説明

ツーピース型固定翼

本発明は、トルクコンバータ内のステータのための翼に関するものであって、該翼は、ステータの内側の周方向区分及び外側の周方向区分に接続された第1の翼セグメントと、前記第1の翼セグメントとは別個に形成されていて、ステータの前記内側の周方向区分及び外側の周方向区分に接続された第2の翼セグメントとを有している。本発明の実施態様によれば、翼セグメントは縁部に沿って接触し合い、重なり合っていて、周面を越えてずらされていて、少なくとも部分的に折り畳まれ、打ち抜き成形又は鋳造されている。翼セグメントの配置は、ステータの出力データ例えばトルク比、効率及び出力が変えられるように、選択されている。本発明の別の実施態様によれば、翼セグメントが、周面を越えてずらされていて、ステータが、機能的に、周面を越えて、例えば翼に対して液体の圧力が反応することによって整列を制御するように、配置されている整列エレメントを有している。本発明の別の実施態様によれば、ステータは軸方向の半部を有しており、これらの半部は、別個に構成されていて、互いに堅固に結合されており、この場合、翼セグメントは相応の半部に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動ユニット(例えば自動車のエンジン)と回転駆動されるユニット(例えば自動車のオートマチックトランスミッション)との間で動力を伝達するための装置の改良に関する。本発明は特に、トルクコンバータのための別個に形成された2つの軸方向セグメントを備えた固定翼(ステータ翼)に関する。特に、ステータは打ち抜き成形された軸方向の半部を有していて、セグメントは、各半部の一体的な構成部分として形成されている。
【0002】
発明の背景
ステータにおける一体的な翼は公知はである。2分割された固定翼は同様に、例えば米国特許公告第2004/0237516号公報(Shin)に記載されているように、公知である。"Shin"による翼セグメントは半径方向で互いに分離されている。つまり、一方のセグメントはステータの外周部に結合されていて、他方のセグメントはステータの内周部に結合されている。これによって、翼を通過する液体流の影響は、半径方向の面に沿った流れにほぼ限定される。
【0003】
従って従来では、ステータに、軸方向のセグメントを備えた翼を設ける必要がある。
【0004】
発明の要約
本発明は、一般的な形式でトルクコンバータ内のステータのための翼を有しており、この翼は、ステータの内側の周方向区分と外側の周方向区分とに接続された第1の翼セグメントと、前記第1の翼セグメントとは別個に形成され、かつステータの前記内側の周方向区分と外側の周方向区分とに接続された第2の翼セグメントとを有している。本発明の実施態様によれば、前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが互いに接触し合っており、前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、さらに相応の縁部を有していて、該相応の縁部に沿って前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが接触し合っているか、又は少なくとも1つの前記相応の縁部が楔状に傾斜している。また本発明の実施態様によれば、前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが相応の面を有していて、これらの相応の面が少なくとも部分的に重なり合っているか、又は前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、周面を越えて互いにずらされている。本発明の実施態様によれば、前記第1の翼セグメント又は第2の翼セグメントが少なくとも部分的に折り畳まれており、前記翼は打ち抜き成形されているか又は鋳造によって製造されている。
【0005】
本発明の実施態様によれば、前記ステータはさらに出力特性データを有しており、該出力特性データが、前記第1及び第2の翼セグメントの配置に相当する、前記出力特性データを変えるように選択された配置を有している。本発明の実施態様によれば、特に、前記出力特性データとして、殊にトルク比、効率及び出力が選択されており、前記相応の配置として、殊に軸方向の整列、半径方向の整列、周面を越えた整列が選択されている。
【0006】
本発明の実施態様によれば、前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、周面を越えて整列されていて、ステータがさらに整列エレメントを有しており、該整列エレメントは機能的に、周面を越える整列を制御するように配置されている。本発明の実施態様によれば、前記トルクコンバータが液体を有していて、前記整列エレメントは、翼に対して液体の圧力が反応することによって整列を制御するように、配置されている。
【0007】
