説明

チャッキング装置、および、このチャッキング装置を搭載したブラシレスモータおよびディスク駆動装置

【課題】コーンを使用したチャッキング装置の部品点数を減らすことによって、チャッキング装置の低価格化を図ること
【解決手段】チャッキング装置4は、ターンテーブル41、コーン42、およびヨーク43がそれぞれシャフト21に固定されている。コーン42には、ディスク60を保持するディスク保持部421と、腕部422と、シャフト固定部423と、から構成される。そして腕部422には、シャフト固定部423から径方向外側に延びる支持部4221と、支持部4221の径方向外側およびディスク保持部421に接続され、径方向に略U字形状となる弾性変形部4222が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤状のディスクを着脱可能とするチャッキング装置、および、このチャッキング装置を搭載したブラシレスモータおよびディスク駆動装置に関する。特に、ディスクの中心開口部の中心とチャッキング装置の中心とを高精度に一致させることが必要なチャッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD、DVD等の円盤状のディスクへの記録再生の高倍速化に伴い、ディスクおよびこのディスクを回転させるブラシレスモータの回転速度が向上している。特に現在では、ブラシレスモータを毎分約12,000回転の速度にて回転させる場合がある。そして、ディスクを高速回転させるのに対応したチャッキング装置として、ディスクの中心開口部の内周面の全周と接触する円環状の傾斜面を含むコーンを有する構造が採用されている。このコーンは、回転軸となるシャフトの軸方向に沿って移動自在である。そしてコーンは、コイルばね等の弾性部材によって、軸方向上側に付勢される(このような従来のチャッキング装置の構造として、例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−234773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、ディスク駆動装置の低価格化に伴い、ディスク駆動装置に搭載されるブラシレスモータも低価格化の要求が高まっている。
【0005】
しかしながら、従来のコーンを有するチャッキング装置では、ディスクを保持するために、別途、ディスクの上面側より押さえるクランプ部材が必要となる。その上に、コイルばね等の弾性部材も必要となるために、チャッキング装置は、部品点数が増えてしまう。その結果、チャッキング装置の低価格化が困難である。したがって、このチャッキング装置を搭載したブラシレスモータの低価格化も困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするとことは、コーンを使用したチャッキング装置の部品点数を減らすことによって、チャッキング装置の低価格化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1によれば、中心開口部を有する円盤状のディスクを着脱可能とするチャッキング装置であって、所定の中心軸と同軸に配置されるシャフトと、前記シャフトに固定され、前記ディスクを載置するディスク載置面を有するターンテーブルと、前記ターンテーブルより軸方向上側に配置され、前記シャフトに固定されるシャフト固定部と、径方向外側に向かい軸方向下側に傾斜する円環状のディスク保持面を有するディスク保持部と、前記シャフト固定部と前記ディスク保持部とを径方向に接続する腕部と、を有する、樹脂材料製のコーンと、を備え、前記腕部には、前記シャフト固定部から連続して径方向外側に延びる支持部と、該支持部に連続して、前記ディスクと前記ディスク保持部とが接触するに伴い、弾性変形することによって、前記ディスク保持部を軸方向下側に移動させる弾性変形部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項1に従えば、腕部が支持部の径方向外側に弾性変形部を有することによって、円環形状のディスク保持部を少ない力にて軸方向下側に移動させることができる。すなわち、ディスク装着力を低減させることができる。したがって、ディスク装着力を低減したチャッキング装置を提供することができる。
【0009】
本発明の請求項2によれば、請求項1に係り、前記ディスク保持部における前記腕部と周方向に異なる位置には、前記中心軸と略平行な円弧形状の周壁部と、該周壁部の下端部より径方向内側に延びる円弧形状の平面部と、を有し、前記ターンテーブルには、前記平面部の内周面と径方向に対向する外周面を有する壁部を有し、前記平面部の内周面と前記壁部の外周面とは、摺動可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に従えば、平面部の内周面と壁部の外周面とが摺動することによって、ディスク保持部が軸方向に移動する際に、ディスク保持部が傾くことを防ぐことができる。したがって、ディスクの中心開口部の中心と、コーンの中心とを良好に一致させたチャッキング装置を提供することができる。
【0011】
本発明の請求項3によれば、請求項2に係り、前記平面部の内周面における面粗度は、前記コーンの他の部位における面粗度より小さいことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に従えば、ターンテーブルとの摺動に使用される平面部の内周面の面粗度が他の部位より低いことによって、ターンテーブルと平面部の内周面との摺動の際の摩擦力を低減することができる。したがって、ディスク装着力を低減することができる。
【0013】
本発明の請求項4によれば、請求項2および請求項3のいずれかに係り、前記平面部の上面もしくは下面には、射出成形の際の前記樹脂材料の注入口となるゲート部が配置されることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に従えば、コーンのディスクと接触しない部分である平面部の上面もしくは下面にゲート部が形成されることによって、ゲート部によってコーン上のディスクの移動を阻害することを防ぐことができる。したがって、ディスク装着力を低減したチャッキング装置を提供することができる。
【0015】
本発明の請求項5によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに係り、前記腕部の厚さは、前記コーンの他の部位の厚さと比較して薄いことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5に従えば、腕部の厚さが他の部位と比較して薄く形成されることによって、弾性変形を生じさせやすくなる。したがって、ディスク装着力を低減することができる。
【0017】
