説明

テスタ機器モジュールのインストール及び構成管理を実行する方法及びシステム

【課題】モジュール式試験システムにおいて、複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント、及びテスタオペレーティングシステム(TOS)バージョンを管理する。
【解決手段】モジュール式試験システムと互換性のあるTOSバージョン、及びハードウェア試験モジュールバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントをアーカイブにインストールする。次に、ハードウェア試験モジュールバージョン及びTOSバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントについて記述するシステムプロファイルを作成し、モジュール式試験システムに対しシステムプロファイルを選択する。システムプロファイルは、1組の互換性のあるベンダソフトウェアコンポーネントと、特定のハードウェア試験モジュールバージョンを試験する選択されたTOSとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路を試験する分野に関する。特に、本発明は、テスタ機器モジュールのインストール及び構成管理を実行する方法及びシステムに関する。
【0002】
本出願は、本出願の譲受人に譲渡され且つ参照により全体として本明細書に援用される、2004年12月9日に出願された「Method and System for Performing Installation and Configuration Management of Tester Instrument Modules」と題する米国仮特許出願第60/635,094号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
試験装置のコストが高い主な理由は、従来のテスタアーキテクチャが特殊化した性質を有するということである。各テスタ製造業者は、アドバンテスト、テラダイン(Teradyne)及びアジレント(Agilent)等の会社間で互換性がないだけでなく、アドバンテストが製造するT3300、T5500及びT6600シリーズのテスタ等、一会社内のプラットフォーム間でも互換性がない多数のテスタプラットフォームを有する。これら非互換性のために、各テスタは、独自の特殊なハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントを必要とし、これら特殊なハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントは他のテスタで使用することができない。さらに、試験プログラムを1つのテスタから別のテスタに移植するため、且つサードパーティソリューションを開発するために著しい労力が必要である。或るプラットフォームに対してサードパーティソリューションが開発される場合であっても、それを異なるプラットフォームに移植し又はそこで再使用することはできない。1つのプラットフォームから別のプラットフォームへの変換プロセスは、一般に複雑で且つ誤りが発生しやすく、その結果、労力及び時間が追加され試験コストが増大する。
【0004】
特殊化したテスタアーキテクチャの別の問題は、所与のテスタに対し、すべてのハードウェア及びソフトウェアが固定の構成のままであるということである。被試験デバイス(DUT)又はICを試験するために、試験データ、信号、波形、並びに電流レベル及び電圧レベルを定義するテスタ機能とともに、DUT応答を収集しDUTに試験を合格したか又は不合格であったかを確定するテスタ機能のうちのいくつか又はすべてを使用する専用試験プログラムが開発されている。
【0005】
オープンアーキテクチャ試験システムは、従来の試験システムの上記問題に対する解決法を提供する。オープンアーキテクチャ試験システムの一例は、参照により全体として本明細書に援用される「Method and Structure to Develop a Test Program for Semiconductor Integragated Circuits」と題する米国特許出願第10/772,434号に記載されている。オープンアーキテクチャ試験システムを、多種多様のベンダハードウェア試験モジュール及びそれらの対応するDUTをサポートするように構成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかるオープンアーキテクチャ試験システムを実施する際の難題のうちの1つは、テスタオペレーティングシステム(TOS)に多数のバージョンがある可能性があるということである。さらに、各ベンダハードウェア試験モジュールには複数のバージョンがある可能性があり、ベンダハードウェア試験モジュールの各バージョンには、その対応するソフトウェアコンポーネントのバージョンがある可能性がある。テスタオペレーティングシステム、ベンダハードウェア試験モジュール及びソフトウェアコンポーネントのバージョンは、ベンダハードウェア試験モジュールにおいて試験を実行するために互いにシームレスに作業する必要がある。したがって、複数のベンダハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネントバージョン、及び多種多様のベンダハードウェア試験モジュールを使用してDUTを試験するTOSバージョンを管理することができるモジュール式試験システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施の形態において、モジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びテスタオペレーティングシステム(TOS)バージョンを管理する方法は、モジュール式試験システムと互換性のあるTOSバージョンをアーカイブにインストールすること、及び、ハードウェア試験モジュールバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントをアーカイブにインストールすることを含む。本方法はさらに、ハードウェア試験モジュールバージョン及びTOSバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントについて記述するシステムプロファイルを作成すること、モジュール式試験システムに対しシステムプロファイルを選択することであって、システムプロファイルは、1組の互換性のあるベンダソフトウェアコンポーネントと、特定のハードウェア試験モジュールバージョンを試験する選択されたTOSとを含む、選択すること、及びモジュール式試験システムにおいて選択されたTOSを起動することを含む。
【0008】
別の実施の形態において、複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びテスタオペレーティングシステム(TOS)バージョンを管理するシステムは、
少なくとも1つのサイトコントローラを制御するシステムコントローラと、
少なくとも1つのハードウェア試験モジュールを制御する少なくとも1つのサイトコントローラと、
モジュール式試験システムと互換性のあるテストオペレーティングシステムバージョンと、
ハードウェア試験モジュールバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントと、
ハードウェア試験モジュールバージョン及びTOSバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントについて記述するシステムプロファイルと、
を具備する。
【0009】
本発明の上述した特徴及び利点とともにその追加の特徴及び利点について、添付の図面と共に本発明の実施形態の詳細な説明を読んだ後により明確に理解され得るであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
テスタ機器モジュールのインストール及び構成管理を実行する方法及びシステムを提供する。以下の説明を、当業者が本発明を作成し使用することができるように提示する。特定の実施形態及び応用形態の説明は、単に例として提供する。本明細書で説明する例に対するさまざまな変更及び組合せは、当業者には容易に明らかになるであろう。また、本明細書で定義する一般原理を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の例及び適用に応用してもよい。このため、本発明は、説明され且つ示される例に限定されるように意図されておらず、本明細書で開示する原理及び特徴に一致する最も広い範囲を付与される。
【0011】
図1aは、本発明の一実施形態によるオープンアーキテクチャシステムを示す。図1aに示すように、システムコントローラ(SysC)102は、複数のサイトコントローラ(SiteC)104に結合される。システムコントローラを、ファイルにアクセスするためにネットワークに結合してもよい。各サイトコントローラは、モジュール接続イネーブラ106を通して、試験サイト110に位置する1つ又は複数の試験モジュール108を制御するように結合される。モジュール接続イネーブラ106は、接続されたハードウェアモジュール108の再構成を可能にし、また、データ転送用のバスとしての役割を果たす(パターンデータをロードする、応答データを収集する、制御を提供する等)。あり得るハードウェアインプリメンテーションには、専用接続、スイッチ接続、バス接続、リング接続及びスター接続が含まれる。モジュール接続イネーブラ106を、たとえばスイッチマトリクスによって実施してもよい。各試験サイト110は、被試験デバイス(DUT)112に関連し、DUT112は、ロードボード114を介して対応するサイトのモジュールに接続される。一実施形態では、単一サイトコントローラを複数のDUTサイトに接続してもよい。
【0012】
システムコントローラ102は、全体的なシステムマネージャとしての役割を果たす。システムコントローラ102は、サイトコントローラアクティビティを調整し、システムレベルの並列試験戦略を管理し、さらにシステムレベルのデータロギング及びエラー処理サポートとともにハンドラ/プローブ制御を提供する。動作設定に応じて、システムコントローラ102を、サイトコントローラ104の動作とは別のCPUに配置してもよい。別法として、システムコントローラ102とサイトコントローラ104とにより共通のCPUを共有してもよい。同様に、各サイトコントローラ104を、それ自体の専用CPU(中央処理装置)に配置してもよく、又は同じCPU内の別個のプロセス又はスレッドとして配置してもよい。
【0013】
個々のシステムコンポーネントを、統合されたモノリシックシステムの論理コンポーネントとみなしてもよく、必ずしも分散システムの物理コンポーネントとしてみなさなくてもよいということを理解して、システムアーキテクチャを、概念的に図1aに示す分散システムとして想定してもよい。
【0014】
図1bは、モジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法を示す。TOSの複数のバージョンと、ユーザSDK及びベンダSDKのその関連するバージョンとが、ベンダドライバソフトウェアの複数のバージョンとともにアーカイブに格納される。オープンアーキテクチャ試験システムのインストール及び構成管理(Installation and Configuration Management)(ICM)システムの目的は、ベンダが、自身のハードウェアモジュールをサポートするようにドライバソフトウェアコンポーネントを開発することができるようにすること、及び、ユーザが、テスタ又は開発プラットフォームで動作する互換性のあるベンダドライバソフトウェア及びTOSバージョンを選択することができるようにすることである。ICMシステムはまた、テスタ又は開発プラットフォームにこれらの選択された構成をインストールすること、及び任意に、選択された構成を起動することを管理する。
【0015】
ICMシステムは、オープンアーキテクチャ試験システムのTOSを管理するための要件及び管理することに関与するアクティビティについて説明する。オープンアーキテクチャ試験システムのICMには、4つの原則アクティビティが含まれる。
1.インストール
これは、オープンアーキテクチャ試験システムコンポーネントを、後に起動するか又は配備するためにアーカイブにコピーする行為を言う。
2.構成
