チップ搬送コンベヤ装置
【課題】 チップ搬送コンベヤにて搬送した切削粉がプレート板に付着したまま下方のセミクリーンタンク等に戻り再度濾過装置される事態や、切削液や細かな切り屑が装置の内壁を伝わるように落下するような事態を防止するとともに、排出用コンベヤにより排出される切り屑の切削液の付着量を少なくして排出する。
【解決手段】 セミクリーンタンクScの切削液の付着した切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤBと、チップ搬送コンベヤBの搬送途中の所定高さ位置に配され、チップ搬送コンベヤBにより搬送された切り屑を排出する排出用コンベヤ4と、排出用コンベヤ4の基端側に配置され、切り屑と切削液を濾過分離する濾過装置5とを備え、濾過装置5で分離された切り屑は排出用コンベヤ4に送られ、濾過装置5で濾過された切削液は所定のタンク(クリーンタンクCc)に排出される。
【解決手段】 セミクリーンタンクScの切削液の付着した切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤBと、チップ搬送コンベヤBの搬送途中の所定高さ位置に配され、チップ搬送コンベヤBにより搬送された切り屑を排出する排出用コンベヤ4と、排出用コンベヤ4の基端側に配置され、切り屑と切削液を濾過分離する濾過装置5とを備え、濾過装置5で分離された切り屑は排出用コンベヤ4に送られ、濾過装置5で濾過された切削液は所定のタンク(クリーンタンクCc)に排出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チップ搬送コンベヤにより切削液の付着した切り屑を搬送することにより、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑を含む切削液から切り屑と切削液を分離するチップ搬送コンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤やフライス盤等の金属加工用工作機械においては、バイト又はカッタとワークとが接触する加工位置に切削液(クーラント)を供給して冷却しながら加工を行う湿式タイプが主流になっている。この湿式タイプの工作機械においては、チップ搬送コンベヤ装置が横付けされるが、このチップ搬送コンベヤとしては、工作機械から排出される切り屑を含む切削液を貯蔵するタンク(本明細書では、これをセミクリーンタンクと呼ぶ)と、このセミクリーンタンクに浸漬されるようにその内部に配置されるチップ搬送コンベヤとを備えるものがある。そして、所定高さ位置へ搬送するチップ搬送コンベヤの搬送途中に切り屑を排出する排出用コンベヤが配置され、切削液と混ざり合った切り屑が分離排出される。分離された切削液は、チップ搬送コンベヤの下方側に配されるセミクリーンタンクに送られる。セミクリーンタンクへの切削液の供給には、切削液として使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクが配置されて、このクリーンタンクから上記セミクリーンタンクに供給される。なお、従来の一般的なチップ搬送コンベヤにおいては、上記セミクリーンタンクに切削液と切り屑を分離する比較的大きな濾過装置が配されている。
【0003】
従来のチップ搬送コンベヤ装置としては、特許文献1と2に示すように、切り屑をチップ搬送コンベヤの上方位置まで搬送した後に、噴射ノズルにより切削液をコンベヤに噴射して、切り屑を前記搬送プレート板から分離し、一時貯水槽に回収し、一時貯水槽に配設されたスクリューコンベアにてチップ搬送コンベアの機外に排出する構成のものがある。なお、本願出願人は、所定高さ位置に切削液の付着した切り屑の切削液の分離を促進させるために、チップ搬送コンベヤの連結配置のプレート板にメッシュを介装させた特許出願を行うとともに(特許文献3)、排出用コンベヤ(スクリューコンベア)の下方にメッシュカゴを設けるとともに、メッシュカゴの下方に樋が設置されているものを出願している(特許文献4)。上記樋は、これを定期的に清掃するものである。
【特許文献1】特許第3487802号公報
【特許文献2】特許第3283862号公報
【特許文献3】特開2007−197222号公報
【特許文献4】特開2008−55533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1と2記載のチップコンベヤ装置では、前記搬送プレート板を一時貯水槽28に進入させて、搬送プレートに付着している切り屑を一時貯水槽の液体中に分離するように構成されている。
しかしながら、一時貯水槽28を設けることにより、余分な量の切削液を準備しなければならないばかりか、その切削液の濾過装置や回収の機構は備えられていない。また、切り屑が細かな場合(切削粉とも呼ぶ)、搬送過程で前記搬送プレート板に貼り付いてしまい、前記搬送プレート板を一時貯水槽に進入させて液架橋力を低下させたとしても、切り屑の分離には時間がかかる。特に、細かな切り屑は切削液中に分離したとしても、一時貯水槽の底面に沈降するまでに時間がかかる。
【0005】
一方、上記一般的なチップ搬送コンベヤ装置では、スクリューコンベヤの位置で貯蔵された切削液はセミクリーンタンクに送られ、そこで濾過装置にて濾過されるものが多い。その濾過装置としては外周にメッシュが配置されたドラムタイプが多く使用されているが、切削液と切り屑が分離できたとしても、メッシュに切り屑がこびり付くために吹き付け手段にて逆側の外側から吹き付けることが行われている。しかし、上記吹き付けは分離するための切削液を濁す結果ともなり有効なものではなかった。
なお、本願出願人は、チップ搬送コンベヤのプレート板にメッシュを介装させたものを提供し、所定高さ位置まで搬送する過程で切り屑に付着した切削液の分離を促進させるようにしている(特許文献3)。
しかしながら、このように切削液の分離を促進させたとしても、分離された切削液は、セミクリーンタンクに送られ、そこに配される比較的大きな濾過装置により濾過され、そして、上記吹き付けにより分離するための切削液を濁す結果となってしまっていた。なお、所定高さ位置に切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤでは、その上方端の折り返し位置で通常切り屑を排出するが、切削液や細かな切り屑は装置の内壁を伝わるように落下して行き、上記セミクリーンタンクに堆積するものとなっていた。
また、本願出願人が出願する特許文献4では、メッシュカゴの下方に設置される樋を定期的に清掃しなければならない不便を有する。
【0006】
そこで本発明の目的は、チップ搬送コンベヤにて搬送した切削粉がプレート板に付着したまま下方のセミクリーンタンク等に戻り再度濾過装置される事態や、切削液や細かな切り屑が装置の内壁を伝わるように落下するような事態を防止するとともに、細かな切り屑も分離して排出用コンベヤにより排出することができ、しかも排出用コンベヤの付近に堆積する切り屑を清掃する等の必要もない搬送コンベヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のチップ搬送コンベヤ装置は、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切削液を貯蔵するセミクリーンタンクと、切削液の付着した切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤと、チップ搬送コンベヤの搬送途中の所定高さ位置に配され、チップ搬送コンベヤにより搬送された切り屑を排出する排出用コンベヤと、排出用コンベヤの基端側に配置され、切り屑と切削液を濾過分離する濾過装置とを備え、濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られ排出口から廃棄され、、濾過装置で濾過された切削液は所定のタンクに排出されることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、切削液が付着した切り屑は、チップ搬送コンベヤにより所定高さ位置まで搬送されて、チップ搬送コンベヤの搬送途中に配された排出用コンベヤにより機外に廃棄され、切削に使用された切削液やチップ搬送コンベヤに吹き付ける吹き付け液は、濾過装置で濾過装置され所定のタンクに排出される。そして、濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られる。
【0009】
本発明としては、前記排出用コンベヤはほぼ水平方向に配され、排出用コンベヤの廃棄口は所定角度に立ち上がる配置の廃棄口とされ、前記濾過装置は、外周にメッシュが配されて回転するメッショドラムであり、その開口先端側で排出用コンベヤの基端側を囲むように配置されることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、チップ搬送コンベヤから落下した切り屑は排出用コンベヤにより所定角度の廃棄口から排出されるが、その廃棄口に押しやられる切り屑から生じる切削液は排出用コンベヤの基端側を囲むように配されるメッシュドラムにより回収される。つまり、上記所定角度により排出される直前の切削液も回収される。他方、比較的大きな切り屑は排出用コンベヤにより排出されるが、主に細かな切り屑は、濾過装置により切削液と分離され、排出用コンベヤに送られる。
