本発明のなお別の態様では、廃材ストリーム内の物体を選別する方法が提供される。方法は、(1)搬送システム上に前記廃材を導入するステップと、(2)ダイナミックセンサによって廃材を通過させるステップと、(3)廃材内の金属物体の存在の、ダイナミックセンサによる指示を生成するステップと、(4)廃材がダイナミックセンサによって通過されたときに、ダイナミックセンサによって指示された廃材内の金属物体を分流させるステップと、(5)分流された金属物体を収集するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の例示的な実施形態によるダイナミック選別システムを示す図である。
【図2】本発明の代替の例示的な実施形態によるダイナミックセンサ選別システムを示す図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態によるダイナミックセンサのアレイを示す図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による空気選別器を示す図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態によるダイナミックセンサを使用して、金属材を処理するプロセスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の例示的な実施形態は、廃材からの銅などの金属材を処理するシステムおよび方法を提供する。システムおよび方法は、廃材ストリーム内の金属物体を識別するダイナミックセンサを使用する。ダイナミックセンサは、材料分流器ユニットを制御するコンピュータシステムに結合され、材料分流器ユニットは、収集および考えられるさらなる処理のために、検出された金属物体を分流させる。
【0015】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるダイナミック選別システム100を示す。図1を参照して、コンベアベルト120上の材料は、ダイナミックセンサアレイ110の下を移動する。ダイナミックセンサアレイ110は、複数のダイナミックセンサを含む。ダイナミックセンサは、改良型誘導センサである。この改良型センサは、誘導ループ内で生成される電流量の変化率を測定し、この変化率に基づいて金属物体の存在を検出する。このプロセスは、標準的な誘導センサが金属物体を検出する方法と異なる。
【0016】
先に示したように、誘導センサおよびダイナミックセンサは共に、金属物体の存在を検出するのに誘導ループを使用する。インダクタが誘導ループを通過すると、ループ内に電流が発生する。誘導ループから出力される電流量は、ループの検知場内の物体のインダクタンスに正比例する。金属物体は、プラスチックおよび他の非金属材などの非金属物体より大きなインダクタンスを有するため、金属物体がループを通過すると、非金属物体が通過するのに比べて、ループ内に大きな電流が発生する。ダイナミックセンサと標準的な誘導センサとの基本的な差は、誘導ループ内で発生したアナログ電流レベルを、検出器がフィルタリングし、解釈する方法である。
【0017】
標準的な誘導センサでは、誘導ループからのアナログ電流は、2つの基準、すなわち、電流の振幅(または大きさ)および電流の時定数を使用して、フィルタリングされる。換言すれば、金属物体が存在することを誘導センサが指示するために、誘導ループ内で発生した電流は、指定された最小レベル(閾値)に達し、センサからのデジタル出力がターンオンされる前に、指定された時間間隔の間、その閾値を超えたままでなければならない(デバウンスと呼ぶ)。このデジタル出力は、監視されている材料内の金属物体の存在の指示である。デジタル出力は、その後、誘導ループ電流が閾値より降下するまで、保持される。
【0018】
たとえば、標準的な誘導センサの場合、ターゲット金属物体がセンサに近づくにつれて、誘導ループ内のアナログ電流が、閾値レベルを超えて増加する。センサは、デバウンスがタイムアウトするのを待つ、すなわち、少なくとも最小時間の間、電流が閾値を超えたままであることをセンサが保証する。電流が、デバウンス時間より長い時間の間、閾値を超えたままになると、検出器は、デジタル出力をターンオンし、物体が通過しアナログ電流が閾値レベルより降下するまで、オンのままになる。ターゲット物体が非金属であった場合、電流は、閾値を超えて増加しないことになり、検出器は、金属物体の存在を指示しないことになる。すなわち、検出器はデジタル出力を生成しないことになる。同様に、金属物体が、誘導センサを高速で通過した場合、デバウンス時間より長い時間の間、閾値を超えたままにならないため、おそらく、それは測定されないことになる。この時間制限は、材料が誘導センサを通過して移動する最高速度を左右する。
【0019】
