説明

テスト用磁気記録信号発生装置、該作成方法及び該プログラム

【課題】任意のジッタを生じさせた磁気データを書き込むことが可能な安価で簡易なテスト用磁気記録信号発生装置、テスト用通帳作成装置、テスト用磁気記録信号発生方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】テスト用通帳作成装置1において、PPR制御部5と、MSユニット19との間に中継ボード7を接続する。中継ボード7は、PPR制御部5側から、磁気記録信号WD1、WD2を入力され、信号選択部14、時間設定部15、ジッタ方向設定部17、ジッタ箇所設定部18でジッタを含ませる信号、ジッタ時間、ジッタ方向が設定される。WD1/2カウンタ回路11は磁気記録信号WD1、WD2の切替わりをカウントし、カウントしたカウント値と、ジッタを含ませる信号、ジッタ時間、ジッタ方向に応じて遅延回路13が、ジッタを含ませたテスト用磁気記録信号WD1−2、WD2−2等を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト用磁気記録信号発生装置、テスト用通帳作成装置、テスト用磁気記録信号発生方法、およびテスト用磁気記録信号発生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等で用いられる現金自動預け払い機(以下、ATM:Automatic Teller Machineという)には、記帳機能を有する通帳プリンタ(以下、PPR:Passbock Printerという)が広く使われている。しかし通帳には、銀行などの金融機関固有の仕様があり、特定の金融機関の通帳処理を行うためには、その金融機関固有の仕様に応じた処理を行わなくてはならない。このため、仕様の異なる複数種類の通帳プリンタに共通に使用できる処理ルーチンを作成しておくことがある。このとき、作成した処理ルーチンにより通帳処理が正常に行われるか否かを、仕様の異なる通帳プリンタをそれぞれ用意することなく、一種類の通帳プリンタで行うことができるようにしている例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このような通帳を用いる取引時には、通帳裏面に貼り付けてある磁気テープなどの磁気記録媒体に記録された情報(口座番号等)を読み、情報が適正に読取れた場合のみ次の処理に移行する。しかし、ひとつの銀行等にも数社のATMが稼働しており、例えばA社のATMで取引した通帳をB社のATMで使用するという状況が頻繁に生ずる。このとき、磁気記録媒体に記録された情報はATMの製造元の各社独自の仕様で読み書きしているため、例えばA社のATMで書き込んだ通帳がB社のATMでは読み込めないという事態が生じることがある。この原因には幾つかの要因があるが、一つの要因として磁気記録時の時間ずれ(以下、ジッタという)が考えられる。
【0004】
このため、書き込まれた情報のジッタが大きい場合にもその通帳から情報を読取ることが可能な、マージンのある通帳プリンタを出荷することが必要になってきている。このため、任意のジッタを生じさせた磁気データを磁気記録媒体に情報が書き込まれたテスト用の通帳を作成したいという要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−245223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金融機関などで用いられる通帳プリンタにおいて、ジッタを任意に変えて情報を書き込んだ通帳を作成することは、大変困難である。例えば、磁気ヘッドに直結されたスリットディスク板で常に媒体の位置を検出している機構など、ハードウエア、ファームウエア、電気系統等の様々な変更を加えなくてはならず、多大な時間やコストを要するからである。また、専用のテスト用通帳作成装置を作るのも、やはり多大な時間やコストが必要である。