説明

チューブ容器の口部とキャップとのシール構造。

【課題】チューブ容器のノズル部先端部の開口と、キャップの天面部下面以外の部位に、シールポイントを設けた、チューブ容器の口部とキャップとのシール構造。
【解決手段】チューブ容器1と、該チューブ容器1の口部4に螺合されるキャップ7とから成り、前記口部4の雄ねじと、該口部上方に形成されるノズル部5との間に、口部係合壁6又は口部係合突起6aを形成し、該口部係合壁6又は口部係合突起6aに対して軸方向に厚入してシールする、キャップ係合壁13又はキャップ係合突起13aを、前記キャップ7の内周面に形成したことを特徴とするチューブ容器の口部とキャップとのシール構造。ノズル部5の先端部以外の部位である口部係合壁6又は口部係合突起6aと、キャップ係合壁13又はキャップ係合突起13aとの部位において、シール機能を確実に確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器の口部とキャップとのシール構造に関し、さらに詳しくは、チューブ容器のノズル部先端の開口と、キャップの天面部下面以外の部位に、主たるシールポイントを設けた、チューブ容器の口部とキャップとのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、義歯安定剤等の内容物を充填するチューブ容器として、図13に示すようなノズル付チューブ容器がある。義歯安定剤を内容物とするチューブ容器は、バリア性が要求されると共に、内容物の取り出しが便利なように、チューブ容器口部の上部にノズルが形成されている。図13において、50は、ノズル付チューブ容器であり、ノズル付チューブ容器50の胴部51は、アルミニウム箔と樹脂からなるラミネート材で構成されている。そして、肩部52、口部53及びノズル部54はポリエチレン等の単層又は多層の樹脂で造られ、肩部52の下端において、ラミネート材の胴部51と溶着されている。口部53から上方には、口部53から連続するノズル部54が形成され、口部53の雄ねじ部55には、キャップ56の雌ねじ57が螺合されている。そして、キャップ56の口部53への螺合により、ノズル部54の先端部の開口が閉鎖されている。すなわち、口部53にキャップ56を締め付けると、キャップ56の天面58下面に形成されたコンタクトリング59が、ノズル部54の先端部54aの内壁に強く当接することにより、ノズル部54の先端部の開口が確実のシールされている(図13のX矢視部)。これにより、義歯安定剤の水分、芳香が、ノズル部54の先端部の開口から外部に逃げるのを防止すると共に、外気のチューブ容器内への流入を防止している(特許文献1参照)。そして、図14に示すように、従来のノズル付チューブ容器の肩部52に、キャップ56の締め付防止のための回り止部60が形成されている場合は、キャップ56の天面58下面に、コンタクトリング59を
形成することが必要条件である。
【特許文献1】特願2006−343907号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の肩部52に、回り止部60を形成したノズル付チューブ容器50にあっては、以下に示すような欠点があった。
(1)図14に示すようにノズル部54の横断面が円形状で、中心軸が偏心してないノズル部54である場合、コンタクトリング59で、ノズル部53の開口を確実にシールすることができるが、ノズル部53の横断面が、四角形状、楕円形状、六角形状等である場合、キャップ56の天面58下面に、コンタクトリング59を形成することが不可能である。そして、コンタクトリング59を形成しない場合は、ノズル部54の先端部54aの開口を、キャップ56の天面58下面で、確実にシールできないという問題点がある。この場合、チューブ容器50の肩部52に、回り止部60を形成したため、キャップ56を強く回して、締め付けることが不可能となり、ノズル部54の先端部の開口に、キャップ56の天面58を強く当接することができない。したがって、キャップ56の天面58による確実なシール効果を得ることができないという欠点がある。
(2)さらに、金型成形時における回り止部60の精度誤差等の要因による寸法誤差のため、ノズル部53の成形性が不安定となる場合がある。そして、キャップ56を螺合した場合に、ノズル部53の先端部の開口とキャップ56の天面58下面との間に、隙間ができる場合がある。この場合も、上記と同様に、チューブ容器50の肩部52に、回り止部60を形成したため、キャップ56を強く回して、締め付けることが不可能なため、キャップ56の天面58による確実なシール効果を得ることができないという欠点がある。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、ノズル付チューブ容器のノズル部先端部の開口と、キャップの天面部下面以外の部位で、主たるシールポイントを設けることにより、チューブ容器のノズル部先端部の開口から、内容物の水分、芳香が外部に逃げるのを防止すると共に、外気のチューブ容器内への流入を防止した、チューブ容器の口部とキャップとのシール構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、チューブ容器と、チューブ容器の口部に螺合されるキャップとから成り、口部の雄ねじと、口部上方に形成されるノズル部との間に、口部係合壁又は口部係合突起を形成し、口部係合壁又は口部係合突起に対して軸方向に厚入してシールする、キャップ係合壁又はキャップ係合突起を、キャップの内周面に形成したことを特徴とするチューブ容器の口部とキャップとのシール構造である。このシール構造により、ノズル付チューブ容器の開口を、確実にシールすることができる。