説明

テストインジケータ

【課題】組立作業を熟練を必要とせずに簡単に行うことができるとともに、高精度化が実現可能なテストインジケータを提供する。
【解決手段】本体ケース10A〜10Dと、この本体ケース10A〜10D内に収納されるムーブメントユニット20と、ダイヤルユニット40とを備える。ムーブメントユニットは、ムーブメントフレーム21に揺動可能に支持された測定子24と、ムーブメントフレームに回転可能に支持されたクラウンギヤ26と、測定子の揺動量を拡大してクラウンギヤの回転量に伝達する拡大伝達機構とを含んで構成される。ダイヤルユニットは、ダイヤルフレーム41に回転可能に設けられた指針42と、指針の回動領域に沿って設けられた目盛板43と、クラウンギヤの回転を指針に伝達するピニオン44とを含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定子の揺動量を指針の回転量として表示するテストインジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
測定子の揺動量を指針の回転量として表示するテストインジケータのなかには、ムーブメントをユニット化した構造のものが知られている(特許文献1の図6〜8の従来例参照)。
これは、本体ケースと、この本体ケースに揺動可能に支持された測定子と、本体ケースに取り付けられたダイヤルユニットと、本体ケース内に収納され測定子の揺動運動を拡大してダイヤルユニットに伝達するムーブメントとを備える。
本体ケースには、先端に測定子を挿入するための測定子挿入口および測定子の軸部を揺動可能に支持するための軸受が形成されているとともに、内部にムーブメントを収納するための凹部が形成されている。
【0003】
測定子は、中間位置が本体ケースに揺動可能に支持されるとともに、この支点よりも先端側に接触球を有し、基端側に第1アームを有する。
ダイヤルユニットは、ユニット本体と、このユニット本体に回転可能に設けられた指針と、ユニット本体に指針の回動領域に沿って設けられた目盛板と、指針の軸に取り付けられたピニオンとを含んで1つのユニットとして構成されている。
ムーブメントは、一対の保持プレートと、この一対の保持プレート間に回転自在に保持されピニオンを同軸上に有するクラウンギヤと、一対の保持プレートの間に回転自在に保持され先端側にクラウンギヤのピニオンに噛合するセクターギヤを有する第2アームとから構成されている。第2アームは、基端側に本体ケースに回転自在に支持される支持軸を有し、その支持軸を挟んだ両側に第1アームに対して互いに反対側から接する一対の伝達ピンが上向きに植設されている。
【0004】
組立てに当たっては、予め、ダイヤルユニットおよびムーブメントユニットをそれぞれ組み立てておく。
最初に、ムーブメントを本体ケースの内部に収納し、本体ケースにねじ等で固定したのち、測定子挿入口から測定子を挿入し、その軸部を一対の軸受間に支持させる。このとき、第1アームの先端をムーブメントの一対の保持プレートの間から支持軸および伝達ピンに干渉しないように挿入する。
次に、本体ケースの凹部をカバー等で塞いだのち、最後に、本体ケースの長辺側側面にダイヤルユニットを組付ける。このとき、ダイヤルユニットのピニオンがクラウンギヤに噛合するように組付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−109401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のテストインジケータの構造では、ギヤ類や第2アームなどを2枚の保持プレート間に組み込んだムーブメントを予め形成するようにしてあるから、このムーブメントを本体ケースの凹部内に組み込んだ後に、第1アームを有する測定子を本体ケースに組み込む必要がある。
しかし、この組み込み作業は、第1アームの形状が複雑な形状である上、その先端をムーブメントの2枚の保持プレートの間から支持軸および伝達ピンに干渉しないように挿入しなければならないから、きわめて熟練を必要とし、かつ、手間がかかる。
