説明

テストステロンの生合成を抑制するための化合物の使用およびその化合物

【課題】テストステロンの生合成に関連する疾患および障害を治療または予防するために使用される化合物や医薬組成物が求められていた。
【解決手段】テストステロンの生合成を抑制するための式(I)


(式中、Rはアルキル基、アルケニル基等を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基等を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基等を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストステロンの生合成を抑制するための化合物の使用およびその化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
男性ホルモン依存性疾患、例えば、その発病または進行が、男性ホルモンの活性により促進される疾患は周知である。これらの疾患としては、例えば、前立腺癌、良性前立腺肥大、アクネ、脂漏症、多毛症、男性ホルモン性脱毛症、性的早熟、副腎性肥大および多嚢胞性卵巣症候群等が挙げられる。
【0003】
男性ホルモンの活性は、その生合成の1つ以上の工程を触媒する酵素のインヒビターを用いて男性ホルモン生合成を抑制することにより低下させることができる。例えば、17α−ヒドロキシラーゼ/C17−20リアーゼ(CYP−17)や3型17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ等の酵素のインヒビターが、男性ホルモンの1種であるテストステロンの生合成を抑制することが知られている。これら酵素と男性ホルモン依存性疾患との関連性については、非特許文献1および2に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Arch.Pharm(Weinheim),2002,335(4),119−128.
【非特許文献2】Mol.Cell.Endocrinol,2009,301(1−2),251−258.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テストステロンの生合成に関連する疾患および障害を治療または予防するために使用される化合物や医薬組成物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況の下、本発明者らはテストステロンの生合成に関連する疾患および障害を治療または予防するために使用される化合物や医薬組成物について検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、下記<1>〜<7>記載の発明等を提供するものである。
【0007】
<1>テストステロンの生合成を抑制するための式(I)

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはハロアルキル基を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の使用。
<2>テストステロンの生合成を抑制するための5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンもしくはその塩またはその溶媒和物の使用。
【0008】
<3>テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患用医薬組成物の有効成分としての式(I)

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはハロアルキル基を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の使用。
<4>テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患用医薬組成物の有効成分としての5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの使用。
<5>テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患が、男性ホルモン依存性疾患であることを特徴とする前項3または4記載の使用。
【0009】
<6>式(I)