【0011】
本発明としては、前記濾過装置であるメッシュドラムの底部に堆積した切り屑を掻き上げる掻き上げ板がドラム内に設けられるとともに、掻き上げられた切り屑を前記排出用コンベヤに送り込むシュータが設けられていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、メッシュドラムの底部に堆積した切り屑を掻き上げ板が掻き上げてからシュータに入れると、シュータにより排出用コンベヤに送られて、排出用コンベヤにより機外に排出される。なお、メッシュドラムの底部に所定のタンクと連結させることで、メッシュドラムの底部に堆積した切削液は、掻き上げ板により掻き上げられても落下して、所定のタンクへと送られることとなる。
【0013】
本発明としては、前記所定のタンクが切削液として使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクとすることができる。上記本発明によれば、切り屑に付着した切削液は、濾過装置により濾過装置されるので、従来のようにセミクリーンタンク等に戻す必要はなく、新たな切削液として使用することができる。ただし、本発明としては、セミクリーンタンクに戻すようにすることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、切削液が付着した切り屑は、チップ搬送コンベヤにより所定高さ位置まで搬送されて、チップ搬送コンベヤの搬送途中に配された排出用コンベヤにより排出され、切削に使用された切削液やチップ搬送コンベヤに吹き付ける吹き付け液は、濾過装置で濾過装置され所定のタンクに排出される。そして、濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られる。したがって、排出用コンベヤによる回転と相俟って濾過装置により切削液と切り屑が分離されるので、チップ搬送コンベヤの搬送途中の所定高さ位置に配された濾過装置によって濾過された切削液はクリーンな切削液となり、セミクリーンタンクに戻す必要はなくなる。また、濾過装置により濾過するので、切削液や細かな切り屑が装置の内壁を伝わるように落下するような事態を防止することができる。また、上記所定のタンクを切削液として一度も使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクとすると、従来のように、セミクリーンタンクに送り込まれて再度濾過装置されることがなくなり、その結果、吹き付け手段により濁るような事態も防止できる。また、従来、セミクリーンタンクに配置されていた比較的大型の濾過装置を除去しても良くなり、装置の小型化と低廉化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、このチップ搬送コンベヤ装置1全体を模式的に示す正面図である。図2は、チップ搬送コンベヤ装置1の正面側の断面図である。図3は、チップ搬送コンベヤ装置1の側面側の断面図である。図4から図6は、濾過装置5と排出用コンベヤ4を拡大して示す図である。なお、図1と図2中の符号B(P)は、チップ搬送コンベヤBのプレート板Pの搬送路を示す。
このチップ搬送コンベヤ装置1は、旋盤やフライス盤等の工作機械等により切削された切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤBと、チップ搬送コンベヤBの下方側に配されるセミクリーンタンクScと、セミクリーンタンクの近傍に、切削液として使用されていないクリーンな切削液Lcを貯蔵するクリーンタンクCcを備える。セミクリーンタンクScには、クリーンタンクCcからクリーンな切削液Lcが送り込まれる。また、切削液L1に浮く切粉を分離する(除去する)ため、サイクロンフィルタ2がセミクリーンタンクScに連結されている。
【0017】
チップ搬送コンベヤBは、セミクリーンタンクScの中に浸漬されるように配置されており、図1に示すように、搬送物を搬送する複数のプレート板Pは、駆動モータM3により図中時計回りに回転して、水平方向の搬送ラインと、斜め上方に搬送する搬送ラインと、駆動モータM3が配置される斜め上方端部の位置yで折り返されることで、切り屑を落下させる。切り屑を落下させると、濾過装置の上方を通過してからセミクリーンタンクScの底部を通過して一周する。チップ搬送コンベヤBは、図12と図13に示すように、搬送物を搬送する複数のプレート板Pと、プレート板Pに取り付けられる左右一対のサイドプレートSa,Saと、このサイドプレートSa,Saを介して上記プレート板に取り付ける左右一対のチェーンTa,Taとを備えている。駆動モータm3、落下位置yの外側にボックスを介して配置され、駆動軸r2を駆動することで、無端状をなすチップ搬送コンベヤBを図1では時計回りに周回させる。
【0018】
上記切り屑を落下させる位置yでは、吹き付け手段である第1の噴射ノズルn1が配されている。第1の噴射ノズルn1は、プレート板Pやプレート板Pの金網Aに付着した切り屑を所定の角度から切削液L1を噴射することでこれを除去する。本実施の形態では、チップ搬送コンベヤBに金網Aが設けられているので、落下位置yとは反対側から切削液L1を噴射することによっても、切り屑をチップ搬送コンベヤBから除去することもできる。一方、後述する濾過装置5の上方位置には、第2の噴射ノズルn2が配されている。第2の噴射ノズルn2は、濾過装置5の上方位置において濾過装置5に向けて切削液L1を噴射することで、その噴射圧力により、濾過装置5であるメッシュドラムのメッシュに付着した切り屑を落下させる。落下した切り屑は、掻き上げ板8により掻き上げられてシュータ7を介して排出用コンベヤ4に送られる。噴射ノズルn1,n2から噴射する切削液L1は、切り屑が除去されて清浄となった切削液L1をセミクリーンタンクScからポンプPUMにて汲み上げて使用しても良いし、新品の切削液Lcを使用しても良い。
【0019】
チップ搬送コンベヤBの斜め上方に向かう搬送路と、上記切り屑を落下させる位置yでは、これら全体を上記外装部材Zにより取り囲み密閉状態としている。すなわち、外装部材Zは、排出用コンベヤ4による機外への切り屑の搬送路xまでを含めてチップ搬送コンベヤBの外周を覆う部材であり、排出用コンベヤ4を含んだ折り返しエリアyを含めて全体的に密閉状態で覆っている。そして、チップ搬送コンベヤBによる切り屑の落下位置yには、切り屑を排出する排出用コンベヤ4と、切り屑と切削液を分離する濾過装置5が配されている。
【0020】
上記落下位置yに配される外装部材Zは、ほぼ五角型の筐体構造になっている(図2)。この多角形状の一角部(下方側)に排出用コンベヤ4を配置することにより、切り屑を集め易くなっている。ほぼ五角型の筐体構造の下方先端には排出管6が設けられて、クリーンタンクCcへと送られるようになっている。なお、排出管6からセミクリーンタンクScに送るように構成することも可能である。切り屑の受口として設けられたスロープs1,s2は、スロープs1,s2の下部に配置されたスクリューコンベア4に向かう傾斜が形成されており(図6)、スクリューコンベヤ4に集められる。この五角型の筐体構造の上記外装部材Zは、チップ搬送コンベヤBの内壁Bnの下方側入り口Mの位置よりも低い位置に形成されている(図2)。すなわち、上記落下位置yに配される排出用コンベヤ4と濾過装置5は吊り下げられるような配置であり、これを外装部材Zで密閉状態にしている。したがって、上記落下位置yからの切削液L1や切り屑は、上記内壁Bnには入り込まない構造になっている。
【0021】
チップ搬送コンベヤBの搬送路としては、傾斜した立ち上がりから更に水平状態になる等種々のものがあるが、本発明では、チップ搬送コンベヤBのみならず切り屑の搬送路までを広く密閉状態にする。噴射ノズルn1,n2により切削液L1を吹き付ける箇所と上記搬送路とをチップ搬送コンベヤBの搬送路の外周に配される外装部材Zにより取り囲み密閉状態にしたことから、噴射ノズルn1,n2により切削液L1を吹き付けることによって生じるオイルミストが機外へ拡散するようなことがなくなる。また、チップ搬送コンベヤBの搬送路の外周に配される外装部材Zにより密閉状態にしたことから、切削液L1を所定箇所に集めることができる。
【0022】
排出用コンベヤ4は、チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑を機外に排出するものであり、その駆動軸4jの外周にスクリュー4sが取り付けられ、スクリュー4sの回転により水平方向の先端側に押しやる構造である(図3〜図6)。駆動軸4jの基端側にはスクリュー4sは設けられておらず、このスクリュー4sがない部分4kが濾過装置5の中心位置に組み込まれている。スクリューコンベヤ4の先端側には、筒状排出ガイド4hが設けられ、その先端部は約45度の角度で立ち上がっている。また、筒状排出ガイド4hは、板金を筒状に形成したものであり、この筒状排出ガイド4hによりスクリューコンベヤ4のスクリュー4sが覆われている。