また、従来のテストインジケータでは、測定子が本体フレームに、ギヤ類や第2アームがムーブメントの2枚の保持プレートに支持される構造であるため、軸間精度が出しにくく、高精度化するには、多くの調整時間や工数がかかりコストアップになっていた。
【0007】
本発明の目的は、組立作業を熟練を必要とせずに簡単に行うことができるとともに、高精度化が実現可能なテストインジケータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のテストインジケータは、測定子の揺動量を指針の回転量として表示するテストインジケータにおいて、本体ケースと、この本体ケース内に収納されるムーブメントユニットと、前記本体ケースに取り付けられるダイヤルユニットとを備え、前記ムーブメントユニットは、ムーブメントフレームと、このムーブメントフレームに揺動可能に支持された前記測定子と、前記ムーブメントフレームに回転可能に支持された指針駆動ギヤと、前記ムーブメントフレームに設けられ前記測定子の揺動量を拡大して前記指針駆動ギヤの回転量に伝達する拡大伝達機構とを含んで1つのユニットとして構成され、前記ダイヤルユニットは、ダイヤルフレームと、このダイヤルフレームに回転可能に設けられた前記指針と、前記ダイヤルフレームに前記指針の回動領域に沿って設けられた目盛板と、前記ダイヤルフレームに支持され前記指針駆動ギヤの回転を前記指針に伝達するピニオンとを含んで1つのユニットとして構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、ムーブメントユニットが、ムーブメントフレーム、測定子、指針駆動ギヤ、拡大伝達機構を含んで1つのユニットとして構成されているから、ムーブメントユニットの組立時に測定子も一緒にムーブメントユニットに組み込むことができる。従って、測定子の組立作業を熟練を必要とせずに簡単に行うことができる。つまり、従来のように、ムーブメントを本体ケースの凹部内に組み込んだ後、第1アームを有する測定子を測定子挿入口から本体ケース内に組み込む必要がないから、これに伴う問題を解消できる。また、ムーブメントフレームに、測定子、指針駆動ギヤ、拡大伝達機構を組み付ければよいので、これらの軸間精度を出しやすい。
このようにしてムーブメントユニットを組み立てたのち、このムーブメントユニットを本体ケース内に組み込むとともに、本体ケースにダイヤルユニットを組み付け、ダイヤルユニットのピニオンをムーブメントユニットの指針駆動ギヤに噛合させれば、インジケータを組み立てることができる。従って、組立作業を熟練を必要とせずに簡単に行うことができる。
【0010】
本発明のテストインジケータにおいて、前記ムーブメントフレームは、プレス加工された一対の地板と、この一対の地板の間に保持されたスペーサとを含んで構成され、前記測定子、前記指針駆動ギヤおよび前記拡大伝達機構は、前記一対の地板間に保持されている、ことが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、ムーブメントフレームが、プレス加工された一対の地板を含んで構成され、この一対の地板間に測定子、指針駆動ギヤおよび拡大伝達機構が保持されているから、つまり、一対の地板に測定子、指針駆動ギヤ、拡大伝達機構を保持するための軸受をプレス加工することができるから、軸間精度の高い加工が行える。従って、各要素の軸間精度の高精度にできるから、高精度化を実現できる。
【0012】
本発明のテストインジケータにおいて、前記指針駆動ギヤは、前記測定子の揺動軸と平行な軸を中心として回転されるクラウンギヤで構成され、前記ピニオンは、前記クラウンギヤの回転軸に対して直交する軸を中心として回転可能に構成され、前記本体ケースは、前記クラウンギヤの異なる歯位置に臨む壁面に開口を有する複数種の本体ケースの中から選択される、ことが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、クラウンギヤとピニオンとの噛合を介して、測定子の揺動運動がダイヤルユニットの指針の回動に伝達されるため、クラウンギヤの回転軸を中心として、ピニオンを所定の角度に回転させた状態でクラウンギヤに噛合させることができる。従って、クラウンギヤとピニオンとの噛合関係を維持したまま、本体ケースに対して、ダイヤルユニットの向きを変更することができるから、本体ケースの形状を異なるものを用意しておけば、ダイヤルユニットの向きが異なるインジケータを構成できる。つまり、本体ケースのみを変えるだけで、ダイヤルユニットの向きが異なるインジケータを構成できるから、使用用途に適したテストインジケータを安価に提供できる。
