説明

ダウンロードサーバプログラム、ダウンロードクライアントプログラムおよびダウンロードシステム

【課題】WebEDIサーバ装置ごとに異なる画面仕様に対応してクライアント側で開発を行うことなく、複数のWebEDIサーバ装置から業務情報を自動ダウンロードすること。
【解決手段】画面のHTML記述に画面入力を自動化するために必要な画面操作対応処理情報を埋め込んでWebEDIサーバ装置2001〜200nのWebEDIデータベース210に記憶し、画面のHTML記述を受信したWebEDIクライアント装置100の埋め込み情報抽出部120によって画面のHTML記述から取り出された画面操作対応処理情報に基づいて、ログイン処理部130がWebEDIサーバ装置2001〜200nに自動ログインし、ダウンロード部140がWebEDIサーバ装置2001〜200nから業務情報を自動ダウンロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データのダウンロードに必要なWeb画面の一連の操作を自動化し、ダウンロードの効率向上を可能とするダウンロードサーバプログラム、ダウンロードクライアントプログラムおよびダウンロードシステムに関するものである。なお、ここでは、ダウンロードするデータが業務情報である場合を中心に説明する。すなわち、Webシステムを用いて業務情報をダウンロードするWebEDIシステムを中心に説明する。
【背景技術】
【0002】
従来、注文情報や見積情報などの業務情報をネットワーク接続されたコンピュータを用いて交換するEDIシステムでは、標準化されたEDIメッセージを用いてデータのやり取りを行っていた。図13は、従来のEDIシステムを示す図である。同図に示すように、従来のEDIシステムでは、サプライヤとバイヤの間で、EIAJ、ANSI X.12、EDIFACTなどで標準化されたEDIメッセージを用いて業務情報の交換が行われてきた。
【0003】
しかし、かかるEDIシステムは高価であったため、EDIを利用できるのは一部のサプライヤに限られ、EDI化率は低い状況にあった。ところが、近年、インターネットの急速な広がりにより、WebによるWebEDIシステムが広がってきた。WebEDIシステムは安価な導入が可能であるために、多くのバイヤがWebEDIシステムを構築し、EDI化率の向上を目指している。
【0004】
図14は、WebEDIシステムの利用形態を説明するための説明図である。同図に示すように、WebEDIシステムでは、サプライヤのオペレータが複数のバイヤのシステムにアクセスして業務情報をダウンロードし、サプライヤの社内業務システムに入力していた。ただし、ダウンロードした業務情報のフォーマットが社内業務システムのフォーマットと異なる場合も多く、必要に応じてフォーマット変換を行って社内業務システムに入力している。
【0005】
図15は、WebEDIシステムの操作例を示す図である。同図は、サプライヤX社のオペレータがバイヤA社、バイヤB社およびバイヤC社のシステムにアクセスして業務情報を取得する場合を示している。
【0006】
同図に示すように、サプライヤX社のオペレータは、
(1)A社のシステムにアクセスし、ログインID、パスワードを入力する
(2)ログインボタンをクリックする
(3)注文情報ボタンをクリックする
(4)一括ダウンロードボタンをクリックする
(5)戻るボタンをクリックする
(6)見積情報ボタンをクリックする
(7)一括ダウンロードボタンをクリックする
(8)戻るボタンをクリックする
(9)ダウンロードしたファイルを、業務システムに取り込めるようフォーマット変換する
(10)社内業務システムにファイル転送する
といった、一連の操作を行うことによって、A社の業務情報を社内業務システムに入力している。また、サプライヤX社のオペレータは、バイヤB社、C社についても順に同様の操作を行うことによって、B社、C社の業務情報を社内業務システムに入力している。
【0007】
なお、データのダウンロードに関連する技術としては、特許文献1に、クライアントがシステムに必要な更新データをサーバから自動的にダウンロードしてデータの更新処理を行う技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−141015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、かかるWebEDIシステムには、サプライヤのオペレータが複数のバイヤのシステムにアクセスし、バイヤのシステムごとに異なる操作画面を操作して業務情報をダウンロードする必要があり、効率が悪いという問題がある。また、場合によってはフォーマット変換が必要になるなど、業務システムとの連携が自動化されていないために、効率が悪く、リアルタイム性に欠けるという問題もある。
【0010】