本発明の請求項6によれば、請求項1乃至請求項5のいずれかに係り、前記弾性変形部は、径方向に略U字形状に形成され、前記支持部から軸方向下側に延びる第1弾性変形部と、前記第1弾性変形部と略平行に延び、前記ディスク保持部と連続する第2弾性変形部と、前記第1弾性変形部と前記第2弾性変形部とを連結する第3弾性変形部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項7によれば、請求項6に係り、前記第1弾性変形部の厚さは、前記第2弾性変形部の厚さより厚いことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項8によれば、請求項6および請求項7のいずれかに係り、前記第2弾性変形部の外面と前記ディスク保持部とが接続する軸方向の位置は、前記ディスク保持部と前記周壁部の外周面とが接続する軸方向の位置よりも軸方向上側となることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項6乃至請求項8に従えば、第1弾性変形部の厚さが第2弾性変形部の厚さより厚く形成されることによって、第2弾性変形部を効率よく弾性変形させることができる。特に弾性変形部が略U字形状であるために、第2弾性変形部を軸方向に長く形成することができるために、少ない力にて第2弾性変形部を径方向内側に弾性変形することができる。その上、第2弾性変形部とディスク保持部とが接続する軸方向の位置を周壁部とディスク保持部とが接続する軸方向の位置より軸方向上側となるために、第2弾性変形部の長さをより長くすることができる。したがって、第2弾性変形部の弾性変形をより大きくさせることができる。その結果、ディスク装着力を低減することができる。
【0021】
本発明の請求項9によれば、請求項6乃至請求項8のいずれかに係り、前記中心軸と前記第2直線部の内面との径方向の大きさと、前記中心軸と前記周壁部の内周面との径方向の大きさは、略同一であり、前記中心軸と前記第2直線部の外面との径方向の大きさは、前記中心軸と前記周壁部の内周面との径方向の大きさよりも小さいことを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項9に従えば、コーンを成型する金型を上下金型の単純な構成にて作製することができる。
【0023】
本発明の請求項10によれば、請求項1乃至請求項9のいずれかに係り、前記支持部は、前記シャフト固定部の外周面の上端部から径方向外側に延びることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項10に従えば、シャフト固定部の外周面の上端部から支持部が径方向外側に延びることによって、径方向に略U字形状となる弾性変形部の第2弾性変形部の軸方向の長さをより長くすることができる。したがって、第2弾性変形部の弾性変形をより少ない力にて生じさせることができる。その結果、ディスク装着力を低減したチャッキング装置を提供することができる。
【0025】
本発明の請求項11によれば、請求項2に係り、前記周壁部の外周面と前記ディスク保持面との径方向の間には、該外周面と前記ディスク保持部とを接続するリブが形成されることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項11に従えば、リブが形成されることによって、ディスク保持部自体が径方向内側に変形することを防ぐことができる。したがって、コーンの変形の影響を防いだ、ディスクの中心開口部の中心とコーンの中心とを良好に一致させたチャッキング装置を提供することができる。
【0027】
本発明の請求項12によれば、請求項11に係り、前記リブは、前記周壁部の外周面において周方向に離間して複数形成されることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項12に従えば、リブを周方向に離間して複数形成することによって、ヒケや巣等の成形不良を低減することができる。
【0029】
本発明の請求項13によれば、請求項2に係り、前記ターンテーブルの前記壁部は、前記円筒形状にて形成され、前記壁部の内周面は、前記シャフトに固定されることを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項13に従えば、ターンテーブルの壁部と、ターンテーブルがシャフトに固定される部位とを兼ねることによって、ターンテーブルを単純な形状とすることができる。
【0031】
本発明の請求項14によれば、請求項13に係り、前記壁部の軸方向上側に前記コーンの前記シャフト固定部が配置され、前記シャフト固定部の軸方向上側に、前記シャフトに固定される内周面を有する円筒部と、円筒部から径方向外側に広がる略円環形状の平面部と、を有する、磁性体にて形成されたヨークと、を備え、前記壁部の上面と前記シャフト固定部の下面、および前記シャフト固定部の上面と前記ヨークの前記円筒部の下面との間には間隙が形成されることを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項14に従えば、コーン、ターンテーブル、および、ヨークをそれぞれシャフト基準として取り付けることができるために、それぞれが高精度に取り付けることができる。
【0033】
本発明の請求項15によれば、請求項14に係り、前記壁部の外径の大きさは、前記コーンの前記シャフト固定部の外径の大きさより小さく形成され、前記壁部における前記シャフト固定部より径方向外側の部位の上面には、前記シャフト固定部の下面より軸方向上側となる突部が形成され、前記突部は、前記壁部の外周面の一部を構成することを特徴とする。
【0034】
本発明の請求項15に従えば、壁部におけるシャフト固定部より径方向外側の部位に突部を設けることによって、チャッキング装置の薄型化を図るとともに、摺動部の確保を実現することができる。
【0035】
本発明の請求項16によれば、請求項14および請求項15のいずれかに係り、前記支持部は、前記シャフト固定部の上端部から径方向外側に延び、前記支持部の上面と前記シャフト固定部の上面とは軸方向の高さが略等しく構成され、前記支持部の下面には、径方向内側に向かい該支持部の軸方向の厚さが厚くなる曲面部が形成されることを特徴とする。
【0036】
本発明の請求項16に従えば、曲面部を形成することによって、支持部における応力集中を防ぐとともに、シャフト固定部の上端部から支持部が径方向外側に延びることによって、支持部の軸方向下側への弾性変形をしやすくさせることができる。
【0037】
本発明の請求項17によれば、請求項4に係り、前記ターンテーブルは、樹脂材料を射出成形によって形成され、前記ターンテーブルの前記壁部の下端部には、前記コーンの前記平面部と軸方向に対向する環状の平面である径方向延長部を有し、前記径方向延長部の上面には、射出成形の際の前記樹脂材料の注入口となるゲート部が配置されることを特徴とする。
【0038】
本発明の請求項17に従えば、径方向延長部の上面にゲート部が設けられることによって、平面部と径方向延長部との間には間隙が設けられるために、平面部と接触することなく、ゲート部を設けることができる。
【0039】
本発明の請求項18によれば、請求項17に係り、前記円筒部の外周側には、前記壁部の一部を構成し、前記円筒部の径方向内側の上面と比較して軸方向上側に位置する上面を有する突部が形成され、前記突部は、周方向に離間して複数配置され、周方向に隣り合う前記突部の間には、ゲート部が設けられることを特徴とする。
【0040】
本発明の請求項18に従えば、ターンテーブルの中央部である円筒部にゲート部が設けられることによって、樹脂材料の流動性を向上させることができる。したがって、ターンテーブルの成型性を向上させることができ、成型不良を防止することができる。その上、円筒部の外周側にゲート部が設けられるために、シャフトと固定する内周面の軸方向の長さを低減することを防ぐことができる。したがって、ターンテーブルのシャフトに対する固定強度の低減を防ぐことができる。また突部を周方向に離間した形状とし、その突部の周方向の間にゲート部を設けることによって、コーンとの摺動する面積を小さくすることができる。この構造により、コーンが摺動する際の摩擦力を低減することができ、コーンの摺動の力を低減することができる。
【0041】
