説明

チョコレートエンローバ

【課題】 レストランやカフェ等の店舗への設置が可能であり、客へのニーズに速やかに応えることができるチョコレートエンローバを提供すること。
【解決手段】 コンベア面に載置された食品を上流側から下流側に向けて複数列で搬送するコンベアと、
前記複数列に対応する複数種のチョコレートを別々に融解した状態で貯溜する複数のタンクと、
融解したチョコレートを前記複数のタンクのそれぞれから別々に汲み上げる複数のポンプと、
前記コンベア上に載置された食品が上流から下流に複数列で搬送される過程で、複数種の融解したチョコレートを前記列ごと別々に、前記コンベア面の上側から、前記コンベア面に向けて供給する複数の供給口と
を備えたチョコレートエンローバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレートエンローバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多量の洋菓子、冷菓、ドライフルーツ、ドライ野菜等の食品に、チョコレートによるアイシングを施し、菓子を量産するための工業用被覆装置として、チョコレートエンローバが、製菓工場や洋菓子店のキッチン等で用いられている。
【0003】
既存のチョコレートエンローバとしては、例えば、ポンプを用いて、融解したチョコレートを下方から汲み上げて、食品の上方から、食品に対して供給するチョコレートエンローバや、ポンプに代えて、下端が下方のタンク内に達する垂直の回転ディスクを用い、回転ディスクに付着するチョコレートをドクターブレードで掻き取って、食品の上方から、食品に対して供給するチョコレートエンローバ等が存在する。
【0004】
ポンプを用いるチョコレートエンローバは、配管やポンプ等を有しており、チョコレートの種類を変更しようとするとき、清掃が面倒であるという問題がある。従って、かりに製造する菓子の種類を変更するごとに、チョコレートエンローバで使用するチョコレートを変更することとすると、生産効率が低下するという問題があった。そのため、各菓子製造業者は、多品種生産のために、品種ごとにチョコレートエンローバを準備しなければならず、経費や据付面積の増大等の負担が大きいという問題があった。
【0005】
一方、ディスクを用いるチョコレートエンローバは、分解や清掃が容易であるというメリットを有する反面、使用の経過につれてディスクに付着するチョコレートが徐々に減少するので、一定のアイシングを施すのが難しいという問題があった。また、空気を抱き込み易いため、綺麗なエンロービングができず、艶むら又はアイシングむらを起こし易い。その上、材料を最後まで使い切ることができず、作業終了時に多量の使い残しが生じるという欠点もあった。
【0006】
このような課題に鑑み、下方のタンクからアルキメデスポンプを介して略垂直に、融解した熱融解性食品材料を汲み上げ、ディスペンサのスリットを介して、下方のコンベア面に向けて供給するエンローバが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のエンローバによれば、構成が簡単であるにも拘わらず、良好なアイシング状態が一定して得られ、しかも多品種少量生産に際し切り替えが容易であり、分解、清掃を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−141556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来から、チョコレートフォンデュやチョコレートファウンテン等のようなチョコレートデザートが存在しており、昨今では広く流行するに至っている。
チョコレートフォンデュは、鍋や食器等に、牛乳や生クリームを加えて加熱して融解したチョコレートを入れ、串やフォークに刺した食材に、チョコレートを絡めて食べるデザートである。チョコレートファウンテンは、機械を用いて、融解したチョコレートが噴水のように流下する演出が行われ、その流下するチョコレートを、食材に絡めて食べるデザートである。このようなチョコレートフォンデュやチョコレートファウンテンの魅力の一つとして、自分で選んだ食材に、自分でチョコレートを付けて、自分好みのチョコレート菓子を作るという点が挙げられる。
【0009】
このような魅力を有する新たなチョコレートデザートを提供すべく、本発明者らは、工業用被覆装置として従来用いられていたチョコレートエンローバを、デザート提供用にアレンジすることに想到した。
チョコレートエンローバをデザート提供用として用いれば、自分で選んだ食材をコンベア面に載置することにより、食材にチョコレートをかけることができ、これにより、自分好みのチョコレート菓子を作ることができる、という、従来には無かったチョコレートデザートを提供することができる。
【0010】
しかしながら、チョコレートエンローバは、従来、工業的にチョコレート菓子を量産するために用いられていたので、レストランやカフェ等の店舗における客前での設置に適しておらず、例えば、設置スペースや稼働率等の問題がある。
具体的に、チョコレートエンローバを工場に設置する場合、レストランやカフェ等の店舗に設置する場合と比べると、設置スペースに余裕があり、設置スペースをそれほど厳しく意識しなくてもよいことが多い。
また、例えば、ミルクチョコレート、ストロベリーチョコレート、ホワイトチョコレート等、複数種のチョコレートを用いて、複数種の菓子の製造を行うのであれば、チョコレートの種類の数に応じた台数のチョコレートエンローバを設置するか、又は使用するチョコレートを変更するごとにチョコレートエンローバを清掃して新たなチョコレートを補充すれば対応可能である。
【0011】