なお、業務情報を自動でダウンロードするために、各WebEDIの画面を解析し、バイヤのシステムごとに専用のダウンロードプログラムを利用することが考えられるが、新しい企業と取引するごとにその企業のWebEDI画面を解析してダウンロードするプログラムをクライアント側で開発する必要があるという問題がある。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、バイヤのシステムごとに専用のダウンロードプログラムを開発することなく、業務情報などのデータのダウンロードに必要なWeb画面の一連の操作を自動化し、ダウンロードの効率向上を可能とするダウンロードサーバプログラム、ダウンロードクライアントプログラムおよびダウンロードシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るダウンロードサーバプログラムは、データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をクライアント装置に送信するWebページ情報送信手順と、前記Webページ情報送信手順により送信されたWebページ情報を受信して該Webページ情報から取り出したダウンロード画面操作対応処理情報を用いてデータのダウンロードを要求するクライアント装置に応答してデータを送信するデータ送信手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明によれば、データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をクライアント装置に送信し、送信したWebページ情報を受信してWebページ情報から取り出したダウンロード画面操作対応処理情報を用いてデータのダウンロードを要求するクライアント装置に応答してデータを送信するよう構成したので、ダウンロード画面ごとに専用のダウンロードプログラムをクライアント装置に開発することなく、データのダウンロードを自動的に行うことができる。
【0014】
また、請求項2の発明に係るダウンロードクライアントプログラムは、データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をダウンロード装置から受信するWebページ情報受信手順と、前記Webページ情報受信手順により受信されたWebページ情報から該Webページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を取り出す画面操作対応処理情報取得手順と、前記画面操作対応処理情報取得手順により取り出されたダウンロード画面操作対応処理情報を用いて前記ダウンロード装置にデータのダウンロードを要求して該データを取得するデータ取得手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば、データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をダウンロード装置から受信し、受信したWebページ情報からWebページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を取り出し、取り出したダウンロード画面操作対応処理情報を用いてダウンロード装置にデータのダウンロードを要求してデータを取得するよう構成したので、ダウンロード画面ごとに専用のダウンロードクライアントプログラムを開発することなく、データのダウンロードを自動的に行うことができる。
【0016】
また、請求項3の発明に係るダウンロードクライアントプログラムは、請求項2の発明において、前記データは、業務情報であることを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば、EDI画面ごとに専用のダウンロードクライアントプログラムを開発することなく、業務情報のダウンロードを自動的に行うことができる。
【0018】
また、請求項4の発明に係るダウンロードクライアントプログラムは、請求項3の発明において、前記データ取得手順により取得された業務情報に新規業務に関する新規業務情報があるか否かを判定し、新規業務情報がある場合に、該新規業務を対象業務に追加する新規業務追加処理手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明によれば、取得した業務情報に新規業務に関する新規業務情報があるか否かを判定し、新規業務情報がある場合に、新規業務を対象業務に追加するよう構成したので、新規業務に迅速に対応することができる。
【0020】
