チェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤ
【課題】強度を向上させたチェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分１００質量部に対して、補強剤を４０〜１２０質量部、および一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物を２〜３０質量部含有するチェーファー用ゴム組成物、ならびにそれからなるチェーファーを有するタイヤ。
【解決手段】ゴム成分１００質量部に対して、補強剤を４０〜１２０質量部、および一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物を２〜３０質量部含有するチェーファー用ゴム組成物、ならびにそれからなるチェーファーを有するタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、チェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、ハンドリング性能向上や外観向上を目的として、低扁平化タイヤが開発されてきた。また、パンク時の安全性からランフラットタイヤについても開発され、普及しつつある。
【０００３】
しかし、前記タイヤは剛性が高く、リムから外す際にリムとの接触部（チェーファー）のダメージが大きくなり、損傷がおきる場合がある。チェーファーが損傷すると、エア漏れ等がおこり、安全性に問題が生じるため、チェーファー用ゴム組成物の強度を向上させる必要があった。
【０００４】
特許文献１には、特定のサルファイドポリマーを配合するクローラ用ゴム組成物が開示されているが、チェーファー用ゴム組成物を改良することによってチェーファーのゴム強度の向上させたものではなかった。
【０００５】
【特許文献１】特開２００５−４８０８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、強度を向上させたチェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、ゴム成分１００質量部に対して、補強剤を４０〜１２０質量部、および一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【０００８】
【化１】
【０００９】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物を２〜３０質量部含有するチェーファー用ゴム組成物に関する。
【００１０】
また、本発明は、前記チェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーを有するタイヤに関する。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、分子内に硫黄原子を含むポリマーを加硫剤として含有するサイドウォーｒ用ゴム組成物をチェーファーとして用いることにより、チェーファーの強度を大きく向上させることができる。また、チェーファーの強度が向上することで、低扁平タイヤやランフラットタイヤなど、剛性の高いタイヤをリムから外す際に発生する損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明のチェーファー用ゴム組成物は、ゴム成分、補強剤、および一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【００１３】
【化２】
【００１４】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物（以下、化合物１）からなる。
【００１５】
ゴム成分としては、天然ゴム（ＮＲ）、各種ブタジエンゴム（ＢＲ）、スチレン−ブタジエン共重合ゴム（ＳＢＲ）、イソプレンゴム（ＩＲ）、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム（ＮＢＲ）、クロロプレンゴム（ＣＲ）、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム（ＳＩＢＲ）、スチレン−イソプレン共重合ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴムがあげられる。これらは単独で用いてもよく、２種以上を組み合わせて用いてもよいが、ゴム強度と低燃費性の向上効果が得られることから、ゴム成分としてＮＲおよび／またはＢＲが好ましい。
【００１６】
補強剤としては、シリカ、カーボンブラック、タルク、クレーなどが挙げられる。なかでも、補強性および低燃費性の向上効果が得られることから、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
【００１７】
補強剤としてカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積（Ｎ2ＳＡ）は３５ｍ2／ｇ以上が好ましく、４０ｍ2／ｇ以上がより好ましい。Ｎ2ＳＡが３５ｍ2／ｇ未満では、ゴムの補強性が著しく低下する傾向がある。また、カーボンブラックのＮ2ＳＡは２１０ｍ2／ｇ以下が好ましく、２００ｍ2／ｇ以下がより好ましい。Ｎ2ＳＡが２１０ｍ2／ｇをこえると、未加硫時の粘度が非常に高くなり、加工性が悪化する、あるいは燃費が悪化する傾向がある。
【００１８】
