ダイレクト部品マークリーダ用の低プロファイル照明
画像形成システムを有する工業用リーダが提供される。該工業用リーダは、具体的には、対象物上に直接的にマークされたバーコード及び2次元記号を読み出すよう構成される。前記画像形成システムは、照明源及び照明伝達構成要素を備え、該照明源及び照明伝達構成要素が、明視野照明と暗視野照明との組み合わせを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物上に直接的にマークされた記号を読み出すために用いられる記号リーダ(記号読み取り装置)の分野に関する。このタイプの記号リーダは、一般には、ダイレクト部品マークリーダ(direct part mark readers)として知られ、ハンドヘルド及び固定マウント画像ベース記号リーダの拡張である。ダイレクト部品マークリーダは、首尾一貫してデコードされることが可能な記号の画像を生成するためのユニークな画像形成システムを必要とする。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
大部分のダイレクト部品マーキング用途のために、2次元記号が使用される。何故ならば、そのような記号は、比較的コンパクトなサイズを維持しつつ、十分な多くの文字をエンコードすることができるからである。読み出し可能性(判読率)を改善するために、誤り訂正方式が、大抵の2次元記号の利用(symbology)において典型的には含まれる。該2次元記号は、材料の構成、部品用途、及び環境条件に依存して、様々な方法を用いて、部品上か又は構成要素上に直接的にマークされる。一般的な方法には、ドットピーニング(dot peening)、レーザ、及び電子化学エッチングが含まれる。
【0003】
部品上か又は構成要素上に直接的にマークされた記号は、ラベル上に印刷された記号と比較して、多くの場合、読み出すことが困難である。ドット・ピーニングされたか、又はエッチングされたマークの画像は、大抵の画像ベース記号リーダの照明又は画像形成システムを用いて、往々にして、非常に低いコントラストを示す。粘着性のラベル上に記号が印刷されており、且つ、ある部品又は構成要素か又はその部品包装に該ラベルが適用されている時には、典型的な画像ベース記号リーダは、十分な読み取り速度を提供することができる。とはいえ、業界の傾向は、ダイレクト部品マーキングの用途が、やはり増加してきていることを示唆している。
【0004】
画像ベースの記号リーダによって読み出され且つデコードされる記号の画像を取得する時には、記号又はマークの照明が主要な問題である。記号がラベル上に印刷されている場合か、又は平らな表面を有する部品上に直接的にマーキングされている時には、高角の「明視野(bright field)」照明が、頻繁に使用される照明のタイプである。明視野照明は、明るい背景において暗い目標物を生じさせる照明の種類の技術用語である。明視野照明下において、高角の照明が、ほぼ垂直にか、又は垂線から45度以下の角度で目標物に当る。このタイプの照明は、結果として、リーダに向かって戻るように反射する実質的な照明を生じる。
【0005】
部品又は構成要素の表面上に記号又はマークがエッチングされているか又はピーニングされており、尚且つ、その表面が粗いか又は不規則な時には、高角の明視野照明は適切でない場合がある。そのマークの特徴の不規則な表面は、背景面ほどに多くの光をリーダに戻すように散乱させ、結果として、その画像内に識別不可能な特徴を生じさせる。低角の「暗視野(dark field)」照明が、特定のダイレクト部品マーキング用途に適合可能となることが、明らかになってきている。
【0006】
暗視野照明下において、低角の照明が、目標物の表面から低い角度、すなわち垂線から45度と90度との間の角度で、該目標物に当る。リーダからの反射される暗視野照明は、該リーダ内へと照明の一部を戻すように反射させる目標物の表面上のマーク又は記号のランダムで不規則な特徴だけを有する。更に、明視野照明と暗視野照明との組み合わせが用いられた時には、特定の読み出しアプリケーションが、より成功することが可能な読み出し速度をもたらすことが可能となる。
【特許文献1】米国特許出願番号第10/911,989号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工業用記号リーダは、該リーダ内に組み込まれた光源からの明視野照明を提供するように典型的には設計される。ダイレクト部品マーク記号を読み出すように、これらリーダが構成される時には、リムーバブルな光パイプ及び他のアダプタの利用が、明視野照明を暗視野モードへと向け直すために用いられる。従って、ダイレクト部品マークを読み出すために使用される、当該技術分野において既知のハンドヘルドリーダは、明視野モードか又は暗視野モードのいずれかについて排他的に構成されている。
【0008】
従って、明視野モードと暗視野モードとの両方において可変で且つ制御可能な照明を提供する組み込まれた照明を有するダイレクト部品マークリーダの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な一実施形態は、明視野モードと暗視野モードとの両方について組み込まれた照明を有する工業用識別マークリーダを提供する。該リーダは、該リーダの前に置かれた目標物上のマークの画像を取り込む撮像モジュールを有するハウジングを有する。該ハウジング内において、照明モジュールは、該マークか又は該目標物を照らすための選択的に作動させられる照明のアレイを有する。前記ハウジングによって支持された組み込み型光学伝送器が、選択的に作動させられた照明と位置合わせされる、すなわち選択的に作動させられた照明と光学的に協働する状態となる。該組み込み型光学伝送器は、暗視野照明を伝達するための暗視野伝送器と、明視野照明を伝達するための明視野伝送器とを有する。
【0010】
組み込み型光学伝送器は、反射された照明のための、撮像モジュール内への経路を提供するための、及び、その素子から該撮像モジュール、照明器モジュール、及びリーダの他の内部構成要素への保護を提供するための、透過性の窓を有する。
【0011】
代替の例示的な一実施形態において、組み込み型光学伝送器は、暗視野伝送器のための光パイプを有する。該光パイプは、該光パイプ内において配置された明視野伝送器を有するベースを有する。その代替の例示的な実施形態は、保守及び修理のために視野(filed)の交換を可能にするための、及び/又は、更なる多様な照明特性のために代替の光パイプ設計の利用を可能にするための、リムーバブルな、リーダの構成要素とすることができる。
【0012】
第3の例示的な一実施形態のリーダは、視界ポート(viewing port)を有する。該視界ポートを介して、ユーザは、撮像器に対して可視である視野を見る(覗く)ことができる。
【実施例】
【0013】
本発明の以下の説明は、添付図面を参照する。
【0014】
発明の詳細な説明
図1は、1次元か又は2次元のバーコードか、又はデータマトリクス記号のようなマーク又は記号の画像を取得するタイプの、ハンドヘルド動作用に構成された、例示的な工業用マークリーダ100を示す。内部プロセッサ(図示せず)が、取得された画像の解析を実施して、エンコードされた情報の文字列を提供するために、そのマークか又は記号をデコードする。