また、請求項5の発明に係るダウンロードシステムは、データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報を記憶するダウンロード装置と、前記ダウンロード装置から前記Webページ情報を受信し、該受信したWebページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を用いて該ダウンロード装置にデータのダウンロードを要求するクライアント装置と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この請求項5の発明によれば、データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をダウンロード装置が記憶し、ダウンロード装置からWebページ情報を受信し、受信したWebページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を用いてダウンロード装置にデータのダウンロードをクライアント装置が要求するよう構成したので、ダウンロード画面ごとにクライアント側で開発を行うことなく、データのダウンロードを自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、2および5の発明によれば、データのダウンロードを自動的に行うので、ダウンロードの効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項3の発明によれば、業務情報のダウンロードを自動的に行うので、ダウンロードの効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項4の発明によれば、新規業務に迅速に対応するので、業務拡張が容易に行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るダウンロードサーバプログラム、ダウンロードクライアントプログラムおよびダウンロードシステムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、本発明をWebEDIシステムに適用した場合を中心に説明する。
【実施例】
【0026】
まず、本実施例に係るWebEDIシステムの概念について説明する。図1は、本実施例に係るWebEDIシステムの概念を説明するための説明図である。同図に示すように、このWebEDIシステムでは、サプライヤX社のWebEDIクライアント装置がA社のシステムにログインし、注文情報および見積依頼情報を取得する一連の画面操作を自動的に行うことによって注文情報および見積依頼情報を取得する。そして、取得した注文情報および見積依頼情報のフォーマットを必要に応じて業務システム用に変換して業務システムに転送する。
【0027】
同様に、WebEDIクライアント装置は、B社のシステムにログインし、注文情報を取得する一連の画面操作を自動的に行うことによって注文情報を取得する。そして、取得した注文情報のフォーマットを必要に応じて業務システム用に変換して業務システムに転送する。同様に、WebEDIクライアント装置は、C社のシステムにログインし、注文情報を取得する一連の画面操作を自動的に行うことによって注文情報を取得する。そして、取得した注文情報のフォーマットを必要に応じて業務システム用に変換して業務システムに転送する。
【0028】
ここで、本実施例に係るWebEDIシステムでは、A社、B社、C社で異なるEDI画面に対応した開発をクライアント側で行うのではなく、EDI画面の情報に画面操作を自動化するための情報を含める。すなわち、本実施例に係るWebEDIシステムでは、バイヤ各社の画面情報の解析結果に基づいて画面操作を自動化するのではなく、各社のシステムから送られてくるWebページ情報(HTML記述)に埋め込まれた情報を用いて画面操作を自動化し、業務情報の自動ダウンロードを可能とする。
【0029】
なお、HTML記述に埋め込まれる情報は、オペレータによるデータの入力やボタンの押下などの画面操作に対応して行う処理に用いられる情報であり、各社共通の記述仕様で記述される。ここでは、この共通記述仕様で記述される情報を画面操作対応処理情報と呼ぶこととする。
【0030】
このように、本実施例に係るWebEDIシステムでは、バイヤ各社のシステムは、HTML記述に画面操作対応処理情報を埋め込んでデータベースに蓄え、WebEDIクライアント装置は、HTML記述から画面操作対応処理情報を取り出して画面操作を自動化することによって、バイヤ各社に対応したクライアント側の開発を不要とし、複数のバイヤのシステムから自動で業務情報をダウンロードすることができる。
【0031】
なお、HTML記述に埋め込まれる画面操作対応処理情報は、バイヤのシステム間で共通のフォーマットにより埋め込まれ、その詳細については後述する。
【0032】
次に、本実施例に係るWebEDIシステムの構成について説明する。図2は、本実施例に係るWebEDIシステムの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このWebEDIシステムは、サプライヤが使用するWebEDIクライアント装置100と、n社のバイヤそれぞれがWebを用いて業務情報を提供するn台のWebEDIサーバ装置2001〜200nとがインターネット10を介して接続されて構成される。
【0033】
WebEDIクライアント装置100は、WebEDIサーバ装置2001〜200nからインターネット10を介して業務情報を取得する装置であり、接続先情報記憶部110と、埋め込み情報抽出部120と、ログイン処理部130と、ダウンロード部140と、新規業務処理部150と、フォーマット変換部160と、制御部170とを有する。
