説明

ダクト配管システム

【課題】輸送および保管のコストの圧縮と、良好な施工性さらには断熱性能を兼ね備えたダクト配管システムを提供する。
【解決手段】直管部が折り畳み可能な板状体を筒状にしたダクト(1)から主として構成され、曲がり部がラセン状またはリング状の補強芯材を有する断熱可撓性のダクト(2)から主として構成されており、ダクト(1)とダクト(2)が連結されているダクト配管システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用ダクトシステムに関するもので、特には高気密高断熱住宅および集合住宅における空調換気用ダクトシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調用ダクトは、大規模建築物における不燃性というニーズから金属製ダクト、または、金属製ダクトにガラスウールなどの断熱材を巻き付けたものが一般的であり、不燃というニーズがない戸建て住宅においてもその延長で利用されている。その結果としてダクトの施工専門性が要求されるため、住宅コストと納期に悪影響を及ぼしていた。
【0003】
しかしながら、近年戸建て住宅用ダクトの需要が高気密高断熱住宅における換気システムの標準装備として高まるにつれ、各種の断熱可撓性ダクト類が開発され、柔軟で施工性が良く、施行に専門性が必要でないダクトとして広範に使用されるに至っている(特許文献1)。
【0004】
しかし、このようなダクト類は一般に螺旋成形による可撓管形状であり、一戸あたり使用される約60m程度のダクトを巻き梱包した状態で、約2.5mの嵩高さとなり、輸送性および保管性に問題があった。また、ツーバイフオー(2×4)住宅に代表される各階の間の上下空間が狭い住宅において、ダクト断面形状をオーバルまたは長方形にして断面積を拡大し風量を増大させることは螺旋連続成形の特性上、困難であった。
【0005】
一方、段ボールという汎用的な断熱材を利用し、折り畳みによって輸送コストを削減できるダクトも提案(特許文献2)されているが、これは直管としての提案にとどまるものであり、可撓性を有さない故に施工の自由度は低く、専門業者の配管技術に委ねざる得ないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−195635号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2002−267245号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、輸送および保管のコストの圧縮と、良好な施工性さらには断熱性能を兼ね備えたダクト配管システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、直管部が折り畳み可能な板状体を筒状にしたダクト(1)から主として構成され、曲がり部がラセン状またはリング状の補強芯材を有する断熱可撓性のダクト(2)から主として構成されており、ダクト(1)とダクト(2)が連結されているダクト配管システムにより達成される。
また、上記ダクト(1)の組み立て立体化とダクト(1)と上記ダクト(2)の連結を、ダクトを設置する現場で行う上記ダクト配管システムの組み立て方法により上記目的は達成される。
【0009】
また、好ましくは、繋ぎ部材もしくは分岐部材を介して、または介さずに直接、ダクト(1)とダクト(2)が連結されており、繋ぎ部材あるいは分岐部材がダクト(1)の外周または内周に見合う形状の挿入部を有するか、あるいは直接にダクト(1)とダクト(2)が連結されている場合にはダクト(2)が、ダクト(1)との接続部において、ダクト(1)の外周または内周に見合う形状の挿入部を有している上記ダクト配管システムである。
また、好ましくは、ダクト(1)が、四角形以上の多角形である断面形状を有し、ダクト(1)を構成する板状体が上下2枚の平面板間に波状板を挟み込んだ段ボール構造を有し、上下2枚の平面板の少なくとも一方が気密性を有す気密板であり、ダクト(2)が、補強芯材を有する内管部、その上に設けられた断熱層部、および最外層に設けた気密保護部からなる構造であり、その端部が、繋ぎ部材または分岐部材の端部に適合できる形状であるか、あるいは繋ぎ部材または分岐部材を介することなく直接ダクト(1)に連結する場合には、ダクト(2)の端部がダクト(1)端部に適合した形状である上記ダクト配管システムである。
【0010】
さらに、好ましくは、ダクト(1)の外周または内周に見合う円周の端部を有するダクト(2)とダクト(1)が、いずれか一方が他方に直接挿入することにより接続されており、挿入接続部が塑性気密粘着テープにより気密処理されて固定されている上記ダクト配管システムである。
