説明

ダウンライト

【課題】リフレクタとコーンの好適な組み合わせにより光を制御してランプからの光を有効に利用することでダウンライトを小型化する。
【解決手段】光源12,リフレクタ14,及び前記リフレクタと同軸に配置される略円筒状のコーンを備え,前記コーンを,内周面を反射面としたコーンリフレクタ20として形成し,リフレクタの内周面を回転楕円面によって形成する。リフレクタの第1焦点F1に光源の発光点12aを配置し,第2焦点F2を,コーンリフレクタの中心線Cを通りコーンリフレクタの開口縁21とリフレクタの開口部内周縁14eを結ぶ傾斜角θの基準線L2とコーンリフレクタの中心線Cとの交点Zと重なる位置,又は前記交点Zよりも上方に配置し,前記コーンリフレクタの内周面を,前記光源の発光点12aからの入射光を反射して前記所定の角度θよりも大きな傾斜角の反射光を発生させる放物線の一部を回転させて得た回転面形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダウンライトに関し,より詳細には,光源と,この光源の光を下方に向けて反射する碗形状のリフレクタと,前記リフレクタの開口部下方に配置される略円筒状のコーンを備えたダウンライトにおいて,性能を低下させることなく小型化を可能と成すダウンライトの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なダウンライトの構成は,一例として図7に示すように下向きに開放したカップ状のカバー111内に,同様に下向きに開放するカップ状のリフレクタ114を収容し,このリフレクタ114内に光源であるランプ112を配置することで,ランプ112が発した光をリフレクタ114によって下方に反射させて光を照射することができるように構成されており,天井板150に形成した開口151内に前記カバー111を挿入して,このカバー111の開放側端縁に形成されたフランジ状の枠体132を開口151の周縁に当接させた状態で取り付けることで,このようにダウンライトを天井等に埋め込んだ状態で取り付けることができるように構成されている(特許文献1の図1)。
【0003】
ここで,このようなダウンライトでは,光源であるランプ112の光やリフレクタ114からの反射光が直接視野に入ると,この光は不快な眩しさとして感じられることになる。そこで,ダウンライトの下端縁によって遮られた,光の照射範囲外となる部分(図4中の斜線部分)が成す角度θ’(以下,この角度を「カットオフアングル」という。)によって,ダウンライトの遮光特性を表すことが行われている。
【0004】
ここで,図7を参照して説明したダウンライトにあっては,このカットオフアングルθ’は,カバー111の端縁と光源の発光点とを結ぶ線の傾斜によって特定され,リフレクタ114の形状やサイズ,カバー111やリフレクタ114内における光源112の配置によって決まるため,これを変更しようとする場合には,ダウンライト全体の設計を見直す必要がある。
【0005】
そこで,図8に示すように光源であるランプ112やリフレクタ114をカバー111内に収容して形成したダウンライト本体110とは別に,リフレクタ114の開口部114a下方に取り付けられる円筒状のコーン120を設け,取り付けるコーン120の長さにより前述のカットオフアングルθ’を変更することも提案されており,例えばコーン120の内周につや消しの黒色塗料を塗布する等して遮光性を持たせ,コーン120の中心線C’と交叉し,かつ,コーン120の下端開口縁121とリフレクタ114の開口部内周縁114eとを結ぶ線L2’とコーン120の下端縁121を通る水平線L1’との成す角度θ’の範囲に,光が照射されないように構成したダウンライトも提案されている。
【0006】
更に,このようなコーンを設けたダウンライトとして,カップ状の反射体や,光源,光源を取り付けるためのソケットをカバー内に収容して照明器具本体を一体的なユニットとして形成し,このカバーの開口縁にアダプタを介して円筒状のコーンを着脱可能に取り付けることで,長さの異なるコーンに付け替えることを容易とすることで前述のカットオフアングルθ’を可変としたダウンライトも提案されている(特許文献2)。
【0007】
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】特開2003− 45205号公報
【特許文献2】特開2008− 34185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように構成されたダウンライトは,天井板に形成され開口内に挿入されて天井に埋め込まれた状態で取り付けられるものであり,ダウンライトが大型化すればする程,天井に形成する開口も大型化すると共に,天井に設置されたダウンライトの存在が目立つために室内側からの見栄えが悪くなる。