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、チューブ容器の肩部に、キャップの係合突起が乗り上げて係止する、キャップの回り止部を形成したことを特徴とするチューブ容器の口部とキャップとのシール構造である。キャップによって、ノズル付チューブ容器の口部への締め過ぎを防止できる。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、チューブ容器の口部係合壁又は口部係合突起と、キャップ係合壁又はキャップ係合突起との当接を、主たるシールポイントとすると共に、キャップの天面部下面とノズルの先端部との当接を、従たるシールポイントとすることを特徴とする、チューブ容器の口部とキャップとのシール構造である。この主たるシールポイントと従たるシールポイントの相乗効果により、ノズル付チューブ容器の開口を、確実にシールすることができる。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、前記チューブ容器に代えて、ボトル容器としたことを特徴とする、チューブ容器の口部とキャップとのシール構造である。
本発明は、ボトル容器に適用できることはいうまでもない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、チューブ容器のノズル部先端部の開口と、キャップの天面部下面以外の部位、すなわち、口部係合壁又は口部係合突起と、キャップ係合壁又はキャップ係合突起との当接を、主たるシールポイントとしたから、ノズル部先端部の開口から内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に止めることができる。又、外気の進入を極力防止できるだけでなく、開封直後においても、内容物の品質劣化を極力少なくすることができる効果を奏する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1〜図4は、本発明の実施例1を示す図面である。図1において、1はノズル付チューブ容器である。このノズル付チューブ容器1は、義歯安定剤等の内容物を収納するため、胴部2から外気が混入しないように、胴部2の材質はアルミニウム箔と樹脂とで構成されるラミネート材で造られている。そして、このラミネート材の胴部2は、肩部3の先端下部に溶着されている。なお、胴部2は、例えば、ガスバリア性の樹脂を有する多層の樹脂であってもよい。口部4の上方には、ノズル部5が形成され、一方キャップ7には、外筒8と内筒9が形成され、
内筒9の下側内周に形成された雌ねじは、口部4の雄ねじに螺合され、キャップ7の上部には、ノズル5の先端部5aの開口を閉鎖する、天面10が形成されている。
【0011】
又図7及び図8に示すように、肩部3上には、キャップ7の回り止部11が形成され、この回り止部11は、図8に示すように、一対の大突部11aと小突部11bから構成されている。そして、この大突部11aと小突部11bの間隙11cには、キャップ7の外筒8と内筒9との間に形成された係合突起12が、手前の小突部11bを乗り上げて係止する。これによりキャップ7の口部4への締め過ぎが防止されている。ノズル付チューブ容器1を、金型で成形する場合は、円筒状のラミネート材の胴部2の上に雌型を置き、この雌型内に溶融した樹脂を流入して成形すると共に、胴部2の上端部と、肩部3の先端上部が溶着される。この金型成形時において、樹脂の収縮等により、ノズル部5の長さが短かく成形された場合は、図4に示すように、ノズル部5の先端部5aと、キャップ7の天面部10下面との間に隙間(図4の寸法S)が発生する。そして、この場合、ノズル部5先端部5aの開口と、キャップ7の天面部10下面との間でシール不良が発生する。
【0012】
そこで、本発明者は、ノズル部5先端部5aの開口と、キャップ7の天面部10下面とのシール以外に、その下方(図1矢印A部)で確実にシールすることを見出したのである。すなわち、図2及び図3に示すように、口部4の雄ねじと、口部4上方に形成されるノズル部5との間に、口部係合壁6を形成し、キャップ7の内周面に形成された、キャップ係合壁13と面接触で係合することを見出した。そして、口部係合壁6とキャップ係合壁13は共に、円周方向全体に形成されている。これにより、口部係合壁6とキャップ係合壁13は、確実にシールすることができるので、ノズル部5先端部5aの開口と、キャップ7の天面部10下面(図1矢印B部)との間に、シール不良が生じても、口部係合壁6と、キャップ係合壁13との面接触により、内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に止めることができる。
【実施例2】
【0013】
図5は、本発明の実施例2を示す図面である。チューブ容器1の口部4の雄ねじ部と、口部4の上方に形成されるノズル部5との間に、口部係合壁6を形成し、この口部係合壁6に対して軸方向に厚入してシールするために、キャップ7の内周面に、キャップ係合突起13aを形成したものである。口部係合壁6とキャップ係合突起13aは共に、円周方向全体に形成され、口部係合壁6とキャップ係合突起13aは線接触で当接するため、より確実にシールすることができる。
【実施例3】
【0014】
図6は、本発明の実施例3を示す図面である。チューブ容器1の口部4の雄ねじ部と、口部4の上方に形成されるノズル部5との間に、口部係突起6aを形成し、この口部係合突起6aに対して軸方向に厚入してシールするために、キャップ7の内周面に、キャップ係合壁13を形成したものである。口部係合突起6aとキャップ係合壁13は共に、円周方向全体に形成され、口部係合突起6aとキャップ係合壁13は線接触で当接するため、より確実にシールすることができる。したがって、上記実施例1〜実施例3までの面接触又は線接触により、口部4の外周とキャップ7の内周面とを確実にシールすることができるので、金型成形時における精度誤差等の要因による、ノズル部5とキャップ7の天面部10の寸法誤差により、ノズル部5先端部5aの開口と、キャップ7の天面部10下面との間に隙間(図4の寸法S)が発生し、シール不良になった場合でも、図1のA矢視部を、主たるシールポイントとすることにより、内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に防止することができる。又、図1のB矢視部が、本来のシール機能を有する場合は、図1のA矢視部を主たるシールポイント、及び図1のB矢視部を従たるシールポイントとして、両者の相乗効果により、より確実なシール効果を達成することができる。