本発明の実施態様によれば、前記ステータが、第1の軸方向の半部と第2の軸方向の半部とを有していて、前記第1の半部と第2の半部とが別個に形成されていて、堅固な結合部を介して互いに堅固に結合されており、前記第1の翼セグメントが前記第1の軸方向の半部に接続され、前記第2の翼セグメントが前記第2の軸方向の半部に接続されている。前記堅固な結合部として、リベット、折り畳まれた舌片、溶接継ぎ目及びビードが選択されている。本発明の実施態様によれば、前記第1の翼セグメントが前記第1の軸方向の半部の一体的な構成部分として構成されている。
【0008】
本発明の実施態様によれば、前記ステータがクラッチを有していて、前記第1の軸方向の半部と第2の軸方向の半部とは、クラッチの第1のエンドプレート若しくは第2のエンドプレートを形成するように、配置されている。
【0009】
また本発明は、一般的にトルクコンバータ内のステータのための翼を有しており、該翼は、前記ステータの内側及び外側の周方向区分の一体的な構成部分として形成された第1の翼セグメントを有しており、また前記翼は、前記第1の翼セグメントとは別個に、前記内側及び外側の周方向区分の一体的な構成部分として構成された第2の翼セグメントが設けられていて、前記内側及び外側の周方向区分がステータのリングを形成していて、第1及び第2の翼セグメント並びに内側及び外側の周方向区分が打ち抜き成形されている。
【0010】
さらに本発明は、一般的にトルクコンバータ内のステータのための翼を有しており、該翼は、ステータの第1の軸方向半部の一体的な構成部分として形成され、かつ前記第1の軸方向の半部の第1の内側及び外側の周方向区分に接続された第1の翼セグメントを有しており、また前記翼は、前記第1の翼セグメントとは別個に、かつステータの第2の軸方向の半部の一体的な構成部分として構成され、前記第2の軸方向の半部の第2の内側及び外側の周方向区分に接続された第2の翼セグメントを有している。前記第1の軸方向の半部と第2の軸方向の半部とは、打ち抜き成形され、別個に形成され、かつ互いに堅固に結合されている。
【0011】
本発明の課題は、多様な配置で構成することができる、ステータのための翼を提供することである。
【0012】
本発明の別の課題は、軸方向で互いに分離された複数のセグメントより形成される、ステータのための翼を提供することである。
【0013】
本発明の別の課題は、セグメント間で可変なずれを有するステータのための、複数のセグメントより成る翼を提供することである。
【0014】
本発明のその他の課題及び利点は、図面に示した本発明の有利な実施例及び請求項に記載されている。
【0015】
図面の簡単な説明
以下に、添付の図面に基づく本発明の詳細な説明を用いて、本発明の本質及び機能形式について詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明による2分割された翼を備えたステータの斜視図、
図2は、図1に示したステータの分解した正面図、
図3は、図1に示したステータの正面図、
図4は、図3の4−4線に沿った、図3に示したステータの側方から見た横断面図、
図5は、図4の5−5線に沿った、図4に示したステータの後から見た横断面図、
図6乃至図9は、ステータ及び翼の相応の配置を示す、本発明による翼を備えたステータの部分断面図、
図10乃至図17は、翼の種々異なる配置を示す、本発明による翼の平面図、
図18Aは、本発明において用いられた立体的(三次元的)な表示形式を示す、円筒形座標系の斜視図、
図18Bは、本発明において使用された表示形式を示す、円筒形座標系内の対象物の斜視図である。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明において、各図の同じ符号は、本発明の同じ構成部材又は機能的に類似の構成部材を示している。本発明は、この時点で有利であるとされた実施態様に関して記載されているが、本発明はこの実施態様のみに限定されるものではない。
【0018】
また、本発明は、記載された方法、材料及び態様に限定されるものではなく、変えることができる、ということを明確にしておく。さらに、用いられた専門用語は、説明のために限定された実施態様のためだけに用いられているものであり、本発明の適用範囲を限定するものでないことは、明らかである。本発明の適用範囲は、請求項によってのみ限定される。
【0019】
特に規定がなければ、用いられたすべての技術的及び科学的な概念は、本発明においても、当業者により一般的に用いられている意味と同じ意味をもつ。本発明を実施又はテストするために、本明細書に記載されたものと類似又は等価値である任意の方法、装置又は材料を使用することができるが、以下に、有利な方法、装置及び材料について説明する。
【0020】
