説明

テトラフルオロエチレンと、官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマーとから生じる繰り返し単位を含む溶融流動性フルオロポリマー

開示されているのは、(a)テトラフルオロエチレンと、(b)少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーとから生じる繰り返し単位を含む溶融流動性フルオロポリマーであって、(a)および(b)の重量パーセントの合計が、溶融流動性フルオロポリマーを構成する全ての繰り返し単位の少なくとも約99重量パーセントを構成する、溶融流動性フルオロポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、概して、テトラフルオロエチレンと、官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマーとから生じる繰り返し単位を含む溶融流動性フルオロポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素含有ポリマーは、低表面エネルギー、高耐熱性および高耐化学性のために、重要な商業製品である。テトラフルオロエチレンホモポリマー(PTFE)は、ガスケット、ベアリング、テープ、絶縁体ならびに管、弁およびリアクタのライナに用いられている。しかしながら、PTFEは低表面エネルギーであることから、基材への接着に乏しい。
【0003】
特定の官能基が、部分フッ素化ポリマーの接着特性を改質することが知られている。望ましいポリマー特性を大幅に犠牲にすることなく、部分フッ素化ポリマーの重合中にかかる基を組み込むことは、これまである程度の成果が得られてきた。官能基を含むモノマーは、フッ素化モノマーと共重合しなかったり、共重合において他の望ましくない影響を生じたりする可能性がある。官能基を含有するモノマーの組み込みは、得られるポリマーの熱安定性または耐化学性に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
当技術分野では、耐化学性および熱安定性という所望のポリマー特性を保持しながら、基材に接着可能な基を有する溶融流動性PTFEホモポリマーに関する発表がなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
耐化学性および熱安定性を保持しながら、フルオロポリマーを基材に接着可能な官能基を含有する溶融流動性フルオロポリマーが本明細書に教示されている。
【0006】
本明細書に記載されているのは、(a)テトラフルオロエチレンと、(b)少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーとから生じる繰り返し単位を含む溶融流動性フルオロポリマーであって、(a)および(b)の重量パーセントの合計が、溶融流動性フルオロポリマーを構成する全ての繰り返し単位の少なくとも約99重量パーセントを構成する、溶融流動性フルオロポリマーである。
【0007】
一実施形態において、溶融流動性フルオロポリマーは、少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーから生じる繰り返し単位を約0.001〜約1重量パーセント有する。他の実施形態において、官能基は、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、ホスホネート、スルホネート、ニトリル、ボロネートおよびエポキシドからなる群から選択される少なくとも1つである。他の実施形態において、官能基は、ジカルボン酸無水物基である。
【0008】
他の実施形態において、溶融流動性フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマーから生じる繰り返し単位を約1重量パーセント以下さらに含む。他の実施形態において、テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマーは、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)およびパーフルオロ(ブチルビニルエーテル)(PBVE)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0009】
前述の概要および以下の詳細な説明は、例示および説明のためのみであり、添付の請求項に定義される本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記した実施形態は、単に例示であり、限定ではない。本明細書を読めば、本発明の範囲を逸脱することなく、他の態様および実施形態が可能であることが、当業者には理解される。
【0011】
実施形態の任意の1つ以上のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかとなろう。詳細な説明は、
1.用語の定義および説明、
2.FG−フルオロポリマー、
3.官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマー(FG)、
4.テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマー(改質剤)、
5.FG−フルオロポリマーの融点およびメルトフローレート、
6.FG−フルオロポリマーの製造プロセス、および実施例である。
【0012】
1.用語の定義および説明
これらの実施形態のさらなる詳細を説明する前に、いくつかの用語を定義または明確にしておく。
【0013】