レストランやカフェ等の店舗にとってみれば、チョコレートエンローバの導入・設置は大きな投資になるので、客から簡単に飽きられるような事態はなるべく避けたい、という事情がある。そのような観点から見て、1種類のチョコレートのみのエンロービングを可能としても簡単に飽きられるおそれがあるので、複数種のチョコレートのエンロービングをメニューとして揃えたいが、レストランやカフェ等の店舗では、設置スペースの点から見て、複数台のチョコレートエンローバを設置することは困難である。
チョコレートフォンデュについては、小型化が容易であり、チョコレートファウンテンについては、上方から下方にチョコレートが流れる性質上、設置スペースを小さくすることが可能であるが、チョコレートエンローバでは、コンベアで食品を水平方向に搬送し、その上からチョコレートを供給するという性質上、設置スペースが比較的大きくなり易いという問題がある。
【0012】
また、レストランやカフェ等の店舗では、いつ客が来店して、いつチョコレートエンローバを使うか予測できないし、どの種類のチョコレートを用いるかについても予測できない。従って、従来のようなチョコレートエンローバを1台用いて、客のニーズに応えるためには、注文を受けてからチョコレートの入れ替えを行う必要が生じる。
しかし、チョコレートは他のチョコレートと混ざってしまうと、客に提供することができなくなってしまうので、チョコレートを変更するためにチョコレートエンローバを清掃するときには、洗い残しのないように細心の注意を払って清掃を行わなければならず、またチョコレートを融解させるには時間を要するため、特許文献1に記載のチョコレートエンローバのように、分解・清掃が容易なチョコレートエンローバであったとしても、1台では客の注文に速やかに応じられないという問題もある。
【0013】
このように、レストランやカフェ等の店舗への設置を考慮すると、設置スペースを抑えつつ、客のニーズに速やかに応える必要があるが、従来のチョコレートエンローバは、工業的な量産を前提としたものとなっており、このような必要性に充分応じたものにはなっていない。
【0014】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、レストランやカフェ等の店舗への設置が可能であり、客のニーズに速やかに応えることができるチョコレートエンローバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) コンベア面に載置された食品を上流側から下流側に向けて複数列で搬送するコンベアと、
前記複数列に対応する複数種のチョコレートを別々に融解した状態で貯溜する複数のタンクと、
融解したチョコレートを前記複数のタンクのそれぞれから別々に汲み上げる複数のポンプと、
前記コンベア上に載置された食品が上流から下流に複数列で搬送される過程で、複数種の融解したチョコレートを前記列ごと別々に、前記コンベア面の上側から、前記コンベア面に向けて供給する複数の供給口と
を備えたチョコレートエンローバ。
【0016】
(1)の構成によれば、コンベア面に載置された食品を複数列で搬送し、列ごとに別々に、異なる種類のチョコレートを供給することにより、各列の食品に対して同時に異なるチョコレートでエンロービングを行うことができる。例えば、コンベア面の第1列に洋菓子を載置してミルクチョコレートをかけ、第2列に冷菓を載置してストロベリーチョコレートをかけ、第3列にドライフルーツを載置してホワイトチョコレートをかけるというように、複数種のデザートを同時に作ることができるので、客のニーズに速やかに応えることができる。また、複数種のチョコレートのエンロービングを1台のチョコレートエンローバで行うことができるので、設置スペースを小さくすることができる。その結果、レストランやカフェ等の店舗への設置が可能になり、従来にはなかった新しいスタイルのチョコレートデザートを提供することができる。
【0017】
更に、本発明は、以下の構成を採用することができる。
(2) (1)のチョコレートエンローバであって、
複数種の融解したチョコレートが各前記供給口から前記コンベア面に向けて供給されてから元の前記タンクに戻るまでの過程で混ざることを防止する手段を備えるチョコレートエンローバ。
【0018】
従来のように(1)のチョコレートエンローバをレストランやカフェ等の店舗に設置した場合、営業中に種類の異なるチョコレートが混ざってしまうおそれがある。種類の異なるチョコレートが混ざると、色等が変化し、チョコレートの交換やチョコレートエンローバの清掃を行わなければならなくなるので、稼働率や客への印象の観点から、そのような事態は出来る限り避ける必要がある。
これに対し、(2)のチョコレートエンローバによれば、複数種の融解したチョコレートが各供給口からコンベア面に向けて供給されてから元の前記タンクに戻るまでの過程で混ざることを防止する手段(以下、「混ざり防止手段」という)を備えるため、上述したような問題が生じることを防止することができる。
【0019】
更に、本発明は、以下の構成を採用することができる。
(3) (1)又は(2)のチョコレートエンローバであって、
前記ポンプは、アルキメデスポンプであり、融解したチョコレートを略垂直に汲み上げるように設置されているチョコレートエンローバ。
【0020】
(3)の構成によれば、ポンプ、供給口、及びポンプと供給口との接続する導管の全てをタンクの上方に配置することができる。このようにすることにより、チョコレートエンローバを小型化することができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0021】
