ツーピース心臓弁を移植するために適合化されたプロテーゼ
【課題】弁と縫合リングを効果的に一体に結合できる心臓弁アセンブリを提供する。
【解決手段】心臓弁アセンブリ10は環状プロテーゼ14及び弁プロテーゼ14を含む。環状プロテーゼは生体の弁輪内で組織を拡張するための環状リング18と環状部材から半径方向に延びる適合性の縫合カフ20とを含む。弁プロテーゼはフレーム32および弁部材を含む。環状リングは生体の弁輪に導入されて、生体の弁輪の周囲の組織を拡張させ、縫合カフは生体の弁輪の上方の組織に適合化する。ファスナーは縫合カフの中を通って導かれ、環状プロテーゼを生体の弁輪に固定する。環状プロテーゼは環状リング上のファブリックを外側に付勢して、生体の弁輪に対する封止を向上させるバレーンエレメントを含み得る。その後、弁プロテーゼを洞腔内に前進させて、環状プロテーゼに対して固定する。縫合カフによって弁プロテーゼと環状プロテーゼとの間の封止を向上できる。
【解決手段】心臓弁アセンブリ10は環状プロテーゼ14及び弁プロテーゼ14を含む。環状プロテーゼは生体の弁輪内で組織を拡張するための環状リング18と環状部材から半径方向に延びる適合性の縫合カフ20とを含む。弁プロテーゼはフレーム32および弁部材を含む。環状リングは生体の弁輪に導入されて、生体の弁輪の周囲の組織を拡張させ、縫合カフは生体の弁輪の上方の組織に適合化する。ファスナーは縫合カフの中を通って導かれ、環状プロテーゼを生体の弁輪に固定する。環状プロテーゼは環状リング上のファブリックを外側に付勢して、生体の弁輪に対する封止を向上させるバレーンエレメントを含み得る。その後、弁プロテーゼを洞腔内に前進させて、環状プロテーゼに対して固定する。縫合カフによって弁プロテーゼと環状プロテーゼとの間の封止を向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プロテーゼの心臓弁(または人工心臓弁(prosthetic heart valve))は、患者の問題のある生体弁(human valves)の代替となることができる。例えば、人工弁の外周のまわりに延びるまたは取り付けられている縫合リング(sewing rings)または縫合糸カフ(suture cuffs)を有するワンピースの弁が提案されている。さらに、弁部材とは別体の縫合リングを有する複数部品(マルチコンポーネント)の弁も提案されている。いずれの型の人工弁の縫合リングも、目的部位の中、即ち、自然の心臓弁(natural heart valve)が取り除かれた心臓の環状部(annulus)の中に取り付けるためには時間も手間もかかることになり得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、心臓の環状部の中に縫合リングを移植するために、環状部を包囲する組織に最初に12〜20の縫合糸を取り付けることがある。それから縫合リングおよび/または人工弁の全体は、環状部の中へ、縫合糸を「パラシュート降下」(parachuted down)させるかまたは進入させられる。それから、環状部の中に縫合リングを取り付けする(または固定する)ために、縫合糸によって結び目(knot)が結ばれて、そして縫合糸はカットされ得る。従って、この手術(procedure)は、多くの縫合糸の管理および操作を必要として、非常に複雑なものとなり得る。そのような手術の複雑さによって、誤りを生じる機会が増大し、長い期間にわたって患者が心肺バイパス(cardiopulmonary)上にいることが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
心臓の環状部は、縫合リングおよび/または人工弁の円形の形状の断面に適合しないこともあり得るので、人工弁は環状部の中に最適に適合しないことが生じ得る。その結果として、弁を通るおよび弁まわりの自然な血液の血液動力学(blood hemodynamics)が損なわれて、弁機構の凝固、血栓を生成する可能性、および最終的に石灰化を生じ得る。
【0004】
この問題に対処するために、複数の部材の弁と共に、可撓性の縫合リングを用いることが提案されている。縫合リングは、例えば上述した手術(すなわちパラシュート降下させる縫合糸の配置)を用いて環状部の中に移植することができる。縫合リングは、少なくとも部分的に環状部の解剖学的形状(anatomy)に対応することができる。別法として、縫合糸を使う代わりに、縫合リングを通してステープルを周囲の組織に打ち込んで、縫合リングを固定することも提案されている。
【0005】
しかし、縫合リングに人工弁または機械弁を取り付けた場合に、例えば、縫合リングの形状が環状部に適合するように歪みを生じた場合などには、弁と縫合リングとが効果的に一体に結合しないことが生じたり、それによって自然な血液の血液動力学を害したり、漏れを生じたりおよび/または人工弁の性能を損なったりし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、患者に移植することができる心臓弁に関し、より具体的には、一体に組み立てることができる複数部材の心臓弁アセンブリと、そのような移植を行うための装置と、移植するための方法とに関する。
【0007】
1つの実施態様によれば、洞腔(sinus cavity)に隣接する生物学的環状部(生体の弁輪:biological annulus)内で、既に存在している自然のまたは人工の心臓弁を交換するためのプロテーゼを設けて、人工弁を収容している。プロテーゼは、生体の弁輪内に移植可能であって、生体の弁輪を包囲する組織に接触して、生体の弁輪を通る開口部を提供する環状部材と、その環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフ(sewing cuff)とを含むことができる。場合により、環状部材は、弾性的に圧縮したり、拡張させたりすることができ、および/または生体の弁輪を拡げるために付勢されて(またはバイアスが付されて)いることができる。
【0008】
1つの実施態様において、縫合カフは、生体の弁輪の内部または上部の組織の形状に少なくとも部分的に対応する適合性を有することができる。さらにまたは別法として、縫合カフは、洞腔を包囲する組織に縫合カフを固定するためにファスナーを貫通し得るようなものであってよい。場合により、例えば人工弁と環状部材との間のシーリングを向上させるために、縫合カフは、1つ以上の適合要素(conformable elements)、例えば複数の可撓性のリブおよび/またはラチス(lattice)を有することができる。例えば、適合要素は、周囲の組織に対してシールを提供しながら、適合するのに十分な可撓性を有する縫合カフを供給するために、シリコーン材料、フォーム材料、ファブリック材料またはファブリック内に固定された他のコアを有することができる。
【0009】
もう1つの実施態様において、生体の弁輪内に移植するために、生体の弁輪を包囲する組織と縫合カフとを接触させるための環状部材を含んでいる生体の弁輪内に移植可能な環状プロテーゼを含む、心臓弁アセンブリを供給する。心臓弁アセンブリは、例えば、生体の弁輪の上方への移植のために複数の小葉状の形状を含む人工弁も有している。
【0010】
場合により、環状プロテーゼに人工弁を固定するために、少なくとも1つの環状プロテーゼおよび人工弁に1つ以上のコネクタを設けることができる。1つ以上のコネクタによって人工弁を環状プロテーゼに対して所定の向きで固定することができる。例えば、人工弁を環状プロテーゼに取り付ける場合に、人工弁の一部を係合させるために、1つ以上のコネクタは環状プロテーゼにクリップを有することもできる。別法として、1つ以上のコネクタは、人工弁および/または環状プロテーゼに、1つ以上のラッチ、戻り止め、連結エレメントを有することができる。
【0011】
1つの実施態様において、縫合カフは、例えば人工弁、環状部材および/または周囲の組織との間でのシールを向上させるために、少なくとも部分的に人工弁の複数の小葉状の形状におよび/または周囲の組織に対応するように弾性的および可撓性を有することができる。さらにまたは別法として、人工弁、環状部材および/または縫合カフは、人工弁と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、可撓性のスカートを有することができる。そのように向上されたシールは、複数の小葉状の形状、例えば生体の弁輪の上方の環状スペース(supra-annular space)に対応する形状と、環状部材、例えば生体の弁輪に対応する、実質的に円形の形状を有する環状部材を有する人工弁の移植を容易に行えるようにすることができる。
【0012】
さらにもう1つの実施態様によれば、環状部材、その環状部材の外周部のまわりに延びるラチス、および組織内部成長を促進するためにラチスの少なくとも一部における被覆(covering)を有する人工弁を収容するために、プロテーゼが設けられる。環状部材は、生体の弁輪内に供給するための寸法を有することができ、および/またはラチスは生体の弁輪を包囲する解剖学的形状に適合するように弾性を有することができる。1つの実施態様において、ラチスは、外周部のまわりに延びる複数の外周エレメントと、環要素との間に延びる複数の横断エレメントとを有することができる。さらにまたは別法として、ラチスは環状のベースから上向きにおよび/または下向きに延びる複数の可撓性リブを有することができる。
【0013】
さらにもう1つの実施態様において、洞腔の下側の生体の弁輪の中に移植された人工心臓弁または自然の心臓弁を交換するために、人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を提供する。生体の弁輪の中に環状部材を導入して、その生体の弁輪を包囲する組織を外側方向へ導いて、例えば生体の弁輪を少なくとも部分的に拡張することができる。弁プロテーゼを洞腔の中に進入させて、環状部材に対して取り付ける(または固定する)ことができる。可撓性の縫合カフまたはスカートは、弁プロテーゼと環状部材との間のシールを向上させるために、弁プロテーゼに係合させることができる環状部材のまわりに拡がることができる。
【0014】
さらにもう1つの実施態様において、生体の弁輪の中に移植可能なベース部材および弁部材を有する心臓弁アセンブリを、生体の弁輪の中での移植のために提供する。ベース部材は外周部まわりに拡がるリムを有することができ、弁部材は、そのベース部材に対して弁部材を取り付けるために、リムと係合するような寸法に形成された下側縁部またはその他の要素を有することができる。例えば、リムは、ベース部材のベース(または底部)から上方へ延びる突起部(ridge)を有することができ、それによってその中に弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定することができ、例えばしまり嵌め(interference fit)を形成することができる。別法として、リムは、フレームのベースから上方に延びるおよび/または外周部まわりに配置される複数のタブを有することができ、従って、その中で弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定することができる。
【0015】
加えてまたは別法として、リムは、傾斜したおよび/またはテーパー付けされた表面、例えば、弁部材の下側縁部をリムと係合させるように導くための上側縁部を有することができる。さらに、弁部材の下側縁部は、ベース部材のリムと係合させるために、複数のタブまたはその他の要素を有すること、および/または、傾斜したおよび/またはテーパー付けされた表面を有することができる。場合により、弁部材の下側縁部をリムと係合させるように案内する場合、リムと弁部材との間でのしまり嵌めを向上させるために、リムが半径方向内向きに(または外向きに)戻るように付勢して(またはバイアスをかけて)、リムに半径方向外側へ拡張(または内側へ収縮)させることもできる。
【0016】
もう1つの選択肢において、ベース部材に対して弁部材を取り付ける場合に、弁部材とベース部材との間のシールを向上させるために、ベース部材および/または弁部材から可撓性のスカートを拡がらせることもできる。例えば、ベース部材は、心臓の環状部(弁輪)に少なくとも部分的に適合するように十分な可撓性を有することができ、可撓性のスカートは、弁部材とベース部材との間の凹凸に適合するように、例えば弁部材とベース部材との間のシーリングを向上させるように、変形することができる。可撓性のスカートは弁部材および/またはベース部材から側面に延びることができる。例えば、可撓性のスカートは、例えば可撓性のスカートが弁部材とベース部材との間の接触を向上させるように、ベース部材から外側方向および/もしくは上方へ延びることもできるし、または弁部材から外側方向および/もしくは下方へ延びることもできる。可撓性のスカートのための典型的な材料には、フォーム(または発泡体材料(foam))、ファブリック(または繊維材料(fabric))および/またはシリコーン材料を含むことができる。
【0017】
もう1つの実施態様において、心臓の弁輪内に移植するための心臓弁アセンブリであって、環状のベース部材とそのベース部材に固定し得る弁部材を有する心臓弁アセンブリを提供する。ベース部材は、一般に(または全体として)平面を規定する外周部を有することができ、その外周部まわりに例えばスカラップによって分離された葉(lobe)のような形状を有する複数の小葉状(multi-lobular)の形状を有することができる。ベース部材は、弾性のフレームと、そのフレームの外周部まわりに拡がるカフとを有することができる。フレームは、波打つような形状(undulating shape)を有するように付勢されて、フレームの葉の形状の部分が平面の上方へ拡がり、および、スカラップ部が平面の下方に延びることができる。
【0018】
心臓の弁輪内にベース部材を移植する場合に、平面を横切って上方へスカラップ部を引っ張るために、カフはスカラップ部に隣接して縫合糸により貫通されることができるように設けることができる。従って、ベース部材のフレームの波打つ形状によって、スカラップ部が平面を横切って上方へ引っ張られる場合に、減少する振幅を規定することができる。典型的な実施態様において、弁部材は、複数の小葉状の形状を有することができ、および/または、弁フレームを有することができる。弁フレームは、外周部を有しており、および弁フレームがベース部材のフレームに収まる(または収容される)ように、その外周部まわりに波打つ形状を有することができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および要旨は、添付の図面と組み合わせて、以下の説明によって理解することができるであろう。図面は本発明の代表的な実施態様を示している。
【発明の効果】
【0020】
本発明の心臓弁アセンブリによれば、弁部材と縫合リングとを効果的に一体に結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ガスケット部材および弁部材を有する人工心臓弁アセンブリの斜視図を示している。
【図2A】図2Aは、図1の2−2線に沿ったガスケット部材の断面図であって、弁部材のフレームに係合した状態を示す断面図である。
【図2B】図2Bは、ガスケット部材の別の実施態様の断面図を示している。
【図3】図3は、弁部材をガスケット部材に取り付けるための典型的なコネクタを、詳細に示す斜視図である。
【図3A】図3Aは、弁部材をガスケット部材に取り付けるためのコネクタの別態様を詳細に示す斜視図である。
【図3B】図3Bは、弁部材をガスケット部材に取り付けるためのコネクタの別態様を詳細に示す斜視図である。
【図4】図4は、弁部材のフレームから延びる可撓性のスカートを有する弁部材の断面を詳細に示す図である。
【図5A】図5Aは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5B】図5Bは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5C】図5Cは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5D】図5Dは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5E】図5Eは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図6】図6は、組織の中に通して取り付けられた縫合糸からの力を分散させるための綿撤糸の詳細な断面図を示している。
【図7】図7は、弁輪の各底部の組織を通して取り付けられたパイロット縫合糸を示す弁輪の断面図である。
【図8】図8は、縫合糸における張力を維持するためのツールを詳細に示す断面図である。
【図9】図9は、ガスケット部材および弁部材を有する人工心臓弁アセンブリのもう1つの実施態様を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のガスケット部材の側面図である。
【図11】図11は、ガスケット部材および弁部材を有する人工心臓弁アセンブリのもう1つの実施態様を示す斜視図である。
【図12】図12は、明りょうにするために、縫合カフおよびファブリック被覆を省略した、図11の心臓弁アセンブリの底面図を示している。
【図13】図13は、図11に示すガスケット部材の分解斜視図を示している。
【図13A】図13Aは、図11−13のガスケット部材に含まれ得る環状リングの別実施態様の斜視図である。
【図14】図14は、図11および13のガスケット部材のクリップによって捕捉された、図11の弁部材のフレームの斜視図である。
【図15A】図15Aは、心臓弁アセンブリのために縫合カフの中で供給することができるコアの別の実施態様を示す斜視図である。
【図15B】図15Bは、心臓弁アセンブリのために縫合カフの中で供給することができるコアの別の実施態様を示す斜視図である。
【図16】図16は、上側のファブリック被覆が部分的に除去されている、心臓弁アセンブリのためのガスケット部材の詳細な斜視図である。
【図17A】図17Aは、ガスケット部材および弁部材を有する心臓弁アセンブリのもう1つの実施態様についての部分的切欠き視図である。
【図17B】図17Bは、ガスケット部材に弁部材を取り付けており、明りょうにするためにファブリック被覆が除去されている、図17Aの心臓弁アセンブリの斜視図を示している。
【図17C】図17Cは、弁部材を所定の角度の関係にてガスケット部材に固定するための磁石を有する、図17Aおよび17Bに示す弁部材とガスケット部材の平面図である。
【図18】図18は、明りょうにするためにファブリック被覆を取り除いた状態の、図17Aおよび17Bに示すガスケット部材の分解斜視図である。
【図19】図19は、図17Aにおける線19−19に沿ったガスケット部材の断面図を示している。
【図20A】図20Aは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図20B】図20Bは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図20C】図20Cは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図20D】図20Dは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図21A】図21Aは、心臓内の生体の弁輪の中にガスケット部材を移植するための方法を説明するための、心臓の断面図を示している。
【図21B】図21Bは、心臓内の生体の弁輪の中にガスケット部材を移植するための方法を説明するための、心臓の断面図を示している。
【図21C】図21Cは、心臓内の生体の弁輪の中にガスケット部材を移植するための方法を説明するための、心臓の断面図を示している。
【図22】図22は、弁部材をリテーナ要素の方へ導く場合に、弁部材を通して収容され得る引張りワイヤー−ハイポチューブ・アクチュエータを有する複数のリテーナ要素を有するガスケット部材の斜視図を示している。
【図23】図23は、図22に示す実施態様の引張りワイヤー−ハイポチューブ・アクチュエータの近位側端部を詳細に示す図である。
【図24A】図24Aは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、拡がった形状に曲がるリテーナ要素を示している。
【図24B】図24Bは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、拡がった形状に曲がるリテーナ要素を示している。
【図24C】図24Cは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、拡がった形状に曲がるリテーナ要素を示している。
【図25A】図25Aは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、所望の方法で曲がるようにリテーナ要素を付勢させるために、スロットのパターンが形成されたリテーナ要素を示している。
【図25B】図25Bは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、所望の方法で曲がるようにリテーナ要素を付勢させるために、スロットのパターンが形成されたリテーナ要素を示している。
【図26A】図26Aは、ラッチを形成するためのスプリング要素の正面図を示している。
【図26B】図26Bは、ラッチを形成するためのスプリング要素の側面図を示している。
【図27A】図27Aは、図26Aおよび26Bのスプリング要素の正面図を示しており、端部が一体に取り付けられて、二状態ラッチを形成しているスプリング要素を示している。
【図27B】図27Bは、図26Aおよび26Bのスプリング要素の側面図を示しており、端部が一体に取り付けられて、二状態ラッチを形成しているスプリング要素を示している。
【図28A】図28Aは、弁部材をガスケット部材に取り付けるために用いられる図27Aおよび27Bの二状態ラッチを詳細に示す図である。
【図28B】図28Bは、弁部材をガスケット部材に取り付けるために用いられる図27Aおよび27Bの二状態ラッチを詳細に示す図である。
【図28C】図28Cは、弁部材をガスケット部材に取り付けるために用いられる図27Aおよび27Bの二状態ラッチを詳細に示す図である。
【図29A】図29Aは、ガスケット部材の一部を係合させることができる突出部を有する弁部材を有している心臓弁アセンブリの側面図を示している。
【図29B】図29Bは、ガスケット部材の一部を係合させることができる突出部を有する弁部材を有している心臓弁アセンブリの側面図を示している。
【図30A】図30Aは、弁部材のフレームを係合させるためのラッチをガスケット部材が有する、もう1つの実施態様の心臓弁アセンブリを詳細に示す図である。
【図30B】図30Bは、図30Aのラッチの側面図を示している。
【図31A】図31Aは、開いた状態における軸回転可能なラッチの正面図を示している。
【図31B】図31Bは、開いた状態における軸回転可能なラッチの側面図を示している。
【図32A】図32Aは、閉じた状態における図31Aおよび31Bのラッチの正面図を示している。
【図32B】図32Bは、閉じた状態における図31Aおよび31Bのラッチの側面図を示している。
【図33】図33は、図31A−32Bに示す複数のラッチを有するガスケット部材の斜視図を示している。
【図34】図34は、弁部材および図34のガスケット部材を有する心臓弁アセンブリの一部破断側面図を示している。
【図35A】図35Aは、圧縮された形状の拡張可能なラッチの断面図を示している。
【図35B】図35Bは、拡がった形状の拡張可能なラッチの断面図を示している。
【図36A】図36Aは、図35Aおよび35Bのラッチを用いて、ガスケット部材に取り付けられている弁部材を有する心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図36B】図36Bは、図35Aおよび35Bのラッチを用いて、ガスケット部材に取り付けられている弁部材を有する心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図36C】図36Cは、図35Aおよび35Bのラッチを用いて、ガスケット部材に取り付けられている弁部材を有する心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図37A】図37Aは、拡張可能なラッチの別の実施態様の平面図を示している。
【図37B】図37Bは、拡張可能なラッチの別の実施態様の側面図を示している。
【図38A】図38Aは、開いた位置において保持部材によって保持されているスプリングラッチの斜視図を示している。
【図38B】図38Bは、図38Aのスプリングラッチについて、保持部材を取り外し、スプリングラッチをその閉じた位置とする斜視図を示している。
【図39A】図39Aは、図38Aおよび38Bのラッチを用いて、ガスケット部材に弁部材が取り付けられている心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図39B】図39Bは、図38Aおよび38Bのラッチを用いて、ガスケット部材に弁部材が取り付けられている心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図40A】図40Aは、保持部材によって開いた位置に拘束されたラッチのもう1つの実施態様の側面図を示している。
【図40B】図40Bは、図40Aのラッチの側面図であって、保持部材を取り外し、ラッチをその閉じた位置とする位置を示している。
【図41】図41は、図40Aと40Bに示す複数のラッチを有するガスケット部材および弁部材を有する心臓弁アセンブリの斜視図を示している。
【図42A】図42Aは、図41に示すガスケット部材に弁部材を取り付ける方法を示す断面図である。
【図42B】図42Bは、図41に示すガスケット部材に弁部材を取り付ける方法を示す断面図である。
【図43】図43は、図41に示す心臓弁アセンブリに含ませることができる弁部材の別の実施態様の断面図を示している。
【図44】図44は、弁部材を組織の弁輪に取り付けるために用いることができるもう1つの実施態様のガスケット部材の斜視図を示している。
【図45】図45は、弁部材を取り付けて人工弁を提供する、図44に示すガスケット部材の平面図を示している。
【図46】図46は、図45に示す人工弁について、線46−46に沿った断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照すると、図1は、ベース部材または「ガスケット部材(gasket member)」12および弁部材(valve member)または「クラウン(crown)」14を一般的に有する心臓弁アセンブリ10の典型的な実施態様を示している。ガスケット部材12は、全体として、平面16と、その平面に対して実質的に垂直に延びる長軸17を規定する環状の形状の本体部を有することができる。ガスケット部材12は、平面16内において、円形ではない形状、例えば複数の小葉状の形状を有し得る。1つの実施態様において、ガスケット部材12は、三つの小葉状(tri-lobular)の形状、すなわちカスプ(cusp)またはスカロップ(scallop)28によって分離された三つの小葉状部30を有する形状を有する。その形状は、一般に、以下においてさらに説明するように、その中にガスケット部材12を移植することができる生体の弁輪の断面に対応することができる。ガスケット部材12は、平面16内で、その他の非円形の形状を規定することができる、例えば心臓弁アセンブリ10をその中に移植されることになっている患者の解剖学的形状(anatomy)に対応することができる。
【0023】
ガスケット部材12は、アンカリング・リング(anchoring ring)またはフレーム18と、そのアンカリング・リング18の周囲に延び得る可撓性のカフ(cuff)または縫合リング20とを有することができる。アンカリング・リング18は、例えばその形状を保持するように、実質的に硬質であってもよいし、または例えば、ガスケット部材12が移植される解剖学的形状に少なくとも部分的に対応して、アンカリング・リング18が弾性的に変形し得るように、半硬質であってもよい。加えてまたは代わりとして、アンカリング・リング18は、弾性的にまたは超弾性的に変形することができ、例えば、より小さい形状に圧縮することができるが、リリースされると弾性的に付勢されて図示するような三葉状の形状へ戻ることができる。
【0024】
カフ20は、単にアンカリング・リング18の少なくとも一部を被覆するファブリックまたはその他の物質の層であってよい。例えば、ファブリック(図示せず)の層は、例えばクラウン14をガスケット部材12に取り付けるために、いずれかのコネクタおよび/またはベアリング表面以外のアンカリング・リング18の全体を被覆することもできる。加えてまたは代わりとして、図示するように、カフ20は、アンカリング・リング18から半径方向外側へ延びる材料の部分を有することもできる。アンカリング・リング18とカフ20は、1つの部材として一体に形成することもできるし、または相互に取り付けられた独立した部材であってもよい。さらに、カフ20は、アンカリング・リング18に対して固定して取り付けることもできるし、またはスライドするように取り付けることもできる。
【0025】
次に図2を参照すると、アンカリング・リング18は、環状のベース22、例えば、外周部を有する環状の形状を規定して、カットされたかまたはその他の方法によって形成された、実質的にフラットなシートを有することができ、その外周部は、全体として、平面16に位置する、円形形状、複数の小葉状またはその他の閉じたループの形状であってよい。リム24は、外周部のまわりにてベース22から、例えば平面16から上方へ延びることができる。リム24は、以下に説明するように、弁部材14の断面よりも、少なくともわずかに大きい直径またはその他の断面を規定することができる。別法として、リムは、弁部材14の断面よりわずかに小さい直径を規定することもできる。
【0026】
リム24は、外周部のまわりに連続して、例えばベース22の外縁部22aに沿って延びることができる。別法として、リムは、ベース22の外周部のまわりにおいて、別々に間隔をおいて配置されおよび/または上向きに延びる複数のタブまたはその他の要素(図示せず)によって規定することができる。従って、以下において説明するように、リム24とベース22とはそれらとの間にスペースを規定して、そのスペースに、クラウン14の一部、例えばクラウン14の下側縁部36を受け入れおよび/または係合することができる。
【0027】
場合により、リム24は、クラウン14を案内してリム24と係合させるために、傾斜した縁部または表面を有することができる。例えば、図2Aに示すように、リム24は、丸められた断面を有する拡がったリップ26にて終端することができ、それによって傾斜した上側縁部26aを提供する。別法として、リップはその他の形状、例えば、丸みを帯びたまたは真っ直ぐな傾いた上側縁部を規定するベベル形状(beveled shape)、例えば図2Bに示すような内側に傾斜した(inwardly beveled)縁部26a’を有することができる。以下において説明するように、傾斜した上側縁部は、クラウン14を、整合(位置合わせ)させおよび/または適切な向きに案内しおよび/またはアンカリング・リング18と係合させることを容易にすることができる。
【0028】
図2Aをさらに参照すると、リム24の少なくとも一部、例えばリム24の上側縁部26aに隣接する部分は、例えば、クラウン14の挿入および/またはクラウン14との係合を容易にするために、ベース22に対してたわむことができる。図示するように、例えば、クラウン14の下側縁部36がリム24によって規定されたスペース25の中に案内される際に、リム24はベース22に対して半径方向外側にたわむことができる。リム24は、例えばリム24が半径方向内側に付勢されて戻り、例えばリム24およびクラウン14との間でしまり嵌め(interference fit)を向上させるように、たわむことができ、例えば弾性または超弾性を有することができる。
【0029】
場合により、ガスケット部材12は、リム24に加えて(またはその別法として)、クラウン14をガスケット部材12に取り付けるために、1つ以上の戻り止め(detent)またはその他のコネクタを有することができる。例えば、図3に示すように、アンカリング・リング18は、例えばベース22の外側縁部22aから上方へ延びる複数のフィンガー50を有することができる。各フィンガー50はベント・チップ(tip)52にて終端しており、そこには1つ以上のノッチ54を有することができる。図示するように、ベント・チップ52は、ノッチ54が下方のベース22の上に延びるように、平面16に対して実質的に平行に内側へ延びることができる。別法として、ベント・チップ52は、例えば、下向きにベース22の方へ戻るように延び、クラウン14のためにガイドを提供することができる(図示せず)。図3Aに示すように、もう1つの態様では、フィンガー50’をワイヤーで形成して、傾斜したチップ52’を供給するように曲げることができる。場合により、図3Bに示すように、ベント・チップ52”にノブもしくはキャッチ53”を有するワイヤーフィンガー50”を設けることもできる。加えてまたは代わりとして、その他のコネクタ、例えば米国特許出願第10/765,725号に開示するようなコネクタを用いることもできる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0030】
再び図1を参照すると、クラウン14は、全体として、環状の形状の本体部もしくはフレーム32、および1つ以上の弁部材を有する。フレーム32は、非円形の形状、例えばガスケット部材12と相補的な、例えば複数の小葉状の形状(multiple lobular shape)を有することができる。例えば、クラウン14は、ガスケット部材12と同様に、カスプもしくはスカラップ38によって分離された三つの小葉状部40を有する三葉状の形状を有することができる。典型的な実施態様において、クラウン14は、人工弁部材、すなわち、例えば接合部34に取り付けられて、フレーム32から延びる複数の組織小葉状部(tissue leaflets)(明りょうにするために、図に示さない)を保持する環状のフレーム32である。フレーム32は、組織小葉状部に取り付けられおよび/または組織小葉状部を保持する複数のストラット(明りょうにするために、図に示さない)を有することができる。例えば、ストラットは、米国特許第6,371,983号に開示されているストラットと同様に、可撓性材料の2またはそれ以上のシートを含むラミネートファブリックを有することができる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0031】
別法として、クラウン14は、弁(図示せず)を接続することができるか、または2003年8月22日に出願された同時に継続する米国特許出願第10/646,639号に示す接続アダプタ要素のような弁部材を受けることができる接続デバイスであってよい(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。さらに別法として、クラウン14は、米国特許出願第10/765725号に開示されているような、機械式弁またはその他の弁を有することもできる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0032】
図2Aに最もよく示されているが、フレーム32は、例えばリム24の断面と同様に、直径もしくはその他の断面を規定する下側縁部36を有することができる。下側縁部36は連続するものであってもよいし、または、フレーム32の外周部に間隔をおいて配置された複数のタブによって規定することができる。図示するように、下側縁部36の断面は、下側縁部36をリムの中に挿入して、クラウン14を少なくとも部分的にガスケット部材12に取り付けるように、リム24の断面よりもわずかに小さくすることができる。別法として、下側縁部がリム24に適合(フィット)するように、下側縁部36をリム24よりもわずかに大きく設けることもできるが、その場合にも所望されるしまり嵌めを提供することができる。
【0033】
このようにして、リム24およびリム24を十分に支えるベース22によって規定されるスペース25に下側縁部36を嵌めることができ、従って下側縁部36とリム24との摩擦によって、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることができる。場合により、図2Bに示すように、フレーム32’の下側縁部36’を、リム24’と同様に傾斜させて、例えば、下側縁部36’とリム24’との間での挿入および/または係合を容易にすることもできる。
【0034】
クラウン14のフレーム32は、ロールされたまたはその他の形成された材料の1つ以上のシートによって形成することができ、そのシートの幅が長軸17に対して平行に延びるように形成することができる。従って、下側縁部36は、単に、全体として平面16内に位置する(または平面16内に横たわる)シートの端部(縁部)であってよい。別法として、下側縁部36は、例えばそこでフレーム32の2つの表面が交わるようなコーナー部であってもよい。
【0035】
加えてまたは代わりとして、クラウン14のフレーム32および/またはその他の部材は、クラウン14をガスケット部材12に取り付けるための1つ以上のコネクタを有することができる。例えば、図3に示すように、クラウン14は、ガスケット部材12の対応するフィンガー50を受けることができるスリップ・ノット58を有する1つ以上の縫合糸56を有することができる。各コネクタについては、スリップ・ノット58は、対応する縫合糸56から、所定との間隔、例えば、フィンガー50の幅より大きい間隔をおいている縫合糸、スレッド、またはその他のフィラメント59によって設けることができる。クラウン14をガスケット部材12と接触させるように導く場合、例えばツール(図示せず)を用いて、ベント・チップ52が対応する縫合糸56およびフィラメント59を通って収容されるまで、各フィンガー50を内向きに導くことができる。別法として、フィンガー50は、内向きに偏らせることもできるが、例えば、ツール(図示せず)によってまたはベント・チップ52を下向きに傾斜させることによって、外側へ逸れさせることもでき、クラウン14がガスケット部材12と係合する経路からフィンガー50を弾性的に逸れさせる(または変形させる)ことができる。
【0036】
ノッチ54をフィラメント59と整合(または位置合わせ)させて、縫合糸56を引くことができ、生じる張力によって、例えば、フィラメント59および縫合糸56の一方もしくは両者がノッチ54の中に収容されるようになるまで、スリップ・ノット58をベント・チップ52まわりで締まらせることができる。その後、縫合糸56を結ぶかまたは縛りおよび/またはカットなどすることによって、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることができる。同様の方法を用いて、図3Aおよび3Bに示すようなフィンガー50’および50”をスリップ・ノット58の中に取り付けることができ、それによって、スリップ・ノット58の中にベント・チップ52’および/またはノブ53”を捕捉することができる。
【0037】
心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)の部材、例えば、ガスケット部材12のアンカリング・リング18および/または縫合リング20および/またはクラウン14のフレーム32および/またはストラットは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタン(「ニチノール(Nitinol)」)、コバルト−クロム(例えば、Elgin Specialty Metals(イリノイ州、Elgin)からのELGILOY(登録商標);Carpenter Metals Corp.(ペンシルベニア州、Wyomissing)からのCONICHROME(登録商標))、モリブデン(例えば、モリブデンTZM合金(2003年10月9日付けで発行された国際特許出願WO03/082363 A2(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)に開示されているもの)および/またはタングステン−レニウム(例えば、国際特許出願WO03/082363 A2(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)に開示されているもの)などの1つ以上の材料から形成することができる。加えてまたは代わりとして、部材は、ポリエステル(例えば、E. I. Du Pont de Nemours and Company(デラウエア州,Wilmington)からのDACRON(登録商標))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エキスパンデッドPTFE(または発泡PTFE(ePTFE))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリマー(例えば、ATOFINA(フランス国、パリ)からのPEBAX(登録商標))、鎖状ポリエーテル−ポリウレタン(例えば、Thermedics Polymer Products(マサチューセッツ州,Wilmington)からのTECOFLEX(登録商標))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、フッ化エチレンプロピレン(FEP)および/または熱可塑性プラスチックなどのポリマーから形成することができる。加えてまたは代わりとして、部材は、その他の材料、例えばエクストルーデッド・コラーゲン(extruded collagen)、シリコーン、エコー源性(echogenic)、放射性(radioactive)、放射線不透過性(radiopaque)の材料またはそれらの組合せを含むことができる。使用し得る典型的な放射線不透過性材料には、バリウムスルフェート、チタン、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金、タンタルおよび/または金が含まれる。
【0038】
心臓弁アセンブリ10の部材は、従来技術において、当業者に既知であった方法を用いて、製造することができる。それらの方法には、例えば、モールディング、マシニング、キャスティング、成形(例えば、加圧成形)、クランピング、スタンピング、メルティング、ねじ止め(screwing)、グルーイング、ウェルディング、ダイ・カッティング、レーザー切断、放電加工(EDM)、エッチングまたはそれらの組合せが含まれる。
【0039】
心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)のいずれかまたはすべての部材、例えばカフ20は、図2Aに示すように、細胞内部成長(cell ingrowth)のためのマトリックス、ファブリック、またはその他の可撓性物質(例えば、ファブリックカバーリング21)のためにマトリックスを有することができる。ファブリックまたはその他のカバーリングは、細胞内部成長のためのマトリックスとして作用することができ、および/またはニードルおよび/またはファスナーを容易に通して、心臓弁アセンブリ10が移植される環状部(弁輪:annulus)にカフ20を取り付けるために用いることができる。典型的なファブリック材料には、ポリエステル(例えば、E. I.Du Pont de Nemours and Company(デラウエア州,Wilmington)からのDACRON(登録商標))、ポリプロピレン、PTFE、ePTFE、ナイロン、エクストルーデッド・コラーゲン、シリコーンおよび/またはそれらの組み合わせが含まれる。場合により、カフ20は、O−リングであってもよいし、グルーまたはその他の接着剤および/またはファスナーを用いて取り付けることができる、クッション付きの材料、ダブルベロア材料等を有することもできる。同様に、クラウン14の全体または一部は、図2Aに示すように、マトリックス、例えばファブリック被覆37を有することができる。心臓弁アセンブリ10の全体または部材を被覆するための方には、シンターリング(sintering)、スプレーコーティング、接着(adhesion)、ルーズカバーリング(loose covering)、ディッピング(浸漬)またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0040】
例えば、アンカリング・リング18は、例えば組織内部成長(tissue ingrowth)を向上させるために、少なくとも部分的にファブリック21によって被覆することができる。ファブリック21は、アンカリング・リング18のすべての表面を被覆することもできるし、クラウン14と接触することが意図されない領域、(例えば、しまり嵌めを提供することを意図するか、またはクラウン14を取り付けるためのコネクタを有する表面)の領域のみを被覆することができる。ファブリック21は、カフ20の一部であってもよいし、またはカフ20をファブリック21に取り付けることもできる。同様に、クラウン14のフレーム32および/またはいずれかのストラット(図示せず)は、少なくとも部分的にファブリック37によって被覆されていてもよい。そのようなファブリック37は、組織内部成長の向上に加えて、クラウン14の部材の所望の程度の可撓性を提供し、例えば、部材が疲労せずに動くことを可能にすることができる。
【0041】