本発明の請求項19によれば、請求項18に係り、前記ゲート部は、前記コーンの前記シャフト固定部の外径より径方向外側まで形成され、前記ゲート部における金型の樹脂材料の注入口に対応する注入部は、前記シャフト固定部の外径より径方向外側に位置することを特徴とする。
【0042】
本発明の請求項19に従えば、ゲート部の注入部がシャフト固定部の外径より径方向外側に形成されることによって、金型と成型品であるターンテーブルとの切り離し部分である注入部に金型を離型する際に設けられてしまう、樹脂材料残りとなる上側への突起と、シャフト固定部と、の接触を防ぐことができる。したがって、シャフト固定部とターンテーブルの円筒部との軸方向の間隙を小さくすることができる。したがって、薄型のチャッキング装置を提供することができる。
【0043】
本発明の請求項20によれば、請求項14に係り、前記弾性変形部は、前記壁部の外周面より径方向外側に形成され、前記弾性変形部は、前記壁部の上面より軸方向下側となる部分を含むことを特徴とする。
【0044】
本発明の請求項20に従えば、弾性変形部が壁部の上面より軸方向下側になる部分を含むことによって、チャッキング装置の薄型化を図ることができる。
【0045】
本発明の請求項21によれば、請求項1乃至請求項20のいずれかに記載のチャッキング装置を備えたブラシレスモータであって、前記シャフトとともに前記中心軸の周りを回転するロータマグネットを有する回転部と、前記ロータマグネットと対向した磁場を発生するステータを有する固定部と、を備えることを特徴とする。
【0046】
本発明の請求項21に従えば、ディスク装着力を低減し、且つ、ディスクの中心開口部の中心とコーンの中心とを良好に一致させることのできるブラシレスモータを提供することができる。
【0047】
本発明の請求項22によれば、請求項21に記載のブラシレスモータを搭載したディスク駆動装置であって、前記ディスクを光学的に記録または再生の少なくともどちらか一方を行う記録再生部を有する光ピックアップ機構と、前記光ピックアップ機構を径方向に移動可能な移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0048】
本発明の請求項22に従えば、ディスク装着力を低減し、且つ、ディスクの中心開口部の中心とコーンの中心とを良好に一致させることのできるディスク駆動装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、コーンを使用したチャッキング装置の部品点数を減らすことによって、チャッキング装置の低価格化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
<ブラシレスモータの全体構造>
本発明のブラシレスモータの実施例の一形態について、図1を用いて説明する。図1は、本発明のブラシレスモータの実施例の一形態を軸方向に切った模式断面図である。
【0051】
図1を参照して、ブラシレスモータ1は、所定の中心軸J1を中心として回転駆動を行う回転部2と、回転部2を回転自在に支持する固定部3と、を有するモータ部と、回転部2の軸方向上側に配置されるチャッキング装置4と、から構成される。
【0052】
まず回転部2について説明する。
【0053】
回転部2は、中心軸J1と同軸に配置される略円柱形状のシャフト21と、シャフト21に固定され、中心軸J1の周りを回転するロータホルダ22と、ロータホルダ22に固定される円環状のロータマグネット23と、を備える。
【0054】
ロータホルダ22は、ロータマグネット23の外周面を固定する内周面を有する外側円筒部221と、円筒部221から中心軸J1に向かい延びる平面である蓋部222と、蓋部222の内縁より軸方向下側に延びる、シャフト21の外周面を固定する内周面を有する内側円筒部223と、から構成される。
【0055】
次に固定部3について説明する。
【0056】
固定部3は、シャフト21を径方向に回転自在に支持する内周面を有する略円筒形状である、焼結材料製のスリーブ31と、スリーブ31の外周面を保持する内周面を有する円筒部321および円筒部321の下部を覆う底部322を有するハウジング32と、ハウジング32の円筒部321の外周面に固定される内周面を有し、ロータマグネット23の内周面と径方向に対向する外周面を有するステータ33と、ステータ33より軸方向下側に配置され、ハウジング32の円筒部321の外周面に固定される内周面を有する略平板状の取付板34と、取付板34の上面に配置される回路基板35と、を備える。
【0057】
図示しない外部電源よりステータ33に電流を通流することによって、ステータ33は磁場を発生する。そしてこの磁場とロータマグネット23との磁気的な相互作用によって、回転部2は、中心軸J1を中心とする回転駆動力を得る。
【0058】
<チャッキング装置の構造>
次に本発明のチャッキング装置4について図1乃至図9を用いて説明する。図2は、本発明のチャッキング装置4を示した、軸方向上側より見た平面図である。
【0059】
図1および図2(もしくは、図8)を参照して、チャッキング装置4は、ロータホルダ22の蓋部222の上面側に配置され、シャフト21に固定される、樹脂材料を射出成型によって形成されたターンテーブル41と、ターンテーブル41の軸方向上側に配置され、図示しない円盤状のディスクの中心開口部と接触するディスク保持部421を有する、樹脂材料を射出成型によって形成されたコーン42と、コーン42の軸方向上側に配置され、シャフト21に固定される、磁性体にて形成されたヨーク43と、ヨーク43の上面に固定された略円環形状のクランプマグネット44と、から構成される。また、ターンテーブル41におけるコーン42より径方向外側には、ラバー等によって形成された円環形状のディスク載置部4131が形成される。ディスク載置部4131の上面は、ディスクの下面と接触することによって、ディスクをチャッキング装置4に載置する載置面となる。ここで、本実施例のクランプマグネット44は、周方向に2極に着磁されている。
【0060】
図3乃至図5を参照して、コーン42は、ディスクの中心開口部と接触するディスク保持面4212aを有する円環状のディスク保持部421と、ディスク保持部421から径方向内側に延びる腕部422と、腕部422から径方向内側に延び、シャフト21の外周面と固定する内周面を有する略円筒形状のシャフト固定部423と、から構成される。特に本実施例では、腕部422は、略120度等配にて、3本形成される。
【0061】
ディスク保持部421は、径方向外側に向かい軸方向下側に傾斜する第1傾斜部4211と、第1傾斜部4211より径方向外側に形成され、径方向外側に向かい軸方向下側に傾斜する第2傾斜部4212と、を備える。中心軸J1と第1傾斜部4211とから成る鋭角の大きさは、中心軸J1と第2傾斜部4212とから成る鋭角の大きさよりも大きい。
【0062】
第1傾斜部4211の外面は、ディスクをチャッキング装置4に装着する際に、ディスクの中心開口部の下端部と接触する。そして、第1傾斜部4211は、ディスクの中心開口部の下端部を第2傾斜部4212へと案内する。
【0063】
第2傾斜部4212の外面であるディスク保持面4212aは、ディスクをチャッキング装置4に装着した際に、ディスクの中心開口部の内周面の下端部と接触する。そしてディスク保持面4212aは、ディスクを径方向に保持し、軸方向に支持する。
【0064】
腕部422は、シャフト固定部423から径方向外側に延びる支持部4221と、支持部4221と連続して、ディスク保持部421と接続する弾性変形部4222と、から構成される。
