説明

チャネル割り当て最適化方法およびチャネル割り当て最適化装置

本発明は、複数回反復に基づくチャネル割り当て最適化方法およびチャネル割り当て最適化装置を提供する。このチャネル割り当て最適化方法は、チャネル割り当て最適化パス探索段階と、チャネル切り換え段階とを備える。チャネル割り当て最適化パス探索段階中、IBSは、複数回反復を通してチャネル割り当て最適化パスを検出するように隣接基地局とネゴシエートする。実現可能なチャネル割り当て最適化パスを検出することに成功した後になって初めて、IBSおよびIBSの隣接基地局は、チャネル切り換えプロセスを開始して、無用なチャネル切り換えが回避され得るようにする。その他、反復プロセス中に適時に収束することができないという問題を回避するため、反復回数のしきい値が事前設定される。現在の反復回数がこのしきい値を超えると、現在のチャネル上のチャネル割り当て最適化パス探索プロセスは終了され、次に、プロセスは、別のパスを検出するように他のチャネルに切り換わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル割り当て最適化方法およびチャネル割り当て最適化装置に関し、詳細には、複数回反復チャネル切り換えプロセスを通して実施されるチャネル割り当て最適化方法、および対応するチャネル割り当て最適化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スペクトル共用の際、異なるシステムに無線チャネルを適切な仕方で割り当てて、異なるシステム間のより良好な共存を実現することが最も重要である。他方、重なり合うカバレッジ範囲を有する隣接するシステムに異なるチャネルを割り当てて、隣接するシステム間の同一チャネル干渉を回避するようにすることが要求される。図1に示されるとおり、システム1とシステム2は隣接しているため、BS(基地局)1と、BS1に加盟しているSS(加入者局)1の間の伝送が、BS2と、BS2に加盟しているSS2の間の通信リンクに干渉を生じさせないように、システム1とシステム2に異なるチャネルを割り当てることが要求される。他方、可能な限り多くのシステムに、それらのシステムの伝送需要を満たすように専用チャネルが割り当てられ得ることを保証することが要求される。そうではなく、専用伝送チャネルを割り当てられなかったシステムは、他のシステムと無線チャネルを共用しなければならず、さらにシステムの現在の伝送作業を一時停止さえしなければならない。明白に、この場合、スペクトル利用率は低下し、サービスのQoS(サービス品質)は、よく保証され得ない。つまり、システムの間で効果的な共存が実現され得ない。
【0003】
一般に、スペクトル共用の際、システムを横断する無線リソース管理を実現する全体的な中央コントローラは存在しない。その他、一元化されたモードでシステムを横断する全体的なチャネル割り当て最適化を実現するように多くの情報を収集/保持するのに中央コントローラが必要とされる。さらに、ネットワーク・トポロジの動的な変化が、そのような情報を伝搬することにかかる負担を重くする。このため、一元化された全体的なチャネル割り当て最適化の仕方は、実際のネットワーク構築の際にほとんど適用され得ない。この場合、代替の仕方は、分散モードでチャネル割り当てを実現することであり、各システムは、そのシステム自らの現用チャネルを適応的に選択する。
【0004】
現行では、IEEE802.16h標準が、IBS(初期設定基地局)のための専用チャネルを獲得し、まずIBSが、スペクトル感知プロセス中にアイドル(干渉のない)チャネルを検出しようと試み、IBSがアイドル・チャネルを検出することに失敗した場合、IBSの隣接基地局の現用チャネルを他のアイドル・チャネルに切り換えることによって、すなわち、IBSの隣接システムのチャネル配分を変更することによって、或るアイドル・チャネルがIBS専用の現用チャネルとして空けられなければならないように、チャネル割り当て最適化のプロセスを規定する。
【0005】
しかし、IEEE802.16hは、単一ホップ・チャネル配分最適化機構を単に規定するに過ぎず、このことは、IBSが単に、IBSの隣接基地局が、IBSのためにアイドル・チャネルを空けるように現用チャネルを切り換えることを要求するに過ぎないことを意味する。IBSが、或るチャネル上で動作するすべての隣接基地局にバックアップ・アイドル・チャネルが存在することを検出できない場合、IBSは、802.16hにおいて規定されるチャネル割り当て最適化のプロセスを通して、アイドル・チャネルをIBS専用チャネルとして獲得することができない。
【0006】
図2は、アイドル・チャネルが現用チャネルとして獲得される前のIBS(BS5)、およびIBS(BS5)の隣接基地局に対する初期チャネル割り当て、ならびに初期チャネル割り当て情報の概略図を示す。図2に示されるとおり、IBSの初期チャネル割り当て情報は、各チャネル上で動作している隣接基地局のIDと、これらの隣接基地局のバックアップ・アイドル・チャネルとを備え、BS1、BS2、BS4、BS6、BS7、およびBS8がすべて、BS5の隣接基地局であるのに対して、BS3およびBS9は、BS5の隣接基地局の隣接基地局である。各基地局に割り当てられることが可能な3つのチャネルが存在するものと想定されたい。図2で、これらのチャネルは、異なる陰影で表される。
【0007】
図2に示されるとおり、BS1とBS7はともにチャネル1上で動作する。しかし、BS7は、バックアップ・アイドル・チャネルを全く有さず、このため、BS1は、チャネル3をバックアップ・アイドル・チャネルとして有するものの、BS5は、BS7およびBS1に、BS5の現用チャネルとしてチャネル1を空けるために他のチャネルに切り換えるよう要求することができない。同様に、BS5は、チャネル2上、またはチャネル3上で動作している隣接基地局に、BS5の現用チャネルとしてチャネル2またはチャネル3を空けるよう、他のチャネルに切り換えるように要求することができない。というのは、チャネル2上、またはチャネル3上で動作しているこれらの隣接基地局のいずれも、バックアップ・アイドル・チャネルを有さないからである。この事例において、802.16hにおいて規定されるチャネル割り当て最適化機構が使用される場合、BS5は、BS5の伝送を一時停止しなければならない、またはサービス・メッセージを伝送するのに他の隣接基地局とチャネルを共用しなければならない。しかし、現行のチャネル割り当てが、或る機構を通して、図3に示されるチャネル割り当て状況に変更され得る場合、BS5は、専用の現用チャネルを獲得することができる。明らかに、この場合、802.16hにおいて規定されるチャネル割り当て最適化機構と比べて、この新たな機構は、スペクトル効率を向上させるとともに、BS5のサービス品質(QoS)をより効果的に保証することができる。
【0008】
このため、システムの間のより良好な共存を可能にするようにチャネル割り当て最適化機構を設計することが所望される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IEEE802.16h
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、複数回反復ベースの分散チャネル割り当て最適化機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
基本的なチャネル割り当て最適化プロセスは、次の2つの段階、すなわち、チャネル割り当て最適化パス探索段階とチャネル切り換え段階に分けられる。チャネル割り当て最適化パス探索段階中、IBSは、複数回反復を通してチャネル割り当て最適化パスを検出するように他の基地局とネゴシエートする。チャネル割り当て最適化パスを検出することに成功した後、IBSおよび他の隣接基地局は、チャネル切り換えプロセスを開始して、無用なチャネル切り換えが回避され得るようにする。
【0012】
その他、反復プロセス中に適時に収束することができないという問題を回避するため、反復回数のしきい値が事前設定される。現在の反復回数がこのしきい値を超えると、現在のチャネル上のチャネル割り当て最適化パス探索プロセスは終了され、次に、プロセスは、別のパスを検出するように他のチャネルに切り換わる。
【0013】
本発明の一態様によれば、通信システムにおけるチャネル割り当て最適化方法が提供され、通信システムは、初期設定基地局と、初期設定基地局の多段隣接基地局とを備える。
【0014】
多段隣接基地局のなかの現在の段の隣接基地局において、方法は、上段の隣接基地局からチャネル割り当て最適化試験メッセージを受信するステップと、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定するステップと、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在する場合、上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するステップと、上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージが受信されると、そのチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求するステップと、すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信された後、上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに現在の段の隣接基地局をそのチャネル上で動作させるステップとを備える。
【0015】
現在の段の隣接基地局において、方法は、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しない場合、現在の段の隣接基地局の段数が所定のしきい値を超えているかどうかを判定すること、この段数が所定のしきい値を超えている場合、上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信すること、この段数が所定のしきい値を超えていない場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作している下段の隣接基地局の数に基づいて分類すること、a)試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定すること、試験に利用できるチャネルが存在しない場合、上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信すること、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから、そのチャネル上で動作している下段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、現在の段の隣接基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択すること、およびその選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信することをさらに備える。