図2Aに示すように、ファブリック37は、また、クラウン14の少なくとも一部のまわりにて、可撓性のスカート42を供給するように形成することができる。例えば、ファブリックを、それ自身で折りたたんで、フレーム32から延びるファブリックの2倍の厚さによって規定されるスカート42を供給することができる。以下において説明するように、スカート42は、自由に動くことができおよび/または例えば、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることに適合化させることができる。場合により、ファブリックの2倍の厚さのどうし間のスペースは、可撓性材料43、例えばフォーム、ファブリック、シリコーンなどによって充填されていてよい。それらの材料は、スカート42を自立させることができ、依然として十分な可撓性を有しおよび/または所望のように変形させることができる。別法として、スカート42は、ファブリックの1つの層および/またはフレーム32に取り付けられるかまたはそこから延びるその他の可撓性の材料(図示せず)および/またはファブリック37の1つの層によって規定することができる。
【0042】
図示するように、スカート42はフレーム32から側方に、例えば外側方向および上方へ延びることができる。場合により、以下においてさらに説明するように、例えば、縫合糸またはファスナー(図示せず)がスカート42およびカフ20の両方を通して受け入れられるように、スカート42は、少なくとも部分的にカフ20と重なるように十分に大きくすることができる。別法として、図4に示すように、スカート42’は、フレーム32から外側方向および下向きに延びるように設けることもできる。クラウン14をガスケット部材12(図示せず)と接触するように配向する場合、クラウン14とガスケット部材12との間でのシール(封止)を向上させるために、フレーム32よりも先に、スカート42’をガスケット部材12に接触させることができる。もう1つの実施態様において、スカート42は、長軸17に対して実質的に垂直にまたは横切るように延びることができる。
【0043】
加えてまたは代わりとして、以下に説明する実施態様と同様であってよいが、例えばクラウン14とガスケット部材12との間でのシールをさらに向上させるために、ガスケット部材12に可撓性のスカート(図示せず)を設けることもできる。そのようなスカートは、クラウン14がガスケット部材12と係合する際に、クラウン14に接触することができるように、内側方向へ、外側方向へおよび/または上向きに延びるものであってよい。
【0044】
場合により、ガスケット部材12および/またはクラウン14は、1つ以上のガイドマーカ(図示せず)、例えば米国特許出願第10/765,725号(上記引用した)および同第10/327,821号(2002年12月20日付けで出願)に開示されているような、クラウン14とガスケット部材12との整合を促進する(または容易にする)ためのものを有することができる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。ガイドマーカは、例えば長軸17まわりでの、クラウン14の位置とガスケット部材12との相対的な向きおよび/または位置について、目視的な表示(例えば、直接的および/または画像装置を用いるもの)、聴覚的な表示および/または触覚的な表示を供給することができる。加えてまたは代わりとして、ガスケット部材12および/またはクラウンは、ガスケット部材12に対するクラウン14の配向および/または係合を容易にするための、協同するガイドを有することができる。例えば、1つ以上のガスケット部材12および/またはクラウン14は1つ以上の溝もしくはスロットを有することができ、その他のものはクラウン14がガスケット部材12と所定の向きに係合すること、例えばガスケット部材12およびクラウン14の多数の小葉状形状の整合を容易に行うことができるように、1つ以上の対応するタブまたはリッジ(もしくは突起部(ridge))を有することができる。典型的なガイド要素は、上記引用した、同時係属の中の米国特許出願第10/327,821に開示されている。
【0045】
場合により、心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)および/またはその中のいずれかのファブリックまたはその他の材料は、従来技術において当業者に知られている1つ以上の投与薬剤(delivery agent)(例えば治療用薬剤(therapeutic agent)および/または診断用薬剤(diagnostic agent)のマトリックスで、充填しおよび/または被覆することができる。例えば、心臓弁アセンブリ10のいずれかの部材、サブ・アセンブリ、または全体の心臓弁アセンブリ10は、例えば、PTFE、ポリエステル、ゼラチン、ゲル、その他のポリマーもしくはそれらの組み合わせなどの材料を用いて、従来技術において当業者に既知の方法、例えば浸漬コーティングまたはスプレーコーティングによって被覆することができる。血管(vascular)使用のための医療用デバイスを被覆する典型的な方法は、米国特許第6,358,556号(Dingら)(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)によって開示されている。被覆内における薬剤の放出を遅延させるために、経時的被覆方法を用いることもできる。薬剤は、放射性材料、放射線不透過性材料、細胞内部成長性薬剤(cytogenic agent)、細胞毒性薬剤(cytotoxic agent)、細胞増殖抑制剤(cytostatic agent)、血液凝固性薬剤(thrombogenic agent)、潤滑性および/もしくは親水性薬剤、抗炎症性(anti-inflammatory)薬剤、免疫抑制性(immunosuppressive)薬剤などを含むことができる。用いることができるその他の薬剤の例は、Waltonらの"Inhibition of Prostaglandin E2 Synthesis in Abdominal Aortic Aneurysms", Circulation, July 6, 1999, 48−54、Tambiahらの"Provocation of Experimental Aortic Inflammation Mediators and Chlamydia Pneumoniae", Brit. J. Surgery 88(7), 935−940、Franklinらの"Uptake of Tetracycline by Aortic Aneurysm Wall and Its Effect on Inflammation and Proteolysi", Brit. J. Surgery 86(6), 771−775、Xuらの"SpI Increases Expression of Cyclooxygenase-2 in Hypoxic Vascular Endothelium", J. Biological Chemistry 275(32) 24583−24589、およびPyoらの""Targeted Gene Disruption of Matrix Metalloproteinase-9 (Gelatinase B) Suppresses Development of Experimental Abdominal Aortic Aneurysms", J. Clinical Investigation 105(11), 1641−1649に開示されている。これらの文献およびそれらの中に引用されている文献の開示事項の全体は、引用することにより本明細書に含むものとする。
【0046】
図5A−5Eを参照すると、人工心臓弁アセンブリ、例えば上述したような心臓弁アセンブリ10を生体の弁輪90の中に移植するための典型的な方法が示されている。別法として、心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)を移植するために、本明細書のその他の部分に記載されているその他の方法を用いることもできる。弁輪90は、患者の心臓(図示せず)内において、三尖弁、僧帽弁、大動脈弁または肺動脈弁などの既に存在している自然の心臓弁または既に移植された心臓弁を交換するためのサイトであってよい。弁輪90は、複数、例えば2つまたは三つの自然な小葉状部92(図5Aにおいて、1つの小葉状部の断面と共に、三つの小葉状部が示されている)を有することができる。以下に説明する方法は、図1に示した心臓弁アセンブリ10を全体として参照するが、本明細書に記載した部材のいずれであっても、同様の手法を用いて移植することができることが、理解されるであろう。
【0047】
心臓弁アセンブリ10を移植する前に、患者は既知の方法を用いて処置の準備がなされることができる。例えば、患者は心肺のバイパス(CPB)に設置されて、患者の心臓は、例えば胸骨切開術、開胸術またはその他のオープンなまたは最小の侵襲的な手術によって露出させることができる。切開部(incision)は、弁輪90にアクセスするために、交換される弁(図示せず)、例えば大動脈の弁置換の場合には大動脈、の上方の血管に設けることができる。既存の自然なまたは人工心臓弁(これも図示せず)は、既知の方法を用いて、弁輪90から取り除くことができる。
【0048】
図5Aに示すように、弁輪90を包囲している組織を通して、複数のパイロット縫合糸94を取り付けることができる。例えば、常套の方法によって、ニードル(図示せず)を用いて、弁輪90を包囲している組織を通して、各パイロット縫合糸94を供給することができる。包囲している組織を通して各パイロット縫合糸94を取り付けると、各パイロット縫合糸94の両端部を弁輪の外に保持することができ、以下においてさらに説明するように、1つのニードルに取り付けて、例えば心臓弁アセンブリ10の1つもしくはそれ以上の部材を通して各縫合糸94を容易に進入させることができる。弁輪90を包囲している組織を通してパイロット縫合糸もしくはその他のスレッドもしくはフィラメントを供給するために、その他の方法を用いることもできる。
【0049】
所望する場合には、図6に示すように、各パイロット縫合糸94上で綿撤糸(pledget)98を進入させたり、またはその他の方法で供給することができる。綿撤糸98は、例えば、縫合糸94を引っ張ることによって適用される張力を、より大きい表面積の組織に分配させることができる。従って、綿撤糸98は、パイロット縫合糸94の中で組織が裂けたりすることまたは損傷したりすることを防止することができる。
【0050】
図5Aから図7を参照すると、1つの実施態様において、パイロット縫合糸94は弁輪90のそれぞれの底部(nadirs)96を通って取り付けられる。従って、図7に示された大動脈弁の弁輪(aortic valve annulus)などの三尖弁の弁輪(tricuspid annulus)については、弁輪90の三つのそれぞれの底部96を通して、三つのパイロット縫合糸94を取り付けることができる。その他の数の縫合糸(図示せず)、例えば2またはそれ以上の縫合糸を各底部に取り付けたり、弁輪90のまわりに均等にまたはその他の形状で取り付けることもできると理解されたい。
【0051】
図5Bに戻って参照すると、弁輪に取り付けられた所望の数のパイロット縫合糸94を用いて、パイロット縫合糸94を通してガスケット部材12を弁輪90の中に進入させることができる。ガスケット部材12は、遭遇する生体構造に基づいて、例えば弁輪90の小葉92に適合するおよび/または弁輪90の内部の断面に対応する直径またはその他の断面寸法を有する複数の小葉状部30を有するように、選択することができる。場合により、ベース部材12は、自然弁の弁輪の上方、例えば自然弁の弁輪の上方の拡大したスペースの中で、移植することができる。この構成は、より大きい心臓弁アセンブリ10を移植すること、従ってそれによって、血液が移植された(またはインプラントした)部位を通って流れる開口面積を拡大することができる。
【0052】
ガスケット部材12のカフ20の中を通してパイロット縫合糸94を導いて案内し、ガスケット部材12は、弁輪90の中へパイロット縫合糸94を通してまたは「パラシュート降下」させるようにして進入させることができる。例えば、パイロット縫合糸94は、パイロット縫合糸94の自由端部が患者の身体の外側に残るように、ニードルまたはその他のツール(図示せず)を用いて、カフ20のファブリックを通して動かすことができる。別法として、ガスケット部材12のアンカリング・リング18またはその他の部材は、例えば上記引用した米国特許第10/765,725号に開示するように、その中を通して縫合糸94を案内するかまたはその他の方法によって収容する複数の開口部、チューブ、もしくはその他のエレメント(図示せず)を有することができる。
【0053】
パイロット縫合糸94は、所望の構成にて、ガスケット部材12の外周部のまわりに分配することができる。例えば、各底部96を通して1つのパイロット縫合糸94を取り付ける場合に、ガスケット部材12の各カスプ28(図示せず、図1を参照されたい)に隣接するカフ20(もしくはアンカリング・リング18)を通して、パイロット縫合糸94を進入させることができる。従って、ガスケット部材12がパイロット縫合糸94を降下して進入する場合に、例えば、ガスケット部材12の小葉状部30は弁輪90の小葉状部94に収容され、カスプ28は底部96上にまたはその中に収容されるように、ガスケット部材12は弁輪90の向きに自動的に位置合わせする(または整合させる)ことができる。
【0054】
図5C(明りょうにするために、パイロット縫合糸94は図から除いている)に戻って参照すると、例えばガスケット部材12を弁輪90の中に取り付けるために、ガスケット部材12を通して、弁輪90を包囲する組織の中に、複数のファスナーを案内することができる。例えば、ガスケット部材12のカフ20を通して周囲の組織の中に、ガスケット部材12の外周部のまわりに全体として均等に分配して、ファスナー99を通すことができる。用いることができる典型的なファスナー、ならびにそれらを供給するための装置および方法は、米国特許第6,402,780号および同時係属している米国特許出願第10/681,700号(2003年10月8日付け出願)に開示されている。これらの文献およびそれらの中に引用されている文献の開示事項の全体は、引用することにより本明細書に含むものとする。
【0055】
場合により、弁輪90内へのガスケット部材12の取付けを向上(または促進)するため、パイロット縫合糸94を引っ張って、パイロット縫合糸94が取り付けられる組織に張力を適用することができる。例えば、図7に示すように、弁輪90の底部96は、陥没しおよび/または少なくとも部分的に弁輪90を閉塞させる傾向を有し得る。パイロット縫合糸94に張力を適用することによって、弁輪90を開きおよび/または底部96の組織をガスケット部材12と同列に引くことができる。
【0056】
図8を参照すると、1つの実施態様では、パイロット縫合糸94がカフを通って案内された位置にて、ツール60の遠位側端部62がカフ20に接触するまで、各パイロット縫合糸94上でチューブ状部材またはツール60を進入させることができる。ツール60は、患者の体外から弁輪90の中まで延びることについて十分な長さを有する、実質的に囲われているチューブであってよい。別法として、ツール60は、「C」字形状のチューブであって、その長手方向の縁部(図示せず)が相互にオーバーラップしまたは接当する形状を有することができ、これによって、パイロット縫合糸94がその中に配置され得る内側管腔61を規定するチューブとすることができる。例えば、パイロット縫合糸94を、それがツール60の近位側端部63を出るまで、ツール60の遠位側端部の端部62の中に進入させることができる。別法として、ツール60がC字形状の断面を有する場合に、パイロット縫合糸94は長手方向の縁部どうしの間を横断方向に横切るようにして内側管腔61の中に押し込むこともできる。
【0057】
各パイロット縫合糸94を引くか、またはその他の方法によって十分な張力を各パイロット縫合糸94に適用して、下側に位置する組織90aをカフ20と実質的に接触させることができる。その後、パイロット縫合糸94とツール60とが相対的に動くことを防止するため、クランプ64を適用することができる。例えば、図6に示すように、クランプ64はツール60の近位側端部63から延びるパイロット縫合糸94の自由端部94aを横断方向に横切るように適用することができる。別法として、例えばパイロット縫合糸94の上にツール60を圧着させるように、ツール60の近位側端部63まわりにて、クランプまたはその他のデバイスをクランプさせることができる。従って、パイロット縫合糸94の自由端部94aをツール60に対して相対的に取り付けて、所望の張力を保持することができる。その後、ツール60を離し、手術との間に、その他のタスクのためにユーザーの手を離し、例えば、カフ20を通して組織90aの中へファスナー99を移動させることができる。
【0058】
十分なファスナー99が取り付けられたら、クランプ64およびツール60を取り外して、例えばパイロット縫合糸94の自由端部94aをリリースすることができる。
別法として、パイロット縫合糸94を除くことができ、ツール(図示せず)を用いてガスケット部材12を弁輪90の中に運ぶことができ、その際に、ガスケット部材12を通して、弁輪90を包囲している組織の中に複数のファスナー99を供給することができる。場合により、ツールは、ガスケット部材12によって組織の中へのファスナー12の係合を向上させるために、組織を出現させるためのエレメント(図示せず)を有することもできるし、または独立したツール(図示せず)を弁輪90の中へ導入して、組織を出現させるか、またはその他の方法によってファスナー99の供給を向上させることもできる。
【0059】
図5Dを参照すると、クラウン14がガスケット部材12に接触するまで、クラウン14は弁輪90の中へ、例えばパイロット縫合糸94を通して進入させることができる。例えば、ニードルまたはその他のツール(図示せず)を用いて、クラウン14を通して、例えばファブリック被覆37(図示せず、図2Aを参照されたい)を通りおよび/またはフレーム32の対応する開口部もしくはその他の収容するエレメントを通して、パイロット縫合糸94を案内することができる。ガスケット部材12と同様にして、パイロット縫合糸94をクラウン14の所定の位置を通して案内して、ガスケット部材12に対して長軸17まわりでクラウンを容易に配向させることができる。例えば、ガスケット部材12の中の位置と同様に、カスプ38に隣接してクラウン14を通してパイロット縫合糸94を案内することができる。
【0060】
弁輪90の中でクラウン14を進ませてガスケット部材12と接触させると、クラウン14をガスケット部材12の中に自動的にドッキングさせることができる。例えば、図2Aを参照して上述するように、ガスケット部材12は、クラウン14がガスケット部材12の中に(またはまわりに)ドッキングする際に、クラウン14の下側縁部36に係合するリム24を有することができる。下側縁部36とリム24との間のしまり嵌めによって、クラウン14をガスケット部材12に取り付けるための十分な連結を供給することができる。
【0061】
加えてまたは代わりとして、図3について上述したように、ガスケット部材12は、縫合糸56およびスリップ・ノット58によって規定されたループの中に収容され得る複数のフィンガー50を有することができる。フィンガー50が適切に収容されると、縫合糸56を引いてスリップ・ノット58を締め、それによって、縫合糸56を縛るかまたはその他の方法で取り付けることができる。その他の選択肢において、上記引用した米国特許第10/765,725号に開示するように、クラウン14および/またはガスケット部材12は、1つ以上のコネクタを有することができる。そのようなコネクタを一体に使用して、過剰な(redundant)結合を提供することもできる。
【0062】
加えてまたは代わりとして、図5Eを参照すると、パイロット縫合糸94を用いて、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることができる。例えば、クラウン14をガスケット部材12に対して、一旦十分に配置させると、常套の心臓弁交換の際に用いられるのと同様のニッティング・プロシージャ(結び手法)にて、1つ以上のノット(結び目(knot))を下向きに形成することができる。各パイロット縫合糸94に十分な数のノットが結び付けられると、パイロット縫合糸94のゆるんだ部分をカットして、患者の身体から取り除くことができる。さらにもう1つの選択肢において、クラウン14の一部を通してクリップ、ステ−プルまたはその他のファスナー(図示せず)を供給することができ、それらは、ガスケット部材12を通して周囲の組織の中に侵入させることができる。
【0063】
別法として、パイロット縫合糸94が除かれる場合には、図示しないツールを用いて弁輪90の中にクラウン14を運ぶことができ、そうすると、本明細書に記載するいずれかの方法を用いて、ガスケット部材12に対してクラウン14を取り付けるかまたは据え付けることができる。
【0064】
更なる別法として、クラウン14がまだ小葉状部(leaflets)を有していない場合には、例えば米国特許第6,371,983号に開示されているように、クラウン14および/またはベース部材12に対して、小葉状部(図示せず)を取り付けることができる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。更なる別法として、クラウン14が中間のコネクタである場合には、独立した弁部材(図示せず)を弁輪90の中に導入して、クラウンおよび/またはベース部材に取り付けることができる。例えば、クラウン、ベース部材および/または弁部材は、従来技術において当業者によって理解されているように、弁部材を配向させおよび/または弁部材をクラウンおよび/またはベース部材に取り付けるための、ガイドおよび/または共同コネクタを有することができる。
【0065】
場合により、心臓弁アセンブリ10の全体または一部を除くことが望ましい場合には、クラウン14は、ベース部材12から取り外されておよび/または取り除く(図示せず)ことができる。例えば、クラウン14が、パイロット縫合糸94を結ぶことによって固定される場合には、弁輪90の中にはさみまたはその他のツール(図示せず)を導入して、パイロット縫合糸94をカットすることができる。フィンガー/スリップ・ノットコネクタが用いられる場合には、同様の方法によってそれらをカットすることができる。加えてまたは代わりとして、その他のコネクタが用いられる場合には、弁輪90の中にツール(図示せず)を導入して、コネクタを離すことができる。
【0066】
パイロット縫合糸94がカットされおよび/またはその他のコネクタが解離されると、例えば、ホルダーまたはその他のツール(図示せず)を用いて、クラウン14をガスケット部材12から取り除き、そして弁輪90から取り出すことができる。ホルダーまたはその他のツールを用いて十分な力を適用することによって、(図2Aおよび2Bを参照して上述したように)クラウン14とガスケット部材12との間の何らかのしまり嵌めを開することができる。場合により、例えば、ベース部材12を弁輪90に取り付けているファスナー99を取り去ることによって、ベース部材12を取り去ることもできる。
【0067】
本来のクラウン14について上述したのと同様の手順を用いて、置換クラウンまたは心臓弁アセンブリ全体(図示せず)を弁輪90の中に移植することができる。パイロット縫合糸を用いてクラウン14を供給しおよび/または取り付ける場合には、上述した方法と同様の方法にて、複数の新しいパイロット縫合糸を、ガスケット部材のカフスを通して、または弁輪90を包囲する組織を通して、取り付けることができる。
【0068】
次に図9および10を参照すると、ガスケット部材112およびクラウン114を有する心臓弁アセンブリ110のもう1つの実施態様が示されている。前記実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材112はアンカリング・リング118およびカフ120を有することができ、クラウン114は1つのフレーム132と複数の小葉状部133であってよい。これも前記実施態様と同様であってよいが、アンカリング・リング118は、全体として平面116を規定する外周部と長軸117とを有している。アンカリング・リング118は、スカラップまたはカスプ128によって分離された小葉状部130を含めて、外周部まわりに複数の小葉状の形状を有することができる。
【0069】
前記実施態様とは異なって、アンカリング・リング118はその外周部のまわりに、平面116の上方および下方へ交互に膨らむ波打つ形状を有するようにバイアスがかけられていてもよい。アンカリング・リング118が複数の小葉状の形状(またはマルチ・ロブラー形状)を有している1つの実施態様において、小葉状部130は平面116から上向きに膨らんで延びていてよく、スカラップ部128は平面116から下向きに膨らんで延びることができる。例えば、アンカリング・リング118は、交換しようとする自然の(または生来の)弁の弁輪の連絡部(交連:commissures)および/または底部に対応する形状を有することができる。図10によって最も良好に観察されるように、アンカリング・リング118の波打つような形状は、緩和した状態において、振幅「A」(amplitude "A" )を規定することができる。アンカリング・リング118は十分な可撓性を有することができるが、例えば、以下においてさらに説明するように、小葉状部130および/またはスカラップ部128が平面116の方を向いたりまたは平面116から離れたりすると、振幅「A」が減少したりまたは増大したりし得る。
【0070】
図9に戻って参照すると、クラウン114は全体として環状の本体部またはフレーム132および1つ以上の弁部材(valve elements)133を有する。フレーム132は、非円形の形状、例えばガスケット部材112と相補的な複数の小葉状の形状を有することができる。例えば、クラウン114は、カスプもしくはスカラップ138によって分離された三つの小葉状部140を含めて、ガスケット部材112と同様の三葉状(tri-lobular)の形状を有することができる。フレーム132は、隣接する小葉状部140とスカラップ部138との間で変動して波打つような形状を有することができ、一定の振幅を規定することができる。1つの実施態様において、それらの緩和された状態において、外部の力がない場合に、クラウン114におけるフレーム132の振幅は、ガスケット部材112のアンカリング・リング118の振幅「A」よりも小さいことがあり得る。
【0071】
典型的な実施態様において、クラウン114は人工弁部材であって、例えば、連絡部134に取り付けられた、フレーム132から膨らんで延びる複数の組織小葉状部13を有する環状のフレーム132である。フレーム132は、(明りょうにするために図示しない)複数のストラットを有することができ、前記の実施態様と同様であってよいが、小葉状部に取り付けられるかおよび/またはそうでない場合には小葉状部を支持することができる。
【0072】
場合により、ガスケット部材112および/またはクラウン114は、上述した実施態様と同様であってよいが、クラウン114をガスケット部材112に取り付けるために、1つ以上の戻り止めまたはその他のコネクタ(図示せず)を有することができる。ガスケット部材112および/またはクラウン114は、これも上述した実施態様と同様であってよいが、ファブリック被覆またはその他のマトリックス、コーティングおよび/またはガイドを有することができる。
【0073】
心臓弁アセンブリ110は、上述した実施態様と同様であってよいが、生体の弁輪の中に移植することができる。最初に、弁輪(図示せず)を包囲している組織の中を通して、複数のパイロット縫合糸を取り付けることができる。例えば、弁輪の各底部を通してパイロット縫合糸を取り付けることができる。上述した実施態様と同様であってよいが、所望の数のパイロット縫合糸を弁輪に取り付けて、該パイロット縫合糸によってガスケット部材112を弁輪の中に進入させることができる。弁輪を包囲している組織の中に、ガスケット部材112を通して複数のファスナーを導いて、弁輪の中にガスケット部材112を取り付けることができる。
【0074】
弁輪の中にガスケット部材112を取り付けることを向上させるため、ファスナーを供給する間に、パイロット縫合糸を引いて、パイロット縫合糸が取り付けられる組織に張力を適用し、例えば、弁輪を開いておよび/または組織をガスケット部材112と同列に引くことができる。さらに、パイロット縫合糸に張力を適用する間に、アンカリング・リング118のスカラップ部128を上方へ引き、それによってガスケット部材112をわずかに圧縮し、アンカリング・リング118の振幅を減少させることができる。
【0075】
その後、クラウン114は、クラウン114がガスケット部材112に接触するまで弁輪の中へ、例えばパイロット縫合糸を通して進入させることができる。ガスケット部材112をわずかに圧縮して、クラウン114の波打つ形状をガスケット部材112の波打つ形状に実質的に適合させることができ、これによってガスケット部材112へのクラウン114のドッキングを容易に行うことができる。上述した実施態様と同様であってよいが、弁輪の中でクラウン114を進ませてガスケット部材112と接触する際に、クラウン114およびガスケット部材112に共同するコネクタが設けられている場合には、クラウン114をガスケット部材112の中に自動的にドッキングさせることができる。加えてまたは代わりとして、上述した実施態様と同様であってよいが、例えばパイロット縫合糸を結んだりおよびカットしたりすることによって、パイロット縫合糸を用いて、クラウン114をガスケット部材112に取り付けることができる。
【0076】
次に図11−13を参照すると、ガスケット部材212およびクラウン214を有する心臓弁アセンブリ210のもう1つの実施態様が示されている。上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材212は、環状リング218および縫合カフもしくはリング220を有することができ、ならびに、クラウン214は、フレーム232および複数の小葉状部233を有することができる。これも上述した実施態様と同様であってよいが、環状リング218は、全体として平面216を規定する外周部および長軸217を有する。さらに、上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材212および/またはクラウン214は、ガスケット部材212に対してクラウン214を取り付けるための1つ以上のコネクタを有することができる。例えば、図13および14に示すように、以下においてさらに説明するように、ガスケット部材212は、クラウン214の1つ以上の領域を捕捉するかまたは異なる方法で固定するクリップ250を有することができる。
【0077】
1つの実施態様において、環状リング218は、全体として円形の形状を有しており、図12において最もよくわかるように、平面216に対して全体として平行であり、ならびに、図11および13において最もよくわかるように、長軸217に対して波打つ形状(または平面216から出入りする形状)を有することができる。例えば、図13において最もよく示されているが、環状リング218は、該環状リング218の外周部のまわりの所定の位置に1つの凹凸部219を有することができる。凹凸部219は、丸みを帯びた縁部または尖っていない(blunt)縁部を有することができる(図示せず)。以下において説明するように、凹凸部219は、隣接する僧帽弁の前方の小葉状部との実質的な干渉を伴うことなく、心臓弁アセンブリ210の移植に適合することができる。別法として、例えば図9および10を参照して説明した上記の実施態様と同様であってよいが、環状リング218は複数の凹凸部、例えば三つの凹凸部を有することができる。加えてまたは代わりとして、環状リング218は、例えば上述した実施態様と同様であってよいが、スカラップまたはカスプ(図示せず)によって分離された小葉状部を含めて、外周部まわりに複数の小葉の形状を有することができる。
【0078】
さらに図13を参照すると、環状リング218は、直径(または、環状リング218が非円形である場合にはその他の断面)を手術との間に遭遇する患者の解剖学的事項に基づいて調節することができるように、拡張および/または収縮自在とすることができる。1つの実施態様において、環状リング218にバイアスを付して、所定の直径に拡大させることができる。従って、環状リング218は、例えば弁輪の中への供給を容易にするために、半径方向により小さい直径に縮小させることもできるし、弁輪を包囲する組織を拡張するためおよび/または弁輪内にガスケット部材を取り付けることを促進するために、弾性的に拡張させることもできる。
【0079】
例えば、図示するように、環状リング218は、オーバーラップする端部226を有する開いたバンドの形状であってよく、端部226は相互にスライドして、拡張および/または収縮に対応することができる。環状リング218は、緩和された状態(何らかの外部の力が加わらない状態)において、例えば約19〜30ミリメートル(19〜30mm)の範囲、または約23〜25センチメートル(23〜25cm)の範囲で、組織の弁輪の拡張した断面よりもわずかに大きい所定の直径を有することができる。緩和された状態において、端部は少なくとも部分的にオーバーラップすることができるか、または別法として、環状リング218が「C」字形状を有するように、端部が相互に離されることもできる。
【0080】
1つの実施態様において、オーバーラップする端部226は、実質的に滑らかであるかまたは、それらのスライドする関係を促進するために突出部を有さないものであってよい。加えてまたは代わりとして、端部226は、端部どうしの相対的な動きを制限するために、1つ以上の共同要素(図示せず)を有することができる。例えば、共同要素は、環状リング218が直径の所定の範囲内で拡張しおよび/または収縮することを制限することができる。供給することができる典型的な共同要素は、上述した、同時係属の中の米国特許出願第10/327,821に開示されている。
【0081】
別法として、環状リングは、より小さい直径へ弾性的に圧縮することができる、実質的に閉じたバンドであってもよい。例えば、図13Aに示すようにおよび以下に説明するように、環状リング218’を複数の正弦曲線状エレメント219’から形成することができ、その正弦曲線状エレメント219’は環状リング218’の外周部まわりで端部どうしが接続されている。環状リング218’は、例えば、レーザーカッティング、機械的カッティング、エッチングまたは、チューブ状部材を環状リング218へ成形し得るその他の方法によって、連続するバンドとして形成することができる。別法として、例えば、レーザーカッティング、機械的カッティング、エッチングなどによって、フラットなバンドから正弦曲線状エレメント219’を形成することができ、ならびに、前記バンドを環状リング218にロールした後に、正弦曲線状エレメント219’の離れている端部どうしを互いに取り付けることができる。
【0082】
正弦曲線状エレメント219’を、半径方向の圧縮力によって、即ち、隣接する正弦曲線状エレメント219’どうしの間隔を減少させるように弾性的に圧縮して、環状リング218’の直径を縮小させることができる。このように直径を縮小させた構成によって、生体の弁輪の中への環状リング218’の導入を容易にすることができる。力を除くと、正弦曲線状エレメント219’は弾性的に拡張して、組織の弁輪の中に環状リング218’が固定されるようになるまで直径が増大する。場合により、環状リング218’は、生体の弁輪を少なくとも部分的に拡張する(即ち、生体の弁輪を包囲する組織を半径方向外側へ導いて、生体の弁輪の開いた領域を増大させる)ように、十分にバイアスをかけることができる。
【0083】
図11および13に戻ると、そこに示されているように、環状リング218は、例えば長軸217に対して実質的に平行に延びる、実質的にストレートなまたは円筒形状の壁部を有する。実質的にストレートな壁部は、交換される自然の弁の組織の弁輪の中の移植に適合することができ、例えば、心臓弁アセンブリ210の移植との間およびその後で、環状リング218の壁部を拡張させおよび/または弁輪を包囲している組織を保持することを可能にする。別法として、環状リング218は、テーパー付きの形状、例えば、その上側縁部または下側縁部(図示せず)をより広くした形状を有することができる。例えば、環状リング218が上側縁部のまわりにおいて、下側縁部よりも大きな直径を有しており、逆円錐(frusto-conical)の形状を規定する場合、弁輪上方での移植、即ち組織の弁輪の少なくとも部分的に上方での移植に対処することができる。更なる別法において、環状リング218の壁部は、米国特許出願第10/327,821に開示された実施態様と同様であってよいが、実質的にストレートな部分およびテーパーを付けられた部分を有することができる。
【0084】
環状リング218は、弾性材料、ニチノール合金などの超弾性材料、または本明細書のいずれかの部分に記載したその他のいずれかの材料で形成することができる。例えば、環状リング218は、例えば環状リング218のための所望の厚さ(例えば0.1〜0.5ミリメートル)を有するベース材料のフラットなシートから、例えばレーザー切断、機械的切断などによって、カットすることができる。従って、環状リング218は、最初は、環状リング218の所望の幅、例えば1.5〜2.5ミリメートルの範囲の幅に対応する幅と、環状リング218の所望の長さ、例えば約55〜90ミリメートルの範囲の長さに対応する長さを有する長いバンド形状の材料として形成することができる。場合により、バンドを平らなシートから切り抜かれるときに、凹凸部(undulation)219を形成することができる。別法として、凹凸部219は、カットされた後、例えばバンド材料を可塑的に変形させることによっておよび/または凹凸部219をバンドにサーモセット(thermosetting)させることによって形成することができる。
【0085】
その後、バンドをマンドレルに巻き付けて、またはそれ以外の方法で互いに隣接する端部226どうしを拘束して、全体として円筒状の形状となるように、バンドを加熱処理しまたはその他の方法で処理して、環状リング218を形成することができる。全体として円筒形状の形状は、図12および13に示すように、互いにオーバーラップする端部226を有することもできるし、または互いに離隔されて開いた「C」字形状(図示せず)を有することもできる。場合により、テーパー付きの形状は、例えばベース材料から切り出されるバンドの形状に基づいて、またはテーパー付きの形状に一旦拘束された材料を熱処理することによって(この処理は、バンドを全体として円筒形状の形状に熱処理する工程と同時であってもよいしまたは独立した工程であってもよい)環状リング218の1つ以上の部分に形成することができる。
【0086】
環状リング218が少なくとも部分的にファブリック(図示せず)によって被覆される場合には、環状リング218の拡張および収縮に適合させる間に、ファブリックを環状リング218に巻き付けることができる。例えば、端部226がファブリックに対して外周方向にスライドすることができるように、端部226の少なくとも近くにてファブリックを環状リング218に取り付けないようにすることもできる。場合により、端部226から離れた位置で、例えば環状リング218の外周部まわりの中間の位置で、縫合糸など(図示せず)を用いてファブリックを環状リング218に取り付けることもできる。別法として、環状リング218の全体を、環状リング218に巻き付けたファブリックの中で自由にスライドすることができるようにすることもできる。
【0087】
図11および12を参照すると、縫合カフ220は、環状リング218に取り付けられるか、または環状リング218のまわりに拡がることができる。縫合カフ220は、環状リング218の少なくとも一部を被覆する、ファブリックまたはその他の材料の1つの層であってよい。例えば、ファブリック(図示せず)の層は、上述した態様と同様に、(必要な場合には、いずれかのコネクタおよび/または保持表面以外の)環状リング218の全体を被覆することもできるしおよび/または環状リング218から半径方向外側へ延びる材料の部分を有することもできる。場合により、縫合カフ220は、環状リング218に取り付けることができるかまたは環状リング218まわりに延びる(または拡がる)ことができる可撓性のコア材料を有することができる。
【0088】
図15Aおよび15Bを参照すると、可撓性のコア260の典型的な実施態様が示されており、コア260は該コア260の外周部のまわりに延びるラチス(lattice)を有している。図示するように、ラチスは間隔をおいて配置された少なくとも2つの外周エレメント262と、外周エレメントとの間に延びる複数のリブまたは横断エレメント264を有しており、これによって、ラチスの中に開口部266を規定することができる。開口部266は、完全に開いていてよく、即ち、何らかの材料を存在させないことができる。別法として、開口部266は、コア材料の比較的薄い壁部、即ち、外周エレメント262および/またはリブ264よりも実質的に薄い壁部を有する凹部であってもよい。例えば、外周エレメント262および/またはリブ264は0.001〜0.005mmの範囲の厚さを有することができる一方で、開口部266は外周エレメント262および/またはリブ264の肉厚(または壁部厚み)のおよそ半分を越えない肉厚を有することができる。典型的な実施態様において、開口部266は、外周エレメント262および/またはリブ264の肉厚のおよそ半分を越えない肉厚を有することができる。別法として、ラチスは、隣接する要素(図示せず)どうしとの間に設けられた薄い肉厚の開口部を有する外周エレメント262またはリブ264のみを有することができる。
【0089】
緩和された(外部の力が加わらない)状態において、図15Aに示すように、コア260は全体として平坦な環状の形状をとることができる。別法として、緩和された状態において、図15Bに示すように、コア260は波打つような環状の形状をとることができる。図15Aおよび15Bに示すように、コア260はテーパーが付けられていてよく、例えば下側の外周エレメント262bよりも上側の外周エレメント262aがより大きな直径または外周を有することができる。コア260のテーパー付き形状は長軸217に対して、例えば、約20〜45度の範囲の角度と規定することができる。
【0090】
コア260の材料は実質的に可撓性であってよく、例えば、ゆがませたり、ストレッチさせたりおよび/または圧縮させたりなどの変形がまだ容易である状態で、(例えば、上述したような)所望の環状の形状に形成することができる。コア260は、例えば、移植の間に遭遇する移植配置および/または特定の解剖学的形状に実質的に基づいて、容易に適合することができるなど、コア260は「floppy(柔軟な)」であるように十分な可撓性を有することができる。従って、縫合カフ220が患者の心臓内において組織の弁輪の中またはその上方に配置される場合、クラウン214をガスケット部材212に取り付けるときに、コア260は周囲の解剖学的形状に対応しておよび/または変形して、例えばクラウン214とガスケット部材212との間におけるシーリングを向上させることができる。
【0091】
組織の弁輪の中またはその上方に配置される場合、包囲する組織に対してコア260は寄りかかり(または、もたれて横たわる)、コア260は元の全体として円形または複数の小葉状の形状から変形し、例えば波打つようないずれかの形状、および/または元のテーパーの角度を変化させる。従って、コア260が組織の弁輪の連絡部(図示せず)に寄りかかる場合には、コア260はより垂直にまたは内向きとなり、コア260が連絡部との間およびその上方で洞腔内に寄りかかる場合には、コア260はより水平にまたは外向きとなる。縫合カフ220を通してファスナー(図示せず)を動作させる場合には、以下に説明するように、コア260は、弾性的に伸びるかまたは収縮して、ファスナーからの力をより均等に分配して、そうでなければ漏れを生じ得る縫合カフ220の集積(bunching)またはその他の歪みを低減させることができる。
【0092】
コア260のための典型的な材料には、シリコーンまたはその他の弾性材料、フォーム、ファブリック、フェルト、ポリマー等が含まれる。加えてまたは代わりとして、コア260は膨潤可能な材料、例えば血液などの流体にさらされたときに、膨脹し得るフォームまたはスポンジ材料であってよい。材料は、既知のモールディング、押出(extrusion)、カッティングまたはその他の製造方法を用いて、コア260に作り上げまたは成形することができる。例えば、コア260はその環状の形状に射出成形もしくはその他の方法にて形成することができる。別法として、コア260は鋳造したり、またはフラットなシートに形成して、環状の形状に巻いて形成したりすることができる。この別法では、例えば縫合糸、接着剤、超音波溶接などを用いて、シートの端部どうしを互いに付着させることができる。場合により、テーパー付きの形状を供給するために、バンドから1つ以上のくさび(wedges)(図示せず)を切り抜いて、所望のテーパー付きで環状の形状を提供することができる。
【0093】
場合により、コア260は、1つ以上の耳状部(ears)268を有することができ、該耳状部268は外周エレメント262の1つから延びることができる。例えば、図示するように、1つの耳状部268は上側の外周エレメント262aから上方へ延びる。耳状部268は、以下において説明するように、例えば、目視的および/または触覚的マーカを供給するために、コア260(従ってガスケット部材212)の外周部のまわりの所定の位置に設けることができる。
【0094】
