説明

テレケリックポリマーの製造方法

本発明は、2つのポリマー鎖をカップリングして、末端基が官能化されたポリマーにすること、同時にポリマー溶液から遷移金属を沈殿させること並びにポリマー鎖末端のハロゲン原子を除去することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radikal Polymerisation)(以後、省略してATRPとする)を用いて製造された官能性末端基を有するポリマーの合成に関する。特別な態様は、テレケリックのポリメタクリラート、ポリアクリラート又はポリスチレンの製造である。前記官能基は、例えばヒドロキシ基、アミン基、シリル基又はオレフィン性基であることができる。本発明は、更に特に、官能化された開始剤を用いるATRPの開始及びこのように一端が官能化された2つの鎖を重合を完結するカップリング(polymerisationsabschliessende Kupplung)によりテレケリックポリマーにすることに関する。
【0002】
本発明の更に特別な態様は、カップリング試薬の添加により、1つの方法工程において同時に重合溶液から沈殿により遷移金属化合物の除去及びその簡単な除去を可能にする予め遷移金属に配位される配位子の塩形成を行うことである。
【0003】
このATRPは、多くのポリマー、例えばポリアクリラート、ポリメタクリラート又はポリスチレンの製造のために重要な方法である。この種類の重合を用いることで、カスタムメイドポリマーの目標にかなり接近する。このATRP法は、1990年代においてMatyjaszewski教授により決定的に開発された(Matyjaszewski et al.著, J.Am.Chem.Soc, 1995, 117, p.5614; WO 97/18247; Science, 1996, 272, p.866)。このATRPは、Mn=5000〜120000g/molの分子量範囲の分布の狭い(ホモ)ポリマーを提供する。その際、特別な利点は、分子量も分子量分布も調節可能なことである。さらにリビング重合として、それはポリマー構造、例えばランダムコポリマー又はブロックコポリマー構造の適切な構築を可能にする。相応する開始剤によって、例えば付加的に、通常ではみられないブロック−コポリマー及び星型ポリマーが得られる。重合メカニズムについての理論的原理は、特にHans Georg Elias著, Makromolekuele, 第1巻、第6版, Weinheim 1999, p.344で説明されている。
【0004】
先行技術
同時にポリマーの鎖末端でハロゲンを除去し、遷移金属を完全に沈殿させ、配位子を容易に除去すべきイオンの形に変換し、2つの単官能性ポリマー鎖をカップリングして1つの両端に末端官能化されたポリマーにすることができるATRPにおける方法工程の開発は、決して先行技術ではない。これは、単に既に同時の遷移金属沈殿と2つの鎖末端のカップリングとの組合せと見なされる。全ての3つの機能の組合せは、先行技術において今日まで記載されていない。以後、この工程は、従って、末端基官能化又は2つのATRP生成物のカップリングに限定される。
【0005】
このATRPプロセスは、ドーマント種と活性種との間のレドックス平衡に基づいている。前記の活性種は、わずかな濃度だけで存在する成長しているラジカルポリマー鎖並びに比較的高い酸化数の遷移金属化合物(例えば銅II)である。前記の有利に存在するドーマント種は、ハロゲンもしくは擬ハロゲンを末端に有するポリマー鎖と、比較的低い酸化数の相応する遷移金属化合物(例えば銅I)との組合せである。これは、(擬)ハロゲン置換された開始剤を用いて開始される本来の形のATRPについても、さらに後述するリバースATRP(この場合、ハロゲンが前記平衡の調節時に始めてポリマー鎖と結合される)についても通用する。前記ハロゲン原子は、選択された方法とは無関係に、反応の停止後に、それぞれの鎖末端に残留する。この末端のハロゲン原子は、いくつかの点で利用することができる。多数の刊行物において、精製後に又はブロック構造の構築のために他のモノマーフラクションの逐次の添加によって、このようなポリマーのマクロ開始剤としての使用が記載されている。代表的な例として、逐次重合に関してUS 5,807,937が参照され、マクロ開始剤の合成に関してUS 6,512,060が参照される。
【0006】
しかしながら、問題なのはこのようなハロゲン官能化されたポリマーの当業者に周知の熱による不安定性である。特にポリメタクリラート又はポリアクリラートは、末端にハロゲン原子が存在する場合に、明らかに解重合に対して敏感であることが判明している。従って、この末端のハロゲン原子を除去するための方法が注目されている。広範囲に広まった方法は、前記ハロゲンを金属アルコラートで置き換えて、形成された金属ハロゲン化物を沈殿させることに基づく。このような方法は、例えばUS 2005/0900632に記載されている。前記措置の欠点は、前記金属アルコラートの限られた入手性、そのコスト及び、前記方法が前記ポリマーの精製後に別個のプロセス工程で実施できるにすぎないことである。更に、この方法では、ヒドロキシル基を用いた直接の官能化が不可能である。同様のことが、末端のハロゲン基を置換する他の方法にも該当する:アジド(Matyjeszewski et al.著, Macromol. Rapid Commun, 18, 1057-66. 1997参照)もホスフィン(Coessens, Matyjaszewski著, Macromol. Sei. Pure Appl. Chem., 36, 653-666, 1999)も、不完全な転化率を生じさせ、毒性が特に懸念され、直接のヒドロキシ官能化のためにあまり適しておらず、極めてコスト高である。更に、この方法も、生成物後処理後に等重合度反応において適用可能なだけである。
【0007】
本発明の場合に、末端のハロゲン原子を置換するために、メルカプタン、例えばメルカプトエタノールが使用される。唯一、Snijder et al. (J. of Polym. Sei.: Part A: Polym. Chem.)においてこのようなメルカプトエタノールでの置換反応が短く記載されている。本願発明と異なるのは、等重合度反応の実施である。記載された刊行物中では、前記置換反応はATRP生成物の精製後に始めて第2の反応工程で実施される。それにより、本発明に対してまさに2つの重要な差異が生じる。メルカプタン試薬の添加によりATRP溶液から前記遷移金属化合物を沈殿させる本発明による効果は、前記刊行物には記載されていない。
【0008】
さらなる別の方法は、安定なヒドロキシ官能化されたラジカル、例えばニトロキシド(例えば:Beyou et al.著, Macromol. Chem. Phy., 202, 974-9, 2001参照)を用いるか又はヒドロキシル基を有する開始剤の事前の使用下でのラジカルの鎖末端の適切な再結合による一時的にラジカルが存在する鎖末端の捕捉である。この両方の方法は、前記重合法への付加的に時間のかかる介入を必要とする。これは、例えばプロセス工学的に望ましくない温度上昇であることができる。当業者には、前記方法は触媒除去が容易でないことも、ATRPにとって典型的な狭い分子量分布を有するポリマーを生じさせることができないことも容易に明らかである。前記方法は、前記文献中ではしばしばATRA(原子移動ラジカル付加;Atom transfer radical addition)と表される。このATRAの変法は、in-situで2つのラジカルに分解する試薬の添加であり、前記ラジカルの中の1つが不可逆にラジカル鎖末端を捕らえ、2つ目が小さな新たな鎖を開始する。前記措置の欠点は、低下する反応速度の他に、必要な試薬の商業的入手性が悪く、極めて急速に捕捉しなければならないか又は不所望なオリゴマーの副生成物を生じさせる付加的ラジカルを放出することである。例えば、前記方法は、Sawamotoの論文(Macromolecules, 31 ,6708-11, 1998及びJ Polym. Sei. Part A: Polym. Chem., 38, 4735- 48, 2000)に記載されている。