【0015】
図1内に示されるリーダ100は、グリップ部102と、画像取得及びデコード機能を開始するためにユーザの指によって作動させられることが可能なトリガ104とを有する。ハウジング106は、(鎖線で示された)撮像器(イメージャ)112を備える。該撮像器は、プロセッサ(図示せず)に接続される。ステータス照明器108が、マークの取得画像のデコードの成功を示すためのような、リーダの状況の視覚的な指示を提供する。つなぎコード110は、リーダ100に対する電力を提供し、並びに、エンコードされた情報の、デコードされた文字列のための通信伝達経路を提供する。しかしながら、完全な携帯可能なフレキシビリティのためにバッテリ電力及び無線通信によってリーダ100が構成されることが可能であることも考えられる。
【0016】
リーダ100は、(鎖線で示された)照明板114からの光の放射による、マークの照明を、該マークの画像の取得中に提供する。本発明のリーダ100は、図2内において更に詳細に示されてるような、組み込み型光学伝送器120を備え、様々なタイプの照明を提供する。
【0017】
図2を参照すると、組み込み型光学伝送器120が、本発明の例示的な一実施形態に従って示されている。光学伝送器120は、ハウジング106のくぼんだ溝(recessed channel)内(図示せず)にはめ込むことによって構造上の支持を提供する構造フレーム210を有する成形されたプラスチック部品である。例示的なリーダ100のような光電子デバイスの様々な構成要素を組み立てるために用られることが可能な多くの組み立て技法を当業者であれば理解することができる。伝送器120はまた、ハウジング106内からの明視野照明を伝達する複数の明視野照明伝送器220を備える。明視野照明の角度及び配向を修正するため、レンズ機能を提供するために及び/又は拡散特性を持たせるために、明視野伝送器220を、成形するか又は製造することができる。製造中に、組み込み型伝送器120の前か又は後のいずれかにか、又は両側に、レンズ機能を提供する必要に応じて、明視野伝送器220の光学特性を適用することができる。
【0018】
光学伝送器120はまた、ハウジング106内からの低角の暗視野照明を伝達する暗視野照明伝送器230を備える。暗視野照明伝送器230は、(この実施形態において)角度が付けられた先端部(tip)235において末端をなす、光伝送材料の伸長されたバレルからなる。更に後述されるように、この先端部は、直接的にリーダ100の前面の領域内に低角の暗視野照明を投射する内部反射を生じさせるように設計される。上述のように、そのような暗視野照明は、典型的には、垂線から約45度を超える角度で提供される。
【0019】
伝送器120はまた、センサモジュール112に対する視野の光路内においてハウジング106内へと反射される照明のための伝達経路を提供する窓240を備える。組み込み型光学伝送器120の窓240はまた、ハウジング106内にある、リーダの幾つかの構成要素に対する、素子からの物理的な保護を提供する。追加的には、窓240は、(例えば、周囲照明の効果を低減するための)フィルタリングと、開口部のサイズを制限することによって目標物におけるテレセントリック視界(telecentric view)を提供することとを含む他の光学機能を提供することができる。
【0020】
図3は、組み込み型光学伝送器120、照明ボード114、及び撮像器モジュール112の分解斜視図を示す。照明ボード114は、各々が明視野伝送器220と位置合わせされた4つの明視野照明器320が示されている。取得中に明視野照明が望まれる場合には、明視野照明器320は、マークの画像の取得と並行して、その照明を制御するプロセッサ(図示せず)によって個別に作動させられることが可能な表面実装LEDとすることができる。
【0021】
照明ボード114は、概して暗視野伝送器230と位置合わせされた暗視野照明330のアレイが示されている。各々の暗視野照明器330は、その照明を制御するプロセッサ(図示せず)によって個別に作動させられることが可能な表面実装LEDとすることができ、取得中に暗視野照明が望まれる場合には、マークの画像の取得に並行して、様々なモードにおいて、暗視野照明を提供する。例えば、照明の様々なモードを、2004年8月5日にファイリングされた同時継続中の米国特許出願シリアル番号第10/911,989内において開示されているように、象限(四分区間:quadrants)において作動させられる暗視野照明器330のアレイによって提供することができる。該米国特許出願シリアル番号第10/911,989は、参照によって本明細書内に組み込まれる。照明の様々なモードの制御と、ある特定の取得に対する照明の同期とを、リーダ100内におけるプロセッサモジュール(図示せず)によって実行することができる。
【0022】
この例示的な実施形態の照明ボード114は、画像取得中にマークから撮像モジュール112内への反射された照明の伝達を可能にするために、窓240と撮像モジュール112とに位置合わせされた穴(ホール)340を有する。穴340のサイズと形状とが、撮像モジュール112に入って来る反射された照明を不明瞭にしないような大きさに十分に合わせて作られてることに留意されたい。
【0023】
撮像モジュール112は、この例示的な実施形態において、照明ボード112の背後に配置されており、反射された照明を受けて、マーク又は記号の画像を生成する。撮像モジュール112は、領域感知性(area sensitive)撮像アレイと撮像レンズとを有する。該撮像アレイは、電荷結合素子(CCD)か又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスか、或いは当該技術分野において既知の他の撮像センサとすることができる。撮像モジュール112にはまた、撮像アレイ上に投射される画像の合焦を最適化するための焦点調整機構を含めることができる。追加的には、撮像モジュールにはまた、軸上の明視野照明を視野に向けて投射するための、及び/又は、取得中にリーダ100を位置付けることに対する誘導をユーザに提供するために視野上に狙いを定める照射ビームを投射するための照明を含めることができる。
【0024】
撮像モジュール112から取得した画像を受け取って処理して、リーダ100に対して提示されるマーク又は記号の画像を最終的にはデコードするために、プロセッサユニット(図示せず)が撮像モジュール112に結合される。撮像器112は、プロセッサユニットからの設定命令を受け取って、当該技術分野において周知の手法において、露光期間、利得、オフセット、等のような取得パラメータを設定することができる。トリガ104がユーザによって作動させられた時には照明及び画像取得処理を開始するために、プロセッサユニットが該トリガ104に結合されている。
【0025】
図4は、リーダ100の、幾つかの構成要素の、構成を表す側面図である。組み込み型光学伝送器120は、明視野照明と暗視野照明とを、マーク又は記号410上に導く。照明ボード114は、組み込み型照明伝送器120の背後に配置されており、撮像モジュール112は、該組み込み型伝送器120と該照明ボード114との両方の背後に配置される。
【0026】