補強剤の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して４０質量部以上、好ましくは４５質量部以上である。含有量が４０質量部未満では、ゴムの補強性が悪化する。また、補強剤の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して１２０質量部以下、好ましくは１１０質量部以下である。含有量が１２０質量部をこえると、未加硫時の粘度が高くなって加工性が悪化する、あるいは燃費性が悪化する傾向があり好ましくない。
【００１９】
本発明で使用する化合物１は、一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【００２０】
【化３】
【００２１】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する。本発明において、化合物１は加硫剤として用いられる。
【００２２】
一般式（１）中、ｘは３〜６の整数、好ましくは３〜５の整数である。ｘが３未満では、加硫が遅延され、ｎが６をこえると、ゴム組成物の製造が困難となる。
【００２３】
一般式（１）中、ｎは１０〜４００の整数、好ましくは１０〜３００の整数である。ｎが１０未満では、化合物１が揮発しやすく取り扱いが困難になり、ｎが４００をこえると、ゴムとの相溶性が悪化する。
【００２４】
一般式（１）中、ｍは２〜５の整数、好ましくは２〜４の整数、さらに好ましくは２〜３の整数である。ｍが２未満では、得られたゴム組成物の屈曲性能が低下する傾向があり、ｍが５をこえると、ゴム組成物の充分な硬度が獲られない傾向がある。
【００２５】
化合物１の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して２質量部以上、好ましくは２．５質量部以上である。含有量が２質量部未満では、ゴム強度が悪化する傾向があり好ましくない。また、化合物１の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して３０質量部以下、好ましくは２８質量部以下である。含有量が３０質量部をこえると、チェーファーの強度が低下する。
【００２６】
化合物１を本発明のチェーファー用ゴム組成物に配合することで、以下のような架橋ユニットをゴムに導入することができ、加硫速度およびスコーチに影響を与えることなく、リバージョンを大幅に抑制することができる。また、一般の硫黄架橋では充分に得られないゴム組成物の耐熱性や、動的なストレスに対する耐性を得ることが可能である。さらに、ブルームしにくいため、外見上においても良好なチェーファー用ゴム組成物を得ることができる。
【００２７】
【化４】
【００２８】
化合物１は、ゴム組成物の製造において、８０〜１３０℃の温度条件下で添加され、混練りされることが好ましい。８０℃未満では、充分な混練りがなされず、また、１３０℃をこえると、加硫が開始されてしまうため、充分な混練りがなされないという問題が生じる。
【００２９】
化合物１は、硫黄などの加硫剤とともに使用することもできる。
【００３０】
本発明のチェーファー用ゴム組成物には、前記加硫剤とともに、加硫促進剤を含有することが好ましい。加硫促進剤としては、スルフェンアミド系などの一般的なものが使用される。
【００３１】
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分１００重量部に対して０．３〜１５重量部が好ましい。加硫促進剤の含有量が０．３重量部未満では、充分な加硫がなされず、ゴム強度が著しく低下する傾向がある。また、加硫促進剤の含有量が１５重量部をこえると、加硫速度が非常に速くなり、加工性の面で好ましくなく、また、ゴム強度も低下する傾向がある。
【００３２】
本発明のチェーファー用ゴム組成物には、前記ゴム成分、補強剤、化合物１などの加硫剤および加硫促進剤のほかに、必要に応じて、硫黄などの加硫剤、軟化剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などを配合することができる。
【００３３】
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物からなるチェーファーを有することが好ましい。 本発明のタイヤは、加硫剤および加硫促進剤以外のものを混練りして混練物を得て、さらに該混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加し混練して得られる未加硫ゴム組成物をチェーファー形状に成形し、他のタイヤ部材と貼りあわせて未加硫タイヤを成形し、加硫することによって製造されることが好ましい。
【００３４】
本発明のタイヤは、とくにランフラットタイヤであることが好ましい。
【００３５】
本発明のチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーを有するランフラットタイヤの断面図の右半分のビード部断面図の一例を図１に示す。図１における１０がチェーファーであり、タイヤホイールのリムと接する部位をいう。
【実施例】
【００３６】
実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【００３７】
実施例において使用した各種薬品について、以下に記載する。
ＮＲ：ＲＳＳ＃３
ＢＲ：宇部興産（株）製のＢＲ１５０Ｂ
カーボンブラック：昭和キャボット（株）製のＮ３３０（Ｎ2ＳＡ：７９ｍ2／ｇ）
プロセスオイル：出光興産（株）製のダイアナプロセスＰＳ３２
ワックス：大内新興化学工業（株）製のサンノックワックス
老化防止剤：フレキシス製のサントフレックス１３
ステアリン酸：日本油脂（株）製の桐
酸化亜鉛：三井金属鉱業（株）製の酸化亜鉛２号
硫黄：軽井沢精錬所製の硫黄