【0009】
前記ATRAの変法は、成長するポリマー鎖を一度だけラジカルを前記鎖末端に組み込むことができるモノマー単位でエンドキャップすることであり、その結果、安定なハロゲン化された鎖末端が形成されるが、相応して更なる鎖成長は抑制される。これは、例えば十分にそれ自体も官能化されていることができるオレフィンであることができる。ヒドロキシル基を有するこのような化合物の例は、アルコールである(Coessens, Matyjaszewski著, Macromol. Rapid Commun., 20, 127-134, 1999)。二官能性開始剤を用いかつ両側エンドキャッピングを用いる重合において、この経路でヒドロキシテレケル(Hydroxytelechele)が製造可能である。本発明の場合と比較してこの方法の欠点は、更に臭素化された、それにより熱的に不安定な鎖末端、遷移金属化合物の並行した沈殿の欠如及び前記鎖末端の不完全な反応である(Keul et al.著, Macrom. Symp., 161 , 63-72, 2000参照)。
【0010】
ATRAの他の変法は、いわゆるATRC(原子移動ラジカルカップリング)である。このATRCはFukuda(e-Polymers, no.013, 2002)に由来し、Matyjaszewski(Macromol. Chem. Phys., 205, 154-164, 2004)の場合にポリスチレンについて詳細に記載されている。この方法の場合に、最初の工程でヒドロキシル基を有する臭素化された開始剤がスチレンのARTPのために使用される。生成物精製の後に、前記系にCu(0)及び例えばATRPから公知の配位子を添加する。この新規の触媒系を用いて、末端の臭素原子を除去しながら両方の鎖末端のカップリングが行われる。当初ではなおヒドロキシ官能化された開始剤残基は、前記ポリマー中に新規の鎖末端を置く。しかしながら、前記系はモノマーの制限された数についてだけ適用可能であることが欠点である。短いスチレンセグメントがATRPの終わりに組み込まれる場合にだけ、アクリラート又はメタクリラートのカップリングが作動する。更に、新たな別個の実施及び、新たに手間をかけて除去しなければならないさらなる銅化合物の添加は欠点である。
【0011】
それに対して、より簡単なのは、同時に制御される重合条件でRAFT重合(可逆的付加開裂連鎖移動重合、Reversible addition fragmentation chain transfer polymerization)の使用下での両側の末端基官能化である。このプロセスの場合に、ラジカルは特別なRAFT剤に移動し、前記RAFT剤は更なる重合の経過において、例えば交互に二官能性ラジカル移動試薬として機能する。この場合、移動の際に、例えばヒドロキシ官能化された前記剤の部分は後の鎖末端で位置決定される。このような二重にヒドロキシ官能化されたRAFT剤の使用は、例えばLima et al.著(J. of Polym. Sei., Part A: Polym. Chem., 43, 959-73, 2005)に記載されている。このRAFT生成物の、ATRP生成物と比較した、特に本発明によるポリマーと比較した大きな欠点は、ポリマー中に組み込まれたRAFT剤(これは大抵はトリチオカーボネート)の残基の低下された熱安定性である。他の欠点は、場合による生成物の着色及び残留する硫黄化合物の強い臭気であり、これは例えば熱分解の際に放出されることがある。これとは反対に、本発明の場合にポリマー鎖中に組み込まれるチオエーテル基は熱的に明らかにより安定である。これは、当業者には、対照物質としてメルカプタンベースの調節剤の添加下でのフリーラジカルにより製造されるポリマーの極めて容易にポリマー特性から推測される。
【0012】
ヒドロキシ官能化されたポリアクリラート、ポリメタクリラート又はポリスチレンは、広い適用領域で使用することができる。この場合、ヒドロキシル基は同じ複数の機能を行使することができる。一方で、極性基はポリマーの混和性に影響を及ぼし、ひいては例えばポリマーブレンドの機械的特性に影響を及ぼす。さらに、ヒドロキシル基は表面付着性に関して大きな意味を有する。このことは、例えば、被覆又は塗料の場合にもたらされるような表面での付着についても通用する。他方で、これは、例えば顔料又は充填剤の分散の際に必要となる小さな粒子に関する表面付着についても通用する。ヒドロキシル基は特に反応性基として第3の意味が見出される。これは、特に反応性接着剤、シール剤及び熱可塑性接着剤において使用される。本発明による方法により製造されたポリマーはむしろわずかなヒドロキシル割合を提供するため、先行技術を更に考慮する際に、反応性接着剤中での狭い幅の分子量分布を有するポリ(メタ)アクリラートの重要性が例としてあげられる。これは、本発明による方法により製造されたポリマーの潜在的に重要な使用例に関して先行技術の改善だけを意味する。この例は、しかしながら、正確な組成又はポリマーの使用を何らかの方法で限定するために利用されない。
【0013】
反応性接着剤は室温で固体の物質である。前記反応性接着剤は加熱により溶融し、基材に塗布される。冷却時に前記接着材料は再び固化し、それにより基材を結合する。さらに、接着剤中に含まれるポリマーが水分との反応により架橋する。この現象によって、最終的に不可逆な硬化が行われる。
【0014】
この種の接着剤は、例えばUS 5,021 ,50に記載されている。前記接着剤の主成分は、たいていの場合、過剰のポリイソシアネート基とポリオールとの縮合反応によって得られる遊離イソシアネート基を有する化合物である。特定の基材への付着特性を改善するために、遊離イソシアネート基を有するこれらの化合物に、エチレン性不飽和モノマーからのポリマーからなる結合剤を添加していた。結合剤として、典型的にはC1〜C20−アルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートを用いる。これらは相応するモノマーから、ウレタンへの添加前又はその存在下でラジカル重合によって製造される。
【0015】
US 5,866,656ならびにEP 1036103には、接着剤組成物中でポリ(メタ)アクリレートからの結合剤が遊離イソシアネート基を有する化合物に共有結合している反応性溶融接着剤が記載される。たいていの場合この結合は縮合反応によって行われるので、この結合が形成されているような接着剤とは、縮合段階における接着剤のことを指す。そのようにして得られた接着剤は、US 5,021 ,507の中で記載されたものと比べて、高められた弾性及び特定の金属サブストレート上への改善された付着性ならびにより開放時間(加工のために提供される時間)を特徴とする。
【0016】
もちろん、前記反応性溶融接着剤は重大な欠点を有する。前記反応性溶融接着剤は、例えばわずかな初期強度を示すだけである。そのことから、前記接着材料の塗布後に、特に長期間の欠点とされる固定時間が生じる。
【0017】
従来技術の反応性接着剤の他の欠点は、加工の際に関連する高い粘度である。それにより、溶融した反応性接着剤の加工は、特に多孔性の基材上への塗布を明らかに困難にする。部分的に、縮合段階においてゲル化も生じる。
【0018】
他の欠点は、硬化された接着剤中の抽出可能な割合が相当高いことである。これは、特に溶剤に対する接着材料の耐性を低める。
【0019】
他の欠点は、例えば130℃での溶融物における前記反応性溶融接着剤の頻繁に不十分な粘度安定性であり、それにより特に加工性は妨げられる。
【0020】
さらに欠点とされるのは、ラジカル重合された材料が、架橋反応に関与せずかつ相応する反応性溶融接着剤の抽出可能な成分である比較的高い割合の低分子量の成分も含有することである。