【0014】
本発明のテストインジケータにおいて、前記本体ケースは、前記測定子の中立状態における測定子軸線および前記測定子の揺動軸に対して直交する壁面に前記開口を有する第1の本体ケースと、前記測定子軸線および前記揺動軸に対して傾斜する壁面に前記開口を有する第2の本体ケースと、前記測定子軸線に対して直交しかつ前記揺動軸に対して平行な壁面に前記開口を有する第3の本体ケースとが用意されている、ことが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、第1の本体ケースを用いれば、測定子の中立測定子軸線および測定子の揺動軸に対して直交する向きにダイヤルユニットの表示面を有するテストインジケータを構成できる。また、第2の本体ケースを用いれば、測定子軸線および揺動軸に対して傾斜する向きにダイヤルユニットの表示面を有するテストインジケータを構成できる。更に、第3の本体ケースを用いれば、中立測定子軸線に対して直交する向きにダイヤルユニットの表示面を有するテストインジケータを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るテストインジケータの分解斜視図。
【図2】同上実施形態の縦形テストインジケータを示す正面図および平面図。
【図3】同上実施形態の傾斜形テストインジケータを示す正面図および平面図。
【図4】同上実施形態の垂直形テストインジケータを示す正面図および平面図。
【図5】同上実施形態の横形テストインジケータを示す正面図および平面図。
【図6】同上実施形態のムーブメントユニットを示す分解斜視図。
【図7】同上実施形態の第1の本体ケースにダイヤルユニットを組み付ける様子を示す斜視図。
【図8】同上実施形態の第1の本体ケースにダイヤルユニットを組み付けた状態を示す正面図。
【図9】同上実施形態の第4の本体ケースにダイヤルユニットを組み付ける様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<全体構成の説明>
本実施形態では、図1に示すように、4種類の本体ケース10A〜10Dと、これら4種類の本体ケース10A〜10Dに共通な1種類のムーブメントユニット20と、本体ケース10A〜10Dの外表面に取り付けられる1種類のダイヤルユニット40との組み合わせにより、本体ケース10A〜10Dに対してダイヤルユニット40の向き(ダイヤルユニット40の表示面の向き)が異なる4つのタイプ、つまり、縦形テストインジケータA、傾斜形テストインジケータB、垂直形テストインジケータC、および、横形テストインジケータDを構成することができる。なお、詳細は後述するが、横形テストインジケータDのみ、ムーブメントユニット20の一部部品を変更する必要がある。
【0018】
縦形テストインジケータAは、第1の本体ケース10Aと、この第1の本体ケース10A内に収納されるムーブメントユニット20と、第1の本体ケース10Aの外表面に取り付けられるダイヤルユニット40とから構成され、図2に示すように、ムーブメントユニット20を構成する測定子24(後述する)の中立測定子軸線L(測定子24が変位しない状態における測定子24の軸線)および測定子24の揺動軸25に対して直交する向きにダイヤルユニット40の表示面が向くように、第1の本体ケース10Aに対してダイヤルユニット40が取り付けられている。
