説明

チタン酸リチウム粒子粉末、非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末並びに非水電解質二次電池

【課題】 本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質として、優れた出力特性を有するチタン酸リチウム粒子粉末、該チタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質として使用した非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】 スピネル構造を有するチタン酸リチウム粒子粉末において、該チタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンのリートベルト解析による結晶歪みが0.0015以下であり、且つ結晶子サイズが80〜300nmであるチタン酸リチウム粒子粉末である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質として、優れた出力特性を有するチタン酸リチウム粒子粉末、該チタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質として使用した非水電解質二次電池を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、充放電電圧が高く、充放電容量も大きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池において、近年、負極活物質にチタン酸リチウムを使用することが知られている。
【0004】
チタン酸リチウム:LiTi12は、充放電によるリチウムイオン挿入・脱離反応における結晶構造変化が非常に小さいため、構造安定性が高く、信頼性の高い負極活物質として知られている。
【0005】
従来から、チタン酸リチウム(LiTi12)を得るための製造法としては、リチウム塩とチタン酸化物をLi/Ti比がほぼ0.80となるように乾式または湿式混合した混合粉末(これらは、単なるリチウム塩とチタン酸化物の混合物である)を加熱焼成してLiTi12を得る、いわゆる固相反応法(乾式法)が知られている(特許文献1、2)。
【0006】
この特許文献2では、粒子粉末を粉砕することで充填性を向上させ、電池特性を改善させることが開示されている。
【0007】
一方、チタンとリチウムの混合物を水熱処理して、その後加熱焼成してLiTi12を得る、液相反応+固相反応法(湿式法)が知られている(特許文献3、4)。
【0008】
また、特許文献5では、結晶子径を小さくするほど、また、不純物相が少ないほどリチウムイオンの拡散速度が向上し、イオン伝導性および大電流特性(高率放電容量維持率)が向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−192208号公報
【特許文献2】特開2003−137547号公報
【特許文献3】特開平9−309727号公報
【特許文献4】特開2010−228980号公報
【特許文献5】特開2006−318797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これまで、電池特性、特に、出力特性を向上させるためには、一次粒子や二次粒子の微細化が有効であることが報告されており、粒径や比表面積(BET法)を制御することが行われている。
近年、高い初期容量で且つ、従来よりも更に出力特性を向上させることのできるチタン酸リチウムは、最も要求されるところであり、より微細化が志向されている。
【0011】
しかしながら、高い出力特性を目標にすると、粒子を微細化しても出力特性が向上するどころか、逆に悪化し、その要因が粒径や比表面積に依存しないケースが多々あった。
【0012】
そこで、高い初期容量であって、しかも、従来よりも更に出力特性を向上させることのできるチタン酸リチウム粒子粉末が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、チタン酸リチウム粒子粉末のXRD測定を行い、リートベルト法により求められる結晶歪みと結晶子サイズとを制御することによって、出力特性(高率放電容量維持率)に優れた電池特性が得られることを見出して本発明をなすに至った。
【0014】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0015】
即ち、本発明は、スピネル構造を有するチタン酸リチウム粒子粉末において、該チタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンのリートベルト解析による結晶歪みが0.0015以下であり、且つ結晶子サイズが80〜300nmであることを特徴とするチタン酸リチウム粒子粉末である(本発明1)。
【0016】
また、本発明は、前記チタン酸リチウム粒子粉末からなる非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末である(本発明2)。
【0017】
また、本発明は、本発明2記載の負極活物質粒子粉末を90重量部、導電助剤を5重量部、結合剤を5重量部の組成比で使用し、対極をリチウム金属としたセルにおいて、リチウムが放出される方向を充電としたときに、初期放電容量が165mAh/g以上であり、且つ、初期放電容量測定におけるC−レートを0.1Cとし、10Cと0.1Cの割合にあたる出力特性が85%以上である非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末である(本発明3)。
【0018】
また、本発明は、本発明2又は3に記載の負極活物質粒子粉末を使用した非水電解質二次電池である(本発明4)。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、適切な結晶歪み及び結晶子サイズを有する化合物であり、非水電解質二次電池に用いた場合に、優れた初期放電容量及び高出力特性を得られるので、非水電解質二次電池用の活物質粒子粉末として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次のとおりである。
