説明

ダッタンソバ微粉末の製造方法

【課題】食する際に口中で硬さやざらつきを感じることなく、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分を効果的に摂取することができるダッタンソバ微粉末を簡易に製造すること。
【解決手段】ダッタンソバ粗粒が、ダッタンソバの穀粒を水に浸漬して穀粒の中心部まで水を浸透させた後、蒸して前記穀粒をアルファ化し、次いで、蒸した穀粒を粉砕して殻を取り除き、乾燥、焙煎することで得られたダッタンソバ粗粒を粉砕機により平均粒径70μm以下に粉砕してダッタンソバ微粉末を得る。かかるダッタンソバ微粉末が用いられた飲食品は、食する際に口中で硬さやざらつきを感じることなく、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分の効果的な摂取を可能とすると共に、ダッタンソバの有する良好な風味を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法、かかる製造方法により得られたアルファ化されたダッタンソバ微粉末、及びアルファ化されたダッタンソバ微粉末を用いた飲食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、ダッタンソバの実を原料に用いたダッタンソバ茶(苦そば茶)を提案している(特許文献1参照)。このダッタンソバ茶は、普通の煎茶と同じように熱湯で煮出して飲むことができるようにしたもので、その製造にあたっては、ダッタンソバの穀粒を水に浸漬して穀粒の中心部まで水を浸透させた後、飽和水蒸気で蒸し、更に過熱蒸気により完全にアルファ化された穀粒を乾燥して殻を取り除いた後、ダッタンソバの実を平均粒径0.5〜3.0mmに粉砕し、この粉砕物を、温度180〜200℃、2.1分間ほど焙煎処理している。かかるダッタンソバ茶は、ダッタンソバ特有の味及び香りを有する、まろやかで飲みやすい茶飲料として既に市販されている他、ふりかけ等の材料にも使われるようになっている。ダッタンソバは、タンパク質、ビタミン、ミネラル等の栄養素を豊富に含み、特に血圧降下に有効とされるルチンも多量に含んでいることから、健康飲料としてもきわめて有用である。その他、本出願人は、ルチン含有量の減少を抑制するために、ダッタンソバ穀粒に水蒸気を用いた湿熱処理を施し、ソバ子実中に含まれているルチン分解酵素を実質的に失活せしめた後、前記ソバ子実を平均粒径80〜150μmに製粉するダッタンソバ粉の製造方法についても提案している(特許文献2参照)。
【0003】
また、ダッタンソバ茶に関しては、ダッタンソバに含まれる栄養素をより効率よく摂取するため、若しくは使用方法の幅をもたせるために、ダッタンソバ粉を造粒して焙煎を行う方法(特許文献3参照)や、ダッタンソバの穀粒にソバの葉抽出液を浸透させる方法(特許文献4参照)や、ダッタンソバ茶を抽出した後にその残渣を酵素分解してスプレードライにより粉末化する方法(特許文献5参照)等が提案されている。さらに、ダッタンソバではないが、日本ソバ焙煎物の粉を、「そば香料粉」としてソバ米を炊飯し、これを乾燥させて糒とし、この糒を焙煎して製粉する方法(特許文献6参照)等も提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−308470号公報
【特許文献2】特開平11−75743号公報
【特許文献3】特開2005−261272号公報
【特許文献4】特開2005−168397号公報
【特許文献5】特開平4−237480号公報
【特許文献6】特開平7−059526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1におけるダッタンソバの実を原料に用いたダッタンソバ茶は、タンパク質、ビタミン、ミネラル等の栄養素を豊富に含み、また血圧降下に有効とされるルチンも多量に含んでいるが、抽出後にいわゆる茶殻が生じるため、その栄養素が必ずしも有効に摂取できるという状態にあるわけではない。また、ダッタンソバ茶をそのまま摂取しようとする際には、ダッタンソバが有する栄養素は有効に摂取できるものの、焙煎されているために非常に硬く食べにくく、ソバ、菓子等の食材に使用するのは非常に困難であった。さらに、特許文献3で提案されているダッタンソバ粉を焙煎する方法は、焙煎の調整が難しく焦げが出やすく、ルチン分解酵素の失活処理がされていないため、ルチンがケルセチンへと分解され、苦味を感じるようになるという問題がある。また、特許文献5で提案されている方法では、酵素分解やスプレードライといった手法を用いるためコストが高く、菓子類などに気軽に利用できる価格に抑えるのは難しく、また、茶として使用する場合には、スプレードライ等の処理によって香気が飛んでしまい、香ばしさが乏しいという問題がある。さらに、特許文献6で提案されているソバ米を炊飯して糒とし、これを焙煎する方法は、ソバの実とソバ殻が容易に分離でき、通常のソバ米が作れる普通ソバや宿根ソバに限定された方法であり、ソバの実とソバ殻が密着したダッタンソバには適用することができない。
