ダネッジ
【課題】ワークとの擦れによって発生する削りカスがワークに付着することを防止することのできるダネッジを提供する。
【解決手段】外周面から外側に突出した段状部25を具備するワーク21を載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジ1は、ワーク21の水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部11と、規制壁部11の上縁部から規制壁部11と交差する方向に延出し、ワーク21の段状部25を支持することのできる支持壁部12とを備えている。また、規制壁部11は、支持壁部12に支持された状態のワーク21の外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部13を備えている。規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11のうち支持壁部12に支持された状態のワーク21の下端部と同じ高さ位置となる部位よりもワーク21の内周側に位置している。
【解決手段】外周面から外側に突出した段状部25を具備するワーク21を載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジ1は、ワーク21の水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部11と、規制壁部11の上縁部から規制壁部11と交差する方向に延出し、ワーク21の段状部25を支持することのできる支持壁部12とを備えている。また、規制壁部11は、支持壁部12に支持された状態のワーク21の外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部13を備えている。規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11のうち支持壁部12に支持された状態のワーク21の下端部と同じ高さ位置となる部位よりもワーク21の内周側に位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの運搬等に使用され、ワークを載置可能に構成されてなるダネッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの運搬等においてダネッジが使用されることが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。例えば、図13に示すダネッジ71は、底壁部72と、底壁部72の外周縁から上方に延出する側壁部73とを備え、内側にワーク80の下部を収容可能な収容凹部74を有している。
【0003】
また、図14(a)、(b)に示すように、外周面から突出するフランジ部81を具備するワーク80aの運搬に使用されるダネッジ71aに関しては、側壁部73の上縁部から側壁部73の外周側に延出する支持部75において、前記フランジ部81を支持するように構成することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−221036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に、側壁部73は、型抜きの都合上、テーパ状に形成されている。このため、図13に示すダネッジ71に関しては、ワーク80を収容凹部74に収容して運搬する際に、ワーク80の下端部(角部)と側壁部73の下端部(側壁部73と底壁部72との境界部)とが擦れて、ダネッジ71の削りカスが発生するおそれがある。この場合、当該削りカスがワーク80の下端部に付着する等の不具合を招くことが懸念される。特に、ワーク80の下端部が相手部材との合わせ面(シール面・接続面)である場合には、付着した削りカスを丁寧に取除く必要があり、製造作業性の著しい低下等を招くおそれがある。
【0006】
また、図14に示すダネッジ71aに関しても、側壁部73が傾斜していることによって、ワーク80aの下端部(角部)と側壁部73とが擦れてダネッジ71aの削りカスが発生するおそれがある。但し、図14に示すダネッジ71aは、支持部75でフランジ部81を支持する構成であるため、ワーク80aの下端部と底壁部72とを離間させることができ、底壁部72に落下したダネッジ71aの削りカスがワーク80aの下端部に付着してしまうといった事態を抑制することができる。しかしながら、ワーク80aの下端部と擦れた際に発生したダネッジ71aの削りカスが、底壁部72に落下せずに、そのままワーク80aに付着するおそれがあり、削りカスの付着を完全に解消できないことが懸念される。
【0007】
さらに、図14に示すダネッジ71aにおいて、支持部75でフランジ部81を支持するとは言っても、側壁部73が傾斜していることから、支持部75をフランジ部81の付根部付近に当接させることは事実上不可能である。このため、フランジ部81による支持面積が十分でない場合等には、ワーク80aを安定して支持することができないおそれがある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ワークとの擦れによって発生する削りカスがワークに付着することを防止することのできるダネッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.ワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部を備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部の下端部よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【0011】
手段1によれば、ダネッジに載置された状態のワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部が形成され、規制突部の突出方向先端部は、規制壁部の下端部よりもワークの内周側に位置している。このため、ワークが規制壁部に近接するようにして相対的に変位したとしても、ワークの外周面と規制突部とが当接してそれ以上の変位が規制される。すなわち、ワークの下端部と規制壁部とが当接する(擦れる)ことを回避することができる。従って、ワークの下端部と規制壁部とが擦れることでダネッジの削りカスが発生し、当該削りカスがワークに付着するといった事態を根本から解消することができる。結果として、ワークに付着したダネッジの削りカスを除去するといった作業を行わなくとも済み、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0012】
また、本手段のダネッジは真空成形によって全体が一体的に形成されている。このため、ダネッジの成形に用いられる金型装置を含む製造設備の簡素化及び低コスト化、生産性の向上等を図ることができる。
【0013】
尚、本手段1の作用効果がより確実に奏されるように、「前記規制突部は、前記ワークが水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、前記ワークの外周面が前記規制突部と当接し得るように設けられている」ことが望ましい。
【0014】
また、ワークが箱状をなしている場合、ワークのダネッジへの載置状態において、規制壁部をワークの内周側に位置させることも可能である。すなわち、「前記規制壁部は、前記ワークの内周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部の下端部よりも前記ワークの外周側に位置していること」としてもよい。この場合においても、手段1と同様の作用効果が奏される。
【0015】
手段2.外周面から外側に突出する段状部の設けられたワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部と、
前記規制壁部の上縁部から前記規制壁部と交差する方向に延出し、前記ワークの段状部を支持することのできる支持壁部とを備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部のうち前記段状部が前記支持壁部に支持された状態の前記ワークの下端部と同じ高さ位置となる部位よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【0016】
