説明

ダブルシリンジ

【課題】二液を混合注出する際に各部材を固定でき、部品の取替えの際は容易に分離でき、更に二液を混合且つ接触させずに抽出できるダブルシリンジを提供する。
【解決手段】先端部に注出口を形成し他端が開口した2本のシリンジと、先端に開口部を形成し開口部周面に2つの突起片を設け、後端の開口部周面に拡張部を形成し、シリンジ先端部を開口部から突出させてシリンジを収納するシリンジカバーと、2つの先端部を嵌入する2つのシリンジ受けの他端同士を連結し、連結部中央にミキシングエレメントと、2つのシリンジ受け及び連結部分を嵌入する接合部にミキシング部材を挿入する注出部を設け接合部と注出部の内部を連通したノズルと、ノズル接合部の注出部側を押さえると共に突起片に係止する係止部を備えた係止部材とからなり、係止部を突起片に係止し、シリンジ、ミキシングエレメント、ノズル及びシリンジカバーを連結するダブルシリンジの構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる成分の二液を定量注出することが可能なダブルシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、分配装置又はカートリッジ側にバヨネットつばを設け、混合器側にバヨネット保持手段を設けて、前記バヨネットつばにバヨネット保持手段を係止させて分配装置又はカートリッジと混合器を連結する装置などが公開されている。
【0003】
また、特許文献1には、カートリッジと混合器を連結後、結合リングで固定する装置などが公開されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、カートリッジと混合器を固定することのみを目的としているため各容器の雄出口が近接しており、混合器を外し異なる二液を混合することなく抽出した場合、注出と同時に各液が接触してしまい、前述のように混合せずに二液を抽出する場合には使用することとができなかった。
【0005】
また、特許文献以外にもカートリッジと混合器を連結し、二液を混合抽出する装置があるが、使用部材を付け替える等、カートリッジ部分と混合器部分を分離する際にしっかりと固定することを目的としているため取り外しが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−187637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、成分の異なる二液を混合注出する際には、各部材をしっかりと固定することができ、部品の取り替えの際にはスムーズに分離することができ、更に二液を混合させず且つ接触させることもなく抽出することができるダブルシリンジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、2本のシリンジからプランジャーで異なる二液を所望の体積比で注出するダブルシリンジであって、先端部5b(10b)に注出口5g(10g)を形成するとともに他端が開口5eした2本のシリンジ5と、前記シリンジ5、5を収納する筒体で先端部6d(11d)に開口部6h(11f)を形成すると共に前記開口部周面に2つの突起片6e(11g、11h)を対向して設け、後端の開口部周面に拡張部6c(11c)を形成し、前記シリンジ5(10)を前記先端部5b(10b)が前記開口部6hから突出した状態で収納するシリンジカバー6(11)と、前記2つの先端部5b(10b)を嵌入する2つのシリンジ受け3d、3e(8d、8e)の他端同士を連結し、前記連結部分の中央にミキシング部材3c(8c)を備えたミキシングエレメント3と、前記2つのシリンジ受け及び前記連結部分を嵌入する接合部2b(7b)に前記ミキシング部材を挿入する筒状の注出部2a(7a)を設け前記接合部と注出部の内部を連通したノズル2(7)と、前記ノズル2(7)の接合部2b(7b)の注出部2a(7a)側を押さえると共に前記突起片6e(11g、11h)に係止する係止部を備えた係止部材4(9)とからなり、前記係止部材4(9)の係止部を前記突起片6e(11g、11h)に係止することで、シリンジ5、ミキシングエレメント3(8)、ノズル2(7)及びシリンジカバー6(11)を密着連結することを特徴とするダブルシリンジ1(1a)の構成とした。
【0009】