「溶融流動性」とは、フルオロポリマーが、ASTM D1238−94aにより測定されるメルトフローレート(MFR)を有し、超長鎖フルオロポリマー鎖が形成されるのを防ぐ、本明細書に開示されたプロセスで直接重合により得られることを意味する。
【0014】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「持つ」、「持っている」またはその他変形の用語は、非排他的な包括を規定するものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素に必ずしも限定されず、明示的にリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素も含まれる。さらに、明示的にそれには反するとした場合を除き、「または」は、包括的なまたはであり、排他的なまたはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0015】
また、単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これは、単に便宜上のために、かつ本発明の一般的な意味を与えるために使用される。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含めるように読まれるべきであり、他の意味であることが明白でない限り、単数形には複数形も含まれる。
【0016】
別記されない限り、本明細書で用いる技術および科学用語は全て、請求項の属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有している。本明細書に記載したものと同様または等価の方法および材料は、開示された実施形態の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は後述する。本明細書で言及した文献、特許出願、特許およびその他参考文献は全て、特に別記されない限り、その全内容が参考文献として援用される。矛盾がある場合には、定義を含めた本明細書が優先される。また、材料、方法および実施例は例示のみであり、限定しようとするものではない。
【0017】
本明細書に記載のないものについては、特定の材料および処理に関する多くの詳細は、従来通り機能し、フルオロポリマー業界のテキストブックおよびその他源で見られるはずである。
【0018】
2.FG−フルオロポリマー
本明細書に記載されているのは、(a)テトラフルオロエチレンと、(b)少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーとから生じる繰り返し単位を含む溶融流動性フルオロポリマーであって、(a)および(b)の重量パーセントの合計が、溶融流動性フルオロポリマーを構成する全ての繰り返し単位の少なくとも約99重量パーセントを構成する、溶融流動性フルオロポリマーである。かかるフルオロポリマーは、本明細書においては「FG−フルオロポリマー」とも呼ばれる。
【0019】
請求されたFG−フルオロポリマーは、FG−フルオロポリマーを、金属、無機物およびポリアミド等の官能基を含有するポリマーといった基材に接着する十分な濃度の官能基を有することが知見された。意外なことに、この濃度の官能基で、耐化学性および熱安定性等の望ましいフルオロポリマー特性の減少には結びつかない。
【0020】
FG−フルオロポリマーは、熱ラミネーション等の公知の方法によりかかる基材に接合することができる。
【0021】
FG−フルオロポリマーは、剪断とメルトフローの両方を含む押出しおよび射出成形という典型的な溶融製造方法で製造することはできない。代わりに、FG−フルオロポリマーは、典型的に、15℃〜150℃の温度で、PTFE/有機潤滑剤混合物をペースト押出し後、焼結して、FG−フルオロポリマー粒子を成形物品へと合体する等の公知の非溶融流動プロセスにより製造することができる。
【0022】
3.官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマー(FG)
3.1 官能基モノマーの構成
本発明の溶融流動性フルオロポリマーは、少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーから生じる繰り返し単位を有する。少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーは、本明細書において「官能基モノマー」または「FG」とも呼ばれる。重合可能な炭素−炭素二重結合は、官能基モノマーから生じる繰り返し単位を、テトラフルオロエチレンの重合単位から生じるフルオロポリマー炭素−炭素鎖骨格に組み込む機能を果たす。官能基は、フルオロポリマーの、それが接触する特定の基材への接着力を増大する機能を果たし、その接着量は、基材とFGを含有しないフルオロポリマーが示すものに勝る。この結果、例えば、FG−フルオロポリマー層とポリアミド層間が接着される。通常、ポリアミドと、FGを含有しないフルオロポリマーは互いに接着しない。
【0023】
官能基モノマーには、通常、上述した基準に適合する官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する化合物が含まれる。他の実施形態において、官能基モノマー中の一価の原子は全て水素である。他の実施形態において、官能基モノマーは、元素炭素、水素および酸素を含む。他の実施形態において、官能基モノマーは、炭素、水素および酸素元素を含み、窒素、りん、硫黄およびホウ素からなる群から選択される元素をさらに含む。他の実施形態において、官能基は、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、ホスホネート、スルホネート、ニトリル、ボロネートおよびエポキシドからなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0024】