【0034】
接続先情報記憶部110は、業務情報を取得するバイヤに関する情報を記憶した記憶部である。図3は、接続先情報記憶部110の一例を示す図である。同図に示すように、この接続先情報記憶部110は、バイヤごとに、バイヤ名と、業務情報を取得する場合の接続先のURLであるログインURLと、ログインするために必要なIDおよびパスワードと、利用可能業務とを記憶する。
【0035】
ここで、利用可能業務とは、バイヤから受け付けることができる業務の種類であり、例えば、バイヤA社からは、「注文」と「見積」を業務として受け付けることができる。したがって、このWebEDIクライアント装置100を使用するサプライヤの業務システムは、A社の提供する業務情報のうち「注文」および「見積」に関する業務情報を処理する。
【0036】
埋め込み情報抽出部120は、WebEDIサーバ装置2001〜200nから受信したHTML記述から画面操作対応処理情報を抽出する処理部である。なお、HTML記述に埋め込まれる画面操作対応処理情報の詳細については後述する。
【0037】
ログイン処理部130は、接続先情報記憶部110に記憶されたバイヤのWebEDIサーバ装置に接続してログイン処理を行う処理部である。具体的には、このログイン処理部130は、ログインURLを用いてWebEDIサーバ装置に接続してログイン画面のHTML記述を取得し、取得したHTML記述からログイン画面操作対応処理情報を埋め込み情報抽出部120を用いて抽出し、抽出したログイン画面操作対応処理情報および接続先情報記憶部110に記憶されたIDおよびパスワードに基づいて自動ログインを行う。
【0038】
ダウンロード部140は、業務情報のダウンロード処理を行う処理部である。具体的には、このダウンロード部140は、ログイン後にWebEDIサーバ装置から送られてくる業務情報ダウンロード画面のHTML記述から業務情報ダウンロード画面操作対応処理情報を埋め込み情報抽出部120を用いて抽出し、抽出したダウンロード画面操作対応処理情報に基づいて業務情報をダウンロードする。
【0039】
新規業務処理部150は、ダウンロード部140によってダウンロードされた業務情報の中に新規業務があるか否かを判定し、新規業務がある場合には、新規業務の追加に関する新規業務処理を行う処理部であり、具体的には、新規業務処理として、新規業務に対応するか否かを業務システムの管理者に尋ね、新規業務に対応する場合には、接続先情報記憶部110の利用可能業務に新規業務を加える。
【0040】
この新規業務処理部150が、ダウンロード部140によってダウンロードされた業務情報の中に新規業務がある場合に、新規業務処理を行うことによって、バイヤからの新規業務依頼に対して、迅速に対応することができる。
【0041】
フォーマット変換部160は、ダウンロード部140によってダウンロードされた業務情報のフォーマットが社内の業務システムが扱うデータフォーマットと異なる場合に、業務情報のフォーマットを変換して業務システムに転送する処理部である。このフォーマット変換部160は、例えば、CSV形式の業務情報をXML形式の業務情報に変換する。
【0042】
このフォーマット変換部160が、ダウンロード部140によってダウンロードされた業務情報のフォーマットが社内の業務システムが扱うデータフォーマットと異なる場合に、業務情報のフォーマットを変換することによって、社内の業務システムとの自動連携が可能となる。
【0043】
制御部170は、WebEDIクライアント装置100全体の制御を行う処理部であり、具体的には、機能部間の制御の移動や機能部と記憶部の間のデータの受け渡しなどを行うことによって、WebEDIクライアント装置100を一つの装置として機能させる。
【0044】
WebEDIサーバ装置2001〜200nは、それぞれバイヤがWebを用いて業務情報を提供するサーバ装置であり、WebEDIデータベース210と、クライアント要求処理部220とを有する。
【0045】
WebEDIデータベース210は、WebEDIに関する画面情報および業務情報を記憶するデータベースである。このWebEDIデータベース210は、画面のHTML記述に画面操作対応処理情報が埋め込まれた画面情報を記憶する。
【0046】
クライアント要求処理部220は、WebEDIクライアント装置100からの画面情報要求や業務情報ダウンロード要求に応答してWebEDIデータベース210から必要なデータを読み出して送信する処理部である。
【0047】
次に、画面のHTML記述に共通埋め込み情報として埋め込まれる画面操作対応処理情報について図4〜図10を用いて説明する。図4および図5は、ログイン画面および対応するHTML記述の例を示す図(1)および(2)である。図4に示すHTML記述では、IDとパスワードをメソッド(method)として「get」を用いて入力し、IDパラメータとして「user」を用い、パスワードパラメータとして「password」を用いることが記述されている。
【0048】
