説明

ダウンリンク制御情報伝達方法

ダウンリンク制御情報を效率的に伝達する方法が開示される。最大2個のコードワードを同時に伝送できる多重アンテナシステムにおいて制御情報を伝達する方法において、2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックに関するMCS情報、新しいデータ指示子及びリダンダンシーバージョンを伝送し、また、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロック間にスワッピングの起こるか否かを表すスワッピング指示子、及び前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化されるか否かを表す活性化/不活性化情報のうち一つ以上を含む追加制御情報を伝送し、この時、前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化される場合、前記スワッピング指示子は、使用が留保されるように設定することによって、シグナリングオーバーヘッドを減少させながらも必要な情報を效率的に伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重アンテナ通信システムに係り、特に、コードワードスワッピング(swapping)情報及びコードワード活性化/不活性化情報を含むダウンリンク制御情報を效率的に伝達する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、通信システムで用いられる誤り制御アルゴリズムは、大きく、ARQ(Automatic Repeat request)及びFEC(Forward Error Correction)といった2方式に分類することができる。ARQ方式には、Stop and Wait ARQ、Go−Back−N ARQ、選択的反復(Selective−Repeat)ARQなどがある。Stop and Wait ARQは、毎度、伝送されたフレームが正確に受信されたか否かを確認した後、次のフレームを伝送する手法であり、Go−Back−N ARQは、連続したN個のデータフレームを伝送し、成功的に伝送がされないと、エラーの発生したフレーム以降に伝送された全てのデータフレームを再伝送する方式である。そして、選択的反復ARQ手法は、エラーの発生したフレームのみを選択的に再伝送する方式である。
【0003】
一方、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)とは、ARQとFECとを結合して誤りを制御する技術であり、再伝送時に受信されたデータの誤り訂正符号化能力を極大化させる方式のことをいう。HARQは、再伝送時に伝送されるビットの特性によって、CC(chase combing) HARQとIR(incremental redundancy)HARQとに分類される。CC HARQは、再伝送時に1次伝送で使用したデータをそのまま用いて受信端でSNR比を高めることで利得(gain)を得ようとする方法であり、IR HARQは、再伝送時に冗長ビット(redundancy bits)を伝送して結合することで受信端でコーディング利得(coding gain)を得、性能を向上させる方式である。
【0004】
図1は、HARQ方式のうち、Stop and Wait ARQ方式の概念を説明するための図である。
【0005】
図1に示すように、Stop and wait HARQプロトコルは、一つのプロセスブロックを伝送した後、受信端から個別的にACK(ACKnowledgement)/NACK(No ACK)を受信して、データを再伝送するか否かを判別する方法である。このようなStop and wait HARQプロトコルは、最も単純でありながらも効率的な伝送方法であるが、データの送信端がACK/NACKをデータの受信端から受信するまでの往復時間(Rounding Trip time;以下、“RTT”という。)によりリンク伝送効率が低下する。
【0006】
図2は、N−チャネルStop and wait HARQプロトコル手法を説明するための図である。
【0007】
すなわち、N−チャネルStop and wait HARQプロトコル手法とは、図1を参照して上述した方式の問題点を補完するために、図2に示すように、ACK/NACKを送信及び受信するまで伝送リンクが使用されない時間に複数個(N)の独立したStop−and Wait HARQを動作させる手法のことをいう。これにより、プロセシング遅延を減少させることができる。
【0008】
一方、MIMO(Multiple Input Multiple Output)手法とは、基地局及び端末機で2個以上の送/受信アンテナを用いて空間的に複数のデータストリームを同時に伝送することによって、システムの容量を増加させる方式のことをいう。この手法は、複数の送信アンテナを用いて送信ダイバーシティ(diversity)利得またはビームフォーミング(Beam forming)利得を得ることができる。
【0009】