他の実施形態において、FGは、カルボキシル基(−C(=O)O−)および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有している。他の実施形態において、FGは、ジカルボン酸無水物基(−C(=O)OC(=O)−)および重合可能な二重結合を含有している。他の実施形態において、FGは、環状ジカルボン酸無水物および重合可能な炭素−炭素二重結合を形成することのできるジカルボン酸基を含有している。他の実施形態において、FGは、1,2−または1,3−ジカルボン酸基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有している。他の実施形態において、FGは、重合可能な炭素−炭素二重結合を含有するC〜C10のジカルボン酸およびジカルボン酸無水物を含む。カルボキシル基を含有するFGとしては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸が含まれる。
【0025】
他の実施形態において、FGは、アミン基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテルおよびビニルアミノアセテートが例示される。
【0026】
他の実施形態において、FGは、アミド基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。N−メチル−N−ビニルアセトアミド、アクリルアミドおよびN−ビニルホルムアミドが例示される。
【0027】
他の実施形態において、FGは、ヒドロキシル基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。2−ヒドロキシエチルビニルエーテルおよびオメガ−ヒドロキシブチルビニルエーテルが例示される。
【0028】
他の実施形態において、FGは、ホスホネート基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。ジエチルビニルホスホネートが例示される。
【0029】
他の実施形態において、FGは、スルホネート基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。アンモニウムビニルスルホネートが例示される。
【0030】
他の実施形態において、FGは、ニトリル基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。アクリロニトリルが例示される。
【0031】
他の実施形態において、FGは、ボロネート基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。ビニルボロン酸ジブチルエステル、4−ビニルフェニルボロン酸および4−ベンテニルボロン酸が例示される。
【0032】
他の実施形態において、FGは、エポキシド基および重合可能な炭素−炭素二重結合を含有する。アリルグリシダルエーテル(AGE)が例示される。
【0033】
3.2.FG−フルオロポリマーにおける官能基モノマーから生じる繰り返し単位の量
【0034】
実施形態において、FG−パーフルオロポリマーは、FGから生じる繰り返し単位を約0.001〜約1重量パーセント含む。FG−パーフルオロポリマーは、FGから生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.5重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−パーフルオロポリマーは、FGから生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.3重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−パーフルオロポリマーは、FGから生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.1重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−パーフルオロポリマーは、FGから生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.01重量パーセント含む。ここで参照するFGから生じる繰り返し単位の重量パーセントは、FGから生じる繰り返し単位、テトラフルオロエチレンおよびFG−パーフルオロポリマー中のテトラフルオロエチレン以外の任意のパーフルオロモノマー(改質剤)の重量の合計に対するものである。
【0035】
4.テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマー(改質剤)
4.1改質剤の構成
一実施形態において、本溶融流動性フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマーから生じる繰り返し単位を含む。テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマー(本明細書においては、「改質剤」とも呼ばれる)は、元素炭素およびフッ素および炭素−炭素不飽和を含有する化合物を含む。他の実施形態において、改質剤において炭素に結合した一価の原子は全てフッ素である。他の実施形態において、改質剤は、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択されるヘテロ原子をさらに含有する。