また、チョコレートエンローバを小型化し、且つ1台のチョコレートエンローバで複数種のチョコレートのエンロービングを可能とすると、チョコレート1種あたりのタンクの貯留量が少なくなってしまい、頻繁にチョコレートの補充を行わなければならなくなるため、稼働率の低下が懸念される。しかし、(3)の構成によれば、アルキメデスポンプを用いることにより、タンクの底面上からチョコレートを汲み上げることができ、チョコレートを最後まで使い切ることができるので、補充頻度の減少を図ることができる。
【0022】
さらに、複数のポンプを用いるので、1台のポンプでも不具合が生じると、客のニーズに充分に応えられない可能性が生じ、修理のために稼働率が低下することが懸念されるが、(3)の構成によれば、構造の簡単なアルキメデスポンプを用いるので、故障し難く、稼働率低下のおそれが殆どない。
【0023】
更に、本発明は、以下の構成を採用することができる。
(4) (1)〜(3)の何れか1のチョコレートエンローバであって、
前記複数のポンプが1つの駆動源によって駆動されるように構成されているチョコレートエンローバ。
【0024】
(4)の構成によれば、1つの駆動源で複数のポンプを駆動し、駆動源の数を減らすことにより、チョコレートエンローバを小型化することができるので、設置スペースを小さくすることができる。
【0025】
更に、本発明は、以下の構成を採用することができる。
(5) (1)〜(4)の何れか1のチョコレートエンローバであって、
前記供給口は、コンベアによる食品の搬送方向と交差する方向に延びるスリット状を呈し、
チョコレートエンローバは、前記供給口からコンベア面に向けて供給される融解したチョコレートの表面に画像又は映像を投影することにより表示する投影表示装置を備え、
融解したチョコレートの表面に投影された画像又は映像が外部から視認し得るように構成されているチョコレートエンローバ。
【0026】
チョコレートエンローバを小型化すると、レストランやカフェ等の店舗で目立ちにくくなり、装置の外面等において、例えば、チョコレートエンローバの使用方法等の情報を表示するスペースが小さくなるという問題がある。
しかし、(5)の構成によれば、スリット状の供給口からコンベア面に向けて供給されるチョコレートの表面をスクリーンとして、映像又は画像を表示することができるので、客の注目を集め、関心を惹くことができる。また、チョコレートの表面を、チョコレートエンローバの使用方法等の情報を表示するためのスクリーンとして用いることも可能であり、そのようにした場合には、客がチョコレートエンローバを使い易い環境を創り出すことができるというメリットもある。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、レストランやカフェ等の店舗への設置が可能であり、客へのニーズに速やかに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るチョコレートエンローバを模式的に示す正面視断面図である。
【図2】図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示す平面図である。
【図3】図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示すX−X線断面図である。
【図4】図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示すY−Y線断面図である。
【図5】図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示すZ−Z線断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るチョコレートエンローバを模式的に示す正面視断面図である。
【図7】図6に示すチョコレートエンローバを模式的に示す平面図である。
【図8】図6に示すチョコレートエンローバを模式的に示す側面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るチョコレートエンローバを模式的に示す正面視断面図である。
【図10】図9に示すチョコレートエンローバを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るチョコレートエンローバを模式的に示す正面視断面図である。
図2は、図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示す平面図である。なお、図2において、右側がネットコンベア30の上流側であり、左側がネットコンベア30の下流側である。
図3は、図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示すX−X線断面図である。
図4は、図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示すY−Y線断面図である。
図5は、図1に示すチョコレートエンローバを模式的に示すZ−Z線断面図である。
【0030】
図1に示すように、チョコレートエンローバ1は、架台2と、調温水タンク4(図3参照)と、チョコレートタンク5と、チョコレートタンク5内に設置されたポンプ6と、導管7と、ヒータ8と、ディスペンサ9と、ブロワ10とを主要な構成として備える。本発明において、ポンプ6としては、例えば、アルキメデスポンプが好適に用いられるが、本発明におけるポンプは、この例に限定されるものではなく、従来公知のポンプを用いることができる。
【0031】