また場合により、コア260の部分は、例えば、ひだの生成を防止するために、他の部分から切り離することができる。例えば、コア260が、ロールド・シート(図示せず)から形成される場合には、そのロールド・シート(同じく図示せず)の端部は、その端部が相互に動くことができるように、拘束されない状態とすることができる。加えてまたは代わりとして、外周エレメント262を、例えば垂直に切断することもできるし、および/または、個々のリブ264を部分的に切るか、または隣接したリブ264から分離させることもできる。これらの特徴によって、コア260のエレメントに局在化したひずみ(localized strain)が許容されて、それによってひだの生成を防止したり、またはコア260と周囲の組織との間のシーリングを向上させたりすることができる。
【0095】
図16を参照すると、ガスケット部材212’の環状リング218’から延びるコア260’を有する縫合カフ220’のもう1つの実施態様が示されている。コア260’はベースまたはウェブ261’を有しており、そこから複数のリブ264’が延びている。図示するように、リブ264’は、ベース261’の上側表面のみから、例えば全体として上向きに延びている。加えてまたは代わりとして、リブ(図示せず)はベース261’の下側または外側の表面から、例えば全体として下向きおよび/または外向きに延びることもできる。リブ264’を相対的に狭くすることもでき、それによってリブの可撓性を向上させることができる。
【0096】
ベース261’とリブ264’とは、上述した実施態様と同様であってよいが、シリコーンまたはその他の材料から一体に、例えば1つの成形品として形成することができる。ベース261’の下側縁部は、例えば化学的接合、熱的接合、しまり嵌め、型込めなどによって、環状リング218’に取り付けることができる。ベース261’の下側縁部は、例えばリブ264’を支持するために、比較的厚くおよび/または堅く設けることができ、一方、ベース261’の残りの部分は、図15Aおよび15Bを参照して上述したコア260と同様に、ベース261’が包囲する解剖学的形状(anatomy)に適合し得るように、ベース261’に可撓性を付与するように、比較的薄く設けることができる。図16に示すように、ベース261’およびリブ264’をファブリック被覆270により被覆して、縫合カフ220’を供給することができる。例えば組織内部成長を促進するために、例えばガスケット部材212’の露出する表面の全体を実質的に被覆して、ファブリック被覆270’は環状リング218’上に延びることができる。上述した実施態様と同様であってよいが、環状リング218’が拡張可能である場合は、ファブリック被覆270’を環状リング218’の全体または一部に接続させずに、拡張および収縮に適応させることができる。
【0097】
場合により、図16に示すように、リブ264’はノッチ265’を有することができ、ノッチ265’は、例えば、ガスケット部材212’に取り付けることができるクラウン(図示せず)の寸法および/または形状に対応して、リムまたはその他の外周部分の境界を規定することができる。クラウンが縫合カフ220に対して進入する場合、該クラウンのフレーム(図示せず)はノッチ265’によって収容されたりまたはノッチ265’に係合したりすることができる。リブ264’はベース261’とクラウンとの間で、例えばベース261’とクラウンとの間のスペースを実質的に充填するように、弾性的に圧縮することができ、それによってクラウンとガスケット部材212’との間のシーリングを向上させることができる。
【0098】
図11および12に戻って参照すると、クラウン214は全体として環状の本体部またはフレーム232と、1つ以上の小葉状部またはその他の弁エレメント233を有している。図14をさらに参照すると、フレーム232は、非円形の形状、例えば複数の小葉状の形状、例えばカスプまたはスカラップ238によって分離された三つの小葉状の形状を有することができる。上述した実施態様と同様であってよいが、フレーム232は、例えば、小葉状部240がスカラップ部238よりも下側となるように、隣接する小葉状部240とスカラップ部238との間で交替して変動する波打つ形状を有することができる。さらに、フレーム232は連絡部234を有することができる。
【0099】
図12に示すように、フレーム232は複数のストラット235を有することができ、ストラット235は図示しないが単一の部材であっても、積層した構造であってもよい。ストラット235は、上述した実施態様と同様であってよいが、例えば縫合糸など(図示せず)を用いて、小葉状部233に取り付けられたりおよび/または小葉状部233を保持したりすることができる。ストラット235はスペーサ237によってフレーム232に取り付けることができ、米国特許第6,371,983号に開示された弁と同様に、スペーサ237はストラット235の中央部分をフレーム232に取り付ける一方で、ストラット235の端部は小葉状部233を開いたり閉じたりの動作をすることができる。ストラット235、スペーサ237、およびフレーム232は、タブおよび/もしくは係合ポケット(図示せず)などの共同する戻り止めによって、ならびに/または機械的もしくは化学的接合によって相互に接続することができる。
【0100】
場合により、ガスケット部材212および/またはクラウン214は、上述した実施態様と同様であってよいが、クラウン214をガスケット部材212に取り付けるために1つ以上のコネクタを有することができる。ガスケット部材212および/またはクラウン214は、上述した実施態様と同様であってよいが、ファブリック被覆またはその他のマトリックス、コーティングおよび/またはガイドを有することができる。
【0101】
例えば、図13および14に最もよく示すように、ガスケット部材212は、ガスケット部材212に対してクラウン214を取り付けるためのクリップ250を有することができる。クリップ250は複数のタブまたはその他の固定エレメント252、254を有することができ、それらはクラウン214の少なくとも一部に係合することができる。例えば、クリップ250は、一般に、クラウン214のフレーム232よりも大きい直径またはその他の断面を規定することができる。上側タブ252は、例えばクリップ250から、例えばフレーム232の小葉状部240に対応する位置において内向きに延びることができる一方で、下側タブ254は、フレーム232のスカラップ248に対応する位置において、クリップ250から、内向きに延びることができる。上側タブ252は下向きに角度付けされて、例えば角度付けされた上側表面を規定することができる。
【0102】
クリップ250をガスケット部材212の環状リング218および/または縫合カフ220に取り付けて、単一の、一体化された部品を供給することができる。例えば、クリップ250の1つ以上の部分、例えば下側タブ254に隣接する領域は、環状リング218および/または縫合カフ220を被覆するファブリック被覆(図示せず)によって捕捉させることができる。加えてまたは代わりとして、1以上の縫合糸(図示せず)を用いて、クリップ250を環状リング218および/または縫合カフ220に結合させることができる。別法として、クリップ250は、接着剤、溶着部(welding)、しまり嵌めなどによる接合(または結合)によって、環状リング218および/または縫合カフ220に取り付けることができる。
【0103】
図14を特に参照すると、移植の間において、クラウン214のフレーム232をクリップ250の方へ下向きに進入させると、フレーム232の下側縁部を、上側タブ252の角度付けされた上側表面に接触させ得る。フレーム232をさらに進入させると、上側タブ252は角度付けされた上側表面のために半径方向外側にスライドすることができ、フレーム232が上側タブ252を通過して下側タブ254に接触するようになる。その後、タブ252は、弾性的に内向きにそれて、従ってフレーム232上方に通過することができる。フレーム232はこのようにして上側タブ252と下側タブ254との間に捕捉され、従ってガスケット部材212に対してクラウン214が取り付けられる。別法として、上述した方法と同様に、クラウン214をガスケット部材212に対して角度付けして、フレーム232の一部が1又はそれ以上の上側タブ252によって収容されるようにすることもでき、それによって、フレーム232の残りの部分を残る上側タブ252の下側へ押し込むことができる。
【0104】
クリップ250は曲げられたまたは図示するような形状にされた長尺のワイヤーから形成することができ、その場合に、その端部どうしは互いに、例えば溶着、機械的接合、化学的接合、嵌め合わせコネクタなどによって取り付けることができる。別法として、クリップ250は、フラットなシート状の材料から、図示するような形状へ曲げられたりまたはその他の方法で成形されたりすることができる閉じたループとして、切り出したり、または、形成したりすることができる。さらに別法として、クリップ250は、図示するような形状へ成形することができるシート状材料から切り出された材料のバンドから形成することができ、その場合に、その端部はワイヤーと同様に、相互に取り付けることができる。クリップ250は、弾性材料または超弾性材料、例えばニチノール合金から形成することができ、それらの材料は、熱処理して最終的な形状をクリップ材料に設定することができる。従って、クリップ材料は、クリップ250に対してフレーム232が進入する際に、クリップ250の上側タブ252を外側方向へ変形させるが、内向きに弾性的に戻って、実質的に確実にフレーム232と係合することができる。クリップ250を成形した後、クリップ250を環状リング218および/または縫合カフ220に取り付けて、ガスケット部材212が形成される。
【0105】
図11の心臓弁アセンブリ210を形成するために、例えば環状リング218、フレーム232、ストラット235、スペーサ237、およびクリップ250などの部材を、例えば本明細書に記載する方法および材料を用いて形成することができる。縫合カフ220がコア260を含む場合には、例えば上述した方法および材料を用いて、コア260を成形することができる。環状リング218、コア260、およびクリップ250は、上述したように、環状リング218およびコア260の露出する表面上および/またはまわりを、および/またはクリップ250の一部のまわりを、例えば縫合糸を用いておよび/または1つ以上のファブリックまたはその他の被覆材料で包むことによって、一体に組み立てることができる。組み立てられると、コア260は実質的にファブリックによって被覆されて、環状リング218から半径方向に延びる縫合カフ220を供給することができる。1つの実施態様において、縫合カフ220は環状リング218から延びて、例えば、環状リング218の内側環状プレースメント(intra-annular placement)と縫合カフ220の上側環状プレースメント(supra-annular placement)となる。別法として、縫合カフ220は、その他の移植配位のために、環状リング218(図示せず)の下側縁部またはその中間領域から延びる形状とすることもできる。
【0106】
再び図11に戻って参照すると、心臓弁アセンブリ210は、上述した実施態様と同様であってよいが、生体の弁輪の中に移植することができる。(環状リング218を半径方向に圧縮し得る場合には、)環状リング218を相対的に小さい直径に収縮させ、供給ツール(図示せず)を用いて、ガスケット部材212を弁輪の中で進入させることができる。環状リング218が少なくとも部分的に生体の弁輪の中へ延びるまで、ガスケット部材212を進入させることができる。1つの実施態様において、環状リング218が生体の弁輪の中を通って完全に延びると、環状リング218の下側縁部は生体の弁輪の下側の亜環状のスペース(sub-annular space)の中でフリーな状態となっている。縫合カフ220は環状リング218のいずれの機械的サポートを供給しないこともできるが、縫合カフ220は生体の弁輪の上方の上側の環状スペースの中で組織に接触することもできる。
【0107】
環状リング218が拡張可能であるかまたは圧縮可能である場合には、環状リング218は、例えば生体の弁輪を拡がらせたり、または周囲の組織を下側に位置する組織構造に対して外側方向へ向かわせたりするなどと、生体の弁輪内で拡張させることができる。例えば、環状リング218を供給ツールによって単にリリースすることができると、その場合には、環状リング218は生体の弁輪を包囲する組織に対して弾性的に拡張して、従って生体の弁輪に対して環状リング218(従ってガスケット部材212)を実質的に取り付けることができる。加えてまたは代わりとして、ガスケット部材212の中に拡張ツール(図示せず)を進入させて、拡張させることによって、環状リング218を生体の弁輪の中で拘束的に(例えば可塑的に)拡張させることができる。用いることができる典型的な伸びツールは、上述した同時係属の中の米国特許出願第10/327,821号に示すようにいる。
【0108】
縫合カフ220が供給ツールによって拘束されている場合には、例えば生体の弁輪の上方の大動脈起始部(aortic root)の中で縫合カフ220をリリースして、縫合カフ220が周囲の組織に接触することを可能にすることができる。コア260の柔軟な(即ち、可撓性および適合性)を有する性質によって、縫合カフ220は、例えば冠状動脈の洞腔の中でよりフラットに横たわりながら、連絡部に隣接してより垂直になって、周囲の組織の形状に適合することもできる。
【0109】
縫合カフ220が耳状部268を有する場合には、ガスケット部材212は、生体の弁輪の中に進入させる間に、所定の方法で角度について整合させることができる。例えば、縫合カフ220が1つの耳状部268を有する場合には、耳状部268は右冠状動脈(right coronary)と非冠状洞尖(non-coronary sinus cusps)(RC/NC連絡部)との間で、連絡部に位置合わせすることができる。その結果、耳状部268は、RC/NC連絡部の領域において潜在的な(下側に位置する)神経の位置を識別して、外科医に目視的および/または触覚的マーカを供給することができる。加えてまたは代わりとして、環状リング218が凹凸部219を有する場合には、ガスケット部材212は、左冠状動脈(left coronary)と非冠状洞尖(non-coronary sinus cusps)(LC/NC連絡部)との間で、連絡部の上方に凹凸部219を位置させるように角度について整合させることができる。それによって、凹凸部219は、僧帽弁との干渉を避けるために僧帽弁前尖(anterior mitral leaflet)のためのクリアランスを供給することができる。ガスケット部材212が耳状部268および凹凸部219の両者を有する場合には、凹凸部219がLC/NC連絡部と整合させるときに、耳状部268がRC/NC連絡部と整合させるように、耳状部268と凹凸部219とは、相互に角度について整合させるべきである。
【0110】
ガスケット部材212が所定の位置に設けられると、ガスケット部材212を生体の弁輪に対して取り付けるために、生体の弁輪を包囲している組織の中に縫合カフ220を通して複数のファスナー(例えばクリップ、ステープル、縫合糸など)を案内することができる。縫合カフ220が、コア260の下側表面にリブ(図示せず)を有する場合には、そのリブを縫合カフ220と周囲の組織との間で少なくとも部分的に圧縮して、シーリング能を向上させることができる。場合により、コア260が流体にさらされると、縫合カフ220のシーリング能を向上させることができる。加えてまたは代わりとして、例えばファスナーが供給された後にその結果として生じ得るいずれかのギャップまたはひだを充填するため、例えば、シリンジ等(図示せず)を用いて縫合カフ260の中に材料を注入したり、あるいは縫合カフ260の外側または内側に材料を適用したりすることもできる。注入することができる典型的な材料には、シリコーンまたはその他のポリマーが含まれる。それらは供給して膨脹させ、シーリングを向上させることもできる。
【0111】
クラウン214は、例えば、ガスケット部材212を供給するために用いられるもう1つの供給ツールまたは同じツール(図示せず)を用いて生体の弁輪の中に進入させることができ、ガスケット部材212に角度について整合させることができる。クラウン214をガスケット部材212の方へ進入させると、上述したように、クラウン214のフレーム232がクリップ250と係合して、それによってクラウン214をガスケット部材212に取り付けることができる。縫合カフ220がコア260上に上方へ延びるリブ(図示せず)を有する場合には、リブをフレーム260と縫合カフ220との間で圧縮して、シーリングを向上させることができる。上述した実施態様と同様であってよいが、知られている方法を用いて、いずれかのツールを取り除いて、手術を終了した。場合により、クラウン214は、縫合カフ220と共にシーリングを向上させることができる可撓性のスカート242を有することができる。可撓性のスカート242は、上述した縫合カフ220と同様に、コア(図示せず)を有することができる。加えてまたは代わりとして、スカート242に追加の封止材料を注入するかまたはその他の方法によって適用して、シーリングを向上させることができる。
【0112】
図17A〜19を参照すると、心臓弁アセンブリ310のさらにもう1つの実施態様が示されている。この実施態様の心臓弁アセンブリ310は、本明細書に記載した他の実施態様と同様であってよいが、1つのガスケット部材312および1つのクラウン314を有しており、これらは少なくとも部分的に、1又はそれ以上のファブリック材料またはその他の材料336、370(明りょうにするために、図に示さない)によって被覆されていてよい。一般に、ガスケット部材312は、環状リング318、可撓性のバレーンエレメント(baleen element)330、および縫合カフまたはリング320を有しており、クラウン314は、フレーム332と、ストラット335によって保持される複数の小葉状部333を有している。環状リング318および/またはクラウン314は、全体として平面316に対して平行であり、長軸317の横方向に延びる外周部(circumference)またはその他の周囲部を一般に有している。
【0113】
上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材312および/またはクラウン314は、ガスケット部材312に対してクラウン314を取り付けるために1つ以上のコネクタを有することができる。例えば、図17Bに示すように、ガスケット部材312は、上述した実施態様と同様であってよいが、例えばタブ352および354との間に、クラウン314の1つ以上の領域を捕捉するかまたは異なる形状で固定するクリップ350を有することができる。加えてまたは代わりとして、クラウン314をガスケット部材312に取り付けるために、本明細書の他の部分において説明したその他の実施態様のように、1つ以上のその他のコネクタ(図示せず)を供給することができる。
【0114】
1つの実施態様において、図18に最もよく示すように、環状リング318は全体として平面316に対して平行な実質的に円形の形状を有することができる。さらに、環状リング318は、長軸317に対して波打つ形状(または凹凸形状)を有することができる。例えば、環状リング318の上側縁部319aは、1つ以上の凹凸部(または波打つ形状)、例えば生体の弁輪の上方の洞腔または上方の環状スペース(supra-annular space)の三つの小葉状(tri-lobular)の形状に対応する三つの凹凸部を有することができる。加えてまたは代わりとして、上述した実施態様と同様であってよいが、例えば隣接する僧帽弁の前方の小葉状部の位置に対応して、下側縁部319bも少なくとも1つの凹凸部(図示せず)を有することができる。さらに別法として、環状リング318は、例えば、上述した実施態様と同様であってよいが、スカラップまたはカスプ(図示せず)によって分離された小葉状部を含めて、外周部まわりで、複数の小葉状の形状を有することができる。
【0115】
さらに図18を参照すると、環状リング318は相互に取り付けられる重なり縁部318aを有することができ、重なり縁部318aどうしは相互に、例えば抵抗溶接、超音波溶接、接着剤、ファスナーなどによって取り付けられる。別法として、重なり縁部318aを相互に動き得るように(図示せず)設けることもできる。例えば、上述した実施態様と同様であってよいが、直径(または、環状リング218が非円形の場合にはその他の断面)に適合するように、環状リング318に拡張および/または収縮させることができる。もう1つの別法として、本明細書の他の部分において説明しているが、図13Aに示す環状リング218’と同様に、環状リング318は、実質的に閉じたバンドであってもよい。例えばこのバンドは、複数の正弦曲線状エレメント(図示せず)から形成して、環状リングの外周部まわりでその正弦曲線状エレメントの端部どうしを接続して形成され、より小さい直径へ弾性的に圧縮することができる。
【0116】
図示するように、環状リング318は、実質的にまっすぐな、または円筒形状の壁部を有し、例えば長軸317に対して実質的に平行に延びることができる。別法として、環状リング318の少なくとも一部は、本明細書に記載したその他の実施態様と同様であってよいが、テーパーを付けられた形状、例えば、その上側縁部または下側縁部がより広い(図示せず)形状を有することができる。環状リング318は、弾性材料もしくはニチノール合金などの超弾性材料、または本明細書のいずれかの部分に記載したその他のいずれかの材料および方法を用いて形成することができる。
【0117】
図18に最もよく示すように、縫合カフ320は、可撓性のコア360を有しており、例えば可撓性のコア360の外周部まわりに延びるラチスを有することができる。図示するように、可撓性のコア360は、上側外周エレメント362と、その上側外周エレメント362から一般に垂直に延びる複数のリブまたは横断エレメント364を有しており、これによって開口部366が規定されている。開口部366は、肉厚(または壁部厚み)の比較的小さいコア材料、即ち、上述した実施態様と同様であってよいが、外周エレメント362および/またはリブ364よりも実質的に肉厚の小さい凹部であってよい。別法として、開口部366は、完全に開いていてよく、即ち、開口部366何らかの材料を存在させないように、可撓性のコア360を通って拡がることができる。加えてまたは代わりとして、例えば図15Aに示す実施態様と同様であってよいが、可撓性のコア360は、下側の外周エレメント(図示せず)を有することができる。場合により、可撓性のコア360は、1つ以上の耳状部368(1つを示す)を有することができ、耳状部368は上側外周エレメント362から延びることができる。
【0118】
緩和された状態において、コア360はテーパーが付けられており、例えば、上側外周エレメント262の外周部は下側縁部367まわりと比べて、より大きな直径または外周を有することができる。コア360は、凹凸を有する(波打つ形状の)環状の形状を有して、例えば三つの波状部分を有することもできるし、全体として平面の形状を有することもできる。コア360の材料、例えばシリコーンまたはその他の弾性材料、フォーム、フェルト、ポリマーなどは、実質的に可撓性であってよいが、例えば屈曲、延びおよび/または圧縮などの容易に変形することができる材料であってよい。従って、縫合カフ320が患者の心臓内において組織の弁輪の中またはその上方に配置される場合、クラウン314をガスケット部材312に取り付けるときに、コア360は周囲の解剖学的形状に対応しておよび/または変形して、例えばクラウン314およびガスケット部材312との間でのシーリングを向上させることができる。場合により、コア360を環状リング318に、例えば上側縁部319aに沿って取り付けることができる。例えば、コア360は、例えばコア材料を軟化させおよび溶融させて上側縁部319aに沿って溶着させたり、または接着剤、しまり嵌め、1又はそれ以上のファスナー(図示せず)などを用いて、取り付けたりすることができる。別法として、コア360を環状リング318に対して当接させ、または上側縁部319aに隣接させて、ファブリック被覆370または1つ以上の縫合糸またはその他のファスナー(図示せず)によって、相対的な位置を保持することができる。
【0119】
図17A〜19をさらに参照すると、バレーンエレメント330は、ベース380から延びる複数の可撓性のフィンガー382を有する環状部材であってもよい。ベース380は、例えばベース380を環状リング318のまわりに配置することができるように、環状リング318に実質的に対応する直径を有することができる。場合により、ベース380は、しまり嵌め、接着剤、超音波溶接、1つ以上のファスナーのいずれかもしくは組合せによって、環状リング318に取り付けることができる。フィンガー382を、ベース380から外側方向へ拡がるように付勢させて、図18に示すように、逆円錐形状(frusto-conical)の形状を規定することができる。例えば、バレーンエレメント330は、長軸317に対して約1〜10度(1〜10°)の範囲の角度で偏らせることができる。
【0120】
バレーンエレメント330は、図20A〜20Dに示す各バレーンエレメント330などのように、成形されたフィンガー382を有する長尺のフラットなバンドから形成することができる。図20Aおよび20Bにおいて、フィンガー382、382’は実質的に均一な長さを有しており、図20Cおよび20Dにおいて、フィンガー382”、382”’は変動する長さを有しており、例えばガスケット部材318を移植することができる生体の弁輪の下側の形状に対応することができる、凹凸部または小葉状部を規定することができる。さらに、図20Bおよび20Cのフィンガー382’、382”は、図20Aおよび20Dのフィンガー382、382”’よりも肉厚に(太く)設けられており、これによって、より大きい外向きのバイアスを供給して、ファブリック被覆336の外向きのうねりを向上させることができる。
【0121】
バレーンエレメント330は、マイラー(mylar)、ポリエステルまたはその他のポリマー、弾性または超弾性の合金、例えばニチノール合金などの比較的薄いバンドから形成することができ、それらの材料から、ダイ・カッティング、レーザーカッティングなどによって、ベース380およびフィンガー382をカットすることができる。典型的な実施態様において、バンド(従ってバレーンエレメント330)は、約0.002〜0.010インチ(0.05〜0.25mm)の範囲の厚さを有することができる。バレーンエレメント330が形成された後で、ベース380は例えば0.01〜0.08インチ(0.25〜2.0mm)の範囲の幅を有することができ、フィンガー382は例えば0.01〜0.08インチ(0.25〜2.0mm)の範囲の長さ、および0.01〜0.04インチ(0.25〜1.0mm)の範囲の幅を有することができる。フラットなバンドは、例えば、上述したように、バンドをロールしてその端部を一体に取り付けた場合に、ベース380および/またはフィンガー382にテーパーを付けて逆円錐形状の形状を規定するように、曲線を規定することができる。バンドの端部は、超音波溶接、接着剤などによって一体に取り付けることができる。別法として、バレーンエレメント330は、鋳造またはその他の方法によって、逆円錐形状の形状に連続するピースとして形成することができる。
【0122】
図19に戻って参照すると、環状リング318およびバレーンエレメント330のまわりにファブリック被覆336を設けることができ、可撓性コア360のまわりにファブリック被覆370を設けることができる。図示するように、ファブリック被覆336、370は、ガスケット部材312の部品に巻きつけることができるファブリックの一つのピース(1枚のファブリック)であってよく、そのファブリックのルーズな端部もしくは縁部371は、例えば縫合糸372および/または接着剤、その他のコネクタ(図示せず)などによって一体に取り付けることができる。別法として、必要な場合には、複数の(枚数の)ファブリックを用いることができる。場合により、ファブリック被覆336、370は、ガスケット部材312の部品(例えば、環状部材318、可撓性のコア360および/またはバレーンエレメント330)の1つ以上の部位に対して、例えば、それら部品の1つ以上の開口部および/またはファブリック被覆336、370を通して供給される1つ以上の縫合糸によって固定できる。
【0123】
バレーンエレメント330のフィンガー382は外側方向へ付勢されているか、または拡がっているので、フィンガー382はファブリック被覆336を、環状リング318から、例えば、隣接する下側縁部319bから半径方向外側へ導くことができる。その後、ファブリック被覆336およびフィンガー382は、例えば環状リング318の方へまたは環状リング318に対して内向きに圧縮され得る。しかしそのような圧縮力がリリース(または解放)されると、フィンガー382は外側方向へ弾性的に戻り、それによってファブリック被覆336を外側方向へ導くことができる。以下に説明するように、この特徴によってファブリック被覆336と周囲の組織との間でのシールを向上させることができる。
【0124】
図21A−21Cを参照すると、ガスケット部材312が生体の弁輪190の中に移植されると、例えば、クラウン314(図示せず、図17Aを参照されたい)を収容することができようになり、これにより上述した実施態様と同様であってよいが、心臓弁プロテーゼ310を供給することができる。(環状リング318を半径方向に圧縮し得る場合には)環状リング318およびバレーンエレメント330を相対的により小さい直径に収縮させ、供給ツール410を用いて、ガスケット部材312を弁輪190の中に進入させることができる。縫合カフ320が洞腔またはその他の上方の環状スペース(supra-annular space)192の中に配置されるように、環状リング318を生体の弁輪190の中に進入させることができる。縫合カフ320を通して洞腔192を包囲している組織194の中に、複数のファスナー、例えばクリップ199、縫合糸など(図示せず)を供給することができる。そのようなファスナーを供給するための典型的なツールおよび方法は、2004年12月3日付けで出願された同時係属の中の米国特許出願第10/681,700号および同第11/004,445号に開示されている(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0125】
続いて図21A−21Cを参照すると、ガスケット部材312を供給するために用いることができる拡張/収縮自在な供給ツール410が示されている。図示するように、供給ツール410は、近位側のハンドル414と複数のストラット416を有する長尺のシャフト412を有している。ストラット416は、近位側のハンドル412のアクチュエータ(図示せず)を用いることによって、(図21Aおよび21Bに示す)拡張可能な形状と、(図21Cに示す)折り畳まれた形状との間で動くことができる。場合により、ストラット416は、実質的に、(拡張状態における)第1の横方向の状態から(収縮状態における)第2の実質的に軸方向の状態へ変動することができ、透明な部材であってもよい。従って、ストラット416は、選択的に開閉することができる傘のストラットと同様の形状であると考えることができる。
【0126】
最初に、ツール410のストラット416を拡張させて、例えば(圧縮し得る場合の)環状リング318および/またはバレーンエレメント330およびファブリック被覆336を、ストラット416との間の環状リング318の方へ圧縮することによって、ガスケット部材312をストラット416に取り付けることができる。この構成において、ストラット416は、縫合カフ320の下側のガスケット部材312の断面、即ち環状リング318およびファブリック被覆336の寸法を実質的に最小化させることができ、それによって生体の弁輪190の中へのガスケット部材312の挿入を容易にすることができる。ガスケット部材312はツール410に対して、単にストラット416とガスケット部材312との間の摩擦またはしまり嵌めによって脱着自在に取り付けることができる。別法として、ストラット416および/またはガスケット部材312は、ガスケット部材をストラット416に対して脱着自在に取り付けるための連結要素(図示せず)を有することもできる。
【0127】
図21Aに示すように、ガスケット部材312は患者の身体の中において、上述した実施態様と同様であってよいが、環状リング318が少なくとも部分的に生体の弁輪190の中で拡がるようになるまで進入させることができる。1つの実施態様において、生体の弁輪190の下側の亜環状のスペース196の中に環状リング318の下側縁部319bを拡がらせて、環状リング218が生体の弁輪を通して完全に拡がるようにすることができる。縫合カフ320は、生体の弁輪190の上方の洞腔または上方の環状スペース192の中の組織194に接触することができる。縫合カフ320および/または環状リング318は周囲の組織に実質的に係合することができ、従って、図21Bに示すように、ツール410を遠位側へさらに進入させると、ガスケット部材312をストラット416からリリース(または解放)させることができる。場合により、ストラット416および/またはガスケット部材312が連結要素を有する場合には、ストラット416を拡張させることによって、連結要素を離しおよび/またはガスケット部材312をリリースさせる(または離させる)ことができる。最終的に、図21Cに示すように、ストラット416を収縮させて、生体の弁輪190および患者の身体からツール410を取り出すことができる。
【0128】
ガスケット部材312をリリースするときに、生体の弁輪190内で環状リング318を弾性的に拡張させることによって、生体の弁輪190を広げるかまたは開かせることができる。さらに図21Bおよび21Cに示すように、バレーンエレメント330を外向きに弾性的に拡張させると、亜環状のスペース196を包囲している組織に対してファブリック被覆336を導くことができる。バレーンエレメント330は、ファブリック被覆336を外側方向へうねらせて、ガスケット部材312と周囲の組織との間のシールを向上させることができる。バレーンエレメント330の比較的薄く、可撓性を有する性質のため、必要な場合には、ガスケット部材312が除かれて、バレーンエレメント330は最小の抵抗を形成することができる。従って、バレーンエレメント330は、生体の弁輪190に対するガスケット部材312の固定(anchoring)を向上させなくてもよいが、その代わりに、ファブリック被覆336のうねりまたはその他の形状の形成を向上させ、それによって、周囲の組織に対する接合および/またはシーリングを向上させることができる。
【0129】
場合により、ツール410を取り去った後、ガスケット部材312の中に拡張ツール(図示せず)を進ませて、必要な場合には、上述した実施態様と同様であってよいが、生体の弁輪の中で環状リング318を拘束的に拡がらせることもできる。供給ツールによって縫合カフ320を拘束する場合には、例えば環状リング318をリリースする前にまたはリリースしながら、縫合カフ320をリリースして、縫合カフ320が周囲の組織に接触するようにすることもできる。コア360の可撓性および/または適合性の性質のため、縫合カフ320は周囲の組織194の形状に少なくとも部分的に対応するかまたは実質的にその形状に適合することができる。縫合カフ320が耳状部368を有する場合には、ガスケット部材312が生体の弁輪190の中に進入する間、すなわち、ガスケット部材312がツール410からリリースされる前に、ガスケット部材312を所定の方法で角度について整合させることができる。
【0130】
環状部材318および縫合カフ330を適所に配置し、縫合カフ320を通って周囲の組織194の中に複数のファスナー199を導いて、生体の弁輪190に対してガスケット部材112を固定することができる。ツール410からガスケット部材312をリリースさせる前に、ファスナー199を供給して、従って例えばガスケット部材312を固定(アンカーリング)することができ、それによって、ガスケット部材312をストラット416から容易にリリースさせることができる。別法として、一旦ガスケット部材312をリリースして、および/またはツール410を患者の身体から取り去った後に、ファスナー199を供給することもできる。
【0131】
図17Aおよび17Bをさらに参照すると、その後、ガスケット部材312(図示せず)の供給に用いたものと同じかまたは異なる供給ツールを用いて、洞腔192の中にクラウン314を進入させることができる。場合により、クラウン314は、例えば1つ以上のマーカを用いて、ガスケット部材312と角度について整合させることができる。例えば図17Aに示すように、ガスケット部材312は、例えば1つ以上の縫合糸またはその他のステッチ、インキもしくは染料のインジケータなどの、連絡部マーカ322aおよび/または底部マーカ322bを有することができ、それらは縫合カフ320の所望の位置に設けることができ、挿入の間にガスケット部材312の配向を容易にすることができる。クラウン314も、例えばクラウン314から半径方向外側へ延びる可撓性のスカート342上にマーカ334を有することができる。図示するように、マーカ334をクラウン314の底部に設けることができ、それによって、ガスケット部材312に固定する前に、クラウン314をガスケット部材312に対して角度について整合させて配向させ、ガスケット部材312の底部マーカ322bに対してマーカ334を整合させることができる。
【0132】
ガスケット部材312がクリップ350を有する場合には、クラウン314のフレーム332をクリップ350の2つのタブ352の下で受けることができるように、クラウン314をガスケット部材312に対して進入させおよび傾斜させることができる。それから、クラウン314を平面の向き(または平面状の配向(planar orientation))に押し下げて、フレーム332が最終タブ352の下側へ通過するようになるまで、最終タブ352を外側方向へ逸れさせることができる。別法として、フレーム332が最終タブ352の下側に収容され、従ってフレームをクリップ350に取り付けるように、最終タブ352を十分に変形させるために、ツール、例えば、止血鉗子、縫合糸ラインまたは特殊な弁ホルダー(図示せず)を用いることができる。
【0133】
別の実施態様において、本明細書の他の部分に記載したような、その他の材料および/または方法を用いて、ガスケット部材312にクラウン314を取り付けることができる。例えば、クラウン314および縫合カフ320を通して、上述したような1つ以上のクリップまたはその他のファスナー(図示せず)を周囲の組織の中に導くこともできる。例えば、クラウン314が可撓性のスカート342を有する場合には、ファスナーをスカート342および縫合カフ320に実質的に同時に通して導くことができる。ファスナーを、クラウン314の外周部のまわりに、例えば底部マーカ334に隣接する位置に、間隔をおいて配置して、それによって、クラウン314を取り付けおよび/またはクラウン314と縫合カフ320との間のシールを向上させることができる。
【0134】
加えてまたは代わりとして、上記引用した米国特許出願第327,821号に開示されたものと同様に、クラウン314およびガスケット部材312上に(例えば縫合カフ320上に)、1つ以上の磁石(図示せず)を設けることができる。磁石は、例えばクラウン314およびガスケット部材312の外周部まわりに磁石の磁極を配置することによって、ガスケット部材312に対してクラウン314を所望の向きに偏らせることができる。例えば、図17Cに示すように、例えば三小葉状クラウン(tri-lobular crown)314の外周部まわりに実質的に均等に6つの磁石356を配置して、クラウン部材314は各小葉状部329およびカスプ328に磁石356を有することができる。各小葉状部329の磁石356の極性(例えば負極)は、各カスプ328の磁石356の極性(例えば正極)とは反対にされている。従って、磁石356の極性は、クラウン部材314の外周部まわりで正極と負極とが交互に配されるように設けることができる。
【0135】
同様に、ガスケット部材312も、例えば、縫合カフ320の外周部まわりに実質的に均等に磁石358を有することができる。磁石358は、ガスケット部材312に対してクラウン部材314の所望の向きに対応する位置に、例えば、ガスケット部材312が移植されるべき洞腔(図示せず)の底部および連絡部に対応する領域に配置することができる。ガスケット部材312上の磁石358の極性は、クラウン314上の磁石と同様に、交互に設けることができ、それによって、クラウン314をガスケット部材312に対して所定の角度に配向して偏らせることができる。例えば、マーカ322aに隣接する磁石358を負極に配向させ、マーカ322bに隣接する磁石358を負極に配向させることができる。この構成において、クラウン部材314の磁石356は反対の極性を有するガスケット部材312の磁石358に引き付けられ、従って、小葉状部329がマーカ322aの上方に横たわり(または位置し)およびカスプ328がマーカ322b上方に横たわる(または位置する)ように、クラウン部材314は自動的に整合(または配向)される。例えばクラウン部材314がガスケット部材312に所望の角度の配向にて、クラウン部材314を洞腔の中に所望の向きで、自動的に取り付けられるように、磁石のその他の構成および/または配置を提供することができる。
【0136】
図22と23を参照すると、もう1つの実施態様において、クラウン514をガスケット部材512に取り付けるために用いることができる複数のリテーナ要素550を有する心臓弁アセンブリ510が示されている。クラウン514およびガスケット部材512は、図24A−25Bにおいてより詳細に示されるように、ガスケット部材512が複数のリテーナ要素を有するということを除いて、本明細書の他の部分に記載したいずれの実施態様をも有することができる。
【0137】
図24Aを参照すると、各リテーナ要素550は拡がったベース552を有し、そのベース552から延びるチューブ状部分554を有している。チューブ状部分554は、チューブ状部分554が所望の方法で曲がる(buckle)ことができるように、その中に形成された複数のスロット556を有している。図25Aに示す1つの実施態様において、スロット556は、レーザーカットまたはその他のカット手段(または切開手段)によって設けられた、チューブ状部分554のまわりに延びる垂直方向のパターンであってよい。別法として、図25Bに示すように、スロット556’は、チューブ状部分554’まわりに延びるダイアゴナル(斜め方向の)パターン状にカットして設けることもできる。
【0138】
各リテーナ要素550をスロット556にて所望の方法で曲がらせるために、アクチュエータ560を設けることができる。例えば、ベース552にまたはスロット556の下方に取り付けられる引張りワイヤー562を各チューブ状の部分554の中に設けることができる。引張りワイヤー562のまわりにまたは隣接させて、実質的にカラム長さを有するハイポチューブ(hypotube)またはその他のエレメント564を設けることができる。ハイポチューブ564は、チューブ状部分554に係合し得る遠位側端部556を有しており、ベース552を可動にする一方で、スロット556の上方のチューブ状部分554が実質的に静置された位置に留められるようにすることができる。
【0139】
再び図22および23を参照すると、リテーナ要素550は、ガスケット部材512に、例えば環状部材518から半径方向に延びる縫合カフ520に取り付けることができる。例えば、チューブ状部分554が縫合カフ520を通って延びるように、拡がったベース552は縫合カフ520内に埋め込むことができる。別法として、例えば、1つ以上の縫合糸またはその他のファスナー、接着剤、超音波溶接などを用いて、ベース552を縫合カフ520の外側表面に取り付けることができる。
【0140】
図23に最もよく示すように、各アクチュエータ560は、ガスケット部材512から上方へ延びており、ハイポチューブ564を越えて延びる引張りワイヤー562のハンドル568内で終端している。図22に示すように、クラウン514は、複数のレシーバーエレメント538、例えばスカート542、フレームまたはファブリック被覆に取り付けられたチューブ状の要素または開口部を有することができる。クラウン514に設けることができる典型的なレシーバーエレメント538は、上記引用した米国特許出願第10/765,725号に開示されている。レシーバー要素538はその中を通るアクチュエータ560を収容することができ、クラウン514を、例えば所望の角度の向きにて、ガスケット部材512に対してまたは隣接させて配置させるまで、アクチュエータ560の下で進入させることができる。
【0141】
例えば図24Cに示すように、ガスケット部材512に対してクラウン514を配置すると、アクチュエータ560を作動させて、ガスケット部材512にクラウン514を取り付けるために、リテーナ要素550を拡がらせることができる。図24Aおよび24Bに戻って参照すると、ハンドル568を用いて引張りワイヤー562を引く一方で、ハイポチューブ564はリテーナ要素550のチューブ状部分554が動くことを抑制することができる。この圧縮力によってチューブ状部分554にスロット556のところで曲げを生じさせ、従って図24Cに示すように、曲がって留められたチューブ状部分554と拡がったベース552との間でレシーバーエレメント538を捕捉することができる。引張りワイヤー562は、拡がったベース552に隣接して弱くなった接合部(図示せず)を有することができる。引張りワイヤー562に追加的な力が係ると、弱くなった接合部が破損し、それによって患者の身体から引張りワイヤー562およびハイポチューブ564を取り出すことができ、そしてクラウン514をガスケット部材512に取り付けることができるようにすることができる。