【0006】
本発明の課題は、食する際に口中で硬さやざらつきを感じることなく、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分を効果的に摂取することができるダッタンソバ微粉末を製造する方法、かかる製造方法によって製造されたダッタンソバ微粉末、及びかかるダッタンソバ微粉末を用いた飲食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルファ化され、かつ、殻が取り除かれたダッタンソバ粗粒を粉砕機により粉砕することで、所望の微粉末の製造が可能となることを見い出すと共に、平均粒径70μm以下に粉砕することで、口中で硬さやざらつきを感じることなくダッタンソバ微粉末を食することができ、これにより、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分を効果的に摂取することが可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)アルファ化され、かつ、殻が取り除かれたダッタンソバ粗粒を、粉砕機により平均粒径70μm以下に粉砕することを特徴とするアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法や、(2)ダッタンソバ粗粒が、ダッタンソバの穀粒を水に浸漬して穀粒の中心部まで水を浸透させた後、蒸して前記穀粒をアルファ化し、次いで、蒸した穀粒を粉砕して殻を取り除き、乾燥、焙煎することで得られたダッタンソバ粗粒であることを特徴とする上記(1)記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法や、(3)粉砕機として、気流式粉砕機又は衝撃式粉砕機を用いることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法や、(4)ダッタンソバ粗粒を平均粒径50μm以下に粉砕することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法に関する。
【0009】
また、本発明は、(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の製造方法により得られるアルファ化されたダッタンソバ微粉末に関する。
【0010】
さらに、本発明は、(6)上記(5)記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末2〜10質量部を、日本ソバ粉100質量部に混合・攪拌し、次いで製麺することを特徴とするダッタンソバ入麺の製造方法や、(7)上記(5)記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末100質量部に対して、親水性結合剤を10〜30質量部を混合・攪拌し、次いで造粒を行った後、乾燥することを特徴とするダッタンソバ顆粒の製造方法や、(8)上記(5)記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末を調味液に添加してダッタンソバペーストを調製し、該ダッタンソバペーストで豆又は種実をコーティングし、次いで乾燥することを特徴とするダッタンソバコーティング豆菓子の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のダッタンソバ微粉末の製造方法によれば、食する際に口中で硬さやざらつきを感じることなく、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分を効果的に摂取することができるダッタンソバ微粉末を簡易に製造することができる。かかるダッタンソバ微粉末が用いられた飲食品は、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分の効果的な摂取を可能とすると共に、ダッタンソバの有する良好な風味を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法としては、アルファ化され、かつ、殻が取り除かれたダッタンソバ粗粒を、粉砕機により平均粒径70μm以下に粉砕する方法であれば特に制限されるものではなく、本発明における平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定される粒径のメジアン径(50%粒径)をいい、例えば、Microtrac 9.0LC(MT3000 Standard Dry)(日機装株式会社製)により測定することができる。