【0023】
スクリューコンベヤ4のスクリュー4sの位置の上方には、開口枠3が設けられ、この開口枠3を介してチップ搬送コンベヤBから落下した切り屑は、スクリューコンベヤ4のスクリュー4sの位置yに落下する。開口枠3には、落下した切り屑を中央に集める傾斜部3a,3b,3c,3dが設けられている。スクリューコンベヤ4は、その搬送路の先端側が所定角度傾斜した立ち上がり構造であり、これにより、切り屑はスクリューにより上へ上へと押し上げられ、スクリューコンベヤ4の廃棄口eから機外の廃棄箱へと切削液L1を切らした状態で廃棄される。また、切り屑に付着している切削液L1の水位は、排出用コンベヤ4の高さよりも通常高くなるが、スクリューコンベヤ4の立ち上がり開始位置からスクリューコンベア4の基端側4kに設置された濾過装置5に入り込み、濾過装置5で分離された切り屑は排出用コンベヤ4に送られる。また、濾過装置5で濾過装置された切削液LcはクリーンタンクCcに回収される。濾過装置5の底部5tは、排出用コンベヤ4の底部4tよりも低くなっている。また、排出用コンベヤ4から濾過装置5に切削液を送るための勾配が形成されている。したがって、排出用コンベヤ4の底部4tから濾過装置5であるメッショドラムのドラム内部に切削液L1が流れて入り込む構造になっている。すなわち、切削液L1の量が上記よりも少ない場合でも、排出用コンベヤ4の底部4tとメッショドラム5との間に堰5sを設けて、この堰5sを越える水位の切削液L1が流れて入り込む構造になっている。
【0024】
濾過装置5は、切り屑と切削液を分離するもので、排出用コンベヤ4の基端側4kに配されている。濾過装置5は、外周にメッシュ5mが配されて回転するメッショドラム5である。このメッシュドラム5は、排出用コンベヤ4の基端側4kをその筒状の外周で包むように水平に配され(ドラムを横にした配置)、つまりメッシュドラム5の排出用コンベヤ4側は開口されて、排出用コンベヤ4の駆動軸4jを引き込み、メッシュドラム5の閉塞される他方側5kへと引き出して、駆動軸4jを回転させる駆動モータm1に連結されている。メッシュドラム5の回転は、その外周に配されるスプロケット5vと、駆動モータm2とが駆動ベルトで連結されて回転する。したがって、メッシュドラム5を別途排出用コンベヤ4の外部に配設するものではなく、排出用コンベヤ4と一体的な配置のコンパクトな構造であるとともに、排出用コンベヤ4による切り屑の排出の際に生じる切削液もメッシュドラム5の中に引き込まれる構造になっている。なお、メッシュドラム5の回転方向は、排出用コンベヤ4の駆動軸4jの回転方向と同じであっても、これとは逆の回転方向であっても良いが、本実施の形態では、互いに逆向きに回転する。スクリューコンベア4の基端側には仕切り部4zがその軸4jに取り付けられている。符号5mはメッシュドラムのメッシュを示し、符号5hはメッシュドラムの補強板を示す。このような排出用コンベヤ4としては、スクリューコンベア4を使用しているが、コイルコンベヤ等でも同様の効果が得られる。
【0025】
メッシュドラム5の内側には、掻き上げ板8が配されている。この掻き上げ板8は、メッシュドラム5の底部に貯まる切り屑をメッシュドラム5の上方側に掻き上げるもので、メッシュドラム5の内側に均等間隔で複数配されている。さらに、メッシュドラム5の中にシュータ7が取付けられている。シュータ7は、板金を略コ字型に曲げ加工したもので、メッシュドラム5の中において、メッシュドラム5の回転中心よりも上方であり、その先端側がスクリューコンベヤ4のスクリュー4sの位置まで及ぶように下方に傾斜させて配置されるとともに、その基端側は閉塞するメッシュドラム5の基端側を貫通して止められている。したがって、メッシュドラム5の回転により掻き上げ板8により掻き上げられた切り屑や第2の噴射ノズルn2の液の噴射によりメッシュドラムのメッシュから落下される切り屑は、上記シュータ7によりスクリューコンベヤ4に送られて機外に排出される。
【0026】
ここで、上記メッシュドラム5の構成としては、その中心5qに軸を実際に配置して、排出用コンベヤ4の駆動軸4jの中心4qとを同じにすることも可能である(図7と図8)。このような構成にすると、メッシュドラム5の駆動手段と排出用コンベヤ4の駆動手段m2とを一つにする構造にもでき、装置の小型化が更に図れる構造になる。また、上記メッシュドラム5の構成としては、二重や三重のメッシュ構造や、これらの多重のメッシュの各メッシュの間隔を開けたものとしても良い。なお、チップ搬送コンベヤBの駆動軸r2とスクリューコンベヤ4の駆動軸4jとをチェーンベルトで駆動伝達可能に繋がらせて、駆動軸r2の回転に同期してスクリューコンベヤ4を回転させることも可能である。
【0027】
次に、本実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置1を使用して、切削液の付着した切り屑の機外への排出する順序を説明する。
まず、図1に示すように、工作機械Mcから切削液L1とともに排出された切り屑は、セミクリーンタンクScに排出され、セミクリーンタンクScに排出された切り屑は、セミクリーンタンクScの切削液L1と混ざり合わされた状態でチップ搬送コンベヤBにより搬送される。チップ搬送コンベヤBには金網A(12)が設けられているので、切り屑はこの金網Aに補足されて斜め上方の搬送路を上昇して行き、その上昇の過程で切り屑に付着した切削液L1は金網Aを通過するように落下する。このように切削液L1の付着量が少なくなった切り屑は、チップ搬送コンベヤBの折り返した落下位置yにおいて、噴射ノズルn1による噴射も相まって開口枠3を介して排出用コンベヤ(スクリューコンベヤ)4に排出される。なお、このとき切り屑の一部は、排出用コンベヤ4の基端側に配される濾過装置5にも入り込んでも良い。濾過装置5に入り込んだ切り屑は、濾過装置5により切り屑と切削液Lcとに分離される。
【0028】
チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑は、切削液L1がある程度は除去されているが、排出用コンベヤ4のスクリュー4sにより斜めに傾斜した廃棄口eへと押しやられるようになると、切削液L1が滲み出すように表れ、斜め上方の廃棄口eから排出されるまでその滲み出しで、その生じた切削液Lは勾配が形成された排出用コンベヤ4の基端側から濾過装置5へと導かれるように流れ込む。濾過装置5の底部5tは、排出用コンベヤ4の底部4tよりも低くなっているので、この位置で集められた切削液Lcは、排出管6からクリーンタンクCcへと送られる。したがって、チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑は、切削液Lの付着量が非常に少ないものとして廃棄口eから排出される。
【0029】
そして、濾過装置5には、主に細かな切り屑が切削液L1とともに集められる。ここに集められた切り屑は、メッシュドラム5の掻き上げ板8により掻き揚げられてシュータ7に送り込むと、シュータ7から切り屑は排出用コンベヤ4へと送られる。濾過装置5で濾過された切削液Lcは濾過状態の優れたものであり、濾過装置5の底部5tに設けられる排出管6から切削液として使用されたことない切削液Lcが貯蔵されるクリーンタンクCcに送り込んでも問題はない。すなわち、従来の装置のように上記セミクリーンタンクScに送り込む必要がない。この点、従来装置では、上記セミクリーンタンクScに送り込まれ比較的大きな濾過装置により濾過装置されていたが、その濾過状態が十分なものではなかった。しかし、本実施の形態によれば、従来、チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑や切削液Lが装置の内壁を伝わるように上記セミクリーンタンクScに流れ込んでいたものをすべて濾過装置5で分離して、切削液LはクリーンタンクCcへと、切削液Lの非常に少ない切り屑を機外に排出することができる。また、濾過装置5の上方の第2の噴射ノズルn2は、濾過装置5に向けて切削液L1を噴射することで、濾過装置5に付着した切り屑を落下させ、シュータ7に送り込む濾過装置5の底部5tに落下させたりする。なお、切り屑の落下位置yから落下させた切り屑は廃棄口eから排出され、濾過装置5で濾過された切削液LcはクリーンタンクCcに送られるもので、本実施の形態では、それ以外には、例えば内壁面を伝わってセミクリーンタンクScに流れ込むようなことはない構造になっている。
【0030】