架台2は、床に設置されるとともに、調温水タンク4を支持する。調温水タンク4は、ヒータ(図示せず)を備え、チョコレートタンク5をチョコレートCの融解に必要な温度範囲内に維持する。なお、本発明において、調温水タンクは、温水入口及び出口を備え、架台内に別途設置されたポンプ及びヒータ付貯留槽と連通されていて、上に置かれたチョコレートタンクとの間の空間内へ常時定温の温水を送り込むように構成されていてもよい。
【0032】
チョコレートタンク5は、ネットコンベア30(本体部コンベア32)の下側に位置して、図3に示すように、上側に開口しており、調温水タンク4上に着脱自在に設置され、調温水タンク4内の温水によって温められることにより、チョコレートCを融解した状態で貯留する。
ポンプ6は、チョコレートタンク5内に設置され、チョコレートタンク5内から、融解したチョコレートCを汲み上げ、導管7を介して上方に送り、開口11から、融解したチョコレートCを流下させる。ポンプ6は、シリンダと、シリンダ内に挿通されたスクリューとを備え、スクリューは、Vベルト17を介して、ポンプ駆動用モータ18により回転する。
【0033】
ポンプ6のシリンダは、その上端近辺が導管7に連なり、導管7は、ディスペンサ9の上方まで延びて開口している。
ディスペンサ9は、上面側の開いた直方形の箱状体である。ディスペンサ9は、ネットコンベア30の搬送方向を基準とした前側(図1における右側)の側壁として、前可動側壁13を有し、後側の側壁(図1における左側)として、後可動側壁14を有する。前可動側壁13及び後可動側壁14の上端には、止め捻子20が設けられており、止め捻子20の締め具合を調節することにより、底板15の端縁から任意の幅のスリット(供給口)23、24を開くことができるようになっている。スリット23、24は、チョコレートタンク5の開口の上側に位置している。スリット23、24とネットコンベア30との間隔は、例えば、チョコレートの飛散を抑えつつ、画像又は映像を表示するためのスクリーンとなるチョコレートの表面の面積を確保することができる距離であることが好ましい。また、ネットコンベア30の側縁には、チョコレートCの飛散を防止するための飛散防止壁40が立設されている。なお、ディスペンサ9内には、サーミスタ(図示せず)が設置されており、サーミスタは、ディスプレイ9内のチョコレートCを常時測温し、この温度情報は、調温水タンク4への冷水/温水切り替え弁及び水加熱用ヒータの電源スイッチへフィードバックされる。
【0034】
ヒータ8は、ディスペンサ9の上方に位置し、位置及び方向を変更できるようになっている。ヒータ8は、内部に遠赤外線発熱体を備え、その輻射熱により下方のディスペンサ9内のチョコレートC及びケーシング27内を適温に維持する。
ディスペンサ9の上流側には、小型のレーザプロジェクタ50が設置されている。レーザプロジェクタ50は、ディスペンサ9のスリット23又は24からネットコンベア30に向けて供給されるチョコレートCをスクリーンとし、チョコレートCにレーザ光Lを照射することにより、画像又は映像を表示する。なお、レーザプロジェクタ50は、本発明における投影表示装置の一例である。投影表示装置は、特に限定されるものではなく、従来公知の装置を採用することができる。また、投影表示装置は、モノクロであってもよく、カラーであってもよい。
【0035】
ブロワ10は、本体部コンベア32の下流側の上方に設置されており、ブロワ10の送風用ノズル21は、下向きに設けられ、本体部コンベア32のコンベア面付近に達する。送風用ノズル21の角度は、可変的に構成されている。なお、本発明において、ブロワ10は必須の構成ではなく、またブロワ10に換えて、ファンが設置されてもよい。
【0036】
ネットコンベア30は、上流側に位置する前段部コンベア31と、下流側に位置する本体部コンベア32とを備えており、コンベア駆動用モータ35によって駆動する。ネットコンベア30は、網状のコンベアであり、その上面が、食品が載置されるコンベア面となっており、上下方向に貫通する貫通孔を有する。スリット23、24から供給されたチョコレートCは、ネットコンベア30の貫通孔を介して、元のチョコレートタンク5に戻る。
【0037】
前段部コンベア31の上流側の略全域は、ケーシング27外に露出しており、これにより、食品を前段部コンベア31に載置することができる。前段部コンベア31の下流側と本体部コンベア32の上流側の略全域とは、アクリル樹脂製のケーシング27によって覆われており、これにより、外部からチョコレートCへ異物が混入することを防止するとともに、ケーシング27内の保温が可能になる。一方、本体部コンベア32の下流側は、ケーシング27外に露出しており、これにより、チョコレートがエンロービングされた食品を取り出すことができる。
【0038】
次に、チョコレートエンローバ1の使用方法について説明する。チョコレートタンク5内に所望のチョコレートCを容れ、且つチョコレートタンク5の温度及びディスペンサ9の温度を設定してポンプ6を運転させる。そうすると、融解したチョコレートCは、ポンプ6により次々と汲み上げられ、導管7を経てディスペンサ9の前側スリット23又は後側スリット24から再びチョコレートタンク5内へ還流し、これにより、テンパリングが行われる。その後、ネットコンベア30をセットし、且つブロワ10を運転することにより、準備が完了する。
【0039】
この状態で、客又は店員が被覆対象物としての食品Aをネットコンベア30(前段部コンベア31)のコンベア面に載置すると、食品Aが上流側から下流側へ向けて搬送され、融解したチョコレートCは、前側スリット23又は後側スリット24から食品Aに供給される。次いで、食品Aは、次のブロワ10のノズル21からの強風により過剰のチョコレートCが吹き飛ばされ、ネットコンベア30から排出される。他方、ブロワ10で吹き飛ばされたチョコレートCは、コンベア30のネットの隙間より、チョコレートタンク5内へ落下し、再び後のエンロービングのために再利用される。