マーク又は記号を照らすために明視野照明が用いられる時には、視野上に投射されるその照明は、図4内において明視野照明の光線430として図示されているような、例えば法線(normal)から45度未満の、高角の入射角を有する。従って、リーダ100がマーク又は記号410から約7.62〜20.32センチ(約3〜8インチ)の範囲内に配置されている時には、明視野照明モード460が達成される。
【0027】
マーク又は記号を照らすために暗視野照明が用いられる時には、視野上に投射されるその照明は、図4内において暗視野照明の光線420として図示されているような、例えば法線から45度よりも大きな角度の、低角の入射角を有する。角度が付けられた先端部235の、角度が付けられた部分425によって生じさせられる内部反射に起因して、低角の暗視野照明420が、伝送器120から照らし出される。従って、リーダ100がマーク又は記号410から約0〜7.62センチ(約0〜3インチ)の範囲内に配置されている時には、暗視野照明モード450が達成される。
【0028】
図5a、5b、及び5cは、本発明による、リーダ100の代替の例示的な一実施形態を示す。図5a〜図5cを参照すると、リーダ100はグリップ部102と、画像取得及びデコード機能を開始するためにユーザの指によって作動させられることが可能なトリガ104とを有する。つなぎコード110は、リーダ100に対する電力を提供し、並びに、エンコードされた情報の、デコードされた文字列のための通信伝達経路を提供する。しかしながら、完全な携帯可能なフレキシビリティのためにバッテリ電力及び無線通信によってリーダ100が構成されることが可能であることも考えられる。図5a〜図5c内に示されている代替の例示的な実施形態において、組み込み型光学伝送器120が、リーダ100内において、部分的に示されている。図5a内に示されている前面図は、明視野伝送器220と窓240とを示す。暗視野伝送器230と、組み込み型伝送器120の代替の例示的な実施形態の追加的な説明とが、図6において示された断面図内と、以下の説明とにおいて示されている。
【0029】
図6は、本発明による、リーダ100の代替の例示的な実施形態の断面側面図を示す。ハウジング106が、撮像器112と照明ボード114の位置決めをサポートする。プロセッサモジュールと、関連付けられた機能的な電気構成要素とが、プロセッサボード115上において実装されている。グリップ部102と、トリガ104とが、ハウジング106、及びプロセッサボード115の構成要素と、機能的に協働している。組み込み型光学伝送器120と、特に暗視野伝送器230とが、この代替の例示的な実施形態において伸長されている。その結果、暗視野伝送器230は、暗視野照明のための光パイプとして動作する。明視野伝送器220と窓240とが、伝送器120の該光パイプ部分のベースにおいて示され、該光パイプ内において配置されている。
【0030】
図7は、本発明の代替の実施形態による、組み込み型光学伝送器120の分解図を示す。伝送器120は、射出成形されたプラスチック構成要素から製造されることが可能である。該構成要素は、単一の、組み込み型光学構成要素内へと、エポキシ溶着化されるか又はサーモソニックに溶接される。暗視野伝送器230が、構造フレーム210に取り付けられている。該構造フレーム210は、該構造フレーム210内に成型された明視野伝送器220を有する。窓240は、図示されるように前記構造フレームに取り付けられており、オプションであるが、該窓240は、構造フレーム210に組み込まれた構成要素として成形されることが可能である。
【0031】
図7内には、フレーム570に実装される撮像器112もまた示されている。ゴム製のブッシュ580が、組み立てられたリーダ内において振動及び機械的なショックの分離を提供するために、ハウジングからの突起部(図示せず)を受容することが可能な受け口(レセプタクル)585に挿入されている。
【0032】
その代替の実施形態に従って、フレーム570は、光学伝送器120の端部部材575を受容する。ネジ590を用いて、伝送器120を該フレーム570内に留めることができる。工業用マークリーダの動作を可能にするための位置にその記載されたアセンブリを機械的に留めるための様々な方法を使用することができることが、当業者であれば理解されるであろう。本明細書内において記載された伝送器120は、そのような取り付け方法を介して、その領域内においてリムーバブルとすることができることが、当業者であればまた理解されるであろう。
【0033】
図8は、斜め後方から見た、部分的に組み立てられた分解図における、リーダ100の代替の例示的な実施形態を示し、図9は、斜め前方から見た同じ実施形態を示す。図8及び図9は、プロセッサボードに対してフレーム570がいかに取り付けられているかを図示している。明視野伝送器220、暗視野伝送器230、及び窓240を図示するその製造された組み込まれた形状内において、光学伝送器120が示されている。図8及び図9は、伝送器120の端部部材575が、フレーム570内へと挿入される場合にいかに位置合わせされるかを例示している。暗視野照明器330のアレイと明視野照明器320とを有する照明ボード114が更に示されている。明視野照明器320と暗視野照明器330とは、前記ボード上に実装された場合のLED本体の前記ボード側上を照らす表面実装LEDである。その照明ボード114は、各LED位置における穴と共に製造されている。その結果、LEDに電力が供給された時には、その照明が、前記ボードを通して投射することとなる。配置内に伝送器120が挿入された時には、明視野照明器320が明視野伝送器220に位置合わせされ、暗視野照明器330のアレイが暗視野伝送器230に位置合わせされる。
【0034】
その例示的な実施形態による組み込み型光学伝送器120は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)か又はポリカーボネートによって成形されるか又は製造される。伝送器120の光学特性を、研磨された成形表面によって、及び/又は、伝送器120を研磨する後続の製造工程によって、得ることができる。
【0035】
その代替の実施形態の組み込み型光学伝送器120は、上記のように、明視野モードと暗視野モードとの両方における照明を生成することができる。図10は、その代替の例示的な実施形態による、暗視野伝送器230の断面図である。暗視野照明器330(図示せず)からの照明が伝送器に面端部630において入射する。その伝送器は、先細りにされた端部625を有する、光軸635の近くに伸長された光パイプ600である。前記リーダがマーク又は記号410から約0〜7.62センチ(約0〜3インチ)の範囲内に配置された時には、暗視野モードの照明450を投射するために、その先細りにされた端部625から暗視野照明の光線640が反射させられる。追加的には、その伸長された光パイプ設計の利点により、図11内に示されるように、明視野照明モード460においてリーダ100が配置された時には、暗視野伝送器230は、明視野照明に寄与することとなる。暗視野照明器330(図示せず)からの照明は、ある角度で面端部630においてその伝送器に入射することとなり、その結果、伸長された光パイプ600の全長にわたって内部反射が生じることとなる。高角の明視野照明の光線650として、先細りにされた端部625から、幾らかの照明が放射されることとなる。
