ダブルノック機構
【課題】操作部が回転子を二方向から挟んで連結させることで操作部と回転子を同調させる仕組みを備えるダブルノック機構において、操作部をアンダーカットがない形状にする。
【解決手段】操作部2の第一歯形状カム21は回転子3に回転力を与える部分のみ設置し、第二歯形状カム22は回転子3が解離するのを係止する部分のみ設置し、第一歯形状カム21と第二歯形状カム22を互い違いに配置して円筒溝カム20を構成する。また回転子3一端の端面に第一歯形状カム21と係合して回転力を得るとともに、回転子3が第一歯形状カムの隙間にはまってしまうのを防止する第三接触子32を備える。
【解決手段】操作部2の第一歯形状カム21は回転子3に回転力を与える部分のみ設置し、第二歯形状カム22は回転子3が解離するのを係止する部分のみ設置し、第一歯形状カム21と第二歯形状カム22を互い違いに配置して円筒溝カム20を構成する。また回転子3一端の端面に第一歯形状カム21と係合して回転力を得るとともに、回転子3が第一歯形状カムの隙間にはまってしまうのを防止する第三接触子32を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダブルノック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からプッシュロックスイッチ等に使用されている操作部を一回押すと押し込んだ状態を保持し、もう一回操作部を押し込むと元の状態に戻るオルタネイト動作を得るための機構の一つにダブルノック機構がある。その中で特許文献1は操作部が操作前と操作後において、不本意に動いてしまうのを防止する構造になっている。ここで操作前とは操作部を押し込んでいない状態であり、操作後とは操作部を押し込み回転子が移動してスイッチを切り替え終えた状態のことであり、操作時とは操作前から操作後に移行している状態である。(特許文献1参照)
【0003】
特許文献1のダブルノック機構の構成を示したのが図7である。支持部に係合する接触子にスイッチの切り替えと回転力を与える端面カムを備える。また支持部に係合し押し込むことで往復運動する円柱状の操作部曲面に、係合する接触子に回転力を与える第一歯形状カムと、係合する接触子が解離するのを係止する第二歯形状カムとを向かい合わせて形成される円筒溝カムを備える。またリング状の回転子外周面に端面カムと係わり合う接触子と、内周面に円筒溝カムと係わり合う接触子を備える。また押し込まれた回転子を押し戻す圧力を加える弾性体を備える。さらにリング状の回転子に円筒溝カム部分を貫通させて操作部を連結させる。また回転子の接触子が、支持部の端面カムと操作部の第一歯形状カムに同時に咬合できないように構成する。回転子は端面カムと第一歯形状カムに交互に咬合して回転力を得て端面カムを移動しスイッチを切り替える。
【0004】
これにより操作後に支持部の端面カムに回転子が固定され、その回転子の内側の接触子を円筒溝カムが両側から挟み込んで連結している操作部も不本意に移動してしまうことを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4676562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしこの方法には、操作部をプラスチックなどの樹脂で成形する際に問題があった。それは図8で示したとおり、二つの歯形状カムを向かい合わせて構成される円筒溝カム部分にアンダーカットができてしまい、操作部を作る金型が複雑になってしまった。
【0007】
そこで本発明の目的は、操作部が不本意に動かない構造のダブルノック機構の操作部や回転子をプラスチック成形する際に、アンダーカット部分が発生しない部品構成にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は支持部に端面カムと、支持部に係合する操作部に第一歯形状カムと第二歯形状カムとを向かい合わせて形成される円筒溝カムと、リング状の回転子外周面に端面カムと係合する第一接触子と、回転子内周面に円筒溝カムと係合する第二接触子と、回転子に圧力を加える弾性体とを備え、回転子に円筒溝カム部分を貫通させて連結するダブルノック機構において、
係合する接触子に回転力を与える箇所のみ有する第一歯形状カムと、係合する第二接触子に接触して操作部が解離するのを係止する箇所のみ有する第二歯形状カムと、回転子一端の端面に第一歯形状カムと係合して回転力を得る第三接触子とを備え、前記円筒溝カムに代わり第一歯形状カムと第二歯形状カムを互い違いに向かい合わせて配置して形成される円筒溝カムを操作部に備えることを特徴とするダブルノック機構。