【0040】
図2に示すように、チョコレートエンローバ1において、チョコレートタンク5L、5C、5Rは、それぞれ、ネットコンベア30(図示せず)の搬送方向(図中、左右方向)に沿って延びる平面視矩形状を有し、平行に並んだ状態で、架台2内に設置されている。チョコレートタンク5L、5C、5Rより上流側において、ポンプ駆動用モータ18が架台2に設置されている。チョコレートレートタンク5L、5C、5Rの各々の内部の上流側には、ポンプ6L、6C、6Rが設置されており、図1を用いて説明したように、1台のポンプ駆動用モータ18により、ポンプ6L、6C、6Rが駆動されるように構成されており、ポンプ6L、6C、6Rによって、チョコレートタンク5L、5C、5R内のチョコレートC、C、Cが導管7L、7C、7Rに汲み上げられる。なお、チョコレートC、C、Cは、互いに種類の異なるチョコレートである。このように、1台のポンプ駆動用モータ18により、ポンプ6L、6C、6Rを駆動するため、チョコレートエンローバ1全体を小型化することができる。なお、本発明におけるチョコレートの種類の違いとしては、例えば、成分の違い、色の違い等を挙げることができる。
【0041】
図3に示すように、架台2の下部には、調温水タンク4が設置されており、チョコレートC、C、Cの全てを溶解し得る温度の調温水Wが貯溜されている。チョコレートタンク5L、5C、5Rは、架台2に支持され、チョコレートタンク5L、5C、5Rの下側は、調温水タンク4の調温水Wに浸っており、これにより、チョコレートC、C、Cは温められて溶解している。
【0042】
溶解したチョコレートC、C、Cは、チョコレートタンク5L、5C、5R内に設置されたポンプ6L、6C、6Rにより汲み上げられ、導管7(7L、7C、7R)を介して、ディスペンサ9L、9C、9R内に供給される。ディスペンサ9L、9C、9Rの前可動側壁13L、13C、13Rは、止め捻子20L、20C、20Rによって固定されており、止め捻子20L、20C、20Rの締め具合によって、前可動側壁13L、13C、13Rと底板15L、15C、15Rとの間に、任意の幅のスリット23L、23C、23Rを形成することができる。
【0043】
本体部コンベア32L、32C、32Rは、スリット23L、23C、23R及びスリット24L、24C、24Rとチョコレートタンク5L、5C、5Rとの間を本体部コンベア32L、32C、32Rが通過するように設置されている。
【0044】
図4に示すように、ディスペンサ9L、9C、9Rの後可動側壁14L、14C、14Rは、止め捻子20L、20C、20Rによって固定されている。止め捻子20L、20C、20Rの締め具合が調節されることにより、後可動側壁14L、14C、14Rと底板15L、15C、15Rとの間に、スリット24L、24C、24Rが形成されている。
【0045】
スリット24L、24C、24Rから、本体部コンベア32L、32C、32Rに向けて、溶解したチョコレートC、C、Cが供給される。
スリット24L、24C、24Rから本体部コンベア32L、32C、32Rに向けて供給されるチョコレートC、C、Cの表面には、図1を用いて説明したように、レーザプロジェクタ50からレーザ光Lが照射されることにより、画像又は映像(図示せず)が表示される。スリット24L、24C、24Rから本体部コンベア32L、32C、32Rまでの間には、本体部コンベア32L、32C、32Rごとに、本体部コンベア32L、32C、32Rの両側縁に沿って、2枚の飛散防止壁40(40L、40C、40R)が設置されている。
このように、各本体部コンベア32L、32C、32Rの両側縁から上方へ向けて、2枚の飛散防止壁40(40L、40C、40R)が設置されているので、各チョコレートC、C、Cが他の本体部コンベア32L、32C、32Rまで飛散することを防止することができる。
【0046】
本体部コンベア32L、32C、32Rと、チョコレートタンク5L、5C、5Rの開口との間には、混入防止カバー42(42L、42C、42R)が設置されており、混入防止カバー42L、42C、42Rは、本体部コンベア32L、32C、32Rの貫通孔を通過してチョコレートタンク5L、5C、5Rに到るまでにチョコレートC、C、Cが互いに混ざり合うことを防止することができる。
本体部コンベア32L、32C、32Rに載置された食品は、上流から下流に搬送され、スリット24L、24C、24Rの下側を通過する際に、チョコレートC、C、Cがエンロービングされる。
【0047】
このように、チョコレートエンローバ1は、混ざり防止手段として、飛散防止壁40L、40C、40Rと、混入防止カバー42L、42C、42Rとを備えているので、各スリット24L、24C、24Rから各ネットコンベア30L、30C、30Rのコンベア面に向けて供給されるチョコレートC、C、Cを、互いに混じり合わせることなく、元のチョコレートタンク5L、5C、5Rに戻すことができる。従って、チョコレートの混入によって、稼働率を低下させてしまったり、客へ悪印象を与えてしまったりすることを防止することができる。
【0048】
図5に示すように、ブロワ10の直下では、ブロワ10から各本体部コンベア32L、32C、32Rへ向けてノズル21L、21C、21Rが延びている。本体部コンベア32L、32C、32Rに載置されてノズル21L、21C、21Rの下方に至った食品Aに対して風を送り、食品AにエンロービングされたチョコレートC、C、Cのうち、余分なものが除去される。
このとき、飛散防止壁40L、40C、40RによってチョコレートC、C、Cが他の本体部コンベア32L、32C、32Rに飛散することが防止される。また、除去されたチョコレートC、C、Cは、混入防止カバー42L、42C、42Rによって、混じり合うことなく、元のチョコレートタンク5L、5C、5Rに戻る。