【0142】
図26A−28Cを参照すると、クラウンまたはその他の弁部材614をガスケット部材612に取り付けるために用いることができるコネクタ650のさらにもう1つの実施態様が示されている。図示するように、コネクタ650はフック654を有する二状態ラッチ652であってもよい。図26Aおよび26Bに示すように、ラッチ652は2つの突出部656を有する実質的に平らなクリップであってもよい。図27Aおよび27Bに示すように、突出部656の端部は互いにオーバーラップさせて、例えばスポット溶接、リベット締め、接着剤による接合などによって、固定することができる。例えばオーバーラップする端部に隣接させて、1つの端部に1つのフック654またはその他の捕捉機構(catch mechanism)を設けることができる。
【0143】
図28A−28Cを参照すると、設けられたラッチ652は、スプリング式のヘアクリップと同様にバイアスがかけられており、(図28Aおよび28Bに示す)開いた位置と閉じた位置(図28Cに示す)との間で動くことができる。本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、(図では1つだけ示しているが、)複数のラッチ652を、ガスケット部材612によって一般に規定される平面の上方にフック654が延びるように、ガスケット部材612の外周部まわりに取り付けることができる。本明細書に記載したいずれかの実施態様のように、クラウン614を図28Bに示すようにガスケット部材612に対して導くこともできるし、その際にラッチ652は、図28Cに示すように、閉じた位置へ移動し、従ってフック654の下側にクラウン614を取り付けることができる。
【0144】
図29Aを参照すると、さらに別の実施態様の心臓弁アセンブリ710が示されており、その心臓弁アセンブリ710はガスケット部材712およびクラウン714を有しており、これらは本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様のものであってもよい。図示するように、クラウン714は、クラウン714のフレーム732から半径方向外側へ延びる複数の突出部750を有することができる。ガスケット部材712は、ガスケット部材712の内部表面に、ワイヤーメッシュまたはその他のラチス752を有することができる。クラウン714をガスケット部材712に挿入して、ガスケット部材712によって全体として規定された平面内で回転させると、突出部750はメッシュ752と連結されて、ガスケット部材714に対してクラウン714を取り付ける(または固定する)ことができる。例えば、メッシュ752が複数の織り合わされた斜行繊維(diagonal thread)、ワイヤー、またはその他のフィラメントを有する場合には、突出部750をメッシュ752に連結させたままで、クラウン714を回転させることによって、メッシュを半径方向に収縮させおよび/または垂直方向に短縮させ、従ってクラウン714まわりでメッシュ752を堅く締めることができる。従って、メッシュ752は、ガスケット部材712に対してクラウン714の取り付けを向上させることができる、クラウン714まわりでの実質的なしまり嵌め(interference fit)を形成することができる。
【0145】
別法として図29Bに示すように、ガスケット部材712’はその内側表面に沿った環状の溝754’を有することができる。クラウン714’は1つ以上の突出部750’を有することができ、突出部750’は溝754’に収容されて、クラウン714’をガスケット部材712’に取り付けることができる。例えば、突出部750’は傾斜した縁部(図示せず)を有することができ、ガスケット部材712’に対してクラウン714’を回転させることによって、溝754’の中に突出部750’を導くことができる。この作用によって、溝754’の中に突出部750’が入って捕捉されるように、ガスケット部材712’の一部を半径方向外側へ十分に導くことができる。
【0146】
別法として、ガスケット部材へのクラウンの固定を促進する、その他の連結リング、例えば1つ以上の環状の突出部および/または溝(図示せず)を設けることができる。場合により、そのような連結リングは、組織内部成長を許容するために少なくとも部分的にファブリックによって被覆されていてもよく、および/または組織内部成長を向上させるマトリックスによってスプレーなどによって被覆されていてもよい。もう1つの選択肢において、連結リングまたは突出部および/または溝を異なる色の材料によって形成して、適切に連結すると、外観における色を変化させることもできる。例えば溶着、接着剤、縫合糸および/またはその他のコネクタを用いて、連結リングをクラウンおよび/またはガスケット部材に対して実質的に恒久的にまたは脱着可能に取り付けることができる。
【0147】
図30Aおよび20Bを参照すると、さらに別の実施態様の心臓弁アセンブリ810が示されており、その心臓弁アセンブリ810はガスケット部材812およびクラウン814を有しており、これらは本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様のものであってもよい。この実施態様において、ガスケット部材812は1つ以上のラッチ850を有しており、好ましくは、ガスケット部材812の外周部のまわりに複数のラッチ(図示せず)が配置されている。ラッチ850は、組織内部成長を許容するファブリック836またはその他のマトリックスによって被覆されていてもよい。弁部材814はフレーム832を有しており、該フレーム832は少なくとも部分的にファブリック835によって被覆されている。図示するように、フレーム832は、そのラッチ850に対応する位置でファブリックによって被覆されておらず、それによってラッチ850とフレーム832との連結が促進される。
【0148】
図30Bに示すように、ラッチ850は、弁部材814のフレーム832と連結するために、フック854またはその他の要素を有することができる。ラッチ850は、(図示しない)傾斜したまたはテーパー付きの上側端部を有することができ、フレーム832をガスケット部材812の方へ導く際に、フレーム832がラッチ850を少なくとも部分的に外側方向へ変形させることができる。フレーム832がフック854の下側へ通過すると、ラッチ850は内向きに弾性的に戻り、従ってガスケット部材812に対してフレーム832を固定することができる。
【0149】
図31A−32Bを参照すると、図33および34に示されたように、弁部材914をガスケット部材912に取り付けために用いることができるラッチ950のさらにもう1つの実施態様が示している。一般に、ラッチ950はワイヤー・フレーム952を有しており、ラッチ部材954はワイヤー・フレーム952に軸回転(pivotally)できるように取り付けられている。ラッチ部材954は、上側端部にフックまたはその他のラッチ要素956を有しており、下側端部には一対の傾斜タブ958を有している。ラッチ部材954は、図31Aおよび31Bに示すような横方向または開いた位置と、図32Aおよび32Bに示すような垂直方向または閉じた位置との間で、軸まわりで回転する(pivotable)ことができる。
【0150】
開いた位置において、傾斜したタブ958は、図31Aおよび31Bに示すように、ワイヤー・フレーム952に対してラッチ部材954が自由に軸まわりで回転を行うことができるように、ワイヤー・フレーム952の前方に配置することができる。ラッチ部材954が垂直な位置(または姿勢)に導かれると、タブ958はワイヤー・フレーム952に接触し、それによってラッチ部材954がさらに垂直方向に動くことが阻止される。さらに力が適用されると、タブ958の傾斜した縁部はワイヤー・フレーム952を外側方向へ変形させて(逸れさせて)、それによって図32Aおよび32Bに示すように、タブ958がワイヤー・フレーム952の後方を通過できるようになる。タブ958がワイヤー・フレーム952の後方に配置されると、ワイヤー・フレーム952は内向きに弾性的に戻って、ラッチ部材954を係合することができる。場合により、ラッチ部材954は、ワイヤー・フレーム952を受け入れるために、片側または両側に(図31Bに示すような)溝959を有することができ、それによってラッチ部材954を閉じた位置にて実質的にロックすることができる。ワイヤー・フレーム952の剛性は、タブ958がワイヤー・フレーム952後方を比較的容易に通過することができるが、ワイヤー・フレーム952が内向きに戻ってラッチ部材954を閉じた位置に固定するために十分な弾性を有するように選択することができるが
【0151】
図33を参照すると、ガスケット部材912が示されており、これは本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様のものであってよい。図示するように、ガスケット部材912は、ガスケット部材912の外周部のまわりに拡がるワイヤー・フレーム952を有しており、ワイヤー・フレーム952には複数のラッチ部材954が軸まわりで回転し得るように取り付けられており、それによってラッチ950が供給されている。例示の目的で3つのラッチ950を示しているが、必要に応じて、これより多いまたは少ないラッチ950を設けることができると理解されるであろう。上述した実施態様と同様であってよいが、ワイヤー・フレーム952は、ファブリック被覆(図示せず)によって、および/または1つ以上の縫合糸またはその他のコネクタ(同様に図示せず)によって、ガスケット部材912に取り付けることができる。1つのワイヤー・フレーム952が示されているが、例えば1つ以上の個々のラッチに対応して、複数のワイヤー・フレーム(図示せず)を設けることもできる。
【0152】
図34を参照すると、ラッチ950を用いて、弁部材(本明細書に記載したいずれかの実施態様と同じものであってよい)914を、図33のガスケット部材912に対して取り付けることができる。ラッチ950を開いた位置にして、弁部材914をガスケット部材912に進入させることができる。弁部材914がラッチ950の縁部の下側に配置されたら、ラッチ950を作動させ、それによってフック956の下側に弁部材914の一部(例えばフレーム)を捕捉することができる。
【0153】
ラッチ950を作動させるために、各ラッチ950にはアクチュエータ960(明りょうにするために、図34には2つだけを示している)を設けることができる。図示するように、アクチュエータ960は、ラッチ部材954、例えばフック956に接続されているワイヤー962を有している。ワイヤー962は、例えば、所定の張力がワイヤー962に適用された場合に、破損し得るように強度を低下させた(または弱くした(weakened))領域によって、ラッチ部材954に対して接続されている。従って、第1の張力をワイヤー962に適用して、ラッチ950を開いた位置から閉じた位置へ動かし、その後、第2の張力を適用して、強度を低下させた領域にてワイヤー962を破断させ、それによってワイヤー962を取り除くことができる。
【0154】
別法として、ワイヤー962は2つの端部を有することができ、その一端はラッチ部材954の開口部(図示せず)を通してループにすることができる。各ラッチ950を作動させるためには、ワイヤー962の両端部を捕捉しおよび引いて、それによってラッチ部材954を引いて閉じた位置とすることができる。ラッチ950を作動させるためにワイヤー962を用いた後で、一端をリリースし、ラッチ部材954の開口部を通して引いて、ワイヤー962をリリースしおよび取り除くことができる。更なる別法として、ラッチ950の下端部を、弁部材914をガスケット部材912に向かわせる際に、弁部材914がそのラッチ950の下端部に直接的に接触し、それによってラッチ950を閉じた位置へ導くような構成とすることもできる。
【0155】
図35Aおよび35Bを参照すると、さらにもう1つの実施態様のラッチ1050が示されている。このラッチ1050を用いて、図36A−36Cに示すように、弁部材1014をガスケット部材1012に取り付けることができる。ラッチ1050は一般に変形可能なラッチ要素1052を有しており、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、例えば縫合糸1054またはその他のコネクタ(図示せず)によって、ラッチ要素1052の中間の領域にて、ガスケット部材1012に取り付けられている。ラッチ要素1052は、対向する2つの端部1056を有しており、図35Bおよび36Cに示すような実質的に平面状のまたは閉じた位置と、図35Aおよび36Aに示すように曲がった位置または開いた位置と、中間の領域のまわりで変形することもできる。
【0156】
図示する実施態様において、ラッチ要素1052は、例えばニチノール合金またはその他の弾性もしくは超弾性材料から形成される、長尺のロッド、チューブまたはその他のワイヤーと、その両端部1056の拡がったボール部とを有しており、これによってラッチ要素は「ドッグ・ボーン(dog bone)」または「カフスボタン(cuff link)」のような形状となっている。ワイヤーは、例えばガスケット部材10012から上方へ端部1056を引っ張ることによって、中間の領域のまわりで曲げることができる。両端部1056がリリースされると、ラッチ要素1052は、図35Bおよび36Cに示す閉じた位置へと、実質的にまっすぐになろうとすることができる。1つの実施態様において、ラッチ要素1052は、端部どうしがボール溶接(ball weld)によって相互に接続された複数のワイヤーの部分から形成することができる。これによって、ラッチ要素1052に一本のワイヤーを用いる場合と比べて、ワイヤーの各セクションが受けるひずみを減少させることができる。
【0157】
もう1つの実施態様において、図37Aおよび37Bに示すように、ラッチ1050’は、縫合糸1054’に取り付けられたループラッチ要素1052’を有することができる。ラッチ要素1052’は、弾性材料または超弾性材料、例えばニチノール合金を有し得るワイヤーから形成することができ、そのワイヤーはループにされて、端部が互いに例えば溶着部、しまり嵌め、機械的コネクタ、接着剤による接合などによって接続されて、ボウ・タイの形状(bow-tie shape)を供給している。別法として、ラッチ要素1052’は、チューブ状材料を薄くカットして、ループと同程度の直径を有するリングを形成することによって、形成することができる。リングは、ボウ・タイの形状に変形させたり、熱処理またはその他の処理によってボウ・タイの形状に設定したりすることができるが、ラッチ要素1052’を曲げることもできる。もう1つの別法において、ラッチ要素1052’は、平らなシート、リングまたはチューブ状材料からレーザーカットされて、ラッチ要素1052’を供給するように成形および処理されたものであってもよい。ラッチ1050と同様に、ラッチ1050’は、図37Bに示すような閉じた位置から、ラッチ部材1052’の対向する両方の端部1056’を上方へ引っ張ることによって、図37Aに示す開いた位置へ曲げることができる。
【0158】
ラッチ要素1052は閉じた位置に偏らせることもできるが、例えば保持要素1060によって、弾性的に変形させて、開いた位置に保持することもできる。図35Aおよび36Aに示すように、保持要素1060は、その中でラッチ要素1052を開いた位置で収容するための内側管腔(lumen)1062を有するチューブ状の部材、例えば実質的に硬質であるハイポチューブの部分であってもよい。ラッチ要素1052は平面の位置へ戻るように付勢され(偏らされ)得るので、ラッチ要素1052の端部1056は保持部材1060の内側壁部に対してもたれることができる。図35Bに示すように、保持部材1060を取り去る際に、ラッチ要素1052の端部1056は、リリースされるまで、保持部材1060に沿ってスライドすることができ、それによって、端部1056は閉じた位置に戻ることができる。
【0159】
図36A−36Cを参照すると、使用の間に、上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材1012は、ラッチ1050を開いた位置に保持する保持部材1060によって、生体の弁輪(図示せず)に導入されて、取り付けることができる。弁部材1014は、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、収容要素1038を有することができる。収容要素1038は、弁部材1014を図36Bに示すようにガスケット部材1012の方へ向かわせる際に、各保持部材1060がその中を通過することができる部材である。図36Cに示すように、弁部材1014をガスケット部材1012に隣接させて配置すると、保有部材1060は取り外されて、ラッチ1050をリリースすることができる。ラッチ要素1052は、弁部材1014を下向きに押し付けて、弁部材1014をガスケット部材1012に対して実質的に取り付けることができる。
【0160】
図38A−39Bを参照すると、弁部材1114をガスケット部材1112に対して取り付けるために用いることができる別のスプリングラッチ1150が示されているが、これは本明細書に記載したいずれかの態様を有することができる。上述した実施態様と同様であってよいが、ラッチ1150は図38Bに示す閉じた位置と、図38Aに示す開いた位置との間で動くことができ、保持部材1160はラッチを開いた位置に拘束し得るように設けることができる。上述した実施態様とは異なって、ラッチ1150は、図38Bに最もよく示すように、ポスト1152とループ1154を有しており、ループ1154は閉じた位置においてポスト1152の上に横たわり(または位置し)および/またはポスト1152を包囲する。ループ1154は、ループに形成されたワイヤーであってもよく、そのゆるんだ端部をガスケット部材1112に取り付けることができる。ワイヤーは、ニチノール合金またはその他の弾性材料もしくは超弾性材料から形成することができ、ループ1154はポスト1152から離れるように曲げて、開いた位置とすることもできる。保持部材1160は、内側管腔1162または開いた位置でループ1154を収容するその他の凹部を有することができ、それによってループ1154を拘束することができる。
【0161】
図39Aおよび39Cを参照すると、使用の間に、上述した実施態様と同様であってよいが、ラッチ1150を保持する保持部材1160を開いた位置にして、生体の弁輪(図示せず)の中にガスケット部材1112を導入しおよび取り付けることができる。1つのラッチ1150および保持部材1160だけを示しているが、ガスケット部材1112の外周部まわりに複数のラッチ1150を設けて、各ラッチ1150は対応する保持部材1160を有するようにすることができる。弁部材1114は、収容要素1138(1つだけ示す)を有することができる。収容要素1138は、弁部材1114を図39Aに示すようにガスケット部材1112の方へ向かわせる際に、各保持部材1060がその中を通過することができる部材である。図39Bに示すように、弁部材1114をガスケット部材1112に隣接させて配置すると、保有部材1060は取り外されて、ラッチ1150をリリースすることができる。ループ1154は、ポスト1152を包囲する閉じられた位置へ弾性的に軸まわりで回転させることができ、それによって弁部材1014をガスケット部材1012に対して実質的に取り付けることができる。
【0162】
図40A−40Bを参照すると、クリップ1250のもう1つの実施態様が示されており、そのクリップ1250は複数の横断エレメント1252を有しており、その横断エレメント1252の中に開口部1254を規定している。図示するように、クリップ1250は4つの横断エレメント1252を有しており、それによってダイヤモンド形状を規定しているが、それより少ない横断エレメントで、または追加の横断エレメント(図示せず)を用いて、その他の形状を提供することもできると理解されたい。クリップ1250は、全体として水平な向きであって、内向きに変形させた第1の位置に圧縮することができ、それによってクリップ1250は、図40Aに最もよく示すように、垂直方向に延びることができる。クリップ1250は、図40Bに示すように、クリップ1250が広がって短くなった第2の位置へと偏らせる(付勢する)ことができる
【0163】
クリップ1250を第1の位置に拘束するために、上述した実施態様と同様であってよいが、内部にクリップ1250を収容するための内側管腔1262を有する保持部材1260を供給することができる。上述した実施態様とは異なって、保持部材1260はその下端部にスロット1264を有しており、図40Aに示すように、スロット1264はクリップ1250の開口部1254と位置合わせさせる(または整合させる)ことができる。例えば、スロット1264を開口部1254と位置合わせさせた状態で、クリップ1250を圧縮させて、保持部材1260の内側管腔1262の中に挿入することができる。クリップ1250のバイアス(付勢力)のために、横断エレメント1252は保持部材1260の内側壁部に当接し得るが、保持部材1260を取り外す場合に、クリップ1250はその内側壁部に沿ってスライドさせることができる。保持部材1260からリリースされたら、クリップ1250は弾性的に広がって短くなることができる。
【0164】
図41を参照すると、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材1212には複数のクリップ1250を設けることができる。最初に、クリップ1250は、それぞれの(明りょうにするために、破線で示す)保持要素1260の中に拘束することができる。ガスケット部材1212は、上述した実施態様と同様に、生体の弁輪の中に導入しおよび移植することができる。その後、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、弁部材1214が、ガスケット部材1212に対して導入されおよび進入させられる。弁部材1214は、弁部材1214の外周部まわりに、例えばガスケット部材1212上のそれぞれのクリップ1250の位置に対応して、複数のボタンまたはキャッチ1238を有することができる。弁部材1214上に供給することができるキャッチ1238’の別の実施態様を、図43に示す。
【0165】
図42Aを参照すると、弁部材1214をガスケット部材1212に向かって導くときに、キャッチ1238を各保持部材1260のスロット1264の中に収容することができ、それによって、キャッチ1238をクリップ1250の開口部1254の中に位置合わせすることができる。キャッチ1238が開口部1254に収容されたら、図42Bに示すように、保持部材1260を取り外し、それによってクリップ1250は短くなり、従ってキャッチ1238をその中に捕捉することができる。クリップ1250からもたらされる圧縮力によって、弁部材1214はガスケット部材1212の方へさらに導かれ、それによってガスケット部材1212から弁部材1214が分離しようとすることが抑制される。
【0166】
図44−46を参照すると、さらに別の実施態様の心臓弁アセンブリ1310が示されており、心臓弁アセンブリ1310はガスケット部材1312およびクラウン1314を有している。上述した実施態様と同様に、ガスケット部材1312は環状リング1318と、縫合カフもしくはリング1320を有している。縫合カフ1320は、上述した実施態様と同様に、可撓性のコア1360とファブリック被覆1370を有することができ、バレーンエレメント1330は、上述した実施態様と同様に、環状部材1318とファブリック被覆1370との間に設けることができる。クラウン1314は、上述した実施態様と同様に、フレーム1332と、ストラット1335によって保持される複数の小葉状部1333とを有することができる。さらに、上述した実施態様と同様に、ガスケット部材1312および/またはクラウン1314は、ガスケット部材1312に対してクラウン1314を取り付けるために1つ以上のコネクタを有することができる。
【0167】
例えば、図44および46に示すように、ガスケット部材1312は、クラウン1314の1つ以上の領域を捕捉するかまたは固定する複数のポケット1350を有することができる。図46に最もよく示すように、各ポケット1350は、外側壁部1352とカバー1354とを有しており、それによって凹部1356を規定することができる。ポケット1350は、例えばコア1360のベース1362から、縫合カフ1320のコア1360と共に一体に成形することができる。例えば、ポケット1350およびコア1360は、シリコーンまたはその他の可撓性のもしくはセミリジッド(または半硬質(もしくは適度に硬質)(semi-rigid))の材料から、鋳造またはその他の方法で形成することができる。別法として、ポケット1350は、別途形成して、例えば接合、熱融着、連結コネクタ(図示せず)などによって、ベース1362に取り付けることができる。ポケット1350は、例えば(以下に説明するように)弁部材1314を容易に収容するために、半径方向外側へ導くために十分な可撓性を有し得るが、リリースされると元の状態に戻るために十分な弾性を有している。
【0168】
使用される間、ガスケット部材1312は、本明細書の他の部分に記載した方法および材料と同様に、組織の弁輪の中において移植されることができる。弁部材1314は、フレーム1332をガスケット部材1312に対して斜めの向きに角度付けして、組織の弁輪に、例えば自然生体弁のサイト(native tissue valve site)(図示せず)上方の洞腔の中に導入することができる。フレーム1332の一部が凹部1356の中に収容されるように、フレーム1332はポケット1350の下側に導かれる。例えば、弁部材1314の最初の2つの小葉状部を2つのポケット1350の中に導くことができ、それによって、挿入を容易にするためにポケット1350をわずかに逸れさせる(または変形させる)ことができる。その後、ガスケット部材1312の縫合カフ1320に対して弁部材1314を水平方向に導きながら、残るポケット1350を外側方向へ変形させることができる。変形させたポケット1350は、カバー1354が弁部材1314のフレーム1332を通過するように、それからリリースされることができる。従って、フレーム1332は、カバー1354の下側で凹部1356の中に取り付けられる。
【0169】
場合により、図46に示すように、ガスケット部材1312は、ベース1362から垂直方向に延びて、従って少なくとも部分的にスペース1365を規定するリム1364を有することができる。弁部材1314のフレーム1332の下側縁部1334は、例えば上述した実施態様と同様に、スペース1365の中に収容することができる。フレーム1332はリム1364に対して当接して、例えば、ガスケット部材1312に対して弁部材1314を取り付けるしまり嵌めを形成することができる。場合により、ポケット1350および/またはリム1364に加えてまたはその代わりに、その他のコネクタ(図示せず)を供給することもできる。
【0170】
本明細書のいずれかの実施態様によって示された要素または部材は特定の実施態様を説明するためのものであること、ならびに、のために典型的であることは理解されるであろうし、本明細書に開示するその他の実施態様にもまたはその他の実施態様と組み合わせても用いることができると理解されたい。
【0171】
本発明の別の形状およびその特定の実施態様を図面および本明細書に詳細に説明したが、本発明には種々の変更を加えることができる。本発明は、本明細書に開示した特定の形状または方法に限定されるのではなく、本発明は特許請求の範囲に記載する発明の範囲に含まれるすべての部分的修正、均等物および代替的態様を含むものであると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0172】
10 心臓弁アセンブリ
12 ガスケット部材
14 弁部材(クラウン)
18 アンカリング・リング
20 縫合リング(縫合カフ)
32 フレーム
218 環状リング
330 バレーンエレメント
【技術分野】
【0001】
プロテーゼの心臓弁(または人工心臓弁(prosthetic heart valve))は、患者の問題のある生体弁(human valves)の代替となることができる。例えば、人工弁の外周のまわりに延びるまたは取り付けられている縫合リング(sewing rings)または縫合糸カフ(suture cuffs)を有するワンピースの弁が提案されている。さらに、弁部材とは別体の縫合リングを有する複数部品(マルチコンポーネント)の弁も提案されている。いずれの型の人工弁の縫合リングも、目的部位の中、即ち、自然の心臓弁(natural heart valve)が取り除かれた心臓の環状部(annulus)の中に取り付けるためには時間も手間もかかることになり得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、心臓の環状部の中に縫合リングを移植するために、環状部を包囲する組織に最初に12〜20の縫合糸を取り付けることがある。それから縫合リングおよび/または人工弁の全体は、環状部の中へ、縫合糸を「パラシュート降下」(parachuted down)させるかまたは進入させられる。それから、環状部の中に縫合リングを取り付けする(または固定する)ために、縫合糸によって結び目(knot)が結ばれて、そして縫合糸はカットされ得る。従って、この手術(procedure)は、多くの縫合糸の管理および操作を必要として、非常に複雑なものとなり得る。そのような手術の複雑さによって、誤りを生じる機会が増大し、長い期間にわたって患者が心肺バイパス(cardiopulmonary)上にいることが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
心臓の環状部は、縫合リングおよび/または人工弁の円形の形状の断面に適合しないこともあり得るので、人工弁は環状部の中に最適に適合しないことが生じ得る。その結果として、弁を通るおよび弁まわりの自然な血液の血液動力学(blood hemodynamics)が損なわれて、弁機構の凝固、血栓を生成する可能性、および最終的に石灰化を生じ得る。
【0004】
この問題に対処するために、複数の部材の弁と共に、可撓性の縫合リングを用いることが提案されている。縫合リングは、例えば上述した手術(すなわちパラシュート降下させる縫合糸の配置)を用いて環状部の中に移植することができる。縫合リングは、少なくとも部分的に環状部の解剖学的形状(anatomy)に対応することができる。別法として、縫合糸を使う代わりに、縫合リングを通してステープルを周囲の組織に打ち込んで、縫合リングを固定することも提案されている。
【0005】
しかし、縫合リングに人工弁または機械弁を取り付けた場合に、例えば、縫合リングの形状が環状部に適合するように歪みを生じた場合などには、弁と縫合リングとが効果的に一体に結合しないことが生じたり、それによって自然な血液の血液動力学を害したり、漏れを生じたりおよび/または人工弁の性能を損なったりし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、患者に移植することができる心臓弁に関し、より具体的には、一体に組み立てることができる複数部材の心臓弁アセンブリと、そのような移植を行うための装置と、移植するための方法とに関する。
【0007】
1つの実施態様によれば、洞腔(sinus cavity)に隣接する生物学的環状部(生体の弁輪:biological annulus)内で、既に存在している自然のまたは人工の心臓弁を交換するためのプロテーゼを設けて、人工弁を収容している。プロテーゼは、生体の弁輪内に移植可能であって、生体の弁輪を包囲する組織に接触して、生体の弁輪を通る開口部を提供する環状部材と、その環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフ(sewing cuff)とを含むことができる。場合により、環状部材は、弾性的に圧縮したり、拡張させたりすることができ、および/または生体の弁輪を拡げるために付勢されて(またはバイアスが付されて)いることができる。
【0008】
1つの実施態様において、縫合カフは、生体の弁輪の内部または上部の組織の形状に少なくとも部分的に対応する適合性を有することができる。さらにまたは別法として、縫合カフは、洞腔を包囲する組織に縫合カフを固定するためにファスナーを貫通し得るようなものであってよい。場合により、例えば人工弁と環状部材との間のシーリングを向上させるために、縫合カフは、1つ以上の適合要素(conformable elements)、例えば複数の可撓性のリブおよび/またはラチス(lattice)を有することができる。例えば、適合要素は、周囲の組織に対してシールを提供しながら、適合するのに十分な可撓性を有する縫合カフを供給するために、シリコーン材料、フォーム材料、ファブリック材料またはファブリック内に固定された他のコアを有することができる。
【0009】
もう1つの実施態様において、生体の弁輪内に移植するために、生体の弁輪を包囲する組織と縫合カフとを接触させるための環状部材を含んでいる生体の弁輪内に移植可能な環状プロテーゼを含む、心臓弁アセンブリを供給する。心臓弁アセンブリは、例えば、生体の弁輪の上方への移植のために複数の小葉状の形状を含む人工弁も有している。
【0010】
場合により、環状プロテーゼに人工弁を固定するために、少なくとも1つの環状プロテーゼおよび人工弁に1つ以上のコネクタを設けることができる。1つ以上のコネクタによって人工弁を環状プロテーゼに対して所定の向きで固定することができる。例えば、人工弁を環状プロテーゼに取り付ける場合に、人工弁の一部を係合させるために、1つ以上のコネクタは環状プロテーゼにクリップを有することもできる。別法として、1つ以上のコネクタは、人工弁および/または環状プロテーゼに、1つ以上のラッチ、戻り止め、連結エレメントを有することができる。
【0011】
1つの実施態様において、縫合カフは、例えば人工弁、環状部材および/または周囲の組織との間でのシールを向上させるために、少なくとも部分的に人工弁の複数の小葉状の形状におよび/または周囲の組織に対応するように弾性的および可撓性を有することができる。さらにまたは別法として、人工弁、環状部材および/または縫合カフは、人工弁と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、可撓性のスカートを有することができる。そのように向上されたシールは、複数の小葉状の形状、例えば生体の弁輪の上方の環状スペース(supra-annular space)に対応する形状と、環状部材、例えば生体の弁輪に対応する、実質的に円形の形状を有する環状部材を有する人工弁の移植を容易に行えるようにすることができる。
【0012】
さらにもう1つの実施態様によれば、環状部材、その環状部材の外周部のまわりに延びるラチス、および組織内部成長を促進するためにラチスの少なくとも一部における被覆(covering)を有する人工弁を収容するために、プロテーゼが設けられる。環状部材は、生体の弁輪内に供給するための寸法を有することができ、および/またはラチスは生体の弁輪を包囲する解剖学的形状に適合するように弾性を有することができる。1つの実施態様において、ラチスは、外周部のまわりに延びる複数の外周エレメントと、環要素との間に延びる複数の横断エレメントとを有することができる。さらにまたは別法として、ラチスは環状のベースから上向きにおよび/または下向きに延びる複数の可撓性リブを有することができる。
【0013】
さらにもう1つの実施態様において、洞腔の下側の生体の弁輪の中に移植された人工心臓弁または自然の心臓弁を交換するために、人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を提供する。生体の弁輪の中に環状部材を導入して、その生体の弁輪を包囲する組織を外側方向へ導いて、例えば生体の弁輪を少なくとも部分的に拡張することができる。弁プロテーゼを洞腔の中に進入させて、環状部材に対して取り付ける(または固定する)ことができる。可撓性の縫合カフまたはスカートは、弁プロテーゼと環状部材との間のシールを向上させるために、弁プロテーゼに係合させることができる環状部材のまわりに拡がることができる。
【0014】
さらにもう1つの実施態様において、生体の弁輪の中に移植可能なベース部材および弁部材を有する心臓弁アセンブリを、生体の弁輪の中での移植のために提供する。ベース部材は外周部まわりに拡がるリムを有することができ、弁部材は、そのベース部材に対して弁部材を取り付けるために、リムと係合するような寸法に形成された下側縁部またはその他の要素を有することができる。例えば、リムは、ベース部材のベース(または底部)から上方へ延びる突起部(ridge)を有することができ、それによってその中に弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定することができ、例えばしまり嵌め(interference fit)を形成することができる。別法として、リムは、フレームのベースから上方に延びるおよび/または外周部まわりに配置される複数のタブを有することができ、従って、その中で弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定することができる。
【0015】
加えてまたは別法として、リムは、傾斜したおよび/またはテーパー付けされた表面、例えば、弁部材の下側縁部をリムと係合させるように導くための上側縁部を有することができる。さらに、弁部材の下側縁部は、ベース部材のリムと係合させるために、複数のタブまたはその他の要素を有すること、および/または、傾斜したおよび/またはテーパー付けされた表面を有することができる。場合により、弁部材の下側縁部をリムと係合させるように案内する場合、リムと弁部材との間でのしまり嵌めを向上させるために、リムが半径方向内向きに(または外向きに)戻るように付勢して(またはバイアスをかけて)、リムに半径方向外側へ拡張(または内側へ収縮)させることもできる。
【0016】
もう1つの選択肢において、ベース部材に対して弁部材を取り付ける場合に、弁部材とベース部材との間のシールを向上させるために、ベース部材および/または弁部材から可撓性のスカートを拡がらせることもできる。例えば、ベース部材は、心臓の環状部(弁輪)に少なくとも部分的に適合するように十分な可撓性を有することができ、可撓性のスカートは、弁部材とベース部材との間の凹凸に適合するように、例えば弁部材とベース部材との間のシーリングを向上させるように、変形することができる。可撓性のスカートは弁部材および/またはベース部材から側面に延びることができる。例えば、可撓性のスカートは、例えば可撓性のスカートが弁部材とベース部材との間の接触を向上させるように、ベース部材から外側方向および/もしくは上方へ延びることもできるし、または弁部材から外側方向および/もしくは下方へ延びることもできる。可撓性のスカートのための典型的な材料には、フォーム(または発泡体材料(foam))、ファブリック(または繊維材料(fabric))および/またはシリコーン材料を含むことができる。
【0017】
もう1つの実施態様において、心臓の弁輪内に移植するための心臓弁アセンブリであって、環状のベース部材とそのベース部材に固定し得る弁部材を有する心臓弁アセンブリを提供する。ベース部材は、一般に(または全体として)平面を規定する外周部を有することができ、その外周部まわりに例えばスカラップによって分離された葉(lobe)のような形状を有する複数の小葉状(multi-lobular)の形状を有することができる。ベース部材は、弾性のフレームと、そのフレームの外周部まわりに拡がるカフとを有することができる。フレームは、波打つような形状(undulating shape)を有するように付勢されて、フレームの葉の形状の部分が平面の上方へ拡がり、および、スカラップ部が平面の下方に延びることができる。
【0018】
心臓の弁輪内にベース部材を移植する場合に、平面を横切って上方へスカラップ部を引っ張るために、カフはスカラップ部に隣接して縫合糸により貫通されることができるように設けることができる。従って、ベース部材のフレームの波打つ形状によって、スカラップ部が平面を横切って上方へ引っ張られる場合に、減少する振幅を規定することができる。典型的な実施態様において、弁部材は、複数の小葉状の形状を有することができ、および/または、弁フレームを有することができる。弁フレームは、外周部を有しており、および弁フレームがベース部材のフレームに収まる(または収容される)ように、その外周部まわりに波打つ形状を有することができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および要旨は、添付の図面と組み合わせて、以下の説明によって理解することができるであろう。図面は本発明の代表的な実施態様を示している。
【発明の効果】
【0020】
本発明の心臓弁アセンブリによれば、弁部材と縫合リングとを効果的に一体に結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ガスケット部材および弁部材を有する人工心臓弁アセンブリの斜視図を示している。
【図2A】図2Aは、図1の2−2線に沿ったガスケット部材の断面図であって、弁部材のフレームに係合した状態を示す断面図である。
【図2B】図2Bは、ガスケット部材の別の実施態様の断面図を示している。
【図3】図3は、弁部材をガスケット部材に取り付けるための典型的なコネクタを、詳細に示す斜視図である。
【図3A】図3Aは、弁部材をガスケット部材に取り付けるためのコネクタの別態様を詳細に示す斜視図である。
【図3B】図3Bは、弁部材をガスケット部材に取り付けるためのコネクタの別態様を詳細に示す斜視図である。
【図4】図4は、弁部材のフレームから延びる可撓性のスカートを有する弁部材の断面を詳細に示す図である。
【図5A】図5Aは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5B】図5Bは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5C】図5Cは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5D】図5Dは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図5E】図5Eは、患者の心臓内の弁輪の断面図であって、弁輪の中に人工心臓弁アセンブリを移植するための方法を示している。
【図6】図6は、組織の中に通して取り付けられた縫合糸からの力を分散させるための綿撤糸の詳細な断面図を示している。
【図7】図7は、弁輪の各底部の組織を通して取り付けられたパイロット縫合糸を示す弁輪の断面図である。
【図8】図8は、縫合糸における張力を維持するためのツールを詳細に示す断面図である。
【図9】図9は、ガスケット部材および弁部材を有する人工心臓弁アセンブリのもう1つの実施態様を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のガスケット部材の側面図である。
【図11】図11は、ガスケット部材および弁部材を有する人工心臓弁アセンブリのもう1つの実施態様を示す斜視図である。
【図12】図12は、明りょうにするために、縫合カフおよびファブリック被覆を省略した、図11の心臓弁アセンブリの底面図を示している。
【図13】図13は、図11に示すガスケット部材の分解斜視図を示している。
【図13A】図13Aは、図11−13のガスケット部材に含まれ得る環状リングの別実施態様の斜視図である。
【図14】図14は、図11および13のガスケット部材のクリップによって捕捉された、図11の弁部材のフレームの斜視図である。
【図15A】図15Aは、心臓弁アセンブリのために縫合カフの中で供給することができるコアの別の実施態様を示す斜視図である。
【図15B】図15Bは、心臓弁アセンブリのために縫合カフの中で供給することができるコアの別の実施態様を示す斜視図である。
【図16】図16は、上側のファブリック被覆が部分的に除去されている、心臓弁アセンブリのためのガスケット部材の詳細な斜視図である。
【図17A】図17Aは、ガスケット部材および弁部材を有する心臓弁アセンブリのもう1つの実施態様についての部分的切欠き視図である。
【図17B】図17Bは、ガスケット部材に弁部材を取り付けており、明りょうにするためにファブリック被覆が除去されている、図17Aの心臓弁アセンブリの斜視図を示している。
【図17C】図17Cは、弁部材を所定の角度の関係にてガスケット部材に固定するための磁石を有する、図17Aおよび17Bに示す弁部材とガスケット部材の平面図である。
【図18】図18は、明りょうにするためにファブリック被覆を取り除いた状態の、図17Aおよび17Bに示すガスケット部材の分解斜視図である。
【図19】図19は、図17Aにおける線19−19に沿ったガスケット部材の断面図を示している。
【図20A】図20Aは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図20B】図20Bは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図20C】図20Cは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図20D】図20Dは、図17−19のガスケット部材に含まれるバレーンエレメントの典型的な実施態様を示している。
【図21A】図21Aは、心臓内の生体の弁輪の中にガスケット部材を移植するための方法を説明するための、心臓の断面図を示している。