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはハロアルキル基を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物。ただし、以下の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を除く。
5−[3,5−ジメトキシ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−2−チオキソ−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−[3,5−ジメトキシ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−メチル−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−[3−メトキシ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−メチル−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
<7>5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、テストステロンの生合成に関連する疾患および障害を治療または予防することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本明細書において用いる用語は、以下の定義によるものとする。
【0013】
「アルキル基」とは直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基であり、好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0014】
「アルケニル基」とは1以上の炭素−炭素二重結合を含有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素であり、好ましいアルケニル基としては、ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。
【0015】
「アルキニル基」とは1以上の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素であり、好ましいアルケニル基としては、エチニル基等の炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられる。
【0016】
「シクロアルキル基」とは環状の飽和炭化水素基であり、好ましいシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の直鎖状または分枝鎖状の炭素数3〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
【0017】
「アラルキル基」とはアルキル基に含まれる水素原子のうち少なくとも1つがアリール基で置換されたアルキル基であり、好ましいアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
【0018】
「アリール基」とは炭素原子と水素原子とからなる芳香族基であり、好ましいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
【0019】
「ヘテロアリール基」とは窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する単環または多環の芳香族基であり、好ましいヘテロアリール基としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等が挙げられる。
【0020】
「2価の芳香族基」とは炭素原子と水素原子とからなるアレーンから、二個の環炭素原子のそれぞれ一個の水素原子を除去することにより生成される2価の基であり、好ましい2価の芳香族基を構成するアレーンとしては、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン等の炭素数6〜10のアレーンが挙げられる。
【0021】
「2価の複素芳香族基」とは窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する単環または多環のヘテロアレーンから、二個の環炭素原子のそれぞれ一個の水素原子を除去することにより生成される2価の基であり、好ましい2価の複素芳香族基を構成するヘテロアレーンとしては、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾリン、イソチアゾリン、イソオキサゾリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン等が挙げられる。
【0022】
「ハロアルキル基」とはアルキル基に含まれる水素原子のうち少なくとも1つがハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、好ましいハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等が挙げられる。
【0023】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0024】
「アルコキシ基」とは−ORaで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0025】
「ハロアルコキシ基」とは−ORbで示される基であり、Rbは前記ハロアルキル基を表す。
【0026】
「アルキルチオ基」とは−SRaで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0027】
「アルキルアミノ基」とは−NHRaまたは−N(Ra)Ra’で示される基であり、RaおよびRa’は独立に前記アルキル基を表す。
【0028】
「アルコキシカルボニル基」とは−COORaで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0029】
「アルキルカルバモイル基」とは−CONHRaまたは−CON(Ra)Ra’で示される基であり、RaおよびRa’は独立に前記アルキル基を表す。
【0030】
「アシル基」とは−C(O)Raで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0031】
「アシルオキシ基」とは−OC(O)Raで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0032】
「アシルアミノ基」とは−NHC(O)Raまたは−N(Ra)C(O)Ra’で示される基であり、RaおよびRa’は独立に前記アルキル基を表す。
【0033】
「アルキルカルバモイルオキシ基」とは−OC(O)NHRaまたは−OC(O)N(Ra)Ra’で示される基であり、RaおよびRa’は独立に前記アルキル基を表す。
【0034】
「アルキルスルホニル基」とは−SORaで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0035】
「アルキルスルホニルアミノ基」とは−NHSORaで示される基であり、Raは前記アルキル基を表す。
【0036】
「アルキルスルファモイル基」とは−SONHRaまたは−SON(Ra)Ra’で示される基であり、RaおよびRa’は独立に前記アルキル基を表す。
【0037】
「置換基を有していてもよい」または「置換基を有する」とは、対象となる基に含まれる水素原子のうち少なくとも1つが、前記いずれかの置換基で置換されていてもよい、または、前記いずれかの置換基で置換されていることを表す。
【0038】
「有効量」とは、例えば研究者または臨床医により求められている、組織系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する薬物または薬剤の量を意味する。生物学的または医学的応答は、予防応答または治療応答であるとみなすことができる。
【0039】
「治療的に有効な量」とは、そのような量の投与を受けていない対応対象と比べて、疾患、障害または副作用の、改善した治療、治癒、予防または軽減、あるいは疾患または障害の進行速度の遅延をもたらす任意の量を意味する。この用語は、その範囲内に、正常な生理的機能を促進するのに有効な量をも含む。療法における使用では、式(I)で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の治療的に有効な量を、化合物原体として投与することが可能である。また、有効成分は医薬組成物として提供されうる。
【0040】
従って、本発明は更に、式(I)で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の有効量と1以上の薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤中のその他の成分に適合可能であり該医薬組成物の被投与体に有害でないという意味において許容しうるものでなければならない。
【0041】
次に、式(I)で示される化合物(以下、化合物(I)と記載することもある。)もしくはその塩またはその溶媒和物について説明する。
【0042】
式(I)におけるRとしては、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロアリール基または置換基を有してもよいシクロアルキル基が好ましい。
【0043】
ここで、アリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基が有する置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、水酸基、アシルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルホニル基、スルホナト基、スルファモイル基およびアルキルスルファモイル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基が好ましい。
【0044】
上記の置換基を有するフェニル基または上記の置換基を有してもよいシクロアルキル基がより好ましく、4−メトキシフェニル基がさらに好ましい。
【0045】
Aとしては、リン酸基以外の置換基を有していてもよいフェニレン基が好ましい。より好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基およびハロアルキル基からなる群から選ばれる基を有しているフェニレン基である。
【0046】
、RおよびRは、いずれも水素原子が好ましい。
【0047】
化合物(I)としては、5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンが好ましい。
【0048】
化合物(I)の塩は医薬上許容されるものであり、酸付加塩が挙げられる。具体的には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシナートヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ素酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、リンゴ酸一カリウム、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸(エンボナート)塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラート、トシル酸塩、トリエチオジドおよび吉草酸塩等が挙げられる。
【0049】
化合物(I)もしくはその塩の「溶媒和物」とは化合物(I)もしくはその塩と溶媒との複合体を意味する。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸等が挙げられる。より好ましくは水、エタノールおよび酢酸であり、さらに好ましくは水である。
【0050】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物は、その結晶構造として2以上の多形体を示すことがある。多形体は、一般には、結晶を析出させる際の溶媒、温度、圧力等の条件に応じて生じうる。多形体は、X線回折パターン、溶解度および融点等の物理的特徴により識別されうる。
【0051】
次に、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の製造方法について説明する。
【0052】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の製造に必要な中間体であるロダニン誘導体は、例えば、下式記載の反応により製造することができる。かかる反応は、例えば、炭酸ナトリウム等の塩基の存在下でアミン化合物とトリチオ炭酸ビス(カルボキシメチル)誘導体とをカップリング反応させてチオグリコール酸誘導体を得、次いで、該チオグリコール酸誘導体を、例えば、硫酸水溶液中等の酸性条件化で環化反応させることにより実施されうる。また、例えば、カルボニルジイミダゾール(CDI)等の縮合剤の存在下でアミン化合物とトリチオ炭酸ビス(カルボキシメチル)誘導体とを反応させてアミド誘導体を得、次いで、該アミド誘導体を加熱条件下で環化反応させることによっても実施されうる。Rがアリール基の場合は前者の条件が好ましく、Rがアルキル基の場合は後者の条件が好ましい。