【0013】
本発明の製造方法においては、上記のように、ダッタンソバ粗粒を粉砕機により平均粒径70μm以下に粉砕するが、平均粒径50μm以下に粉砕することが口触りがより良好となることから好ましい。ダッタンソバ粗粒の粒径の下限は、ダッタンソバ独特の風味を十分に呈することができる程度であることが好ましく、一般的には平均粒径20μm程度であり、好ましくは平均粒径30μm程度である。したがって、平均粒径は、20〜50μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。また、茶用微粉末として用いる場合には、特に風味が重要になることから、香気が飛ばないように、短時間で粉砕処理することが望ましいため、平均粒径40μm程度であることが好ましい。
【0014】
ダッタンソバ微粉末の粒径を上記のような粒径に調整する方法としては、既知の粉砕機を用いて行うことができ、かかる粉砕機としては、例えば、気流式粉砕機、衝撃式粉砕機、手動式石臼製粉機、電動式石臼製粉機、ロール製粉機などを挙げることができ、歩留りよく、所望の粒径のダッタンソバ微粉末をより確実かつ効率的に得られることから、気流式粉砕機、衝撃式粉砕機が好ましく、衝撃式粉砕機が特に好ましい。
【0015】
本発明におけるアルファ化され、かつ、殻が取り除かれたダッタンソバ粗粒とは、一般的なアルファ化処理が施され、かつ、胚芽及び胚乳部、並びにそれらの周囲にある甘皮からなる子実の外側を取り囲んでいる外殻が取り除かれたものをいい、かかるダッタンソバ粗粒を調製する場合、アルファ化処理及び殻を取り除く処理(脱殻処理)の順序は特に問わないが、歩留りよく、かつ、アルファ化を十分に進めることができると共に殻を容易かつ確実に取り除くことができることから、アルファ化処理を行った後に脱殻処理を行うことが好ましい。また、ダッタンソバ粗粒は、本発明のダッタンソバ微粉末に芳醇な香り及び風味を付与するために焙煎されたものであることが好ましい。
【0016】
具体的に、本発明におけるダッタンソバ粗粒の調製方法としては、ダッタンソバの穀粒を10〜35℃の水に浸漬して穀粒の中心部まで水を浸透させた後、蒸して前記穀粒をアルファ化し、次いで、蒸した穀粒を粉砕して殻を取り除き、乾燥、焙煎する方法や、ダッタンソバの穀粒を水に浸漬して穀粒の中心部まで水を浸透させた後、蒸して前記穀粒をアルファ化し、次いで、蒸した穀粒を乾燥した後に粉砕して殻を取り除き、焙煎する方法を挙げることができ、製品として使用できなくなる0.5mm以下の砕けが少なくなる点から、前者の方法を用いることが好ましい。
【0017】
上記ダッタンソバ粗粒の調製における殻粒を粉砕して殻を取り除く方法(脱殻方法)としては特に制限されるものではないが、アルファ化されたダッタンソバ穀粒を、例えば、平均粒径が0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.0mm程度に粉砕した後、篩にかけて殻を取り除く方法を挙げることができる。また、乾燥処理は、熱風乾燥が好ましく、例えば、120〜150℃程度で行うことができる。焙煎処理は、150〜250℃で1〜5分間程度行うことが好ましく、焙煎したダッタンソバ粗粒の容積が焙煎前と比較して1〜2倍になるように処理することが好ましい。
【0018】
以上のように製造されたダッタンソバ微粉末は飲食品に添加して用いることができ、かかるダッタンソバ微粉末が用いられた飲食品は、食する際に口中で硬さやざらつきを感じることなく、ダッタンソバに含まれるルチン等の有効成分の効果的な摂取を可能とすると共に、ダッタンソバの有する良好な風味を有する。
【0019】
本発明のダッタンソバ入麺の製造方法としては、上記ダッタンソバ微粉末2〜10質量部を、日本ソバ粉100質量部に混合・攪拌し、次いで製麺する方法であれば特に制限されるものではなく、ダッタンソバ微粉末の混合割合は、好みに応じて、上記範囲内で適宜決定することができる。なお、製麺の際には、小麦粉、山芋、卵等のつなぎを加えてもよい。
【0020】