【0065】
支持部4221は、シャフト固定部423の外周面の上端部に接続される。そして、支持部4221は、中心軸J1に対して垂直な方向に延びる。また支持部4221の上面の軸方向の位置は、シャフト固定部423の上面の軸方向の位置と略同一となる。そして、支持部4221の下面は、シャフト固定部423に向かい(すなわち、径方向内側に向かい)、軸方向下側に軸方向の幅が拡径する曲面4221aが形成される。この曲面4221aが形成されることによって、支持部4221の断面積が径方向内側に向かい大きく形成することができる。したがって、コーン42を射出成型する際の樹脂材料の流動性を良好にすることができる。その結果、コーン42の射出成型の成型不良を低減することができる。
【0066】
弾性変形部4222は、支持部4221と接続され、略U字形状に形成される。そして、弾性変形部4222は、支持部4221から軸方向下側に延びる第1変形部4222aと、第1変形部4222aよりディスク側、すなわち、径方向外側に設けられ、ディスク保持部421に接続される第2変形部4222bと、第1変形部4222aおよび第2変形部4222bを接続する第3変形部4222cと、から構成される。
【0067】
第1変形部4222a、第2変形部4222b、および、第3変形部4222cの周方向の幅は、それぞれ等しく形成される。また、第1変形部4222aの径方向の厚さは、第2変形部4222bの径方向の厚さより厚い。本実施例では、第1変形部4222aの径方向の厚さは、約0.4mmとし、第2変形部4222bの径方向の厚さは、約0.5mmとしている。第2変形部4222bが第1変形部4222aより径方向に厚く形成されることによって、第2変形部4222bを中心軸J1と垂直方向に切った断面積を、第1変形部4222aを中心軸J1と垂直方向に切った断面積より大きくすることができる。したがって、コーン42を射出成型する際の樹脂材料の流動性を良好にすることができる。その結果、コーン42の射出成型の成型不良を低減することができる。
【0068】
ディスク保持部421の腕部422とは周方向に異なる位置には、第1傾斜部4211の径方向内側から軸方向下側に延びる円弧形状の周壁部4213と、周壁部4213の下端部から径方向内側に延びる平面部4214と、から構成される。これら周壁部4213および平面部4214は、周方向に隣り合う腕部422の周方向の間にそれぞれ形成される(本実施例では、それぞれ3つ形成される)。また平面部4214は、径方向内側に向かい周方向の幅が狭くなる扇状に形成される。そして平面部4214の周方向の側面は、腕部422の支持部4221の周方向の側面と周方向に対向する。そして平面部4214の周方向の側面は、支持部4221の周方向の側面と略平行に形成される。
【0069】
本実施例では、周壁部4213の径方向の厚さを約0.9mm、および平面部4214の軸方向の厚さを約1.0mmにて成型される。また平面部4214の上面には、樹脂材料が金型(不図示)より流れる入り口となるゲート部4214aが形成される。このゲート部4214aは、3つの平面部4214のそれぞれに形成される。また平面部4214の下面は、金型よりコーン42を離すエジェクトピン(不図示)が接触する。このエジェクトピンによって、金型から成型品であるコーン42を離間させる。本実施例では、平面部4214の上面にゲート部4214aを設け、平面部4214の下面にエジェクトピンを接触させていたが、平面部4214の下面にゲート部4214aを設け、平面部4214の上面にエジェクトピンを接触させてもよい。コーン42における他の部位より厚さが厚い平面部4214にゲート部4214aを設けることによって、ゲート部4214aを金型の離型の際に、ゲート部4214aと成型品であるコーン42とを切り離すのに必要な強度を保持することができる。その上、平面部4214の軸方向の厚みが厚いことによって、平面部4214の内周面における円筒部411の外周面と摺動する面積を大きくすることができる。その結果、コーン42の軸方向下側への移動の際に、コーン42のディスク保持面4212aを径方向に変形させることを防止することができる。したがって、ディスクをチャッキング装置4に装着する際に、ディスクと中心軸J1との調芯精度を向上させることができる。
【0070】
また、コーン42のシャフト固定部423の下面には、別のゲート部423aが形成される。本実施例では、ゲート部423aは、シャフト固定部423の下面に周方向に離間して3つ形成される。このゲート部423aがコーン42の中央部に設けられるために、コーン42を射出成型する際の樹脂の流動性を向上させることができる。したがって、コーン42の成型不良を低減することができる。さらにシャフト固定部423の軸方向の厚さが他の部位と比較して厚いために、金型の離型の際に、ゲート423aと成型品であるコーン42とを切り離すのに必要な強度を保持することができる。
【0071】
また平面部4214の内周面は、コーン42の他の部位と比較して、面粗度が低く形成される。同様に、円筒部411の外周面における平面部4214の内周面と摺動する部分もターンテーブル41の他の部位と比較して、面粗度が低く形成される。特に本実施例では、平面部4214の内周面の面粗度Ryは、略1.0μm、もしくは、それ以下にて形成される。ここで、Ryとは、日本工業規格にて定められた、測定して得られた粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から最も高い山頂までの高さと、最も低い谷底までの深さとの和を求めた値である。
【0072】
この構造によって、平面部4214の内周面と円筒部411の外周面との摺動の際の摩擦力を低減することができる。したがって、ディスクをチャッキング装置4に装着する際の力(ディスク装着力)を低減することができる。
【0073】
弾性変形部4222の第2変形部4222bの径方向外側の面と中心軸J1との径の大きさは、周壁部4213の外周面と中心軸J1との径の大きさより小さい。そして、第2変形部4222bの径方向内側の面と中心軸J1との径の大きさは、周壁部4213の内周面と中心軸J1との径の大きさと略同一である。これにより、コーン42を射出成形にて形成する際に、射出成形を行い、コーン42を形作る金型を上型と下型との2つの金型構成にすることができる。したがって、金型構成を単純化することができる。
【0074】
第2変形部4222bの径方向外側の面とディスク保持部421の第1傾斜部4211の下面との接続する軸方向の位置は、ディスク保持部421の第1傾斜部4211の下面と周壁部4213の外周面との接続する軸方向の位置より、上側となる。これにより、第2変形部4222bの軸方向の長さを長くとることができる。したがって、第2変形部4222bは、少ない力にて弾性変形することができる。その結果、ディスク装着力を低減することができる。
【0075】
周壁部4213の外周面と第1傾斜部4211および第2傾斜部4212との径方向の間には、互いを接続するようにリブ424が形成される。このリブ424は、周壁部4213のそれぞれに周方向に離間して2つ形成される。特に本実施例では、周壁部4213における周方向に隣り合うリブ424の間隔は、略60度である。
【0076】
図6aおよび図6bを参照して、ターンテーブル41は、シャフト21の外周面を固定する内周面を有する略円筒形状の円筒部411と、円筒部411の軸方向の下端部から径方向外側に延びる略平面状の径方向延長部412と、径方向延長部412より径方向外側に形成されるディスクを載置する載置部413と、から構成される。
【0077】