次に、チップ搬送コンベヤBのプレート板Pの他の例を説明する。このプレート板Pとしては、ヒンジ構造により連結されているものや、各プレート板は、連結方向の一方が断面が凹状の凹部とされ、連結方向の他方が断面が凸状の凸部とされ、任意の一のプレート板とその前のプレート板とは、任意の一のプレート板の一方の凹部の中にその前のプレート板の他方の凸部が回転し得る状態で配されるもの等が適用可能ある。また、プレート板Pとしては、図14と図15に示すように、プレート板Pに通過孔17aが形成され、この通過孔17aの上に切り屑を捕捉するための網目12aを設けた金網12が配され、この金網12の上に通過孔17aを有するカバー部材13が重ね合わされている。網目12aが設けられたプレート板Pは、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出される切り屑(チップ)をクーラント液と分離しながら搬送するためのもので、各プレート板Pに通過孔17aが形成され、この通過孔17aの上に配される金網12に網目12aが形成され、金網12の上に重ね合わされるカバー部材13とから成る。通過孔17aは、各プレート板Pに4つ長穴状に形状され、この4つの通過孔17aの上方に1つの金網12が配されている。カバー部材13は、金網12をプレート板Pに固定させるためのもので、ボルト止め用の穴B11によりボルトを通して固定される。また、カバー部材13には、上記複数の通過孔17aと上下位置が対応する通過孔18が形成されている。本実施の形態の上記通過孔17aと通過孔18は同じ寸法であるが、例えば、下方側の通過孔17aの方を少し大きく形成するようなことも可能である。通過孔17aとしては、図8に示すように、一つの大きな通過孔17aが設けられたものでも良く、同じく通過孔18も一つでも良い。また、プレート板Pと金網12とカバー部材13とはボルト止めされる例で説明するが、溶接や接着剤等で重ね合わせるものでも良い。
【0031】
したがって、上記チップ搬送コンベヤを使用して、実際に旋盤や金属加工用工作機械等により切削された切り屑を搬送すると、切削されたチップは、クーラント液が混ざった状態で斜め上方に搬送されるが、上記金網12により切り屑が捕捉される一方、クーラント液が通過して、切り屑のみが上記金網12の網目12aに捕捉された状態で、斜め上方端部の駆動軸で約180度折り返され、この折り返し点からやや下方に下りた位置yで切り屑を下方に落下させる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図9から図11は、本実施の形態のチップ搬送コンベヤBの濾過装置5と排出用コンベヤ4を拡大して示す図である。このチップ搬送コンベヤ装置Bの排出用コンベヤ4は、駆動軸4jの基端側にもスクリュー4ksが設けられるとともに(このスクリュー4ksを基端側のスクリュー4ksと呼ぶ)、この基端側のスクリュー4ksの底部に円弧状の底部Uが設けられている。スクリュー4ksの先端部と円弧状の底部Uとは近接する配置である。また、円弧状の底部Uは、スクリュー4sの位置にも連続しているが、スクリュー4sの位置では円弧状の径が上方に向かって大きく形成されている。本実施の形態では、第1の実施の形態のようなシュータ7は設けれておらず、上記スクリュー4ksと円弧状の底部Uが第1の実施の形態のシュータ7の役割を果たす。すなわち、上記スクリュー4ksが円弧状の底部Uと接触するほどに近接して回転して、主に細かな切り屑をスクリューコンベヤ4の先端側に搬送する働きをする。なお、本実施の形態の上記円弧状の底部Uは回転するものであり、スクリュー4ksの底部の位置に来るときに第2の噴射ノズルn2の液の噴射が行われるが、回転しないものであっても良い。また、第1の実施の形態の開口枠3には、落下した切り屑を中央に集める傾斜部3a,3b,3c,3dが設けられているが、本実施の形態の開口枠3には、上記傾斜部3aのみ設けられている。なお、本実施の形態では、上記掻き上げ板8も設けられていないもので説明したが、上記掻き上げ板8を設けることも勿論可能である。
【0033】
したがって、上記チップ搬送コンベヤBが反転した折り返し位置yで切り屑を落下させると、開口枠3を介して切り屑は、その下方に位置するスクリュー4sにより上へ上へと押し上げられ、スクリューコンベヤ4の廃棄口eから機外の廃棄箱へと廃棄される。一方、切削液L1は、排出用コンベヤ4の位置よりも上まで入るが、細かな切り屑を含む切削液L1は、メッシュドラムである濾過装置5に入り込み、濾過装置5の回転により濾過され、排出管6からクリーンタンクCcへと送られる。そして、切削液L1に含まれる細かな切り屑は、濾過装置5の回転により掻き揚げられて(掻き上げ板8があるときは、更に掻き上げ板8により掻き揚げられて)、基端側の径の小さなスクリュー4ksに送られて(その底側の円弧状の底部Uを底板として)、そしてその先端の径の大きなスクリュー4sに送られて、廃棄口eから廃棄される。
【0034】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、チップ搬送コンベヤBは、切り屑を捕捉するための網目を設けた金網Aが配されないものでも適用可能である。また、本実施の形態では、従来のセミクリーンタンクScに配置される濾過装置は、セミクリーンタンクScに配置されないもので説明した。これは上記濾過装置5により必要なくなるからであるが、実施に応じては、セミクリーンタンクScに濾過装置を従来のように配置することは可能である。さらに、本実施の形態では、上記濾過装置5で濾過された切削液Lc上記クリーンタンクCcに送るものとして説明したが、セミクリーンタンクScに送ることも実施に応じて可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置全体を模式的に示す正面図である。
【図2】上記第1の実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置の正面側の断面図を示す。
【図3】上記第1の実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置の左側面側の断面図を示す。
【図4】上記第1の実施の形態の排出用コンベヤと濾過装置を上面から見た断面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】上記濾過装置の他の例を示す断面図である。
【図8】図7のE−E線断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の排出用コンベヤと濾過装置を示す上面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】図9のD−D線断面図である。
【図12】上記実施の形態のチップ搬送コンベヤの例を示す斜視図である。
【図13】上記実施の形態のチップ搬送コンベヤの例を示す斜視図である。
【図14】上記実施の形態のチップ搬送コンベヤの例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 チップ搬送コンベヤ装置、
3 開口枠、
4 排出用コンベヤ、
4j 駆動軸、4k 排出用コンベヤの基端側、
5 濾過装置(メッシュドラム)、
6 排出管、
7 シュータ、
8 掻き上げ板、
Lc 濾過されたクリーンな切削液、
L1 切削液(切り屑を含む)、
B チップ搬送コンベヤ、
Cc クリーンタンク、
Sc セミクリーンタンク、
P プレート板、
A,12 金網、
Mc 回収位置(工作機械からの切り屑と切削液の回収位置)、
y 切り屑の落下位置、
n1,n2 噴射ノズル(吹き付け手段)、
m1,m2,m3 駆動モータ(駆動手段)、
Z 外装部材、
e 廃棄口
【技術分野】
【0001】
この発明は、チップ搬送コンベヤにより切削液の付着した切り屑を搬送することにより、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑を含む切削液から切り屑と切削液を分離するチップ搬送コンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤やフライス盤等の金属加工用工作機械においては、バイト又はカッタとワークとが接触する加工位置に切削液(クーラント)を供給して冷却しながら加工を行う湿式タイプが主流になっている。この湿式タイプの工作機械においては、チップ搬送コンベヤ装置が横付けされるが、このチップ搬送コンベヤとしては、工作機械から排出される切り屑を含む切削液を貯蔵するタンク(本明細書では、これをセミクリーンタンクと呼ぶ)と、このセミクリーンタンクに浸漬されるようにその内部に配置されるチップ搬送コンベヤとを備えるものがある。そして、所定高さ位置へ搬送するチップ搬送コンベヤの搬送途中に切り屑を排出する排出用コンベヤが配置され、切削液と混ざり合った切り屑が分離排出される。分離された切削液は、チップ搬送コンベヤの下方側に配されるセミクリーンタンクに送られる。セミクリーンタンクへの切削液の供給には、切削液として使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクが配置されて、このクリーンタンクから上記セミクリーンタンクに供給される。なお、従来の一般的なチップ搬送コンベヤにおいては、上記セミクリーンタンクに切削液と切り屑を分離する比較的大きな濾過装置が配されている。
【0003】
