説明

チャイルドシート

【課題】
車両へのチャイルドシートの着脱時に、子供が座るための座面部分を取り外す必要がなく、誤操作によってチャイルドシートが車両から外れてしまう事を防止し、ロック部を確実に車両の取付受部に係止出来るよう構成されたISO−FIX方式のチャイルドシートを提供する。
【解決手段】
ロックアームの伸縮位置が車両へのチャイルドシートの装着状態での使用範囲からなる伸縮制御範囲と、前記伸縮制御範囲よりもロックアームが伸びた位置にある着脱制御範囲とを有し、チャイルドシートの装着状態を解除する手段が複数の操作手段によって実施可能に構成され、更に、前記取付受部に対する前記ロック部の係合の解除と連動して作動する縮みロック機構を有し、前記縮みロック機構は作動時にロックアームの伸縮制御範囲への移動を禁止し、前記取付受部に対する前記ロック部の係合によって前記縮みロック機構が解除される様に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にアイソフィックス(ISO−FIX)方式の固定構造を有するチャイルドシートに関する。さらに詳しくは、ISO−FIX方式による連結を行うためのロックアームが突出・後退可能となっているチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のISO−FIX方式のチャイルドシートとして、車両の座席1の座面2と、この座面2の後部から上方に立設されたシートバック3、及びこれら座面2とシートバック3との接続部分近傍に設けられた取付受部4を備えた座席1に取り付けられるチャイルドシートであって、特開2001−180347では、図18、図19に示す様に、チャイルドシートは、子供が着座するための座面部分を有するシート体801と、車両の座席1の座面2と当接する部分を有し、前記シート体801が着脱可能に取り付けられるベース体802を備え、前記ベース体802の後側位置には後方に突出する一対のロックアーム803を有し、そして各ロックアーム803の先端部には、夫々前記取付受部4と係合可能なロック部804が設けられている。
【0003】
そして、各ロック部804には、左右方向を軸方向とする支軸により回動可能に支持されたフック805が備えられている。また、このフック805は、リンクにより付勢され、また、このリンクには、ロック手段が接続されているとともに、各ロック手段には、ベース体802の上側から操作可能な解除レバー806が設けられている。そして、このロック手段は、フック805が開放位置で前記取付受部4と当接し、フック805に力が加わった状態で、フック805のロック位置への回動を許容し、フック805をロック位置に固定する様に構成される。そして、解除レバー806を上側に引き上げる操作した状態で、フック805の固定状態を解除し、フック805のロック位置から開放位置への回動を許容するように構成されている。
【0004】
ここで、ベース体802は、ラッチ機構により後方にのみ移動する可動プレート807を備え、シート体801を可動プレート807に係合して取り付け、次いで、シート体801を可動プレート807とともに後方に押し込み、シート体801を座席1のシートバック3に押圧した状態とし、がたつくことなく安定して固定させるチャイルドシートが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−180347
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、ベース体802からシート体801を取り付すことによって、ベース体802の上面の解除レバー806の操作が可能となり、解除レバー806の操作によってロック部804を取付受部4から取り外す様に構成されているため、ベース体802とシート体801が分離しない構成のチャイルドシートには利用できず、更に、チャイルドシートの使用時にベース体802に対してロックアーム803が収納方向に移動可能に構成されているため、後方から他の車両に追突された場合に車両の座席1のシートバック3のクッションの収縮に起因して、車両の取付受部4に対してシート体801が近づく方向に移動し、この移動限界において、短時間に大きな前方向の加速度が発生してしまう問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1のISO−FIX方式のチャイルドシートにおいては、ロック部804の係合を解除する手段を、ベース体802からシート体801を取り付す第一の行程と、シート体801を外した状態で操作可能な、解除レバー806の操作によってロック部804の係合を解除する第二の行程で行なう事によって、チャイルドシートに拘束した子供による操作や、着座した子供以外の操作者の誤操作によって、チャイルドシートが車両から外れてしまう事を防止していたが、チャイルドシートの車両への着脱の都度、ベース体802からシート体801を取り付す作業が必要になるため、ベース体802からシート体801を取り外す事ができる構造にしなければならなかった。
【0008】
更に使用時ならびに衝突時にベース体802とシート体801が確実に結合している必要があるため、構造が複雑になり、製品コストが上昇すると共に、チャイルドシート自体の必要強度が増加し、重量の増加による取り扱い性の悪化につながっていた。また車両への着脱作業が煩雑になると同時に、シート体802を外した状態で結合部に塗布されたグリス等により車両のシート等を汚してしまう欠点があった。
【0009】
更に、上記特許文献1のISO−FIX方式のチャイルドシートは、ロック部804を取付受部4に係合する前に、ベース体802に対してシート体801を後方に押してしまうと、ラッチ機構が作動してシート体801が後方に移動してしまうため、ロック部804が取付受部4に届かなくなり、取付受部4にロック部804を係止する事が出来なくなる欠点があった。
【0010】
また、他の既存のISO−FIX方式のチャイルドシートとして、ベース体802の後側に突出するロックアーム803を構成し、ロックアーム803の先端部に車両の取付受部に対して着脱可能に構成したロック部804が設けられ、ベース体802に対してロックアーム803がラッチ機構により前方に移動する構成が公知であるが、これらの既存のチャイルドシートにおいては、ロック部804を車両の係合受部4に係合させる際に、ロック部804が車両のシートバック3または、その周辺に接触してしまうと、ベース体802の方向にロックアーム803が移動してしまい、前記取付受部4にロック部804が届かなくなる欠点があった。
【0011】