また、図5に示すHTML記述では、IDとパスワードをメソッド(method)として「post」を用いて入力し、IDパラメータとして「id」を用い、パスワードパラメータとして「pass」を用いることが記述されている。
【0049】
このように、Webにおけるログインは、IDおよびパスワードを入力するものが一般的であるが、HTMLレベルでのIDおよびパスワードに対する名前の付け方や値を入力するメソッドの名前の付け方はWebシステムごとに異なる。
【0050】
また、人間が入力する場合には、図4に示した「ログインID」と図5に示した「Login」が同様にログインのためのIDを要求していることがわかるが、自動入力を行うためには、HTML記述を解釈してどの要素がログインのためのIDを要求している箇所であるかの情報を別に保持している必要がある。
【0051】
したがって、Web画面からの入力を自動化するためには、HTML記述ごとに異なる処理が必要となる。しかし、HTML記述ごとに異なる処理をクライアント側で用意することとするとクライアント装置の開発が大変になる。
【0052】
そこで、本実施例では、HTML記述内にコメントの形式でログインの自動化に必要なログイン画面操作対応処理情報を共通化して共通埋め込み情報として記載しておく。図6は、ログインの自動化に必要な情報を示す図である。同図に示すように、ログインの自動化に必要な情報としては、ログインURLと、メソッドと、IDパラメータと、パスワードパラメータがある。
【0053】
図7および図8は、共通埋め込み情報の例を示す図(1)および(2)である。図7は、図4に示したHTML記述に埋め込まれた共通埋め込み情報を示し、図8は、図5に示したHTML記述に埋め込まれた共通埋め込み情報を示している。
【0054】
図7及び図8に示すように、「<!――」と「――>」に挟まれたコメントの形式でログインの自動化に必要な情報であるログインURLと、メソッドと、IDパラメータと、パスワードパラメータとが「logininfo」のタグの下に、それぞれ「url」、「method」、「loginid」、「password」によって埋め込まれている。
【0055】
図9は、業務画面と共通埋め込み情報の例を示す図(1)である。同図に示すように、この業務画面に対しては、画面左下の「ダウンロード」ボタンが押下された場合の処理に必要なダウンロード画面操作対応処理情報として、業務画面のURLと、業務の種類と、データのフォーマットとが「ediinfo」のタグの下に、それぞれ「url」、「type」、「format」によって埋め込まれている。なお、type="order"は業務が注文であることを指定し、format="xml"はデータのフォーマットがXML形式であることを指定している。
【0056】
図10は、業務画面と共通埋め込み情報の例を示す図(2)である。同図に示すように、この業務画面に対しては、画面上の「Download」ボタンが押下された場合の処理に必要なダウンロード画面操作対応処理情報として、業務画面のURLと、業務の種類と、データのフォーマットとが「ediinfo」のタグの下に、それぞれ「url」、「type」、「format」によって埋め込まれている。なお、format="csv"はデータのフォーマットがCSV形式であることを指定している。
【0057】
このように、画面のHTML記述にコメントの形式で画面操作対応処理情報を埋め込むことによって、WebEDIサーバ装置ごとに異なる画面仕様に対応してクライアント側で開発を行うことなく、業務情報を自動ダウンロードすることができる。
【0058】
次に、本実施例に係るWebEDIクライアント装置100の処理手順について説明する。図11は、本実施例に係るWebEDIクライアント装置100の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
同図に示すように、このWebEDIクライアント装置100は、ログイン処理部130が、接続先情報記憶部110から接続先情報を取得し(ステップS101)、接続先に接続する(ステップS102)。
【0060】
そして、ログイン処理部130は、接続先のWebEDIサーバ装置からログインページを取得し(ステップS103)、ログインページのHTML記述に埋め込まれた<logininfo>の情報を埋め込み情報抽出部120を用いて取り出す(ステップS104)。
【0061】
そして、ログイン処理部130は、接続先情報記憶部110からIDおよびパスワードを取り出し、<logininfo>の情報に基づいてログインする(ステップS105)。そして、ダウンロード部140が、WebEDIサーバ装置から送信されるEDI画面を取得し(ステップS106)、EDI画面のHTML記述に埋め込まれた<ediinfo>の情報を埋め込み情報抽出部120を用いて取り出し(ステップS107)、取り出した<ediinfo>の情報に基づいて業務情報のデータのダウンロードを行う(ステップS108)。
【0062】