【0053】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の製造に必要な中間体であるオキサゾリジノン誘導体は、例えば、下式記載の反応により製造することができる。かかる反応は、例えば、方法Aで例示されるように、イソシアネートとグリコール酸エチルを反応させてウレタン誘導体を得、次いで、該ウレタン誘導体を、例えば、ナトリウムメトキシド等の塩基の存在下で環化反応させることにより実施される(方法A)。また、例えば、カルボニルジイミダゾール(CDI)等の縮合剤の存在下でアミン化合物とグリコール酸エチルとを反応させてウレタン誘導体を得、前記方法Aと同様に、塩基の存在下で環化反応させることによっても実施される(方法B)。また、例えば、アミン化合物とS−ベンジル−O−カルボキシメチルジチオカーボネートカリウム塩を水中で反応させた後、得られた生成物を無水酢酸と酢酸中で環化反応させることにより、2−チオ−2,4−オキサゾリンジノン誘導体を製造することもできる(方法C)。

【0054】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の製造に必要な中間体であるベンジリデンロダニン誘導体およびベンジリデンオキサゾリジノン誘導体は、例えば、下式記載のロダニン誘導体またはオキサゾリジノン誘導体と、アルデヒドまたはケトンとのクネーベナーゲル(Kneovenagel)反応により製造することができる。かかる反応は、通常、塩基存在下で実施される。塩基としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;ピロリジン、ピリジン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、β−アラニン等の有機塩基;が挙げられる。本反応は、通常、溶媒の存在下で実施され、溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシ−1−プロパノール等のアルコール溶媒;アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、酢酸等の極性溶媒;等が好ましい。反応温度は、80〜120℃が好ましい。

【0055】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物は、例えば、下式記載の反応により製造することができる。かかる反応は、例えば、アルコール誘導体の水酸基をリン酸エステル化することにより合成できる。リン酸化反応に使用するリン酸化剤としては、例えば、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン等のオキシハロゲン化リン;ピロリン酸、ポリリン酸等のリン酸無水物;リン酸、p−ニトロフェニルホスフェート、2−(N,N−ジメチルアミノ)−4−ニトロフェニルホスフェート等のリン酸モノエステル類;2−クロロ−2−オキソ−P−1,3,2−ベンゾジオキソホスホール、2−メチルチオ−2−オキソ−P−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン等の環状リン酸化剤;ビス(4−ニトロフェニル)ホルホロクロリデート、ビス(β,β,β−トリクロロエチル)ホルホロクロリデート、および亜リン酸ジベンジル/四塩化炭素により調製されるリン酸クロリデート;が使用されうる。また、本反応は、通常、触媒の存在下で実施され、触媒としては、例えば、ピリジン、4−メチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基;炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;が挙げられる。反応温度は、−80〜50℃が好ましく、−20〜10℃がより好ましい。