送信ダイバーシティ手法は、複数の送信アンテナを通じて同じデータ情報を伝送することによって、速い時変チャネル状況で信頼度の高いデータ伝送を可能にし、受信機からのチャネル関連フィードバック情報なしにも具現できるという利点を有する。ビームフォーミング(Beamforming)は、複数の送信アンテナにそれぞれ適宜の重み値(weighting values)を乗じることで受信機の受信SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)を増加させるために用いられ、一般的に、FDD(Frequency Division Duplexing)システムでアップリンク/ダウンリンクのチャネルが独立しているから、適宜のビームフォーミング利得を得るためには信頼性の高いチャネル情報が必要とされ、よって、受信機から別途のフィードバック(Feedback)を受けて使用する。
【0010】
一方、単一ユーザ及び多重ユーザに対する空間多重化方式について簡略に説明すると、下記の通りである。
【0011】
図3は、MIMO通信システムで用いられる空間多重化(Spatial Multiplexing: SM)及び空間分割多重接続(Spatial Divisional Multiple Access)方式の概念を示す図である。
【0012】
単一ユーザに対する空間多重化は、SMあるいはSU−MIMO(Single User MIMO)と呼ばれ、図3の左側に示すように、一つのユーザの複数のアンテナを用いてデータを送信し、これにより、MIMOチャネルの容量はアンテナ数に比例して増加する。一方、多重ユーザに対する空間多重化は、SDMAあるいはMU−MIMO(Multi−User MIMO)と呼ばれ、図3の右側に示すように、複数のユーザアンテナを通じてデータ送受信が行われる。
【0013】
MIMO手法は、同時に伝送されるN個のデータストリームを一つのチャネルエンコーディングブロックを用いて伝送する単一コードワード(Single CodeWord:SCW)方式と、N個のデータストリームをM(ここで、Mは、常に、Nより小さいまたは等しい。)個のチャネルエンコーディングブロックを用いて伝送する多重コードワード(Multiple CodeWord:MCW)方式を含む。この場合、各チャネルエンコーディングブロックは独立したコードワード(Codeword)を生成し、各コードワードは、独立したエラー検出が可能なように設計される。
【0014】
一方、このようなコードワードは、一つ以上のレイヤーを通じて伝送され、各コードワードを通じて伝送される情報は、互いにスワッピング(swapping)して伝送することができる。また、複数のコードワードを同時に伝送できる無線通信システムで、特定コードワードが不活性化(disable)されることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、多重アンテナ通信システムにおいて、コードワードスワッピング情報及びコードワード活性化/不活性化情報を含むダウンリンク制御情報を效率的に伝達する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明の一側面では、最大2個のコードワードを同時に伝送できる多重アンテナシステムにおいて制御情報を伝達する方法であって、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)情報、新しいデータ指示子(NDI)及びリダンダンシーバージョン(RV)を伝送し、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロック間にスワッピングが起こるか否かを表すスワッピング指示子及び前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化されるか否かを表す活性化/不活性化情報のうち一つ以上を含む追加制御情報を伝送する段階を含み、ここで、前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化される場合、前記スワッピング指示子は、使用が留保されることを特徴とするダウンリンク制御情報伝達方法を提供する。
【0017】
また、本発明の他の側面では、最大2個のコードワードを同時に受信できる多重アンテナシステムにおいて制御情報を受信する方法であって、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックに関するMCS(Modulation and Coding Scheme)情報、新しいデータ指示子(NDI)及びリダンダンシーバージョン(RV)を受信し、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロック間にスワッピングが起こるか否かを表すスワッピング指示子、及び前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化されるか否かを表す活性化/不活性化情報のうち一つ以上を含む追加制御情報を受信する段階を含み、ここで、前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化される場合、前記スワッピング指示子は、使用が留保されることを特徴とするダウンリンク制御情報受信方法を提供する。
【0018】