である。なおこれ以後の説明は操作部を上から下へ押す縦置き状態とする。
【0009】
これにより円筒溝カムを構成する第一歯形状カムと第二歯形状カムの歯が一つ一つ独立した突起になる。一つ一つの突起になった第一歯形状カムと第二歯形状カムは円柱状の操作部の縦軸において互い違いにずらして配置する。よって上下から金型を組み合わせてプラスチック成形する際に、アンダーカット部分が発生しない。しかしこのままでは第一歯形状カムが連なるのではなく一つ一つ独立した突起となったことで間隔が空き、その空いた間隔に第二接触子がはまってしまい、第一接触子が端面カムを摺動して回転するのを阻害してしまう。そのためリング状の回転子一端の端面に連なって配置された第三接触子が常に第一歯形状カムと接することで、回転子が空いた間隔にはまってしまうのを防止し回転力を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により操作部が不本意に移動してしまうのを防ぐダブルノック機構において、操作部の二種類の歯形状を互い違いにすることでプラスチック成形時にアンダーカットを生じさせないため、金型の製造及び、メンテナンス費用を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】操作部をロックするダブルノック機構の実施方法を分解斜視図で示した図である。
【図2】支持部の端面カムを展開図で示した図である。
【図3】操作部の実施方法を(A)は正面図で、(B)は斜視図で示した図である。
【図4】操作部の実施方法を平面図で示した図である。
【図5】回転子の実施方法を(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は断面図で示した図である。
【図6】操作部と回転子を連結したときの係わり方の実施方法を(A)は正面図、(B)は一部を展開図で示した図である。
【図7】既存のダブルノック機構の実施方法を分解斜視図で示した図である。
【図8】既存のダブルノック機構の操作部を正面図で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は請求項1の操作部をロックするダブルノック機構の実施方法を分解斜視図で示した図である。内部円筒曲面に端面カム6を備える支持部1と、円筒溝カム20を備える操作部2と、外側円筒曲面に第一接触子30及び内側円筒曲面に第二接触子31を備える回転子3と、回転子3に常に圧力を加えるコイルスプリング等の弾性体4と、弾性体4を支え支持部1一端に蓋をする支持部底面5とを備える。また図1においては支持部1と支持部底面5を結合するために、支持部結合用溝11と支持部底面結合用突起51とを組み合わせて結合させるが、接着剤等を使い結合させてもよい。
【0013】
図2は支持部1の端面カム6を展開図で示した図である。支持部1の内部を円筒状にして、その円筒曲面に図2で示した端面カム6を備える。端面カム6は深溝61と浅溝62を交互に繰り返すことで構成する。回転子3の第一接触子30が端面カム6の歯形状カムのカム山を一つ越えるごとに支持部1に対して上下に往復移動してスイッチとしての機能を得る。また支持部1、もしくは端面カム6には操作部2が支持部1に対して垂直に往復運動のみできるように、垂直移動用カム63を備える。
【0014】
図3は操作部2の実施方法を(A)は正面図で、(B)は斜視図で示した図である。軸を円柱状にして第一歯形状カム21、及び第二歯形状カム22から成る円筒溝カム20と、垂直移動用接触子23を備える。第一歯形状カム21は回転子3に回転力を与えるためにあるので、回転子3の進行方向側に歯形状の斜面を設置する。回転子3の進行方向と逆側の歯形状の斜面は、回転子3に一定方向へ回転力を与えるためには必要ないので設けない。また第二歯形状カム22は操作後に、操作部2が回転子3から解離してしまうのを防ぐためにあるので、操作後の状態において係合する接触子と接している箇所に設置(第一歯形状カム21、第二歯形状カム22共に詳しくは図6参照)する。すると操作部2の縦軸において第一歯形状カム21と第二歯形状カム22の必要箇所が互い違いになり、金型製造時にアンダーカットがない操作部を製造できる。
【0015】
また操作部2は支持部1に対して垂直に往復運動のみ可能であって軸心に対して回転してはならないので、支持部1の垂直移動用カム63に係合する接触子が必要である。そのため図4で示したように一部の第一歯形状カム21を操作部2の軸から延長し、延長させた箇所を垂直移動用接触子63として利用する。ただし垂直移動用接触子63は操作部2が支持部1に対して垂直移動のみできるようにするために存在するので、第一歯形状カム21の一部を接触子にしなくてもよい。なお支持部1の垂直移動用カム63と操作部2の垂直移動用接触子23を組み合わせた際に、端面カム6と第一歯形状カム21の山部分のピッチをずらして組み合わせることで、両方のカムと同時に噛み合うことができない回転子3は端面カム6と第一歯形状カム21に交互に噛み合い回転力を得る。