さらに、好ましくは、全ての部材の最外層が、アルミ箔、樹脂フィルムとアルミ箔のラミネートフィルム、金属蒸着樹脂フィルムのいずれかにより被われている上記のダクト配管システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輸送および保管時のダクト(1)は折り畳まれ、重ねられた状態にあるので輸送および保管コストを圧縮することが可能であり、さらに繋ぎ部材もしくは分岐部材を介して、または直接、ダクト(2)に接続することによって折り畳まれた状態のダクト(1)を建物建築現場で瞬時に立体化することが可能であり、さらにはダクト(2)の柔軟特性によって曲がり配管など施工も容易な断熱性のあるダクト配管システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】折り畳み可能な板状体が、繋ぎ部材に挿入されて筒状に立体化され[ダクト(1)]、塑性気密粘着テープにより、繋ぎ部材を介して、ラセン状またはリング状の補強芯材を有する断熱可撓性のダクト(2)に固定した状態を示す、一部断面図を含む斜視図である。
【0013】
【図2】板状体が、直接、ラセン状またはリング状の補強芯材を有する断熱可撓性のダクト(2)に挿入されて立体化され[ダクト(1)]、空隙を塑性気密粘着テープによって固定された状態を示す、一部断面図を含む斜視図である。
【0014】
【図3】外部気密の筒状体[ダクト(1)]の一例を示す断面図である。
【図4】内部気密の筒状体[ダクト(1)]の一例を示す断面図である。
【図5】気密板同士が背中合わせとなるように貼られた、外部気密の筒状体[ダクト(1)]の一例を示す断面図である。
【図6】気密板同士が拝み合わせとなるように貼られた、内部気密の筒状体[ダクト(1)]の一例を示す断面図である。
【0015】
【図7】最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)に、筒状体[ダクト(1)]を挿入し、組み合わせた断面図である。
【図8】最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)を、筒状体[ダクト(1)]に挿入し、組み合わせた断面図である。
【図9】気密板同士が拝み合わせとなるように貼り合わされ筒状体をなした内部気密の筒状体[ダクト(1)]に、最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)を挿入し、組み合わせた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を図面により説明する。
図1および2は、本発明ダクト配管システムのうちの連結部の代表的な一例を示すものである。
図1は、筒状体[ダクト(1)、図中の符号1]が、繋ぎ部材5に挿入されて立体化され、塑性気密粘着テープ4により、繋ぎ部材を介して断熱可撓性なダクト(2)に固定した状態を示す、一部断面図を含む斜視図である。
図2は、筒状体[ダクト(1)]が、直接、断熱可撓性なダクト(2)11へ挿入されて立体化され、空隙を塑性気密粘着テープ4によって固定された状態を示す、一部断面図を含む斜視図である。
【0017】
図3〜6は、段ボール構造のダクト(1)における気密板の位置と、筒状体化に伴う貼り合わせ形態を示す断面図であり、その内、図3は外部気密の一例、図4は内部気密の一例、図5は気密板同士が背中合わせとなるように貼られた外部気密の一例、図6は気密板同士が拝み合わせとなるように貼られた内部気密の一例をそれぞれ示す。
図7〜9は、各種の筒状体[ダクト(1)]と、最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)のいずれか一方が他方に直接挿入され、組み合わされた状態を示す断面図であり、その中の図7は、最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)にダクト(1)を挿入し組み合わせた一例、図8は、最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)を、ダクト(1)に挿入し組み合わせた一例、図9は、気密板同士が拝み合わせとなるように貼り合わされ筒状体をなした内部気密のダクト(1)に、最外層に気密保護を有する円筒状の断熱可撓性のダクト(2)を挿入し、組み合わせた一例の断面図である。
【0018】