図18Aは、本明細書において使用された立体的な表示形式で示された円筒形座標系280の斜視図を示す。本発明を、少なくとも部分的に円筒形座標系を用いて説明する。座標系280は長手方向の軸線281を有しており、この長手方向の軸線281は、以下の立体的な方向表示のための基準エレメントとして用いられる。形容詞「軸方向」、「半径方向」及び「周方向」とは、それぞれ長手方向の軸線281に対して平行な方向、半径方向282(軸線281に対して垂直である)、若しくは周方向283に該当する。また、形容詞「軸方向」、「半径方向」及び「周方向」は、相応の面に対して平行な整列でもある。種々異なる面の配置を説明するために、対象物284,285及び286が用いられる。対象物284の面287は、1つの軸方向の面を形成する。つまり、軸線281は、前記面287に沿った線を形成する。対象物285の面288は、半径方向の面を形成する。つまり、半径方向282は、前記面288に沿った線を形成する。対象物286の面289は、周方向面を形成する。つまり、周方向283は、前記面289に沿った線を形成する。別の例として、軸線281に対して平行な軸方向のシフト又は配置が行われ、半径方向282に対して平行なシフト又は配置が行われ、周方向283に対して平行な、周方向におけるシフト又は配置が行われる。回転は長手方向の軸線281を中心にして行われる。
【0021】
形容詞「軸方向の」、「半径方向の」及び「周方向の」は、それぞれ、軸線281に対して、半径方向282に対して、若しくは周方向284に対して平行な整列に関係している。形容詞「軸方向の」、「半径方向の」及び「周方向の」は、相応の面に対して平行な整列に関係している。
【0022】
図18Bは、図18Aの円筒形座標系280における対象物290の斜視図であって、本発明において使用された立体的な表示形式を明示している。円筒形の対象物290は、円筒形座標系内で円筒形の対象物を表しているものであって、本発明をこれに限定するものではない。対象物290は、軸方向の面291と、半径方向の面292と、周方向の面293とを有している。面291は、軸方向の面の一部であって、面292は、半径方向の面の一部であって、また面293は、周方向の面の一部である。
【0023】
図1は、本発明による2分割された翼を備えたステータの斜視図である。
【0024】
図2は、図1に示したステータの分解した正面図である。
【0025】
図3は、図1に示したステータの正面図である。
【0026】
図4は、図3の4−4線に沿った、図3に示したステータの側方から見た横断面図である。
【0027】
図5は、図4の5−5線に沿った、図4に示したステータの後から見た横断面図である。以下に、図1乃至図5を用いて説明する。ステータ12内に翼10が示されている。本発明の実施態様によれば、各翼10は翼セグメント14及び16を有している。セグメント14,16は、別個に形成されている。つまり、セグメント14及び16は、別個の部分である。従ってステータ12は、2つの別個の部分又はセグメントより形成された「組み立てられた」翼を形成している。別個の部分又はセグメントは、以下に記載の形式で互いに接続され、連結され、接触せしめられ、整列又は配置することができる。セグメント14,16は、それぞれステータ12の内側の周方向区分18と、外側の周方向区分20とに接続されている。つまり、各セグメントは、区分18と20との間を貫通して設けられている。
【0028】
図面では、各翼10が、相応のセグメント14及び16を備えている。しかしながら、本発明は、1対1のセグメント14と16との関係に限定されるものではない。つまり、翼10は、種々異なる数のセグメント14,16を備えて形成されていてもよい。例えば所定の数の翼がセグメント14とセグメント16とを有し、異なる数の翼がセグメント14だけを有し、また異なる数の翼がセグメント16だけを有するように、構成されていてもよい。
【0029】
セグメント14,16は、翼10を形成するために、種々異なる形式で配置することができる。本発明の実施態様によれば、セグメント14と16とは、例えば図1乃至図3に示したライン17に沿って接触している。例えば、セグメント14と16とは、半径方向の縁部22若しくは24に沿って接触している。本発明の実施態様によれば、1つ又は2つの縁部22及び2は、以下に記載されているように、くさび形に先が尖っている。セグメント14,16は、半径方向の面26,28若しくは30,32を有している。本発明の実施態様によれば、セグメントの相応の半径方向の面14,16は少なくとも部分的に、以下に記載されているように、互いに重なり合っている。幾つかの(図示していない)実施態様によれば、セグメント14,16は、以下に記載されているように、周面を越えて互いに整列されていない。
【0030】
公知であるように、ステータは、トルク比、効率及び出力(これだけではないが)等の出力データの観点で観察することができる。一般的に、これらのデータは、ステータの翼によって、例えば翼の配置によって影響を受ける。このような理由から、ステータ内に配置された翼10を有するステータの出力データを変えるために、翼10及び翼セグメント14,16の相応の配置を選択することができる。翼及び翼セグメントの配置は、軸方向の整列、半径方向の整列又は周面を越えた整列に関係する。特に重要なことは、ステータ内の液体流の見込まれる流れ方向に関連して翼を整列することである。
【0031】