【0016】
図5は回転子3の実施方法を(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は断面図で示した図である。リング状にした回転子3の外側の曲面に端面カム6と係合する第一接触子30を備える。また内側の曲面に第二歯形状カム22と係合する第二接触子31を備える。ここで操作部2の第一歯形状カム21は歯形状の歯が連なっておらず一つ一つが個々に配置されているため、第二接触子31では回転途中で第一歯形状カム21の隙間にはまってしまう。すると第一接触子30が端面カム6を摺動して回転することを阻害してしまう。そこでリング状の回転子3一端の端面に第一歯形状カム21の隙間にはまらずに回転できるように、連なった形状の第三接触子32を備える。
【0017】
図6は操作部2と回転子3を連結したときの係わり方の実施方法を(A)は正面図、(B)は一部を展開図で示した図である。回転子3の回転の仕組みとして、端面カム6と円筒溝カム20の二種類のカムと回転子3の接地面には上からは操作部2の押し込みにより、下からは弾性体4の圧力が働く。このとき操作部2からの押し込みの力が勝ると回転子3は下側へ押し込まれ円筒溝カム20と噛み合う。その後弾性体4からの圧力が勝ると今度は回転子3が上側へ押し戻され端面カム6と噛み合う。よって以上の動作を行うことで回転子3は操作部2の押し込みと弾性体4から得る上下へのエネルギーを横回転のエネルギーに変換する。さらに操作部2は回転子3と連結されているので、回転子3が支持部1の端面カム6を構成する深溝61と浅溝62の間を行き来して上下の高低差を保持する際に操作部2も上下の高低差を保持する。
【0018】
図6(A1)は操作前であり、操作部2を押し込む前で回転子3の第一接触子30が端面カム6の深溝61の位置にあり、いわゆるスイッチオフの状態である。回転子3は弾性体4の圧力により第一接触子30が支持部1の端面カム6の深溝61へ押し付けられることで上下動ならびに回転移動を停止した状態である。また第一歯形状カム21と第三接触子32、及び第二歯形状カム21と第二接触子31の歯形状の噛み合わせは図6(B1)のようになる。支持部1に対して上下動のみできる操作部2は、円筒溝カム20の第一歯形状カム21が回転子3の第三接触子32と接触し、第二歯形状カム22が回転子3の第二接触子31と接触している。よって操作部2は上下動できず、回転子3と同様に支持部1に対して固定した状態となる。
【0019】
図6(A2)は操作時であり、図6(A1)から操作部2を底まで押し込んで回転子3が回転した状態である。回転子3は支持部1の端面カム6の影響が無くなり回転力が開放され回転することで、第三接触子32が第一歯形状カム21と噛み合っている。また円筒溝カム6と第二接触子31、及び第三接触子32のそれぞれの歯形状の噛み合わせは図6(B2)のようになる。このとき第一歯形状カム21と第三接触子32がお互いに圧力を掛け合っているため第二接触子31は第二歯形状カム22との接点を設ける必要がない。よって第二歯形状カム22はこの状態の部分に配置しない。なお操作部2を回転子3に貫通させて連結するときは、第二歯形状カム22と第二接触子31が干渉しないこの状態で行うとよい。
【0020】
図6(A3)は操作時であり、図6(A2)から操作部2への押し込みを解除することで回転子3がロック位置である端面カム6の浅溝62へ移行する状態である。弾性体4の圧力により回転子3が操作部2を上へ押し戻しつつ、支持部1の端面カム6に沿って摺動して回転子3を浅溝62にロックする途中である。また円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32のそれぞれの歯形状の噛み合わせは図6(B3)のようになる。
【0021】