【0036】
他の実施形態において、有用な改質剤としては、2〜8個の炭素原子を有するパーフルオロアルケンおよびパーフッ素化ビニルエーテルが挙げられる。他の実施形態において、パーフッ素化ビニルエーテルは、式CF=CFORまたはCF=CFOR’ORにより表わされ、式中、Rは、1〜5個の炭素原子を含有するパーフッ素化鎖状または分岐アルキル基であり、R’は、1〜5個の炭素原子を含有するパーフッ素化鎖状または分岐アルキレン基である。他の実施形態において、R基は、1〜4個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、R’基は、2〜4個の炭素原子を含有する。
【0037】
改質剤としては、例えば:ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)およびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)およびパーフルオロ(ブチルビニルエーテル)(PBVE)が例示される。
【0038】
4.2.FG−フルオロポリマーにおける改質剤から生じる繰り返し単位の量
FG−フルオロポリマーは、約1重量パーセント以下の改質剤から生じる繰り返し単位を含む。
【0039】
他の実施形態において、FG−フルオロポリマーは、改質剤から生じる繰り返し単位を約0.001〜約1重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーは、改質剤から生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.5重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーは、改質剤から生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.3重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーは、改質剤から生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.1重量パーセント含む。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーは、改質剤から生じる繰り返し単位を約0.001〜約0.01重量パーセント含む。
【0040】
上で参照される改質剤から生じる繰り返し単位の重量パーセントは、FGから生じる繰り返し単位、テトラフルオロエチレンおよび改質剤の重量の合計に対するものである。
【0041】
5.FG−フルオロポリマーの融点およびメルトフローレート
FG−フルオロポリマーの融点は、ASTM法D4591−01、「示差走査熱量測定によるフルオロポリマー転移の温度および熱の標準試験法(Standard Test Method for Determining Temperatures and Heats of Transitions of Fluoropolymers by Differential Scanning Calorimetry)」により求めることができる。
【0042】
他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約265℃未満である。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約260℃未満である。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約250℃未満である。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約240℃未満である。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約230℃未満である。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約225℃未満である。他の実施形態において、FG−フルオロポリマーの融点は、約220℃未満である。
【0043】
FG−フルオロポリマーメルトフローレート(MFR)は、ASTM法D1238−04cにより求めることができる。FG−フルオロポリマーは、特定の用途のために、所望のMFRを有するように製造することができる。
【0044】
一実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約1〜約400g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約10〜約300g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約1〜約100g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約20〜約90g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約1〜約50g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約5〜約40g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約10〜約30g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約15〜約30g/10分である。他の実施形態において、本プロセスにより製造されたFG−フルオロポリマーのMFRは、約20〜約30g/10分である。