本発明は、公知技術のかかる欠点を解決し、車両へのチャイルドシートの着脱時に、子供が座るための座面部分を取り外す必要がなく、チャイルドシートに拘束した子供による操作や、操作者の誤操作によってチャイルドシートが車両から外れてしまう事を防止でき、更に、車両の取付受部へのロック部の係止時に前記ロックアームが収納方向に移動せず、ロック部を確実に車両の前記取付受部に係止する事が出来るチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のチャイルドシートは、座面と、この座面の後部から上方に立設されたシートバック、及び前記座面とシートバックとの接続部分近傍に設けられた取付受部を備えた車両の座席に取り付けられる、子供が座るためのチャイルドシートであって、チャイルドシート本体と、前記チャイルドシート本体の後方下部から後方に向かって突出する左右一対のロックアームと、ロックアームの先端に配置されたロック部を有し、車両へのチャイルドシートの装着状態において、前記左右一対のロックアームのロック部が夫々前記取付受部と係合する様に構成され、前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除するロック解除機構と、前記チャイルドシート本体に対するロックアームの伸縮動作を制御する制御機構と、前記制御機構を操作する操作部と、を有するチャイルドシートにおいて、前記ロックアームの伸縮位置は、車両へのチャイルドシートの装着状態での使用範囲からなる伸縮制御範囲と、車両の前記取付受部に対するロック部の着脱のために設定された前記伸縮制御範囲よりもチャイルドシート本体から前記ロックアームが伸びた位置にある着脱制御範囲と、を有する様に構成されることを特徴とする。
【0013】
更に、前記ロック解除機構は前記ロックアームの伸縮位置が着脱制御範囲にある場合にのみ作動可能に構成されると良い。
【0014】
また、車両へのチャイルドシートの装着状態から前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除する手段が、子供が座るための座面部分が分離されない状態で実施される、複数の操作手段によって実施可能に構成されると良い。
【0015】
更に、車両へのチャイルドシートの装着状態から前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除する手段は、前記操作部の操作によって前記制御機構による前記ロックアームの伸縮動作の制御を解除する第一の操作手段と、前記操作部の操作によって前記ロックアームの伸縮動作の制御を解除した状態で前記チャイルドシート本体を前方に移動させる事により前記チャイルドシート本体に対する前記ロックアームの伸縮位置を伸縮制御範囲から着脱制御範囲まで移動させる第二の操作手段を有し、前記ロックアームの伸縮位置が着脱制御範囲にある状態で前記操作部が操作される事によって、前記ロック解除機構が作動する様に構成されると良い。
【0016】
また、前記取付受部に対する前記ロック部の係合の解除と連動して作動する縮みロック機構を有し、前記縮みロック機構は作動時に前記チャイルドシート本体に対するロックアームの伸縮制御範囲への移動を禁止し、前記取付受部に対する前記ロック部の係合によって、前記縮みロック機構が解除される様に構成されると良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明のチャイルドシートは、車両へのチャイルドシートの着脱時に、子供が座るための座面部分を取り外す必要がなく、チャイルドシートに拘束した子供による操作や、操作者の誤操作によってチャイルドシートが車両から外れてしまう事を防止でき、更に、車両の取付受部へのロック部の係止時に前記ロックアームが収納方向に移動せず、ロック部を確実に車両の前記取付受部に係止する事が出来る効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のチャイルドシートにおける車両の座席への装着の形態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施例における要部斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例における操作部が非操作状態の参考横断面図である。
【図4】本発明の第1実施例における操作部が第一段階の参考横断面図である。
【図5】本発明の第1実施例における操作部が第一段階の参考横断面図である。
【図6】本発明の第1実施例における操作部が第二段階の参考横断面図である。
【図7】本発明の第1実施例におけるフックが非ロック位置の参考縦断面図である。
【図8】本発明の第1実施例におけるフックがロック位置の参考縦断面図である。
【図9】本発明の第1実施例におけるロックアームが着脱制御範囲の参考横断面図である。
【図10】本発明の第1実施例における操作部が未操作状態の要部斜視図である。
【図11】本発明の第1実施例における操作部が第一段階の要部斜視図である。
【図12】本発明におけるロックアームのロック部が非ロック位置の状態における縮みロック機構の拡大側面図である。
【図13】本発明におけるロックアームのロック部が非ロック位置の状態における縮みロック機構の拡大断面図である。
【図14】本発明におけるロックアームのロック部がロック位置の状態における縮みロック機構の拡大側面図である。
【図15】本発明におけるロックアームのロック部がロック位置の状態における縮みロック機構の拡大断面図である。
【図16】本発明の第2実施例における操作部が非操作状態の参考横断面図である。
【図17】本発明の第2実施例における操作部が操作状態(操作途中)の参考横断面図である。
【図18】従来技術のチャイルドシートにおける車両の座席への装着の形態を示す側面図である。
【図19】従来技術のチャイルドシートにおける要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
以下、図面を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は本発明のチャイルドシートにおける車両の座席への装着の形態を示す側面図、図2は本発明の第1実施例における要部斜視図、図3は本発明の第1実施例における操作部が非操作状態の参考横断面図、図4は本発明の第1実施例における操作部が第一段階の参考横断面図、図5は本発明の第1実施例における操作部が第一段階の参考横断面図、図6は本発明の第1実施例における操作部が第二段階の参考横断面図、図7は本発明の第1実施例におけるフックが非ロック位置の参考縦断面図、図8は本発明の第1実施例におけるフックがロック位置の参考縦断面図、図9は本発明の第1実施例におけるロックアームが着脱制御範囲の参考横断面図、図10は本発明の第1実施例における操作部が未操作状態の要部斜視図、図11は本発明の第1実施例における操作部が第一段階の要部斜視図、図12は本発明におけるロックアームのロック部が非ロック位置の状態における縮みロック機構の拡大側面図、図13は本発明におけるロックアームのロック部が非ロック位置の状態における縮みロック機構の拡大断面図、図14は本発明におけるロックアームのロック部がロック位置の状態における縮みロック機構の拡大側面図、図15は本発明におけるロックアームのロック部がロック位置の状態における縮みロック機構の拡大断面図である。
【0021】
なお、以下の説明において、前後方向及び左右方向とは、チャイルドシートが設置される車両用シートに着座した者にとっての前後方向及び左右方向と合致する。
【0022】
第1図の通り、本発明のチャイルドシート10の装着可能な車両の座席1は、座面2と、この座面の後部から上方に立設されたシートバック3を有し、前記座面2とシートバック3との接続部分近傍には、ISO−FIX方式のチャイルドシート連結用アンカとして、左右一対の取付受部4が設けられ、前記取付受部4は、座面2とシートバック3との接続部分近傍を左右方向に横切るように配設され、座席1に取り付けられている。