化合物１：テトラサルファイドポリマー（ポリ−３，６−ジオキサオクタン−テトラスルフィド（ｍ＝２、ｘ＝４、ｎ＝２００））
【００３８】
【化５】
【００３９】
加硫促進剤：大内新興化学工業（株）製のノクセラーＮＳ
【００４０】
実施例１〜３および比較例１〜２
（株）神戸製鋼所製１．７Ｌバンバリーを用いて、硫黄、化合物１および加硫促進剤を除く前記各種薬品を表１に示す配合内容にて１５０℃で５分間混練りした。得られた混練り物に硫黄、化合物１および加硫促進剤を加えて、二軸ローラーにて１０５℃で３分間練り込んだ混合物を１７５℃において１５分間加硫することでゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物を用いて以下の試験を行なった。
【００４１】
（リム外し試験）
前記ゴム組成物からなるチェーファーを有するランフラットタイヤ（サイズ２５５／４０Ｒ２０）を作製した。このタイヤにおいて通常のタイヤチェンジャーを用いてリムから外してチェーファー部の損傷を目視で確認した。前記タイヤをリムから外した際に、チェーファー部の損傷がない場合は○、ゴム切れなどの損傷があるときは×で評価した。
【００４２】
（引き裂き試験）
ＪＩＳ−Ｋ６２５２の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方」の試験方法に準じて、前記ゴム組成物からなる切り込み無しのアングル形試験片を使うことにより引き裂き強さ（ｋＮ／ｍ）を測定した。
【００４３】
試験結果を表１に示す。
【００４４】
【表１】
【００４５】
化合物１を２〜３０質量部の範囲で配合した実施例１〜３のゴム組成物は、化合物１が配合されていない比較例１に比べて、ゴム強度が向上し、さらに、リムから外した際にも損傷がなかった。
【００４６】
一方、化合物１を３５質量部配合した比較例２のゴム組成物は、ゴム強度が向上せず、、リムから外した際にチェーファーに損傷が生じた。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の一実施の形態におけるランフラットタイヤの断面図の右半分である。
【符号の説明】
【００４８】
１ タイヤ
２ サイドウォール部
３ カーカスプライ
４ ベルト層
５ トレッド部
６ ビードコア
７ ビード部
８ サイド補強層
９ ビードエーペックス
１０ チェーファー
【技術分野】
【０００１】
本発明は、チェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、ハンドリング性能向上や外観向上を目的として、低扁平化タイヤが開発されてきた。また、パンク時の安全性からランフラットタイヤについても開発され、普及しつつある。
【０００３】
しかし、前記タイヤは剛性が高く、リムから外す際にリムとの接触部（チェーファー）のダメージが大きくなり、損傷がおきる場合がある。チェーファーが損傷すると、エア漏れ等がおこり、安全性に問題が生じるため、チェーファー用ゴム組成物の強度を向上させる必要があった。
【０００４】
特許文献１には、特定のサルファイドポリマーを配合するクローラ用ゴム組成物が開示されているが、チェーファー用ゴム組成物を改良することによってチェーファーのゴム強度の向上させたものではなかった。
【０００５】
【特許文献１】特開２００５−４８０８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、強度を向上させたチェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、ゴム成分１００質量部に対して、補強剤を４０〜１２０質量部、および一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【０００８】
【化１】
【０００９】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物を２〜３０質量部含有するチェーファー用ゴム組成物に関する。
【００１０】
また、本発明は、前記チェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーを有するタイヤに関する。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、分子内に硫黄原子を含むポリマーを加硫剤として含有するサイドウォーｒ用ゴム組成物をチェーファーとして用いることにより、チェーファーの強度を大きく向上させることができる。また、チェーファーの強度が向上することで、低扁平タイヤやランフラットタイヤなど、剛性の高いタイヤをリムから外す際に発生する損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明のチェーファー用ゴム組成物は、ゴム成分、補強剤、および一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【００１３】
【化２】
【００１４】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物（以下、化合物１）からなる。
【００１５】
ゴム成分としては、天然ゴム（ＮＲ）、各種ブタジエンゴム（ＢＲ）、スチレン−ブタジエン共重合ゴム（ＳＢＲ）、イソプレンゴム（ＩＲ）、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム（ＮＢＲ）、クロロプレンゴム（ＣＲ）、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム（ＳＩＢＲ）、スチレン−イソプレン共重合ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴムがあげられる。これらは単独で用いてもよく、２種以上を組み合わせて用いてもよいが、ゴム強度と低燃費性の向上効果が得られることから、ゴム成分としてＮＲおよび／またはＢＲが好ましい。
