説明

チタン製熱交換器の腐食防止方法

【課題】エチルベンゼンハイドロパーオキサイドの濃縮工程においてコンデンサーとして使用されるチタン製熱交換器の長期間運転を可能とする該熱交換器の腐食を防止する方法を提供する。
【解決手段】エチルベンゼンの自動酸化により得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイドとエチルベンゼンと過酸化水素を含む混合液体を、チタン製熱交換器からなるコンデンサーが接続された蒸留塔で蒸留処理し、塔頂部よりエチルベンゼンを主体とする低沸点留分を留出させるに際し、前記熱交換器のチタン材に接触する低沸点留分における水中の過酸化水素濃度が3質量%以下となるように、前記塔頂部に水を供給することを特徴とするチタン製熱交換器の腐食防止方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチタン製熱交換器の腐食を防止する方法に関する。さらに詳しくは、エチルベンゼンの自動酸化により得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイドの濃縮工程において、コンデンサーとして使用されるチタン製熱交換器の長期間運転を可能とする該熱交換器の腐食を防止する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、多量のプロセス流体を熱交換処理する場合は冷媒として海水が使用される。チタン材は海水が多量の塩素イオンを含み、かつ導電性流体である環境に対して高級ステンレス鋼材よりも遥かに優れた耐孔食、耐隙間間腐食性を有していること、かつチタン材は鉄に対して軽く、自重に対する強度比は2倍であることから高信頼性材料として海水環境でコンデンサーとして使用される熱交換器のチューブ等に多く使用されている。しかしながら、チタン材は過酸化水素と反応し腐食されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、プロピレンオキサイド/スチレンモノマーを併産する方法はハルコン法プロセスとして知られている。具体的には本プロセスにおいて、(1)エチルベンゼンを高温で分子状酸素と反応させて、自動酸化しエチルベンゼンハイドロパーオキサイドを生成する。この時のエチルベンゼンハイドロパーオキサイドの濃度は5〜15質量%程度で、さらに(2)エチルベンゼンハイドロパーオキサイドを濃縮し30〜40質量%程度の濃度にしたのち、(3)プロピレンと反応してプロピレンオキサイド及びα−フェニルエチルアルコールを生成する。
(4)α−フェニルエチルアルコールは、脱水されてスチレンモノマーを生成する。
【0003】
上記プロセスにおける、(1)エチルベンゼンハイドロパーオキサイドを生成した溶液の中にはエチルベンゼンハイドロパーオキサイド、原料のエチルベンゼン、不純物として約1質量%以下のアセトフェノン、α−フェニルエチルアルコール、僅かではあるが、原料のエチルベンゼンおよび大気中からの水分および酸化反応で必然的にできる微量の過酸化水素が含まれる。
次の(2)エチルベンゼンハイドロパーオキサイドの濃縮工程で、エチルベンゼンを主体とし、過酸化水素を含む低沸点留分として含んだ液を蒸留塔で分離する場合には、塔頂部からの蒸気はコンデンサーで凝縮され、過酸化水素が僅かな水分中に選択的に溶解し濃縮され水中の過酸化水素濃度が高くなり、その結果としてチタン材が腐食し、チタン製の熱交換器をコンデンサーとして使用しにくいという問題があった。
【0004】