余分なチョコレートが除去された菓子は、本体部コンベア32L、32C、32Rによってケーシング27外に搬出される。
【0049】
以上、第1実施形態に係るチョコレートエンローバ1によれば、各ネットコンベア30L、30C、30Rによってコンベア面(上面)に載置された食品が別々に搬送され、スリット24L、24C、24Rから各ネットコンベア30L、30C、30Rのコンベア面に、溶解したチョコレートC、C、Cが供給される。このように、複数種のチョコレートのエンロービングを1台のチョコレートエンローバで行うことができるので、設置スペースを小さくすることができるとともに、客のニーズに速やかに応えることができる。
なお、チョコレートC、C、Cは、スリット23L、23C、23Rから供給されることとしてもよく、スリット23L、23C、23R及びスリット24L、24C、24Rから供給されることとしてもよい。
【0050】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係るチョコレートエンローバを模式的に示す正面視断面図である。
図7は、図6に示すチョコレートエンローバを模式的に示す平面図である。
図8は、図6に示すチョコレートエンローバを模式的に示す側面図である。
【0051】
チョコレートエンローバ100は、架台102と、調温水タンク104と、チョコレートタンク105L、105C、105Rと、チョコレートタンク105L、105C、105R内に設置されたポンプ106L、106C、106Rと、導管107L、107C、107Rと、ヒータ108とを主要な構成として備える。
【0052】
架台102は、床に設置されるとともに、その内側に調温水タンク104が設置されている。調温水タンク104は、上述した調温水タンク4と同様の構成を有し、チョコレートタンク105L、105C、105Rをチョコレートの融解に必要な温度範囲内に維持する。
【0053】
チョコレートタンク105L、105C、105Rは、図6に示すように、各々、ネットコンベア130の搬送方向と直交する方向に沿って延びる平面視矩形状を有し、平行に並んだ状態で、架台102に設置されている。このように、チョコレートタンク105L、105C、105Rと、ネットコンベア130の搬送方向とを異ならせることにより、ネットコンベア130の側方(図7におけるネットコンベア130の下側)に、チョコレートタンク105L、105C、105Rを露出させることができる。ネットコンベア130の上流側及び下流側(図7における左右側)は、食品の搬入・搬出に用いられるため、ネットコンベア130の上流側及び下流側からのチョコレートの補充は行い難いが、ネットコンベア130の側方からであれば、稼働中であってもチョコレートタンク105L、105C、105Rへのチョコレートの補充を行い易い。
【0054】
チョコレートタンク105L、105C、105R内には、ポンプ106L、106C、106Rが設置されている。ポンプ106L、106C、106Rは、ネットコンベア130の搬送方向に沿って並ぶように設けられており、各ポンプ106L、106C、106Rに、ポンプ駆動用モータ118L、118C、118Rが直結されている。
【0055】
各ポンプ106L、106C、106Rから延びる導管107L、107C、107Rは、図7に示すように、平面視でネットコンベア130の搬送方向と垂直な方向に延びている。導管107Lは、ネットコンベア130Lの直上まで延びており、導管107Cは、ネットコンベア130Cの直上まで延びており、導管107Rは、ネットコンベア130Rの直上まで延びている。導管107L、107C、107Rの先端には、図8に示すように、ディスペンサ109L、109C、109Rが設置されており、ディスペンサ109L、109C、109Rの下端には、それぞれスリット(図示せず)が形成されている。スリットは、ネットコンベア130L、130C、130Rの搬送方向に直交する方向に延びるように設けられている。
【0056】
チョコレートタンク105Lは、ネットコンベア130L、130C、130Rの下側に位置し、ネットコンベア130Lの下側に、上方に開く開口116Lを有し、ネットコンベア130C、130Rの下側には、上側を覆う蓋119Lを備えている。
チョコレートタンク105Cは、ネットコンベア130L、130C、130Rの下側に位置し、ネットコンベア130Cの下側に、上方に開く開口116Cを有し、ネットコンベア130L、130Rの下側には、上側を覆う蓋119Cを備えている。
チョコレートタンク105Rは、ネットコンベア130L、130C、130Rの下側に位置し、ネットコンベア130Rの下側に、上方に開く開口116Rを有し、ネットコンベア130L、130Cの下側には、上側を覆う蓋119Rを備えている。
【0057】
従って、ディスペンサ109L、109C、109Rから供給されたチョコレートは、それぞれ、開口116L、116C、116Rを介して、チョコレートタンク105L、105C、105Rに戻る。開口116L、116C、116R以外の箇所は、蓋119L、119C、119Rによって覆われているので、チョコレートタンク105L、105C、105Rの上方をネットコンベア130L、130C、130Rが通過しても、チョコレートが垂れて他のチョコレートタンク105L、105C、105Rに戻ることを防止することができる。
【0058】
また、図8に示すように、ネットコンベア130L、130C、130Rのそれぞれの側部には、飛散防止壁140a、140b、140c、140dが立設されている。飛散防止壁140a〜140dの上端は、ディスペンサ109L、109C、109Rの下端のスリットより高い位置に達している。