【0009】
そのため,ダウンライトの存在を目立ち難いものとするために,このようなダウンライトの小型化,特にダウンライトの外形を小型化して,天井に形成する開口を小型化できるようにすることが望まれている。
【0010】
しかし,ダウンライトの外形を小さくすれば,前述したリフレクタやコーンの内径も必然的に狭まることとなり,また,リフレクタ内に形成される光源の収容空間も狭まることになる。
【0011】
その結果,ダウンライトを小型化しようとすれば,光源であるランプ等についても小型,低ワット数のものを使用することが必要となり,十分な明るさを確保することが難しくなる。
【0012】
特に,カットオフアングルθ’の調整を前述のコーンによって行う場合には,コーンの内周面を黒色に塗装する等して遮光性を持たせたコーンバッフルが使用されるために,光源からの光やリフレクタで反射された光のうちコーンバッフルに入射した光は照明として有効に利用されず,この点においても明るさの低下が生じる原因となる。
【0013】
一方,小型化により狭まったダウンライト本体内の空間に,大型のランプを光源として収容しようとすれば,ランプとリフレクタ間の間隔が狭まる結果,放熱性が低下して過加熱によりランプが破裂,破損するおそれがある。
【0014】
また,前述のようにランプとリフレクタ間に十分な間隔が確保できないために,リフレクタによって反射された光がランプに遮られる等して明るさが低下し,その結果,必要な明るさが確保できなくなる。
【0015】
そこで,このようなランプとリフレクタとの間隔が狭まることにより生じる弊害を是正するために,光源であるランプがリフレクタから離れるようにその位置を下方へ移動させることも考えられる。
【0016】
しかし,光源であるランプを下方に移動させると,ランプが室内側に近付くこととなり,前述したカットオフアングルθ’が狭まってダウンライトの遮光性が低下する。これを防止するためにコーンの長さを延長すれば,ダウンライト全体が大型化すると共に,コーンの延長分,コーンによって遮られ範囲が増えるために明るさが低下する。
【0017】
なお,このようにコーンによって光を遮ることによる明るさの損失を低減するために,コーンの内周面を鏡面にしたり,白色に塗装する等して,コーン内周面に入射した光についても下方に反射させてこれを照明に利用することも考えられる。
【0018】
しかし,単純にコーンの内周面を鏡面等としただけでは,コーンによって反射された光の拡散範囲を制御できず,従って,前述のカットオフアングルθ’が定まらなくなる。
【0019】
そこで,本発明は上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,光源の位置を下方,従って室内側に近付けるように移動させることなく,リフレクタによる光の反射と,コーンによる光の反射とを組み合わせて光の照射範囲を制御することにより,ランプからの光に損失を生じさせることなく有効に利用することで,ダウンライトを小型化した場合であっても所望の遮光性と明るさを確保することができるダウンライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために,本発明のダウンライト1は,光源12と,前記光源12の光を下方に向けて反射する碗形状のリフレクタ14,及び前記リフレクタ14の開口部14a下方において前記リフレクタ14と同軸に配置される略円筒状のコーンを備えたダウンライトにおいて,
前記コーンを,内周面を反射面としたコーンリフレクタ20として形成すると共に,
前記リフレクタ14の内周面を楕円の長軸を回転中心として回転させて得られる回転楕円面によって形成し,該リフレクタ14の第1焦点F1を前記リフレクタ14の内周面によって囲まれた空間内に配置すると共に,第2焦点F2を前記コーンリフレクタ20に配置し,
前記コーンリフレクタ20の中心線Cと交叉し,かつ,前記コーンリフレクタ20の下端開口縁21と前記リフレクタ14の開口部内周縁14eとを結ぶ基準線L2を想定し,該基準線L2の傾斜角が所定の角度θとなるよう前記リフレクタ14及びコーンリフレクタ20を形成すると共に,前記リフレクタ14の前記第2焦点F2を前記基準線L2と前記コーンリフレクタ20の中心線Cとの交点と重なる位置,又は前記交点に対し下方に配置し,
前記リフレクタ14の第1焦点F1に前記光源12の発光点12aを配置し,かつ,前記コーンリフレクタ20の内周面を,前記光源12の発光点12aからの入射光を反射して前記角度θよりも大きな傾斜角の反射光を発生させる放物線の一部を回転させて得た回転面形状としたことを特徴とする(請求項1)。
