説明

チオールアルキル安息香酸誘導体

【課題】NAALADase酵素活性を阻害し、NAALADaseレベルが変化する疾患を検出し、ニューロン活性を生じさせ、TGF−β活性を生じさせ、血管形成を阻害し、グルタメート異常、神経障害、疼痛、強迫性障害、前立腺疾患、癌、緑内障、網膜障害、および癌を治療するための、新規チオールアルキル−安息香酸、そのような化合物を含む医薬組成物および診断キット、およびそのような化合物を使用する方法を提供する。
【解決手段】下記化合物、


(式中:R1、R2、R3、およびR4は水素またはアルキルであり;A1、A2、A3、およびA4は水素または任意の置換基である。)を使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年5月30日および2001年12月28日にそれぞれ提出された
米国特許仮出願60/294,036号および第60/342,746号の利益を請求し
、その開示全体は参照して本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新しい化合物、医薬組成物ならびにそのような化合物を含む診断キット、お
よびNAALADase酵素活性を阻害し、NAALADaseレベルが変化する疾患を
検出し、ニューロン活性を生じさせ、TGF−β活性を生じさせ、血管形成を阻害し、そ
してグルタメート異常、神経障害、疼痛、強迫性障害、前立腺疾患、癌、緑内障および網
膜障害を治療するためにそのような化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺特異性膜抗原(「PSM」または「PSMA」)およびヒトグルタメートカルボ
キシペプチダーゼII(「GCP II」)としても知られるNAALADase酵素は
、神経ペプチドN−アセチル−アスパルチル−グルタメート(「NAAG」)のN−アセ
チル−アスパルテート(「NAA」)およびグルタメートへの加水分解を触媒する。アミ
ノ酸配列相同性に基づいて、NAALADaseはペプチダーゼのM28ファミリに割り
当てられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研究は、NAALADase阻害剤が虚血、脊椎損傷、脱髄疾患、パーキンソン病、筋
萎縮性側索硬化(「ALS」)、アルコール依存症、ニコチン依存症、コカイン依存症、
癌、神経障害、疼痛ならびに統合失調症の治療、および血管形成の阻害に有効であること
を示唆している。その広範囲にわたる潜在的用途から見て、新しいNAALADase阻
害剤およびそのような化合物を含む医薬組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式Iaの化合物または医薬的に許容される同等物に関する:
【化4】

【0006】
式中:
、R、R、およびRは独立して水素またはC−Cアルキルであり;
、A、A、およびAは独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアル
ケニル、C−Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、ハロ、ヒ
ドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオシアノ、イソチ
オシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C−Cアルキル
スルホニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケノキシ、フェノキシまたはベンジ
ルオキシであり、
ここで、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、
複素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置
換であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換される。
【0007】
1つの実施形態において、R、R、R、R、A、A、およびAは水素で
あり;およびAは水素、−(CH−W、または−Y−(CH−Wであり、
ここで:nは0〜3であり;YはO、S、またはNRであり、ここでRは水素またはC
−Cアルキルであり;およびWはC−Cアルキルまたはフェニルであり、ここでW
は非置換であるか、あるいはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、カルボキシ、
またはハロによって置換される。
【0008】
本発明はさらに、式Ibの化合物または医薬的に許容される同等物に関する:
【化5】

【0009】
式中、A、A、A、およびAは独立して水素、C−Cアルキル、C−C
アルケニル、C−Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、ハ
ロ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオシアノ、
イソチオシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C−C
ルキルスルホニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケノキシ、フェノキシまたは
ベンジルオキシであり、
ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複
素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置換
であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換され、
式中、Aがクロロ、フルオロ、アミノ、またはチオメチルである場合、A、A
およびAはすべてが水素でなくてもよく、
および式中、A、A、A、およびAの少なくとも1が水素でない。
【0010】
1つの実施形態において、A、A、およびAは水素であり;Aは−(CH
−Ar、または−Y−(CHn−Arであり、式中nは0〜3であり、YはO、S
またはNRであり、式中、Rは水素またはC−Cアルキルであり、そしてArは、非
置換であるか、C−Cアルキル、カルボキシ、またはハロによって置換されたフェニ
ルである。
【0011】
本発明はさらに式Iの化合物:
【化6】

【0012】
または医薬的に許容される同等物に関し、式中:
Xは−(CRSH、−O(CRSH、−S(CRSH
、または−NR(CRSHであり;
nは1〜3であり;
R、R、R、A、A、A、およびAは独立して水素C−Cアルキル、
−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複
素環、ハロ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオ
シアノ、イソチオシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C
−Cアルキルスルホニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケノキシ、フェノキ
シまたはベンジルオキシであり、
ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複
素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置換
であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換される。
【0013】
さらに本発明は、NAALADase酵素活性を阻害し、NAALADaseレベルが
変化する疾患を検出し、ニューロン活性を生じさせ、TGF−β活性を生じさせ、血管形
成を阻害し、あるいはグルタメート異常、神経障害、疼痛、強迫性障害、前立腺疾患、癌
、緑内障、または網膜障害を治療するための方法であって、そのような阻害、治療または
効果を必要とする哺乳動物に上で定義した式I、Ia、またはIbの化合物の有効量を投
与することを含む方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、NAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検出す
る方法であって:
(i)体組織または体液のサンプルを上で定義した式I、IaまたはIbの化合物であ
って、該サンプル中の任意のNAALADaseに結合する化合物と接触させることと;
および
(ii)該サンプルに結合する任意のNAALADaseの量であって、疾患、障害、
または症状の診断用であるNAALADaseの量を測定することと;
を含む方法に関する。
【0015】
本発明は、動物または哺乳動物においてNAALADaseレベルが変化する疾患、障
害または症状を検出する方法であって:
(i)上で定義した式I、Ia、またはIbの化合物に造影剤によって標識することと

(ii)該動物または哺乳動物に標識化合物の有効量を投与することと;
(iii)該標識化合物を局在化させて、該動物または哺乳動物に存在するNAALA
Daseに結合させることと;および
(iv)該標識化合物に結合したNAALADaseの量であって、疾患、障害、また
は症状の診断用であるNAALADaseの量をを測定することと;
を含む方法に関する。
【0016】
加えて、本発明はさらに、NAALADaseレベルが変化する疾患、障害、または症
状を検出するための診断キットであって、マーカーで標識した、上で定義した式I、Ia
、またはIbの化合物を含む診断キットに関する。
【0017】
最後に本発明は:
(i)上で定義した式I、Ia、またはIbの化合物の有効量と;および
(ii)医薬的に許容される担体と;
を含む医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】虚血細胞培養物中のTGF−β1濃度に対する化合物Cの効果を示す棒グラフである。
【図2】虚血細胞培養物中のTGF−β2濃度に対する化合物Cの効果を示す棒グラフである。
【図3】虚血細胞培養物中のTGF−β中和抗体による化合物Cの神経保護効果の逆転を示す棒グラフである。
【図4】虚血細胞培養物中のFGF中和抗体による化合物Cの神経保護効果の非逆転を示す棒グラフである。
【図5】中大脳動脈閉塞(「MCAO」)に罹患したラット中におけるTGF−β中和抗体による化合物Cの神経保護効果の逆転を示す棒グラフである。
【図6】MCAOに罹患したラットにおける閉塞および再灌流の間のTGF−β1レベルに対する化合物Cの効果を示す棒グラフである。
【図7A】ビヒクルまたは化合物Aで処置した非糖尿病ラットおよびSTZ糖尿病ラットの逃避潜時差スコアを、STZの投与後の日数に対してプロットした棒グラフである。
【図7B】ビヒクルまたは化合物Dで処置した非糖尿病ラットおよびSTZ糖尿病ラットの逃避潜時差スコアを、STZの投与後の日数に対してプロットした棒グラフである。
【図8】ビヒクルまたは化合物Bで処置した正常(非手術)ラットと慢性収縮性損傷誘発ラットの逃避潜時差スコアを、手術後の日数に対してプロットした棒グラフである。
【図9A】ビヒクルまたは化合物Aで処置した非糖尿病ラットおよびSTZ糖尿病ラットの運動神経伝導速度を、STZの投与後の週数に対してプロットした棒グラフである。
【図9B】ビヒクルまたは化合物Aで処置した非糖尿病ラットおよびSTZ糖尿病ラットの感覚神経伝導速度を、STZの投与後の週数に対してプロットした棒グラフである。
【図10A】ビヒクルまたは化合物Dで処置した非糖尿病ラットおよびSTZ糖尿病ラットの運動神経伝導速度を、STZの投与後の週数に対してプロットした棒グラフである。
【図10B】ビヒクルまたは化合物Dで処置した非糖尿病ラットおよびSTZ糖尿病ラットの感覚神経伝導速度を、STZの投与後の週数に対してプロットした棒グラフである。
【図11】ビヒクル、化合物Dまたは化合物Aで処置した非糖尿病ラットおよびBB/W糖尿病ラットの逃避潜時を、処置の週数に対してプロットしたグラフである。
【図12】ビヒクル、化合物Dまたは化合物Aで処置した非糖尿病ラットおよびBB/W糖尿病ラットの神経伝導速度を、処置の週数に対してプロットしたグラフである。
【図13】ビヒクルまたは化合物9の可変量で処置した慢性収縮性損傷誘発ラットの逃避潜時差スコアを、処置日数に対してプロットした棒グラフである。
【図14】ビヒクルまたは化合物10で処置した慢性収縮性損傷誘発ラットの逃避潜時差スコアを、処置日数に対してプロットした棒グラフである。
【図15】化合物Bまたはビヒクルによる処置後に肢の震えを示した210日齢遺伝子導入マウスのパーセントをプロットした棒グラフである。
【図16】化合物Bまたはビヒクルによる処置後の210日齢遺伝子導入マウスの、0〜3の範囲の任意スケールで測定した歩行運動をプロットした棒グラフである。
【図17】化合物Bまたはビヒクルによる処置後の210日齢遺伝子導入マウスの、0〜3の範囲の任意スケールで測定した後肢引きずりをプロットした棒グラフである。
【図18】化合物Bまたはビヒクルによる処置後の210日齢遺伝子導入マウスの、0〜3の範囲の任意スケールで測定した肢の交差をプロットした棒グラフである。
【図19】化合物Bまたはビヒクルによる処置後の210日齢遺伝子導入マウスの、側部を下に配置されたときにマウスが立ち直るのにかかった時間(秒)で測定した、立ち直り反射をプロットした棒グラフである。
【図20】死亡した、化合物Bまたはビヒクルで処置した遺伝子導入マウスのパーセントを、マウスの齢(日)に対してプロットした棒グラフである。
【図21】生存した、化合物Bまたはビヒクルで処置した遺伝子導入マウスのパーセントを、研究治療でのマウスが存在する日数をプロットした、カプラン−マイヤー生存グラフである。
【図22】STZ糖尿病ラットにおける神経障害性の疼痛の異常に対する、化合物DおよびEによる処置の効果である。
【図23】化合物DおよびEによる処置前後のSTZ糖尿病ラットと非糖尿病対照における、運動神経伝達速度の測定値を示す。
【図24】化合物DおよびEによる処置後の感覚神経伝導速度欠陥を示す。
【図25】STZ治療の7週後に開始した、化合物Dのより低い用量(1および3mg/kg)による神経障害性の疼痛の異常を示す。
【図26】化合物Dのより低い用量で処置した慢性糖尿病STZラットにおける感覚および運動神経の伝導速度それぞれを示す。
【図27】化合物Dのより低い用量で処置した慢性糖尿病STZラットにおける感覚および運動神経の伝導速度それぞれを示す。
【図28】STZ処置の60日後までラットを未処置のまま放置した場合の、感覚および運動神経伝導速度を示す。
【図29】STZ処置の60日後までラットを未処置のまま放置した場合の、感覚および運動神経伝導速度を示す。
【図30】処置がSTZの90日後まで遅れた場合の、感覚神経伝導速度を示す。
【図31】6〜7月齢の遺伝子マウスモデルからの神経伝導速度測定値を示す。
【図32】1日あたり1mg/kgで投与された化合物Fによる処置の8週間後の、神経伝達速度を示す。
【図33】化合物Bで処置されたHDマウスならびに正常非HDマウス、およびビヒクルで処置された遺伝子導入HDマウスならびに正常非HDマウスの、ロータロッド性能を比較する棒グラフである。
【図34】化合物Bで処置されたHDマウスならびに正常非HDマウス、およびビヒクルで処置された遺伝子導入HDマウスならびに正常非HDマウスによって移動された総距離を比較する棒グラフである。
【図35】化合物Bまたはビヒクルで処置した遺伝子導入Dマウスの生存時間をプロットしたグラフである。
【図36】化合物Bまたはビヒクルで処置したオス遺伝子導入HDマウスの生存時間をプロットしたグラフである。
【図37】化合物Bまたはビヒクルで処置したメス遺伝子導入HDマウスの生存時間をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
「化合物A」は2−[[2,3,4,5−6−ペンタフルオロベンジル]ヒドロキシホ
スフィニル]ペンタン二酸を指す。
【0020】
「化合物B」は2−(3−スルファニルプロピル)ペンタン二酸を指す。
【0021】
「化合物C」は2−(ホスホノメチル)ペンタン二酸(「PMPA」)を指す。
【0022】
「化合物D」は2−(2−スルファニルエチル)ペンタン二酸を指す。
【0023】
「化合物E」は3−カルボキシ−アルファ−(3−メルカプトプロピル)−ベンゼンプ
ロピオン酸を指す。
【0024】
「化合物F」は3−カルボキシ−5−(1,1−ジメチルエチル)−アルファ−(3−
メルカプトプロピル)−ベンゼンプロピオン酸を指す。
【0025】
「化合物9」は2−[(4−カルボキシフェニル)メトキシ]−6−(2−メルカプト
エチル)安息香酸を指す。
【0026】
「化合物10」は3−(2−メルカプトエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,3
’−ジカルボン酸を指す。
【0027】
「アルキル」は、指定数の炭素原子を含む分岐または非分岐飽和炭化水素鎖を指す。た
とえばC−Cアルキルは、1〜9の炭素原子を含む直鎖または分岐炭化水素鎖であり
、これに限定されるわけではないが、別途指示しない限り、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、N−ペンチル、N−ヘキシルな
どの置換基を含む。
【0028】
「アルケニル」は、指定数の分岐または非分岐不飽和炭化水素鎖を指す。たとえば、C
−Cアルケニルは、少なくとも1個の二重結合を持つ、2〜9の炭素原子を含む直鎖
または分岐炭化水素鎖でありこれに限定されるわけではないが、別途指示しない限り、エ
テニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、tert−ブテニル、
N−ペンテニル、N−ヘキセニルなどを含む。
【0029】
「アルコキシ」は、本明細書で定義されるように、Rがアルキルである基−ORを指す
。好ましくは、Rは1〜9の炭素原子を含む分岐または非分岐飽和炭化水素鎖である。
【0030】
「炭素環」は、環状部分が、脂環式、芳香族、縮合型および/または架橋型である1ま
たはそれ以上の閉環を持つ、炭化水素を指す。例はシクロプロパン、シクロブタン、シク
ロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シク
ロヘプテン、シクロオクテン、ベンジル、ナフテン、アントラセン、フェナントラセン、
ビフェニル、およびピレンを含む。
【0031】
「アリール」は、1またはそれ以上の閉環を持つ芳香族の炭化水素環状部分を指す。例
は、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、ビフェニル
、およびピレニルを含むがそれらに限定されない。
【0032】
「複素環」は、少なくとも1個の環内に1またはそれ以上のヘテロ原子(たとえば、硫
黄、窒素または酸素)を備えた、脂環式、芳香族、縮合型および/または架橋型である1
またはそれ以上の閉環を持つ環状部分を指す。例は、ピロリジン、ピロール、チアゾール
、チオフェン、ピペリジン、ピリジン、イソオキサゾリジンおよびイソオキサゾールを含
むがそれらに限定されない。
【0033】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環内に1またはそれ以上のヘテロ原子(たと
えば、硫黄、窒素または酸素)を備えた、1またはそれ以上の閉環を持つ芳香族の炭化水
素環状部分を指す。例は、ピロール、チオフェン、ピリジン、およびイソオキサゾールを
含むがそれらに限定されない。
【0034】
「誘導体」は、直接、あるいは修飾または部分置換のどちらかによって、別の物質から
生成した物質を指す。
【0035】
「有効量」は、所望の効果を生成するのに必要な量を指す。
【0036】
「治療的有効量」は、NAALADase酵素活性および/または血管形成を阻害する
ために、ニューロン活性またはTGF−β活性を生じさせるために、および/またはグル
タメート異常、神経障害、疼痛、強迫性障害、前立腺疾患、癌、緑内障、および/または
網膜障害を治療するために必要な量を指す。
【0037】
「電磁照射」は、10−20〜10メートルの波長を持つ照射を含む。例は、ガンマ
照射(10−20〜10−13m)、X線照射(10−11〜10−9m)、紫外線光(
10nm〜400nm)、可視光(400nm〜700nm)、赤外線照射(700nm
〜1.0mm)およびマイクロ波照射(1mm〜30cm)を含むがそれらに限定されな
い。
【0038】
「ハロ」は、少なくとも1個のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード部分を指す。
【0039】
「イソスター」は、異なる分子式を持つが、同様または同一の物理特性を示す元素、官
能基、置換基、分子またはイオンを指す。たとえばテトラゾールは、カルボン酸の特性を
模倣するため、両者が異なる分子式を持っていても、カルボン酸のイソスターである。通
常、2個のイソスター分子は同様または同一の体積と形状を持つ。理想的には、イソスタ
ー化合物は同一構造であり、共結晶できるべきである。イソスター化合物は通常共有する
他の物理特性は、沸点、密度、粘度および熱伝導度を含む。しかし、外部軌道が異なって
ハイブリダイズされることがあるため、ある特性:双極モーメント、極性、分極、サイズ
および形状は通常異なる。「イソスター」という語は、「バイオイソスター」を含む。
【0040】
「バイオイソスター」は、その物理的類似性に加えて、一部の一般的な生物学的特性を
共有するイソスターである。通常、バイオイソスターは、同じ認識部位と相互作用するか
、または幅広く類似した生物学的効果を生成する。
【0041】
「カルボン酸イソスター」は、ヒドロキサム酸、アシルシナミド、およびアシルスルホ
ンアミドなどの直接誘導体;テトラゾール、メルカプトアゾール、スルフィニルアゾール
、スルホニルアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ヒドロキシチアジアゾール
、およびヒドロキシクロムなどの平面酸性複素環;ホスフィナート、ホスホネート、ホス
ホンアミド、スルホネート、スルホンアミド、およびアシルスルホンアミドなどの非平面
硫黄またはリン誘導酸性官能基を含むがそれらに限定されない。
【0042】
「代謝産物」は、代謝または代謝プロセスによって生成される物質を指す。
【0043】
「NAAG」は、レベルが主な阻害剤神経伝達物質ガンマ−アミノブチル酸(「GAB
A」)に匹敵するレベルの、脳の重要なペプチド成分である、N−アセチル−アスパチル
−グルタメートを指す。NAAGは神経特異性であり、シナプス小胞に存在し、グルタメ
ート作動性と推定される複数の系におけるニューロン刺激時に放出される。研究は、NA
AGは中枢神経系において神経伝達物質および/または神経修飾物質として、神経伝達物
質グルタメートの前駆体として機能しうることを示唆している。加えてNAAGは、グル
ープII代謝調節型グルタメートレセプター、特にmGluR3レセプターにおけるアゴ
ニストである;NAALADaseが阻害可能な部分に結合したときに、代謝調節型グル
タメートレセプターリガンドが、強力かつ特性のNAALADase阻害剤を供給するこ
とが予想される。
【0044】
「NAALADase」は、NAAGをN−アセチルアスパルテート(「NAA」)と
グルタメート(「GLU」)に異化する膜結合メタロペプチダーゼである、N−アセチル
化α−結合酸性ジペプチダーゼを指す:
NAALADaseによるNAAGの異化
【化7】