傾斜形テストインジケータBは、第2の本体ケース10Bと、この第2の本体ケース10B内に収納されるムーブメントユニット20と、第2の本体ケース10Bの外表面に取り付けられるダイヤルユニット40とから構成され、図3に示すように、中立測定子軸線Lおよび揺動軸25に対して傾斜する向きにダイヤルユニット40の表示面が向くように、第1の本体ケース10Bに対してダイヤルユニット40が取り付けられている。
【0019】
垂直形テストインジケータCは、第3の本体ケース10Cと、この第3の本体ケース10C内に収納されるムーブメントユニット20と、第3の本体ケース10Cの外表面に取り付けられるダイヤルユニット40とから構成され、図4に示すように、中立測定子軸線Lに対して直交する向きにダイヤルユニット40の表示面が向くように、第3の本体ケース10Cに対してダイヤルユニット40が取り付けられている。
横形テストインジケータDは、第4の本体ケース10Dと、この第4の本体ケース10D内に収納されるムーブメントユニット20と、第4の本体ケース10Dの外表面に取り付けられるダイヤルユニット40とから構成され、図5に示すように、中立測定子軸線Lに対して直交しかつ揺動軸25と平行な向きにダイヤルユニット40の表示面が向くように、第4の本体ケース10Dに対してダイヤルユニット40が取り付けられている。
【0020】
<本体ケースの説明>
第1の本体ケース10Aは、先端が次第に幅狭になった縦長5角形状で、先端部分を除く周囲が立上壁11Aで囲まれ内部にムーブメントユニット20を収納する凹部12Aを有する本体フレーム13Aと、この本体フレーム13Aの凹部12Aを塞ぐカバー14Aとを有し、立上壁11Aのうち、測定子24の中立測定子軸線Lおよび測定子24の揺動軸25に対して直交する壁面に開口15Aを有する。
第2の本体ケース10Bは、先端が次第に幅狭になった縦長5角形状で、先端部分を除く周囲が立上壁11Bで囲まれ内部にムーブメントユニット20を収納する凹部12Bを有する本体フレーム13Bと、この本体フレーム13Bの凹部12Bを塞ぐカバー14Bとを有し、立上壁11Bのうち、測定子24の中立測定子軸線Lおよび測定子24の揺動軸25に対して傾斜する壁面に開口15Bを有する。
【0021】
第3の本体ケース10Cは、先端が次第に幅狭になった縦長5角形状で、先端部分を除く周囲が立上壁11Cで囲まれ内部にムーブメントユニット20を収納する凹部12Cを有する本体フレーム13Cと、この本体フレーム13Cの凹部12Cを塞ぐカバー14Cとを有し、立上壁11Cのうち、測定子24の中立測定子軸線Lに対して直交しかつ測定子24の揺動軸25に対して平行な壁面に開口15Cを有する。
第4の本体ケース10Dは、先端が次第に幅狭になった縦長5角形状で、先端部分を除く周囲が立上壁11Dで囲まれ内部にムーブメントユニット20を収納する凹部12Dを有する本体フレーム13Dと、この本体フレーム13Dの凹部12Dを塞ぐカバー14Dとを有する。カバー14Dには、開口15Dを有する。つまり、測定子24の中立測定子軸線Lと平行でかつ測定子24の揺動軸25に対して直交する壁面であるカバー14Dに開口15Dを有する。
【0022】
<ムーブメントユニットの説明>
ムーブメントユニット20は、図6に示すように、ムーブメントフレーム21と、このムーブメントフレーム21に揺動可能に支持された測定子24と、ムーブメントフレーム21に回転可能に支持された指針駆動ギヤとしてのクラウンギヤ26と、ムーブメントフレーム21に設けられ測定子24の揺動量を拡大してクラウンギヤ26の回転量に伝達する拡大伝達機構31とを含んで1つのユニットとして構成されている。
ムーブメントフレーム21は、プレス加工された一対の地板22と、この一対の地板22の間に保持されたスペーサ23とを含んで構成されている。
測定子24は、一対の地板22間に揺動軸25を介して揺動可能に支持されている。
クラウンギヤ26は、一対の地板22間に測定子24の揺動軸25と平行な軸(回転軸27)を中心として回転可能に支持されている。
【0023】