【0021】
このATRP法を用いることで、カスタムメイドポリマーの目標にかなり接近する。このATRPは、特にヒドロキシル基を有するモノマーとして2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート(HEMA)と共に発展された(Beers et al.著, Macromolecules; 1999, 32, p.5772-5776)。
【0022】
前記問題は、WO 05/047359では、精密重合法の適用によって、ATRPの形で、ラジカル重合された(メタ)アクリレートと比べて少しだけの割合の高分子量の成分を有する非常に狭い分子量分布を有する結合剤を提供することができたという点で解決された。これらの成分はポリマー混合物中で、特に粘度の上昇をもたらす。さらに、前記ポリマーは、明らかに低い割合の低分子量の及びひいては抽出可能な成分を含有する。このような成分のこの低い割合は耐候性を高め、生成物の老化を延長し、明らかに改善された耐薬品性を生じさせる。
【0023】
しかしながら、 WO 05/047359により示された反応性接着剤の欠点は、結合剤のポリマー鎖内のヒドロキシ基、メルカプト基、もしくはアミン基のランダム分布である。これにより小さい網の目の架橋が生じ、ひいては接着剤の弾性の低下につながる。その結果、基材結合の劣化も起こりうる。前記欠点は、付加的に前記ポリイソシアナートが反応性溶融接着剤の構成成分として多数の遊離イソシアナート基で官能化されている場合に特に生じる。この場合、もっぱら末端基官能化を有するポリ(メタ)アクリラートは同時配合成分として多くの観点で極めて有利である:一方で、適当なポリイソシアナートの選択によりより長い加工時間を調節できる。他方で、成分が鎖末端基を介してのみ組み込まれているポリマー網目は、特に柔軟性を有する。高い耐久性と同時に前記網目の高められた柔軟性は、他の適用分野において、例えばシール剤においても極めて重要である。
【0024】
遊離イソシアネート基を有する化合物のリスト及び記載に関して、WO 05/047359が指摘される。
【0025】
課題
本発明の課題は、原子移動ラジカル重合(ATRP)により製造された2つのポリマーのそれぞれ1つの鎖末端を適当な試薬によって相互にカップリングすることにある。
【0026】
さらに、本発明の課題は、鎖末端の90%より多くに官能基を有するポリマーをATRPにより製造することである。前記官能基は、特にヒドロキシ基、アミン基、シリル基又はオレフィン性基であることができる。
【0027】
さらに、本発明の課題は、ハロゲン又は擬ハロゲンを含有しないか又は痕跡量でのみ含有するポリマーをATRPにより製造することである。従って、課題は、ハロゲン含有生成物と比較して前記ポリマーの熱安定性を改善することでもある。
【0028】
特に、本発明の課題は、官能化と同時のハロゲン除去を大規模工業的に簡単に実現されかつ経済的なプロセスの範囲内で実施することである。さらに特に、課題は、官能化を付加的な生成物の後処理なしで本来のATRPプロセスの完了時に直接同じ反応容器中で実施することである(ワンポット反応)。
【0029】
並行して、本発明の課題は、同じ方法工程で同時に大規模工業的に実現可能な、ポリマー溶液から遷移金属錯体を除去する方法を提供することである。同様に、この新規方法はコストが低く、迅速に実施可能であるのが好ましい。さらに、本発明による課題は、公知の溶液重合のために適した装置について煩雑な改造なしに実施できる方法を提供することであった。他の課題は、濾過工程後に既に特に低い遷移金属錯体化合物の残留濃度を実現できることであった。
【0030】
解決策
前記課題は、官能基X及び場合により他の官能基F1を有する二官能性開始剤を用いたATRPの開始により解決される。Xは、ATRPの開始のために通常使用される官能基、例えばハロゲン原子又は擬ハロゲン基である。F1は、ATRP条件下で開始剤として作用しない第2の官能基である。特にこれは、ヒドロキシ基、アミン基、シリル基又はオレフィン性基であることができる。
【0031】
重合が行われた後に、前記反応は停止試薬の添加により停止される。本発明の成分は、さらに、前記停止試薬が2個の官能基F2を有する二官能性化合物である。F2は、前記ポリマーの予め重合活性の鎖末端で官能基Xを置き換えるために適した基である。特に、F2はチオール基である。二官能性停止試薬を使用することにより、このようにして2つのポリマーをそれぞれ1つの鎖末端で相互にカップリングすることができる。
【0032】
ATRPにより合成されたポリマーの末端活性基を前記硫黄化合物で置き換えることにより、それぞれの鎖末端は第2の基F2で官能化される。これは、また、置き換えの下で、両方のポリマー鎖をカップリングしながら、第2のポリマーの基Xを有する活性の鎖末端と反応する。同時に、前記末端のハロゲン原子は前記ポリマーから除去され、前記ハロゲン原子は触媒として使用された遷移金属配位化合物を失活させ、ひいては前記金属はほぼ完全に沈殿する。これは、引き続き濾過により簡単に除去することができる。
【0033】
詳細には、ATRPプロセスの間又はその完了時に存在するハロゲン末端のポリマー鎖にメルカプタンを添加することにより前記ハロゲンは置き換えられる。従って、前記ポリマーの鎖末端にはチオエーテル基が形成され、これは硫黄ベースの調節剤を用いたラジカル重合から既に公知である。分解生成物としてハロゲン化水素が形成される。
【0034】
本発明の更に特別な態様は、試薬の添加により1つの方法工程において同時にポリマー鎖から末端のハロゲン原子を除去し、遷移金属化合物を沈殿により除去し、かつ予め遷移金属に配位されていたリガンドの塩形成(この塩形成は再び遷移金属からリガンドの簡単な除去を可能にする)を行うことである。
【0035】
詳細には、前記硫黄化合物の添加の際に恐らく次のことが行われる。開始剤として、ATRPにおいて、1種以上の原子又は原子団Xを有する化合物が使用され、前記原子又は原子団はATRP法の重合条件下でラジカル移動可能である。前記ポリマーのそれぞれの鎖末端の活性基Xの置き換えの際に、式X−Hの酸が遊離される。この生成されたハロゲン化水素は、有機ポリマー溶液中で加水分解されず、従って特に顕著な反応性を提供し、この反応性により後述する遷移金属化合物の少なくとも塩基性のリガンドのプロトン化を引き起こす。前記遷移金属錯体のこの失活(Quenchen)は極端に急速に進行し、マスクされていない遷移金属化合物の直接の沈殿が生じる。
【0036】
前記遷移金属は、この場合原則として、重合の最初に使用された形で沈殿する:例えば銅の場合には、CuBr、CuCl又はCu2Oとして沈殿する。遷移金属が同時に、例えば空気の導入によるか又は硫酸の添加により酸化される条件下で、前記遷移金属化合物は付加的により高い酸化数で沈殿する。本発明による前記の硫黄化合物の添加により、遷移金属の沈殿は、この酸化条件下での沈殿とは反対に、さらにほとんど定量的に行うことができる。濾過工程後に既に、5ppm以下の遷移金属錯体化合物の特に低い残留濃度を実現することが達成される。
【0037】
この効果を達成するために、本発明による前記硫黄化合物の使用は、ポリマー鎖末端の活性基Xに対して、例えば0.55当量の割合だけで使用しなければならない。これは、活性基Xに対して1.1当量のメルカプト基の割合に相当する。高い過剰量は、当業者に容易に自明であるように、明らかに低下したカップリング収率を引き起こす。
【0038】
相応する割合は、前記リガンドLに対しても通用する:遷移金属とリガンドとが1:1の比で存在する錯体の場合には、前記遷移金属錯体の完全な失活を達成するために、同様に極めてわずかな過剰量の硫黄化合物だけで十分である。このようなリガンドについての例は、さらに後述されたN,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)及びトリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)である。