手段2によれば、規制突部が設けられることにより、ワークの下端部(角部)と規制壁部との当接を防止することができる。従って、基本的に上記手段1と同様の作用効果が奏される。また、規制壁部の上縁部において設けられた支持壁部でワークの段状部を支持する構成であるため、ワークの下端部とダネッジ(底壁部)とを離間させることができる。このため、ダネッジ(底壁部)に堆積した埃等がワークの下端部に付着するといった事態を防止することができる。さらに、ワークの下端部(角部)と規制壁部(規制壁部と底壁部との境界部)とが擦れる場合に比べると発生の可能性は低いのではあるが、ワークの下端部(下面)とダネッジの底壁部とが擦れることでダネッジの削りカスが発生してしまうといった事態を完全に払拭することができる。
【0017】
尚、ワークが箱状をなすとともに、内周面から内側に突出した段状部を具備している場合、ワークのダネッジへの載置状態において、規制壁部及び支持壁部をワークの内周側に位置させることも可能である。すなわち、「前記規制壁部は、前記ワークの内周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部のうち前記段状部が前記支持壁部に支持された状態の前記ワークの下端部と同じ高さ位置となる部位よりも前記ワークの外周側に位置していること」としてもよい。この場合においても、手段2と同様の作用効果が奏される。
【0018】
手段3.前記規制突部は、前記規制壁部の上縁部から前記ワークの内周側に突出形成されていることを特徴とする手段1又は2に記載のダネッジ。
【0019】
手段3によれば、規制突部は、規制壁部の上縁部から突出しているため、例えば、規制突部が規制壁部の上縁部よりも下方に設けられるような場合に比べ、型抜きを比較的容易に行うことができる。
【0020】
また、上記手段2に対応しては、「前記規制突部は、前記支持壁部を前記ワークの内周側に延長させるようにして前記規制壁部から突出形成されていること」としてもよい。この場合、規制突部の上面側は支持壁部の一部としても機能する。従って、規制突部の上面側を含む支持壁部を、ワークの段状部の付根部付近に当接させることも可能となる。すなわち、支持壁部と段状部との当接面積を大きくすることができ、ワークの支持状態(ダネッジへの載置状態)を安定させることができる。結果として、運搬作業性の向上が図られる等の作用効果が奏される。尚、支持壁部の上面と規制突部の上面とは面一(両者間に段差がない)となっていることとしてもよい。
【0021】
手段4.前記規制突部の下面は、当該規制突部の先端部側に向けて上方傾斜していることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のダネッジ。
【0022】
手段4によれば、規制突部を金型から抜け易くすることができる。従って、金型を細分化しなくても、金型からダネッジを抜き出すことができ、製造設備の簡素化やコストの削減等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ダネッジを上方から見た斜視図である。
【図2】ダネッジを下方から見た斜視図である。
【図3】ワークを上方から見た斜視図である。
【図4】ワークを下方から見た斜視図である。
【図5】ワークを載置した状態のダネッジを示す斜視図である。
【図6】ワークを載置した状態のダネッジを示す一部断面を含む斜視図である。
【図7】ワークを載置した状態のダネッジを示す断面図である。
【図8】ワークを載置した状態のダネッジを示す部分拡大断面図である。
【図9】段積みされたダネッジを示す斜視図である。
【図10】段積みされたダネッジを示す一部断面を含む斜視図である。
【図11】段積みされたダネッジを示す断面図である。
【図12】段積みされたダネッジを示す部分拡大断面図である。
【図13】従来のダネッジを示す断面図である。
【図14】従来のダネッジを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図2等に示すように、ダネッジ1は、略矩形状の底壁部2と、底壁部2の長手方向において互いに所定距離を隔てて3つ設けられ、底壁部2から上方に突出する箱型凸部3と、底壁部2の外周縁から下方に延出する嵩上げ壁部4と、嵩上げ壁部4の下縁部から外方に突出する縁壁部5とを備え、真空成形によって全体が一体的に形成されている。
【0025】
本実施形態のダネッジ1は、図3、図4に示すような外周面から外側に突出した段状部25を具備するワーク21(例えば、自動車エンジンのオイルパン等)の運搬等に使用され、当該ワーク21を載置可能に構成されている。より詳しく説明すると、ワーク21は、下方に開口する略四角箱状の本体部22と、本体部22の各側壁部24から外側に突出する段状部25とを備えている。本体部22は、略矩形板状をなすベース壁部23と、ベース壁部23の各側辺部から下方に延出する側壁部24とを具備している。段状部25は、各側壁部24に対して2つずつ設けられ、本体部22の開口側である側壁部24の下縁部から若干上方に離間した位置に設けられている。尚、本実施形態では、ワーク21を水平面上に置いた場合に、段状部25の下面が水平に延在するようにして形成され、本体部22(側壁部24)の外周面(少なくとも段状部25よりも下方の部位)が鉛直に延在するようになっている。さらに、本実施形態におけるワーク21の下面は、相手部材との合わせ面(シール面・接続面)となっている。
【0026】
また、図1、図2に示すように、箱型凸部3は、ワーク21の内側に収まるような略直方体形状をなし、その長手方向が底壁部2の短手方向となるようにして形成されている。当該箱型凸部3は、型抜きを比較的容易に行えるようにテーパ状をなしている。また、箱型凸部3は、底壁部2の外周縁から所定距離隔てた位置に形成されている。
【0027】
さらに、ダネッジ1には、各箱型凸部3をそれぞれ囲むようにして複数の支持凸部6が形成されている。また、各支持凸部6は、箱型凸部3から離間した位置に形成されている。本実施形態では、支持凸部6は、箱型凸部3の外周面のうち箱型凸部3の長手方向に沿って延在する面のそれぞれの両側部に各々対向するようにして1つずつ(1つの面に対応して2つずつ)設けられるとともに、箱型凸部3の外周面のうち箱型凸部3の短手方向に沿って延在する面のそれぞれの両側部に各々一部対向するようにして1つずつ(1つの面に対応して2つずつ)設けられている。すなわち、各箱型凸部3はそれぞれ8つの支持凸部6に囲まれた格好となっている。
【0028】
加えて、互いに隣接する箱型凸部3の間に位置する支持凸部6に関しては、中央の箱型凸部3に対応する支持凸部6と、該箱型凸部3の側方に位置する箱型凸部3に対応する支持凸部6とが各々一繋がりに形成されている。つまり、本実施形態のダネッジ1には全部で20個の支持凸部6が形成されている。
【0029】
また、各支持凸部6は、底壁部2から上方に延出し、対応する箱型凸部3の外周面に対向する規制壁部11と、規制壁部11の上縁部から規制壁部11と交差する方向に延出する(つまり支持凸部6の上面を構成する)支持壁部12とを備えている。支持凸部6は、箱型凸部3と同様にテーパ状に構成されており、このため、規制壁部11は、上方に向けて、対応する箱型凸部3から離間する方向に傾斜している。
【0030】
さらに、支持壁部12は、底壁部2と平行して水平方向に延在している。そして、図5〜図8に示すように、ワーク21の内側に箱型凸部3を相対的に挿入させるようにしてワーク21をダネッジ1に載置すると、ワーク21の段状部25と支持壁部12とが上下に当接するようになっている。これにより、ワーク21が支持壁部12(支持凸部6)によって支持されることとなる。
【0031】
尚、上記のように、ワーク21の段状部25は、本体部22の下端部から上方に若干離間した位置に設けられている。このため、ワーク21が段状部25において支持凸部6に支持された状態、すなわち、ダネッジ1への載置状態にある場合、ワーク21の下端部は、各支持凸部6の規制壁部11と、これに対応する箱型凸部3との間の空間(収容空間)に進入した状態とされる。さらに、本実施形態では、図8等に示すように、支持凸部6の底壁部2からの突出長が、ワーク21の段状部25の下面から本体部22の下端部までの距離よりも長く構成されており、ダネッジ1への載置状態にあるワーク21の下端部と、ダネッジ1の底壁部2とが上方に離間するようになっている。
【0032】