ここで、前記追加制御情報を通じて、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックがスワッピング無しで伝送される第1の場合、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックが互いにスワッピングして伝送される第2の場合、前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化され、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックのうち一つが活性化されたコードワードを通じて伝送される第3の場合及び第4の場合を表すように設定することができる。
【0019】
なお、前記スワッピング指示子は、ダウンリンク制御情報に明示的な1ビット情報として含まれ、前記活性化/不活性化情報は、前記新しいデータ指示子(NDI)、前記リダンダンシーバージョン(RV)及び前記MCS情報のうち一つ以上の組み合わせによって黙示的に伝達されることができる。
【発明の効果】
【0020】
上記のような本発明の各実施の形態によると、多重アンテナ通信システムにおいてコードワードスワッピング情報及びコードワード活性化/不活性化情報を含むダウンリンク制御情報を效率的に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の理解を助け、且つ本明細書に組み込まれてその一部を構成する図面が、本発明の原理を述べる説明とともに本発明の実施例を示すために添付される。
【図1】HARQ方式のうち、Stop and Wait ARQ方式の概念を説明するための図である。
【図2】N−チャネルStop and wait HARQプロトコル手法を説明するための図である。
【図3】MIMO通信システムで用いられる空間多重化(Spatial Multiplexing: SM)及び空間分割多重接続(Spatial Divisional Multiple Access)方式の概念を示す図である。
【図4】多重コードワードを使用するMIMOシステムの送信端構造を示す図である。
【図5】コードワードと物理的なアンテナとのマッピング関係を示す図である。
【図6】m個のHARQプロセスブロックを同時に伝送して、各HARQプロセスブロックに対するACK/NACK信号を受信する多重HARQ手法を説明するための図である。
【図7】同時に伝送されるHARQプロセスブロックがHARQプロセス番号を共用するように設定する方法を説明するための図である。
【図8】図8Aおよび図8Bは、本発明の一実施の形態によって特定コードワードを通じてヌルデータを伝送する概念を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態によってコードワードがスワッピングして伝送される概念を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施の形態によって、同時に伝送されるHARQプロセスブロック間の区分が可能であり、同時に伝送されるHARQプロセスブロックのスワッピング及びヌルデータ伝送が可能なように設定する概念を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施の形態を示すものではない。
【0023】
以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的細部事項を含む。しかし、当業者には、本発明がこのような具体的細部事項なしにも実施されうることが理解できる。場合によっては、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置が省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示される。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素については同一の図面符号を使用して説明する。
【0024】
上述の通り、本発明は、多重アンテナ通信システムにおいてコードワードスワッピング情報及びコードワード活性化/不活性化情報を含むダウンリンク制御情報を效率的に伝達する方法を提供する。このために、まず、以下では、多重アンテナシステムにおいてコードワードの伝送関係及び一般的にダウンリンク伝送のために必要な制御情報について説明した後、これに基づいて上記のスワッピング情報及びコードワード活性化/不活性化情報を效率的に伝達する方法について説明する。
【0025】
図4は、多重コードワードを使用するMIMOシステムの送信端構造を示す図である。
【0026】
具体的に、M個のデータパケット(Data Packet)は、エンコーディング(例えば、図4のターボエンコーディング)と変調(例えば、図4のQAM変調)をそれぞれ経てM個のコードワードを生成し、各コードワードは、独立したHARQプロセスブロックを有するようになる。変調されたM個のデータシンボルは同時にMIMO端で多重アンテナ手法によってエンコーディングされ、それぞれの物理アンテナ(Physical Antenna)を通じて伝送される。その後、受信端では、多重アンテナチャネル状況に関してチャネル品質情報をフィードバックすることで、空間多重化率、コーディング率及び変調方式を調節することができる。