【非特許文献1】「日本材料学会腐食防食部門委員会資料 No.161、Vol.30、Part2」1991年発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エチルベンゼンの自動酸化により得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイドの濃縮工程において、コンデンサーとして使用されるチタン製熱交換器の長期間運転を可能とする該熱交換器の腐食を防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記問題点を解決するために鋭意研究した結果、エチルベンゼンハイドロパーオキサイドの濃縮工程において、熱交換器のチタン材と接触する低沸点留分における水中の過酸化水素濃度によって腐食速度が大幅に異なり、水中の過酸化水素濃度を特定の値以下にすることによってチタン材の耐腐食性が大幅に改善されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
1.エチルベンゼンの自動酸化により得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイドとエチルベンゼンと過酸化水素を含む混合液体を、チタン製熱交換器からなるコンデンサーが接続された蒸留塔で蒸留処理し、塔頂部よりエチルベンゼンを主体とする低沸点留分を留出させるに際し、前記熱交換器のチタン材に接触する低沸点留分における水中の過酸化水素濃度が3質量%以下となるように、前記塔頂部に水を供給することを特徴とするチタン製熱交換器の腐食防止方法。
2.蒸留塔の還流配管(リフラックスライン)より水を注入することにより該蒸留塔の塔頂部に水を供給する上記1記載のチタン製熱交換器の腐食防止方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チタン材と接触する低沸点留分における水中の過酸化水素濃度を、3質量%以下にすることによって、チタン材の耐腐食性能を大幅に改善することができ、チタン製熱交換器の長期間連続運転が可能になった。
また、本発明によれば、蒸留塔の塔頂部に水を供給する手段として、水を該蒸留塔の還流配管(リフラックスライン)を用いてエチルベンゼンとの液液混合物として蒸留塔の中に注入し、蒸発凝縮の分離を繰り返すことによって、スプレーなどの特殊なミキシング装置を使用すること無しに、単に水を塔頂部に入れるだけで分子レベルで混合でき、水中の過酸化水素濃度を容易に均一に希釈することができる。
還流ラインは、アクセスしやすい場所にあり、配管にはノズル等が付設されていることもあって水を注入する配管の取り付けが容易であり改造費用を大幅に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のチタン製熱交換器の腐食防止方法は、エチルベンゼン(以下EBということがある)の自動酸化により得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイド(以下EBHPということがある)とEBと過酸化水素を含む混合液体を、チタン製熱交換器からなるコンデンサーが接続された蒸留塔で蒸留処理し、塔頂部よりEBを主体とする低沸点留分を留出させるに際し、前記熱交換器のチタン材に接触する低沸点留分における水中の過酸化水素濃度が3%以下となるように、前記塔頂部に水を供給することを特徴とする。
【0009】
本発明において、熱交換器のチタン材と接触するEBを主体とする低沸留分における水中の過酸化水素濃度は3質量%以下であることが必要である。好ましくは2質量%、より好ましくは1質量%以下である。過酸化水素濃度を3質量%以下にすることによってチタン材の腐食を大幅に改良し、チタン製熱交換器の長期間運転を可能にすることができる。
尚、チタン材は主に熱交換器のチューブとして使用される。
【0010】
以下に、本発明について図面を参照にしながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施態様を含むEBHPを濃縮するための概略工程図である。1は蒸留塔(濃縮塔)、2はスチームリボイラー、3はチタン製熱交換器、4は凝縮液貯槽(1)、5は水貯留部、6は熱交換器、7は凝縮液貯槽(2)、8はポンプ(1)、9はポンプ(2)、10はポンプ(3)、11はスチームエジェクターを示す。