拡大伝達機構31は、揺動軸25に測定子24とは反対側に突出して一体的に設けられた第1アーム32と、一対の地板22間に基端側が回転自在に支持され先端側にセクターギヤ35を有する第2アーム36と、一対の地板22間でかつクラウンギヤ26と同軸(回転軸27)上に回転自在に支持されセクターギヤ35に噛合するピニオン39とを含んで構成されている。
第1アーム32には、中間に第1接触部33が形成されているとともに、先端に第2接触部34が形成されている。第2アーム36は、基端側に一対の地板22間に回転自在に支持される支持軸37を有し、その支持軸37を挟んだ両側に第1アーム32の第1接触部33および第2接触部34に対して互いに反対側から接する一対の伝達ピン38a,38bが植設されている。なお、第2アーム36は、図示省略の線ばねによって、支持軸37を中心として反時計方向へ回動付勢されている。
【0024】
<ダイヤルユニットの説明>
ダイヤルユニット40は、図1に示すように、ダイヤルフレーム41と、このダイヤルフレーム41に回転可能に設けられた指針42と、ダイヤルフレーム41に指針42の回動領域に沿って設けられた目盛板43と、ダイヤルフレーム41に支持されムーブメントユニット20のクラウンギヤ26の回転を指針42に伝達するピニオン44とを含んで1つのユニットとして構成されている。
ピニオン44は、クラウンギヤ26の回転軸27に対して直交する軸を中心として回転可能に構成されているとともに、ダイヤルユニット40が本体ケース10A〜10Dの外表面に取り付けられると、本体ケース10A〜10Dの開口15A〜15Dから本体ケース10A〜10D内に挿入され、クラウンギヤ26に噛合される。
【0025】
<組み立て方法>
縦形テストインジケータAを組み立てるには、第1の本体ケース10Aを選択する。この第1の本体ケース10A内にムーブメントユニット20を収納して固定したのち、図7に示すように、第1の本体ケース10Aの開口15Aからダイヤルユニット40のピニオン44を第1の本体ケース10A内に差し込み、ダイヤルユニット40を第1の本体ケース10Aに固定する。すると、図8に示すように、ダイヤルユニット40のピニオン44がムーブメントユニット20のクラウンギヤ26に噛合された状態となる。
【0026】
この状態において、測定子24が中立位置から揺動すると、第1アーム32が第2アーム36を支持軸37を中心にして同一方向へ回動させる。いま、測定子24が中立位置からU方向へ揺動すると、第1アーム32の第2接触部34が伝達ピン38bを押しながら第2アーム36を支持軸37を中心にして時計方向へ回動させる。逆に、測定子24がD方向へ揺動すると、第1アーム32の第1接触部33が伝達ピン38aを押しながら第2アーム36を支持軸37を中心にして時計方向へ回動させる。
従って、測定子24が中立位置から往復いずれの方向へ揺動しても、第2アーム36は常に時計方向へ回動される。すると、第2アーム36のセクターギヤ35に噛合するピニオン39、クラウンギヤ26およびピニオン44も同一方向へ回転される結果、指針42も同一方向へ回動される。つまり、測定子24の揺動量が指針42の回転量に拡大、変換されて表示されるから、指針42の回転量を読み取れば、測定子24の揺動量を測定することができる。
【0027】
また、傾斜形テストインジケータBを組み立てるには、第2の本体ケース10Bを選択する。この第2の本体ケース10B内にムーブメントユニット20を収納して固定したのち、第2の本体ケース10Bの開口15Bからダイヤルユニット40のピニオン44を第2の本体ケース10B内に差し込み、ダイヤルユニット40を第2の本体ケース10Bに固定する。すると、図8の二点鎖線で示すように、ダイヤルユニット40のピニオン44がムーブメントユニット20のクラウンギヤ26に噛合された状態となるから、傾斜形テストインジケータBを構成できる。
【0028】
また、垂直形テストインジケータCを組み立てるには、第3の本体ケース10Cを選択する。この第3の本体ケース10C内にムーブメントユニット20を収納して固定したのち、第3の本体ケース10Cの開口15Cからダイヤルユニット40のピニオン44を第3の本体ケース10C内に差し込み、ダイヤルユニット40を第3の本体ケース10Cに固定する。すると、図8の二点鎖線で示すように、ダイヤルユニット40のピニオン44がムーブメントユニット20のクラウンギヤ26に噛合された状態となるから、垂直形テストインジケータCを構成できる。