【0021】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、少なくともスピネル構造であり、一般化学式でLiTi12と記載できる化合物である。なお、本発明においては、後述する結晶歪み、結晶子サイズを有する範囲において、他の不純物相を含有してもよい。不純物相の総量は6%以下が好ましい。
【0022】
本発明ではチタン酸リチウム粒子粉末をXRD測定し、リートベルト解析によりチタン酸リチウム粒子粉末の結晶歪みと結晶子サイズを求めることができる。測定の条件は2θ/θで10〜90度を0.02度ステップスキャンとした。
【0023】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、XRDパターンからリートベルト解析を行うことで結晶歪みと結晶子サイズを算出することができる。結晶歪みが0.0015を超えると、出力特性が悪くなる。結晶歪みの好ましい範囲は0.0014以下であり、更に好ましい範囲は0.0001〜0.0013である。
また、結晶子サイズが80〜300nmの範囲外である場合、出力特性が悪化する。結晶子サイズの好ましい範囲は90〜290nmであり、更に好ましい範囲は100〜280nmである。
【0024】
本発明では、チタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンのリートベルト解析により、結晶歪みが0.0015以下であり、且つ、結晶子サイズが80〜300nmの範囲にあることが重要であり、主に2つの理由が挙げられる。
【0025】
1点目は、BET比表面積の大小に関わらず結晶歪みが本発明の範囲にあると出力特性が大きくなることを見出した。一般的には出力特性を大きくする手法としてBET比表面積が大きくなるような処方(例えば、粉砕度合いを上げて微粒子化する)が行われるが、粒子にダメージ(応力の残留や化学組成の変化)が発生するために粒子に歪みが残ってしまう。この歪みが本発明の範囲より大きいと急激に出力特性が悪化してしまうことが分かった。
【0026】
2点目は、結晶歪みが本発明の範囲にあったとしても、結晶子サイズが80〜300nmの範囲外である場合には出力特性が悪化してしまう。即ち、結晶歪みが80nm未満では電極塗料の分散性が悪化し、結晶歪みが300nmを超えるとLiのイオン拡散が悪化してしまい、結果的に出力特性が悪化してしまう。
【0027】
上記2点を満たす本発明のチタン酸リチウム粒子粉末であれば、出力特性(高率放電容量維持率)に優れるので、長期安定性に優れる結果になると考えられる。
【0028】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末のBET法による比表面積は6〜30m/gの範囲が好ましい。比表面積がこの範囲より小さいと、出力特性が悪化してしまう。またこの範囲より大きいと二次電池用活物質としての性能が低下する場合がある。より好ましい比表面積は7〜20m/gである。
【0029】
次に、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造方法について述べる。
【0030】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造方法については特別限定されるものではないが、乾式法では、高温焼成により、一次粒子が大きくなり、それを粉砕して微粒子化する場合に、歪みが生じやすく、本発明で規定する出力特性を得ることは困難である。従って、強力な粉砕を行う必要のない湿式法が望ましい。
【0031】
例えば、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、少なくともLiTiOとTiOとの混合物を用いて、650℃以上800℃未満で焼成することで得られる。
【0032】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造に用いるLiTiOは、JCPDSにおける指数付けでLiTiOの特定ができれば、その結晶構造に構造欠陥があったり、酸素欠損/酸素過剰があってもかまわない。
【0033】
本発明において用いることができるLi化合物は、特に限定されることなく各種のリチウム塩を用いることができるが、湿式法では、水酸化リチウムが好ましい。
【0034】
本発明において用いることができるTiOは、アナターゼ型とルチル型と、その混相があるが、アナターゼ型が好ましい。また、混合反応を行う場合は、反応性を向上させるために微粒子を用いると有利である。
【0035】
また、LiTiOとTiOとの状態は、均一に混ざり合っている状態であれば、乾式での混合であったり、湿式でコートされている状態であったり、混合相のような状態になっていてもよい。
【0036】
この混合物は、湿式法では、温度、時間を制御することで調製できる。また、予め、LiTiOを生成させて、TiOと混合することでも調製できるが、焼成温度を高くする必要があるため、Li/Ti比、BET比表面積の制御に配慮する必要がある。
【0037】
なお、LiTiOとTiOとの混合物は、その製造条件において特に制限されるものではなく、酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti比のモル比で1.0を超え1.5未満に調整した反応懸濁液を80℃以上100℃未満の温度範囲で加熱し、5時間以上15時間未満攪拌・熟成した後、反応懸濁液をろ過し乾燥することでも得ることができる。
【0038】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造に用いるLiTiOとTiOは、焼成後のLi/Ti比で0.805〜0.830となるように調整することが好ましい。前記範囲に調整するためには、LiTiOとTiOとの混合比を調整したり、リチウム化合物を追加したりすることによって行うことができる。Li/Tiを0.80より大きくする理由は、焼成後にLiTiOを残留させることにある。上記範囲より大きすぎると、初期放電容量が低下し、LiTiO残留物が更に多い場合には、得られたチタン酸リチウム粒子粉末の残留アルカリが多くなり、塗料のゲル化が起こる。