本発明のダッタンソバ顆粒の製造方法としては、上記ダッタンソバ微粉末100質量部に対して、親水性結合剤を10〜30質量部を混合・攪拌し、次いで造粒を行った後、乾燥する方法であれば特に制限されるものではなく、親水性結合剤とは、ダッタンソバ微粉末の液体への溶解性を向上させることができる結合剤をいい、例えば、α−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、マルトデキストリン等のデキストリン、メトローズ(登録商標)等を挙げることができ、具体的には、パインデックス#100(松谷化学工業株式会社製)が好ましい。造粒法としては、例えば、湿式高せん断造粒法、回転造粒法、流動層造粒法、乾式造粒法、押出し造粒法等を挙げることができ、中でも、流動層造粒法が好ましい。製造される顆粒の粒径としては、平均粒径が、0.5〜3.0mmであることが好ましく、1.0〜1.5mmであることがより好ましい。なお、平均粒径とは、上記微粉末の場合と同様に、レーザー回折・散乱法により測定される粒径のメジアン径(50%粒径)を意味する。
【0021】
上記のようにして製造したダッタンソバ顆粒は、例えば水(湯)に溶解してダッタンソバ茶を製造することができる。かかる顆粒は、ダッタンソバ微粉末よりも溶解性が高く、冷水に溶解することも可能となる。このようにして製造されたダッタンソバ茶は、ダッタンソバ特有の香気を有し、口当たりがよく、残渣を生じることもない。また、ダッタンソバ顆粒は、牛乳、豆乳、茶飲料、果実飲料、機能性飲料、風味調味料等に添加して用いることもできる。
【0022】
本発明のダッタンソバコーティング豆菓子の製造方法としては、ダッタンソバ微粉末を調味液に添加してダッタンソバペーストを調製し、該ダッタンソバペーストで豆又は種実をコーティングし、次いで乾燥する方法であれば特に制限されるものではなく、豆、種実は、食用の豆、種実であれば特に限定されず、例えば、落花生、大豆、エンドウマメ、ソラマメ、胡桃、アーモンド、栗等を挙げることができる。調味液としては、例えば、醤油、味噌、塩、一味唐辛子、七味唐辛子、砂糖、ソース、柚子粉、化学調味料、胡椒、かつお節粉末、ソバつゆ等を含有した調味液を挙げることができる。
【0023】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
[実施例1]
(ダッタンソバ微粉末の製造)
ダッタンソバ殻粒を水中に所定時間浸漬して殻粒の中心部まで湿潤(浸透)させた後、密閉した容器中に収納して飽和水蒸気で蒸し、更に過熱蒸気により殻粒を完全にアルファ化した。アルファ化されたダッタンソバ殻粒を粉砕し、殻を篩で取り除いた後、乾燥した。この粉砕物を、温度200℃にて、約1分間焙煎して、ダッタンソバ粗粒を得た。得られたダッタンソバ粗粒を、衝撃式の高速粉砕機(ZM1:株式会社日本精機製作所製)にて所定時間粉砕を行い、篩目200μmの篩にて粗い残渣を取り除くことにより、平均粒径30μm、平均粒径50μm及び平均粒径70μmのダッタンソバ微粉末を得た。製粉効率は、ほぼ100%であった。
【0025】
[実施例2]
(ダッタンソバ微粉末を用いた麺の製造)
製麺機械にてソバ麺を調製する際に、上記平均粒径30μm及び平均粒径70μmのダッタンソバ微粉末を麺に対して5%添加し製麺を行ったが、製麺中に切れやすい、茹でた時に短くなるといった現象はみられず、作業性に問題はなかった。また、得られた麺を試食したところ、ダッタンソバ特有の風味と焙煎による香ばしさを有する今までにない味であった。麺の食感に関しては、平均粒径30μmを用いたものの方が、ざらつき感がより少なく優れていた。
【0026】
比較として、ダッタンソバ粗粒を石臼(A−500:株式会社田中三次郎商店製)にて粉砕して製造した平均粒径150μmのダッタンソバ微粉末(製粉効率60%程度)を用いて、上記と同様に製麺を行ったが、麺が切れやすく、また、茹でたときに短くなってしまう傾向がみられた。また、この麺を食したところ、味については香ばしさを有し良好であったが、食感としてかなりざらつきを感じ、硬い部分が歯に当たり、好ましくなかった。
【0027】
[実施例3]
(ダッタンソバ微粉末を用いた茶の製造)
上記平均粒径30μm及び平均粒径70μmのダッタンソバ微粉末6gを100mLの熱湯に溶解して、ダッタンソバ茶を製造した。沈殿が生じることもなく、ダッタンソバ特有の風味と焙煎による香ばしさを有する今までにない味であり、また、微粉末を溶解したことによるざらつきもなく、飲料として適したものであった。なお、上記麺の場合と同様、平均粒径30μmを用いたものの方が、ざらつき感がより少なく優れていた。また、平均粒径30μmのダッタンソバ微粉末6gを100mLの熱湯に溶解したものについて成分分析を行った。
【0028】
比較として、上記ダッタンソバ微粉末の製造過程で調製したダッタンソバ粗粒6gを100mLの熱湯に溶解したものについて成分分析を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1から明らかなように、本発明のダッタンソバ微粉末を用いた溶液は、ダッタンソバ粗粒抽出液に比して、栄養素を非常に多く含んでおり、ダッタンソバの栄養分を極めて有効に摂取することができることがわかる。
【0031】