【図21B】図21Bは、心臓内の生体の弁輪の中にガスケット部材を移植するための方法を説明するための、心臓の断面図を示している。
【図21C】図21Cは、心臓内の生体の弁輪の中にガスケット部材を移植するための方法を説明するための、心臓の断面図を示している。
【図22】図22は、弁部材をリテーナ要素の方へ導く場合に、弁部材を通して収容され得る引張りワイヤー−ハイポチューブ・アクチュエータを有する複数のリテーナ要素を有するガスケット部材の斜視図を示している。
【図23】図23は、図22に示す実施態様の引張りワイヤー−ハイポチューブ・アクチュエータの近位側端部を詳細に示す図である。
【図24A】図24Aは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、拡がった形状に曲がるリテーナ要素を示している。
【図24B】図24Bは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、拡がった形状に曲がるリテーナ要素を示している。
【図24C】図24Cは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、拡がった形状に曲がるリテーナ要素を示している。
【図25A】図25Aは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、所望の方法で曲がるようにリテーナ要素を付勢させるために、スロットのパターンが形成されたリテーナ要素を示している。
【図25B】図25Bは、リテーナ要素を詳細に示す図であって、作動させた場合に、所望の方法で曲がるようにリテーナ要素を付勢させるために、スロットのパターンが形成されたリテーナ要素を示している。
【図26A】図26Aは、ラッチを形成するためのスプリング要素の正面図を示している。
【図26B】図26Bは、ラッチを形成するためのスプリング要素の側面図を示している。
【図27A】図27Aは、図26Aおよび26Bのスプリング要素の正面図を示しており、端部が一体に取り付けられて、二状態ラッチを形成しているスプリング要素を示している。
【図27B】図27Bは、図26Aおよび26Bのスプリング要素の側面図を示しており、端部が一体に取り付けられて、二状態ラッチを形成しているスプリング要素を示している。
【図28A】図28Aは、弁部材をガスケット部材に取り付けるために用いられる図27Aおよび27Bの二状態ラッチを詳細に示す図である。
【図28B】図28Bは、弁部材をガスケット部材に取り付けるために用いられる図27Aおよび27Bの二状態ラッチを詳細に示す図である。
【図28C】図28Cは、弁部材をガスケット部材に取り付けるために用いられる図27Aおよび27Bの二状態ラッチを詳細に示す図である。
【図29A】図29Aは、ガスケット部材の一部を係合させることができる突出部を有する弁部材を有している心臓弁アセンブリの側面図を示している。
【図29B】図29Bは、ガスケット部材の一部を係合させることができる突出部を有する弁部材を有している心臓弁アセンブリの側面図を示している。
【図30A】図30Aは、弁部材のフレームを係合させるためのラッチをガスケット部材が有する、もう1つの実施態様の心臓弁アセンブリを詳細に示す図である。
【図30B】図30Bは、図30Aのラッチの側面図を示している。
【図31A】図31Aは、開いた状態における軸回転可能なラッチの正面図を示している。
【図31B】図31Bは、開いた状態における軸回転可能なラッチの側面図を示している。
【図32A】図32Aは、閉じた状態における図31Aおよび31Bのラッチの正面図を示している。
【図32B】図32Bは、閉じた状態における図31Aおよび31Bのラッチの側面図を示している。
【図33】図33は、図31A−32Bに示す複数のラッチを有するガスケット部材の斜視図を示している。
【図34】図34は、弁部材および図34のガスケット部材を有する心臓弁アセンブリの一部破断側面図を示している。
【図35A】図35Aは、圧縮された形状の拡張可能なラッチの断面図を示している。
【図35B】図35Bは、拡がった形状の拡張可能なラッチの断面図を示している。
【図36A】図36Aは、図35Aおよび35Bのラッチを用いて、ガスケット部材に取り付けられている弁部材を有する心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図36B】図36Bは、図35Aおよび35Bのラッチを用いて、ガスケット部材に取り付けられている弁部材を有する心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図36C】図36Cは、図35Aおよび35Bのラッチを用いて、ガスケット部材に取り付けられている弁部材を有する心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図37A】図37Aは、拡張可能なラッチの別の実施態様の平面図を示している。
【図37B】図37Bは、拡張可能なラッチの別の実施態様の側面図を示している。
【図38A】図38Aは、開いた位置において保持部材によって保持されているスプリングラッチの斜視図を示している。
【図38B】図38Bは、図38Aのスプリングラッチについて、保持部材を取り外し、スプリングラッチをその閉じた位置とする斜視図を示している。
【図39A】図39Aは、図38Aおよび38Bのラッチを用いて、ガスケット部材に弁部材が取り付けられている心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図39B】図39Bは、図38Aおよび38Bのラッチを用いて、ガスケット部材に弁部材が取り付けられている心臓弁アセンブリの詳細な斜視図を示している。
【図40A】図40Aは、保持部材によって開いた位置に拘束されたラッチのもう1つの実施態様の側面図を示している。
【図40B】図40Bは、図40Aのラッチの側面図であって、保持部材を取り外し、ラッチをその閉じた位置とする位置を示している。
【図41】図41は、図40Aと40Bに示す複数のラッチを有するガスケット部材および弁部材を有する心臓弁アセンブリの斜視図を示している。
【図42A】図42Aは、図41に示すガスケット部材に弁部材を取り付ける方法を示す断面図である。
【図42B】図42Bは、図41に示すガスケット部材に弁部材を取り付ける方法を示す断面図である。
【図43】図43は、図41に示す心臓弁アセンブリに含ませることができる弁部材の別の実施態様の断面図を示している。
【図44】図44は、弁部材を組織の弁輪に取り付けるために用いることができるもう1つの実施態様のガスケット部材の斜視図を示している。
【図45】図45は、弁部材を取り付けて人工弁を提供する、図44に示すガスケット部材の平面図を示している。
【図46】図46は、図45に示す人工弁について、線46−46に沿った断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照すると、図1は、ベース部材または「ガスケット部材(gasket member)」12および弁部材(valve member)または「クラウン(crown)」14を一般的に有する心臓弁アセンブリ10の典型的な実施態様を示している。ガスケット部材12は、全体として、平面16と、その平面に対して実質的に垂直に延びる長軸17を規定する環状の形状の本体部を有することができる。ガスケット部材12は、平面16内において、円形ではない形状、例えば複数の小葉状の形状を有し得る。1つの実施態様において、ガスケット部材12は、三つの小葉状(tri-lobular)の形状、すなわちカスプ(cusp)またはスカロップ(scallop)28によって分離された三つの小葉状部30を有する形状を有する。その形状は、一般に、以下においてさらに説明するように、その中にガスケット部材12を移植することができる生体の弁輪の断面に対応することができる。ガスケット部材12は、平面16内で、その他の非円形の形状を規定することができる、例えば心臓弁アセンブリ10をその中に移植されることになっている患者の解剖学的形状(anatomy)に対応することができる。
【0023】
ガスケット部材12は、アンカリング・リング(anchoring ring)またはフレーム18と、そのアンカリング・リング18の周囲に延び得る可撓性のカフ(cuff)または縫合リング20とを有することができる。アンカリング・リング18は、例えばその形状を保持するように、実質的に硬質であってもよいし、または例えば、ガスケット部材12が移植される解剖学的形状に少なくとも部分的に対応して、アンカリング・リング18が弾性的に変形し得るように、半硬質であってもよい。加えてまたは代わりとして、アンカリング・リング18は、弾性的にまたは超弾性的に変形することができ、例えば、より小さい形状に圧縮することができるが、リリースされると弾性的に付勢されて図示するような三葉状の形状へ戻ることができる。
【0024】
カフ20は、単にアンカリング・リング18の少なくとも一部を被覆するファブリックまたはその他の物質の層であってよい。例えば、ファブリック(図示せず)の層は、例えばクラウン14をガスケット部材12に取り付けるために、いずれかのコネクタおよび/またはベアリング表面以外のアンカリング・リング18の全体を被覆することもできる。加えてまたは代わりとして、図示するように、カフ20は、アンカリング・リング18から半径方向外側へ延びる材料の部分を有することもできる。アンカリング・リング18とカフ20は、1つの部材として一体に形成することもできるし、または相互に取り付けられた独立した部材であってもよい。さらに、カフ20は、アンカリング・リング18に対して固定して取り付けることもできるし、またはスライドするように取り付けることもできる。
【0025】
次に図2を参照すると、アンカリング・リング18は、環状のベース22、例えば、外周部を有する環状の形状を規定して、カットされたかまたはその他の方法によって形成された、実質的にフラットなシートを有することができ、その外周部は、全体として、平面16に位置する、円形形状、複数の小葉状またはその他の閉じたループの形状であってよい。リム24は、外周部のまわりにてベース22から、例えば平面16から上方へ延びることができる。リム24は、以下に説明するように、弁部材14の断面よりも、少なくともわずかに大きい直径またはその他の断面を規定することができる。別法として、リムは、弁部材14の断面よりわずかに小さい直径を規定することもできる。
【0026】
リム24は、外周部のまわりに連続して、例えばベース22の外縁部22aに沿って延びることができる。別法として、リムは、ベース22の外周部のまわりにおいて、別々に間隔をおいて配置されおよび/または上向きに延びる複数のタブまたはその他の要素(図示せず)によって規定することができる。従って、以下において説明するように、リム24とベース22とはそれらとの間にスペースを規定して、そのスペースに、クラウン14の一部、例えばクラウン14の下側縁部36を受け入れおよび/または係合することができる。
【0027】
場合により、リム24は、クラウン14を案内してリム24と係合させるために、傾斜した縁部または表面を有することができる。例えば、図2Aに示すように、リム24は、丸められた断面を有する拡がったリップ26にて終端することができ、それによって傾斜した上側縁部26aを提供する。別法として、リップはその他の形状、例えば、丸みを帯びたまたは真っ直ぐな傾いた上側縁部を規定するベベル形状(beveled shape)、例えば図2Bに示すような内側に傾斜した(inwardly beveled)縁部26a’を有することができる。以下において説明するように、傾斜した上側縁部は、クラウン14を、整合(位置合わせ)させおよび/または適切な向きに案内しおよび/またはアンカリング・リング18と係合させることを容易にすることができる。
【0028】
図2Aをさらに参照すると、リム24の少なくとも一部、例えばリム24の上側縁部26aに隣接する部分は、例えば、クラウン14の挿入および/またはクラウン14との係合を容易にするために、ベース22に対してたわむことができる。図示するように、例えば、クラウン14の下側縁部36がリム24によって規定されたスペース25の中に案内される際に、リム24はベース22に対して半径方向外側にたわむことができる。リム24は、例えばリム24が半径方向内側に付勢されて戻り、例えばリム24およびクラウン14との間でしまり嵌め(interference fit)を向上させるように、たわむことができ、例えば弾性または超弾性を有することができる。
【0029】
場合により、ガスケット部材12は、リム24に加えて(またはその別法として)、クラウン14をガスケット部材12に取り付けるために、1つ以上の戻り止め(detent)またはその他のコネクタを有することができる。例えば、図3に示すように、アンカリング・リング18は、例えばベース22の外側縁部22aから上方へ延びる複数のフィンガー50を有することができる。各フィンガー50はベント・チップ(tip)52にて終端しており、そこには1つ以上のノッチ54を有することができる。図示するように、ベント・チップ52は、ノッチ54が下方のベース22の上に延びるように、平面16に対して実質的に平行に内側へ延びることができる。別法として、ベント・チップ52は、例えば、下向きにベース22の方へ戻るように延び、クラウン14のためにガイドを提供することができる(図示せず)。図3Aに示すように、もう1つの態様では、フィンガー50’をワイヤーで形成して、傾斜したチップ52’を供給するように曲げることができる。場合により、図3Bに示すように、ベント・チップ52”にノブもしくはキャッチ53”を有するワイヤーフィンガー50”を設けることもできる。加えてまたは代わりとして、その他のコネクタ、例えば米国特許出願第10/765,725号に開示するようなコネクタを用いることもできる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0030】
再び図1を参照すると、クラウン14は、全体として、環状の形状の本体部もしくはフレーム32、および1つ以上の弁部材を有する。フレーム32は、非円形の形状、例えばガスケット部材12と相補的な、例えば複数の小葉状の形状(multiple lobular shape)を有することができる。例えば、クラウン14は、ガスケット部材12と同様に、カスプもしくはスカラップ38によって分離された三つの小葉状部40を有する三葉状の形状を有することができる。典型的な実施態様において、クラウン14は、人工弁部材、すなわち、例えば接合部34に取り付けられて、フレーム32から延びる複数の組織小葉状部(tissue leaflets)(明りょうにするために、図に示さない)を保持する環状のフレーム32である。フレーム32は、組織小葉状部に取り付けられおよび/または組織小葉状部を保持する複数のストラット(明りょうにするために、図に示さない)を有することができる。例えば、ストラットは、米国特許第6,371,983号に開示されているストラットと同様に、可撓性材料の2またはそれ以上のシートを含むラミネートファブリックを有することができる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0031】
別法として、クラウン14は、弁(図示せず)を接続することができるか、または2003年8月22日に出願された同時に継続する米国特許出願第10/646,639号に示す接続アダプタ要素のような弁部材を受けることができる接続デバイスであってよい(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。さらに別法として、クラウン14は、米国特許出願第10/765725号に開示されているような、機械式弁またはその他の弁を有することもできる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0032】
図2Aに最もよく示されているが、フレーム32は、例えばリム24の断面と同様に、直径もしくはその他の断面を規定する下側縁部36を有することができる。下側縁部36は連続するものであってもよいし、または、フレーム32の外周部に間隔をおいて配置された複数のタブによって規定することができる。図示するように、下側縁部36の断面は、下側縁部36をリムの中に挿入して、クラウン14を少なくとも部分的にガスケット部材12に取り付けるように、リム24の断面よりもわずかに小さくすることができる。別法として、下側縁部がリム24に適合(フィット)するように、下側縁部36をリム24よりもわずかに大きく設けることもできるが、その場合にも所望されるしまり嵌めを提供することができる。
【0033】
このようにして、リム24およびリム24を十分に支えるベース22によって規定されるスペース25に下側縁部36を嵌めることができ、従って下側縁部36とリム24との摩擦によって、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることができる。場合により、図2Bに示すように、フレーム32’の下側縁部36’を、リム24’と同様に傾斜させて、例えば、下側縁部36’とリム24’との間での挿入および/または係合を容易にすることもできる。
【0034】
クラウン14のフレーム32は、ロールされたまたはその他の形成された材料の1つ以上のシートによって形成することができ、そのシートの幅が長軸17に対して平行に延びるように形成することができる。従って、下側縁部36は、単に、全体として平面16内に位置する(または平面16内に横たわる)シートの端部(縁部)であってよい。別法として、下側縁部36は、例えばそこでフレーム32の2つの表面が交わるようなコーナー部であってもよい。
【0035】
加えてまたは代わりとして、クラウン14のフレーム32および/またはその他の部材は、クラウン14をガスケット部材12に取り付けるための1つ以上のコネクタを有することができる。例えば、図3に示すように、クラウン14は、ガスケット部材12の対応するフィンガー50を受けることができるスリップ・ノット58を有する1つ以上の縫合糸56を有することができる。各コネクタについては、スリップ・ノット58は、対応する縫合糸56から、所定との間隔、例えば、フィンガー50の幅より大きい間隔をおいている縫合糸、スレッド、またはその他のフィラメント59によって設けることができる。クラウン14をガスケット部材12と接触させるように導く場合、例えばツール(図示せず)を用いて、ベント・チップ52が対応する縫合糸56およびフィラメント59を通って収容されるまで、各フィンガー50を内向きに導くことができる。別法として、フィンガー50は、内向きに偏らせることもできるが、例えば、ツール(図示せず)によってまたはベント・チップ52を下向きに傾斜させることによって、外側へ逸れさせることもでき、クラウン14がガスケット部材12と係合する経路からフィンガー50を弾性的に逸れさせる(または変形させる)ことができる。
【0036】
ノッチ54をフィラメント59と整合(または位置合わせ)させて、縫合糸56を引くことができ、生じる張力によって、例えば、フィラメント59および縫合糸56の一方もしくは両者がノッチ54の中に収容されるようになるまで、スリップ・ノット58をベント・チップ52まわりで締まらせることができる。その後、縫合糸56を結ぶかまたは縛りおよび/またはカットなどすることによって、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることができる。同様の方法を用いて、図3Aおよび3Bに示すようなフィンガー50’および50”をスリップ・ノット58の中に取り付けることができ、それによって、スリップ・ノット58の中にベント・チップ52’および/またはノブ53”を捕捉することができる。
【0037】
心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)の部材、例えば、ガスケット部材12のアンカリング・リング18および/または縫合リング20および/またはクラウン14のフレーム32および/またはストラットは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタン(「ニチノール(Nitinol)」)、コバルト−クロム(例えば、Elgin Specialty Metals(イリノイ州、Elgin)からのELGILOY(登録商標);Carpenter Metals Corp.(ペンシルベニア州、Wyomissing)からのCONICHROME(登録商標))、モリブデン(例えば、モリブデンTZM合金(2003年10月9日付けで発行された国際特許出願WO03/082363 A2(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)に開示されているもの)および/またはタングステン−レニウム(例えば、国際特許出願WO03/082363 A2(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)に開示されているもの)などの1つ以上の材料から形成することができる。加えてまたは代わりとして、部材は、ポリエステル(例えば、E. I. Du Pont de Nemours and Company(デラウエア州,Wilmington)からのDACRON(登録商標))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エキスパンデッドPTFE(または発泡PTFE(ePTFE))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリマー(例えば、ATOFINA(フランス国、パリ)からのPEBAX(登録商標))、鎖状ポリエーテル−ポリウレタン(例えば、Thermedics Polymer Products(マサチューセッツ州,Wilmington)からのTECOFLEX(登録商標))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、フッ化エチレンプロピレン(FEP)および/または熱可塑性プラスチックなどのポリマーから形成することができる。加えてまたは代わりとして、部材は、その他の材料、例えばエクストルーデッド・コラーゲン(extruded collagen)、シリコーン、エコー源性(echogenic)、放射性(radioactive)、放射線不透過性(radiopaque)の材料またはそれらの組合せを含むことができる。使用し得る典型的な放射線不透過性材料には、バリウムスルフェート、チタン、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金、タンタルおよび/または金が含まれる。
【0038】
心臓弁アセンブリ10の部材は、従来技術において、当業者に既知であった方法を用いて、製造することができる。それらの方法には、例えば、モールディング、マシニング、キャスティング、成形(例えば、加圧成形)、クランピング、スタンピング、メルティング、ねじ止め(screwing)、グルーイング、ウェルディング、ダイ・カッティング、レーザー切断、放電加工(EDM)、エッチングまたはそれらの組合せが含まれる。
【0039】
心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)のいずれかまたはすべての部材、例えばカフ20は、図2Aに示すように、細胞内部成長(cell ingrowth)のためのマトリックス、ファブリック、またはその他の可撓性物質(例えば、ファブリックカバーリング21)のためにマトリックスを有することができる。ファブリックまたはその他のカバーリングは、細胞内部成長のためのマトリックスとして作用することができ、および/またはニードルおよび/またはファスナーを容易に通して、心臓弁アセンブリ10が移植される環状部(弁輪:annulus)にカフ20を取り付けるために用いることができる。典型的なファブリック材料には、ポリエステル(例えば、E. I.Du Pont de Nemours and Company(デラウエア州,Wilmington)からのDACRON(登録商標))、ポリプロピレン、PTFE、ePTFE、ナイロン、エクストルーデッド・コラーゲン、シリコーンおよび/またはそれらの組み合わせが含まれる。場合により、カフ20は、O−リングであってもよいし、グルーまたはその他の接着剤および/またはファスナーを用いて取り付けることができる、クッション付きの材料、ダブルベロア材料等を有することもできる。同様に、クラウン14の全体または一部は、図2Aに示すように、マトリックス、例えばファブリック被覆37を有することができる。心臓弁アセンブリ10の全体または部材を被覆するための方には、シンターリング(sintering)、スプレーコーティング、接着(adhesion)、ルーズカバーリング(loose covering)、ディッピング(浸漬)またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0040】
例えば、アンカリング・リング18は、例えば組織内部成長(tissue ingrowth)を向上させるために、少なくとも部分的にファブリック21によって被覆することができる。ファブリック21は、アンカリング・リング18のすべての表面を被覆することもできるし、クラウン14と接触することが意図されない領域、(例えば、しまり嵌めを提供することを意図するか、またはクラウン14を取り付けるためのコネクタを有する表面)の領域のみを被覆することができる。ファブリック21は、カフ20の一部であってもよいし、またはカフ20をファブリック21に取り付けることもできる。同様に、クラウン14のフレーム32および/またはいずれかのストラット(図示せず)は、少なくとも部分的にファブリック37によって被覆されていてもよい。そのようなファブリック37は、組織内部成長の向上に加えて、クラウン14の部材の所望の程度の可撓性を提供し、例えば、部材が疲労せずに動くことを可能にすることができる。
【0041】
図2Aに示すように、ファブリック37は、また、クラウン14の少なくとも一部のまわりにて、可撓性のスカート42を供給するように形成することができる。例えば、ファブリックを、それ自身で折りたたんで、フレーム32から延びるファブリックの2倍の厚さによって規定されるスカート42を供給することができる。以下において説明するように、スカート42は、自由に動くことができおよび/または例えば、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることに適合化させることができる。場合により、ファブリックの2倍の厚さのどうし間のスペースは、可撓性材料43、例えばフォーム、ファブリック、シリコーンなどによって充填されていてよい。それらの材料は、スカート42を自立させることができ、依然として十分な可撓性を有しおよび/または所望のように変形させることができる。別法として、スカート42は、ファブリックの1つの層および/またはフレーム32に取り付けられるかまたはそこから延びるその他の可撓性の材料(図示せず)および/またはファブリック37の1つの層によって規定することができる。
【0042】
図示するように、スカート42はフレーム32から側方に、例えば外側方向および上方へ延びることができる。場合により、以下においてさらに説明するように、例えば、縫合糸またはファスナー(図示せず)がスカート42およびカフ20の両方を通して受け入れられるように、スカート42は、少なくとも部分的にカフ20と重なるように十分に大きくすることができる。別法として、図4に示すように、スカート42’は、フレーム32から外側方向および下向きに延びるように設けることもできる。クラウン14をガスケット部材12(図示せず)と接触するように配向する場合、クラウン14とガスケット部材12との間でのシール(封止)を向上させるために、フレーム32よりも先に、スカート42’をガスケット部材12に接触させることができる。もう1つの実施態様において、スカート42は、長軸17に対して実質的に垂直にまたは横切るように延びることができる。
【0043】
加えてまたは代わりとして、以下に説明する実施態様と同様であってよいが、例えばクラウン14とガスケット部材12との間でのシールをさらに向上させるために、ガスケット部材12に可撓性のスカート(図示せず)を設けることもできる。そのようなスカートは、クラウン14がガスケット部材12と係合する際に、クラウン14に接触することができるように、内側方向へ、外側方向へおよび/または上向きに延びるものであってよい。
【0044】
場合により、ガスケット部材12および/またはクラウン14は、1つ以上のガイドマーカ(図示せず)、例えば米国特許出願第10/765,725号(上記引用した)および同第10/327,821号(2002年12月20日付けで出願)に開示されているような、クラウン14とガスケット部材12との整合を促進する(または容易にする)ためのものを有することができる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。ガイドマーカは、例えば長軸17まわりでの、クラウン14の位置とガスケット部材12との相対的な向きおよび/または位置について、目視的な表示(例えば、直接的および/または画像装置を用いるもの)、聴覚的な表示および/または触覚的な表示を供給することができる。加えてまたは代わりとして、ガスケット部材12および/またはクラウンは、ガスケット部材12に対するクラウン14の配向および/または係合を容易にするための、協同するガイドを有することができる。例えば、1つ以上のガスケット部材12および/またはクラウン14は1つ以上の溝もしくはスロットを有することができ、その他のものはクラウン14がガスケット部材12と所定の向きに係合すること、例えばガスケット部材12およびクラウン14の多数の小葉状形状の整合を容易に行うことができるように、1つ以上の対応するタブまたはリッジ(もしくは突起部(ridge))を有することができる。典型的なガイド要素は、上記引用した、同時係属の中の米国特許出願第10/327,821に開示されている。
【0045】
場合により、心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)および/またはその中のいずれかのファブリックまたはその他の材料は、従来技術において当業者に知られている1つ以上の投与薬剤(delivery agent)(例えば治療用薬剤(therapeutic agent)および/または診断用薬剤(diagnostic agent)のマトリックスで、充填しおよび/または被覆することができる。例えば、心臓弁アセンブリ10のいずれかの部材、サブ・アセンブリ、または全体の心臓弁アセンブリ10は、例えば、PTFE、ポリエステル、ゼラチン、ゲル、その他のポリマーもしくはそれらの組み合わせなどの材料を用いて、従来技術において当業者に既知の方法、例えば浸漬コーティングまたはスプレーコーティングによって被覆することができる。血管(vascular)使用のための医療用デバイスを被覆する典型的な方法は、米国特許第6,358,556号(Dingら)(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)によって開示されている。被覆内における薬剤の放出を遅延させるために、経時的被覆方法を用いることもできる。薬剤は、放射性材料、放射線不透過性材料、細胞内部成長性薬剤(cytogenic agent)、細胞毒性薬剤(cytotoxic agent)、細胞増殖抑制剤(cytostatic agent)、血液凝固性薬剤(thrombogenic agent)、潤滑性および/もしくは親水性薬剤、抗炎症性(anti-inflammatory)薬剤、免疫抑制性(immunosuppressive)薬剤などを含むことができる。用いることができるその他の薬剤の例は、Waltonらの"Inhibition of Prostaglandin E2 Synthesis in Abdominal Aortic Aneurysms", Circulation, July 6, 1999, 48−54、Tambiahらの"Provocation of Experimental Aortic Inflammation Mediators and Chlamydia Pneumoniae", Brit. J. Surgery 88(7), 935−940、Franklinらの"Uptake of Tetracycline by Aortic Aneurysm Wall and Its Effect on Inflammation and Proteolysi", Brit. J. Surgery 86(6), 771−775、Xuらの"SpI Increases Expression of Cyclooxygenase-2 in Hypoxic Vascular Endothelium", J. Biological Chemistry 275(32) 24583−24589、およびPyoらの""Targeted Gene Disruption of Matrix Metalloproteinase-9 (Gelatinase B) Suppresses Development of Experimental Abdominal Aortic Aneurysms", J. Clinical Investigation 105(11), 1641−1649に開示されている。これらの文献およびそれらの中に引用されている文献の開示事項の全体は、引用することにより本明細書に含むものとする。
【0046】
図5A−5Eを参照すると、人工心臓弁アセンブリ、例えば上述したような心臓弁アセンブリ10を生体の弁輪90の中に移植するための典型的な方法が示されている。別法として、心臓弁アセンブリ10(または本明細書にて説明するその他の実施態様のアセンブリ)を移植するために、本明細書のその他の部分に記載されているその他の方法を用いることもできる。弁輪90は、患者の心臓(図示せず)内において、三尖弁、僧帽弁、大動脈弁または肺動脈弁などの既に存在している自然の心臓弁または既に移植された心臓弁を交換するためのサイトであってよい。弁輪90は、複数、例えば2つまたは三つの自然な小葉状部92(図5Aにおいて、1つの小葉状部の断面と共に、三つの小葉状部が示されている)を有することができる。以下に説明する方法は、図1に示した心臓弁アセンブリ10を全体として参照するが、本明細書に記載した部材のいずれであっても、同様の手法を用いて移植することができることが、理解されるであろう。
【0047】
心臓弁アセンブリ10を移植する前に、患者は既知の方法を用いて処置の準備がなされることができる。例えば、患者は心肺のバイパス(CPB)に設置されて、患者の心臓は、例えば胸骨切開術、開胸術またはその他のオープンなまたは最小の侵襲的な手術によって露出させることができる。切開部(incision)は、弁輪90にアクセスするために、交換される弁(図示せず)、例えば大動脈の弁置換の場合には大動脈、の上方の血管に設けることができる。既存の自然なまたは人工心臓弁(これも図示せず)は、既知の方法を用いて、弁輪90から取り除くことができる。
【0048】
図5Aに示すように、弁輪90を包囲している組織を通して、複数のパイロット縫合糸94を取り付けることができる。例えば、常套の方法によって、ニードル(図示せず)を用いて、弁輪90を包囲している組織を通して、各パイロット縫合糸94を供給することができる。包囲している組織を通して各パイロット縫合糸94を取り付けると、各パイロット縫合糸94の両端部を弁輪の外に保持することができ、以下においてさらに説明するように、1つのニードルに取り付けて、例えば心臓弁アセンブリ10の1つもしくはそれ以上の部材を通して各縫合糸94を容易に進入させることができる。弁輪90を包囲している組織を通してパイロット縫合糸もしくはその他のスレッドもしくはフィラメントを供給するために、その他の方法を用いることもできる。
【0049】
所望する場合には、図6に示すように、各パイロット縫合糸94上で綿撤糸(pledget)98を進入させたり、またはその他の方法で供給することができる。綿撤糸98は、例えば、縫合糸94を引っ張ることによって適用される張力を、より大きい表面積の組織に分配させることができる。従って、綿撤糸98は、パイロット縫合糸94の中で組織が裂けたりすることまたは損傷したりすることを防止することができる。
【0050】
図5Aから図7を参照すると、1つの実施態様において、パイロット縫合糸94は弁輪90のそれぞれの底部(nadirs)96を通って取り付けられる。従って、図7に示された大動脈弁の弁輪(aortic valve annulus)などの三尖弁の弁輪(tricuspid annulus)については、弁輪90の三つのそれぞれの底部96を通して、三つのパイロット縫合糸94を取り付けることができる。その他の数の縫合糸(図示せず)、例えば2またはそれ以上の縫合糸を各底部に取り付けたり、弁輪90のまわりに均等にまたはその他の形状で取り付けることもできると理解されたい。
【0051】
図5Bに戻って参照すると、弁輪に取り付けられた所望の数のパイロット縫合糸94を用いて、パイロット縫合糸94を通してガスケット部材12を弁輪90の中に進入させることができる。ガスケット部材12は、遭遇する生体構造に基づいて、例えば弁輪90の小葉92に適合するおよび/または弁輪90の内部の断面に対応する直径またはその他の断面寸法を有する複数の小葉状部30を有するように、選択することができる。場合により、ベース部材12は、自然弁の弁輪の上方、例えば自然弁の弁輪の上方の拡大したスペースの中で、移植することができる。この構成は、より大きい心臓弁アセンブリ10を移植すること、従ってそれによって、血液が移植された(またはインプラントした)部位を通って流れる開口面積を拡大することができる。
【0052】
ガスケット部材12のカフ20の中を通してパイロット縫合糸94を導いて案内し、ガスケット部材12は、弁輪90の中へパイロット縫合糸94を通してまたは「パラシュート降下」させるようにして進入させることができる。例えば、パイロット縫合糸94は、パイロット縫合糸94の自由端部が患者の身体の外側に残るように、ニードルまたはその他のツール(図示せず)を用いて、カフ20のファブリックを通して動かすことができる。別法として、ガスケット部材12のアンカリング・リング18またはその他の部材は、例えば上記引用した米国特許第10/765,725号に開示するように、その中を通して縫合糸94を案内するかまたはその他の方法によって収容する複数の開口部、チューブ、もしくはその他のエレメント(図示せず)を有することができる。
【0053】
パイロット縫合糸94は、所望の構成にて、ガスケット部材12の外周部のまわりに分配することができる。例えば、各底部96を通して1つのパイロット縫合糸94を取り付ける場合に、ガスケット部材12の各カスプ28(図示せず、図1を参照されたい)に隣接するカフ20(もしくはアンカリング・リング18)を通して、パイロット縫合糸94を進入させることができる。従って、ガスケット部材12がパイロット縫合糸94を降下して進入する場合に、例えば、ガスケット部材12の小葉状部30は弁輪90の小葉状部94に収容され、カスプ28は底部96上にまたはその中に収容されるように、ガスケット部材12は弁輪90の向きに自動的に位置合わせする(または整合させる)ことができる。
【0054】
図5C(明りょうにするために、パイロット縫合糸94は図から除いている)に戻って参照すると、例えばガスケット部材12を弁輪90の中に取り付けるために、ガスケット部材12を通して、弁輪90を包囲する組織の中に、複数のファスナーを案内することができる。例えば、ガスケット部材12のカフ20を通して周囲の組織の中に、ガスケット部材12の外周部のまわりに全体として均等に分配して、ファスナー99を通すことができる。用いることができる典型的なファスナー、ならびにそれらを供給するための装置および方法は、米国特許第6,402,780号および同時係属している米国特許出願第10/681,700号(2003年10月8日付け出願)に開示されている。これらの文献およびそれらの中に引用されている文献の開示事項の全体は、引用することにより本明細書に含むものとする。
【0055】
場合により、弁輪90内へのガスケット部材12の取付けを向上(または促進)するため、パイロット縫合糸94を引っ張って、パイロット縫合糸94が取り付けられる組織に張力を適用することができる。例えば、図7に示すように、弁輪90の底部96は、陥没しおよび/または少なくとも部分的に弁輪90を閉塞させる傾向を有し得る。パイロット縫合糸94に張力を適用することによって、弁輪90を開きおよび/または底部96の組織をガスケット部材12と同列に引くことができる。
【0056】
図8を参照すると、1つの実施態様では、パイロット縫合糸94がカフを通って案内された位置にて、ツール60の遠位側端部62がカフ20に接触するまで、各パイロット縫合糸94上でチューブ状部材またはツール60を進入させることができる。ツール60は、患者の体外から弁輪90の中まで延びることについて十分な長さを有する、実質的に囲われているチューブであってよい。別法として、ツール60は、「C」字形状のチューブであって、その長手方向の縁部(図示せず)が相互にオーバーラップしまたは接当する形状を有することができ、これによって、パイロット縫合糸94がその中に配置され得る内側管腔61を規定するチューブとすることができる。例えば、パイロット縫合糸94を、それがツール60の近位側端部63を出るまで、ツール60の遠位側端部の端部62の中に進入させることができる。別法として、ツール60がC字形状の断面を有する場合に、パイロット縫合糸94は長手方向の縁部どうしの間を横断方向に横切るようにして内側管腔61の中に押し込むこともできる。
【0057】
各パイロット縫合糸94を引くか、またはその他の方法によって十分な張力を各パイロット縫合糸94に適用して、下側に位置する組織90aをカフ20と実質的に接触させることができる。その後、パイロット縫合糸94とツール60とが相対的に動くことを防止するため、クランプ64を適用することができる。例えば、図6に示すように、クランプ64はツール60の近位側端部63から延びるパイロット縫合糸94の自由端部94aを横断方向に横切るように適用することができる。別法として、例えばパイロット縫合糸94の上にツール60を圧着させるように、ツール60の近位側端部63まわりにて、クランプまたはその他のデバイスをクランプさせることができる。従って、パイロット縫合糸94の自由端部94aをツール60に対して相対的に取り付けて、所望の張力を保持することができる。その後、ツール60を離し、手術との間に、その他のタスクのためにユーザーの手を離し、例えば、カフ20を通して組織90aの中へファスナー99を移動させることができる。
【0058】
十分なファスナー99が取り付けられたら、クランプ64およびツール60を取り外して、例えばパイロット縫合糸94の自由端部94aをリリースすることができる。
別法として、パイロット縫合糸94を除くことができ、ツール(図示せず)を用いてガスケット部材12を弁輪90の中に運ぶことができ、その際に、ガスケット部材12を通して、弁輪90を包囲している組織の中に複数のファスナー99を供給することができる。場合により、ツールは、ガスケット部材12によって組織の中へのファスナー12の係合を向上させるために、組織を出現させるためのエレメント(図示せず)を有することもできるし、または独立したツール(図示せず)を弁輪90の中へ導入して、組織を出現させるか、またはその他の方法によってファスナー99の供給を向上させることもできる。
【0059】
図5Dを参照すると、クラウン14がガスケット部材12に接触するまで、クラウン14は弁輪90の中へ、例えばパイロット縫合糸94を通して進入させることができる。例えば、ニードルまたはその他のツール(図示せず)を用いて、クラウン14を通して、例えばファブリック被覆37(図示せず、図2Aを参照されたい)を通りおよび/またはフレーム32の対応する開口部もしくはその他の収容するエレメントを通して、パイロット縫合糸94を案内することができる。ガスケット部材12と同様にして、パイロット縫合糸94をクラウン14の所定の位置を通して案内して、ガスケット部材12に対して長軸17まわりでクラウンを容易に配向させることができる。例えば、ガスケット部材12の中の位置と同様に、カスプ38に隣接してクラウン14を通してパイロット縫合糸94を案内することができる。
【0060】
弁輪90の中でクラウン14を進ませてガスケット部材12と接触させると、クラウン14をガスケット部材12の中に自動的にドッキングさせることができる。例えば、図2Aを参照して上述するように、ガスケット部材12は、クラウン14がガスケット部材12の中に(またはまわりに)ドッキングする際に、クラウン14の下側縁部36に係合するリム24を有することができる。下側縁部36とリム24との間のしまり嵌めによって、クラウン14をガスケット部材12に取り付けるための十分な連結を供給することができる。
【0061】
加えてまたは代わりとして、図3について上述したように、ガスケット部材12は、縫合糸56およびスリップ・ノット58によって規定されたループの中に収容され得る複数のフィンガー50を有することができる。フィンガー50が適切に収容されると、縫合糸56を引いてスリップ・ノット58を締め、それによって、縫合糸56を縛るかまたはその他の方法で取り付けることができる。その他の選択肢において、上記引用した米国特許第10/765,725号に開示するように、クラウン14および/またはガスケット部材12は、1つ以上のコネクタを有することができる。そのようなコネクタを一体に使用して、過剰な(redundant)結合を提供することもできる。
【0062】