そして、新規業務処理部150が、業務情報の中に新規業務があるか否かを判定し(ステップS109)、新規業務がある場合には、新規業務処理を行う(ステップS110)。そして、フォーマット変換部160が、業務情報のデータのフォーマットに応じてフォーマット変換を行い(ステップS111)、社内業務システムへデータを転送する(ステップS112)。
【0063】
このように、WebEDIクライアント装置100は、画面のHTML記述に埋め込まれた画面操作対応処理情報を取り出し、取り出した画面操作対応処理情報に基づいて画面操作に対応する処理を自動的に行うことによって、業務情報を自動でダウンロードすることができる。
【0064】
上述してきたように、本実施例では、画面のHTML記述に画面入力を自動化するために必要な画面操作対応処理情報を埋め込んでWebEDIサーバ装置2001〜200nのWebEDIデータベース210に記憶し、画面のHTML記述を受信したWebEDIクライアント装置100の埋め込み情報抽出部120によって画面のHTML記述から取り出された画面操作対応処理情報に基づいて、ログイン処理部130がWebEDIサーバ装置2001〜200nに自動ログインし、ダウンロード部140がWebEDIサーバ装置2001〜200nから業務情報を自動ダウンロードすることとしたので、WebEDIサーバ装置ごとに異なる画面仕様に対応してクライアント側で開発を行うことなく、業務情報を効率良くダウンロードすることができる。
【0065】
また、本実施例では、WebEDIクライアント装置100の新規業務処理部150が、業務情報の中に新規業務があるか否かを判定し、新規業務がある場合には、新規業務処理を行うこととしたので、バイヤからの新規業務対応依頼に迅速に対応することができる。
【0066】
また、本実施例では、WebEDIクライアント装置100のフォーマット変換部160が、ダウンロード部140によってダウンロードされた業務情報のフォーマットが社内の業務システムが受け付けるデータフォーマットと異なる場合にフォーマットを自動変換して社内の業務システムに転送することとしたので、社内の業務システムとの自動連携を可能とすることができる。
【0067】
なお、本実施例では、画面のHTML記述にコメントとして画面操作対応処理情報を埋め込む場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、画面のXML記述に表示されない形態で情報を埋め込む場合にも同様に適用することができる。
【0068】
また、本実施例では、WebEDIクライアント装置およびWebEDIサーバ装置について説明したが、WebEDIクライアント装置およびWebEDIサーバ装置が有する構成をソフトウェアによって実現することで、同様の機能を有するWebEDIクライアントプログラムおよびWebEDIサーバプログラムを得ることができる。そこで、ここでは、WebEDIクライアントプログラムを実行するコンピュータについて説明する。
【0069】
図12は、本実施例に係るWebEDIクライアントプログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このコンピュータ300は、RAM310と、CPU320と、HDD330と、LANインタフェース340と、入出力インタフェース350と、DVDドライブ360とを有する。
【0070】
RAM310は、プログラムやプログラムの実行途中結果などを記憶するメモリであり、CPU320は、RAM310からプログラムを読み出して実行する中央処理装置である。
【0071】
HDD330は、プログラムやデータを格納するディスク装置であり、LANインタフェース340は、コンピュータ300をLAN経由で他のコンピュータに接続するためのインタフェースである。
【0072】
入出力インタフェース350は、マウスやキーボードなどの入力装置および表示装置を接続するためのインタフェースであり、DVDドライブ360は、DVDの読み書きを行う装置である。
【0073】
そして、このコンピュータ300において実行されるWebEDIクライアントプログラム311は、DVDに記憶され、DVDドライブ360によってDVDから読み出されてコンピュータ300にインストールされる。
【0074】
あるいは、このWebEDIクライアントプログラム311は、LANインタフェース340を介して接続された他のコンピュータシステムのデータベースなどに記憶され、これらのデータベースから読み出されてコンピュータ300にインストールされる。
【0075】
そして、インストールされたWebEDIクライアントプログラム311は、HDD330に記憶され、RAM310に読み出されてCPU320によってWebEDIクライアントプロセス321として実行される。
【0076】
また、本実施例では、WebEDIクライアント装置が直接WebEDIサーバ装置にアクセスする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、業務情報を中継するASP(Application Service Provider)のサーバ装置に複数のバイヤの業務情報を記憶し、WebEDIクライアント装置がASPのサーバ装置にアクセスする場合にも同様に適用することができる。ここで、ASPは1社とは限らず、WebEDIシステムは、複数のASPから構成されることもある。