これは、ユーザが、ICMシステムと対話することによって、ソフトウェア構成を起動に使用されるシステムプロファイルとして作成し、保存し、変更することができるようにする行為を言う。
3.起動
これは、選択されたソフトウェア構成(すなわちプロファイル)を、特定のテスタにおいてアクティブなものにする、すなわちそれを配備する行為を言う。
4.監査
これは、特定の試験システムにおいて目下アクティブなソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネントのリストを提供する行為を言う。
【0016】
本文書は、これらのアクティビティの各々に対する仕様を提供する。以下の論考において、ソフトウェア及びハードウェアそれぞれを指して、既知の略語SW及びHWを使用する。
【0017】
なお、インストール及び構成はICM特有のアクティビティ(概念的には特定のテスタに対してリモートに実行することができる)であるが、起動及び監査はテスタ特有であり、一定のオープンアーキテクチャ試験システムのTOSコンポーネント、主にオープンアーキテクチャ試験システムのテスタ制御デーモン(Tester Control Daemon)(TCD)からの支援を必要とする。このため、本文書はまた、ICMアクティビティに関与するTCD及びTOSのいくつかの面とともに、TCD自体のインストールについても説明する。この目的のために、テスタ制御及びTOSスタートアップセクションがまず、オープンアーキテクチャテスタ制御及びTOSシステムのスタートアップ手続きの説明を提供する。
【0018】
また、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア「パッチ」のリリースは、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアコンポーネントを、より総合的なソフトウェアリリースの合間に修正し強化することの必須部分である。この目的のために、ソフトウェアパッチリリースセクションは、まず、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアパッチリリースを作成し、配布し、使用する際に従う方法の説明を提供する。
【0019】
(テスタ制御及びTOSスタートアップ)
このセクションでは、オープンアーキテクチャテスタ制御及びスタートアップ手続きについて説明する。読者は、特に、オープンアーキテクチャ試験システムのシステムコントローラ(SysC)及びサイトコントローラ(複数可)(SiteC)を備える汎用分散システムとしてのTOSの編成に提示されるようなオープンアーキテクチャテスタアーキテクチャの基本に熟知しているものと想定する。
【0020】
(テスタ制御デーモン)
オープンアーキテクチャ試験システムのTOSの全般的な制御は、オープンアーキテクチャ試験システムのテスタ制御デーモン(TCD)によって実行される。TCDに対する仕様は、以下のように要約される。
【0021】
オープンアーキテクチャ試験システムのテスタ制御デーモンは、以下の機能に関与する。
システムブートアップ時の、若しくはユーザコマンドに基づく、オープンアーキテクチャ試験システムのTOSのスタートアップ及び初期化、並びにシステム初期化が成功した後の、ユーザ定義オープンアーキテクチャ試験システムアプリケーションの任意のスタートアップ。
TOSコアサービスに接続された任意のオープンアーキテクチャ試験システムアプリケーションのシャットダウンを含む、ユーザコマンドに基づく任意のオープンアーキテクチャ試験システムのTOSのシャットダウン。
システムプロファイルによって定義されるようなオープンアーキテクチャ試験システムの特定のソフトウェア構成の起動又は配備。ここで、「バージョン切替」は、本質的に目下有効なプロファイル以外のプロファイルの起動である。
【0022】
オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア構成のシステムプロファイルについて以下に説明する。これは、特定のオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア構成を定義するために必要な情報の集まり全体である。論考の残りの部分では、テスタ制御デーモンを、Windowsオペレーティングシステム(OS)で使用されるものとして言及するが、概念は一般的であり、あらゆるオープンアーキテクチャ試験システムに適用可能である。
【0023】
WindowsシステムのTCDは、SysC及び全SiteCにインストールされ且つそこで自動的に実行されるWin32サービス(それは、Windowsコントロールパネルを使用して利用可能なサービスダイアログボックスにおけるインストール済みサービスのリストに現れる)である。それは、上記機能を実行する(システムコントローラ側における)インタフェースメソッドを提供するCOMコンポーネントである。それは、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア(オンラインバージョンは、システムインテグレータによって工場出荷時にインストールされている)とは別個にインストールされ、OSブート時における自動スタートアップのためにWindowsサービスコントロールマネージャに登録される。なお、主TCDは、システムコントローラで実行しているものであるが、補助TCDは、サイトコントローラで実行し、主TCDの後援のもとに個々のサイトコントローラを立ち上げるように作業することに関与する。
【0024】
(TOS制御及び工場出荷時ディレクトリ)
デーモンを適当にインストールし機能させるために、すべてのオープンアーキテクチャ試験システムは、TOS制御コンポーネント及び工場出荷時情報を収容する標準ディレクトリ構造を有するように事前構成される。これを、以下の仕様として要約する。
すべてのオープンアーキテクチャ試験システムのシステムコントローラ及びサイトコントローラは、利用可能な場所<MAINTENANCE_ROOT>をルートとする、且つ図2aに示し表1に説明するような構造を有する、TOS制御及び工場出荷時ディレクトリ構造を有するように構成される。
【0025】
表1は、図2aに示す構造について説明する。なお、第1列に列挙するディレクトリは、<MAINTENANCE_ROOT>に関連している。
【0026】
【表1】

【0027】
<MAINTENANCE_ROOT>/binにインストールされるTCDコントローラアプリケーションは、「start(開始)」、「stop(停止)」、「activate(起動)」等の基本テスタシステム制御コマンドをTCDに送ることができる単純なコマンドラインアプリケーションであるように意図されている。Advantest T2000システムには、これらのタスクを実行するアプリケーションt2kctrlが搭載されている。
【0028】
<MAINTENANCE_ROOT>/cfgディレクトリの内容は、システムインテグレータによって異なる可能性があり、いずれの場合にも、それは、対応するTCD又はそのインストーラが機能するために必要なテスタ情報を含む。たとえば、Advantest T2000テスタシステムは、<SystemDrive>:/T2000Maintenance/cfgに以下の情報を配置する。なお、<SystemDrive>は、Windowsによって事前定義される環境変数であり、デフォルトとして、Windows2000では「C:」である。
【0029】
工場で提供されるすべてのサイトコントローラの内部システムIP名及びアドレスとともに、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア起動プロセスがその義務を遂行するために必要な任意の特別なオープンアーキテクチャ試験システムのユーザアカウント及びパスワード情報を指定する、サイトコントローラの工場出荷時構成(標準Windows INIファイルフォーマット)。このファイルは、OASISSiteInfo.iniと命名される。
【0030】
ユーザは、このファイルをオンラインシステムで変更してはならない。オフラインシステムの場合、ユーザは、必要な場合、デフォルト(SysCと同じマシンにおいて単一SiteCを指定する)からこれを変更してもよい。オンライン及びオフライン両方で使用されるシステムの場合、オンラインモードは、最初のオンライン工場出荷時構成ファイル(又は工場認可技術者がハードウェアレイアウトの変更を反映するように最も最近更新した構成ファイル)を使用する必要がある。
タイプ、名前、動作周波数等、全テスタ特性と、
工場において構成されたハードウェアモジュール及びそれらのボード特有の詳細と、
ハードウェアモジュールが接続される工場において構成されたオープンアーキテクチャ試験システムモジュール接続イネーブラ(MCE)ポートと、
各ハードウェアモジュール(ある場合)へのオープンアーキテクチャ試験システム同期化マトリクス接続と、
ハードウェアモジュールに対するテストヘッド接続と
に関する情報を含む工場出荷時仕様書(FDEF)ファイル。
【0031】
ユーザは、このファイルをオンラインシステムで変更することはできず、変更は、マシンの物理構成を変更する認可された保守要員のみが行うことができる。オフラインシステムの場合、工場出荷時仕様書ファイルは、ある場合は提供される試験例と一貫する仮想マシン構成を定義し、ユーザは、必要な場合、自身の仮想テスタを構成するようにこれを変更してもよい。オンライン及びオフラインの両方で使用されるシステムの場合、オンラインモードは、最初のオンライン工場出荷時構成ファイル(又は、工場認可技術者がハードウェアレイアウトの変更を反映するように最も最近更新した構成ファイル)を使用する必要がある。
【0032】
(テスタ状態及び状態遷移)
上述したように、TCDは、オープンアーキテクチャ試験システムのTOSを開始することに関与する。TOS立上げのメカニズムを理解するために、まずTOSがとり得る状態と、それらの間で可能な遷移とを理解することが必要である。オープンアーキテクチャテスタの状態遷移図を図2bに示す。
【0033】
図2bの状態の意味は以下の通りである。
状態0:テスタシステムはアイドル状態である。システムコントローラのTCDは実行しておらず、TOSは実行していない。
状態1:少なくともシステムコントローラにおいてTCDは実行しているが、TOSはまだ機能していない。
状態2:オープンアーキテクチャ試験システムのシステムコントローラプロセスは実行しているが、まだ初期化されておらず、TCDはすべてのサイトコントローラにおいて実行していてもいなくてもよく、オフラインモードでは、オープンアーキテクチャ試験システムのテスタエミュレータプロセスはまだ実行していない。
状態3':(オフラインモードのみ)オープンアーキテクチャ試験システムのテスタエミュレータは、(単一の指定された)サイトコントローラコンピュータにおいて実行している。
状態3:少なくともサイトコントローラ1(SITEC−1)は、正しく初期化されており、システムはデフォルトパーティション化状態であり(すなわち、すべてのハードウェアモジュールがMCEを介してSITEC−1に接続されている)、さらに、すべての指定されたサイトコントローラもまた正しく初期化されてもよい。この時点で、システムは「準備完了」状態である、すなわちテストプランロード要求を受け入れるように構成されている。
状態4:ユーザテストプランは、1つ又は複数の互換性のあるサイトコントローラに正しくロードされており、その一部として、システムはテストプラン要件に適応するように(再)パーティション化されている可能性がある。
【0034】
図2bに示す状態遷移をもたらすイベントについて後述する。ここでは、表記「t(x,y)」は、状態xから状態yへの遷移を指定する(なお、後の論考において言及するクライアントは、システムコントローラTCDのクライアントであり、TCDにおいて適当なインタフェースを接続し且つ使用する、リモート又はローカルの任意のアプリケーションであってもよい)。
t(0,0) Windowsブートプロセスからのコマンド(又は対話式の手動「開始」要求)を受け取っても、Windowsサービスコントロールマネージャは、Windowsブートアップ中にシステムコントローラにおいてTCDを始動できない。
t(0,1) Windowsブートプロセスからのコマンド(又は対話式の手動「開始」要求)を受け取ると、Windowsサービスコントロールマネージャは、システムコントローラにおいて、且つ恐らくはサイトコントローラにおいてTCDを正しく始動する。
t(1,1) TOSを「始動する」クライアントコマンドを受け取っても、システムコントローラのTCDは、TOSシステムコントローラプロセスを始動できない。