【0023】
そして前記チャイルドシート10は子供が座るための座面12と、座面12に着座した子供を拘束する拘束ベルトを有するシート体15と、前記シート体15と接続され、底面が車両の座席1の座面2と当接する様に構成されたベース体14とからなるチャイルドシート本体11と、前記ベース体14の後方下部から後方に向かって突出する左右一対のロックアーム20と、前記ロックアーム20の先端に配置され、前記取付受部4と係合可能なロック部30を有する。尚、シート体15とベース体14は一体に構成した構造でも良い。
【0024】
図2に示す様に、前記左右一対のロックアーム20が前記ベース体14の底部位置に配置された左右一対のアームガイド21によって前後方向への移動が可能な状態でベース体14の内部に保持され、更に前記ベース体14内には前記左右一対のロックアーム20の伸縮動作を制御する制御機構40が配置され、前記制御機構40は前記左右一対のアームガイド21に固定された制御機構本体41と、前記制御機構40を操作する操作部42と、前記操作部42の操作によって前後方向に移動する制御機構リンク部材43と、前記制御機構リンク部材43を後方に付勢するバネ44と前記制御機構リンク部材43の先端位置と接続されたストッパーガイド45とを有する。
【0025】
図3〜5に示す様に、前記ロックアーム20の前記制御機構本体41と対向する面には、前後方向に離間して複数の開口部201が形成され、前記制御機構本体41は、前記ロックアーム20の開口部201(凹みでも良い)に対して進退可能に構成されたストッパー46を有し、前記ストッパー46はバネ47によって前記開口部201の方向に付勢される。
【0026】
前記ストッパー46は、前記ロックアーム20の開口部201に対して、前側位置が略垂直に当接し、後側位置が傾斜面463によって当接可能に形成された先端係止部461と、前記ロックアーム20の開口部201に対して前側位置と後側位置が共に略垂直に当接可能に形成された第二係止部462を有する。
【0027】
更に、前記ストッパー46は、前記開口部201に対する進退方向と略垂直方向(上下方向)に突出する形状に形成されたガイド部465を有し、前記ガイド部465は、前記制御機構リンク部材43の先端位置と接続されたストッパーガイド45に形成されたガイド面と当接する様に構成される。
【0028】
前記バネ44によって後方に付勢される前記制御機構リンク部材43は、前記操作部42の操作によって前方に移動する様に構成され、実施例1において前記操作部42のよる操作は、非操作状態と、第一段階までの操作状態と、第二段階までの操作状態からなり、前記ストッパー46のガイド部465と当接するガイド面は、前記ストッパーガイド45がバネによって後方に移動した状態の非操作ガイド面452と、前記操作部42の操作によって第一段階まで前方移動した第一移動ガイド面453と、前記操作部42の操作によって第二段階まで前方移動した第二移動ガイド面454を有する。
【0029】
前記の操作部42の第一段階までの操作状態と、第二段階までの操作状態の切り替えは、前記操作部42に移動位置制御レバー(図示せず)を設け、前記操作部42の移動操作により前記第一段階の操作状態になった時点で、前記移動位置制御レバーがベース体14の一部と当接して前記操作部42の第二段階までの移動を制御する様に構成し、前記移動位置制御レバーを操作してベース体14との当接状態を解除する事によって前記操作部42の第二段階までの移動が可能になる様に構成する事が出来る。尚、前記操作部42の移動操作による前記第一段階の操作状態で、前記操作部42の第二段階までの移動を制御する構成は、本実施例に限定されず、既存の技術を応用する事ができる。尚、前記制御機構リンク部材43がバネ44によって前方に付勢されると共に、前記操作部42の操作によって後方に移動する様に構成しても良い。
【0030】
図3に示す様に、上記制御機構40により、前記ストッパー46のガイド部465が当接するガイド面が、前記非操作ガイド面452の場合には、前記ロックアーム20の開口部201への突出距離が最大となり、前記ロックアーム20の開口部201に対して前記ストッパー46の第二係止部462が係止する事によって、前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動が禁止される。
【0031】
また、図4に示す様に、前記ストッパー46のガイド部465が当接するガイド面が第一移動ガイド面453の場合には、前記非操作ガイド面452よりも前記ロックアーム20からの距離が遠くなり、前記ロックアーム20の開口部201への突出するストッパー46の位置が先端係止部461の位置となる事によって、前記ロックアーム20のベース体14に対する後方向(伸び方向)の移動が禁止されるが、前記ロックアーム20のベース体14に対する前方向(縮み方向)の移動は禁止されず、図5に示す様に、前記ロックアーム20の前方向(縮み方向)の移動が可能になり、その際には前記ストッパー46の傾斜面463によってストッパー46が前記開口部201に対して進退を繰り返す様に構成されたラッチ構造となる。
【0032】
また、図5に示す様に、前記ストッパー46のガイド部465が当接するガイド面が第二移動ガイド面454の場合には、前記第一移動ガイド面453よりも更に前記ロックアーム20からの距離が遠くなり、前記ロックアーム20の開口部201に対して、ストッパー46の前後両方の垂直面が非係止となる事によって、前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動を制御する制御機構40が解除される。
【0033】
尚、前記ストッパー46の前後両方の先端部に傾斜面を形成して(図示せず)、前記ストッパー46のガイド部465が当接するガイド面が第二移動ガイド面454の場合に、前記ロックアーム20の開口部201に対して、ストッパー46の前後両方に形成した傾斜面が当接する様に構成しても良く、その場合は前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動が可能であるが、前記ロックアーム20の前後方向の移動時に前記ストッパー46が進退運動を繰り返す様になり、前記ロックアーム20の前後方向の移動時に段階的な操作感を得る事ができる。尚、本発明において、前記ロックアーム20の伸縮動作を制御する制御機構40は、本実施例に限定されず、既存のあらゆる伸縮動作の制御機構を利用する事ができる。
【0034】
図7、図8に示す様に、本発明のチャイルドシートのロックアーム20の先端部に配置されたロック部30は、一端に車両の取付受部4を受入可能な受入口311が形成されたフック31を有し、前記フック31は前記ロックアーム20の左右の側壁間に配置された軸部32によって回動し、前記受入口311が後方に開口した状態の非ロック位置315と、前記受入口311がロックアーム20の下面によって閉鎖された状態のロック位置316との切り替えが可能な様に軸支され、前記軸部32の周囲に配置されたバネ33によって前記フック31は非ロック位置315の方向に付勢される様に構成される。
【0035】