【0021】
上記構成のダウンライト1において,前記リフレクタ14の開口部14a側における内周面の反射を他の部分に比較してより拡散させるものとすることができ(請求項2),この構成として,前記リフレクタ14の開口部14a側における内周面をフロスト加工しても良い(請求項3)。
【0022】
また,前記リフレクタ14の内周面にはディンプル16を形成するものとしても良く(請求項4),前記リフレクタ14の前記開口部14a側における所定範囲Dに形成するディンプル16bの径を他の部分に形成するディンプル16aの径に比較して小さく形成するものとしても良い(請求項5)。
【0023】
また,前記リフレクタ14の前記開口部14a側に形成するディンプル16bについては,これをランダムに隙間無く形成することができる(請求項6)。
【発明の効果】
【0024】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のダウンライト1によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0025】
リフレクタ14及びコーンリフレクタ20を前述した構造として形成すると共に,光源12,リフレクタ14及びコーンリフレクタ20を,前述した関係となるように配置することで,コーンリフレクタ20の内周面によって反射された光についてもコーンリフレクタ20の開口部下端を通る中心線Cとの直交線L1と,基準線L2間に形成された角度θの範囲(図2中の斜線部分)の範囲に照射されることなく下方に向けて照射することができた。
【0026】
その結果,光源12からの直接光やリフレクタ14によって反射された光源からの光のみならず,コーンリフレクタ20の内周面に入射した光についても照明に有効に利用することができた。
【0027】
このように,コーンリフレクタ20によって反射された光をも照明に有効に利用できるものとしたことから,遮光性を犠牲にすることなく,従来のものに比較してダウンライトを小型化した場合であっても同等以上の明るさを得ることができ,天井板50に形成する開口51を小さくすることができ,室内側より見た際の見栄えが良いダウンライトを提供することができた。
【0028】
また,リフレクタ14の開口部14a側における内周面の反射を拡散させることにより,及び/又はリフレクタ14の内周面にディンプル16を形成した構成にあっては,照射範囲内において光を均等に放散させることにより,スカラップ等のない美しい光を照射することのできるダウンライト1を提供することができた。
【0029】
このような反射の拡散は,リフレクタ14の開口側をフロスト加工することにより得ることができ,このフロスト加工は前記ディンプル16の形成と共に行うことによりより一層光の放散を均一化させることができた。
【0030】
また,リフレクタ14の内面に形成したディンプルを,リフレクタ14の開口部14a側において他の部分に比較して径を小さく形成することによっても,同様に光を均等に放散させることができた。
【0031】
この開口部14a側に形成した小径のディンプル16bについては,これを例えばポンチ等を使用して手打ちによりランダムに隙間無く形成することで,より均一な光の放散を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のダウンライトの取付状態を示す概略断面図。
【図2】リフレクタ,コーンリフレクタ,及び光源の位置関係を示した説明図。
【図3】コーンリフレクタの内周面に形成される回転面形状の説明図であり,この回転面形状が,(A)の放物線の対称軸を,(B)に示すように角度θで傾斜させ,(C)に示すように回転軸Xを中心に回転させることで得られることを説明したもの。
【図4】光源からの光のうちリフレクタで反射された光の照射範囲を示す説明図。
【図5】光源からの光のうちリフレクタ及びコーンリフレクタにより反射されない光の照射範囲を示す説明図。
【図6】光源からの光のうちコーンリフレクタで反射された光の照射範囲を示す説明図。
【図7】従来のダウンライトの要部断面図。
【図8】従来のダウンライト(コーンを備えたもの)の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に,添付図面を参照しながら本発明のダウンライトについて説明する。
【0034】
図1において符号1は本発明のダウンライトであり,このダウンライト1は,天井板50に形成された開口51内にリング状の取付具30を介して嵌合,固定されている。
【0035】