【0039】
本発明の成分は、さらに、使用された硫黄化合物はほぼ完全に前記ポリマー鎖に結合され、簡単な変性を用いて濾過において残留硫黄割合は全く簡単に完全に除去することができる。このように、不快な硫黄化合物が原因の臭気を有しない生成物が得られる。
【0040】
本発明の大きな利点は、前記溶液からの遷移金属錯体の効果的な除去である。本発明による方法を適用することにより、遷移金属含有量を濾過により少なくとも80%、有利に少なくとも95%、特に有利に少なくとも99%低減することができる。特別な実施態様の場合には、それどころか、本発明による方法の適用により、遷移金属含有量を99.9%より大きく低減することができる。
【0041】
有利に、重合溶液の重合停止の後又はその間に添加される、2つの基F2を有する本発明による試薬は、有機結合された形で硫黄原子を含有する化合物である。遷移金属イオン又は遷移金属錯体の沈殿のために使用される硫黄含有化合物中のこの両方の基F2は2つのSH基であるのが特に有利である。有機化合物として特に有利に二官能化されたメルカプタン又は溶液条件下で相応して2つのチオール基を形成することができる化合物が挙げられる。これは、有機化合物、例えばジチオグリコール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール又は3,4−ジメルカプトトルエンであることもできる。前記化合物は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基又は他のヘテロ原子を含有する基を含有することができる。このようなジチオールの例は、2,2′−オキシジエタンチオールである。
【0042】
変法の場合に、さらに、前記の二官能性停止試薬は両方の基F2の他に1つ以上の付加的な官能基F3を有することもできる。前記基F3は基Xとは置換反応を引き起こさず、基F1と同じ又は異なることができる。このような化合物を使用することにより、正確に鎖中央で1箇所又は数箇所官能化されているポリマー又は正確に鎖末端に及び鎖中央で官能化されているポリマーを製造することができる。このような化合物の例は、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールであり、2つの官能基を有する化合物の例は、メソ−2,3−ジメルカプトコハク酸、1,4−ジチオエリトリット又は多様な1,4−ジチオ−トレイット(1,4-Dithio-threite)である。
【0043】
特に有利な化合物は、市場で容易に入手可能で、ラジカル重合において調節剤として使用される化合物である。前記化合物の利点は、その容易な入手性、その低い価格及びそれぞれの重合系に沈殿試薬を最適に適合することができる広い可変性である。
【0044】
本発明は、しかしながらこれらの化合物もしくは例に制限されない。むしろ、使用された沈殿剤は2個のSH基を有するか又は2個のSH基を重合溶液の条件下でin situで形成することが重要である。
【0045】
ラジカル重合の場合に、重合されるべきモノマーに対する調節剤の量は、少なくとも0.05質量%〜5質量%である。本発明の場合に、使用される硫黄化合物の量は、モノマーに対してではなく、ポリマー溶液中の重合活性鎖末端の濃度に対する。重合活性鎖末端とはドーマントの及び活性の鎖末端の合計を意味する。本発明の場合に硫黄含有沈殿剤は、この意味範囲で、開始剤初期濃度に関して最大1モル当量、有利に最大0.7モル当量、特に有利に0.6モル当量以下、さらに特に有利に0.5モル当量で使用される。この残留硫黄量は、次の濾過工程の改良によって容易に除去することができる。
【0046】
記載されたメルカプタンはポリマー溶液への添加の際に、重合の停止の間又は停止後に、記載された置換反応を除いて前記ポリマーにさらに影響を及ぼすことはできないことは当業者には容易に明らかである。これは、特に分子量分布の幅、分子量、付加的官能基、ガラス転移温度又は部分結晶ポリマーの場合に溶融温度及びポリマー構造について該当する。
【0047】
さらに、装置的にもっぱらポリマー溶液の濾過に基づく相応する方法は、大規模工業的プロセスにおいて生じた溶液重合装置について大きな改造なしで実施可能であることは当業者に容易に明らかである。
【0048】
本発明の更なる利点は、1つ又は最大で2つの濾過工程に減らすことにより、多くの定着された系と比較してポリマー溶液の極めて迅速な後処理を行うことができることにある。
【0049】
さらに、前記置換、沈殿並びに引き続く濾過は、0℃〜120℃の範囲内の温度で及びさらに通常の範囲内の他の方法パラメータで行われる。
【0050】
最終的な痕跡量の硫黄化合物を減らすために、吸着剤又は吸着剤混合物を使用することができる。これは、並行して又は連続する後処理工程で行うことができる。前記吸着剤は先行技術から公知であり、有利にシリカ及び/又は酸化アルミニウム、有機多酸並びに活性炭(例えばNorit社のNorit SX plus)のグループから選択される。
【0051】
前記活性炭の除去も、個別の濾過工程又は遷移金属除去のためと同時の濾過工程で行うことができる。特に有効な変法の場合に、前記活性炭を固体としてポリマー溶液に添加するのではなく、前記濾過を、市場で入手可能な活性炭を有するフィルター(例えばPaII Seitz Schenk社のAKS 5)を通して行う。前記された酸性助剤及び活性炭の添加からなる組合せ、又は前記された助剤の添加及び活性炭を有するフィルターを用いた濾過を適用することもできる。
【0052】
本発明は、2つのポリマー鎖をカップリングさせながらでのポリマーの末端基官能化、末端のハロゲン原子の除去及びATRP法を用いて製造された全体のポリマー溶液からの除去に関する。次に、ATRPから生じる可能性の概略を短く述べる。この列挙は、しかしながらATRP及びそれによる本願発明を限定的に記載するために適していない。この列挙はむしろ、相応するATRP生成物の後処理のためのATRP及びそれにより本発明の多大な重要性及び多面的な使用可能性を指摘するために利用される。
【0053】
ATRPを用いて重合可能なモノマーは十分に公知である。次に一組の例を挙げるが、これは本発明をなんらかの形に制限するものではない。この場合、(メタ)アクリラートの標記は、(メタ)アクリル酸のエステルを記載し、ここでは、メタクリラート、例えばメチルメタクリラート、エチルメタクリラート等も、アクリラート、例えばメチルアクリラート、エチルアクリラート等も、並びにこの両者の混合物も意味する。
【0054】
重合されるモノマーは、(メタ)アクリラート、例えば1〜40個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環式脂肪族アルコールのアルキル(メタ)アクリラート、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、i−ブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ステアリル(メタ)−アクリラート、ラウリル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート;アリール(メタ)アクリラート、例えばそれぞれ非置換であるか又は1〜4箇所置換されたアリール基を有することができるベンジル(メタ)アクリラート又はフェニル(メタ)アクリラート;他の芳香族置換(メタ)アクリラート、例えばナフチル(メタ)アクリラート;エーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又は5〜80個のC原子を有するこれら混合物のモノ(メタ)アクリラート、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリラート、メトキシ(メ)エトキシエチルメタクリラート、1−ブトキシ−プロピルメタクリラート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリラート、ベンジルオキシメチルメタクリラート、フルフリルメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、2−エトキシエチルメタクリラート、アリルオキシ−メチルメタクリラート、1−エトキシブチルメタクリラート、1−エトキシエチルメタクリラート、エトキシ−メチルメタクリラート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリラート及びポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリラートのグループから選択される。前記モノマーの選択は、それぞれヒドロキシ官能化された及び/又はアミノ官能化された及び/又はメルカプト官能化された及び/又はオレフィン性に官能化されたアクリラート又はメタクリラート、例えばアリルメタクリラート又はヒドロキシエチルメタクリラートを含むこともできる。