【0016】
現在の段の隣接基地局において、方法は、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信したかどうかを判定するステップと、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信してはいない場合、a)に戻るステップと、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信している場合、上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するステップと、上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、その選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに要求するステップと、すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信された後、上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに現在の段の隣接基地局を選択されたチャネル上で動作させるステップとをさらに備える。
【0017】
初期設定基地局において、方法は、アイドル・チャネルが存在せず、さらにそのチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しないと判定した場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作している第1段の隣接基地局の数に基づいて分類するステップと、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定するステップと、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、初期設定基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択するステップと、選択されたチャネル上で動作する第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するステップとを備える。
【0018】
初期設定基地局において、方法は、第1段の隣接基地局のすべてのそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信すると、初期設定基地局を初期設定基地局のバックアップ最適化チャネル上で動作させ、バックアップ最適化チャネルは、初期設定基地局のために第1段の隣接基地局によって空けられたアイドル・チャネルであるステップをさらに備える。
【0019】
好ましくは、初期設定基地局、および初期設定基地局の多段隣接基地局はすべて、チャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保持して、この情報に基づいて最適なチャネル割り当て最適化パスを計算するようにする。
【0020】
いずれかの段の隣接基地局で切り換え失敗が生じた場合、より下の段のそれぞれの段で完了した切り換えは、元の状態に復元され、さらに「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが上段の隣接基地局に送信される。「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが初期設定基地局まで1段ずつ上方に転送されると、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定すること、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、初期設定基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択すること、選択されたチャネル上で動作するすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信すること。
【0021】
本発明の別の態様によれば、通信システムにおけるチャネル割り当て最適化装置が提供され、この通信システムは、初期設定基地局と、初期設定基地局の多段隣接基地局とを備え、多段隣接基地局のなかの現在の段の隣接基地局において、チャネル割り当て最適化装置は、
上段の隣接基地局からチャネル割り当て最適化試験メッセージを受信し、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定し、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在する場合、上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するように構成されたチャネル割り当て最適化パス探索手段と、
上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージが受信されると、その選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求し、すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信されると、上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに現在の段の隣接基地局の現用チャネルをその選択されたチャネルに切り換えるように構成されたチャネル切り換え手段とを備える。
【0022】
現在の段の隣接基地局において、チャネル割り当て最適化パス探索手段は、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しない場合、現在の段の隣接基地局の段数が所定のしきい値を超えているかどうかを判定し、この段数が所定のしきい値を超えている場合、上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信し、この段数が所定のしきい値を超えていない場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作する下段の隣接基地局の数に基づいて分類し、a)試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルが存在しない場合、上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信し、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、現在の段の基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択し、さらにその選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するようにさらに構成される。
【0023】
現在の段の隣接基地局において、チャネル割り当て最適化パス探索手段は、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得したかどうかを判定し、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得してはいない場合、a)に戻り、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信している場合、上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するようにさらに構成される。
【0024】
初期設定基地局において、チャネル割り当て最適化装置は、アイドル・チャネルが存在せず、さらにそのチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しないと判定された場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作している第1段の隣接基地局の数に基づいて分類し、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、初期設定基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択し、選択されたチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するように構成されたチャネル割り当て最適化パス探索手段を備える。
【0025】
初期設定基地局において、チャネル割り当て最適化装置は、第1段の隣接基地局に送信されたすべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得した場合、対応する第1段の隣接基地局にチャネル切り換え要求メッセージを送信する際に、その選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれの最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求するように構成されたチャネル切り換え手段を備える。すべての第1段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信されると、初期設定基地局の現用チャネルを、この基地局のバックアップ最適化チャネルに切り換え、バックアップ最適化チャネルは、初期設定基地局のために第1段の隣接基地局によって空けられたアイドル・チャネルである。
【0026】
好ましくは、チャネル割り当て最適化装置は、初期設定基地局、および初期設定基地局の多段隣接基地局においてチャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保存するための手段と、この情報に基づいて最適なチャネル割り当て最適化パスを計算するための手段とをさらに備える。
【0027】
