説明

チョコレート用磨り減り防止コーティング

ここでは固形チョコレートまたはチョコレートでコーティングされた製品の外表面にコーティングを形成するための方法および組成物が提供される。この方法は、水、エタノール、およびイソプロパノールから選択される溶媒またはそれらの任意の組み合わせと、1種類以上のフィルム形成剤とを含む少なくとも1層のコーティング組成物を上記製品の外表面に塗布し、その後そのコーティング組成物を乾燥して、チョコレートの外表面に、乾燥したコーティングまたはフィルムを形成することを含む。乾燥したコーティングは、加工、包装、貯蔵、および/または輸送中に、チョコレートの外表面を擦り傷または磨り減りに対してより抵抗性にする。本発明のコーティング組成物は30分以内に硬化または乾燥する。ある実施形態において、このフィルムまたはコーティングは15分以内に硬化する。ある実施形態において、このフィルムまたはコーティングは10分以内に硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第60/785,549号(2006年3月24日出願)に対する利益を主張する。この出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、固形チョコレートおよびチョコレートでコーティングした製品またはチョコレートでエンロービングした製品の表面に磨り減り防止(anti−scuff)のコーティングを形成するための方法および製品に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
キャンディ類または菓子類以外にも多数の製品がチョコレート層特にチョコレートの外層を含んでいる。これらにはチョコレートでコーティングしたビスケット、チョコレートでコーティングしたクッキー、チョコレートでコーティングしたケーキ、成形チョコレートキャンディ、チョコレートでコーティングしたバーなどがある。これら製品の加工、包装、貯蔵および/または輸送中にチョコレート層の外表面が磨り減ったり引っ掻き傷がついたり、或いは損傷したりしてその製品の消費者への訴求が下がる可能性がある。そのため特に加工および包装中のチョコレート層の外表面の磨り減り抵抗性を改善するために使用できる方法および組成物が所望される。外表面が磨り減りに対してより大きく抵抗するチョコレート層を速やかに生じ、したがって固形チョコレートまたはチョコレートでコーティングした製品の製造に要する時間を短縮する組成物および方法が特に所望される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は固形チョコレートまたはチョコレートでコーティングした製品の外表面にコーティングを形成するための方法および組成物を提供する。これらの方法および組成物は加工、包装、貯蔵、および/または輸送中の擦り傷または磨り減りに対してより大きい抵抗性を有する固形チョコレート製品またはチョコレートでコーティングした製品を提供する。本発明の方法および組成物は、速やかに(一般的には30分以内に)硬化するフィルムまたはコーティングを提供する。ある実施形態において、そのフィルムまたはコーティングは15分以内に硬化する。ある実施形態において、そのフィルムまたはコーティングは10分以内に硬化する。ある実施形態において、本発明の方法によって形成される製品はファットブルーム抵抗性のチョコレート層を含む。ある実施形態において、本発明の方法によって外表面をコーティングされたチョコレート層は、加工および/または包装中、精細な細部および/または装飾の保持時間の改善も示す。ある実施形態において、本方法によってコーティングされたチョコレート層には光沢がある。
【0005】
本発明の方法は少なくとも1層のコーティング組成物を固形チョコレートまたはチョコレートでコーティングした製品のチョコレートの外表面に塗布(apply)し、その組成物を乾燥して、外表面にコーティング組成物の乾燥フィルムを含むチョコレート層を有する製品を提供する諸工程を含む。本発明の方法に従って処理されるチョコレート層の外表面は、上記乾燥フィルムを含まない外表面を有するチョコレート層に比べて磨り減りまたは擦り傷に対してより耐える。本発明の方法に使用されるコーティング組成物は、水、1種類以上の低分子量アルコール、およびそれらの任意の混合物から選択される溶媒、および乾燥したコーティングにフレキシビリティと強度とを与える少なくとも1種類のフィルム形成剤を含む。ある実施形態において、この組成物は少なくとも2種類のフィルム形成剤を含み、これら2種類のフィルム形成剤のうち1つは乾燥したコーティングにフレキシビリティおよび強度を与え、これら2種類のフィルム形成剤の他の1つは、乾燥したコーティングにフレキシビリティおよび強度を与える上に、コーティング組成物の固形分を高め、および/または乾燥コーティングの光沢を変化させる。
【0006】
ある実施形態、特にコーティング組成物が水は含むがアルコールは含まないという実施形態において、該コーティング組成物は湿潤剤または界面活性剤を含む。ある実施形態、特にコーティング組成物が水をベースとしている実施形態において、該コーティング組成物は保存料も含む。
【0007】
ある実施形態において、コーティング組成物はチョコレート表面にチョコレート色のコーティングを生成する着色剤を含む。その他の実施形態において、コーティング組成物は、チョコレート色ではない着色コーティングを生成する着色剤を含む。その他の実施形態において、コーティング組成物は着色剤を含まない。このようなコーティング組成物を使用して作られる乾燥したコーティングは、目で見て透明または半透明であるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施形態の説明)
本発明をここで、より詳細な実施形態を参照して説明する。しかし本発明は異なる形で実現してもよく、ここに示される実施形態に制限されると解釈すべきではない。むしろこれらの実施形態はこの開示が徹底的かつ完全となるように、そして当業者に本発明の範囲を十分伝えるために記載される。
【0009】