対照的に、ダイナミックセンサは、誘導ループ内で発生した同じアナログ電流を取得し、電流の大きさではなく、経時的なアナログ電流の変化率に基づいてそのアナログ電流を処理する。電流の変化率は、単位時間当たりの電流の増加として確定される。ダイナミックセンサは、ある量の時間(増加時間)にわたって、最小量のアナログ電流の変化(示差的)を検知すると、指定された間隔(パルス時間)の間、そのデジタル出力をターンオンする。換言すれば、ダイナミックセンサは、電流の大きさが、閾値に達し、閾値を超えたままになるときではなく、誘導ループ内の電流の変化率が閾値を超えると、測定される材料ストリーム内の金属物体の存在を指示する。
【0020】
この検出法の結果として、金属物体がダイナミックセンサの検知場を通過するのが速ければ速いほど、誘導ループ内の電流についての増加時間が速くなり、かつ、その金属物体の存在を検出するダイナミックセンサの確率が高くなる。物体が場を通過する最高速度は、誘導ループ場の振動周波数および最小デジタル出力パルス時間によって制限されるだけである。
【0021】
たとえば、ターゲット金属物体がダイナミックセンサに近づくにつれて、誘導ループ内のアナログ電流が急速に増加する。ダイナミックセンサは、アナログ電流の変化率を監視し、示差的最小電流変化が、指定された増加時間内に起こるとすぐに、デジタル出力をパルス出力する。そのため、センサのデジタル出力は、物体の前端が誘導場を通過するときに、短いパルスの間ターンオンするだけである。デジタル出力は、十分な質量および速度の別の物体が通過するまで、オフのままである。このデジタルパルスは、監視されている材料内の金属物体の存在の指示である。
【0022】
ダイナミックセンサの利点は、標準的な誘導センサと比較して、材料がセンサを通過して移動するのが速ければ速いほど、ダイナミックセンサが、効率的に動作することである。誘導センサシステムについて必要とされる遅いベルト速度は、誘導センサの制限によって必要とされる。ダイナミックセンサについてのベルト速度の増加は、誘導センサを使用するシステムと比較して、材料が最初にベルトに導入されるときの、材料のより均等な分布、および、ダイナミックセンサシステムによる単位時間当たりに処理される材料容積の増加を可能にする。
【0023】
コンベアベルト120上に導入される材料は、金属材と非金属材の両方を含む。図1では、物体132などの黒い物体が、金属物体を表すことを意図され、一方、物体131などのクロスハッチ物体が、非金属物体を表すことを意図される。非金属物体131、133および金属物体132などの物体は、コンベアベルト120上を、図1の左から右へ移動する。物体は、ベルト上で移動するとき、ダイナミックセンサアレイ110の下を通過する。センサアレイ110のセンサは、金属物体の動きを検出し、検出信号が、コンピュータ150に送られる。
【0024】
検出器アレイ110は、複数のセンサを含む。アレイは、2つ以上の検出器がベルト上の領域をカバーするように構成される。カバー範囲のこの重なりは、金属物体が、センサの少なくとも1つのセンサによって検出されることを保証するのに役立つ。センサアレイ内のセンサの例示的な構成は、図3に関連して、以下でより詳細に説明される。例示的な検出器アレイ110は、コンベアベルト120上を材料が移動するときに、材料を覆って配置されるように示される。代替の構成では、検出器アレイ110は、コンベアベルト120の上部ベルトの下に収容されてもよい。
【0025】
金属物体の存在を指示する検出器アレイ110からの信号を受信するようにプログラムされるコンピュータ150はまた、材料分流器ユニット160を制御する。この例示的な材料分流器ユニット160は、空気選別器であるが、他のタイプの材料分流器ユニットが使用されてもよい。たとえば、負圧システム、あるいは、吸引機構、接着機構、把持機構、または掃引機構を特徴とする機械式アームが使用されうる。
【0026】
材料分流器ユニット160は、空気弁に接続された複数の空気ノズルを含む。コンピュータは、検出された物体を分流させるために、1つまたは複数の空気ノズルを駆動するための信号を材料分流器ユニット160に送る。弁がトリガーされると、圧縮器170は、1つまたは複数のノズルに空気を供給する。コンピュータ150からの信号は、検出された物体がコンベアベルト120から落ちるよう、空気噴射が送出されるように計時される。空気噴射は、物体134、135について示すように、検出された物体をコンテナ140に入るように飛ばす。このタイミングは、分流をトリガーすることからノズルの出口で全空気圧に達するまでにかかる時間を含み、この例示的なシステムでは3ミリ秒である。
【0027】
材料分流器ユニット160は、ベルト上の離散的な物体にコンベアベルト120が作用するように、コンベアベルト120の幅にわたって空気ノズルを含む。例示的な材料分流器ユニットは、図4に関連して、以下でより詳細に述べられる。
【0028】
例示的なシステム100では、材料分流器ユニット160によって作用されない(すなわち、検出器アレイ110によって物体が金属物体として検出されない)物体は、第2のコンベアベルト125上に落ちる。この第2のコンベアベルト125は、物体136、137などの非金属物体をコンテナ145に運ぶ。こうして、コンテナ140は、金属物体が濃縮された材料を含み、コンテナ137は、金属物体が無い材料を有する。コンテナ137内の材料は、プラスチックを濃縮し、回収するためにさらに処理されてもよく、一方、コンテナ140内の材料は、収集された銅または他の金属を濃縮するためにさらに処理されてもよい。