この取付具30は,略円筒状に形成された円筒部31と,この円筒部31の一端開口縁より外周方向に突出したフランジ部32を備えており,この取付具30の円筒部31を天井板に形成された開口51内に,室内側よりフランジ部32が天井板50に当たる迄挿入すると,板バネ等によって形成された支持脚33が天井板50の裏側において開口51の周縁に係止され,この支持脚33により,又はこの支持脚33に加え,前記取付具30を天井板50にネジ止め等することにより,天井板50に形成された開口51内に固定されている。
【0036】
この取付具30の円筒部31は,前述のダウンライト1を挿入可能な内径に形成されていると共に,室内側よりダウンライト1を挿入すると,このダウンライト1に設けた後述のコーンリフレクタ20の外周を係止して円筒部31内にダウンライト1を支持することができるよう構成されている。
【0037】
前述の取付具30によって天井板50に形成した開口51内に取り付けられる本発明のダウンライト1は,ダウンライト本体10と,このダウンライト本体10の下端に取り付けられたコーンリフレクタ20によって構成されている。
【0038】
このダウンライト本体10は,ダウンライト本体10の外殻を成すカバー11内に,光源であるランプ12が取り付けられたソケット13と,前記光源12より照射された光を反射するリフレクタ14を収容して形成したものであり,前記カバー10の下端側に設けた開口において前記リフレクタの開口部14aを開口させて収容すると共に,該カバー11の上端側よりランプ12が取り付けられたソケット13を挿入することで,リフレクタ14の後端に形成された挿入穴14bよりランプ12がリフレクタ14内に挿入されるように構成されている。
【0039】
このリフレクタ14は,楕円の長軸を回転中心として回転させた際に得られる回転面形状によってその内周面が形成された楕円リフレクタであり,この内周面を反射面に加工することで,ランプ12からの光を室内側に向けて反射することができるように構成されている。
【0040】
このリフレクタ14の内周面は,例えばクロムメッキ等によって鏡面に形成されていても良く,また,アルミの素地などによって前記鏡面に比較して反射を拡散する表面として形成されていても良く,更には内周面の全体にディンプル16を形成する等しても良い。
【0041】
好ましくは,このリフレクタ14の内面であって,前記開口部14a側から所定の深さの範囲D(図4参照)の部分の反射を,他の部分に比較してより拡散させるものとして,光の照射範囲内において明るさに偏りが生じることがないように光を均等に放散し,これにより例えば床面等に投影された照射光の輪郭内において光の濃淡が生じたり,又は輪郭の外周側に生じる不必要な明るさの発生を防止することでスカラップの発生を防止し,輪郭内に照射された光が輪郭内のいずれの部分においても略均一な明るさとなる美しい光の照射範囲を作り出すことができるようにしている。
【0042】
このような反射の拡散は,例えば前述した範囲Dの内面にフロスト加工を施す等して,鏡面等に形成された他の部分に対して反射を拡散させるものとしても良く,また,内周面の全体に同一径のディンプルを形成すると共に,前述の部分Dに対し,ディンプルの形成に加えてフロスト加工を行うものとしても良い。
【0043】
更に,リフレクタ14の内周面にディンプル16を形成する場合,図4に示すように前記リフレクタ14の内周面全体にディンプルを形成し,このディンプルの径及び深さを,開口部14a側における所定の範囲Dにおいて他の部分に形成したディンプル16aに比較して径の小さなディンプル16bを形成するものとしても良い。
【0044】
このようなディンプル16(16a,16b)の形成は,例えばポンチ打ち等によって形成することができ,例えば小径側のディンプル16bについては,これをポンチ等を使用した手打ちによって,ランダムに好ましくは隙間無く形成することができる。
【0045】
一例として図示の実施形態にあっては,大径側のディンプル16aの形状をR8mm,φ3mmに形成し,小径側のディンプル16bの形状をR8mm,φ1.5mmに形成した。
【0046】
この反射の拡散をもたらす反射面を形成し,及び/又は小径のディンプル16bを形成する範囲Dは,使用する光源12やリフレクタ14のサイズ等,個々のダウンライトの特性に応じて変更可能であるが,図示の実施形態にあっては,リフレクタ14の深さ(開口部14aと挿入穴14bの下端間の距離)の1/2に対して僅かに大きな範囲で形成している。
【0047】
以上のように構成されたダウンライト本体10の下方には,略円筒状に形成されたコーンリフレクタ20が取り付けられている。
【0048】