別途記載がない限り、ここに使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中で本発明の説明に使用される用語は特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものとしない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈からそうでないことが明らかにされない限り、複数形も含むものとする。本明細書に記載されるすべての出版物、特許出願、特許およびその他の参考文献はその全体が本明細書に参考として明白に援用される。
【0010】
別途記載がない限り、明細書および特許請求の範囲において用いられる成分量、反応条件などをあらわす全ての数字は全ての場合に用語「約」によって修飾されると理解すべきである。よって、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数字的パラメータは、そうでない旨の記載がない限り、本発明によって得ようとする所望特性によって変化し得る概算値である。特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではないが、少なくとも各数字的パラメータは有効数字の数および一般的丸め法に鑑みて解釈されるべきである。
【0011】
本発明の広い範囲を示す数字的範囲およびパラメータが概算値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値はできるだけ正確に報告されている。しかし任意の数字は本来、それらそれぞれの試験の測定値において見いだされる標準誤差に必然的に起因する一定の誤差を含む。本明細書全体に示されるあらゆる数字的範囲は、より狭い数字的範囲が本明細書にすべて明白に記載されていなくても、より広い数字的範囲内に入るそのようなあらゆるより狭い数字的範囲を含む。
【0012】
本発明は固形チョコレート、チョコレートでコーティングした製品、またはチョコレートでエンロービングした製品上の表面の磨り減り抵抗性を改善するための組成物および方法を提供する。そのような製品としては、チョコレートでコーティングしたかまたはチョコレートでエンロービングした、ビスケットまたはクッキー、およびチョコレートでコーティングしたかまたはチョコレートでエンロービングしたバーを含むがこれらに限定されない、固形チョコレート菓子、チョコレートでコーティングした製品またはチョコレートでエンロービングした製品を含めた成形チョコレート菓子が挙げられる。本明細書に用いられる用語「チョコレート」は、テンパリング可能な脂肪相を有するすべてのチョコレートまたはチョコレート様組成物を言う。この用語は、少なくとも1種類のココアまたはココア様成分を含む、すべてのチョコレートまたはチョコレート様組成物を含むものとする。この用語は、例えば標準化されたチョコレートおよび標準化されないチョコレート、すなわち、U.S.スタンダーズ・オブ・アイデンティティ(SOI)に適合する組成物を含むチョコレートおよびU.S.スタンダーズ・オブ・アイデンティティに適合しない組成物を含むチョコレートを含むものとし、特に別途記載がない限り、これらはそれぞれダークチョコレート、ベーキングチョコレート、ミルクチョコレート、スウィートチョコレート、セミスウィートチョコレート、バターミルクチョコレート、スキムミルクチョコレート、混合乳製品チョコレート、低脂肪チョコレート、ホワイトチョコレート、非標準化チョコレートおよびチョコレート様組成物を含む。
【0013】
本発明の方法は、少なくとも1層のコーティング組成物を製品のチョコレート層の外表面に塗布する工程、および該コーティング組成物を乾燥して、チョコレート層の外表面に改善された磨り減り抵抗性を与えるフィルムまたはコーティングを提供する工程を含む。本発明のコーティング組成物は水、低分子量アルコール(例えば、イソプロパノールまたは好ましくはエタノール)、およびこれらの混合物から選択される溶媒と、下のチョコレート表面に比べて磨り減り抵抗性または引っ掻き傷抵抗性がより大きいフレキシブルな乾燥したコーティングを提供する少なくとも1種類のフィルム形成剤とを含む。ある実施形態において、乾燥したコーティングは、そのコーティングが鋭い端部に当たっても割れないに十分なフレキシビリティを有する。
【0014】
ある実施形態において、コーティング組成物は次のフィルム形成剤(本明細書ではまとめて「第一フィルム形成剤」という)のうちの1種類以上を含む:キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、寒天、アルギネート類、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、キトサン、カラギーナン類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、ゼラチン、加工澱粉、デキストリン、ゼイン、およびホエイタンパク質。ある実施形態において、コーティング組成物はシェラックを第一フィルム形成剤として含む。ある実施形態において、第一フィルム形成剤は次のもののうちの1種類以上である:キサンタンガム、アラビアガム、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、加工澱粉、デキストリン、ゼインおよびホエイタンパク質。ある実施形態において、特にコーティング組成物が水を含む場合、第一フィルム形成剤は次のもののうちの1種類以上である:キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、寒天、アルギネート類、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、キトサン、カラギーナン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、ゼラチン、加工澱粉、デキストリンおよびホエイタンパク質。ある実施形態において、特に、コーティング組成物がエタノール、イソプロパノールまたはその両方を含む場合、第一フィルム形成剤は次のもののうちの1種類以上である:エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼインおよびシェラック。