図7を参照して、ヨーク43は、シャフト21の外周面と固定する内周面を有し、中心軸J1に対して垂直な方向に広がる円環形状の平板部431と、平板部431の上面より軸方向上側に延びる略円筒形状の円筒部432と、から構成される。円筒部432の内周面と平板部431の内周面とは同一径である。
【0078】
平板部431の上面における外周側には、軸方向下側に凹む環状の凹部4311が形成される。また平板部431の上面と外周面との間には、径方向外側に向かい軸方向下側に傾斜する傾斜面4312が形成される。
【0079】
円筒部432の上面は、軸方向下側に向かい縮径する傾斜面である案内面4321が形成される。
【0080】
図8を参照して、ヨーク43の平板部431の上面には、クランプマグネット44が、接着剤にて固定されている。クランプマグネット44の内周面は、円筒部432の外周面と径方向に間隙を有している。そして、クランプマグネット44の外周面の径方向の位置は、平板部431の外周面の径方向の位置と略同一である。クランプマグネット44を平板部431の外径を基準に取り付けることによって、クランプマグネット44の外周面とコーン42の周壁部4213の内周面および第2変形部4222bの径方向内側の面とが接触することを防ぐことができる。したがって、クランプマグネット44とコーン42とが接触することによって、ディスク保持部421が軸方向下側に移動しない不良や、ディスク保持部421が変形してしまう不良を防ぐことができる。その結果、信頼性の高いチャッキング装置およびチャッキング装置を備えたブラシレスモータを提供することができる。
【0081】
接着剤は、ヨーク43の平板部431の上面の凹部4311より径方向内側の領域Tに塗布される(図中の斜線部分)。これにより、ヨーク43の平板部431にクランプマグネット44を取り付ける際に、接着剤が径方向外側に広がったとしても、凹部4311によって、広がった接着剤を収容することができる。したがって、ヨーク43の平板部431の外周面より径方向外側に接着剤がはみ出ることを防ぐことができる。
【0082】
また、クランプマグネット44の下面とヨーク43の案内面4321とによって、テーパが形成される。これにより、凹部4311より径方向外側に接着剤が移動したとしても、このクランプマグネット44の下面とヨーク43の案内面4321との間のテーパによって、接着剤を収容することができるために、ヨーク43の平板部431の外周面より径方向外側に接着剤がはみ出ることをより確実に防ぐことができる。したがって、接着剤がヨーク43とコーン42との間に固着することによって、コーン42が軸方向下側に移動しない不良を防ぐことができる。その結果、信頼性の高いチャッキング装置およびチャッキング装置を備えたブラシレスモータを提供することができる。
【0083】
図9を参照して、ロータホルダ22の内側円筒部223は、蓋部222から軸方向下側に屈曲して形成される。そして内側円筒部223と蓋部222との連結部には、屈曲部224が形成される。
【0084】
ターンテーブル41の円筒部411の下面の内周側には、軸方向下側に突出する円環状の第1突部4111が形成される。そして、円筒部411の上面の外周側には、軸方向上側に突出する複数の円弧状の第2突部4112が形成される。第1突部4111の下面は、屈曲部224の上面および蓋部222の上面と軸方向に間隙を介して対向する。第2突部4112は、周方向に離間して、円環状に配列される(図6a参照)。
【0085】
また図6a乃至図6cを参照して、周方向に隣り合う第2突部4112の周方向の間には、ゲート部4113が設けられる。このゲート部4113は、円筒部411の内周側の上面よりも軸方向下側となる面を有する凹形状である。そしてゲート部4113の凹形状の内周縁は、シャフト固定部423の外径よりも径方向内側に設けられる。そしてゲート部4113は、シャフト固定部423の外径よりも径方向外側まで設けられる。
【0086】
ゲート部4113には、金型の内部へ樹脂材料を注入する注入口(不図示)と軸方向に対向する注入部4113aが設けられる。この注入部4113aは、シャフト固定部423の外径よりも径方向外側に位置するように設けられる。また注入部4113aは、金型と成型品であるターンテーブル41との切り離しの際に樹脂材料が注入口が離れる軸方向上側に引っ張られて突起が形成されてしまう。しかしながら、注入部4113aがシャフト固定部423の外径よりも径方向外側に設けられるために、シャフト固定部423の下面と注入部4113aとが接触することを防ぐことができる。したがって、シャフト固定部423の下面とシャフト固定部423と軸方向に対向する円筒部411の上面との軸方向の間隙の大きさを小さくすることができる。その結果、チャッキング装置4の薄型化を図ることができる。その上、円筒部411は、ターンテーブル41の中央部に形成されるために、この円筒部411にゲート部4113が設けられることによって、樹脂材料の流動性を向上させることができる。したがって、ターンテーブル41の成型性を向上させるとともに、ターンテーブル41の成型不良を低減することができる。
【0087】
コーン42のシャフト固定部423の外径の大きさは、第2突部4112の内径の大きさよりも小さい。そして、シャフト固定部423の下面の軸方向位置は、第2突部4112の上面の軸方向位置よりも軸方向下側となる。またシャフト固定部423の下面は、ターンテーブル41の円筒部411の第2突部4112より内周側の上面と軸方向に間隙を介して対向する。この第2突部4112により、コーン42の平面部4214の内周面と円筒部411の外周面との摺動面積を確保することができる。また、第2突部4112の内径よりシャフト固定部423の外径が小さく、且つ、シャフト固定部423の下面は、第2突部4112の上面より軸方向下側に配置されることにより、チャッキング装置4の薄型化を図ることができる。また、シャフト固定部423を軸方向に延ばすことも可能であるために、シャフト固定部423の内周面とシャフト21の外周面との接触面積が増えるので、シャフト21に対してコーン42を強固に固定することができる。
【0088】
これらロータホルダ22およびターンテーブル41がシャフト21に固定されるために中心軸J1に対して高精度に取り付けることができる。その上、それぞれが軸方向に間隙を介して配置されるために軸方向に隣り合う部材間の接触によって、中心軸J1に対する振れを防止することができる。したがって、それぞれの部材が中心軸J1に対してより高精度に取り付けることができる。
【0089】
弾性変形部4222は、円筒部411より径方向外側に配置され、且つ、円筒部411の上面より軸方向下側まで形成される。径方向延長部412は、円筒部411の外周面の下端部に接続されているために、弾性変形部4222の下端部と径方向延長部412の上面との軸方向の間には、十分な間隙を設けることができる。これにより、チャッキング装置4を軸方向に薄型化できるとともに、弾性変形部4222の第1変形部4222aおよび第2変形部4222bの軸方向の長さを確保することができる。その結果、第2変形部4222bの軸方向の長さを確保できるので、ディスク装着力を低減することができる。また弾性変形部4222の第1変形部4222aと円筒部411との径方向には、十分な間隙が設けられる。これにより、ディスクをチャッキング装置に装着した際に、第1変形部4222aが径方向内側に弾性変形したとしても、第1変形部4222aと円筒部411との接触を避けることができる。したがって、ディスク保持部421を円滑に軸方向下側に移動させることができる。その結果、ディスク装着力を低減することができる。