【0056】
かくして得られる化合物(I)を表1に例示する。
【0057】
【表1】

【0058】
次に、テストステロンの生合成を抑制するための、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の使用について説明する。
【0059】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物は、テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患用医薬組成物の有効成分として使用できる。
【0060】
本発明は、男性ホルモン依存性疾患の治療または予防に有用であり、この治療または予防における化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の使用を包含する。
【0061】
本発明は、前立腺癌、良性前立腺肥大、前立腺上皮内新生物形成、多毛症、アクネ、男性ホルモン性脱毛症または多嚢胞性卵巣症候群の治療または予防に有用であり、この治療または予防における化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の使用を包含する。
【0062】
本発明は、男性ホルモン依存性疾患を治療または予防する方法を提供し、この方法は、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と、少なくとも1つの抗男性ホルモン性薬剤(即ち、男性ホルモン合成または男性ホルモン活性を低下させる薬剤)とを同時にまたは逐次的に組み合わせて使用する態様を包含する。
【0063】
本発明は、良性前立腺肥大を治療または予防する方法を提供し、この方法は、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と、少なくとも1つの良性前立腺肥大の治療または予防において有用な薬剤とを同時にまたは逐次的に組み合わせて使用する態様を包含する。
【0064】
本発明は、毛喪失を治療または予防する方法を提供し、この方法は、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と、少なくとも1つの脱毛症の治療または予防において有用な薬剤(例えば、ミノキシジルやKC−516等のカリウムチャネルアゴニスト、フィナステリドやデュタステリド等の5α−レダクターゼインヒビター、等の抗脱毛剤)とを同時にまたは逐次的に組み合わせて、使用する態様を包含する。
【0065】
本発明は、増殖性の疾患を治療または予防する方法を提供し、この方法は、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と、増殖性の疾患の治療または予防において有用な少なくとも1つの薬剤とを同時にまたは逐次的に組み合わせて使用する態様を包含する。かかる増殖性の疾患として、具体的には癌(腫瘍)の治療または予防する方法を提供し、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と、化学療法剤、生物学的薬剤、外科治療および放射線治療からなる群から選ばれる少なくとも1つの治療方法とを同時にまたは逐次的に組み合わせて使用する態様を包含する。
【0066】
治療または予防され得る癌(即ち、腫瘍)の非限定的な例としては、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫)、腎臓癌、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、甲状濾胞状癌、脊髄形成異常症候群(MDS)、膀胱癌、表皮癌、黒色腫、乳癌および前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明に従って増殖性の疾患(癌)を治療する方法としては、有効量の少なくとも1つの化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物、ならびに有効量の少なくとも1つの化学療法剤、生物学的薬剤、手術(前立腺切除)および/または放射線を同時にまたは引き続いて投与することにより、そのような処置を必要としている患者において、形質転換細胞を含めて、細胞の異常増殖を処置(阻害)するための方法が挙げられる。細胞の異常増殖とは、例えば、正常な調節機構(例えば、接触阻止またはアポトーシス)から独立した細胞増殖を意味し、以下の細胞の異常増殖を含む:(1)活性化ras癌遺伝子を発現する腫瘍細胞(腫瘍);(2)rasタンパク質が、別の遺伝子における腫瘍形成変異の結果として活性化される腫瘍細胞;および(3)他の増殖性疾患の良性細胞および悪性細胞。
【0068】
本発明の実施形態においては、腫瘍の増殖の治療を必要とする患者において、腫瘍の増殖を治療または予防するための方法を包含し、この方法は、(1)有効量の少なくとも1つの化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物、および(2)有効量の少なくとも1つの抗新生物形成剤/微小管剤、生物学的薬剤、および/または手術(例えば、前立腺切除)および/または放射線治療を、同時にまたは逐次に投与することによる。処置され得る腫瘍の例としては、上皮癌(例えば、前立腺癌)、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、乳癌、腎臓癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫)、卵巣癌、および膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。処置され得る他の癌としては、黒色腫、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、肉腫、甲状濾胞状癌、および脊髄形成異常症候群が挙げられる。
【0069】
性ホルモン依存性疾患の類型としては、例えば、前立腺癌、良性前立腺肥大、前立腺上皮内新生物形成、アクネ、脂漏症、多毛症、男性ホルモン性脱毛症、性的早熟、副腎性過形成および多嚢胞性卵巣症候群、乳癌、子宮内膜症ならびに平滑筋腫が挙げられる。
【0070】
所定の有用な併用薬剤/関連薬剤は、以下に記載される。
【0071】
化学療法剤(抗新生物形成剤)として使用され得る化合物のクラスとしては、以下のものが挙げられる:アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然物およびそれらの誘導体、ホルモンおよびステロイド(合成アナログを含む)、ならびに合成物。これらのクラス内の化合物の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0072】
アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼンを含む):ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド[Cytoxan(登録商標)]、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、およびテモゾロミド。
【0073】
代謝拮抗薬(葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミラーゼインヒビターを含む):メトトレキサート、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビン。
【0074】
天然物およびそれらの誘導体(ビンカアルカロイド類、抗腫瘍性抗生物質、酵素、リンフォカインおよびエピポドフィロトキシンを含む):ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、パクリタキセル[パクリタキセルは、Taxol(登録商標)として市販されており、以下の「微小管作用剤」と題する小区分においてより詳細に記載される]、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−αおよびインターフェロン−β、エトポシド、ならびにテニポシド。
【0075】
ホルモン性の薬剤およびステロイド(合成アナログを含む):17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、タモキシフェン、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリンおよびゾラデックス。
【0076】
合成物(白金配位錯体等の無機錯体を含む):シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトザントロン、レバミゾール、ナベルビン、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、ラロジフィン(Ralozifine)、ドロキシフェンおよびヘキサメチルメラミン。
【0077】
本発明の方法において有用な生物学的薬剤の非限定的な例としては、例えば、インターフェロン−α、インターフェロン−βおよび遺伝子治療が挙げられる。
【0078】
微小管作用剤は、微小管形成および/または微小管作用に影響を及ぼすことにより、細胞の有糸分裂を妨害する化合物、すなわち、抗有糸分裂効果を有する化合物である。そのような薬剤は、例えば、微小管安定化剤または微小管形成を遮断する薬剤であり得る。