【００１６】
補強剤としては、シリカ、カーボンブラック、タルク、クレーなどが挙げられる。なかでも、補強性および低燃費性の向上効果が得られることから、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
【００１７】
補強剤としてカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積（Ｎ2ＳＡ）は３５ｍ2／ｇ以上が好ましく、４０ｍ2／ｇ以上がより好ましい。Ｎ2ＳＡが３５ｍ2／ｇ未満では、ゴムの補強性が著しく低下する傾向がある。また、カーボンブラックのＮ2ＳＡは２１０ｍ2／ｇ以下が好ましく、２００ｍ2／ｇ以下がより好ましい。Ｎ2ＳＡが２１０ｍ2／ｇをこえると、未加硫時の粘度が非常に高くなり、加工性が悪化する、あるいは燃費が悪化する傾向がある。
【００１８】
補強剤の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して４０質量部以上、好ましくは４５質量部以上である。含有量が４０質量部未満では、ゴムの補強性が悪化する。また、補強剤の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して１２０質量部以下、好ましくは１１０質量部以下である。含有量が１２０質量部をこえると、未加硫時の粘度が高くなって加工性が悪化する、あるいは燃費性が悪化する傾向があり好ましくない。
【００１９】
本発明で使用する化合物１は、一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【００２０】
【化３】
【００２１】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する。本発明において、化合物１は加硫剤として用いられる。
【００２２】
一般式（１）中、ｘは３〜６の整数、好ましくは３〜５の整数である。ｘが３未満では、加硫が遅延され、ｎが６をこえると、ゴム組成物の製造が困難となる。
【００２３】
一般式（１）中、ｎは１０〜４００の整数、好ましくは１０〜３００の整数である。ｎが１０未満では、化合物１が揮発しやすく取り扱いが困難になり、ｎが４００をこえると、ゴムとの相溶性が悪化する。
【００２４】
一般式（１）中、ｍは２〜５の整数、好ましくは２〜４の整数、さらに好ましくは２〜３の整数である。ｍが２未満では、得られたゴム組成物の屈曲性能が低下する傾向があり、ｍが５をこえると、ゴム組成物の充分な硬度が獲られない傾向がある。
【００２５】
化合物１の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して２質量部以上、好ましくは２．５質量部以上である。含有量が２質量部未満では、ゴム強度が悪化する傾向があり好ましくない。また、化合物１の含有量は、ゴム成分１００質量部に対して３０質量部以下、好ましくは２８質量部以下である。含有量が３０質量部をこえると、チェーファーの強度が低下する。
【００２６】
化合物１を本発明のチェーファー用ゴム組成物に配合することで、以下のような架橋ユニットをゴムに導入することができ、加硫速度およびスコーチに影響を与えることなく、リバージョンを大幅に抑制することができる。また、一般の硫黄架橋では充分に得られないゴム組成物の耐熱性や、動的なストレスに対する耐性を得ることが可能である。さらに、ブルームしにくいため、外見上においても良好なチェーファー用ゴム組成物を得ることができる。
【００２７】
【化４】
【００２８】
化合物１は、ゴム組成物の製造において、８０〜１３０℃の温度条件下で添加され、混練りされることが好ましい。８０℃未満では、充分な混練りがなされず、また、１３０℃をこえると、加硫が開始されてしまうため、充分な混練りがなされないという問題が生じる。
【００２９】
化合物１は、硫黄などの加硫剤とともに使用することもできる。
【００３０】
本発明のチェーファー用ゴム組成物には、前記加硫剤とともに、加硫促進剤を含有することが好ましい。加硫促進剤としては、スルフェンアミド系などの一般的なものが使用される。
【００３１】
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分１００重量部に対して０．３〜１５重量部が好ましい。加硫促進剤の含有量が０．３重量部未満では、充分な加硫がなされず、ゴム強度が著しく低下する傾向がある。また、加硫促進剤の含有量が１５重量部をこえると、加硫速度が非常に速くなり、加工性の面で好ましくなく、また、ゴム強度も低下する傾向がある。
【００３２】
本発明のチェーファー用ゴム組成物には、前記ゴム成分、補強剤、化合物１などの加硫剤および加硫促進剤のほかに、必要に応じて、硫黄などの加硫剤、軟化剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などを配合することができる。
【００３３】
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物からなるチェーファーを有することが好ましい。 本発明のタイヤは、加硫剤および加硫促進剤以外のものを混練りして混練物を得て、さらに該混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加し混練して得られる未加硫ゴム組成物をチェーファー形状に成形し、他のタイヤ部材と貼りあわせて未加硫タイヤを成形し、加硫することによって製造されることが好ましい。