【0045】
6.FG−フルオロポリマーの製造プロセス
本FG−フルオロポリマーは、
(A)水、テトラフルオロエチレンおよび少なくとも1つの連鎖移動剤を混合して、反応混合物を形成し、
(B)テトラフルオロエチレンの重合を開始し、
(C)テトラフルオロエチレンの一部を重合して、反応混合物中に重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成し、
(D)反応混合物に、官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマー(FG)を添加し、
(E)テトラフルオロエチレンおよびFGを、重合したテトラフルオロエチレンの粒子の存在下に重合して、FG−フルオロポリマーを形成することを含む水性重合プロセスにより製造することができる。
【0046】
6.1.反応混合物を形成するための水、テトラフルオロエチレンおよび連鎖移動剤の混合(A)
プロセスには、(A)水、テトラフルオロエチレンおよび少なくとも1つの連鎖移動剤を混合して、反応混合物を形成することが含まれる。
【0047】
6.1.1 界面活性剤
一実施形態において、界面活性剤を反応混合物にさらに添加し、反応混合物は水性分散液を含む。テトラフルオロエチレンコポリマーの分散重合に用いるのに一般に好適な界面活性剤が有用である。界面活性剤としては、例えば、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウムおよびパーフルオロアルキルエタンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。
【0048】
6.1.2 連鎖移動剤
連鎖移動剤(CTA)を、反応混合物にさらに添加する。例えば、分子水素、低級アルカンおよびハロゲン原子で置換された低級アルカン等の水素含有化合物を含む様々な範囲の化合物をCTAとして用いることができる。本方法に用いると、かかる化合物の連鎖移動活性により、−CFH末端基を有するFG−パーフルオロポリマーが得られる。CTAは、CTAの固有性に応じて、他の末端基に寄与し得る。CTAとしては、メタン、エタンおよび置換炭化水素、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルムおよび四塩化炭素が例示される。所望の分子量を得るのに用いるCTAの量は、特定の重合条件について、用いる開始剤の量および選択したCTAの連鎖効率に応じて異なる。連鎖移動効率は、化合物によって大きく変わる可能性があり、温度によって変わる。所望の重合を得るのに必要なCTAの量は、過度の実験なしに当業者であれば判断することができる。
【0049】
6.2.テトラフルオロエチレンの重合の開始(B)
本方法には、テトラフルオロエチレンの重合を開始すること(B)が含まれる。
【0050】
水、テトラフルオロエチレンおよびCTAを混合して反応混合物を形成(A)した後、反応混合物を、選択した温度まで、任意で加熱してから、攪拌を開始する。次に開始剤を所望の比率で添加して、テトラフルオロエチレンの重合を開始する。
【0051】
テトラフルオロエチレンの添加を開始し、重合を規制するのに選択したスキームに従って制御する。用いた最初の開始剤と同じ、または異なるものとすることのできる開始剤を、通常、重合の間中、添加する。
【0052】
他の実施形態において、追加のCTAを、重合の間中、添加する。
【0053】
6.2.1 開始剤
本プロセスにおいて有用な開始剤は、テトラフルオロエチレンホモポリマーの乳化(分散)重合に一般的に用いられるものである。例えば、水溶性フリーラジカル開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)または過酸化ジコハク酸または酸化還元系、例えば、過マンガン酸カリウムをベースとするもの。用いる開始剤の量は、用いる連鎖移動剤(CTA)の量に応じて異なる。開始効率が高温(例えば、100℃)で100%に達するAPSおよびKPSについては、形成されるFG−パーフルオロポリマーの量に対する開始剤の量は、通常、1.5モル/モル未満、望ましくは、1.0モル/モル以下、好ましくは、0.45モル/モル以下である。APSまたはKPS等、低温での開始剤の開始効率が低いとき、これらの開始剤の量は、開始剤により開始(作製)されるポリマー分子の割合のことを指す。両状況共、作製されたポリマー1モル当たりの有効開始剤量で説明することができる。
【0054】
6.2.2 温度
水性重合方法が、水性分散重合を含む実施形態においては、広い温度範囲が有用である。熱伝達の考慮および熱活性開始剤の使用のため、約50〜100℃といった範囲の高温が有利である。他の実施形態においては、70〜90℃の温度範囲を用いる。乳化重合に用いる界面活性剤は、分散安定性を失う傾向があるため、103〜108℃より高い温度ではあまり効率的ではないものと考えられる。
【0055】
6.2.3 圧力
任意の実行可能な圧力を、本重合方法に用いることができる。高圧だと、高反応速度で、低圧よりも利点が与えられる。しかしながら、テトラフルオロエチレンの重合は、極めて発熱性であるため、高反応速度によって、熱が増す。これは、温度が上がるにつれて、除去または調整しなければならない。用いることのできる圧力はまた、機器の設計により、およびテトラフルオロエチレン取扱いの安全性に対する懸念によっても判断することができる。他の実施形態において、約0.3〜7MPaの範囲の圧力を用いる。他の実施形態において、0.7〜3.5MPaの圧力を用いる。リアクタにおいては定圧を維持することが一般的であるが、他の実施形態においては、圧力は変えることができる。