このコーンリフレクタ20は,上端開口部が,前記リフレクタ14の開口部14aと略同径乃至は僅かに小さな内径を有する全体として略円筒状に形成されており,コーンリフレクタ20の下端開口縁21を通り,コーンリフレクタ20の中心線Cと交叉してリフレクタ14の開口縁14eに至る基準線L2が,所定の角度θとなるようにその形状及び配置が特定されている。
【0049】
このコーンリフレクタ20の内面は,リフレクタ14からの反射光が入射された際,これを反射して,図2中に斜線部分で示したカットオフアングルθの範囲を除くダウンライト1の下方(基準線L2−L2間の範囲)内で拡散することができるよう,鏡面や,白色塗料の塗布面等により比較的反射率の高い状態に加工されていると共に,その内周面形状を,放物線の一部分を回転させて得た回転面によって形成されている。
【0050】
この回転面を構成する放物線の一部分は,前述したリフレクタ14の第1焦点F1に配置された光源12の発光点12aからの光の入射を受けた際に,放物線の一部分におけるいずれの位置に光が入射された場合であっても,これを反射して前述の角度θ以上の傾斜角の反射光を生成することができるものとして構成されている。
【0051】
この回転面形状を判り易く説明するために,図3を参照しながらその一例を説明するが,本発明のダウンライト1に設けられるコーンリフレクタ20の内周面形状と成る回転面形状は以下に説明する形状に限定されず,光源からの光が,放物面のいずれの位置に入射された場合であっても,これを反射して傾斜角θ以上の傾斜角の反射光を生成できるものであれば,図示の例に限定されない。
【0052】
図示の例では,先ず,形成するコーンリフレクタ20のサイズ等に対応した所定の放物線が作成される〔図3(A)〕。
【0053】
次いでこの放物線の対称軸を,前述した所定の角度θとして設定すべき角度で傾斜させた状態を想定する〔図3(B)〕。
【0054】
そして,このように対称軸を傾斜させた放物線のうち,光源12の発光点12aが配置されるリフレクタ14の第1焦点F1からの光の入射を受けた際,傾斜角θ以上の傾斜角を持つ反射光を発生し得る範囲〔図3(C)において,放物線の焦点Fp及びリフレクタ14の第1焦点F1を通る直線と,放物線との交点に対し,図中下側の範囲〕のうちの一部〔例えば図3(C)中の点a−b間〕を,傾斜させた前記対称軸に対して90−θの角度で交わる回転中心軸X(コーンリフレクタ20の中心軸Cと同じ)を中心に回転させて得られる回転面形状〔図3(C)〕によって,コーンリフレクタ20の内周面を形成する。
【0055】
以上のように構成されたダウンライト本体10及びコーンリフレクタ20を備えた本発明のダウンライト1では,図2に示すように光源であるランプ12は,その発光点12aが前記リフレクタ14内に存在する第1焦点F1に配置されると共に,リフレクタ14の中心線とコーンリフレクタ20の中心線Cとが同心となるように配置する。
【0056】
従って,前記リフレクタ14の第1焦点に,光源であるランプ12の発光点12aを配置した上記構成にあっては,リフレクタ14によって反射された光源12からの光は,第2焦点F2に集束して下方に向けて反射されることになる。
【0057】
リフレクタ14の第2焦点F2を交点Zよりも下方に位置する場合には,リフレクタ14によって反射され,焦点F2を通過して下方に向かって広がる光はコーンリフレクタ20の内面に入射されることなく,コーンリフレクタ20の下端開口より下方に向かって照射される(図4参照)。
【0058】
図4においてリフレクタ14の開口部14aにおける内周縁14eと,リフレクタ14の第2焦点F2を通る直線R1,R1が,リフレクタ14による反射光の最大照射範囲を表す線となるが,図4からも明らかなようにリフレクタ14の反射光は,コーンリフレクタ20の内周面に入射されることなく,かつ,図中に斜線で示す角度θ(本実施例において30°)の範囲内に照射されることなしに,コーンリフレクタ20の下端開口部を介して室内側に照射される。
【0059】
一方,この第2焦点F2が基準線L2と中心線Cとの交点Zと重なる位置となる場合には,直線R1,R1が基準線L2と重なり,同様にリフレクタ14の反射光はコーンリフレクタ20の内周面に入射されることなく,かつ,図中に斜線で示す角度θ(本実施例において30°)の範囲内に照射されることなしに,コーンリフレクタ20の下端開口部を介して室内側に照射される。
【0060】
このようにして照射される光は,いずれも基準線L2,L2の範囲内にあり,予め設定した角度θの範囲内には拡散しないことからダウンライト1の遮光特性を一定値以上に維持することができる。
【0061】