【0079】
本発明において有用な微小管作用剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:アロコルヒチン(Allocolchicine、NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドラスタチン10(NSC 376128)、メイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル[Taxol(登録商標)、NSC 125973]、パクリタキセル誘導体(例えば、NSC 608832)、チオコルヒチン(NSC 361792)、トリチルシステイン(NSC 83265)、硫酸ビンブラスチン(NSC 49842)、硫酸ビンクリスチン(NSC 67574)、エポチロンA、エポチロン、ディスコデルモリド、エストラムスチン、ノコダゾールおよびMAP4。
【0080】
特に好ましい薬剤は、パクリタキセル様の活性を備えた化合物である。すなわち、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体およびパクリタキセルアナログが挙げられる。パクリタキセルおよびその誘導体は、市販されており、より特定すれば、本明細書中で使用される場合のこの用語「パクリタキセル」とは、Taxol(登録商標)として市販される薬物をいう。
【0081】
他の薬剤としては、例えば、5α−レダクターゼ1型のインヒビターおよび/または5α−レダクターゼ2型のインヒビター(例えば、フィナステリド、SKF105,657、LY191,704、LY320,236およびデュタステリド)、ARアンタゴニスト(例えば、フルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド)、LHRHアゴニスト(例えば、ロイプロリドおよびゾラデックス)、LHRHアンタゴニスト(例えば、アバレリックスおよびセトロレリックス)、17α−ヒドロキシラーゼ/C17−20リアーゼのインヒビター(例えば、YM116、CB7630およびリアロゾール)、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ5型のインヒビターおよび/または他の17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ/17β−オキシドレダクターゼ イソ酵素のインヒビター(例えば、EM−1404)が挙げられる。
【0082】
良性前立腺肥大の治療または予防において有用な薬剤の例としては、α−1アドレナリン作用性アンタゴニスト、例えば、タムスロシン、テラゾシン、プラゾシン、ウラピジルおよびナフトピジルが挙げられる。
【0083】
次に、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物について説明する。
【0084】
本医薬組成物は、通常、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と、少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む。さらに、5α−レダクターゼ1型のインヒビター、5α−レダクターゼ2型のインヒビター、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、LHRHアゴニスト、LHRHアンタゴニスト、17α−ヒドロキシラーゼ/C17−20リアーゼのインヒビター、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ5型のインヒビター、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ/17β−オキシドレダクターゼ イソエンザイムのインヒビター、α−1 アドレナリン作用性アンタゴニスト、カリウムチャネルアゴニスト、5α−レダクターゼインヒビター、化学療法剤および生物学的薬剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの薬剤を含んでいてもよい。これら薬剤は、それぞれ上述したものが具体的に挙げられる。
【0085】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物から本医薬組成物を調製するための薬学的に許容されるキャリアは、通常、固体または液体である。固体の製剤としては、例えば、散剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が挙げられる。この散剤および錠剤は、通常5〜95%の化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物から構成される。適切な固体キャリアは当該分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与のために適切な固体の投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および様々な組成物のための製造の方法は、例えば、A.Gennaro編, Remington's Pharmaceutical Sciences, 18 (1990), Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvaniaに記載されている。
【0086】
液体の製剤としては、例えば、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。例として、非経口注入のための水もしくは水−プロピレングリコール液剤または経口用液剤、懸濁剤および乳剤のための甘味料および乳白剤の添加が挙げられる。また、液体の製剤には、鼻腔内投与のための液剤も含まれる。
【0087】
吸入のために適切なエアゾール製剤としては、例えば、溶液および粉末形態の固体が挙げられる。該溶液および粉末形態の固体は、通常、不活性な圧縮ガス(例えば、窒素)等の薬学的に許容されるキャリアと組み合わされて投与される。
【0088】
経口投与または非経口投与のために、使用の直前に、液体の製剤に変換される固体の製剤も挙げられる。そのような液体の製剤としては、例えば、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。
【0089】
本発明化合物は、経皮によっても送達可能である。経皮用組成物は、例えば、クリーム、ローション、エアゾールおよび/または乳剤の形態が挙げられ、この目的のために当該分野で通常のように、マトリックス型の経皮用パッチ内またはレザバー型の経皮用パッチ内に含有させることができる。
【0090】
本発明化合物は、皮下によっても送達可能である。
【0091】
本発明化合物の好ましい投与形態は経口である。
【0092】
本医薬組成物は、好ましくは単位用量形態にある。そのような形態においては、上記調製物は、適切な量の上記活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する、適切な大きさの単位用量に細分される。
【0093】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、その特定の適用に従って、好ましくは1〜100mg、より好ましくは1〜50mg、さらに好ましくは1〜25mgの範囲である。
【0094】
実際の投薬量は、その患者の要求および処置されようとする状態の重篤さに依存して変更される。特定の状況に対するその適切な投薬量レジメンの決定は、当該分野の技量内である。1日の総投薬量は、必要に応じて複数回に分けて投与される。
【0095】
化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物の治療的に有効な量は、多数の要因に左右されうる。例えば、被投与体の種、年齢および体重、治療を要する厳密な状態およびその重症度、製剤の性質ならびに投与経路の全てが、考慮すべき要因である。治療的に有効な量は、最終的には、担当医師の判断に委ねられるべきである。経口投与のための代表的な1日の推奨投薬量レジメンは、2回〜4回の分割用量で、好ましくは、1日あたり1〜約500mg、より好ましくは、1日あたり1〜約200mgの範囲となる。
【0096】
化学療法剤および/または放射線治療は、Physicians Desk Reference(PDR)中のその承認薬剤の製品情報シートに列記される投薬量および投与スケジュールならびに当該分野で周知の治療用プロトコールにしたがって、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と組み合わせて投与され得る。本発明の方法において有用な化学療法剤の投薬の範囲および投薬レジメンを表11に例示する。当業者には、上記化学療法剤および/または放射線治療の投与は、処置されようとする疾患ならびに上記薬剤および/または放射線治療のその疾患に与える公知の影響に依存して変更され得る。また、当業者の知識にしたがって、上記治療用プロトコル(例えば、投薬量および投与の回数)は、その患者に対する、その投与された化学療法剤(即ち、抗新生物形成剤または放射線)の観察される影響を考慮して、そしてその投与された薬剤に対する上記疾患の観察される反応を考慮して、変更され得る。
【0097】
【表2】