【0029】
更に、横形テストインジケータDを組み立てるには、第4の本体ケース10Dを選択する。この第4の本体ケース10D内にムーブメントユニット20を収納して固定する。なお、この場合のみ、図9に示すように、ムーブメントユニット20内に組み込まれる部品のうち、クラウンギヤ26に代えて平歯車26Dをムーブメントユニット20内に組み付けておく。
そして、第4の本体ケース10Dの開口15Dからダイヤルユニット40のピニオン44を第4の本体ケース10D内に差し込み、ダイヤルユニット40を第4の本体ケース10Dに固定すると、ダイヤルユニット40のピニオン44がムーブメントユニット20の平歯車26Dに噛合された状態となるから、横形テストインジケータDを構成できる。
【0030】
<実施形態の効果>
(1)縦形テストインジケータA、傾斜形テストインジケータB、垂直形テストインジケータC、および、横形テストインジケータDを構成する部品のうち、ムーブメントユニット20およびダイヤルユニット40を共通化したので、コスト低減ができる。
【0031】
(2)ムーブメントユニット20は、ムーブメントフレーム21、測定子24、クラウンギヤ26、拡大伝達機構31を含んで1つのユニットとして構成されているから、ムーブメントユニット20の組立時に測定子24も一緒にムーブメントユニット20に組み込むことができる。従って、測定子24の組立作業を熟練を必要とせずに簡単に行うことができる。つまり、従来のように、ムーブメントを本体ケースの凹部内に組み込んだ後、第1アームを有する測定子を測定子挿入口から本体ケース内に組み込む必要がないから、これに伴う問題を解消できる。また、ムーブメントフレーム21に、測定子24、クラウンギヤ26、拡大伝達機構31を組み付ければよいので、これらの軸間精度を出しやすい。
【0032】
(3)ムーブメントフレーム21は、プレス加工された一対の地板22と、この一対の地板22の間に保持されたスペーサ23とを含んで構成され、一対の地板22間に測定子24、クラウンギヤ26および拡大伝達機構31が保持されているから、つまり、一対の地板22に測定子24、クラウンギヤ26、拡大伝達機構31を保持するための軸受をプレス加工することができるから、軸間精度の高い加工が行える。特に、一対の地板22の加工を同じ順送りプレス金型で行えば、一対の地板22の軸間精度を全く同じにできるので、軸間精度の高い部品を製造できる。従って、各要素の軸間精度が高精度にできるから、高精度化を実現できる。
【0033】
(4)ダイヤルユニット40のピニオン44は、クラウンギヤ26の回転軸27に対して直交する軸を中心として回転可能に構成され、本体ケース10A〜10Cは、クラウンギヤ26の異なる歯位置に臨む壁面に開口15A〜15Cを有しているから、クラウンギヤ26とピニオン44との噛合関係を維持したまま、本体ケース10A〜10Cに対して、ダイヤルユニット40の向きを変更することができる。
従って、本体ケース10A〜10Cの形状を異なるものを用意しておけば、ダイヤルユニット40の向きが異なるテストインジケータを構成できる。つまり、本体ケース10A〜10Cのみを変えるだけで、ダイヤルユニット40の向きが異なるインジケータを構成できるから、使用用途に適したテストインジケータを安価に提供できる。
【0034】
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれる。
例えば、拡大伝達機構31としては、上記実施例で述べた構造、つまり、第1アーム32、セクターギヤ35を有する第2アーム36、ピニオン39からなる構造に限られない。例えば、複数の歯車を組み合わせた歯車輪列構造であってもよい。
【0035】