従来のチップ搬送コンベヤ装置としては、特許文献1と2に示すように、切り屑をチップ搬送コンベヤの上方位置まで搬送した後に、噴射ノズルにより切削液をコンベヤに噴射して、切り屑を前記搬送プレート板から分離し、一時貯水槽に回収し、一時貯水槽に配設されたスクリューコンベアにてチップ搬送コンベアの機外に排出する構成のものがある。なお、本願出願人は、所定高さ位置に切削液の付着した切り屑の切削液の分離を促進させるために、チップ搬送コンベヤの連結配置のプレート板にメッシュを介装させた特許出願を行うとともに(特許文献3)、排出用コンベヤ(スクリューコンベア)の下方にメッシュカゴを設けるとともに、メッシュカゴの下方に樋が設置されているものを出願している(特許文献4)。上記樋は、これを定期的に清掃するものである。
【特許文献1】特許第3487802号公報
【特許文献2】特許第3283862号公報
【特許文献3】特開2007−197222号公報
【特許文献4】特開2008−55533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1と2記載のチップコンベヤ装置では、前記搬送プレート板を一時貯水槽28に進入させて、搬送プレートに付着している切り屑を一時貯水槽の液体中に分離するように構成されている。
しかしながら、一時貯水槽28を設けることにより、余分な量の切削液を準備しなければならないばかりか、その切削液の濾過装置や回収の機構は備えられていない。また、切り屑が細かな場合(切削粉とも呼ぶ)、搬送過程で前記搬送プレート板に貼り付いてしまい、前記搬送プレート板を一時貯水槽に進入させて液架橋力を低下させたとしても、切り屑の分離には時間がかかる。特に、細かな切り屑は切削液中に分離したとしても、一時貯水槽の底面に沈降するまでに時間がかかる。
【0005】
一方、上記一般的なチップ搬送コンベヤ装置では、スクリューコンベヤの位置で貯蔵された切削液はセミクリーンタンクに送られ、そこで濾過装置にて濾過されるものが多い。その濾過装置としては外周にメッシュが配置されたドラムタイプが多く使用されているが、切削液と切り屑が分離できたとしても、メッシュに切り屑がこびり付くために吹き付け手段にて逆側の外側から吹き付けることが行われている。しかし、上記吹き付けは分離するための切削液を濁す結果ともなり有効なものではなかった。
なお、本願出願人は、チップ搬送コンベヤのプレート板にメッシュを介装させたものを提供し、所定高さ位置まで搬送する過程で切り屑に付着した切削液の分離を促進させるようにしている(特許文献3)。
しかしながら、このように切削液の分離を促進させたとしても、分離された切削液は、セミクリーンタンクに送られ、そこに配される比較的大きな濾過装置により濾過され、そして、上記吹き付けにより分離するための切削液を濁す結果となってしまっていた。なお、所定高さ位置に切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤでは、その上方端の折り返し位置で通常切り屑を排出するが、切削液や細かな切り屑は装置の内壁を伝わるように落下して行き、上記セミクリーンタンクに堆積するものとなっていた。
また、本願出願人が出願する特許文献4では、メッシュカゴの下方に設置される樋を定期的に清掃しなければならない不便を有する。
【0006】
そこで本発明の目的は、チップ搬送コンベヤにて搬送した切削粉がプレート板に付着したまま下方のセミクリーンタンク等に戻り再度濾過装置される事態や、切削液や細かな切り屑が装置の内壁を伝わるように落下するような事態を防止するとともに、細かな切り屑も分離して排出用コンベヤにより排出することができ、しかも排出用コンベヤの付近に堆積する切り屑を清掃する等の必要もない搬送コンベヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のチップ搬送コンベヤ装置は、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切削液を貯蔵するセミクリーンタンクと、切削液の付着した切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤと、チップ搬送コンベヤの搬送途中の所定高さ位置に配され、チップ搬送コンベヤにより搬送された切り屑を排出する排出用コンベヤと、排出用コンベヤの基端側に配置され、切り屑と切削液を濾過分離する濾過装置とを備え、濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られ排出口から廃棄され、、濾過装置で濾過された切削液は所定のタンクに排出されることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、切削液が付着した切り屑は、チップ搬送コンベヤにより所定高さ位置まで搬送されて、チップ搬送コンベヤの搬送途中に配された排出用コンベヤにより機外に廃棄され、切削に使用された切削液やチップ搬送コンベヤに吹き付ける吹き付け液は、濾過装置で濾過装置され所定のタンクに排出される。そして、濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られる。
【0009】
本発明としては、前記排出用コンベヤはほぼ水平方向に配され、排出用コンベヤの廃棄口は所定角度に立ち上がる配置の廃棄口とされ、前記濾過装置は、外周にメッシュが配されて回転するメッショドラムであり、その開口先端側で排出用コンベヤの基端側を囲むように配置されることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、チップ搬送コンベヤから落下した切り屑は排出用コンベヤにより所定角度の廃棄口から排出されるが、その廃棄口に押しやられる切り屑から生じる切削液は排出用コンベヤの基端側を囲むように配されるメッシュドラムにより回収される。つまり、上記所定角度により排出される直前の切削液も回収される。他方、比較的大きな切り屑は排出用コンベヤにより排出されるが、主に細かな切り屑は、濾過装置により切削液と分離され、排出用コンベヤに送られる。
【0011】
本発明としては、前記濾過装置であるメッシュドラムの底部に堆積した切り屑を掻き上げる掻き上げ板がドラム内に設けられるとともに、掻き上げられた切り屑を前記排出用コンベヤに送り込むシュータが設けられていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、メッシュドラムの底部に堆積した切り屑を掻き上げ板が掻き上げてからシュータに入れると、シュータにより排出用コンベヤに送られて、排出用コンベヤにより機外に排出される。なお、メッシュドラムの底部に所定のタンクと連結させることで、メッシュドラムの底部に堆積した切削液は、掻き上げ板により掻き上げられても落下して、所定のタンクへと送られることとなる。
【0013】
本発明としては、前記所定のタンクが切削液として使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクとすることができる。上記本発明によれば、切り屑に付着した切削液は、濾過装置により濾過装置されるので、従来のようにセミクリーンタンク等に戻す必要はなく、新たな切削液として使用することができる。ただし、本発明としては、セミクリーンタンクに戻すようにすることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、切削液が付着した切り屑は、チップ搬送コンベヤにより所定高さ位置まで搬送されて、チップ搬送コンベヤの搬送途中に配された排出用コンベヤにより排出され、切削に使用された切削液やチップ搬送コンベヤに吹き付ける吹き付け液は、濾過装置で濾過装置され所定のタンクに排出される。そして、濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られる。したがって、排出用コンベヤによる回転と相俟って濾過装置により切削液と切り屑が分離されるので、チップ搬送コンベヤの搬送途中の所定高さ位置に配された濾過装置によって濾過された切削液はクリーンな切削液となり、セミクリーンタンクに戻す必要はなくなる。また、濾過装置により濾過するので、切削液や細かな切り屑が装置の内壁を伝わるように落下するような事態を防止することができる。また、上記所定のタンクを切削液として一度も使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクとすると、従来のように、セミクリーンタンクに送り込まれて再度濾過装置されることがなくなり、その結果、吹き付け手段により濁るような事態も防止できる。また、従来、セミクリーンタンクに配置されていた比較的大型の濾過装置を除去しても良くなり、装置の小型化と低廉化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、このチップ搬送コンベヤ装置1全体を模式的に示す正面図である。図2は、チップ搬送コンベヤ装置1の正面側の断面図である。図3は、チップ搬送コンベヤ装置1の側面側の断面図である。図4から図6は、濾過装置5と排出用コンベヤ4を拡大して示す図である。なお、図1と図2中の符号B(P)は、チップ搬送コンベヤBのプレート板Pの搬送路を示す。