さて、図8等に示すように、各支持凸部6の規制壁部11は、当該規制壁部11から対応する箱型凸部3側(ダネッジ1への載置状態にあるワーク21の内周側)に突出する規制突部13を備えている。規制突部13は、支持壁部12を箱型凸部3側に延長させるようにして形成された上辺部13aと、規制突部13の先端部側(箱型凸部3側)に向けて上方傾斜して延びる下辺部13bとを備え、全体として断面略フ字状をなしている。また、規制突部13の上面は、支持壁部12の上面と面一となっている。さらに、規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11のうちダネッジ1への載置状態にあるワーク21の下端部と同じ高さ位置となる部位よりもワーク21の内周側(対応する箱型凸部3側)に位置している。特に、本実施形態では、規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11の下端部よりもダネッジ1への載置状態にあるワーク21の内周側に位置している。
【0033】
以上のように構成されてなる規制突部13は、ダネッジ1への載置状態にあるワーク21の外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能となっている。従って、ダネッジ1に載置された状態のワーク21が水平方向に相対移動した場合には、ワーク21の外周面と規制壁部11の規制突部13とが当接することとなり、ワーク21のそれ以上の相対移動を規制することができる。さらに、上記のように規制突部13は、ワーク21の内側形状に対応して形成された箱型凸部3を囲むようにして複数設けられていることから、ダネッジ1に載置された状態のワーク21が水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、ワーク21の外周面がいずれかの規制突部13と当接し得るようになっている。
【0034】
尚、本実施形態では、ワーク21の相対する一対の側壁部24のうち、一方の側壁部24が支持凸部6の規制突部13と当接状態となっている場合であっても、他方の側壁部24と箱型凸部3とが当接しないように構成されている。つまり、ワーク21の下端部(内周側の下角部)と箱型凸部3とが当接し得ない構成となっている。
【0035】
また、本実施形態では、図9〜図12に示すように、複数のダネッジ1を上下に積み重ねる(段積みする)ことも可能である。複数のダネッジ1を段積みした場合には、下側のダネッジ1の箱型凸部3が、上側のダネッジ1の箱型凸部3の内側空間に進入し、箱型凸部3の周壁部同士が当接する。これにより、上側のダネッジ1が下側のダネッジ1に支持されるとともに、水平方向への相対的な位置ずれも防止されることとなる。
【0036】
加えて、図1等に示すように、ダネッジ1の底壁部2には、嵩上げ壁部4との境界部や、3つある箱型凸部3の間の部位において、下方に凹む凹状部16が形成されている。当該凹状部16により、ダネッジ1の強度の向上が図られる上、ダネッジ1が段積みされた状態においては、底壁部2と嵩上げ壁部4との境界部に形成された凹状部16において指を差し入れてダネッジ1を1つずつ取り上げ易くなっている。
【0037】
次に、ダネッジ1の製造工程について説明する。先ず、加熱して軟化させた厚さ3mm〜6mmのシート状のポリエチレンと、ダネッジ1の下側面を成形するための成形面を有し、複数の吸引孔を有する雌型とが対向配置される。続いて、ポリエチレンシートが雌型に載置されるとともに、ポリエチレンシートが雌型の成形面に密着させられることとなり、ポリエチレンシートは所期の凹凸形状に成形される。すなわち、底壁部2、箱型凸部3、嵩上げ壁部4、及び支持凸部6(規制突部13を含む)に相当する部位が成形される。そして、ポリエチレンシートを冷却固化させた後、雌型をポリエチレンシートから離間させる。最後に、トリマー(打ち抜き装置でも可)により成形部の周縁部に沿ってポリエチレンシートを切断し、成形部をポリエチレンシートから切り離す。尚、嵩上げ壁部4の端縁にポリエチレンシートの被成形部を所定長残存させるようにして、ポリエチレンシートを成形部の周縁部に沿って切断することにより、上記縁壁部5が形成されることとなる。以上のようにして、上記ダネッジ1が得られることとなる。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ダネッジ1には、ダネッジ1に載置された状態のワーク21(本体部22)の外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部13が形成され、規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11の下端部よりもワーク21の内周側(対応する箱型凸部3側)に位置している。このため、ワーク21が規制壁部11に近接するようにして相対的に変位したとしても、ワーク21の外周面と規制突部13とが当接してそれ以上の変位が規制される。すなわち、ワーク21の下端部と規制壁部11とが当接する(擦れる)ことを回避することができる。従って、ワーク21の下端部と規制壁部11とが擦れることでダネッジ1の削りカスが発生し、当該削りカスがワーク21に付着するといった事態を根本から解消することができる。結果として、ワーク21に付着したダネッジ1の削りカスを除去するといった作業を行わなくとも済み、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、支持凸部6が箱型凸部3を囲むようにして複数設けられ、ダネッジ1に載置されたワーク21が水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、ワーク21の外周面が規制突部13と当接し得るようになっている。このため、上記作用効果が一層確実に奏される。
【0040】
また、本実施形態のダネッジ1は真空成形によって全体が一体的に形成されている。このため、ダネッジ1の成形に用いられる金型装置を含む製造設備の簡素化及び低コスト化、生産性の向上等を図ることができる。
【0041】
さらに、規制壁部11の上縁部において設けられた支持壁部12でワーク21の段状部25を支持する構成であるため、ワーク21の下端部とダネッジ1の底壁部2とを離間させることができる。このため、底壁部2に堆積した埃等がワーク21の下端部に付着するといった事態を防止することができる。さらに、ワーク21の下端部(角部)と規制壁部11(規制壁部11と底壁部2との境界部)とが擦れる場合に比べると発生の可能性は低いのではあるが、ワーク21の下端部(下面)とダネッジ1の底壁部2とが擦れることでダネッジ1の削りカスが発生してしまうといった事態を完全に払拭することができる。
【0042】
また、規制突部13の上辺部13aは、支持壁部12を対応する箱型凸部3側に延長させるようにして規制壁部11から突出形成されている。このため、規制突部13の上辺部13aは支持壁部12の一部としても機能する。従って、規制突部13の上辺部13aを含む支持壁部12を、ワーク21の段状部25の付根部付近に当接させることも可能となる。すなわち、支持壁部12と段状部25との当接面積を大きくすることができ、ワーク21の支持状態(ダネッジ1への載置状態)を安定させることができる。結果として、運搬作業性の向上が図られる等の作用効果が奏される。
【0043】
また、規制突部13は、規制壁部11の上縁部から突出しているため、例えば、規制突部13が規制壁部11の上縁部よりも下方に設けられるような場合に比べ、型抜きを比較的容易に行うことができる。さらに、規制突部13の下辺部13bは、当該規制突部13の先端部側に向けて上方傾斜している。このため、規制突部13を金型からより抜け易くすることができる。従って、金型を細分化しなくても、金型からダネッジ1を抜き出すことができ、製造設備の簡素化やコストの削減等を図ることができる。また、規制壁部11の下辺部13bを上記のように傾斜させることで、規制突部13の上辺部13aの上面を、水平に延在する支持壁部12の上面と面一に形成することができる。つまり、型抜きの都合上、規制突部13は極力小さい方が望ましく、また、ダネッジ1は真空成形で1枚のシート状のポリエチレンを凹凸させて成形するため、規制突部13においてシート状のポリエチレンを折り畳んで互いに当接させることは困難である。つまり、規制突部13は断面略V字状又は断面略フ字状とすることが望ましいのであるが、規制突部13の下辺部13bをほぼ水平に延在させると、規制突部13を小さく構成しつつ、規制突部13の上辺部を水平に延在させて、支持壁部12と面一にすることが困難となる。これに対し、本実施形態のように規制突部13の下辺部13bを上記のように傾斜させることで、規制突部13を断面フ字状とし、無理なく支持壁部12の上面と規制突部13の上面とを面一とすることができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)上記実施形態において、ダネッジ1や、ダネッジ1に載置されるワーク21の形状は特に限定されるものではなく、ダネッジ1の形状はワーク21の形状に合わせて適宜変更可能である。但し、ダネッジ1は、ダネッジ1にワーク21を載置した状態において、ワーク21の水平方向へのずれ移動を規制することのできる規制壁部11を備え、規制壁部11は、ワーク21の下端部と規制壁部11との当接を防止することのできる規制突部13を備えることとする。