また、上記実施形態の組み立て方法では、本体ケース10A〜10Dにムーブメントユニット20を組み付けたのち、ダイヤルユニット40を本体ケース10A〜10Dに組み付けるようにしたが、横型テストインジケータDを除く他の縦形、傾斜形、垂直形テストインジケータA〜Cについては、ムーブメントユニット20およびダイヤルユニット40の組み付け順序を逆にしてもよい。つまり、最初に、ダイヤルユニット40を本体ケース10A〜10Cに組み付けたのち、ムーブメントユニット20を本体ケース10A〜10Cに組み付けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、測定子の揺動量を指針の回転量として表示するテストインジケータとして利用できる。
【符号の説明】
【0037】
10A…第1の本体ケース、
10B…第2の本体ケース、
10C…第3の本体ケース、
10D…第4の本体ケース、
11A〜11D…立上壁、
15A〜15D…開口、
20…ムーブメントユニット、
21…ムーブメントフレーム、
22…地板、
23…スペーサ、
24…測定子、
26…クラウンギヤ(指針駆動ギヤ)、
26D…平歯車(指針駆動ギヤ)、
31…拡大伝達機構、
40…ダイヤルユニット、
41…ダイヤルフレーム、
42…指針、
43…目盛板、
44…ピニオン、
A…縦形テストインジケータ、
B…傾斜形テストインジケータ、
C…垂直形テストインジケータ、
D…横形テストインジケータ、
L…中立測定子軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定子の揺動量を指針の回転量として表示するテストインジケータにおいて、
本体ケースと、この本体ケース内に収納されるムーブメントユニットと、前記本体ケースに取り付けられるダイヤルユニットとを備え、
前記ムーブメントユニットは、ムーブメントフレームと、このムーブメントフレームに揺動可能に支持された前記測定子と、前記ムーブメントフレームに回転可能に支持された指針駆動ギヤと、前記ムーブメントフレームに設けられ前記測定子の揺動量を拡大して前記指針駆動ギヤの回転量に伝達する拡大伝達機構とを含んで1つのユニットとして構成され、
前記ダイヤルユニットは、ダイヤルフレームと、このダイヤルフレームに回転可能に設けられた前記指針と、前記ダイヤルフレームに前記指針の回動領域に沿って設けられた目盛板と、前記ダイヤルフレームに支持され前記指針駆動ギヤの回転を前記指針に伝達するピニオンとを含んで1つのユニットとして構成されている、ことを特徴とするテストインジケータ。
【請求項2】
請求項1に記載のテストインジケータにおいて、
前記ムーブメントフレームは、プレス加工された一対の地板と、この一対の地板の間に保持されたスペーサとを含んで構成され、
前記測定子、前記指針駆動ギヤおよび前記拡大伝達機構は、前記一対の地板間に保持されている、ことを特徴とするテストインジケータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のテストインジケータにおいて、
前記指針駆動ギヤは、前記測定子の揺動軸と平行な軸を中心として回転されるクラウンギヤで構成され、
前記ピニオンは、前記クラウンギヤの回転軸に対して直交する軸を中心として回転可能に構成され、
前記本体ケースは、前記クラウンギヤの異なる歯位置に臨む壁面に開口を有する複数種の本体ケースの中から選択される、ことを特徴とするテストインジケータ。
【請求項4】
請求項3に記載のテストインジケータにおいて、
前記本体ケースは、前記測定子の中立状態における測定子軸線および前記測定子の揺動軸に対して直交する壁面に前記開口を有する第1の本体ケースと、前記測定子軸線および前記揺動軸に対して傾斜する壁面に前記開口を有する第2の本体ケースと、前記測定子軸線に対して直交しかつ前記揺動軸に対して平行な壁面に前記開口を有する第3の本体ケースとが用意されている、ことを特徴とするテストインジケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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