【0059】
このように、チョコレートエンローバ100では、飛散防止壁140a〜140dが設置されているので、各スリットからチョコレートタンク105L、105C、105Rまでチョコレートが供給される際にチョコレートが飛散して混ざってしまうことを防止することができる。
【0060】
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係るチョコレートエンローバを模式的に示す正面視断面図である。
図10は、図9に示すチョコレートエンローバを模式的に示す平面図である。
【0061】
チョコレートエンローバ200は、架台202と、調温水タンク(図示せず)と、チョコレートタンク205L、205C、205Rと、チョコレートタンク205L、205C、205R内に設置されたポンプ206L、206C、206Rと、導管207L、207C、207Rと、ヒータ208とを主要な構成として備える。
【0062】
架台202は、床に設置されるとともに、その内側に調温水タンク(図示せず)が設置されており、調温水タンクは、チョコレートタンク205L、205C、205Rをチョコレートの融解に必要な温度範囲内に維持する。
【0063】
チョコレートタンク205L、205C、205Rは、各々、ネットコンベア230の搬送方向に沿って延びる平面視矩形状を有し、平行に並んだ状態で、架台202に設置されている。このように、チョコレートタンク205L、205C、205Rと、ネットコンベア230の搬送方向とが同じであり、各ネットコンベア230L、230C、230Rの下側に、それぞれチョコレートタンク205L、205C、205Rが位置するので、各ネットコンベア230L、230C、230Rからチョコレートタンク205L、205C、205Rに戻る際にチョコレートが混ざることを防止することができる。コンベア駆動用モータ235は、前段部コンベア231と本体部コンベア232とからなるネットコンベア230を駆動する。
【0064】
ポンプ駆動用モータ218L、218C、218Rは、それぞれポンプ206L、206C、206Rを駆動する。ポンプ206L、206C、206Rから汲み上げられたチョコレートは、導管207L、207C、207Rを介して、ディスペンサ209L、209C、209Rに至る。ディスペンサ209には、スリット(図示せず)が形成されており、チョコレートは、ディスペンサ209からネットコンベア230L、230C、230Rに向けて供給され、ネットコンベア230L、230C、230Rを通過し、チョコレートタンク205L、205C、205Rに戻る。
各ネットコンベア230L、230C、230Rの側部には、ネットコンベア230L、230C、230Rの進行方向に沿って、飛散防止壁(図示せず)が設置されている。ネットコンベア230の下流側の上面には、ノズル221が向けられている。ノズル221は、ブロワ210から供給されるエアをネットコンベア230へ向けて供給する。
【0065】
上述した第2、第3実施形態に係るチョコレートエンローバ100、200によっても、第1実施形態に係るチョコレートエンローバ1と同様に、複数種のチョコレートのエンロービングを1台のチョコレートエンローバで行うことができるので、設置スペースを小さくすることができるとともに、客にニーズに速やかに応えることができる。
なお、本発明は、上述した例に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能であり、例えば、以下のような構成を採用することができる。
【0066】
コンベアについて、上述した実施形態では、コンベアが複数列に物理的に分離して、各コンベアが互いに間隔を空けて配置されており、複数のコンベアが食品を複数列で搬送する場合について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、例えば、1つのコンベアが食品を複数列で搬送することとしてもよい。この場合、1つのコンベアのコンベア面が複数列に区画され、各列のコンベア面に食品が載置される。また、複数のコンベアが食品を搬送する場合、複数のコンベアは、必ずしも平行に設けられる必要は無い。
【0067】
タンクとコンベアとポンプとの位置関係について、上述した実施形態では、コンベアより下方にタンクが位置し、そのタンク内にポンプが設置される場合について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。例えば、コンベアより上方にチョコレートタンクを設置し、チョコレートタンクから、スリット(供給口)を介して、融解したチョコレートをコンベアへ向けて供給し、コンベアから下方に垂れるチョコレートを、チョコレートタンクより小さなレシーバタンクで受け、レシーバタンク内に設置されたポンプにより、上方のチョコレートタンクに送るように構成されていてもよい。
【0068】
スリットの位置について、第1実施形態及び第3実施形態では、コンベアの上流側に複数のスリットが設けられ、第2実施形態では、コンベアの各列によって、スリットが設けられる位置が異なっている場合について説明したが、本発明において、スリットが設けられる位置は特に限定されるものではない。ただし、装置の小型化を図りつつ、菓子に供給した後のチョコレートをなるべく乾燥させるために、スリットは、コンベアの上流側に設けられることが望ましい。また、上述した実施形態では、スリットがコンベアの搬送方向に直交する方向に延びるように形成されている場合について説明したが、本発明は、この例に限定されない。スリットは、例えば、コンベア列の一方の側縁から他方の側縁まで横断する形状を有していてもよい。