【0029】
コンベアベルトが本明細書で述べられるが、代替の搬送システムが使用されうる。同様に、第2のコンベアベルト125が省略され、コンテナ145が、非分流材料を受取るように配置されうる。
【0030】
ASRか、WSRか、または他の廃材などの材料がコンベア120に導入される前か、あるいは、その材料が、ダイナミックセンサを通じて処理された後で、その材料は、望ましくない材料、すなわち、回収された場合に経済的な価値がほとんど無いかまたは全く無い材料を取除くためにさらに処理されてもよい。例示的な実施形態では、ダイナミックセンサの効率を上げ、かつ、少なくとも85%の銅ワイヤである混合材料を回収するために、コンベアに導入される前に、材料がさらに処理される。たとえば、残留物は、大きな物体を取除くために、機械式スクリーンまたは他のタイプのサイズスクリーニングによって選別されてもよい。スクリーンを通過する物体は、この全体のプロセスの主要なターゲットである銅配線または他の回収可能な金属を含むであろう。
【0031】
別のプリプロセス工程では、材料は、「ロールバック(roll back)」または摩擦ベルト分離器にさらされてもよい。このプロセスでは、材料は、ベルトが僅かに上方に傾斜した状態でベルトに沿って移動する。発泡体などの、軽量で主に丸い材料は、ベルトに沿って移動する可能性が小さく、ベルトから後ろに転げ落ち、捕捉される。通常、この材料は、廃棄されることになる。
【0032】
別のプリプロセス工程は、残留物に鉄分離プロセスを受けさせてもよい。一般的な鉄分離プロセスは、ベルトまたはプレート磁石分離器、プーリ磁石、あるいはドラム磁石を含んでもよい。鉄分離プロセスは、シュレッダー材の初期処理で捕捉されなかった鉄材を取除く。このプロセスはまた、一部の織物材およびカーペット材を捕捉することになる。これらの材料は、自動車および/または大型機器または消費者商品などの廃材が粉砕され、鉄金属が回収された、廃材ストリームの初期処理中に生成された金属糸を含むか、または、金属微粉を閉じ込める。これらの閉じ込められた鉄金属微粉は、鉄分離プロセスがこれらの材料を取除くことを可能にする。
【0033】
別のプリプロセス工程は、材料に空気分離プロセスを受けさせてもよい。このプロセスでは、材料は、通常上部から、空気分離プロセス内に導入され、システムを通して重力によって降下する。空気は、空気分離システムを通して上方に強制的に送られる。塵埃、砂、織物、カーペット、紙、およびフィルムを含む、「フラフ(fluff)」と呼ばれることが多い軽量材は、空気中に伴出され、システムの一部分から取除かれる。空気中に伴出されない材料は、システムの別の部分から取除かれる。空気分離システムは、複数のステージすなわちカスケードを含んでもよく、1つのステージから落ちる材料が、次のステージに導入されるなどである。より重い材料は、コンベアベルト120上に導入される材料であることになる。
【0034】
もちろん、材料の任意のさらなる処理は、ダイナミックセンサの前かまたは後で、また、プロセスの任意の組合せで、これらのプロセスの1つ、2つ、3つ、または4つ全てを含みうる、あるいは、プロセスを全く含まない。同様に、望ましくない材料を取除く他の処理工程が使用され得、ダイナミックセンサの周波数検出を分離するためにコンピュータフィルタを使用すること、または、形状および周波数検出に基づいてクロス選別するためにダイナミックセンサと組合せた高速度カメラを使用すること、ならびに、他のプロセスを含んでもよい。
【0035】
図2は、本発明の代替の例示的な実施形態によるダイナミックセンサ選別システム200を示す。図1および2を参照して、システム200は、複数の検出ステージを含む。各ステージは、図1に示すシステム100と同じである。このシステム200では、材料は、コンベアベルト220上に導入され、検出器アレイ210を通過して運ばれる。検出器アレイ210が金属物体を検出すると、信号がコンピュータ250に送信される。コンピュータ250は、材料分流器ユニット230を制御し、材料分流器ユニット230は、この例示的なシステムでは、弁によって制御される複数の空気ノズルを含む。たとえば、負圧システム、あるいは、吸引機構、接着機構、把持機構、または掃引機構を特徴とする機械式アームが使用されうる。コンピュータ250は、1つまたは複数の弁が開放するようにトリガーし、空気噴射が、検出された材料を分流させる。空気は、圧縮器(図示せず)から供給される。コンピュータ250からの信号は、弁を作動させるために計時され、検出された物体がコンベアベルト220からコンベアベルト222へ落ちるように、空気噴射を送る。空気噴射は、検出された金属物体をコンテナ240内に分流させることになる。検出器アレイ210によって検出されない材料は、コンベアベルト222上に落ちることになる。これらの材料は、その後、検出器アレイ212の下で運ばれ、プロセスが繰返される。検出器アレイ212は、材料分流器ユニット232を制御し、検出された金属物体を材料分流器ユニット232がコンテナ242内に分流させるようにトリガーする信号をコンピュータ250に送る。このプロセスは、他の2つのステージについて繰返される。プロセスの終わりに、コンテナ240、242、244、246は、分流された金属物体を含み、一方、コンテナ248は、主に非金属物体を含む。