更に前記ロック部30は、前記ロックアーム20の内部において前後方向に配置されたロックバー34と、前記ロックバー34を後方に付勢するバネ35を有し、前記ロックバー34は前記フック31が非ロック位置315の状態において、後方の先端部341が前記フック31と当接する第一のロックバー位置345を有する。
【0036】
更に前記ロックバー34は前記フック31がロック位置まで回動した時に先端部の上面342が前記フック31に形成された凹状係止部312と係合して前記フック31が非ロック位置315方向に回動する事を阻止する第二のロックバー位置346を有する。
【0037】
前記ロックアーム20の先端部に配置されたロック部30と前記取付受部4を係止させる際には、前記フック31の受入口311内に前記取付受部4を配置した状態で、前記バネ33の付勢力よりも大きな力でベース体14(チャイルドシート本体11)を後方に移動させる事によって、前記フック31が回動し、フック31に形成された凹状係止部312が前記ロックバー34の先端位置に移動する事により、バネ35の付勢力によって後方に付勢された前記ロックバー34の後方先端部341がフック31に形成された凹状係止部312内に移動し、前記ロックバー34の先端部の上面342と前記凹状係止部312の顎部313が係合して、前記ロック部30と前記取付受部4との係止状態が維持可能に構成される。
【0038】
また、本実施例においては、図3〜図8に示す様に、前記ベース体14の底部位置に前後方向に配置された左右一対のロック解除リンク部材50を有し、前記ロック解除リンク部材50の後方部分は前記ロックアーム20内に配置され、前方部分には左右方向に略垂直に折り曲げた折曲腕部501と、この折曲腕部501を前方方向に略垂直に折り曲げた先端部503が形成され、前記折曲腕部501の略中央部には孔502が形成され、前記先端部503には前後方向に伸びる長孔504が形成され、このロック解除リンク部材50はアダプタ51を介して前方部分が前記制御機構リンク部材43と接続される。
【0039】
前記アダプタ51は、左右方向の一方の位置に前記制御機構リンク部材43との固定部を有し、更に前記ロック解除リンク部材50を後方に付勢するためのバネ52を保持する手段と、前記ロック解除リンク部材50に対して前記アダプタ51の前後方向への相対的な移動を可能な状態で前記ロック解除リンク部材50を保持する手段と、前記ロック解除リンク部材50を前方に移動させるための移動手段を有する。
【0040】
ここで、前記ロック解除リンク部材50を後方に付勢するためのバネ52を保持する手段は、前記アダプタ51の前後略中央位置において左右他方の方向に突出する第一の腕部512と、その第一の腕部512の先端部に後方に向かって形成されたバネ受け部513よりなり、このバネ受け部513に前方端部が保持されたバネ52は後方端部が前記折曲腕部501の前面と当接して、ロック解除リンク部材50を後方に付勢する様に構成される。
【0041】
そして、前記ロック解除リンク部材50を前後方向に相対移動可能に保持する手段は、前記アダプタ51の前方位置において、左右他方の方向に突出して前記ロック解除リンク部材50の長孔504を貫通する様に配置され、その先端部には外れ止め用の顎部515が形成される第二の腕部514と、前記アダプタ51の後方位置において、左右他方の方向に突出し、更にその先端部から前方に向かって延在するピン状突起517を有する第三の腕部516を有し、前記ピン状突起517は、前記ロック解除リンク部材50の孔502を貫通する様に配置され、その先端部は、前記バネ受け部513と対向して配置され、バネ52の外れ止め機能を有する。
【0042】
そして、前記ロック解除リンク部材50を前方に移動させるための移動手段は、第三の腕部516の前面が、前記折曲腕部501の後面と当接する事により実行される。
【0043】
尚、前記折曲腕部501の後面は、ベース体14の底面から上方に延在して形成された位置決リブ53によって後方への移動位置が制限され、前記操作部42の非操作状態から第一段階までの操作状態において前記折曲腕部501の後面が前期位置決リブ53に突き当たる様に前記位置決リブ53を配置する事により、記操作部42の非操作状態から第一段階までの操作状態においては、第三の腕部516の前側面と前記折曲腕部501の後側との間が離間し、記操作部42を操作しても前記ロック解除リンク部材50が前後方向に移動せず、前記操作部42を第一段階までの操作状態から第二段階までの操作した際には、第三の腕部516の前面が前記折曲腕部501の後面と当接して、前記ロック解除リンク部材50が前方向に移動する様に構成される。
【0044】
上記構成において、前記ロックアーム20の伸縮位置は、図3〜図8で表示された、車両へのチャイルドシートの装着状態での使用範囲として設定された、前記前記ロックアーム20の複数の開口部201に対してストッパー46が係止可能な伸縮制御範囲22と、図9に示す様に、車両の前記取付受部4に対するロック部30の着脱のために設定された前記伸縮制御範囲22よりもベース体14から前記ロックアーム20が伸びた位置にある着脱制御範囲23とを有する様に構成される。
【0045】
そして、図10、図11に示す様に、前記ロック解除リンク部材50の後方部と、前記ロックバー34の前方部には、夫々係合部505、347が形成され、前記ロックアーム20が着脱制御範囲23にある時に、図10に示す前記操作部42の未操作状態から、図11に示す様に、前記操作部42の第一段階まで移動操作する事によりベース体14に対して前記ロック解除リンク部材50が前方向へ移動して前記ロック解除リンク部材50の係合部505と前記ロックバー34の係合部347が当接した状態となり、その状態では前記ロックバー34の移動が実施されないため、図8で示す様に、ロックバー34は第一のロックバー位置345の状態が維持され、更に、前記操作部42を第二段階まで移動操作する事によって、前記ロック解除リンク部材50の後方部に形成された係合部505の前方移動に伴い前記ロックバー34の前方部に形成された係合部347を含むロックバー34が前方に移動し、第二のロックバー位置346まで、または前記第二のロックバー位置346よりも前方向に移動する事により、図7に示す様に、前記ロックバー34の先端部の上面342と前記フック31の凹状係止部312との係合状態が解除され、前記ロック部30のフック31がバネ33の付勢力によって非ロック位置315に回動して前記ロック部30と取付受部4の係止状態が解除される様に構成される。
【0046】
尚、前記ロックアーム20が伸縮制御範囲22にある時には、前記操作部42を第二段階まで移動操作する事によりベース体14に対して前記ロック解除リンク部材50を前方向へ移動させても、前記ロック解除リンク部材50の係合部505と前記ロックバー34の係合部347は係合しないで離間した状態が維持される様に構成されるため、前記ロックバー34を前方に移動させる事が出来ず、前記ロック部30と取付受部4の係止状態を解除する事は出来ない。
【0047】