【0045】
NAALADaseは、M28ペプチダーゼファミリに割り当てられ、PSMAまたは
GCP II、EC番号3.4.17.21とも呼ばれる。NAALADaseは、共触
媒亜鉛/亜鉛メタロペプチダーゼであると考えられている。NAALADaseは、NA
AGに対して、Km540nmの高い親和性を示す。NAAGが生物活性ペプチドならば
、そのときNAALADaseはNAAGのシナプス作用を不活性化するよう作用するこ
とがある。あるいはNAAGがグルタメートの前駆体として作用する場合、NAALAD
aseの主要機能はシナプスのグルタメート利用能を調節することでありうる。
【0046】
「医薬的に許容される担体」とは、医薬組成物での使用に適している、好ましくは非毒
性の、任意の担体、希釈剤、賦形剤、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、アジュバント、
ビヒクル、デリバリーシステム、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存料、界面活性剤、着色料
、着香料、または甘味料を指す。
【0047】
「医薬的に許容される同等物」は、医薬的に許容される塩、水和物、代謝産物、プロド
ラッグ、およびイソスターを含むがそれらに限定されない。多くの医薬的に許容される同
等物は、本発明の化合物と同一または同様のインビトロまたはインビボ活性を持つことが
予想される。
【0048】
「医薬的に許容される」塩は、所望の薬理学的活性を持ち、生物学的またはそうでなく
ても望ましくなくはない本発明の化合物の塩を指す。塩は、アセテート、アジペート、ア
ルギナート、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルホネート、ビスルファート、
ブチラート、シトレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプ
ロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルファート、エタンスルホネート、フマレー
ト、グルコヘプタノアート、グリセロホスファート、ヘミスルファート、ヘプタノアート
、ヘキサノアート、ハイドロクロライド、ハイドロブロマイド、ハイドロアイオダイド−
2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレアート、メタンスルホネート、2
−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、チオシアネート、トシレート
、およびウンデカノアートを含むがそれらに限定されない酸によって形成できる。塩基塩
の例は、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウ
ムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メ
チル−D−グルカミンなどの有機塩基による塩、およびアルギニンならびにリジンなどの
アミノ酸による塩を含む。塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチル
クロライド、ブロマイド、およびアイオダイドなどの低級アルキルハライド;ジメチル、
ジエチル、ジブチル、およびジアミルスルファートなどのジアルキルスルファート;デシ
ル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロマイド、およびアイオダイ
ドなどの長鎖ハライド;およびベンジルおよびフェネチルブロマイドなどのアラルキルハ
ライドを含む薬剤によってクウォータナイズ(四分の一に)することができる。
【0049】
「プロドラッグ」は、薬理学的効果を示す前に代謝などのバイオトランスフォーメーシ
ョンを受ける、本発明の化合物の誘導体を指す。プロドラッグは、向上した化学安定性、
向上した許容性ならびにコンプライアンス、向上した生体利用効率、延長した作用期間、
向上した臓器選択性、向上した処方(たとえば、向上した水溶性)、および/または減少
した副作用(たとえば毒性)の目的で処方される。プロドラッグは、Burger’s Medicina
l Chemistry and Drug Chemistry、第5編、第1巻、172〜178ページ,949〜9
82(1995)によって述べられた方法などの、当業界で周知の方法を使用して本発明
の化合物からただちに調製できる。
【0050】
「放射線増感剤」は、電磁照射によって治療可能な疾患の治療を促進するために、治療
有効量で動物に投与される低分子量化合物を指す。電磁照射によって治療可能な疾患は、
新生物疾患、良性ならびに悪性腫瘍、および癌性細胞を含むがそれらに限定されない。本
明細書で述べられていない他の疾患の電磁照射治療も本発明で検討される。
【0051】
酵素の文脈において「阻害」は、競合的、不競合的および非競合的阻害などの、可逆性
酵素阻害を指す。競合的、不競合的および非競合的阻害は、酵素の反応動力学に対する阻
害剤の効果によって区別することができる。競合的阻害は、活性部位で結合するために正
常基質と競合するような方法で、阻害剤が酵素と可逆的に結合する場合に発生する。阻害
剤と酵素との親和性は、次のように定義される阻害剤定数Kによって測定できる:
【数1】

【0052】
式中、[E]は酵素の濃度であり、[I]は阻害剤の濃度であり、[EI]は酵素と阻
害剤の反応により形成された酵素−阻害剤複合体の濃度である。別途規定しない限り、本
明細書で使用されるKは本発明の化合物とNAALADaseとの親和性を指す。「I
50」は、標的酵素の50%阻害を引き起こすのに必要な、化合物の濃度または量を定
義するのに使用される関連用語である。
【0053】
「NAALADase阻害剤」は、NAALADase酵素活性を阻害する任意の化合
物を指す。NAALADase阻害剤は、当業界で公知のいかなる適当なアッセイを用い
て決定されるように、好ましくは100μM未満、さらに好ましくは10μM、およびな
おさらに好ましくは1μMのKを示す。
【0054】
「アイソマー」は、同じ数および種類の原子を持ち、それゆえ同じ分子量を持つが、原
子の配列または配置に関して異なる化合物を指す。
【0055】
「ステレオアイソマー」は、空間における原子の配列のみが異なるアイソマーである。
【0056】
「光学アイソマー」は、エナンチオマーまたはジアステレオアイソマーを指す。
【0057】
「ジアステレオアイソマー」は、相互に鏡像でないステレオアイソマーである。ジアス
テレオアイソマーは、2またはそれ以上の不斉炭素原子を持つ化合物に発生する;それゆ
えそのような化合物は、2光学アイソマーを持ち、ここでnは不斉炭素原子の数である

【0058】
「エナンチオマー」は、相互の非重畳性鏡像である一対のステレオアイソマーである。
エナンチオマーは、化合物(たとえば、グリセルアルデヒド、乳酸、糖、酒石酸、アミノ
酸)中の1またはそれ以上の不斉炭素原子の存在から生じる。
【0059】
「エナンチオマーリッチ」は、1つのエナンチオマーが優勢である混合物を指す。
【0060】
「ラセミ混合物」は、等しい量の各エナンチオマーを含む混合物を意味する。
【0061】
「非ラセミ混合物」は、等しくない量のエナンチオマーを含む混合物を意味する。
【0062】
「血管形成」は、新しい毛細血管が形成されるプロセスを指す。血管形成の「阻害」は
、本発明にしたがって多くのパラメータによって測定され、たとえば新生血管構造の遅延
出現、新生血管の低速成長、新生血管構造の低下出現、血管形成依存性疾患の低速または
低下重篤度効果、血管形成成長停止、または以前の血管形成成長の退行により評価される
。きわめて完全な阻害は、本明細書で予防と呼ばれる。血管形成または新生血管成長に関
連して、「予防」は、以前になにも発生していない場合の実質的な血管形成または新生血
管成長がないこと、あるいは以前に成長が発生した場合の実質的にそれ以上の血管形成ま
たは新生血管成長がないことを指す。
【0063】
「血管形成依存性疾患」は、リウマチ様関節炎、心血管疾患、目の新生血管疾患、末梢
血管障害、皮膚潰瘍、および癌性腫瘍成長、浸潤および転移を含むがそれらに限定されな
い。
【0064】
「動物」は、感覚および随意運動力を持ち、その存在のために酸素および/または有機
食物を必要とする生体を指す。例は、ヒト、ウマ、ブタ、ウシ、ネズミ、イヌ、またはネ
コ種の構成員を含むがそれらに限定されない。ヒトの場合、「動物」は、「患者」とも呼
ばれることがある。
【0065】
「哺乳動物」は、温血脊椎動物を指す。
【0066】
「不安」は、表面上は未認識の精神内部の葛藤から生じる、架空または想像上の危険に
対する精神心理学的反応を含む不快な感情状態を含むがそれらに限定されない。生理学的
随伴物は、心拍数増加、呼吸数変化、発汗、震え、脱力感、および疲労を含む;心理学的
随伴物は、切迫危険感、無気力感、懸念、および緊張を含む。Dorland’s Illustrated M
edical Dictionary、第27編.(W.B.Saunders Co.1988)。
【0067】
「不安障害」は、不安および回避行動が優勢である精神障害を含むがそれらに限定され
ない。Dorland’s Illustrated Medical Dictionary。例は、不安発作、広場恐怖、パニ
ック障害、急性ストレス障害、慢性ストレス障害、特定恐怖、単一恐怖、社会恐怖、物質
誘発不安障害、器質性不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、全般性不安障害、お
よび不安障害NOSを含むがそれらに限定されない。他の不安障害は、Diagnostic and S
tatistical Manual of Mental Disorders(American Psychiatric Association、第4編.
1994)で特徴が述べられている。
【0068】
「注意欠陥障害」(「ADD」)は、活動亢進を伴うまたは伴わない、発達的に不適切
な不注意および衝動を特徴とする障害を指す。不注意とは、開始した課題の完了失敗、気
の散りやすさ、外見上の注意力欠如、および持続して注意を必要とする課題への集中の困
難を意味する。衝動とは、考える前の行動、交代することが困難、作業計画の問題、絶え
間ない1つの活動から別の活動への変更を意味する。活動亢進とは、着席したまま静かに
座っていることが困難で、過剰に走ったり、登ったりすることを意味する。
【0069】
「癌」は、ACTII生成腫瘍、急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、副腎皮
質癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、子宮癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直
腸癌、皮膚T細胞性リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、毛様細胞
白血病、頭頸部癌癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小および
/または非小細胞)、悪性腹水、悪性胸水、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽
細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、膵臓癌、陰茎癌、前
立腺癌、網膜芽腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄
養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルム腫瘍を含むがそれらに限定されない