【0077】
また、本実施例では、業務情報をダウンロードするWebEDIシステムについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、業務情報以外のデータをダウンロードするダウンロードシステム、ダウンロードサーバ装置、ダウンロードクライアント装置、ダウンロードサーバプログラム、ダウンロードクライアントプログラムなどにも同様に適用することができる。
【0078】
(付記1)データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をクライアント装置に送信するWebページ情報送信手順と、
前記Webページ情報送信手順により送信されたWebページ情報を受信して該Webページ情報から取り出したダウンロード画面操作対応処理情報を用いてデータのダウンロードを要求するクライアント装置に応答してデータを送信するデータ送信手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするダウンロードサーバプログラム。
【0079】
(付記2)前記データは、業務情報であることを特徴とする付記1に記載のダウンロードサーバプログラム。
【0080】
(付記3)データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をダウンロード装置から受信するWebページ情報受信手順と、
前記Webページ情報受信手順により受信されたWebページ情報から該Webページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を取り出す画面操作対応処理情報取得手順と、
前記画面操作対応処理情報取得手順により取り出されたダウンロード画面操作対応処理情報を用いて前記ダウンロード装置にデータのダウンロードを要求して該データを取得するデータ取得手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするダウンロードクライアントプログラム。
【0081】
(付記4)前記データは、業務情報であることを特徴とする付記3に記載のダウンロードクライアントプログラム。
【0082】
(付記5)前記データ取得手順により取得された業務情報に新規業務に関する新規業務情報があるか否かを判定し、新規業務情報がある場合に、該新規業務を対象業務に追加する新規業務追加処理手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記4に記載のダウンロードクライアントプログラム。
【0083】
(付記6)前記ダウンロード画面操作対応処理情報は、ダウンロードされる業務情報のフォーマット情報を含み、
前記データ取得手順により取得された業務情報のフォーマットを業務情報を処理する業務システムのフォーマットに前記フォーマット情報に基づいて変換するフォーマット変換手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記4または5に記載のダウンロードクライアントプログラム。
【0084】
(付記7)データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報を記憶するダウンロード装置と、
前記ダウンロード装置から前記Webページ情報を受信し、該受信したWebページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を用いて該ダウンロード装置にデータのダウンロードを要求するクライアント装置と、
を備えたことを特徴とするダウンロードシステム。
【0085】
(付記8)前記データは、業務情報であることを特徴とする付記7に記載のダウンロードシステム。
【0086】
(付記9)Webシステムを用いてデータをダウンロードするダウンロード方法であって、
データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報を記憶するサーバ装置からクライアント装置が該Webページ情報を取得するWebページ情報取得工程と、
前記Webページ情報取得工程により取得されたWebページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を用いてクライアント装置がサーバ装置にデータのダウンロードを要求してデータを取得するデータ取得工程と、
を含んだことを特徴とするダウンロード方法。
【0087】