【0036】
大部分の工業用マークリーダにおける、暗視野照明による固有の問題は、マーク又は記号410が視野内にあることを保証することが困難であることである。リーダが暗視野モード450の時に、リーダ本体によって、ユーザの視野からマーク又は記号が覆い隠される。従って、リーダに狙いをさだめることとリーダの位置合わせとが困難である。本発明の代替の一実施形態において、暗視野モードにおいて、ユーザによるマーク又は記号の直接的な観測を可能にする低プロファイルリーダが提供される。
【0037】
図12は、観測ポート500を有する第3の代替の一実施形態におけるリーダ100を示す。そのリーダ100は、上述のように、組み込み型照明伝送器120と照明ボード114とを有する。ユーザ510は、図12内において視界線550として図示されるように、観測ポート500を通してマーク又は記号410を直接的に見ることができる。反射される照明560が、第1のミラー520及び第2のミラー530によって反射させられることによって、撮像モジュール112内へと投射される。
【0038】
上記に本発明の様々な実施形態が詳細に説明されてきた。本発明の原理及び範囲を逸脱すること無く、それらの実施形態に対して広範囲の修正及び追加を行うことが可能であることが、明確に意図されている。例えば、組み込み型光学伝送器上における明視野伝送器の数、位置、及び相対的な配置は、例示的であり、多様なそのような伝送器を、本明細書内のハンドヘルド画像ベースデコード方法において明視野照明を実施するために用いることができる。照明を視野上に直接的に狙いをさだめて、リーダ100の動作中においてユーザに対して誘導を提供するための照準光学素子(aiming optics)のような更なる追加的な機能を、光学伝送器120に付加することができる。更にまた、センサ光学素子を、組み込み型伝送器120内へと組み込んで、リーダ100内のオートフォーカス機構と連携して使用される電磁気信号の伝達と受信とを可能させることができる。このように、改善されたか又は様々な構成要素を、本発明を教示することにおいて用いることができる。従って、本説明は、例示することを目的としてのみとらえれられることを意図しており、本発明の範囲を別様に限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による、照明伝送器の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の側面図である。
【図5a】本発明の代替の例示的な一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの前面図である。
【図5b】本発明の代替の例示的な一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの左側面図である。
【図5c】本発明の代替の例示的な一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの上面図である。
【図6】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の断面図である。
【図7】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図8】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図9】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図10】暗視野照明を示す、本発明の代替の例示的な一実施形態による工業用マークリーダの光パイプ構成要素の断面図である。
【図11】暗視野照明を示す、本発明の代替の例示的な一実施形態による工業用マークリーダの光パイプ構成要素の断面図である。
【図12】本発明の第3の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物上に直接的にマークされた記号を読み出すために用いられる記号リーダ(記号読み取り装置)の分野に関する。このタイプの記号リーダは、一般には、ダイレクト部品マークリーダ(direct part mark readers)として知られ、ハンドヘルド及び固定マウント画像ベース記号リーダの拡張である。ダイレクト部品マークリーダは、首尾一貫してデコードされることが可能な記号の画像を生成するためのユニークな画像形成システムを必要とする。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
大部分のダイレクト部品マーキング用途のために、2次元記号が使用される。何故ならば、そのような記号は、比較的コンパクトなサイズを維持しつつ、十分な多くの文字をエンコードすることができるからである。読み出し可能性(判読率)を改善するために、誤り訂正方式が、大抵の2次元記号の利用(symbology)において典型的には含まれる。該2次元記号は、材料の構成、部品用途、及び環境条件に依存して、様々な方法を用いて、部品上か又は構成要素上に直接的にマークされる。一般的な方法には、ドットピーニング(dot peening)、レーザ、及び電子化学エッチングが含まれる。
【0003】
部品上か又は構成要素上に直接的にマークされた記号は、ラベル上に印刷された記号と比較して、多くの場合、読み出すことが困難である。ドット・ピーニングされたか、又はエッチングされたマークの画像は、大抵の画像ベース記号リーダの照明又は画像形成システムを用いて、往々にして、非常に低いコントラストを示す。粘着性のラベル上に記号が印刷されており、且つ、ある部品又は構成要素か又はその部品包装に該ラベルが適用されている時には、典型的な画像ベース記号リーダは、十分な読み取り速度を提供することができる。とはいえ、業界の傾向は、ダイレクト部品マーキングの用途が、やはり増加してきていることを示唆している。
【0004】
画像ベースの記号リーダによって読み出され且つデコードされる記号の画像を取得する時には、記号又はマークの照明が主要な問題である。記号がラベル上に印刷されている場合か、又は平らな表面を有する部品上に直接的にマーキングされている時には、高角の「明視野(bright field)」照明が、頻繁に使用される照明のタイプである。明視野照明は、明るい背景において暗い目標物を生じさせる照明の種類の技術用語である。明視野照明下において、高角の照明が、ほぼ垂直にか、又は垂線から45度以下の角度で目標物に当る。このタイプの照明は、結果として、リーダに向かって戻るように反射する実質的な照明を生じる。
【0005】
部品又は構成要素の表面上に記号又はマークがエッチングされているか又はピーニングされており、尚且つ、その表面が粗いか又は不規則な時には、高角の明視野照明は適切でない場合がある。そのマークの特徴の不規則な表面は、背景面ほどに多くの光をリーダに戻すように散乱させ、結果として、その画像内に識別不可能な特徴を生じさせる。低角の「暗視野(dark field)」照明が、特定のダイレクト部品マーキング用途に適合可能となることが、明らかになってきている。
【0006】