【0015】
ある実施形態、特に、コーティング組成物が水を含む実施形態において、該コーティング組成物はさらに1種類以上の追加的フィルム形成剤を含む。以後これらをまとめて“第二フィルム形成剤”と言う。第二フィルム形成剤は、組成物の固形分(solids content)を増やすために、速やかに乾燥するコーティング組成物を生じるために、および/または乾燥したコーティングの光沢を調節するために用いられる。一実施形態において、第二フィルム形成剤はマルトデキストリンを含む。その他の実施形態において、第二フィルム形成剤は澱粉、スクロース、マルトース、フルクトース、デキストロース、グルコース、糖ポリオール類、コーンシロップ、およびシェラック、またはこれら成分および/もしくはマルトデキストリンの任意の組み合わせを含む。
【0016】
ある実施形態、特に溶媒が水を含む実施形態において、コーティング組成物は湿潤剤または界面活性剤も含むことができる。適切な湿潤剤または界面活性剤の例としては、グリセロールモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、グリセロールモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート、レシチン、および糖エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】
ある実施形態、特に溶媒がアルコールを含む実施形態において、アルコールは変性アルコールであることが好ましい。エタノールなどのアルコールを変性するために使用できる作用物質としては、アセトン、酢酸エチル、シェラックおよびイソプロパノールが挙げられるがこれらに限定されない。したがってある実施形態において、コーティング組成物はアセトンおよび酢酸エチル、および/またはシェラック、並びにエタノールおよび/またはイソプロパノールを含むことができる。アルコールを変性させるために食品産業で使用される任意の作用物質をこの組成物に含むことができる。
【0018】
ある実施形態、特に溶媒が水を含む実施形態において、上記組成物は保存料も含むことができる。そのような保存料の例としては、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウムまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
ある実施形態において、上記組成物はコーティングにチョコレート色をつける着色剤を含む。FD&C Red#40のような赤色色素、FD&C Yellow#5のような黄色色素、FD&C Blue#1のような青色色素およびFD&C Yellow#6のような黄色色素を用いて良好な結果が得られている。チョコレート色のコーティングを生成するために使用できるその他の着色剤の例としては、FD&C Red#40アルミニウムレーキ、FD&C Yellow#5アルミニウムレーキ、FD&C blue#1アルミニウムレーキ、およびFD&C Yellow#6アルミニウムレーキが挙げられるがこれらに限定されない。上記組成物に使用される着色剤の量は所望の色によって決まり、組成物の0〜30重量パーセントの範囲である。ある実施形態において、上記組成物は、コーティングに別の色を与える二酸化チタンのような着色剤を含む。ある実施形態において、上記組成物は着色剤を欠くかまたは含まない。
【0020】
ある実施形態、特に上記組成物が主として水をベースとする実施形態において、上記コーティング組成物は30〜99重量パーセントの水、0.01〜40重量パーセントの第一フィルム形成剤、0.01〜40重量パーセントの第二フィルム形成剤、0.01〜5重量パーセントの界面活性剤および0〜2重量パーセントの保存剤を含む。ある実施形態、特に上記溶媒が水を含む実施形態において、コーティング組成物は30〜99重量パーセントの水、0.01〜50重量パーセントの第一フィルム形成剤、0〜50重量パーセントの第二フィルム形成剤、0.01〜5重量パーセントの界面活性剤、0〜2重量パーセントの保存料を含む。
【0021】
上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.02重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.05重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.1重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.2重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は1.0重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は35重量%以下の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は30重量%以下の第一フィルム形成剤を含む。
【0022】
上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.02重量%以上の第二フィルム形成剤を含む。溶媒が水を含むある実施形態において、上記コーティング組成物は0.05重量%以上の第二フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.1重量%以上の第二フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.2重量%以上の第二フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は1.0重量%以上の第二フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は5〜35重量%の第二フィルム形成剤を含む。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は5〜30重量%の第二フィルム形成剤を含む。