【0027】
その他にも、図4に示すようなMIMO伝送のためには、送信端が用いる変調及びコーディング方式に関するMCS情報、伝送されるデータが新しいデータなのか、或いは、再伝送されるデータなのかを表す新しいデータ指示子(NDI)、再伝送時にどのサブパケットを再伝送するかを表すリダンダンシーバージョン(RV)情報などが必要とされる。
【0028】
一方、コードワードと物理的なアンテナとのマッピング関係は、任意の形態を有することができる。
【0029】
図5は、コードワードと物理的なアンテナとのマッピング関係を示す図である。
【0030】
図5は、具体的に、3GPP TS 36.211におけるダウンリンクにおいて、空間多重化率によるコードワード(CW)対レイヤーマッピング方法を示している。すなわち、空間多重化率が1の場合、一つのコードワードが一つのレイヤーにマッピングされ、一つのレイヤーで生成されたデータは、プリコーディング手法によって4個の送信アンテナを通じて伝送されるようにエンコーディングされる。また、空間多重化率が2の場合、2個のコードワードが2個のレイヤーにマッピングされ、プリコーダによって4個のアンテナにマッピングされる。また、空間多重化率が3の場合、2個のコードワードのうち一つのコードワードが、直−並列変換器(S/P)によって2個のレイヤーにマッピングされることで、総2個のコードワードが3個のレイヤーにマッピングされた後、プリコーダによって4個のアンテナにマッピングされる。また、空間多重化率が4の場合、2個のコードワードのそれぞれが直−並列変換器によってそれぞれ2個のレイヤーにマッピングされて、総4個のレイヤーがプリコーダによって4個のアンテナにマッピングされる。
【0031】
すなわち、4個の送信アンテナを有する基地局では、最大4個のレイヤーを有することができ、4個の独立したコードワードを有することができるが、図5では、コードワードの個数を最大2個のみを有するように構成されたシステムを取り上げている。したがって、図5に示すシステムでは、各コードワード(CW)が独立したHARQプロセスを有するとする場合、最大2個の独立したHARQプロセスが伝送されることがわかる。
【0032】
一方、プリコーダ(Precoder)は、通常、Mt(送信アンテナの個数)*v(空間多重化率)行列(Matrix)で表現され、送/受信機があらかじめ定めておいた行列の集合を用いて状況に応じて適宜プリコーディング行列を適応的に使用する。このようなプリコーディング行列の集合をコードブック(codebook)といい、下記の表1及び表2は、3GPP TS 36.211でダウンリンクに使用されるコードブックの一例を表す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
具体的に、上記の表1は、2アンテナシステム(2Txシステム)で用いられるコードブックを表し、上記の表2は、4アンテナシステム(4Txシステム)に用いられるコードブックを表す。
【0036】
一方、Stop−And−Wait HARQ方法では、データ受信端は、データを成功的に受信したか否かを、CRC(Cyclic Redundancy Check)のような誤り検出符号を通じて確認する。便宜上、本説明では、エラーの検出されうるデータ単位を‘HARQプロセスブロック’という。そして、システムにおいて定められた区間内、例えば、RTT(round trip time)内で、伝送できるHARQプロセスブロックを区別するために使用する識別因子を、‘HARQプロセス番号(HARQ process number)’とする。
【0037】
データの誤りが検出されないと、受信端はACK信号を伝送し、エラーが検出される場合には、受信端はNACK信号を伝送する。ACK信号を受信したデータ送信端は、その次のデータを伝送する。NACK信号を受信したデータ送信端は、誤りの発生した該当のデータを再伝送する。この時、再伝送されるデータは、HARQタイプによって再伝送するデータの形式を変えることもできる。
【0038】
一方、伝送帯域幅が広いか、または、多重アンテナを用いてデータを送信する場合は、多数個のHARQプロセスブロックを同時に伝送することもできる。
【0039】
図6は、m個のHARQプロセスブロックを同時に伝送し、各HARQプロセスブロックに対するACK/NACK信号を受信する多重HARQ手法を説明するための図である。
【0040】
すなわち、送信側では、図6に示すように、定められた伝送単位において多数個(m)のHARQプロセスブロックを同時に伝送することができる。すると、データを受信した受信端では、m個のHARQプロセスブロックに対するm個のACK/NACK信号をデータ送信端に伝送することができる。さらに、図6に示すような多重stop−and−wait HARQ手法を、図2を参照して上述したNチャネルstop and wait HARQ手法と結合して、より效率的に適用することもできる。
【0041】
すなわち、RTT内に最大n個のHARQプロセスブロックが動作することができ、m個のHARQプロセスブロックを同時に伝送するシステムで発生しうるHARQプロセス番号の組み合わせ個数は、下記の通りである。
【0042】
【数1】