【0046】
例えば、段状部25のないワーク21の運搬等に使用されるダネッジに適用することも可能である。この場合、少なくとも規制突部13を具備する規制壁部11があればよく、支持壁部12を省略することも可能である。また、この場合には、ダネッジの底壁部2の上面にワークの下端部が当接することとなる。但し、上記実施形態のように、段状部25を具備するワーク21の運搬等に使用されるダネッジ1に関しては、段状部25を支持壁部12で支持することによって、ワーク21の下端部をダネッジ1の底壁部2から上方に離間させることができる。この場合、底壁部2に堆積した埃等がワーク21の下端部に付着するといった事態等を防止することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、ワーク21の外周面は平坦面であり、段状部25の先端部がワーク21の最も外周側に位置するように構成されているが、例えば、側壁部24において本体部22の内周側に凹む凹部が設けられ、該凹部において段状部25が形成されていてもよい。さらに、段状部25の形成位置についても特に限定されるものではなく、例えば、それぞれ異なる高さ位置に形成された段状部25を支持凸部6でそれぞれ支持するよう構成してもよい。尚、ダネッジ1は、ワーク21を実際に使用・装着される向きと同じ向きで載置可能に構成されてもよいし、上下反対向きで載置可能に構成されてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、段状部25が側壁部24の下端部よりも若干上方の部位から延出しているが、例えば、ダネッジ1に載置された状態のワーク21の側壁部24の上縁部から段状部25が延出するよう構成してもよい。この場合においても、ダネッジ1に載置された状態のワーク21の側壁部24のうち下端部よりも上方の部位が規制突部13と当接するようにワーク21をダネッジ1に載置することで、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本実施形態では、一方側(下方)に開口する箱状のワーク21を載置するダネッジ1について具体化しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、内部空間のない中実状のワークを載置するダネッジに適用してもよい。
【0049】
(b)上記実施形態では、箱型凸部3を囲むようにして複数の支持凸部6が形成されているが、支持凸部6の数、配置、形状等は特に限定されるものではない。例えば、ワーク21の少なくとも下部を収容することのできる収容凹部を形成するようにして支持凸部を枠状に形成することとしてもよい。すなわち、当該構成を採用する場合、箱型凸部3を省略すれば、断面形状が図13や図14のようになるが、図13や図14の構成に本実施形態の構成を適用することで、図13や図14の側壁部73から収容凹部74の内側に突出し、ワーク80、80aの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能であり、突出方向先端部が側壁部73の下端部よりも収容凹部74の内周側に位置する規制突部が設けられることとなる。
【0050】
また、図1等では、各箱型凸部3を囲むようにして設けられる複数の支持凸部6は対応する箱型凸部3を挟んで相対配置されているが、ずれて配置されていてもよい。但し、ワーク21が四角箱状をなしている場合、支持凸部6(規制突部13)は、ワーク21の外周面を構成する4つの面又は/及び4つのコーナー部にそれぞれ当接するようにして、四角枠状に、或いは、複数箇所に設けられていることが望ましい。また、例えば、ワークが円筒状をなしている場合、支持凸部6(規制突部13)は、ワークの外周面を囲うようにして環状に、或いは、少なくともダネッジ1に載置されたかかるワークの中央部を中心として対称位置となる3箇所に(120度ピッチで)設けられていることが望ましい。この場合、ワーク21が水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、ワーク21の外周面が規制突部13と当接し得るようになり、ワーク21の下端部とダネッジ1の支持凸部6(規制壁部11)との擦れを防止して、ダネッジ1の削りカスがワーク21に付着するといった事態を確実に防止することができる。
【0051】
加えて、規制壁部11が底壁部2から鉛直に延出するよう構成してもよい。但し、型抜きの作業性を鑑みると、規制壁部11が上方に向けて対応する箱型凸部3側に傾斜しないようにすることが望ましく、上記実施形態のように、上方に向けて対応する箱型凸部3から離間する方向に傾斜させることがより望ましい。また、上記実施形態では、規制突部13が規制壁部11の上縁部から突出しているが、上縁部よりも下方の部位から突出するよう構成してもよい。但し、上記実施形態のように、規制突部13を規制壁部11の上縁部に形成することで、型抜きに際し、始めに規制突部13を金型から抜きさえすれば、残りの部分は比較的スムースに金型から抜き出すことができるため、型抜き作業性の向上を図ることができる。さらに、上記(a)で記載したように、段状部25のないワークを運搬するダネッジに関しては、規制突部13が規制壁部11の上縁部に存在することで、規制突部13によってワークの外周面のうち極力上側の部位を支持することができることから、ダネッジに載置されたワークが相対移動して規制突部13と接触した場合に傾いてしまうといった事態を抑制することができる。
【0052】
(c)上記実施形態では、支持凸部6に形成された規制突部13がワーク21の外周面と当接することで、ワーク21の水平方向における相対移動を防止するよう構成されているが、例えば、箱型凸部3の外周面から外方に突出する規制突部13を形成し、当該規制突部13がワーク21の内周面と当接することで、ワーク21の水平方向における相対移動が規制されるよう構成してもよい。この場合、規制突部13がワーク21の内周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能であり、規制突部13の突出方向先端部が箱型凸部3の下端部よりも箱型凸部3の外周側に突出するよう構成されることで、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。尚、当該構成を採用する場合、箱型凸部3の外周面を構成する周壁部が規制壁部を構成する。また、支持凸部6を省略することも可能となる。
【0053】
さらに、ワーク21が側壁部24から本体部22の内周側に突出する段状部を具備するような場合、箱型凸部3に対し、段状部の下面と当接してワーク21を支持することのできる支持壁部を設けることとしてもよい。
【0054】
(d)上記実施形態では、ダネッジ1の成形に際し、ダネッジ1の下側面を成形するための成形面を有する雌型が使用されているが、ダネッジ1の上側面を成形するための成形面を有する雄型を使用してもよい。
【0055】
(e)上記実施形態では、ダネッジ1はポリエチレンにより構成されているが、ポリプロピレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…ダネッジ、2…底壁部、3…箱型凸部、6…支持凸部、11…規制壁部、12…支持壁部、13…規制突部、13a…上辺部、13b…下辺部、21…ワーク、22…本体部、24…側壁部、25…段状部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの運搬等に使用され、ワークを載置可能に構成されてなるダネッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの運搬等においてダネッジが使用されることが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。例えば、図13に示すダネッジ71は、底壁部72と、底壁部72の外周縁から上方に延出する側壁部73とを備え、内側にワーク80の下部を収容可能な収容凹部74を有している。
【0003】