また,図5に示すように,リフレクタ14によって反射されることなく,光源であるランプ12より直接下方に向かって照射された光の一部は,コーンリフレクタ20の内周面に衝突することなく直接コーンリフレクタ20の下端開口を通過して下方に照射される。ここで,前述した各部の配置により,光源12の発光点12aは交点Zに対して上方に配置されているため,この照射光が予め設定した所定の角度θの範囲(図5中の斜線部分)に広がることはない。
【0062】
更に,図6に示すように光源12から照射された光のうち,反射面として形成されたコーンリフレクタ20の内周面に入射した光は,この内周面に反射されて照射されることとなるが,図2に示す断面のように放物線によって形成されたコーンにリフレクタ20の内周面によって反射された反射光は,コーンリフレクタ20の内周面のいずれの位置によって反射された場合であっても放物線の対称軸の傾きθよりも大きな傾斜角でコーンリフレクタ20の下端開口部に向けて反射される。
【0063】
その結果,予め設定した角度θの範囲に反射光が照射されることを防止しつつ,コーンリフレクタ20の内面による反射光の制御を行うことが可能となり,コーンリフレクタの内周面で反射させた光についても室内側に向けて照射して照明に有効に利用できることから,光源からの光を効率良く利用でき,ダウンライトの小型化に拘わらず必要な明るさが確保できるものとなっている。
【符号の説明】
【0064】
1 ダウンライト
10 ダウンライト本体
11 カバー
12 光源(ランプ)
12a 発光点
13 ソケット
14 リフレクタ
14a 開口部
14b 挿入穴
14e 開口部内周縁
16 ディンプル
16a ディンプル(大径)
16b ディンプル(小径)
20 コーンリフレクタ(コーン)
21 下端開口縁
30 取付具
31 円筒部
32 フランジ部
33 支持脚
50 天井板
51 開口
C,C’ コーンリフレクタの中心線
L1 直交線
L2,L2’基準線
R1 直線
Z 中心線Cと基準線の2の交点
X 回転中心軸(コーンリフレクタの内周面である回転面の)
F1 第1焦点(コーンリフレクタの)
F2 第2焦点(コーンリフレクタの)
Fp 放物線の焦点
θ カットオフアングル
110 ダウンライト本体
111 カバー
112 光源(ランプ)
113 ソケット
114 リフレクタ
114a 開口部(リフレクタの)
132 枠体
150 天井板
151 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と,前記光源の光を下方に向けて反射する碗形状のリフレクタ,及び前記リフレクタの開口部下方において前記リフレクタと同軸に配置される略円筒状のコーンを備えたダウンライトにおいて,
前記コーンを,内周面を反射面としたコーンリフレクタとして形成すると共に,
前記リフレクタの内周面を楕円の長軸を回転中心として回転させて得られる回転楕円面によって形成し,該リフレクタの第1焦点を前記リフレクタの内周面によって囲まれた空間内に配置すると共に,第2焦点を前記コーンリフレクタ内に配置し,
前記コーンリフレクタの中心線と交叉し,かつ,前記コーンリフレクタの下端開口縁と前記リフレクタの開口部内周縁とを結ぶ基準線の傾斜角が所定の角度となるよう前記リフレクタ及びコーンリフレクタを形成すると共に,前記リフレクタの前記第2焦点を前記基準線と前記コーンリフレクタの中心線との交点と重なる位置,又は前記交点に対し下方に配置し,
前記リフレクタの第1焦点に前記光源の発光点を配置し,かつ,前記コーンリフレクタの内周面を,前記光源の発光点からの入射光を反射して前記所定の角度よりも大きな傾斜角の反射光を発生させる放物線の一部を回転させて得た回転面形状としたことを特徴とするダウンライト。
【請求項2】
前記リフレクタの開口部側における内周面の反射が他の部分に比較して拡散させたことを特徴とする請求項1記載のダウンライト。
【請求項3】
前記リフレクタの開口部側における内周面をフロスト加工したことを特徴とする請求項2記載のダウンライト。
【請求項4】
前記リフレクタの内周面にディンプルを形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のダウンライト。
【請求項5】
前記リフレクタの前記開口部側における所定範囲に形成するディンプルの径を他の部分に形成するディンプルの径に比較して小さく形成することを特徴とする請求項4記載のダウンライト。
【請求項6】
前記リフレクタの前記開口部側における所定の範囲内に形成する前記ディンプルをランダムに隙間無く形成したことを特徴とする請求項5記載のダウンライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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