また、AはEB、EBHP混合液注入口、BはEB、水の塔頂注入口、CはEB取り出し口、DはEBHP取り出し口、Eは過酸化水素を含む水の取り出し口、Fは水の注入口を示す。また、aは還流配管(リフラックスライン)を示す。
【0011】
まず、EBを自動酸化して得られたEBHPを含むEBを主成分とする混合液を注入口Aより蒸留塔1に注入する。この混合液の中には、不純物として1質量%程度のアセトフェノン、α−フェニルエチルアルコールが含まれる。さらに僅かではあるが、原料のEBおよび大気中からの水分および酸化反応で必然的にできる微量の過酸化水素が含まれる。
スチームリボイラー2による加熱によって、EB、EBHP混合液注入口Aから蒸留塔1に注入されたEB、微量の水、過酸化水素及び還流配管aより塔頂部に注入されるEB、過酸化水素濃度を希釈するための水等の低沸点留分は、塔頂部より留出し、チタン製熱交換器3によって冷却され、その凝縮液を凝縮液貯槽(1)4に溜め、それをポンプ(2)9で一部をリフラックスとして還流配管aを介して蒸留塔1に帰し、一部をEB原料としてエチルベンゼン取り出し口Cより採集する。
EBは非常に疎水性が高く、過酸化水素を含んだ水とは分離され、過酸化水素を含んだ水は水貯留部5に蓄えられる。
【0012】
前述の工程の中で、還流配管aより蒸留塔1に注入されたEBと液液混合された水は、蒸留塔1の中に入ることによって、蒸発凝縮の分離を繰り返しスプレー等のミキシング装置を使用することなしで分子レベルで混合することができる。その結果として同じ低沸点留分である過酸化水素は、均一に分散された水に選択的に溶解され水中の過酸化水素濃度が低下する。
過酸化水素濃度を希釈するための水の注入方法としては、チタン製熱交換器の入り口付近から注入する方法が理想的ではあるが、蒸留塔、特に負圧系のオーバーヘッド配管は、太く、蒸留塔の上部からでており、人がアクセスしにくい空中を通っており、配管中は低沸点留分の蒸気が通りそこに水を均一に混合するためには、水をスプレー装置等で噴霧するなど操作が必要であり、そのような改造が非常に困難であるのと、改造には多くのコストがかかる。
【0013】
続いて、過酸化水素水を含む水は、凝縮液貯槽(1)4の下部に設けられた水貯留部5に蓄えられポンプ(3)10で別工程に送られ排水処理が行なわれる。
また、EBHP蒸留濃縮工程全体は真空系であり、スチームエジェクター11で系内を真空にしている。
さらに、別の熱交換器6を設け、過冷却をして有効成分を凝縮液貯槽(2)7に回収する。ここでも若干過酸化水素が含まれた水が回収され、これも合わせてポンプ(3)10で排水処理装置へ送られる。
尚、チタン製熱交換器3の入り口の水中の過酸化水素濃度として、上記ポンプ(3)10から抜き取られた水中の過酸化水素濃度を測定する。前述のように蒸留濃縮工程全体は真空系であり、系外から進入する物、及び系外に飛散、流出する物はなく、チタン製熱交換器3の入り口の水中の過酸化水素濃度とポンプ(3)10から抜き取られた水中の過酸化水素濃度と等価であると考えてよい。
尚、過酸化水素濃度はヨウ化ナトリウム法によって測定される。
蒸留塔1の塔底からは、濃縮されたEBHP溶液が取り出されポンプ(1)8で下流のエポキシ反応工程に送られる。
本発明において,EBHPの濃縮に用いられる蒸留塔については特に制限はなく、充填塔、棚段塔いずれも今回の目的を達成することができる。
【0014】
また、本発明が適用されるチタン製熱交換器が、海水を冷媒体とする場合について、添付図面に従って説明する。図2は、海水を冷媒体とする熱交換器の一例の模式図である。熱交換器は、チタン製のチューブ12内に海水流体を通す方式のものであり、フランジ13と15の間にシール材14が装着されている。16はチャンネルカバーである。Gは導入プロセス流体(EB、水、過酸化水素を含む低沸点留分)、G’は排出プロセス流体、Hは導入海水流体、H’は排出海水流体である。
【実施例】
【0015】
つぎに実施例、比較例により、本発明を具体的に説明する。
〈過酸化水素濃度の測定〉