【0056】
6.3. 重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成するテトラフルオロエチレンの一部の重合(C)
本方法には、(C)テトラフルオロエチレンの一部を重合して、反応混合物中に重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成する工程が含まれる。(C)において、テトラフルオロエチレンの一部を重合するとは、反応混合物を形成するのに(A)における水およびCTAと混合される合計量よりも少ないテトラフルオロエチレンの量を意味する。
【0057】
他の実施形態において、テトラフルオロエチレンの一部が重合して、反応混合物中に重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成したことを判断するために、反応混合物を含有する容器内の合計圧力をモニターする。開始(B)後のテトラフルオロエチレンの圧力降下は、テトラフルオロエチレンの重合が開始され、重合したテトラフルオロエチレンの粒子が形成されたことを示すものである(すなわちキックオフ)。他の実施形態において、圧力降下は、少なくとも約35KPa(5psi)である。他の実施形態において、圧力降下は、少なくとも約70KPa(10psi)である。他の実施形態において、テトラフルオロエチレンの一部の重合がなされた証拠は、リアクタが、テトラフルオロエチレンを消費続けていることであり、例えば、フィードバック制御ループにより取り付けられたテトラフルオロエチレン供給バルブの起動により観察される。
【0058】
他の実施形態において、圧力降下は、反応混合物の水相に基づいて、約0.1重量パーセントの固体の重合テトラフルオロエチレンを表わす。この固体レベルより低いと、(D)FGの反応混合物への添加により、急冷されないようにするのに十分な重合がなされたどうか不確かである。他の実施形態において、(C)テトラフルオロエチレンの一部を重合して、重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成することは、反応混合物の水相に基づいて、約2重量パーセントの固体ポリマーが形成されるまで、実施される。これは、最終バッチサイズのごく一部、典型的に、作製される合計ポリマーの約5パーセント未満を表わす。高レベルのポリマーが(C)において形成されるまで待っても、重合を行うのにさらなる利点を与えるわけでなく、徒に不均一な反応混合物を作製し始めてしまう。
【0059】
懸濁または顆粒PTFE型重合の実施形態において、約0.1〜約2重量パーセント固体の重合したテトラフルオロエチレンは、直接ポリマー−蒸気空間重合に利用できる、中間体サイズおよび形状の、水で湿潤されておらず、反応混合物の表面に浮く不規則なスポンジ状ポリマー小粒子の形態にある。重合プロセスが進むにつれて、より多くのポリマー粒子が形成され、既に存在していたものは大きくなる。ポリマー粒子のサイズおよび形状は、重合の詳細に応じて異なる。他の実施形態において、バッチで早期に形成された懸濁重合粒子は、手で丸めて砕いた破裂したポップコーンのサイズおよび形状を有する。他の実施形態において、バッチで早期に形成された懸濁重合粒子は、雑貨店にある刻んだココナッツのサイズおよび形状を有する。他の実施形態において、バッチで早期に形成された懸濁重合粒子は、粉末砂糖の外観および手触りを有している。
【0060】
分散重合実施形態においては、界面活性剤が反応混合物にさらに添加され、反応混合物は、コロイド的に安定な水性分散液を含み、約0.1〜約2重量パーセントの重合したテトラフルオロエチレンが、重合開始の際に作製される初期粒子の形態にある。開始後のテトラフルオロエチレン圧力降下後、コロイド的に安定な粒子の存在によって、コロイド的に安定となるだけ十分に成長する機会を前駆体が持つ前に、コロイド的に不安定な前駆体粒子の水性反応混合物相がスイープされることにより、さらなる粒子の形成が阻害される。
【0061】
テトラフルオロエチレンの一部を重合して、重合したフルオロモノマーの粒子を形成するこの工程(C)の他の実施形態において、反応混合物中に、水1グラム当たり約1012の重合したテトラフルオロエチレンの粒子がある。それより少ない粒子だと、粒子が低すぎるパーセント固体で大きくなりすぎて、コロイド的に安定しなくなり、凝塊の問題となるので望ましくない。反応混合物中の水1グラム当たり1012粒子の値は、工業的実用性の下限として、10%固体で400nmのRDPSでの重合について計算される。他の実施形態において、粒子は、20%以上の固体で、300nm以下のRDPSを有する。
【0062】
6.3.1 重合速度の規制
重合速度を規制するにはいくつかの代替手段がある。多くの変形例では、用いる場合は、改質剤の少なくとも一部をまず予備充填してから、テトラフルオロエチレンを所望の全圧まで添加するのが一般的である。追加のテトラフルオロエチレンは、開始および重合開始後に添加して、選択した圧力を維持し、追加の調整剤を添加することもできる。テトラフルオロエチレンは、定速で添加してもよく、実際の重合速度を増減して、一定の全圧を維持するために、必要に応じて、攪拌器の速度を変える。この代替手段の変形において、圧力を変えて、一定のテトラフルオロエチレン供給速度および一定の攪拌器速度で、一定の反応速度を維持してもよい。他の代替手段としては、全圧および攪拌速度を両方共一定に保持して、定圧を維持するために、必要に応じて、テトラフルオロエチレンを添加してもよい。第3の代替手段は、可変の攪拌器速度であるが、テトラフルオロエチレン供給速度を一定して増大しながら、段階で重合を行うものである。調整剤を、反応中に添加するときは、それらを、定速で注入するのが便利である。他の実施形態において、調整剤添加速度は、重合の特定のフェーズ中一定である。しかしながら、当業者であれば、様々な調整剤添加プログラムを用いることができることが分かるであろう。このように、例えば、等量または異なる量、等間隔または異なる間隔とすることができる不連続な添加など、一連の不連続な調整剤添加を用いることができる。調整剤の添加については、他に一様でないプログラムを用いることができる。