本発明の実施態様によれば、ステータ12は、半部36及び38、例えば軸方向で互いに分離された2つの半部を有している。このような2つの半部については、本発明と同一出願人によって分割出願され、本発明と同日に出願された米国特許出願明細書に、"Integral Stator and One-Way Clutch"von George et al(ジョージその他著による、「一体型ステータ及び一方向クラッチ」)の名称で記載されている。半部とは、ステータの構造部が、特に、翼が結合されている構造部が、主に半部36及び38によって形成されている、ということである。半部36及び38は、軸方向の半部又は軸方向の端部とも称呼される。言い換えれば、半部36,38は、軸線34に関連した半径方向の面に沿って互いに接続されている。半部は、それぞれ個別部分より形成されている。翼セグメント14は半部36に接続されていて、翼セグメント16は半部38に接続されている。本発明の実施態様によれば、セグメントは、半部36を備えた一体的な構成部分として形成されていて、翼セグメント16は、半部38を備えた一体的な構成部分として形成されている。例えば、セグメント14と半部36とは、1つの材料より形成されている。
【0032】
一般的に前記半部は互いに結合されていて、軸方向で固定されている。つまり、前記半部は任意の形式で互いに結合されており、軸方向で互いに移動しないようになっている。本発明の実施態様によれば、これらの半部は互いに堅固に結合されている。つまり、これらの半部は、軸方向でも回転方向でも互いに移動しないようになっている。本発明の実施態様によれば、これらの半部は、図面に記載されているように、回転方向で互いに摺動するように、配置されている。図1乃至図4には、これらの半部を使用するために固定エレメント40,42が使用される。しかしながら、これらの半部を結合するために別の手段を用いることができる。これらの別の手段とは、例えば以下に記載されているように(これに限定されるものではないが)、リベット、折り畳まれた舌片、溶接継ぎ目、接着剤及びビード(溝付け)である。
【0033】
図6乃至図9は、相応のステータ及び翼の配置を示す、本発明による翼を備えたステータの部分横断面図である。以下では、図1乃至図9を用いて説明されている。
【0034】
本発明の実施態様によれば、前記半部36及び38は、ワンウェイクラッチ44の一部を形成しており、このワンウェイクラッチは、同一出願人により分割出願され、本発明と同日出願された米国特許出願明細書に、" Stator and One-Way Clutch Assembly for a Torque Converter " von Hemphill et al(ヘムフィルその他著により、「トルクコンバータ用のワンウェイクラッチとステータ」)の名称で記載されている。例えば、ステータ12A乃至12Dは、内レース46と、ローラ48と外レース50とを備えたワンウェイクラッチ44を有しており、この場合、半部36と38とは、クラッチの軸方向の閉鎖部52若しくは54を形成するように、配置されている。言い換えれば、エンドプレート52若しくは54は、レース(Laufring:走行リング)とクラッチのローラとを軸方向で固定確保している。ステータ内に別のワンウェイクラッチを用いることは、本発明の思想及び適用範囲に含まれることであることは明らかである。
【0035】
翼10、セグメント14,16並びに半部26,28は、ある特定の配置、形状、大きさ、整列又は結合に限定されるものではない。図6乃至図9には、軸方向でクラッチ44の中央を通る半径方向ライン58(図9に示されているだけである)に対する軸方向の整列状態が示されている。一般的に、ステータ12の相応の半部が、内側の周方向領域62及び/又は外側の周方向領域64に固定されている。
【0036】
図6及び図9では、半部36A/38A及び36D/38Dは、領域62A及び62Dが軸方向で中央の外に位置するように、形成されている。ステータ12A内で、半部36A及び38Aは、軸方向で中央の外に位置するライン66に沿って、軸方向で接触し合っている。その結果、一方の軸方向寸法68は、他方の軸方向寸法70よりも大きく、これに対して、ライン58に沿った翼10の全体的な軸方向の整列は維持される。このような配置は、翼10の前部の態様を強調したい場合、例えば前部の面を増大したい場合のために望まれている。ステータ12D内でライン72が軸方向でほぼライン58に合わせられていて、寸法74は寸法76よりも大きいので、翼10の前部の態様は大きく強調される。
【0037】
図7及び図8では、半部が、ステータの相応のリング内において、つまり翼が存在する半径方向の領域内において軸方向で互いに分離されている。リング78は図1と比較して示されている。領域62B及び64B並びに62C及び64Cは、軸方向でほぼライン58に合わせられている。
【0038】