【0043】
これを支援するための全てのHARQプロセス番号の組み合わせを表現するための制御シグナリングのビット数は、下記の通りである。
【0044】
【数2】

【0045】
一方、同時に伝送されるHARQプロセスブロックの個数、すなわち、同時に用いられるレイヤーの個数を、任意の信号を通じて知らせると、HARQプロセス番号の組み合わせを表現するための制御シグナリングのビット数は、下記のように表すことができる。
【0046】
【数3】

【0047】
このような制御情報のオーバーヘッドを減らすための方法の一つに、SIMOにおいてHARQプロセスIDを区別するために用いたNビットをそのままMIMOにおいても使用する手法がある。
【0048】
図7は、同時に伝送されるHARQプロセスブロックがHARQプロセス番号を共用するように設定する方法を説明するための図である。
【0049】
具体的に、図7は、RTT(Round Trip Time)の間に、最大8HARQプロセスブロックが動作することができ、2個のレイヤーを同時に用いることができるから、RTTの間に最大16個のHARQプロセスブロックを伝送できる場合を示している。ただし、図7では、同時に伝送されるHARQプロセスブロックが、HARQプロセス番号0〜7を共用することによって、3ビットの制御情報のみでもHARQプロセス番号の表現が可能なように設定する例を示している。
【0050】
上記の説明に基づき、図4を参照して上述したようなMIMO伝送、図5などを参照して上述したレイヤーマッピング、プリコーディング及びHARQプロセス番号シグナリングなどのために、3GPP LTEシステムでは、下記のような制御情報を用いることが論議されている。
【0051】
【表3−1】

【0052】
【表3−2】

【0053】
【表3−3】

【0054】
ただし、上記の制御情報形態だけでは、下記のような問題が生じうる。
【0055】
例えば、最大2個のコードワード伝送が可能であり、4個の送信アンテナを有する多重アンテナシステムを仮定する。このとき、空間多重化率が4の場合、1番目のコードワード(CW1)は、(1、2)番目のレイヤーを通じて伝送され、2番目のコードワード(CW2)は、(3、4)番目のレイヤーを通じて伝送されることができる。この場合、エラー検出は、コードワード単位で可能であるから、もし、CW1にのみエラーが検出され、再伝送時点にチャネル状況が変わって空間多重化率を2として伝送しなければならない場合、エラーの生じたCW1には、チェース結合(chase combining)のようなHARQ方式を使用できないという問題がある。
【0056】
また、CW2の伝送が完了して、CW2のバッファーが空いている場合、現在空間多重化率が4であるにもかかわらずにCW1のみを伝送するようになる状況に適宜対応できなくなる。
【0057】
そして、MIMOモードで同時に伝送される多数個のHARQプロセスブロックを一つのHARQプロセスブロックとして共有する場合、再伝送時に、アンテナ選択やランク適応(rank adaptation)によってデータがレイヤーにマッピングされる位置が変わったり、一つのデータが伝送されたりする場合は、HARQプロセス番号だけでは認識が不可能である。
【0058】
上記の問題を解決するために、本発明の一実施の形態では、特定CWにヌル(null)データを送ることを提案する。
【0059】
図8A及び図8Bは、本発明の一実施の形態によって特定コードワードを通じてヌルデータを伝送する概念を示す図である。
【0060】
具体的に、図8A及び図8Bは、図5に示すようなレイヤーマッピング関係のうち、空間多重化率を2以上として伝送する状況で、突然一つのCWのバッファーが空になったり、チャネルの空間多重化率が小さくなったりする場合に、一つのCWを通じてヌルデータを伝送する概念を示す図で、図8Aは、コードワード1を通じてヌルデータを伝送する場合を、図8Bは、コードワード2を通じてヌルデータを伝送する場合を示している。
【0061】
このような方式によると、まるで2つのCWがいずれも使用されているかのように多重アンテナ手法が用いられるが、実際には、ヌルデータによって空間多重化率が小さくなるように設定することができる。このように、特定コードワードを通じてヌルデータが伝送される場合は、当該コードワードが不活性化(disable)された場合と表現することができる。また、本発明において特定コードワードが不活性化されることは、コードワード伝送そのものが不活性化される場合(ヌルデータが伝送される場合)、及び各コードワードを通じて伝送される情報が不活性化される場合を含む。例えば、図8A及び図8Bでは、CW1またはCW2そのものが不活性化される場合を示しているが、CW1/CW2にマッピングされる伝送ブロック1/伝送ブロック2の大きさが0である場合も含む概念である。
【0062】
また、本発明の一実施の形態では、CW1とCW2の位置が換わって伝送されうるように設定することを提案する。
【0063】
図9は、本発明の一実施の形態によってコードワードがスワッピングして伝送される概念を説明するための図である。
【0064】
図9では、図5に示すようなレイヤーマッピング関係のうち、2以上のコードワードが伝送される場合、CW1及びCW2が伝送される位置がスワッピングされた形態を示している。ただし、本発明においてスワッピングは、2個のコードワードそのものの伝送位置が換わる場合の他に、各コードワードを通じて伝送される情報が、コードワードにマッピングされる位置が換わって伝送される場合もを含む概念とする。例えば、各コードワードに伝送ブロック(Transport block)がマッピングされて伝送される場合、コードワードそのものの伝送位置を換えることに限定されず、各伝送ブロックがコードワードにマッピングされる位置を換えることも、本発明に係るスワッピングに含まれる概念である。
【0065】
したがって、図7に示すようなHARQプロセスブロックのインデクシングは、下記のように変更されることを提案する。
【0066】
図10は、本発明の一実施の形態によって、同時に伝送されるHARQプロセスブロック間において区分可能であり、同時に伝送されるHARQプロセスブロックのスワッピング及びヌルデータ伝送が可能なように設定する概念を説明するための図である。
【0067】
すなわち、図10では、同時に伝送されるHARQプロセスブロックに“a”、“b”を付加して互いに区分することが要求され、再伝送時にも同様、“a”及び“b”を区別して再伝送することを提案する。
【0068】
また、各HARQプロセスブロックをレイヤーにマッピングする際、“a”及び“b”のレイヤーマッピングをスワッピングできることが好ましい。
【0069】
このために、本発明の一実施の形態では、下記のような6つの状態を区分するために追加制御情報を受信側に伝達することを提案する。
【0070】
【表4】