チャネル切り換え手段は、いずれかの段の隣接基地局で切り換え失敗が生じた場合、より下の段のそれぞれの段で完了した切り換えを元の状態に復元し、さらに「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを上段の隣接基地局に送信するように構成される。
【0028】
初期設定基地局において、チャネル切り換え手段が、「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信すると、チャネル割り当て最適化パス探索手段は、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、初期設定基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択し、選択されたチャネル上で動作するすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】スペクトル効率を高めるように最適化チャネル割り当て機構を実行することが要求される、複数のシステムが共存する場合の一般的なネットワーク・シナリオを示す図である。
【図2】アイドル・チャネルを現用チャネルとして獲得する前のIBS(BS5)、およびIBS(BS5)の隣接基地局に対する初期チャネル割り当て、ならびに初期チャネル割り当て情報を示す概略図である。
【図3】図2の初期シナリオに基づき、本発明に従って実施されるチャネル割り当て最適化の例を示す図である。
【図4】本発明による複数回反復ベースのチャネル割り当て最適化プロセスを示す図である。
【図5】本発明による複数回、反復されるチャネル割り当て最適化機構に従って初期設定基地局IBSによって実施される方法フローを示す図である。
【図6】本発明による複数回、反復されるチャネル割り当て最適化機構に従って第k番の隣接基地局NB(k)によって実施される方法フローを示す図である。
【図7】本発明の実施形態によるチャネル割り当て最適化装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最適化チャネル割り当てを実施するため、本発明は、複数回反復チャネル切り換えプロセスに基づく分散ソリューションを提供する。すなわち、IBSは、アイドル・チャネルをIBS専用の現用チャネルとして空けるように、1回の反復プロセスを通して隣接基地局のチャネル割り当てを変更すること、または二次反復プロセスを通して隣接基地局の隣接基地局のチャネル割り当てを変更することを、以下同様に最大反復回数に達するまで行うことができる。
【0031】
基本的なチャネル割り当て最適化プロセスは、次の2つの段階、すなわち、チャネル割り当て最適化パス探索段階とチャネル切り換え段階に分けられる。チャネル割り当て最適化パス探索段階において、IBSは、チャネル割り当て最適化パスを検出するように、すなわち、アイドル・チャネルを空けるようにいずれの基地局が、それらの基地局の現在の現用チャネルをいずれのチャネルに切り換える必要があるかを検出するように他の基地局とネゴシエートする。チャネル切り換え段階中、チャネル割り当て最適化パス上の各基地局は、現在の現用チャネルを、チャネル割り当て最適化パス探索段階において特定された可能なチャネルに順次に切り換える。
【0032】
チャネル割り当て最適化パス探索の方向は、実際のチャネル切り換えとは逆であることに留意されたい。すなわち、チャネル割り当て最適化パスを探索する方向は、以下のとおり、すなわち、IBS→IBSの隣接基地局→IBSの隣接局の隣接基地局→以下同様の隣接基地局であるのに対して、チャネル切り換えの方向は、以下のとおり、すなわち、以下同様の隣接基地局→IBSの隣接局の隣接基地局→IBSの隣接基地局→IBSである。
【0033】
チャネル割り当て最適化パス探索段階中、各基地局は、チャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保存することになっており、このため、将来にチャネル割り当て最適化パス探索を実行する際、システムは、チャネル割り当て最適化パスについての保存された情報を使用して、チャネル割り当て最適化パスを迅速に検出することができることに留意されたい。その他、何らかの距離、つまり、ベクトル・アルゴリズム(例えば、ベルマン−フォード・アルゴリズム)が、IBSのためにアイドル・チャネルを空けるように、チャネル割り当て最適化の最適なパスを計算するのに使用されることが可能である(チャネル割り当て最適化は、最少の回数のチャネル切り換えを測定標準として使用することが可能である)。
【0034】
NB(1)がIBSの隣接基地局(第1段の隣接基地局)を表すものとし、NB(2)がIBSの隣接基地局の隣接基地局、すなわち、NB(1)の隣接基地局(説明のため、この場合、IBSの第2段の隣接基地局と呼ばれる)を表すものとし、以下同様であり、NB(k)がNB(k−1)の隣接基地局(IBSの第k段の隣接基地局)を表すものとする。NB(1)−ChXが、チャネルX上で動作している第1段の隣接基地局を表すものとし、NB(1)−ChX−1が、チャネルX上で動作している第1段の隣接基地局1を表すものとし、NB(2)−ChXが、チャネルX上で動作している第2段の隣接基地局を表すものとし、以下同様であり、NB(k)−ChXが、チャネルX上で動作している第k段の隣接基地局を表すものとする。
【0035】
IEEE802.16hにおいて規定されるチャネル割り当て最適化ソリューションに基づいて、IBSがリスニングを通してアイドル・チャネルを検出することができる場合、IBSは、そのアイドル・チャネルをIBS専用の現用チャネルとして直接に選択することができる。アイドル・チャネルが全く検出されない場合、IBSは、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するようなチャネルが存在するかどうかを判定する。存在する場合(このチャネルがチャネルXであるものと想定されたい)、IBSは、NB(1)−ChXのそれぞれがそのNB(1)−ChXのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えられるべきことを要求する「チャネル切り換え要求」メッセージを、NB(1)−ChXのそれぞれに送信する。「チャネル切り換え要求」メッセージが受信された場合、NB(1)−ChXのそれぞれは、そのNB(1)−ChXのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えられ、次に、IBSが、チャネルXをIBS専用の現用チャネルとして獲得することができる。そのようなチャネルが存在しない場合、IBSは、他のシステムとチャネルを共用しなければならない、またはサービス・メッセージの伝送を一時停止しなければならない。
【0036】
しかし、本発明によれば、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するようなチャネルが存在しない場合、アイドル・チャネルは、複数回反復ベースのチャネル割り当て最適化プロセスを通してIBSのために空にされることが可能である。以下に、図4を参照して、本発明による複数回反復ベースのチャネル割り当て最適化プロセスを説明する。
【0037】
1)IBSが、各チャネル上で動作しているNB(1)の数に基づいて、これらのチャネルを分類し、さらにNB(1)の数が最も少ないチャネル(このチャネルには、チャネルXという印が付けられる)を選択する。
【0038】
2)IBSが、NB(1)−ChXのそれぞれに「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを送信する。「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを受信した後、NB(1)−ChXのそれぞれは、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(2)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定する。
【0039】
3)NB(1)−ChXのそれぞれが、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(2)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するようなチャネル(このチャネルには、チャネルYという印が付けられる)の存在を検出した場合、NB(1)−ChXのそれぞれが、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをIBSに送信する。
【0040】
例えば、NB(1)−ChX−1は、そのチャネル上で動作しているすべての隣接基地局が、それらの基地局の現在の現用チャネルをそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えることを通して、NB(1)−ChX−1のためにアイドル・チャネルを空けることができるようなチャネルを検出することが可能である。この場合、NB(1)−ChX−1は、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをIBSに送信する。
【0041】
4)そのようなチャネルが全く検出されなかった場合、NB(1)−ChXは、NB(1)−ChXの隣接基地局に、それぞれ、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを採用するようにさらに要求する。NB(1)−ChXの隣接基地局が、NB(1)−ChXのためにチャネルを空けることができる最適化パスを検出することに成功した場合、NB(1)−ChXは、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをIBSに送信し、成功しなかった場合、NB(1)−ChXは、「実現不能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをIBSに送信する。
【0042】