【0063】
6.4.反応混合物への官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマーの添加(D)
反応混合物上の全圧をモニターする。開始後に生じる少なくとも約35KPa(5psi)、通常、少なくとも約70KPa(10psi)の圧力降下は、テトラフルオロエチレンの重合が開始され、重合したテトラフルオロエチレンの粒子が形成されたことを示す。
【0064】
テトラフルオロエチレンの重合が開始され、重合したテトラフルオロエチレンの粒子が形成されたことを示す圧力降下後、官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合(官能基モノマーまたはFG)を有する炭化水素モノマーを反応混合物に添加する。他の実施形態において、FGは、アリコートで反応混合物に添加される。他の実施形態において、FGは、重合の全期間にわたって、連続的または周期的に反応混合物に添加される。
【0065】
FGの重合水性反応混合物への添加に続いて、圧力降下が、テトラフルオロエチレンの重合が開始され、重合したテトラフルオロエチレンの粒子が形成されたことを示すことで、FGから生じる繰り返し単位のフルオロポリマーの炭素−炭素骨格の生産的かつ制御可能な組み込みとなることが知見された。
【0066】
FGの重合水性反高混合物への再充填では、FGから生じる繰り返し単位のフルオロポリマーの炭素−炭素骨格の生産的な組み込みとはならないことが知見された。
【0067】
6.4.1.反応混合物のpH
他の実施形態において、FGは、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物を形成することのできるカルボキシル基を含有し、25℃で測定される反応混合物のpHは、(C)テトラフルオロエチレンを重合して、重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成し、(D)FGを反応混合物に添加する間、FGのカルボン酸のpKより少ない、またはそれに等しい。
【0068】
本方法の他の実施形態において、FGは、環状ジカルボン酸無水物を形成することのできる環状カルボン酸無水物および/またはジカルボン酸を含有し、25℃で測定される反応混合物のpHは、(C)テトラフルオロエチレンを重合して、重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成し、(D)FGを反応混合物に添加する間、FGのジカルボン酸のpKa1より少ない、またはそれに等しい。
【0069】
水性重合プロセス反応混合物のpHを制御することで、FGから生じる繰り返し単位のフルオロポリマーの炭素−炭素骨格の生産的な組み込みとなることが知見された。理論に拘束されることは望むところではないが、水性重合プロセス反応混合物のpHを制御すると、反応性フルオロポリマー鎖ラジカルを含有する反応混合物の相に存在するFGが十分な濃度となるものと考えられる。
【0070】
記載される方法の他の実施形態において、(C)テトラフルオロエチレンを重合して、重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成し、(D)FGを反応混合物に添加する間、25℃で測定される反応混合物のpHを、FGのカルボン酸のpKより少ない、またはそれに等しく制御するために強酸が反応混合物にさらに添加される。有用な強酸としては、無機または鉱酸(例えば、硝酸)および有機酸(例えば、シュウ酸)をはじめとする重合プロセスを阻害しないものであれば何でもよい。他の実施形態において、強酸は、pKが約1以下の酸を含む。
【0071】
記載される方法の他の実施形態において、(C)テトラフルオロエチレンを重合して、重合したテトラフルオロエチレンの粒子を形成し、(D)FGを反応混合物に添加する間、25℃で測定される反応混合物のpHを、FGのカルボン酸のpKより少ない、またはそれに等しく制御するために、酸性バッファがさらに反応混合物に添加される。有用な酸性バッファとしては、重合プロセスを阻害しないものであれば何でもよく、例えば、ホスフェートバッファがある。
【0072】
反応混合物pHとカルボン酸のpK(またはpKa1)とのこれらの比較のために、pHは25℃で測定する。
【実施例】
【0073】
本明細書に記載した概念を、請求項に記載した本発明の範囲を限定しない以下の実施例にさらに記載する。
【0074】
実施例1