【0070】
「強迫性障害」は、抑制しがたい衝動的行動によって特定される任意の障害を指す。強
迫性障害の例は、物質依存症、摂食障害、病的賭博、ADD、およびトゥーレット症候群
を含むがそれらに限定されない。
【0071】
「物質依存症」は、物質、たとえば薬剤に対する心理的耽溺または物理的耐性を指す。
耐性とは、より少ない量で当初達成された効果を生じるために、用量を次第に増加する必
要性を意味する。
【0072】
「脱髄疾患」とは、参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,859,046号
および国際公開公報第WO98/03178号で定義されているなどの、神経組織を自然
に包囲する髄鞘の損傷または除去を含む任意の疾患を指す。例は、末梢脱髄疾患(ギラン
バレー症候群、末梢神経障害およびシャルコー・マリー・ツース病など)および中枢脱髄
疾患(多発性硬化症など)を含むがそれらに限定されない。
【0073】
「疾患」は、特徴的な症状および徴候のセットによって明示され、その病因、病理、お
よび予後が既知または未知である、体の任意の部分、臓器または系(または組合せ)から
の任意の逸脱、またはその妨害を指す。Dorland’s Illustrated Medical Dictionary。
【0074】
「障害」は、機能の任意の撹乱または異常;病的な身体または精神状態を指す。Dorlan
d’s Illustrated Medical Dictionary。
【0075】
「摂食障害」は、強迫性過食、肥満、または重症性肥満を指す。肥満とは、標準身長−
体重表を20%超えた体重を意味する。重症性肥満は、100%過体重を意味する。
【0076】
「緑内障」は、慢性(特発性)開放隅角緑内障(たとえば高圧、標準圧);瞳孔閉鎖緑
内障(たとえば急性閉塞隅角、亜急性閉塞隅角、慢性閉塞隅角、複合機構);発生的緑内
障(たとえば、先天性(乳児性)、若年性、アクセンフェルド−リーガー症候群、ピータ
ーズ奇形、無虹彩症);他の眼障害に関連する緑内障(たとえば、角膜内皮、虹彩、毛様
体、レンズ、網膜、脈絡膜および硝子体の障害に関連する緑内障);強膜静脈圧上昇に関
連する緑内障(たとえば、眼内圧上昇および緑内障に関連する全身性疾患、コルチコステ
ロイド誘発性緑内障);炎症および外傷に関連する緑内障(たとえば、角膜炎、上強膜炎
、強膜炎、ブドウ膜炎、眼外傷、および出血に関連する緑内障);眼内手術後の緑内障、
たとえば毛様体ブロック(悪性)緑内障、無水晶体および偽水晶体における緑内障、角膜
手術に関連する緑内障、硝子体網膜に関連する緑内障を含むがそれらに限定されない。
【0077】
「グルタメート異常」は、グルタメートのレベル上昇に関係する病的症状を含む、グル
タメートが関与する任意の疾患、障害、または症状を指す。グルタメート異常の例は、脊
椎損傷、てんかん、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、ハンチントン
病(「HD」)、統合失調症、疼痛、虚血、末梢神経障害(これに限定されるわけではな
いが、神経障害を含む)、外傷性脳損傷、ニューロン損傷、炎症性疾患、不安、不安障害
、記憶機能障害、強迫性障害、緑内障、および/または網膜障害を含むがそれらに限定さ
れない。
【0078】
「虚血」は、動脈血の流入の妨害による局在性組織貧血を指す。全身性虚血は、心停止
から起こるように、血流が一定期間中止したときに発生する。局所性虚血は、大脳血管の
血栓閉塞、外傷性頭部損傷、水腫、脳腫瘍から起こるように、脳などの体の一部が正常な
血液供給を奪われた場合に発生する。全身性および局所性虚血はどちらも一時的ではあっ
ても、広範囲にわたるニューロン損傷を引き起こすことがある。虚血発症後に神経組織損
傷が数時間または数日にもわたって発生しても、一部の永久神経組織損傷は、脳への血流
停止後、最初の数分間で発生することがある。この損傷の多くは、グルタメート毒性およ
び、損傷内皮による血管活性生成物の放出、および損傷組織によるフリーラジカルおよび
ロイコトリエンなどの細胞傷害性生成物の放出などの、組織の再灌流の二次的影響に起因
する。
【0079】
「記憶機能障害」は、過去の経験、知識、アイディア、感覚、思考または印象の、精神
的記録、保持または想起の低下を指す。記憶機能障害は、短期および長期情報保持、空間
関係に関する機能、記憶(リハーサル)方法、および言語回復ならびに生成に影響を及ぼ
すことがある。記憶機能障害の一般的原因は年齢、重篤な頭部外傷、脳酸素欠乏症または
虚血、アルコール性栄養疾患、薬物中毒および神経変性疾患である。たとえば記憶機能障
害は、アルツハイマー病およびアルツハイマー型老人性痴呆などの、神経変性疾患の共通
の特徴である。記憶機能障害は、多発脳梗塞性痴呆、脳血管不全によって生じる老人性痴
呆、およびパーキンソン病に関連する、またはしないアルツハイマー病のレービー小体変
種などの他の種類の痴呆によっても発生する。クロイツフェルト−ヤコブ病は、記憶機能
障害が関連するまれな痴呆である。これはプリオンタンパク質によって発生する海綿状脳
症である;これは他の患者から伝染するか、遺伝子突然変異から発生することがある。記
憶の損失も、脳損傷患者の共通の特徴である。脳損傷はたとえば、古典的な脳卒中の後に
、または麻酔事故、頭部外傷、低血糖症、一酸化炭素中毒、リチウム中毒、ビタミン(B
、チアミンおよびB12)欠乏、または過剰アルコール使用の結果として発生すること
がある。コルサコフ健忘精神疾患は、甚大な記憶損失と作話に特定されるまれな障害であ
り、それによって患者は記憶損失を隠すために話を作り出す。これはしばしば過剰なアル
コール摂取に関連している。記憶機能障害はさらに、年齢に関連している;名前、場所お
よび言葉などの情報を思い出す能力は、年齢とともに低下するように思われる。重篤なう
つ障害に罹っている患者では電気ショック療法の後に、一時的記憶損失も発生することが
ある。
【0080】
「精神障害」は、苦痛症状の存在または機能の著しい障害によって特定される任意の臨
床的に重大な行動または心理学的症候群を指す。精神障害は、個人のある心理学的器質性
機能不全から発生すると考えられる;その概念は、個人と社会の間の本質的な葛藤である
障害を含まない(社会的逸脱)。
【0081】
「転移」は、「癌細胞が伝播し、非連続部位で新たな増殖巣を形成する(すなわち転移
を形成する)能力」を指す。参照して本明細書に組み込まれる、Hill,R.P,「Metastasis
」,The Basic Science of Oncology,タノック(Tannock)ら編、178〜195
ページ(McGraw−Hill 1992)を参照。「インサイチュー腫瘍増殖から転
移性疾患への移行は、原発部位の腫瘍細胞が局所組織に侵入し、組織関門を越える能力に
よって定義される...。転移プロセスを開始するために、癌細胞は最初に上皮基底膜に
浸透して、次に間質基質に侵入する...。遠隔転移では血管内異物侵入は、腫瘍細胞溢
出の間にまた処理されねばならない内皮下基底膜の腫瘍細胞侵入を必要とする...。悪
性腫瘍の成長は、原発性腫瘍の拡張を可能にするだけでなく、新たに形成された血管の基
底膜の欠陥により血管区画への容易な接近を可能にする、腫瘍誘発性血管形成とも関連付
けられる。」参照して本明細書に組み込まれる、Aznavoorianら,Cancer(1
993)71:1368−1383を参照。
【0082】
「神経発作」は、神経組織への任意の損傷およびそこから生じる任意の障害または死を
指す。神経障害の原因は、代謝性、毒性、神経毒性、医原性、熱的または化学的であり、
虚血、低酸素症、脳血管事故、外傷、手術、圧力、質量効果、出血、照射、血管痙攣、神
経変性疾患、神経変性プロセス、感染、パーキンソン病、ALS、髄鞘形成/脱髄プロセ
ス、てんかん、認識障害、グルタメート異常およびその二次的影響を含むがそれらに限定
されない。
【0083】
「神経組織」は、神経系を構成する各種の構成要素を指し、ニューロン、神経支持細胞
、グリア、シュワン細胞、これらの構造に含まれて、これらに供給する脈管構造、中枢神
経系、脳、脳幹、脊髄、中枢神経系と末梢神経系との接合部、末梢神経系および関連組織
を含むがそれらに限定されない。
【0084】
「神経障害」は、神経の任意の疾患または機能不全を指す。神経障害は、末梢神経障害
、糖尿病性神経障害、自律神経障害および単発神経障害を含むがそれらに限定されない。
末梢神経障害は、特発性であるか、疾患(たとえば、アミロイドーシス、アルコール依存
症、HIV、梅毒、ウィルス、自己免疫障害、癌、ポルフィリン症、クモ膜炎、帯状疱疹
後神経痛、ギラン−バレー症候群、I型およびII型糖尿病を含む糖尿病)、化学薬品(
たとえば、毒素、鉛、ダプソーン、ビタミン、パクリタキセル化学療法、HAART療法
)および特定の神経または神経叢への物理的傷害(たとえば、外傷、圧迫、狭搾)を含む
任意の原因により誘発されることがある。
【0085】
「神経保護の」は、神経障害を減少、停止または改善する、および神経障害に罹患した
神経組織を保護、蘇生または回復させる効果を指す。
【0086】
「疼痛」は、特殊神経終末の刺激から生じる不快、苦悩または苦痛の局所的感覚を指す
。疼痛は、患者を源から移動または撤退させる限り、保護機構として作用する。Dorland
’s Illustrated Medical Dictionary。疼痛の例は、急性、慢性、癌、火傷、切開性、炎
症、糖尿病性神経障害性および背痛を含むがそれらに限定されない。
【0087】
「神経障害性疼痛」は、神経傷害に関連する疼痛の症状を指す。特定の症候群に応じて
、疼痛は、脳または脊髄の変性によるものであるか、神経自体の異常によりものである。
神経障害性疼痛は、特発性であるか、疾患(たとえば、アミロイドーシス、アルコール依
存症、HIV、梅毒、ウィルス、自己免疫障害、癌、ポルフィリン症、クモ膜炎、帯状疱
疹後神経痛、ギラン−バレー症候群、I型およびII型糖尿病を含む糖尿病)、化学薬品
(たとえば、毒素、鉛、ダプソーン、ビタミン、パクリタキセル化学療法、HAART療
法)および特定の神経または神経叢への物理的傷害(たとえば、外傷、圧迫、狭搾)を含
む任意の原因により誘発されることがある。
【0088】
「病的賭博」は、ギャンブルへの没頭により特定される症状を指す。精神活性物質乱用
と同様に、その影響は、より多額の金を賭ける欲求、禁断症状、および家族や職業への深
刻な悪影響にもかかわらず、絶え間ないギャンブルとともに、耐性の拡大を含む。
【0089】
「前立腺疾患」は、前立腺に影響するすべての疾患を指す。前立腺疾患の例は、前立腺
の腺癌および転移性癌などの前立腺癌;および前立腺肥大などの良性前立腺上皮細胞の異
常増殖によって特定される症状を含むがそれらに限定されない。
【0090】
「統合失調症」は、思考(連合弛緩、妄想、幻覚)、気分(鈍感、気抜け、不適切な情
動)、自意識ならびに外界との関係(自我境界の損失、非現実的思考、および自閉性引き
こもり)、および挙動(異様、明白な無目的、および常道的活動または不活動)の形式お
よび内容の障害によって特定される、精神障害または精神障害の群を指す。統合失調症の
例は、急性、移動性、境界性、緊張性、小児期、解体型、破瓜型、潜在性、核性、偏執性
、パラフレニック、精神病前、プロセス、偽神経症性、反応性、残存性、統合失調性およ
び未分化統合失調症を含むがそれらに限定されない。Dorland’s Illustrated Medical D
ictionary。
【0091】
「TGF−β」は、形質転換成長因子ベータを指す。TGF−βは、多機能成長因子の
表現型として認識されている。それは、細胞の成長および分化、血管形成、創傷治癒、免
疫機能、細胞外マトリックス生成、細胞走化性、アポトーシスおよび造血を含む、各種の
細胞および組織の機能を調節する。
【0092】
「TGF−β異常」は、TGF−βの異常レベルにより特定される、TGF−βが関係
する疾患、障害および症状を含む、任意の疾患、障害または症状を指す。
【0093】
「TGF−βの異常レベル」は、既知の技法を用いて当業者によって決定されるような
、TGF−βの正常レベルからの測定可能な変化を指す。
【0094】
「治療濃度域」または「ウィンドウ」は、脳卒中に関連して、脳卒中の発症と有効治療
の開始との最大遅延に関する。
【0095】
「トゥーレット症候群」は、強迫性スウェアリング、多様性筋肉チックおよび騒音によ
って特定される常染色体多様性チック障害を指す。チックは、単純または複雑でありうる
短く迅速な無意識運動である;チックは常同的かつ反復的であるが、律動的ではない。ま
ばたきなどの単純チックは、神経質による癖として始まることが多い。複雑チックは正常
な挙動の一部に似ていることが多い。
【0096】
「治療すること」とは:
(i)疾患、障害および/または症状に対する素因があるが、まだそれを有するとは診
断されていない動物に、疾患、障害または症状が発生するのを防止することと;
(ii)疾患、障害または症状を阻害する、すなわちその発現を停止させることと;お
よび/または
(iii)疾患、障害または症状を軽減する、すなわち疾患、障害および/または症状
の退行を引き起こすことと;
を指す。
【0097】
「ALSを治療すること」とは:
(i)ALSに対する素因があるが、まだそれを有するとは診断されていない動物に、
ALSが発生するのを防止することと;
(ii)ALSを阻害する、すなわちその発現を停止させることと;
(iii)ALSを軽減する、すなわち疾患、障害および/または症状の退行を引き起
こすことと;
(iv)ALSまたはALS症状の発症を遅延させることと;
(v)ALSまたはALS症状の進行を遅らせることと;
(vi)ALSに罹患している動物の生存を延長することと;および/または
(vii)ALS症状を減弱させることと;
を指す。
【0098】
「ハンチントン病を治療すること」は:
(i)ハンチントン病に対する素因があるが、まだそれを有するとは診断されていない
動物に、ハンチントン病が発生するのを防止することと;
(ii)ハンチントン病を阻害する、たとえばその発現を停止させることと;
(iii)ハンチントン病を軽減する、たとえばその症状の退行を引き起こすことと;
(iv)ハンチントン病に罹患している動物の運動神経を改善すること;および/また

(v)ハンチントン病に罹患している動物の生存を延長することと;
を指す。
【0099】
「物質依存症を治療すること」は、薬物乱用に対する心理的中毒または身体的耐性を抑
制すること、および/または薬物依存症から生じる禁断症候群を軽減および/または防止
することを指す。
【0100】
「依存症」は、臨床的に重大な障害または苦悩につながる、物質使用の順応不良パター
ンを指す。依存症は通常、耐性および/または禁断症状によって特定される。依存症が進
展する物質は、抑制剤(オピオイド、合成麻酔薬、バルビツレート、グルテチミド、メチ
プリロン、エスクロルビノール、メタカロン、アルコール);不安緩解剤(ジアゼパム、
クロルジアゼポキシド、アルプラゾラム、オキサゼパム、テマゼパム);興奮剤(アンフ
ェタミン、メタンフェタミン、コカイン);および幻覚剤(LSD、メスカリン、ペヨー
テ、マリファナ)を含むがそれらに限定されない。
【0101】
「耐性」は、同一用量の連続使用による効果の低下および/または以前により低用量で
達成された中毒または所望の効果を達成するための用量増加に対する欲求に特定される、
物質に対する獲得反応を指す。生理学的および心理社会的要因の両者が耐性の発現に寄与
することがある。生理学的耐性については、代謝性および/または機能的耐性が発現する
ことがある。物質の代謝速度を向上させることにより、身体は物質をさらに容易に排出す
ることができる。機能的耐性は、物質に対する中枢神経系の感受性の低下として定義され
る。
【0102】
「禁断」は、物質使用の中止または削減、あるいは薬理学的アンタゴニストの投与の後
に発生する、有害な身体的変化によって特定される症候群を指す。
【0103】
「網膜障害を治療すること」は:
(i)網膜障害に対する素因があるが、まだそれを有するとは診断されていない動物に
、網膜障害が発生するのを防止することと;
(ii)網膜障害を阻害する、たとえば発現を停止させることと;および/または
(iii)網膜障害を軽減する、たとえばその症状の退行を引き起こすことと;
を指す。
【0104】
「網膜障害」は、血管性網膜症、たとえば、高血圧性網膜症、糖尿病性網膜症(非増殖
性または増殖性)、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症;加齢性黄斑変性;網膜剥
離;または網膜色素変性症を指す。
【0105】
当業者は、上で定義した疾患、障害および症状別の述語、疾病分類学および分類体系が
あることと、そのような体系が医療技術の進歩とともに発達することを認識するであろう

【0106】
文脈が明確に別途指示しない限り、単数形の語の定義は、本出願で登場するその複数形
の語に外挿して適用される;同様に、複数形の語の定義は、本出願で登場するその単数形
の語に外挿して適用される。
【0107】
発明の化合物
本発明は、式Iaの化合物に関する:
【化8】

【0108】
、A、A、およびAは独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアル
ケニル、C−Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、ハロ、ヒ
ドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオシアノ、イソチ
オシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C−Cアルキル
スルホニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケノキシ、フェノキシまたはベンジ
ルオキシであり、
ここで、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、
複素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置
換であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換される。
【0109】
1つの実施形態において、R、R、R、R、A、A、およびAは水素;
およびAは水素、−(CH−W、または−Y−(CH−Wであり、式中:
nは0〜3であり;YはO、S、またはNRであり、式中、Rは水素またはC−C
ルキルであり;およびWはC−Cアルキルまたはフェニルであり、式中、Wは非置換
であるか、あるいはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、カルボキシ、またはハ
ロによって置換される。
【0110】
本発明はさらに、式Ibの化合物に関する:
【化9】

【0111】
式中、A、A、A、およびAは独立して水素、C−Cアルキル、C−C
アルケニル、C−Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、ハ
ロ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオシアノ、
イソチオシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C−C
ルキルスルホニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケノキシ、フェノキシまたは
ベンジルオキシであり、
ここで、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、
複素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置
換であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換され、
式中、Aがクロロ、フルオロ、アミノ、またはチオメチルである場合、A、A
およびAはすべてが水素でなくてもよく、
および式中、A、A、A、およびAの少なくとも1が水素でない。
【0112】
1つの実施形態において、A、A、およびAは水素であり;Aは−(CH
−Ar、または−Y−(CH−Arであり、式中nは0〜3であり、YはO、S
またはNRであり、式中、Rは水素またはC−Cアルキルであり、そしてArは、非
置換であるか、C−Cアルキル、カルボキシ、またはハロによって置換されたフェニ
ルである。
【0113】
本発明はさらに式Iの化合物
【化10】

【0114】
または医薬的に許容される同等物に関し、式中:
Xは−(CRSH、−O(CRSH、−S(CRSH
または−NR(CRSHであり;
nは1〜3であり;
R、R、R、A、A、A、およびAは独立して水素C−Cアルキル、
−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複
素環、ハロ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオ
シアノ、イソチオシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C
−Cアルキルスルホニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケノキシ、フェノキ
シまたはベンジルオキシであり、
ここで、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、
複素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置
換であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換される。
【0115】
該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、
アルコキシ、アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、および縮合環の考えられ
る置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C
−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロ
キシ、カルボキシ、ヒドロペロキシ、カルバミド、カルバモイル、カルバミル、カルボニ
ル、カルボゾイル、アミノ、ヒドロキシアミノ、ホルムアミド、ホルミル、グアニル、シ
アノ、シアノアミノ、イソシアノ、イソシアネート、ジアゾ、アジド、ヒドラジノ、トリ
アザノ、ニトリロ、ニトロ、ニトロソ、イソニトロソ、ニトロソアミノ、イミノ、ニトロ
ソイミノ、オキソ、C−Cアルキルチオ、スルファミノ、スルファモイル、スルフェ
ノ、スルフヒドリル、スルフィニル、スルホ、スルホニル、チオカルボキシ、チオシアノ
、イソチオシアノ、チオホルムアミド、ハロ、ハロアルキル、クロロシル、クロリル、パ
ークロリル、トリフルオロメチル、ヨードシル、ヨージル、ホスフィノ、ホスフィニル、
ホスホ、ホスホノ、アルシノ、セラニル、ジシラニル、シロキシ、シリル、シリレン、お
よび炭素環ならびに複素環部分を含むがそれらに限定されない。炭素環部分は脂環式およ
び芳香族構造を含む。
【0116】
炭素環ならびに複素環部分の例は、フェニル、ベンジル、ナフチル、インデニル、アズ
レニル、フルオレニル、アントラセニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、
ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチア
ゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピリジル、ピロリル、ピロリジ
ニル、ピリジニル、ピリミジニル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒド
ロキノリニル、キノリジニル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ベ
ンゾオキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソトリアゾリル、オキサジアゾリ
ル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリア
ジニル、トリチアニル、インドリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、
チエニル、テトラヒドロイソキノリル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノ
キサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニ
ル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルを含むがそれらに限定されない。
【0117】
本発明の代表的な化合物を表Iに示す。
【表1】