t(1,2) TOSを「始動する」クライアントコマンドを受け取ると、システムコントローラのTCDは、TOSシステムコントローラプロセスを正しく始動する。
t(2,2) TOSを「始動する」クライアントコマンドの一部として、TOSシステムコントローラプロセスの初期化が失敗する、すなわち、TOSシステムコントローラプロセスは、オフラインモードでオープンアーキテクチャ試験システムのテスタエミュレータプロセスを始動できず、又は少なくともSITEC−1においてTOSサイトコントローラプロセスを始動し初期化することができない。
t(2,3') (オフラインモードのみ)TOSを「始動する」クライアントコマンドの一部として、TOSシステムコントローラプロセスは、(単一の指定された)サイトコントローラコンピュータにおいてオープンアーキテクチャ試験システムのエミュレータプロセスを正しく始動する。
t(3',3)* (オフラインモードのみ)TOSを「始動する」クライアントコマンドの一部として、TOSシステムコントローラプロセスは、少なくともSITEC−1に対するTOSサイトコントローラプロセス(及び恐らくはすべての指定されたサイトコントローラのプロセス)を正しく始動し初期化する。
t(3',2) (オフラインモードのみ)TOSを「始動する」クライアントコマンドの一部として、TOSシステムコントローラプロセスは、少なくともSITEC−1に対するTOSサイトコントローラプロセスを始動し初期化できない(エミュレータプロセスは終了する)。
t(2,3)* (オンラインモードのみ)TOSを「始動する」クライアントコマンドの一部として、TOSシステムコントローラプロセスは、少なくともSITEC−1において(且つ恐らくはすべての指定されたサイトコントローラにおいて)TOSサイトコントローラプロセスを正しく始動し初期化する。
t(3,3) ユーザテストプランをロードするユーザコマンドを受け取っても、TOSは指定されたテストプランをロードできない。
t(3,4) テストプランをロードするユーザコマンドを受け取ると、TOSは、指定されたテストプランに関連するソケットの要件により(必要な場合)システムを正しく(再)パーティション化した後、指定されたサイトコントローラ(複数可)にテストプランを正しくロードする。
t(4,4) (同じか又は異なる)テストプランを(リ)ロードするユーザコマンドを受け取ると、TOSは、指定されたテストプランに関連するソケットの要件により(必要な場合)システムを正しく(再)パーティション化した後、指定されたサイトコントローラ(複数可)にテストプランを正しく(リ)ロードする。
t(3,1) TOSを「シャットダウン」するクライアントコマンドを受け取ると、TCDはTOSを停止する。
t(4,1) TOSを「シャットダウン」するクライアントコマンドを受け取ると、TCDは、ある場合は実行中のテストプランを停止した後にTOSを停止する。
なお、*は、その遷移に、ユーザ指定アプリケーションを始動しようと試みるTOSシステムコントローラプロセスが付随することを示し、アプリケーションはTOSの一部でないため、これらのアプリケーションのうちのいずれか又はすべてを始動できないことが正しいTOS初期化の失敗の要素とはならない。
【0035】
上に示した遷移に加えて、システムコントローラで実行されるWindows「シャットダウン」コマンド(又はシステムの物理的なパワーダウン)により、テスタは、その時点での状態に係りなく状態0にリセットされる。
【0036】
オープンアーキテクチャ試験システムのTOSが立ち上げられるプロセスは以下の通りである(環境変数OASIS_INSTALLATION_ROOT、OASIS_ACTIVE_CONFIGS、OASIS_TOS_SETUP_FILE、OASIS_TPL_SETUP_FILE、OASIS_TOOLS_SETUP_FILE、OASIS_MACHINE_DIR及びOASIS_TEMPはすでに正しく定義されており、システムプロファイルは選択されているものと想定する)。
1.システムパワーオン(又はブートアップ)時、Windowsサービスコントロールマネージャはシステムコントローラ及びサイトコントローラにおいてTCDを始動する。
2.システムコントローラのTCDは、システムプロファイルが有効であることを検証し、サイトコントローラのプロファイル指定構成、すなわちファイル$OASIS_ACTIVE_CONFIGS/OAISSys.cfgを読み出し、TOSシステムコントローラプロセスを始動する。
3.そして、TCDは、TOSシステムコントローラプロセスにおいてinitialize()メソッドを呼び出す。これにより、
a.動作モードがオフラインである場合にのみ、テスタエミュレータプロセスが(単一の指定された)サイトコントローラコンピュータにおいて始動し、
b.要求される各サイトコントローラのTCDがそのTOSサイトコントローラプロセスを始動し、
c.各TOSコントローラプロセスにおいてinitialize()メソッドが呼び出され、
d.少なくともSITEC−1が正しく初期化された後、システムがデフォルトパーティション化される(すべてのハードウェアモジュールがMCEを介してSITEC−1に接続される)。
4.そして、TCDは、目下アクティブなプロファイルにおいて自動セットアップのためにリスト化された任意のユーザアプリケーションを指定された順序で始動しようと試みる。
【0037】
ステップ00のうちのいずれかの間の失敗により、上述したような対応するシステム状態遷移をもたらす。ステップ0又は0における失敗は、Windowsイベントログに記録される。ステップ0における失敗は、TOSシステムコントローラプロセスとともにログとして記録され、それに接続するあらゆるクライアントアプリケーションが後に検索するために利用することができるようになる。
【0038】
任意の自動アプリケーションスタートアップ
上述したように、オープンアーキテクチャ試験システムは、ユーザが、正しいTOSスタートアップに続いて自動的にスタートアップされるべきアプリケーションを追加することができるようにする。OCToolによって、ユーザは、自身の選択したかかるアプリケーションをシステムプロファイルの一部として指定することができる。かかるプロファイルが特定のテスタで起動されると(すなわち、そのプロファイルによって指定された構成が最新になると)、正しいTOS初期化の完了時にステップ0上のが実行される。
【0039】
これを行うために、TCDは、ファイルOASISVer.cfgのスタートアップセクションを読み出す。これは、選択されたシステムプロファイルの属性を指定するデータファイルであり、標準Windows INIファイルフォーマットである。それは、そのセクションにおける各ラインを、新たなアプリケーションを立ち上げるコマンドラインとして扱う。アプリケーションはTOSの一部でないため、リスト化されたアプリケーションのいずれか又はすべてを立ち上げることができないことは、TOS立上げに関する限りエラー状態の要素とはならない。しかしながら、任意のかかる失敗は、TOSシステムコントローラプロセスに注記され格納される(アプリケーションが後に取り出すため)。
【0040】
インストール
オープンアーキテクチャ試験システムのインストールは、3つの主要コンポーネントのインストールを含み、これらのコンポーネントの各々は独立してインストールされる。
1.オープンアーキテクチャ試験システムのテスタ制御デーモン(TCD、オープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェア起動又は配備の機能をカプセル化する)。
2.オープンアーキテクチャ試験システムの構成ツール(OCTool)。
3.オープンアーキテクチャ試験システムのシステムソフトウェア。
【0041】
このセクションでは、これらのコンポーネントの各々に対してインストールプロセスを説明する。
【0042】
(TCDインストール)
オープンアーキテクチャ試験システムのTCDパッケージは、他のいかなるオープンアーキテクチャ試験システムコンポーネントからも独立してインストールされる。工場出荷状態の(factory-fresh)オンラインシステムの場合、TCDパッケージは通常プリインストールされる可能性がある。オフラインシステムの場合、且つTCDに対する更新全般の場合、インストーラは、システムインテグレータによって提供される可能性がある。
【0043】
Windowsでは、オープンアーキテクチャ試験システム<MNAINTENANCE_ROOT>は、必然的に、通常のWindows<SytemDrive>(「C:」ドライブであることが多い)のディレクトリとなる。それは、<SytemDrive>が、存在することが保証されているためである。たとえば、オープンアーキテクチャ試験システムのAdvantest T2000インプリメンテーションは、システムコントローラ及びサイトコントローラのディレクトリ「C:/T2000Maintenance」にルートを配置する。以下の論考では、<SystemDrive>は「C:」であるものとする。TCDパッケージのインストール中に辿るステップは以下の通りである。
1.上述したように、いくつかのコンポーネントが<MAINTENANCE_ROOT>にインストールされるため、<MAINTENANCE_ROOT>はSysC及びSiteCに存在する。
a.<MAINTENANCE_ROOT>が存在しない場合、TCDインストーラがそれを生成する。
b.サイトコントローラ工場出荷時構成ファイル(Advantest T2000システムにおけるC:/T2000Maintenance/cfg/OASISSiteInfo.ini)が存在しない場合、インストーラがまた、インストールを実行している人からの入力に基づいてそれを生成する。
c.オープンアーキテクチャ試験システム工場出荷時仕様書(FDEF)ファイル(Advantest T2000システムにおけるC:/T2000Maintenance/cfg/OASISHW.def)が存在する場合、
i.オンラインシステムの場合、それはまったく置換も変更もされず、
ii.オフラインシステムの場合、オープンアーキテクチャ試験システムで提供される例と互換性のある仮想テスタをモデル化するように意図された<FDEF-name>.<example>と命名されたプリパッケージバージョンが、<MAINTENANCE_ROOT>/cfgにコピーされ、ユーザは、既存のFDEFファイルをこのファイルと置き換えるように通知される(ユーザがオープンアーキテクチャ試験システム例で作業したい場合)。
d.FDEFファイルが存在しない場合、
i.オンラインシステムの場合、サンプルFDEFファイルがインストールされ、ユーザに対し、ユーザがインストールしたハードウェアと互換性があるようにそれを更新するよう警告される。
ii.オフラインシステムの場合、このファイルのプリパッケージバージョンが、FDEFファイルとしてインストールされる(オープンアーキテクチャ試験システムによって必要とされる標準名で)。
2.インストーラは、<SystemRoot>/system32にTCDバイナリをインストールし、あらゆる必要なCOMコンポーネント登録のためにWindowsレジストリエントリを設定する。
3.インストーラは、TCDに対し以下の構成特性を設定する。
a.AutoStart(自動始動):これは、WindowsシステムブートによってSysC TCDがオープンアーキテクチャ試験システムのTOSを自動的に始動するか(TRUE(真))又は始動しないか(FALSE(偽))を指定する。デフォルトはTRUEであり、インストールを実行している人は、必要な場合、それをFALSEに設定してもよい。
b.Mode(モード):これは、TOSがONLINE(オンライン)動作モード(適用可能な場合)で始動されるべきか又はOFFLINE(オフライン)動作モードで始動されるべきかを指定する。デフォルトはONLINEであり、インストールを実行している人は、必要な場合、それをOFFLINEに設定してもよい。
c.Configuration(構成):これは、TOSがコンポーネントのDEBUG(デバッグ)バージョンで始動されるべきか又はRELEASE(リリース)バージョンで始動されるべきかを指定する。デフォルトはRELEASEであり、インストールを実行している人は、必要な場合、それをDEBUGに設定してもよい。
4.インストーラは、TCDコントローラアプリケーション(t2kctrl)とその関連するDLLを<MAINTENANCE_ROOT>/binにインストールする。