比較として、平均粒径100μmのアルファ化していないダッタン生ソバ粉をお湯や牛乳、豆乳に溶かして試飲したところ、ダッタンソバの苦味を感じ、この苦味は牛乳、豆乳等でもマスキングできず、粉っぽさが残り、飲んだ際にざらつきを感じた。
【0032】
[実施例4]
(ダッタンソバ顆粒を用いた茶等の製造)
上記平均粒径30μmのダッタンソバ微粉末に対して、デキストリン(パインデックス#100 松谷化学工業株式会社製)を20%添加し、混合・攪拌して流動層造粒を行い、これを乾燥してダッタンソバ顆粒を製造した。顆粒の平均粒径は、1.2mm程度であった。また、メトローズ(登録商標)(信越化学工業株式会社製)を10%添加したものについても同様に顆粒を製造した。デキストリン処理したダッタンソバ顆粒及びメトローズ処理したダッタンソバ顆粒をそれぞれ、お湯、牛乳、豆乳に溶解したところ、いずれも親水性(溶解性)が高く、ダッタンソバ微粉末を用いたときよりも液中によくなじんだ。両者とも口当たりはよかったが、デキストリン処理したダッタンソバ顆粒を用いた場合には、全くざらつきを感じず、より好ましかった。デキストリン処理したダッタンソバ顆粒に含まれるルチン量を測定したところ、500〜600mg/100gであり、一日の必要摂取量が30〜50mg程度であることを考慮すると、スティック商品の梱包量は1包当り6g程度が妥当であることが明らかになった。
【0033】
[実施例5]
(ダッタンソバ微粉末を用いたコーティング豆菓子の製造)
ソバつゆを含有した調味液に、上記平均粒径が50μmのダッタンソバ微粉末を添加して、ダッタンソバペーストを調製し、かかるダッタンソバペーストを落花生にコーティングし、乾燥して、豆菓子を製造した。ダッタンソバ微粉末は調味液によくなじみ、豆菓子を食したとき、ほとんどざらつきを感じず、また、ダッタンソバ特有の風味と焙煎による香ばしさを有する今までにない味であった。かかる豆菓子に含まれるルチン量を測定したところ、50〜70mg/100gであり、一日の必要摂取量が30〜50mg程度であることを考慮すると、商品の梱包量は60g程度が妥当であることが明らかになった。
【0034】
比較として、平均粒径100μmのダッタンソバ微粉末を用いて同様に豆菓子を製造したが、食したときざらつきを感じ、好ましくなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ化され、かつ、殻が取り除かれたダッタンソバ粗粒を、粉砕機により平均粒径70μm以下に粉砕することを特徴とするアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法。
【請求項2】
ダッタンソバ粗粒が、ダッタンソバの穀粒を水に浸漬して穀粒の中心部まで水を浸透させた後、蒸して前記穀粒をアルファ化し、次いで、蒸した穀粒を粉砕して殻を取り除き、乾燥、焙煎することで得られたダッタンソバ粗粒であることを特徴とする請求項1記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法。
【請求項3】
粉砕機として、気流式粉砕機又は衝撃式粉砕機を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法。
【請求項4】
ダッタンソバ粗粒を平均粒径50μm以下に粉砕することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の製造方法により得られるアルファ化されたダッタンソバ微粉末。
【請求項6】
請求項5記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末2〜10質量部を、日本ソバ粉100質量部に混合・攪拌し、次いで製麺することを特徴とするダッタンソバ入麺の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末100質量部に対して、親水性結合剤を10〜30質量部を混合・攪拌し、次いで造粒を行った後、乾燥することを特徴とするダッタンソバ顆粒の製造方法。
【請求項8】
請求項5記載のアルファ化されたダッタンソバ微粉末を調味液に添加してダッタンソバペーストを調製し、該ダッタンソバペーストで豆又は種実をコーティングし、次いで乾燥することを特徴とするダッタンソバコーティング豆菓子の製造方法。

【公開番号】特開2008−271811(P2008−271811A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117480(P2007−117480)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(391043491)日穀製粉株式会社 (10)
【Fターム(参考)】