暗視野照明下において、低角の照明が、目標物の表面から低い角度、すなわち垂線から45度と90度との間の角度で、該目標物に当る。リーダからの反射される暗視野照明は、該リーダ内へと照明の一部を戻すように反射させる目標物の表面上のマーク又は記号のランダムで不規則な特徴だけを有する。更に、明視野照明と暗視野照明との組み合わせが用いられた時には、特定の読み出しアプリケーションが、より成功することが可能な読み出し速度をもたらすことが可能となる。
【特許文献1】米国特許出願番号第10/911,989号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工業用記号リーダは、該リーダ内に組み込まれた光源からの明視野照明を提供するように典型的には設計される。ダイレクト部品マーク記号を読み出すように、これらリーダが構成される時には、リムーバブルな光パイプ及び他のアダプタの利用が、明視野照明を暗視野モードへと向け直すために用いられる。従って、ダイレクト部品マークを読み出すために使用される、当該技術分野において既知のハンドヘルドリーダは、明視野モードか又は暗視野モードのいずれかについて排他的に構成されている。
【0008】
従って、明視野モードと暗視野モードとの両方において可変で且つ制御可能な照明を提供する組み込まれた照明を有するダイレクト部品マークリーダの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な一実施形態は、明視野モードと暗視野モードとの両方について組み込まれた照明を有する工業用識別マークリーダを提供する。該リーダは、該リーダの前に置かれた目標物上のマークの画像を取り込む撮像モジュールを有するハウジングを有する。該ハウジング内において、照明モジュールは、該マークか又は該目標物を照らすための選択的に作動させられる照明のアレイを有する。前記ハウジングによって支持された組み込み型光学伝送器が、選択的に作動させられた照明と位置合わせされる、すなわち選択的に作動させられた照明と光学的に協働する状態となる。該組み込み型光学伝送器は、暗視野照明を伝達するための暗視野伝送器と、明視野照明を伝達するための明視野伝送器とを有する。
【0010】
組み込み型光学伝送器は、反射された照明のための、撮像モジュール内への経路を提供するための、及び、その素子から該撮像モジュール、照明器モジュール、及びリーダの他の内部構成要素への保護を提供するための、透過性の窓を有する。
【0011】
代替の例示的な一実施形態において、組み込み型光学伝送器は、暗視野伝送器のための光パイプを有する。該光パイプは、該光パイプ内において配置された明視野伝送器を有するベースを有する。その代替の例示的な実施形態は、保守及び修理のために視野(filed)の交換を可能にするための、及び/又は、更なる多様な照明特性のために代替の光パイプ設計の利用を可能にするための、リムーバブルな、リーダの構成要素とすることができる。
【0012】
第3の例示的な一実施形態のリーダは、視界ポート(viewing port)を有する。該視界ポートを介して、ユーザは、撮像器に対して可視である視野を見る(覗く)ことができる。
【実施例】
【0013】
本発明の以下の説明は、添付図面を参照する。
【0014】
発明の詳細な説明
図1は、1次元か又は2次元のバーコードか、又はデータマトリクス記号のようなマーク又は記号の画像を取得するタイプの、ハンドヘルド動作用に構成された、例示的な工業用マークリーダ100を示す。内部プロセッサ(図示せず)が、取得された画像の解析を実施して、エンコードされた情報の文字列を提供するために、そのマークか又は記号をデコードする。
【0015】
図1内に示されるリーダ100は、グリップ部102と、画像取得及びデコード機能を開始するためにユーザの指によって作動させられることが可能なトリガ104とを有する。ハウジング106は、(鎖線で示された)撮像器(イメージャ)112を備える。該撮像器は、プロセッサ(図示せず)に接続される。ステータス照明器108が、マークの取得画像のデコードの成功を示すためのような、リーダの状況の視覚的な指示を提供する。つなぎコード110は、リーダ100に対する電力を提供し、並びに、エンコードされた情報の、デコードされた文字列のための通信伝達経路を提供する。しかしながら、完全な携帯可能なフレキシビリティのためにバッテリ電力及び無線通信によってリーダ100が構成されることが可能であることも考えられる。
【0016】
リーダ100は、(鎖線で示された)照明板114からの光の放射による、マークの照明を、該マークの画像の取得中に提供する。本発明のリーダ100は、図2内において更に詳細に示されてるような、組み込み型光学伝送器120を備え、様々なタイプの照明を提供する。
【0017】
図2を参照すると、組み込み型光学伝送器120が、本発明の例示的な一実施形態に従って示されている。光学伝送器120は、ハウジング106のくぼんだ溝(recessed channel)内(図示せず)にはめ込むことによって構造上の支持を提供する構造フレーム210を有する成形されたプラスチック部品である。例示的なリーダ100のような光電子デバイスの様々な構成要素を組み立てるために用られることが可能な多くの組み立て技法を当業者であれば理解することができる。伝送器120はまた、ハウジング106内からの明視野照明を伝達する複数の明視野照明伝送器220を備える。明視野照明の角度及び配向を修正するため、レンズ機能を提供するために及び/又は拡散特性を持たせるために、明視野伝送器220を、成形するか又は製造することができる。製造中に、組み込み型伝送器120の前か又は後のいずれかにか、又は両側に、レンズ機能を提供する必要に応じて、明視野伝送器220の光学特性を適用することができる。
【0018】
光学伝送器120はまた、ハウジング106内からの低角の暗視野照明を伝達する暗視野照明伝送器230を備える。暗視野照明伝送器230は、(この実施形態において)角度が付けられた先端部(tip)235において末端をなす、光伝送材料の伸長されたバレルからなる。更に後述されるように、この先端部は、直接的にリーダ100の前面の領域内に低角の暗視野照明を投射する内部反射を生じさせるように設計される。上述のように、そのような暗視野照明は、典型的には、垂線から約45度を超える角度で提供される。
【0019】
伝送器120はまた、センサモジュール112に対する視野の光路内においてハウジング106内へと反射される照明のための伝達経路を提供する窓240を備える。組み込み型光学伝送器120の窓240はまた、ハウジング106内にある、リーダの幾つかの構成要素に対する、素子からの物理的な保護を提供する。追加的には、窓240は、(例えば、周囲照明の効果を低減するための)フィルタリングと、開口部のサイズを制限することによって目標物におけるテレセントリック視界(telecentric view)を提供することとを含む他の光学機能を提供することができる。
【0020】
図3は、組み込み型光学伝送器120、照明ボード114、及び撮像器モジュール112の分解斜視図を示す。照明ボード114は、各々が明視野伝送器220と位置合わせされた4つの明視野照明器320が示されている。取得中に明視野照明が望まれる場合には、明視野照明器320は、マークの画像の取得と並行して、その照明を制御するプロセッサ(図示せず)によって個別に作動させられることが可能な表面実装LEDとすることができる。