【0036】
例示的なシステム200は、4つのステージを示し、ステージは、搬送、センサ、および材料分流器ユニットの組合せである。もちろん、任意の数のステージが使用されうる。同様に、システム200は、検出器アレイおよび材料分流器ユニットの全てを制御する単一コンピュータ250を示す。あるいは、1ステージ当たり1つのコンピュータなどの複数のコンピュータが使用されうる。システム100の場合と同様に、廃材は、コンベアベルト220上に導入される前に、前処理されてもよい。同様に、検出器アレイは、移動するベルトの下に配置されてもよい。
【0037】
コンベアベルト220上に導入される初期材料は、ベルト222上に落ちる材料に比べて大きな濃縮度の金属材を有するであろう。実際には、各ステージで廃材ストリームから金属材が分流されるため、それぞれの後続のベルト上に落ちる材料は、低い濃縮度の金属材を有することになる。結果として、第1の検出器アレイ210は、検出器の「的中(hits)」、すなわち、金属物体の指示で過負荷になる可能性がある。一実施形態では、後続の各検出器アレイの感度は、この過負荷を防止するために調整されうる。たとえば、検出器アレイ210は50%感度に設定され得、検出器アレイ212は75%感度に設定され得、検出器アレイ214は90%感度に設定され得、検出器アレイ216は100%感度に設定されうる。この可変感度は、低い感度に設定されたセンサが、金属物体に関する「的中」を示すためにより長い初期パルスを必要とするように、各センサについて時間フィルタを調整することによって達成されうる。より長い初期パルスは、より大きな物体が検出器アレイ210によって検出され、後続の検出器アレイが益々小さい金属物体を検出するように、より大きな物体に関連することになる。
【0038】
図3は、本発明の例示的な実施形態によるダイナミックセンサのアレイ300を示す。図1、2、および3を参照して、ダイナミックセンサアレイ300は、プレート310を含む。プレート310は、センサアレイ300内の各ダイナミックセンサに対応する穴を含む。この例示的な実施形態では、センサアレイ300は、センサ320、330、340、350などの64個の個々のセンサを含む。
【0039】
この例示的なセンサアレイ300では、典型的なピッチ、すなわち、センサ320の中心とセンサ330の中心との距離は120ミリメートルである。同様に、センサ320およびセンサ330に関する列内のセンサの水平中心線と、センサ340に関する列内のセンサの水平中心線との距離は110ミリメートルである。センサアレイ300の幅は、センサアレイ300を通過して材料を移動させる、コンベアベルト120などの搬送部の幅にほぼ等しいことになる。こうして、そのセンサアレイ300は、搬送部上のどこででも、材料を検出しうる。もちろん、異なる幾何形状構成およびセンサの数が、センサアレイにおいて使用されうる。実際には、単一システムが異なる構成を使用しうる。たとえば、センサアレイ210は、システム200内のセンサアレイ212と比較して、異なるセンサ構成またはセンサの数を有しうる。
【0040】
センサアレイ300内のセンサは、複数のセンサが、搬送部の同じ領域上の物体を検出するように配設される。たとえば、センサ320およびセンサ350は、搬送部上のほぼ同じ領域をカバーする。同様に、センサ340のカバー範囲領域は、センサ320およびセンサ350のカバー範囲領域と重なる。この冗長なカバー範囲は、センサアレイ300が、アレイを通過して移動する材料内の金属物体を検出する可能性を高める。
【0041】
図4は、本発明の例示的な実施形態による空気選別器400を示す。図1、2、および4を参照して、空気選別器400は本体410を含む。本体410は、空気弁420、425およびノズル430、432、434、436などの多数の空気弁およびノズルを保持する。図1および2に関連して上述したように、空気選別器400は、材料分流ユニット160または材料分流ユニット230、232、234、236の1つとして使用されてもよい。
【0042】
空気選別器400内の各空気弁は、圧縮空気を2つのノズルに送る。圧縮空気は、圧縮機(図示せず)または他の圧縮空気源により空気選別器400に供給される。たとえば、空気弁420は、空気をノズル430、432に送る。同様に、空気弁425は、空気をノズル434、436に送る。
【0043】