図1において、本発明を構成するダクト(1)は、どのような板状断熱材で形成されていてもよいが、折り畳まれた状態から立体化する容易さおよび構造の単純化を考えると、方向性のある折り曲げが容易である材料であることが望ましく、上下2枚の板材の間に波状の畝を有する段ボール構造であることが好ましく、具体的な段ボール構造物としては、古紙段ボール、プラスチック段ボールなどが好適である。このうち最も好適な材料は、古紙段ボールの最上層もしくは最下層、またはその双方に気密および防水性を持たせる加工(例えば金属箔や樹脂フィルム等を貼りあわせ)が施された気密板であり、長さ方向に畝を沿わせた状態で長さ方向の直進強度を高め、ケイ酸塩やホウ酸塩などで難燃化し火災時の安全対策を施した気密古紙段ボールが望ましい。そして、その総厚さは特に限定されるものではないが、5〜15mmの範囲にあることが汎用性および断熱性と折り畳み性、作業性等を考慮した結果好ましい。
【0019】
ダクト(1)を構成する板状断熱材は、気密性を生かす形態で筒状体化されていることが重要であり、詳細は図3〜6において説明するが、例えば、アルミ粘着テープに代表される塑性を有する気密粘着テープ4で筒状体化される様に繋がれている形態が挙げられる。
【0020】
筒状体[ダクト(1)]の断面形状は、とくに制限されるものでなく、三角形、四角形、あるいはそれ以上の多角形、さらには円形などが挙げられるが、施工時における立体化工程を手早く行うためには、長さ方向に折りスジを設け、折りスジ部分をヒンジとして立体化する形態が好ましく、併せて圧力損失の低減を考慮すると、正四角形以上の多角形、とくに正六角形〜正八角形の多角形構造が最適である。
筒状体[ダクト(1)]の断面積としては、ダクト長さ方向に対して垂直な断面での内部断面積が7〜700cmとなるような程度が、本発明の主用途である高気密高断熱住宅および集合住宅における設置場所である小屋根裏の一般的なスペースの問題から、配管施工の点で好ましい。
【0021】
繋ぎ部材5は、筒状体[ダクト(1)]の外周または内周に見合う接合可能な挿入部6を少なくとも一端に有するものであり、他端は、円筒状の断熱可撓性のダクト(2)(図1で示す11)を接合できる形態のものが好ましい。繋ぎ部材の材質は、あらゆる材質で成型可能であるが、断熱性能および成形性から考えると発泡スチロールなど独立気泡を有する硬質樹脂が最適である。繋ぎ部材の管径としては、ダクト(1)が端部に挿入またはダクト(1)内に端部が挿入できる太さならば特に問題はなく、好ましくは挿入した場合に間に形成される隙間が極力狭くなるような太さが好ましい。また、繋ぎ部材の長さとしては、両端部がそれぞれダクト(1)およびダクト(2)と挿入し、表面を気密粘着テープ等で表面をカバーすることにより、抜けない程度以上であれば問題ない。
【0022】
繋ぎ部材の一方の端部をダクト(1)の断面形状と同様の例えば6角形等の多角形とすることは繋ぎ部材とダクト(1)との連結部の隙間を減らすことができることから好ましい。またダクト(2)と繋ぎ部材との連結部においても、繋ぎ部材のダクト(2)との連結部表面に、ダクト(2)の内面に存在しているラセン状補強芯材による突出が嵌るような溝を設けておくのが好ましい。
【0023】
また、本発明で分岐部材とは、上記繋ぎ部材の両端部の間に他のダクト等を連結できるような端部を両端部以外に少なくとも1個有しているものである。例えばY字型、T字型、+字型、K字型等の3個以上の端部を有するものが挙げられる。
【0024】
繋ぎ部材とダクト(1)および繋ぎ部材とダクト(2)との接続は、限定されるものではないが、アルミ粘着テープに代表される塑性を有する気密粘着テープ4が好適であり、テープによる隙間封鎖による気密処理と併せて接合12もされることとなる。
【0025】
ダクト(2)は、従来からダクト配管に用いられているラセン状またはリング状の補強芯材を内管に有し、この内管と最外層に設けた気密保護層との間に、断熱材層を有する円筒状のものが好ましい。ラセン状またはリング状の補強芯材としては、金属製または樹脂製のものが代表的であり、太さとしては 直径0.8〜10mmのものが好ましい。そしてラセン状またはリング状の補強芯材のピッチとしては、10〜100mmがダクト(2)の円形断面形状を保つ上で好ましい。最外層に設ける気密保護層としては、アルミ箔や金属蒸着フィルム、樹脂フィルム、樹脂コーティング層等が挙げられ、断熱層としては、樹脂発泡体層、不織布層、ガラスウール等が挙げられる。そして、このダクト(2)は、本発明のダクト配管システムにおいて、主として、曲がり部に用いられる。もちろん、直管部の一部として用いることも可能であるが、本発明のメリットが低下する。
【0026】