【0021】
照明ボード114は、概して暗視野伝送器230と位置合わせされた暗視野照明330のアレイが示されている。各々の暗視野照明器330は、その照明を制御するプロセッサ(図示せず)によって個別に作動させられることが可能な表面実装LEDとすることができ、取得中に暗視野照明が望まれる場合には、マークの画像の取得に並行して、様々なモードにおいて、暗視野照明を提供する。例えば、照明の様々なモードを、2004年8月5日にファイリングされた同時継続中の米国特許出願シリアル番号第10/911,989内において開示されているように、象限(四分区間:quadrants)において作動させられる暗視野照明器330のアレイによって提供することができる。該米国特許出願シリアル番号第10/911,989は、参照によって本明細書内に組み込まれる。照明の様々なモードの制御と、ある特定の取得に対する照明の同期とを、リーダ100内におけるプロセッサモジュール(図示せず)によって実行することができる。
【0022】
この例示的な実施形態の照明ボード114は、画像取得中にマークから撮像モジュール112内への反射された照明の伝達を可能にするために、窓240と撮像モジュール112とに位置合わせされた穴(ホール)340を有する。穴340のサイズと形状とが、撮像モジュール112に入って来る反射された照明を不明瞭にしないような大きさに十分に合わせて作られてることに留意されたい。
【0023】
撮像モジュール112は、この例示的な実施形態において、照明ボード112の背後に配置されており、反射された照明を受けて、マーク又は記号の画像を生成する。撮像モジュール112は、領域感知性(area sensitive)撮像アレイと撮像レンズとを有する。該撮像アレイは、電荷結合素子(CCD)か又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスか、或いは当該技術分野において既知の他の撮像センサとすることができる。撮像モジュール112にはまた、撮像アレイ上に投射される画像の合焦を最適化するための焦点調整機構を含めることができる。追加的には、撮像モジュールにはまた、軸上の明視野照明を視野に向けて投射するための、及び/又は、取得中にリーダ100を位置付けることに対する誘導をユーザに提供するために視野上に狙いを定める照射ビームを投射するための照明を含めることができる。
【0024】
撮像モジュール112から取得した画像を受け取って処理して、リーダ100に対して提示されるマーク又は記号の画像を最終的にはデコードするために、プロセッサユニット(図示せず)が撮像モジュール112に結合される。撮像器112は、プロセッサユニットからの設定命令を受け取って、当該技術分野において周知の手法において、露光期間、利得、オフセット、等のような取得パラメータを設定することができる。トリガ104がユーザによって作動させられた時には照明及び画像取得処理を開始するために、プロセッサユニットが該トリガ104に結合されている。
【0025】
図4は、リーダ100の、幾つかの構成要素の、構成を表す側面図である。組み込み型光学伝送器120は、明視野照明と暗視野照明とを、マーク又は記号410上に導く。照明ボード114は、組み込み型照明伝送器120の背後に配置されており、撮像モジュール112は、該組み込み型伝送器120と該照明ボード114との両方の背後に配置される。
【0026】
マーク又は記号を照らすために明視野照明が用いられる時には、視野上に投射されるその照明は、図4内において明視野照明の光線430として図示されているような、例えば法線(normal)から45度未満の、高角の入射角を有する。従って、リーダ100がマーク又は記号410から約7.62〜20.32センチ(約3〜8インチ)の範囲内に配置されている時には、明視野照明モード460が達成される。
【0027】
マーク又は記号を照らすために暗視野照明が用いられる時には、視野上に投射されるその照明は、図4内において暗視野照明の光線420として図示されているような、例えば法線から45度よりも大きな角度の、低角の入射角を有する。角度が付けられた先端部235の、角度が付けられた部分425によって生じさせられる内部反射に起因して、低角の暗視野照明420が、伝送器120から照らし出される。従って、リーダ100がマーク又は記号410から約0〜7.62センチ(約0〜3インチ)の範囲内に配置されている時には、暗視野照明モード450が達成される。
【0028】
図5a、5b、及び5cは、本発明による、リーダ100の代替の例示的な一実施形態を示す。図5a〜図5cを参照すると、リーダ100はグリップ部102と、画像取得及びデコード機能を開始するためにユーザの指によって作動させられることが可能なトリガ104とを有する。つなぎコード110は、リーダ100に対する電力を提供し、並びに、エンコードされた情報の、デコードされた文字列のための通信伝達経路を提供する。しかしながら、完全な携帯可能なフレキシビリティのためにバッテリ電力及び無線通信によってリーダ100が構成されることが可能であることも考えられる。図5a〜図5c内に示されている代替の例示的な実施形態において、組み込み型光学伝送器120が、リーダ100内において、部分的に示されている。図5a内に示されている前面図は、明視野伝送器220と窓240とを示す。暗視野伝送器230と、組み込み型伝送器120の代替の例示的な実施形態の追加的な説明とが、図6において示された断面図内と、以下の説明とにおいて示されている。
【0029】
図6は、本発明による、リーダ100の代替の例示的な実施形態の断面側面図を示す。ハウジング106が、撮像器112と照明ボード114の位置決めをサポートする。プロセッサモジュールと、関連付けられた機能的な電気構成要素とが、プロセッサボード115上において実装されている。グリップ部102と、トリガ104とが、ハウジング106、及びプロセッサボード115の構成要素と、機能的に協働している。組み込み型光学伝送器120と、特に暗視野伝送器230とが、この代替の例示的な実施形態において伸長されている。その結果、暗視野伝送器230は、暗視野照明のための光パイプとして動作する。明視野伝送器220と窓240とが、伝送器120の該光パイプ部分のベースにおいて示され、該光パイプ内において配置されている。
【0030】
図7は、本発明の代替の実施形態による、組み込み型光学伝送器120の分解図を示す。伝送器120は、射出成形されたプラスチック構成要素から製造されることが可能である。該構成要素は、単一の、組み込み型光学構成要素内へと、エポキシ溶着化されるか又はサーモソニックに溶接される。暗視野伝送器230が、構造フレーム210に取り付けられている。該構造フレーム210は、該構造フレーム210内に成型された明視野伝送器220を有する。窓240は、図示されるように前記構造フレームに取り付けられており、オプションであるが、該窓240は、構造フレーム210に組み込まれた構成要素として成形されることが可能である。
【0031】
図7内には、フレーム570に実装される撮像器112もまた示されている。ゴム製のブッシュ580が、組み立てられたリーダ内において振動及び機械的なショックの分離を提供するために、ハウジングからの突起部(図示せず)を受容することが可能な受け口(レセプタクル)585に挿入されている。