過酸化物濃度の測定は、「官能基別有機化合物定量方法の実際」廣川書店発行237〜238頁記載のヨウ化ナトリウム法に準拠し、以下に示す手順で行なった。
(1)試薬
氷酢酸、ヨウ化ナトリウム飽和水溶液(水100ml当り約200g)、及び0.1Nチオ硫酸ナトリウム標準液
(2)定量操作法
20ミリ当量以下の過酸化水素を含む試料を秤りとり100mlのメスフラスコにいれる。これをイソプロピルアルコールで標線まで希釈しよく混ぜる。その10mlを用いる。
250mlのメスフラスコに1/2インチの直径のドライアイスのかけらをいれ、50mlのイソプロピルアルコールと2mlの氷酢酸を加える。
二酸化炭素が完全に昇華した後にピペットで10mlの試料液を加える。試料はフラスコの口やジョイントに付かないように加える。ヨウ化ナトリウム飽和溶液2mlを加え、フラスコに栓をして振り混ぜる。フラスコを40±1℃の水浴中に1時間放置する。
フラスコを水浴から出しメスシリンダーから75mlの蒸留水をくわえる。0.1Nのチオ硫酸ナトリウム標準液で色が消えるまで滴定する。滴定の前に終点がわからなくなるほど反応液が着色していれば、2〜3mlのクロロホルムを加えクロロホルムの層の紫色が消えるまで一滴加えるたびに良く振りながらチオ硫酸ナトリウム標準液出て規定する。
ブランクは試料を入れずに同様な操作を行なった後、計算によって水中の過酸化水素濃度を得る。
(3)計算
過酸化水素、質量%=(A−B)(N)(M)/20W
A=試料の滴定に用いたチオ硫酸ナトリウムの標準液の量(ml)
B=ブランクの滴定に用いたチオ硫酸ナトリウムの標準液の量(ml)
N=チオ硫酸ナトリウム標準液の規定度
W=分析に用いた液中の試料量(g)
M=過酸化水素の分子量
〈参考実験〉:浸漬試験による過酸化水素濃度とチタン材の腐食速度
チタン製の試験片(25mm×20mm×2mm)を常圧、60℃の条件下で過酸化水素水溶液(約200ml)に浸漬し、一定時間経過後の重量、寸法を計測し、減肉量を計算によって求めた。
尚、試験液の過酸化水素水溶液については、過酸化水素濃度1質量%、5質量%、10質量%及び30質量%の試薬を用いてチタン材の腐食速度を測定した。結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
第1表に示すように、過酸化水素濃度の違いによってチタン材の腐食速度が大きく違い、過酸化水素濃度を小さくすることでチタン材の腐食速度が遅くなることがわかる。
尚、表1に示す「腐食速度g/m2hr」(以下aということがある)は浸漬試験での試験片の重量変化、試験時間、試験片の表面積から直接算出される。
一方、「腐食速度mm/yr」(以下bということがある)はb=a×8.76/d(密度)で算出した値である。
【0018】
実施例1
図1に示すEBHPを濃縮するための概略工程図に従って実施例を説明する。
EBを自動酸化して得られたEBHP10質量%を含むEBを主成分とする混合溶液(152℃)を108トン/hrで注入口Aより蒸留塔1に注入する。この溶液中には僅かではあるが、原料EB及び大気中からの水分及び前工程の酸化反応で必然的にできる微量の過酸化水素が含まれる。
注入口Aより注入されたEB、微量の水、過酸化水素と、一方、還流配管aを介して塔頂部注入口Bから塔頂部に注入される4.7トン/hrのEB、水注入口Fから還流配管aに注入され同様に還流配管aを介して塔頂部注入口Bから塔頂部に500kg/hrで注入される過酸化水素を希釈するための水などの低沸点留分等は、リボイラー2による加熱によって塔頂部より留出する。
このときの蒸留塔の塔頂温度は72℃、塔底温度は86℃、塔頂圧力は14.8kPaである。
塔頂部より留出した前記低沸点留分は、チタン製熱交換器3によって冷却される。このときのチタン製熱交換器3の入り口の水中の過酸化水素濃度は還流配管aより注入された水により希釈される。(但し、後述するように、チタン製熱交換器3の入り口からの過酸化水素を含む水のサンプリングは困難なため、ポンプ(3)10から抜き取られた水中の過酸化水素濃度を適用した。)