【0098】
抗男性ホルモン剤、抗良性前立腺肥大剤、カリウムチャネルアゴニストおよび生物学的薬剤は、Physicians Desk Reference(PDR)中の承認薬剤の製品情報シートに列記される投薬量および投与スケジュールならびに当該分野で周知の治療用プロトコールに従って、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物と組み合わせて投与され得る。当業者には、上記因子の投与は、処置されようとする疾患ならびに上記因子のその疾患に与える公知の影響に依存して変更され得る。また、当業者の知識にしたがって、上記治療用プロトコール(例えば、投薬量および投与の回数)は、その患者に対する、その投与された因子の観察される影響を考慮して、そしてその投与された治療薬に対する上記疾患の観察される反応を考慮して変更され得る。
【0099】
本発明の別の態様は、化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物、および薬学的に許容されるキャリア、賦形剤または希釈剤を含むキットである。
【0100】
更に本発明の別の態様は、一定量の化合物(I)もしくはその塩またはその溶媒和物、および一定量の少なくとも1つの上記に列挙される少なくとも1つのさらなる薬剤を含むキットである。
【0101】
上記のキットは、キット内の1つ以上の容器内に上記各成分を含み得る。
【実施例】
【0102】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
実施例1−1:4−メトキシフェニルカルバモイルオキシ酢酸エチルエステルの製造
グリコール酸エチル3.12g(35.8mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載する。)を反応器に仕込み、5℃に冷却した。窒素雰囲気下、4−メトキシフェニルイソシアネート4.85g(0.91モル当量)のDMF溶液5mLを滴下し、80℃で3時間攪拌した。得られた反応混合物を冷却した後、水200mLに注ぎ、析出した結晶を濾取した。次いで、酢酸エチル100mLに溶解し、水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥処理し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、表題化合物4.54gを淡黄色油状物として得た(収率55%)。
H−NMR(270MHz,CDCl):δ1.30(t,J=7.2Hz,3H),3.79(s,3H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),4.67(s,2H),6.85(d,J=9.2Hz,2H),7.29(d,J=8.9Hz,2H)
【0104】
実施例1−2:3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンの製造
実施例1−1で得た4−メトキシフェニルカルバモイルオキシ酢酸エチルエステル2.48g(9.77mmol)、ナトリウムメトキシド20mg(0.037モル当量)、トルエン20mLを反応器に仕込み、窒素雰囲気下、100℃で1時間攪拌した。得られた反応混合物を冷却した後、析出した結晶を濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、表題化合物0.55gを白色結晶として得た(収率27%)。
H−NMR(270MHz,CDCl):δ3.83(s,3H),4.84(s,2H),7.00(d,J=9.2Hz,2H),7.31(d,J=9.5Hz,2H)
【0105】
実施例1−3:5−(3−ブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンの製造
実施例1−2で得た3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン0.20g(0.96mmol)、3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド0.20g(1.0モル当量)、酢酸ナトリウム0.16g(2.0モル当量)及び酢酸5mLを反応器に仕込み、窒素雰囲気下、16時間還流した。得られた反応混合物を冷却した後、析出した結晶を濾取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、表題化合物0.12gを淡黄色粉体として得た(収率30%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.81(s,3H),6.89(s,1H),7.03−7.12(m,3H),7.41(d,J=9.2Hz,2H),7.73(dd,J=2.2,8.6Hz,1H),8.02(d,J=2.2Hz,1H),11.04(s,1H)
【0106】
実施例1−4:5−[3−ブロモ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン[化合物番号(1)]の製造
オキシ塩化リン60mg(0.39mmol)を乾燥ピリジン5mL中へ−10℃で加えた。次いで、実施例1−3で得た5−(3−ブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン100mg(0.26mmol)を−10℃で攪拌下に加えて3時間攪拌した後、反応液を室温まで上げて、更に2時間攪拌した。5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを氷冷下で反応混合物へ徐々に加えた後、濃塩酸を加えて反応混合物のpHを2に調整した。析出した結晶を濾取し、水洗後に、減圧乾燥して、表題化合物49mgを白色粉体として得た(収率40%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.81(s,3H),6.90(s,1H),7.08(dd,J=2.1,6.9Hz,2H),7.41(dd,J=2.1,6.9Hz,2H),7.72(s,1H),8.06(s,1H)
MS(ESI):m/z 468(M−2),469(M−1)
【0107】
実施例2−1:3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドの製造
2,6−ジクロロフェノール25.0g(153mmol)のトリフルオロ酢酸150mLの溶液にヘキサメチルテトラアミン21.5g(1.0モル当量)を加え、90℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製することにより、表題化合物29.2gを白色結晶として得た(収率100%)。
H−NMR(270MHz,CDCl):δ7.80(s,2H),9.84(s 1H)
【0108】
実施例2−2:ベンジルチオスルホニルチオカルボキシオキシ酢酸カリウム塩の製造
水酸化カリウム189g(3.37mol)と水200mLを反応器に仕込み、氷浴で冷却後、グリコール酸116g(1.53mol)と二硫化炭素131g(1.12モル当量)を加えた。室温で24時間攪拌した後、氷浴で冷却し、15℃付近でベンジルクロリド196g(0.90モル当量)のアセトニトリル溶液200mLを加え、室温で15時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、水、ジエチルエーテルで順次洗浄し、減圧乾燥することにより、表題化合物341gを白色粉体として得た(収率81%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ4.40(s,2H),4.70(s,2H),7.22−7.34(m,3H),7.41(d,J=7.0Hz,2H)