【0032】
その代替の実施形態に従って、フレーム570は、光学伝送器120の端部部材575を受容する。ネジ590を用いて、伝送器120を該フレーム570内に留めることができる。工業用マークリーダの動作を可能にするための位置にその記載されたアセンブリを機械的に留めるための様々な方法を使用することができることが、当業者であれば理解されるであろう。本明細書内において記載された伝送器120は、そのような取り付け方法を介して、その領域内においてリムーバブルとすることができることが、当業者であればまた理解されるであろう。
【0033】
図8は、斜め後方から見た、部分的に組み立てられた分解図における、リーダ100の代替の例示的な実施形態を示し、図9は、斜め前方から見た同じ実施形態を示す。図8及び図9は、プロセッサボードに対してフレーム570がいかに取り付けられているかを図示している。明視野伝送器220、暗視野伝送器230、及び窓240を図示するその製造された組み込まれた形状内において、光学伝送器120が示されている。図8及び図9は、伝送器120の端部部材575が、フレーム570内へと挿入される場合にいかに位置合わせされるかを例示している。暗視野照明器330のアレイと明視野照明器320とを有する照明ボード114が更に示されている。明視野照明器320と暗視野照明器330とは、前記ボード上に実装された場合のLED本体の前記ボード側上を照らす表面実装LEDである。その照明ボード114は、各LED位置における穴と共に製造されている。その結果、LEDに電力が供給された時には、その照明が、前記ボードを通して投射することとなる。配置内に伝送器120が挿入された時には、明視野照明器320が明視野伝送器220に位置合わせされ、暗視野照明器330のアレイが暗視野伝送器230に位置合わせされる。
【0034】
その例示的な実施形態による組み込み型光学伝送器120は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)か又はポリカーボネートによって成形されるか又は製造される。伝送器120の光学特性を、研磨された成形表面によって、及び/又は、伝送器120を研磨する後続の製造工程によって、得ることができる。
【0035】
その代替の実施形態の組み込み型光学伝送器120は、上記のように、明視野モードと暗視野モードとの両方における照明を生成することができる。図10は、その代替の例示的な実施形態による、暗視野伝送器230の断面図である。暗視野照明器330(図示せず)からの照明が伝送器に面端部630において入射する。その伝送器は、先細りにされた端部625を有する、光軸635の近くに伸長された光パイプ600である。前記リーダがマーク又は記号410から約0〜7.62センチ(約0〜3インチ)の範囲内に配置された時には、暗視野モードの照明450を投射するために、その先細りにされた端部625から暗視野照明の光線640が反射させられる。追加的には、その伸長された光パイプ設計の利点により、図11内に示されるように、明視野照明モード460においてリーダ100が配置された時には、暗視野伝送器230は、明視野照明に寄与することとなる。暗視野照明器330(図示せず)からの照明は、ある角度で面端部630においてその伝送器に入射することとなり、その結果、伸長された光パイプ600の全長にわたって内部反射が生じることとなる。高角の明視野照明の光線650として、先細りにされた端部625から、幾らかの照明が放射されることとなる。
【0036】
大部分の工業用マークリーダにおける、暗視野照明による固有の問題は、マーク又は記号410が視野内にあることを保証することが困難であることである。リーダが暗視野モード450の時に、リーダ本体によって、ユーザの視野からマーク又は記号が覆い隠される。従って、リーダに狙いをさだめることとリーダの位置合わせとが困難である。本発明の代替の一実施形態において、暗視野モードにおいて、ユーザによるマーク又は記号の直接的な観測を可能にする低プロファイルリーダが提供される。
【0037】
図12は、観測ポート500を有する第3の代替の一実施形態におけるリーダ100を示す。そのリーダ100は、上述のように、組み込み型照明伝送器120と照明ボード114とを有する。ユーザ510は、図12内において視界線550として図示されるように、観測ポート500を通してマーク又は記号410を直接的に見ることができる。反射される照明560が、第1のミラー520及び第2のミラー530によって反射させられることによって、撮像モジュール112内へと投射される。
【0038】
上記に本発明の様々な実施形態が詳細に説明されてきた。本発明の原理及び範囲を逸脱すること無く、それらの実施形態に対して広範囲の修正及び追加を行うことが可能であることが、明確に意図されている。例えば、組み込み型光学伝送器上における明視野伝送器の数、位置、及び相対的な配置は、例示的であり、多様なそのような伝送器を、本明細書内のハンドヘルド画像ベースデコード方法において明視野照明を実施するために用いることができる。照明を視野上に直接的に狙いをさだめて、リーダ100の動作中においてユーザに対して誘導を提供するための照準光学素子(aiming optics)のような更なる追加的な機能を、光学伝送器120に付加することができる。更にまた、センサ光学素子を、組み込み型伝送器120内へと組み込んで、リーダ100内のオートフォーカス機構と連携して使用される電磁気信号の伝達と受信とを可能させることができる。このように、改善されたか又は様々な構成要素を、本発明を教示することにおいて用いることができる。従って、本説明は、例示することを目的としてのみとらえれられることを意図しており、本発明の範囲を別様に限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による、照明伝送器の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の側面図である。
【図5a】本発明の代替の例示的な一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの前面図である。
【図5b】本発明の代替の例示的な一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの左側面図である。
【図5c】本発明の代替の例示的な一実施形態を有するハンドヘルド工業用マークリーダの上面図である。
【図6】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の断面図である。
【図7】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図8】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図9】本発明の代替の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の分解斜視図である。
【図10】暗視野照明を示す、本発明の代替の例示的な一実施形態による工業用マークリーダの光パイプ構成要素の断面図である。
【図11】暗視野照明を示す、本発明の代替の例示的な一実施形態による工業用マークリーダの光パイプ構成要素の断面図である。