【0090】
ヨーク43の平板部431の下面は、シャフト固定部423の上面および支持部4221の上面と軸方向に間隙を介して対向する。そして、ヨーク43の平板部431の外周面およびクランプマグネット44の外周面は、コーン42のディスク保持部421の周壁部4213の内周面および腕部422の第2変形部4222bの径方向内側の面と径方向に間隙を介して対向する。また、ヨーク43の円筒部432の上端部は、シャフト21の上端面より軸方向上側まで延びる。
【0091】
これらコーン42およびヨーク43がシャフト21に固定されるために中心軸J1に対して高精度に取り付けることができる。その上、それぞれが軸方向に間隙を介して配置されるために軸方向に隣り合う部材間の接触によって、中心軸J1に対する振れを防止することができる。したがって、それぞれの部材が中心軸J1に対してより高精度に取り付けることができる。
【0092】
<ディスク駆動装置の構造>
次に本発明のモータを搭載したディスク駆動装置の実施例の一形態について図10を用いて説明する。図23は、本発明のディスク駆動装置を軸方向に切った模式断面図である。
【0093】
図10を参照して、ディスク駆動装置50は、中心開口部61を有した円盤形状のディスク60の中心開口部61に挿入されることによってディスク60の回転中心と同軸に調芯し、ディスク60を回転させるスピンドルモータ51と、ディスク60にレーザーを放射することによってディスクに情報を記録再生する光ピックアップ機構52と、このピックアップ機構52をディスク60の回転径方向に移動を行う移動機構53と、これらを収容する筺体54と、を備える。
【0094】
スピンドルモータ51および光ピックアップ機構52は、シャーシ55によって、保持されている。このシャーシ55が少なくとも軸方向に移動することによって、スピンドルモータ51のチャッキング装置にディスク60の中心開口部61が装着される。またシャーシ55には、開口穴が形成されており、その開口穴の内部に光ピックアップ機構52は、配置される。
【0095】
移動機構53は、出力軸にギアを有するモータ531と、このモータ531の回転トルクを伝達する伝達側ギア532と、を備える。
【0096】
筺体54には、ディスク60の挿入および取り出しを行う開口穴542が形成されている。また筐体54内には、ディスク60が載置され、スピンドルモータ51までディスク60を運ぶ、トレイ56が配置されている。このトレイ56は、筐体54の外部に移動可能である。
【0097】
光ピックアップ機構52は、レーザーを放射する記録再生部521と、この記録再生部521のディスク60の回転径方向への移動方向とは垂直に設けられ、記録再生部521の移動を行う移動部522と、を備える。この移動部522は、伝達側ギア532と噛み合う噛み合い部522aを有する。そして記録再生部521には移動部522と噛み合うことによって径方向に移動する。
【0098】
モータ531に取り付けられた伝達側ギア532が回転し、伝達側ギア532が移動部522の噛み合い部522aと噛み合うことによって移動部522が回転径方向に移動する。そしてこの移動部522の移動によって記録再生部521は径方向に移動する。
【0099】
このディスク駆動装置50のスピンドルモータ51に本発明のブラシレスモータ1を適用することによって、ディスク60とスピンドルモータ51との調芯精度を向上したディスク駆動装置を安価に提供することができる。
【0100】
<ディスク装着の際のチャッキング装置の動作>
次に、ディスク60をチャッキング装置4に装着する際のコーン42の動作について、図11および図12を用いて説明する。図11は、ディスク60とチャッキング装置4とが接触し始めた状態を示した、軸方向に切った模式断面図である。そして図12は、ディスク60がチャッキング装置4に装着された状態を示した、軸方向に切った模式断面図である。
【0101】
図11を参照して、ディスク60の上面側には、クランプ部材56が配置されている。クランプ部材56は、クランプマグネット44に吸着する磁性体のクランプヨーク561と、クランプヨーク561と一体に形成され、ディスク60の上面を抑える樹脂材料製の押え部562と、押さえ部562と一体に形成され、中心軸J1とほぼ一致し、軸方向下側に伸びる調芯突起部563と、から構成される。押さえ部562には、ディスク60の上面と接触する円環状のディスク接触面5621が形成される。そしてディスク接触面5621の径は、ターンテーブル41のディスク載置面4131の径と略同一である。
【0102】
ディスク60の中心開口部61は、コーン42の第1傾斜部4211に接触する。この第1傾斜部4211により、ディスク60の中心開口部61は、第2傾斜部4212に案内されるために、中心軸J1と中心開口部61の中心とをおおよそ一致することができる。
【0103】
また調芯突起部563は、ヨーク43の円筒部432の案内面4321によって、円筒部432の内側に挿入されていく。これにより、調芯突起部563と中心軸J1とを調芯する。また案内面4321によって、調芯突起部563を良好に中心軸J1に案内することができるために、ディスク装着力を低減することができる。
【0104】
図12を参照して、ディスク60の下面がディスク載置部4131と接触した状態において、ディスク60の中心開口部61の周方向の全周は、第2傾斜部4212のディスク保持面4212aと接触する。
【0105】
また図12において、腕部422は、支持部4221および弾性変形部4222の第2変形部4222bが主に大きく変形する。支持部4221は、支持部4221およびシャフト固定部423との接続位置を支点として、軸方向下側に弾性変形する。そして、第2変形部4222bは、ディスク保持部421の第1傾斜部4211と第2変形部4222bとの接続位置を支点として、径方向内側に変形する。支持部4221および第2変形部4222bの弾性変形に伴い、第1変形部4222aおよび第3変形部4222cは、径方向内側に移動する。支持部4221は、シャフト固定部423の外周面の上端部に接続されるために、第1変形部4222aおよび第2変形部4222bの軸方向の長さを長く設けることができる。特に第2変形部4222bの軸方向の長さが長いことによって、第2変形部4222bを小さい力にて弾性変形させることができる。したがって、ディスク保持部421を軸方向下側へ小さな力を加えることにより、容易に軸方向下側に移動させることができる。その結果、ディスク装着力を低減したチャッキング装置およびチャッキング装置を搭載したブラシレスモータおよびディスク駆動装置を提供することができる。
【0106】
また、支持部4221の下面における径方向内側に曲面部4221aが形成されることによって、支持部4221の支点となる部分の軸方向の厚さが大きく、且つ、滑らかな曲面にて形成されるために、この支点に加わる応力の集中を避けることができる。したがって、支持部4221の他の部位の軸方向の厚さを薄くすることができる。その結果、支持部4221は、小さい力にて軸方向下側に移動するので、ディスク保持部421に小さい力が加わっても軸方向下側に移動させることができる。その結果、ディスク装着力を低減することができる。また、ディスクをチャッキング装置4に複数回、繰り返し装着および取り外しを行ったとしても、支持部4221が破断等の塑性変形の発生を防ぐことができる。したがって、信頼性の高いチャッキング装置を提供することができる。
【0107】