5.オープンアーキテクチャ試験システムによって要求される以下のオペレーティングシステム環境変数の各々に対し、インストーラは、(i)それがすでに設定されているかを判断し、(ii)設定されていない場合、それをユーザ指定値に設定する。
a.OASIS_INSTALLATION_ROOT
b.OASIS_ACTIVE_CONFIGS
c.OASIS_MACHINE_DIR
d.OASIS_TEMP
6.インストーラは、<MAINTENANCE_ROOT>/bin及び$OASIS_INSTALLATION_ROOT/binをWindowsシステムPATH環境変数に追加する(Windowsの規約により、<SystemRoot>/system32はすでにシステムPATH環境変数にあると想定する)。
【0044】
なお、ステップ0上のに示すように、TCD及びそれが依存するDLLは、Windows<SystemRoot>/system32ディレクトリ(Windows2000における<SystemDrive>/WINNT/system32であり、C:/WINNT/system32であることが最も多い)にインストールされる。それはその場所がWindowsサービスの適当な動作を保証するためである。さらに、<MAINTENANCE_ROOT>は、システムが適当に機能するためにシステムコントローラ及びサイトコントローラに存在する必要がある。このため、<MAINTENANCE_ROOT>(並びに<SystemRoot>/system32のTCD及びその関連するDLL)は、これらのコンポーネントが存在するローカルディスクを再フォーマットすることが望まれる場合、注意深くバックアップがとられ且つ復元されなければならない。オープンアーキテクチャテスタの任意のシステムプロファイルの起動は、インストールされ且つテスタで利用可能であるTCDによって決まる。TCDは、本質的に、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアから独立しているため、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアのすべてのリリースと後方互換性があることが必要である。
【0045】
(OCToolインストール)
オープンアーキテクチャ試験システムの構成ツールOCToolは、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアとは別個のパッケージで配布されインストールされる。
【0046】
OCToolのインストーラによって、ユーザは、OCToolに対しインストール場所を選択することができる。OCToolによって、ユーザは、テスタから独立したオープンアーキテクチャ試験システムのシステムプロファイルを作成し保存することができる。このため、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアがインストールされるアーカイブ場所に任意の特定のテスタがアクセスすることができる限り、そのテスタに対してリモートの場所にそれを概念的にインストールすることができる。しかしながら、目下アクティブなシステムのルートである$OASIS_INSTALLATION_ROOTをルートとするディレクトリツリー内にある場所にそれをインストールしないように注意する必要がある。それは、後に、異なるプロファイルに対応するシステムを起動する結果、喪失する可能性があるためである。
【0047】
TCDのように、OCToolは本質的にオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアから独立しているため、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアのすべてのリリースと後方互換性があることが必要である。
【0048】
(オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアのインストール)
オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアのインストールとは、オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアコンポーネント(最終的にはファイル)を、オペレーティングシステム環境変数OASIS_ARCHIVE_ROOTによって定義される場所に物理的にコピーする行為を言う。この場所を、以下アーカイブと呼ぶ。アーカイブは、システムのユーザのためにオープンアーキテクチャ試験システムのベンダ及びシステムインテグレータが提供するファイルを含む。なお、これは、配備場所又はランタイム場所とは別個である。配備場所とは対照的に、アーカイブ場所は、ソフトウェアが配備されるテスタシステムで実行するTCDがアクセス可能である限り、テスタシステムから物理的にリモートであってもよい。
【0049】
インストールプロセスは、TOSコンポーネント及びベンダコンポーネントに対して同一である。各インストールされたファイルは、コンポーネントの特性を指定するコンポーネント構成レコード(Component Configuration Record)(CCR)を有する。このため、以下の2つの要件は、インストールプロセスの仕様を要約する。
オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアのインストールは、定義されたアーカイブ場所にファイルをコピーする。この場所は、環境変数OASIS_ARCHIVE_ROOTによって指定される。
アーカイブにインストールされる各ファイルには、そのファイルに必要な記述的情報を含むコンポーネント構成レコードすなわちCCRが付随する。
【0050】
このため、TOSファイル及びベンダファイルは、共通のルート下に存在する。これらのファイルは、システムプロファイルを介して管理されるためには、オープンアーキテクチャ試験システムファイル命名要件に従う。これらの要件に従うことにより、システムのファイルを、管理するために単一アーカイブディレクトリに蓄積してもよい。これは、TOSファイルとベンダがインストールしたファイルとの両方に対して当てはまる。これらの要件については次に論考する。
【0051】
ファイル命名要件
バージョン管理、切替及び監査を可能にするために、オープンアーキテクチャ試験システムにインストールされる各コンポーネント(すなわち各ファイル)は、以下のファイル命名フォーマットを使用し、それにより、名前が、同じベンダか又は異なるベンダからの他のインストールされたコンポーネントの名前と抵触することを防ぐ。
TOSコンポーネント及びベンダコンポーネントは、以下の命名フォーマットを使用する。
VendorID_ComponentName_[D_]VersionIdentifier[.ext]
【0052】
フォーマットの説明は以下の通りであり、角括弧([])内の要素は任意の項目を表す。
1.VendorID:2〜3文字のベンダ識別コード。このコードは、コンポーネントをTOSコンポーネント又はベンダ特有のコンポーネントとして識別し、ファイルの明確化を可能にする。なお、ベンダがシステムに導入するファイルを管理するのは各ベンダの責任であることに留意する。先頭文字は英数字であるべきであり、下線文字であってはならない。TOSランタイムコンポーネントは、「OAI」を識別子として使用する。VenderID部の後に下線文字「_」が続く。
2.ComponentName:コンポーネントサプライヤが選択する任意の名前。ComponentName部の後に下線文字「_」が続く。
3.D:これは任意であり、実行可能コンポーネントに適用可能である。かかるコンポーネントの場合、そのコンポーネントがデバッグダイナミックリンクライブラリ(DLL)又は実行ファイル(EXE)を表す場合にのみ、ComponentNameの後に「D」が続く。「D」がない場合は、そのコンポーネントが非デバッグバージョン(すなわち「リリース」バージョン)であることを意味する。存在する場合、「D」部の後に下線文字「_」が続く。
4.VersionIdentifier:システムに導入されるすべてのファイルの明示的なバージョニングは基本要件である。異なるオペレーティングシステム間で互換性があるように、バージョニングは、VersionIdentifierフィールドとして、ファイル名の一部として表される。このフィールドは以下のフォーマットを有する。
major.minor.patch
ここで、major、minor及びpatchの各々は、コンポーネントのそれぞれメジャーバージョン、マイナーバージョン及びパッチバージョンを表す非負整数値である。
5.ext:拡張子は、.dll、.exe、.txt、.doc等、(任意の)OS特有の識別支援である。
【0053】
なお、すべての場合において、ファイルの名前はサポートされるすべてのプラットフォーム(Windows、Linux等)において適法であることに留意する。いくつかの例は、以下の通りである。
AT_PinModule_10.01.008.dll
AT_PinModule_10.01.008_D.dll
AT_HCPowerSupplyModule_09.45.003.dll
OAI_utils_00.03.000.dll
【0054】
(インストールディレクトリ構造)
OASIS_ARCHIVE_ROOTをルートとするディレクトリ構造は、図3、図4及び図5に示す通りであり、以下のようにさらに説明する。以下の論考において、ソフトウェア開発キットを、多くの場合その略語で「SDK」と呼ぶ。また、表記「$foo」は、オペレーティングシステム環境変数fooの値を指す。インストールプロセスは以下に従う。
図3、図4及び図5に示し且つ表4において説明するように、すべてのオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアコンポーネントファイルは、$OASIS_ARCHIVE_ROOTの下の適当な場所にインストールされる。
インストール(すなわちアーカイブ)場所は、TOSを起動することが望まれるテスタシステムからアクセス可能である。
【0055】
図3、図4及び図5において、OAIと命名されたディレクトリは、オープンアーキテクチャ試験システムのTOSファイルを含み、<vendor>と命名されたディレクトリはベンダ特有のファイルを含む。各ベンダは独自のディレクトリを有し、<vendor>は一意の2〜3文字の識別子を示す(たとえば、アドバンテストのベンダディレクトリにはATが付される)。なお、各ベンダ特有のディレクトリ内で、ベンダは、それらのファイル名が一意であることを確実にする責任があることに留意する。また、ファイル名の明示的なバージョン識別子が要求されることにより、同じコンポーネントの異なるバージョンを同じ場所に格納することができることにも留意する。
【0056】
表2は、上記図で概説されるディレクトリ構造についてさらに説明する。ここでは、第1列の各ディレクトリは$OASIS_ARCHIVE_ROOTに関連する。
【0057】
【表2】

【0058】
インストールログ
ディレクトリリログはサブディレクトリインストーラを含む。この場所は以下の仕様をサポートする。
オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアのためのインストーラは、既知の場所、すなわち$OASIS_ARCHIVE_ROOT/logs/Installerにおいてインストールログを作成する。
【0059】
TOSインストールログファイルに対して使用される命名規則は、OAI_<version>.logである。ベンダインストーラは、命名規則<vendor>_<version>.logを使用する。2つのさらなる要件は以下の通りである。
インストールログは、アーカイブにコピーされる1つ1つのファイルの完全修飾パスを明示的に示すテキストファイルである。
インストーラが、コンポーネントを追加又は除去するために複数回実行される場合、インストールログは、アーカイブにコピーされるか又はアーカイブから除去されるファイルの現ステータスを示すように更新される。
【0060】
新たなコンポーネントバージョンのインストール
コンポーネントの新たなバージョンがリリースされると、コンポーネントサプライヤ(TOS又はベンダ)は、その新たなコンポーネントバージョンに対してCCRを提供する。コンポーネント構成要素のファイル名は、ファイル命名要件セクションで説明したようにコンポーネントの新たなバージョンを反映し、ファイル命名規則に従うことにより既存のファイルに上書きすることが防止される。このため、コンポーネントファイルバージョンは、アーカイブディレクトリに蓄積し続ける。