従って、車両へのチャイルドシート10の装着状態から前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合を解除する場合には、車両の座席1の座面2と当接するベース体14と、子供が座るための座面12部分を有するシート体15が接続された状態で、第一の操作として、前記操作部42を第二段階まで移動操作する事により、前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動を可能とし、次に、第二の操作として、第一の操作を維持した状態でチャイルドシート本体11(ベース体14)を前方に移動させる事により前記ベース体14に対する前記ロックアーム20の伸縮位置を着脱制御範囲23まで移動する事により、ロック解除リンク部材50の係合部505と前記ロックバー34の係合部347が係合し、更にチャイルドシート本体11(ベース体14)を前方に移動させる事により、前記ロックバー34が前方に移動した第二のロックバー位置346になり、前記ロックバー34の先端部の上面342と前記フック31の凹状係止部312との係合状態が解除される事により、前記ロック部30のフック31がバネ33の付勢力によって非ロック位置315に回動し、前記ロック部30と取付受部4の係止状態が解除される。尚、前記ベース体14と、前記シート体15が分離可能な構成のチャイルドシートにおいては、前記ベース体14から前記シート体15を分離した状態で、前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合を解除する操作を行なう事ができる様に構成しても良い。
【0048】
尚、本発明において、車両へのチャイルドシート10の装着状態から前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合を解除する手段は、上記の通り、第一の操作と第二の操作からなる複数の操作を行なわない限り、チャイルドシート10を車両の前記取付受部4から外す事ができないため、チャイルドシート10に拘束した子供による操作によって、保護者の意に反してチャイルドシート10が車両から外れてしまう事を防止できる。
【0049】
更に、上記操作の1つに、チャイルドシート本体11(ベース体14)を前方に移動させる操作が含まれるため、子供がチャイルドシート10に着座した状態では子供の体重によってチャイルドシート10の底面と車両の座席1の座面2の摩擦抵抗が増大して操作が困難となるため、チャイルドシート10に着座した子供以外の操作者の誤操作によって、チャイルドシート10が車両から外れてしまう事を防止できる。
【0050】
更に本発明のチャイルドシート10は、図7、図8、図12〜図15に示す様に、前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合の解除と連動して作動する縮みロック機構60を有し、前記縮みロック機構60は作動時に前記チャイルドシート本体10に対するロックアーム20の伸縮制御範囲22への移動を禁止し、前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合によって、前記縮みロック機構60が解除される様に構成されるため、前記ロックアーム20のロック部30は、フック31が非ロック位置315の状態においては常に前記ロックアーム20が着脱制御範囲23にある様に構成される。
【0051】
上記縮みロック機構60は、前記ロックアーム30が着脱制御範囲23の位置でロックアーム30から突出可能な突出部611を有するロック片61と、前記ロックバー34に形成され前側位置が低く後側位置が高く形成された傾斜面からなるガイド面621を有するロックガイド部62とを有し、前記ロック片61は左右方向に突出して形成されたガイドシャフト612を有し、左右何れか一方の前記ガイドシャフト612がロックアーム20の側面に上下方向に形成された長孔202内に配置される事により前記ロック片61の移動方向が上下方向に規制され、左右何れか他方の前記ガイドシャフト612は前記ロックガイド部62のガイド面621と当接する事により前記ガイドシャフト612と当接するガイド面621の高さによって前記ロック片61の上下位置が制御される様に構成され、更に前記ロックアーム20の前記ロック片61の配置位置には、前記ロック片61の突出部が通過可能な孔203が形成され、前記ロックアーム20から前記ロック片61の突出部が突出した状態においてアームガイド21(ベース体14に固定された部材であれば他の構成部材でも良い)と当接して前記ロックアーム20が伸縮制御範囲22に移動する事を防止する構成を有する。
【0052】
ここで、図7、図12、図13に示す、前記ロックアーム20のロック部30が非ロック位置315の状態においては、ロックバー34が前方に移動した第一のロックバー位置345となるため、前記ロック片61のガイドシャフト612は高い位置にある前記ロックガイド612の後側ガイド面と当接して前記ロック片61の突出部611が前記ロックアーム20から上方に突出して前記ロックアーム20の伸縮制御範囲22の方向の移動を禁止し、図8、図14、図15に示す、前記ロックアーム20のロック部30がロック位置316の状態においては、ロックバー20が後方に移動した第二のロックバー位置346となるため、前記ロック片61のガイドシャフトは低い位置にある前記ロックガイド部62の前側ガイド面621と当接して前記ロック片61の突出部611が前記ロックアーム20から上方から突出しない位置に保持され、前記ロックアーム20の伸縮制御範囲22の方向の移動が可能となる。
【0053】
よって、前記チャイルドシート10のロックアーム20のロック部30を、車両の前記取付受部4に係止する際には、前記ロック部30のフック31が非ロック位置315である限り、前記縮みロック機構60によってロックアーム20が伸縮制御範囲22に移動する事が防止されるため、前記ロックアーム20のロック部30を、確実に車両の前記取付受部4に係止する事が可能となる。尚、付属品としてダミーの取付受部(図示せず)を用意し、本発明のチャイルドシートを保管、収納する際には、まずロックアーム30が着脱制御範囲23の位置で前記ロック部30に前記ダミーの取付受部をロックさせる事により前記縮みロック機構60を解除し、次に前記操作部42を第一段階または第二段階までの操作した状態で、ベース体14への収納方向にロックアーム20を押し込む事により、車両への非装着状態でロックアーム20を収納した状態にする事ができる。
【実施例2】
【0054】
以下、図面を参照して第2実施の形態について説明する。
【0055】
図1は本発明のチャイルドシートにおける車両の座席への装着の形態を示す側面図、図12は本発明におけるロックアームのロック部が非ロック位置の状態における縮みロック機構の拡大側面図、図13は本発明におけるロックアームのロック部が非ロック位置の状態における縮みロック機構の拡大断面図、図14は本発明におけるロックアームのロック部がロック位置の状態における縮みロック機構の拡大側面図、図15は本発明におけるロックアームのロック部がロック位置の状態における縮みロック機構の拡大断面図、図16は、本発明の第2実施例における操作部が非操作状態の参考横断面図、図17は本発明の第2実施例における操作部が操作状態(操作途中)の参考横断面図である。
【0056】
第1図の通り、本発明のチャイルドシートの装着可能な車両の座席は、座面2と、この座面の後部から上方に立設されたシートバック3を有し、前記座面とシートバック3との接続部分近傍には、ISO−FIX方式のチャイルドシート連結用アンカとして、左右一対の取付受部4が設けられ、各取付受部4は、座面2とシートバック3との接続部分近傍を左右方向に横切るように配設され、座席1に取り付けられている。