ディスク60をチャッキング装置4に装着する際に、ディスク保持部421の平面部4214の内周面は、ターンテーブル41の円筒部411の外周面と摺動して、軸方向下側に移動する。この平面部4214の内周面と円筒部411の外周面との径方向の間には、摺動剤が介在している。これにより、平面部4214の円筒部411に対する軸方向への移動の摩擦力を低減することができる。その結果、ディスクと中心軸J1との高精度の調芯を実現しつつも、ディスク装着力を低減したチャッキング装置を提供することができる。
【0108】
<他のブラシレスモータの実施例>
次に本発明のブラシレスモータの他の実施例について図13を用いて説明する。図13は、本発明のブラシレスモータの他の実施例を示した、軸方向に切った模式断面図である。尚、図13は、図1と同一部材および同一部位については、同じ図番を用いる。そして、図1と同一部材および同一部位については、その説明を省略する。以下、図1からの変形部分および図1において説明を省略した部分について説明する。
【0109】
図13を参照して、ブラシレスモータ1aにおけるチャッキング装置4aのターンテーブル41の載置部413には、径方向延長部412と接続し、軸方向に沿って延びる略円筒形状の内周壁部4132と、内周壁部4132より径方向外側に形成され、内周壁部4132と同心に形成される略円筒形状の外周壁部4133と、内周壁部4132および外周壁部4133をそれぞれの上部にて径方向に連結する略円環形状の連結部4134と、を備える。
【0110】
内周壁部4132の上面および連結部4134の内周面によって、コーン42のディスク保持部421の軸方向下部を収容する円環凹部4135が形成される。そして内周壁部4132の内周面と連結部4134の下面との間には、径方向内側に向かい軸方向下側に傾斜する円環傾斜面4136が形成される。この円環傾斜面4136によって、円環凹部4135が形成されたとしても、円環凹部4135と円環傾斜面4136との断面積を他の部位と比較して極端に小さくすることを防ぐことができる。したがって、ターンテーブル41を射出成型する際の樹脂材料の流動性を良好にすることができる。その結果、ターンテーブル41の成型不良を低減することができる。
【0111】
連結部4134は、外周壁部4133より径方向外側まで延びる。そして、連結部4134の外周部には、ディスク載置部4131が形成される。また連結部4134の外周壁部4133より径方向外側の下面と外周壁部4133の外周面とは径方向外側に向かい軸方向上側に傾斜する傾斜面4137によって接続される。
【0112】
内周壁部4132の下端部および外周壁部4133の下端部を径方向に接続するように金属板にて形成された略円環状のプレート45が固定される。プレート45は、内周壁部4132の内周面に固定される円筒部451と、円筒部451から径方向外側に延び、内周壁部4132の下面および外周壁部4133の下面と接触する平面部452と、から構成される。そして、平面部452における内周壁部4132と外周壁部4133との径方向の間には、樹脂材料製の円環状のシート46が固定されている。そして、シート46の上面には、ブラシレスモータ1の回転部2の回転バランスを補正する、複数の鋼球が配置されている。したがって、ブラシレスモータ1を高速回転させたとしても、振動を低減することができる。
【0113】
以上、本発明の実施例について記載したが、本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変形が可能である。
【0114】
例えば、本発明では、シャフト21を回転自在に支持するために、スリーブ31を用いたが、本発明はこれに限定されることはない。シャフト21を回転自在に支持する軸受機構がブラシレスモータに備わっていればよい。そのため、例えば、スリーブ31の代わりにボールベアリングを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明のブラシレスモータの実施例の一形態を示した、軸方向に切った模式断面図である。
【図2】本発明のチャッキング装置の実施例の一形態を示した、上側より見た模式平面図である。
【図3】本発明のチャッキング装置を構成するコーンを示した、上側より見た模式平面図である。
【図4】本発明のチャッキング装置を構成するコーンを示した、下側より見た模式平面図である。
【図5】本発明のチャッキング装置を構成するコーンを示した、軸方向に切った模式断面図である。
【図6】本発明のチャッキング装置を構成するターンテーブルを示し、a)は、上側より見た平面図であり、b)は、軸方向に切った模式断面図であり、c)は、b)の点線円の拡大図である。
【図7】本発明のチャッキング装置を構成するヨークを示し、a)は、軸方向に切った模式断面図であり、b)は、上側より見た平面図である。
【図8】本発明のチャッキング装置を構成するヨークとクランプマグネットとを取り付けた状態を示す、軸方向に切った模式断面図である。
【図9】図1のチャッキング装置の付近を拡大した拡大図である。
【図10】本発明のディスク駆動装置の実施例の一形態を示した、軸方向に切った模式断面図である。
【図11】本発明のチャッキング装置にディスクを装着する状態を示した、軸方向に切った模式断面図である。
【図12】本発明のチャッキング装置にディスクを装着した状態を示した、軸方向に切った模式断面図である。
【図13】本発明のチャッキング装置の他の実施例を示した、軸方向に切った模式断面図である。
【符号の説明】
【0116】
1、1a ブラシレスモータ
2 回転部
21 シャフト
22 ロータホルダ
23 ロータマグネット
3 固定部
31 スリーブ
4、4a チャッキング装置
41 ターンテーブル
411 円筒部(壁部)
4112 第2突部(突部)
42 コーン
421 ディスク保持部
4213 周壁部
4214 平面部
4214a ゲート部
422 腕部
4221 支持部
4222 弾性変形部
423 シャフト固定部
424 リブ
43 ヨーク
431 平面部
4311 凹部
432 円筒部
4321 案内面
44 クランプマグネット
50 ディスク駆動装置
52 光ピックアップ機構
53 移動機構
60 ディスク
61 中心開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心開口部を有する円盤状のディスクを着脱可能とするチャッキング装置であって、
所定の中心軸と同軸に配置されるシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記ディスクを載置するディスク載置面を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルより軸方向上側に配置され、前記シャフトに固定されるシャフト固定部と、径方向外側に向かい軸方向下側に傾斜する円環状のディスク保持面を有するディスク保持部と、前記シャフト固定部と前記ディスク保持部とを径方向に接続する腕部と、を有する、樹脂材料製のコーンと、
を備え、
前記腕部には、前記シャフト固定部から連続して径方向外側に延びる支持部と、該支持部に連続して、前記ディスクと前記ディスク保持部とが接触するに伴い、弾性変形することによって、前記ディスク保持部を軸方向下側に移動させる弾性変形部を備えることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチャッキング装置であって、
前記ディスク保持部における前記腕部と周方向に異なる位置には、前記中心軸と略平行な円弧形状の周壁部と、該周壁部の下端部より径方向内側に延びる円弧形状の平面部と、を有し、