このチップ搬送コンベヤ装置1は、旋盤やフライス盤等の工作機械等により切削された切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤBと、チップ搬送コンベヤBの下方側に配されるセミクリーンタンクScと、セミクリーンタンクの近傍に、切削液として使用されていないクリーンな切削液Lcを貯蔵するクリーンタンクCcを備える。セミクリーンタンクScには、クリーンタンクCcからクリーンな切削液Lcが送り込まれる。また、切削液L1に浮く切粉を分離する(除去する)ため、サイクロンフィルタ2がセミクリーンタンクScに連結されている。
【0017】
チップ搬送コンベヤBは、セミクリーンタンクScの中に浸漬されるように配置されており、図1に示すように、搬送物を搬送する複数のプレート板Pは、駆動モータM3により図中時計回りに回転して、水平方向の搬送ラインと、斜め上方に搬送する搬送ラインと、駆動モータM3が配置される斜め上方端部の位置yで折り返されることで、切り屑を落下させる。切り屑を落下させると、濾過装置の上方を通過してからセミクリーンタンクScの底部を通過して一周する。チップ搬送コンベヤBは、図12と図13に示すように、搬送物を搬送する複数のプレート板Pと、プレート板Pに取り付けられる左右一対のサイドプレートSa,Saと、このサイドプレートSa,Saを介して上記プレート板に取り付ける左右一対のチェーンTa,Taとを備えている。駆動モータm3、落下位置yの外側にボックスを介して配置され、駆動軸r2を駆動することで、無端状をなすチップ搬送コンベヤBを図1では時計回りに周回させる。
【0018】
上記切り屑を落下させる位置yでは、吹き付け手段である第1の噴射ノズルn1が配されている。第1の噴射ノズルn1は、プレート板Pやプレート板Pの金網Aに付着した切り屑を所定の角度から切削液L1を噴射することでこれを除去する。本実施の形態では、チップ搬送コンベヤBに金網Aが設けられているので、落下位置yとは反対側から切削液L1を噴射することによっても、切り屑をチップ搬送コンベヤBから除去することもできる。一方、後述する濾過装置5の上方位置には、第2の噴射ノズルn2が配されている。第2の噴射ノズルn2は、濾過装置5の上方位置において濾過装置5に向けて切削液L1を噴射することで、その噴射圧力により、濾過装置5であるメッシュドラムのメッシュに付着した切り屑を落下させる。落下した切り屑は、掻き上げ板8により掻き上げられてシュータ7を介して排出用コンベヤ4に送られる。噴射ノズルn1,n2から噴射する切削液L1は、切り屑が除去されて清浄となった切削液L1をセミクリーンタンクScからポンプPUMにて汲み上げて使用しても良いし、新品の切削液Lcを使用しても良い。
【0019】
チップ搬送コンベヤBの斜め上方に向かう搬送路と、上記切り屑を落下させる位置yでは、これら全体を上記外装部材Zにより取り囲み密閉状態としている。すなわち、外装部材Zは、排出用コンベヤ4による機外への切り屑の搬送路xまでを含めてチップ搬送コンベヤBの外周を覆う部材であり、排出用コンベヤ4を含んだ折り返しエリアyを含めて全体的に密閉状態で覆っている。そして、チップ搬送コンベヤBによる切り屑の落下位置yには、切り屑を排出する排出用コンベヤ4と、切り屑と切削液を分離する濾過装置5が配されている。
【0020】
上記落下位置yに配される外装部材Zは、ほぼ五角型の筐体構造になっている(図2)。この多角形状の一角部(下方側)に排出用コンベヤ4を配置することにより、切り屑を集め易くなっている。ほぼ五角型の筐体構造の下方先端には排出管6が設けられて、クリーンタンクCcへと送られるようになっている。なお、排出管6からセミクリーンタンクScに送るように構成することも可能である。切り屑の受口として設けられたスロープs1,s2は、スロープs1,s2の下部に配置されたスクリューコンベア4に向かう傾斜が形成されており(図6)、スクリューコンベヤ4に集められる。この五角型の筐体構造の上記外装部材Zは、チップ搬送コンベヤBの内壁Bnの下方側入り口Mの位置よりも低い位置に形成されている(図2)。すなわち、上記落下位置yに配される排出用コンベヤ4と濾過装置5は吊り下げられるような配置であり、これを外装部材Zで密閉状態にしている。したがって、上記落下位置yからの切削液L1や切り屑は、上記内壁Bnには入り込まない構造になっている。
【0021】
チップ搬送コンベヤBの搬送路としては、傾斜した立ち上がりから更に水平状態になる等種々のものがあるが、本発明では、チップ搬送コンベヤBのみならず切り屑の搬送路までを広く密閉状態にする。噴射ノズルn1,n2により切削液L1を吹き付ける箇所と上記搬送路とをチップ搬送コンベヤBの搬送路の外周に配される外装部材Zにより取り囲み密閉状態にしたことから、噴射ノズルn1,n2により切削液L1を吹き付けることによって生じるオイルミストが機外へ拡散するようなことがなくなる。また、チップ搬送コンベヤBの搬送路の外周に配される外装部材Zにより密閉状態にしたことから、切削液L1を所定箇所に集めることができる。
【0022】
排出用コンベヤ4は、チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑を機外に排出するものであり、その駆動軸4jの外周にスクリュー4sが取り付けられ、スクリュー4sの回転により水平方向の先端側に押しやる構造である(図3〜図6)。駆動軸4jの基端側にはスクリュー4sは設けられておらず、このスクリュー4sがない部分4kが濾過装置5の中心位置に組み込まれている。スクリューコンベヤ4の先端側には、筒状排出ガイド4hが設けられ、その先端部は約45度の角度で立ち上がっている。また、筒状排出ガイド4hは、板金を筒状に形成したものであり、この筒状排出ガイド4hによりスクリューコンベヤ4のスクリュー4sが覆われている。
【0023】
スクリューコンベヤ4のスクリュー4sの位置の上方には、開口枠3が設けられ、この開口枠3を介してチップ搬送コンベヤBから落下した切り屑は、スクリューコンベヤ4のスクリュー4sの位置yに落下する。開口枠3には、落下した切り屑を中央に集める傾斜部3a,3b,3c,3dが設けられている。スクリューコンベヤ4は、その搬送路の先端側が所定角度傾斜した立ち上がり構造であり、これにより、切り屑はスクリューにより上へ上へと押し上げられ、スクリューコンベヤ4の廃棄口eから機外の廃棄箱へと切削液L1を切らした状態で廃棄される。また、切り屑に付着している切削液L1の水位は、排出用コンベヤ4の高さよりも通常高くなるが、スクリューコンベヤ4の立ち上がり開始位置からスクリューコンベア4の基端側4kに設置された濾過装置5に入り込み、濾過装置5で分離された切り屑は排出用コンベヤ4に送られる。また、濾過装置5で濾過装置された切削液LcはクリーンタンクCcに回収される。濾過装置5の底部5tは、排出用コンベヤ4の底部4tよりも低くなっている。また、排出用コンベヤ4から濾過装置5に切削液を送るための勾配が形成されている。したがって、排出用コンベヤ4の底部4tから濾過装置5であるメッショドラムのドラム内部に切削液L1が流れて入り込む構造になっている。すなわち、切削液L1の量が上記よりも少ない場合でも、排出用コンベヤ4の底部4tとメッショドラム5との間に堰5sを設けて、この堰5sを越える水位の切削液L1が流れて入り込む構造になっている。
【0024】
濾過装置5は、切り屑と切削液を分離するもので、排出用コンベヤ4の基端側4kに配されている。濾過装置5は、外周にメッシュ5mが配されて回転するメッショドラム5である。このメッシュドラム5は、排出用コンベヤ4の基端側4kをその筒状の外周で包むように水平に配され(ドラムを横にした配置)、つまりメッシュドラム5の排出用コンベヤ4側は開口されて、排出用コンベヤ4の駆動軸4jを引き込み、メッシュドラム5の閉塞される他方側5kへと引き出して、駆動軸4jを回転させる駆動モータm1に連結されている。メッシュドラム5の回転は、その外周に配されるスプロケット5vと、駆動モータm2とが駆動ベルトで連結されて回転する。したがって、メッシュドラム5を別途排出用コンベヤ4の外部に配設するものではなく、排出用コンベヤ4と一体的な配置のコンパクトな構造であるとともに、排出用コンベヤ4による切り屑の排出の際に生じる切削液もメッシュドラム5の中に引き込まれる構造になっている。なお、メッシュドラム5の回転方向は、排出用コンベヤ4の駆動軸4jの回転方向と同じであっても、これとは逆の回転方向であっても良いが、本実施の形態では、互いに逆向きに回転する。スクリューコンベア4の基端側には仕切り部4zがその軸4jに取り付けられている。符号5mはメッシュドラムのメッシュを示し、符号5hはメッシュドラムの補強板を示す。このような排出用コンベヤ4としては、スクリューコンベア4を使用しているが、コイルコンベヤ等でも同様の効果が得られる。
【0025】