5)NB(k−1)−ChMから「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを受信した後、各隣接基地局(例えば、NB(k)−ChN)は、NB(1)−ChXの動作と同様の動作を実行して、最適化パスを検出する。このパスを通して、チャネルNが、対応するNB(k−1)−ChMのために空けられることが可能である。その他、この反復プロセスを際限なく実行すること(すなわち、収束問題)を回避するため、反復回数に関するしきい値が事前設定される。このため、チャネル割り当て最適化パス探索段階中、対応するNB(k)が、反復回数>しきい値であることを検出した場合、NB(k)は、NB(k)の隣接する、より下の段の基地局に、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを開始するように要求しない。この場合、「実現不能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」が、そのNB(k−1)−ChMに送信される。
【0043】
6)NB(1)−ChXは、チャネル切り換え回数、パス探索要求を送信する基地局ID、および切り換え先となることが所望されるチャネルなどを備える、チャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保持しなければならない。
【0044】
7)IBSが、「実現可能」指示を有するすべての「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを受信した場合、IBSは、実現可能なチャネル割り当て最適化パスを検出することに成功している。このパス上の基地局のチャネル切り換え動作を通して、アイドル・チャネルがIBSのために空けられることが可能であり、このため、IBSは、チャネル切り換え段階に入る。
【0045】
8)IBSが、隣接基地局(IBSが要求を送信する)から「実現不能」指示を有する任意の「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを受信した場合、または所定の時間、待った後、「チャネル割り当て最適化試験」メッセージに対する或る応答メッセージを受信しなかった場合、このことは、チャネル切り換えプロセスを通してIBSに利用可能となるように、現在、試験されているチャネルを空けることが不可能であることを示す。このため、IBSは、他のチャネル上で同様のチャネル割り当て最適化プロセスを実行しようと試みる。すなわち、IBSは、残りのチャネルからNB(1)の数が最も少ない可能なチャネルを選択して、ステップ2)、3)、4)、5)、6)、および7)を実行することを続けて、最適化パスを検出する。
【0046】
9)最適化チャネルを検出することなしにすべてのチャネルが試験された場合、IBSは、チャネル割り当て最適化プロセスを通して、アイドル・チャネルをIBS専用の現用チャネルとして獲得することに成功することができない。この場合、IBSは、伝送を一時停止しなければならない、またはメッセージ伝送を実現するのにIBSの隣接基地局とチャネルを共用しなければならない。
【0047】
アイドル・チャネルが、「a」回の反復プロセスを通してIBSのために空けられることが可能であるものと想定されたい。すなわち、NB(a)が、最適化パスの終端である。チャネル切り換えプロセス中、この最適化パス上の各基地局が、チャネル割り当て最適化パス探索段階中に決定された切り換えの仕方に基づいて、現在のチャネルを選択されたチャネルに順次に切り換える。
【0048】
1)IBSが、最適化パスを通して決定された所与のチャネル上の隣接基地局(すなわち、NB(1))に「チャネル切り換え要求」メッセージを送信し、次に、このチャネル上のNB(1)のそれぞれが、最適化パスを通して決定された所与のチャネルを通して、そのNB(1)の隣接基地局(NB(2))にこのメッセージを転送し、最適化パス上のNB(a)のそれぞれが、この「チャネル切り換え要求」メッセージを受信するまで、以下同様である。最適化パス上のこれらのNB(a)がチャネルZ上で動作するものと想定されたい。
【0049】
2)NB(a)−ChZのそれぞれが、そのNB(a)−ChZの現用チャネルをチャネルZからNB(a)−ChZのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えようと試みる。現用チャネルをNB(a)−ChZのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えた後、NB(a)−ChZのそれぞれは、NB(a−1)に「成功」指示を有する「チャネル切り換え応答」メッセージを送信して、「チャネル切り換え要求」メッセージに肯定応答する。
【0050】
3)「成功」指示を有するすべての「チャネル切り換え応答」メッセージを受信した後、対応するNB(a−1)は、そのNB(a−1)の現用チャネルをチャネルZに切り換え、次に、そのNB(a−1)は、「チャネル切り換え応答」メッセージをNB(a−2)に送信し、以下同様である。
【0051】
4)「成功」指示を有するすべての「チャネル切り換え応答」メッセージがNB(1)から受信された後、IBSは、チャネル切り換えプロセスの複数回の反復を通して、そのアイドル・チャネルをIBS専用の現用チャネルとして獲得することに成功する。
【0052】
以下に、図5を参照して、本発明による複数回、反復されるチャネル割り当て最適化機構に従ってIBSによって実施される方法フローを詳細に説明する。
【0053】
図5に示されるとおり、ステップ501で、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在する場合、ステップ503で、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えて、IBSがアイドル・チャネルをIBS専用の現用チャネルとして獲得するようにすることが要求される(ステップ523)。
【0054】
そのチャネル上で動作しているすべてのNB(1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しない場合、IBSは、ステップ505に入り、すべてのチャネルが試験されているかどうかを判定する。まだ試験されていないチャネルが存在する場合、IBSは、そのチャネル上で動作しているNB(1)の数が最も少ない第1段の現用チャネル(チャネルXとして印が付けられた)を、第1段の試験チャネル、すなわち、IBSのバックアップ最適化チャネルとして選択する。
【0055】
ステップ509で、IBSが、NB(1)−ChXのそれぞれに「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを送信する。「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを受信した後、NB(1)−ChXのそれぞれは、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(2)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定する。NB(1)−ChXの1つが、そのチャネル上のすべてのNB(2)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルの存在を検出した場合、そのNB(1)−ChXは、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを送信する。そうではなく、そのようなチャネルが全く検出されなかった場合、NB(1)−ChXは、隣接基地局(NB(2))に、それぞれ、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを実行するようにさらに要求し、これに基づいて、NB(2)は、場合により、より下のレベルの隣接基地局(NB(3))に、それぞれ、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを実行するようにさらに要求し、したがって、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスは、1段ずつ下方に繰り返し実行される。
【0056】
ステップ511で、NB(1)−ChXのそれぞれにIBSによって送信されたすべての「チャネル割り当て最適化試験」メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを受信すると、このことは、IBSのためにIBSの現用チャネルとしてアイドル・チャネルを空けることが実現され得るようにチャネル割り当て最適化パスが検出されることに成功したことを示し、次に、フローは、ステップ513に進む。
【0057】
そうではなく、いずれかのNB(1)−ChXが、「実現不能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをIBSに送信した場合、または所定の期間、待った後、或る「チャネル割り当て最適化試験」メッセージに対する応答メッセージがまだ受信されていない場合、流れは、ステップ505に戻る。IBSが、試験されたチャネルXの他に残っているチャネルをローカル・チャネル・リストが有すると判定した場合、IBSは、ステップ507〜511をさらに実行して、チャネル割り当て最適化パスを検出する。
【0058】
ステップ513で、IBSが、チャネル切り換え回数、パス探索要求を送信する基地局ID、および切り換え先となることが所望されるチャネルなどを備える、検出されたチャネル割り当て最適化パスについての情報を保存する。
【0059】
ステップ515で、IBSが、最適化パスによって決定されたチャネル(チャネルXと想定されたい)上で動作する第1段の隣接基地局のそれぞれに「チャネル切り換え要求」を送信し、さらにフローは、ステップ517に進んで、このメッセージに対するNB(1)−ChXのそれぞれの応答を待つ。
【0060】
すべての「チャネル切り換え要求」メッセージのそれぞれが、「成功」指示を有する応答を獲得した場合、このことは、複数回反復切り換えプロセスを通して、アイドル・チャネルがIBSのために専用の現用チャネルとして空けられることに成功したことを示す。この場合、IBSは、チャネルX上に常駐し、メッセージ伝送を開始する(ステップ519)。
【0061】
ステップ505ですべてのチャネルが試験され、実現可能なチャネル割り当て最適化パスが全く検出されなかった場合、すなわち、複数回反復切り換えプロセスを通してIBSのためにアイドル・チャネルを空けることが不可能である(ステップ506)。この場合、IBSは、伝送を一時停止しなければならない、またはメッセージ伝送を実現するのにIBSの隣接基地局とチャネルを共用しなければならない。
【0062】
以下に、図6を参照して、本発明による複数回、反復されるチャネル割り当て最適化機構に従って第k段の隣接基地局NB(k)のそれぞれによって実施される関係のあるフローを詳細に説明する。説明のため、この場合、NB(k)は、Oチャネル上で動作しているものと想定される。