【0023】
上記コーティング組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該組成物は60〜99.9重量%、より好ましくは70〜99重量%のアルコール、0.01〜40重量%の第一フィルム形成剤、および0〜35重量%の第二フィルム形成剤を含む。上記組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.02重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.05重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.1重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は0.2重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は1.0重量%以上の第一フィルム形成剤を含む。組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は35重量%以下の第一フィルム形成剤を含む。上記組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は30重量%以下の第一フィルム形成剤を含む。
【0024】
溶媒が水とアルコールとの混合物であるある実施形態において、上記コーティング組成物は30〜99.9重量%のこの溶媒、0.01〜40重量%の第一フィルム形成剤、0〜40重量%の第二フィルム形成剤、0〜5重量%の界面活性剤および0〜2重量%の保存料を含む。溶媒が水とアルコールとの混合物であるある実施形態において、上記コーティング組成物は30〜99.9重量%の該溶媒、0.01〜50重量%の第一フィルム形成剤、0〜50重量%の第二フィルム形成剤、0〜5重量%の界面活性剤、および0〜2重量%の保存料を含む。
【0025】
上記コーティング組成物は好ましくは0.1〜70重量%、好ましくは1.0〜70重量%の固形分を有する。ある実施形態において、上記コーティング組成物は60重量%以下の固形分を有する。上記組成物が主としてアルコールをベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は40重量%以下、好ましくは35重量%以下の固形分を有する。上記組成物が主として水をベースとするある実施形態において、該コーティング組成物は20重量%以上の固形分を有する。ある実施形態において、本発明の方法に用いられるコーティング組成物は2000センチポアズ以下の粘度を有する。ある実施形態において、コーティング組成物は10〜1500センチポアズの粘度を有する。ある実施形態において、コーティング組成物は100〜1500センチポアズの粘度を有する。ある実施形態において、コーティング組成物は100〜1200センチポアズの粘度を有する。
【0026】
製法
本発明の組成物は第一フィルム形成剤を溶媒に溶解することによって調製される。溶媒の大部分または全部が水である実施形態において、溶媒は最初に40〜80℃、より好ましくは60〜70℃の温度に加熱される。ある実施形態において、特に組成物が水をベースとする配合物である場合、その後、加熱された混合物に界面活性剤および第二フィルム形成剤を加える。添加剤の全てが溶媒に溶解したならば、その混合物を25〜40℃の温度、好ましくは25〜30℃の温度に冷やし、着色剤を使用する場合は着色剤をその溶液に分散させる。保存料も、使用する場合は、上記の冷やした溶液/分散液に加える。
【0027】
上記コーティング組成物は、該組成物をチョコレートの表面に噴霧することによって、または固形チョコレートまたはチョコレートでコーティングした製品に室温で該組成物をエンロービング(enrobing)することによって、固形チョコレートまたはチョコレートでコーティングした製品またはチョコレートでエンロービングした製品に塗布できる。上記コーティング組成物は0milより厚く50milまでの厚さに塗布するのが好ましい。その後上記コーティングを空気中で65゜F未満の温度、50%未満の相対湿度で乾燥するのが好ましい。移動空気または吹き込み空気中でコーティング組成物を乾燥することを含むがこれに限定されない多くの技法を使用すればより速かに乾燥または硬化することができる。コーティングした製品に、乾燥前に1〜30秒間、赤外線(IR)照射することによってコーティング組成物をより速やかに乾燥または硬化することもできる。コーティングを乾燥するためにIR照射を用いる場合、そのコーティングは着色しているのが好ましく、チョコレート色であるのがより好ましい。
【0028】
コーティングまたはフィルムの特徴
チョコレートの表面に形成された乾燥したコーティングまたはフィルムは上記コーティング組成物を1層以上含むことができる。この乾燥したコーティングは好ましくは滑らか且つ均質であり、異臭がない。乾燥したコーティングの光沢は、使用するフィルム形成剤またはフィルム形成剤類の組み合わせによって変えることができる。この乾燥したコーティングは、このような乾燥フィルムまたはコーティングをもたないチョコレート表面に比べて磨り減り抵抗性がより大きいチョコレート外表面を有する製品を提供する。
【0029】
コーティングされたチョコレート層の磨り減り抵抗性を試験する方法
上記乾燥したコーティングの抗磨り減り特性は、本発明の方法によってコーティングされた固形チョコレート製品またはチョコレート被覆製品(試験製品)またはコーティングされていない固形チョコレート製品またはチョコレート被覆製品(対照製品)をボトルのような容器に入れ、その容器をホイールに取り付け、ホイールを設定時間、例えば1分間、回転し、その後、試験製品および対照製品の外表面を目で検査することによってアッセイされ得る。直径約18インチのホイール、約30サイクル/分の回転速度、および約1分間の試験時間を用いると良い結果が得られた。下記の実施例に示すように、このアッセイによると、本発明の方法によって調製されたコーティングを含むチョコレートでコーティングしたビスケットの磨り減り抵抗性と、コーティングされていないチョコレートでコーティングしたビスケットの磨り減り抵抗性とを明らかに区別することができる。当業者の能力の範囲内のその他の方法を用いて、試験製品のコーティングされたチョコレート表面および対照製品のコーティングされていないチョコレート表面の磨り減り抵抗性をアッセイすることもできる。
【実施例】
【0030】
下記の実施例は説明を目的とするに過ぎず、添付される特許請求の範囲の範囲を制限することを意図していない。
【0031】
(実施例1)
チョコレート用コーティング組成物を以下の成分を用いて調製した。
水 78.2%
マルトデキストリン 20.0%
キサンタンガム 0.2%
グリセロールモノオレエート 1.0%
クエン酸 0.5%
ソルビン酸カリウム 0.1%。
【0032】
上記コーティング組成物を調製するために、最初に水を70℃に加熱し、第一フィルム形成剤であるキサンタンガムを、加熱した水に溶解した。その後、第二フィルム形成剤であるマルトデキストリンと界面活性剤とをその混合物に加えた。これらの添加剤が水に溶解した後、その溶液を約25℃の温度に冷やし、そしてその溶液に保存料を溶解した。
【0033】
コーティング組成物を塗布し、温度65゜F未満でかつ相対湿度50%未満の空気中で乾燥した。コーティングは10〜15分以内に乾燥した。耐摩耗性を上記のように試験した。その結果、本発明の方法に従ってコーティングされた外表面チョコレート層を有するビスケットには、チョコレート層に上記コーティングがないビスケットに比べてほとんど磨り減りがないことが示された。
【0034】
(実施例2)
チョコレート用コーティング組成物を以下の成分を用いて調製した。
水 78.2202%
マルトデキストリン 19.9440%
キサンタンガム 0.1994%
グリセロールモノオレエート 0.9972%
クエン酸 0.4986%
ソルビン酸カリウム 0.0997%
FD&C Red#40 0.0182%
FD&C Yellow#5 0.0174%
FD&C Blue#1 0.0029%
FD&C Yellow#6 0.0025%。
【0035】
上記コーティング組成物を調製するために、最初に水を70℃に加熱し、第一フィルム形成剤であるキサンタンガムを、加熱した水に溶解した。その後、第二フィルム形成剤であるマルトデキストリンと界面活性剤とをその混合物に加えた。これらの添加剤が水に溶解した後、その溶液を温度約25℃に冷やし、着色剤および保存料をその溶液に溶解した。
【0036】
上記コーティング組成物をチョコレートで被覆したビスケットに塗布し、温度65°F未満でかつ相対湿度50%未満の空気中で乾燥した。コーティングは10〜15分以内に乾燥した。耐摩耗性を上記のように試験した。その結果、本発明の方法に従ってコーティングされた外表面チョコレート層を有するビスケットには、チョコレート層にコーティングがないビスケットに比較してほとんど磨り減りがないことが示された。
【0037】
(実施例3)
チョコレート用コーティング組成物を以下の成分を用いて調製した。
ヒドロキシプロピルセルロース 2%
変性アルコール 98%。
【0038】
上記組成物を調製するために、ヒドロキシプロピルセルロースを室温で変性アルコールに溶解した。チョコレートで被覆したビスケットにコーティング組成物を塗布し、温度65゜F未満でかつ相対湿度50%未満の空気中で乾燥した。コーティングは3〜8分以内に乾燥した。耐摩耗性を上記のように試験した。その結果、本発明の方法に従ってコーティングされたチョコレート層を有するビスケットには、チョコレート層にコーティングがないビスケットに比較してほとんど磨り減りがないことが示された。
【0039】
(実施例4)
チョコレート用コーティング組成物を以下の成分を用いて調製した。
シェラック 5%
ヒドロキシプロピルセルロース 3%
変性アルコール 92%。
【0040】
上記組成物を調製するためにシェラックおよびヒドロキシプロピルセルロースを室温で変性アルコールに溶解した。
【0041】
コーティング組成物をチョコレートで被覆したビスケットに塗布し、温度65゜F未満でかつ相対湿度50%未満の空気中で乾燥した。コーティングは3〜8分以内に乾燥した。耐摩耗性を上記のように試験した。その結果、本発明の方法に従ってコーティングされたチョコレート層を有するビスケットには、チョコレート層にコーティングがないビスケットに比較してほとんど磨り減りがないことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形チョコレート、チョコレートでコーティングした製品またはチョコレートでエンロービングした製品の表面の磨り減り抵抗性を高める方法であって:
a)該チョコレートの該表面にコーティング組成物を塗布する工程であって、該コーティング組成物は
i)水、エタノール、およびイソプロパノールから選択される溶媒、またはそれらの任意の組み合わせと、
ii)1種類以上の第一フィルム形成剤であって、該コーティング組成物が乾燥した際に形成されるフィルムに強度とフレキシビリティとを与える、1種類以上の第一フィルム形成剤と
を含む、工程と、
b)該コーティング組成物を乾燥して、表面の磨り減り抵抗性が高められた固形チョコレート、チョコレートでコーティングした製品またはチョコレートでエンロービングした製品を提供する工程と
を包含する、方法。
【請求項2】