図6(A4)は操作後であり、図6(A3)から回転子3、及び操作部2をロックした状態である。回転子4が操作部2に対し回転移動し第二接触子31、及び第三接触子32は円筒溝カム20内を摺動し第1接触子30は支持部1の端面カム6へ押し付けられ回転子3がロックされる。また円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32のそれぞれの歯形状の噛み合わせは図6(B4)のようになる。このとき上下動のみできる操作部2は、円筒溝カム20の第一歯形状カム21と第二歯形状カム22が第二接触子31と第三接触子32を挟み込んでブレの原因となる隙間を打ち消しあうように接しているため上下動できない。よって回転子3と同様に操作部2も固定した状態となる。以上が操作前から操作時を経て操作後に移行する円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32の関係である。また操作後から操作前の状態に移行する際の円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32の関係も同様の動きである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
ダブルノック機構の長所は組み立てが容易なことであり、そのダブルノック機構を構成する部品を安価に製造できるようになるため産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0023】
1 支持部
2 操作部
3 回転子
4 弾性体
5 支持部底面
6 端面カム
11 支持部結合用溝
20 円筒溝カム
21 第一歯形状カム
22 第二歯形状カム
23 垂直移動用接触子
30 第一接触子
31 第二接触子
32 第三接触子
51 支持部底面結合用突起
61 深溝
62 浅溝
63 垂直移動用カム
【技術分野】
【0001】
本発明はダブルノック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からプッシュロックスイッチ等に使用されている操作部を一回押すと押し込んだ状態を保持し、もう一回操作部を押し込むと元の状態に戻るオルタネイト動作を得るための機構の一つにダブルノック機構がある。その中で特許文献1は操作部が操作前と操作後において、不本意に動いてしまうのを防止する構造になっている。ここで操作前とは操作部を押し込んでいない状態であり、操作後とは操作部を押し込み回転子が移動してスイッチを切り替え終えた状態のことであり、操作時とは操作前から操作後に移行している状態である。(特許文献1参照)
【0003】
特許文献1のダブルノック機構の構成を示したのが図7である。支持部に係合する接触子にスイッチの切り替えと回転力を与える端面カムを備える。また支持部に係合し押し込むことで往復運動する円柱状の操作部曲面に、係合する接触子に回転力を与える第一歯形状カムと、係合する接触子が解離するのを係止する第二歯形状カムとを向かい合わせて形成される円筒溝カムを備える。またリング状の回転子外周面に端面カムと係わり合う接触子と、内周面に円筒溝カムと係わり合う接触子を備える。また押し込まれた回転子を押し戻す圧力を加える弾性体を備える。さらにリング状の回転子に円筒溝カム部分を貫通させて操作部を連結させる。また回転子の接触子が、支持部の端面カムと操作部の第一歯形状カムに同時に咬合できないように構成する。回転子は端面カムと第一歯形状カムに交互に咬合して回転力を得て端面カムを移動しスイッチを切り替える。
【0004】
これにより操作後に支持部の端面カムに回転子が固定され、その回転子の内側の接触子を円筒溝カムが両側から挟み込んで連結している操作部も不本意に移動してしまうことを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4676562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしこの方法には、操作部をプラスチックなどの樹脂で成形する際に問題があった。それは図8で示したとおり、二つの歯形状カムを向かい合わせて構成される円筒溝カム部分にアンダーカットができてしまい、操作部を作る金型が複雑になってしまった。
【0007】
そこで本発明の目的は、操作部が不本意に動かない構造のダブルノック機構の操作部や回転子をプラスチック成形する際に、アンダーカット部分が発生しない部品構成にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は支持部に端面カムと、支持部に係合する操作部に第一歯形状カムと第二歯形状カムとを向かい合わせて形成される円筒溝カムと、リング状の回転子外周面に端面カムと係合する第一接触子と、回転子内周面に円筒溝カムと係合する第二接触子と、回転子に圧力を加える弾性体とを備え、回転子に円筒溝カム部分を貫通させて連結するダブルノック機構において、