【0055】
前記に述べられた(メタ)アクリラートの他に、重合されるべき組成は、他の不飽和のモノマーからなることもできるか又はこのモノマーを含有することもできる。これには、特に1−アルケン、例えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、分枝されたアルケン、例えばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、アクリルニトリル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、特にスチレン、アルキル置換基でビニル基が置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環が1つ以上のアルキル置換基で置換されたスチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化されたスチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;複素環式化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及びイソプレニルエーテル;マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド及びジエン、例えばジビニルベンゼン、並びにそれぞれのヒドロキシ官能化された及び/又はアミノ官能化された及び/又はメルカプト官能化された及び/又はオレフィン性に官能化された化合物が属する。さらに、このコポリマーがヒドロキシ官能基及び/又はアミノ官能基及び/又はメルカプト官能基及び/又はオレフィン性官能基を1つの官能基中に有するように前記コポリマーを製造することもできる。そのようなモノマーは、例えばビニルピペリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、水素化ビニルチアゾール及び水素化ビニルオキサゾールである。
【0056】
前記方法は、任意のハロゲン不含の溶剤中で実施することができる。有利なのは、トルエン、キシレン、アセタート、有利にブチルアセタート、エチルアセタート、プロピルアセタート;ケトン、有利にエチルメチルケトン、アセトン;エーテル;脂肪族化合物、有利にペンタン、ヘキサン、;アルコール、有利にシクロヘキサノール、ブタノール、ヘキサノール、またバイオディーゼルである。
【0057】
組成ABのブロックコポリマーは、逐次重合によって製造することができる。前記ポリマーは、カップリングしてBA−ABの形のブロックコポリマーになることができる。硬質ブロック及び軟質ブロックの組合せにより、このように、本発明による生成物の更なる特性プロフィール、ひいては広い適応性を実現することができる。付加的官能基又は更なるブロックの付与による広範囲なブロック構造も、選択事項である。
【0058】
この重合は、常圧、減圧又は過圧で実施することができる。重合温度も重要ではない。しかしながら、重合温度は、一般的に−20℃〜200℃、有利に0℃〜130℃、特に有利に50℃〜120℃の範囲内にある。
【0059】
有利に、本発明による得られるポリマーは、5000g/mol〜120000g/mol、特に有利に7500g/mol〜50000g/molの数平均分子量を有する。
【0060】
分子量分布は1.8より低く、有利に1.6より低く、特に有利に1.4より低く、かつ理想的には1.2より低いことがわかった。
【0061】
開始剤として、ATRP法の重合条件下でラジカルを移動することができる1つの原子又は1つの原子団Xを有する化合物を使用することができる。前記活性基Xは、一般にCl、Br、SCN及び/又はN3である。適当な開始剤は、次の一般式を有する:
123C−X、R1C(=O)−X、R123Si−X、R1NX2、R12N−X、(R1nP(O)m−X3-n、(R1O)nP(O)m−X3-n及び(R1)(R2O)P(O)m−X、
その際、Xは、Cl、Br、I、OR4、SR4、SeR4、OC(=O)R4、OP(=O)R4、OP(=O)(OR42、OP(=O)OR4、O−N(R42、CN、NC、SCN、NCS、OCN、CNO及びN3からなるグループから選択され、その際、R4は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基(その際それぞれの水素原子は独立して、ハロゲン、有利にフッ素又は塩素により置き換えられていてもよい)又は2〜20個の炭素原子を有するアルケニル、有利にビニル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、有利にアセチレニル、1〜5個のハロゲン原子で又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよいフェニル、又はアラルキルを表し、及びその際、R1、R2及びR3は、相互に無関係に、次のものからなるグループから選択され:水素、ハロゲン原子、1〜20個の、有利に1〜10個の、特に有利に1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、3〜8個のシクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アミノ基、アミド基、COCl、OH、CN、2〜20個の炭素原子、有利に2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基又はアルキニル基、特に有利にアリル又はビニル、オキシラニル、グリシジル、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基又はアルケニル基、前記基はオキシラニル又はグリシジル、アリール、ヘテロサイクリル、アラルキル、アラルケニル(アリール置換されたアルケニル、その際、アリールは前記のように定義され、かつアルケニルはビニルである)、前記基は1又は2個のC1〜C6−アルキル基、その際、水素原子の1個〜全て、有利に1個はハロゲンにより置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、有利にフッ素又は塩素、及び1個の水素原子が置き換えられている場合、有利にフッ素、臭素又は臭素)1〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、前記基はC1〜C4−アルコキシ、アリール、ヘテロサイクリル、ケチル、アセチル、アミン、アミド、オキシラニル及びグリシジルからなるグループから選択される1〜3個の置換基(有利に1個)で置換されていてかつm=0又は1;m=0、1又は2を表す。有利に、基R1、R2及びR3の2つより多くは水素ではなく、特に有利に基R1、R2及びR3の最大1つは水素である。