【0118】

【0119】

【0120】

【0121】

【0122】

【0123】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】
本発明の化合物は、1またはそれ以上の不斉炭素中心を有し、それゆえ光学アイソマー
の形ではもちろんのこと、光学アイソマーのラセミまたは非ラセミ混合物の形でも存在す
ることができる。光学アイソマーは、たとえば、光学活性酸または塩基による処理による
ジアステレオアイソマー塩の形成およびその後の、結晶化とそれに続くこれらの塩からの
光学活性塩基の遊離によるジアステレオアイソマー混合物の分離によって、当業界で周知
の従来プロセスによるラセミ混合物の分解によって得ることができる。有用な酸の例は、
酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファー
スルホン酸を含む。
【0128】
光学アイソマーを分離する別のプロセスは、エナンチオマーの分離を最大限にするため
に最適に選択されたキラルクロマトグラフィーカラムの使用を含む。なお別の使用可能な
方法は、本発明で使用される化合物および医薬組成物を活性化形の光学活性酸、光学活性
ジオールまたは光学活性イソシアネートと反応させることによる、共有結合ジアステレオ
アイソマー分子、たとえば、エステル、アミド、アセタール、ケタールなどの合成である
。合成ジアステレオアイソマーは、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華などの
従来方法によって分離し、次に加水分解してエナンチオマー的に純粋な化合物を供給する
ことができる。場合によっては、化合物はプロドラッグのように作用しうるため、患者へ
の投薬前に親光学活性薬剤を加水分解することは不要である。本発明の光学活性化合物は
、光学活性開始物質を利用することによって同様に得ることができる。
【0129】
本発明の化合物が光学アイソマーはもちろんのこと、ラセミおよび非ラセミ混合物を含
むことが理解される。
【0130】
発明の方法
NAALADase酵素活性を阻害する方法
本発明は、動物または哺乳動物においてNAALADase酵素活性を阻害する方法で
あって、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合物を投与す
ることを含む方法に関する。
【0131】
グルタメート異常を治療する方法
本発明はさらに、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合
物を投与することを含む、動物または哺乳動物におけるグルタメート異常を治療するため
の方法に関する。
【0132】
治療されるグルタメート異常は、強迫性障害、脳卒中、脱髄疾患、統合失調症、パーキ
ンソン病、ALS、糖尿病性神経障害、疼痛、不安、不安障害、記憶機能障害、および緑
内障を含む。好ましくは、強迫性障害は、アルコール、ニコチンまたはコカイン依存症で
ある。
【0133】
脳卒中患者は、虚血の発症と治療の開始の間に重大な時間的遅延を経験することが多い
。それゆえ、長い治療濃度域を持つ神経保護薬に対する要求がある。本発明の化合物は少
なくとも1時間の治療濃度域を持つことが予想される。したがって、グルタメート異常が
脳卒中である場合、本発明の化合物は、脳卒中発症後、最大60分、または120分また
はそれ以上の間、該動物または哺乳動物に投与することができる。
【0134】
好ましい本発明の化合物は、どの特定の作用機構にも縛られずに、シナプス後グルタメ
ートレセプターと相互作用することなく、グルタメート放出をシナプス前に遮断する化合
物であることが予想される。そのような化合物は、シナプス後グルタメートアンタゴニス
トと関連する行動毒性を欠くであろう。
【0135】
ニューロン活性を生じるための方法
本発明はさらに、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合
物を投与することを含む、動物または哺乳動物においてニューロン活性を生じるための方
法に関する。
【0136】
本発明の方法によって生じるニューロン活性は、損傷ニューロンの刺激、ニューロン再
生の促進、ニューロン変性の防止または神経系障害の治療である。
【0137】
好ましくはニューロン活性は、疼痛、神経障害、外傷性頭部損傷、脊髄の物理的損傷、
脳損傷に関連する脳卒中、脱髄疾患である神経系障害、またはニューロン変性に関する神
経系障害の治療である。
【0138】
本発明の方法により治療可能な神経系障害の例は、三叉神経痛;舌咽神経痛;ベル麻痺
;重症筋無力症;筋ジストロフィー;ALS;進行性筋萎縮症;進行性球遺伝性筋萎縮症
;ヘルニア、破裂または脱出型invertebrate板症候群;頸部脊椎症;神経叢
障害;胸郭出口破壊症候群;鉛、ダプソーン、チック、ポルフィリン症またはギラン−バ
レー症候群によって発生するような末梢神経障害;糖尿病性神経障害;疼痛;アルツハイ
マー病;およびパーキンソン病を含むがそれらに限定されない。
【0139】
本発明の方法は特に、身体的傷害または疾患状態により引き起こされる末梢神経障害、
糖尿病性神経障害、HIV−、化学−およびビタミン−誘発性神経障害、疼痛、外傷性脳
損傷、脊髄に対する物理的損傷、脳損傷に関連する脳卒中、脱髄疾患および神経変性に関
する神経系障害よりなる群から選択される神経系障害を治療するために特に有用である。
【0140】
神経系障害が疼痛である場合、本発明の化合物は好ましくは、有効量のモルヒネと組合
せて投与される。
【0141】
本発明の方法は、神経障害性疼痛、たとえば、HIV−、化学−、およびビタミン−誘
発性神経障害性疼痛を治療するために特に有用である。
【0142】
神経変性に関する神経系障害の例は、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびAL
Sを含む。
【0143】
前立腺疾患を治療するための方法
本発明はさらに、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合
物を投与することを含む、動物または哺乳動物において前立腺疾患を治療する方法に関す
る。好ましい前立腺疾患は前立腺癌である。
【0144】
癌を治療するための方法
本発明はさらに、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合
物を投与することを含む、動物または哺乳動物において癌を治療する方法に関する。
【0145】
治療される好ましい癌は、脳、腎臓および睾丸を含むがそれらに限定されない、NAA
LADaseが存在する組織における癌である。
【0146】
血管形成を阻害するための方法
本発明はさらに、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合
物を投与することを含む、動物または哺乳動物における血管形成を阻害するための方法に
関する。
【0147】
血管形成は、受精能力または癌腫瘍の転移にとって必要であり、または血管形成依存性
疾患に関係することがある。それゆえ本発明の方法は、リウマチ様関節炎、心血管疾患、
目の新生血管疾患、末梢血管障害、皮膚潰瘍および癌性腫瘍増殖、侵入または転移を含む
がそれらに限定されない、血管形成依存性疾患を治療するためにも有用である。
【0148】
TGF−β活性を生じるための方法
本発明は、上で定義したように、該動物または哺乳動物に有効量の本発明の化合物を投
与することを含む、動物または哺乳動物において、本発明のの化合物TGF−β活性を生
じるための方法に関する。
【0149】
TGF−β活性を生じることは、TGF−βレベルを増加、減少または調節することと
、TGF−β異常を治療することを含む。治療されるTGF−β異常の例は、神経変性障
害、細胞外マトリックス形成障害、細胞増殖関連疾患、感染症、免疫関連疾患、上皮組織
瘢痕化、膠原血管疾患、線維増殖性障害、結合組織障害、炎症、炎症性疾患、呼吸窮迫症
候群、不妊および糖尿病を含む。
【0150】
治療される代表的な神経変性障害は、虚血再潅流傷害、髄鞘形成および神経変性から生
じる神経組織損傷を含む。
【0151】
治療される代表的な細胞増殖関連障害は、腎臓細胞、造血細胞、リンパ球、上皮細胞お
よび内非細胞に影響を与える障害を含む。
【0152】
治療される代表的な感染症は、マクロファージ病原体、特に細菌、酵母、真菌、ウィル
ス、原生動物、クルーズトリパノソーマ、ヒストプラズマ、カプスラツーム、カンジダア
ルビカンス、カンジダパラプシローシス、クリプトコッカスネオフォルマンス、サルモネ
ラ、ニューモシスチス、トキソプラズマ、リステリア、マイコバクテリア、リケッチアお
よびリーシュマニアよりなる群から選択されるマクロファージ病原体によって引き起こさ
れる感染症を含む。マイコバクテリアは、マイコバクテリウムツベルクローシスおよびマ
イコバクテリウムレプレを含むがそれらに限定されない。トキソプラズマは、トキソプラ
ズマゴンディを含むがそれらに限定されない。リケッチアは、R.プロワゼキ、R.コロ
ニ、およびR.ツツガムシを含むがそれらに限定されない。
【0153】
治療される感染症の他の例は、単発性または多発性皮膚病変、粘膜疾患、シャーガス病
、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、トキソプラズマ症、リーシュマニア症、トリ
パノソーマ症、住血吸虫症、クリプトスポリジウム症、マイコバクテリウムアビウム感染
症、ニューモシスチスカリニ肺炎およびハンセン病を含む。
【0154】
治療される代表的な免疫関連疾患は、自己免疫障害;免疫機能不全;および感染症、特
にトリパノソーマ感染症、ウィルス感染症、ヒト免疫抑制ウィルス、ヒトT細胞リンパ球
向性ウィルス(「HTLV−1」)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウィルス、または肝炎に関連
する免疫抑制を含む。
【0155】
治療される代表的な膠原血管疾患は、全身性進行性硬化症(「PSS」)、多発性筋炎
、皮膚硬化症、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、強皮症、レイノー症候群、間質性肺線維症、
皮膚硬化症および全身性エリテマトーデスを含む。
【0156】
治療される代表的な線維増殖性障害は、糖尿病性神経障害、腎臓疾患、増殖性硝子体網
膜症、肝硬変、胆管線維症、および骨髄線維症を含む。特に好ましい腎臓疾患は、メサン
ギウム増殖性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、糖尿病性神経障害、腎間質線維症、
サイクロスポリンを受けている移植患者における腎線維症、およびHIV関連神経障害を
含む。
【0157】
治療される代表的な結合組織障害は、皮膚硬化症、骨髄線維症、および肝、眼内ならび
に肺線維症を含む。
【0158】
治療される代表的な炎症性疾患は、PSS、多発性筋炎、皮膚硬化症、皮膚筋炎、好酸
球性筋膜炎、強皮症、レイノー症候群、間質性肺線維症、皮膚硬化症、全身性エリテマト
ーデス、糖尿病性神経障害、腎臓疾患、増殖性硝子体網膜症、肝硬変、胆管線維症、骨髄
線維症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、糖尿病性神経障害、
腎間質線維症、サイクロスポリンを受けている移植患者における腎線維症、またはHIV
関連神経障害に関連している。
【0159】
好ましい本発明の化合物は、どの特定の作用機構にも限定されずに、TGF−βを調節
することおよび/またはミエロペルオキシダーゼを阻害することによって、炎症性疾患を
治療する。
【0160】
本発明の化合物のTGF−β調節特性に関連する他の使用法は:
・組織、腺または臓器の成長、特に乳生成または体重増加を向上させる成長を刺激する
ことと;
・細胞増殖、特に線維芽細胞、間葉細胞または上皮細胞の増殖を刺激することと;
・特に上皮細胞、内皮細胞、TおよびBリンパ球および胸腺細胞の細胞成長を阻害する
ことと;
・脂肪、骨格筋および造血表現型、新生物、非細胞破壊ウィルスまたは他の病原性感染
症および自己免疫障害の発現を阻害することと;
・疾患耐性および感受性を媒介することと;
・細胞免疫反応を抑制することと;
・偶発的傷害、外科手術、外傷誘発性裂傷または他の外傷から生じる創傷、あるいは過
剰な結合組織形成が腹部癒着である腹膜を含む創傷により損傷された、好ましくは、皮膚
または他の上皮細胞における瘢痕組織形成を阻害することと;
・ワクチン、特にほこりおよび花粉症のためのワクチンの有効性を向上させることと;
・ポリープ形成を阻害することと;
を含む。
【0161】
障害を治療するための方法
本発明はさらに、網膜障害を治療する方法であって、有効量のNAALADase阻害
剤をそのような治療を必要とする動物に投与することを含む方法に関する。
【0162】
診断方法およびキット
本発明の化合物は、神経系障害、グルタメート異常、神経障害、疼痛、強迫性障害、前
立腺疾患、癌、TGF−β異常、および緑内障を含むがそれらに限定されない、NAAL
ADaseレベルが変化する疾患、障害および症状を検出するためのインビトロおよびイ
ンビボ診断方法に有用である。
【0163】
したがって本発明は、NAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検
出するための方法であって:
(i)上で定義したように、体組織または体液のサンプルを本発明の化合物であって、
該サンプル中の任意のNAALADaseに結合する化合物に接触させることと;
(ii)該サンプルに結合した任意のNAALADaseの量であって、該疾患、障害
または症状の症状を示すNAALADaseの量を測定することと;
を含む方法にも関する。
【0164】
体組織および体液の例は、前立腺組織、射精液、精嚢液、前立腺液、尿、血液、唾液、
涙、汗、リンパ液および痰を含むがそれらに限定されない。
【0165】
化合物は、当業界で既知の技法を用いてマーカーによって標識してもよい。有用なマー
カーは、酵素マーカーおよび造影剤を含むがそれらに限定されない。造影剤の例は、13
I、111In、123I、99Tc、32P、125I、H、および14Cなどの
放射標識;フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識;およびルシフェリンなどの
ルシフェリンなどの化学発光試薬を含む。
【0166】
NAALADaseの量は、アッセイ(免疫測定、熱量測定、濃度測定、分光学的およ
びクロマトグラフィックアッセイなど)ならびに撮像技法(磁気共鳴分光学(「MRS」
)、磁気共鳴映像法(「MRI」)、単光子放射型コンピュータ断層法(「SPECT」
)、およびポジトロン放射型断層法(「PET」))を含むがそれらに限定されない、当
業界で既知の技法を用いて測定できる。
【0167】
本発明はさらに、NAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検出す
る診断キットに関する。診断キットは、上で定義した、マーカーで標識された本発明の化
合物を含む。診断キットはさらに、緩衝剤、バックグラウンド干渉を低下させるための薬
剤、制御試薬および/または試験を実施するための器具を含む。
【0168】
本発明はさらに、動物または哺乳動物においてNAALADaseレベルが変化する疾
患、障害または症状を検出するための方法であって:
(i)上で定義した本発明の化合物を、造影剤によって標識することと;
(ii)該動物または哺乳動物に有効量の標識化合物を投与することと;
(iii)該標識化合物を局在化させ、該動物または哺乳動物に存在するNAALAD
aseに結合させることと;および
(iv)該標識化合物に結合したNAALADaseの量であって、該疾患、障害およ
び症状に特徴的なNAALADaseの量を測定することと;
を含む方法に関する。
【0169】
NAALADaseの量は、上述したように、既知の撮像技法を用いて測定することが
できる。
【0170】
参照による引用
NAALADase阻害剤とグルタメートとの関係、および各種の疾患、障害ならびに
症状の治療および検出におけるNAALADase阻害剤の有効性は、米国特許第5,6
72,592号;第5,795,877号;第5,804,602号;第5,824,6
62号;第5,863,536号;第5,977,090号;第5,981,209号;
第6,011,021号;第6,017,903号;第6,025,344号;第6,0
25,345号;第6,046,180号;第6,228,888号および第6,265
,609号;国際公開公報第WO00/01668号および第WO00/38785号;
米国特許仮出願第60/261,754号;および当業界で一般に既知である他の参考文
献で述べられている。本発明者らは本明細書で十分に述べているかのように、上述の特許
、特許出願、および出版物の内容全体、特に、血管形成の阻害、TGF−β活性の発生、
疾患の診断、および虚血、脊椎損傷、脱髄疾患、パーキンソン病、ALS、アルコール依
存症、ニコチン依存症、コカイン依存症、前立腺疾患、癌、神経障害、疼痛、統合失調症
、不安、不安障害、および記憶機能障害の治療におけるNAALADase阻害剤の有効
性に関するその考察、図およびデータは参照して本明細書に組み込まれる。本発明者らは
、本発明の化合物が有効なNAALADase阻害剤であることを発見した。それゆえ、
本発明の化合物は、参照して組み込まれる特許、特許出願、および出版物で開示されてい
るNAALADase阻害剤と同様の用途を持つことが予想される。
【0171】
本発明の医薬組成物
本発明は、有効量の本発明の化合物または医薬的に許容される同等物;および医薬的に
許容される担体を含む医薬組成物にも関する。
【0172】
好ましくは、本発明の化合物は、NAALADase酵素活性または血管形成を阻害し
、ニューロン活性またはTGF−β活性を生じさせ、動物または哺乳動物におけるグルタ
メート異常、神経障害、疼痛、前立腺疾患または癌を治療するために、有効量で存在する