図2においては、本発明を構成するダクト(1)は、繋ぎ部材を介することなく、断熱可撓性のダクト(2)に直接に挿入されることにより立体化されており、この挿入はダクト(1)とダクト(2)のどちらが上部(外部)となっていてもよい。
しかしながら、前記したようにダクト(1)は、その断面が多角形であるのが好ましく、多角形である場合にはダクト(1)と円筒であるダクト(2)の間では必然的に空隙13が形成されることとなる。したがって、空隙を最小限とし、且つ、挿入性を考慮した口径組み合わせが肝要であり、望ましくは、ダクト(1)の多角形最大外径(対角線)とダクト(2)の円筒内径がほぼ等しい状態でダクト(1)をダクト(2)内部へ挿入するか、ダクト(1)最小内径とダクト(2)の円筒外径がほぼ等しい状態で、ダクト(2)をダクト(1)内部へ挿入する場合である。
【0027】
この形成された空隙は、空調工事で汎用的に用いられるアルミ粘着テープに代表される塑性気密粘着テープなどにより気密処理が施され、併せて接合される。
【0028】
図3〜6において、本発明を構成するダクト(1)の段ボール構造と気密板3の位置関係および位置関係に伴う気密粘着テープ4、または、“のりしろ”による筒状体化構造を例示した。
【0029】
図3は、段ボール構造である板状断熱材の最上層に気密板3が位置し、外部気密を有する筒状体を示すものであり、気密板3と同材質の気密粘着テープ4で合わせ部14を塞ぐ様に貼り合わすことを示すものであり、類似形態として気密板3のみを延長した“のりしろ”を設け、重ね合わせて接合することも考えられるが、各種口径に対応させ板状断熱材を裁断するのみで原材料を統合でき、生産性を向上させるという観点から、図示した気密粘着テープによる貼り合わせ方法が好適であり、図7のごとく、繋ぎ部材や断熱可撓性のダクト(2)の内部に挿入するか、または、図8のごとく挿入される形態で利用可能である。尚、この構造の亜種として、段ボール構造における気密板が上下両層に配されている形態においても同様に利用可能である。
【0030】
図4は、段ボール構造の最下層に気密板3が位置し、内部気密を有する筒状体を示すものであり、気密板3と同材質の気密粘着テープ4で合わせ部を塞ぐ様に貼り合わすことを示すものであり、類似形態として気密板3のみを延長した“のりしろ”を設け、重ね合わせて接合することも考えられるが、図3と同様に、図示した気密粘着テープによる貼り合わせ方法が好適である。しかしながら、筒状体内部への加工性に難点があり、図3のものと比較した場合には、図3のものがより好適な形態例である。
【0031】
図5は、段ボール構造の最上層に気密板3が位置し、板状断熱材の一部を“のりしろ”15として気密板同士が背中合わせとなるように貼られた外部気密を有する筒状体を示し、断熱可撓性のダクト(2)の内部に挿入する形態で利用可能であるが、隙間が広いことから挿入されることは困難であり、さらには、筒状体内部に“のりしろ”が突出することによって圧力損失が大きいことなど、実用における問題を有している。
【0032】
一方、図6は、段ボール構造の最下層に気密板3が位置し、板状断熱材の一部を“のりしろ”として気密板同士が拝み合わせとなるように貼られた内部気密を有する筒状体を示し、その外部突起を有する形状から、繋ぎ部材や断熱可撓性のダクト(2)の内部に挿入することは困難であるが、挿入されることは、図9のごとく可能である。また、この外部突起は構造的な補強効果もあり、適宜な大きさと間隔で穴16をあけることで、ダクトの吊り下げ時のフックポイントとして利用することも可能である。尚、この構造の亜種として、段ボール構造における気密板3が上下両層に配されている形態においても同様に利用可能であり、図6は、好適な形態例である。
【実施例】
【0033】
次に、本発明を実施例で説明する。
【0034】
実施例1
厚さ10mm、長さ1800mm、幅360mmの板状古紙段ボールに、固形分が10重量%であるホウ酸塩水溶液を塗付乾燥して難燃処理した材質に、気密処理として上下両面に100μmの厚さのアルミ箔を貼り、60mm間隔で畝に沿って縦スジを設けて折り曲げ易くし、図3のごとく、端部を突き合わせた六角柱状態で、幅50mm厚さ100μmのアルミ粘着テープで貼り合わせ、外周一辺が60mmの正六角柱の筒状体(ダクト1)とした。
【0035】
断熱可撓性のダクト(2)として、内径115mm、40カーボン(高鋼線の含有カーボン量…ピアノ線は80カーボン程度であり、40カーボンというと針金より反発があるがピアノ線ほど硬くないもの)0.8mmφワイヤ補強螺旋芯材付き(芯材ピッチ:25mm)内管上に、気密保護層として肉厚10mmのウレタン発泡体および最外層として厚さ50μのアルミ蒸着気密ポリエステルフィルムを配した、長さ1000mmのものを用いた。この断熱可撓性のダクト(2)を上記筒状体の形状に合わせ変形させながら100mm挿入し、幅100mmのアルミ粘着テープを、各々に、およそ50mm程度被る様に巻いて貼り付け、ヘラでしごきながら気密接合を行い、連結ダクトを作製した。