係合する接触子に回転力を与える箇所のみ有する第一歯形状カムと、係合する第二接触子に接触して操作部が解離するのを係止する箇所のみ有する第二歯形状カムと、回転子一端の端面に第一歯形状カムと係合して回転力を得る第三接触子とを備え、前記円筒溝カムに代わり第一歯形状カムと第二歯形状カムを互い違いに向かい合わせて配置して形成される円筒溝カムを操作部に備えることを特徴とするダブルノック機構。
である。なおこれ以後の説明は操作部を上から下へ押す縦置き状態とする。
【0009】
これにより円筒溝カムを構成する第一歯形状カムと第二歯形状カムの歯が一つ一つ独立した突起になる。一つ一つの突起になった第一歯形状カムと第二歯形状カムは円柱状の操作部の縦軸において互い違いにずらして配置する。よって上下から金型を組み合わせてプラスチック成形する際に、アンダーカット部分が発生しない。しかしこのままでは第一歯形状カムが連なるのではなく一つ一つ独立した突起となったことで間隔が空き、その空いた間隔に第二接触子がはまってしまい、第一接触子が端面カムを摺動して回転するのを阻害してしまう。そのためリング状の回転子一端の端面に連なって配置された第三接触子が常に第一歯形状カムと接することで、回転子が空いた間隔にはまってしまうのを防止し回転力を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により操作部が不本意に移動してしまうのを防ぐダブルノック機構において、操作部の二種類の歯形状を互い違いにすることでプラスチック成形時にアンダーカットを生じさせないため、金型の製造及び、メンテナンス費用を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】操作部をロックするダブルノック機構の実施方法を分解斜視図で示した図である。
【図2】支持部の端面カムを展開図で示した図である。
【図3】操作部の実施方法を(A)は正面図で、(B)は斜視図で示した図である。
【図4】操作部の実施方法を平面図で示した図である。
【図5】回転子の実施方法を(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は断面図で示した図である。
【図6】操作部と回転子を連結したときの係わり方の実施方法を(A)は正面図、(B)は一部を展開図で示した図である。
【図7】既存のダブルノック機構の実施方法を分解斜視図で示した図である。
【図8】既存のダブルノック機構の操作部を正面図で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は請求項1の操作部をロックするダブルノック機構の実施方法を分解斜視図で示した図である。内部円筒曲面に端面カム6を備える支持部1と、円筒溝カム20を備える操作部2と、外側円筒曲面に第一接触子30及び内側円筒曲面に第二接触子31を備える回転子3と、回転子3に常に圧力を加えるコイルスプリング等の弾性体4と、弾性体4を支え支持部1一端に蓋をする支持部底面5とを備える。また図1においては支持部1と支持部底面5を結合するために、支持部結合用溝11と支持部底面結合用突起51とを組み合わせて結合させるが、接着剤等を使い結合させてもよい。
【0013】
図2は支持部1の端面カム6を展開図で示した図である。支持部1の内部を円筒状にして、その円筒曲面に図2で示した端面カム6を備える。端面カム6は深溝61と浅溝62を交互に繰り返すことで構成する。回転子3の第一接触子30が端面カム6の歯形状カムのカム山を一つ越えるごとに支持部1に対して上下に往復移動してスイッチとしての機能を得る。また支持部1、もしくは端面カム6には操作部2が支持部1に対して垂直に往復運動のみできるように、垂直移動用カム63を備える。
【0014】
図3は操作部2の実施方法を(A)は正面図で、(B)は斜視図で示した図である。軸を円柱状にして第一歯形状カム21、及び第二歯形状カム22から成る円筒溝カム20と、垂直移動用接触子23を備える。第一歯形状カム21は回転子3に回転力を与えるためにあるので、回転子3の進行方向側に歯形状の斜面を設置する。回転子3の進行方向と逆側の歯形状の斜面は、回転子3に一定方向へ回転力を与えるためには必要ないので設けない。また第二歯形状カム22は操作後に、操作部2が回転子3から解離してしまうのを防ぐためにあるので、操作後の状態において係合する接触子と接している箇所に設置(第一歯形状カム21、第二歯形状カム22共に詳しくは図6参照)する。すると操作部2の縦軸において第一歯形状カム21と第二歯形状カム22の必要箇所が互い違いになり、金型製造時にアンダーカットがない操作部を製造できる。
【0015】