また、前記シリンジカバー6を、前記突起片6eに沿って先端部6dに嵌入孔6gを穿設し、前記先端部6dの前記陥入孔6gに対向する位置にガイド片6fを設けたシリンジカバー6とし、前記ミキシングエレメント3を、前記連結部分のミキシング部材3c側に前記2つのシリンジ受け3d、3eに渡る溝を設けて各シリンジから抽出される液が合流するミキシングエレメント3とし、前記係止部材4を、中央に前記注出部2aを挿通するノズル挿通孔4eを穿設した押さえ板4aの外周に2つの係止部4b、4cを対向させ、且つ、押さえ板4aから垂設して設け、前記係止部4b、4cの先端付近に前記突起片6eに係止する係止溝4dを対向して設け、前記係止部4b、4cの先端に前記ガイド片6fに接触時に係止部材4をシリンジカバー6から押し離すガイドテーパー4fを互いに反対方向を向くように形成した係止部材4とし、前記シリンジ5を、前記開口5eの外周面に突条を形成し、前記突条の一部を切り落として平坦部5fを形成し、前記シリンジカバー6に平坦部5f同士を向かい合わせた状態で挿入するシリンジ5とし、前記シリンジカバー6にシリンジ5の先端部5bがシリンジカバー6の先端部6dから突出するように2つのシリンジ5、5を挿入し、前記シリンジ5の先端部5bを前記ミキシングエレメント3の各シリンジ受け3d、3eに嵌入してミキシングエレメント3とシリンジ5を連結し、前記ミキシングエレメント3のミキシング部材3cを前記注出部2aに挿入すると共に連結部3aを接合部2b内に嵌入してミキシングエレメント3とノズル2を連結し、前記注出部2aをノズル挿通孔4eに挿通して前記係止部4b、4cを前記突起片6e脇に位置させた後、前記係止部材4を回転させて前記係止溝4dを前記突起片6eに係止して前記係止部材4とシリンジカバー6を引き寄せて密着連結させることを特徴とするダブルシリンジ1の構成とした。
【0010】
更に、前記シリンジカバー11を、前記突起片11g、11hに沿って嵌入孔11eを穿設したシリンジカバー11とし、前記ミキシングエレメント8を、前記連結部分のミキシング部材8c側に前記2つのシリンジ受け8d、8eに渡る溝を設けて各シリンジから注出される液が合流するミキシングエレメント8とし、前記係止部材9を、平板状で端部に下方に向かって2つの係止突起9eを平行且つ間に溝を設けて垂設し、前記係止突起9eと反対側の端部中央に下方に向かって係止部9cを形成し、更に下面中央に穿設突起9dを垂設した上係止片9aと、前記穿設突起9dの中腹に前記上係止片9aと平行に形成され先端に下方に向かって係止部9cを備えた下係止片9bからなる係止部材9とし、前記シリンジ10を、前記開口10eの外周面に突条を形成し、前記突条の一部を切り落として平坦部10fを形成し、前記シリンジカバー11に平坦部10f同士を向かい合わせた状態で挿入するシリンジ10とし、前記ノズル7を、上面中央の注出部7aの反対側に凹部7fを形成し、上面の前記注出部7a側端部から注出部7aの反対側の端部に向かい且つ前記凹部7fを間に位置させるように2本の突起7e、7eを平行に設け、下面中央に孔7iを穿設し、開口面が前記注出部7a側として前記孔7iの周面にコ字状突起7hを垂設したノズル7とし、前記シリンジカバー11にシリンジ10の先端部10bがシリンジカバー11の先端部11dから突出するように2つのシリンジ10、10を挿入し、前記ミキシングエレメント8のミキシング部材8cを前記注出部7aに挿入すると共に連結部8aを接合部7b内に嵌入してミキシングエレメント8とノズル7を連結し、前記溝9fに前記注出部7aを嵌め込み、前記嵌入突起9dを前記凹部7fから孔7iに向かって挿入した状態で、前記シリンジ10の先端部10bを前記ミキシングエレメント8の各シリンジ受け8d、8eに嵌入してミキシングエレメント8とシリンジ10を連結すると共に前記下係止片9bを前記係止突起11g、11hの間に挿入し、前記係止部材9を下方に押し下げる際に前記上係止片9aの係止部9cを一方の嵌入孔11eに嵌入し、下係止片9bの係止部9cを他方の嵌入孔11eに嵌入して前記係止部材9とシリンジカバー11を密着連結させることを特徴とするダブルシリンジ1aの構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のような構成であるため、部材間をしっかりと密着連結させることができ、二液の注出時に注出経路以外から漏れることがない。
【0012】
また、各部材同士の組み立て、分解が容易であるため、部品交換やメンテナンスが容易であり、コストを抑えることができる。