【0173】
投与経路
本発明の方法において、化合物は一般に、医薬製剤の形で患者に投与される。そのよう
な製剤は好ましくは、活性剤に加えて、生理学的に許容される担体および/または希釈剤
を含む。化合物は、当業者に既知の任意の方法によって、局所的または全身的に投与され
る。たとえば化合物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直
腸的に、経鼻的に、経膣的に、または埋め込みタンクを通じて、従来の非毒性の医薬的に
許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含む投与製剤にて投与される。非経口的
という語は本明細書で使用されるように、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、くも
膜下腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内または骨内注射および輸液技法を含む。正確な投与プ
ロトコルは、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌を含む各種の要因に応じて
変化する;具体的な投与手順の決定は、当業者にとって慣行的であろう。
【0174】
中枢神経系標的として治療的に有効であるために、化合物は末梢的に投与されると、血
液脳関門をただちに貫通する必要がある。血液脳関門を貫通できない化合物は、脳室内経
路により、または当業界で認識された他の方法によって効率的に投与することができる。
たとえば、参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,846,565号;第5,6
51,986号;および第5,626,862号を参照。
【0175】
用量
本発明の化合物および組成物は、単回投与、または複数回の個別投与、あるいは連続輸
液によって投与できる。化合物は連続輸液によく適している。連続輸液には、ポンプ手段
、特に皮下ポンプ手段が好ましい。
【0176】
活性成分化合物のおよそ約0.001〜約10,000mg/kgの用量レベルが、上
の症状の治療に有用であり、好ましいレベル約0.1〜約1,000mg/kgであり、
さらに好ましいレベルは約1〜約100mg/kgである。任意の特定の患者の具体的な
用量レベルは、利用される特定の化合物の活性および考えられる毒性;患者の年齢、体重
、全身の健康状態、性別、食餌;投与時間;排泄速度;薬剤の組合せ;治療される特定の
疾患の重症度;および投与形式を含む、各種の要因によって変化するであろう。通常、イ
ンビトロ投与効果の結果は、患者投与のための適正な用量についての有用なガイダンスを
与える。動物モデルにおける研究も有用である。適正な用量レベルを決定するための考慮
事項は当業界で周知である。
【0177】
投与計画
本発明の方法では、薬剤送達のタイミングおよび手順を調節するための、当業者に周知
である任意の投薬計画を、処置を実施するために必要に応じて使用および反復することが
できる。そのような計画は、前処置および/またはさらなる治療薬との同時投与を含んで
もよい。
【0178】
他の処置との同時投与
本発明の化合物および組成物は、単独で、または同時、個別または連続使用のために、
1またはそれ以上の薬剤と組合せて使用できる。
【0179】
さらなる薬剤は、本発明の1またはそれ以上の化合物;ステロイド、たとえば、メチル
プレドニゾロンなどのヒドロコルチゾン;メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホ
スファミドまたはサイクロスポリンAなどの、抗炎症または抗免疫剤;インターフェロン
−β;抗CD4抗体などの抗体;チクロピジンなどの、第二の虚血事象の危険を低下させ
ることができる薬剤;化学療法剤;免疫療法組成物;電磁放射線増感剤;およびモルヒネ
を含むがそれらに限定されない、当業者に既知のどの治療薬でもよい。
【0180】
本発明の化合物は、(i)単一製剤で一緒に、または(ii)そのそれぞれの活性剤の
最適放出速度に合わせて設計された個別の製剤で独立して、1またはそれ以上の治療薬と
同時投与することができる。各製剤は、約0.01重量%〜約99.99重量%、好まし
くは、約3.5重量%〜約60重量%の本発明の化合物を、湿潤剤、乳化剤、およびpH
緩衝剤などの1またはそれ以上の医薬的賦形剤と同様に含む。
【0181】
化合物の調製
本発明の化合物は、スキームI、II、III、およびIVで以下に示した一般合成経
路を利用して、有機化学の標準技法によってただちに調製できる。前駆体化合物は、市販
されているか、あるいは当業者に既知の方法によって調製できる。
【0182】

【0183】

【0184】

【0185】

【実施例】
【0186】
以下の実施例は、本発明の例示であり、その制限となるものではない。別途明示しない
限り、すべてのパーセンテージは最終組成物の100重量%に基づいている。
【0187】
実施例1
3−(2−メルカプトエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸
(10)(スキームI)の合成手順
3−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−5−イル)
−安息香酸エチルエステル
2,2−ジメチル−5−トリフルオロメタン−スルホニルオキシ−4H−1,3−ベン
ゾジオキシン−4−オン(2.0g、5.8mmol)、3−エトキシカルボニルフェニ
ルボロン酸(1.34g、6.9mmol)および無水KCO粉末(2.61g、1
8.9mmol)のジメチルホルムアミド(30mL)溶液に、テトラキス(トリフェニ
ルホスフィン)パラジウム(0.202g、0.175mmol)を加えた。混合物を還
流下で2時間加熱した。反応混合物を室温(「rt」)まで冷却させ、1N塩酸(25m
L)を加えた。混合物をエチルアセテート(3x25mL)で抽出した。合わせた抽出物
を水とブラインで洗浄し、次にマグネシウムサルフェート上で乾燥させて、濃縮した。粗
物質をフラッシュクロマトグラフィー(1:15 エチルアセテート/ヘキサン)によっ
て精製し、3−(2,2−ジメチル4−オキソ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−5−
イル)−安息香酸エチルエステル(1.2g、63%)を白色固体として得た:H N
MR(CDCl)δ1.39(t,J=7.1Hz,3H)、1.80(s,6H)、
4.39(q,J=7.0Hz,2H)、7.01(d,J=8.0Hz,2H)、7.
47−7.57(m,3H)、8.00(t,J=1.5Hz,1H)、8.07(dt
,J=7.5,1.5Hz,1H)。
【0188】
3−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエス
テル
3−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−5−イル)
−安息香酸、エチルエステル(1.4g、4.3mmol)のメタノール(10mL)溶
液に、0℃にてナトリウムメトキシド(メタノール中に0.5M、25mL)を加えた。
溶液を室温にて15分間攪拌した。反応物は1N塩酸(30mL)の添加により失活させ
て、エチルアセテート(3x30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をマグネシウム
サルフェート上で乾燥させ、濃縮して、3−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2
,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル(1.2g、95%)を黄色固体として得た:
H NMR(CDCl)δ3.43(s,3H),3.93(s,3H),6.79
(dd,J=7.5,0.9Hz,1H)7.04(dd,J=7.5,0.9Hz,1
H),7.43(m,3H),7.93(m,1H),8.02(dm,J=7.0Hz
,1H),10.8(s,1H)。
【0189】
3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジ
カルボン酸、ジメチルエステル
3−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエス
テル(1.1g、3.8mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、0℃にてピリ
ジン(1.00ml、12.3mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(
0.90mL、5.4mmol)を加えた。溶液を0℃にて2時間攪拌した。1N塩酸水
溶液(20mL)を加え、混合物をジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。合わせ
た有機抽出物を水とブラインで洗浄し、マグネシウムサルフェート上で乾燥させ、濾過し
、濃縮して、3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−[1,1’−ビフェニル]−2
,3’−ジカルボン酸、ジメチルエーテル(1.4g、87%)を黄色固体として得た:
H NMR(CDCl)δ3.72(s,3H),3.94(s,3H),7.38
−7.62(m,5H),8.08(m,2H)。
【0190】
3−エテニル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステ

1−4−ジオキサン(30mL)中の、3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−[
1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル(1.3g、3.
1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.36g、0.3
1mmol)、LiCl(0.94g、22.2mmol)、トリエチルアミン(0.6
mL、4.3mmol)およびトリ−N−ブチル(ビニル)スズ(1.0mL、3.4m
mol)の混合物を還流下、窒素雰囲気中で4時間加熱した。室温まで冷却した後、混合
物をシリカゲル栓で濾過し、濾液を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:10
エチルアセテート/ヘキサン)による精製は、3−エテニル−[1,1’−ビフェニル
]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル(0.91g、99%)を白色固体とし
て与えた:H NMR(CDCl)δ3.61(s,3H),3.92(s,3H)
,5.40(d,J=11.1Hz,1H),5.79(d,J=17.5Hz,1H)
,6.87(dd,J=17.4,11.0Hz,1H),7.31(d,J=7.5H
z,1H),7.44〜7.49(m,2H),7.56(dm,J=7.5Hz,1H
),7.62(d,J=8.0Hz,1H),8.03(dm,J=7.5),8.08
(t,1,J=1.5Hz,1H)。
【0191】
3−[2−(アセチルチオ)エチル]−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカル
ボン酸、ジメチルエステル
3−エテニル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステ
ル(0.85g、2.9mmol)のベンゼン(10mL)溶液に、チオ酢酸(2.1m
L、29.4mmol)、続いてアゾイソブチロニトリル(0.053g、0.32mm
ol)を加えた。溶液は、窒素を溶液中にバブリングすることによって30分間酸素除去
し、次いで還流下で4時間加熱した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20mL)を溶液
に添加し、混合物をエチルアセテート(2x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物
を水とブラインで洗浄し、マグネシウムサルフェート上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:12 エチルアセテート/ヘキサン)によ
って精製し、3−[2−(アセチルチオ)エチル]−[1,1’−ビフェニル]−2,3
’−ジカルボン酸、ジメチルエステル(0.51g、48%)をオフホワイト固体として
得た:H NMR(CDCl)δ2.35(s,3H),2.93(m,2H),3
.14(m,2H),3.62(s,3H),3.93(s,3H),7.29(dd,
J=7.6,0.9Hz,1H),7.35(dd,J=7.5,0.8Hz,1H),
7.44(d,J=7.6Hz,1H),7.48(d,J=7.5Hz,1H),7.
55(dt,J=8.0,1.5Hz,1H),8.03(dt,J=7.9,1.5H
z,1H),8.07(t,J=1.5Hz,1H)。
【0192】
3−(2−メルカプトエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸
、2−メチルエステル
3−[2−(アセチルチオ)エチル]−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカル
ボン酸、ジメチルエステル(0.50g、1.34mmol)のテトラヒドロフラン(3
.5mL)酸素除去溶液に、水酸化ナトリウム(0.38g、9.4mmol)の酸素除
去水(3.5mL)溶液を加えた。混合物を一晩攪拌して、1N塩酸(20mL)を加え
た。混合物をエチルアセテート(3x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水と
ブラインで洗浄し、マグネシウムサルフェート上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、3−(
2−メルカプトエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、2−メ
チルエステル(0.35g、83%)をオフホワイト固体として得た:H NMR(C
DCl)δ1.46(t,J=8.0Hz,1H),2.83(m,2H),3.00
(m,2H),3.60(s,3H),7.33〜7.31(m,2H),7.46(t
,J=7.7,1H),7.52(t,J=7.7Hz,1H),7.61(dm,J=
7.9Hz,1H),8.10(dm,J=7.9Hz,1H),8.14(m,1H)

【0193】
3−(2−メルカプトエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸
(10)
ナトリウムメタンチオレート(0.135g、1.60mmol)のジメチルホルムア
ミド(0.5mL)酸素除去懸濁液に、3−(2−メルカプトエチル)−[1,1’−ビ
フェニル]−2,3’−ジカルボン酸、2−メチルエステル(0.10g、0.32mm
ol)のジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液を加えた。混合物にアルゴンを10分
間バブリングした。反応物を100℃にて1時間、200℃にてさらに1時間加熱した。
混合物を室温まで冷却した後、反応物を1H塩酸(20mL)で失活させ、エチルアセテ
ート(3x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水とブラインで洗浄し、マグネ
シウムサルフェート上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、3−(2−メルカプトエチル)−
[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸(0.055g、57%)を白色固
体として得た:H NMR(CDCl)δ1.51(t,J=8.0Hz,1H),
2.87〜2.93(m,2H),3.12〜3.08(m,2H),7.37(m,2
H),7.57〜7.47(m,2H),7.70(dm,J=7.9Hz,1H),7
.98(dm,J=7.8Hz,1H),8.30(m,1H);13C NMR(CD
Cl)δ26.2,38.8,128.1,129.3,129.7,129.8,1
29.9(2C),130.5,133.3,134.4,137.7,139.1,1
41.2,172.3,176.9.計算値C1614S:C,63.56;H,
4.67;S,10.61.実験値:C,63.65;H,4.88;S,10〜33。
【0194】
実施例2
2−[(4−カルボキシフェニル)メトキシ]−6−(2−メルカプトエチル)−安息
香酸(7)の合成手順(スキームII)
5−エテニル−2,2−ジメチル−4H−1,3−ベンゾジオキシン−4−オン
1−4−ジオキサン(300mL)中の、2,2−ジメチル−5−トリフルオロメタン
スルホニルオキシ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−4−オン(9.90g、30.3
mmol)、トリブチル(ビニル)スズ(10.10g、31.9mmol)、リチウム
クロライド(8.70g、205mmol)、およびトリエチルアミン(5.0mL、3
6.0mmol)の混合物を、窒素を混合物中に1時間バブリングすることによって酸素
除去した。混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.40g、
2.90mmol)を加え、混合物を100℃にて3時間加熱した。混合物を室温まで冷
却させて、濾過した。濾液を濃縮して、フラッシュクロマトグラフィー(1:12、エチ
ルアセテート/ヘキサン)によって精製し、5−エテニル−2,2−ジメチル−4H−1
,3−ベンゾジオキシン−4−オン(5.00g、81%)を黄色油として得た:
NMR(CDCl)δ1.72(s,6H),5.43(dd,J=11.0,1.3
Hz,1H),5.72(dd,J=17.5,1.3Hz,1H),6.89(d,J
=8.0Hz,1H),7.27(d,J=8.0Hz,1H),7.47(t,J=8
.0Hz,1H),7.73(dd,J=17.5,11.0Hz,1H)。
【0195】
2−エテニル−6−ヒドロキシ安息香酸、メチルエステル
5−エテニル−2,2−ジメチル−4H−1,3−ベンゾジオキシン−4−オン(4.
01g、19.6mmol)に、室温にてメタノール(85mL、42.5mmol)中
の0.5Mナトリウムメトキシドを加えた。15分後、溶液に1N塩酸水溶液(100m
L)を加えた。濁った溶液をエーテル(2x100mL)で抽出した。合わせた有機抽出
物を水(50mL)とブライン(50mL)で洗浄し、ナトリウムサルフェート上で乾燥
させ、濾過して、濃縮し、2−エテニル−6−ヒドロキシ安息香酸、メチルエステル(2
.0g、57%)を黄色油として得た。この物質はさらに精製せずに、次のステップで使
用した:H NMR(CDCl)δ3.96(s,3H),5.26(dd,J=1
0.8,1.5Hz,1H),5.49(dd,J=17.3,1.5Hz,1H),6
.95(m,2H),7.23−7.39(m,2H),11.12(s,1H)。
【0196】
2−エテニル−6−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]メトキシ−安息香酸、メ
チルエステル
上記物質(0.500g、2.8mmol)の攪拌したアセトン(10mL)溶液に、
炭酸カリウム(1.50g、10.9mmol)とメチル−4−(ブロモメチル)ベンゾ
アート(0.71g、3.10mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素雰囲気中で3
時間攪拌して、濾過した。濾液を濃縮して、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1
:10 エチルアセテート/ヘキサン)によって精製し、2−エテニル−6−[4−(メ
トキシカルボニル)フェニル]メトキシ−安息香酸、メチルエステル(0.73g、80
%)を白色固体として得た:H NMR(CDCl)δ3.92(s,6H),5.
17(s,2H),5.37(dd,J=11.1,1.0Hz,1H),5.78(d
d,J=17.6,0.9Hz,1H),6.70(dd,1,J=17.4,11.1
Hz,1H),6.83(d,J=7.8Hz,1H),7.20(d,J=8.0Hz
,1H)7.29(t,J=80Hz,1H),7.46(d,J=8.4Hz,2H)
,8.04(d,J=8.3Hz,2H)。
【0197】
2−[2−(アセチルチオ)エチル]−6−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]
メトキシ−安息香酸、メチルエステル
2−エテニル−6−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]メトキシ−安息香酸、メ
チルエステル(0.71g、2.18mmol)のベンゼン(10mL)溶液に、チオ酢
酸(1.80mL、25.2mmol)、続いてアゾイソブチロニトリル(37mg、0
.23mmol)を加えた。溶液に30分間窒素をバブリングした後、溶液を還流下で4
時間加熱した。反応物を室温まで冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム(20mL)を加え
た。混合物をエチルアセテート(3x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水と
ブラインで洗浄し、マグネシウムサルフェート上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した
。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:10 エチルアセテート/ヘキサン)に
よって精製して、2−[2−(アセチルチオ)エチル]−6−[4−(メトキシカルボニ
ル)フェニル]メトキシ−安息香酸、メチルエステル(0.50g、60%)を透明油と
して得た:H NMR(CDCl)δ2.34(s,3H),2.85〜2.82(
m,2H),3.07〜3.10(m,2H),3.92(s,3H),3.94(s,
3H),5.16(s,2H),6.81(d,J=8.2Hz,1H),6.92(d
,J=7.7Hz,1H),7.28(t,J=8.2Hz,1H),7.46(d,J
=8.3Hz,2H),8.04(d,J=8.3Hz,2H)。
【0198】
2−[(4−カルボキシフェニル)メトキシ]−6−(2−メルカプトエチル)−安息
香酸(7)
2−[2−(アセチルチオ)エチル]−6−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]
メトキシ−安息香酸、メチルエステル(0.20g、0.50mmol)の95%エタノ
ール(3mL)酸素除去溶液に、水酸化カリウム(0.463g、8.3mmol)の9
5%エタノール(3mL)酸素除去溶液を窒素雰囲気中で加えた。溶液を還流下で一晩加
熱し、1N塩酸(20mL)を加えて失活させた。混合物をエチルアセテート(3x20
mL)で抽出し、次に合わせた有機抽出物を水とブラインで洗浄し、マグネシウムサルフ
ェート上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:1 ジク
ロロメタン/1%酢酸を含むヘキサン)による精製で、2−[(4−カルボキシフェニル
)メトキシ]−6−(2−メルカプトエチル)−安息香酸(0.077g、46%)を白
色固体として得た:H NMR(CDCl)δ2.75(m,2H),2.92(m
,2H),5.22(s,2H),6.93(d,J=7.5Hz,1H),6.98(
d,J=8.2Hz,1H),7.30(t,J=8.3Hz,1H),7.55(d,
J=7.9Hz,2H),8.02(d,J=8.0Hz,2H);13C NMR(C
OD)δ26.5,39.8,71.1,112.4,123.9,126.9,1
28.3,131.3,131.7,131.8,139.9,144.2,156.7
,170.0,172.3.計算値C1716S:C,61.43;H,4.85
;S,9.65.実験値:C,61.16;H,4.95;S,9.44。
【0199】
実施例3
4−メルカプトメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸(26)
(スキームIII)の合成手順
4−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸
2−ブロモ−5−メチル安息香酸(5.00g、23.3mmol)のジメチルエーテ
ル(100mL)溶液に、3−カルボキシフェニルボロン酸(3.86g;23.3mm
ol)、炭酸ナトリウム(9.90g、93mmol)水溶液、およびテトラキス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウムを加えた。混合物を90℃にて4日間攪拌した。混合物
を室温まで冷却させ、エチルアセテート(50mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム
溶液で洗浄した。水層を分離し、10%塩酸で酸性化して、エチルアセテート(3x20
mL)で抽出した。合わせた抽出物をマグネシウムサルフェート上で乾燥させ、濃縮した
。粗物質をカラムクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/エチルアセテート1%酢酸)
によって精製し、4−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸(2
.20g、37%)を固体として得た:H NMR(DMSO−d)δ2.40(s
,3H),7.30(m,1H),7.42(m,1H),7.52〜7.57(m,2
H),7.60(s,1H),7.85(s,1H),7.91〜7.92(m,1H)