また操作部2は支持部1に対して垂直に往復運動のみ可能であって軸心に対して回転してはならないので、支持部1の垂直移動用カム63に係合する接触子が必要である。そのため図4で示したように一部の第一歯形状カム21を操作部2の軸から延長し、延長させた箇所を垂直移動用接触子63として利用する。ただし垂直移動用接触子63は操作部2が支持部1に対して垂直移動のみできるようにするために存在するので、第一歯形状カム21の一部を接触子にしなくてもよい。なお支持部1の垂直移動用カム63と操作部2の垂直移動用接触子23を組み合わせた際に、端面カム6と第一歯形状カム21の山部分のピッチをずらして組み合わせることで、両方のカムと同時に噛み合うことができない回転子3は端面カム6と第一歯形状カム21に交互に噛み合い回転力を得る。
【0016】
図5は回転子3の実施方法を(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は断面図で示した図である。リング状にした回転子3の外側の曲面に端面カム6と係合する第一接触子30を備える。また内側の曲面に第二歯形状カム22と係合する第二接触子31を備える。ここで操作部2の第一歯形状カム21は歯形状の歯が連なっておらず一つ一つが個々に配置されているため、第二接触子31では回転途中で第一歯形状カム21の隙間にはまってしまう。すると第一接触子30が端面カム6を摺動して回転することを阻害してしまう。そこでリング状の回転子3一端の端面に第一歯形状カム21の隙間にはまらずに回転できるように、連なった形状の第三接触子32を備える。
【0017】
図6は操作部2と回転子3を連結したときの係わり方の実施方法を(A)は正面図、(B)は一部を展開図で示した図である。回転子3の回転の仕組みとして、端面カム6と円筒溝カム20の二種類のカムと回転子3の接地面には上からは操作部2の押し込みにより、下からは弾性体4の圧力が働く。このとき操作部2からの押し込みの力が勝ると回転子3は下側へ押し込まれ円筒溝カム20と噛み合う。その後弾性体4からの圧力が勝ると今度は回転子3が上側へ押し戻され端面カム6と噛み合う。よって以上の動作を行うことで回転子3は操作部2の押し込みと弾性体4から得る上下へのエネルギーを横回転のエネルギーに変換する。さらに操作部2は回転子3と連結されているので、回転子3が支持部1の端面カム6を構成する深溝61と浅溝62の間を行き来して上下の高低差を保持する際に操作部2も上下の高低差を保持する。
【0018】
図6(A1)は操作前であり、操作部2を押し込む前で回転子3の第一接触子30が端面カム6の深溝61の位置にあり、いわゆるスイッチオフの状態である。回転子3は弾性体4の圧力により第一接触子30が支持部1の端面カム6の深溝61へ押し付けられることで上下動ならびに回転移動を停止した状態である。また第一歯形状カム21と第三接触子32、及び第二歯形状カム21と第二接触子31の歯形状の噛み合わせは図6(B1)のようになる。支持部1に対して上下動のみできる操作部2は、円筒溝カム20の第一歯形状カム21が回転子3の第三接触子32と接触し、第二歯形状カム22が回転子3の第二接触子31と接触している。よって操作部2は上下動できず、回転子3と同様に支持部1に対して固定した状態となる。
【0019】
図6(A2)は操作時であり、図6(A1)から操作部2を底まで押し込んで回転子3が回転した状態である。回転子3は支持部1の端面カム6の影響が無くなり回転力が開放され回転することで、第三接触子32が第一歯形状カム21と噛み合っている。また円筒溝カム6と第二接触子31、及び第三接触子32のそれぞれの歯形状の噛み合わせは図6(B2)のようになる。このとき第一歯形状カム21と第三接触子32がお互いに圧力を掛け合っているため第二接触子31は第二歯形状カム22との接点を設ける必要がない。よって第二歯形状カム22はこの状態の部分に配置しない。なお操作部2を回転子3に貫通させて連結するときは、第二歯形状カム22と第二接触子31が干渉しないこの状態で行うとよい。
【0020】
図6(A3)は操作時であり、図6(A2)から操作部2への押し込みを解除することで回転子3がロック位置である端面カム6の浅溝62へ移行する状態である。弾性体4の圧力により回転子3が操作部2を上へ押し戻しつつ、支持部1の端面カム6に沿って摺動して回転子3を浅溝62にロックする途中である。また円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32のそれぞれの歯形状の噛み合わせは図6(B3)のようになる。
【0021】