空気選別器400の場合、4つのノズルは、センサアレイ300などのセンサアレイ上のセンサに対応する。4つ全てのノズルは、検出された金属物体を分流させるために、同時に空気を供給されることになる。点線で示すボックス440は、センサによって測定される、コンベアバルト120などの搬送部上の領域を示す。4つのノズル430、432、434、436は、対応するセンサが金属物体の存在を指示するときはいつでもトリガーされることになる。
【0044】
空気選別器400は、センサによって検出される任意の材料に作用するために、コンベアベルト120などの、使用される搬送システムの全幅にわたってもよい。
【0045】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるダイナミックセンサを使用して金属材を処理するプロセスフロー500を示す。図1および5を参照して、ステップ510にて、シュレッダーダストあるいは銅配線または他の回収可能な金属などの金属物体を含む他の材料が前処理される。図1に関連して先に説明したように、機械式スクリーニング、ロールバック分離、鉄分離、空気分離、または望ましくない材料を取除く他のプロセスなどの種々の前処理作業が、単独でまたは組合せて使用されうる。もちろん、先に説明したように、この前処理工程は、省略されうる。
【0046】
ステップ520にて、前処理工程510から回収されるシュレッダーダスト材が、搬送システム上に導入される。例示的な搬送システムは、コンベアベルト120などのコンベアベルトである。ステップ530にて、材料は、ダイナミックセンサアレイ110などのダイナミックセンサを通過する。
【0047】
ステップ540にて、ステップ530のダイナミックセンサによって識別された金属材が、搬送システムから分流される。たとえば、ダイナミックセンサは、金属物体の存在を指示する信号を、コンピュータ150などのコンピュータに送る。コンピュータ150は、その後、材料分流器ユニット160などの材料分流器ユニットをトリガーすることになる。このユニットは、物体が搬送システムから取除かれるように、物体に空気噴射を送ることになる。分流は、識別された物体がコンベアベルトの端に達すると起こり、空気噴射が、物体をコンテナ内に分流させる。
【0048】
ステップ550にて、残留物材の金属部品および非金属部品が共に収集される。収集された金属材は、銅ワイヤまたは他の金属材を濃縮するために、さらに処理されうる。非金属部品はまた、プラスチックなどの他の価値のある材料を濃縮し、回収するためにさらに処理されてもよい。
【0049】
本発明は、廃材から銅などの金属材を処理するシステムおよび方法を提供することを当業者は理解するであろう。システムおよび方法は、廃材ストリーム内の金属物体を識別するためにダイナミックセンサを使用する。ダイナミックセンサは、材料分流器ユニットを制御するコンピュータシステムに結合されてもよく、材料分流器ユニットは、収集および考えられるさらなる処理のために、検出された金属物体を分流させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃材ストリーム内の物体を選別するシステムであって、
ダイナミックセンサであって、金属物体がダイナミックセンサを通過して移動する結果として生成される電流の変化率を測定するように動作可能であり、ダイナミックセンサが、前記電流の前記測定された変化率に基づいて前記廃材ストリーム内の前記金属物体を検知するという指示を生成するようにさらに動作可能である、ダイナミックセンサと、
前記ダイナミックセンサに結合し、前記ダイナミックセンサが前記金属物体を検知するという前記指示を受信するように動作可能なコンピュータとを備えるシステム。
【請求項2】
前記コンピュータからコントロール信号を受信するように動作可能な材料分流器ユニットであって、前記コントロール信号は、前記ダイナミックセンサによって検知された金属物体を分流するために材料分流器ユニットを作動させる、材料分流器ユニットをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記材料分流器ユニットは、前記ダイナミックセンサによって検知される前記金属物体を分流するために空気を使用するように動作可能な複数の空気ノズルを備える請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ダイナミックセンサを通過して、選別される物体を運ぶように動作可能な搬送システムをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記搬送システムはコンベアベルトを備える請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ダイナミックセンサは、複数の個々のダイナミックセンサを備え、センサアレイを形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記廃材は、自動車シュレッダーダストまたは白物家電シュレッダーダストを含み、前記金属物体は、銅配線を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