【0109】
実施例2−3:4−メトキシフェニルチオカルバモイロキシ酢酸の製造
実施例2−2で得たベンジルチオスルホニルチオカルボキシオキシ酢酸カリウム塩15.5g(55.1mmol)と水60mLを反応器に仕込み、攪拌して完溶させた。そこへ4−メトキシフェニルアミン6.8g(1.0モル当量)を加えた後、室温で6時間攪拌し、終夜放置した。得られた反応混合物を水洗し、ベンジルメチルエーテルで洗浄後、水層に濃塩酸5mLを氷冷下で加え、pH3へと調整した。析出結晶をクロロホルムで抽出後、硫酸マグネシウムで乾燥処理し、減圧濃縮した。得られた残渣をヘキサンで洗浄することにより、表題化合物11.3gを白色粉体として得た(収率85%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.74(s,3H),5.03(d,J=14.6Hz,2H),6.92(t,J=6.9Hz,2H),7.32(d,J=8.6Hz,1H),7.52(d,J=8.6Hz,1H),11.2(d,J=13.5Hz,1H)
【0110】
実施例2−4:3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−オキサリジン−4−オンの製造
実施例2−3で得た4−メトキシフェニルチオカルバモイロキシ酢酸5.0g(20.7mmol)と無水酢酸2.6g(1.2モル当量)と酢酸10mLを反応器に仕込み、窒素雰囲気下、約2時間還流加熱した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣にヘキサン/酢酸エチル(1/1)の溶媒20mLを添加し、暫く攪拌した後、結晶を濾取した。ヘキサン/酢酸エチル(1/1)で洗浄し、減圧乾燥することにより、表題化合物1.6gを淡黄色粉体として得た(収率34%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.81(s,3H),5.16(s,2H),7.07(d,J=9.2Hz,2H),7.28(d,J=8.9Hz,2H)
【0111】
実施例2−5:5−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−オキサゾリジン−4−オンの製造
実施例1−3において、3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンに代えて、実施例2−4で得た3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−オキサリジン−4−オン1.5g(6.7mmol)を用い、3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えて、実施例2−1で得た3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド1.3g(1.0モル当量)を用いる以外は、実施例1−3と同様にして表題化合物1.1gを合成した(収率41%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.82(s,3H),6.96(s,1H),7.10(d,J=8.9Hz,2H),7.38(d,J=8.9Hz,2H),7.95(s,2H)
【0112】
実施例2−6:5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン ジベンジルエステルの製造
実施例2−5で得た5−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル−2−チオオキソ−1,3−オキサゾリジン−4−オン1.00g(2.44mmol)とDMF20mLを反応器に仕込み、窒素雰囲気下で溶解した。氷塩浴中−10℃にて四塩化炭素1.8g(12.24mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.68g(5.14mmol)、N, N−ジメチル−4−アミノピリジン31mg(0.24mmol)、亜リン酸ジベンジル1.00g(3.91mmol)を順次添加した後、−10℃で30分間攪拌し、更に室温で1時間攪拌した。次いで、0.5Mカリウンム二水素リン酸水溶液13mL、クロロホルム200mL、水200mLを順次加えて30分間攪拌した。分液後に得られた有機層を減圧濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(1:5,100mL)を加えて結晶化した後、濾取、酢酸エチル洗浄、減圧乾燥し、表題化合物1.05gを淡黄色固体として得た(収率61%)。
H−NMR(270MHz,CDCl):δ3.86(s,3H),5.25(d, J=8.1Hz,4H),6.62(s,1H),7.05(d,J=8.9Hz,2H),7.27(d,J=8.9Hz,2H),7.35(s,10H),7.82(s,2H)
【0113】
実施例2−7:5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン[化合物番号(2)]の製造
実施例2−6で得た5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン ジベンジルエステル1.0g(1.41mmol)、クロロホルム80mLを反応器に仕込み、窒素雰囲気下、氷浴中5℃にてブロモトリメチルシラン4.8g(21モル当量)を添加し、室温で1.5時間攪拌した。次いで、1N塩酸水を20mL添加し30分間攪拌した。析出した結晶を濾過し、クロロホルム、水で順次洗浄し減圧乾燥することで、表題化合物0.30gを淡黄色粉体として得た(収率43%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.82(s,3H),7.00(s,1H),7.10(d,J=8.6Hz,2H),7.39(d,J=8.6Hz,2H),8.02(s,2H)
MS(ESI):m/z 474(M−2)
【0114】
実施例3−1:5−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの製造
実施例1−3において、3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えて3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド183mg(1.0モル当量)を用いる以外は、実施例1−3と同様にして表題化合物164mgを合成した(収率45%)。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.80(s,3H),6.91(s,1H),7.09(d,J=8.5Hz,2H),7.40(d,J=8.6Hz,2H),7.87(s,2H),10.97(brs,1H)
【0115】
実施例3−2:5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン[化合物番号(3)]の製造