【0039】
調製したLiTiOとTiOとの混合物を650℃以上800℃未満で焼成する。焼成温度が650℃未満であるとTiOが多量に残留してしまう。焼成温度が高すぎると、粒成長のためBET比表面積が小さくなりすぎてしまい、結果として出力特性が損なわれてしまう。焼成温度は好ましくは680〜780℃である。
【0040】
焼成における雰囲気は、酸化性雰囲気であっても還元雰囲気であってもよいが、好ましくは酸化性雰囲気である。得られたチタン酸リチウム粒子粉末は、公知な技術の範囲において本発明において酸素欠損若しくは酸素過剰があってもよい。
【0041】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末として用いることができる。
【0042】
次に、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を含有する負極、並びに非水電解質二次電池について述べる。
【0043】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を含有する負極を製造する場合には、常法に従って、導電剤と結着剤とを添加混合する。導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が好ましく、結着剤としてはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が好ましい。
【0044】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を含有する負極を用いて製造される二次電池は、正極、負極及び電解質から構成される。
【0045】
正極活物質としては、一般的な非水二次電池用の正極材であるコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等を用いることができる。
【0046】
また、電解液の溶媒としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルの組み合わせ以外に、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等のカーボネート類や、ジメトキシエタン等のエーテル類の少なくとも1種類を含む有機溶媒を用いることができる。
【0047】
さらに、電解質としては、六フッ化リン酸リチウム以外に、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩の少なくとも1種類を上記溶媒に溶解して用いることができる。
【0048】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を含有する電極を用いて製造した非水電解質二次電池は、後述する評価法で1.0V以上の初期放電容量が165mAh/g以上であり、10C/0.1Cの比をとった出力特性は85%以上である。
【0049】
なお、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、正極活物質として用いることも可能である。
【0050】
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を正極活物質として用いる場合、非水電解質二次電池は、前記の電極、対極および電解質からなり、対極(負極)には金属リチウム、リチウム合金等、あるいはグラファイト、コークスなどの炭素系材料が用いられる。
【0051】
<作用>
本発明において最も重要な点は、チタン酸リチウム粒子粉末の結晶歪みを抑えつつ結晶子サイズを本発明の範囲とすることである。仮に、高い出力特性を得るためにBET比表面積を大きくしようとしても、良好な特性が得られるとは限らない。本発明においては、より高い出力特性(高率放電容量維持率)を得るためにはチタン酸リチウム粒子粉末の結晶歪みと結晶子サイズとを制御することが重要であることを見いだした。高い出力特性を得るための手段として活物質粒子粉末を微粒子にすることが、通常行われている。微粒子を得るための手段としては該粒子粉末に対して粉砕を行うことで達成できるが、結晶に歪みが残ってしまい、結局は高い出力特性を得ることができない。
【0052】
本発明者らは、チタン酸リチウム粒子粉末について、単にBET比表面積の大きさや粒子粉末の結晶子サイズのみではなく、結晶歪みという点にも着目し制御する方法を見出したことで、高い出力特性(高率放電容量維持率)を示すチタン酸リチウム粒子粉末を得ることが可能となった。
【実施例】
【0053】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0054】
BET比表面積は試料を窒素ガス下で120℃、45分間乾燥脱気した後、マックソーブHM Model−1208 マウンテック(株)製を用いて測定した。
【0055】
試料のX線回折は、株式会社リガク製 SmartLabを用いて測定した。また、結晶歪みと結晶子サイズは、X線回折のデータを用いてリートベルト解析を行うことで算出した。リートベルト解析には、RIETAN2000を使用した。
【0056】
本発明に係る負極活物質粒子粉末については、2032型コインセルを用いて電池評価を行った。
【0057】
電池評価に係るコインセルについては、本発明に係るチタン酸リチウムを正極として用い、活物質量を90重量%、導電材としてアセチレンブラックを2.5重量%、グラファイトを2.5重量%、バインダーとしてN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン5重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し120℃にて乾燥した。このシートを16mmΦに打ち抜いた後、3.0t/cmで圧延したものを正極に用いた。対極は16mmΦに打ち抜いた厚さが500μmの金属リチウムとし、電解液は1mol/LのLiPFを溶解したECとDMCを体積比で1:2で混合した溶液を用いて2032型コインセルを作製した。