メッシュドラム5の内側には、掻き上げ板8が配されている。この掻き上げ板8は、メッシュドラム5の底部に貯まる切り屑をメッシュドラム5の上方側に掻き上げるもので、メッシュドラム5の内側に均等間隔で複数配されている。さらに、メッシュドラム5の中にシュータ7が取付けられている。シュータ7は、板金を略コ字型に曲げ加工したもので、メッシュドラム5の中において、メッシュドラム5の回転中心よりも上方であり、その先端側がスクリューコンベヤ4のスクリュー4sの位置まで及ぶように下方に傾斜させて配置されるとともに、その基端側は閉塞するメッシュドラム5の基端側を貫通して止められている。したがって、メッシュドラム5の回転により掻き上げ板8により掻き上げられた切り屑や第2の噴射ノズルn2の液の噴射によりメッシュドラムのメッシュから落下される切り屑は、上記シュータ7によりスクリューコンベヤ4に送られて機外に排出される。
【0026】
ここで、上記メッシュドラム5の構成としては、その中心5qに軸を実際に配置して、排出用コンベヤ4の駆動軸4jの中心4qとを同じにすることも可能である(図7と図8)。このような構成にすると、メッシュドラム5の駆動手段と排出用コンベヤ4の駆動手段m2とを一つにする構造にもでき、装置の小型化が更に図れる構造になる。また、上記メッシュドラム5の構成としては、二重や三重のメッシュ構造や、これらの多重のメッシュの各メッシュの間隔を開けたものとしても良い。なお、チップ搬送コンベヤBの駆動軸r2とスクリューコンベヤ4の駆動軸4jとをチェーンベルトで駆動伝達可能に繋がらせて、駆動軸r2の回転に同期してスクリューコンベヤ4を回転させることも可能である。
【0027】
次に、本実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置1を使用して、切削液の付着した切り屑の機外への排出する順序を説明する。
まず、図1に示すように、工作機械Mcから切削液L1とともに排出された切り屑は、セミクリーンタンクScに排出され、セミクリーンタンクScに排出された切り屑は、セミクリーンタンクScの切削液L1と混ざり合わされた状態でチップ搬送コンベヤBにより搬送される。チップ搬送コンベヤBには金網A(12)が設けられているので、切り屑はこの金網Aに補足されて斜め上方の搬送路を上昇して行き、その上昇の過程で切り屑に付着した切削液L1は金網Aを通過するように落下する。このように切削液L1の付着量が少なくなった切り屑は、チップ搬送コンベヤBの折り返した落下位置yにおいて、噴射ノズルn1による噴射も相まって開口枠3を介して排出用コンベヤ(スクリューコンベヤ)4に排出される。なお、このとき切り屑の一部は、排出用コンベヤ4の基端側に配される濾過装置5にも入り込んでも良い。濾過装置5に入り込んだ切り屑は、濾過装置5により切り屑と切削液Lcとに分離される。
【0028】
チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑は、切削液L1がある程度は除去されているが、排出用コンベヤ4のスクリュー4sにより斜めに傾斜した廃棄口eへと押しやられるようになると、切削液L1が滲み出すように表れ、斜め上方の廃棄口eから排出されるまでその滲み出しで、その生じた切削液Lは勾配が形成された排出用コンベヤ4の基端側から濾過装置5へと導かれるように流れ込む。濾過装置5の底部5tは、排出用コンベヤ4の底部4tよりも低くなっているので、この位置で集められた切削液Lcは、排出管6からクリーンタンクCcへと送られる。したがって、チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑は、切削液Lの付着量が非常に少ないものとして廃棄口eから排出される。
【0029】
そして、濾過装置5には、主に細かな切り屑が切削液L1とともに集められる。ここに集められた切り屑は、メッシュドラム5の掻き上げ板8により掻き揚げられてシュータ7に送り込むと、シュータ7から切り屑は排出用コンベヤ4へと送られる。濾過装置5で濾過された切削液Lcは濾過状態の優れたものであり、濾過装置5の底部5tに設けられる排出管6から切削液として使用されたことない切削液Lcが貯蔵されるクリーンタンクCcに送り込んでも問題はない。すなわち、従来の装置のように上記セミクリーンタンクScに送り込む必要がない。この点、従来装置では、上記セミクリーンタンクScに送り込まれ比較的大きな濾過装置により濾過装置されていたが、その濾過状態が十分なものではなかった。しかし、本実施の形態によれば、従来、チップ搬送コンベヤBから落下した切り屑や切削液Lが装置の内壁を伝わるように上記セミクリーンタンクScに流れ込んでいたものをすべて濾過装置5で分離して、切削液LはクリーンタンクCcへと、切削液Lの非常に少ない切り屑を機外に排出することができる。また、濾過装置5の上方の第2の噴射ノズルn2は、濾過装置5に向けて切削液L1を噴射することで、濾過装置5に付着した切り屑を落下させ、シュータ7に送り込む濾過装置5の底部5tに落下させたりする。なお、切り屑の落下位置yから落下させた切り屑は廃棄口eから排出され、濾過装置5で濾過された切削液LcはクリーンタンクCcに送られるもので、本実施の形態では、それ以外には、例えば内壁面を伝わってセミクリーンタンクScに流れ込むようなことはない構造になっている。
【0030】
次に、チップ搬送コンベヤBのプレート板Pの他の例を説明する。このプレート板Pとしては、ヒンジ構造により連結されているものや、各プレート板は、連結方向の一方が断面が凹状の凹部とされ、連結方向の他方が断面が凸状の凸部とされ、任意の一のプレート板とその前のプレート板とは、任意の一のプレート板の一方の凹部の中にその前のプレート板の他方の凸部が回転し得る状態で配されるもの等が適用可能ある。また、プレート板Pとしては、図14と図15に示すように、プレート板Pに通過孔17aが形成され、この通過孔17aの上に切り屑を捕捉するための網目12aを設けた金網12が配され、この金網12の上に通過孔17aを有するカバー部材13が重ね合わされている。網目12aが設けられたプレート板Pは、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出される切り屑(チップ)をクーラント液と分離しながら搬送するためのもので、各プレート板Pに通過孔17aが形成され、この通過孔17aの上に配される金網12に網目12aが形成され、金網12の上に重ね合わされるカバー部材13とから成る。通過孔17aは、各プレート板Pに4つ長穴状に形状され、この4つの通過孔17aの上方に1つの金網12が配されている。カバー部材13は、金網12をプレート板Pに固定させるためのもので、ボルト止め用の穴B11によりボルトを通して固定される。また、カバー部材13には、上記複数の通過孔17aと上下位置が対応する通過孔18が形成されている。本実施の形態の上記通過孔17aと通過孔18は同じ寸法であるが、例えば、下方側の通過孔17aの方を少し大きく形成するようなことも可能である。通過孔17aとしては、図8に示すように、一つの大きな通過孔17aが設けられたものでも良く、同じく通過孔18も一つでも良い。また、プレート板Pと金網12とカバー部材13とはボルト止めされる例で説明するが、溶接や接着剤等で重ね合わせるものでも良い。
【0031】
したがって、上記チップ搬送コンベヤを使用して、実際に旋盤や金属加工用工作機械等により切削された切り屑を搬送すると、切削されたチップは、クーラント液が混ざった状態で斜め上方に搬送されるが、上記金網12により切り屑が捕捉される一方、クーラント液が通過して、切り屑のみが上記金網12の網目12aに捕捉された状態で、斜め上方端部の駆動軸で約180度折り返され、この折り返し点からやや下方に下りた位置yで切り屑を下方に落下させる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図9から図11は、本実施の形態のチップ搬送コンベヤBの濾過装置5と排出用コンベヤ4を拡大して示す図である。このチップ搬送コンベヤ装置Bの排出用コンベヤ4は、駆動軸4jの基端側にもスクリュー4ksが設けられるとともに(このスクリュー4ksを基端側のスクリュー4ksと呼ぶ)、この基端側のスクリュー4ksの底部に円弧状の底部Uが設けられている。スクリュー4ksの先端部と円弧状の底部Uとは近接する配置である。また、円弧状の底部Uは、スクリュー4sの位置にも連続しているが、スクリュー4sの位置では円弧状の径が上方に向かって大きく形成されている。本実施の形態では、第1の実施の形態のようなシュータ7は設けれておらず、上記スクリュー4ksと円弧状の底部Uが第1の実施の形態のシュータ7の役割を果たす。すなわち、上記スクリュー4ksが円弧状の底部Uと接触するほどに近接して回転して、主に細かな切り屑をスクリューコンベヤ4の先端側に搬送する働きをする。なお、本実施の形態の上記円弧状の底部Uは回転するものであり、スクリュー4ksの底部の位置に来るときに第2の噴射ノズルn2の液の噴射が行われるが、回転しないものであっても良い。また、第1の実施の形態の開口枠3には、落下した切り屑を中央に集める傾斜部3a,3b,3c,3dが設けられているが、本実施の形態の開口枠3には、上記傾斜部3aのみ設けられている。なお、本実施の形態では、上記掻き上げ板8も設けられていないもので説明したが、上記掻き上げ板8を設けることも勿論可能である。