実施例2−6において、5−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオオキソ−1,3−オキサゾリジン−4−オンに代えて実施例3−1で得た5−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンジリデン)−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンを用いる以外は、実施例2−6および実施例2−7と同様にして表題化合物を合成した。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ3.80(s,3H),6.96(s,1H),7.08(d,J=9.2Hz,2H),7.40(d,J=8.9Hz,2H),7.93(s,2H)
MS(ESI):m/z 458(M−2)
【0116】
実施例4:3−(4−シクロヘキシル)−5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−2−チオキソ−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン[化合物番号(4)]の製造
実施例2−3において、4−メトキシフェニルアミンに代えてシクロヘキシルアミンを用いる以外は、実施例2−3〜実施例2−7と同様にして表題化合物を合成した。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ1.12−1.32(m,2H),1.62−1.80(m,7H),2.08−2.16(m,1H),6.87(s,1H),7.98(s,2H)
MS(ESI):m/z 450(M−2)
【0117】
実施例5:3−(4−シクロヘキシル)−5−[3−クロロ−5−フルオロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−2−チオキソ−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン[化合物番号(5)]の製造
実施例2−3において、4−メトキシフェニルアミンに代えてシクロヘキシルアミンを用い、また、実施例2−5において、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えて3−クロロ−5−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドを用いる以外は、実施例2−3〜実施例2−7と同様にして、表題化合物を合成した。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):δ1.17−1.37(m,3H),1.62−1.67(m,1H),1.70−1.90(m,4H),2.08−2.20(m,2H),4.32−4.36(m,1H),6.89(s,1H),7.75(dd,J=1.9,10.8Hz,1H),8.32(d,J=1.9Hz,1H)
MS(ESI):m/z 434(M−2)
【0118】
試験例1:ホルモン濃度低下作用
Leuprolide(性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト)100ngの生理食塩水溶液を7週齢のCrl:CD(SD)ラット(雄性)の下肢に筋肉注射し、その1時間後に0.5%メチルセルロースに懸濁させた5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンを経口ゾンデにより100mg/kgの用量で経口投与した。0.5%メチルセルロース投与群をコントロールとした。Leuprolide投与の6時間後および12時間後に腹部大動脈より採血し、GC/MSにて血漿中テストステロン濃度を測定した。結果を表3に記載する。化合物投与群は12時間後までコントロール群より血中テストステロン濃度の低下が認められた。
【0119】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明により、テストステロンの生合成に関連する疾患および障害を治療または予防することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストステロンの生合成を抑制するための式(I)

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはハロアルキル基を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の使用。
【請求項2】
テストステロンの生合成を抑制するための5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンもしくはその塩またはその溶媒和物の使用。
【請求項3】
テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患用医薬組成物の有効成分としての式(I)

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはハロアルキル基を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物の使用。
【請求項4】
テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患用医薬組成物の有効成分としての5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの使用。
【請求項5】
テストステロンの生合成を抑制することにより治療または予防可能となる疾患が、男性ホルモン依存性疾患であることを特徴とする請求項3または4記載の使用。
【請求項6】
式(I)

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはハロアルキル基を表す。Aは2価の芳香族基または複素芳香族基を表し、該芳香族基または複素芳香族基は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Y、YおよびYはそれぞれ同一または相異なって酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示される化合物もしくはその塩またはその溶媒和物。ただし、以下の化合物もしくはその塩またはその溶媒和物を除く。
5−[3,5−ジメトキシ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−2−チオキソ−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−[3,5−ジメトキシ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−メチル−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−[3−メトキシ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−メチル−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【請求項7】
5−[3,5−ジクロロ−4−(ホスホノオキシ)ベンジリデン]−3−(4−メトキシフェニル)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン。

【公開番号】特開2011−98893(P2011−98893A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252735(P2009−252735)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】