【図12】本発明の第3の例示的な一実施形態による、工業用マークリーダの構成要素の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用識別マークリーダであって、
ハウジングと、
前記リーダの前に置かれた対象物上のマークの画像を取り込むために、前記ハウジング内において配置された撮像モジュールと、
複数の選択的に作動させられる照明器を含む照明器モジュールであって、前記ハウジング内において実装された、照明器モジュールと、
前記ハウジング内において実装された、組み込み型光学伝送器であって、該組み込み型光学伝送器は、暗視野照明伝送器であって、前記複数の選択的に作動させられる照明器のうちの少なくとも1つと光学的に協働して、前記対象物上に暗視野照明を投射する、暗視野照明伝送器と、明視野照明伝送器であって、前記複数の選択的に作動させられる照明器のうちの少なくとも1つと光学的に協働して、前記対象物上に明視野照明を投射する、明視野照明伝送器とを、有することからなる、組み込み型光学伝送器
とを備える、工業用識別マークリーダ。
【請求項2】
前記組み込み型光学伝送器が、リムーバブルな構成要素である、請求項1に記載の工業用識別マークリーダ。
【請求項3】
前記暗視野照明伝送器が、光パイプである、請求項1に記載の工業用識別マークリーダ。
【請求項4】
前記明視野照明伝送器が、前記光パイプ内において配置されている、請求項3に記載の工業用識別マークリーダ。
【請求項5】
ダイレクト部品マークリーダ内において使用するためのプラスチック成形された光学伝送器であって、
構造フレームと、
前記フレーム内に組み込まれた暗視野照明伝送器と、
前記フレーム内に組み込まれ且つ前記暗視野照明伝送器の近傍にある、少なくとも1つの明視野照明伝送器
とを備える、光学伝送器。
【請求項6】
前記構造フレームと、暗視野照明伝送器と、少なくとも1つの明視野伝送器とが、射出成形されたクリアプラスチック材料から構成される、請求項5に記載の光学伝送器。
【請求項7】
前記射出成形されたクリアプラスチック材料が、ポリメチルメタクリレートである、請求項6に記載の光学伝送器。
【請求項8】
窓を更に備える、請求項5に記載の光学伝送器。
【請求項9】
前記窓が、光学フィルタを含む、請求項8に記載の光学伝送器。
【請求項10】
ハウジングと、
ある視野を有する撮像モジュールであって、該視野内に置かれた対象物上のマークの画像を取り込むための、前記ハウジング内において実装された、撮像モジュールと、
複数の選択的に作動させられる照明器を含む照明器モジュールであって、前記ハウジング内において実装された、照明器モジュールと、
前記照明器モジュール内の前記複数の選択的に作動させられる照明器のうちの少なくとも1つと光学的に協働して、前記対象物上に暗視野照明を投射する、暗視野照明伝送器であって、前記ハウジング内において実装された、暗視野照明伝送器と、
前記視野の観察を可能にするための前記ハウジングを通した視界ポート
とを備える、ハンドヘルドダイレクト部品マークリーダ。
【請求項1】
工業用識別マークリーダであって、
ハウジングと、
前記リーダの前に置かれた対象物上のマークの画像を取り込むために、前記ハウジング内において配置された撮像モジュールと、
複数の選択的に作動させられる照明器を含む照明器モジュールであって、前記ハウジング内において実装された、照明器モジュールと、
前記ハウジング内において実装された、組み込み型光学伝送器であって、該組み込み型光学伝送器は、暗視野照明伝送器であって、前記複数の選択的に作動させられる照明器のうちの少なくとも1つと光学的に協働して、前記対象物上に暗視野照明を投射する、暗視野照明伝送器と、明視野照明伝送器であって、前記複数の選択的に作動させられる照明器のうちの少なくとも1つと光学的に協働して、前記対象物上に明視野照明を投射する、明視野照明伝送器とを、有することからなる、組み込み型光学伝送器
とを備える、工業用識別マークリーダ。
【請求項2】
前記組み込み型光学伝送器が、リムーバブルな構成要素である、請求項1に記載の工業用識別マークリーダ。
【請求項3】
前記暗視野照明伝送器が、光パイプである、請求項1に記載の工業用識別マークリーダ。
【請求項4】
前記明視野照明伝送器が、前記光パイプ内において配置されている、請求項3に記載の工業用識別マークリーダ。
【請求項5】
ダイレクト部品マークリーダ内において使用するためのプラスチック成形された光学伝送器であって、
構造フレームと、
前記フレーム内に組み込まれた暗視野照明伝送器と、
前記フレーム内に組み込まれ且つ前記暗視野照明伝送器の近傍にある、少なくとも1つの明視野照明伝送器
とを備える、光学伝送器。
【請求項6】
前記構造フレームと、暗視野照明伝送器と、少なくとも1つの明視野伝送器とが、射出成形されたクリアプラスチック材料から構成される、請求項5に記載の光学伝送器。
【請求項7】
前記射出成形されたクリアプラスチック材料が、ポリメチルメタクリレートである、請求項6に記載の光学伝送器。
【請求項8】
窓を更に備える、請求項5に記載の光学伝送器。
【請求項9】
前記窓が、光学フィルタを含む、請求項8に記載の光学伝送器。
【請求項10】
ハウジングと、
ある視野を有する撮像モジュールであって、該視野内に置かれた対象物上のマークの画像を取り込むための、前記ハウジング内において実装された、撮像モジュールと、
複数の選択的に作動させられる照明器を含む照明器モジュールであって、前記ハウジング内において実装された、照明器モジュールと、
前記照明器モジュール内の前記複数の選択的に作動させられる照明器のうちの少なくとも1つと光学的に協働して、前記対象物上に暗視野照明を投射する、暗視野照明伝送器であって、前記ハウジング内において実装された、暗視野照明伝送器と、
前記視野の観察を可能にするための前記ハウジングを通した視界ポート
とを備える、ハンドヘルドダイレクト部品マークリーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−524746(P2008−524746A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548265(P2007−548265)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/044466
【国際公開番号】WO2006/068848
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500576452)コグネックス・テクノロジー・アンド・インベストメント・コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/044466
【国際公開番号】WO2006/068848
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500576452)コグネックス・テクノロジー・アンド・インベストメント・コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】
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