チタン製熱交換器3による凝縮液を、その貯槽(1)4に溜め、それをポンプ(2)9で一部を前述のようにリフラックスとして還流配管aを介して4.7トン/hrの流量で蒸留塔1に帰し、一部51トン/hrの流量でEB原料としてエチルベンゼン取り出し口Cより採集する。このときの貯槽(1)4の温度は18℃である。
EBは疎水性が高く、過酸化水素を含んだ水とは分離され、水貯留部5に蓄えられる。蓄えられた過酸化水素を含む水はポンプ(3)10で別工程に2トン/hrの流量で送られ排水処理される。
尚、本発明における蒸留濃縮工程は真空系であり、スチームエジェクター11で系内を真空にしている。
また、もう一基熱交換器6を設け、過冷却をして有効成分を凝縮液貯槽(2)7に回収する。ここでも若干過酸化水素が含まれたものが回収され、これも合わせてポンプ(3)10で排水処理装置へ送られる。
ポンプ(3)10から抜き取られた水中の過酸化水素濃度は、ヨウ化ナトリウム法によって測定され定常状態で1.0質量%であった。
これによるチタンの腐食速度は0.2mm/年であった。
蒸留塔1の塔底からは、濃縮されたEBHP溶液(35質量%)が取り出され、ポンプ(1)8で、29トン/hrの流量で次工程のエポキシ反応工程に送られる。
【0019】
比較例1
還流配管を介して水を注入しなかった以外は、実施例1と同様の操作でEBHPの濃縮を行なった。ポンプ(3)10から抜き取られた水中の過酸化水素濃度は、定常状態で12質量%であった。これによるチタンの腐食速度は1.0mm/年であった。
以上のように、例えば還流配管を介して500kg/hrで水を蒸留塔の塔頂に注入することによって、チタン製熱交換器入り口の水中の過酸化水素濃度は、水を注入しなかった場合の1/10程度に希釈できる。その結果チタンの腐食濃度を1.0mm/年から0.2mm/年までに大幅に低減することができチタン製熱交換器の長期間連続運転を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施態様を含むEBHPの濃縮工程を示す概略工程図である。
【図2】本発明が適用される海水を冷媒体とするチタン製熱交換器の一例の模式図である。
【符号の説明】
【0021】
A:EB、EBHPの混合液注入口
B:EB、水の混合液注入口
C:EB取り出し口
D:EBHP取り出し口
E:過酸化水素を含む水の取り出し口
F:水の注入口
a:還流配管(リフラックスライン)
1:蒸留塔(濃縮塔)
2:スチームリボイラー
3:チタン製熱交換器
4:凝縮液貯槽(1)
5:水貯留部
6:熱交換器
7:凝縮液貯槽(2)
8:ポンプ(1)
9:ポンプ(2)
10:ポンプ(3)
11:スチームエジェクター
G:導入プロセス流体(EB、水、過酸化水素を含む低沸点留分)
G’:排出プロセス流体
H:導入海水流体
H’:排出海水流体
12:チタン製チューブ
13、15:フランジ
14:シール材
16:チャンネルカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチルベンゼンの自動酸化により得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイドとエチルベンゼンと微量の過酸化水素及び水とを含む混合液体を、チタン製熱交換器からなるコンデンサーが接続された蒸留塔で蒸留処理し、塔頂部よりエチルベンゼンを主体とする低沸点留分を留出させるに際し、前記熱交換器のチタン材に接触する低沸点留分における水中の過酸化水素濃度が3質量%以下となるように、前記塔頂部に水を供給することを特徴とするチタン製熱交換器の腐食防止方法。
【請求項2】
蒸留塔の還流配管(リフラックスライン)より水を注入することにより該蒸留塔の塔頂部に水を供給する請求項1記載のチタン製熱交換器の腐食防止方法。



【図1】
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【図2】
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