【0013】
更に、二液を混合せず、且つ、二液を接触させることなく注出することができるため、成分の異なる二液を同量ずつ抽出する抽出器として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明であるダブルシリンジの第1実施例の斜視図である。
【図2】本発明であるダブルシリンジの第1実施例のノズルを示す図である。
【図3】本発明であるダブルシリンジの第1実施例のミキシングエレメントを示す図である。
【図4】本発明であるダブルシリンジの第1実施例の係止部材を示す図である。
【図5】本発明であるダブルシリンジの第1実施例のシリンジを示す図である。
【図6】本発明であるダブルシリンジの第1実施例のシリンジカバーを示す図である。
【図7】本発明であるダブルシリンジの第2実施例の斜視図である。
【図8】本発明であるダブルシリンジの第2実施例のノズルを示す図である。
【図9】本発明であるダブルシリンジの第2実施例のミキシングエレメントを示す図である。
【図10】本発明であるダブルシリンジの第2実施例の係止部材を示す図である。
【図11】本発明であるダブルシリンジの第2実施例のシリンジを示す図である。
【図12】本発明であるダブルシリンジの第2実施例のシリンジカバーを示す図である。
【図13】本発明であるダブルシリンジの第2実施例の各断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
先ず、図1から図6を使用して、本発明であるダブルシリンジを構成する各部を説明する事とする。
【0017】
図1は本発明であるダブルシリンジの第1実施例の斜視図、図2はダブルシリンジの第1実施例のノズルを示す図、図3はダブルシリンジの第1実施例のミキシングエレメントを示す図、図4はダブルシリンジの第1実施例の係止部材を示す図、図5はダブルシリンジの第1実施例のシリンジを示す図、図6はダブルシリンジの第1実施例のシリンジカバーを示す図である。
【0018】
図1から図6に示すように、本発明であるダブルシリンジ1は、2本のシリンジ5、5からプランジャーで異なる二液を所望の体積比で注出するダブルシリンジであって、先端部5bに注出口5gを形成するとともに他端が開口5eした2本のシリンジ5、5と、前記シリンジ5、5を収納する筒体で先端部6dに開口部6hを形成すると共に前記開口部周面に2つの突起片6eを対向して設け、後端の開口部周面に拡張部6cを形成し、前記シリンジ5、5を前記先端部5bが前記開口部6hから突出した状態で収納するシリンジカバー6と、前記2つの先端部5bを嵌入する2つのシリンジ受け3d、3eの他端同士を連結し、前記連結部分の中央にミキシング部材3cを備えたミキシングエレメント3と、前記2つのシリンジ受け3d、3e及び前記連結部分を嵌入する接合部2bに前記ミキシング部材3cを挿入する筒状の注出部2aを設け前記接合部2bと注出部2aの内部を連通したノズル2と、前記ノズル2の接合部2bの注出部2a側を押さえると共に前記突起片6eに係止する係止部4b、4cを備えた係止部材4とからなり、前記係止部材4の係止部4b、4cを前記突起片6eに係止することで、シリンジ5、ミキシングエレメント3、ノズル2及びシリンジカバー6を密着連結することを特徴とする。
【0019】
図2の各図に示すように、前記ノズル2は、平面より見た場合略長方形状をし、左右側面より見た場合略楕円形状をした内部が中空で長手方向の一面が開口した接合部2bと、前記接合部の開口面とは反対側の外側面中央に設けられた筒状の抽出部2aとからなる。
【0020】
図2の(A)(C)(D)図に示すように、前記抽出部2aの先端部2cは抽出部2aの中でも外径が最も小さくなっており、端部が開口2dしている。更に、前記接合部2bと抽出部2aは連通している。
【0021】
図3の各図に示すように、前記ミキシングエレメント3は、前記シリンジ5、5の先端部5b、5bを挿通する筒状の2つのシリンジ受け(以下、第一シリンジ受け3d、第二シリンジ受け3eとする)と、前記第一シリンジ受け3d及び第二シリンジ受け3eを一体とする連結部3aと、前記連結部3aの前記第一及び第二シリンジ受け3d、3eの反対側(上端部3b)中央に垂設されるミキシング部材3cとからなる。尚、前記ミキシングエレメント3は一体成形してもよい。
【0022】