【0063】
第1に、ステップ601で、対応するNB(k)−CHOが、NB(k−1)−CHMから「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを受信する。
【0064】
次に、ステップ603で、すべてのNB(k+1)が現用チャネルによってグループ化され、さらに同一の現用チャネル上で動作するNB(k+1)が1つのグループに分類される。
【0065】
ステップ605で、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(k+1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかが判定される。
【0066】
そのようなチャネル(チャネルRと想定されたい)が存在する場合、フローは、ステップS606に入り、対応するNB(k)−CHOが、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをNB(k−1)−CHMに送信する。
【0067】
ステップ6061で、対応するNB(k)−CHOが、NB(k−1)−CHMからチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、フローは、ステップ6062に入り、チャネルR上で動作しているNB(k+1)−CHRに、NB(k+1)−CHRのそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えて、対応するNB(k)−CHOのためにチャネルRを空けるようにするように要求する。
【0068】
ステップ6063で、対応するNB(k)−CHOが、「成功」指示を有する「チャネル切り換え応答」メッセージをNB(k−1)−CHMに送信し、ステップ6064でチャネルRに切り換えて動作する。
【0069】
ステップ605で、そのチャネルで動作しているすべてのNB(k+1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しないと判定した場合、フローは、ステップ607に進み、反復回数kが所定のしきい値を超えたかどうかが判定される。反復しきい値の設定は、反復プロセスを際限なく実行すること(すなわち、収束問題)を回避するためであることに留意されたい。
【0070】
したがって、チャネル割り当て最適化パス探索のプロセス中、第k段の隣接基地局NB(k)が、反復回数k>しきい値であることを検出した場合、フローは、ステップ608に入り、第k段の隣接基地局NB(k)は、隣接基地局NB(k+1)に、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを開始するように要求せず、さらに対応するNB(k)−CHOが、「実現不能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを、そのNB(k)−CHOの上段の隣接基地局NB(k−1)に送信する。反復回数kがしきい値を超えていない場合、フローは、ステップ609に入る。
【0071】
ステップ609で、対応するNB(k)−CHOが、各チャネル上で動作しているNB(k+1)を現用チャネルによってグループ化し、同一のチャネル上で動作しているNB(k+1)は、1つのグループにグループ化される。ステップ613で、対応するNB(k)−CHOが、NB(k+1)の数が最も少ないチャネルを、(k+1)段の試験チャネルとして、すなわち、NB(k)のバックアップ最適化チャネル(Sと想定されたい)として選択する。ステップ615で、対応するNB(k)−CHOが、NB(k+1)−CHSのそれぞれに「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを送信する。ステップ617で、NB(k+1)−CHSのそれぞれに送信された各「チャネル割り当て最適化試験」メッセージに対して「実現可能」指示を有する応答が受信され、次に、ステップ619で、対応するNB(k)−CHOが、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをそのNB(k−1)−CHMに送信する。
【0072】
ステップ617で、対応するNB(k)−CHOが、「実現不能」指示を有する任意の「チャネル割り当て最適化応答」を受信した、または或る時間、待った後、或る「チャネル割り当て最適化試験」メッセージの応答メッセージを受信しなかった場合、フローは、ステップ611に戻って、チャネルS以外のチャネル(すなわち、残りのチャネル)のなかでNB(k+1)の数が最も少ないチャネルを、新たな(k+1)段の試験チャネルとして選択することを続け、さらに第k段の試験チャネル上で動作するNB(k)に関してステップ613〜617を実行することを続ける。
【0073】
すべてのチャネルが試験されたが、第k番の現用チャネルを空けることができるチャネル割り当て最適化パスがまだ検出されていない場合、フローは、ステップ612に戻り、「実現不能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをNB(k−1)−CHMに送信する。
【0074】
ステップ621で、対応するNB(k)が、チャネル切り換え回数、パス探索要求を送信する基地局ID、および切り換え先となることが所望されるチャネルなどを備える、検出されたチャネル割り当て最適化パスについての情報を保存する。
【0075】
ステップ623〜629は、チャネル切り換え段階中に対応するNB(k)によって実行されるプロセスを説明する。チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを通して、NB(k−1)−CHM、NB(k)−CHO、およびNB(k+1)−CHSがパス上に存在することが特定されたものと想定されたい。対応するNB(k)−CHOが、ステップ623でNB(k−1)−CHMからチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、ステップ625が実行される。ステップ625で、対応するNB(k)−CHOが、NB(k+1)−CHSに、チャネル切り換えを通してチャネルSを空けるように要求し、フローは、ステップ627に入って、そのチャネル切り換え要求メッセージに対するNB(k+1)−CHSのそれぞれからの応答を待つ。対応するNB(k)−CHOが、NB(k+1)−CHSのそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信した場合、このことは、チャネルSがNB(k)−CHOの隣接基地局によって空けられたことを示す。このため、対応するNB(k)−CHOは、ステップ629で、「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージをそのNB(k−1)に送信し、ステップ631で、メッセージ伝送動作を実行するためのチャネルがSに切り換えられる。
【0076】
チャネル切り換えプロセス中、いずれかの段の隣接基地局で切り換え失敗が生じた場合、より下の段によって完了された切り換えは、元の状態に復元されなければならず、さらに「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが1段ずつ、IBSまで転送され、IBSは、残りのチャネルに対してチャネル割り当て最適化パス探索プロセスを再び実行することに留意されたい。
【0077】
チャネル割り当て最適化パス探索プロセス中、IBSおよび各段の隣接基地局は、その回のチャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保存することになっており、将来にチャネル割り当て最適化パス探索を実行する際、チャネル割り当て最適化パスについての保存された情報がチャネル割り当て最適化パスを迅速に検出するのに使用されることが可能である。
【0078】
テーブル1は、基地局(基地局cと想定されたい)において保存されるチャネル割り当て最適化パス情報の例を示す。
【0079】
【表1】

【0080】
「合計チャネル切り換え回数」とは、アイドル・チャネルを空けるためにチャネル割り当て最適化パス上の基地局によって実行されたチャネル切り換え回数の合計を指すことに留意されたい。例えば、テーブル1に示されるとおり、基地局が、チャネルyをその基地局の現用チャネルとして獲得するように、隣接基地局のチャネル割り当てを変更することを所望する場合、これらの基地局(その基地局の隣接基地局、その基地局の隣接基地局の基地局などを備える)は、合計で6回、チャネル切り換えを実行する必要がある。
【0081】
「合計チャネル切り換え回数」が距離ベクトルと見なされる場合、何らかの距離ベクトル・アルゴリズム(例えば、ベルマン−フォード・アルゴリズム)を使用して、最適なパスが計算されることが可能である。この場合、最適なパスは、最も少ないチャネル切り換え回数でアイドル・チャネルを空けるチャネル割り当て最適化パスとして表される。距離ベクトル・アルゴリズムに基づいて最適なパスを計算することは、隣接基地局の間でチャネル割り当て最適化情報を頻繁に交換することを必要としない。
【0082】
将来にチャネル割り当て最適化パス探索を実行する際、基地局は、情報テーブルの中に保存されているチャネル割り当て最適化パス情報を使用して、チャネル割り当て最適化パスを検出することができ、実現可能なチャネル割り当て最適化パスが、そのような情報に基づいて検出されることに成功し得ない場合、基地局は、次に低い段の基地局に、チャネル割り当て最適化パス探索プロセスを開始するように要求する。明らかに、以前の情報テーブル情報に基づいて、チャネル割り当て最適化パス探索のために消費される時間は、大幅に短縮され、「チャネル割り当て最適化試験」メッセージおよび「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを伝送するために消費される、対応するリソースが節約される。
【0083】
以下に、図3に示されるチャネル割り当て最適化をどのように実施するかを、例として図2のシナリオを使用して説明する。
【0084】
IBS(BS5)は、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルを検出することができないため、IBS(BS5)のためにアイドル・チャネルを空けるのに複数回反復ベースのチャネル割り当て最適化プロセスを使用することが要求される。
【0085】
1)IBSが、これらのチャネルを、これらのチャネル上で動作するNB(1)の数によって分類し、そのチャネル上で動作している1つだけの隣接基地局(BS6)しか有さないチャネル3を選択する。