また、図14(a)、(b)に示すように、外周面から突出するフランジ部81を具備するワーク80aの運搬に使用されるダネッジ71aに関しては、側壁部73の上縁部から側壁部73の外周側に延出する支持部75において、前記フランジ部81を支持するように構成することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−221036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に、側壁部73は、型抜きの都合上、テーパ状に形成されている。このため、図13に示すダネッジ71に関しては、ワーク80を収容凹部74に収容して運搬する際に、ワーク80の下端部(角部)と側壁部73の下端部(側壁部73と底壁部72との境界部)とが擦れて、ダネッジ71の削りカスが発生するおそれがある。この場合、当該削りカスがワーク80の下端部に付着する等の不具合を招くことが懸念される。特に、ワーク80の下端部が相手部材との合わせ面(シール面・接続面)である場合には、付着した削りカスを丁寧に取除く必要があり、製造作業性の著しい低下等を招くおそれがある。
【0006】
また、図14に示すダネッジ71aに関しても、側壁部73が傾斜していることによって、ワーク80aの下端部(角部)と側壁部73とが擦れてダネッジ71aの削りカスが発生するおそれがある。但し、図14に示すダネッジ71aは、支持部75でフランジ部81を支持する構成であるため、ワーク80aの下端部と底壁部72とを離間させることができ、底壁部72に落下したダネッジ71aの削りカスがワーク80aの下端部に付着してしまうといった事態を抑制することができる。しかしながら、ワーク80aの下端部と擦れた際に発生したダネッジ71aの削りカスが、底壁部72に落下せずに、そのままワーク80aに付着するおそれがあり、削りカスの付着を完全に解消できないことが懸念される。
【0007】
さらに、図14に示すダネッジ71aにおいて、支持部75でフランジ部81を支持するとは言っても、側壁部73が傾斜していることから、支持部75をフランジ部81の付根部付近に当接させることは事実上不可能である。このため、フランジ部81による支持面積が十分でない場合等には、ワーク80aを安定して支持することができないおそれがある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ワークとの擦れによって発生する削りカスがワークに付着することを防止することのできるダネッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.ワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部を備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部の下端部よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【0011】
手段1によれば、ダネッジに載置された状態のワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部が形成され、規制突部の突出方向先端部は、規制壁部の下端部よりもワークの内周側に位置している。このため、ワークが規制壁部に近接するようにして相対的に変位したとしても、ワークの外周面と規制突部とが当接してそれ以上の変位が規制される。すなわち、ワークの下端部と規制壁部とが当接する(擦れる)ことを回避することができる。従って、ワークの下端部と規制壁部とが擦れることでダネッジの削りカスが発生し、当該削りカスがワークに付着するといった事態を根本から解消することができる。結果として、ワークに付着したダネッジの削りカスを除去するといった作業を行わなくとも済み、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0012】
また、本手段のダネッジは真空成形によって全体が一体的に形成されている。このため、ダネッジの成形に用いられる金型装置を含む製造設備の簡素化及び低コスト化、生産性の向上等を図ることができる。
【0013】
尚、本手段1の作用効果がより確実に奏されるように、「前記規制突部は、前記ワークが水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、前記ワークの外周面が前記規制突部と当接し得るように設けられている」ことが望ましい。
【0014】
また、ワークが箱状をなしている場合、ワークのダネッジへの載置状態において、規制壁部をワークの内周側に位置させることも可能である。すなわち、「前記規制壁部は、前記ワークの内周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部の下端部よりも前記ワークの外周側に位置していること」としてもよい。この場合においても、手段1と同様の作用効果が奏される。
【0015】
手段2.外周面から外側に突出する段状部の設けられたワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部と、
前記規制壁部の上縁部から前記規制壁部と交差する方向に延出し、前記ワークの段状部を支持することのできる支持壁部とを備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部のうち前記段状部が前記支持壁部に支持された状態の前記ワークの下端部と同じ高さ位置となる部位よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【0016】
手段2によれば、規制突部が設けられることにより、ワークの下端部(角部)と規制壁部との当接を防止することができる。従って、基本的に上記手段1と同様の作用効果が奏される。また、規制壁部の上縁部において設けられた支持壁部でワークの段状部を支持する構成であるため、ワークの下端部とダネッジ(底壁部)とを離間させることができる。このため、ダネッジ(底壁部)に堆積した埃等がワークの下端部に付着するといった事態を防止することができる。さらに、ワークの下端部(角部)と規制壁部(規制壁部と底壁部との境界部)とが擦れる場合に比べると発生の可能性は低いのではあるが、ワークの下端部(下面)とダネッジの底壁部とが擦れることでダネッジの削りカスが発生してしまうといった事態を完全に払拭することができる。
【0017】
尚、ワークが箱状をなすとともに、内周面から内側に突出した段状部を具備している場合、ワークのダネッジへの載置状態において、規制壁部及び支持壁部をワークの内周側に位置させることも可能である。すなわち、「前記規制壁部は、前記ワークの内周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部のうち前記段状部が前記支持壁部に支持された状態の前記ワークの下端部と同じ高さ位置となる部位よりも前記ワークの外周側に位置していること」としてもよい。この場合においても、手段2と同様の作用効果が奏される。
【0018】
手段3.前記規制突部は、前記規制壁部の上縁部から前記ワークの内周側に突出形成されていることを特徴とする手段1又は2に記載のダネッジ。
【0019】
手段3によれば、規制突部は、規制壁部の上縁部から突出しているため、例えば、規制突部が規制壁部の上縁部よりも下方に設けられるような場合に比べ、型抜きを比較的容易に行うことができる。
【0020】
また、上記手段2に対応しては、「前記規制突部は、前記支持壁部を前記ワークの内周側に延長させるようにして前記規制壁部から突出形成されていること」としてもよい。この場合、規制突部の上面側は支持壁部の一部としても機能する。従って、規制突部の上面側を含む支持壁部を、ワークの段状部の付根部付近に当接させることも可能となる。すなわち、支持壁部と段状部との当接面積を大きくすることができ、ワークの支持状態(ダネッジへの載置状態)を安定させることができる。結果として、運搬作業性の向上が図られる等の作用効果が奏される。尚、支持壁部の上面と規制突部の上面とは面一(両者間に段差がない)となっていることとしてもよい。
【0021】
手段4.前記規制突部の下面は、当該規制突部の先端部側に向けて上方傾斜していることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のダネッジ。
【0022】