【0071】
上記の表4で、“Swapping”は、コードワードの伝送位置が互いに換わったり、各コードワードにマッピングされる情報が交換される場合を表し、“null Tx”は、CWAまたはCWBにヌルデータが伝送される場合、または各コードワードにマッピングされる伝送ブロックが不活性化される場合を表す。
【0072】
これらの情報をダウンリンク制御情報フィールドに表す時、明示的(explicit)にまたは黙示的(implicit)に表すことができる。例えば、上記の表3に、上記の表4の場合を表すための制御情報フィールドを明示的に追加することができる。この時、全ての場合を考えると、6つの場合を表現するために3ビットの制御情報が必要とされる。
【0073】
しかし、6つの場合を全部表現するために必要な3ビットの制御情報は、8つの場合を表しうるビット数であって、6つの場合を表すために多少オーバーヘッドを含むというべきである。したがって、本発明の好ましい一実施の形態では、上記の表4における6つの場合を、下記の表5のように、4つの場合と減らして用いることによって、制御情報オーバーヘッドを減少させながらも略同一の性能を維持させることを提案する。
【0074】
【表5】

【0075】
具体的に、上記の表5では、上記の表4においてCWAまたはCWBが不活性化される場合、スワッピング機能の使用を留保することによって2つの場合を省略することを表している。すなわち、いずれか一方のコードワードが不活性化された場合、コードワード間の伝送位置スワッピングは、2個のコードワードが伝送される場合に比べて実益が減少するから、本実施の形態では、いずれか一方のコードワードが不活性化される場合、スワッピング機能を留保することを提案する。
【0076】
上述したように、上記の表5における4つの状態情報は、明示的なシグナリングを通じて、または他の制御情報を通じて黙示的に伝達することができる。
【0077】
本発明の一実施の形態では、上記の表3における2ビットのRSNフィールド情報を用いてスワッピングされるか否かを表すことを提案する。例えば、RSNフィールドが0であれば、スワッピングが用いられないことを表し、RSNフィールドが1乃至3の場合は、スワッピングが行われることを表すように設定することができる。また、本発明の他の実施の形態では、1ビットの新しいデータ指示子(NDI)及び2ビットのRSN情報を用いて下記のようにスワッピングされるか否かを表すように設定することができる。
【0078】
【表6】