【0086】
2)IBSが、BS6に「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを送信する。「チャネル割り当て最適化試験」メッセージを受信した後、BS6は、そのチャネル上で動作しているすべてのNB(2)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定する。
【0087】
3)BS6が、チャネル1上に1つだけのNB(2)(すなわち、BS3)しか存在しないことを検出し、BS3が、チャネル2に切り換えることによって、BS6のためにチャネル1を空けることができることが知られる。
【0088】
4)BS6が、「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージをIBSに送信する。
【0089】
5)IBSが、BS6から「実現可能」指示を有する「チャネル割り当て最適化応答」メッセージを受信すると、IBSは、空けられたアイドル・チャネルを、IBS専用の最適化チャネルとして探索することに成功する。チャネル切り換えのためのパスは、以下のとおりである。すなわち、
a)BS3が、チャネル1からチャネル2に切り換え、
b)BS6が、チャネル3からチャネル1に切り換え、
c)BS5が、チャネル3に切り換える。
【0090】
チャネル切り換えプロセス中、BS3、BS6、およびBS5は、チャネル切り換えパスに基づいて選択されたチャネルに順次切り換える。最後に、チャネル3が空けられ、IBS(BS5)によって、IBS(BS5)専用の現用チャネルとして使用される。
【0091】
図7は、本発明によるIBSのIBS、およびIBSの多段隣接基地局の範囲内で分散されたチャネル割り当て最適化装置700を示す。
【0092】
多段隣接基地局における現在の段の隣接基地局NB(k)において、チャネル割り当て最適化装置700は、上段の隣接基地局NB(k−1)からチャネル割り当て最適化試験メッセージを受信し、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局NB(k+1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定するための、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局NB(k+1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在する場合、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージがNB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信されるチャネル割り当て最適化パス探索手段701と、NB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)からチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、そのチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局NB(k+1)のそれぞれに、それぞれのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求し、すべての下段の隣接基地局NB(k+1)のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信すると、「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージをNB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信し、さらに現在の段の隣接基地局NB(k)の現用チャネルをそのチャネルに切り換えるためのチャネル切り換え手段703とを備える。
【0093】
そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局NB(k+1)がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しない場合、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、現在の段の隣接基地局NB(k)の段数kが、所定のしきい値を超えているかどうかを判定する。段数kが、所定のしきい値を超えている場合、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージをNB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信し、段数kが、所定のしきい値を超えていない場合、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、各チャネルを、それぞれのチャネル上で動作する下段の隣接基地局NB(k+1)の数に基づいて分類し、次に、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルが存在しない場合、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージをNB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信する。試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、試験に利用できるチャネルから下段の隣接基地局(NB(k+1)の数が最も少ないチャネルを、現在の段の基地局NB(k)のバックアップ最適化チャネルとして選択し、さらに選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局NB(k+1)のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信する。
【0094】
現在の段の隣接基地局NB(k)において、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、すべてのチャネル割り当て試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信したかどうかをさらに判定し、すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信してはいない場合、以下のステップが繰り返し実行される。すなわち、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定するステップと、試験に利用できるチャネルが存在しない場合、「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージをNB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信するステップと、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから下段の隣接基地局NB(k+1)の数が最も少ないチャネルを、現在の段の隣接基地局NB(k)のバックアップ最適化チャネルとして選択するステップと、選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局NB(k+1)のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するステップである。
【0095】
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信した場合、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージをNB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信する。
【0096】
現在の段の隣接基地局NB(k)で、チャネル切り換え手段703が、NB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)からチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、手段703は、その選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局NB(k+1)に、それぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求する。すべての下段の隣接基地局NB(k+1)のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信された後、「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが、NB(k)の上段の隣接基地局NB(k−1)に送信され、さらに現在の現用チャネルが、その選択されたチャネルに切り換えられる。
【0097】
チャネル切り換え手段703は、いずれかの段の隣接基地局で切り換え失敗が生じた場合、より下の段のそれぞれで完了された切り換えを元の状態に復元し、さらに「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを上段の隣接基地局に送信するようにさらに構成される。
【0098】
IBSにおいて、チャネル割り当て最適化装置700のチャネル割り当て最適化パス探索手段701は、アイドル・チャネルが存在せず、さらにそのチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しないと判定した場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作している第1段の隣接基地局の数に基づいて分類し、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、IBSのバックアップ最適化チャネルとして選択し、その選択されたチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するように構成されることが可能である。チャネル割り当て最適化装置700のチャネル切り換え手段703は、第1段の隣接基地局NB(1)に送信されたすべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得した後、対応する第1段の隣接基地局NB(1)にチャネル切り換え要求メッセージを送信する際、選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求するように構成される。