【0036】
実施例2
実施例1で作製した2本の筒状体[ダクト(1)]をV字状に配列し各100mm挿入できる六角断面ニップル2口と、内径115mm(外径135mm)の断熱可撓性ダクトを100mm挿入できる内径135mmのニップル1口を有する肉厚10mmの発泡スチレン性のY字分岐状繋ぎ部材に、各々実施例1の要領で気密接合し、連結ダクトを作製した。
【0037】
実施例1および実施例2どちらの場合に於いても、100mmAqにおける気密性は保たれており、且つ、折り畳まれた筒状体は建築現場で容易に立体化され、その形状で固定化された。さらにダクト(2)の部分は自由に曲げることができるため、建物の角壁面に沿って容易に取り付けることができた。このことから、筒状体と繋ぎ部材および断熱可撓性ダクトの組み合わせによって、折り畳まれた筒状体によって部材納入時および移送時のの体積を減量しながら、容易にダクト配管が可能であることが示された。
【0038】
このように、本発明によれば、ダクトの大半を占める直管部のダクト(1)は、輸送および保管時は折り畳まれた状態にあるので輸送および保管コストを圧縮することが可能であり、さらに繋ぎ部材または断熱可撓性ダクトへの接続によって折り畳まれた状態から瞬時に立体化することが可能であり、さらには断熱可撓性のダクト(2)の柔軟特性によって曲がり配管など施工も容易な断熱性のあるダクト配管システムを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、空調用ダクトシステム、特に高気密高断熱住宅における空調換気ダクトシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 筒状体
2 段ボール構造
3 気密板
4 気密粘着テープ
5 繋ぎ部材
6 挿入部
7 補強芯
8 内管
9 気密保護層
10 断熱材層
11 断熱可撓性ダクト
12 接合
13 空隙
14 合わせ部
15 “のりしろ”
16 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管部が折り畳み可能な板状体を筒状にしたダクト(1)から主として構成され、曲がり部がラセン状またはリング状の補強芯材を有する断熱可撓性のダクト(2)から主として構成されており、ダクト(1)とダクト(2)が連結されているダクト配管システム。
【請求項2】
繋ぎ部材もしくは分岐部材を介して、または介さずに直接、ダクト(1)とダクト(2)が連結されており、繋ぎ部材あるいは分岐部材がダクト(1)の外周または内周に見合う形状の挿入部を有するか、あるいは直接にダクト(1)とダクト(2)が連結されている場合にはダクト(2)が、ダクト(1)との接続部において、ダクト(1)の外周または内周に見合う形状の挿入部を有している請求項1記載のダクト配管システム。
【請求項3】
ダクト(1)が、四角形以上の多角形である断面形状を有し、ダクト(1)を構成する板状体が上下2枚の平面板間に波状板を挟み込んだ段ボール構造を有し、上下2枚の平面板の少なくとも一方が気密性を有す気密板であり、ダクト(2)が、補強芯材を有する内管部、その上に設けられた断熱層部、および最外層に設けた気密保護部からなる構造であり、その端部が、繋ぎ部材または分岐部材の端部に適合できる形状であるか、あるいは繋ぎ部材または分岐部材を介することなく直接ダクト(1)に連結する場合には、ダクト(2)の端部がダクト(1)端部に適合した形状である請求項1または2に記載のダクト配管システム。
【請求項4】
ダクト(1)の外周または内周に見合う円周の端部を有するダクト(2)とダクト(1)が、いずれか一方が他方に直接挿入することにより接続されており、挿入接続部が塑性気密粘着テープにより気密処理されて固定されている請求項1〜3のいずれかに記載のダクト配管システム。
【請求項5】
全ての部材の最外層が、アルミ箔、樹脂フィルムとアルミ箔のラミネートフィルム、金属蒸着樹脂フィルムのいずれかにより被われている請求項1〜4のいずれかに記載のダクト配管システム。
【請求項6】
ダクト(1)の組み立て立体化とダクト(1)とダクト(2)の連結を、ダクトを設置する現場で行う請求項1〜5のいずれかに記載のダクト配管システムの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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