【0079】
または、任意の制御情報フィールドのうち、余分の状態(state)が存在すると、この状態に、必要な情報を追加して表現することもできる。
【0080】
例えば、上記の表1に示すようなプリコーディング情報(Precoding information)フィールドにおいて余分の状態が存在すると、必要な情報の一つであるスワッピングCWA/Bを表す状態を、当該空の状態に追加して表現することができる。
【0081】
【表7−1】

【0082】
【表7−2】

【0083】
上記の表7の上段は、上記の表1をそのまま表現したものであり、表7の下段は、上記の表1の空の状態に、CWスワッピングを表すプリコーディング行列を追加したものである。
【0084】
また、余分の状態がより多く存在すると、必要な他の情報も追加することができる。
【0085】
また、本発明の他の実施の形態では、上記の表1に示すようなコードブックを下記のように変形することで特定コードワードが不活性化されることを表すように設定することもできる。
【0086】
【表8−1】

【0087】
【表8−2】

【0088】
上記の表8は、上記の表1のコードブックにおいて、“number of layer”フィールドとプリコーディング情報フィールドが同一の列で表現され、インデックス0〜5は、ランク1に関する情報であり、残りのインデックスは、ランク2に関する情報を表すように設定された例を表している。特に、インデックス9〜11は“null Tx A”、すなわち、コードワードAがヌルデータを伝送する場合を、インデックス12〜14は“null Tx B”、すなわち、コードワードBがヌルデータを伝送する場合を表す。
【0089】
本発明の一実施の形態では、スワッピングが起こるか否かについては明示的な1ビット情報としてダウンリンク制御情報に含めながら、特定コードワードの不活性化については、上記の表8のように他の制御情報を通じて黙示的に知らせる方法を提案する。
【0090】
このような実施の形態の一例として、下記の表8は、スワッピングの起こるか否かについては明示的な1ビット情報を使用し、コードワード活性化状態については、上記の表8のようなプリコーディング情報を用いる例を表している。
【0091】
【表9】

【0092】
上記の表9の例において、状態(state)“1”または“2”は、明示的なスワッピングフラグによる状態を表し、上記の表8で、インデックス6〜14は、レイヤー2に対する場合であるから、スワッピングの起こるか否かによって異なる状態を表すようになる。特に、インデックス9〜14の場合、特定コードワードが不活性化される場合を示している。
【0093】
このように、制御情報フィールドを用いて同一の状態を様々な意味とすることもできる。
【0094】
さらに他の例として、表3の第1の伝送ブロックと第2の伝送ブロックの伝送フォーマットが、データのサイズが‘0’であるという意味を有すると、上記の表9の例と同様に、スワッピングの起こるか否かについては明示的なスワッピングフラグを用い、null Txについては、他の制御情報、例えば、新しいデータ指示子(NDI)、リダンダンシーバージョン(RV)、MCS情報のうち一つ以上の組み合わせによって下記のような状態情報を表すことができる。
【0095】
【表10】