前記第一及び第二シリンジ受け3d、3eは、シリンジ5の先端部5bの外径と等しい内径を有した筒状であるが、上端(即ちミキシング部材3c側)は大部分が閉鎖され中央に注出孔3hを形成している。
【0023】
図3の(B)(C)図に示すように、前記連結部3aの上面には、長手方向の一端から他端に渡って(即ち、第一シリンジ受け3dから第二シリンジ受け3eにかけた部分)溝3g、3gが形成されており、この溝3g、3gは前記第一及び第二シリンジ受け3d、3eの注出孔3h、3hと連通している。
【0024】
前記ノズル2とミキシングエレメント3は、前記ミキシング部材3cを注出部2aに挿通し、前記第一及び第二シリンジ3d、3e並びに連結部3aを前記接合部2bに挿入することで連結され、その際、前記溝3g、3gの上部のミキシング部材3cを垂設した部分以外は接合部2bの内壁面により塞がれた状態となっており、前記注出孔3h、3hから抽出される二液は溝3g、3g内を通りミキシング部材3cを挿入した前記注出部2a内で接触する。尚、二液は注出部2a内を通過する際にミキシング部材3cにより混ぜ合わされることとなり、前記先端部2cから抽出されるときには混合液となっている。
【0025】
図3の(A)(B)図に示すように、前記連結部3aの外周面には一周に渡って突条のシール部3fを設けており、このシール部3fにより溝3g、3gに抽出された二液が接合部2aと接合部2aに嵌入した連結部3a及び第一シリンジ受け3d並びに第二シリンジ受け3eの間から漏れ出ないようにしている。
【0026】
図4の各図に示すように、前記係止部材4は、中央に前記注出部2aを挿通するノズル挿通孔4eを穿設した略長方形状の押さえ板4aと、前記押さえ板4aの長手方向の両端から同方向に垂設される第一係止部4b及び第二係止部4cからなり、図4(A)図に示すように、平面形状が略コの字状をしている。
【0027】
前記第一係止部4b及び第二係止部4cの端部には係止溝4dが形成されており、前記各係止溝4d、4dは互いに向かい合う状態で形成されている。
【0028】
また、図4の(B)(D)図に示すように、前記第一及び第二係止部4b、4cには、端部を斜めに切り落としガイドテーパー4fを形成したガイド板4g、4gが形成されており、前記ガイドテーパー4fの位置は前記ノズル挿通孔4eの中心を対称とした位置に形成されている。
【0029】
図5の各図に示すように、シリンジ5は、中空5dのシリンジ本体5aと前記シリンジ本体5aの一端に形成される同じく中空のテーパー部5c及び前記テーパー部5cの先端に形成される径が最も小さい中空の先端部5bからなる。
【0030】
前記先端部5b、テーパー部5c及びシリンジ本体5aの内部は連通しており、前記先端部5bは注出口5gを備え、前記シリンジ本体5aの他端は開口5eしている。即ち、シリンジ5は両端が開口している。
【0031】
前記開口5eの外周面には突条5hが形成され、突条5hの一部を切り落とした平坦部5fが形成されている。前記シリンジ5、5は、前記平坦部5f同士を向かい合わせた状態でシリンジカバー6に挿入される。
【0032】
図6の各図に示すように、前記シリンジカバー6は、前記二本のシリンジ5、5を挿入する第一筒6aと第二筒6bを平行に並べて連結し、内部空間を連通させて、一端にはテーパー状の先端部6dを形成し、他端は開口している。また、他端には各シリンジ5、5にプランジャーを挿入し、プランジャーをシリンジ内に押し進める際に指を掛けるための拡張部6cを形成している。
【0033】
前記先端部6dは開口部6hを形成しており、前記開口部6hの外周面に突起片6e、6eを形成している。前記突起片6e、6eは前記開口部6hの中心を軸とした対称の位置に形成されている。
【0034】
また、前記先端部6dには前記突起片6e、6eに沿って嵌入孔6g、6gが穿設されており、更に前記陥入孔6g、6gに対向する位置にガイド片6f、6fが設けられている。
【0035】
図1に示すように、以上の部材からなるダブルシリンジ1は、前記シリンジカバー6にシリンジ5の先端部5bがシリンジカバー6の先端部6dから突出するように2つのシリンジ5、5を挿入し、前記シリンジ5の先端部5bを前記ミキシングエレメント3の第一シリンジ受け3d及び第二シリンジ受け3eに嵌入してミキシングエレメント3とシリンジ5を連結し、前記ミキシングエレメント3のミキシング部材3cを前記注出部2aに挿入すると共に連結部3aを接合部2b内に嵌入してミキシングエレメント3とノズル2を連結し、前記注出部2aをノズル挿通孔4eに挿通して前記係止部4b、4cを前記突起片6e脇に位置させた後、前記係止部材4を回転させて前記係止溝4dを前記突起片6eに係止して前記係止部材4とシリンジカバー6を密着連結させて使用する。