図6(A4)は操作後であり、図6(A3)から回転子3、及び操作部2をロックした状態である。回転子4が操作部2に対し回転移動し第二接触子31、及び第三接触子32は円筒溝カム20内を摺動し第1接触子30は支持部1の端面カム6へ押し付けられ回転子3がロックされる。また円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32のそれぞれの歯形状の噛み合わせは図6(B4)のようになる。このとき上下動のみできる操作部2は、円筒溝カム20の第一歯形状カム21と第二歯形状カム22が第二接触子31と第三接触子32を挟み込んでブレの原因となる隙間を打ち消しあうように接しているため上下動できない。よって回転子3と同様に操作部2も固定した状態となる。以上が操作前から操作時を経て操作後に移行する円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32の関係である。また操作後から操作前の状態に移行する際の円筒溝カム20と第二接触子31、及び第三接触子32の関係も同様の動きである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
ダブルノック機構の長所は組み立てが容易なことであり、そのダブルノック機構を構成する部品を安価に製造できるようになるため産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0023】
1 支持部
2 操作部
3 回転子
4 弾性体
5 支持部底面
6 端面カム
11 支持部結合用溝
20 円筒溝カム
21 第一歯形状カム
22 第二歯形状カム
23 垂直移動用接触子
30 第一接触子
31 第二接触子
32 第三接触子
51 支持部底面結合用突起
61 深溝
62 浅溝
63 垂直移動用カム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部に端面カムと、前記支持部に係合する操作部に第一歯形状カムと第二歯形状カムとを向かい合わせて形成される円筒溝カムと、リング状の回転子外周面に前記端面カムと係合する第一接触子と、前記回転子内周面に前記円筒溝カムと係合する第二接触子と、前記回転子に圧力を加える弾性体とを備え前記回転子に前記円筒溝カム部分を貫通させて連結するダブルノック機構において、
係合する接触子に回転力を与える箇所のみ有する前記第一歯形状カムと、
係合する前記第二接触子に接触して前記操作部が解離するのを係止する箇所のみ有する前記第二歯形状カムと、
前記回転子一端の端面に前記第一歯形状カムと係合して回転力を得る第三接触子とを備え、
前記円筒溝カムに代わり前記第一歯形状カムと前記第二歯形状カムを互い違いに向かい合わせて配置して形成される円筒溝カムを前記操作部に備えることを特徴とするダブルノック機構。
【請求項1】
支持部に端面カムと、前記支持部に係合する操作部に第一歯形状カムと第二歯形状カムとを向かい合わせて形成される円筒溝カムと、リング状の回転子外周面に前記端面カムと係合する第一接触子と、前記回転子内周面に前記円筒溝カムと係合する第二接触子と、前記回転子に圧力を加える弾性体とを備え前記回転子に前記円筒溝カム部分を貫通させて連結するダブルノック機構において、
係合する接触子に回転力を与える箇所のみ有する前記第一歯形状カムと、
係合する前記第二接触子に接触して前記操作部が解離するのを係止する箇所のみ有する前記第二歯形状カムと、
前記回転子一端の端面に前記第一歯形状カムと係合して回転力を得る第三接触子とを備え、
前記円筒溝カムに代わり前記第一歯形状カムと前記第二歯形状カムを互い違いに向かい合わせて配置して形成される円筒溝カムを前記操作部に備えることを特徴とするダブルノック機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−4492(P2013−4492A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137996(P2011−137996)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【特許番号】特許第4908648号(P4908648)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(708005541)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【特許番号】特許第4908648号(P4908648)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(708005541)
【Fターム(参考)】
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