【0061】
なお、インストールパッケージ(後述するリリースグループCCRのうちの1つ、又は直接ベンダリリースに対する任意のベンダ提供リリースCCRによって示される)は、コンポーネントの現リリースバージョンを修正し又は拡張するように意図された個々のコンポーネントを含んでもよい。既存のコンポーネントの新たなバージョンは既存のコンポーネント/ファイルに置き換わらないため、いかなる既存のシステムプロファイルも実行し続けることができる。コンポーネントのパッチに対する以下の要件に留意する。
新たなパッチが利用可能となると(major.minor.patchトリプレットバージョン識別子のパッチコンポーネントにおける変更によって示されるように)、それは、TOSリリースのメジャー/マイナーバージョンと互換性がある。
【0062】
かかる「パッチ」に対する詳細なメカニズムについて、リリースグループCCR及びユーザのシステムプロファイルについて説明した後に後述する。
【0063】
構成
構成とは、ユーザがICMシステムと対話することによりオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア構成をシステムプロファイルとして作成し、保存し、変更することができるようにする行為であり、かかるシステムプロファイルは、後に特定のテスタシステムにおいて特定の構成を起動するために使用される。このセクションは、この機能を実行するためにICMによって提供されるメカニズムについて説明する。
【0064】
(コンポーネント及び構成レコード)
オープンアーキテクチャ試験システムでは、コンポーネントは、システムの別個のモジュールを表す1つ又は複数のファイル、環境設定等である。システムコンポーネントの重要なカテゴリは、システムハードウェアモジュールのソフトウェア表現であり、それらは主要コンポーネントとしてみなされる。コンポーネントの別のカテゴリは、たとえば、SDKのためのインタフェース定義ファイルである。
【0065】
単一コンポーネントCCR
上述したように、アーカイブにインストールされる各オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアコンポーネントには、ファイルの特性を指定するコンポーネント構成レコード(CCR)が付随する。このため、構成制御下にあるTOSファイル又はベンダファイルは、アーカイブにインストールされる時にCCRに関連付けられる。CCRは、アーカイブにインストールされるファイルの記述であり、そのファイル、そのバージョン番号、その関連コンポーネント、その従属性、その非互換性等に関する情報を含む。CCRは、OCToolへの入力としての役割を果たし、ユーザが試験システムにインストールされたコンポーネントのすべてを見て、制御し、追跡し、管理することができるようにする。CCRに対する命名要件は、.ccrという必須の追加の拡張子が必要であることを除き、それが記述する対応するシステムファイルに対するものと同一である。このため、ファイルAT_PinModule_0.5.1.dllのCCRは、AT_PinModule_0.5.1.dll.ccrと命名される。なお、インストールされるCCRは、インストールの最初の参照として<OASIS_ARCHIVE_ROOT>/InstallCCRにそのまま維持されることに留意する。CCRファイルは、コンポーネントファイルと同じディレクトリ場所に配置される(コンポーネントファイルはアーカイブディレクトリに関連して格納される)が、InsallCCRディレクトリに関連する。
【0066】
グループCCR
CCRを、複数のCCRを参照するグループとして表すことができる。実際には、これは、CCRは必然的に製品リリースパッケージにマップするため、それらが多くの場合にシステムに導入される主な方法である。ユーザはまた、必要な場合、プロファイルに含めるためにCCRグループ全体を選択することも可能である。
【0067】
オープンアーキテクチャ試験システムのインストールのためにいくつかの重要な必要なグループCCRがある。インストールされた各オープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアコンポーネントファイルに対するCCRのほかに、以下のリリースグループCCRが必要である。
TOSサプライヤ/システムインテグレータによって提供されるオープンアーキテクチャ試験システムのTOSリリースCCR、
システムインテグレータ又はUserSDKサプライヤによって提供されるオープンアーキテクチャ試験システムのUserSDKリリースCCR、
システムインテグレータ又はVendorSDKサプライヤによって提供されるオープンアーキテクチャ試験システムのVendorSDKリリースCCR。
【0068】
グループCCRは、以下のグループ/ファイル命名フォーマットを使用する。
VendoerID_GroupType[_UserGivenName]_VersionIdentifier.gccr
UserGivenNameは任意である。
【0069】
OAI_TOS_<version>.gccrと命名されたTOSリリースCCRは、名目的に「<version>」リリースと名称が付されたオープンアーキテクチャ試験システムTOSランタイムの全リリースの内容を記述するグループCCRである。なお、上で定義したように、<version>はVersionIdentifierである。それは、オープンアーキテクチャ試験システムTOSランタイムの「<version>」リリースをまとめて定義する個々のコンポーネントCCRすべてに対する参照を含む。このCCRのタイプは「TOS」である。
【0070】
同様に、UserSDKリリースCCR及びVenderSDKリリースCCR(それぞれOAI_USER_SDK_<version>.ccr及びOAI_VENDOR_SDK_<version>.gccr)は、オープンアーキテクチャ試験システムのユーザSDK及びベンダSDKの全リリースの内容を記述するグループCCRであり、それぞれタイプ「USER_SDK」及び「VENDER_SDK」である。
【0071】
上記必要なグループCCRに加えて、ハードウェアモジュールベンダは、関連コンポーネントのリリースを制御するグループCCRを提供するように選択してもよい。これらのグループCCRは、タイプ「VENDOR」、「USER」及び「TOOLS」である。
【0072】
単一コンポーネントCCRにおける情報
上述したように、オープンアーキテクチャ試験システムの主要コンポーネントは、ハードウェアモジュールのソフトウェア表現である。CCRの情報内容は、すべてのコンポーネントカテゴリの最も複雑なものである、かかる主要コンポーネントをサポートするために必要な属性のすべてを指定することに向けられている。かかる属性は、コンポーネントの他のより単純なカテゴリには必要でない場合が多く、そのようなカテゴリにはかかる属性の値を定義する必要はない。
【0073】
CCRに含まれる情報は表3に示すようなものである。オープンアーキテクチャ試験システム主要コンポーネントをサポートするCCRに対し、この情報を提供するのはハードウェアモジュールベンダの責任である。
【0074】
【表3】

【0075】
ベンダデジタルピンモジュールのためのドライバDLLに対し、単純な単一コンポーネントCCRファイルの例を以下に示す。
【0076】
Version 1.0;
Description "Advantest Digital Pin Module Driver";
VendorName AT;
VendorID 1;
ModuleName DM250MHz;
ModuleID 4;
FileParams "";
Function Driver;
Resource "moduletrigger{MaxAvailable = 4;}",
"dpin{MaxAvailable=32;}";
HardwareRev 1095188784;
DeployTo SYSC;
Register "N";
GroupDependency AT_VENDOR_Modules_1.0.1.0,
AT_Tools_GemTools_1.01.0;
GroupIncompat OAI_TOS(<0.5.0);
GompIncompat AT_PinModule.dll(<0.5.0);
CompType Bin;
【0077】
次は、同じベンダデジタルピンモジュールに対する較正DLLのための単一コンポーネントCCRファイルの一例である。
【0078】
Version 1.0;
Description "Advantest Digital Pin Module Calibration DLL";
VendorName AT;
VendorID 1;
ModuleName DM250MHz;
ModuleID 4;
FileParams "";
Function Calibration
[cfg/AT/AT_Cal_DM250MHz_0.5.021.algver.ini];
HardwareRev 1095188784;
DeployTo SYSC;
Register "N";
GroupIncompat OAI_TOS(<0.5.0);
【0079】
なお、Versionは、CCR記述言語のバージョンを指定し、必ずしもそれが記述する任意のコンポーネントのバージョン(複数可)に関連しない。上記第1の例のResourceフィールドは、このモジュールドライバ(DM250MHzハードウェアモジュールの場合)が、4ユニットのモジュールトリガリソースと32ユニットのdpinリソースを提供するハードウェアモジュールを駆動することができることを示す。パラメータ「cfg/AT/AT_Cal_DM250MHz_0.5.021.algver.ini」(第2の例においてCalibrationとして指定されるFunctionの場合)は、較正プログラムアルゴリズムバージョン情報を含むファイルのパス名を指定する。これは、構成データベース(CDB)へのインポート後、OCToolにより較正バンドル情報を生成するために使用される。各例におけるGroupIncompatフィールドに対する「OAI_TOS(<0.5.0)」の値は、CCRが記述するDLLが、バージョン番号が0.5.0未満であるTOSリリースグループCCRに含まれるオープンアーキテクチャ試験システムのTOSコンポーネントと互換性がないことを示す。
【0080】
グループCCRの情報
グループCCRは、個々のコンポーネントの集まりを記述するCCRか又は他のグループCCRである。グループCCRに含まれる情報を表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
以下は、オープンアーキテクチャ試験システムのTOSリリースのグループCCRの一例である。
【0083】
Version 1.0;
ComponentGroup OAI_TOS_1.1.0.029
{
Description "Open architecture test system TOS Release Package";
VendorName AT;
VendorId 1;
OAIMCFVersion ">=1.0";
OAISimVersion ">=0.9.5";
OAIOCFVersion ">=1.0.1";
Component
{
bin/OAI/OAI_Core_0.4.9.dll.ccr;
bin/OAI/OAI_StdProxy_0.3.7.dll.ccr;
...
}
}
【0084】
グループCCRのインポート
グループについて記述することに加えて、グループCCRは他のグループCCRをインポートすることができる。以下はグループCCRをインポートする一例である。
【0085】
Version 1.0;
Import OAI_USERSDK_1.0.0.1;
ComponentGroup OAI_TOS_1.1.0.029
{
Description "Open architecture test system's TOS Release Package";
VendorName AT;
VendorId 1;
OAIMCFVersion ">=1.0";
OAISimVersion ">=0.9.5";
OAIOCFVersion ">=1.0.1";
Component
{
bin/OAI/OAI_Core_0.4.9.dll.ccr;
bin/OAI/OAI_StdProxy_0.3.7.dll.ccr;
...