前記1種類以上の第一フィルム形成剤がキサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、寒天、アルギネート類、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、キトサン、カラギーナン類、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、ゼラチン、加工澱粉、デキストリン、ゼイン、およびホエイタンパク質から選択されるか、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一フィルム形成剤の少なくとも1種類がシェラックである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング組成物が0より大きく50milまでの厚さで塗布され、該コーティング組成物は乾燥空気にさらされた場合30分以内に乾燥する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング組成物がマルトデキストリン、澱粉、スクロース、マルトース、フルクトース、デキストロース、グルコース、糖ポリオール類およびコーンシロップからなる群から選択されるか、またはそれらの任意の組み合わせである、1種類以上の第二フィルム形成剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング組成物が界面活性剤および必要に応じて保存料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一フィルム形成剤が次のもの:キサンタンガム、アラビアガム、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、加工澱粉、デキストリン、ゼインおよびホエイタンパク質のうちの1種類以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が水と、次のもの:キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、寒天、アルギネート類、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、キトサン、カラギーナン類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、ゼラチン、加工澱粉、デキストリン、およびホエイタンパク質のうちの1種類以上とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物がエタノール、イソプロパノールまたはその両方と、次のもの:エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼインおよびシェラックのうちの1種類以上とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング組成物が30〜99.9重量%の前記溶媒と0.01〜40重量%の前記第一フィルム形成剤とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング組成物が30〜99.9重量%の前記溶媒、および0.01〜50重量%の前記第一フィルム形成剤、および0〜50重量%の第二フィルム形成剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が30〜99.9重量%の前記溶媒;0.01重量%〜40重量%の前記フィルム形成剤;0〜40重量%の第二フィルム形成剤、0〜5重量%の界面活性剤および0〜2重量パーセントの保存料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング組成物が、前記コーティングが乾燥した際に着色フィルムを生成する着色料をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記着色フィルムがチョコレート色である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティングされた生成物が赤外線照射を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)が65℃未満の温度および50%未満の相対湿度を有する空気中で前記コーティング組成物を乾燥する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記コーティング組成物が着色料を含まず、前記コーティング組成物が乾燥した際に形成されるフィルムが透明または半透明である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記コーティング組成物が0.1〜70重量パーセントの固形分を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記コーティング組成物が1.0〜70重量パーセントの固形分を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティング組成物が1.0〜60重量パーセントの固形分を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティング組成物が100〜1200センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記コーティング組成物が100〜1500センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記コーティング組成物が10〜1500センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−531063(P2009−531063A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502909(P2009−502909)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/007393
【国際公開番号】WO2007/112077
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(500058327)マントローズ−ハウザー カンパニー インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】