【0057】
そして前記チャイルドシート10は子供が座るための座面12と、座面12に着座した子供を拘束する拘束ベルトを有するシート体15と、前記シート体15と接続され、底面が車両の座席1の座面2と当接する様に構成されたベース体14とからなるチャイルドシート本体11と、前記ベース体14の後方下部から後方に向かって突出する左右一対のロックアーム20と、前記ロックアーム20の先端に配置され、前記取付受部4と係合可能なロック部30を有する。尚、シート体15とベース体14は一体に構成した構造でも良い。
【0058】
図16、図17に示す様に、前記左右一対のロックアーム20は前記ベース体14の底部位置に配置された左右一対のアームガイド21によって前後方向への移動が可能な状態でベース体14の内部に保持され、更に前記ベース体14内には前記左右一対のロックアーム20の伸縮動作を制御する制御機構70が配置され、前記制御機構70は前記左右一対のアームガイド21に固定された制御機構本体71と、前記制御機構70を操作する操作部72と、前記操作部72の操作によって前後方向に移動する制御機構リンク部材73と、前記制御機構リンク部材73を後方に付勢するバネ(図示せず)と前記制御機構リンク部材73の先端位置に配置されたストッパーガイド75とを有する。
【0059】
前記ロックアーム20の前記制御機構本体71と対向する面には、前後方向に離間して複数の開口部201が形成され、前記制御機構本体71は、前記ロックアーム20の開口部201(凹みでも良い)に対して進退可能に構成されたストッパー76を有し、前記ストッパー76はバネ77によって前記開口部方向201に付勢される。
【0060】
前記ストッパー76は、前記ロックアーム20の開口部201に対して前側位置と後側位置が共に略垂直に当接可能に形成された係止部761を有する。
【0061】
更に、前記ストッパー76は、前記開口部201に対する進退方向と略垂直方向(上下方向)に突出する形状に形成されたガイド部762を有し、前記ガイド部762は、前記制御機構リンク部材73の先端部に配置されたストッパーガイド75に形成されたガイド面751と当接する様に構成される。
【0062】
バネ74によって後方に付勢される前記制御機構リンク部材73は、前記操作部72の操作によって前方に移動する様に構成され、前記ストッパー76のガイド部762と当接するストッパーガイド75のガイド面は、バネによって前記ストッパーガイド75が後方に移動した状態の非操作ガイド面752と、前記操作部72の操作によって前記ストッパーガイド75が前方移動した状態の移動ガイド面753を有する。尚、前記制御機構リンク部材73はバネによって前方に付勢されると共に、前記操作部72の操作によって前記制御機構リンク部材73が後方に移動する様に構成しても良い。
【0063】
前記ストッパー76のガイド部762が当接するガイド面751が、前記非操作ガイド面752の場合には、上記制御機構70により、前記ロックアーム20の開口部201から、前記ストッパー76の係止部761が突出し、前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動が禁止される。
【0064】
また、前記操作部72の操作によって前記ストッパー76のガイド部762が当接するガイド面751が移動ガイド面753の場合には、前記非操作ガイド面752よりも前記ロックアーム20からの距離が遠くなり、前記ロックアーム20の開口部201に対して、ストッパー76の前後両方の垂直面が非係止となる事によって、前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動が可能となる。
【0065】
尚、前記ストッパー76の前後両方の先端部に傾斜面を形成して、前記ストッパー76のガイド部762が当接するガイド面751が移動ガイド面753の場合に、前記ロックアーム20の開口部201に対して、前記ストッパー76の前後両方の傾斜が当接する様に構成しても良く、その場合は前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動が可能であるが、前記ロックアーム20の前後方向の移動時に前記ストッパー76が進退運動を繰り返す事によって、前記ロックアーム20の前後方向の移動時に段階的な操作感を得る事ができる。尚、本発明において、前記ロックアーム20の伸縮動作を制御する制御機構70は、本実施例に限定されず、既存のあらゆる伸縮動作の制御機構を利用する事ができる。
【0066】
本発明のチャイルドシート10のロックアーム20の先端部に配置されたロック部30は、実施例1(図7、図8)と同様に、一端に車両の取付受部4を受入可能な受入口311が形成されたフック31を有し、前記フック31は前記ロックアーム20の左右の側壁間に配置された軸部32によって回動し、前記受入口311が後方に開口した状態の非ロック位置315と、前記受入口311がロックアーム20の下面によって閉鎖された状態のロック位置316との切り替えが可能な様に軸支され、前記軸部32の周囲に配置されたバネ33によって前記フック31は非ロック位置315の方向に付勢される様に構成される。
【0067】
更に前記ロック部30は、前記ロックアーム20の内部において前後方向に配置されたロックバー34と、前記ロックバー34を後方に付勢するバネ35を有し、前記ロックバー34は前記フック31が非ロック位置315の状態において、後方の先端部341が前記フック31と当接する第一のロックバー位置345を有する。
【0068】
更に前記ロックバー34は前記フック31がロック位置まで回動した時に先端部の上面342が前記フック31に形成された凹状係止部312と係合して前記フック31が非ロック位置315方向に回動する事を阻止する第二のロックバー位置346を有する。
【0069】
前記ロックアーム20の先端部に配置されたロック部30と前記取付受部4を係止させる際には、前記フック31の受入口311内に前記取付受部4を配置した状態で、前記バネ33の付勢力よりも大きな力でベース体14(チャイルドシート本体11)を後方に移動させる事によって、前記フック31が回動し、フック31に形成された凹状係止部312が前記ロックバー34の先端位置に移動する事により、バネ35の付勢力によって後方に付勢された前記ロックバー34の後方先端部341がフック31に形成された凹状係止部312内に移動し、前記ロックバー34の先端部の上面342と前記凹状係止部312の顎部313が係合して、前記ロック部30と前記取付受部4との係止状態が維持可能に構成される。
【0070】
また、本実施例においては、図16、図17に示す様に、前後方向に配置された左右一対のロック解除リンク部材50を有し、前記ロック解除リンク部材50の後方部分は前記ロックアーム20内に配置され、前方部分には左右方向に略垂直に折り曲げた折曲腕部501と、この折曲腕部501を前方方向に略垂直に折り曲げた先端部503が形成され、前記先端部503は前記制御機構リンク部材73と固定される。
【0071】