【0058】
充放電特性は、恒温槽で25℃とした環境下で、充電をLiが放出される方向(電池として電圧が上がる方向)としたときに、放電は1.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)後、充電を3.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)。本操作の1回目の放電容量を測定した。
【0059】
出力特性(高率放電容量維持率)は、恒温槽で25℃とした環境下で放電は1.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)後、充電は3.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)。このときの放電容量をaとする。次に、放電は1.0Vまで10Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)後、充電は3.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)。このときの放電容量をbとするとき、出力特性は(b/a×100(%))とした。
【0060】
<チタン酸リチウム粒子粉末の製造>
実施例1
BET比表面積が60m/gの酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti=1.2の配合比で反応温度が90℃で反応時間が10時間の湿式反応を行い、濾過、乾燥した後、760℃で焼成し、粉砕して、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0061】
実施例2
実施例1で得たチタン酸リチウムを更にボールミルにて1.5時間粉砕してチタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0062】
比較例1
実施例1で得たチタン酸リチウムを更にボールミルにて3時間粉砕してチタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0063】
実施例3
比較例1で得たチタン酸リチウム粒子粉末を650℃で再焼成を行ってチタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0064】
実施例4
BET比表面積が300m/gの酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti=1.2の配合比で反応温度が90℃で反応時間が10時間の湿式反応を行い、濾過、乾燥した後、700℃で焼成した後、ボールミルにて2時間粉砕して、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0065】
比較例2
ボールミルの処理時間を4時間とした以外は実施例4と同様にしてチタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0066】
比較例3
BET比表面積が300m/gの酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti=0.83の配合比で乾式混合し、790℃で焼成した後、ボールミルにて10時間粉砕して、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
【0067】
得られたチタン酸リチウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例に示すとおり、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、初期放電容量が165mAh/g以上で、且つ、出力特性(高率放電容量維持率)が85%以上と共に高い特性を示すので、該チタン酸リチウム粒子粉末粒子粉末は非水電解質二次電池用の活物質として好適である。
【0070】
なお、前記実施例においては、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を正極活物質として用いた例を示しているが、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質として用いた場合にも、非水電解質二次電池の活物質として、優れた特性を発揮できるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピネル構造を有するチタン酸リチウム粒子粉末において、該チタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンのリートベルト解析による結晶歪みが0.0015以下であり、且つ結晶子サイズが80〜300nmであることを特徴とするチタン酸リチウム粒子粉末。
【請求項2】
請求項1記載のチタン酸リチウム粒子粉末からなる非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末。
【請求項3】
請求項2記載の負極活物質粒子粉末を90重量部、導電助剤を5重量部、結合剤を5重量部の組成比で使用し、対極をリチウム金属としたセルにおいて、リチウムが放出される方向を充電としたときに、初期放電容量が165mAh/g以上であり、且つ、初期放電容量測定におけるC−レートを0.1Cとし、10Cと0.1Cの割合にあたる出力特性が85%以上である非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の負極活物質粒子粉末を使用した非水電解質二次電池。

【公開番号】特開2013−51104(P2013−51104A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188147(P2011−188147)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000166443)戸田工業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】