前記ターンテーブルには、前記平面部の内周面と径方向に対向する外周面を有する壁部を有し、
前記平面部の内周面と前記壁部の外周面とは、摺動可能であることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のチャッキング装置であって、
前記平面部の内周面における面粗度は、前記コーンの他の部位における面粗度より小さいことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項4】
請求項2および請求項3のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記平面部の上面もしくは下面には、射出成形の際の前記樹脂材料の注入口となるゲート部が配置されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記腕部の厚さは、前記コーンの他の部位の厚さと比較して薄いことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記弾性変形部は、
前記支持部から軸方向下側に延びる第1弾性変形部と、
前記第1弾性変形部と略平行に延び、前記ディスク保持部と連続する第2弾性変形部と、
前記第1弾性変形部と前記第2弾性変形部とを連結する第3弾性変形部と、
を備えることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のチャッキング装置であって、
前記第1弾性変形部の厚さは、前記第2弾性変形部の厚さより厚いことを特徴とするチャッキング装置
【請求項8】
請求項6および請求項7のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記第2弾性変形部の外面と前記ディスク保持部とが接続する軸方向の位置は、前記ディスク保持部と前記周壁部の外周面とが接続する軸方向の位置よりも軸方向上側となることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記中心軸と前記第2直線部の内面との径方向の大きさと、前記中心軸と前記周壁部の内周面との径方向の大きさは、略同一であり、前記中心軸と前記第2直線部の外面との径方向の大きさは、前記中心軸と前記周壁部の内周面との径方向の大きさよりも小さいことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記支持部は、前記シャフト固定部の外周面の上端部から径方向外側に延びることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項11】
請求項2に記載のチャッキング装置であって、
前記周壁部の外周面と前記ディスク保持面との径方向の間には、該外周面と前記ディスク保持部とを接続するリブが形成されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項12】
請求項11に記載のチャッキング装置であって、
前記リブは、前記周壁部の外周面において周方向に離間して複数形成されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項13】
請求項2に記載のチャッキング装置であって、
前記ターンテーブルの前記壁部は、前記円筒形状にて形成され、
前記壁部の内周面は、前記シャフトに固定されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項14】
請求項13に記載のチャッキング装置であって、
前記壁部の軸方向上側に前記コーンの前記シャフト固定部が配置され、
前記シャフト固定部の軸方向上側に、前記シャフトに固定される内周面を有する円筒部と、円筒部から径方向外側に広がる略円環形状の平面部と、を有する、磁性体にて形成されたヨークと、を備え、
前記壁部の上面と前記シャフト固定部の下面、および前記シャフト固定部の上面と前記ヨークの前記円筒部の下面との間には間隙が形成されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項15】
請求項14に記載のチャッキング装置であって、
前記壁部の外径の大きさは、前記コーンの前記シャフト固定部の外径の大きさより小さく形成され、
前記壁部における前記シャフト固定部より径方向外側の部位の上面には、前記シャフト固定部の下面より軸方向上側となる突部が形成され、
前記突部は、前記壁部の外周面の一部を構成することを特徴とするチャッキング装置。
【請求項16】
請求項14および請求項15のいずれかに記載のチャッキング装置であって、
前記支持部は、前記シャフト固定部の上端部から径方向外側に延び、
前記支持部の上面と前記シャフト固定部の上面とは軸方向の高さが略等しく構成され、
前記支持部の下面には、径方向内側に向かい該支持部の軸方向の厚さが厚くなる曲面部が形成されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項17】
請求項4に記載のチャッキング装置であって、
前記ターンテーブルは、樹脂材料を射出成形によって形成され、
前記ターンテーブルは、前記壁部を含み、前記シャフトと固定する内周面を有する円筒部と、前記壁部の下端部に設けられ、前記コーンの前記平面部と軸方向に対向する環状の平面である径方向延長部を有し、
前記円筒部の上面には、射出成形の際の前記樹脂材料の注入口となるゲート部が配置されることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項18】
請求項17に記載のチャッキング装置であって、
前記円筒部の外周側には、前記壁部の一部を構成し、前記円筒部の径方向内側の上面と比較して軸方向上側に位置する上面を有する突部が形成され、
前記突部は、周方向に離間して複数配置され、
周方向に隣り合う前記突部の間には、ゲート部が設けられることを特徴とするチャッキング装置。
【請求項19】
請求項18に記載のチャッキング装置であって、
前記ゲート部は、前記コーンの前記シャフト固定部の外径より径方向外側まで形成され、
前記ゲート部における金型の樹脂材料の注入口に対応する注入部は、前記シャフト固定部の外径より径方向外側に位置することを特徴とするチャッキング装置。
【請求項20】
請求項14に記載のチャッキング装置であって、
前記弾性変形部は、前記壁部の外周面より径方向外側に形成され、
前記弾性変形部は、前記壁部の上面より軸方向下側となる部分を含むことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項21】
請求項1乃至請求項20のいずれかに記載のチャッキング装置を備えたブラシレスモータであって、
前記シャフトとともに前記中心軸の周りを回転するロータマグネットを有する回転部と、
前記ロータマグネットと対向した磁場を発生するステータを有する固定部と、を備えることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項22】
請求項21に記載のブラシレスモータを搭載したディスク駆動装置であって、
前記ディスクを光学的に記録または再生の少なくともどちらか一方を行う記録再生部を有する光ピックアップ機構と、
前記光ピックアップ機構を径方向に移動可能な移動機構と、
を備えることを特徴とするディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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