廃材ストリーム内の物体を選別するシステムであって、
複数のダイナミックセンサであって、各センサは、金属物体がダイナミックセンサを通過して移動する結果として生成される電流の変化率を測定し、ダイナミックセンサが、前記電流の前記測定された変化率に基づいて前記廃材ストリーム内の前記金属物体を検知するという指示を生成するように動作可能である、複数のダイナミックセンサと、
前記複数のダイナミックセンサのそれぞれを通過して前記廃材を運ぶように動作可能な搬送システムと、
前記複数のダイナミックセンサに結合し、前記ダイナミックセンサのうちの1つが前記金属物体を検知するという前記指示を受信するように動作可能なコンピュータと、
前記複数のダイナミックセンサのそれぞれに連結し、前記コンピュータからのコントロール信号を受信するように動作可能な材料分流器ユニットであって、前記コントロール信号は、材料分流器ユニットに連結する前記ダイナミックセンサによって検知される金属物体を分流するように材料分流器ユニットを作動させる、材料分流器ユニットとを備えるシステム。
【請求項9】
前記材料分流器ユニットは、前記ダイナミックセンサによって検知される前記金属物体を分流するために空気を使用するように動作可能な複数の空気ノズルを備える請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のダイナミックセンサのそれぞれは、複数の個々のダイナミックセンサを備え、センサアレイを形成する請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記個々のダイナミックセンサの少なくとも2つは、前記搬送システム上のほぼ同じ領域内で物体を検出する請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記廃材は、自動車シュレッダーダストまたは白物家電シュレッダーダストを含み、前記金属物体は、銅配線を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のダイナミックセンサは、複数のステージを備え、各ステージは、ダイナミックセンサおよび材料分流ユニットを備える請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のダイナミックセンサの少なくとも1つのダイナミックセンサは、前記複数のダイナミックセンサの第2のダイナミックセンサの感度と異なる感度を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
廃材ストリーム内の物体を選別する方法であって、
(a)搬送システム上に前記廃材を導入するステップと、
(b)前記廃材ストリーム内の金属物体が前記搬送システム上にある結果として生成される電流の変化率を測定するように動作可能なダイナミックセンサによって前記廃材を通過させるステップと、
(c)前記金属物体によって前記ダイナミックセンサ内に生成される前記電流の前記測定された変化率に基づいて、前記廃材内の金属物体の存在の、前記ダイナミックセンサによる指示を生成するステップと、
(d)前記ダイナミックセンサによって指示される前記廃材内の前記金属物体を分流させるステップと、
(e)前記分流された金属物体を収集するステップとを含む方法。
【請求項16】
前記廃材ストリームから望ましくない材料を取除くために前記搬送システム上に前記廃材を導入する前に、前記廃材を前処理するステップをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記前処理するステップは、空気分離、鉄分離、機械的スクリーニング分離、および摩擦ベルト分離のうちの少なくとも一つを使用することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(a)〜(e)は、複数のステージで繰返され、4つのステップの各セットが単一ステージを構成する請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記金属物体は銅配線を含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記銅配線は、前記銅を濃縮するためにさらに処理される請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−516249(P2011−516249A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502948(P2011−502948)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/001985
【国際公開番号】WO2009/123701
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(309005445)
【Fターム(参考)】