【0096】
一方、第1の伝送ブロックと第2の伝送ブロックの伝送フォーマットがデータのサイズ‘0’を有するという意味を表現する方法には、様々なものがある。その一つとして、伝送フォーマットフィールドの状態に、大きさが‘0’であるという意味を有する状態を表現することができる。また、もし、大きさが‘0’になる場合には、フィールドそのものを表さない方法がある。第1の伝送ブロックをCW1に、第2の伝送ブロックをCW2にマッピングするという意味を与えると、CW1を不活性化させるためには、第1の伝送ブロックの伝送フォーマットフィールドを除去して表現し、CW2を不活性化させるためには、第2の伝送ブロックの伝送フォーマットフィールドを除去すればいい。
【0097】
しかし、第1の伝送ブロックに伝送されるデータが1つであるという意味を与えると、CW1やCW2に関係なく常に一つのデータが伝送される場合は、第1の伝送ブロックの伝送フォーマットフィールドを通じてデータ大きさが伝送されるように設定することができる。この場合、任意の状態情報を通じて明示的にまたは黙示的にCW1/CW2の区別が可能であるとする。
【0098】
第1の伝送ブロックと第2の伝送ブロックの伝送フォーマットフィールドに、大きさが‘0’であるという状態を追加し、明示的なスワッピング情報を用いる場合、本実施の形態によって必要な4つの状態をいずれも表すことができる。
【0099】
以上の本発明の好適な実施の形態についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。以上では、具体的な実施の形態に上げて本発明を説明したが、当該技術分野に熟練された当業者には、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更できるということが理解される。したがって、本発明は、ここに開示された実施の形態に制限されるものではなく、ここで開示された原理及び新規の特徴と一致する最も広いの範囲を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
上記のような本発明の各実施の形態による制御情報伝達方法は、上述した3GPP LTEシステムだけでなく、最大2個のコードワードを同時に伝送でき、スワッピング及び特定コードワードの不活性化を必要とするいずれの多重アンテナシステムにも同一の原理によって適用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大2個のコードワードを同時に伝送できる多重アンテナシステムにおいて制御情報を伝達する方法であって、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)情報、新しいデータ指示子(NDI)及びリダンダンシーバージョン(RV)を伝送する段階と、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロック間にスワッピングが起こるか否かを表すスワッピング指示子、及び前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化されるか否かを表す活性化/不活性化情報のうち一つ以上を含む追加制御情報を伝送する段階と、
を含み、
前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化される場合、前記スワッピング指示子は、使用が留保されることを特徴とする、ダウンリンク制御情報伝達方法。
【請求項2】
前記追加制御情報を通じて、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックがスワッピング無しで伝送される第1の場合と、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックが互いにスワッピングして伝送される第2の場合と、
前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化され、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックのうち一つが、活性化されたコードワードを通じて伝送される第3の場合及び第4の場合と、
を表すことを特徴とする、請求項1に記載のダウンリンク制御情報伝達方法。
【請求項3】
前記スワッピング指示子は、ダウンリンク制御情報に明示的な1ビット情報として含まれて伝送され、
前記活性化/不活性化情報は、前記新しいデータ指示子(NDI)、前記リダンダンシーバージョン(RV)及び前記MCS情報のうち一つ以上の組み合わせによって黙示的に受信端に伝達されることを特徴とする、請求項1に記載のダウンリンク制御情報伝達方法。
【請求項4】
最大2個のコードワードを同時に受信できる多重アンテナシステムにおいて制御情報を受信する方法であって、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックに関するMCS(Modulation and Coding Scheme)情報、新しいデータ指示子(NDI)及びリダンダンシーバージョン(RV)を受信する段階と、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロック間にスワッピングの起こるか否かを表すスワッピング指示子、及び前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化されるか否かを表す活性化/不活性化情報のうち一つ以上を含む追加制御情報を受信する段階と、
を含み、
前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化される場合、前記スワッピング指示子は、使用が留保されることを特徴とする、ダウンリンク制御情報受信方法。
【請求項5】
前記追加制御情報を通じて、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックがスワッピング無しで伝送される第1の場合と、
前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックが互いにスワッピングして伝送される第2の場合と、
前記2個のコードワードを通じた伝送のうちいずれか一方が不活性化され、前記2個のコードワードを通じて伝送される情報ブロックのうち一つが、活性化されたコードワードを通じて伝送される第3の場合及び第4の場合と、
を表すことを特徴とする、請求項4に記載のダウンリンク制御情報受信方法。
【請求項6】
前記スワッピング指示子は、ダウンリンク制御情報に明示的な1ビット情報として含まれて受信され、
前記活性化/不活性化情報は、前記新しいデータ指示子(NDI)、前記リダンダンシーバージョン(RV)及び前記MCS情報のうち一つ以上の組み合わせによって黙示的に認識されることを特徴とする、請求項4に記載のダウンリンク制御情報受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−510556(P2011−510556A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543068(P2010−543068)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000455
【国際公開番号】WO2009/096730
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】