【0062】
特に有利に、付加的に官能化されていない開始剤には、ベンジルハロゲン化物、例えばp−クロロメチルスチレン、ヘキサキス(α−ブロモメチル)ベンゼン、塩化ベンジル、臭化ベンジル、1−ブロモ−i−フェニルエタン及び1−クロロ−i−フェニルエタンが属する。さらに特に有利に、α位置がハロゲン化されているカルボン酸誘導体、例えばプロピル−2−ブロモプロピオナート、メチル−2−クロロプロピオナート、エチル−2−クロロプロピオナート、メチル−2−ブロモプロピオナート又はエチル−2−ブロモイソブチラートである。同様に、トシルハロゲン化物、例えばp−トルエンスルホニルクロリド;アルキルハロゲン化物、例えばテトラクロロメタン、トリブロモエタン、1−ビニルエチルクロリド又は1−ビニルエチルブロミド;及びリン酸エステルのハロゲン誘導体、例えばジメチルホスホン酸クロリドが有利である。
【0063】
開始剤の第2のグループは、一般構造X−R−F1の付加的に基F1で官能化された化合物である。その際、Xは、既に前記した、ATRPにおいてラジカル移動可能な基を表す。F1は、ヒドロキシ基、アミノ基、tert−ブチル基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、シアノ基、シリル基又はアジド基である。Rは、有機基である。
【0064】
次の構造の開始剤が有利である:
【化1】

【0065】
1、R2、R3及びR4は、ここでは任意の有機基を表す。R1並びにR2は水素であるのが有利である。R3及びR4は、有利に、水素及び/又はCH3基である。aは、0〜12、有利に0〜6、特に有利に0〜2の任意の数である。この構造の2箇所官能化された開始剤の例は、tert−ブチル−2−ブロモプロピオナート、tert−ブチル−2−ブロモイソブチラート、ヒドロキシエチル−2−ブロモプロピオナート、ヒドロキシエチル−2−ブロモイソブチラート、ビニルクロロアセタート、アリルクロロアセタート、グリシジル−2−ブロモプロピオナート及びグリシジル−2−ブロモイソブチラートである。
【0066】
tert−ブチル−2−ブロモプロピオナートのようなtert−ブチルエステルである開始剤は、酸官能化のためのプレポリマーとして見なされる。当業者には、簡単にtert−ブチルエステルは、例えば熱によりイソブテンの脱離下で酸に変換可能であるようなことは公知である。
【0067】
記載された開始剤の選択の例外は、大抵はエステル基を有していないシアノ官能化された開始剤である。例としては、4−シアノベンジルブロミド、ブロモアセトニトリル及び2−ブロモ−シアノプロパンが挙げられる。
【0068】
ATRPのための2箇所官能化された開始剤の詳細な構成は、特にMatyjaszewski著, ACS Symp. Series, 1998, 685, p.411ffに記載されている。
【0069】
開始剤対モノマーの比率から、モノマー全体が反応した場合の後の分子量がわかる。
【0070】
ARPRのための触媒は、Chem.Rev.2001,101,2921に挙げられている。主に、銅錯体が記載されているが、特に鉄化合物、コバルト化合物、クロム化合物、マンガン化合物、モリブデン化合物、銀化合物、亜鉛化合物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、白金化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物、イッテルビウム化合物、サマリウム化合物、レニウム化合物及び/又はニッケル化合物も使用される。一般に、開始剤、もしくは移動可能な原子団を有するポリマー鎖と酸化還元サイクルを形成しうる全ての遷移金属化合物を用いることができる。そのために銅を、例えばCuO、CuBr、CuCl、CuI、CuN3、CuSCN、CuCN、CuNO2、CuNO3、CuBF4、Cu(CH3COO)又はCu(CF3COO)から出発して系に供給することができる。
【0071】
記載されたATRPにとは別の方法はその変法である:いわゆるリバースATRP(reverse ATRP)においては、比較的高い酸化数の形の化合物、例えばCuBr2、CuCl2、CuO、CrCl3、Fe23又はFeBr3を使用することができる。これらの場合には、反応は古典的なラジカル生成剤、例えばAIBNを用いて開始することができる。この場合、遷移金属化合物はまず還元される、それというのも前記化合物は古典的なラジカル生成剤から生成されたラジカルと反応されるためである。このリバースATRPは、特にWang and Matyjaszewski in Macromolecules (1995), vol. 28, p. 7572 ffに記載されていた。
【0072】
リバースATRPの変法は、酸化数ゼロの金属の付加的な使用を示す。比較的高い酸化数の遷移金属化合物との想定されうる均化によって、反応速度の促進が引き起こされる。この方法はWO 98/40415に詳しく記載される。
【0073】
遷移金属対単官能性開始剤のモル比は、一般的に0.01〜10:1の範囲内、有利に0.1:1〜3:1の範囲内、特に有利に0.5:1〜2:1の範囲内にあるが、これによって制限されるものではない。
【0074】
遷移金属対二官能性開始剤のモル比は、一般的に0.02:1〜20:1の範囲内、有利に0.2:1〜6:1の範囲内、特に有利に1:1〜4:1の範囲内にあるが、これによって制限されるものではない。
【0075】
有機溶剤中での金属の溶解度を高め、かつ同時に安定した、かつそれによって重合活性の有機金属化合物の形成を防止するために配位子を系に添加する。付加的に、前記配位子は遷移金属化合物による移動可能な原子団の抽出を容易にする。公知の配位子のリストは、例えばWO 97/18247、WO 97/47661又はWO 98/40415に記載されている。配位成分として、配位子として用いられる化合物はたいてい1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子及び/又は窒素原子を有する。この場合、特に窒素含有化合物が有利である。さらに特に、窒素含有キレート配位子が有利である。例として、2,2′−ビピリジン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン又は1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンが挙げられる。個々の成分の選択及び組み合わせに関する有益な示唆は、当業者によってWO 98/40415に見られる。
【0076】
これらの配位子はin situで金属化合物と配位化合物を形成することができるか、又は前記配位子をまず配位化合物として製造し、引き続き反応混合物中に添加することができる。
【0077】
配位子(L)対遷移金属の比率は、配位子の配座数及び遷移金属(M)の配位数に依存する。一般的にモル比は、100:1〜0.1:1、有利に6:1〜0.1:1、特に有利に3:1〜1:1の範囲内にあるが、これによって制限されるものではない。
【0078】
本発明にとって重要なのは、前記配位子がプロトン化可能であることである。
【0079】
配位化合物において遷移金属に対して1:1の比率で存在する配位子が有利である。リガンド、例えば2,2′−ビピリジン(これは錯体中で遷移金属に対して2:1の比率で結合される)を使用する場合に完全なプロトン化は、前記遷移金属を、活性鎖末端Xに対して例えば1:2の明らかに過剰で使用する場合にだけ行うことができる。このような重合は、しかしながら、それに対して当量の錯体−X比で著しく緩慢であり、当量使用の場合に不完全なプロトン化に基づき有利ではない。
【0080】