【0099】
第1段の隣接基地局NB(1)のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信されると、IBSの現用チャネルは、IBSのバックアップ最適化チャネルに切り換えられ、このバックアップ最適化チャネルは、初期設定基地局のために第1段の隣接基地局NB(1)によって空けられたアイドル・チャネルである。
【0100】
IBSにおいて、チャネル切り換え手段703が、「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信すると、チャネル割り当て最適化パス探索手段701は、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できるチャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、IBSのバックアップ最適化チャネルとして選択し、さらに選択されたチャネル上で動作している第1段の隣接基地局NB(1)のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するように構成される。
【0101】
チャネル割り当て最適化装置700は、初期設定基地局、および初期設定基地局の多段隣接基地局においてチャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保存するための手段(図示せず)と、この情報に基づいて最適なチャネル割り当て最適化パスを計算するための手段(図示せず)とをさらに備える。
【0102】
本発明は、複数回反復ベースの分散チャネル割り当て最適化機構を提供する。
【0103】
基本的なチャネル割り当て最適化プロセスは、次の2つの段階、すなわち、チャネル割り当て最適化パス探索段階とチャネル切り換え段階に分けられる。チャネル割り当て最適化パス探索段階中、IBSは、複数回反復を通してチャネル割り当て最適化パスを検出するように隣接基地局とネゴシエートする。チャネル割り当て最適化パスを検出することに成功した後、IBSおよびIBSの隣接基地局は、チャネル切り換えプロセスを開始して、無用なチャネル切り換えが回避され得るようにする。
【0104】
その他、反復プロセス中に適時に収束することができないという問題を回避するため、反復回数のしきい値が事前設定される。現在の反復回数>しきい値であるようになると、現在のチャネル上のチャネル割り当て最適化パス探索プロセスは終了され、プロセスは、別のパスを検出するように他のチャネルに切り換わる。
【0105】
その他、チャネル割り当て最適化パスを探索するために消費される時間を短縮するため、各基地局は、チャネル割り当て最適化パス探索結果についての情報を保存する。この情報に基づき、距離ベクトル・アルゴリズム(例えば、ベルマン−フォード・アルゴリズム)が、最適なチャネル割り当て最適化パス(チャネル切り換え回数が最も少ない)を計算するのに使用されることが可能である。
【0106】
明らかに、802.16hにおいて規定される従来の単一ホップ・チャネル割り当て機構と比べて、本発明の技術的ソリューションは、複数のチャネル切り換えプロセスを通して、より最適なチャネル割り当てを実現することができる。IBSが、そのチャネル上で動作しているすべての隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルを全く検出することができない場合、802.16hにおいて規定されるチャネル割り当て最適化プロセスは、IBSに利用可能となるようにアイドル・チャネルを空けることができない。しかし、本発明の技術的ソリューションに基づいて、IBSが専用チャネルを獲得する可能性が高められ、周波数利用率が向上させられ、さらにより良好なQoSが共存システムに提供され、したがって、より良好なマルチシステム共存が実現されることが可能である。
【0107】
本発明は、本発明の好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、本発明に様々な補正、置換、および変更が実行され得ることが、当業者には理解されよう。このため、本発明は、前述した実施形態によって規定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲、および均等の範囲によって規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期設定基地局と、前記初期設定基地局の多段隣接基地局とを備える通信システムにおけるチャネル割り当て最適化方法であって、
前記多段隣接基地局のなかの現在の段の隣接基地局において、
上段の隣接基地局からチャネル割り当て最適化試験メッセージを受信するステップと、
そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定するステップと、
そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在する場合、前記上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するステップと、
前記上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージが受信されると、前記チャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求するステップと、
すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信された後、前記上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに前記現在の段の隣接基地局を前記チャネル上で動作させるステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記現在の段の隣接基地局において、
そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しない場合、前記現在の段の隣接基地局の段数が所定のしきい値を超えているかどうかを判定するステップと、
前記段数が前記所定のしきい値を超えている場合、前記上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信し、前記段数が前記所定のしきい値を超えていない場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作している下段の隣接基地局の数に基づいて分類するステップと、
a)試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定するステップと、
試験に利用できるチャネルが存在しない場合、前記上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するステップと、
試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できる前記チャネルから、そのチャネル上で動作している下段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、前記現在の段の隣接基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択するステップと、
前記選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するステップとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の段の隣接基地局において、
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信したかどうかを判定するステップと、
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信してはいない場合、a)に戻るステップと、
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信している場合、前記上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するステップと、
前記上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、前記選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに要求するステップと、
すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信された後、前記上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに前記現在の段の隣接基地局を前記選択されたチャネル上で動作させるステップとをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記初期設定基地局において、
アイドル・チャネルが存在せず、さらにそのチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しないと判定した場合、
各チャネルを、そのチャネル上で動作している第1段の隣接基地局の数に基づいて分類するステップと、
試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定するステップと、
試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できる前記チャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、前記初期設定基地局の前記バックアップ最適化チャネルとして選択するステップと、
前記選択されたチャネル上で動作する第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するステップとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記初期設定基地局において、