【0033】
したがって、上記チップ搬送コンベヤBが反転した折り返し位置yで切り屑を落下させると、開口枠3を介して切り屑は、その下方に位置するスクリュー4sにより上へ上へと押し上げられ、スクリューコンベヤ4の廃棄口eから機外の廃棄箱へと廃棄される。一方、切削液L1は、排出用コンベヤ4の位置よりも上まで入るが、細かな切り屑を含む切削液L1は、メッシュドラムである濾過装置5に入り込み、濾過装置5の回転により濾過され、排出管6からクリーンタンクCcへと送られる。そして、切削液L1に含まれる細かな切り屑は、濾過装置5の回転により掻き揚げられて(掻き上げ板8があるときは、更に掻き上げ板8により掻き揚げられて)、基端側の径の小さなスクリュー4ksに送られて(その底側の円弧状の底部Uを底板として)、そしてその先端の径の大きなスクリュー4sに送られて、廃棄口eから廃棄される。
【0034】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、チップ搬送コンベヤBは、切り屑を捕捉するための網目を設けた金網Aが配されないものでも適用可能である。また、本実施の形態では、従来のセミクリーンタンクScに配置される濾過装置は、セミクリーンタンクScに配置されないもので説明した。これは上記濾過装置5により必要なくなるからであるが、実施に応じては、セミクリーンタンクScに濾過装置を従来のように配置することは可能である。さらに、本実施の形態では、上記濾過装置5で濾過された切削液Lc上記クリーンタンクCcに送るものとして説明したが、セミクリーンタンクScに送ることも実施に応じて可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置全体を模式的に示す正面図である。
【図2】上記第1の実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置の正面側の断面図を示す。
【図3】上記第1の実施の形態のチップ搬送コンベヤ装置の左側面側の断面図を示す。
【図4】上記第1の実施の形態の排出用コンベヤと濾過装置を上面から見た断面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】上記濾過装置の他の例を示す断面図である。
【図8】図7のE−E線断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の排出用コンベヤと濾過装置を示す上面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】図9のD−D線断面図である。
【図12】上記実施の形態のチップ搬送コンベヤの例を示す斜視図である。
【図13】上記実施の形態のチップ搬送コンベヤの例を示す斜視図である。
【図14】上記実施の形態のチップ搬送コンベヤの例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 チップ搬送コンベヤ装置、
3 開口枠、
4 排出用コンベヤ、
4j 駆動軸、4k 排出用コンベヤの基端側、
5 濾過装置(メッシュドラム)、
6 排出管、
7 シュータ、
8 掻き上げ板、
Lc 濾過されたクリーンな切削液、
L1 切削液(切り屑を含む)、
B チップ搬送コンベヤ、
Cc クリーンタンク、
Sc セミクリーンタンク、
P プレート板、
A,12 金網、
Mc 回収位置(工作機械からの切り屑と切削液の回収位置)、
y 切り屑の落下位置、
n1,n2 噴射ノズル(吹き付け手段)、
m1,m2,m3 駆動モータ(駆動手段)、
Z 外装部材、
e 廃棄口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切削液を貯蔵するセミクリーンタンクと、
切削液の付着した切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤと、
チップ搬送コンベヤの搬送途中の所定高さ位置に配され、チップ搬送コンベヤにより搬送された切り屑を排出する排出用コンベヤと、
排出用コンベヤの基端側に配置され、切り屑と切削液を濾過分離する濾過装置とを備え、
濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られて排出口から廃棄され、濾過装置で濾過された切削液は所定のタンクに排出されることを特徴とするチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項2】
前記排出用コンベヤはほぼ水平方向に配され、排出用コンベヤの廃棄口は所定角度に立ち上がる配置の廃棄口とされ、前記濾過装置は、外周にメッシュが配されて回転するメッショドラムであり、その開口先端側で排出用コンベヤの基端側を囲むように配置されることを特徴とする請求項1記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項3】
前記濾過装置であるメッシュドラムの底部に堆積した切り屑を掻き上げる掻き上げ板がドラム内に設けられるとともに、掻き上げられた切り屑を前記排出用コンベヤに送り込むシュータが設けられていることを特徴とする請求項2記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項4】
前記所定のタンクが切削液として使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項5】
前記チップ搬送コンベヤは、搬送物を搬送する複数のプレート板を連結したものであり、このプレート板に通過孔が形成され、この通過孔の上に切り屑を捕捉するための網目を設けた金網が配され、この金網の上に通過孔を有するカバー部材が重ね合わされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項1】
旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切削液を貯蔵するセミクリーンタンクと、
切削液の付着した切り屑を搬送するチップ搬送コンベヤと、
チップ搬送コンベヤの搬送途中の所定高さ位置に配され、チップ搬送コンベヤにより搬送された切り屑を排出する排出用コンベヤと、
排出用コンベヤの基端側に配置され、切り屑と切削液を濾過分離する濾過装置とを備え、
濾過装置で分離された切り屑は排出用コンベヤに送られて排出口から廃棄され、濾過装置で濾過された切削液は所定のタンクに排出されることを特徴とするチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項2】
前記排出用コンベヤはほぼ水平方向に配され、排出用コンベヤの廃棄口は所定角度に立ち上がる配置の廃棄口とされ、前記濾過装置は、外周にメッシュが配されて回転するメッショドラムであり、その開口先端側で排出用コンベヤの基端側を囲むように配置されることを特徴とする請求項1記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項3】
前記濾過装置であるメッシュドラムの底部に堆積した切り屑を掻き上げる掻き上げ板がドラム内に設けられるとともに、掻き上げられた切り屑を前記排出用コンベヤに送り込むシュータが設けられていることを特徴とする請求項2記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項4】
前記所定のタンクが切削液として使用されていないクリーンな切削液を貯蔵するクリーンタンクであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【請求項5】
前記チップ搬送コンベヤは、搬送物を搬送する複数のプレート板を連結したものであり、このプレート板に通過孔が形成され、この通過孔の上に切り屑を捕捉するための網目を設けた金網が配され、この金網の上に通過孔を有するカバー部材が重ね合わされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のチップ搬送コンベヤ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−220228(P2009−220228A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68317(P2008−68317)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(591234488)株式会社ヨシダ鉄工 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(591234488)株式会社ヨシダ鉄工 (13)
【Fターム(参考)】
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