加えてまたは代わりとして、図5Eを参照すると、パイロット縫合糸94を用いて、クラウン14をガスケット部材12に取り付けることができる。例えば、クラウン14をガスケット部材12に対して、一旦十分に配置させると、常套の心臓弁交換の際に用いられるのと同様のニッティング・プロシージャ(結び手法)にて、1つ以上のノット(結び目(knot))を下向きに形成することができる。各パイロット縫合糸94に十分な数のノットが結び付けられると、パイロット縫合糸94のゆるんだ部分をカットして、患者の身体から取り除くことができる。さらにもう1つの選択肢において、クラウン14の一部を通してクリップ、ステ−プルまたはその他のファスナー(図示せず)を供給することができ、それらは、ガスケット部材12を通して周囲の組織の中に侵入させることができる。
【0063】
別法として、パイロット縫合糸94が除かれる場合には、図示しないツールを用いて弁輪90の中にクラウン14を運ぶことができ、そうすると、本明細書に記載するいずれかの方法を用いて、ガスケット部材12に対してクラウン14を取り付けるかまたは据え付けることができる。
【0064】
更なる別法として、クラウン14がまだ小葉状部(leaflets)を有していない場合には、例えば米国特許第6,371,983号に開示されているように、クラウン14および/またはベース部材12に対して、小葉状部(図示せず)を取り付けることができる(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。更なる別法として、クラウン14が中間のコネクタである場合には、独立した弁部材(図示せず)を弁輪90の中に導入して、クラウンおよび/またはベース部材に取り付けることができる。例えば、クラウン、ベース部材および/または弁部材は、従来技術において当業者によって理解されているように、弁部材を配向させおよび/または弁部材をクラウンおよび/またはベース部材に取り付けるための、ガイドおよび/または共同コネクタを有することができる。
【0065】
場合により、心臓弁アセンブリ10の全体または一部を除くことが望ましい場合には、クラウン14は、ベース部材12から取り外されておよび/または取り除く(図示せず)ことができる。例えば、クラウン14が、パイロット縫合糸94を結ぶことによって固定される場合には、弁輪90の中にはさみまたはその他のツール(図示せず)を導入して、パイロット縫合糸94をカットすることができる。フィンガー/スリップ・ノットコネクタが用いられる場合には、同様の方法によってそれらをカットすることができる。加えてまたは代わりとして、その他のコネクタが用いられる場合には、弁輪90の中にツール(図示せず)を導入して、コネクタを離すことができる。
【0066】
パイロット縫合糸94がカットされおよび/またはその他のコネクタが解離されると、例えば、ホルダーまたはその他のツール(図示せず)を用いて、クラウン14をガスケット部材12から取り除き、そして弁輪90から取り出すことができる。ホルダーまたはその他のツールを用いて十分な力を適用することによって、(図2Aおよび2Bを参照して上述したように)クラウン14とガスケット部材12との間の何らかのしまり嵌めを開することができる。場合により、例えば、ベース部材12を弁輪90に取り付けているファスナー99を取り去ることによって、ベース部材12を取り去ることもできる。
【0067】
本来のクラウン14について上述したのと同様の手順を用いて、置換クラウンまたは心臓弁アセンブリ全体(図示せず)を弁輪90の中に移植することができる。パイロット縫合糸を用いてクラウン14を供給しおよび/または取り付ける場合には、上述した方法と同様の方法にて、複数の新しいパイロット縫合糸を、ガスケット部材のカフスを通して、または弁輪90を包囲する組織を通して、取り付けることができる。
【0068】
次に図9および10を参照すると、ガスケット部材112およびクラウン114を有する心臓弁アセンブリ110のもう1つの実施態様が示されている。前記実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材112はアンカリング・リング118およびカフ120を有することができ、クラウン114は1つのフレーム132と複数の小葉状部133であってよい。これも前記実施態様と同様であってよいが、アンカリング・リング118は、全体として平面116を規定する外周部と長軸117とを有している。アンカリング・リング118は、スカラップまたはカスプ128によって分離された小葉状部130を含めて、外周部まわりに複数の小葉状の形状を有することができる。
【0069】
前記実施態様とは異なって、アンカリング・リング118はその外周部のまわりに、平面116の上方および下方へ交互に膨らむ波打つ形状を有するようにバイアスがかけられていてもよい。アンカリング・リング118が複数の小葉状の形状(またはマルチ・ロブラー形状)を有している1つの実施態様において、小葉状部130は平面116から上向きに膨らんで延びていてよく、スカラップ部128は平面116から下向きに膨らんで延びることができる。例えば、アンカリング・リング118は、交換しようとする自然の(または生来の)弁の弁輪の連絡部(交連:commissures)および/または底部に対応する形状を有することができる。図10によって最も良好に観察されるように、アンカリング・リング118の波打つような形状は、緩和した状態において、振幅「A」(amplitude "A" )を規定することができる。アンカリング・リング118は十分な可撓性を有することができるが、例えば、以下においてさらに説明するように、小葉状部130および/またはスカラップ部128が平面116の方を向いたりまたは平面116から離れたりすると、振幅「A」が減少したりまたは増大したりし得る。
【0070】
図9に戻って参照すると、クラウン114は全体として環状の本体部またはフレーム132および1つ以上の弁部材(valve elements)133を有する。フレーム132は、非円形の形状、例えばガスケット部材112と相補的な複数の小葉状の形状を有することができる。例えば、クラウン114は、カスプもしくはスカラップ138によって分離された三つの小葉状部140を含めて、ガスケット部材112と同様の三葉状(tri-lobular)の形状を有することができる。フレーム132は、隣接する小葉状部140とスカラップ部138との間で変動して波打つような形状を有することができ、一定の振幅を規定することができる。1つの実施態様において、それらの緩和された状態において、外部の力がない場合に、クラウン114におけるフレーム132の振幅は、ガスケット部材112のアンカリング・リング118の振幅「A」よりも小さいことがあり得る。
【0071】
典型的な実施態様において、クラウン114は人工弁部材であって、例えば、連絡部134に取り付けられた、フレーム132から膨らんで延びる複数の組織小葉状部13を有する環状のフレーム132である。フレーム132は、(明りょうにするために図示しない)複数のストラットを有することができ、前記の実施態様と同様であってよいが、小葉状部に取り付けられるかおよび/またはそうでない場合には小葉状部を支持することができる。
【0072】
場合により、ガスケット部材112および/またはクラウン114は、上述した実施態様と同様であってよいが、クラウン114をガスケット部材112に取り付けるために、1つ以上の戻り止めまたはその他のコネクタ(図示せず)を有することができる。ガスケット部材112および/またはクラウン114は、これも上述した実施態様と同様であってよいが、ファブリック被覆またはその他のマトリックス、コーティングおよび/またはガイドを有することができる。
【0073】
心臓弁アセンブリ110は、上述した実施態様と同様であってよいが、生体の弁輪の中に移植することができる。最初に、弁輪(図示せず)を包囲している組織の中を通して、複数のパイロット縫合糸を取り付けることができる。例えば、弁輪の各底部を通してパイロット縫合糸を取り付けることができる。上述した実施態様と同様であってよいが、所望の数のパイロット縫合糸を弁輪に取り付けて、該パイロット縫合糸によってガスケット部材112を弁輪の中に進入させることができる。弁輪を包囲している組織の中に、ガスケット部材112を通して複数のファスナーを導いて、弁輪の中にガスケット部材112を取り付けることができる。
【0074】
弁輪の中にガスケット部材112を取り付けることを向上させるため、ファスナーを供給する間に、パイロット縫合糸を引いて、パイロット縫合糸が取り付けられる組織に張力を適用し、例えば、弁輪を開いておよび/または組織をガスケット部材112と同列に引くことができる。さらに、パイロット縫合糸に張力を適用する間に、アンカリング・リング118のスカラップ部128を上方へ引き、それによってガスケット部材112をわずかに圧縮し、アンカリング・リング118の振幅を減少させることができる。
【0075】
その後、クラウン114は、クラウン114がガスケット部材112に接触するまで弁輪の中へ、例えばパイロット縫合糸を通して進入させることができる。ガスケット部材112をわずかに圧縮して、クラウン114の波打つ形状をガスケット部材112の波打つ形状に実質的に適合させることができ、これによってガスケット部材112へのクラウン114のドッキングを容易に行うことができる。上述した実施態様と同様であってよいが、弁輪の中でクラウン114を進ませてガスケット部材112と接触する際に、クラウン114およびガスケット部材112に共同するコネクタが設けられている場合には、クラウン114をガスケット部材112の中に自動的にドッキングさせることができる。加えてまたは代わりとして、上述した実施態様と同様であってよいが、例えばパイロット縫合糸を結んだりおよびカットしたりすることによって、パイロット縫合糸を用いて、クラウン114をガスケット部材112に取り付けることができる。
【0076】
次に図11−13を参照すると、ガスケット部材212およびクラウン214を有する心臓弁アセンブリ210のもう1つの実施態様が示されている。上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材212は、環状リング218および縫合カフもしくはリング220を有することができ、ならびに、クラウン214は、フレーム232および複数の小葉状部233を有することができる。これも上述した実施態様と同様であってよいが、環状リング218は、全体として平面216を規定する外周部および長軸217を有する。さらに、上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材212および/またはクラウン214は、ガスケット部材212に対してクラウン214を取り付けるための1つ以上のコネクタを有することができる。例えば、図13および14に示すように、以下においてさらに説明するように、ガスケット部材212は、クラウン214の1つ以上の領域を捕捉するかまたは異なる方法で固定するクリップ250を有することができる。
【0077】
1つの実施態様において、環状リング218は、全体として円形の形状を有しており、図12において最もよくわかるように、平面216に対して全体として平行であり、ならびに、図11および13において最もよくわかるように、長軸217に対して波打つ形状(または平面216から出入りする形状)を有することができる。例えば、図13において最もよく示されているが、環状リング218は、該環状リング218の外周部のまわりの所定の位置に1つの凹凸部219を有することができる。凹凸部219は、丸みを帯びた縁部または尖っていない(blunt)縁部を有することができる(図示せず)。以下において説明するように、凹凸部219は、隣接する僧帽弁の前方の小葉状部との実質的な干渉を伴うことなく、心臓弁アセンブリ210の移植に適合することができる。別法として、例えば図9および10を参照して説明した上記の実施態様と同様であってよいが、環状リング218は複数の凹凸部、例えば三つの凹凸部を有することができる。加えてまたは代わりとして、環状リング218は、例えば上述した実施態様と同様であってよいが、スカラップまたはカスプ(図示せず)によって分離された小葉状部を含めて、外周部まわりに複数の小葉の形状を有することができる。
【0078】
さらに図13を参照すると、環状リング218は、直径(または、環状リング218が非円形である場合にはその他の断面)を手術との間に遭遇する患者の解剖学的事項に基づいて調節することができるように、拡張および/または収縮自在とすることができる。1つの実施態様において、環状リング218にバイアスを付して、所定の直径に拡大させることができる。従って、環状リング218は、例えば弁輪の中への供給を容易にするために、半径方向により小さい直径に縮小させることもできるし、弁輪を包囲する組織を拡張するためおよび/または弁輪内にガスケット部材を取り付けることを促進するために、弾性的に拡張させることもできる。
【0079】
例えば、図示するように、環状リング218は、オーバーラップする端部226を有する開いたバンドの形状であってよく、端部226は相互にスライドして、拡張および/または収縮に対応することができる。環状リング218は、緩和された状態(何らかの外部の力が加わらない状態)において、例えば約19〜30ミリメートル(19〜30mm)の範囲、または約23〜25センチメートル(23〜25cm)の範囲で、組織の弁輪の拡張した断面よりもわずかに大きい所定の直径を有することができる。緩和された状態において、端部は少なくとも部分的にオーバーラップすることができるか、または別法として、環状リング218が「C」字形状を有するように、端部が相互に離されることもできる。
【0080】
1つの実施態様において、オーバーラップする端部226は、実質的に滑らかであるかまたは、それらのスライドする関係を促進するために突出部を有さないものであってよい。加えてまたは代わりとして、端部226は、端部どうしの相対的な動きを制限するために、1つ以上の共同要素(図示せず)を有することができる。例えば、共同要素は、環状リング218が直径の所定の範囲内で拡張しおよび/または収縮することを制限することができる。供給することができる典型的な共同要素は、上述した、同時係属の中の米国特許出願第10/327,821に開示されている。
【0081】
別法として、環状リングは、より小さい直径へ弾性的に圧縮することができる、実質的に閉じたバンドであってもよい。例えば、図13Aに示すようにおよび以下に説明するように、環状リング218’を複数の正弦曲線状エレメント219’から形成することができ、その正弦曲線状エレメント219’は環状リング218’の外周部まわりで端部どうしが接続されている。環状リング218’は、例えば、レーザーカッティング、機械的カッティング、エッチングまたは、チューブ状部材を環状リング218へ成形し得るその他の方法によって、連続するバンドとして形成することができる。別法として、例えば、レーザーカッティング、機械的カッティング、エッチングなどによって、フラットなバンドから正弦曲線状エレメント219’を形成することができ、ならびに、前記バンドを環状リング218にロールした後に、正弦曲線状エレメント219’の離れている端部どうしを互いに取り付けることができる。
【0082】
正弦曲線状エレメント219’を、半径方向の圧縮力によって、即ち、隣接する正弦曲線状エレメント219’どうしの間隔を減少させるように弾性的に圧縮して、環状リング218’の直径を縮小させることができる。このように直径を縮小させた構成によって、生体の弁輪の中への環状リング218’の導入を容易にすることができる。力を除くと、正弦曲線状エレメント219’は弾性的に拡張して、組織の弁輪の中に環状リング218’が固定されるようになるまで直径が増大する。場合により、環状リング218’は、生体の弁輪を少なくとも部分的に拡張する(即ち、生体の弁輪を包囲する組織を半径方向外側へ導いて、生体の弁輪の開いた領域を増大させる)ように、十分にバイアスをかけることができる。
【0083】
図11および13に戻ると、そこに示されているように、環状リング218は、例えば長軸217に対して実質的に平行に延びる、実質的にストレートなまたは円筒形状の壁部を有する。実質的にストレートな壁部は、交換される自然の弁の組織の弁輪の中の移植に適合することができ、例えば、心臓弁アセンブリ210の移植との間およびその後で、環状リング218の壁部を拡張させおよび/または弁輪を包囲している組織を保持することを可能にする。別法として、環状リング218は、テーパー付きの形状、例えば、その上側縁部または下側縁部(図示せず)をより広くした形状を有することができる。例えば、環状リング218が上側縁部のまわりにおいて、下側縁部よりも大きな直径を有しており、逆円錐(frusto-conical)の形状を規定する場合、弁輪上方での移植、即ち組織の弁輪の少なくとも部分的に上方での移植に対処することができる。更なる別法において、環状リング218の壁部は、米国特許出願第10/327,821に開示された実施態様と同様であってよいが、実質的にストレートな部分およびテーパーを付けられた部分を有することができる。
【0084】
環状リング218は、弾性材料、ニチノール合金などの超弾性材料、または本明細書のいずれかの部分に記載したその他のいずれかの材料で形成することができる。例えば、環状リング218は、例えば環状リング218のための所望の厚さ(例えば0.1〜0.5ミリメートル)を有するベース材料のフラットなシートから、例えばレーザー切断、機械的切断などによって、カットすることができる。従って、環状リング218は、最初は、環状リング218の所望の幅、例えば1.5〜2.5ミリメートルの範囲の幅に対応する幅と、環状リング218の所望の長さ、例えば約55〜90ミリメートルの範囲の長さに対応する長さを有する長いバンド形状の材料として形成することができる。場合により、バンドを平らなシートから切り抜かれるときに、凹凸部(undulation)219を形成することができる。別法として、凹凸部219は、カットされた後、例えばバンド材料を可塑的に変形させることによっておよび/または凹凸部219をバンドにサーモセット(thermosetting)させることによって形成することができる。
【0085】
その後、バンドをマンドレルに巻き付けて、またはそれ以外の方法で互いに隣接する端部226どうしを拘束して、全体として円筒状の形状となるように、バンドを加熱処理しまたはその他の方法で処理して、環状リング218を形成することができる。全体として円筒形状の形状は、図12および13に示すように、互いにオーバーラップする端部226を有することもできるし、または互いに離隔されて開いた「C」字形状(図示せず)を有することもできる。場合により、テーパー付きの形状は、例えばベース材料から切り出されるバンドの形状に基づいて、またはテーパー付きの形状に一旦拘束された材料を熱処理することによって(この処理は、バンドを全体として円筒形状の形状に熱処理する工程と同時であってもよいしまたは独立した工程であってもよい)環状リング218の1つ以上の部分に形成することができる。
【0086】
環状リング218が少なくとも部分的にファブリック(図示せず)によって被覆される場合には、環状リング218の拡張および収縮に適合させる間に、ファブリックを環状リング218に巻き付けることができる。例えば、端部226がファブリックに対して外周方向にスライドすることができるように、端部226の少なくとも近くにてファブリックを環状リング218に取り付けないようにすることもできる。場合により、端部226から離れた位置で、例えば環状リング218の外周部まわりの中間の位置で、縫合糸など(図示せず)を用いてファブリックを環状リング218に取り付けることもできる。別法として、環状リング218の全体を、環状リング218に巻き付けたファブリックの中で自由にスライドすることができるようにすることもできる。
【0087】
図11および12を参照すると、縫合カフ220は、環状リング218に取り付けられるか、または環状リング218のまわりに拡がることができる。縫合カフ220は、環状リング218の少なくとも一部を被覆する、ファブリックまたはその他の材料の1つの層であってよい。例えば、ファブリック(図示せず)の層は、上述した態様と同様に、(必要な場合には、いずれかのコネクタおよび/または保持表面以外の)環状リング218の全体を被覆することもできるしおよび/または環状リング218から半径方向外側へ延びる材料の部分を有することもできる。場合により、縫合カフ220は、環状リング218に取り付けることができるかまたは環状リング218まわりに延びる(または拡がる)ことができる可撓性のコア材料を有することができる。
【0088】
図15Aおよび15Bを参照すると、可撓性のコア260の典型的な実施態様が示されており、コア260は該コア260の外周部のまわりに延びるラチス(lattice)を有している。図示するように、ラチスは間隔をおいて配置された少なくとも2つの外周エレメント262と、外周エレメントとの間に延びる複数のリブまたは横断エレメント264を有しており、これによって、ラチスの中に開口部266を規定することができる。開口部266は、完全に開いていてよく、即ち、何らかの材料を存在させないことができる。別法として、開口部266は、コア材料の比較的薄い壁部、即ち、外周エレメント262および/またはリブ264よりも実質的に薄い壁部を有する凹部であってもよい。例えば、外周エレメント262および/またはリブ264は0.001〜0.005mmの範囲の厚さを有することができる一方で、開口部266は外周エレメント262および/またはリブ264の肉厚(または壁部厚み)のおよそ半分を越えない肉厚を有することができる。典型的な実施態様において、開口部266は、外周エレメント262および/またはリブ264の肉厚のおよそ半分を越えない肉厚を有することができる。別法として、ラチスは、隣接する要素(図示せず)どうしとの間に設けられた薄い肉厚の開口部を有する外周エレメント262またはリブ264のみを有することができる。
【0089】
緩和された(外部の力が加わらない)状態において、図15Aに示すように、コア260は全体として平坦な環状の形状をとることができる。別法として、緩和された状態において、図15Bに示すように、コア260は波打つような環状の形状をとることができる。図15Aおよび15Bに示すように、コア260はテーパーが付けられていてよく、例えば下側の外周エレメント262bよりも上側の外周エレメント262aがより大きな直径または外周を有することができる。コア260のテーパー付き形状は長軸217に対して、例えば、約20〜45度の範囲の角度と規定することができる。
【0090】
コア260の材料は実質的に可撓性であってよく、例えば、ゆがませたり、ストレッチさせたりおよび/または圧縮させたりなどの変形がまだ容易である状態で、(例えば、上述したような)所望の環状の形状に形成することができる。コア260は、例えば、移植の間に遭遇する移植配置および/または特定の解剖学的形状に実質的に基づいて、容易に適合することができるなど、コア260は「floppy(柔軟な)」であるように十分な可撓性を有することができる。従って、縫合カフ220が患者の心臓内において組織の弁輪の中またはその上方に配置される場合、クラウン214をガスケット部材212に取り付けるときに、コア260は周囲の解剖学的形状に対応しておよび/または変形して、例えばクラウン214とガスケット部材212との間におけるシーリングを向上させることができる。
【0091】
組織の弁輪の中またはその上方に配置される場合、包囲する組織に対してコア260は寄りかかり(または、もたれて横たわる)、コア260は元の全体として円形または複数の小葉状の形状から変形し、例えば波打つようないずれかの形状、および/または元のテーパーの角度を変化させる。従って、コア260が組織の弁輪の連絡部(図示せず)に寄りかかる場合には、コア260はより垂直にまたは内向きとなり、コア260が連絡部との間およびその上方で洞腔内に寄りかかる場合には、コア260はより水平にまたは外向きとなる。縫合カフ220を通してファスナー(図示せず)を動作させる場合には、以下に説明するように、コア260は、弾性的に伸びるかまたは収縮して、ファスナーからの力をより均等に分配して、そうでなければ漏れを生じ得る縫合カフ220の集積(bunching)またはその他の歪みを低減させることができる。
【0092】
コア260のための典型的な材料には、シリコーンまたはその他の弾性材料、フォーム、ファブリック、フェルト、ポリマー等が含まれる。加えてまたは代わりとして、コア260は膨潤可能な材料、例えば血液などの流体にさらされたときに、膨脹し得るフォームまたはスポンジ材料であってよい。材料は、既知のモールディング、押出(extrusion)、カッティングまたはその他の製造方法を用いて、コア260に作り上げまたは成形することができる。例えば、コア260はその環状の形状に射出成形もしくはその他の方法にて形成することができる。別法として、コア260は鋳造したり、またはフラットなシートに形成して、環状の形状に巻いて形成したりすることができる。この別法では、例えば縫合糸、接着剤、超音波溶接などを用いて、シートの端部どうしを互いに付着させることができる。場合により、テーパー付きの形状を供給するために、バンドから1つ以上のくさび(wedges)(図示せず)を切り抜いて、所望のテーパー付きで環状の形状を提供することができる。
【0093】
場合により、コア260は、1つ以上の耳状部(ears)268を有することができ、該耳状部268は外周エレメント262の1つから延びることができる。例えば、図示するように、1つの耳状部268は上側の外周エレメント262aから上方へ延びる。耳状部268は、以下において説明するように、例えば、目視的および/または触覚的マーカを供給するために、コア260(従ってガスケット部材212)の外周部のまわりの所定の位置に設けることができる。
【0094】
また場合により、コア260の部分は、例えば、ひだの生成を防止するために、他の部分から切り離することができる。例えば、コア260が、ロールド・シート(図示せず)から形成される場合には、そのロールド・シート(同じく図示せず)の端部は、その端部が相互に動くことができるように、拘束されない状態とすることができる。加えてまたは代わりとして、外周エレメント262を、例えば垂直に切断することもできるし、および/または、個々のリブ264を部分的に切るか、または隣接したリブ264から分離させることもできる。これらの特徴によって、コア260のエレメントに局在化したひずみ(localized strain)が許容されて、それによってひだの生成を防止したり、またはコア260と周囲の組織との間のシーリングを向上させたりすることができる。
【0095】
図16を参照すると、ガスケット部材212’の環状リング218’から延びるコア260’を有する縫合カフ220’のもう1つの実施態様が示されている。コア260’はベースまたはウェブ261’を有しており、そこから複数のリブ264’が延びている。図示するように、リブ264’は、ベース261’の上側表面のみから、例えば全体として上向きに延びている。加えてまたは代わりとして、リブ(図示せず)はベース261’の下側または外側の表面から、例えば全体として下向きおよび/または外向きに延びることもできる。リブ264’を相対的に狭くすることもでき、それによってリブの可撓性を向上させることができる。
【0096】
ベース261’とリブ264’とは、上述した実施態様と同様であってよいが、シリコーンまたはその他の材料から一体に、例えば1つの成形品として形成することができる。ベース261’の下側縁部は、例えば化学的接合、熱的接合、しまり嵌め、型込めなどによって、環状リング218’に取り付けることができる。ベース261’の下側縁部は、例えばリブ264’を支持するために、比較的厚くおよび/または堅く設けることができ、一方、ベース261’の残りの部分は、図15Aおよび15Bを参照して上述したコア260と同様に、ベース261’が包囲する解剖学的形状(anatomy)に適合し得るように、ベース261’に可撓性を付与するように、比較的薄く設けることができる。図16に示すように、ベース261’およびリブ264’をファブリック被覆270により被覆して、縫合カフ220’を供給することができる。例えば組織内部成長を促進するために、例えばガスケット部材212’の露出する表面の全体を実質的に被覆して、ファブリック被覆270’は環状リング218’上に延びることができる。上述した実施態様と同様であってよいが、環状リング218’が拡張可能である場合は、ファブリック被覆270’を環状リング218’の全体または一部に接続させずに、拡張および収縮に適応させることができる。
【0097】
場合により、図16に示すように、リブ264’はノッチ265’を有することができ、ノッチ265’は、例えば、ガスケット部材212’に取り付けることができるクラウン(図示せず)の寸法および/または形状に対応して、リムまたはその他の外周部分の境界を規定することができる。クラウンが縫合カフ220に対して進入する場合、該クラウンのフレーム(図示せず)はノッチ265’によって収容されたりまたはノッチ265’に係合したりすることができる。リブ264’はベース261’とクラウンとの間で、例えばベース261’とクラウンとの間のスペースを実質的に充填するように、弾性的に圧縮することができ、それによってクラウンとガスケット部材212’との間のシーリングを向上させることができる。
【0098】
図11および12に戻って参照すると、クラウン214は全体として環状の本体部またはフレーム232と、1つ以上の小葉状部またはその他の弁エレメント233を有している。図14をさらに参照すると、フレーム232は、非円形の形状、例えば複数の小葉状の形状、例えばカスプまたはスカラップ238によって分離された三つの小葉状の形状を有することができる。上述した実施態様と同様であってよいが、フレーム232は、例えば、小葉状部240がスカラップ部238よりも下側となるように、隣接する小葉状部240とスカラップ部238との間で交替して変動する波打つ形状を有することができる。さらに、フレーム232は連絡部234を有することができる。
【0099】
図12に示すように、フレーム232は複数のストラット235を有することができ、ストラット235は図示しないが単一の部材であっても、積層した構造であってもよい。ストラット235は、上述した実施態様と同様であってよいが、例えば縫合糸など(図示せず)を用いて、小葉状部233に取り付けられたりおよび/または小葉状部233を保持したりすることができる。ストラット235はスペーサ237によってフレーム232に取り付けることができ、米国特許第6,371,983号に開示された弁と同様に、スペーサ237はストラット235の中央部分をフレーム232に取り付ける一方で、ストラット235の端部は小葉状部233を開いたり閉じたりの動作をすることができる。ストラット235、スペーサ237、およびフレーム232は、タブおよび/もしくは係合ポケット(図示せず)などの共同する戻り止めによって、ならびに/または機械的もしくは化学的接合によって相互に接続することができる。
【0100】
場合により、ガスケット部材212および/またはクラウン214は、上述した実施態様と同様であってよいが、クラウン214をガスケット部材212に取り付けるために1つ以上のコネクタを有することができる。ガスケット部材212および/またはクラウン214は、上述した実施態様と同様であってよいが、ファブリック被覆またはその他のマトリックス、コーティングおよび/またはガイドを有することができる。
【0101】
例えば、図13および14に最もよく示すように、ガスケット部材212は、ガスケット部材212に対してクラウン214を取り付けるためのクリップ250を有することができる。クリップ250は複数のタブまたはその他の固定エレメント252、254を有することができ、それらはクラウン214の少なくとも一部に係合することができる。例えば、クリップ250は、一般に、クラウン214のフレーム232よりも大きい直径またはその他の断面を規定することができる。上側タブ252は、例えばクリップ250から、例えばフレーム232の小葉状部240に対応する位置において内向きに延びることができる一方で、下側タブ254は、フレーム232のスカラップ248に対応する位置において、クリップ250から、内向きに延びることができる。上側タブ252は下向きに角度付けされて、例えば角度付けされた上側表面を規定することができる。
【0102】
クリップ250をガスケット部材212の環状リング218および/または縫合カフ220に取り付けて、単一の、一体化された部品を供給することができる。例えば、クリップ250の1つ以上の部分、例えば下側タブ254に隣接する領域は、環状リング218および/または縫合カフ220を被覆するファブリック被覆(図示せず)によって捕捉させることができる。加えてまたは代わりとして、1以上の縫合糸(図示せず)を用いて、クリップ250を環状リング218および/または縫合カフ220に結合させることができる。別法として、クリップ250は、接着剤、溶着部(welding)、しまり嵌めなどによる接合(または結合)によって、環状リング218および/または縫合カフ220に取り付けることができる。
【0103】
図14を特に参照すると、移植の間において、クラウン214のフレーム232をクリップ250の方へ下向きに進入させると、フレーム232の下側縁部を、上側タブ252の角度付けされた上側表面に接触させ得る。フレーム232をさらに進入させると、上側タブ252は角度付けされた上側表面のために半径方向外側にスライドすることができ、フレーム232が上側タブ252を通過して下側タブ254に接触するようになる。その後、タブ252は、弾性的に内向きにそれて、従ってフレーム232上方に通過することができる。フレーム232はこのようにして上側タブ252と下側タブ254との間に捕捉され、従ってガスケット部材212に対してクラウン214が取り付けられる。別法として、上述した方法と同様に、クラウン214をガスケット部材212に対して角度付けして、フレーム232の一部が1又はそれ以上の上側タブ252によって収容されるようにすることもでき、それによって、フレーム232の残りの部分を残る上側タブ252の下側へ押し込むことができる。
【0104】
クリップ250は曲げられたまたは図示するような形状にされた長尺のワイヤーから形成することができ、その場合に、その端部どうしは互いに、例えば溶着、機械的接合、化学的接合、嵌め合わせコネクタなどによって取り付けることができる。別法として、クリップ250は、フラットなシート状の材料から、図示するような形状へ曲げられたりまたはその他の方法で成形されたりすることができる閉じたループとして、切り出したり、または、形成したりすることができる。さらに別法として、クリップ250は、図示するような形状へ成形することができるシート状材料から切り出された材料のバンドから形成することができ、その場合に、その端部はワイヤーと同様に、相互に取り付けることができる。クリップ250は、弾性材料または超弾性材料、例えばニチノール合金から形成することができ、それらの材料は、熱処理して最終的な形状をクリップ材料に設定することができる。従って、クリップ材料は、クリップ250に対してフレーム232が進入する際に、クリップ250の上側タブ252を外側方向へ変形させるが、内向きに弾性的に戻って、実質的に確実にフレーム232と係合することができる。クリップ250を成形した後、クリップ250を環状リング218および/または縫合カフ220に取り付けて、ガスケット部材212が形成される。
【0105】
図11の心臓弁アセンブリ210を形成するために、例えば環状リング218、フレーム232、ストラット235、スペーサ237、およびクリップ250などの部材を、例えば本明細書に記載する方法および材料を用いて形成することができる。縫合カフ220がコア260を含む場合には、例えば上述した方法および材料を用いて、コア260を成形することができる。環状リング218、コア260、およびクリップ250は、上述したように、環状リング218およびコア260の露出する表面上および/またはまわりを、および/またはクリップ250の一部のまわりを、例えば縫合糸を用いておよび/または1つ以上のファブリックまたはその他の被覆材料で包むことによって、一体に組み立てることができる。組み立てられると、コア260は実質的にファブリックによって被覆されて、環状リング218から半径方向に延びる縫合カフ220を供給することができる。1つの実施態様において、縫合カフ220は環状リング218から延びて、例えば、環状リング218の内側環状プレースメント(intra-annular placement)と縫合カフ220の上側環状プレースメント(supra-annular placement)となる。別法として、縫合カフ220は、その他の移植配位のために、環状リング218(図示せず)の下側縁部またはその中間領域から延びる形状とすることもできる。
【0106】
再び図11に戻って参照すると、心臓弁アセンブリ210は、上述した実施態様と同様であってよいが、生体の弁輪の中に移植することができる。(環状リング218を半径方向に圧縮し得る場合には、)環状リング218を相対的に小さい直径に収縮させ、供給ツール(図示せず)を用いて、ガスケット部材212を弁輪の中で進入させることができる。環状リング218が少なくとも部分的に生体の弁輪の中へ延びるまで、ガスケット部材212を進入させることができる。1つの実施態様において、環状リング218が生体の弁輪の中を通って完全に延びると、環状リング218の下側縁部は生体の弁輪の下側の亜環状のスペース(sub-annular space)の中でフリーな状態となっている。縫合カフ220は環状リング218のいずれの機械的サポートを供給しないこともできるが、縫合カフ220は生体の弁輪の上方の上側の環状スペースの中で組織に接触することもできる。
【0107】
環状リング218が拡張可能であるかまたは圧縮可能である場合には、環状リング218は、例えば生体の弁輪を拡がらせたり、または周囲の組織を下側に位置する組織構造に対して外側方向へ向かわせたりするなどと、生体の弁輪内で拡張させることができる。例えば、環状リング218を供給ツールによって単にリリースすることができると、その場合には、環状リング218は生体の弁輪を包囲する組織に対して弾性的に拡張して、従って生体の弁輪に対して環状リング218(従ってガスケット部材212)を実質的に取り付けることができる。加えてまたは代わりとして、ガスケット部材212の中に拡張ツール(図示せず)を進入させて、拡張させることによって、環状リング218を生体の弁輪の中で拘束的に(例えば可塑的に)拡張させることができる。用いることができる典型的な伸びツールは、上述した同時係属の中の米国特許出願第10/327,821号に示すようにいる。
【0108】
縫合カフ220が供給ツールによって拘束されている場合には、例えば生体の弁輪の上方の大動脈起始部(aortic root)の中で縫合カフ220をリリースして、縫合カフ220が周囲の組織に接触することを可能にすることができる。コア260の柔軟な(即ち、可撓性および適合性)を有する性質によって、縫合カフ220は、例えば冠状動脈の洞腔の中でよりフラットに横たわりながら、連絡部に隣接してより垂直になって、周囲の組織の形状に適合することもできる。
【0109】
縫合カフ220が耳状部268を有する場合には、ガスケット部材212は、生体の弁輪の中に進入させる間に、所定の方法で角度について整合させることができる。例えば、縫合カフ220が1つの耳状部268を有する場合には、耳状部268は右冠状動脈(right coronary)と非冠状洞尖(non-coronary sinus cusps)(RC/NC連絡部)との間で、連絡部に位置合わせすることができる。その結果、耳状部268は、RC/NC連絡部の領域において潜在的な(下側に位置する)神経の位置を識別して、外科医に目視的および/または触覚的マーカを供給することができる。加えてまたは代わりとして、環状リング218が凹凸部219を有する場合には、ガスケット部材212は、左冠状動脈(left coronary)と非冠状洞尖(non-coronary sinus cusps)(LC/NC連絡部)との間で、連絡部の上方に凹凸部219を位置させるように角度について整合させることができる。それによって、凹凸部219は、僧帽弁との干渉を避けるために僧帽弁前尖(anterior mitral leaflet)のためのクリアランスを供給することができる。ガスケット部材212が耳状部268および凹凸部219の両者を有する場合には、凹凸部219がLC/NC連絡部と整合させるときに、耳状部268がRC/NC連絡部と整合させるように、耳状部268と凹凸部219とは、相互に角度について整合させるべきである。
【0110】
ガスケット部材212が所定の位置に設けられると、ガスケット部材212を生体の弁輪に対して取り付けるために、生体の弁輪を包囲している組織の中に縫合カフ220を通して複数のファスナー(例えばクリップ、ステープル、縫合糸など)を案内することができる。縫合カフ220が、コア260の下側表面にリブ(図示せず)を有する場合には、そのリブを縫合カフ220と周囲の組織との間で少なくとも部分的に圧縮して、シーリング能を向上させることができる。場合により、コア260が流体にさらされると、縫合カフ220のシーリング能を向上させることができる。加えてまたは代わりとして、例えばファスナーが供給された後にその結果として生じ得るいずれかのギャップまたはひだを充填するため、例えば、シリンジ等(図示せず)を用いて縫合カフ260の中に材料を注入したり、あるいは縫合カフ260の外側または内側に材料を適用したりすることもできる。注入することができる典型的な材料には、シリコーンまたはその他のポリマーが含まれる。それらは供給して膨脹させ、シーリングを向上させることもできる。
【0111】
クラウン214は、例えば、ガスケット部材212を供給するために用いられるもう1つの供給ツールまたは同じツール(図示せず)を用いて生体の弁輪の中に進入させることができ、ガスケット部材212に角度について整合させることができる。クラウン214をガスケット部材212の方へ進入させると、上述したように、クラウン214のフレーム232がクリップ250と係合して、それによってクラウン214をガスケット部材212に取り付けることができる。縫合カフ220がコア260上に上方へ延びるリブ(図示せず)を有する場合には、リブをフレーム260と縫合カフ220との間で圧縮して、シーリングを向上させることができる。上述した実施態様と同様であってよいが、知られている方法を用いて、いずれかのツールを取り除いて、手術を終了した。場合により、クラウン214は、縫合カフ220と共にシーリングを向上させることができる可撓性のスカート242を有することができる。可撓性のスカート242は、上述した縫合カフ220と同様に、コア(図示せず)を有することができる。加えてまたは代わりとして、スカート242に追加の封止材料を注入するかまたはその他の方法によって適用して、シーリングを向上させることができる。
【0112】
図17A〜19を参照すると、心臓弁アセンブリ310のさらにもう1つの実施態様が示されている。この実施態様の心臓弁アセンブリ310は、本明細書に記載した他の実施態様と同様であってよいが、1つのガスケット部材312および1つのクラウン314を有しており、これらは少なくとも部分的に、1又はそれ以上のファブリック材料またはその他の材料336、370(明りょうにするために、図に示さない)によって被覆されていてよい。一般に、ガスケット部材312は、環状リング318、可撓性のバレーンエレメント(baleen element)330、および縫合カフまたはリング320を有しており、クラウン314は、フレーム332と、ストラット335によって保持される複数の小葉状部333を有している。環状リング318および/またはクラウン314は、全体として平面316に対して平行であり、長軸317の横方向に延びる外周部(circumference)またはその他の周囲部を一般に有している。
【0113】
上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材312および/またはクラウン314は、ガスケット部材312に対してクラウン314を取り付けるために1つ以上のコネクタを有することができる。例えば、図17Bに示すように、ガスケット部材312は、上述した実施態様と同様であってよいが、例えばタブ352および354との間に、クラウン314の1つ以上の領域を捕捉するかまたは異なる形状で固定するクリップ350を有することができる。加えてまたは代わりとして、クラウン314をガスケット部材312に取り付けるために、本明細書の他の部分において説明したその他の実施態様のように、1つ以上のその他のコネクタ(図示せず)を供給することができる。
【0114】
1つの実施態様において、図18に最もよく示すように、環状リング318は全体として平面316に対して平行な実質的に円形の形状を有することができる。さらに、環状リング318は、長軸317に対して波打つ形状(または凹凸形状)を有することができる。例えば、環状リング318の上側縁部319aは、1つ以上の凹凸部(または波打つ形状)、例えば生体の弁輪の上方の洞腔または上方の環状スペース(supra-annular space)の三つの小葉状(tri-lobular)の形状に対応する三つの凹凸部を有することができる。加えてまたは代わりとして、上述した実施態様と同様であってよいが、例えば隣接する僧帽弁の前方の小葉状部の位置に対応して、下側縁部319bも少なくとも1つの凹凸部(図示せず)を有することができる。さらに別法として、環状リング318は、例えば、上述した実施態様と同様であってよいが、スカラップまたはカスプ(図示せず)によって分離された小葉状部を含めて、外周部まわりで、複数の小葉状の形状を有することができる。