前記操作部72を操作した際には、前記制御機構リンク部材73の前方への移動と連動して、前記ロック解除リンク部材50が前方向に移動する様に構成される。尚、この前記ロック解除リンク部材50の作動構造は、実施例1と同様に構成しても良く、また、他の既存の構成を利用しても良い。
【0072】
上記構成において、実施例1と同様に、前記ロックアーム20の伸縮位置は、車両へのチャイルドシートの装着状態での使用範囲として設定された、前記前記ロックアーム20の複数の開口部201に対してストッパー46が係止可能な伸縮制御範囲22と、車両の前記取付受部4に対するロック部30の着脱のために設定された前記伸縮制御範囲22よりもベース体14から前記ロックアーム20が伸びた位置にある着脱制御範囲23とを有する様に構成される。(実施例1の図9参照)
【0073】
そして、実施例1(図10、図11)と同様に、前記ロック解除リンク部材50の後方部と、前記ロックバー34の前方部には、夫々係合部505、347が形成され、前記ロックアーム20が着脱制御範囲23にある時に、前記操作部72(図10、図11においては操作部51)を移動操作する事によりベース体14に対して前記ロック解除リンク部材50が前方向への移動し、前記ロック解除リンク部材50の係合部505と前記ロックバー34の係合部347が係合して前記ロックバー34を前方に移動させる様に構成され、前記ロックバー34が前記第二のロックバー位置346まで、または前記第二のロックバー位置346よりも前方向に移動する事によって、前記ロックバー34の先端部の上面342と前記フック31の凹状係止部312との係合状態が解除され、前記ロック部30のフック31がバネ33の付勢力によって非ロック位置315に回動して前記ロック部30と取付受部4の係止状態が解除される様に構成される。
【0074】
尚、前記ロックアーム20が伸縮制御範囲22にある時には、前記操作部72(図10、図11においては操作部51)を移動操作する事によりベース体14に対して前記ロック解除リンク部材50を前方向へ移動させても、前記ロック解除リンク部材50の係合部505と前記ロックバー34の係合部347は係合しないで離間した状態が維持される様に構成されるため、前記ロックバー34を前方に移動させる事が出来ず、前記ロック部30と取付受部4の係止状態を解除する事は出来ない。
【0075】
従って、車両へのチャイルドシート10の装着状態から前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合を解除する場合には、車両の座席1の座面2と当接するベース体14と、子供が座るための座面12部分を有するシート体15が接続された状態で、第一の操作として、図16、図17に示す、前記操作部72を移動操作する事により、前記ロックアーム20のベース体14に対する前後方向の移動を可能とし、次に、第二の操作として、第一の操作を維持した状態でチャイルドシート本体11(ベース体14)を前方に移動させる事により前記ベース体14に対する前記ロックアーム20の伸縮位置を着脱制御範囲23まで移動する事により、ロック解除リンク部材50の係合部505と前記ロックバー34の係合部347が係合し、更にチャイルドシート本体11(ベース体14)を前方に移動させる事により、前記ロックバー34が前方に移動した第二のロックバー位置346になり、前記ロックバー34の先端部の上面342と前記フック31の凹状係止部312との係合状態が解除される事により、前記ロック部30のフック31がバネ33の付勢力によって非ロック位置315に回動し、前記ロック部30と取付受部4の係止状態が解除される。尚、前記ベース体14と、前記シート体15が分離可能な構成のチャイルドシートにおいては、前記ベース体14から前記シート体15を分離した状態で、前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合を解除する操作を行なう事ができる様に構成しても良い。
【0076】
本発明においては、車両へのチャイルドシートの装着状態から前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除する手段は、上記の通り、第一の操作と第二の操作からなる複数の操作を行なわない限り、チャイルドシートを車両の前記取付受部から外す事ができないため、チャイルドシートに拘束した子供による操作によって、保護者の意に反してチャイルドシートが車両から外れてしまう事を防止できる。
【0077】
更に、上記操作の1つに、チャイルドシート本体11(ベース体14)を前方に移動させる操作が含まれるため、子供がチャイルドシート10に着座した状態では子供の体重によってチャイルドシート10の底面と車両の座席1の座面2の摩擦抵抗が増大して操作が困難となるため、チャイルドシート10に着座した子供以外の操作者の誤操作によって、チャイルドシート10が車両から外れてしまう事を防止できる。
【0078】
更に本発明のチャイルドシート10は、実施例1と同様に、図7、図8、図12〜図15に示す様に、前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合の解除と連動して作動する縮みロック機構60を有し、前記縮みロック機構60は作動時に前記チャイルドシート本体10に対するロックアーム20の伸縮制御範囲22への移動を禁止し、前記取付受部4に対する前記ロック部30の係合によって、前記縮みロック機構60が解除される様に構成されるため、前記ロックアーム20のロック部30は、フック31が非ロック位置315の状態においては常に前記ロックアーム20が着脱制御範囲23にある様に構成される。
【0079】
上記縮みロック機構60は、前記ロックアーム30が着脱制御範囲23の位置でロックアーム30から突出可能な突出部611を有するロック片61と、前記ロックバー34に形成され前側位置が低く後側位置が高く形成された傾斜面からなるガイド面621を有するロックガイド部62とを有し、前記ロック片61は左右方向に突出して形成されたガイドシャフト612を有し、左右何れか一方の前記ガイドシャフト612がロックアーム20の側面に上下方向に形成された長孔202内に配置される事により前記ロック片61の移動方向が上下方向に規制され、左右何れか他方の前記ガイドシャフト612は前記ロックガイド部62のガイド面621と当接する事により前記ガイドシャフト612と当接するガイド面621の高さによって前記ロック片61の上下位置が制御される様に構成され、更に前記ロックアーム20の前記ロック片61の配置位置には、前記ロック片61の突出部が通過可能な孔203が形成され、前記ロックアーム20から前記ロック片61の突出部が突出した状態においてアームガイド21(ベース体14に固定された部材であれば他の構成部材でも良い)と当接して前記ロックアーム20が伸縮制御範囲22に移動する事を防止する構成を有する。
【0080】