長さ対直径比が約1.5、水容量が1ガロン(3.8L)の円柱、水平、水ジャケット、パドル攪拌、ステンレス鋼リアクタに、1800mLの脱イオン水、1.0gのシュウ酸、25mLの水中パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸アンモニウム界面活性剤の30重量%溶液および0.5gのKrytox(登録商標)157FSLパーフルオロポリマーカルボン酸を入れた。リアクタパドルを150rpmで攪拌し、リアクタを25℃まで加熱し、排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)で3回パージした。次に、27インチHg(95KPa)まで、リアクタは充填された。次に、リアクタ温度を90℃まで上げた。温度が90℃で一定になった後、最終圧力250psig(1.83MPa)になるまで、TFEをリアクタに添加した。次に、1.0重量%の過硫酸アンモニウム(APS)を含有する新たに調製した9mLの水性開始剤溶液を、リアクタに入れた。リアクタ圧力における10psi(70KPa)降下により示される重合の開始(キックオフ)後、追加のTFEを、2.1ポンド(.95kg)/110分の速度で、リアクタに添加し、開始剤溶液を1mL/分で70分間注入した。キックオフ後、1ポンド(0.45kg)のTFEを供給したら、0.1重量%メサコン酸水溶液を1mL/分で開始し、バッチの残りについて続けた。2.1ポンド(.95kg)のTFEを110分の反応期間にわたって注入した後、反応を終了した。反応期間の終了の際に、TFEおよびメサコン酸溶液供給を停止し、リアクタを徐々に通気した。ほぼ大気圧まで通気した後、リアクタを窒素でパージして、残渣モノマーを除去し、分散液をリアクタから放出した。凝固後、ポリマーを、ろ過により単離してから、150℃の対流空気オーブンで乾燥した。単離した溶融流動性フルオロポリマーのメサコン酸含量は、0.011重量%であった。
【0075】
概要または実施例に上述した動作の全てが必要ではなく、具体的な動作の一部は必要ないこともあり、1つ以上のさらなる動作を、説明したものに加えて実施してもよいことに留意する。さらに、動作を示した順番は、必ずしも、実施する順番ではない。
【0076】
上述の明細書において、特定の実施形態を参照して、概念を説明してきた。しかしながら、当業者であれば、以下の請求項に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができる。従って、明細書は、限定的な意味でなく、例示と考えられ、かかる修正は全て、本発明の範囲内に含まれるものとされる。
【0077】
利益、その他利点および問題解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、生じる、またはより顕著となる利益、利点、問題解決策、および何らかの利益、利点または解決策を生じるであろう何らかの特徴は、請求項のいずれかまたは全ての重要、必要または不可欠な特徴とは解釈されない。
【0078】
特定の特徴はまた、明瞭にするために、別個の実施形態で記載されているが、単一の実施形態において組み合わせで提供されてもよいものと考えられる。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態で記載された様々な特徴は、別個に、または任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲で示された値を示すとき、その範囲内のあらゆる値が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テトラフルオロエチレン、および
(b)少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマーとから生じる繰り返し単位を含む溶融流動性フルオロポリマーであって、前記(a)および前記(b)の重量パーセントの合計が、前記溶融流動性フルオロポリマーを構成する全ての繰り返し単位の少なくとも約99重量パーセントを構成する、溶融流動性フルオロポリマー。
【請求項2】
約0.001〜約1重量パーセントの、少なくとも1つの官能基および重合可能な炭素−炭素二重結合を有する前記モノマーから生じる繰り返し単位を有する請求項1に記載の溶融流動性フルオロポリマー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの官能基が、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、ホスホネート、スルホネート、ニトリル、ボロネートおよびエポキシドからなる群から選択される少なくとも1つである請求項1に記載の溶融流動性フルオロポリマー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの官能基が、ジカルボン酸無水物である請求項1に記載の溶融流動性フルオロポリマー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの官能基が、ジカルボン酸である請求項1に記載の溶融流動性フルオロポリマー。
【請求項6】
約1重量パーセント以下の、テトラフルオロエチレン以外のフルオロモノマーから生じる繰り返し単位をさらに含む請求項1に記載の溶融流動性フルオロポリマー。
【請求項7】
テトラフルオロエチレン以外の前記フルオロモノマーが、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)およびパーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群から選択される少なくとも1つである請求項5に記載の溶融流動性フルオロポリマー。

【公表番号】特表2011−530630(P2011−530630A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522271(P2011−522271)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/053116
【国際公開番号】WO2010/017458
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】