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、任意のジッタを生じさせた磁気データを書き込むことが可能な安価で簡易なテスト用磁気記録信号発生装置、テスト用通帳作成装置、テスト用磁気記録信号発生方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るテスト用磁気記録信号発生装置は、通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部と、前記磁気記録を行う磁気記録部との間に着脱可能に接続されるテスト用磁気記録信号発生装置であって、前記記帳制御部から出力される、前記磁気記録媒体へ書き込む書込データに対応する磁気記録信号を入力される信号入力部と、前記磁気記録信号に含ませる時間ずれを設定するジッタ時間設定部と、前記時間ずれを含ませる場所を設定するジッタ箇所設定部と、前記時間ずれの方向を設定するジッタ方向設定部と、前記磁気記録信号の前記ジッタ箇所設定部により設定された箇所に、前記ジッタ時間設定部が設定した時間ずれを、前記ジッタ方向設定部により設定された方向に含むテスト用磁気記録信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部が生成した前記テスト用磁気記録信号を前記磁気記録部に出力する信号出力部と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明に係るテスト用通帳作成入出金装置は、通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部と、前記磁気記録を行う磁気記録部と、前記記帳制御部と前記磁気記録部との間に着脱可能に接続される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のテスト用磁気記録信号発生装置と、を有し、前記テスト用磁気記録信号発生装置は、記帳制御部から入力された磁気記録信号に時間ずれを含ませたテスト用磁気記録信号を出力し、前記磁気記録部は、前記テスト用磁気記録信号により前記磁気記録を行うことを特徴としている。
【0010】
本発明に係るテスト用磁気記録信号発生方法は、通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部から、前記磁気記録により書き込む書込データに対応する磁気記録信号を入力される信号入力工程と、前記磁気記録信号に含ませる時間ずれを設定するジッタ時間設定工程と、前記時間ずれを含ませる場所を設定するジッタ箇所設定工程と、前記時間ずれの方向を設定するジッタ方向設定工程と、前記磁気記録信号の前記ジッタ箇所設定工程により設定された箇所に、前記ジッタ時間設定工程において設定した時間ずれを、前記ジッタ方向設定工程において設定された方向に含むテスト用磁気記録信号を生成する信号生成工程と、前記信号生成工程において生成したテスト用磁気記録信号を前記磁気記録を行う磁気記録部に出力する信号出力工程と、を有することを特徴としている。
【0011】
なお、上述した本発明に係る方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであっても、このプログラムを当該コンピュータによって実行させることにより、上述した本発明に係る方法と同様の作用・効果を奏するので、前述した課題が解決される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、任意のジッタを生じさせた磁気データを書き込むことが可能な安価で簡易なテスト用磁気記録信号発生装置、テスト用通帳作成装置、テスト用磁気記録信号発生方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態によるテスト用通帳作成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】一実施の形態による中継ボードを介さない場合の磁気記録に関する信号を示した図である。
【図3】一実施の形態による磁気記録信号とプラス方向のジッタを含ませたテスト用磁気記録信号とを示す図である。
【図4】一実施の形態による中継ボードを介した場合の磁気記録に関する信号を示した図である。
【図5】一実施の形態による磁気記録信号とマイナス方向のジッタを含ませたテスト用磁気記録信号とを示す図である。