図7及び図8に示した配置の影響は、翼セグメント例えば14B及び16Cが、軸方向で相応のセグメントの中央に位置する箇所において相応の半部と結合されている、という点にある。例えば、セグメント14Bのための軸方向の寸法80と82とはほぼ同じである。このような配置によって、セグメントの接続点とセグメント相応の縁部との間の間隔、例えばポイント84とセグメント14Bの縁部86との間の間隔80が、セグメントに作用するトルク力(1つのセグメントを半径方向のラインを中心にして回転させるか又はねじる力)が減少される。図8では、セグメント14C及び16Cが半径方向で先細りしている。例えばセグメント14Cの軸方向の寸法88は、領域64Cの近傍で領域62Cの近傍よりも大きい。翼セグメントの先細りのその他の形及び大きさは、本発明の精神及び適用範囲内にあることは、明らかである。例えば、寸法88は領域62Cの近傍において領域64Cの近傍におけるよりも大きい。
【0039】
領域64内で相応の半部を結合するために、任意の技術的に公知の手段が使用される。例えば図6、図7及び図9には、折り畳み結合、舌片又はビードが示されており、これに対して図8ではリベット90が使用されている。また、その他の手段、特に溶接継ぎ目を使用してもよい。
【0040】
図10乃至図17は、翼の種々異なる配置を示す、本発明による翼の平面図である。以下に、図1乃至図17を用いて説明する。図面を簡単に示すために、図10乃至図17に示された種々異なる組み合わせ及び配置は、図1乃至図5に示した翼10、セグメント14及び16を使用している。図10は、軸方向でライン17に沿って互いに接続されたセグメント14及び16を備えた翼10を示している。この配置は、図1乃至図5に示した配置に相当する。図11及び図12は、周面を越えて互いにずらされているセグメント14及び16を示している。図11及び図12によれば、セグメント16が任意の側で以て周面を越えてセグメント14に対してずらされていることが示されている。セグメント16に関連したずれが基準点とされることは明らかである。翼10は、周面を越えたセグメント間のずれ100の規定された値に限定されるものではない。
【0041】
図13及び図14は、セグメント14及び16がオーバーラップ(重なり合い)によってどのようにして互いにに結合されているかについて示している。つまり、セグメント14の部分とセグメント16の部分104とは、加工又は変形されている。図14は一重のオーバーラップを示す。つまり、セグメント16の部分106だけが加工又は変形されている。図13及び図14に示したオーバーラップは逆向きであり、例えば一重のオーバーラップがセグメント14の加工によって形成される。翼10は、オーバーラップの所定の配置又は所定の寸法に限定されるものではない。
【0042】
図15は、楔状に傾けられた縁部108若しくは110を備えたセグメント14及び16を示す。その他の配置のセグメントが楔状に傾けられた縁部を有していてもよい。例えば、図11又は図14では、セグメント14又は16が楔状に傾けられている。また図15によれば、楔状に傾けられた縁部の別の組み合わせも可能である。例えば縁部112又は114は楔状に傾けられている。翼10は、所定の型式の傾斜又は楔状に傾けられた縁部の所定の組み合わせに限定されるものではない。
【0043】
図16は、少なくとも部分的に折り畳まれたセグメント14及び16を備えた翼10を示す。例えばセグメント14若しくは16の前縁部116及び118が折り返されている。翼10は、折り畳みの所定の配置又は所定の寸法又は所定の形に限定されるものではない。例えば寸法120及び122は変えることができる。また、セグメント14又は16のうちの一方だけを折り畳み、他方のセグメントを折り畳まなくてもよい。図17は、鋳造又は流し込み成形によって形成された、ほぼ滴状のセグメントを示している。このようなセグメントは、例えば所望の湾曲部及び表面特性を有する表面124を形成するために、多様な大きさ、形状及び配置で流し込むことができる。
【0044】
本発明の実施態様によれば、図11及び図12に示されたずれを、周面を越えて調節することができる。例えば、2つの半部36及び38のうちの一方又は両方の少なくとも一部を、周面を越えて調節することができる。この調節はできれば自動でなく行われる。1つ又は2つの半部を所望の整列位置まで回転させ、次いで固定エレメント40及び42を使用して固定することによって、例えば図1及び図2における、周面を越えた半部36又は38の互いの位置を選択し、それによって翼10内のセグメント14及び16の周面を越えた整列を選択することができる。
【0045】
幾つかの(図示していない)実施態様によれば、調節は自動的に行われる。つまり、ステータ12は、2つの半部36及び38の一方又は両方の少なくとも一部のための自動式の整列エレメント又は調節装置を有している。説明を簡単にするために、以下では両半部のための調節について説明されているが、調節は、相応の半部の一部のためだけに可能であることは明らかである。調節装置は、(翼10におけるセグメント14と16との、周面を越えたずれを変えるための)半部の回転を選択された制御パラメータに対する反応として制御する。本発明の実施態様によれば、この調節装置は、ステータの所定の運転条件下で所定のずれを調節するために、例えば"aktiv;アクティブな"抵抗に抗する抵抗エレメントとして、機械的な性質に対抗するようになっている。ステータの運転条件が変化すると、ステータ内の抵抗に抗する力が変化し、2つの半部を互いに回転させるように作用する。これによって、翼セグメント間の実際のずれも変化する。抵抗エレメントとして、例えばばねが考えられるが、この場合、ばねの圧縮率はステータの翼に対する液圧に関連して変化する。例えば液圧が高くなると、ばねが圧縮される。抵抗エレメントとして、技術的に公知の任意の抵抗装置を使用することができる。