【0115】
さらに図18を参照すると、環状リング318は相互に取り付けられる重なり縁部318aを有することができ、重なり縁部318aどうしは相互に、例えば抵抗溶接、超音波溶接、接着剤、ファスナーなどによって取り付けられる。別法として、重なり縁部318aを相互に動き得るように(図示せず)設けることもできる。例えば、上述した実施態様と同様であってよいが、直径(または、環状リング218が非円形の場合にはその他の断面)に適合するように、環状リング318に拡張および/または収縮させることができる。もう1つの別法として、本明細書の他の部分において説明しているが、図13Aに示す環状リング218’と同様に、環状リング318は、実質的に閉じたバンドであってもよい。例えばこのバンドは、複数の正弦曲線状エレメント(図示せず)から形成して、環状リングの外周部まわりでその正弦曲線状エレメントの端部どうしを接続して形成され、より小さい直径へ弾性的に圧縮することができる。
【0116】
図示するように、環状リング318は、実質的にまっすぐな、または円筒形状の壁部を有し、例えば長軸317に対して実質的に平行に延びることができる。別法として、環状リング318の少なくとも一部は、本明細書に記載したその他の実施態様と同様であってよいが、テーパーを付けられた形状、例えば、その上側縁部または下側縁部がより広い(図示せず)形状を有することができる。環状リング318は、弾性材料もしくはニチノール合金などの超弾性材料、または本明細書のいずれかの部分に記載したその他のいずれかの材料および方法を用いて形成することができる。
【0117】
図18に最もよく示すように、縫合カフ320は、可撓性のコア360を有しており、例えば可撓性のコア360の外周部まわりに延びるラチスを有することができる。図示するように、可撓性のコア360は、上側外周エレメント362と、その上側外周エレメント362から一般に垂直に延びる複数のリブまたは横断エレメント364を有しており、これによって開口部366が規定されている。開口部366は、肉厚(または壁部厚み)の比較的小さいコア材料、即ち、上述した実施態様と同様であってよいが、外周エレメント362および/またはリブ364よりも実質的に肉厚の小さい凹部であってよい。別法として、開口部366は、完全に開いていてよく、即ち、開口部366何らかの材料を存在させないように、可撓性のコア360を通って拡がることができる。加えてまたは代わりとして、例えば図15Aに示す実施態様と同様であってよいが、可撓性のコア360は、下側の外周エレメント(図示せず)を有することができる。場合により、可撓性のコア360は、1つ以上の耳状部368(1つを示す)を有することができ、耳状部368は上側外周エレメント362から延びることができる。
【0118】
緩和された状態において、コア360はテーパーが付けられており、例えば、上側外周エレメント262の外周部は下側縁部367まわりと比べて、より大きな直径または外周を有することができる。コア360は、凹凸を有する(波打つ形状の)環状の形状を有して、例えば三つの波状部分を有することもできるし、全体として平面の形状を有することもできる。コア360の材料、例えばシリコーンまたはその他の弾性材料、フォーム、フェルト、ポリマーなどは、実質的に可撓性であってよいが、例えば屈曲、延びおよび/または圧縮などの容易に変形することができる材料であってよい。従って、縫合カフ320が患者の心臓内において組織の弁輪の中またはその上方に配置される場合、クラウン314をガスケット部材312に取り付けるときに、コア360は周囲の解剖学的形状に対応しておよび/または変形して、例えばクラウン314およびガスケット部材312との間でのシーリングを向上させることができる。場合により、コア360を環状リング318に、例えば上側縁部319aに沿って取り付けることができる。例えば、コア360は、例えばコア材料を軟化させおよび溶融させて上側縁部319aに沿って溶着させたり、または接着剤、しまり嵌め、1又はそれ以上のファスナー(図示せず)などを用いて、取り付けたりすることができる。別法として、コア360を環状リング318に対して当接させ、または上側縁部319aに隣接させて、ファブリック被覆370または1つ以上の縫合糸またはその他のファスナー(図示せず)によって、相対的な位置を保持することができる。
【0119】
図17A〜19をさらに参照すると、バレーンエレメント330は、ベース380から延びる複数の可撓性のフィンガー382を有する環状部材であってもよい。ベース380は、例えばベース380を環状リング318のまわりに配置することができるように、環状リング318に実質的に対応する直径を有することができる。場合により、ベース380は、しまり嵌め、接着剤、超音波溶接、1つ以上のファスナーのいずれかもしくは組合せによって、環状リング318に取り付けることができる。フィンガー382を、ベース380から外側方向へ拡がるように付勢させて、図18に示すように、逆円錐形状(frusto-conical)の形状を規定することができる。例えば、バレーンエレメント330は、長軸317に対して約1〜10度(1〜10°)の範囲の角度で偏らせることができる。
【0120】
バレーンエレメント330は、図20A〜20Dに示す各バレーンエレメント330などのように、成形されたフィンガー382を有する長尺のフラットなバンドから形成することができる。図20Aおよび20Bにおいて、フィンガー382、382’は実質的に均一な長さを有しており、図20Cおよび20Dにおいて、フィンガー382”、382”’は変動する長さを有しており、例えばガスケット部材318を移植することができる生体の弁輪の下側の形状に対応することができる、凹凸部または小葉状部を規定することができる。さらに、図20Bおよび20Cのフィンガー382’、382”は、図20Aおよび20Dのフィンガー382、382”’よりも肉厚に(太く)設けられており、これによって、より大きい外向きのバイアスを供給して、ファブリック被覆336の外向きのうねりを向上させることができる。
【0121】
バレーンエレメント330は、マイラー(mylar)、ポリエステルまたはその他のポリマー、弾性または超弾性の合金、例えばニチノール合金などの比較的薄いバンドから形成することができ、それらの材料から、ダイ・カッティング、レーザーカッティングなどによって、ベース380およびフィンガー382をカットすることができる。典型的な実施態様において、バンド(従ってバレーンエレメント330)は、約0.002〜0.010インチ(0.05〜0.25mm)の範囲の厚さを有することができる。バレーンエレメント330が形成された後で、ベース380は例えば0.01〜0.08インチ(0.25〜2.0mm)の範囲の幅を有することができ、フィンガー382は例えば0.01〜0.08インチ(0.25〜2.0mm)の範囲の長さ、および0.01〜0.04インチ(0.25〜1.0mm)の範囲の幅を有することができる。フラットなバンドは、例えば、上述したように、バンドをロールしてその端部を一体に取り付けた場合に、ベース380および/またはフィンガー382にテーパーを付けて逆円錐形状の形状を規定するように、曲線を規定することができる。バンドの端部は、超音波溶接、接着剤などによって一体に取り付けることができる。別法として、バレーンエレメント330は、鋳造またはその他の方法によって、逆円錐形状の形状に連続するピースとして形成することができる。
【0122】
図19に戻って参照すると、環状リング318およびバレーンエレメント330のまわりにファブリック被覆336を設けることができ、可撓性コア360のまわりにファブリック被覆370を設けることができる。図示するように、ファブリック被覆336、370は、ガスケット部材312の部品に巻きつけることができるファブリックの一つのピース(1枚のファブリック)であってよく、そのファブリックのルーズな端部もしくは縁部371は、例えば縫合糸372および/または接着剤、その他のコネクタ(図示せず)などによって一体に取り付けることができる。別法として、必要な場合には、複数の(枚数の)ファブリックを用いることができる。場合により、ファブリック被覆336、370は、ガスケット部材312の部品(例えば、環状部材318、可撓性のコア360および/またはバレーンエレメント330)の1つ以上の部位に対して、例えば、それら部品の1つ以上の開口部および/またはファブリック被覆336、370を通して供給される1つ以上の縫合糸によって固定できる。
【0123】
バレーンエレメント330のフィンガー382は外側方向へ付勢されているか、または拡がっているので、フィンガー382はファブリック被覆336を、環状リング318から、例えば、隣接する下側縁部319bから半径方向外側へ導くことができる。その後、ファブリック被覆336およびフィンガー382は、例えば環状リング318の方へまたは環状リング318に対して内向きに圧縮され得る。しかしそのような圧縮力がリリース(または解放)されると、フィンガー382は外側方向へ弾性的に戻り、それによってファブリック被覆336を外側方向へ導くことができる。以下に説明するように、この特徴によってファブリック被覆336と周囲の組織との間でのシールを向上させることができる。
【0124】
図21A−21Cを参照すると、ガスケット部材312が生体の弁輪190の中に移植されると、例えば、クラウン314(図示せず、図17Aを参照されたい)を収容することができようになり、これにより上述した実施態様と同様であってよいが、心臓弁プロテーゼ310を供給することができる。(環状リング318を半径方向に圧縮し得る場合には)環状リング318およびバレーンエレメント330を相対的により小さい直径に収縮させ、供給ツール410を用いて、ガスケット部材312を弁輪190の中に進入させることができる。縫合カフ320が洞腔またはその他の上方の環状スペース(supra-annular space)192の中に配置されるように、環状リング318を生体の弁輪190の中に進入させることができる。縫合カフ320を通して洞腔192を包囲している組織194の中に、複数のファスナー、例えばクリップ199、縫合糸など(図示せず)を供給することができる。そのようなファスナーを供給するための典型的なツールおよび方法は、2004年12月3日付けで出願された同時係属の中の米国特許出願第10/681,700号および同第11/004,445号に開示されている(その開示事項の全体は引用することにより本明細書に含むものとする)。
【0125】
続いて図21A−21Cを参照すると、ガスケット部材312を供給するために用いることができる拡張/収縮自在な供給ツール410が示されている。図示するように、供給ツール410は、近位側のハンドル414と複数のストラット416を有する長尺のシャフト412を有している。ストラット416は、近位側のハンドル412のアクチュエータ(図示せず)を用いることによって、(図21Aおよび21Bに示す)拡張可能な形状と、(図21Cに示す)折り畳まれた形状との間で動くことができる。場合により、ストラット416は、実質的に、(拡張状態における)第1の横方向の状態から(収縮状態における)第2の実質的に軸方向の状態へ変動することができ、透明な部材であってもよい。従って、ストラット416は、選択的に開閉することができる傘のストラットと同様の形状であると考えることができる。
【0126】
最初に、ツール410のストラット416を拡張させて、例えば(圧縮し得る場合の)環状リング318および/またはバレーンエレメント330およびファブリック被覆336を、ストラット416との間の環状リング318の方へ圧縮することによって、ガスケット部材312をストラット416に取り付けることができる。この構成において、ストラット416は、縫合カフ320の下側のガスケット部材312の断面、即ち環状リング318およびファブリック被覆336の寸法を実質的に最小化させることができ、それによって生体の弁輪190の中へのガスケット部材312の挿入を容易にすることができる。ガスケット部材312はツール410に対して、単にストラット416とガスケット部材312との間の摩擦またはしまり嵌めによって脱着自在に取り付けることができる。別法として、ストラット416および/またはガスケット部材312は、ガスケット部材をストラット416に対して脱着自在に取り付けるための連結要素(図示せず)を有することもできる。
【0127】
図21Aに示すように、ガスケット部材312は患者の身体の中において、上述した実施態様と同様であってよいが、環状リング318が少なくとも部分的に生体の弁輪190の中で拡がるようになるまで進入させることができる。1つの実施態様において、生体の弁輪190の下側の亜環状のスペース196の中に環状リング318の下側縁部319bを拡がらせて、環状リング218が生体の弁輪を通して完全に拡がるようにすることができる。縫合カフ320は、生体の弁輪190の上方の洞腔または上方の環状スペース192の中の組織194に接触することができる。縫合カフ320および/または環状リング318は周囲の組織に実質的に係合することができ、従って、図21Bに示すように、ツール410を遠位側へさらに進入させると、ガスケット部材312をストラット416からリリース(または解放)させることができる。場合により、ストラット416および/またはガスケット部材312が連結要素を有する場合には、ストラット416を拡張させることによって、連結要素を離しおよび/またはガスケット部材312をリリースさせる(または離させる)ことができる。最終的に、図21Cに示すように、ストラット416を収縮させて、生体の弁輪190および患者の身体からツール410を取り出すことができる。
【0128】
ガスケット部材312をリリースするときに、生体の弁輪190内で環状リング318を弾性的に拡張させることによって、生体の弁輪190を広げるかまたは開かせることができる。さらに図21Bおよび21Cに示すように、バレーンエレメント330を外向きに弾性的に拡張させると、亜環状のスペース196を包囲している組織に対してファブリック被覆336を導くことができる。バレーンエレメント330は、ファブリック被覆336を外側方向へうねらせて、ガスケット部材312と周囲の組織との間のシールを向上させることができる。バレーンエレメント330の比較的薄く、可撓性を有する性質のため、必要な場合には、ガスケット部材312が除かれて、バレーンエレメント330は最小の抵抗を形成することができる。従って、バレーンエレメント330は、生体の弁輪190に対するガスケット部材312の固定(anchoring)を向上させなくてもよいが、その代わりに、ファブリック被覆336のうねりまたはその他の形状の形成を向上させ、それによって、周囲の組織に対する接合および/またはシーリングを向上させることができる。
【0129】
場合により、ツール410を取り去った後、ガスケット部材312の中に拡張ツール(図示せず)を進ませて、必要な場合には、上述した実施態様と同様であってよいが、生体の弁輪の中で環状リング318を拘束的に拡がらせることもできる。供給ツールによって縫合カフ320を拘束する場合には、例えば環状リング318をリリースする前にまたはリリースしながら、縫合カフ320をリリースして、縫合カフ320が周囲の組織に接触するようにすることもできる。コア360の可撓性および/または適合性の性質のため、縫合カフ320は周囲の組織194の形状に少なくとも部分的に対応するかまたは実質的にその形状に適合することができる。縫合カフ320が耳状部368を有する場合には、ガスケット部材312が生体の弁輪190の中に進入する間、すなわち、ガスケット部材312がツール410からリリースされる前に、ガスケット部材312を所定の方法で角度について整合させることができる。
【0130】
環状部材318および縫合カフ330を適所に配置し、縫合カフ320を通って周囲の組織194の中に複数のファスナー199を導いて、生体の弁輪190に対してガスケット部材112を固定することができる。ツール410からガスケット部材312をリリースさせる前に、ファスナー199を供給して、従って例えばガスケット部材312を固定(アンカーリング)することができ、それによって、ガスケット部材312をストラット416から容易にリリースさせることができる。別法として、一旦ガスケット部材312をリリースして、および/またはツール410を患者の身体から取り去った後に、ファスナー199を供給することもできる。
【0131】
図17Aおよび17Bをさらに参照すると、その後、ガスケット部材312(図示せず)の供給に用いたものと同じかまたは異なる供給ツールを用いて、洞腔192の中にクラウン314を進入させることができる。場合により、クラウン314は、例えば1つ以上のマーカを用いて、ガスケット部材312と角度について整合させることができる。例えば図17Aに示すように、ガスケット部材312は、例えば1つ以上の縫合糸またはその他のステッチ、インキもしくは染料のインジケータなどの、連絡部マーカ322aおよび/または底部マーカ322bを有することができ、それらは縫合カフ320の所望の位置に設けることができ、挿入の間にガスケット部材312の配向を容易にすることができる。クラウン314も、例えばクラウン314から半径方向外側へ延びる可撓性のスカート342上にマーカ334を有することができる。図示するように、マーカ334をクラウン314の底部に設けることができ、それによって、ガスケット部材312に固定する前に、クラウン314をガスケット部材312に対して角度について整合させて配向させ、ガスケット部材312の底部マーカ322bに対してマーカ334を整合させることができる。
【0132】
ガスケット部材312がクリップ350を有する場合には、クラウン314のフレーム332をクリップ350の2つのタブ352の下で受けることができるように、クラウン314をガスケット部材312に対して進入させおよび傾斜させることができる。それから、クラウン314を平面の向き(または平面状の配向(planar orientation))に押し下げて、フレーム332が最終タブ352の下側へ通過するようになるまで、最終タブ352を外側方向へ逸れさせることができる。別法として、フレーム332が最終タブ352の下側に収容され、従ってフレームをクリップ350に取り付けるように、最終タブ352を十分に変形させるために、ツール、例えば、止血鉗子、縫合糸ラインまたは特殊な弁ホルダー(図示せず)を用いることができる。
【0133】
別の実施態様において、本明細書の他の部分に記載したような、その他の材料および/または方法を用いて、ガスケット部材312にクラウン314を取り付けることができる。例えば、クラウン314および縫合カフ320を通して、上述したような1つ以上のクリップまたはその他のファスナー(図示せず)を周囲の組織の中に導くこともできる。例えば、クラウン314が可撓性のスカート342を有する場合には、ファスナーをスカート342および縫合カフ320に実質的に同時に通して導くことができる。ファスナーを、クラウン314の外周部のまわりに、例えば底部マーカ334に隣接する位置に、間隔をおいて配置して、それによって、クラウン314を取り付けおよび/またはクラウン314と縫合カフ320との間のシールを向上させることができる。
【0134】
加えてまたは代わりとして、上記引用した米国特許出願第327,821号に開示されたものと同様に、クラウン314およびガスケット部材312上に(例えば縫合カフ320上に)、1つ以上の磁石(図示せず)を設けることができる。磁石は、例えばクラウン314およびガスケット部材312の外周部まわりに磁石の磁極を配置することによって、ガスケット部材312に対してクラウン314を所望の向きに偏らせることができる。例えば、図17Cに示すように、例えば三小葉状クラウン(tri-lobular crown)314の外周部まわりに実質的に均等に6つの磁石356を配置して、クラウン部材314は各小葉状部329およびカスプ328に磁石356を有することができる。各小葉状部329の磁石356の極性(例えば負極)は、各カスプ328の磁石356の極性(例えば正極)とは反対にされている。従って、磁石356の極性は、クラウン部材314の外周部まわりで正極と負極とが交互に配されるように設けることができる。
【0135】
同様に、ガスケット部材312も、例えば、縫合カフ320の外周部まわりに実質的に均等に磁石358を有することができる。磁石358は、ガスケット部材312に対してクラウン部材314の所望の向きに対応する位置に、例えば、ガスケット部材312が移植されるべき洞腔(図示せず)の底部および連絡部に対応する領域に配置することができる。ガスケット部材312上の磁石358の極性は、クラウン314上の磁石と同様に、交互に設けることができ、それによって、クラウン314をガスケット部材312に対して所定の角度に配向して偏らせることができる。例えば、マーカ322aに隣接する磁石358を負極に配向させ、マーカ322bに隣接する磁石358を負極に配向させることができる。この構成において、クラウン部材314の磁石356は反対の極性を有するガスケット部材312の磁石358に引き付けられ、従って、小葉状部329がマーカ322aの上方に横たわり(または位置し)およびカスプ328がマーカ322b上方に横たわる(または位置する)ように、クラウン部材314は自動的に整合(または配向)される。例えばクラウン部材314がガスケット部材312に所望の角度の配向にて、クラウン部材314を洞腔の中に所望の向きで、自動的に取り付けられるように、磁石のその他の構成および/または配置を提供することができる。
【0136】
図22と23を参照すると、もう1つの実施態様において、クラウン514をガスケット部材512に取り付けるために用いることができる複数のリテーナ要素550を有する心臓弁アセンブリ510が示されている。クラウン514およびガスケット部材512は、図24A−25Bにおいてより詳細に示されるように、ガスケット部材512が複数のリテーナ要素を有するということを除いて、本明細書の他の部分に記載したいずれの実施態様をも有することができる。
【0137】
図24Aを参照すると、各リテーナ要素550は拡がったベース552を有し、そのベース552から延びるチューブ状部分554を有している。チューブ状部分554は、チューブ状部分554が所望の方法で曲がる(buckle)ことができるように、その中に形成された複数のスロット556を有している。図25Aに示す1つの実施態様において、スロット556は、レーザーカットまたはその他のカット手段(または切開手段)によって設けられた、チューブ状部分554のまわりに延びる垂直方向のパターンであってよい。別法として、図25Bに示すように、スロット556’は、チューブ状部分554’まわりに延びるダイアゴナル(斜め方向の)パターン状にカットして設けることもできる。
【0138】
各リテーナ要素550をスロット556にて所望の方法で曲がらせるために、アクチュエータ560を設けることができる。例えば、ベース552にまたはスロット556の下方に取り付けられる引張りワイヤー562を各チューブ状の部分554の中に設けることができる。引張りワイヤー562のまわりにまたは隣接させて、実質的にカラム長さを有するハイポチューブ(hypotube)またはその他のエレメント564を設けることができる。ハイポチューブ564は、チューブ状部分554に係合し得る遠位側端部556を有しており、ベース552を可動にする一方で、スロット556の上方のチューブ状部分554が実質的に静置された位置に留められるようにすることができる。
【0139】
再び図22および23を参照すると、リテーナ要素550は、ガスケット部材512に、例えば環状部材518から半径方向に延びる縫合カフ520に取り付けることができる。例えば、チューブ状部分554が縫合カフ520を通って延びるように、拡がったベース552は縫合カフ520内に埋め込むことができる。別法として、例えば、1つ以上の縫合糸またはその他のファスナー、接着剤、超音波溶接などを用いて、ベース552を縫合カフ520の外側表面に取り付けることができる。
【0140】
図23に最もよく示すように、各アクチュエータ560は、ガスケット部材512から上方へ延びており、ハイポチューブ564を越えて延びる引張りワイヤー562のハンドル568内で終端している。図22に示すように、クラウン514は、複数のレシーバーエレメント538、例えばスカート542、フレームまたはファブリック被覆に取り付けられたチューブ状の要素または開口部を有することができる。クラウン514に設けることができる典型的なレシーバーエレメント538は、上記引用した米国特許出願第10/765,725号に開示されている。レシーバー要素538はその中を通るアクチュエータ560を収容することができ、クラウン514を、例えば所望の角度の向きにて、ガスケット部材512に対してまたは隣接させて配置させるまで、アクチュエータ560の下で進入させることができる。
【0141】
例えば図24Cに示すように、ガスケット部材512に対してクラウン514を配置すると、アクチュエータ560を作動させて、ガスケット部材512にクラウン514を取り付けるために、リテーナ要素550を拡がらせることができる。図24Aおよび24Bに戻って参照すると、ハンドル568を用いて引張りワイヤー562を引く一方で、ハイポチューブ564はリテーナ要素550のチューブ状部分554が動くことを抑制することができる。この圧縮力によってチューブ状部分554にスロット556のところで曲げを生じさせ、従って図24Cに示すように、曲がって留められたチューブ状部分554と拡がったベース552との間でレシーバーエレメント538を捕捉することができる。引張りワイヤー562は、拡がったベース552に隣接して弱くなった接合部(図示せず)を有することができる。引張りワイヤー562に追加的な力が係ると、弱くなった接合部が破損し、それによって患者の身体から引張りワイヤー562およびハイポチューブ564を取り出すことができ、そしてクラウン514をガスケット部材512に取り付けることができるようにすることができる。
【0142】
図26A−28Cを参照すると、クラウンまたはその他の弁部材614をガスケット部材612に取り付けるために用いることができるコネクタ650のさらにもう1つの実施態様が示されている。図示するように、コネクタ650はフック654を有する二状態ラッチ652であってもよい。図26Aおよび26Bに示すように、ラッチ652は2つの突出部656を有する実質的に平らなクリップであってもよい。図27Aおよび27Bに示すように、突出部656の端部は互いにオーバーラップさせて、例えばスポット溶接、リベット締め、接着剤による接合などによって、固定することができる。例えばオーバーラップする端部に隣接させて、1つの端部に1つのフック654またはその他の捕捉機構(catch mechanism)を設けることができる。
【0143】
図28A−28Cを参照すると、設けられたラッチ652は、スプリング式のヘアクリップと同様にバイアスがかけられており、(図28Aおよび28Bに示す)開いた位置と閉じた位置(図28Cに示す)との間で動くことができる。本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、(図では1つだけ示しているが、)複数のラッチ652を、ガスケット部材612によって一般に規定される平面の上方にフック654が延びるように、ガスケット部材612の外周部まわりに取り付けることができる。本明細書に記載したいずれかの実施態様のように、クラウン614を図28Bに示すようにガスケット部材612に対して導くこともできるし、その際にラッチ652は、図28Cに示すように、閉じた位置へ移動し、従ってフック654の下側にクラウン614を取り付けることができる。
【0144】
図29Aを参照すると、さらに別の実施態様の心臓弁アセンブリ710が示されており、その心臓弁アセンブリ710はガスケット部材712およびクラウン714を有しており、これらは本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様のものであってもよい。図示するように、クラウン714は、クラウン714のフレーム732から半径方向外側へ延びる複数の突出部750を有することができる。ガスケット部材712は、ガスケット部材712の内部表面に、ワイヤーメッシュまたはその他のラチス752を有することができる。クラウン714をガスケット部材712に挿入して、ガスケット部材712によって全体として規定された平面内で回転させると、突出部750はメッシュ752と連結されて、ガスケット部材714に対してクラウン714を取り付ける(または固定する)ことができる。例えば、メッシュ752が複数の織り合わされた斜行繊維(diagonal thread)、ワイヤー、またはその他のフィラメントを有する場合には、突出部750をメッシュ752に連結させたままで、クラウン714を回転させることによって、メッシュを半径方向に収縮させおよび/または垂直方向に短縮させ、従ってクラウン714まわりでメッシュ752を堅く締めることができる。従って、メッシュ752は、ガスケット部材712に対してクラウン714の取り付けを向上させることができる、クラウン714まわりでの実質的なしまり嵌め(interference fit)を形成することができる。
【0145】
別法として図29Bに示すように、ガスケット部材712’はその内側表面に沿った環状の溝754’を有することができる。クラウン714’は1つ以上の突出部750’を有することができ、突出部750’は溝754’に収容されて、クラウン714’をガスケット部材712’に取り付けることができる。例えば、突出部750’は傾斜した縁部(図示せず)を有することができ、ガスケット部材712’に対してクラウン714’を回転させることによって、溝754’の中に突出部750’を導くことができる。この作用によって、溝754’の中に突出部750’が入って捕捉されるように、ガスケット部材712’の一部を半径方向外側へ十分に導くことができる。
【0146】
別法として、ガスケット部材へのクラウンの固定を促進する、その他の連結リング、例えば1つ以上の環状の突出部および/または溝(図示せず)を設けることができる。場合により、そのような連結リングは、組織内部成長を許容するために少なくとも部分的にファブリックによって被覆されていてもよく、および/または組織内部成長を向上させるマトリックスによってスプレーなどによって被覆されていてもよい。もう1つの選択肢において、連結リングまたは突出部および/または溝を異なる色の材料によって形成して、適切に連結すると、外観における色を変化させることもできる。例えば溶着、接着剤、縫合糸および/またはその他のコネクタを用いて、連結リングをクラウンおよび/またはガスケット部材に対して実質的に恒久的にまたは脱着可能に取り付けることができる。
【0147】
図30Aおよび20Bを参照すると、さらに別の実施態様の心臓弁アセンブリ810が示されており、その心臓弁アセンブリ810はガスケット部材812およびクラウン814を有しており、これらは本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様のものであってもよい。この実施態様において、ガスケット部材812は1つ以上のラッチ850を有しており、好ましくは、ガスケット部材812の外周部のまわりに複数のラッチ(図示せず)が配置されている。ラッチ850は、組織内部成長を許容するファブリック836またはその他のマトリックスによって被覆されていてもよい。弁部材814はフレーム832を有しており、該フレーム832は少なくとも部分的にファブリック835によって被覆されている。図示するように、フレーム832は、そのラッチ850に対応する位置でファブリックによって被覆されておらず、それによってラッチ850とフレーム832との連結が促進される。
【0148】
図30Bに示すように、ラッチ850は、弁部材814のフレーム832と連結するために、フック854またはその他の要素を有することができる。ラッチ850は、(図示しない)傾斜したまたはテーパー付きの上側端部を有することができ、フレーム832をガスケット部材812の方へ導く際に、フレーム832がラッチ850を少なくとも部分的に外側方向へ変形させることができる。フレーム832がフック854の下側へ通過すると、ラッチ850は内向きに弾性的に戻り、従ってガスケット部材812に対してフレーム832を固定することができる。
【0149】
図31A−32Bを参照すると、図33および34に示されたように、弁部材914をガスケット部材912に取り付けために用いることができるラッチ950のさらにもう1つの実施態様が示している。一般に、ラッチ950はワイヤー・フレーム952を有しており、ラッチ部材954はワイヤー・フレーム952に軸回転(pivotally)できるように取り付けられている。ラッチ部材954は、上側端部にフックまたはその他のラッチ要素956を有しており、下側端部には一対の傾斜タブ958を有している。ラッチ部材954は、図31Aおよび31Bに示すような横方向または開いた位置と、図32Aおよび32Bに示すような垂直方向または閉じた位置との間で、軸まわりで回転する(pivotable)ことができる。
【0150】
開いた位置において、傾斜したタブ958は、図31Aおよび31Bに示すように、ワイヤー・フレーム952に対してラッチ部材954が自由に軸まわりで回転を行うことができるように、ワイヤー・フレーム952の前方に配置することができる。ラッチ部材954が垂直な位置(または姿勢)に導かれると、タブ958はワイヤー・フレーム952に接触し、それによってラッチ部材954がさらに垂直方向に動くことが阻止される。さらに力が適用されると、タブ958の傾斜した縁部はワイヤー・フレーム952を外側方向へ変形させて(逸れさせて)、それによって図32Aおよび32Bに示すように、タブ958がワイヤー・フレーム952の後方を通過できるようになる。タブ958がワイヤー・フレーム952の後方に配置されると、ワイヤー・フレーム952は内向きに弾性的に戻って、ラッチ部材954を係合することができる。場合により、ラッチ部材954は、ワイヤー・フレーム952を受け入れるために、片側または両側に(図31Bに示すような)溝959を有することができ、それによってラッチ部材954を閉じた位置にて実質的にロックすることができる。ワイヤー・フレーム952の剛性は、タブ958がワイヤー・フレーム952後方を比較的容易に通過することができるが、ワイヤー・フレーム952が内向きに戻ってラッチ部材954を閉じた位置に固定するために十分な弾性を有するように選択することができるが
【0151】
図33を参照すると、ガスケット部材912が示されており、これは本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様のものであってよい。図示するように、ガスケット部材912は、ガスケット部材912の外周部のまわりに拡がるワイヤー・フレーム952を有しており、ワイヤー・フレーム952には複数のラッチ部材954が軸まわりで回転し得るように取り付けられており、それによってラッチ950が供給されている。例示の目的で3つのラッチ950を示しているが、必要に応じて、これより多いまたは少ないラッチ950を設けることができると理解されるであろう。上述した実施態様と同様であってよいが、ワイヤー・フレーム952は、ファブリック被覆(図示せず)によって、および/または1つ以上の縫合糸またはその他のコネクタ(同様に図示せず)によって、ガスケット部材912に取り付けることができる。1つのワイヤー・フレーム952が示されているが、例えば1つ以上の個々のラッチに対応して、複数のワイヤー・フレーム(図示せず)を設けることもできる。
【0152】
図34を参照すると、ラッチ950を用いて、弁部材(本明細書に記載したいずれかの実施態様と同じものであってよい)914を、図33のガスケット部材912に対して取り付けることができる。ラッチ950を開いた位置にして、弁部材914をガスケット部材912に進入させることができる。弁部材914がラッチ950の縁部の下側に配置されたら、ラッチ950を作動させ、それによってフック956の下側に弁部材914の一部(例えばフレーム)を捕捉することができる。
【0153】
ラッチ950を作動させるために、各ラッチ950にはアクチュエータ960(明りょうにするために、図34には2つだけを示している)を設けることができる。図示するように、アクチュエータ960は、ラッチ部材954、例えばフック956に接続されているワイヤー962を有している。ワイヤー962は、例えば、所定の張力がワイヤー962に適用された場合に、破損し得るように強度を低下させた(または弱くした(weakened))領域によって、ラッチ部材954に対して接続されている。従って、第1の張力をワイヤー962に適用して、ラッチ950を開いた位置から閉じた位置へ動かし、その後、第2の張力を適用して、強度を低下させた領域にてワイヤー962を破断させ、それによってワイヤー962を取り除くことができる。
【0154】
別法として、ワイヤー962は2つの端部を有することができ、その一端はラッチ部材954の開口部(図示せず)を通してループにすることができる。各ラッチ950を作動させるためには、ワイヤー962の両端部を捕捉しおよび引いて、それによってラッチ部材954を引いて閉じた位置とすることができる。ラッチ950を作動させるためにワイヤー962を用いた後で、一端をリリースし、ラッチ部材954の開口部を通して引いて、ワイヤー962をリリースしおよび取り除くことができる。更なる別法として、ラッチ950の下端部を、弁部材914をガスケット部材912に向かわせる際に、弁部材914がそのラッチ950の下端部に直接的に接触し、それによってラッチ950を閉じた位置へ導くような構成とすることもできる。
【0155】
図35Aおよび35Bを参照すると、さらにもう1つの実施態様のラッチ1050が示されている。このラッチ1050を用いて、図36A−36Cに示すように、弁部材1014をガスケット部材1012に取り付けることができる。ラッチ1050は一般に変形可能なラッチ要素1052を有しており、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、例えば縫合糸1054またはその他のコネクタ(図示せず)によって、ラッチ要素1052の中間の領域にて、ガスケット部材1012に取り付けられている。ラッチ要素1052は、対向する2つの端部1056を有しており、図35Bおよび36Cに示すような実質的に平面状のまたは閉じた位置と、図35Aおよび36Aに示すように曲がった位置または開いた位置と、中間の領域のまわりで変形することもできる。
【0156】
図示する実施態様において、ラッチ要素1052は、例えばニチノール合金またはその他の弾性もしくは超弾性材料から形成される、長尺のロッド、チューブまたはその他のワイヤーと、その両端部1056の拡がったボール部とを有しており、これによってラッチ要素は「ドッグ・ボーン(dog bone)」または「カフスボタン(cuff link)」のような形状となっている。ワイヤーは、例えばガスケット部材10012から上方へ端部1056を引っ張ることによって、中間の領域のまわりで曲げることができる。両端部1056がリリースされると、ラッチ要素1052は、図35Bおよび36Cに示す閉じた位置へと、実質的にまっすぐになろうとすることができる。1つの実施態様において、ラッチ要素1052は、端部どうしがボール溶接(ball weld)によって相互に接続された複数のワイヤーの部分から形成することができる。これによって、ラッチ要素1052に一本のワイヤーを用いる場合と比べて、ワイヤーの各セクションが受けるひずみを減少させることができる。
【0157】
もう1つの実施態様において、図37Aおよび37Bに示すように、ラッチ1050’は、縫合糸1054’に取り付けられたループラッチ要素1052’を有することができる。ラッチ要素1052’は、弾性材料または超弾性材料、例えばニチノール合金を有し得るワイヤーから形成することができ、そのワイヤーはループにされて、端部が互いに例えば溶着部、しまり嵌め、機械的コネクタ、接着剤による接合などによって接続されて、ボウ・タイの形状(bow-tie shape)を供給している。別法として、ラッチ要素1052’は、チューブ状材料を薄くカットして、ループと同程度の直径を有するリングを形成することによって、形成することができる。リングは、ボウ・タイの形状に変形させたり、熱処理またはその他の処理によってボウ・タイの形状に設定したりすることができるが、ラッチ要素1052’を曲げることもできる。もう1つの別法において、ラッチ要素1052’は、平らなシート、リングまたはチューブ状材料からレーザーカットされて、ラッチ要素1052’を供給するように成形および処理されたものであってもよい。ラッチ1050と同様に、ラッチ1050’は、図37Bに示すような閉じた位置から、ラッチ部材1052’の対向する両方の端部1056’を上方へ引っ張ることによって、図37Aに示す開いた位置へ曲げることができる。
【0158】
ラッチ要素1052は閉じた位置に偏らせることもできるが、例えば保持要素1060によって、弾性的に変形させて、開いた位置に保持することもできる。図35Aおよび36Aに示すように、保持要素1060は、その中でラッチ要素1052を開いた位置で収容するための内側管腔(lumen)1062を有するチューブ状の部材、例えば実質的に硬質であるハイポチューブの部分であってもよい。ラッチ要素1052は平面の位置へ戻るように付勢され(偏らされ)得るので、ラッチ要素1052の端部1056は保持部材1060の内側壁部に対してもたれることができる。図35Bに示すように、保持部材1060を取り去る際に、ラッチ要素1052の端部1056は、リリースされるまで、保持部材1060に沿ってスライドすることができ、それによって、端部1056は閉じた位置に戻ることができる。
【0159】
図36A−36Cを参照すると、使用の間に、上述した実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材1012は、ラッチ1050を開いた位置に保持する保持部材1060によって、生体の弁輪(図示せず)に導入されて、取り付けることができる。弁部材1014は、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、収容要素1038を有することができる。収容要素1038は、弁部材1014を図36Bに示すようにガスケット部材1012の方へ向かわせる際に、各保持部材1060がその中を通過することができる部材である。図36Cに示すように、弁部材1014をガスケット部材1012に隣接させて配置すると、保有部材1060は取り外されて、ラッチ1050をリリースすることができる。ラッチ要素1052は、弁部材1014を下向きに押し付けて、弁部材1014をガスケット部材1012に対して実質的に取り付けることができる。
【0160】
図38A−39Bを参照すると、弁部材1114をガスケット部材1112に対して取り付けるために用いることができる別のスプリングラッチ1150が示されているが、これは本明細書に記載したいずれかの態様を有することができる。上述した実施態様と同様であってよいが、ラッチ1150は図38Bに示す閉じた位置と、図38Aに示す開いた位置との間で動くことができ、保持部材1160はラッチを開いた位置に拘束し得るように設けることができる。上述した実施態様とは異なって、ラッチ1150は、図38Bに最もよく示すように、ポスト1152とループ1154を有しており、ループ1154は閉じた位置においてポスト1152の上に横たわり(または位置し)および/またはポスト1152を包囲する。ループ1154は、ループに形成されたワイヤーであってもよく、そのゆるんだ端部をガスケット部材1112に取り付けることができる。ワイヤーは、ニチノール合金またはその他の弾性材料もしくは超弾性材料から形成することができ、ループ1154はポスト1152から離れるように曲げて、開いた位置とすることもできる。保持部材1160は、内側管腔1162または開いた位置でループ1154を収容するその他の凹部を有することができ、それによってループ1154を拘束することができる。
【0161】
図39Aおよび39Cを参照すると、使用の間に、上述した実施態様と同様であってよいが、ラッチ1150を保持する保持部材1160を開いた位置にして、生体の弁輪(図示せず)の中にガスケット部材1112を導入しおよび取り付けることができる。1つのラッチ1150および保持部材1160だけを示しているが、ガスケット部材1112の外周部まわりに複数のラッチ1150を設けて、各ラッチ1150は対応する保持部材1160を有するようにすることができる。弁部材1114は、収容要素1138(1つだけ示す)を有することができる。収容要素1138は、弁部材1114を図39Aに示すようにガスケット部材1112の方へ向かわせる際に、各保持部材1060がその中を通過することができる部材である。図39Bに示すように、弁部材1114をガスケット部材1112に隣接させて配置すると、保有部材1060は取り外されて、ラッチ1150をリリースすることができる。ループ1154は、ポスト1152を包囲する閉じられた位置へ弾性的に軸まわりで回転させることができ、それによって弁部材1014をガスケット部材1012に対して実質的に取り付けることができる。
【0162】