}
}
【0086】
(構成データベース)
ICM構成データベース(CDB)は、インストールされたすべてのCCRを通して表されるシステム構成データの集まりを保持する。CDBはまた、ユーザ作成システムプロファイル情報も保持する。CDBにおいて管理される情報は、いかなる特定のテスタインストールからも独立している。
【0087】
CDBの作成とCCRデータをそれにインポートすることとは、オープンアーキテクチャ試験システムのCDBMrgツールによって処理される。CDBMgrツールは、テスタにインストールされる必要もテスタで実行される必要もなく、それが操作する情報は特定のテスタに特化していない。しかしながら、それは、$OASIS_ARCHIVE_ROOTをルートとするディレクトリツリー内に格納されたCCRファイルを読み出す必要があるため(インポート機能)、そのディレクトリツリーにアクセスする必要がある。
【0088】
CDBの情報を使用してシステムプロファイルが作成され、それもまたCDBに格納される。これについては次に説明する。
【0089】
(システムプロファイル)
以下の要件はシステムプロファイルを指定する。
ユーザが選択するオープンアーキテクチャ試験システムのシステムプロファイルは、オープンアーキテクチャ試験システムで作業するために要求される特定のオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェア構成を定義するために必要な情報の全体の集まりである。
【0090】
システムプロファイルは、いかなる特定のテスタに特化した情報も含まず、むしろ、すべての必要な情報と、テスタで起動するためにユーザが選択するソフトウェアコンポーネントの以下のセット間の相互依存性とをカプセル化する。
ハードウェアモジュール関連ソフトウェア(ドライバ、エミュレーション、較正及び診断コンポーネント)、
オープンアーキテクチャ試験システムランタイムソフトウェア、
ユーザSDKコンポーネント(試験開発環境に必要)及び
ベンダSDKコンポーネント(モジュール開発環境に必要)。
【0091】
なお、ユーザ作成システムプロファイル情報はCDBに格納されるが、システムプロファイルを(OCToolを介して)エクスポートする行為により、プロファイルを定義するすべての関係するテスタ独立情報を含むファイルを作成することができ、それによりプロファイルをCDBの外部で利用することができるようになる。そして、これを、オープンアーキテクチャ試験システムの起動プロセスによって使用することができる。プロファイル情報が格納されるファイルはOASISVer.cfgと命名され、それは標準windows INIファイルフォーマットであり、且つデフォルトとして対応する$OASIS_ARCHIVE_ROOT/profiles/<profile_dir>ディレクトリに格納される。しかしながら、プロファイルをエクスポートしている間、ユーザは、自身が選択した任意の場所にファイルを配置するように選択することができる。
【0092】
起動中、ユーザプロファイルに格納されたテスタ独立情報は、テスタ特有情報と結合されることによりテスタのアクティブ構成を形成する。これは、$OASIS_ACTIVE_CONFIGSに格納された1組の試験環境ファイルを含む。起動については以下のセクションで説明し、そこではシステムプロファイルについて再び取り上げる。
【0093】
(OCTool)
オープンアーキテクチャ試験システムのCDBにCCRデータが取り込まれると、構成ツール(OCTool)を使用して、ユーザが作成したシステムプロファイルが作成され、保存され、変更されエクスポートされる(すなわち、CDBの外部で利用可能にされる)。
【0094】
OCToolは、テスタにインストールされる必要もテスタで実行される必要もなく、それが操作する情報は特定のテスタに特化しない。しかしながら、それは、ユーザプロファイル情報を$OASIS_ARCHIVE_ROOT/profiles/<profile_dir>に保存する必要があるため(エクスポート機能)、$OASIS_ARCHIVE_ROOTをルートとするディレクトリツリーにアクセスする必要がある。
【0095】
起動
以下の要件は、オープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェアシステム起動を指定する。オープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェアシステムの起動は
1.選択されたシステムプロファイルにおけるテスタ独立構成情報を使用し、
2.それをテスタ特有情報と結合することにより$OASIS_ACTIVE_CONFIGSにテスタアクティブ構成情報を作成し、
3.$OASIS_INSTALLATION_ROOTの下にすべてに必要なソフトウェアコンポーネント(ファイル)を配備し(すなわち、配置し登録し)、
4.ターゲットテスタにおける選択された構成によりオープンアーキテクチャ試験システムのTOSを開始する
行為である。
【0096】
オープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェアシステムの起動は、オープンアーキテクチャ試験システムのテスタ制御デーモン(TCD)の機能である。上述したように、TCDは、接続されたアプリケーションがテスタ制御コマンドを送出することができるようにするCOMインタフェースメソッドを提供する。<MAINTENANCE_ROOT>/binにインストールされるTCDコントローラアプリケーションは、「start」、「stop」、「activate」等の基本テスタシステム制御コマンドをTCDに送出することができる単純なコマンドラインアプリケーションであることを想起されたい。また、これは、Advantest T2000システムにおけるt2kctrlアプリケーションであることも想起されたい。このセクションでは、t2kctrlアプリケーションを使用して「起動」機能を実行することについて説明する。
【0097】
(前提条件)
特定のオープンアーキテクチャ試験システム構成を(選択されたプロファイルを介して)起動しようと試みる前に、以下の前提条件が満足されなければならない。
1.$OASIS_ARCHIVE_ROOTによって指定される場所は、ターゲットテスタマシンのシステムコントローラで実行しているTCDによってアクセス可能である。
2.先に定義されたオープンアーキテクチャ試験システムのシステムプロファイルは、OASISVer.cfgにエクスポートされており、$OASIS_ARCHIVE_ROOT/profiles/<profile_dir>又はユーザが選択した別の場所のいずれかにおいて入手可能であり、エクスポートされたファイルOASISVer.cfgは、ターゲットテスタマシンのシステムコントローラで実行しているTCDによってアクセス可能である。
3.環境変数OASIS_INSTALLATION_ROOT及びOASIS_TEMPが定義されている。なお、$OASIS_INSTALLATION_ROOTによって示される場所において、オープンアーキテクチャ試験システムのシステムソフトウェアの別の構成がすでに入手可能である場合、そのインストールは${OASIS_INSTALLATION_ROOT}_BAKにバックアップされ、起動プロセスは、成功した場合、$OASIS_INSTALLATION_ROOTの下に選択された新たな構成を配置することに留意する。
4.環境変数OASIS_ACTIVE_CONFIGSが定義されている。なお、このディレクトリがすでに存在し、オープンアーキテクチャ試験システムのシステムソフトウェアに対するアクティブ構成情報の別のセットがその場所ですでに入手可能である場合、そのインストールは${OASIS_ACTIVE_CONFIGS}_BAKにバックアップされ、起動プロセスは、成功した場合、$OASIS_ACTIVE_CONFIGSの下に選択された新たなアクティブな構成に対応する試験環境ファイルを作成することに留意する。
5.環境変数OASIS_MACHINE_DIRが定義されている。なお、このディレクトリがすでに存在する場合、ディレクトリ$OASIS_MACHINE_DIR/CD/bundlesが任意の既存の較正/診断(CD)バンドル記述ファイルから消去され、選択されたプロファイルに関連するCDバンドル記述ファイル(複数可)がその場所にインストールされることに留意する。
6.テスタ工場出荷時(FDEF)ファイル<MAINTENANCE_ROOT>/cfg/OASISSHW.defがシステムコントローラに存在する。このファイルは、起動プロセスに対しテスタ特有情報を提供するために必須である。
7.オープンアーキテクチャ試験システムが状態n、n>0にある、すなわち、少なくともターゲットマシンのシステムコントローラにおけるTCDが実行されている。そうでない場合、コマンド「net start T2000Svc」を発行することによりそれを始動しなければならない。
【0098】
(t2kctrlアプリケーションの使用)
以下のコマンドを使用して、ターゲットマシンのシステムコントローラから起動プロセスを呼び出してもよい。
t2kctrl switch<config><archive_location><profile-directory-name>
ここで、
<config>はDEBUG又はRELEASEのうちの一方であるべきであり、インストールされるべきソフトウェアのビルドモードを示す。
<archive_location>は、環境変数OASIS_ARCHIVE_ROOTによって示される場所のフルパス名を指定するべきである。
<profile-directory-name>は、エクスポートされたプロファイル情報が位置するプロファイルディレクトリのフルパス名を指定するべきである。
【0099】
(起動プロセス)
適当なコマンドが発行されると、起動のプロセスは以下の通りである。
1.テスタが状態≧2(10ページ参照)である場合、システムコントローラTCDはまず、システムを最終的に状態1にするTOS「シャットダウン」コマンドを発行する。この時点でいずれかのオープンアーキテクチャ試験システムアプリケーションがシステムコントローラに接続されている場合、それに対して切断するよう要求するメッセージが送出され、その状態をクリーンアップし適切に(gracefully)終了するために十分な時間が与えられるか、又は強制終了される。なお、これは、その時点でシステムコントローラに接続されていないアプリケーションに対しては適用されないことに留意する。
2.システムが状態1にになると、ある場合は$OASIS_INSTALLATION_ROOTにおける現インストールが${OASIS_INSTALLATION_ROOT}_BAKにバックアップされ、Windowsレジストリに登録されたオープンアーキテクチャ試験システム実行ファイルのすべて(表7の「Register」フィールド参照)の登録が取り消される。これは、システムコントローラとすべてのサイトコントローラとに対して行われる。
3.その後、ある場合は、$OASIS_ACTIVE_CONFIGSの現アクティブ構成情報が${OASIS_ACTIVE_CONFIGS}_BAKにバックアップされ、$OASIS_MACHINE_DIR/CD/bundles(ある場合)のCDバンドル記述ファイル(複数可)が削除される。
4.現インストール情報及びアクティブ構成情報のバックアップ(必要な場合)が正しく完了した後、TCDは、選択された(新たな)ファイルによって指定されるように、次のセクションで指定される場所に、アーカイブされたオープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェアシステムファイルをコピーする。分散環境(別々のシステムコントローラ及びサイトコントローラ(複数可))では、サイトコントローラにインストールされる必要のあるファイルもまたそれらのマシンにコピーされる。
5.そして、TCDは、システムコントローラ及びサイトコントローラ(複数可)の両方に、Windowsレジストリに登録される必要のあるすべてのオープンアーキテクチャ試験システム実行ファイルを登録する。
6.そして、選択された(新たな)プロファイルからのテスタ独立情報は、TCDにより、テスタ工場出荷時ファイル(システムコントローラの<MAINTENANCE_ROOT>/cfgディレクトリに位置する)からのテスタ特有情報と結合される。これにより、ターゲットテスタマシンにおいて新たなオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアランタイムインストールのためにアクティブ構成を定義するファイルの以下のセットが生成される。
モジュール構成ファイル, OASISModules.cfg.
シミュレーション構成ファイル, OASISSim.cfg.
システム構成ファイル, OASISSys.cfg.
オフライン構成ファイル, OASISOffline.cfg.
これらのファイルは、TCDにより$OASIS_ACTIVE_CONFIGSに配置される。
7.TCDはまた、新たなプロファイルによりシステムの内容及び構成の記録としての役割を果たす、新たなプロファイル情報ファイルOASISVer.cfgのコピーを$OASIS_ACTIVE_CONFIGSの場所に配置する。
8.最後に、TCDは、TOSスタートアッププロセスのステップ0〜0において概説されたTOS「スタートアップ」シーケンスに従うことにより、新たな構成においてTOSを始動し、それにより起動プロセスを完了する。
【0100】
なお、上記ステップのうちのいずれかを正しく実行できないことにより、オープンアーキテクチャ試験システムインストールは、起動コマンドが発行される前の構成に戻り、TCDはその構成においてTOSを再始動することに留意する。さらに、プロセス全体の詳細なログは、場所$OASIS_INSTALLATION_ROOT/logs/Deploymentに保持される。そのログはDeployment.logと命名され、TCDの「activate」コマンドが新たに呼び出される度に上書きされる。
【0101】
(配備ディレクトリ構造)
上述したように、TCDは、要求されたオープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェアファイルを、$OASIS_ARCHIVE_ROOT下のそれらのアーカイブされた場所から、ターゲットテスタの$OASIS_INSTALLATION_ROOTにおける配備又はランタイムインストールにコピーする。
【0102】
$OASIS_INSTALLATION_ROOTをルートとする、テスタのオープンアーキテクチャ試験システム配備のディレクトリ構造は、図6、図7及び図8に示す通りである。起動プロセスは以下に従う。
すべてのオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアコンポーネントファイルが、テスタマシンのランタイムの起動のために、図6、図7及び図8に示され表8において説明されるように$OASIS_INSTALLATION_ROOT下の適当な場所に配備される。
【0103】
以下の図において、OAIと命名されたディレクトリは、オープンアーキテクチャ試験システムのTOSファイルを含み、<vendor>と命名されたディレクトリはベンダ特有ファイルを含む。アーカイブ構造におけるように、各ベンダはそれ自体のディレクトリを有し、<vendor>は一意の2〜3文字識別子を示す(たとえば、AdvantestベンダディレクトリにはATが付される)。
【0104】
表5は、上記図で概説されるディレクトリ構造についてさらに説明する。ここでは、第1列の各ディレクトリは$OASIS_INSTALLATION_ROOTに関連する。
【0105】
【表5】

【0106】
ファイル名変換
起動中、ファイルがアーカイブからランタイム環境に配備されると、TCDは、ファイル名に埋め込まれたバージョン識別子を取り除く。このため、たとえば、アーカイブのファイルOAI_utils_0.1.2.dllが、ランタイムインストールのファイルOAI_utils.dllにコピーされ、アーカイブのファイルAT_Cal_DM250MHz_D_1.2.3.dllが、ランタイムインストールのファイルAT_Cal_DM250MHz_D.dllにコピーされる。
【0107】
(アクティブテスタ構成)
起動プロセスで説明したように、ターゲットテスタマシンのオープンアーキテクチャ試験システムの配備中、選択された(新たな)プロファイルからのテスタ独立情報は、TCDにより、FDEFファイルからのテスタ特有情報と併合される。これにより、ターゲットテスタマシンにおける新たなオープンアーキテクチャ試験システムソフトウェアランタイムインストールのためにアクティブ構成を定義する以下のファイルのセットが作成される。
【0108】
The Module Configuration File, OASISModules.cfg.
The Simulation Configuration File, OASISSim.cfg.
The System Configuration File, OASISSys.cfg.
The Offline Configuration File, OASISOffline.cfg.
【0109】
これらのファイルは、TCDにより$OASIS_ACTIVE_CONFIGSに配置される。なお、$OASIS_ACTIVE_CONFIGSを、$OASIS_INSTALLATION_ROOTをルートとするディレクトリツリー内の場所に設定してはならないことに留意する。
【0110】
(オープンアーキテクチャ試験システムマシンデータ)
較正/診断(CD)データ等のテスタマシン特有データは、システムコントローラにおいて環境変数OASIS_MACHINE_DIRによって示される場所の下に格納される。データのほかに、CDdataディレクトリは、サブディレクトリCD/bundlesを含み、これは、目下配備されている(すなわちアクティブな)プロファイルに関連するCDバンドル記述ファイル(複数可)を格納するために使用される。
【0111】
なお、$OASIS_MACHINE_DIRの場所のデータセットは、ユーザによって完全に保持され、特定のマシンが要求するように適当なデータセットを利用可能にするのはユーザの責任であることに留意する。しかしながら、起動プロセスは、CDバンドル記述ファイル(複数可)に関して以下の動作に関与する。
$OASIS_MACHINE_DIR/CD/bundlesの任意の既存のCDバンドル記述ファイル(複数可)が削除される。そして、新たな選択されたプロファイルのCDバンドル記述ファイル(複数可)が$OASIS_MACHINE_DIR/CD/bundlesに配備される。
【0112】
なお、$OASIS_MACHINE_DIRを、$OASIS_INSTALLATION_ROOTをルートとするディレクトリツリー内部の場所に設定してはならないことに留意する。
【0113】
監査
オープンアーキテクチャ試験システムのプロファイル監査により、ユーザは、CDBに格納された所与のプロファイルの内容を検証することができる。一方、オープンアーキテクチャ試験システム監査は、特定の試験システムにおける目下アクティブなソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネントのリスト化を提供する行為を言う。このアクティビティを可能にするために以下の機能が利用できる。
【0114】
(プロファイル監査)
これは、テスタ独立プロファイル情報に対し、2つの異なるメカニズムを通して利用可能である。
OCToolアプリケーションは、CDBに格納された選択されたプロファイルの内容を表示することができる。
所与のプロファイルをデフォルト場所$OASIS_ARCHIVE_ROOT/profiles/<profile_dir>(又はユーザが選択する別の場所)にエクスポートする行為(そのプロファイルの起動を達成することができる前に実行される)により、ファイルOASISVer.cfgが作成される。ファイルの内容は、選択されたプロファイルを完全に記述する。ファイルがプレーンテキストであり、且つ標準Windows INIファイルフォーマットであるため、情報をスキャンして所望の監査機能を提供することができる。なお、アクティブな配備において、このファイルはまた、$OASIS_ACTIVE_CONFIGSにおいても利用可能となることに留意する。
【0115】
(システム監査)
システム監査を、2つの部分、すなわち配備ソフトウェア監査とテスタハードウェア監査とに分割することができる。
【0116】
配備ソフトウェア監査
配備ソフトウェア監査は、オープンアーキテクチャ試験システムにおいて満足される以下の要件を通して容易になる。
ターゲットテスタマシンにおけるオープンアーキテクチャ試験システムのソフトウェア配備又は起動のプロセスにより、配備されるソフトウェアコンポーネントの完全な詳細を提供するプレーンテキスト配備ログが作成される。このログは、Deployment.logと命名され、システムコントローラにおいて場所<MAINTENANCE_ROOT>/log/Deploymentで入手可能となる。
【0117】
ログファイルがプレーンテキストであるため、その中の情報をスキャンして要求される監査機能を提供することができる。
【0118】
テスタハードウェア監査
テスタハードウェア監査は、オープンアーキテクチャ試験システムにおいてTOSによって満足される以下の要件を通して容易になる。
モジュール詳細情報が、TOSが始動される度にオープンアーキテクチャ試験システムハードウェアインベントリ(HWINV)ファイルフォーマットに書き込まれる。これは、システムコントローラにおいて場所<MAINTENANCE_ROOT>/cfgで入手可能となるファイルOASISHW.invに格納される。
【0119】
ハードウェアインベントリファイルがプレーンテキストであるため、その中の情報をスキャンすることにより要求される監査機能を提供することができる。
【0120】
ソフトウェアパッチリリース
上記新コンポーネントバージョンのインストールセクションにおいて説明したように、インストールパッケージは、コンポーネントの目下リリースされているバージョンを修正し又は強化するようじ意図された個々のコンポーネントを含んでもよい。かかるインストールパッケージが、それが修正するように意図されているリリースのメジャー/マイナーバージョンと互換性がある場合、そのパッケージ(ひいてはそれが関連するリリース)を「パッチ」と呼ぶ。このセクションでは、かかるパッチリリースを提供する際に実行されるステップについて説明する。
【0121】
コンポーネントの新たなバージョンがリリースされると、コンポーネントサプライヤ(TOS又はベンダ)は、その新たなコンポーネントバージョンのためのCCRを提供する。コンポーネント構成要素のファイル名は、ファイル命名要件セクションで説明したようにコンポーネントの新たなバージョンを反映し、ファイル命名規則に従うことにより、既存のファイルに上書きすることが防止される。このため、コンポーネントファイルバージョンは、アーカイブディレクトリに蓄積し続ける。既存のコンポーネントの新たなバージョンが既存のコンポーネント/ファイルに置き換わらないため、いかなる既存システムプロファイルも実行し続けることができる。
【0122】
(パッチリリースの提供)
パッチリリースを提供するステップは以下の通りである。
1.提供者(TOSサプライヤ、ベンダ又はシステムインテグレータ)は、現リリースを修正し又は強化するように意図されているコンポーネント(複数可)(のセット)を特定し作成する。一例として、OAI_core.dll及びOAI_messages.dllの更新されたバージョンを含むTOSパッチを考慮する。この場合、目下リリースされているバージョンはOAI_core_1.2.9.dll及びOAI_messages_1.2.2.dllである。現リリースに対するTOSリリースCCRをOAI_TOS_1.2.11.ccrであるとする。
2.上記セットの各コンポーネントに、システムのバージョニングされるコンポーネントを特定するmajor.minor.patchトライアドの「patch」フィールドを更新して、名前が割り当てられる。これにより、本明細書の上記例における更新されたコンポーネントを、OAI_core_1.2.10.dll及びOAI_messages_1.2.3.dllと命名してもよい。
3.更新されたバージョン情報を反映して、更新されたコンポーネントの各々に対し新たなパッチCCRが作成される。これにより、本明細書の上記例におけるコンポーネントに対する更新されたCCRは、OAI_core_1.2.10.dll.ccr及びOAI_messages_1.2.3.dll.ccrであってもよい。
4.現リリースに対して使用されている最初のグループCCRに置き換わるために新たなリリースグループCCRが作成される。このCCRは、更新されたコンポーネントに対する新たなCCR(複数可)のセットに対して更新された参照(本明細書の例では、OAI_core_1.2.10.dll.ccr及びOAI_messages_1.2.3.dll.ccr)を含み、グループの他のすべてのコンポーネントに対する参照は、現リリースに対するものと同じままである。この新たなグループCCRに対しても、検討中のパッケージの集合的な「<version>」リリースを名目的に特定するmajor.minor.patchトライアドにおける「patch」フィールドに対して更新を有する<version>番号が与えられる。このため、本明細書の例では、この新たなリリースグループCCRをOAI_TOS_1.2.11.ccrと命名してもよい。
5.サプライヤは、更新されたコンポーネントと、それらの更新された個々のCCRと、パッケージ全体に対する新たなリリースグループCCRとからなるオープンアーキテクチャ試験システムのアーカイブインストールパッケージを作成する。このパッケージは、特定されたコンポーネントに対する総合パッチとして配信される。
【0123】
(パッチリリースの使用)
ユーザ側において、パッチをインストールし、構成し、且つ起動する手続きは以下の通りである。
1.ユーザは、パッチパッケージの内容をオープンアーキテクチャ試験システムインストールアーカイブ場所にインストールする。
2.ユーザは、まず使用するつもりであるプロファイルを呼び戻し、それを、新たなリリースグループCCR(及び、それにより、更新されたコンポーネントに対する個々のコンポーネントCCR)を使用するように変更し(又はそれを新たなプロファイルの基礎として使用し)、結果としての変更された(又は新たな)プロファイルを保存することによって、パッチを構成する。
3.最後に、ユーザは、上記変更された(又は新たな)プロファイルを採用して、t2kctrlツールを使用してパッチを起動する。
【0124】
(ハードウェアのみの(Hardware-Only)パッチ)
ハードウェアサプライヤは、対応するソフトウェアを更新する必要なく、ハードウェアバージョンを更新する必要がある場合がある。かかる場合、ソフトウェアに対する既存のCCRは、新たなハードウェアバージョンに対する正しい互換性情報を含まない。
【0125】
ハードウェアのみのパッチ(HOP)とは、ハードウェア/ソフトウェア互換性関係を更新することを目的とする、更新されたCCRのリリースを言う。これらのCCRがデータベースにインポートされると、プロファイルは新たな互換性情報で更新される場合がある。かかるCCRは通常通り作成され、いかなるソフトウェアもなしにパッケージとして配布されてもよい。ユーザがこれらの新たなCCRを受け取ると、新たなCCRを処理するためにパッチをインストールし、構成し、起動する手続きが使用される。
【0126】