【0046】
本発明の実施態様によれば、電子機械式の整列エレメントが使用される。例えば、半部36,38に、これらの半部を制御信号に反応して回転させる電気式の調節部材又は電気機械式の装置が接続されている。制御信号は、技術的に公知の任意の手段によって生ぜしめられるが、この手段は、例えばステータ内の液圧又は液体流のパラメータを測定するためのセンサ、又はステータが内部に収容されている自動車のための駆動されるユニット又は駆動ユニットの運転パラメータを監視するためにセンサであるが、これに限定されるものではない。
【0047】
翼10、セグメント14及び16並びに半部36,38は、技術的に公知の任意の手段を用いて製造することができる。例えば翼、セグメント又は半部は、打ち抜き又は鋳造によって製造される。複数の製造手段を一緒に使用することができる。例えば打ち抜き成形された翼10と、鋳造された翼とを組み合わせて使用してもよい。
【0048】
これによって、本発明の課題を効果的に解決することができ、この場合、当業者が本発明の思想及び適用範囲を逸脱することなしに、本発明の修正及び変更を行うことができる。以上の説明は、本発明を分かりやすくするためにだけのものであり、本発明はこれに限定されるものではないことは明らかである。従って、本発明の思想及び適用範囲を逸脱することなしに、本発明のその他の実施例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による2分割された翼を備えたステータの斜視図である。
【図2】図1に示したステータの分解した正面図である。
【図3】図1に示したステータの正面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った、図3に示したステータを側方から見た横断面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った、図4に示したステータの後から見た横断面図である。
【図6】ステータ及び翼の相応の配置を示す、本発明による翼を備えたステータの部分断面図である。
【図7】ステータ及び翼の相応の配置を示す、本発明による翼を備えた別の実施例によるステータの部分断面図である。
【図8】ステータ及び翼の相応の配置を示す、本発明による翼を備えた別の実施例によるステータの部分断面図である。
【図9】ステータ及び翼の相応の配置を示す、本発明による翼を備えた別の実施例によるステータの部分断面図である。
【図10】本発明の1実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図11】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図12】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図13】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図14】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図15】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図16】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図17】本発明の別の実施例による翼の翼セグメントの配置を示す概略図である。
【図18】Aは、発明において用いられた立体的(三次元的)な表示形式を示す、円筒形座標系の斜視図、Bは、本発明において使用された表示形式を示す、円筒形座標系内の対象物の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータ内のステータのための翼において、ステータの内側の周方向区分及び外側の周方向区分に接続された第1の翼セグメントと、前記第1の翼セグメントとは別個に形成されていて、ステータの前記内側の周方向区分及び外側の周方向区分に接続された第2の翼セグメントとを有していることを特徴とする、トルクコンバータ内のステータのための翼。
【請求項2】
前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが互いに接触し合っている、請求項1記載の翼。
【請求項3】
前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、さらに相応の縁部を有していて、該相応の縁部に沿って前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが接触し合っている、請求項2記載の翼。