【0036】
また、本発明であるダブルシリンジ1で各シリンジ5、5の液を混合させずに二液を同量ずつ抽出する場合や、部材交換、メンテナンス等で分解をする場合は、先ず、前記係止部材4を先ほどと反対方向に回転させて取り外すが、係止部材4を回転させると前記ガイドテーパー4fがガイド片6fに接触し、そのまま係止部材4の回転を進めると前記ガイドテーパー4fがガイド片6fの面上を滑りながら押し上げられ、係止部材4とシリンジカバー6が自然に離れる。そして、ノズル2と係止部材4を外し、更にノズル2とミキシングエレメント3を外せばよい。
【0037】
以上のように、ノズル2、ミキシングエレメント3、係止部材4を外し、シリンジ5、5とシリンジカバー6のみを使用した場合、前記シリンジカバー6に挿通されたシリンジ5、5の注出口5g、5gは離れているため、プランジャーにて押し出された後も、各液は勝手に接触することはない。
【実施例2】
【0038】
図7は本発明であるダブルシリンジの第2実施例の斜視図、図8はダブルシリンジの第2実施例のノズルを示す図、図9はダブルシリンジの第2実施例のミキシングエレメントを示す図、図10はダブルシリンジの第2実施例の係止部材を示す図、図11はダブルシリンジの第2実施例のシリンジを示す図、図12はダブルシリンジの第2実施例のシリンジカバーを示す図、図13はダブルシリンジの第2実施例の各断面図である。
【0039】
図7から図13に示すように、本発明であるダブルシリンジ1aは、2本のシリンジからプランジャーで異なる二液を所望の体積比で注出するダブルシリンジであって、先端部10bに注出口10gを形成するとともに他端が開口10eした2本のシリンジ10、10と、前記シリンジ10、10を収納する筒体で先端部11dに開口部11fを形成すると共に前記開口部周面に2つの突起片11g、11hを対向して設け、後端の開口部周面に拡張部11cを形成し、前記シリンジ10を前記先端部10bが前記開口部11hから突出した状態で収納するシリンジカバー11と、前記2つの先端部10bを嵌入する2つのシリンジ受け8d、8eの他端同士を連結し、前記連結部分の中央にミキシング部材8cを備えたミキシングエレメント8と、前記2つのシリンジ受け8d、8e及び前記連結部分を嵌入する接合部7bに前記ミキシング部材8cを挿入する筒状の注出部7aを設け前記接合部7bと注出部7aの内部を連通したノズル7と、前記ノズル7の接合部7bの注出部7a側を押さえると共に前記突起片11g、11hに係止する係止部9cを備えた係止部材9とからなり、前記係止部材9の係止部9c、9cを前記突起片11g、11hに係止することで、シリンジ10、ミキシングエレメント8、ノズル7及びシリンジカバー11を密着連結することを特徴とする。
【0040】
図8に各図に示すように、前記ノズル7は、平面より見た場合略長方形状をし、左右側面より見た場合略楕円形状をした内部が中空で長手方向の一面が開口した接合部7bと、前記接合部7bの開口面とは反対側の外側面中央に設けられた筒状の抽出部7aとからなる。
【0041】
また、前記接合部7bの上面中央の注出部7aの反対側に凹部7fを形成し、上面の前記注出部7a側端部から注出部7aの反対側の端部に向かい且つ前記凹部7fを間に位置させるように2本の突起7e、7eを平行に設け、下面中央に孔7iを穿設し、開口面が前記注出部7a側として前記孔7iの周面にコ字状突起7hを垂設している。尚、前記凹部7fの一部と孔7iは垂直延長線上に位置している。
【0042】
図8に示すように、前記抽出部7aの先端部7cは抽出部7aの中でも外径が最も小さくなっており、端部が開口7dしている。また、前記接合部7bと抽出部7aの接合部分にはガイド部7gが設けられており、前記接合部7b、注出部7a及びガイド部7g内は全て連通している。
【0043】
図9の各図に示すように、前記ミキシングエレメント8は、前記シリンジ10、10の先端部10b、10bを挿通する筒状の2つのシリンジ受け(以下、第一シリンジ受け8d、第二シリンジ受け8eとする)と、前記第一シリンジ受け8d及び第二シリンジ受け8eを一体とする連結部8aと、前記連結部8aの前記第一及び第二シリンジ受け8d、8eの反対側(上端部8b)中央に垂設されるミキシング部材8cとからなる。尚、前記ミキシングエレメント8は一体成形しても良い。
【0044】
前記第一及び第二シリンジ受け8d、8eは、シリンジ10の先端部10bの外径と等しい内径を有した筒状であるが、上端(即ちミキシング部材8c側)は大部分が閉鎖され中央に小さな注出孔8hを形成している。
【0045】
図9の(B)(C)図に示すように、前記連結部8aの上面には、長手方向の一端から他端に渡って(即ち、第一シリンジ受け8dから第二シリンジ受け8eにかけた部分)溝8g、8gが形成されており、この溝8g、8gは前記第一及び第二シリンジ受け8d、8eの注出孔8h、8hと連通している。
【0046】
前記ノズル7とミキシングエレメント8は、前記ミキシング部材8cを注出部7aに挿通し、前記第一及び第二シリンジ8d、8e並びに連結部8aを前記接合部7bに挿入することで連結され、その際、前記溝8g、8gの上部のミキシング部材8cを垂設した部分以外は接合部7bの内壁面により塞がれた状態となっており、前記注出孔8h、8hから抽出される二液は溝8g、8g内を通りミキシング部材8cを挿入した前記注出部7a内で接触する。尚、二液は注出部7a内を通過する際にミキシング部材8cにより混ぜ合わされることとなり、前記先端部7cから抽出されるときには混合液となっている。
【0047】
図9の(A)(B)図に示すように、前記連結部8aの外周面には一周に渡って突条のシール部8fを設けており、このシール部8fにより溝8g、8gに抽出された二液が接合部7bと接合部7bに嵌入した連結部8a及び第一シリンジ受け8d並びに第二シリンジ受け8eの間から漏れ出ないようにしている。
【0048】
尚、図9(A)に示すように、前記連結部8aは、第一シリンジ受け8d及び第二シリンジ受け8eの上部側を連結しており、第一シリンジ受け8d及び第二シリンジ受け8eの間に空間が形成された状態となっている。
【0049】
図10の各図に示すように、前記係止部材9は、平板状で端部に下方に向かって2つの係止突起9e、9eを平行且つ間に溝9fを設けて垂設し、前記係止突起9e、9eと反対側の端部中央に下方に向かって係止部9cを形成し、更に下面中央に嵌入突起9dを垂設した上係止片9aと、前記嵌入突起9dの中腹に前記上係止片9aと平行に形成され先端に下方に向かって係止部9cを備えた下係止片9bからなる。
【0050】
図11の各図に示すように、シリンジ10は、中空10dのシリンジ本体10aと前記シリンジ本体10aの一端に形成される同じく中空のテーパー部10c及び前記テーパー部10cの先端に形成される径が最も小さい中空の先端部10bからなる。
【0051】
前記先端部10b、テーパー部10c及びシリンジ本体10aの内部は連通しており、前記先端部10bは注出口10gを備え、前記シリンジ本体10aの他端は開口10eしている。即ち、シリンジ10は両端が開口している。また、他端には各シリンジ10、10にプランジャーを挿入し、プランジャーをシリンジ内に押し進める際に指を掛けるための拡張部11cを形成している。

【0052】
前記開口10eの外周面には突条10hが形成され、突条10hの一部を切り落とした平坦部10fが形成されている。前記シリンジ10、10は、前記平坦部10f同士を向かい合わせた状態でシリンジカバー11に挿入される。
【0053】
図12の各図に示すように、前記シリンジカバー11は、前記二本のシリンジ10、10を挿入する第一筒11aと第二筒11bを平行に並べて連結し、内部空間を連通させて、一端にはテーパー状の先端部11dを形成し、他端は開口している。
【0054】
前記先端部11dは開口部11fを形成しており、前記開口部11fの外周面に突起片11g、11hを形成している。前記突起片11g、11hは前記開口部11fの中心を軸とした対称の位置に形成されている。
【0055】
また、前記先端部11dには前記突起片11g、11hに沿って嵌入孔11e、11eが穿設されている。
【0056】
図13に示すように、以上の部材からなるダブルシリンジ1aは、前記シリンジカバー11にシリンジ10の先端部10bがシリンジカバー11の先端部11dから突出するように2つのシリンジ10、10を挿入し、前記ミキシングエレメント8のミキシング部材8cを前記注出部7aに挿入すると共に連結部8aを接合部7b内に嵌入してミキシングエレメント8とノズル7を連結し、前記溝9fに前記注出部7aを嵌め込み、前記嵌入突起9dを前記凹部7fから孔7iに向かって挿入した状態で、前記シリンジ10の先端部10bを前記ミキシングエレメント8の各シリンジ受け8d、8eに嵌入してミキシングエレメント8とシリンジ10を連結すると共に前記下係止片9bを前記係止突起11g、11hの間に挿入し、前記係止部材9を下方に押し下げる際に前記上係止片9aの係止部9cを一方の嵌入孔11eに嵌入し、下係止片9bの係止部9cを他方の嵌入孔11eに嵌入して前記係止部材9とシリンジカバー11を密着連結させることを特徴とする。
【0057】
尚、本発明であるダブルシリンジ1aで各シリンジ10、10の液を混合させずに二液を同量ずつ抽出する場合や、部材交換、メンテナンス等で分解をする場合は、先ず、前記係止部材9を先ほどと反対方向に引き上げて、ノズル7とミキシングエレメント8及び係止部材9をシリンジカバー11から外し、更に係止部材9をノズル7とミキシングエレメント8から外し、最後にノズル7とミキシングエレメント8を外せばよい。
【0058】
以上のように、ノズル7、ミキシングエレメント8、係止部材9を外し、シリンジ10、10とシリンジカバー11のみを使用した場合、前記シリンジカバー11に挿通されたシリンジ10、10の注出口10g、10gについても離れているため、プランジャーにて押し出された後も、各液は勝手に接触することはなく、異なる二液を同量ずつ抽出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明であるダブルシリンジは、部材間をしっかりと密着連結させることができ、二液の注出時に注出経路以外から漏れることがなく、また、各部材同士の組み立て、分解が容易で部品交換やメンテナンスコストを抑えることができ、更に二液を混合せず、且つ、二液を接触させることなく注出する抽出器として使用することでき、二液の注出量の正確性が求められる様々な業界に多大な貢献をもたらす。
【符号の説明】
【0060】
1 ダブルシリンジ
1a ダブルシリンジ
2 ノズル
2a 注出部
2b 接合部
2c 先端部
2d 開口
3 ミキシングエレメント
3a 連結部
3b 上端部
3c ミキシング部材
3d 第一シリンジ受け
3e 第二シリンジ受け
3f シール部
3g 溝
3h 注出孔
4 係止部材
4a 押さえ板
4b 第一係止部
4c 第二係止部
4d 係止溝
4e ノズル挿通孔
4f ガイドテーパー
4g ガイド板
5 シリンジ
5a シリンジ本体
5b 先端部
5c テーパー部
5d 中空
5e 開口
5f 平坦部
5g 注出口
5h 突条
6 シリンジカバー
6a 第一筒
6b 第二筒
6c 拡張部
6d 先端部
6e 突起片
6f ガイド片
6g 嵌入孔
6h 開口部
7 ノズル
7a 注出部
7b 接合部
7c 先端部
7d 開口
7e 突起
7f 凹部
7g ガイド部
7h コ字状突起
7i 孔
8 ミキシングエレメント
8a 連結部
8b 上端部
8c ミキシング部材
8d 第一シリンジ受け
8e 第二シリンジ受け
8f シール部
8g 溝
8h 注出孔
9 係止部材
9a 上係止片
9b 下係止片
9c 係止部
9d 嵌入突起
9e 係止突起
9f 溝
10 シリンジ
10a シリンジ本体
10b 先端部
10c テーパー部
10d 中空
10e 開口
10f 平坦部
10g 注出口
10h 突条
11 シリンジカバー
11a 第一筒
11b 第二筒
11c 拡張部
11d 先端部
11e 嵌入孔
11f 開口部
11g 上突起片
11h 下突起片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のシリンジからプランジャーで異なる二液を所望の体積比で注出するダブルシリンジであって、
先端部に注出口を形成するとともに他端が開口5eした2本のシリンジと、
前記シリンジを収納する筒体で先端部に開口部を形成すると共に前記開口部周面に2つの突起片を対向して設け、後端の開口部周面に拡張部を形成し、前記シリンジを前記先端部が前記開口部から突出した状態で収納するシリンジカバーと、
前記2つの先端部を嵌入する2つのシリンジ受けの他端同士を連結し、前記連結部分の中央にミキシング部材を備えたミキシングエレメントと、
前記2つのシリンジ受け及び前記連結部分を嵌入する接合部に前記ミキシング部材を挿入する筒状の注出部を設け前記接合部と注出部の内部を連通したノズルと、