【0200】
4−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル
4−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸(2.20g,8.
6mmol)のメタノール(150mL)溶液に、濃硫酸(1.6mL)を加え、混合物
を還流下で一晩加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶
液とエチルアセテート(20mL)とで分配した。有機層をマグネシウムサルフェート上
で乾燥させ、濃縮して、4−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン
酸、ジメチルエステル(2.26g、92%)を粗物質として得た。この物質はさらに精
製せずに、次の反応で使用した:H NMR(DMSO−d)δ2.41(s,3H
),3.58(s,3H),3.88(s,3H),7.36〜7.38(m,1H),
7.47〜7.48(m,1H),7.56〜7.58(m,2H),7.62(s,1
H),7.82(s,1H),7.94〜7.96(m,1H)。
【0201】
4−ブロモメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエ
ステル
4−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル
(2.26g、7.9mmol)のテトラクロロメタン(50mL)溶液に、ベンゾイル
パーオキサイド(0.010g、0.04mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(
1.42g、8.0mmol)を加え、混合物を3日間還流した。反応混合物を室温まで
冷却させ、濾過し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(95:5〜90:1
0 ヘキサン/エチルアセテート)によって精製し、4−ブロモメチル−[1,1’−ビ
フェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル(1.71g、60%)を得た
H NMR(DMSO−d)δ3.61(s,3H),3.88(s,3H),4
.84(s,2H),7.48〜7.50(d,J=8.0Hz,1H),7.59〜7
.60(m,2H),7.72〜7.75(m,1H),7.85(s,1H),7.9
0(m,1H),7.97〜7.99(m,1H)。
【0202】
4−アセチルチオメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメ
チルエステル
4−ブロモメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエ
ステル(1.59g、4.4mmol)のアセトン(75mL)の溶液に、カリウムチオ
アセテート(0.60g、5.3mmol)を加え、混合物を1時間還流した。混合物を
室温まで冷却させ、濾過し、濃縮した。残留生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサ
ン/エチルアセテート、9/1)によって精製し、4−アセチルチオメチル−[1,1’
−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメチルエステル(1.21g、76%)を
得た:H NMR(DMSO−d)δ2.39(s,3H),3.60(s,3H)
,3.88(s,3H),4.23(s,2H)7.42〜7.44(d,J=8.0H
z,1H),7.57〜7.60(m,3H),7.74(s,1H),7.83(s,
1H),7.96〜7.99(m,1H)。
【0203】
4−メルカプトメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸(26)
4−アセチルチオメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカルボン酸、ジメ
チルエステル(0.27g、0.75mmol)の酸素除去テトラヒドロフラン溶液に、
水酸化ナトリウム(0.12g、3.0mmol)の脱気水(5mL)溶液を室温にて加
えた。24時間後、水酸化ナトリウム(0.09g)のさらなる水(2mL)溶液を反応
混合物に加え、混合物を24時間攪拌した。混合物を10%塩酸で酸性化し、エチルアセ
テートで抽出した。抽出物をマグネシウムサルフェート上で乾燥し、濃縮した。粗物質を
カラムクロマトグラフィー(9:1 ジクロロメタン/1%酢酸を含むエチルアセテート
)により精製し、4−メルカプトメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,3’−ジカル
ボン酸(0.20g,92%)を白色固体として得た:H NMR(DMSO−d
δ3.10(t,J=8.03Hz,1H),3.89(d,J=8.03Hz,2H)
,7.43(d,J=7.53Hz,1H),7.58〜7.65(m,3H),7.8
3(d,J=2.01Hz,1H),7.92(s,1H),7.97〜8.00(m,
1H).Anal.Calcd for C1512S・0.5AcOH:C,6
0.37;H,4.43;O,25.13;S,10.07.Found:C,60.2
8;H,4.45;S,10.15。
【0204】
実施例4
2−カルボキシメチル−6−(2−メルカプトエチル)−安息香酸(48)の合成手順
(スキームIV)
2−ヒドロキシ−6−メトキシカルボニルメチル−安息香酸メチルエステル
2−カルボキシメチル−6−ヒドロキシ−安息香酸(5.021g、25.6mmol
)のジメチルホルムアミド(100mL)溶液に0℃にて、炭酸カリウム(3.567g
、25.9mmol)およびヨードメタン(7.9mL、51.9mmol)を加えた。
窒素雰囲気中、0℃にて4時間攪拌した後、反応物を水(100mL)とエーテル(15
0mL)とで分配した。水層を1N塩酸で酸性化し、エチルアセテート(200mL)で
抽出した。エチルアセテート層をマグネシウムサルフェート上で乾燥させ、真空中で濃縮
し、粗2−ヒドロキシ−6−メトキシカルボニルメチル−安息香酸メチルエステルを無色
油(3.2g,56%)として得たH NMR(CDCl)δ3.69(s,3H)
,3.89(s,5H),6.72(d,J=6.7Hz,1H),6.96(d,J=
8.0Hz,1H),7.33〜7.38(m,1H)。
【0205】
2−メトキシカルボニルメチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−安息香酸
メチルエステル
2−ヒドロキシ−6−メトキシカルボニルメチル−安息香酸メチルエステル(2.51
g、11.2mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に0℃にて、トリフリック酸
無水物(3.0mL、17.8mmol)とピリジン(2.40mL、29.7mmol
)を加えた。溶液を室温まで一晩加温し、真空中で濃縮した。残留物をエチルアセテート
(100mL)で希釈し、1N塩酸(25mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25
mL)、水(25mL)、およびブライン(25mL)で洗浄した。有機層をマグネシウ
ムサルフェート上で乾燥させ、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(10
%エチルアセテート/ヘキサン)によって精製し、2−メトキシカルボニルメチル−6−
トリフルオロメタンスルホニルオキシ−安息香酸メチルエステルを油(3.5g、90%
)として得た:H NMR(CDCl)δ3.86(s,3H),4.06(s,2
H),4.10(s,3H),7.4(d,J=7.6Hz,1H),7.50(d,J
=7.6Hz,1H),7.67(t,J=8.2Hz,1H)。
【0206】
2−メトキシカルボニルメチル−6−ビニル−安息香酸メチルエステル
ジオキサン(50mL)中の2−メトキシカルボニルメチル−6−トリフルオロメタン
スルホニルオキシ−安息香酸メチルエステル(2.705g、7.6mmol)、LiC
l(2.355g、55.6mmol)、トリエチルアミン(1.5mL、10.8mm
ol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.09g、0.94mm
ol)、およびトリブチル(ビニル)スズ(2.85mL、9.75mmol)の混合物
を還流下で加熱した。3時間後、反応物を室温まで冷却し、シリカゲルのパッドで濾過し
て、濃縮した。粗生成物をSiO(13%エチルアセテート/ヘキサン)によるフラッ
シュクロマトグラフィーで精製して、2−メトキシカルボニルメチル−6−ビニル−安息
香酸メチルエステルを黄色固体(1.50g、84%)として得た:H NMR(CD
Cl)δ3.67(s,3H)、3.89(s,5H),5.32(d,J=10.9
Hz,1H),5.68(d,J=17.4Hz,1H),6.82(d,J=17.4
,10.9Hz,1H),7.20(d,J=7.1Hz,1H),7.36(m,1H
),7.50(d,J=7.8Hz,1H)。
【0207】
2−(2−アセチルスルファニル−エチル)−6−メトキシカルボニルメチル−安息香
酸メチルエステル
2−メトキシカルボニルメチル−6−ビニル−安息香酸メチルエステル(1.31g、
5.60mmol)、チオ酢酸(4.00mL、56.0mmol)、およびアゾイソブ
チロニトリル(0.184g、1.10mmol)のベンゼン(30mL)溶液に室温に
て3時間窒素をバブリングして、酸素を除去した。混合物を還流下で3時間加熱した。溶
液を室温まで冷却して、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)を加えた。混合物
をエチルアセテート(100mL)で抽出し、有機層を水(100mL)とブライン(1
00mL)で洗浄した後に、マグネシウムサルフェート上で乾燥させ、真空中で濃縮した
。SiO(10%エチルアセテート/ヘキサン)によるフラッシュクロマトグラフィー
は、2−(2−アセチルスルファニル−エチル)−6−メトキシカルボニルメチル−安息
香酸メチルエステルを黄色固体(0.555g、33%)として与えた:H NMR(
CDCl):δ2.40(s,3H),2.94−2.99(m,2H),3.13〜
3.18(m,2H),3.75(s,3H),3.78(s,2H),3.99(s,
3H),7.25(d,J=7.6Hz,1H),7.32(d,J=7.6Hz,1H
),7.42(t,J=7.6Hz,1H)。
【0208】
2−カルボキシメチル−6−(2−メルカプト−エチル)−安息香酸(48)
エタノール(7mL)中の2−(2−アセチルスルファニル−エチル)−6−メトキシ
カルボニルメチル−安息香酸エチルエステル(0.555g、1.77mmol)と6N
水酸化カリウム(3mL)の混合物を還流下で18時間加熱した。室温まで冷却した後
、混合物を1N塩酸(75mL)とエチルアセテート(100mL)で分配した。有機層
を水(100mL)とブライン(100mL)で洗浄し、マグネシウムサルフェート上で
乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をエーテル(100mL)に溶解させ、濾過して
、ある未確認固体物質を除去し、濃縮して、2−カルボキシメチル−6−(2−メルカプ
ト−エチル)−安息香酸を白色固体(0.310g、73%)として得た:H NMR
(CDCl)δ1.37(t,J=8.2Hz,1H),2.76(m,2H),3.
06(m,2H),3.90(s,2H),7.10(d,J=7.6Hz,1H),7
.21(d,J=6.9Hz,1H),7.34(t,J=7.8Hz,1H):13
NMR(CDCl)δ27.25,40.43,41.83,131.58,131
.64,132.45,132.55,134.66,141.41,176.14,1
79.40.Anal.Calcd for C1112S:C,54.99;H
,5.03;S,13.35.Found:C,55.20;H,5.26;S,13.
32。
【0209】
実施例5A
NAALADase活性のインビトロ阻害
NAALADase活性のインビトロ阻害について、本発明の各種の化合物を試験して
、結果を以下の表IIに示す。
【表2】

【0210】

【0211】
NAALADase活性のインビトロ阻害をアッセイするためのプロトコル
以下をアッセイ管内で化合させた:10mMコバルトクロライド100μL、200m
Mトリスクロライド250μL、組織100μL、ベーカーズ水中の10mM NAAL
ADase阻害剤10μL、そして全体積を950μLとするためのベーカーズ水。各ア
ッセイ管を次に37℃水浴で10分間インキュベートした。3−H−NAAG50μLを
各アッセイ管に加え、37℃水浴でさらに15分間インキュベートした。0.1Mナトリ
ウムホスフェート1.0mlを加えることによって、アッセイを停止させた。
【0212】
NAALADase酵素の作用により放出されたグルタメートを、アニオン交換樹脂を
用いてアッセイ溶液から分離した。樹脂を25℃まで平衡にして、ガラスビーズ1個が予
備充填されたパスツールピペットに樹脂2.0mlを加えて、各カラムを蒸留水で2回洗
浄した。カラムをシンチレーションバイアルの上に置き、アッセイサンプル200μLを
カラムに装填した。排水した後、1Mギ酸の洗浄液1mLx2を用いて、グルタメートを
溶出させた。シンチレーションカクテル10mlを添加した後、各サンプルを2分間、シ
ンチレーションカウンタでカウントした。
【0213】
実施例5B
虚血のインビトロアッセイ
本発明の化合物の虚血へのインビトロ効果を調べるために、皮質細胞培養物を、カリウ
ムシナミドおよび2−デオキシグルコースを用いた虚血発作の間に、本発明の各種化合物
によってそこで1時間処理した。使用した実験方法の説明については、Vornovら,
J.Neurochem.,第65巻、第4号、1681〜1691ページ(1995)
を参照。結果を以下の表IIIに示す。神経保護効果は、虚血発作後のグルタメート毒性
の50%低下を引き起こすのに必要な化合物の濃度である、EC50として表される。
【表3】