【図6】一実施の形態によるテスト用通帳作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】一実施の形態によるテスト用通帳作成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態によるテスト用磁気記録信号発生装置及びテスト用通帳作成装置について説明する。図1は、本発明の一実施の形態によるテスト用通帳作成装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態によるテスト用通帳作成装置1は、主制御部3、PPR制御部5、中継ボード7、MSユニット19を有している。テスト用通帳作成装置1は、通帳が挿入されると、通帳の例えば裏面に貼り付けられた磁気記録媒体に記録された情報を読み取り、印字や磁気記録媒体に記録された情報の書き換えなどを行う装置である。なお、テスト用通帳作成装置1における磁気記録に関する部分以外の本発明に直接関係のない機能については、図示および詳細説明を省略する。主制御部3は、通帳の磁気記録媒体への書込み及び読出しの指示、通帳への印字の指示、通帳のページめくりの指示などをPPR制御部5に出力することにより、テスト用通帳作成装置1の動作を制御する。
【0015】
PPR制御部5は、主制御部3の指示により、テスト用通帳作成装置1の各機構への動作指示を行う。すなわち、中継ボード7を介するMSユニット19への磁気書込み及び読出しの指示、図示せぬ印字装置への通帳への印字の指示、印字の場所を特定するための図示せぬ光学センサへの指示、図示せぬ通帳のページめくり機構への指示、図示せぬ新規通帳発行機構への指示等である。
【0016】
中継ボード7は、PPR制御部5から、磁気書き込みのための磁気記録信号を入力され、設定されたジッタを含んだテスト用磁気記録信号をMSユニット19に出力する。中継ボード7は、制御部9、入出力部10、WD1/2カウンタ回路11、遅延回路13、信号選択部14、時間設定部15、ジッタ方向設定部17、ジッタ箇所設定部18を有している。制御部9は、中継ボード7の動作を制御する。入出力部10は、中継ボード7における信号の入出力を行う。WD1/2カウンタ回路11は、後述する磁気記録信号WD1または磁気記録信号WD2の切替わりの回数を計数する。
【0017】
遅延回路13は、磁気記録信号WD1、WD2の切替わる所定箇所を所定時間遅らせる回路である。時間設定部15は、磁気記録信号WD1、WD2の切替わりを遅らせる時間を設定する。ジッタ方向設定部17は、磁気記録信号WD1または磁気記録信号WD2において、切替わりの間隔を広げる方向にずらす(以下、プラス方向にずらす、という)か、狭める方向にずらす(以下、マイナス方向にずらす、という)か、を設定する。信号選択部14、時間設定部15、ジッタ方向設定部17、ジッタ箇所設定部18は、例えばディップスイッチなどを用いることができる。
【0018】
MSユニット19は、磁気回路21、ドライバ23及びセンサ25を有しており、中継ボード7から磁気記録信号WD1、WD2に基づいたテスト用磁気記録信号を入力されると、通帳の磁気記録媒体に、テスト用磁気記録信号に応じて磁気記録を行う。MSユニット19は、中継ボード7が接続されていないとき、またはジッタが設定されていないときには、PPR制御部5から磁気記録信号WD1、WD2を入力され、磁気記録信号WD1、WD2に基づき磁気記録を行う。磁気回路21は、磁気記録信号WD1、WD2またはテスト用磁気記録信号を入力されることにより入力された信号に応じた所定の磁力を生成する回路である。ドライバ23は、磁気回路21による磁気記録時に、磁気回路21または通帳を移動させる図示せぬモータを駆動する回路である。センサ25は、磁気記録の際に、磁気回路21または通帳の位置を検出する検出器である。なお、テスト用通帳作成装置1において、主制御部3、PPR制御部5、MSユニット19は、既存のATM等に備えられた通帳プリンタと同様の構成および動作である。
【0019】
以上のように構成されたテスト用通帳作成装置1により、ジッタを含んだ磁気記録を行う処理について、図2から図8を参照しながら説明する。
図2は、中継ボード7を介さない場合の、磁気記録に関する信号を示した図である。図2は、データD=「001010010」の9ビットのデータを記録する場合について示している。ライトパルスクロックWCPは、書込及び読出しの同期を取るためのクロックである。磁気記録信号WD1、WD2は、データDを通帳の磁気記録媒体に記録するための信号であり、NRZI(Non Return to Zero Invert)方式による信号である。この例では、磁気記録信号WD1がデータの「0」に対応し、磁気記録信号WD2はデータの「1」に対応している。この磁気記録信号WD1、WD2により、磁気記録媒体に磁化転移線M1、M2が記録される。この磁化転移線M1、M2を検出した信号を模式的に表したものが信号WD1(アナログ)、WD2(アナログ)である。このとき、データDの各ビットに対応する時間は一定の時間tである。