前記ノズルの接合部の注出部側を押さえると共に前記突起片に係止する係止部を備えた係止部材とからなり、
前記係止部材の係止部を前記突起片に係止することで、シリンジ、ミキシングエレメント、ノズル及びシリンジカバーを密着連結することを特徴とするダブルシリンジ。
【請求項2】
前記シリンジカバーを、前記突起片に沿って先端部に嵌入孔を穿設し、前記先端部の前記陥入孔に対向する位置にガイド片を設けたシリンジカバーとし、
前記ミキシングエレメントを、前記連結部分のミキシング部材側に前記2つのシリンジ受けに渡る溝を設けて各シリンジから抽出される液が合流するミキシングエレメントとし、
前記係止部材を、中央に前記注出部を挿通するノズル挿通孔を穿設した押さえ板の外周に2つの係止部を対向させ、且つ、押さえ板から垂設して設け、前記係止部の先端付近に前記突起片に係止する係止溝を対向して設け、前記係止部の先端に前記ガイド片に接触時に係止部材をシリンジカバーから押し離すガイドテーパーを互いに反対方向を向くように形成した係止部材とし、
前記シリンジを、前記開口の外周面に突条を形成し、前記突条の一部を切り落として平坦部を形成し、前記シリンジカバーに平坦部同士を向かい合わせた状態で挿入するシリンジとし、
前記シリンジカバーにシリンジの先端部がシリンジカバーの先端部から突出するように2つのシリンジを挿入し、前記シリンジの先端部を前記ミキシングエレメントの各シリンジ受けに嵌入してミキシングエレメントとシリンジを連結し、前記ミキシングエレメントのミキシング部材を前記注出部に挿入すると共に連結部を接合部内に嵌入してミキシングエレメントとノズルを連結し、前記注出部をノズル挿通孔に挿通して前記係止部を前記突起片脇に位置させた後、前記係止部材を回転させて前記係止溝を前記突起片に係止して前記係止部材とシリンジカバーを引き寄せて密着連結させることを特徴とする請求項1に記載のダブルシリンジ。
【請求項3】
前記シリンジカバーを、前記突起片に沿って嵌入孔を穿設したシリンジカバーとし、
前記ミキシングエレメントを、前記連結部分のミキシング部材側に前記2つのシリンジ受けに渡る溝を設けて各シリンジから注出される液が合流するミキシングエレメントとし、
前記係止部材を、平板状で端部に下方に向かって2つの係止突起を平行且つ間に溝を設けて垂設し、前記係止突起と反対側の端部中央に下方に向かって係止部を形成し、更に下面中央に嵌入突起を垂設した上係止片と、前記嵌入突起の中腹に前記上係止片と平行に形成され先端に下方に向かって係止部を備えた下係止片からなる係止部材とし、
前記シリンジを、前記開口の外周面に突条を形成し、前記突条の一部を切り落として平坦部を形成し、前記シリンジカバーに平坦部同士を向かい合わせた状態で挿入するシリンジとし、
前記ノズルを、上面中央の注出部の反対側に凹部を形成し、上面の前記注出部側端部から注出部の反対側の端部に向かい且つ前記凹部を間に位置させるように2本の突起を平行に設け、下面中央に孔を穿設し、開口面が前記注出部側として前記孔の周面にコ字状突起を垂設したノズルとし、
前記シリンジカバーにシリンジの先端部がシリンジカバーの先端部から突出するように2つのシリンジを挿入し、
前記ミキシングエレメントのミキシング部材を前記注出部に挿入すると共に連結部を接合部内に嵌入してミキシングエレメントとノズルを連結し、
前記溝に前記注出部を嵌め込み、前記嵌入突起を前記凹部から孔に向かって挿入した状態で、前記シリンジの先端部を前記ミキシングエレメントの各シリンジ受けに嵌入してミキシングエレメントとシリンジを連結すると共に前記下係止片を前記係止突起の間に挿入し、前記係止部材を下方に押し下げる際に前記上係止片の係止部を一方の嵌入孔に嵌入し、下係止片の係止部を他方の嵌入孔に嵌入して前記係止部材とシリンジカバーを密着連結させることを特徴とする請求項1に記載のダブルシリンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−27599(P2013−27599A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166642(P2011−166642)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【出願人】(393032125)油化電子株式会社 (36)
【Fターム(参考)】