(付記10)前記データは、業務情報であることを特徴とする付記9に記載のダウンロード方法。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明に係るダウンロードサーバプログラム、ダウンロードクライアントプログラムおよびダウンロードシステムは、データのダウンロード手順を標準化できる場合のWebを利用したデータのダウンロードに有用であり、特に、業務情報のダウンロードに適している。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施例に係るWebEDIシステムの概念を説明するための説明図である。
【図2】本実施例に係るWebEDIシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】接続先情報記憶部の一例を示す図である。
【図4】ログイン画面および対応するHTML記述の例を示す図(1)である。
【図5】ログイン画面および対応するHTML記述の例を示す図(2)である。
【図6】ログインの自動化に必要な情報を示す図である。
【図7】共通埋め込み情報の例を示す図(1)である。
【図8】共通埋め込み情報の例を示す図(2)である。
【図9】業務画面と共通埋め込み情報の例を示す図(1)である。
【図10】業務画面と共通埋め込み情報の例を示す図(2)である。
【図11】本実施例に係るWebEDIクライアント装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施例に係るWebEDIクライアントプログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【図13】従来のEDIシステムを示す図である。
【図14】WebEDIシステムの利用形態を説明するための説明図である。
【図15】WebEDIシステムの操作例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
10 インターネット
100 WebEDIクライアント装置
110 接続先情報記憶部
120 埋め込み情報抽出部
130 ログイン処理部
140 ダウンロード部
150 新規業務処理部
160 フォーマット変換部
170 制御部
2001〜200n WebEDIサーバ装置
210 WebEDIデータベース
220 クライアント要求処理部
300 コンピュータ
310 RAM
311 WebEDIクライアントプログラム
320 CPU
321 WebEDIクライアントプロセス
330 HDD
340 LANインタフェース
350 入出力インタフェース
360 DVDドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をクライアント装置に送信するWebページ情報送信手順と、
前記Webページ情報送信手順により送信されたWebページ情報を受信して該Webページ情報から取り出したダウンロード画面操作対応処理情報を用いてデータのダウンロードを要求するクライアント装置に応答してデータを送信するデータ送信手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするダウンロードサーバプログラム。
【請求項2】
データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報をダウンロード装置から受信するWebページ情報受信手順と、
前記Webページ情報受信手順により受信されたWebページ情報から該Webページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を取り出す画面操作対応処理情報取得手順と、
前記画面操作対応処理情報取得手順により取り出されたダウンロード画面操作対応処理情報を用いて前記ダウンロード装置にデータのダウンロードを要求して該データを取得するデータ取得手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするダウンロードクライアントプログラム。
【請求項3】
前記データは、業務情報であることを特徴とする請求項2に記載のダウンロードクライアントプログラム。
【請求項4】
前記データ取得手順により取得された業務情報に新規業務に関する新規業務情報があるか否かを判定し、新規業務情報がある場合に、該新規業務を対象業務に追加する新規業務追加処理手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項3に記載のダウンロードクライアントプログラム。
【請求項5】
データのダウンロードを要求する利用者によるWeb画面の一連の操作に対応して行う処理に必要な情報がダウンロード画面操作対応処理情報として埋め込まれたWebページ情報を記憶するダウンロード装置と、
前記ダウンロード装置から前記Webページ情報を受信し、該受信したWebページ情報に埋め込まれたダウンロード画面操作対応処理情報を用いて該ダウンロード装置にデータのダウンロードを要求するクライアント装置と、
を備えたことを特徴とするダウンロードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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