図40A−40Bを参照すると、クリップ1250のもう1つの実施態様が示されており、そのクリップ1250は複数の横断エレメント1252を有しており、その横断エレメント1252の中に開口部1254を規定している。図示するように、クリップ1250は4つの横断エレメント1252を有しており、それによってダイヤモンド形状を規定しているが、それより少ない横断エレメントで、または追加の横断エレメント(図示せず)を用いて、その他の形状を提供することもできると理解されたい。クリップ1250は、全体として水平な向きであって、内向きに変形させた第1の位置に圧縮することができ、それによってクリップ1250は、図40Aに最もよく示すように、垂直方向に延びることができる。クリップ1250は、図40Bに示すように、クリップ1250が広がって短くなった第2の位置へと偏らせる(付勢する)ことができる
【0163】
クリップ1250を第1の位置に拘束するために、上述した実施態様と同様であってよいが、内部にクリップ1250を収容するための内側管腔1262を有する保持部材1260を供給することができる。上述した実施態様とは異なって、保持部材1260はその下端部にスロット1264を有しており、図40Aに示すように、スロット1264はクリップ1250の開口部1254と位置合わせさせる(または整合させる)ことができる。例えば、スロット1264を開口部1254と位置合わせさせた状態で、クリップ1250を圧縮させて、保持部材1260の内側管腔1262の中に挿入することができる。クリップ1250のバイアス(付勢力)のために、横断エレメント1252は保持部材1260の内側壁部に当接し得るが、保持部材1260を取り外す場合に、クリップ1250はその内側壁部に沿ってスライドさせることができる。保持部材1260からリリースされたら、クリップ1250は弾性的に広がって短くなることができる。
【0164】
図41を参照すると、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、ガスケット部材1212には複数のクリップ1250を設けることができる。最初に、クリップ1250は、それぞれの(明りょうにするために、破線で示す)保持要素1260の中に拘束することができる。ガスケット部材1212は、上述した実施態様と同様に、生体の弁輪の中に導入しおよび移植することができる。その後、本明細書に記載したいずれかの実施態様と同様であってよいが、弁部材1214が、ガスケット部材1212に対して導入されおよび進入させられる。弁部材1214は、弁部材1214の外周部まわりに、例えばガスケット部材1212上のそれぞれのクリップ1250の位置に対応して、複数のボタンまたはキャッチ1238を有することができる。弁部材1214上に供給することができるキャッチ1238’の別の実施態様を、図43に示す。
【0165】
図42Aを参照すると、弁部材1214をガスケット部材1212に向かって導くときに、キャッチ1238を各保持部材1260のスロット1264の中に収容することができ、それによって、キャッチ1238をクリップ1250の開口部1254の中に位置合わせすることができる。キャッチ1238が開口部1254に収容されたら、図42Bに示すように、保持部材1260を取り外し、それによってクリップ1250は短くなり、従ってキャッチ1238をその中に捕捉することができる。クリップ1250からもたらされる圧縮力によって、弁部材1214はガスケット部材1212の方へさらに導かれ、それによってガスケット部材1212から弁部材1214が分離しようとすることが抑制される。
【0166】
図44−46を参照すると、さらに別の実施態様の心臓弁アセンブリ1310が示されており、心臓弁アセンブリ1310はガスケット部材1312およびクラウン1314を有している。上述した実施態様と同様に、ガスケット部材1312は環状リング1318と、縫合カフもしくはリング1320を有している。縫合カフ1320は、上述した実施態様と同様に、可撓性のコア1360とファブリック被覆1370を有することができ、バレーンエレメント1330は、上述した実施態様と同様に、環状部材1318とファブリック被覆1370との間に設けることができる。クラウン1314は、上述した実施態様と同様に、フレーム1332と、ストラット1335によって保持される複数の小葉状部1333とを有することができる。さらに、上述した実施態様と同様に、ガスケット部材1312および/またはクラウン1314は、ガスケット部材1312に対してクラウン1314を取り付けるために1つ以上のコネクタを有することができる。
【0167】
例えば、図44および46に示すように、ガスケット部材1312は、クラウン1314の1つ以上の領域を捕捉するかまたは固定する複数のポケット1350を有することができる。図46に最もよく示すように、各ポケット1350は、外側壁部1352とカバー1354とを有しており、それによって凹部1356を規定することができる。ポケット1350は、例えばコア1360のベース1362から、縫合カフ1320のコア1360と共に一体に成形することができる。例えば、ポケット1350およびコア1360は、シリコーンまたはその他の可撓性のもしくはセミリジッド(または半硬質(もしくは適度に硬質)(semi-rigid))の材料から、鋳造またはその他の方法で形成することができる。別法として、ポケット1350は、別途形成して、例えば接合、熱融着、連結コネクタ(図示せず)などによって、ベース1362に取り付けることができる。ポケット1350は、例えば(以下に説明するように)弁部材1314を容易に収容するために、半径方向外側へ導くために十分な可撓性を有し得るが、リリースされると元の状態に戻るために十分な弾性を有している。
【0168】
使用される間、ガスケット部材1312は、本明細書の他の部分に記載した方法および材料と同様に、組織の弁輪の中において移植されることができる。弁部材1314は、フレーム1332をガスケット部材1312に対して斜めの向きに角度付けして、組織の弁輪に、例えば自然生体弁のサイト(native tissue valve site)(図示せず)上方の洞腔の中に導入することができる。フレーム1332の一部が凹部1356の中に収容されるように、フレーム1332はポケット1350の下側に導かれる。例えば、弁部材1314の最初の2つの小葉状部を2つのポケット1350の中に導くことができ、それによって、挿入を容易にするためにポケット1350をわずかに逸れさせる(または変形させる)ことができる。その後、ガスケット部材1312の縫合カフ1320に対して弁部材1314を水平方向に導きながら、残るポケット1350を外側方向へ変形させることができる。変形させたポケット1350は、カバー1354が弁部材1314のフレーム1332を通過するように、それからリリースされることができる。従って、フレーム1332は、カバー1354の下側で凹部1356の中に取り付けられる。
【0169】
場合により、図46に示すように、ガスケット部材1312は、ベース1362から垂直方向に延びて、従って少なくとも部分的にスペース1365を規定するリム1364を有することができる。弁部材1314のフレーム1332の下側縁部1334は、例えば上述した実施態様と同様に、スペース1365の中に収容することができる。フレーム1332はリム1364に対して当接して、例えば、ガスケット部材1312に対して弁部材1314を取り付けるしまり嵌めを形成することができる。場合により、ポケット1350および/またはリム1364に加えてまたはその代わりに、その他のコネクタ(図示せず)を供給することもできる。
【0170】
本明細書のいずれかの実施態様によって示された要素または部材は特定の実施態様を説明するためのものであること、ならびに、のために典型的であることは理解されるであろうし、本明細書に開示するその他の実施態様にもまたはその他の実施態様と組み合わせても用いることができると理解されたい。
【0171】
本発明の別の形状およびその特定の実施態様を図面および本明細書に詳細に説明したが、本発明には種々の変更を加えることができる。本発明は、本明細書に開示した特定の形状または方法に限定されるのではなく、本発明は特許請求の範囲に記載する発明の範囲に含まれるすべての部分的修正、均等物および代替的態様を含むものであると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0172】
10 心臓弁アセンブリ
12 ガスケット部材
14 弁部材(クラウン)
18 アンカリング・リング
20 縫合リング(縫合カフ)
32 フレーム
218 環状リング
330 バレーンエレメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洞腔に隣接する生体の弁輪内で、既に存在している自然のまたは人工の心臓弁を交換するための人工弁を収容するプロテーゼであって、
前記生体の弁輪を包囲する組織を拡張するための、前記生体の弁輪内に移植可能な環状部材と、
前記環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフであって、前記生体の弁輪の上方の前記洞腔を包囲する組織の形状に適合可能な縫合カフと、
前記環状部材に人工弁を固定するための1つ以上のコネクタと、
を含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項2】
前記縫合カフは、前記洞腔を包囲する組織に前記縫合カフを固定するためのファスナーによって貫通可能であることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記縫合カフは、前記洞腔の形状に対応する複数の小葉状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記縫合カフの外周部およびテーパー部の少なくとも一方が前記洞腔の形状に合わせて変化するように、前記縫合カフが前記洞腔の形状に弾性的に適合できることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記縫合カフが、前記環状部材の外周部まわりに拡がるラチスを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記ラチスが、少なくとも部分的に開口部を規定する複数のリブを含むことを特徴とする請求項5に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記ラチスが、環状コアの上側表面および下側表面の少なくとも一方から延びる複数のリブを含むことを特徴とする請求項5に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記縫合カフが、該縫合カフの上側表面および下側表面の少なくとも一方から延びる複数の可撓性エレメントを含み、
前記可撓性エレメントは、前記人工弁と前記環状部材との間のシーリングを向上するために、前記環状部材に固定された人工弁の形状に適合するように圧縮可能であることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記縫合カフが、可撓性のコアと、該コアの少なくとも一部を被覆するファブリックとを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記ファブリックはまた、前記環状部材の少なくとも一部も被覆することを特徴とする請求項9に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記ファブリックの前記被覆の中で前記環状部材のまわりに拡がる可撓性スカートをさらに含み、前記可撓性スカートは、前記ファブリックの少なくとも一部を前記環状部材から離れて外側方向に付勢させる複数のバレーンエレメントを含むことを特徴とする請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記1つ以上のコネクタが前記環状部材に対して固定されたクリップを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記1つ以上のコネクタが前記環状部材上に複数の磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
心臓弁アセンブリであって、
自然弁の弁輪内に移植可能な環状プロテーゼであって、前記弁輪を包囲する組織を拡張するための環状部材および該環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフを含む環状プロテーゼと、
前記自然弁の弁輪の上方に移植するために複数の小葉状の形状を有する人工弁と、
前記環状プロテーゼに前記人工弁を固定するための1つ以上のコネクタと、
を含むことを特徴とする心臓弁アセンブリ。
【請求項15】
前記1つ以上のコネクタが、前記人工弁を前記環状プロテーゼに対して所定の向きに固定することを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項16】
前記1つ以上のコネクタが、前記人工弁の一部に係合するために前記環状プロテーゼ上にクリップを含むことを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項17】
前記人工弁を前記環状プロテーゼに固定するとき、前記縫合カフは前記人工弁の前記複数の小葉状の形状に適合するように弾性的に変形することができ、前記人工弁と前記環状プロテーゼとの間のシールを向上させることを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項18】
前記環状部材は、前記生体の弁輪内への挿入を容易に行うことができるように、半径方向内側に圧縮することができ、前記環状部材は、前記生体の弁輪を包囲する組織を拡張するために、半径方向外側に拡がるように付勢されていることを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項19】
前記環状プロテーゼは、前記環状部材の少なくとも一部を被覆するファブリックと、前記ファブリックの少なくとも一部を前記環状部材から離れて外向きに付勢するために前記ファブリックと前記環状部材との間に配置されたバレーンエレメントと、をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項20】
前記環状部材は、実質的に円形の形状を有していることを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項21】
人工弁を収容するプロテーゼであって、
生体の弁輪内に供給するための寸法を有する環状部材であって、ファブリック被覆を含む環状部材と、
前記ファブリック被覆の一部を前記環状部材から離れて外側方向に付勢するために、前記環状部材と前記ファブリック被覆との間に配置されるバレーンエレメントと、
前記環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフであって、前記生体の弁輪を包囲する解剖学的形状に弾性的に適合するコアおよび該コアの少なくとも一部を被覆するファブリックを含む縫合カフと、
弁プロテーゼに係合するための1つ以上のコネクタと、
を含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項22】
前記縫合カフは前記環状部材の上側縁部から拡がっており、前記バレーンエレメントは前記ファブリック被覆を前記環状部材の下側縁部に沿って半径方向外側に付勢させることを特徴とする請求項21に記載のプロテーゼ。
【請求項23】
心臓弁アセンブリであって、
自然弁の弁輪内に移植可能な環状プロテーゼであって、前記弁輪を包囲する組織を拡張するための環状部材を含む環状プロテーゼと、
前記自然弁の弁輪の上方に移植するための複数の小葉状の形状を有してなる人工弁と、
前記環状プロテーゼに前記人工弁を固定するための1つ以上のコネクタと、
前記人工弁と前記環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために前記環状プロテーゼおよび前記人工弁の少なくとも一方から半径方向に拡がる可撓性スカートと、
を含むことを特徴とする心臓弁アセンブリ。
【請求項24】
前記環状部材が実質的に円形の形状を有していることを特徴とする請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項25】
前記可撓性スカートが前記環状部材から半径方向外側へ拡がる縫合カフを含むことを特徴とする請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項26】
前記人工弁と前記環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、前記縫合カフが、前記人工弁の前記複数の小葉の形状に適合するように弾性的に変形することができることを特徴とする請求項25に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項27】
前記縫合カフが、生体の弁輪を包囲する解剖学的形状に弾性的に適合するコアと、該コアの少なくとも一部を被覆するファブリックとを含むことを特徴とする請求項25に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項28】
前記コアが、外周部のまわりに延びる1つ以上の外周エレメントと、前記1つ以上の外周エレメントから横断方向に延びる複数の横断エレメントとを有してなる請求項27に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項29】
前記コアが、上方に延びる複数の可撓性リブを有してなる請求項27に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項30】
前記縫合カフは、緩和した状態において、テーパーが付けられた逆円錐形状を規定し、前記コアは、前記環状部材を組織の弁輪内に供給する際に、前記縫合カフの形状が変化するのに十分な可撓性を有している請求項27に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項31】
縫合カフの形状が変化する場合に、縫合カフの少なくとも一部がより水平になり、縫合カフの別の部分がより垂直になる請求項30に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項32】
1つ以上のコネクタが、縫合カフおよび人工弁の一部を通って収容し得る複数のクリップを有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項33】
1つ以上のコネクタが、下側の人工弁の一部を収容するために、環状プロテーゼにクリップを有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項34】
1つ以上のコネクタが、人工弁および環状部材に複数の磁石を有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項35】
人工弁が3つの小葉状部を有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項36】
組織の弁輪内に移植するための心臓弁アセンブリであって、環状プロテーゼと弁部材とを有してなり、
該環状プロテーゼは、外周部を規定する環状部材を有し、該環状部材から半径方向に縫合カフが延びており、該外周部まわりに拡がるリムを有しており、
該弁部材は、弁部材を環状プロテーゼに取り付けるために、前記リムに係合する寸法で設けられた下側縁部を有している
心臓弁アセンブリ。
【請求項37】
前記リムが外周部まわりで環状プロテーゼのベースから上方へ延びる突起部を有しており、それによってその中に弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定する請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項38】
前記リムが環状プロテーゼのベースから上方へ延びる複数のタブを有しており、それによってその中に弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定する請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項39】
前記タブがその中に弁部材のフレームの一部を収容するための被覆を有してなり、弁部材を環状プロテーゼにさらに取り付けることができる請求項38に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項40】
弁部材はカスプによって分離される複数の小葉を有する複数の小葉状部を有してなり、複数のタブは複数のポケットを有しており、該複数のポケットは、該ポケットの中に小葉状部を収容するように弁部材の小葉に対応する位置にて縫合カフから拡がっている請求項38に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項41】
前記リムは、リムと係合するように弁部材の下側縁部を導くために、傾斜した上側縁部を有してなる請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項42】
弁部材の下側縁部をリムと係合するように導いたときにリムは半径方向外側へ変形することができ、そしてリムと弁部材との間にしまり嵌めを形成するために、半径方向内側に戻るようにリムが付勢されている請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項43】
弁部材が可撓性のスカートを有してなり、該可撓性のスカートは、弁部材を環状プロテーゼに取り付けるときに、弁部材と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、弁部材から半径方向に拡がる部材である請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項44】
環状プロテーゼが組織の弁輪に少なくとも部分的に対応するように十分な可撓性を有しており、弁部材と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、弁部材と環状プロテーゼとの間の凹凸に適合するように可撓性のスカートが変形することができる請求項43に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項45】
弁部材の下側縁部がリムの中に係合する前に、可撓性のスカートが縫合カフに接触するように、可撓性のスカートが弁部材から側方に拡がる請求項43に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項46】
組織の弁輪内に移植するための心臓弁アセンブリであって、
組織の弁輪内に移植するための環状プロテーゼであって、組織の弁輪の形状に対応するために少なくとも一部が十分な可撓性を有する環状プロテーゼ、
前記環状プロテーゼに取り付けることができる弁部材であって、弁部材を環状プロテーゼに取り付けたときに、弁部材と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために弁部材から拡がる可撓性のスカートを有してなる弁部材、ならびに
環状プロテーゼに弁部材を取り付けるための1つ以上のコネクタ
を有してなる心臓弁アセンブリ。
【請求項47】
前記可撓性のスカートは、組織の弁輪に少なくとも部分的に適合する環状プロテーゼによって生じる弁部材と環状プロテーゼとの間の凹凸に適合するように変形する請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項48】
前記可撓性のスカートは、フォーム材料およびファブリック材料の少なくとも1つを有してなる請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項49】
弁部材をベース部材に取り付ける前に可撓性のスカートがベース部材に接触するように、可撓性のスカートが弁部材から側方に拡がる請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項50】
1つ以上のコネクタが、クリップ、ポケットおよび磁石の少なくとも1つを有してなる請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項51】
環状部材と、該環状部材から半径方向に拡がる縫合カフとを有する環状プロテーゼ、
フレームを有する弁部材、ならびに
前記弁部材を前記環状プロテーゼに取り付けるためにフレームの一部を収容する、前記環状プロテーゼから上方に延びる複数のポケット
を有してなる心臓弁アセンブリ。
【請求項52】
複数のポケットはそれぞれ、縫合カフおよび環状部材の1つから上方へ延びる可撓性のリムと、少なくとも部分的に凹部を規定するカバーとを有しており、各リムは前記凹部に入るフレームの部分を収容するように半径方向外側へ変形することができ、フレームの部分をそれぞれのカバーにより被覆するようにリリースされると、各リムは内側へ戻るように弾性的に付勢されている請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項53】
縫合カフが、少なくとも部分的にファブリックによって被覆される可撓性のコアを有してなり、該可撓性のコアから複数のポケットが延びている請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項54】
フレームがカスプによって分離された小葉を有するように、弁部材が複数の小葉の形状を有しており、ならびに、各小葉状部が各ポケットに少なくとも部分的に収容されて弁部材を環状プロテーゼに取り付けるように、複数のポケットは環状プロテーゼの外周部まわりに間隔をおいて配置される請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項55】
弁部材を環状プロテーゼにさらに取り付けるために、複数のポケットがフレームの下側縁部に係合するリムを有してなる請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項1】
洞腔に隣接する生体の弁輪内で、既に存在している自然のまたは人工の心臓弁を交換するための人工弁を収容するプロテーゼであって、
前記生体の弁輪を包囲する組織を拡張するための、前記生体の弁輪内に移植可能な環状部材と、
前記環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフであって、前記生体の弁輪の上方の前記洞腔を包囲する組織の形状に適合可能な縫合カフと、
前記環状部材に人工弁を固定するための1つ以上のコネクタと、
を含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項2】
前記縫合カフは、前記洞腔を包囲する組織に前記縫合カフを固定するためのファスナーによって貫通可能であることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記縫合カフは、前記洞腔の形状に対応する複数の小葉状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記縫合カフの外周部およびテーパー部の少なくとも一方が前記洞腔の形状に合わせて変化するように、前記縫合カフが前記洞腔の形状に弾性的に適合できることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記縫合カフが、前記環状部材の外周部まわりに拡がるラチスを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記ラチスが、少なくとも部分的に開口部を規定する複数のリブを含むことを特徴とする請求項5に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記ラチスが、環状コアの上側表面および下側表面の少なくとも一方から延びる複数のリブを含むことを特徴とする請求項5に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記縫合カフが、該縫合カフの上側表面および下側表面の少なくとも一方から延びる複数の可撓性エレメントを含み、
前記可撓性エレメントは、前記人工弁と前記環状部材との間のシーリングを向上するために、前記環状部材に固定された人工弁の形状に適合するように圧縮可能であることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記縫合カフが、可撓性のコアと、該コアの少なくとも一部を被覆するファブリックとを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記ファブリックはまた、前記環状部材の少なくとも一部も被覆することを特徴とする請求項9に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記ファブリックの前記被覆の中で前記環状部材のまわりに拡がる可撓性スカートをさらに含み、前記可撓性スカートは、前記ファブリックの少なくとも一部を前記環状部材から離れて外側方向に付勢させる複数のバレーンエレメントを含むことを特徴とする請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記1つ以上のコネクタが前記環状部材に対して固定されたクリップを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記1つ以上のコネクタが前記環状部材上に複数の磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
心臓弁アセンブリであって、
自然弁の弁輪内に移植可能な環状プロテーゼであって、前記弁輪を包囲する組織を拡張するための環状部材および該環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフを含む環状プロテーゼと、
前記自然弁の弁輪の上方に移植するために複数の小葉状の形状を有する人工弁と、
前記環状プロテーゼに前記人工弁を固定するための1つ以上のコネクタと、
を含むことを特徴とする心臓弁アセンブリ。
【請求項15】
前記1つ以上のコネクタが、前記人工弁を前記環状プロテーゼに対して所定の向きに固定することを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項16】
前記1つ以上のコネクタが、前記人工弁の一部に係合するために前記環状プロテーゼ上にクリップを含むことを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項17】
前記人工弁を前記環状プロテーゼに固定するとき、前記縫合カフは前記人工弁の前記複数の小葉状の形状に適合するように弾性的に変形することができ、前記人工弁と前記環状プロテーゼとの間のシールを向上させることを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項18】
前記環状部材は、前記生体の弁輪内への挿入を容易に行うことができるように、半径方向内側に圧縮することができ、前記環状部材は、前記生体の弁輪を包囲する組織を拡張するために、半径方向外側に拡がるように付勢されていることを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項19】
前記環状プロテーゼは、前記環状部材の少なくとも一部を被覆するファブリックと、前記ファブリックの少なくとも一部を前記環状部材から離れて外向きに付勢するために前記ファブリックと前記環状部材との間に配置されたバレーンエレメントと、をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項20】
前記環状部材は、実質的に円形の形状を有していることを特徴とする請求項14に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項21】
人工弁を収容するプロテーゼであって、
生体の弁輪内に供給するための寸法を有する環状部材であって、ファブリック被覆を含む環状部材と、
前記ファブリック被覆の一部を前記環状部材から離れて外側方向に付勢するために、前記環状部材と前記ファブリック被覆との間に配置されるバレーンエレメントと、
前記環状部材から半径方向外側に拡がる縫合カフであって、前記生体の弁輪を包囲する解剖学的形状に弾性的に適合するコアおよび該コアの少なくとも一部を被覆するファブリックを含む縫合カフと、
弁プロテーゼに係合するための1つ以上のコネクタと、
を含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項22】
前記縫合カフは前記環状部材の上側縁部から拡がっており、前記バレーンエレメントは前記ファブリック被覆を前記環状部材の下側縁部に沿って半径方向外側に付勢させることを特徴とする請求項21に記載のプロテーゼ。
【請求項23】
心臓弁アセンブリであって、
自然弁の弁輪内に移植可能な環状プロテーゼであって、前記弁輪を包囲する組織を拡張するための環状部材を含む環状プロテーゼと、
前記自然弁の弁輪の上方に移植するための複数の小葉状の形状を有してなる人工弁と、
前記環状プロテーゼに前記人工弁を固定するための1つ以上のコネクタと、
前記人工弁と前記環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために前記環状プロテーゼおよび前記人工弁の少なくとも一方から半径方向に拡がる可撓性スカートと、
を含むことを特徴とする心臓弁アセンブリ。
【請求項24】
前記環状部材が実質的に円形の形状を有していることを特徴とする請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項25】
前記可撓性スカートが前記環状部材から半径方向外側へ拡がる縫合カフを含むことを特徴とする請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項26】
前記人工弁と前記環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、前記縫合カフが、前記人工弁の前記複数の小葉の形状に適合するように弾性的に変形することができることを特徴とする請求項25に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項27】
前記縫合カフが、生体の弁輪を包囲する解剖学的形状に弾性的に適合するコアと、該コアの少なくとも一部を被覆するファブリックとを含むことを特徴とする請求項25に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項28】
前記コアが、外周部のまわりに延びる1つ以上の外周エレメントと、前記1つ以上の外周エレメントから横断方向に延びる複数の横断エレメントとを有してなる請求項27に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項29】
前記コアが、上方に延びる複数の可撓性リブを有してなる請求項27に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項30】
前記縫合カフは、緩和した状態において、テーパーが付けられた逆円錐形状を規定し、前記コアは、前記環状部材を組織の弁輪内に供給する際に、前記縫合カフの形状が変化するのに十分な可撓性を有している請求項27に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項31】
縫合カフの形状が変化する場合に、縫合カフの少なくとも一部がより水平になり、縫合カフの別の部分がより垂直になる請求項30に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項32】
1つ以上のコネクタが、縫合カフおよび人工弁の一部を通って収容し得る複数のクリップを有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項33】
1つ以上のコネクタが、下側の人工弁の一部を収容するために、環状プロテーゼにクリップを有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項34】
1つ以上のコネクタが、人工弁および環状部材に複数の磁石を有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項35】
人工弁が3つの小葉状部を有してなる請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項36】
組織の弁輪内に移植するための心臓弁アセンブリであって、環状プロテーゼと弁部材とを有してなり、
該環状プロテーゼは、外周部を規定する環状部材を有し、該環状部材から半径方向に縫合カフが延びており、該外周部まわりに拡がるリムを有しており、
該弁部材は、弁部材を環状プロテーゼに取り付けるために、前記リムに係合する寸法で設けられた下側縁部を有している
心臓弁アセンブリ。
【請求項37】
前記リムが外周部まわりで環状プロテーゼのベースから上方へ延びる突起部を有しており、それによってその中に弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定する請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項38】
前記リムが環状プロテーゼのベースから上方へ延びる複数のタブを有しており、それによってその中に弁部材の下側縁部を収容するためのスペースを規定する請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項39】
前記タブがその中に弁部材のフレームの一部を収容するための被覆を有してなり、弁部材を環状プロテーゼにさらに取り付けることができる請求項38に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項40】
弁部材はカスプによって分離される複数の小葉を有する複数の小葉状部を有してなり、複数のタブは複数のポケットを有しており、該複数のポケットは、該ポケットの中に小葉状部を収容するように弁部材の小葉に対応する位置にて縫合カフから拡がっている請求項38に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項41】
前記リムは、リムと係合するように弁部材の下側縁部を導くために、傾斜した上側縁部を有してなる請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項42】
弁部材の下側縁部をリムと係合するように導いたときにリムは半径方向外側へ変形することができ、そしてリムと弁部材との間にしまり嵌めを形成するために、半径方向内側に戻るようにリムが付勢されている請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項43】
弁部材が可撓性のスカートを有してなり、該可撓性のスカートは、弁部材を環状プロテーゼに取り付けるときに、弁部材と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、弁部材から半径方向に拡がる部材である請求項36に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項44】
環状プロテーゼが組織の弁輪に少なくとも部分的に対応するように十分な可撓性を有しており、弁部材と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために、弁部材と環状プロテーゼとの間の凹凸に適合するように可撓性のスカートが変形することができる請求項43に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項45】
弁部材の下側縁部がリムの中に係合する前に、可撓性のスカートが縫合カフに接触するように、可撓性のスカートが弁部材から側方に拡がる請求項43に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項46】
組織の弁輪内に移植するための心臓弁アセンブリであって、
組織の弁輪内に移植するための環状プロテーゼであって、組織の弁輪の形状に対応するために少なくとも一部が十分な可撓性を有する環状プロテーゼ、
前記環状プロテーゼに取り付けることができる弁部材であって、弁部材を環状プロテーゼに取り付けたときに、弁部材と環状プロテーゼとの間のシールを向上させるために弁部材から拡がる可撓性のスカートを有してなる弁部材、ならびに
環状プロテーゼに弁部材を取り付けるための1つ以上のコネクタ
を有してなる心臓弁アセンブリ。
【請求項47】
前記可撓性のスカートは、組織の弁輪に少なくとも部分的に適合する環状プロテーゼによって生じる弁部材と環状プロテーゼとの間の凹凸に適合するように変形する請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項48】
前記可撓性のスカートは、フォーム材料およびファブリック材料の少なくとも1つを有してなる請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項49】
弁部材をベース部材に取り付ける前に可撓性のスカートがベース部材に接触するように、可撓性のスカートが弁部材から側方に拡がる請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項50】
1つ以上のコネクタが、クリップ、ポケットおよび磁石の少なくとも1つを有してなる請求項46に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項51】
環状部材と、該環状部材から半径方向に拡がる縫合カフとを有する環状プロテーゼ、
フレームを有する弁部材、ならびに
前記弁部材を前記環状プロテーゼに取り付けるためにフレームの一部を収容する、前記環状プロテーゼから上方に延びる複数のポケット
を有してなる心臓弁アセンブリ。
【請求項52】
複数のポケットはそれぞれ、縫合カフおよび環状部材の1つから上方へ延びる可撓性のリムと、少なくとも部分的に凹部を規定するカバーとを有しており、各リムは前記凹部に入るフレームの部分を収容するように半径方向外側へ変形することができ、フレームの部分をそれぞれのカバーにより被覆するようにリリースされると、各リムは内側へ戻るように弾性的に付勢されている請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項53】
縫合カフが、少なくとも部分的にファブリックによって被覆される可撓性のコアを有してなり、該可撓性のコアから複数のポケットが延びている請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項54】
フレームがカスプによって分離された小葉を有するように、弁部材が複数の小葉の形状を有しており、ならびに、各小葉状部が各ポケットに少なくとも部分的に収容されて弁部材を環状プロテーゼに取り付けるように、複数のポケットは環状プロテーゼの外周部まわりに間隔をおいて配置される請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項55】
弁部材を環状プロテーゼにさらに取り付けるために、複数のポケットがフレームの下側縁部に係合するリムを有してなる請求項51に記載の心臓弁アセンブリ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図13A】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32A】
【図32B】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図13A】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32A】
【図32B】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2012−205909(P2012−205909A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−144585(P2012−144585)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2007−558074(P2007−558074)の分割
【原出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(310019970)メドトロニック,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MEDTRONIC, INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144585(P2012−144585)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2007−558074(P2007−558074)の分割
【原出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(310019970)メドトロニック,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MEDTRONIC, INC.
【Fターム(参考)】
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