手段4によれば、規制突部を金型から抜け易くすることができる。従って、金型を細分化しなくても、金型からダネッジを抜き出すことができ、製造設備の簡素化やコストの削減等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ダネッジを上方から見た斜視図である。
【図2】ダネッジを下方から見た斜視図である。
【図3】ワークを上方から見た斜視図である。
【図4】ワークを下方から見た斜視図である。
【図5】ワークを載置した状態のダネッジを示す斜視図である。
【図6】ワークを載置した状態のダネッジを示す一部断面を含む斜視図である。
【図7】ワークを載置した状態のダネッジを示す断面図である。
【図8】ワークを載置した状態のダネッジを示す部分拡大断面図である。
【図9】段積みされたダネッジを示す斜視図である。
【図10】段積みされたダネッジを示す一部断面を含む斜視図である。
【図11】段積みされたダネッジを示す断面図である。
【図12】段積みされたダネッジを示す部分拡大断面図である。
【図13】従来のダネッジを示す断面図である。
【図14】従来のダネッジを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図2等に示すように、ダネッジ1は、略矩形状の底壁部2と、底壁部2の長手方向において互いに所定距離を隔てて3つ設けられ、底壁部2から上方に突出する箱型凸部3と、底壁部2の外周縁から下方に延出する嵩上げ壁部4と、嵩上げ壁部4の下縁部から外方に突出する縁壁部5とを備え、真空成形によって全体が一体的に形成されている。
【0025】
本実施形態のダネッジ1は、図3、図4に示すような外周面から外側に突出した段状部25を具備するワーク21(例えば、自動車エンジンのオイルパン等)の運搬等に使用され、当該ワーク21を載置可能に構成されている。より詳しく説明すると、ワーク21は、下方に開口する略四角箱状の本体部22と、本体部22の各側壁部24から外側に突出する段状部25とを備えている。本体部22は、略矩形板状をなすベース壁部23と、ベース壁部23の各側辺部から下方に延出する側壁部24とを具備している。段状部25は、各側壁部24に対して2つずつ設けられ、本体部22の開口側である側壁部24の下縁部から若干上方に離間した位置に設けられている。尚、本実施形態では、ワーク21を水平面上に置いた場合に、段状部25の下面が水平に延在するようにして形成され、本体部22(側壁部24)の外周面(少なくとも段状部25よりも下方の部位)が鉛直に延在するようになっている。さらに、本実施形態におけるワーク21の下面は、相手部材との合わせ面(シール面・接続面)となっている。
【0026】
また、図1、図2に示すように、箱型凸部3は、ワーク21の内側に収まるような略直方体形状をなし、その長手方向が底壁部2の短手方向となるようにして形成されている。当該箱型凸部3は、型抜きを比較的容易に行えるようにテーパ状をなしている。また、箱型凸部3は、底壁部2の外周縁から所定距離隔てた位置に形成されている。
【0027】
さらに、ダネッジ1には、各箱型凸部3をそれぞれ囲むようにして複数の支持凸部6が形成されている。また、各支持凸部6は、箱型凸部3から離間した位置に形成されている。本実施形態では、支持凸部6は、箱型凸部3の外周面のうち箱型凸部3の長手方向に沿って延在する面のそれぞれの両側部に各々対向するようにして1つずつ(1つの面に対応して2つずつ)設けられるとともに、箱型凸部3の外周面のうち箱型凸部3の短手方向に沿って延在する面のそれぞれの両側部に各々一部対向するようにして1つずつ(1つの面に対応して2つずつ)設けられている。すなわち、各箱型凸部3はそれぞれ8つの支持凸部6に囲まれた格好となっている。
【0028】
加えて、互いに隣接する箱型凸部3の間に位置する支持凸部6に関しては、中央の箱型凸部3に対応する支持凸部6と、該箱型凸部3の側方に位置する箱型凸部3に対応する支持凸部6とが各々一繋がりに形成されている。つまり、本実施形態のダネッジ1には全部で20個の支持凸部6が形成されている。
【0029】
また、各支持凸部6は、底壁部2から上方に延出し、対応する箱型凸部3の外周面に対向する規制壁部11と、規制壁部11の上縁部から規制壁部11と交差する方向に延出する(つまり支持凸部6の上面を構成する)支持壁部12とを備えている。支持凸部6は、箱型凸部3と同様にテーパ状に構成されており、このため、規制壁部11は、上方に向けて、対応する箱型凸部3から離間する方向に傾斜している。
【0030】
さらに、支持壁部12は、底壁部2と平行して水平方向に延在している。そして、図5〜図8に示すように、ワーク21の内側に箱型凸部3を相対的に挿入させるようにしてワーク21をダネッジ1に載置すると、ワーク21の段状部25と支持壁部12とが上下に当接するようになっている。これにより、ワーク21が支持壁部12(支持凸部6)によって支持されることとなる。
【0031】
尚、上記のように、ワーク21の段状部25は、本体部22の下端部から上方に若干離間した位置に設けられている。このため、ワーク21が段状部25において支持凸部6に支持された状態、すなわち、ダネッジ1への載置状態にある場合、ワーク21の下端部は、各支持凸部6の規制壁部11と、これに対応する箱型凸部3との間の空間(収容空間)に進入した状態とされる。さらに、本実施形態では、図8等に示すように、支持凸部6の底壁部2からの突出長が、ワーク21の段状部25の下面から本体部22の下端部までの距離よりも長く構成されており、ダネッジ1への載置状態にあるワーク21の下端部と、ダネッジ1の底壁部2とが上方に離間するようになっている。
【0032】
さて、図8等に示すように、各支持凸部6の規制壁部11は、当該規制壁部11から対応する箱型凸部3側(ダネッジ1への載置状態にあるワーク21の内周側)に突出する規制突部13を備えている。規制突部13は、支持壁部12を箱型凸部3側に延長させるようにして形成された上辺部13aと、規制突部13の先端部側(箱型凸部3側)に向けて上方傾斜して延びる下辺部13bとを備え、全体として断面略フ字状をなしている。また、規制突部13の上面は、支持壁部12の上面と面一となっている。さらに、規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11のうちダネッジ1への載置状態にあるワーク21の下端部と同じ高さ位置となる部位よりもワーク21の内周側(対応する箱型凸部3側)に位置している。特に、本実施形態では、規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11の下端部よりもダネッジ1への載置状態にあるワーク21の内周側に位置している。
【0033】
以上のように構成されてなる規制突部13は、ダネッジ1への載置状態にあるワーク21の外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能となっている。従って、ダネッジ1に載置された状態のワーク21が水平方向に相対移動した場合には、ワーク21の外周面と規制壁部11の規制突部13とが当接することとなり、ワーク21のそれ以上の相対移動を規制することができる。さらに、上記のように規制突部13は、ワーク21の内側形状に対応して形成された箱型凸部3を囲むようにして複数設けられていることから、ダネッジ1に載置された状態のワーク21が水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、ワーク21の外周面がいずれかの規制突部13と当接し得るようになっている。
【0034】
尚、本実施形態では、ワーク21の相対する一対の側壁部24のうち、一方の側壁部24が支持凸部6の規制突部13と当接状態となっている場合であっても、他方の側壁部24と箱型凸部3とが当接しないように構成されている。つまり、ワーク21の下端部(内周側の下角部)と箱型凸部3とが当接し得ない構成となっている。
【0035】
また、本実施形態では、図9〜図12に示すように、複数のダネッジ1を上下に積み重ねる(段積みする)ことも可能である。複数のダネッジ1を段積みした場合には、下側のダネッジ1の箱型凸部3が、上側のダネッジ1の箱型凸部3の内側空間に進入し、箱型凸部3の周壁部同士が当接する。これにより、上側のダネッジ1が下側のダネッジ1に支持されるとともに、水平方向への相対的な位置ずれも防止されることとなる。
【0036】
加えて、図1等に示すように、ダネッジ1の底壁部2には、嵩上げ壁部4との境界部や、3つある箱型凸部3の間の部位において、下方に凹む凹状部16が形成されている。当該凹状部16により、ダネッジ1の強度の向上が図られる上、ダネッジ1が段積みされた状態においては、底壁部2と嵩上げ壁部4との境界部に形成された凹状部16において指を差し入れてダネッジ1を1つずつ取り上げ易くなっている。
【0037】
次に、ダネッジ1の製造工程について説明する。先ず、加熱して軟化させた厚さ3mm〜6mmのシート状のポリエチレンと、ダネッジ1の下側面を成形するための成形面を有し、複数の吸引孔を有する雌型とが対向配置される。続いて、ポリエチレンシートが雌型に載置されるとともに、ポリエチレンシートが雌型の成形面に密着させられることとなり、ポリエチレンシートは所期の凹凸形状に成形される。すなわち、底壁部2、箱型凸部3、嵩上げ壁部4、及び支持凸部6(規制突部13を含む)に相当する部位が成形される。そして、ポリエチレンシートを冷却固化させた後、雌型をポリエチレンシートから離間させる。最後に、トリマー(打ち抜き装置でも可)により成形部の周縁部に沿ってポリエチレンシートを切断し、成形部をポリエチレンシートから切り離す。尚、嵩上げ壁部4の端縁にポリエチレンシートの被成形部を所定長残存させるようにして、ポリエチレンシートを成形部の周縁部に沿って切断することにより、上記縁壁部5が形成されることとなる。以上のようにして、上記ダネッジ1が得られることとなる。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ダネッジ1には、ダネッジ1に載置された状態のワーク21(本体部22)の外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部13が形成され、規制突部13の突出方向先端部は、規制壁部11の下端部よりもワーク21の内周側(対応する箱型凸部3側)に位置している。このため、ワーク21が規制壁部11に近接するようにして相対的に変位したとしても、ワーク21の外周面と規制突部13とが当接してそれ以上の変位が規制される。すなわち、ワーク21の下端部と規制壁部11とが当接する(擦れる)ことを回避することができる。従って、ワーク21の下端部と規制壁部11とが擦れることでダネッジ1の削りカスが発生し、当該削りカスがワーク21に付着するといった事態を根本から解消することができる。結果として、ワーク21に付着したダネッジ1の削りカスを除去するといった作業を行わなくとも済み、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、支持凸部6が箱型凸部3を囲むようにして複数設けられ、ダネッジ1に載置されたワーク21が水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、ワーク21の外周面が規制突部13と当接し得るようになっている。このため、上記作用効果が一層確実に奏される。
【0040】
また、本実施形態のダネッジ1は真空成形によって全体が一体的に形成されている。このため、ダネッジ1の成形に用いられる金型装置を含む製造設備の簡素化及び低コスト化、生産性の向上等を図ることができる。
【0041】
さらに、規制壁部11の上縁部において設けられた支持壁部12でワーク21の段状部25を支持する構成であるため、ワーク21の下端部とダネッジ1の底壁部2とを離間させることができる。このため、底壁部2に堆積した埃等がワーク21の下端部に付着するといった事態を防止することができる。さらに、ワーク21の下端部(角部)と規制壁部11(規制壁部11と底壁部2との境界部)とが擦れる場合に比べると発生の可能性は低いのではあるが、ワーク21の下端部(下面)とダネッジ1の底壁部2とが擦れることでダネッジ1の削りカスが発生してしまうといった事態を完全に払拭することができる。
【0042】
また、規制突部13の上辺部13aは、支持壁部12を対応する箱型凸部3側に延長させるようにして規制壁部11から突出形成されている。このため、規制突部13の上辺部13aは支持壁部12の一部としても機能する。従って、規制突部13の上辺部13aを含む支持壁部12を、ワーク21の段状部25の付根部付近に当接させることも可能となる。すなわち、支持壁部12と段状部25との当接面積を大きくすることができ、ワーク21の支持状態(ダネッジ1への載置状態)を安定させることができる。結果として、運搬作業性の向上が図られる等の作用効果が奏される。
【0043】
また、規制突部13は、規制壁部11の上縁部から突出しているため、例えば、規制突部13が規制壁部11の上縁部よりも下方に設けられるような場合に比べ、型抜きを比較的容易に行うことができる。さらに、規制突部13の下辺部13bは、当該規制突部13の先端部側に向けて上方傾斜している。このため、規制突部13を金型からより抜け易くすることができる。従って、金型を細分化しなくても、金型からダネッジ1を抜き出すことができ、製造設備の簡素化やコストの削減等を図ることができる。また、規制壁部11の下辺部13bを上記のように傾斜させることで、規制突部13の上辺部13aの上面を、水平に延在する支持壁部12の上面と面一に形成することができる。つまり、型抜きの都合上、規制突部13は極力小さい方が望ましく、また、ダネッジ1は真空成形で1枚のシート状のポリエチレンを凹凸させて成形するため、規制突部13においてシート状のポリエチレンを折り畳んで互いに当接させることは困難である。つまり、規制突部13は断面略V字状又は断面略フ字状とすることが望ましいのであるが、規制突部13の下辺部13bをほぼ水平に延在させると、規制突部13を小さく構成しつつ、規制突部13の上辺部を水平に延在させて、支持壁部12と面一にすることが困難となる。これに対し、本実施形態のように規制突部13の下辺部13bを上記のように傾斜させることで、規制突部13を断面フ字状とし、無理なく支持壁部12の上面と規制突部13の上面とを面一とすることができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)上記実施形態において、ダネッジ1や、ダネッジ1に載置されるワーク21の形状は特に限定されるものではなく、ダネッジ1の形状はワーク21の形状に合わせて適宜変更可能である。但し、ダネッジ1は、ダネッジ1にワーク21を載置した状態において、ワーク21の水平方向へのずれ移動を規制することのできる規制壁部11を備え、規制壁部11は、ワーク21の下端部と規制壁部11との当接を防止することのできる規制突部13を備えることとする。
【0046】
例えば、段状部25のないワーク21の運搬等に使用されるダネッジに適用することも可能である。この場合、少なくとも規制突部13を具備する規制壁部11があればよく、支持壁部12を省略することも可能である。また、この場合には、ダネッジの底壁部2の上面にワークの下端部が当接することとなる。但し、上記実施形態のように、段状部25を具備するワーク21の運搬等に使用されるダネッジ1に関しては、段状部25を支持壁部12で支持することによって、ワーク21の下端部をダネッジ1の底壁部2から上方に離間させることができる。この場合、底壁部2に堆積した埃等がワーク21の下端部に付着するといった事態等を防止することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、ワーク21の外周面は平坦面であり、段状部25の先端部がワーク21の最も外周側に位置するように構成されているが、例えば、側壁部24において本体部22の内周側に凹む凹部が設けられ、該凹部において段状部25が形成されていてもよい。さらに、段状部25の形成位置についても特に限定されるものではなく、例えば、それぞれ異なる高さ位置に形成された段状部25を支持凸部6でそれぞれ支持するよう構成してもよい。尚、ダネッジ1は、ワーク21を実際に使用・装着される向きと同じ向きで載置可能に構成されてもよいし、上下反対向きで載置可能に構成されてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、段状部25が側壁部24の下端部よりも若干上方の部位から延出しているが、例えば、ダネッジ1に載置された状態のワーク21の側壁部24の上縁部から段状部25が延出するよう構成してもよい。この場合においても、ダネッジ1に載置された状態のワーク21の側壁部24のうち下端部よりも上方の部位が規制突部13と当接するようにワーク21をダネッジ1に載置することで、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本実施形態では、一方側(下方)に開口する箱状のワーク21を載置するダネッジ1について具体化しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、内部空間のない中実状のワークを載置するダネッジに適用してもよい。
【0049】
(b)上記実施形態では、箱型凸部3を囲むようにして複数の支持凸部6が形成されているが、支持凸部6の数、配置、形状等は特に限定されるものではない。例えば、ワーク21の少なくとも下部を収容することのできる収容凹部を形成するようにして支持凸部を枠状に形成することとしてもよい。すなわち、当該構成を採用する場合、箱型凸部3を省略すれば、断面形状が図13や図14のようになるが、図13や図14の構成に本実施形態の構成を適用することで、図13や図14の側壁部73から収容凹部74の内側に突出し、ワーク80、80aの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能であり、突出方向先端部が側壁部73の下端部よりも収容凹部74の内周側に位置する規制突部が設けられることとなる。
【0050】
また、図1等では、各箱型凸部3を囲むようにして設けられる複数の支持凸部6は対応する箱型凸部3を挟んで相対配置されているが、ずれて配置されていてもよい。但し、ワーク21が四角箱状をなしている場合、支持凸部6(規制突部13)は、ワーク21の外周面を構成する4つの面又は/及び4つのコーナー部にそれぞれ当接するようにして、四角枠状に、或いは、複数箇所に設けられていることが望ましい。また、例えば、ワークが円筒状をなしている場合、支持凸部6(規制突部13)は、ワークの外周面を囲うようにして環状に、或いは、少なくともダネッジ1に載置されたかかるワークの中央部を中心として対称位置となる3箇所に(120度ピッチで)設けられていることが望ましい。この場合、ワーク21が水平方向におけるいずれの方向に相対移動した場合にも、ワーク21の外周面が規制突部13と当接し得るようになり、ワーク21の下端部とダネッジ1の支持凸部6(規制壁部11)との擦れを防止して、ダネッジ1の削りカスがワーク21に付着するといった事態を確実に防止することができる。
【0051】
加えて、規制壁部11が底壁部2から鉛直に延出するよう構成してもよい。但し、型抜きの作業性を鑑みると、規制壁部11が上方に向けて対応する箱型凸部3側に傾斜しないようにすることが望ましく、上記実施形態のように、上方に向けて対応する箱型凸部3から離間する方向に傾斜させることがより望ましい。また、上記実施形態では、規制突部13が規制壁部11の上縁部から突出しているが、上縁部よりも下方の部位から突出するよう構成してもよい。但し、上記実施形態のように、規制突部13を規制壁部11の上縁部に形成することで、型抜きに際し、始めに規制突部13を金型から抜きさえすれば、残りの部分は比較的スムースに金型から抜き出すことができるため、型抜き作業性の向上を図ることができる。さらに、上記(a)で記載したように、段状部25のないワークを運搬するダネッジに関しては、規制突部13が規制壁部11の上縁部に存在することで、規制突部13によってワークの外周面のうち極力上側の部位を支持することができることから、ダネッジに載置されたワークが相対移動して規制突部13と接触した場合に傾いてしまうといった事態を抑制することができる。
【0052】
(c)上記実施形態では、支持凸部6に形成された規制突部13がワーク21の外周面と当接することで、ワーク21の水平方向における相対移動を防止するよう構成されているが、例えば、箱型凸部3の外周面から外方に突出する規制突部13を形成し、当該規制突部13がワーク21の内周面と当接することで、ワーク21の水平方向における相対移動が規制されるよう構成してもよい。この場合、規制突部13がワーク21の内周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能であり、規制突部13の突出方向先端部が箱型凸部3の下端部よりも箱型凸部3の外周側に突出するよう構成されることで、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。尚、当該構成を採用する場合、箱型凸部3の外周面を構成する周壁部が規制壁部を構成する。また、支持凸部6を省略することも可能となる。
【0053】
さらに、ワーク21が側壁部24から本体部22の内周側に突出する段状部を具備するような場合、箱型凸部3に対し、段状部の下面と当接してワーク21を支持することのできる支持壁部を設けることとしてもよい。
【0054】
(d)上記実施形態では、ダネッジ1の成形に際し、ダネッジ1の下側面を成形するための成形面を有する雌型が使用されているが、ダネッジ1の上側面を成形するための成形面を有する雄型を使用してもよい。
【0055】
(e)上記実施形態では、ダネッジ1はポリエチレンにより構成されているが、ポリプロピレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…ダネッジ、2…底壁部、3…箱型凸部、6…支持凸部、11…規制壁部、12…支持壁部、13…規制突部、13a…上辺部、13b…下辺部、21…ワーク、22…本体部、24…側壁部、25…段状部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部を備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部の下端部よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【請求項2】
外周面から外側に突出する段状部の設けられたワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部と、
前記規制壁部の上縁部から前記規制壁部と交差する方向に延出し、前記ワークの段状部を支持することのできる支持壁部とを備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部のうち前記段状部が前記支持壁部に支持された状態の前記ワークの下端部と同じ高さ位置となる部位よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【請求項3】
前記規制突部は、前記規制壁部の上縁部から前記ワークの内周側に突出形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のダネッジ。
【請求項4】
前記規制突部の下面は、当該規制突部の先端部側に向けて上方傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダネッジ。
【請求項1】
ワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部を備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部の下端部よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【請求項2】
外周面から外側に突出する段状部の設けられたワークを載置可能に構成され、真空成形によって全体が一体的に形成されてなるダネッジであって、
前記ワークの水平方向における相対移動を規制することのできる規制壁部と、
前記規制壁部の上縁部から前記規制壁部と交差する方向に延出し、前記ワークの段状部を支持することのできる支持壁部とを備え、
前記規制壁部は、前記ワークの外周面のうち下端部よりも上方の部位に当接可能な規制突部を備え、
前記規制突部の突出方向先端部は、前記規制壁部のうち前記段状部が前記支持壁部に支持された状態の前記ワークの下端部と同じ高さ位置となる部位よりも前記ワークの内周側に位置していることを特徴とするダネッジ。
【請求項3】
前記規制突部は、前記規制壁部の上縁部から前記ワークの内周側に突出形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のダネッジ。
【請求項4】
前記規制突部の下面は、当該規制突部の先端部側に向けて上方傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダネッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−157127(P2011−157127A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22886(P2010−22886)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
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