【0214】
実施例6
TGF−βインビトロモデルに対するNAALADase阻害の効果
化合物Cを虚血細胞培養物に添加して、脳卒中の間のTGF−βレベルに対するその効
果を判定した。図1および2に示す実験データは、化合物Cで処理した虚血細胞培養物に
おけるTGF−β1(図1)およびTGF−β2(図2)の濃度の上昇を示している。結
果は、NAALADase阻害がグリア細胞からの内在性TGF−βの放出を促進し、こ
れが次に隣接ニューロンへの神経保護を与えることを示している。
【0215】
次にTGF−β中和抗体を虚血細胞培養物に加えた。図3は、TGF−β中和抗体がイ
ンビトロ虚血モデル中の化合物Cの神経保護効果を遮断したことを示している。これに対
して図4は、別の成長因子抗体、FGF抗体の添加が化合物Cの神経保護効果を遮断しな
かったことを示している。結果は、NAALADase阻害が脳卒中の間に、TGF−β
レベルに特に影響を及ぼすことを示している。
【0216】
実施例7
インビボ虚血モデルにおけるTGF−βに対するNAALADase阻害の効果
化合物Cの神経保護効果に対するTGF−β中和抗体の効果を、MCAO後のラットで
も研究した。図6は、マイクロ透析によって評価されたように、閉塞と再還流の両者の間
のMCAOラットの化合物Cによる処置が、TGF−β1レベルの著しい上昇を引き起こ
したことを示している。結果は、NAALADase阻害が、少なくとも一部は内在性T
GF−βを調節することにより、神経保護を与えることを示している。
【0217】
さらに図5は、TGF−β中和抗体がインビボで化合物Cの神経保護効果を著しく弱め
たことを示す。当業者は、NAALADase阻害剤によるTGF−βの調節が、脳卒中
だけではなく、神経疾患、精神疾患、脱髄疾患、前立腺癌、炎症、糖尿病および血管形成
を含むがそれらに限定されない他の疾患、障害および症状にも密接な関係を持つことを理
解できる。
【0218】
実施例8
STZモデルにおける神経障害性疼痛に対するNAALADase阻害剤のインビトロ
アッセイ
オスのスプラーグ−ドーリーラット(200〜225g)を、ストレプトゾトシン(「
STZ」、リン酸緩衝生理的食塩水中70mg/kg)の静脈投与により糖尿病にした。
糖尿病の動物を5グループに分けた:化合物A(10mg/kgまたは1mg/kg)、
化合物D(10mg/kgまたは1mg/kg)またはビヒクルを投与される1つのグル
ープ。非糖尿病性対照として役割を果たす、動物の別のグループ(非STZ処置)。薬剤
/ビヒクル処置は、糖尿病動物において、STZ投与の45日後に開始した。STZ誘発
糖尿病ラットは、血糖レベルが320mg/dlまたはそれ以上に上昇するとただちに(
STZの30日後)、熱源に対する感受性について試験した。次にラットをハーグリーブ
ス装置に順応させ、後足背面に向けられた赤外線熱源を用いて熱侵害受容を監視し、動物
が後足を移動するのにかかった時間を直近の0.1秒まで記録した(実験方法については
、ハークレーブス(Hargreaves)ら,J.Biol.Chem.(1988)
263(36):19392−7を参照)。光線源の強度は、対照動物(非STZ処置)
に対する平均潜時が約10秒となるように調節した。各動物は8回試験を行い、(平均非
糖尿病対照潜時および平均糖尿病潜時との)平均差スコアを図7Aおよび7Bにグラフで
表す。糖尿病ラットは、STZ処置30日後から始まり、ビヒクル処置においては進行的
に悪化する、非糖尿病対照と比較して痛覚過敏(より短い反応潜在時間)を示した。この
痛覚過敏反応は、化合物DまたはA(1日10mg/kg、腹腔内)による処置を受けた
糖尿病ラットでは完全に逆であった。それゆえ結果は、NAALADase阻害が神経障
害性疼痛を減少させることを示している。
【0219】
実施例9
CCIモデルにおける神経障害性疼痛に対するNAALADase阻害剤のインビトロ
アッセイ
ラットに対して、三叉神経に近接して1mm間隔で坐骨神経周囲に緩く結ばれた4個の
結紮で構成される坐骨神経結紮を行った。坐骨神経結紮の後、ラットは痛覚過敏および異
痛を示した。ラットをハーグリーブス装置に慣れさせた。赤外線熱源を各ラットの後足背
面に向け、ラットが後足を逃避させるのにかかった時間を記録した。処置側の足と非処置
対照側の足の反応潜時の差スコアを決定した。
【0220】
化合物C
手術10日目より開始して、ラットに化合物C(1日50mg/kg、腹腔内)または
ビヒクルのどちらかを投与した。化合物Cによる処置は、引き続き痛覚過敏ビヒクル処置
された対照と比較して、2つの足の差スコアを劇的に正規化した。正常(非処置)ラット
は、どちらの足でもほぼ等しい潜時を有した。この効果は、薬剤処置の11日目から顕著
であり、実験終了まで継続した(21日間、毎日服用)。差スコアを図8にグラフで示す
。結果は、NAALADase阻害がCCI関連痛覚過敏を減少させることを示している

【0221】
化合物9
ラットは、坐骨神経結紮後に15日間、化合物9(10、1または0.1mg/kg)
またはビヒクルのどちらかで処置した。熱疼痛反応を0、1、5、8、12および15日
目に測定した。ビヒクル処置ラットと、化合物9処置ラットの差スコアを図13にグラフ
で示す。結果は、化合物9による処置が、引き続き痛覚過敏ビヒクル処置されたラットと
比較して、処置足と非処置足との差スコアを正規化したことを示している。
【0222】
化合物10
ラットは、坐骨神経結紮後に18日間、化合物10(0.1mg/kg)またはビヒク
ルのどちらかで処置した。熱疼痛反応を0、1、5、12および18日目に測定した。ビ
ヒクル処置ラットと、化合物10処置ラットの差スコアを図14にグラフで示す。結果は
、化合物10による処置が、引き続き痛覚過敏ビヒクル処置されたラットと比較して、処
置足と非処置足との差スコアを正規化したことを示している。
【0223】
実施例10
BB/Wモデルにおける神経障害性疼痛の進行に対するNAALADase阻害剤のイ
ンビトロアッセイ
オスBB/Wラット(BRI、マス)は膵臓B細胞の細胞媒介自己免疫破壊を自発的に
発現させ、インシュリン依存性(I型)糖尿病の開始を引き起こした(Awata,Gu
berski,End,ocrinology(1995)136(12):5731−
5)。これらのラットは、繊維の損失ならびに変性、ヒト糖尿病患者の末梢神経に見られ
るものと相関する変化などの付随する神経性障害とともに、神経障害を示すことによって
特徴付けられ、神経障害を示すことが証明されている(ヤギハシ(Yagihasi),
J.Peripher.Nerv.Syst.(1997)2(2):113−32)。
このことは、それらを、この主要な障害の将来の治療のための新たな化合物の実験にとっ
て価値のあるものにする。本研究において、化合物Aおよび化合物Dを、糖尿病性神経障
害の進行を改善する能力について調査した。ラットは、糖尿病(高血糖症)の開始からそ
の6ヶ月まで、化合物Aまたは化合物D(10mg/kg 腹腔内)あるいはビヒクルの
注射を毎日受けた。ビヒクルを受けた非糖尿病ラットの別のグループも試験した。すべて
の動物は、体重、尿量、血糖、および糖化ヘモグロビンを絶えず監視した。試験の最初の
月に、すべての動物は、毎週ハーグレーブス装置で熱侵害受容について試験した。1ヶ月
の後、これは2週おきに、その後1ヶ月ごとに行った。試験は、赤外線熱源をラットの後
足の背面に向けることと、動物がその足を移動するのにかかる時間を記録することとで構
成される(実験方法の説明については、ハークレーブス(Hargreaves)ら,J.
Biol.Chem.(1988)263(36):19392−7を参照)。各動物を8回試験
し、平均逃避潜時を記録した。
【0224】
結果を図11にグラフで示す。結果は、糖尿病ラットが非糖尿病対照と比較して痛覚過
敏(より短い反応潜時)を示したことを示している。糖尿病薬処置ラット(化合物Aと化
合物Dの両方)は、処置の4週間後に始まり、6ヶ月間の処置を通じて持続した、糖尿病
ビヒクル処置ラットよりも長い逃避潜時を示した。
【0225】
神経伝導速度も、処置の最初の8週間は2週おきに、その後、6ヶ月間の処置を通じて
毎月測定した(実験方法の説明については、デコーニング(De Koning)ら,Pe
ptides、第8巻、第3号、415〜22ページ(1987)を参照)。結果を図12にグ
ラフで示す。糖尿病動物は一般に、非糖尿病対照と比較して、神経伝導速度の低下を示し
た。しかし、NAALADase阻害剤の注射を毎日受けた糖尿病動物(用量10mg/
kgで、化合物Aまたは化合物Dのどちらか)は、ビヒクル処置を受けた糖尿病対照より
も、大幅に重症度の低い神経伝導欠損を示した。これは処置8週で明らかに開始し、6ヶ
月の試験終了時点まで同程度で持続した。これに対して糖尿病ビヒクルは、ビヒクル投与
開始後6から16週まで神経伝導の進行的な低下を示し、これは6ヶ月間維持された。
【0226】
実施例11
STZモデルにおける糖尿病性神経障害に対するNAALADase阻害剤のインビト
ロアッセイ
STZ糖尿病動物において処置の4、8および12週後に、運動および感覚神経伝導速
度も測定した(実験方法の説明については、デコーニング(De Koning)ら,上
掲を参照)。簡単には、刺激針電極を鎖骨および脛骨神経付近に挿入し、記録電極を麻酔
ラットの末梢足筋に皮下的に配置した。結果を9A、9B、10Aおよび10Bにグラフ
で示す。ビヒクルを受けた糖尿病動物は、非糖尿病動物と比較して、運動および感覚神経
伝導の両方で著しい低下を示した。1日10mg/kgの化合物Aによる4、8および1
2週間の処置はすべて、運動および感覚神経伝導速度を改善し(上昇させ)、12週後お
よび8週間後には運動および感覚神経伝導速度それぞれで著しい改善が見られた(図9A
および9B)。試験した化合物Aの低用量(1mg/kg)は同様の効果を有した。化合
物Dによる動物の処置もどちらの用量でも、糖尿病対照を超えて運動および感覚神経伝導
速度を上昇させ、10mg/kg処置グループの12週間の処置後(図10Aおよび10
B)および1mg/kg用量による処置後のさらに早い時期においては著しく上昇した。
それゆえ結果は、NAALADase阻害は糖尿病性神経障害の進行を変化させることを
示している。
【0227】
実施例11A
NAALADase阻害剤のインビボアッセイ−STZモデルにおける糖尿病性神経障
害の回復
STZモデルの一般的方法−遅延投薬
ラット(200〜225グラム)の尾部静脈にSTZ(70mg/kg)を注射した。
STZ投与の4週間後に、すべてのラットで糖尿病(>350mg/dl)を確認した。
ラットはSTZ投与後、35〜49日まで未処置のままとした。痛覚過敏および/または
神経伝導速度欠陥の確認後、化合物D(1、3、または10mg/kg)、化合物E(1
0mg/kg)、またはビヒクルを毎日、腹腔内投薬した。別個の実験において、処置の
開始は、STZ投与後の60〜90日まで遅延された。神経伝導速度または後足の熱刺激
に対する逃避反応を、通常、熱反応の場合は2週間おきに、神経伝導速度の場合は毎月と
いう間隔で測定した。
【0228】
db/dbマウス試験の一般的方法
自然発生糖尿病マウス(db/dbマウス)と非糖尿病の同腹子をジャクソンラボより
得た。マウスは7〜8月齢(または慢性糖尿病の4〜5ヵ月後)まで未処置のままとし、
次に化合物F(1mg/kg)を毎日腹腔内投与した。8週間の処置の開始時およびその
後に、神経伝導速度を測定した。
【0229】
神経伝導速度の測定
感覚および運動神経伝導速度は、デコーニングとギスペンの方法(Peptide 8:41
5−422,1987)を用いて評価した。投薬の1時間以内に、電気生理学的評価を実
施した。動物はイソフルレンで麻酔をかけ、刺激針電極を坐骨ノッチの坐骨神経近くに、
および足首付近の脛骨神経近くに挿入した。記録電極は足筋肉上に配置した。刺激を加え
て、反応を記録した。運動および感覚神経は、坐骨ノッチと足首部位との距離と、M波お
よびH屈曲との潜時を測定することによって計算した。
【0230】
熱痛覚過敏
動物を装置に少なくとも5分間順化させた。ラット後足の足底表面の下に赤外線源を配
置した。正常ラットの潜時が約10秒となるように、赤外線源の強度を調節した。動物は
、ハーグリーブスら(Pain 77−88,1988)の方法にしたがって、熱反応潜時に
ついて試験した。各動物は8回(各後肢につき4回)試験し、反応潜時を直近の0.1秒
まで自動的に記録した。各足の4個の最終測定値の平均を計算し(合計8測定値)、各ラ
ットについて記録した。
【0231】
図22は、NAALADase阻害剤(化合物Dおよび化合物E)処置の、STZ糖尿
病ラットの神経障害性疼痛異常に対する効果を示す。ラットはすべて、NAALADas
e阻害剤処置前(STZ後5週)に、非糖尿病と比較して、明らかな痛覚過敏を示した。
しかし両方のNAALADase阻害剤処置グループにおいて、処置2週間以内に、神経
障害性痛覚過敏は正常に向けて反転した。この反転は、長期の糖尿病STZラットで通常
見られる、次の痛覚低下フェーズを通じて継続し、NAALADase処置ラットでは低
下した痛覚低下フェーズが見られた。
【0232】
図23は、NAALADase阻害剤処置の前、およびその後の期間におけるSTZ糖
尿病ラットと非糖尿病対照の運動神経伝導速度の測定値を示す。投薬の8週間以内に、N
AALADase阻害剤の化合物Dと化合物Eの両方が、運動神経伝導速度を正常(非糖
尿病値)に向かって反転させた。この効果は、処置の12週間にわたって持続した。
【0233】
図24は、同様に試験した感覚神経伝導速度欠陥を示す。NAALADase阻害剤処
置は、感覚神経伝導速度欠陥を同様に反転させ、処置のわずか2週間後には著しく反転さ
せた。
【0234】
図25は、STZ処置の7週間後に開始されたNAALADase阻害剤化合物Dのよ
り低用量(1および3mg/kg)を試験した、別の実験での神経障害性疼痛異常を示す
。疼痛異常の著しい低下は再び、化合物Dのどちらの用量によっても明らかであった。
【0235】
図26および27は、化合物Dのより低用量で処置されたこれらの慢性糖尿病STZに
おける、感覚および運動神経伝導速度をそれぞれ示す。感覚神経伝導は、処置の4週間以
内に正常に向けて著しく改善されたが、これに対して、運動神経はこれらの低用量によっ
て投薬の8週間後でも改善されないままであった。
【0236】
図28および29は、ラットがSTZ処置の60日後まで未処置のままであった、同様
の慢性糖尿病STZモデルの外部CROから生じた感覚および運動神経伝導速度測定値を
示す。化合物D処置により、両方の欠陥の部分逆転が再び生じた。図30は、処置がST
Z90日後までなおさらに遅延された、同じものを示す。
【0237】
図31は、6〜7月齢の糖尿病の遺伝子組換マウス(慢性糖尿病の約4ヵ月後)による
、神経伝導速度測定値を示す。この時点で、感覚NCVの著しい機能障害が明らかであっ
た。図32は、別のさらに強力なNAALADase阻害剤が毎日1mg/kg投与され
た処置8週間後の、これらのマウスにおける神経伝導速度を示す。薬剤治療後には、感覚
神経伝導の著しい改善が明らかであった。
【0238】
実施例12
ALSの発症に対するNAALADase阻害剤の効果
ALSの発症に対するNAALADase阻害剤の効果は、Gurney,M.,Anna
ls of Neurology(1996)39:147−157で詳細に述べられ、そうでなければ
当業界で周知である、家族性筋萎縮性側索硬化症(「FALS」)の遺伝子導入マウスモ
デルを使用して試験した。1月齢遺伝子導入G1Hマウスを、ビヒクル(50mM HE
PES緩衝生理的食塩水)またはNAALADase阻害剤(50mg/kg化合物A)
の毎日の腹腔内注射によって処置した。マウスの臨床症状を毎日監視した。臨床疾患の発
症は、各マウスについて、尾で空中に吊るした場合の肢の震え、脊髄反射の交差伝播、後
足麻痺、体重およびホイール走行活動を検査することによって評価した。
【0239】
以下の表IVに示す結果は、NAALADase阻害剤によって処置されたマウスで、
疾患発症が遅延したことを示す。
【表4】