【0020】
図3は、磁気記録信号WD1、WD2と、プラス方向のジッタを含ませたテスト用磁気記録信号WD1−2、WD2−2とを示す図である。図3において、磁気記録信号WD1の切替わりにカウンタ値C1として(1)〜(6)を付している。磁気記録信号WD2の切替わりにカウンタ値C2として(1)〜(4)を付している。なお、カッコ内の番号が各カウンタ値に対応している。
【0021】
図3は、磁気記録信号WD1の(2)の立ち上がりをΔt1遅らせる場合、すなわちプラス方向にΔt1のジッタを含ませる場合について示している。このとき、磁気記録信号WD1のカウンタ値C1が(2)になった時点以降の切替わりは全てΔt1遅らせ、カウンタ値C1の(2)に対応する1ビット分の時間間隔だけを変化させる。このとき、同様に、カウンタ値C1=2になった時点以降の磁気記録信号WD2の切替わりもΔt1遅らせ、磁気記録信号WD1と磁気記録信号WD2とが時間的に同期するようにする。この磁気記録信号WD1−2、WD2−2により、磁化転移線M1−2、M2−2が記録される。以上により、時間Δt1のプラス方向のジッタを有する磁気記録が行われる。
【0022】
図4は、図3の例について図2と同様に表しており、中継ボード7を介した場合の、磁気記録に関する信号を示した図である。図2と重複する信号については同一の番号を付し詳細説明を省略する。図4は、図2と同様に、データD=「001010010」の9ビットのデータを記録する場合について示している。テスト用磁気記録信号WD1−2、WD2−2は、データDに基づいてジッタを含ませたデータを通帳の磁気記録媒体に記録するための信号である。これは図3に示したテスト用磁気記録信号WD1−2、WD2−2であり、カウンタ値C1=2に対応する信号がΔtのプラス方向のジッタを有している。この磁気記録信号WD1−2、WD2−2により、磁気記録媒体に磁化転移線M1−2、M2−2が記録される。この磁化転移線M1−2、M2−2を検出した信号を模式的に表したものが信号WD1−2(アナログ)、WD2−2(アナログ)である。このとき、データDの2ビット目の「0」に対応する時間が時間t+Δt1となっている。
【0023】
図5は、磁気記録信号WD1、WD2と、マイナス方向のジッタを含ませたテスト用磁気記録信号WD1−3、WD2−3とを示す図である。図3において、磁気記録信号WD1の切替わりにカウンタ値C1として(1)〜(6)を付している。磁気記録信号WD2の切替わりにカウンタ値C2として(1)〜(4)を付している。図3は、磁気記録信号WD1のカウンタ値C1が(3)に対応する時間をΔt2短縮する場合、すなわちマイナス方向にΔt2のジッタを含ませる場合について示している。このとき、磁気記録信号WD1のカウンタ値C1が(3)より前の切替わりは全てΔt2遅らせ、カウンタ値C1の(3)に対応する1ビット分の時間だけ時間t−Δt2に変化させる。このとき、同様にカウンタ値C1=3になるより前に検出された磁気記録信号WD2の切替わりもΔt2ずつ遅らせ、磁気記録信号WD1と磁気記録信号WD2とが時間的に同期するようにする。この磁気記録信号WD1−3、WD2−3により、磁化転移線M1−3、M2−3が記録される。以上により、時間Δt2のマイナス方向のジッタを有する磁気記録が行われる。
【0024】
続いて、図6、図7を参照しながら、本実施の形態によるテスト用磁気記録信号発生装置の動作についてさらに詳細に説明する。図6、図7は、本実施の形態によるテスト用通帳作成装置1の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、まず中継ボード7では、信号選択部14によりジッタを含ませる信号を選択し、時間設定部15により、選択した信号に含ませるジッタの時間を設定する。また、ジッタ方向設定部17により、プラス方向とマイナス方向のいずれにずらすか設定し、ジッタ箇所設定部18により、選択した信号におけるジッタ箇所に対応するカウンタ値、すなわち、選択した磁気記録信号の何番目の切替わりに対応する時間を変化させるかを表すカウンタ設定値を設定する。
【0025】
