説明

ダイレクト成形機

【課題】リードタイムを短縮できるダイレクト成形機を提供すること。
【解決手段】ダイレクト成形機1は、射出ユニット10と、この射出ユニット10を組み付け可能な金型20とを備えている。このダイレクト成形機1は、金型20に少なくとも1枚の基材30をセットしたときに形成されるキャビティ22に射出ユニット10から溶融樹脂を射出し、射出した溶融樹脂から成るリベット50を基材30に溶融結合させることができるように構成されている。この金型20は、アルミニウムから形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクト成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重ね合わせた2枚の基材を各種の方法(例えば、接着剤等)で結合させる技術が既に知られている。ここで、下記特許文献1には、射出した溶融樹脂から成るリベットを2枚の基材に溶融結合させることで、これら2枚の基材を結合させる技術が開示されている。これにより、例えば、接着剤等で結合させる方法と比較すると、簡便に結合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−231181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、溶融樹脂が射出されるキャビティを形成している金型の素材は、例えば、SS材(一般構造用圧延鋼材)、SK材(炭素工具鋼)が使用されている。このようにSS材、SK材が使用されていると、これらの素材は熱伝導率が低いため、溶融結合させるときの冷却時間を長く確保する必要があった。したがって、リードタイムが長くなるという問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、リードタイムを短縮できるダイレクト成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、射出ユニットと、この射出ユニットを組み付け可能な金型と、を備え、金型に少なくとも1枚の基材をセットしたときに形成されるキャビティに射出ユニットから溶融樹脂を射出し、射出した溶融樹脂から成るリベットを基材に溶融結合させるダイレクト成形機であって、金型は、アルミニウムから形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、金型の冷却を素早く行うことができる。したがって、従来技術と比較すると、溶融結合させるときの冷却時間を短くでき、結果として、リードタイムを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るダイレクト成形機の縦断面図であり、溶融樹脂を射出する前の状態を示している。
【図2】図2は、図1の射出後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜2を用いて説明する。まず、図1を参照して、本発明の実施例に係るダイレクト成形機1を説明する。このダイレクト成形機1は、射出ユニット10と、この射出ユニット10を組み付け可能な金型20と、この金型20に対向すると共に後述する2枚の基材30、40を載せることができる作業台(図示しない)とから構成されている。以下に、これら射出ユニット10と金型20とを個別に説明していく。
【0009】
はじめに、射出ユニット10から説明していく。この射出ユニット10は、公知のものであり、そのノズル12から後述するゲート14をキャビティ22へ所定量(後述するキャビティ22に相当する量)の溶融樹脂を射出可能となっている。射出ユニット10は、このように構成されている。
【0010】
次に、金型20を説明する。この金型20には、自身と作業台(図示しない)との間に重ね合うようにセットした2枚の基材30、40に対して溶融結合させるリベット50を射出するためのキャビティ22が形成されている。また、この金型20には、組み付けた射出ユニット10のノズル12とキャビティ22とを連通させるゲート14が形成されている。
【0011】
このキャビティ22は、セットした2枚の基材30、40のうちの一方の基材30である第1の基材30に予め形成されている貫通孔32を含むように形成されている。なお、このキャビティ22は、図1からも明らかなように、その射出ユニット10側がフランジを成すように形成されている。
【0012】
また、この金型20には、自身20を冷却するための冷却装置(図示しない)が組み付けられている。なお、この金型20は、SS材(一般構造用圧延鋼材)、SK材(炭素工具鋼)より熱伝導率が高いアルミニウムから形成されている。金型20は、このように構成されている。
【0013】
続いて、図1〜2を参照して、上述した構成から成るダイレクト成形機1の動作を説明する。まず、図1に示すように、金型20と作業台(図示しない)との間に2枚の基材30、40を重ね合うようにセットする作業を行う。このとき、貫通孔32が形成されている第1の基材30が金型20側に位置するように、2枚の基材30、40をセットする作業を行う。
【0014】
次に、金型20のキャビティ22に溶融樹脂を射出する作業を行う。次に、射出した溶融樹脂を冷却固化させる作業を行う。すなわち、金型20を冷却装置(図示しない)によって冷却させる作業を行う。すると、溶融樹脂が冷却固化することによりリベット50が成形されることとなる。このとき、リベット50の先端面52は、第2の基材40に対して溶融結合されることとなる。
【0015】
もちろん、このリベット50は、第1の基材30の貫通孔32の内周面に対しても溶融結合されることとなる。このようにしてリベット50は、そのフランジ54によって第1の基材30を挟み込む格好を成すため、その溶融結合を強固なものにすることができる。そして、金型20と作業台(図示しない)との間から2枚の基材30、40を取り出して、一連の作業が完了する。このようにして、従来技術と同様に、これら2枚の基材30、40を結合させることができる。
【0016】
本発明の実施例に係るダイレクト成形機1は、上述したように構成されている。この構成によれば、金型20は、SS材(一般構造用圧延鋼材)、SK材(炭素工具鋼)より熱伝導率が高いアルミニウムから形成されている。そのため、金型20の冷却を素早く行うことができる。したがって、従来技術と比較すると、溶融結合させるときの冷却時間を短くでき、結果として、リードタイムを短縮できる。
【0017】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、第1の基材30にのみ貫通孔32が形成されている例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、第1の基材30の貫通孔32と連通するように、第2の基材40にも貫通孔が形成されている形態でも構わない。その場合、作業台も、金型20に対して上下に対称を成すように、フランジ状に形成されたキャビティを有するアルミニウムから成る金型となる。この形態によれば、実施例で説明したリベット50より、その溶融結合を強固なものにすることができる。
【0018】
また、実施例では、2枚の基材30、40を結合させる例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、1枚の基材30に爪等を溶融結合させても構わない。
【符号の説明】
【0019】
1 ダイレクト成形機
10 射出ユニット
12 ノズル
20 金型
22 キャビティ
30 第1の基材
32 貫通孔
40 第2の基材




【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出ユニットと、この射出ユニットを組み付け可能な金型と、を備え、
金型に少なくとも1枚の基材をセットしたときに形成されるキャビティに射出ユニットから溶融樹脂を射出し、射出した溶融樹脂から成るリベットを基材に溶融結合させるダイレクト成形機であって、
金型は、アルミニウムから形成されていることを特徴とするダイレクト成形機。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−240221(P2012−240221A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109132(P2011−109132)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】