本発明による末端基が官能化された生成物について、広い適用分野が生じる。多様な適用においてヒドロキシ末端、アミン末端、シリル末端又はオレフィン性の末端のポリマーがどのような意味を有することができるかは、当業者には容易に理解できる。適用例の選択は、本発明によるポリマーの使用を限定するのに適していない。この例は、抜き取り検査により記載されたポリマーの幅広い使用可能性を説明するために単に用いられる。例えば、ATRPで合成されたポリマーは、ホットメルト、接着剤、シール剤、ヒートシール剤においてのプレポリマーとして又は等重合度反応のために使用される。前記ポリマーは、化粧品用途のための調製物中で、被覆材料中で、塗料中で、分散剤として、ポリマー添加物として又は包装材中で使用することもできる。
【0081】
しかしながら、官能化されていない、又はカップリング試薬を介して鎖中央で1箇所又は2箇所官能化された、狭い分子量分布を有するハロゲン不含のポリマー(これは同様に本発明による方法によって製造可能である)は、先行技術の結合剤又はプロポリマーに対して多大な利点を有する。
【0082】
次に記載の実施例は、本発明をより良好に説明するためのものであるが、しかしながら本発明をこれに開示された特徴に限定するためには適していない。
【0083】
実施例
この実施例は、付加的官能基F1なしの本発明による単官能性開始剤を使用したATRPプロセスに関していた。相応するF1官能化開始剤を用いた重合に関する結果の転用は既に十分に先行技術として記載されていることは当業者には容易に自明である。記載された実施例を用いて、ATRPを用いて製造された第2のプレポリマーのジチオールの添加によるカップリングがどのように行われるかが示されているだけである。
【0084】
平均分子量及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0085】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下漏斗を備え付けたジャケット付き容器中に、N2雰囲気下で、メチルメタクリラート15g、酢酸ブチル17mL、酸化銅(I)0.14g及びPMDETA0.37gを装入した。この溶液を15分間70℃で撹拌する。引き続き、同じ温度で、2−ブロモイソ酪酸エチルエステル(EBIB)0.36gを添加する。70℃で3時間の重合時間の間撹拌し、試料をGPC測定のために更に試料の精製を行わずに取り出す(試料1)。第2の試料10mLを取り出す。この中に30分間空気を導入し、引き続きトンシル(Tonsil Optimum 210 FF)(Suedchemie社)1gを添加し、1時間撹拌し、引き続き活性炭フィルター(PaII Seitz Schenk社のAKS 5)を介して濾過する。前記濾過は、加圧濾過を用いて行う。この試料からもGPCを測定する(試料2)。
【0086】
反応容器中に残留する重合溶液に、2,2′−オキシジエタンチオール0.08g(Merck社)を添加し、70℃で1時間撹拌する。初めは緑がかった溶液が、前記試薬の添加時に自発的に赤色に呈色し、赤色の沈殿物が生じる。そこから取り出した試料から、更にGPC測定を行う(試料3)。
【0087】
この残留した溶液に、トンシル(Tonsil Optimum 210 FF)(Suedchemie社)2gを添加し、30分間撹拌し、引き続き活性炭フィルター(PaII Seitz Schenk社のAKS 5)を介して加圧下で濾過する。まず、第2の無色の沈殿物の形成が観察できた。更なる分析のために、前記固体の試料を単離する。第2の濾液からもGPCを用いて平均分子量及び分子量分布を測定する(試料4)。
【表1】

【0088】
この実施例から、先ず明らかに、ポリマー溶液から遷移金属錯体(この場合銅錯体)の除去のための吸着剤を用いた既に極めて良好な結果を、硫黄化合物を用いる前記の沈殿により明らかに改善できることは明白である。
【0089】
末端基置換、ひいては鎖カップリングの検出は、後処理されたポリマー溶液の多様な成分を同じように数回特性決定することにより行う:
1.) 銅沈殿物:硫黄試薬の添加時に生成される赤色の沈殿物は、<10ppmで極端に低い硫黄割合を示し、前記金属の硫化物としての沈殿は排除される。
【0090】
2.) ポリマー:前記ポリマー溶液の元素分析は、第2の無色の沈殿物の除去の後でも極めて高い硫黄含有量を示す。前記系に添加された全体の硫黄のほとんどは、前記溶液又は乾燥した生成物中に再び見られる。
【0091】
3.) 第2の無色の沈殿物:1H−NMR調査も、IR分光分析も、前記沈殿物が1箇所プロトン化されたトリアミンPMDETAのアンモニウム塩であることを示した。元素分析は、前記沈殿物が硫黄不含であることを示した。イオンクロマトグラフィーを用いて、試料に応じて32質量%及び37質量%の臭素含有量が検出できた。この値は、純粋なPMDETAアンモニウムブロミド中の含有量に相当する。
【0092】
4.) このGPC測定は、ジチオールの添加後に分子量の明らかな増加を示す。これは、Mnのほぼ2倍である。試料3は、更に、この分子量の増加が更に継続する精製工程によって影響されないことを示すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー鎖末端のハロゲン原子を、適当な二官能性イオウ化合物の添加により置き換えることを特徴とする、官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項2】
遷移金属化合物をポリマー溶液から分離するために、前記遷移金属化合物を適当な二官能性イオウ化合物の添加によって沈殿させ、引き続き濾過により分離することを特徴とする、請求項1記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項3】
ポリマーからハロゲン原子を同時に除去するために、前記ハロゲン原子を前記二官能性イオウ化合物の添加によって90%より多く置き換えることを特徴とする、請求項1記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項4】
ポリマーからハロゲン原子を同時に除去するために、前記ハロゲン原子を前記二官能性イオウ化合物の添加によって95%より多く置き換えることを特徴とする、請求項3記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項5】
請求項1及び2記載の前記二官能性イオウ化合物が同じイオウ化合物であり、両方の方法工程が同時に進行することを特徴とする、官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項6】
二官能性イオウ化合物がジメルカプタンであるか又は2つのチオール基を有する他の有機化合物であることを特徴とする、請求項5記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項7】
前記の二官能性イオウ化合物は、2つの異なる鎖末端と反応して、両方のポリマー鎖をカップリングさせながらより高い分子量の鎖にすることを特徴とする、請求項6記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項8】
イオウ化合物は、ジチオグリコール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、2,2’−オキシジエタンチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、メソ−2,3−ジメルカプトコハク酸又は1,4−ジチオエリスリットであることを特徴とする、請求項7記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項9】
イオウ化合物を、重合の停止後又は重合の停止の間に添加することを特徴とする、請求項1記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項10】