例えば、図3の例の場合には、信号選択部14により磁気記録信号WD1を選択し、時間設定部15により時間Δt1を設定し、ジッタ方向設定部17によりプラス方向と設定し、ジッタ箇所設定部18により、カウンタ設定値=2と設定する。図5の例の場合には、信号選択部14により磁気記録信号WD1を選択し、時間設定部15により時間Δt2を設定し、ジッタ方向設定部17によりマイナス方向と設定し、ジッタ箇所設定部18により、カウンタ設定値=3と設定する。制御部9は、これらの設定値を読み込む(S101)。
【0026】
PPR制御部5によりMSユニット19に書き込み開始が指示され、磁気回路21がセンサ25により位置検出されながらドライバ23により所定位置に移動し、書込開始可能になるまで待機する(S102:NO)。書込開始可能になり動作が開始できる状態になると(S102:YES)、制御部9は、WD1/2カウンタ回路11をゼロにリセットする(S103)。このとき磁気記録信号WD1、WD2のそれぞれに対応するカウンタ値がリセットされる。PPR制御部5から、磁気記録信号WD1、WD2が入出力部10を介して入力されると、制御部9は、磁気記録信号WD1、WD2のいずれかに切替わりがあったか否かを監視する。切替わりを検出すると(S104:YES)、制御部9は、該当する信号のWD1/2カウンタ回路11によるカウント値に1を加え(S105)、現在のWD1/2カウンタ回路11のカウント値が、ジッタ箇所のカウンタ設定値と同じか否かを判別する(S106)。
【0027】
S106で、WD1/2カウンタ回路11の値がジッタ箇所のカウンタ設定値と異なる場合には(S106:NO)、ジッタ方向設定部17により設定されたジッタ方向がマイナスであるか否かを判別する(S107)。設定されているジッタ方向がプラスの場合には(S107:NO)、S104に戻る(例えば、図3の例の場合)。設定されているジッタ方向がマイナスの場合には(S107:YES)、磁気記録信号WD1、WD2のいずれかの検出された切替わりを、時間設定部15により設定された時間(図5の例の場合ならば、Δt2)遅延回路13により遅延させ(S108)、S104に戻る。S104からS108の処理を、S106でWD1/2カウンタ回路11の値が、ジッタ箇所のカウンタ設定値と同じであると判別されるまで繰り返す。すなわち、図3の場合ならば、WD1/2カウンタ回路11において磁気記録信号WD1のカウント値C1=2になるまで、図5の例の場合ならば、カウント値C1=3になるまで繰り返す。
【0028】
S106で、現在のWD1/2カウンタ回路11の値が、ジッタ箇所のカウンタ設定値と同じ場合には(S106:YES)、図7の処理に進み、ジッタ方向設定部17により設定されたジッタ方向がマイナスであるか否かを判別する(S110)。設定されているジッタ方向がプラスの場合には(S110:NO)、磁気記録信号WD1、WD2のうちの切替わりが検出された信号を、時間設定部15により設定された時間、遅延回路13により遅延させ(S111)、S112に進む(例えば、図3の例の場合)。設定されているジッタ方向がマイナスの場合には(S110:YES)、そのままS112に進む(例えば、図5の例の場合)。
【0029】
S112では、制御部9は、磁気記録信号WD1、WD2のいずれかに切替わりがあったか否かを監視し、切替わりを検出すると(S112:YES)、S110に戻る。切替わりがなければ(S112:NO)、制御部9は、PPR制御部5からの指示により動作終了するか否か判別し、動作終了しない場合には(S113:NO)、S112に戻る。動作終了する場合には、処理を終了する(S113:YES)。動作終了後は、図1の破線で示したように、MSユニット19からPPR制御部5へ、テスト用磁気記録信号WD1−2、WD2−2等による磁気記録により記録された磁化転移線M1−2、M2−2等の読取結果を送信するようにしてもよい。
【0030】
以上説明したように、本発明の一実施の形態によるテスト用通帳作成装置1においては、PPR制御部5と、MSユニット19との間に着脱可能に接続される中継ボード7を設ける。中継ボード7は、PPR制御部5側から、MSユニット19で磁気記録を行うためのデータに対応した磁気記録信号WD1、WD2を入力される。中継ボード7では、制御部9が、信号選択部14、時間設定部15、ジッタ方向設定部17、ジッタ箇所設定部18で設定された設定値を読み取る。WD1/2カウンタ回路11で磁気記録信号WD1、WD2、の切替わりをカウントし、カウントしたカウント値と、信号選択部14、時間設定部15、ジッタ方向設定部17、ジッタ箇所設定部18による設定値とに応じて遅延回路13が所定の遅延を行い、ジッタを含ませたテスト用磁気記録信号WD1−2、WD2−2、WD1−3、WD2−3等を入出力部10を介して出力する。