ここで、前記ロックアーム20のロック部30が非ロック位置315の状態においては、ロックバー34が前方に移動した第一のロックバー位置345となるため、前記ロック片61のガイドシャフト612は高い位置にある前記ロックガイド612の後側ガイド面と当接して前記ロック片61の突出部611が前記ロックアーム20から上方に突出して前記ロックアーム20の伸縮制御範囲22の方向の移動を禁止し、前記ロックアーム20のロック部30がロック位置316の状態においては、ロックバー20が後方に移動した第二のロックバー位置346となるため、前記ロック片61のガイドシャフトは低い位置にある前記ロックガイド部62の前側ガイド面621と当接して前記ロック片61の突出部611が前記ロックアーム20から上方から突出しない位置に保持され、前記ロックアーム20の伸縮制御範囲22の方向の移動が可能となる。
【0081】
よって、前記チャイルドシート10のロックアーム20のロック部30を、車両の前記取付受部4に係止する際には、前記ロック部30のフック31が非ロック位置315である限り、前記縮みロック機構60によってロックアーム20が伸縮制御範囲22に移動する事が防止されるため、前記ロックアーム20のロック部30を、確実に車両の前記取付受部4に係止する事が可能となる。尚、付属品としてダミーの取付受部(図示せず)を用意し、本発明のチャイルドシートを保管、収納する際には、まずロックアーム30が着脱制御範囲23の位置で前記ロック部30に前記ダミーの取付受部をロックさせる事により前記縮みロック機構60を解除し、次に前記操作部72を操作した状態で、ベース体14への収納方向にロックアーム20を押し込む事により、車両への非装着状態でロックアーム20を収納した状態にする事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のチャイルドシートは、アイソフィックス(ISO−FIX)方式の固定構造を有する車両の座席にチャイルドシートを固定するための構造として、産業上有効に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
1:座席、2:座面、3:シートバック、4:取付受部、10:チャイルドシート、11:チャイルドシート本体、12:座面、14:ベース体、15:シート体、20:ロックアーム、21:アームガイド、22:伸縮制御範囲、23:着脱制御範囲、30:ロック部、31:フック、32:軸部、33:バネ、34:ロックバー、35:バネ、40:制御機構、41:制御機構本体、42:操作部、43:制御機構リンク部材、44:バネ、45:ストッパーガイド、46:ストッパー、47:バネ、50:ロック解除リンク部材、51:アダプタ、52:バネ、53:位置決リブ、60:縮みロック機構、61:ロック片、62:ロックガイド部、70:制御機構、71:制御機構本体、72:操作部、73:制御機構リンク部材、75:ストッパーガイド、76:ストッパー、77:バネ、
201:開口部、202:長孔、203:孔、311:受入口、312:凹状係止部、313:顎部、315:非ロック位置、316:ロック位置、341:後方先端部、342:上面、345:第一のロックバー位置、346:第二のロックバー位置、347:係合部、452:非操作ガイド面、453:第一移動ガイド面、454:第二移動ガイド面、
461:先端係止部、462:第二係止部、463:傾斜面、465:ガイド部、752:非操作ガイド面、753:移動ガイド面、761:係止部、762:ガイド部、501:折曲腕部、502:孔、503:先端部、504:長孔、505:係合部、511:固定部、512:第一の腕部、513:バネ受け部、514:第二の腕部、515:顎部、516:第三の腕部、517:ピン状突起、611:突出部、612:ガイドシャフト、621:ガイド面、801:シート体、802:ベース体、803:ロックアーム、804:ロック部、805:フック、806:解除レバー、807:可動プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面と、この座面の後部から上方に立設されたシートバック、及び前記座面とシートバックとの接続部分近傍に設けられた取付受部を備えた車両の座席に取り付けられる、子供が座るためのチャイルドシートであって、
チャイルドシート本体と、前記チャイルドシート本体の後方下部から後方に向かって突出する左右一対のロックアームと、
ロックアームの先端に配置されたロック部を有し、
車両へのチャイルドシートの装着状態において、前記左右一対のロックアームのロック部が夫々前記取付受部と係合する様に構成され、
前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除するロック解除機構と、前記チャイルドシート本体に対するロックアームの伸縮動作を制御する制御機構と、前記制御機構を操作する操作部と、を有するチャイルドシートにおいて、
前記ロックアームの伸縮位置は、車両へのチャイルドシートの装着状態での使用範囲からなる伸縮制御範囲と、車両の前記取付受部に対するロック部の着脱のために設定された前記伸縮制御範囲よりもチャイルドシート本体から前記ロックアームが伸びた位置にある着脱制御範囲と、を有する様に構成されることを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記ロック解除機構は前記ロックアームの伸縮位置が着脱制御範囲にある場合にのみ作動可能に構成されることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
【請求項3】
車両へのチャイルドシートの装着状態から前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除する手段が、子供が座るための座面部分が分離されない状態で実施される、複数の操作手段によって実施可能に構成されることを特徴とする請求項1または2記載のチャイルドシート。
【請求項4】
車両へのチャイルドシートの装着状態から前記取付受部に対する前記ロック部の係合を解除する手段は、前記操作部の操作によって前記制御機構による前記ロックアームの伸縮動作の制御を解除する第一の操作手段と、前記操作部の操作によって前記ロックアームの伸縮動作の制御を解除した状態で前記チャイルドシート本体を前方に移動させる事により前記チャイルドシート本体に対する前記ロックアームの伸縮位置を伸縮制御範囲から着脱制御範囲まで移動させる第二の操作手段を有し、前記ロックアームの伸縮位置が着脱制御範囲にある状態で前記操作部が操作される事によって、前記ロック解除機構が作動する様に構成されることを特徴とする請求項3記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記取付受部に対する前記ロック部の係合の解除と連動して作動する縮みロック機構を有し、前記縮みロック機構は作動時に前記チャイルドシート本体に対するロックアームの伸縮制御範囲への移動を禁止し、
前記取付受部に対する前記ロック部の係合によって、前記縮みロック機構が解除される様に構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のチャイルドシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−23032(P2013−23032A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158330(P2011−158330)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】