予め重合活性の鎖末端の濃度に関して最大1モル当量のイオウ化合物を使用することを特徴とする、請求項4記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項11】
予め重合活性の鎖末端の濃度に関して最大0.7モル当量のイオウ化合物を使用することを特徴とする、請求項10記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項12】
予め重合活性の鎖末端の濃度に関して0.5モル当量のイオウ化合物を使用することを特徴とする、請求項10記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項13】
ATRP法により重合が行われることを特徴とする、請求項1記載の官能性末端基を有するポリマーの製造方法。
【請求項14】
重合において触媒として使用される遷移金属化合物は、銅化合物、鉄化合物、コバルト化合物、クロム化合物、マンガン化合物、モリブデン化合物、銀化合物、亜鉛化合物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、白金化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物、イッテルビウム化合物、サマリウム化合物、レニウム化合物及び/又はニッケル化合物であることを特徴とする、請求項13記載の方法
【請求項15】
重合において触媒として使用される遷移金属化合物が銅化合物であることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
銅化合物が、Cu2O、CuBr、CuCl、CuI、CuN3、CuSCN、CuCN、CuNO2、CuNO3、CuBF4、Cu(CH3COO)及び/又はCu(CF3COO)として、前記系に重合の開始前に添加することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記の重合において、活性基Xを有する開始剤を使用することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項18】
活性基XがCl、Br、I、SCN及び/又はN3であることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
開始剤が第2の官能基F1を有することを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
第2の官能基F1がヒドロキシ基、アミノ基、tert−ブチル基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、シアノ基、シリル基又はアジド基であることを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項21】
第2の官能性F1がヒドロキシ基、アミノ基、tert−ブチル基又はシリル基であることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ポリマーの鎖末端の活性基Xが、請求項1から10までのいずれか1項記載のイオウ化合物により、式X−Hの酸の遊離下で置き換えられてチオエーテルにされることを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記触媒を重合前に、遷移金属と1つ以上の配位結合して金属−配位子錯体を形成することができる窒素含有化合物、酸素含有化合物、硫黄含有化合物又はリン含有化合物と一緒にすることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項24】
配位子としてN含有キレート配位子を用いることを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記配位子は請求項22記載の酸X−Hによりプロトン化されることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記配位子は配位された遷移金属のプロトン化により外される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
遷移金属は前記配位子の除去により沈殿することを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
重合溶液中の金属含有量は沈殿及び引き続く濾過により少なくとも80%低下することを特徴とする、請求項27記載の方法。
【請求項29】
重合溶液中の金属含有量は沈殿及び引き続く濾過により少なくとも95%低下することを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項30】
ポリマーは、アルキルアクリラート、アルキルメタクリラート、スチレン、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマラート、マレアート、イタコナート、アクリロニトリル及び/又はATRPにより重合可能な他のモノマー及び/又はアルキルアクリラート、アルキルメタクリラート、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマラート、マレアート、イタコナート、スチレン、アクリロニトリル及び/又はATRPにより重合可能な他のモノマーの混合物の重合により得られることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
ポリマーは、スチレン、アルキルアクリラート及び/又はアルキルメタクリラート及び/又は主にスチレン、アルキルアクリラート及び/又はアルキルメタクリラートからなる混合物の重合により得られることを特徴とする、請求項30記載の方法。
【請求項32】
ATRPにより製造され、1.5未満の分子量分布を有し、0.1質量%未満のハロゲン含有量を有しかつ鎖末端の一方に少なくとも1つの官能性末端基を有することを特徴とする、請求項1記載の方法により製造されたポリマー。
【請求項33】
単官能性の、付加的官能基を有する開始剤を用いて製造され、0.1質量%未満のハロゲン含有量を有しかつ両方の鎖末端に官能性末端基を有することを特徴とする、請求項32記載の線状ポリマー。
【請求項34】
単官能性の、付加的官能性を有する開始剤を用いて製造され、0.01質量%未満のハロゲン含有量を有しかつ両方の鎖末端に官能性末端基を有することを特徴とする、請求項33記載の線状ポリマー。
【請求項35】
単官能性の、付加的官能性を有する開始剤を用いて製造され、0.01質量%未満のハロゲン含有量を有し、ABBAマルチブロック構造を有しかつ両方の鎖末端に官能性末端基を有することを特徴とする、請求項34記載の線状ポリマー。
【請求項36】
請求項1から31までのいずれか1項記載の方法により後処理された官能性末端基を有するポリマーの、熱可塑性接着剤、接着剤、シール剤又は被覆材料中での使用。
【請求項37】
請求項1から31までのいずれか1項記載の方法により後処理された官能性末端基を有するポリマーの、ヒートシール剤中での、等重合度反応での、化粧品用途での、塗料中での、分散剤としての、ポリマー添加物としての又は包装材中での使用。

【公表番号】特表2010−518184(P2010−518184A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547548(P2009−547548)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061616
【国際公開番号】WO2008/092515
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】