【００３４】
本発明のタイヤは、とくにランフラットタイヤであることが好ましい。
【００３５】
本発明のチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーを有するランフラットタイヤの断面図の右半分のビード部断面図の一例を図１に示す。図１における１０がチェーファーであり、タイヤホイールのリムと接する部位をいう。
【実施例】
【００３６】
実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【００３７】
実施例において使用した各種薬品について、以下に記載する。
ＮＲ：ＲＳＳ＃３
ＢＲ：宇部興産（株）製のＢＲ１５０Ｂ
カーボンブラック：昭和キャボット（株）製のＮ３３０（Ｎ2ＳＡ：７９ｍ2／ｇ）
プロセスオイル：出光興産（株）製のダイアナプロセスＰＳ３２
ワックス：大内新興化学工業（株）製のサンノックワックス
老化防止剤：フレキシス製のサントフレックス１３
ステアリン酸：日本油脂（株）製の桐
酸化亜鉛：三井金属鉱業（株）製の酸化亜鉛２号
硫黄：軽井沢精錬所製の硫黄
化合物１：テトラサルファイドポリマー（ポリ−３，６−ジオキサオクタン−テトラスルフィド（ｍ＝２、ｘ＝４、ｎ＝２００））
【００３８】
【化５】
【００３９】
加硫促進剤：大内新興化学工業（株）製のノクセラーＮＳ
【００４０】
実施例１〜３および比較例１〜２
（株）神戸製鋼所製１．７Ｌバンバリーを用いて、硫黄、化合物１および加硫促進剤を除く前記各種薬品を表１に示す配合内容にて１５０℃で５分間混練りした。得られた混練り物に硫黄、化合物１および加硫促進剤を加えて、二軸ローラーにて１０５℃で３分間練り込んだ混合物を１７５℃において１５分間加硫することでゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物を用いて以下の試験を行なった。
【００４１】
（リム外し試験）
前記ゴム組成物からなるチェーファーを有するランフラットタイヤ（サイズ２５５／４０Ｒ２０）を作製した。このタイヤにおいて通常のタイヤチェンジャーを用いてリムから外してチェーファー部の損傷を目視で確認した。前記タイヤをリムから外した際に、チェーファー部の損傷がない場合は○、ゴム切れなどの損傷があるときは×で評価した。
【００４２】
（引き裂き試験）
ＪＩＳ−Ｋ６２５２の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方」の試験方法に準じて、前記ゴム組成物からなる切り込み無しのアングル形試験片を使うことにより引き裂き強さ（ｋＮ／ｍ）を測定した。
【００４３】
試験結果を表１に示す。
【００４４】
【表１】
【００４５】
化合物１を２〜３０質量部の範囲で配合した実施例１〜３のゴム組成物は、化合物１が配合されていない比較例１に比べて、ゴム強度が向上し、さらに、リムから外した際にも損傷がなかった。
【００４６】
一方、化合物１を３５質量部配合した比較例２のゴム組成物は、ゴム強度が向上せず、、リムから外した際にチェーファーに損傷が生じた。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の一実施の形態におけるランフラットタイヤの断面図の右半分である。
【符号の説明】
【００４８】
１ タイヤ
２ サイドウォール部
３ カーカスプライ
４ ベルト層
５ トレッド部
６ ビードコア
７ ビード部
８ サイド補強層
９ ビードエーペックス
１０ チェーファー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ゴム成分１００質量部に対して、
補強剤を４０〜１２０質量部、および
一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【化１】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物を２〜３０質量部含有するチェーファー用ゴム組成物。
【請求項２】
請求項１記載のチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーを有するタイヤ。
【請求項１】
ゴム成分１００質量部に対して、
補強剤を４０〜１２０質量部、および
一般式（１）
−（Ｒ−Ｓx）n− （１）
（式中、Ｒは
【化１】
ｘは３〜６の整数、ｎは１０〜４００の整数であり、ｍは２〜５の整数を表わす）
を満足する化合物を２〜３０質量部含有するチェーファー用ゴム組成物。
【請求項２】
請求項１記載のチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーを有するタイヤ。
【図１】
【公開番号】特開２００７−１６９４２９（Ｐ２００７−１６９４２９Ａ）
【公開日】平成１９年７月５日（２００７．７．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３６８２８６（Ｐ２００５−３６８２８６）
【出願日】平成１７年１２月２１日（２００５．１２．２１）
【出願人】（０００１８３２３３）住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年７月５日（２００７．７．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１２月２１日（２００５．１２．２１）
【出願人】（０００１８３２３３）住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]