【0031】
以上のように、本実施の形態による中継ボード7は、既存の通帳プリンタに備えられたPPR制御部5とMSユニット19との間に接続することができ、磁気記録信号WD1、WD2の任意の箇所に任意の方向にジッタを含ませた信号をMSユニット19に出力することにより、任意のジッタを含んだ磁気記録を行なうことができる。よって、任意のジッタを含んだ記録が行われた磁気記録媒体を備えた通帳を作成することができる。
【0032】
また、ジッタの設定および変更を容易に行なうことができる。よって、ジッタに対し通帳プリンタがどの程度の許容範囲を有しているのかを検査したり、所望のジッタ許容範囲を有する通帳プリンタを製造したりするためのテスト用の通帳を作成することが可能となる。しかも、既存の通帳プリンタに対し、中継ボード7を接続するだけでよいので、安価で長い製造時間も必要としない。さらに、電源や入出力端子の調整を行うことにより、簡単に多種の既存の通帳プリンタに対し中継ボード7を流用することも可能になる。
【0033】
なお、上記実施の形態において、中継ボード7は、本発明のテスト用磁気記録信号発生装置の一例であり、入出力部10は、信号入力部および信号出力部の一例であり、遅延回路13および制御部9は、信号生成部の一例であり、時間設定部15は、ジッタ時間設定部の一例である。MSユニット19は、本発明の磁気記録部の一例であり、PPR制御部5は、記帳制御部の一例である。
【0034】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を採ることができる。例えば、上記実施の形態においては、2種類の磁気記録信号WD1、WD2を用いる例について説明したが、磁気記録信号は1種類のみを用いるものでもよい。WD1/2カウンタ回路11は、信号選択部14で設定された磁気記録信号WD1、WD2信号の双方の切替わりをカウントする例について説明したが、信号選択部14で選択された磁気記録信号のみの切替わりをカウントするような構成にしてもよい。テスト用磁気記録信号に含ませるジッタ箇所、時間、方向については、時間設定部15、ジッタ方向設定部17、ジッタ箇所設定部18により任意に指定する例について説明したが、例えば、最初に検出された切替わりに予め決められた方向および時間のジッタを含ませるなど、はじめから設定しておくようにしてもよい。また、テスト用通帳作成装置1の各部の構成については上記に限定されず、同様の作用および効果を奏するものであれば本発明の範囲と了解される。
【符号の説明】
【0035】
1 テスト用通帳作成装置
3 主制御部
5 PPR制御部
7 中継ボード
9 制御部
10 入出力部
11 WD1/2カウンタ回路
13 遅延回路
14 信号選択部
15 時間設定部
17 ジッタ方向設定部
18 ジッタ箇所設定部
19 MSユニット
21 磁気回路
23 ドライバ
25 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部と、前記磁気記録を行う磁気記録部との間に着脱可能に接続されるテスト用磁気記録信号発生装置であって、
前記記帳制御部から出力される、前記磁気記録媒体へ書き込む書込データに対応する磁気記録信号を入力される信号入力部と、
前記磁気記録信号に含ませる時間ずれを設定するジッタ時間設定部と、
前記時間ずれを含ませる場所を設定するジッタ箇所設定部と、
前記時間ずれの方向を設定するジッタ方向設定部と、
前記磁気記録信号の前記ジッタ箇所設定部により設定された箇所に、前記ジッタ時間設定部が設定した時間ずれを、前記ジッタ方向設定部により設定された方向に含むテスト用磁気記録信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部が生成した前記テスト用磁気記録信号を前記磁気記録部に出力する信号出力部と、
を有することを特徴とするテスト用磁気記録信号発生装置。
【請求項2】
前記信号生成部は、
前記磁気記録信号の切替わりをカウントするカウンタと、