【0069】
混ざり防止手段について、上述した実施形態では、コンベアより上側に設置された飛散防止壁と、コンベアより下側に設置されたカバーとが、混ざり防止手段として機能する場合について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。本発明における混ざり防止手段としては、コンベア各列の間に設けられる空間や、コンベア各列の間に風を供給し、各列間のチョコレートの移動を防止するエアカーテン等を挙げることができる。
【0070】
複数列のコンベアが、上述した実施形態のように、それぞれ物理的に分離している場合には、各コンベアの間に、壁、シート、フィルム等の仕切り部材を設置し、混ざり防止手段とすることができる。1つのコンベアが複数列で食品を搬送する場合、各列の間隔を広く設定することにより、チョコレートの混ざりを防止することができる。このようにした場合、各列の間隔が、混ざり防止手段として機能する。また、コンベアがネットコンベアである場合、各列間におけるネットコンベアの貫通孔を塞ぐ部材を設置することで、チョコレートの混ざりを防止することができる。このようにした場合、貫通孔を塞ぐ部材が、混ざり防止手段として機能する。また、コンベアとともに移動可能な仕切り部材を列間に立設固定することで、チョコレートの混ざりを防止することができる。このようにした場合、仕切り板が、混ざり防止手段として機能する。さらに、1つのコンベアが複数列で食品を搬送する場合、コンベア面を形成する往路側及びコンベア面の反対側に位置する復路側の両方で、各列の中央部が下方へ向けて撓み、各列間部(側部)が各列の中央部より上方に位置するようにすることにより、混ざり防止手段とすることができる。これらの混ざり防止手段は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0071】
また、各コンベアの間に仕切り部材を配置する場合、又は各列間に仕切り部材を配置する場合、コンベアの回転に伴って、仕切り部材に付着したチョコレートの除去が行われるように構成されていてもよい。チョコレートを除去する手段としては、例えば、ブレードやスクレーパ等の掻き取り手段を用いることができる。復路側に位置する仕切り部材に、例えば、調温水タンクから温水をかけてチョコレートを除去することとしてもよい。これらの手段は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 チョコレートエンローバ
2 架台
4 調温水タンク
5 チョコレートタンク
6 ポンプ
7 導管
8 ヒータ
9 ディスペンサ
10 ブロワ
11 開口
13 前可動側壁
14 後可動側壁
15 底板
17 Vベルト
18 ポンプ駆動用モータ
20 止め捻子
21 ノズル
23 前側スリット
24 後側スリット
27 ケーシング
30 ネットコンベア
31 前段部コンベア
32 本体部コンベア
35 コンベア駆動用モータ
40 飛散防止壁
42 混入防止カバー
50 レーザプロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア面に載置された食品を上流側から下流側に向けて複数列で搬送するコンベアと、
前記複数列に対応する複数種のチョコレートを別々に融解した状態で貯溜する複数のタンクと、
融解したチョコレートを前記複数のタンクのそれぞれから別々に汲み上げる複数のポンプと、
前記コンベア上に載置された食品が上流から下流に複数列で搬送される過程で、複数種の融解したチョコレートを前記列ごと別々に、前記コンベア面の上側から、前記コンベア面に向けて供給する複数の供給口と
を備えたチョコレートエンローバ。
【請求項2】
請求項1に記載のチョコレートエンローバであって、
複数種の融解したチョコレートが各前記供給口から前記コンベア面に向けて供給されてから元の前記タンクに戻るまでの過程で混ざることを防止する手段を備えるチョコレートエンローバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチョコレートエンローバであって、
前記ポンプは、アルキメデスポンプであり、融解したチョコレートを略垂直に汲み上げるように設置されているチョコレートエンローバ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1に記載のチョコレートエンローバであって、
前記複数のポンプが1つの駆動源によって駆動されるように構成されているチョコレートエンローバ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1に記載のチョコレートエンローバであって、
前記供給口は、コンベアによる食品の搬送方向と交差する方向に延びるスリット状を呈し、
チョコレートエンローバは、前記供給口からコンベア面に向けて供給される融解したチョコレートの表面に画像又は映像を投影することにより表示する投影表示装置を備え、
融解したチョコレートの表面に投影された画像又は映像が外部から視認し得るように構成されているチョコレートエンローバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−19725(P2012−19725A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159526(P2010−159526)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(594177081)加藤工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】