【実施例4】
【0015】
図9は、本発明の実施例4を示す図面である。ノズル部15は、横断面が円形状であり、かつ中心が偏心している実施例である。この場合も、キャップの天面の下面に、コンタクトリングを形成することが不可能であるため、図1のA矢視部で、内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に止めることができ、かつ外気の進入を極力防止できる。
【実施例5】
【0016】
図10は、本発明の実施例5を示す図面である。ノズル部25は、横断面が楕円形状を呈している。この場合も、キャップの天面の下面に、コンタクトリングを形成することが不可能であるため、図1のA矢視部で、内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に止めることができ、かつ外気の進入を極力防止できる。
【実施例6】
【0017】
図11は、本発明の実施例6を示す図面である。ノズル部35は、横断面が四角形状を呈している。この場合も、キャップの天面の下面に、コンタクトリングを形成することが不可能であるため、図1のA矢視部で、内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に止めることができ、かつ外気の進入を極力防止できる。
【実施例7】
【0018】
図12は、本発明の実施例7を示す図面である。ノズル部45は、横断面が台形形状を呈している。この場合も、キャップの天面の下面に、コンタクトリングを形成することが不可能であるため、図1のA矢視部で、内容物の水分、芳香等の外部への漏洩を確実に止めることができ、かつ外気の進入を極力防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、キャップとチューブ容器の口部とのシール機能が確実に確保できるので、開封前において、エアーの進入を防止できるだけでなく、開封後においても、内容物の水分、芳香等の成分の保持が可能となるので、内容物の品質劣化を極力少なくすることができる。したがって、本発明に係るチューブ容器は、医薬品、食品等を充填するのに広く適し、多岐にわたって利用することができる。
又、チューブ容器以外にボトル容器に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施例1を示す正面断面図。
【図2】本発明に係る実施例1を示す図1のA矢視部の拡大断面図。
【図3】本発明に係る実施例1である図2のD−D線端面図。
【図4】本発明に係る実施例1を示す図1のB矢視部の拡大断面図。
【図5】本発明に係る実施例2を示すA矢視部の拡大断面図。
【図6】本発明に係る実施例3を示すA矢視部の拡大断面図。
【図7】本発明に係る実施例1を示す図1のC矢視部の拡大断面図。
【図8】本発明に係る実施例1に係るC矢視部である図7の平面図。
【図9】本発明に係る実施例4を示す平面図。
【図10】本発明に係る実施例5を示す平面図。
【図11】本発明に係る実施例6を示す平面図。
【図12】本発明に係る実施例7を示す平面図。
【図13】従来のチューブ容器の口部と、キャップとのシール構造を示す 正面断面図。
【図14】従来のチューブ容器の口部の平面図。
【符号の説明】
【0021】
1 チューブ容器
3 肩部
4 口部
5 15 25 35 45 ノズル部
5aノズルの先端部
6 口部係合壁
6a口部係合突起
7 キャップ
10天面部
11回り止部
13 キャップ係合壁
13aキャップ係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器と、該チューブ容器の口部に螺合されるキャップとから成り、前記口部の雄ねじと、該口部上方に形成されるノズル部との間に、口部係合壁又は口部係合突起を形成し、該口部係合壁又は口部係合突起に対して軸方向に厚入してシールする、キャップ係合壁又はキャップ係合突起を、前記キャップの内周面に形成したことを特徴とするチューブ容器の口部とキャップとのシール構造。
【請求項2】
前記チューブ容器の肩部に、キャップの係合突起が乗り上げて係止する、キャップの回り止部を形成したことを特徴とする請求項1記載のチューブ
容器の口部とキャップとのシール構造。
【請求項3】
前記チューブ容器の口部係合壁又は口部係合突起と、キャップ係合壁又はキャップ係合突起との当接を、主たるシールポイントとすると共に、キャップの天面部下面と前記ノズルの先端部との当接を、従たるシールポイントとすることを特徴とする、請求項1又は2記載のチューブ容器の口部とキャップとのシール構造。
【請求項4】
前記チューブ容器に代えて、ボトル容器としたことを特徴とする請求項1〜3記載のチューブ容器の口部とキャップとのシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−265867(P2008−265867A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246728(P2007−246728)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】