前記磁気記録信号に前記ジッタ時間設定部で設定された時間ずれを含ませる遅延部と、
を有し、
前記ジッタ箇所設定部は、時間ずれを含ませる前記磁気記録信号における切替わり箇所を設定し、
前記遅延部は、前記カウンタがカウントしたカウント値が前記ジッタ箇所設定部で設定された前記切替わり箇所と一致する箇所に、前記ジッタ方向設定部で設定された時間ずれの方向に前記ジッタ時間設定部で設定された時間ずれを含ませることを特徴とする請求項1に記載のテスト用磁気記録信号発生装置。
【請求項3】
前記遅延部は、
前記時間ずれの方向がプラスの場合には、前記切替わり箇所以降の切替わりを前記時間ずれ分だけ遅延させ、
前記時間ずれの方向がマイナスの場合には、前記切替わり箇所よりも前の切替わりを前記時間ずれ分だけ遅延させることを特徴とする請求項2に記載のテスト用磁気記録信号発生装置。
【請求項4】
前記磁気記録信号は、前記書込データに応じた2種類の信号であり、
前記ジッタ箇所設定部は、前記2種類の信号のいずれかの切替わり箇所を設定し、
前記遅延部は、
前記時間ずれの方向がプラスの場合には、前記2種類の信号の前記切替わり箇所以降の切替わりを前記時間ずれ分だけ遅延させ、
前記時間ずれの方向がマイナスの場合には、前記2種類の信号の前記切替わり箇所より前の切替わりを前記時間ずれ分だけ遅延させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のテスト用磁気記録信号発生装置。
【請求項5】
通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部と、
前記磁気記録を行う磁気記録部と、
前記記帳制御部と前記磁気記録部との間に着脱可能に接続される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のテスト用磁気記録信号発生装置と、
を有し、
前記テスト用磁気記録信号発生装置は、記帳制御部から入力された磁気記録信号に時間ずれを含ませたテスト用磁気記録信号を出力し、
前記磁気記録部は、前記テスト用磁気記録信号により前記磁気記録を行うことを特徴とするテスト用通帳作成装置。
【請求項6】
通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部から、前記磁気記録により書き込む書込データに対応する磁気記録信号を入力される信号入力工程と、
前記磁気記録信号に含ませる時間ずれを設定するジッタ時間設定工程と、
前記時間ずれを含ませる場所を設定するジッタ箇所設定工程と、
前記時間ずれの方向を設定するジッタ方向設定工程と、
前記磁気記録信号の前記ジッタ箇所設定工程により設定された箇所に、前記ジッタ時間設定工程において設定した時間ずれを、前記ジッタ方向設定工程において設定された方向に含むテスト用磁気記録信号を生成する信号生成工程と、
前記信号生成工程において生成したテスト用磁気記録信号を前記磁気記録を行う磁気記録部に出力する信号出力工程と、
を有することを特徴とするテスト用磁気記録信号発生方法。
【請求項7】
通帳への印字および磁気記録を制御する記帳制御部から、前記磁気記録により書き込む書込データに対応する磁気記録信号を入力される信号入力処理と、
前記磁気記録信号に含ませる時間ずれを設定するジッタ時間設定処理と、
前記時間ずれを含ませる場所を設定するジッタ箇所設定処理と、
前記時間ずれの方向を設定するジッタ方向設定処理と、
前記磁気記録信号の前記ジッタ箇所設定処理により設定された箇所に、前記ジッタ時間設定処理において設定した時間ずれを、前記ジッタ方向設定処理において設定された方向に含むテスト用磁気記録信号を生成する信号生成処理と、
前記信号生成処理において生成したテスト用磁気記録信号を前記磁気記録を行う磁気記録部に出力する信号出力処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とするテスト用磁気記録信号発生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−203469(P2012−203469A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64903(P2011−64903)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】