【0240】
実施例13
ALS生存および臨床症状に対するNAALADase阻害剤の効果
ALS生存および臨床症状に対するNAALADase阻害剤の効果を、FALSの遺
伝子導入マウスモデルを再度使用して試験した。1月齢の遺伝子導入G1Hマウスを、ビ
ヒクル(50mM HEPES緩衝生理的食塩水)または化合物Bp.o.(経口投与に
よる)で処置した。マウスの臨床ALS症状を週に2回監視した。そのような症状は、肢
の震え、歩調、後肢の引きずり、肢の交差、立ち直り反射および死亡率を含んでいた。歩
調と肢の交差は0〜3の任意スケールで採点し、0は最も正常を示し、3は最も異常、た
とえば歩行や肢の交差が著しく困難であることを示した。立ち直り反射は、マウスが平面
に横向きに配置されたときに立ち直るのにかかる時間(秒)で測定した。
【0241】
図15〜21に示す結果は、NAALADase阻害剤によって処置されたマウスでは
、生存が延期され、臨床ALS症状が緩和されたことを示している。
【0242】
実施例14
実験的なラット緑内障におけるNAALADase阻害剤の保護効果
実験プロトコル
すべての実験は、Association for Research in Vision and Ophthalmology Statement
for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchにしたがった。それぞれ
体重が約250gmのオスのブラウンノルウェーラット82匹(Rattus norv
egicus)を、ジョンホプキンス大学医学部の動物実験委員会によるプロトコルを用
いて処置した。ラットを12時間明/12時間暗サイクルで収容し、無制限に給餌した。
【0243】
実験緑内障:モリソン(Morrison),Jら,IOVS(1998、3月)39
:526−531で述べられた手順にしたがって、強膜上静脈に高張食塩水を微量注入す
ることによって、56匹のラットにおいて、眼圧(「IOP」)の一側性上昇を生じさせ
た。IOP上昇の日に開始して、ラットをビヒクル(50mM HEPES緩衝生理的食
塩水によるラット23匹)またはNAALADase阻害剤(10mg/kgの化合物A
によるラット11匹および10mg/kgの化合物Bによるラット22匹)のどちらかの
腹腔内注射により毎日処置した。塩水処置ラット11匹、化合物A処置ラット11匹、お
よび化合物B処置ラット11匹を最初のIOP上昇後8週間にて、残りのマウスは12週
間にて殺生した。
【0244】
視神経横切:腹腔内ペントバルビタール麻酔下のラット26匹で、視神経を一側性に横
切した。結膜をハサミで開いて、外眼筋の牽引により視神経を露出させた。横切は、主要
な眼血管の損傷を避けるよう特別に注意して、眼球の5mm後ろで実施した。横切直後に
、網膜を検眼鏡で検査して、網膜動脈血供給が中断されていないことを確認した。結膜を
吸収性縫合糸によって閉じ、眼を抗生物質軟膏で処置した。横切の日に開始して、ラット
をビヒクル(50mM HEPES緩衝生理的食塩水によるラット9匹)またはNAAL
ADase阻害剤(10mg/kgの化合物Aによるラット8匹および10mg/kgの
化合物Aによるラット9匹)のどちらかの腹腔内注射により毎日処置した。塩水処置ラッ
ト5匹、化合物A処置ラット3匹、および化合物B処置ラット4匹を横切後2週間にて、
残りのマウスは4週間にて殺生した。
【0245】
視神経カウント:ラットをペントバルビタール深麻酔下で、失血によって殺生した。ラ
ットは、pH7.2の0.1Mリン酸緩衝液中の2%パラホルムアルデヒド/2%グルタ
ルアルデヒドを心臓を介して灌流させ、視神経の結合した眼を除去した。眼球の1.5m
m後ろにて実験(緑内障または横切)および対照眼から厚さ1mmの視神経断面を除去し
て、緩衝液中の2%オスミウムテトロキシド中で後固定した。これらをエポキシ樹脂中に
加工し、薄片に切り、トルイジンブルーで染色した。
【0246】
視神経断面の面積は、シンシスデジタルカメラとメタモフソフトウェアを用いた画像分
析システム(ペンシルバニア州、ウェストチェスターのユニバーサルイメージングコープ
)にて、10倍の倍率でその外縁を描くことにより測定した。3個の面積測定値を取り、
平均値を決定した。密度と繊維直径分布を測定するために、各神経の10個の異なる部分
から100倍の位相差対物レンズを用いて画像を取り込んだ。これらを編集して非神経物
体を除去し、各画像と神経について、髄鞘内部の各軸索のサイズ(その最小直径)および
軸索/平方mmの密度を計算した。平均密度に神経全体の面積を掛けて、各神経の繊維数
を得た。緑内障または横切神経内の全神経数を、各ラットの正常な他眼と比較して、損失
パーセント値を得た。10画像でカウントされた軸索の数は、正常ラット神経における8
0〜90,000軸索の約20%サンプルであった。軸索数を測定した人には、神経に対
して実施されたプロトコルが隠されていた。
【0247】
結果
実験緑内障:塩水で処置した対照ラットにおける平均繊維パーセント差は、その緑内障
眼では、正常眼と比較して著しく低く、平均繊維損失は、8週追跡グループでは14.4
4±5.75%(n=11ラット;表V)で、12週追跡グループでは8.15±7.8
4%(n=12ラット;表VI)であった。
【0248】
逆に、8週または12週NAALADase阻害剤処置ラットのどちらでも、著しい繊
維損失はなかった。各NAALADase阻害剤処置グループにおける平均繊維損失パー
セントは、塩水処置対照グループの損失よりも統計的に低かった(8週にて、化合物Aで
はp=0.05、化合物Bではp=0.02)。
【表5】

【表6】

【0249】
IOP積分差の相違は有意でない(p>0.05)。損傷後8週における薬剤処置ラッ
トと塩水処置対照ラットとのパーセント差の相違は有意である(p=0.05およびp
=0.02**
視神経横切:実験横切データは、横切2週後にNAALADase阻害剤によって処置
したラットにおける最終RGC死の遅延または救出を示唆している。各ラットの横切目と
正常眼との繊維の絶対数またはパーセント差のどちらかによって判定すると、横切2週後
には、どちらの薬剤処置グループも、塩水処置対照グループよりも多くの残存RGC軸索
を持っていた(表VII)。化合物Aと化合物Bによって処置したラットは、塩水処置ラ
ットのそれぞれ3倍、2倍の残存軸索を有していた。どの薬理学的処置にもかかわらず、
すべてまたはほぼすべてのRGCが横切後、最初の2ヶ月以内に死ぬ。それゆえ、横切後
4週までに、すべてのグループにおいて80%を超えるRGC軸索が消失した(表VII
I)。横切4週には、薬剤処置ラットと塩水処置ラットとの間に、著しい差はなかった。
【表7】

【表8】

【0250】
実施例15
ハンチントン病の遺伝子導入マウスモデルにおけるNAALADase阻害剤の神経保
護効果
行動試験(ロータロッド)
N171−82Q系統の遺伝子導入HDマウスと非遺伝子導入同腹子を、10週齢から
NAALADase阻害剤化合物B(30mg/kg)またはビヒクルで処置した。マウ
スを回転ロッド(「ロータロッド」)上に置いた。マウスがロータロッドから落下した時
間の長さを、運動協調性の基準として記録した。図33は、化合物Bで処置した遺伝子導
入HDマウスが、ビヒクルで処置した同様の遺伝子導入マウスよりも長くロータロッドに
とどまったことを示している。化合物Bによる処置は、正常な非HDマウスのロータロッ
ドの成績には効果を持たなかった。
【0251】
マウスが走行した総距離も、歩行運動全体の基準として記録した。図34は、ビヒクル
処置HDマウスが最低平均歩行運動スコアを示したのに対して、NAALADase阻害
剤による処置は歩行運動全体に対して明らかな効果を持たなかったことを示している。
【0252】
生存
遺伝子導入HDマウス(N171−82Q)の生存に対する化合物Bとビヒクルの効果
を評価した。マウス13匹(オス6匹とメス7匹)を化合物B処置グループに割り当て、
マウス14匹(オス6匹とメス8匹)をビヒクル処置グループに割り当てた。処置はマウ
スが死ぬまで続けた。
【0253】
図35は、処置グループごとの時間に対する生存分布を示す。中央生存時間は化合物B
処置グループでは184日、ビヒクル処置グループでは158.5日であった。化合物B
処置グループはビヒクル処置グループよりも長い中央生存時間を持つが、差は統計的に優
位でない(p値=0.07)。
【0254】
図36および37は、処置グループおよび性別ごとの時間に対する生存分布を示す。性
別に固有の結果を解析すると、化合物Bで処置したメスマウスは、ビヒクル処置メスマウ
スと比較して、著しく長い生存期間を有していた(p値=0.03)。ビヒクル処置グル
ープ内では、オスはメスよりも良好な生存時間を有していたが、この傾向は化合物B処置
グループでは観察されなかった。データは、性別が時間に対する生存分布に影響しうるこ
とを示唆している。
【0255】
実施例16
ある患者が、上述の疾患、障害、または症状のいずれかを含む、NAALADaseレ
ベルが変化する任意の疾患、障害、または症状に罹患している。患者は次に、有効量の本
発明の化合物を投与される。そのような処置後に、患者は疾患、障害または症状による著
しい損傷を被らず、それによるさらなる損傷から保護され、それから回復することが予想
される。
【0256】
上で示したすべての出版物、特許および特許出願は、本明細書で全体が述べられている
かのように、参照して本明細書に組み込まれる。
【0257】
本発明は上述のように説明され、当業者には、それが本発明の精神および範囲から逸脱
することなく多くの方法で変更できることが明らかになるであろう。そのような変形は、
以下の請求項の範囲内に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia:
【化1】

(式中:
1、R2、R3、およびR4は独立して水素またはC1−C3アルキルであり;
1、A2、A3、およびA4は独立して水素、C1−C9アルキル、C2−C9アルケニル、C2−C9アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、ハロ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオシアノ、イソチオシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C1−C9アルキルスルホニル、C1−C9アルコキシ、C2−C9アルケノキシ、フェノキシまたはベンジルオキシであり、
ここで、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置換であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換される)
の化合物または医薬的に許容される同等物。
【請求項2】
1、R2、R3、R4、A2、A3、およびA4は水素であり;および
1は水素、−(CH2n−W、または−Y−(CH2n−Wであり、
ここで:nは0〜3であり;YはO、S、またはNRであり、ここでRは水素またはC1−C4アルキルであり;およびWはC1−C6アルキルまたはフェニルであり、ここでWは非置換であるか、あるいはC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、カルボキシ、またはハロによって置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物がエナンチオマーまたはエナンチオマーリッチな混合物の一部である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1が−(CH2n−W、または−Y−(CH2n−Wであり
nが1または2であり、および
YがOである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
NAALADase酵素活性を阻害し、グルタメート異常を治療し、ニューロン活性を生じさせ、前立腺疾患を治療し、癌を治療し、血管形成を阻害し、またはTGF−β活性を生じさせるための医薬組成物であって、そのような阻害、治療または効果を必要とする哺乳動物に投与するための、請求項1の化合物の有効量を含む医薬組成物。
【請求項6】
強迫性障害、脳卒中、脱髄疾患、統合失調症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、不安、不安障害、記憶機能障害および緑内障からなる群より選択されるグルタメート異常を治療するための医薬組成物である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
損傷ニューロンの刺激、ニューロン再生の促進、ニューロン変性の防止および神経系障害の治療からなる群より選択されるニューロン活性を生じさせるための医薬組成物である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ニューロン活性が神経系障害の治療であり、該神経系障害が疼痛、糖尿病性神経障害、身体的傷害または疾患状態によって引き起こされる末梢神経障害、外傷性脳損傷、脊髄に対する物理的損傷、脳損傷に関連する脳卒中、脱髄疾患または神経変性に関連する神経系障害である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
該医薬組成物が癌を治療するためのものである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項10】
該医薬組成物が血管形成を阻害するためのものである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項11】
神経変性障害、細胞外マトリックス形成障害、細胞増殖関連疾患、感染症、免疫関連疾患、上皮組織瘢痕化、膠原血管疾患、線維増殖性障害、結合組織障害、炎症、炎症性疾患、呼吸窮迫症候群、不妊および糖尿病からなる群より選択されるTGF−β異常を治療するための医薬組成物である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項12】
NAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検出する方法であって:
(i)体組織または体液のサンプルを請求項1に記載の化合物であって、該サンプル中の任意のNAALADaseに結合する化合物と接触させることと;および
(ii)該サンプルに結合する任意のNAALADaseの量であって、疾患、障害、または症状の診断用であるNAALADaseの量を測定することと;
を含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物を含むNAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検出するための試薬であって:
(i)請求項1に記載の化合物を造影剤によって標識し;
(ii)動物または哺乳動物に標識化合物の有効量を投与し;
(iii)該標識化合物を局在化させて、該動物または哺乳動物に存在するNAALADaseに結合させ;および
(iv)該標識化合物に結合したNAALADaseの量であって、疾患、障害、または症状の診断用であるNAALADaseの量を測定するための;
前記試薬。
【請求項14】
NAALADaseレベルが変化する疾患、障害、または症状を検出するための診断キットであって、マーカーで標識した請求項1に記載の化合物を含む診断キット。
【請求項15】
(i)請求項1に記載の化合物の有効量と;および
(ii)医薬的に許容される担体と;
を含む医薬組成物。
【請求項16】
式Ib:
【化2】

(式中、A1、A2、A3、およびA4は独立して水素、C1−C9アルキル、C2−C9アルケニル、C2−C9アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、ハロ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ニトロ、アミノ、シアノ、イソシアノ、チオシアノ、イソチオシアノ、ホルムアミド、チオホルムアミド、スルホ、スルフィノ、C1−C9アルキルスルホニル、C1−C9アルコキシ、C2−C9アルケノキシ、フェノキシまたはベンジルオキシであり、
ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルコキシ、アルケノキシ、フェノキシ、およびベンジルオキシは独立して非置換であるか、1またはそれ以上の置換基によって置換され、
ここでA1がクロロ、フルオロ、アミノ、またはチオメチルである場合、A2、A3、およびA4はすべてが水素でなくてもよく、
およびここでA1、A2、A3、およびA4の少なくとも1が水素でない)
の化合物または医薬的に許容される同等物。
【請求項17】
2、A3、およびA4は水素であり;
1は−(CH2n−Arまたは−Y−(CH2n−Arであり、ここでnは0〜3であり、YはO、SまたはNRであり、ここでRは水素またはC1−C4アルキルであり、そしてArは、非置換であるか、C1−C4アルキル、カルボキシ、またはハロによって置換されたフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
化合物がエナンチオマーまたはエナンチオマーリッチな混合物の一部である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
NAALADase酵素活性を阻害し、グルタメート異常を治療し、ニューロン活性を生じさせ、前立腺疾患を治療し、癌を治療し、血管形成を阻害し、またはTGF−β活性を生じさせるための医薬組成物であって、そのような阻害、治療または効果を必要とする哺乳動物に投与するための、請求項16の化合物の有効量を含む医薬組成物。
【請求項20】
強迫性障害、脳卒中、脱髄疾患、統合失調症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、不安、不安障害、記憶機能障害および緑内障からなる群より選択されるグルタメート異常を治療するための医薬組成物である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
損傷ニューロンの刺激、ニューロン再生の促進、ニューロン変性の防止および神経系障害の治療からなる群より選択されるニューロン活性を生じさせるための医薬組成物である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ニューロン活性が神経系障害の治療であり、該神経系障害が疼痛、糖尿病性神経障害、身体的傷害または疾患状態によって引き起こされる末梢神経障害、外傷性脳損傷、脊髄に対する物理的損傷、脳損傷に関連する脳卒中、脱髄疾患または神経変性に関連する神経系障害である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
該医薬組成物が癌を治療するためのものである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
該医薬組成物が血管形成を阻害するためのものである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
神経変性障害、細胞外マトリックス形成障害、細胞増殖関連疾患、感染症、免疫関連疾患、上皮組織瘢痕化、膠原血管疾患、線維増殖性障害、結合組織障害、炎症、炎症性疾患、呼吸窮迫症候群、不妊および糖尿病からなる群より選択されるTGF−β異常を治療するための医薬組成物である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項26】
NAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検出する方法であって:
(i)体組織または体液のサンプルを請求項16に記載の化合物であって、該サンプル中の任意のNAALADaseに結合する化合物と接触させることと;および
(ii)該サンプルに結合する任意のNAALADaseの量であって、疾患、障害、または症状の診断用であるNAALADaseの量を測定することと;
を含む方法。
【請求項27】
請求項16に記載の化合物を含むNAALADaseレベルが変化する疾患、障害または症状を検出するための試薬であって:
(i)請求項16に記載の化合物を造影剤によって標識し;
(ii)動物または哺乳動物に標識化合物の有効量を投与し;
(iii)該標識化合物を局在化させて、該動物または哺乳動物に存在するNAALADaseに結合させ;および
(iv)該標識化合物に結合したNAALADaseの量であって、疾患、障害、または症状の診断用であるNAALADaseの量を測定するための;
前記試薬。
【請求項28】
NAALADaseレベルが変化する疾患、障害、または症状を検出するための診断キットであって、マーカーで標識した請求項16に記載の化合物を含む診断キット。
【請求項29】
(i)請求項16に記載の化合物の有効量と;および
(ii)医薬的に許容される担体と;
を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−149657(P2009−149657A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11782(P2009−11782)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2003−500046(P2003−500046)の分割
【原出願日】平成14年5月30日(2002.5.30)
【出願人】(509054360)エーザイ コーポレーション オブ ノース アメリカ (5)
【Fターム(参考)】