上記説明では、明確にするために異なる機能ユニット及びプロセッサに関して本発明の実施形態について説明した、ということが理解されよう。しかしながら、本発明から逸脱することなく、異なる機能ユニット又はプロセッサ間の機能の任意の適当な分散を使用してもよい、ということが明らかとなろう。たとえば、別々のプロセッサ又はコントローラによって実行されるように示される機能を、同じプロセッサ又はコントローラによって実行してもよい。このため、特定の機能ユニットについて言及する場合、それは、厳密な論理的又は物理的な構造又は編成を示すのではなく、単に説明した機能を提供するための適当な手段を言及するものとして判断されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明を、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組合せを含む任意の適当な形態で実施することができる。本発明を任意で、部分的に、1つ又は複数のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサで実行するコンピュータソフトウェアとして実施してもよい。本発明の実施形態の要素及びコンポーネントを、任意の適当な方法で物理的に、機能的に、且つ論理的に実施してもよい。実際に、機能を、単一ユニットで、複数のユニットで、又は他の機能ユニットの一部として実施してもよい。したがって、本発明を、単一ユニットで実施してもよく、又は異なるユニット及びプロセッサ間で物理的に且つ機能的に分散させてもよい。
【0128】
当業者は、依然として同じ基本の根本的なメカニズム及び方法を採用しながら、開示された実施形態の多くのあり得る変更及び組合せを使用してもよい、ということを認識するであろう。上述した記述は、説明の目的のために、特定の実施形態に関して述べたものである。しかしながら、上記例示的な論考は、網羅的であるように、又は本発明を開示した正確な形態に限定するようにも意図されていない。上記教示に鑑みて、多くの変更及び変形が可能である。本発明の原理とその実際的な適用とを説明するように、且つ当業者が、企図される特定の使用に適するよう、本発明及びさまざまな実施形態をさまざまな変更態様で最もよく利用することができるように、実施形態を選択し述べた。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1a】本発明の一実施形態によるオープンアーキテクチャ試験システムを示す図である。
【図1b】本発明の一実施形態によるモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法を示す図である。
【図2a】本発明の一実施形態によるTOS制御及び工場出荷時ディレクトリ構造を示す図である。
【図2b】本発明の一実施形態によるオープンアーキテクチャ試験システムの状態図を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるTOSインストールディレクトリ構造を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるユーザSDKインストールディレクトリ構造を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるベンダSDKインストールディレクトリ構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるTOS配備ディレクトリ構造を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態によるユーザSDK配備ディレクトリ構造を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によるベンダSDK配備ディレクトリ構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びテスタオペレーティングシステム(TOS)バージョンを管理する方法であって、前記モジュール式試験システムは、少なくとも1つのサイトコントローラを制御するシステムコントローラを備え、該少なくとも1つのサイトコントローラは少なくとも1つのハードウェア試験モジュールを制御し、該方法は、
前記モジュール式試験システムと互換性のある前記TOSバージョンをアーカイブにインストールすること、
前記ハードウェア試験モジュールバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントを前記アーカイブにインストールすること、
前記ハードウェア試験モジュールバージョン及び前記TOSバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントについて記述するシステムプロファイルを作成すること、
前記モジュール式試験システムに対しシステムプロファイルを選択することであって、該システムプロファイルは、1組の互換性のあるベンダソフトウェアコンポーネントと、特定のハードウェア試験モジュールバージョンを試験する選択されたTOSとを含む、選択すること、及び
前記システムコントローラと前記少なくとも1つのサイトコントローラとにおいて前記選択されたTOSを起動すること
を含む、モジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項2】
ベンダソフトウェアコンポーネントをインストールすることは、
前記TOSバージョンの全般的な制御を実行する試験制御デーモン(TCD)をインストールすること、及び
TOS制御ディレクトリをインストールすること
を含む、請求項1に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項3】
TOS制御ディレクトリをインストールすることは、
TCDコントローラアプリケーションとそれらの関連するダイナミックリンクライブラリとを格納するビンディレクトリをインストールすること、
前記テスタの工場出荷時設定に関連する構成ファイルを格納する構成ディレクトリをインストールすること、
TCD及び工場出荷時ドキュメンテーションを格納するドキュメンテーションディレクトリをインストールすること、及び
前記TCDの動作を格納するインストールログディレクトリをインストールすること
を含む、請求項2に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項4】
前記インストールログディレクトリは、
前記アーカイブにコピーされる各ファイルに対するパスと、
前記アーカイブにコピーされるか又は該アーカイブから除去されるファイルのステータスと、
を含む、請求項3に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項5】
ベンダソフトウェアコンポーネントをインストールすることは、
単一コンポーネント構成レコード(単一CCR)をインストールすること、及び
グループコンポーネント構成レコード(グループCCR)をインストールすること
をさらに含む、請求項1に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項6】
前記単一CCRは、
ソフトウェアコンポーネントのベンダ名と、
該ソフトウェアコンポーネントのベンダ識別子と
を含む、請求項5に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項7】
前記グループCCRは、
該グループCCRによって表される前記コンポーネントのグループの記述と、
前記グループCCRのベンダ名と、
前記グループCCRのベンダ識別子と
を含む、請求項5に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項8】
前記システムプロファイルは、
前記ハードウェア試験モジュールバージョンに特有のソフトウェアコンポーネントと、
ユーザソフトウェア配備キット(ユーザSDK)と、
ベンダソフトウェア配備キット(ベンダSDK)と
を含む、請求項1に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項9】
前記ハードウェア試験モジュールバージョンに特有の前記ソフトウェアコンポーネントは、
デバイスドライバと、
エミュレーションソフトウェアコンポーネントと、
較正ソフトウェアコンポーネントと、
診断ソフトウェアコンポーネントと
を含む、請求項8に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項10】
前記選択されたTOSを起動することは、
該選択されたTOSを初期化すること、及び
前記モジュール式試験システムの前記システムプロファイルから選択されたソフトウェア構成を配備すること
を含む、請求項1に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項11】
前記選択されたTOSを初期化することは、
前記システムコントローラを初期化すること、
前記サイトコントローラを初期化すること、及び
前記モジュール式試験システムのための前記システムプロファイルに従ってユーザアプリケーションを初期化すること
を含む、請求項10に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項12】
選択されたソフトウェア構成を配備することは、
テスタ独立構成情報をテスタ特有情報と結合することであって、それによってテスタアクティブ構成情報を作成する、結合すること、
所定ディレクトリ場所からソフトウェアコンポーネントを配備すること、及び
前記特定のハードウェア試験モジュールバージョンの前記選択されたソフトウェア構成を用いて前記選択されたTOSを始動すること
を含む、請求項10に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項13】
新たなベンダソフトウェアコンポーネントバージョンの既存のTOSバージョンとの互換性を検証すること
をさらに含む、請求項1に記載のモジュール式試験システムにおいて複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理する方法。
【請求項14】
複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びテスタオペレーティングシステム(TOS)バージョンを管理するモジュール式試験システムであって、
少なくとも1つのサイトコントローラを制御するシステムコントローラと、
少なくとも1つのハードウェア試験モジュールを制御する少なくとも1つのサイトコントローラと、
前記モジュール式試験システムと互換性のあるテストオペレーティングシステムバージョンと、
前記ハードウェア試験モジュールバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントと、
前記ハードウェア試験モジュールバージョン及び前記TOSバージョンに対応するベンダソフトウェアコンポーネントについて記述するシステムプロファイルと、
を具備する、複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項15】
ベンダソフトウェアコンポーネントは、
前記TOSバージョンの全般的な制御を実行する試験制御デーモン(TCD)と、
TOS制御ディレクトリと
を含む、請求項14に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項16】
前記TOS制御ディレクトリは、
TCDコントローラアプリケーションとそれらの関連するダイナミックリンクライブラリとを格納するビンディレクトリと、
前記テスタの工場出荷時設定に関連する構成ファイルを格納する構成ディレクトリと、
TCD及び工場出荷時ドキュメンテーションを格納するドキュメンテーションディレクトリと、
前記TCDの動作を格納するインストールログディレクトリと
を含む、請求項15に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項17】
前記インストールログディレクトリは、
アーカイブにコピーされる各ファイルに対するパスと、
前記アーカイブにコピーされるか又は該アーカイブから除去されるファイルのステータスと、
を含む、請求項16に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項18】
前記ベンダソフトウェアコンポーネントは、
単一コンポーネント構成レコード(単一CCR)と、
グループコンポーネント構成レコード(グループCCR)と
をさらに含む、請求項14に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項19】
前記単一CCRは、
ソフトウェアコンポーネントのベンダ名と、
該ソフトウェアコンポーネントのベンダ識別子と
を含む、請求項18に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項20】
前記グループCCRは、
該グループCCRによって表される前記コンポーネントのグループの記述と、
前記グループCCRのベンダ名と、
前記グループCCRのベンダ識別子と
を含む、請求項18に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項21】
前記システムプロファイルは、
前記ハードウェア試験モジュールバージョンに特有のソフトウェアコンポーネントと、
ユーザソフトウェア配備キット(ユーザSDK)と、
ベンダソフトウェア配備キット(ベンダSDK)と
を含む、請求項14に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。
【請求項22】
前記ハードウェア試験モジュールバージョンに特有の前記ソフトウェアコンポーネントは、
デバイスドライバと、
エミュレーションソフトウェアコンポーネントと、
較正ソフトウェアコンポーネントと、
診断ソフトウェアコンポーネントと
を含む、請求項21に記載の複数のハードウェア試験モジュールバージョン、ソフトウェアコンポーネント及びTOSバージョンを管理するモジュール式試験システム。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−64425(P2009−64425A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−203817(P2008−203817)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【分割の表示】特願2006−515518(P2006−515518)の分割
【原出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.Linux
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】