前記第1段の隣接基地局に送信されたすべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信している場合、対応する第1段の隣接基地局に前記チャネル切り換え要求メッセージを送信する際に、前記選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記初期設定基地局において、
すべての前記第1段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信すると、前記初期設定基地局を初期設定基地局のバックアップ最適化チャネル上で動作させ、前記バックアップ最適化チャネルは、前記初期設定基地局のために前記第1段の隣接基地局によって空けられた前記アイドル・チャネルである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
いずれかの段の隣接基地局で切り換え失敗が生じた場合、より下の段のそれぞれの段で完了した切り換えは、元の状態に復元され、さらに「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが前記上段の隣接基地局に送信され、
「失敗」指示を有する前記チャネル切り換え応答メッセージが前記初期設定基地局まで1段ずつ上方に転送されると、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、
試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できる前記チャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、前記初期設定基地局の前記バックアップ最適化チャネルとして選択し、
前記選択されたチャネル上で動作するすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
初期設定基地局と、前記初期設定基地局の多段隣接基地局とを備える通信システムにおけるチャネル割り当て最適化装置であって、
前記多段隣接基地局のなかの現在の段の隣接基地局において、
上段の隣接基地局からチャネル割り当て最適化試験メッセージを受信し、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在するかどうかを判定し、そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在する場合、前記上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信するように構成されたチャネル割り当て最適化パス探索手段と、
前記上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージが受信されると、前記選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求し、すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信されると、前記上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに前記現在の段の隣接基地局の現用チャネルを前記選択されたチャネルに切り換えるように構成されたチャネル切り換え手段とを備える、装置。
【請求項9】
前記現在の段の隣接基地局において、前記チャネル割り当て最適化パス探索手段は、
そのチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しない場合、前記現在の段の隣接基地局の段数が所定のしきい値を超えているかどうかを判定し、
前記段数が前記所定のしきい値を超えている場合、前記上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信し、
前記段数が前記所定のしきい値を超えていない場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作する下段の隣接基地局の数に基づいて分類し、
a)試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルが存在しない場合、前記上段の隣接基地局に「実現不能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信し、
試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できる前記チャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、前記現在の段の隣接基地局の前記バックアップ最適化チャネルとして選択し、さらに
前記選択されたチャネル上で動作するすべての下段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するようにさらに構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記現在の段の隣接基地局において、前記チャネル割り当て最適化パス探索手段は、
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得したかどうかを判定し、
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得してはいない場合、a)に戻り、
すべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを受信している場合、前記上段の隣接基地局に「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを送信し、
前記現在の段の隣接基地局において、前記チャネル切り換え手段は、
前記上段の隣接基地局からチャネル切り換え要求メッセージを受信すると、前記選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれのバックアップ最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求し、
すべての下段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信された後、前記上段の隣接基地局に「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを送信し、さらに前記現在の段の隣接基地局の現用チャネルを前記選択されたチャネルに切り換えるようにさらに構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記初期設定基地局において、
アイドル・チャネルが存在せず、さらにそのチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局がそれぞれのバックアップ・アイドル・チャネルを有するチャネルが存在しないと判定された場合、各チャネルを、そのチャネル上で動作している第1段の隣接基地局の数に基づいて分類し、試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できる前記チャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、前記初期設定基地局のバックアップ最適化チャネルとして選択し、前記選択されたチャネル上で動作しているすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するように構成されたチャネル割り当て最適化パス探索手段を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記初期設定基地局において、
前記第1段の隣接基地局に送信されたすべてのチャネル割り当て最適化試験メッセージのそれぞれが、「実現可能」指示を有するチャネル割り当て最適化応答メッセージを獲得した場合、対応する第1段の隣接基地局にチャネル切り換え要求メッセージを送信する際に、前記選択されたチャネル上で動作しているすべての下段の隣接基地局に、それらの基地局のそれぞれの最適化チャネルまたはバックアップ・アイドル・チャネルに切り換えるように要求するように構成されたチャネル切り換え手段をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記初期設定基地局において、
すべての前記第1段の隣接基地局のそれぞれから「成功」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージが受信されると、前記初期設定基地局の現用チャネルを、この基地局のバックアップ最適化チャネルに切り換えるようにさらに構成され、前記バックアップ最適化チャネルは、前記初期設定基地局のために前記第1段の隣接基地局によって空けられたアイドル・チャネルであるチャネル切り換え手段をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記チャネル切り換え手段は、いずれかの段の隣接基地局で切り換え失敗が生じた場合、より下の段のそれぞれの段で完了した切り換えを元の状態に復元し、さらに「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを前記上段の隣接基地局に送信するように構成され、
前記初期設定基地局において、前記チャネル切り換え手段が、「失敗」指示を有するチャネル切り換え応答メッセージを受信すると、前記チャネル割り当て最適化パス探索手段は、
試験に利用できるチャネルがまだ存在するかどうかを判定し、
試験に利用できるチャネルがまだ存在する場合、試験に利用できる前記チャネルから第1段の隣接基地局の数が最も少ないチャネルを、前記初期設定基地局の前記バックアップ最適化チャネルとして選択し、
前記選択されたチャネル上で動作するすべての第1段の隣接基地局のそれぞれにチャネル割り当て最適化試験メッセージを送信するように構成される、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520037(P2012−520037A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553260(P2011−553260)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000041
【国際公開番号】WO2010/102506
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】