【請求項4】
少なくとも1つの前記相応の縁部が楔状に傾斜している、請求項3記載の翼。
【請求項5】
前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが相応の面を有していて、これらの相応の面が少なくとも部分的に重なり合っている、請求項2記載の翼。
【請求項6】
前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、周面を越えて互いにずらされている、請求項1記載の翼。
【請求項7】
前記ステータがさらに出力特性データを有しており、該出力特性データが、前記第1及び第2の翼セグメントの配置に相当する、前記出力特性データを変えるように選択された配置を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の翼。
【請求項8】
前記出力特性データとして、殊にトルク比、効率及び出力が選択されている、請求項7記載の翼。
【請求項9】
前記相応の配置として、殊に軸方向の整列、半径方向の整列、周面を越えた整列が選択されている、請求項7記載の翼。
【請求項10】
前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、周面を越えて整列されていて、ステータがさらに整列エレメントを有しており、該整列エレメントは機能的に、周面を越える整列を制御するように配置されている、請求項1記載の翼。
【請求項11】
前記トルクコンバータが液体を有していて、前記整列エレメントは、翼に対して液体の圧力が反応することによって整列を制御するように、配置されている、請求項10記載の翼。
【請求項12】
前記ステータが、第1の軸方向の半部と第2の軸方向の半部とを有していて、前記第1の半部と第2の半部とが別個に形成されていて、堅固な結合部を介して互いに堅固に結合されており、前記第1の翼セグメントが前記第1の軸方向の半部に接続され、前記第2の翼セグメントが前記第2の軸方向の半部に接続されている、請求項1記載の翼。
【請求項13】
前記堅固な結合部として、リベット、折り畳まれた舌片、溶接継ぎ目及びビードが選択されている、請求項12記載の翼。
【請求項14】
前記第1の翼セグメントが前記第1の軸方向の半部の一体的な構成部分として構成されている、請求項12記載の翼。
【請求項15】
前記ステータがクラッチを有していて、前記第1の軸方向の半部と第2の軸方向の半部とは、クラッチの第1のエンドプレート若しくは第2のエンドプレートを形成するように、配置されている、請求項12記載の翼。
【請求項16】
前記第1の翼セグメントが少なくとも部分的に折り畳まれている、請求項1記載の翼。
【請求項17】
前記第2の翼セグメントが少なくとも部分的に折り畳まれている、請求項1記載の翼。
【請求項18】
前記翼が打ち抜き成形されている、請求項1記載の翼。
【請求項19】
前記翼が鋳造によって製造されている、請求項1記載の翼。
【請求項20】
複数の翼が設けられており、前記第1の翼セグメントと第2の翼セグメントとが、相応数の第1及び第2の翼セグメントを有している、請求項1記載の翼。
【請求項21】
トルクコンバータ内のステータのための翼において、
前記ステータの内側及び外側の周方向区分の一体的な構成部分として形成された第1の翼セグメントが設けられており、
前記第1の翼セグメントとは別個に、前記内側及び外側の周方向区分の一体的な構成部分として構成された第2の翼セグメントが設けられていて、前記内側及び外側の周方向区分がステータのリングを形成していて、第1及び第2の翼セグメント並びに内側及び外側の周方向区分が打ち抜き成形されている、
ことを特徴とする、トルクコンバータ内のステータのための翼。
【請求項22】
トルクコンバータのステータのための翼において、
ステータの第1の軸方向半部の一体的な構成部分として形成され、かつ前記第1の軸方向の半部の第1の内側及び外側の周方向区分に接続された第1の翼セグメントが設けられており、
前記第1の翼セグメントとは別個に、かつステータの第2の軸方向の半部の一体的な構成部分として構成され、前記第2の軸方向の半部の第2の内側及び外側の周方向区分に接続された第2の翼セグメントが設けられており、前記第1の軸方向の半部と第2の軸方向の半部とが、打ち抜き成形され、別個に形成され、かつ互いに堅固に結合されている、
ことを特徴とする、トルクコンバータのステータのための翼。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【公表番号】特表2009−531605(P2009−531605A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501831(P2009−501831)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000354
【国際公開番号】WO2007/110019
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany